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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174551
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   F21V 9/08 20180101AFI20241210BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20241210BHJP
   F21V 29/502 20150101ALI20241210BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20241210BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241210BHJP
【FI】
F21V9/08 200
F21V7/28 240
F21V29/502 100
F21S8/04 100
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092434
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】溝上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】北野 博史
(72)【発明者】
【氏名】西森 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】森住 剛
(72)【発明者】
【氏名】山本 遼
(57)【要約】
【課題】照明器具を用いることなく対象空間に所望の色温度の照明光を照射することができる照明システムを提供する。
【解決手段】照明システム1は、レーザ光源11を含む光源ユニット10と、光源ユニット10と分離して配置されており、光源ユニット10から出射した光源光L1の色温度を変化させて照明光L2として対象空間TSに照射する色温度変換ユニット20とを備え、色温度変換ユニット20は、光源光L1のうちの一部の波長の光を減衰させるフィルタ21を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源を含む光源ユニットと、
前記光源ユニットと分離して配置されており、前記光源ユニットから出射した光源光の色温度を変化させて照明光として対象空間に照射する色温度変換ユニットとを備え、
前記色温度変換ユニットは、前記光源光のうちの一部の波長の光を減衰させるフィルタを有する、
照明システム。
【請求項2】
前記色温度変換ユニットは、さらに、前記照明光の配光を変化させて当該照明光を前記対象空間に照射する配光変化部を有する、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記色温度変換ユニットは、前記色温度変換ユニットに入射する前記光源光が前記色温度変換ユニットで反射することを低減させる光反射防止部を有する、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記色温度変換ユニットは、放熱部を有する、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項5】
前記色温度変換ユニットは、前記光源光の色温度を低くする、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項6】
前記光源ユニットから出射した前記光源光は、白色光である、
請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記光源ユニットから出射した前記光源光は、ビーム状である、
請求項6に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象空間に照明光を照射する照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象空間に照明光を照射する照明システムが特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された照明システムは、建物の室内の天井に設置された照明器具を備えている。照明器具は、筐体と、筐体に収納された光源ユニットである発光モジュールとを有しており、対象空間となる室内に照明光を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-161347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の照明システムでは、光源ユニットが搭載された照明器具を用いているので、対象空間において照明器具の存在感が大きくなり、対象空間がすっきりしない。そこで、照明器具を用いることなく対象空間に照明光を照射することも考えられるが、照明器具を用いない場合は、所望の色温度の照明光を対象空間に照射することが難しい。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、照明器具を用いることなく対象空間に所望の色温度の照明光を照射することができる照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る照明システムの一態様は、レーザ光源を含む光源ユニットと、前記光源ユニットと分離して配置されており、前記光源ユニットから出射した光源光の色温度を変化させて照明光として対象空間に照射する色温度変換ユニットとを備え、前記色温度変換ユニットは、前記光源光のうちの一部の波長の光を減衰させるフィルタを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明システムによれば、光源ユニットから出射した光源光の色温度を変化させることができるので、照明器具を用いることなく対象空間に所望の色温度の照明光を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る照明システムの構成を模式的に示す図である。
図2】実施の形態に係る照明システムの光源ユニットにおけるレーザ光源の構成を示す図である。
図3】実施の形態に係る照明システムの光源ユニットにおける投射部の構成を示す図である。
図4】実施の形態に係る照明システムの色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図5】光源ユニットから出射する光源光と色温度変換ユニットから出射する照明光の発光スペクトルの一例を示す図である。
図6】実施の形態に係る照明システムと比較例の照明システムとの光学作用を説明するための図である。
図7】実施の形態に係る照明システムと比較例の照明システムとにおいて、対象空間に照射される照明光の光スペクトルを示す図である。
図8】実施の形態に係る照明システムと比較例の照明システムとにおいて、対象空間に照射される照明光の色度を示すxy色度図である。
図9】変形例1に係る照明システムにおける色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図10】変形例2に係る照明システムにおける色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図11】変形例3に係る照明システムにおける色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図12】変形例4に係る照明システムにおける色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図13】変形例5に係る照明システムにおける色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図14】変形例6に係る照明システムにおける色温度変換ユニットの構成を示す図である。
図15】変形例7に係る照明システムの構成を模式的に示す図である。
図16】変形例8に係る照明システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。また、本明細書において、「上」及び「下」という用語は、必ずしも、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。
【0011】
(実施の形態)
実施の形態に係る照明システム1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る照明システム1の構成を模式的に示す図である。
【0012】
照明システム1は、例えば、建物における所定の対象空間TSに照明光を照射する用途に用いられる。具体的には、照明システム1は、施設、ビル、住宅、店舗又は工場等の建物における部屋の室内を対象空間TSとして、対象空間TSに所定の色温度の照明光を照射する。対象空間TSは、照明システム1により照明される照明空間である。対象空間TSは、例えば、天井101と壁102と床103とによって囲まれた空間である。
【0013】
図1に示すように、照明システム1は、光源ユニット10と、色温度変換ユニット20とを備える。照明システム1では、光源ユニット10から出射したビーム状の光源光L1(例えば白色光)を色温度変換ユニット20に入射させて、色温度変換ユニット20において光源光L1の色温度を変化させた色温度変化光(色温度変換光)を照明光L2として対象空間TSに照射する。
【0014】
以下、光源ユニット10及び色温度変換ユニット20の具体的な構成について、図1を参照しつつ、図2図4を用いて説明する。図2は、光源ユニット10におけるレーザ光源11の構成を示す図である。図3は、光源ユニット10における投射部13の構成を示す図である。図4は、色温度変換ユニット20の構成を示す図である。
【0015】
光源ユニット10は、レーザ光を発するレーザ光源11を含む。本実施の形態において、光源ユニット10は、さらに、光ファイバ12と、投射部13とを含む。
【0016】
図2に示すように、レーザ光源11は、レーザ光Lbを出射する半導体レーザ11aと、ミラー11bと、集光レンズ11cと、筐体11dとを有する。
【0017】
半導体レーザ11aは、例えば、TO-CANパッケージ半導体レーザであり、レーザ光Lbを出射する半導体レーザチップと、半導体レーザチップが実装されたポスト及びポストを支持する円盤状のベースを有するステムと、ベースを貫通する一対のリードピンと、半導体レーザチップが実装されたポストを覆うようにベースに配置された金属製のキャップとを備える。半導体レーザチップから出射したレーザ光Lbは、キャップの開口部を通って外部に放射される。半導体レーザチップは、例えば、GaN等の窒化物系半導体材料によって構成されている。
【0018】
本実施の形態において、半導体レーザ11aは、ピーク波長が430nm以上480nm以下の範囲である青色帯域の青色のレーザ光Lbを発する青色半導体レーザである。また、レーザ光源11は、2つの半導体レーザ11aを有する。
【0019】
図2に示すように、ミラー11bは、半導体レーザ11aから出射したレーザ光Lbを集光レンズ11cに向けて反射させる。ミラー11bは、2つの半導体レーザ11aと一対一に対応して設けられている。つまり、レーザ光源11は、2つのミラー11bを有する。
【0020】
集光レンズ11cは、ミラー11bで反射したレーザ光Lbを集光して光ファイバ12に入射させる。本実施の形態において、集光レンズ11cは、2つの半導体レーザ11aの各々から出射したレーザ光Lbを集光させて光ファイバ12に入射させる。
【0021】
筐体11dは、半導体レーザ11aと、ミラー11bと、集光レンズ11cとを収納するケースである。本実施の形態において、筐体11dは、2つの半導体レーザ11aと、2つのミラー11bと、1つの集光レンズ11cとを収納している。
【0022】
このように構成されるレーザ光源11では、2つの半導体レーザ11aから出射した2つのレーザ光Lbが各ミラー11bで反射し、集光レンズ11cによって集光されて光ファイバ12に入光する。具体的には、2つの半導体レーザ11aからは青色のレーザ光Lbが出射するので、光ファイバ12には青色のレーザ光Lbが入光する。
【0023】
図1に示される光ファイバ12は、光を導光する導光部材の一例である。光ファイバ12は、コアとコアよりも屈折率が低く且つコアを包むクラッドとで構成された二重構造の伝送体である。光ファイバは、クラッドの外周面を覆う樹脂等で構成された被覆部を有していてもよい。光ファイバ12のコアの直径は、例えば、20μm~1000μmである。また、光ファイバ12の長さは、例えば、1m~100mである。
【0024】
図1に示すように、光ファイバ12は、長さ方向において、第1端部12a及び第2端部12bを有する。第2端部12bは、第1端部12aとは反対側の端部である。光ファイバ12の第1端部12aは、レーザ光源11からのレーザ光Lbが入射する入射端面を含む。光ファイバ12の第2端部12bは、入射端面から入射して光ファイバ12内を伝搬したレーザ光Lbが出射する出射端面を含む。
【0025】
図1及び図3に示すように、光ファイバ12の第2端部12bから出射したレーザ光Lbは、投射部13に入射する。本実施の形態では、レーザ光源11から青色のレーザ光Lbが出射して光ファイバ12に入光するので、投射部13には青色のレーザ光Lbが入射する。
【0026】
図1に示すように、投射部13は、レーザ光源11から出射したレーザ光Lbをもとに色温度変換ユニット20に照射する光源光L1を生成し、対象空間TSを介して色温度変換ユニット20に向けて光源光L1を投射する。
【0027】
投射部13は、例えば、壁102に設置される。また、投射部13は、床103からの高さが所定高さ(例えば、2m30cm)以上の高さ位置よりも高い位置に配置されている。また、投射部13は、光源光L1が水平方向よりも上向き(つまり、斜め上向き)に出射するように配置されている。これにより、照明システム1では、投射部13が目立たず、投射部13を設けた壁102の意匠性が向上するとともに、投射部13を人が覗き込むことを防止できる。なお、投射部13は、壁102以外の場所に設置されていてもよい。
【0028】
図3に示すように、投射部13は、波長変換部材13aと、コリメートレンズ13bと、筐体13cとを有する。
【0029】
波長変換部材13aは、レーザ光源11から出射したレーザ光Lbの波長を変換してレーザ光Lbの波長とは異なる波長の光を含む光源光L1を生成する。本実施の形態において、波長変換部材13aは、レーザ光源11から出射した青色のレーザ光Lbの波長を変換して青色とは異なる色の光を含む白色の光源光L1を生成する。
【0030】
波長変換部材13aは、例えば、蛍光体によって構成された蛍光体デバイスである。この場合、波長変換部材13aは、蛍光体層と、蛍光体層を支持する基板とを備えており、蛍光体層に入射する光を励起光として蛍光を発する。本実施の形態において、波長変換部材13aは、透過型の蛍光体デバイスであり、蛍光体層に入射する励起光は、波長変換部材13aを透過する。したがって、蛍光体層を支持する基板は、透光性を有する透光基板である。
【0031】
蛍光体層を支持する基板は、向こう側が透けて見える程度に透過率が高い透明基板であるとよい。蛍光体層は、透明基板の主面に形成される。透明基板としては、Alからなるアルミナ基板、AlNからなる窒化アルミニウム基板、GaNからなる窒化ガリウム基板、サファイア基板又はガラス基板等を用いることができる。
【0032】
蛍光体層は、光を発する発光層であり、励起光により励起されて可視領域の所定の波長の光を蛍光発光する。具体的には、蛍光体層は、光ファイバ12からのレーザ光Lb(励起光)によって励起されて蛍光を発する。蛍光体層は、生成する蛍光よりも短波長の光を励起光として蛍光を発する。
【0033】
一例として、蛍光体層は、黄色蛍光体によって構成された黄色蛍光体層である。この場合、黄色蛍光体層は、黄色光よりも短波長の光(例えば紫外光~青色光)を励起光として蛍光を発する。
【0034】
蛍光体層は、例えば、焼結された単一の結晶相の蛍光体粒子によって構成された蛍光体セラミックス層であってもよいし、無数の蛍光体粒子がシリコーン樹脂等の透光性樹脂材料(バインダ)に封止された蛍光体封止樹脂層であってもよい。黄色の蛍光を発する黄色蛍光体粒子としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)のYAG蛍光体を用いることができる。黄色蛍光体粒子から放射される光の発光スペクトルは、例えば、530nm~580nmの波長域にピーク波長が存在する。このような黄色蛍光体粒子としては、例えば、Ceで付活されたYAl12を用いることができる。
【0035】
なお、波長変換部材13aの蛍光体粒子は、黄色蛍光体粒子のみに限るものではない。例えば、波長変換部材13aは、蛍光体粒子として、黄色蛍光体粒子以外に、黄緑色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子及び/又は赤色蛍光体粒子等の他の蛍光体粒子を有していてもよい。つまり、波長変換部材13aは、複数種類の蛍光体粒子を有していてもよい。
【0036】
このように、本実施の形態では、波長変換部材13aが黄色蛍光体粒子を有するので、波長変換部材13aに青色のレーザ光が照射されると、黄色蛍光体粒子が青色のレーザ光Lb(励起光)の一部を吸収して励起されて黄色の蛍光を発する。そして、波長変換部材13aでは、この黄色蛍光体粒子による黄色光と黄色蛍光体粒子に吸収されなかった青色光とが混ざり合って白色光が生成され、波長変換部材13aからは光源光L1として白色光が放射される。つまり、波長変換部材13aから白色光が取り出される。
【0037】
波長変換部材13aから放射した白色光である光源光L1は、コリメートレンズ13bに入射する。これにより、波長変換部材13aから放射した白色光である光源光L1は、コリメートレンズ13bによってコリメートされてビーム状の光源光L1になる。コリメートレンズ13bは、色温度変換ユニット20に向けて光源光L1を対象空間TSに投射する投射レンズの一例である。なお、色温度変換ユニット20に向けて光源光L1を投射する投射レンズは、コリメートレンズ13bに限らない。
【0038】
筐体13cは、波長変換部材13aとコリメートレンズ13bとを収納している。筐体13cは、コリメートレンズ13bによってコリメートされた白色光を通過させる通過部を有する。この通過部は、透光性材料によって構成されていてもよいし、貫通孔であってもよい。
【0039】
このように構成される光源ユニット10では、レーザ光源11から出射した青色のレーザ光Lbは、光ファイバ12によって投射部13に伝送されて投射部13の波長変換部材13aによって白色光の光源光L1に変換される。そして、この白色光の光源光L1は、コリメートレンズ13bによってコリメートされて投射部13から出射する。つまり、光源ユニット10は、白色光の光源光L1を出射する。
【0040】
なお、図1に示すように、光源ユニット10は、壁102の外側に配置されている。したがって、対象空間TSに存在する人から壁102を見たときに、光源ユニット10は、壁102によって隠蔽されている。
【0041】
光源ユニット10から出射した光源光L1は、入射光として色温度変換ユニット20に入射する。具体的には、図1に示すように、色温度変換ユニット20には、投射部13から出射したビーム状の白色光である光源光L1が入射する。
【0042】
色温度変換ユニット20は、光源ユニット10と分離して配置されている。具体的には、色温度変換ユニット20と光源ユニット10とは、物理的に接触しておらず、色温度変換ユニット20と光源ユニット10との間には、空間領域が存在する。
【0043】
色温度変換ユニット20は、建物の造営材に設置される。本実施の形態において、色温度変換ユニット20は、図1に示すように、天井101に設置されている。つまり、天井101は、色温度変換ユニット20が取り付けられる取付部となる。例えば、色温度変換ユニット20は、接合部材によって天井101の天井面に取り付けられる。なお、色温度変換ユニット20は、天井101に対して着脱可能に取り付けられていてもよい。これにより、色温度変換ユニット20を交換することができる。例えば、弾性部材を用いた係止構造によって色温度変換ユニット20を天井101に対して着脱可能に取り付けてもよいし、色温度変換ユニット20(又はフィルタ21)を抜き差しできるカセット構造によって色温度変換ユニット20を天井101に対して着脱可能に取り付けてもよい。
【0044】
図1及び図4に示すように、色温度変換ユニット20は、光源ユニット10から出射した光源光L1の色温度を変化させて照明光L2として対象空間TSに照射する。具体的には、色温度変換ユニット20は、光源光L1のうちの一部の波長の光を減衰させるフィルタ21を有する。つまり、色温度変換ユニット20は、フィルタ21によって光源光L1のうちの一部の波長の光を減衰させることで光源光L1の色温度を変化させて色温度変換光を生成し、この色温度変換光を照明光L2として対象空間TSに照射する。
【0045】
本実施の形態において、色温度変換ユニット20は、光源ユニット10から出射した光源光L1の色温度を低くする。したがって、光源ユニット10の光源光L1は、色温度変換ユニット20に入射することで、光源光L1よりも低い色温度の色温度変換光に変換される。つまり、色温度変換ユニット20は、光源光L1の色温度を低色温度側へとシフトさせる。例えば、色温度変換ユニット20は、光源光L1の色温度を2700K以上5000K以下に変化させる。一例として、色温度変換ユニット20は、青色光と黄色光との合成光である昼白色の白色光である光源光L1を、光源光L1よりも低い色温度の電球色の白色光に変換させる。
【0046】
また、色温度変換ユニット20は、反射型である。つまり、色温度変換ユニット20において、光源ユニット10の光源光L1が色温度変換ユニット20に入射する光入射面と、色温度変換ユニット20で生成された照明光L2が色温度変換ユニット20から出射する光出射面とが同じである。このため、色温度変換ユニット20は、光源光L1側に向けて照明光L2を照射する。
【0047】
色温度変換ユニット20が有するフィルタ21は、例えば、特定の波長域の吸収率が高い(透過率が低い)特性を有する吸収フィルタである。吸収フィルタは、所定の波長域の光を吸収する光吸収物質が分散された透光性材料によって構成されている。例えば、フィルタ21として、青色帯域の波長(430nm~480nm)以下の透過率が10%以下である吸収フィルタを用いることができる。このようなフィルタ21を用いることで、色温度変換ユニット20に入射した光源光L1は、青色帯域以下の波長成分がフィルタ21で吸収される。この場合、例えば、図5に示すように、色温度が5000Kの白色光である光源光L1(色温度変換ユニット20に入射する前の光)は、フィルタ21を有する色温度変換ユニット20に入射することで青色帯域以下の波長成分が吸収され、色温度が3000Kの白色光である照明光L2(色温度変換光)に変換される。図5は、光源ユニット10から出射する光源光L1と色温度変換ユニット20から出射する照明光L2の発光スペクトルの一例を示す図である。
【0048】
なお、色温度変換ユニット20によって生成される照明光L2(色温度変換光)は、光源光L1よりも指向性が低い配光特性を有する。つまり、照明光L2は、光源光L1よりも光束の広がり角が大きくなっており、照明光L2は、光源光L1よりも配光分布が大きい。照明光L2は、光源光L1に比べて、相対的にコヒーレンスが低い光(インコヒーレント光)である。
【0049】
色温度変換ユニット20は、厚みが薄いシート状の扁平部材である。色温度変換ユニット20を構成するフィルタ21もシート状である。色温度変換ユニット20の平面視形状は、一例として、円形状であるが、これに限るものではない。例えば、色温度変換ユニット20の平面視形状は、四角形等の多角形であってもよい。
【0050】
また、図示していないが、照明システム1は、光源ユニット10に電力を供給するための電源装置(電源回路)を有していてもよい。電源装置は、2つの半導体レーザ11aの各々に個別に電力を供給してもよい。これにより、2つの半導体レーザ11aの光出力比を変更することができるので、照明光L2の明るさを調整することができる。なお、電源装置は、照明システム1が備えていなくてもよい。つまり、電源装置は、照明システム1とは別置された外部電源であってもよい。
【0051】
このように構成される照明システム1では、図1に示すように、レーザ光源11から青色のレーザ光Lbを出射させると、レーザ光Lbが光ファイバ12を伝搬して投射部13に入射し、投射部13に入射した青色のレーザ光Lbによって投射部13の波長変換部材13aにおいて白色の光源光L1が生成される。投射部13で生成された白色の光源光L1は、コリメートレンズ13bでコリメートされて対象空間TSに投射され、対象空間TSを通って色温度変換ユニット20に入射する。色温度変換ユニット20に入射した白色の光源光L1は、色温度変換ユニット20のフィルタ21によって光源光L1のうちの一部の波長の光が減衰して色温度が変化し、光源光L1とは異なる色温度の白色の照明光L2となって対象空間TSに照射される。
【0052】
次に、本実施の形態に係る照明システム1の特徴について、図6図8を用いて比較例の照明システム1Xと比較して説明する。図6は、実施の形態に係る照明システム1と比較例の照明システム1Xとの光学作用を説明するための図である。図7は、実施の形態に係る照明システム1と比較例の照明システム1Xとにおいて、対象空間TSに照射される照明光の光スペクトルを示す図である。図8は、実施の形態に係る照明システム1と比較例の照明システム1Xとにおいて、対象空間TSに照射される照明光の色度を示すxy色度図である。図8の破線は、duv=0の黒体軌跡を示している。
【0053】
図6に示すように、比較例の照明システム1X(図6の[比較例])では、レーザ光源11から出射した青色のレーザ光Lbが波長変換部材13a(蛍光体)に入射すると、波長変換部材13aは、レーザ光Lbを波長変換して白色光を生成する。比較例の照明システム1Xでは、この波長変換部材13aで生成された白色光が照明光Lxとして対象空間TSに照射される。この場合、対象空間TSに照射される照明光Lxは、一例として、図7の破線で示される光スペクトルを有している。また、その照明光Lxの色温度は、一例として、図8に示すように、5850Kである。
【0054】
一方、本実施の形態に係る照明システム1(図6の[実施例])では、レーザ光源11から出射した青色のレーザ光Lbが波長変換部材13a(蛍光体)に入射すると、比較例の照明システム1Xと同様に、波長変換部材13aはレーザ光Lbを波長変換して白色光を生成するが、本実施の形態に係る照明システム1では、青色帯域以下の波長成分を吸収するフィルタ21を有する色温度変換ユニット20を用いており、さらに、波長変換部材13aで生成された白色光を光源光L1として色温度変換ユニット20に入射させている。これにより、白色光である光源光L1が色温度変換ユニット20のフィルタ21によって青色帯域以下の波長成分が吸収されて色温度が変化する。本実施の形態に係る照明システム1では、この色温度が変化した色温度変換光を照明光L2として対象空間TSに照射している。この場合、対象空間TSに照射される照明光L2は、図7の実線で示される光スペクトルを有している。また、その照明光L2の色温度は、一例として、図8に示すように、3200Kである。
【0055】
なお、本実施の形態に係る照明システム1において、色温度変換ユニット20に入射する前の光源光L1(波長変換部材13aで生成された白色光)は、比較例の照明システム1Xにおける照明光Lxと同じである。つまり、色温度変換ユニット20に入射する前の光源光L1の光スペクトルは、比較例の照明システム1Xにおける照明光Lxの光スペクトル(図7の破線に示される光スペクトル)と同じであり、また、色温度変換ユニット20に入射する前の光源光L1の色温度は、比較例の照明システム1Xにおける照明光Lxの色温度と同じで5850Kである。したがって、本実施の形態に係る照明システム1では、色温度変換ユニット20によって、色温度が5850Kの光源光L1の色温度を下げて色温度が3200Kの照明光L2を生成している。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態に係る照明システム1によれば、レーザ光源11を含む光源ユニット10と、光源ユニット10と分離して配置されており、光源ユニット10から出射した光源光L1の色温度を変化させて照明光L2として対象空間TSに照射する色温度変換ユニット20とを備えており、色温度変換ユニット20は、光源光L1のうちの一部の波長の光を減衰させるフィルタ21を有する。
【0057】
このように、本実施の形態に係る照明システム1では、光源ユニット10と色温度変換ユニット20とを分離して配置した上で、光源ユニット10から出射した光源光L1の色温度を色温度変換ユニット20によって変化させ色温度変換ユニット20から照明光L2を対象空間TSに照射させている。これにより、従来のような光源ユニットが搭載された照明器具を用いることなく、対象空間TSに所望の色温度の照明光L2を照射することができる。このように光源ユニットが搭載された照明器具を対象空間TSに設置する必要がなくなるので、対象空間TSをすっきりさせることができる。したがって、対象空間TSの意匠性を容易に向上させることができる。
【0058】
しかも、光源ユニット10と色温度変換ユニット20とを分離して配置することで、光源ユニット10及び色温度変換ユニット20の各々のメンテナンス性を向上させることができる。例えば、光源ユニット10及び色温度変換ユニット20の各々を個別に交換することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、光源ユニット10から出射した光源光L1は、白色光である。
【0060】
これにより、照明対象となる対象空間TSを介して光源ユニット10から出射した光源光L1を色温度変換ユニット20に入射させたとしても、対象空間TSに存在するユーザは、光源光L1が光源ユニット10から出射していることに気が付きにくい。したがって、対象空間TSに存在するユーザに違和感を与えることなく、色温度を変化させた白色光である照明光L2を対象空間TSに照射させることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、光源ユニット10から出射した光源光L1は、ビーム状である。
【0062】
これにより、対象空間TSに存在するユーザは、光源光L1が光源ユニット10から出射していることにさらに気が付きにくくなる。したがって、対象空間TSに存在するユーザにさらに違和感を与えることなく、色温度を変化させた白色光である照明光L2を対象空間TSに照射させることができる。
【0063】
なお、本実施の形態に係る照明システム1において、色温度変換ユニット20は、光源光L1に対して光学作用を与える光学部材としてフィルタ21のみを有していたが、これに限らない。
【0064】
例えば、図9に示される照明システム1Aのように、色温度変換ユニット20Aは、フィルタ21に加えて、さらに、配光を変化させる機能を有する配光変化部22を有していてもよい。配光変化部22は、色温度変換ユニット20Aで生成された照明光L2の配光を変化させて照明光L2を対象空間TSに照射する機能を有する。配光変化部22は、例えば、光源光L1がフィルタ21を透過することで生成された照明光L2を対象空間TSに向けて反射させる光反射部材である。本変形例において、配光変化部22は、フィルタ21の天井101側に配置される。これにより、色温度変換ユニット20Aで生成された照明光L2(つまりフィルタ21で吸収されずにフィルタ21を過した光)は、光反射部材で反射して床側に向けて進行することになる。配光変化部22を光反射部材とすることで、反射型の色温度変換ユニット20Aを容易に実現することができる。なお、配光変化部22は、光反射部材に限るものではない。
【0065】
このように、本変形例における照明システム1Aでは、色温度変換ユニット20Aが配光変化部22を有しているので、色温度変換ユニット20Aで生成される照明光L2を所望の配光で対象空間TSに照射することができる。
【0066】
また、図10に示される照明システム1Bのように、色温度変換ユニット20Bは、フィルタ21と配光変化部22に加えて、さらに、光反射防止部23を有していてもよい。光反射防止部23は、色温度変換ユニット20Bに入射する光源光L1が色温度変換ユニット20Bで反射することを低減させる機能を有する。光反射防止部23は、色温度変換ユニット20Bの最表面層となるようにフィルタ21の床側に配置される。光反射防止部23としては、例えば、ARコート膜(反射防止膜)を用いることができる。ARコート膜は、例えば誘電体多層膜によって構成することができる。
【0067】
このように、本変形例における照明システム1Bでは、色温度変換ユニット20Bが光反射防止部23を有しているので、光源ユニット10の光源光L1を色温度変換ユニット20Bに効率良く入射させることができる。この結果、色温度変換ユニット20Bから照射される照明光L2の光取り出し効率を向上させることができる。
【0068】
なお、本変形例において、色温度変換ユニット20Bは、配光変化部22を有していたが、これに限らない。つまり、色温度変換ユニット20Bは、配光変化部22を有しておらず、フィルタ21及び光反射防止部23のみで構成されていてもよい。
【0069】
また、図11に示される照明システム1Cのように、色温度変換ユニット20Cは、フィルタ21と配光変化部22と光反射防止部23に加えて、さらに、放熱部24を有していてもよい。放熱部24は、ヒートシンクであり、色温度変換ユニット20Cで生じる熱を放熱させる機能を有する。放熱部24は、例えば、天井101に取り付けられる。また、配光変化部22は、放熱部24の床側に設けられる。放熱部24としては、アルミニウム又は銅等の金属材料で構成された金属部材を用いることができる。この場合、金属部材としては、シート状又はブロック状のものを用いることができる。あるいは、放熱部24として、ペルチェ素子等の熱電素子を用いてもよい。
【0070】
このように、本変形例における照明システム1Cでは、色温度変換ユニット20Cが放熱部24を有しているので、色温度変換ユニット20Cで生じる熱を効率良く放熱させることができる。これにより、色温度変換ユニット20Cの熱による劣化を抑制したり機能の低下を抑制したりすることができる。
【0071】
なお、本変形例において、色温度変換ユニット20Cは、配光変化部22及び光反射防止部23を有していたが、これに限らない。つまり、色温度変換ユニット20Cは、配光変化部22及び光反射防止部23の一方のみを有していてもよいし、配光変化部22及び光反射防止部23を有しておらずフィルタ21及び放熱部24のみを有していてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、色温度変換ユニット20が有するフィルタ21は、吸収フィルタであったが、これに限らない。例えば、図12に示される照明システム1Dのように、色温度変換ユニット20Dが有するフィルタ21Dは、誘電体多層膜フィルタであってもよい。誘電体多層膜フィルタは、屈折率が異なる複数の誘電体膜が積層された積層膜である。誘電体多層膜フィルタを構成する誘電体膜は、例えば、SiO、TiO、Al及びMgF等によって構成されている。誘電体多層膜フィルタは、所定の波長域の光を反射し、それ以外の波長域の光を透過する。したがって、色温度変換ユニット20Dは、フィルタ21D(誘電体多層膜フィルタ)を透過した光L3を吸収する光吸収部材25を有するとよい。これにより、色温度変換ユニット20Dからは、フィルタ21で反射した光が照明光L2として対象空間TSに放射される。
【0073】
誘電体多層膜フィルタであるフィルタ21Dが透過する光の波長域は、色温度変換ユニット20Dから放射される照明光L2が白色光となるように設定するとよい。この場合、フィルタ21Dが透過する光の波長域は、色温度変換ユニット20Dから放射される照明光L2の色温度が光源光L1の色温度よりも低くなるとよい。本変形例では、光源光L1の色温度を変化させて所定の色温度の照明光L2にするために光源光L1のうち不要となる波長成分の光L3をフィルタ21Dを透過させて光吸収部材25で吸収して除去している。
【0074】
なお、光吸収部材25は、可視光領域のうちの特定の波長域の光を吸収するのではなく、可視光領域の全域の光を吸収するものであってもよい。また、光吸収部材25は、配光を変化させる配光制御部としても機能する。
【0075】
このように、本変形例における照明システム1Dでは、色温度変換ユニット20Dが誘電体多層膜フィルタからなるフィルタ21Dと光吸収部材25とによって構成されているので、上記実施の形態における照明システム1と同様に、光源ユニット10から出射した光源光L1の色温度を色温度変換ユニット20Dによって変化させて色温度変換ユニット20Dから照明光L2を対象空間TSに照射させることができる。これにより、従来のような照明器具を用いることなく、対象空間TSに所望の色温度の照明光L2を照射することができる。
【0076】
また、上記実施の形態における照明システム1において、色温度変換ユニット20は、光入射面と光出射面とが同じ面になる反射型であったが、これに限らない。例えば、図13に示される照明システム1Eのように、色温度変換ユニット20Eは、光入射面と光出射面とが異なる面になる透過型であってもよい。つまり、色温度変換ユニット20Eにおいて、光源ユニット10の光源光L1が色温度変換ユニット20Eに入射する光入射面と、色温度変換ユニット20Eで生成された照明光L2が色温度変換ユニット20Eから出射する光出射面とが、異なっている。具体的には、色温度変換ユニット20Eにおいて、光出射面は、光入射面とは反対側の面である。
【0077】
本変形例において、色温度変換ユニット20Eは、透光基板26と、透光基板26に形成されたフィルタ21とを有する。透光基板26は、透過率が高い透明基板であるとよい。透明基板としては、Alからなるアルミナ基板、AlNからなる窒化アルミニウム基板、GaNからなる窒化ガリウム基板、サファイア基板又はガラス基板等を用いることができる。色温度変換ユニット20Eにおいて、透光基板26におけるフィルタ21側とは反対側の面が光入射面となり、フィルタ21における透光基板26側とは反対側の面は光出射面となる。
【0078】
このように構成される照明システム1Eでは、色温度変換ユニット20Eに白色の光源光L1が入射すると、色温度変換ユニット20Eに入射した白色の光源光L1は、色温度変換ユニット20Eを透過する際にフィルタ21によって光源光L1のうちの一部の波長の光が減衰して色温度が変化し、光源光L1とは異なる色温度の白色の照明光L2となって対象空間TSに照射される。つまり、本変形例における色温度変換ユニット20Eは、光源光L1のうちの所望の波長の光のみを透過し、それ以外の波長の光をフィルタ21で吸収させることで、光源光L1とは色温度が異なる照明光L2を生成している。このように、透過型の色温度変換ユニット20Eを用いても、従来のような照明器具を用いることなく、対象空間TSに所望の色温度の照明光L2を照射することができる。
【0079】
なお、本変形例において、色温度変換ユニット20Eは、照明光L2を散乱させたり反射させたりすることで照明光L2の配光を制御する配光制御部を有していてもよい。
【0080】
また、図14に示される照明システム1Fのように、色温度変換ユニット20Fがフィルタ21Dとして誘電体多層膜フィルタを有する場合においても、色温度変換ユニット20Fとして透過型のものを用いてもよい。本変形例において、色温度変換ユニット20Fは、透光基板26と、透光基板26に形成された誘電体多層膜フィルタからなるフィルタ21Dとを有する。
【0081】
このように構成される照明システム1Fでは、色温度変換ユニット20Fに白色の光源光L1が入射すると、色温度変換ユニット20Fに入射した白色の光源光L1は、色温度変換ユニット20Fのフィルタ21Dを透過する際に所定の波長域の光L3が反射し、それ以外の波長域の光が透過する。そして、フィルタ21Dを透過した光が照明光L2として対象空間TSに放射される。これにより、従来のような照明器具を用いることなく、対象空間TSに所望の色温度の照明光L2を照射することができる。このように、本変形例では、光源光L1の色温度を変化して所定の色温度の照明光L2にするために光源光L1のうちの不要となる波長成分の光L3をフィルタ21Dで反射させて除去している。
【0082】
なお、本変形例においても、色温度変換ユニット20Fは、照明光L2を散乱させたり反射させたりすることで照明光L2の配光を制御する配光制御部を有していてもよい。
【0083】
(その他の変形例)
以上、本発明に係る照明システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0084】
例えば、上記実施の形態において、照明システム1は、色温度変換ユニット20を1つ備えていたが、これに限らない。つまり、照明システム1は、複数の色温度変換ユニット20を有していてもよい。この場合、1つの光源ユニット10を用いて1本の光源光L1を複数の色温度変換ユニット20に入射させてもよいし、複数の色温度変換ユニット20と一対一となるように複数の光源ユニット10を用いてもよい。
【0085】
一例として、図15に示される照明システム1Gは、1つの光源ユニット10と、色温度変換ユニット20と色温度変換ユニット20Gとを備えている。図15では、光源ユニット10から出射する1本の光源光L1を色温度変換ユニット20及び20Gに入射させている。なお、色温度変換ユニット20(第1の色温度変換ユニット)から出射する照明光L2と色温度変換ユニット20G(第2の色温度変換ユニット)から出射する照明光L2’とは、色温度が異なっていてもよいし、配光が異なっていてもよい。
【0086】
また、図15では、色温度変換ユニット20(第1の色温度変換ユニット)と色温度変換ユニット20G(第2の色温度変換ユニット)とは近接して配置されていたが、これに限らない。例えば、図16に示される照明システム1Hのように、色温度変換ユニット20(第1の色温度変換ユニット)と色温度変換ユニット20G(第2の色温度変換ユニット)とは、離間して配置されていてもよい。この場合、図16に示すように、1つの光源ユニット10から複数の光源光L1を対象空間TSに出射させて、色温度変換ユニット20と色温度変換ユニット20Gとの各々に光源光L1を入射させるとよい。1つの光源ユニット10から複数の光源光L1を出射させる場合、投射部13にレンズ及びミラー等の光学部材を追加することで、図16に示すように、投射部13から複数の光源光L1を出射させてもよいが、光源ユニット10とは別に設けられたレンズ及びミラー等の光学部材を用いることで、投射部13から出射した1つの光源光L1を複数の光源光L1に分割してもよい。
【0087】
また、上記実施の形態における照明システム1において、レーザ光源11は、青色のレーザ光を出射する半導体レーザ11aを有していたが、これに限るものではない。例えば、レーザ光源11は、紫色のレーザ光を出射する半導体レーザを有するものであってもよい。この場合、投射部13の波長変換部材13aは、青色蛍光体粒子と、黄色蛍光体粒子と、緑色蛍光体粒子と、赤色蛍光体粒子とを含むとよい。
【0088】
また、上記実施の形態における照明システム1では、光ファイバ12を用いたが、これに限らない。例えば、光ファイバ以外の導光部材を用いてもよい。あるいは、光ファイバ等の導光部材そのものを用いなくてもよい。つまり、レーザ光源11と投射部13とを直接連結してもよい。この場合、レーザ光源11と投射部13とが1つの筐体に収納された光源ユニット10を用いてもよい。
【0089】
なお、その他に、上記実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。また、本願出願時の特許請求の範囲に記載された複数の請求項の中から技術的に矛盾しない範囲で2つ以上の請求項を任意に組み合わせたものも本発明に含まれる。例えば、本願出願時の特許請求の範囲に記載された引用形式請求項を、技術的に矛盾しない範囲で上位請求項の全てを引用するようにマルチクレーム又はマルチマルチクレームとしたときに、そのマルチクレーム又はマルチマルチクレームに含まれる全ての請求項の組み合わせも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 照明システム
10 光源ユニット
11 レーザ光源
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G 色温度変換ユニット
21、21D フィルタ
22 配光変化部
23 光反射防止部
24 放熱部
TS 対象空間
L1 光源光
L2、Lx 照明光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16