(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174554
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/135 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61B3/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092438
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 諭史
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA02
4C316AA03
4C316AB16
4C316AB19
4C316AB20
4C316FC07
4C316FY02
4C316FY04
4C316FY08
(57)【要約】
【課題】特定光を照射する特定光照射系を容易かつ選択的に取り付けることが可能な眼科装置を提供する。
【解決手段】眼科装置の一例である細隙灯顕微鏡100は、被検者の被検眼Eに照明光を照射する照明系30、及び被検眼Eからの戻り光を観察する観察系40を有する本体部10と、本体部10に着脱自在に取り付けられる撮像ユニット60と、を備える。撮像ユニット60は、被検眼Eの画像を取得する撮像部61と、被検眼Eに照明光とは異なる背景光を照射する背景照明系80と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の被検眼に照明光を照射する照明系、及び
前記被検眼からの戻り光を観察する観察系を有する本体部と、
前記本体部に着脱自在に取り付けられる撮像ユニットと、を備え、
前記撮像ユニットは、前記被検眼の画像を取得する撮像部と、前記被検眼に前記照明光とは異なる特定光を照射する特定光照射系と、を有する
ことを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記観察系を支持する支持アームを備え、
前記撮像ユニットは、前記支持アームに着脱自在に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記観察系は、前記支持アームの上部に取り付けられており、前記被検眼に対峙させる対物レンズと、検者の検者眼に対峙させる接眼レンズとを有し、
前記特定光照射系は、前記支持アームの前記被検者に対峙する側であって前記対物レンズの下方に配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
電力を供給する電源部を備え、
前記支持アームは、配線を収容する収容空間を有し、
前記撮像ユニットは、前記収容空間に収容された前記配線によって前記電源部と接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記支持アームは、前記撮像部からの第1の配線及び前記特定光照射系からの第2の配線が接続される中継基板を前記収容空間内に有し、
前記中継基板は、前記本体部内に収容された第3の配線によって前記電源部と接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記撮像部は、前記支持アームの検者に対峙する側に配置され、
前記撮像部の前記検者に対峙する側に、前記特定光照射系の操作部が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記撮像部は、前記観察系の光路内に配置されて前記戻り光の一部を前記観察系の光路外に偏向する偏向光学部材と、前記偏向光学部材によって偏向された前記戻り光を受光する撮像素子と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記特定光照射系は、前記特定光として可視光及び赤外光の少なくとも一方を前記被検眼に照射する
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記撮像ユニットは、検者に対峙する側に、前記特定光照射系から照射される前記特定光の色に応じて異なる態様で発光する発光部を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スリット光を照射する細隙灯と、該細隙灯から照射されたスリット光を反射させて被検眼に照射する反射鏡又はプリズムを有するミラーユニットと、被検眼を観察するための顕微鏡ユニットと、スリット光の背景を照射するための背景光(特定光)を被検眼に照射させる背景照明系(特定光照射系)とを備える眼科装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、眼科装置には、特定光により照明された被検眼の画像を撮影する撮像装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼科装置のユーザの中には、特定光を用いて観察や撮影を行わず、特定光照射系を不要とするユーザも存在する。しかしながら、従来の眼科装置では、特定光照射系が顕微鏡ユニット又はミラーユニットと一体に設けられ、特定光照射系の操作部は眼科装置の架台部と一体に設けられることが多いため、ユーザの使用形態に応じて柔軟に着脱できるものではなかった。
【0005】
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、特定光を照射する特定光照射系やその操作部を容易かつ選択的に取り付けることが可能な眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の眼科装置は、被検者の被検眼に照明光を照射する照明系、及び前記被検眼からの戻り光を観察する観察系を有する本体部と、前記本体部に着脱自在に取り付けられる撮像ユニットと、を備える。前記撮像ユニットは、前記被検眼の画像を取得する撮像部と、前記被検眼に前記照明光とは異なる特定光を照射する特定光照射系と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された眼科装置は、撮像ユニットを本体部に着脱することで、特定光を照射する特定光照射系を容易かつ選択的に取り付けることが可能となる。したがって、ユーザは、特定光照射系を備えた眼科装置、及び特定光照射系を備えない眼科装置を選択的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の眼科装置の全体構成を示す右側面図及び移動機構部分の斜視図である。
【
図2A】実施例1の眼科装置の配線状態及び着脱自在な撮像ユニットを説明するための説明図であって、撮像ユニットを取り付けていない状態の眼科装置を概略的に示す左側面図である。
【
図2B】実施例1の眼科装置の配線状態及び着脱自在な撮像ユニットを説明するための説明図であって、撮像ユニットを取り付けた状態の眼科装置を概略的に示す左側面図である。
【
図3】実施例1の眼科装置の背景光切替部の近傍を、検者側から見た裏面図であって、背景光の切り替え時の背景光切替部の状態を説明するための説明図である。
【
図4】実施例1の眼科装置の背景照明系及び対物レンズ近傍を、被検者側から見た正面図である。
【
図5】実施例2の眼科装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図6】実施例2の眼科装置の配線状態及び着脱自在な撮像ユニットを説明するための説明図であって、撮像ユニットを取り付けた状態の眼科装置を概略的に示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施例1)
本開示の眼科装置の一実施の形態である実施例1の細隙灯顕微鏡100は、
図1~
図4を参照して、以下のように説明される。
図1に示される細隙灯顕微鏡100は、スリット状の照明光(以下、「スリット光」ということがある。)を用いて被検眼Eの角膜の光切片を切り取ることにより、角膜の断面の画像を取得する眼科装置であり、「スリットランプ顕微鏡」とも称される。
【0010】
実施例1の細隙灯顕微鏡100は、
図1に示されるように、本体部10と、電源部20と、撮像ユニット60とを主に備える。本体部10は、照明系30と、観察系40と、制御装置50とを主に備える。撮像ユニット60は、撮像部61と、特定光照射系の一例である背景照明系80とを主に備える。
【0011】
実施例1の細隙灯顕微鏡100は、いわゆるZeiss式(Littman式)の細隙灯顕微鏡であり、照明系30が観察系40の下方に配置された構成であることで、後述の実施例2の細隙灯顕微鏡100Aと比較してコンパクトな装置である。
【0012】
本体部10は、光学台1に設置される。本体部10は、前述したように照明系30と、観察系40と、制御装置50とを備える。本体部10は、さらに、光学台1の上面に固定された基部11と、基部11の上面に設けられた架台部12と、架台部12を左右方向に移動させる移動機構13と、架台部12の上面に設けられた支持部14と、基部11に支持された顔支持部15と、基部の11の左右方向の両側に設けられた一対の把持部16とを備える。
【0013】
架台部12は、架台12aと、調光つまみ(調光操作部)12bと、操作レバー(移動操作部)12cと、操作レバー12cの上面に設けられた撮影ボタン12dとを備える。架台部12は、基部11に対し、移動機構13によって被検眼から見て前後方向及び左右方向に移動可能となっている。移動機構13は、架台12aに挿通されたスライド棒13aと、スライド棒13aの両端を前後方向に移動可能に支持する一対の固定部13bとを備える。なお、本明細書では、前後方向のうち前方向は、被検者に近づく方向であり、後方向は被検者から遠ざかる方向であって検者に向かう方向である。左右方向のうち左方向は被検者の左手方向であり、右方向は被検者の右手方向である。
【0014】
操作レバー12cは、架台部12の移動操作指示等を与えるための部材である。撮影ボタン12dは、撮像部61に撮影指示を与えるための部材である。操作レバー12cと撮影ボタン12dは、制御装置50と電気的に接続されている。細隙灯顕微鏡100を使用するユーザである検者は、操作レバー12cを握った状態で動かすことで、移動機構13の作用によって、前後左右方向に架台部12全体を移動させることができる。また、検者が操作レバー12cを傾倒操作することで、その操作量及び操作方向に応じて制御装置50が観察系40を制御し、焦点合わせ(フォーカス)を行わせる。検者が操作レバー12cを軸周りに回転操作することで、その操作量及び操作方向に応じて基部11の上面に設けられた支持部14が図示しない昇降機構によって上下方向に移動する。検者が撮影ボタン12dを押し下げることで、制御装置50が撮像部61を制御して、被検眼Eの画像を撮影させる。
【0015】
調光つまみ12bは、検者が照明系30のスリット光の点灯と消灯操作及び明るさ(光量)の調整操作を行うための部材である。検者が調光つまみ12bを回転操作することで、制御装置50の制御の下、照明系30が点灯又は消灯し、点灯時は消灯位置からの操作量及び操作方向に応じて照明系30の照明光の明るさが、連続的かつ自在に変更される。
【0016】
支持部14は、台座14aと、第1支持アーム14bと、第2支持アーム14cとを備える。台座14aは、架台12aの上面に設けられる。第1支持アーム14b及び第2支持アーム14cは、台座14aから起立している。第1支持アーム14b及び第2支持アーム14cは、同軸の垂直軸14dを中心にそれぞれ独立して回動可能である。
【0017】
また、支持部14は、垂直軸14dに設けられた図示しない回転軸穴に着脱自在に取り付けられるテスト棒14eを備える。このテスト棒14eは、照明系30から照射されるスリット光の状態を確認するための部材であり、被検眼Eにスリット光を照射して観察する際には取り外される。
【0018】
第1支持アーム14bは、照明系30の光学部材を収容した照明系ハウジング31が上部に取り付けられ、この照明系30を支持する。この第1支持アーム14bは、手動により回動させられる。第1支持アーム14bが回動することで、照明系ハウジング31が被検眼の周囲を旋回する。これにより、被検眼に対するスリット光の照射方向が変更される。なお、第1支持アーム14bは、上下方向にも回動してよく、この場合では被検眼に対するスリット光の仰角や俯角が変更される。
【0019】
第2支持アーム14cは、側面視L字状の筒状体から構成され、内部に各種配線が収容される収容空間14f(
図2A、
図2B参照)が設けられている。第2支持アーム14cは、観察系40の光学部材を収容した観察系ハウジング41が上部に取り付けられ、この観察系40を支持する。また、第2支持アーム14cは、観察系40の下方に、撮像ユニット60が着脱自在に取り付けられ、この撮像ユニット60を支持する。この第2支持アーム14cは、手動により回動させられる。第2支持アーム14cが回動することで、観察系40及び撮像ユニット60が第1支持アーム14bの周囲を旋回する。これにより、被検眼Eに対する観察系40及び撮像ユニット60の観察方向が変更される。
【0020】
第2支持アーム14cは、収容空間14fの下方に中継基板14gが収容されている。この中継基板14gは、収容空間14f及び架台12a内に収容された第1電源ケーブルw1によって、架台12a内に収容された制御装置50と電気的に接続されている。また、中継基板14gには、後述する撮像ユニット60の撮像部61から延びる第2電源ケーブルw2及び背景照明系80から延びる第3電源ケーブルw3が着脱自在に接続可能となっている。これらの電源ケーブルw2,w3も、収容空間14f内に収容可能である。
【0021】
また、第2支持アーム14cは、被検者に対峙する側であって観察系40の対物レンズ43の下方に、背景照明系80を取り付ける取付部14hが設けられている。この取付部14hは、背景照明系80の一端を挿入する図示しない孔部を有し、背景照明系80を使用しない場合は、図示しない蓋体で被覆されている。若しくは、取付部14hは、入出力端子から構成され、この入出力端子に背景照明系80が接続される構成としてもよい。
【0022】
なお、第1支持アーム14b及び第2支持アーム14cは、電動により自動で回動する構成であってもよい。この場合、支持部14は、第1支持アーム14bと第2支持アーム14cを回動させる駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とを備える。アクチュエータは、例えばステッピングモータ(パルスモータ)が用いられる。また、伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオン等が用いられる。
【0023】
顔支持部15は、観察系40の前方に観察系40と対峙して配置されている。顔支持部15は、被検者の顎を載せる顎受部15aと、額をあてがう額当部15bとを備える。実施例1では、光学台1に正対した被検者が顎受部15a及び額当部15bに顔を接触させた状態で、検者が細隙灯顕微鏡100を操作して被検眼の観察等を行う。
【0024】
また、顔支持部15は、外部固視に用いられる固視部17が着脱可能に設けられている。固視部17は、フレキシブルアームからなる固視灯保持部17aと、この固視灯保持部17aの先端に設けられ、固視光を出射する外部固視灯17b(例えば、LED光源)とを備える。固視部17は、固視灯保持部17aによって外部固視灯17bの位置及び固視光の出射方向を任意に調整することできる。固視部17は、外部固視灯17bによって被検眼Eの視線を誘導し、被検眼Eの向きを調整することができる。
【0025】
一対の把持部16は、被検者が検査を受ける際に、両手で把持する部材である。この把持部16を把持することで、被検者は、身体を固定することができ、安定した姿勢を保って、適切に検査を受けることができる。
【0026】
電源部20は、細隙灯顕微鏡100に電力を供給する装置である。電源部20は、制御装置50と第5電源ケーブルw5によって接続されている。電源部20は、スイッチボックス21と、AC/DCコンバータ22と、差込プラグ23とを主に備える。スイッチボックス21は、スイッチ基板24と、電源スイッチ25と、確認表示灯26とを備える。スイッチ基板24は、電源スイッチ25の操作状態に応じて、細隙灯顕微鏡100の電源ON又はOFFの切り替えを制御する制御装置である。電源スイッチ25は、電源ON又はOFFを指示するための部材である。確認表示灯26は、いわゆるパイロットランプであり、例えばLED光源からなる。確認表示灯26は、細隙灯顕微鏡100の通電状態をユーザに知らしめるためのものである。確認表示灯26は、細隙灯顕微鏡100が通電状態、つまり起動状態(電源ON)では点灯し、非通電状態、つまり停止状態(電源OFF)では消灯する。
【0027】
AC/DCコンバータ22は、交流電圧を直流電圧に変換する。差込プラグ23は図示しないコンセントに差し込まれる。検者が電源スイッチ25をON操作することで、電源部20は、AC/DCコンバータ22を介して、制御装置50と、この制御装置50に接続された照明系30、観察系40及び撮像ユニット60とに電力を供給する。
【0028】
照明系30は、被検眼Eに向けてスリット光を照射する。照明系30は、照明系ハウジング31に収容された細隙灯(例えば、LED光源)32と、偏向光学系33とを主に備える。また、照明系30は、その光路上に選択的に配置されるエキサイタフィルタ35、拡散板36(以上、
図2B参照)等を備えてもよい。エキサイタフィルタ35は、後述のバリアフィルタとの組み合わせにより、被検眼Eの角膜の蛍光観察が可能となる。拡散板36は、細隙灯32から照射される照明光を拡散することで、被検眼Eのより広い範囲の観察を可能とする。
【0029】
細隙灯32は、偏向光学系33に向けてスリット光を照射する。偏向光学系33は、細隙灯32の上方に設けられている。偏向光学系33は、偏向光学素子34を備える。偏向光学素子34は、実施例1ではプリズムから構成される。偏向光学素子34は、細隙灯32から照射されたスリット光を被検眼Eに向けて偏向する。これにより、被検眼Eに対してスリット光が照射される。なお、偏向光学素子34は、プリズムに限定されず、ミラー(反射鏡)等から構成され、スリット光を被検眼Eに向けて反射することで偏向するものとしてもよい。また、細隙灯32及び偏向光学系33は
図1に示される構成に限定されず、Zeiss式の細隙灯顕微鏡で用いられるものであれば、その形状、構造、及び配置は特に限定されない。
【0030】
細隙灯32は、第1支持アーム14b及び支持部14内に収容された第4電源ケーブルw4によって制御装置50と電気的に接続されている。この構成により、細隙灯32は、制御装置50を介して電源部20から電力が供給されるとともに、制御装置50に制御される。
【0031】
スリット光の明るさは、前述のように架台12aに設けられた調光つまみ12bを操作することで変更される。スリット光の幅は、照明系30に設けられたスリット開閉ノブ(スリット開閉操作部)37を検者が操作することで変更される。スリット光は、照射領域の一部を遮ることで照射領域が帯状に形成された光であり、被検眼の角膜や眼底を観察するための照明光である。
【0032】
観察系40は、被検眼からの戻り光(「反射光」とも称される。)を観察するために用いられるもので、いわゆる顕微鏡である。ここで、「戻り光」には、被検眼で反射されたスリット光や背景光だけでなく、例えば被検眼やその周辺からの散乱光などの各種の光が含まれる。実施例1では、これら各種の光を含めたものが「戻り光」と呼ばれる。観察系40は、前述のように第2支持アーム14cの上部に取り付けられており、観察系ハウジング41内に、被検眼Eからの戻り光を案内する観察光学系42が収容されている。実施例1の観察系ハウジング41は、第2支持アーム14cの被検者側(前側)に配置される第1観察系ハウジング41aと、第2支持アーム14cの検者側(後側)に配置される第2観察系ハウジング41bとからなる。
【0033】
観察光学系42は、1つの対物レンズ43と、左右一対のリレー光学系44と、左右一対の接眼部45とを備える。対物レンズ43は、被検眼Eに対峙させるレンズである。左右一対の接眼部45は、検者の左右の検者眼eに対峙させる接眼レンズ45aを各々備える。左右一対のリレー光学系44は、図示しない変倍光学系、絞り、プリズムユニット等の光学部材を各々備える。対物レンズ43とリレー光学系44の一部(例えば、変倍光学系と絞り等)は、第1観察系ハウジング41a内に収容され、リレー光学系44の残り(例えば、プリズムユニット等)と接眼部45は、第2観察系ハウジング41b内に収容されている。なお、リレー光学系44は、全部が第1観察系ハウジング41a内又は第2観察系ハウジング41b内に収容される構成でもよい。
【0034】
検者は、一対の接眼部45を両眼で覗き込むことで被検眼Eを肉眼で観察することができる。また、観察系ハウジング41の左右の側面には、観察倍率を変更するための観察倍率調整ハンドル(観察倍率調整操作部)46が設けられている。
【0035】
撮像ユニット60は、前述したように撮像部61と、背景照明系80とを主に備え、本体部10の第2支持アーム14cに着脱自在に取り付けられる。撮像部61は、第2支持アーム14cの検者に対峙する側(後側)に取り付けられる。背景照明系80は、第2支持アーム14cの被検者に対峙する側(前方)あって観察系40の対物レンズ43の下方に設けられた取付部14hに取り付けられる。
【0036】
撮像部61は、被検眼Eからの戻り光を受光して、被検眼Eの画像を撮影する。撮像部61は、
図2Bに示されるように、撮像部ハウジング62と、撮像部偏向光学部材63と、結像光学系64と、撮像素子65と、制御基板であるLED基板66と、操作部である背景光切替部67とを主に備える。撮像部ハウジング62は、第2観察系ハウジング41bと第2支持アーム14cに挟持されるように、第2支持アーム14cに取り付けられる。撮像部偏向光学部材63、結像光学系64、撮像素子65及びLED基板66は、撮像部ハウジング62内に収容されている。
【0037】
撮像部偏向光学部材63は、撮像部61が第2支持アーム14cに取り付けられた状態で、観察系40の光路内、より具体的には一対のリレー光学系44の何れか一方の光路内に配置されて被検眼Eからの戻り光の一部を観察系40の光路外に偏向する。撮像部偏向光学部材63は、実施例1ではビームスプリッタから構成され、戻り光の一部を反射することで、戻り光を撮像素子65に向けて偏向し、残りの戻り光を透過する。結像光学系64は、結像レンズ等の光学素子から構成され、撮像部偏向光学部材63によって偏向された戻り光を集めて撮像素子65に結像させる。
【0038】
撮像素子65は、結像光学系64で集められた戻り光を検出し、電気信号(画像信号)に変換して出力する光電変換素子である。撮像素子65は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。
【0039】
撮像素子65は、実施例1では外部装置であるパーソナルコンピュータ(PC)2(
図2B参照)と通信ケーブルu1により接続されており、画像信号をPC2に出力可能となっている。したがって、撮像部61で撮影された画像はPC2に保存可能である。なお、画像信号は、制御装置50に入力されて、制御装置50の記憶装置に画像が保存されてもよい。
【0040】
通信ケーブルu1は、例えばUSBケーブルから構成され、撮像部ハウジング62内、第2支持アーム14cの収容空間14f及び架台12a内に収容されている。通信ケーブルu1は、一端が撮像素子65に接続され、他端は架台12aから外部に出てPC2と接続されているか又は本体部10に設けられた図示しない入出力端子やUSBケーブルを介してPC2と接続されている。
【0041】
LED基板66は、LED光源を備えた回路基板である。LED基板66は、第2電源ケーブルw2によって中継基板14gと接続されている。中継基板14gは、前述のとおり、第1電源ケーブルw1によって制御装置50と接続され、制御装置50は第5電源ケーブルw5によって電源部20と接続されている。この構成により、LED基板66は、中継基板14g及び制御装置50を介して電源部20から電力が供給されるとともに、制御装置50によって制御される。
【0042】
LED基板66は、第1回路ケーブルC1を介して撮像素子65と接続され、撮像素子65に電力を供給するとともに、制御装置50の制御の下、撮像素子65を制御する。すなわち、撮影ボタン12dの押し下げ操作があると、制御装置50は中継基板14gを介してLED基板66を制御し、LED基板66が撮像素子65を制御して被検眼Eの画像を撮影させる。
【0043】
また、LED基板66は、背景光切替部67と第2回路ケーブルC2によって接続されている。さらにLED基板66は、第2電源ケーブルw2と、中継基板14gと、収容空間14f内に収容された第3電源ケーブルw3とを介して背景照明系80と接続されている。この構成により、検者の背景光切替部67の回転操作に基づく電気信号が、LED基板66及び中継基板14gを介して制御装置50に出力される。制御装置50は、この電気信号にしたがって背景照明系80を制御し、背景光の点灯と消灯、背景光の切り替え、及び明るさ(光量)の調整を実行させる。
【0044】
LED基板66のLED光源は、撮像部61の通電状態(電源ON又はOFF)、及び背景照明系80から照射される背景光の色を検者に知らしめる発光部70として機能する。この発光部70は、撮像部61が非通電状態、つまり停止状態(電源OFF)では消灯し、撮像部61が通電状態、つまり起動状態(電源ON)では、例えば緑色で点灯する。また、発光部70は、背景照明系80から可視光が照射されているときは、例えば青色で点灯し、赤外光が照射されているときは、例えば赤色で点灯する。なお、発光部70から照射される光の色は、これらの色に限定されず、撮像部61の通電状態、及び背景光の色が識別できればよく、他の色であってもよい。また、発光部70は、光の点滅等、発光態様を変更することで、撮像部61及び背景光の状態を示すものであってもよい。検者は、撮像部ハウジング62の検者側であって背景光切替部67の上方中央に設けられた表示窓71(
図3参照)を通して、発光部70の点灯状態及び色を確認できる。
【0045】
背景光切替部67は、検者が背景照明系80の点灯又は消灯操作、背景光の切り替え操作及び明るさ(光量)の調整操作を行うための部材である。背景光切替部67は、
図1~
図3に示されるように、撮像部ハウジング62の一面であって検者に対峙する側(後側)の下方に設けられている。背景光切替部67は、表面に回転位置を示すためのマーカ67aが設けられている。また、撮像部ハウジング62の一面には、背景光切替部67の上方であって12時の位置に、前述した表示窓71が設けられている。この表示窓71は背景照明系80の消灯位置でもある。この表示窓71を基準に、時計回り方向の所定範囲が、背景用光源82から可視光が照射され、その明るさが調整可能な範囲であり、可視光の明るさが最大となる位置(可視光最大位置72)に、「BG」の文字が表示されている。また、表示窓71を基準に、反時計回り方向の所定範囲が、背景用光源82から赤外光が照射され、その明るさが調整可能な範囲であり、赤外光の明るさが最大となる位置(赤外光最大位置73)に、「IR」の文字が表示されている。
【0046】
図3の紙面上図に示されるように、マーカ67aが消灯位置にあるときは、LED基板66は背景用光源82を消灯させる。
図3の紙面右図のように、検者が背景光切替部67を時計回りに回転操作すると、この操作を受けて、LED基板66は背景用光源82から可視光を照射させる。このとき、LED基板66は、消灯位置からの背景光切替部67の操作量(回転量)に応じて、可視光の明るさを強くし、マーカ67aが「BG」の位置に到達したときに、可視光の明るさが最大となるように背景用光源82の点灯を制御する。
【0047】
同様に、検者が背景光切替部67を反時計回りに回転操作すると、この操作を受けて、LED基板66は背景用光源82から赤外光を照射させる。このとき、LED基板66は、消灯位置からの背景光切替部67の操作量(回転量)に応じて、赤外光の明るさを強くし、マーカ67aが「IR」の位置に到達したときに、赤外光の明るさが最大となるように背景用光源82の点灯を制御する。
【0048】
背景照明系80は、照明系30から照射されたスリット光の照射領域の周囲の領域を背景光で照明する。背景照明系80による照射領域は、少なくともこの周囲領域を含んでいればよく、照明系30による照射領域と一部が重複していてもよい。背景照明系80は、背景照明ハウジング81と、背景用光源82と、図示しない集光レンズ等の光学部材とを主に備える。
【0049】
背景用光源82は、
図4に示されるように、可視光(背景光:BG)を照射する可視光源82aを有し、その両側に赤外光(IR)を照射する一対の赤外光源82bを有する。背景用光源82から照射される可視光及び赤外光の点灯、切り替え及び明るさの調整は、検者側に配置された背景光切替部67の操作によって行われる。可視光は肉眼観察や撮影に用いられ、赤外光はマイボーム腺の観察や撮影に用いられる。背景用光源82は、背景照明ハウジング81に開口した照射口83から被検眼Eに向けて背景光を照射する。背景用光源82から照射された背景光は、集光レンズによって集められた後、被検眼Eに向けて照射される。なお、背景用光源82から照射される背景光が、可視光及び赤外光の双方に限定されず、何れか一方を照射するものであってもよい。また、実施例1では、背景用光源82は、可視光源82aと赤外光源82bから構成されるが、1つのLED光源から択一的に可視光と赤外光を照射する構成としてもよい。
【0050】
制御装置50は、細隙灯顕微鏡100の各部を制御する。制御装置50は、制御部として機能するCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等の記憶装置とを有するマザーボード(メイン基板)から構成される。制御装置50は、架台12aに内蔵されている。
【0051】
制御装置50は、電源ケーブルw1~w5によって電源部20、照明系30、観察系40、撮像部61及び背景照明系80と接続され、必要な情報を取得し、これらに対して適宜制御指令を出力する。制御装置50の記憶装置は、制御プログラムが予め記憶される。CPUからの制御指令は、この制御プログラムとハードウェアとが協働することで実現される。また、制御装置50は、電源部20からの電力を照明系30、観察系40、撮像部61及び背景照明系80へ供給する。
【0052】
制御装置50は、操作部や表示部を有するPC、タブレット端末、専用コントローラ等に接続されてもよい。制御装置50は、PC等の操作部からの検者による操作入力を受けて、細隙灯顕微鏡100を制御し、撮影された画像、測定結果等を出力して、表示部に表示させてもよい。
【0053】
上述のような構成の実施例1の細隙灯顕微鏡100において、撮像ユニット60を使用しない場合は、
図2Aに示されるように、取り付けの作業者はリレー光学系44の一部及び接眼部45を収容する第2観察系ハウジング41bを、第2支持アーム14cに取り付ける。これにより、検者は、観察系40の対物レンズ43、リレー光学系44及び接眼部45を通して、被検眼Eを肉眼で観察することができる。
【0054】
一方、撮像ユニット60を使用する場合は、
図2Bに示されるように、作業者は、第2支持アーム14cの検者側に、撮像部61を取り付け、第2支持アーム14c被検者側の取付部14hに、背景照明系80を取り付ける。このとき、作業者は、撮像部61から延びる第2電源ケーブルw2と、背景照明系80から延びる第3電源ケーブルw3を、第2支持アーム14c内の中継基板14gに各々接続する。これにより、撮像部61と背景照明系80は、制御装置50と電気的に接続され、制御装置50によって動作が制御されるものとなる。
【0055】
そして、作業者は、撮像部61の検者側に、第2観察系ハウジング41bを取り付ける。これにより、検者は、観察系40の対物レンズ43、リレー光学系44及び接眼部45を通して、被検眼Eを肉眼で観察することができる。また、被検眼Eからの戻り光の一部が撮像部偏向光学部材63で偏向されることで、検者は撮像部61を用いて被検眼Eの画像を撮影することができる。撮像ユニット60の取り付け(又は取り外し)は、細隙灯顕微鏡100の製造時に製造者によって行われてもよいし、ユーザへの納品時等に業者等によって行われてもよいし、ユーザ自身が行ってもよい。
【0056】
以上説明したように、実施例1の細隙灯顕微鏡100は、被検者の被検眼Eに照明光を照射する照明系30、及び被検眼Eからの戻り光を観察する観察系40を有する本体部10と、本体部10に着脱自在に取り付けられる撮像ユニット60と、を備える。撮像ユニット60は、被検眼Eの画像を取得する撮像部61と、被検眼Eに照明光とは異なる特定光(背景光)を照射する特定光照射系(背景照明系80)と、を有する。
【0057】
このように、撮像ユニット60が、本体部10に対して着脱自在であることから、実施例1の細隙灯顕微鏡100は、ユーザの要望や使用目的に応じて、
図2Aに示されるように、撮像ユニット60を設けない構成とされることもできるし、
図2Bに示されるように、撮像ユニット60を設けた構成とされることもできる。また、撮像ユニット60を着脱することで、撮像部61とセットで使用される背景照明系80を、観察系40等の他の部材の構成を変更することなく、着脱することができる。このため、実施例1の細隙灯顕微鏡100は、背景光(特定光)を照射する背景照明系80(特定光照射系)を容易かつ選択的に取り付けることが可能となる。
【0058】
また、実施例1の本体部10は、観察系40を支持する第2支持アーム14cを備え、撮像ユニット60は、第2支持アーム14cに着脱自在に設けられる。この構成により、作業者は、撮像ユニット60の着脱を、より容易に行うことができる。
【0059】
また、実施例1の観察系40は、第2支持アーム14cの上部に取り付けられており、被検眼Eに対峙させる対物レンズ43と、検者の検者眼eに対峙させる接眼レンズ45aとを有する。背景照明系80(特定光照射系)は、第2支持アーム14cの被検者に対峙する側であって対物レンズ43の下方に配置される。この構成により、背景照明系80は、被検眼Eに対して、その下方から背景光を適切に照射することができる。よって、背景光を用いた被検眼Eの観察や撮影が、より適切に行われるとともに、背景光が可視光であっても、被検者は眩しさを感じにくくなる。
【0060】
また、従来の眼科装置では、背景照明系の電源ケーブル、撮像部の通信ケーブル等の配線は、眼科装置の外から電源部や外部装置に接続され、外部に露出していた。このため、眼科装置の見栄えが悪く、本体部を前後左右に移動する際に、配線が邪魔になる場合があった。
【0061】
これに対して、実施例1の細隙灯顕微鏡100は、電力を供給する電源部20を備え、第2支持アーム14cは、第1~第4電源ケーブルw1~w4等の配線を収容する収容空間14fを有する。そして、撮像ユニット60は、収容空間14fに収容された配線によって電源部20と接続されている。また、実施例1では、撮像部61で撮影した画像を外部装置であるPC2に出力する通信ケーブルu1も、収容空間14f内を通ってPC2に接続されている。この構成により、実施例1の細隙灯顕微鏡100は、配線が第2支持アーム14cの収容空間14f内に収容されて、外部に露出することがない。よって、実施例1の細隙灯顕微鏡100は、配線の収容性が向上し、見栄えが向上し、かつ、操作性に優れるものとなる。
【0062】
また、実施例1の第2支持アーム14cは、撮像部61からの第1電源ケーブル(第1の配線)w1及び背景照明系80からの第2電源ケーブル(第2の配線)w2が接続される中継基板14gを収容空間14f内に有する。中継基板14gは、本体部10内に収容された第3電源ケーブルw3(第3の配線)、さらには制御装置50及び第5電源ケーブルw5によって電源部20と接続されている。このため、作業者は、撮像ユニット60を本体部10に取り付ける際に、撮像部61から延びる第2電源ケーブルw2と背景照明系80から延びる第3電源ケーブルw3を、中継基板14gに接続するだけで、配線の設置を行うことができ、作業性が向上する。また、第3の配線は本体部10内に収容されているため、外部に露出することなく、見栄えや操作性に影響することがない。
【0063】
ここで、従来の眼科装置は、背景照明系が被検者に対峙する側に配置されることから、背景光の点灯等のための操作部も被検者側に配置されていたため、検者は操作部を操作しにくかった。これに対して、実施例1の撮像部61は、第2支持アーム14cの検者に対峙する側に配置され、撮像部61の検者に対峙する側に、背景照明系80の背景光切替部67(操作部)が設けられている。このため、検者は背景光切替部67を容易に操作することができ、背景光の点灯、消灯、切り替え及び明るさの調整を、より適切に行うことができる。
【0064】
さらに、実施例1の撮像部61は、観察系40の光路内に配置されて戻り光の一部を観察系40の光路外に偏向する撮像部偏向光学部材63と、撮像部偏向光学部材63によって偏向された戻り光を受光する撮像素子65と、を有する。この構成により、撮像素子65は、検者が観察しているものと同様の被検眼Eの画像を撮影することができる。また、撮像ユニット60が本体部10に着脱されることで、撮像部偏向光学部材63も観察系40の光路から着脱される。このため、観察系40の観察光学系42の構成を変更する必要がなく、この光路内への撮像部偏向光学部材63の配置によって、戻り光を撮像素子65に向けて偏向することができる。
【0065】
また、実施例1の特定光照射系である背景照明系80は、特定光として背景光を照射し、この背景光として可視光及び赤外光の少なくとも一方を被検眼Eに照射する。この構成により、検者は、可視光によってスリット光で照射された部位の周囲の観察や撮影をしたり、赤外光によってマイボーム腺の観察や撮影をしたりすることができる。
【0066】
また、実施例1の撮像ユニット60は、検者に対峙する側に、背景照明系80から照射される背景光の色に応じて異なる態様で発光する発光部70を有する。この構成により、検者は、背景照明系80から照射されている背景光が、可視光か、赤外光か等を、容易に把握でき、被検眼Eの観察や撮影をより適切に行うことができる。
【0067】
(実施例2)
本開示の眼科装置に係る実施例2の細隙灯顕微鏡100は、
図5及び
図6を参照して、以下のように説明される。実施例2の細隙灯顕微鏡100Aは、いわゆるHaag式(Goldmann式)の細隙灯顕微鏡であり、照明系30が観察系40の上方に配置された構成であること以外は、実施例1の細隙灯顕微鏡100と、同じ基本構成を備える。このため、実施例2の細隙灯顕微鏡100Aは、実施例1の細隙灯顕微鏡100と同じ構成には、実施例1と同様の符号が付され、詳細な説明は省略される。
【0068】
実施例2の細隙灯顕微鏡100Aは、
図5及び
図6に示されるように、本体部10と、電源部20とを主に備える。本体部10は、照明系30と、観察系40と、制御装置50と、光学台1の上面に固定された基部11と、架台部12と、移動機構13と、支持部14と、顔支持部15と、を主に備える。
【0069】
照明系30は、第1支持アーム14bの上部であって、観察系40よりも上方に取り付けられている。観察系40は、内部に収容空間14fを有する第2支持アーム14cの上部に取り付けられている。
【0070】
撮像ユニット60は、撮像部61と、可視光及び赤外光を選択的に照射する背景照明系80とを主に備え、本体部10の第2支持アーム14cに着脱自在に取り付けられる。
図5及び
図6では、第2支持アーム14cに撮像ユニット60が取り付けられた状態を示しているが、実施例2でも、撮像ユニット60を取り外して使用することができる。
【0071】
撮像部61は、第2支持アーム14cの検者に対峙する側(後側)に取り付けられる。背景照明系80は、第2支持アーム14cの被検者に対峙する側(前方)あって観察系40の対物レンズ43の下方に設けられた取付部14hに取り付けられる。撮像部ハウジング62は、検者側に背景光切替部67と発光部70とが設けられている。
【0072】
撮像部61及び背景照明系80は、各々収容空間14f内に収容された第1電源ケーブルw1及び第2電源ケーブルw2によって中継基板14gと接続されている。中継基板14gは、収容空間14f及び架台部12内に収容された第3電源ケーブルw3によって制御装置50と接続されている。撮像素子65は、収容空間14f及び架台部12内に収容された通信ケーブルu1によってPC2と接続されている。
【0073】
実施例2の細隙灯顕微鏡100Aでも、上述した実施例1の細隙灯顕微鏡100と同様の作用効果を奏することができる。また、実施例2の細隙灯顕微鏡100Aは、実施例1と同様に撮像部61及び背景照明系80を備える撮像ユニット60が、本体部10に着脱自在に設けられていることから、背景光(特定光)を照射する背景照明系80(特定光照射系)を容易かつ選択的に取り付けることが可能となる。
【0074】
以上、本開示の眼科装置を実施例1及び実施例2に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0075】
上記各実施例の眼科装置は、細隙灯顕微鏡であるが、本開示が適用される眼科装置は、細隙灯顕微鏡に限定されない。例えば、眼科装置は、外科手術用顕微鏡であってもよい。また、これら以外にも、本開示は、照明光とは異なる特定光を用いて被検眼の観察や撮影を行う眼科装置に適用することができる。この場合、特定光照射系が、背景光を照射する構成に限定されず、観察用の照明光と波長、照明範囲等が異なる第2の照明光を照射する構成でもよい。
【0076】
また、上記各実施例の発光部70は、撮像部ハウジング62内のLED基板66のLED光源であり、表示窓71を介して背景光に応じて発光しているが、この構成に限定されない。例えば、発光部70は、可視光最大位置72及び赤外光最大位置73に付された「BG」及び「IR」の文字の裏面にも設けられ、背景光切替部67の操作に応じて、これらの文字を所定の色や態様で発光させる構成としてもよい。または、発光部70は、背景光切替部67内であってマーカ67a部分に設けられ、背景光切替部67の操作に応じて、マーカ67aを所定の色や態様で発光させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 :本体部 14c :第2支持アーム(支持アーム)
14f :収容空間 14g :中継基板
20 :電源部 30 :照明系
40 :観察系 43 :対物レンズ
45a :接眼レンズ 60 :撮像ユニット
61 :撮像部 63 :撮像部偏向光学部材)
65 :撮像素子 70 :発光部
80 :背景照明系(特定光照射系)
E :被検眼 e :検者眼
u1 :通信ケーブル(配線) w1 :第1電源ケーブル(配線)
w2 :第2電源ケーブル(配線) w3 :第3電源ケーブル(配線)
w4 :第4電源ケーブル(配線)