(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174556
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】容器処理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20241210BHJP
B65B 43/46 20060101ALI20241210BHJP
B65B 43/54 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65G54/02
B65B43/46 Z
B65B43/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092441
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】奥畑 峻
【テーマコード(参考)】
3E030
3F021
【Fターム(参考)】
3E030AA01
3E030DA01
3E030EA01
3E030EB01
3E030GA04
3F021AA07
3F021BA02
3F021CA04
3F021CA06
3F021DA08
(57)【要約】
【課題】 浮上型リニアによって容器を搬送しつつ、当該容器への処理を可能とする。
【解決手段】 水平面内において前後左右に複数配置された固定子11と、当該固定子11の上部に形成された平坦な搬送面Cと、コイルとの間で磁力によって上記搬送面Cを浮上しながら移動する可動子12と、上記容器2に対して処理を行う処理手段(充填手段5、キャッピング手段6)とを備えた容器処理システム1に関する。
上記可動子12に上記容器2を把持するグリッパ13を設けるとともに、当該グリッパ13が上記容器2を上記可動子12の外側で保持するように設け、
上記搬送面Cに隣接した位置に、上記容器2を下方から支持する支持プレート43を設けるとともに、上記処理手段を当該支持プレート43上の容器2に対して処理を行うように設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを備えるとともに、水平面内において前後左右に複数配置された固定子と、当該固定子の上部に形成された平坦な搬送面と、容器を保持するとともに、上記固定子のコイルとの間で磁力によって上記搬送面を浮上しながら移動する可動子と、上記容器に対して処理を行う処理手段と、上記可動子の移動を制御する制御手段とを備えた容器処理システムにおいて、
上記可動子に上記容器を保持するグリッパを設けるとともに、当該グリッパが上記容器を上記可動子の外側で保持するように設け、
上記搬送面に隣接した位置に、上記容器を下方から支持する支持プレートを設けるとともに、上記処理手段は当該支持プレート上の容器に対して処理を行うように設けられ、
上記制御手段により上記可動子が上記支持プレートに隣接した処理位置まで移動され、上記グリッパによって保持された容器が上記支持プレート上に位置されると、上記容器処理手段により当該容器に対して処理が行われることを特徴とする容器処理システム。
【請求項2】
上記グリッパは、上記可動子に設けられるとともに開閉可能に設けられた一対のグリップ片を備え、
上記処理位置に隣接した位置に、上記可動子に設けられた上記グリップ片を開閉させる開閉手段を設け、
上記制御手段により上記可動子が上記処理位置に移動され、上記グリップ片によって保持された容器が上記支持プレート上に位置されると、上記開閉手段により上記グリップ片を開放させることを特徴とする請求項1に記載の容器処理システム。
【請求項3】
上記グリッパは、上記可動子に設けられて上記グリップ片を常時閉鎖方向に付勢する付勢手段と、上記グリップ片を接離させるリンク機構とを備え、
上記開閉手段は、上記可動子が上記処理位置に位置されると、上記リンク機構を作動させて上記グリップ片を開放させるプッシャを備えていることを特徴とする請求項2に記載の容器処理システム。
【請求項4】
上記可動子に係合部材を設けるとともに、上記開閉手段に上記係合部材と係合するストッパを設け、
上記制御手段により上記可動子が上記処理位置に位置されると、上記可動子の係合部材と上記開閉手段のストッパとが係合し、その状態で上記プッシャによって上記リンク機構を作動させてグリッパを開閉させることを特徴とする請求項3に記載の容器処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器処理システムに関し、詳しくはいわゆる浮上型リニアによって搬送した容器に処理手段が処理を行うように構成された容器処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる浮上型リニアによって物品を搬送し、処理手段が当該物品に対して処理を行うように構成された物品処理システムが知られている(特許文献1)。
上記特許文献1では、コイルを備えるとともに、水平面内において前後左右に複数配置された固定子(ステーター6)の上部に搬送面を形成し、当該搬送面の上部を製品3を保持した可動子(運搬ユニット4)が浮上した状態で移動することにより、当該製品3を所要の処理手段へと移動させるようになっている。
また特許文献1では、上記処理手段は可動子の上部に保持された製品に対して処理を行うように構成されているため、上記可動子の損傷を防止するために搬送面の上部に台座部材16を設置し、可動子を当該台座部材によって支持した状態で処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように搬送面の上部に設けた台座部材によって可動子を下方から支持した状態で処理を行う場合、上記製品としての容器に液体の充填やキャッピングを行うようにすると、以下のような課題が生じる。
例えば、充填する液体の重量を計測しながら充填する重量充填を行う場合、固定子に重量計を設けることができず、また容器にキャップを打栓する場合には、容器に対して上方から荷重を作用させる必要があるため、上記台座部材では固定子の変形を防止できないという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は浮上型リニアによって容器を搬送しつつ、当該容器への処理が可能な容器処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような問題に鑑み、請求項1の発明にかかる容器処理システムは、コイルを備えるとともに、水平面内において前後左右に複数配置された固定子と、当該固定子の上部に形成された平坦な搬送面と、容器を保持するとともに、上記固定子のコイルとの間で磁力によって上記搬送面を浮上しながら移動する可動子と、上記容器に対して処理を行う処理手段と、上記可動子の移動を制御する制御手段とを備えた容器処理システムにおいて、
上記可動子に上記容器を保持するグリッパを設けるとともに、当該グリッパが上記容器を上記可動子の外側で保持するように設け、
上記搬送面に隣接した位置に、上記容器を下方から支持する支持プレートを設けるとともに、上記処理手段は当該支持プレート上の容器に対して処理を行うように設けられ、
上記制御手段により上記可動子が上記支持プレートに隣接した処理位置まで移動され、上記グリッパによって保持された容器が上記支持プレート上に位置されると、上記容器処理手段により当該容器に対して処理が行われることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、グリッパが可動子の外側で容器を保持し、そして処理手段が容器に対して処理を行う際には、当該容器を搬送面に隣接して設けた支持プレートに載置するようになっている。
その結果、上記処理手段による処理を固定子の上部で行う必要がなくなるため、支持部プレートの下方に重量計を設けたり、支持プレート上の容器に対して上方からキャップを押圧して装着するといった処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】他の実施形態における固定子、可動子、グリッパの側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施形態について説明すると、
図1は本発明にかかる容器処理システム1の平面図を示し、当該容器処理システム1では異なる4種類の容器2に対してそれぞれ異なる液体を充填し、また異なる形状のキャップ2a(
図2(c)参照)を装着することが可能となっている。
容器処理システム1は、いわゆる浮上型リニアによって容器2を搬送する搬送手段3と、空の容器2を供給する供給手段4と、容器2に液体を充填する処理手段としての4台の充填手段5と、容器2にキャップ2aを装着する処理手段としての4台のキャッピング手段6と、キャップ2aの装着された容器2を排出する排出手段7とを備え、これらはコンピュータなどからなる制御手段8によって制御されるようになっている。
本実施形態で処理する4種類の容器2は、詳細な説明については省略するが色やデザインが異なっており、また各容器2には異なる種類の液体が充填されるようになっている。また各容器2にはそれぞれ色やデザインが異なるキャップ2aが装着されるようになっている。
【0009】
上記搬送手段3は、水平面内において前後左右に複数配置された固定子11と、上記固定子11のコイルとの間で磁力によって移動する可動子12と、当該可動子12に設けられて上記容器2を把持するグリッパ13と、上記充填手段5やキャッピング手段6による処理位置に隣接した位置に設けられて上記グリッパ13を開閉させる開閉手段14とを備えている。
上記固定子11は平面視において正方形を有した直方体形状を有するハウジングと、当該ハウジングの内部に設けられた複数の図示しないコイルとから構成されており、各コイルは上記制御手段8によって個別に制御されるようになっている。
各固定子11のハウジングの上面は平坦に加工されており、これら上記固定子11を水平面内において前後左右に連結することにより、上記可動子12が移動可能な搬送面Cが形成されるようになっている。
図1では、上記搬送面Cについて、一つの固定子11を白色の正方形で示しており、ハッチングにて示した部分は上記開閉手段14を保持するための支持台15を示している。
そして上記搬送手段3には、図示下方側に位置して上記供給手段4から容器2を受け取る供給ステーションS1、図示左方に位置して上記充填手段5が液体を充填する充填ステーションS2、図示中央に位置して上記キャッピング手段6がキャップ2aを装着するキャッピングステーションS3、図示右方に位置して上記排出手段7に容器2を排出する排出ステーションS4が設定されている。
【0010】
上記可動子12は略長方形の板状を有しており、その底面は平坦に加工されるとともに、内部には図示しない永久磁石が設けられている。
上記可動子12は上記固定子11の搬送面C上に複数配置され、この状態で上記制御手段8が固定子11のコイルを制御することにより、
図2(a)に示すように磁力によって可動子12を上記搬送面Cから5mm程度浮上させるようになっている。
また制御手段8が可動子12のコイルを制御することにより、浮上した可動子12を水平方向に前後左右に移動させることができ、またその場で旋回させることが可能となっている。
一方、
図2(b)(c)に示すように、充填手段5やキャッピング手段6において容器2への処理を行う際には、上記可動子12をこれらの処理手段に隣接した処理位置に移動させた後、搬送面Cに接地させるようになっている。
【0011】
図3は上記グリッパ13を説明する図となっており、
図3(a)はグリッパ13が容器2を保持した状態を、(b)はグリッパ13が容器2を開放した状態を、(c)はグリッパ13が閉鎖した状態をそれぞれ示している。
上記グリッパ13は各可動子12に設けられており、開閉可能に設けられた一対の第1、第2グリップ片21A、21Bと、当該第1、第2グリップ片21A、21Bを移動可能に支持する第1、第2支持部材22A、22Bと、上記第1、第2グリップ片21A、21Bを常時閉鎖方向に付勢する付勢手段としての第1、第2バネ23A、23Bと、上記第1、第2グリップ片21A、21Bを接離させるリンク機構24とから構成されている。
図3において、第1グリップ片21Aは図示上方に位置し、第2グリップ片21Bは図示下方に位置しており、また上記第1、第2グリップ片21A、21Bにおいて、容器2を保持する先端部は上記可動子12の平面視外側に位置している。これにより、第1、第2グリップ片21A、21Bは可動子12の外側で容器2を保持するようになっている。
上記第1、第2支持部材22A、22Bは上記可動子12に固定されるとともに、上記第1、第2グリップ片21A、21Bを挟んだ位置に設けられており、本実施形態において、第1支持部材22Aは図示下方に位置し、第2支持部材22Bは図示上方に位置している。
上記第1支持部材22Aと第2支持部材22Bとの間には2本のガイドロッド25が設けられており、上記第1、第2グリップ片21A、21Bには上記ガイドロッド25が貫通する2つの貫通穴が穿設されている。これにより、第1、第2グリップ片21A、21Bはガイドロッド25に沿って平行に移動しながら接離することが可能となっている。
【0012】
上記第1バネ23Aは上記第1グリップ片21Aと第1支持部材22Aとの間に弾装され、第2バネ23Bは第2グリップ片21Bと第2支持部材22Bとの間に弾装されている。
そして、上記第1バネ23Aは上記第2グリップ片21Bを貫通するように設けられており、これと同様、第2バネ23Bは上記第1グリップ片21Aを貫通するように設けられている。
このような構成により、図示上方に位置する第1グリップ片21Aは上記第1バネ23Aによって図示下方に付勢され、図示下方に位置する第2グリップ片21Bは上記第2バネ23Bによって図示上方に付勢され、第1、第2グリップ片21A、21Bは常時接近する方向に付勢されている。
上記構成により、
図3(a)に示すように、当該第1、第2バネ23A、23Bの付勢力によって上記容器2を第1、第2グリップ片21A、21Bによって挟持することができ、
図3(c)に示すように、容器2が位置していない場合には、第1、第2グリップ片21A、21Bが相互に密着した閉鎖状態に維持されるようになっている。
【0013】
上記リンク機構24は、上記第1、第2グリップ片21A、21Bの後端部に設けられた略L字型を有する第1、第2アーム24A、24Bと、当該第1、第2アーム24A、24Bの端部に設けられたローラRとから構成されている。
上記第1、第2アーム24A、24Bの一端は、それぞれ上記第1、第2グリップ片21A、21Bの後端部に揺動可能に連結され、中間の屈曲部も上記可動子12に設けられた回転軸26を介して揺動可能に設けられている。そして、第1、第2アーム24A、24Bの他端部は重合して設けられるとともに、上記ローラRが回転可能に連結されている。
このような構成により、
図3(c)に示すように第1、第2グリップ片21A、21Bが上記第1、第2バネ23A、23Bの付勢力によって閉鎖状態となっている場合、上記第1、第2アーム24A、24Bが上記回転軸26を中心に回転し、上記ローラRが図示右方に示す後退位置に位置するようになっている。
これに対し、
図3(b)に示すようにローラRが後述するプッシャ34によって押圧されて図示左方の前進位置まで移動すると、上記第1、第2アーム24A、24Bが上記回転軸26を中心に回転し、上記第1、第2バネ23A、23Bの付勢力に抗して第1、第2グリップ片21A、21Bが離隔した開放状態となる。
【0014】
上記開閉手段14は、上記供給手段4、各充填手段5、各キャッピング手段6、排出手段7に隣接して設けられた支持台15の上部に設けられており、上記支持台15に配置された昇降用エアシリンダ32と、昇降用エアシリンダ32に取り付けられたベース部材31と、ベース部材31の上面に固定された水平移動用エアシリンダ33と、当該水平移動用エアシリンダ33によって進退動するプッシャ34とを備えている。
上記ベース部材31は、
図4に示すように上記昇降用エアシリンダ32によって上下に昇降するようになっており、また
図3(b)(c)に示すように、ベース部材31には2組の水平移動用エアシリンダ33およびプッシャ34が設けられている。
上記昇降用エアシリンダ32は、プッシャ34を作動させない待機状態のときは
図4(a)に示すようにベース部材31を上昇させており、プッシャ34を作動させる際には、
図4(b)(c)に示すようにベース部材31を下降させて、プッシャ34を上記可動子12に設けられたグリッパ13のローラRの高さに合わせるようにしている。
上記プッシャ34は水平移動用エアシリンダ33によって水平方向に進退動し、通常は
図4(a)に示すように上昇しているベース部材31上において、閉鎖状態のグリッパ13のリンク機構24のローラRよりもさらに後方で待機している。
この状態から第1、第2グリップ片21A、21Bを開放させるには、上記制御手段8が
図4(b)に示すように昇降用エアシリンダ32がベース部材31を下降させ、続いて
図4(c)に示すように水平移動用エアシリンダ33によってプッシャ34を前進させる。
これにより、プッシャ34が上記ローラRを前進位置まで押圧し、上記リンク機構24によって第1、第2グリップ片21A、21Bが開放されるようになっている。
【0015】
ここで本実施形態のグリッパ13は、上記プッシャ34によってローラRを押圧して第1、第2グリップ片21A、21Bを開放させる必要があることから、第1、第2グリップ片21A、21Bの開閉動作の際に可動子12が移動しないように保持する必要がある。
そこで本実施形態では、上記可動子12に係合部材27を設けるとともに、上記開閉手段14のベース部材31にストッパ31aを設けて、上記可動子12の係合部材27と上記開閉手段14のストッパ31aとを係合させるようになっている。
具体的に説明すると、
図4に示すように上記係合部材27は可動子12の後部に設けられた断面略L字型の部材となっており、これに対し、上記ストッパ31aは上記ベース部材31の先端部から下方に向けて折り曲げられたフランジ状の部分となっている。
上記可動子12が処理位置に到達すると、
図4(b)に示すように、制御手段8は上記昇降用エアシリンダ32が上記ベース部材31を下降させて、ストッパ31aを上記可動子12の係合部材27と係合可能な高さに位置させる。
その状態で、
図4(c)に示すように水平移動用エアシリンダ33がプッシャ34を前進させてリンク機構24のローラRを前方に押圧すると、係合部材27とストッパ31aとが係合していることから、可動子12の前方への移動が阻止され、ローラRを前進させてグリップ片21を開閉することができる。
なお、昇降用エアシリンダ32を設けずにベース部材31の高さを固定しても良く、制御手段8が上記可動子12の移動を制御して、上記可動子12の係合部材27を上記ストッパ31aに係合させるようにしてもよい。
ただし、本実施形態のようにベース部材31を昇降用エアシリンダ32によって昇降可能とし、グリッパ13を開閉させないときにはベース部材31を上方に退避させるようにすることで、可動子12が開閉手段14の近傍を通過する際に、可動子12の係合部材27と開閉手段14のストッパ31aとの衝突を回避することができる。
また本実施形態に代えて、上記可動子12の前方から当接するストッパを設けて、プッシャ34によって押圧された可動子12の前進を当該ストッパにより阻止する構成としてもよい。
その他、上記固定子11のコイルによる磁力を増せば、可動子12が浮上したままであっても、プッシャ34の押圧によって可動子12が移動しないようにすることも可能である。
【0016】
上記供給手段4は上記搬送手段3の供給ステーションS1に設けられており、4種類の空の容器2を搬送する4列のコンベヤ41a~41dと、当該コンベヤ41a~41dの容器2を上記搬送手段3の各可動子12に受け渡すロボット42とから構成されている。
上記ロボット42は上記制御手段8の制御に応じて、4つのコンベヤ41a~41dのうち、いずれかのコンベヤ41a~41dから容器2を取り出して、これを上記搬送手段3の可動子12に受け渡すようになっている。
供給ステーションS1には上記可動子12のグリッパ13を開閉するための上記開閉手段14が設けられており、本実施形態においては開閉手段14に隣接した位置に2つの可動子12が位置すると、2つのグリッパ13を同時に開閉させて2つの容器2を同時に受け渡すことが可能となっている。
【0017】
上記充填手段5は上記充填ステーションS2に設けられており、上記搬送面Cとしては上記可動子12の移動が阻害されない程度に広く設定された略長方形の領域が設定され、上記充填手段5は上記略長方形の領域の4隅に配置されている。
図2(b)は充填ステーションS2の側面図を示しており、充填手段5の設けられた位置には、上記開閉手段14が設けられるとともに、搬送面Cの外側には、上記充填手段5が容器2に処理を行うための支持プレート43が設けられている。
上記充填手段5は従来公知であるため、詳細な説明については省略するが、液体を排出する充填ノズル5aは上記支持プレート43の上方に設けられており、図示しない昇降手段によって昇降することで容器2の内部に挿入されるようになっている。
そして上記支持プレート43は、上記搬送面Cの平面視の外側、すなわち上記固定子11とは異なる位置に設けられており、充填ステーションS2において、上記支持プレート43は充填手段5を構成する重量計5bの上部に設けられている。
容器2に液体を充填する際、上記グリッパ13は上記開閉手段14によって開放状態とされて容器2を上記支持プレート43上に載置し、その状態で充填ノズル5aから液体を充填するようになっている。
また充填手段5では、充填ノズル5aから排出された液体の重量を上記重量計5bによって計測しながら充填するようになっており、液体の重量によって充填量を制御する重量充填方式を採用したものとなっている。
なお、充填手段5として、液体の流量を計測しながら充填する流量充填方式を採用してもよい。この場合、上記支持プレート43には重量計5bは不要となるが、所要の手段によって搬送面Cの外側に支持プレート43を固定すればよい。
【0018】
上記キャッピング手段6はキャッピングステーションS3に設けられており、充填ステーションS2と同様、上記搬送面Cは上記可動子12の移動が阻害されない程度に広く設定された略長方形の領域の4隅に配置されている。
図2(c)はキャッピングステーションS3の側面図を示しており、キャッピング手段6の近傍の搬送面Cに隣接した位置には、開閉手段14および支持プレート43が設けられており、上記支持プレート43は図示しない支持手段によって固定され、容器2の底面を支持する支持面は上記搬送面Cと同じ高さに設けられている。
上記キャッピング手段6は従来公知であるため、詳細な説明については省略するが、当該キャッピング手段6を構成するキャッピングヘッド6aは上記支持プレート43の上方に設けられ、図示しない昇降手段によって昇降するようになっている。
容器2にキャップ2aを装着する際には、上記グリッパ13は上記開閉手段14によって開放状態とされ、容器2を上記支持プレート43上に載置した状態でキャップ2aを装着するようになっている。
ここで、容器2を支持プレート43上で開放した状態で、上記キャッピングヘッド6aが保持したキャップ2aと容器2とのセンタリングを行い、その後キャッピングヘッド6aを下降させるようになっている。
また本実施形態のキャッピング手段6は、キャッピングヘッド6aがキャップ2aを上方から押圧することで装着する打栓方式を採用しているが、そのほか、キャップ2aを容器2の口部に螺合させるスクリュー方式を採用してもよい。その場合は、キャッピング手段6に容器2を把持する把持手段を設けて容器2を把持した状態でキャップ2aを容器2に巻き締めする。
【0019】
上記排出手段7は搬送手段3の上記排出ステーションS4に隣接した位置に設けられており、搬送面Cに隣接した位置に4つのコンベヤ7a~7dを備えるとともに、当該コンベヤ7a~7dに対応した位置には上記開閉手段14が設けられている。
4つのコンベヤ7a~7dの上流側の端部は上記搬送手段3の搬送面Cに隣接した位置に設けられており、上記搬送手段3の可動子12は、保持した容器2に対応するコンベヤ7a~7dに隣接した位置に移動されるようになっている。
その際、上記可動子12は上記グリッパ13を上記搬送面Cの外側に位置させた状態で可動子12を接地させ、当該グリッパ13に保持された容器2を上記コンベヤ7a~7dの上流側の端部に載置する。その状態で開閉手段14がグリッパ13を開放させると、容器2がコンベヤ7a~7dによって搬送されるようになっている。
【0020】
以下、上記構成を有する容器処理システム1の動作について説明すると、最初に、上記供給手段4の4つのコンベヤ41a~41dにはそれぞれ異なる種類の空の容器2が、上記4つの充填手段5には異なる種類の液体が、4つのキャッピング手段6には異なる種類のキャップ2aが、それぞれ準備されている。
また上記搬送手段3には複数の可動子12が配置されており、また制御手段8には、あらかじめ設定した順序で異なる4種類の容器2に対する処理が行われるように登録がされている。
つまり本実施形態の容器処理システム1は、1種類の容器2に対して連続して処理を行わず、最大で4種類の容器2を同時に処理することが可能となっている。
【0021】
まず、制御手段8は上記搬送手段3を制御して、可動子12を2つ一組として上記供給ステーションS1へと移動させる。このとき、可動子12は
図1の図示右方から供給ステーションS1へと接近するが、可動子12に設けられたグリッパ13は進行方向(図示左方)を向いている。
その後、可動子12が供給ステーションS1に接近し、可動子12を90°回転させてから開閉手段14まで移動させ、上記可動子12の係合部材27を開閉手段14のストッパ31aに下方に位置させてから、可動子12を降下させて搬送面Cに接地させる。
続いて、開閉手段14の上記昇降用エアシリンダ32がベース部材31を下降させることにより、上記可動子12の係合部材27と開閉手段14のストッパ31aとを係合させ、その状態で水平移動用シリンダ33がプッシャ34を前進させ、可動子12のグリッパ13を開放状態とする。
すると、ロボット42が所要のコンベヤ41a~41dから取り出した容器2を第1グリップ片21Aと第2グリップ片21Bとの間に載置する。このとき、容器2は固定子11の上部に載置される。
上記開閉手段14が作動してグリッパ13が閉鎖されると、容器2がグリッパ13によって保持され、その状態で固定子11が可動子12を浮上させることにより、上記容器2も搬送面Cに対して浮上することとなる。
そして制御手段8は、可動子12を供給ステーションS1から図示左方へと移動させて開閉手段14から離脱させ、さらに供給ステーションS1から上記充填ステーションS2へと移動させる。
【0022】
上記充填ステーションS2では、上記可動子12が保持した容器2に応じて、当該可動子12が対応する充填手段5へと移動される。上記2つの可動子12は同じ種類の容器2を保持しており、これら2つの可動子12を一組として所要の充填手段5に移動させるようになっている。
可動子12が充填手段5に隣接した開閉手段14に接近し、保持している容器2を上記搬送面Cの外側に位置した支持プレート43上に位置させた処理位置に到達すると、可動子12が降下して搬送面Cに接地する。
これにより、
図2(b)に示すように保持している容器2が支持プレート43上に載置され、続いて昇降用エアシリンダ32を作動させてベース部材31を下降させることにより、上記可動子12の係合部材27と開閉手段14のストッパ31aとを係合させる。
次に、水平移動用エアシリンダ33を作動させてプッシャ34を前進させることにより、リンク機構24のローラRを押圧して上記可動子12のグリッパ13が開放されると、上記容器2はグリッパ13から解放されて支持プレート43のみで支持された状態となり、この状態で充填手段5が充填ノズル5aを用いて液体の充填を行う。
容器2に液体が充填されると、上記支持プレート43を支持する重量計5bが充填された液体の重量を計測し、所定重量の液体が充填されると充填ノズル5aからの液体の供給が終了する。
その後、水平移動用エアシリンダ33を作動させてプッシャ34を後退させ、可動子12のグリッパ13が容器2を保持すると、昇降用エアシリンダ32がベース部材31を上昇させることにより、係合部材27とストッパ31aの係合を解除させ、その後可動子12を浮上させて充填ステーションS2からキャッピングステーションS3へと移動させる。
【0023】
上記キャッピングステーションS3では、制御手段8は上記可動子12に保持された容器2に応じて、当該可動子12を対応するキャッピング手段6へと移動させる。この場合も同じ種類の容器2を保持した2つの可動子12を一組として所要のキャッピング手段6に移動させる。
可動子12がキャッピング手段6に隣接した開閉手段14に接近し、保持している容器2を上記搬送面Cの外側に位置した支持プレート43上に位置させた処理位置に到達すると、上記充填ステーションS2と同様に可動子12を降下させて搬送面Cに接地させる。
これにより、
図2(b)に示すように保持している容器2が支持プレート43上に載置され、続いて昇降用エアシリンダ32がベース部材31を下降させることにより、上記可動子12の係合部材27と開閉手段14のストッパ31aとが係合する。
次に、水平移動用エアシリンダ33を作動させてプッシャ34を前進させることにより、リンク機構24のローラRを押圧して上記可動子12のグリッパ13が開放されると、上記容器2はグリッパ13から解放されて支持プレート43のみで支持された状態となる。
この状態でキャッピング手段6に設けられた図示しないセンタリング手段が容器2の中心とキャッピングヘッド6aのキャップ2aの中心とを一致させ、その状態でキャッピングヘッド6aが下降して容器2にキャップ2aを装着する。
その後、上記開閉手段14によって可動子12のグリッパ13により容器2を保持させ、さらにベース部材31を上昇させた後に可動子12を浮上させてから、当該可動子12を開閉手段14より離脱させるとともに、キャッピングステーションS3から排出ステーションS4へと移動させる。
【0024】
上記排出ステーションS4では、制御手段8は上記可動子12に保持された容器2の種類に応じて、当該可動子12を対応するコンベヤ7a~7dのいずれかへと移動させる。そのため排出ステーションS4では、可動子12を一つずつコンベヤ7a~7dに隣接した位置に移動させる。
可動子12が対応するコンベヤ7a~7dに隣接した開閉手段14に接近し、保持する容器2をコンベヤ7a~7dのいずれかの上方に位置させる処理位置に到達すると、上記可動子12を下降させて搬送面Cに設置させるとともに、保持している容器2をコンベヤ7a~7dのいずれか1つの上流側の端部に載置する。
続いて、昇降用エアシリンダ32を作動させてベース部材31を下降させ、可動子12の係合部材27と開閉手段14のストッパ31aとを係合させると、水平移動用エアシリンダ33によりプッシャ34を前進させて、リンク機構24のローラRを押圧して上記可動子12のグリッパ13を開放させる。
これにより、上記可動子12に保持された容器2はグリッパ13から解放されてコンベヤ7a~7dのいずれか1つのコンベヤによって搬送される。
その後、上記開閉手段14によって可動子12のグリッパ13を閉鎖させ、さらにベース部材31を上昇させて係合部27とストッパ32aとの係合を解除してから、可動子12を浮上させて供給ステーションS1へと移動させる。
【0025】
以上のように、本実施形態の容器処理システム1では、固定子11を水平面内において前後左右に設けてその上面を搬送面Cとすることで、上記可動子12によって容器2を搬送する、いわゆる浮上式リニアによる搬送が可能となっている。
しかしながら、上記可動子12にはコイルが内蔵されており、また荷重や衝撃によってハウジングが変形する恐れがあるため、重量充填による液体の充填や、打栓による容器2の装着は困難となっていた。
そこで本実施形態では、搬送面Cに隣接した位置に上記容器2を支持可能な支持プレート43を設けて、当該支持プレート43上で容器2の処理を行うようにしたことで、支持プレート43の下方に重量計5bを設けたり、容器2に対して荷重が作用するような処理を行うことが可能となった。
【0026】
なお上記実施形態においては、上記可動子12に設けたグリッパ13によって容器2を保持してから、当該可動子12を浮上させることにより、容器2を搬送面Cから浮上させた状態で搬送している。
これに対し、
図5に示すように容器2を搬送面Cに接触した状態で搬送するようにしてもよい。この場合においては、上記固定子11の表面に厚さ1mm程度の滑り部材44を設けて当該滑り部材44の上面を搬送面Cにすることができる。
このような構成の場合、可動子12は浮上した状態で移動するものの、容器2については上記滑り部材44の上面を摺動しながら移動するため、例えば大量の液体が充填された容器2を可動子12によって移動させることが可能となる。
またこの場合、上記実施形態では固定子11を搬送面Cに接地させてから開閉手段14によってグリッパ13を開閉させているが、この実施形態においては、固定子11を浮上させた状態で開閉手段14を作動させて、搬送面Cに接地された容器2をグリッパ13によって保持させることとなる。
上記滑り部材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:フッ素樹脂)や、超高分子量ポリエチレンなど、摩擦抵抗が少なく、摩耗性の高い材質からなるものを使用することが考えられる。
【0027】
また上記実施形態では、上記容器2への処理として液体の充填およびキャップ2aの装着を行っているが、その他の処理を行うことも可能である。
例えば、上記支持プレート43に開口部を形成するとともに、当該開口部の下方に印字装置を配置して、容器2の底面を開口部の上方に位置させた状態で印字を行うことも可能である。
この場合、容器2を支持プレート43に載置して処理することも可能であるが、可動子12のグリッパ13で把持したまま、容器2を支持プレート43から浮かせた状態で処理を行うようにしてもよい。
そのほかにも、上記処理手段として上記印字手段に代えて検査手段を配置し、上記開口部を介して支持プレート43の下方から容器2の検査や印字状態の検査を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 容器処理システム 2 容器
3 搬送手段 5 充填手段(処理手段)
6 キャッピング手段(処理手段) 8 制御手段
11 固定子 12 可動子
13 グリッパ 14 開閉手段
21 グリップ片 23 付勢手段
24 カム機構 27 係合部材
31a ストッパ 32 プッシャ
43 支持プレート