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特開2024-174557ケーブル延線機、ケーブル延線システムおよびケーブル延線方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174557
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ケーブル延線機、ケーブル延線システムおよびケーブル延線方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092442
(22)【出願日】2023-06-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】森田 聖
(72)【発明者】
【氏名】藤本 康平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隼人
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CA07
5G352CB13
5G352CE02
5G352CE05
(57)【要約】
【課題】ケーブル延線機の直進性を保持することができるケーブル延線機を得ること。
【解決手段】ケーブル延線機2は、車軸挿通部3aと第1の固定孔3bとが設けられた本体3と、本体3の車軸挿通部3aに挿通されて本体3に回転可能に取り付けられて複数の第2の固定孔4bが設けられた車軸4と、車軸4に取り付けられて車軸4の回転に伴って回転してケーブル配線路を転動する車輪と、本体3に設けられて車軸4を回転させるモータと、本体3に設けられてケーブルを保持するケーブル保持機構9と、本体3の第1の固定孔3bに移動可能に設けられる固定部材10とを備えている。固定部材10の位置は、固定部材10が複数の第2の固定孔4bのうちのいずれか1つに挿入されて車軸4に対する本体3の幅方向への移動を規制する固定位置と、固定部材10が第2の固定孔4bから抜けて車軸4に対する本体3の幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線するケーブル延線機であって、
車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、
前記本体の前記車軸挿通部に挿通されて前記本体に回転可能に取り付けられて、前記ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、
前記車軸に取り付けられて、前記車軸の回転に伴って回転して前記ケーブル配線路を転動する車輪と、
前記本体に設けられて、前記車軸を回転させるモータと、
前記本体に設けられて、前記ケーブルを保持するケーブル保持機構と、
前記本体の前記第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、
を備え、
前記固定部材の位置は、前記固定部材が複数の前記第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を規制する固定位置と、前記固定部材が前記第2の固定孔から抜けて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能であることを特徴とするケーブル延線機。
【請求項2】
前記車軸は、前記ケーブル配線路の幅に応じて軸方向の長さが異なる複数種類の中から選択可能であり、
前記車軸挿通部は、複数種類の前記車軸のそれぞれを挿通可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル延線機。
【請求項3】
前記車輪よりも前記ケーブル配線路の幅方向の外側において前記車軸に取り付けられて、前記車輪の前記幅方向の外側への移動を規制する落下防止部材を備え、
複数の前記車軸が、前記ケーブル延線機の走行方向に互いに間隔を空けて配置され、
前記落下防止部材は、複数の前記車軸に取り付けられ、
前記落下防止部材には、複数の前記車軸のそれぞれが挿通される複数の挿通孔と、複数の前記挿通孔のそれぞれの内周面に設けられて前記車軸を回転可能に支持する複数の軸受とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル延線機。
【請求項4】
前記本体、前記車軸、前記車輪および前記モータは、前記ケーブル配線路のうち前記ケーブルが配線される配線スペースの外部に配置され、
前記本体の底面は、前記配線スペースよりも上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル延線機。
【請求項5】
ケーブルの延線経路に沿って並んで設置される複数のケーブル配線路と、
前記ケーブル配線路を走行しながら前記ケーブルを延線するケーブル延線機と、を備え、
前記ケーブル延線機は、
車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、
前記本体の前記車軸挿通部に挿通されて前記本体に回転可能に取り付けられて、前記ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、
前記車軸に取り付けられて、前記車軸の回転に伴って回転して前記ケーブル配線路を転動する車輪と、
前記本体に設けられて、前記車軸を回転させるモータと、
前記本体に設けられて、前記ケーブルを保持するケーブル保持機構と、
前記本体の前記第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、
を備え、
前記固定部材の位置は、前記固定部材が複数の前記第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を規制する固定位置と、前記固定部材が前記第2の固定孔から抜けて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能であることを特徴とするケーブル延線システム。
【請求項6】
ケーブルの延線経路に沿って並んで設置される複数のケーブル配線路のうち隣り合う前記ケーブル配線路の間に形成される隙間を跨ぎ、前記隙間を介して隣り合う前記ケーブル配線路を繋ぐことを特徴とする走行路補助治具。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1つに記載のケーブル延線機を複数台用いて、ケーブルを延線するケーブル延線方法であって、
前記ケーブルを取り付けた前記ケーブル延線機を走行させることにより前記ケーブルを延線する第1の工程と、
前記第1の工程により延線した前記ケーブルの長さ方向の途中部分に新たな前記ケーブル延線機を取り付ける第2の工程と、
を含み、
前記第1の工程と前記第2の工程とを交互に繰り返し行うことを特徴とするケーブル延線方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1つに記載のケーブル延線機と、ケーブルに加わっている張力を検出して検出した前記張力が予め設定された閾値以上である場合に前記ケーブルを走行方向の前方に押し出す張力検出型ケーブル延線機とを用いて、前記ケーブルを延線するケーブル延線方法であって、
前記ケーブル延線機に前記ケーブルを取り付けるとともに、前記ケーブル延線機の前記走行方向の後方に前記ケーブル延線機から離れて配置した前記張力検出型ケーブル延線機に前記ケーブルを取り付ける第1の工程と、
前記ケーブルを取り付けた前記ケーブル延線機を走行させ、前記ケーブルに加わっている張力を前記張力検出型ケーブル延線機が検出して、検出した前記張力が予め設定された閾値以上である場合に前記張力検出型ケーブル延線機が前記ケーブルを前記走行方向の前方に押し出す第2の工程と、
を含むことを特徴とするケーブル延線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線するケーブル延線機、ケーブル延線システム、走行路補助治具およびケーブル延線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の往来ができない高所や狭所などでケーブルの延線作業を行う場合には、ケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線するケーブル延線機を使用することがある。このようなケーブル延線機として、例えば、特許文献1に開示されたケーブル延線機が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたケーブル延線機は、本体と、本体に回転可能に取り付けられる車軸と、車軸に取り付けられて車軸の回転に伴って回転してケーブル配線路を転動する車輪とを備えている。また、特許文献1に開示されたケーブル延線機は、車輪を回転させるモータと、モータの作動、停止、速度などを制御する制御装置と、モータおよび制御装置に電力を供給する電源と、ケーブルを保持するケーブル保持機構とを備えている。車軸、車輪、モータ、制御装置、電源およびケーブル保持機構は、本体に設置されている。
【0004】
特許文献1に開示されたケーブル延線機では、車輪がケーブル配線路を転動することにより、ケーブル延線機がケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線することができる。複数のケーブル配線路は、ケーブルの延線経路に沿って並んで設置されていて、ケーブル延線機が走行する走行路を構成する。なお、本明細書においてケーブルとは、ケーブル単体の他に、ケーブルとケーブルの先端に結び付けた牽引用先導ロープとからなる複合体を含む意味である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62-191312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ケーブル延線機によりケーブルの延線作業を行う際には、ケーブルの延線経路をケーブル配線路の幅方向に変更することがある。このような変更を行う際に、ケーブルがケーブル延線機の中心軸に対して幅方向に角度が付くと、ケーブル延線機がケーブルから受ける反力がケーブル延線機の中心軸に対して幅方向に角度を有した反力となるため、ケーブル延線機の直進性が損なわれてしまう。これにより、ケーブル延線機がケーブル配線路から脱輪する可能性がある。なお、ケーブル延線機の中心軸とは、ケーブル延線機のうち幅方向の中心を通ってケーブル延線機の走行方向に延びる軸である。
【0007】
しかしながら、特許文献1には、ケーブル延線機の中心軸に対してケーブルに付いた角度を解消するための具体的な手段について何ら開示されていない。そこで、ケーブル延線機の中心軸に対してケーブルに付いた角度を解消して、ケーブル延線機の直進性を保持することができるケーブル延線機の開発が望まれている。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ケーブル延線機の直進性を保持することができるケーブル延線機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかるケーブル延線機は、ケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線するケーブル延線機であって、車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、本体の車軸挿通部に挿通されて本体に回転可能に取り付けられて、ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、車軸に取り付けられて、車軸の回転に伴って回転してケーブル配線路を転動する車輪と、を備えている。また、本開示にかかるケーブル延線機は、本体に設けられて、車軸を回転させるモータと、本体に設けられて、ケーブルを保持するケーブル保持機構と、本体の第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、を備えている。固定部材の位置は、固定部材が複数の第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて車軸に対する本体の幅方向への移動を規制する固定位置と、固定部材が第2の固定孔から抜けて車軸に対する本体の幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ケーブル延線機の直進性を保持することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかるケーブル延線システムを示す斜視図であって、ケーブル延線システムを斜め前方から見下ろした状態を示す図
図2】実施の形態1にかかるケーブル延線機の本体、モータ、電源およびケーブル保持機構を示す斜視図であって、ケーブル延線機を斜め後方から見上げた状態を示す図
図3】実施の形態1にかかるケーブル延線機の本体、電源およびケーブル保持機構を示す斜視図であって、ケーブル延線機を斜め後方から見下ろした状態を示す図
図4】実施の形態1にかかる車軸を示す斜視図
図5】実施の形態1にかかる車輪を示す斜視図
図6】実施の形態1にかかる落下防止部材を示す斜視図
図7】実施の形態1にかかるケーブル延線システムを示す正面図
図8】実施の形態1にかかる走行路補助治具をケーブル配線路に設置した状態を示す斜視図
図9】実施の形態1にかかる走行路補助治具を示す斜視図
図10】実施の形態1にかかるケーブル延線方法の一例を示す平面図であって、1台のケーブル延線機でケーブルを延線する工程を示す図
図11】実施の形態1にかかるケーブル延線方法の一例を示す平面図であって、2台のケーブル延線機でケーブルを延線する工程を示す図
図12】実施の形態1にかかるケーブル延線方法の一例を示す平面図であって、3台のケーブル延線機でケーブルを延線する工程を示す図
図13】実施の形態1にかかるケーブル延線方法の別例を示す平面図
図14】実施の形態1にかかるケーブル延線機の作用を説明するための平面図であって、ケーブルに角度が付いた状態を示す図
図15】実施の形態1にかかるケーブル延線機の作用を説明するための平面図であって、ケーブルに付いた角度を解消した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態にかかるケーブル延線機、ケーブル延線システム、走行路補助治具およびケーブル延線方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるケーブル延線システム100を示す斜視図であって、ケーブル延線システム100を斜め前方から見下ろした状態を示す図である。図1に示すように、ケーブル延線システム100は、ケーブル11の延線経路に沿って並んで設置される複数のケーブル配線路1と、ケーブル配線路1を走行しながらケーブル11を延線するケーブル延線機2とを備えている。なお、図1では1つのケーブル配線路1のみを図示しているが、実際には複数のケーブル配線路1が並んで設置される。ケーブル11は、例えば、機器の制御に用いられる制御信号を伝送する制御ケーブル、コンピュータと端末機器との間の信号を伝送する計装ケーブルである。以下の説明において、ケーブル配線路1の長さ方向を走行方向とし、ケーブル配線路1の幅方向を幅方向とし、ケーブル配線路1の高さ方向を上下方向とする。また、以下の説明において、ケーブル配線路1のうち幅方向の端部からケーブル配線路1のうち幅方向の中心に向かう方向を内側とし、内側と反対側を外側とする。
【0014】
各ケーブル配線路1は、一対の親桁1aと、複数の子桁1bと、複数の押さえ金具1cとを備えている。一対の親桁1aは、ケーブル延線機2の後記する車輪5が転動する部分である。一対の親桁1aは、幅方向に互いに離れて配置されていて、走行方向に延びている。一対の親桁1aの幅方向の間隔は、配線するケーブル11の本数により適宜変更される。以下の説明において、一対の親桁1aの幅方向の間隔をケーブル配線路1の幅と称する。親桁1aは、親桁下部1dと、親桁中間部1eと、親桁上部1fとを有している。親桁下部1dは、ケーブル11の延線経路の床面上に設置されている。
【0015】
親桁中間部1eは、親桁下部1dのうち幅方向の中央部から上方に向かって延びている。親桁中間部1eは、親桁上部1fと親桁下部1dとを連結している。
【0016】
親桁上部1fは、親桁下部1dの上方に親桁下部1dから離れて配置されている。親桁上部1fは、親桁中間部1eの上端部に接続されている。親桁上部1fは、親桁中間部1eよりも幅広に形成されている。
【0017】
複数の子桁1bは、一対の親桁1aを連結する役割を果たしている。複数の子桁1bは、走行方向に互いに離れて配置されていて、幅方向に延びている。子桁1bの幅方向の長さは、ケーブル配線路1の幅により適宜変更される。
【0018】
押さえ金具1cは、ケーブル11の延線経路の床面上に親桁1aを移動不能に固定する役割を果たしている。押さえ金具1cの形状は、本実施の形態ではクランク形状であるが、適宜変更してもよい。押さえ金具1cは、取付部1gと、引掛部1hと、連結部1iとを有している。取付部1gは、矩形の板状部分である。取付部1gは、親桁1aよりも幅方向の外側において、ケーブル11の延線経路の床面上に設置されている。取付部1gは、図示しないボルトなどによりケーブル11の延線経路の床面上に固定されている。
【0019】
連結部1iは、矩形の板状部分である。連結部1iは、取付部1gのうち幅方向の内側の端部から上方に向かって延びている。連結部1iは、取付部1gと引掛部1hとを連結している。連結部1iは、親桁上部1fのうち幅方向の外側を向く面の一部に被せられている。
【0020】
引掛部1hは、L字の板状部分である。引掛部1hは、連結部1iの上端部から幅方向の内側に向かって延びた後、下方に向かって延びている。引掛部1hは、親桁上部1fに引っ掛けられている。引掛部1hは、親桁上部1fのうち上面の一部と幅方向の内側を向く面の一部とに被せられている。押さえ金具1cが親桁1aの一部に被せられることにより、ケーブル配線路1に凹凸、すなわち段差1jが形成されている。
【0021】
図2は、実施の形態1にかかるケーブル延線機2の本体3、モータ7、電源8およびケーブル保持機構9を示す斜視図であって、ケーブル延線機2を斜め後方から見上げた状態を示す図である。図2では、モータ7を図示するために、本体3の後記する底面カバー3cを取り外した状態を図示している。図3は、実施の形態1にかかるケーブル延線機2の本体3、電源8およびケーブル保持機構9を示す斜視図であって、ケーブル延線機2を斜め後方から見下ろした状態を示す図である。ケーブル延線機2は、自走式ケーブル延線機である。図1に示すように、ケーブル延線機2は、本体3と、車軸4と、車輪5と、落下防止部材6とを備えている。また、図2に示すように、ケーブル延線機2は、モータ7と、電源8と、ケーブル保持機構9と、固定部材10とを備えている。図示は省略するが、ケーブル延線機2は、その他に、モータ7の作動、停止、速度などを制御する制御装置、制御装置を無線で操作する無線操作装置などを備えている。
【0022】
図1および図2に示すように、本体3は、車軸4、モータ7、電源8などを支持する構造体である。本体3は、例えば、複数の金属板を組み合わせて形成されている。図2に示すように、本体3には、複数の車軸挿通部3aと複数の第1の固定孔3bとが設けられている。
【0023】
車軸挿通部3aは、幅方向に沿う水平軸周りに回転可能である。車軸挿通部3aの形状は、本実施の形態では外周面が円形かつ内周面が六角形状であるが、適宜変更してもよい。車軸挿通部3aは、幅方向に延びている。車軸挿通部3aの数は、本実施の形態では2つであるが、車軸4の数に合わせて適宜変更してもよい。複数の車軸挿通部3aは、走行方向に互いに離れて配置されている。車軸挿通部3aの幅方向の両端部は、一対の軸受フレーム3dにより回転可能に支持されている。
【0024】
図3に示すように、第1の固定孔3bには、固定部材10が挿通されている。第1の固定孔3bは、車軸挿通部3aに形成されている。第1の固定孔3bは、車軸挿通部3aの内部と外部とを連通する孔である。第1の固定孔3bは、車軸挿通部3aの幅方向の両端部に1つずつ形成されている。第1の固定孔3bは、車軸挿通部3aの外周面のうち上方を向く部分に形成されている。
【0025】
図3に示すように、車軸4は、本体3の車軸挿通部3aに挿通されて本体3に回転可能に取り付けられている。車軸4の材質は、例えば、アルミニウムなどの金属である。車軸4の形状は、本実施の形態では六角柱状であるが、適宜変更してもよい。車軸4は、幅方向に延びている。車軸4の本数は、本実施の形態では2本であるが、適宜変更してもよい。複数本の車軸4は、走行方向に互いに間隔を空けて配置されている。車軸4は、図1に示されるケーブル配線路1の幅に応じて軸方向の長さが異なる複数種類の中から選択可能である。図3に示される車軸挿通部3aは、複数種類の車軸4のそれぞれを挿通可能な大きさに形成されている。
【0026】
図4は、実施の形態1にかかる車軸4を示す斜視図である。車軸4には、2つの取付孔4aと、複数の第2の固定孔4bとが形成されている。取付孔4aには、後記する落下防止ピン6bが挿通される。取付孔4aは、車軸4の幅方向の両端部に1つずつ形成されている。取付孔4aは、車軸4の外周面のうち上方を向く部分に形成されている。
【0027】
複数の第2の固定孔4bは、幅方向において2つの取付孔4aの間に配置されている。複数の第2の固定孔4bは、幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。第2の固定孔4bは、車軸4の外周面のうち上方を向く部分に形成されている。図3に示すように、第2の固定孔4bには、固定部材10が挿通される。
【0028】
図1に示すように、車輪5は、車軸4に取り付けられて、車軸4の回転に伴って回転してケーブル配線路1を転動する部材である。車輪5の材質は、例えば、ゴムである。車輪5の外周面の形状は、円形である。車輪5は、車軸4の幅方向の両端部に1つずつ取り付けられている。
【0029】
図5は、実施の形態1にかかる車輪5を示す斜視図である。図5に示すように、車輪5の中心には、車輪5を幅方向に貫通する貫通孔5aが形成されている。貫通孔5aには、図4に示される車軸4が挿通される。貫通孔5aの形状は、本実施の形態では六角形状であるが、車軸4の形状に合わせて適宜変更してもよい。
【0030】
車輪5の外周面のうち幅方向の両端部には、他の部位も拡径した鍔5bが1つずつ形成されている。車輪5の外周面のうち2つの鍔5bの間の部分には、溝5cが形成されている。溝5cは、車輪5の回転方向の全周に亘って形成されている。図1に示すように、溝5cの内部には、ケーブル配線路1の親桁上部1fが配置されている。親桁上部1fの幅方向の内側および外側には、鍔5bが1つずつ配置されている。鍔5bは、ケーブル延線機2がケーブル配線路1を走行する際のケーブル延線機2の直進性を保つ役割を果たしている。溝5cの溝幅寸法は、親桁上部1fの幅寸法と押さえ金具1cの引掛部1hの幅寸法よりも大きい。
【0031】
落下防止部材6は、車輪5よりも幅方向の外側において車軸4に取り付けられて、車輪5の幅方向の外側への移動を規制する部材である。落下防止部材6は、車輪5がケーブル配線路1から落下することを防止する役割を果たしている。落下防止部材6の材質は、例えば、アルミニウムなどの金属である。落下防止部材6は、車軸4の幅方向の両端部に1つずつ取り付けられている。図1では、1つの落下防止部材6のみを図示している。各落下防止部材6は、複数の車軸4にまとめて取り付けられている。詳しくは、一方の落下防止部材6は、複数の車軸4のそれぞれの幅方向の一端部にまとめて取り付けられている。他方の落下防止部材6は、複数の車軸4のそれぞれの幅方向の他端部にまとめて取り付けられている。
【0032】
図6は、実施の形態1にかかる落下防止部材6を示す斜視図である。落下防止部材6は、落下防止フレーム6aと、落下防止ピン6bとを有している。落下防止フレーム6aは、2つの車軸取付部6cと、1つの接続部6dとを有している。落下防止フレーム6aには、複数の車軸4のそれぞれが挿通される複数の挿通孔6eと、複数の挿通孔6eのそれぞれの内周面に設けられて車軸4を回転可能に支持する複数の軸受6fとが設けられている。
【0033】
2つの車軸取付部6cは、走行方向に互いに間隔を空けて配置されている。車軸取付部6cの形状は、本実施の形態では円形の板状部分と矩形の板状部分とを有する形状であるが、適宜変更してもよい。各車軸取付部6cには、挿通孔6eと軸受6fとが1つずつ設けられている。軸受6fは、車軸4の回転に伴う落下防止フレーム6aの供回りを防止する役割を果たしている。一方の車軸取付部6cの挿通孔6eには、軸受6fを介して一方の車軸4が挿通されている。他方の車軸取付部6cの挿通孔6eには、軸受6fを介して他方の車軸4が挿通されている。
【0034】
接続部6dは、走行方向に延びていて、2つの車軸取付部6cを接続している。接続部6dの形状は、本実施の形態では矩形の板状であるが、適宜変更してもよい。
【0035】
落下防止ピン6bは、落下防止フレーム6aを車軸4に固定する役割を果たしている。車軸4の取付孔4aは、落下防止フレーム6aよりも幅方向の外側に配置されている。落下防止ピン6bは、落下防止フレーム6aよりも幅方向の外側において車軸4の取付孔4aに差し込まれる。車軸4の取付孔4aに落下防止ピン6bを差し込むことにより、落下防止フレーム6aが車軸4に固定される。
【0036】
図2に示すように、モータ7は、本体3に設けられて、図1に示される車軸4を回転させる役割を果たしている。モータ7は、変速装置などを介して車軸挿通部3aに連結されている。モータ7を駆動させると、車軸挿通部3aが回転する。この車軸挿通部3aの回転に伴い、車軸挿通部3aに挿通されている車軸4が回転するとともに、車軸4に取り付けられている車輪5が回転する。
【0037】
電源8は、モータ7および図示しない制御装置に電力を供給する役割を果たしている。電源8は、例えば、交換式の蓄電池である。
【0038】
図1に示すように、ケーブル保持機構9は、本体3に設けられて、ケーブル11を保持する役割を果たしている。ケーブル保持機構9は、ケーブル11の先端が結び付けられる環状部9aを有している。ケーブル保持機構9は、本体3のうち後端部に設置されている。
【0039】
図3に示すように、固定部材10は、本体3の第1の固定孔3bに移動可能に設けられる部材である。固定部材10は、本実施の形態では固定ピンであるが、本体3の第1の固定孔3bに移動可能に設けられる構成であれば適宜変更してもよい。固定部材10の位置は、固定部材10が複数の第2の固定孔4bのうちのいずれか1つに挿入されて車軸4に対する本体3の幅方向への移動を規制する固定位置と、固定部材10が第2の固定孔4bから抜けて車軸4に対する本体3の幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能である。
【0040】
詳しくは、固定部材10が車軸挿通部3aの第1の固定孔3bと車軸4の第2の固定孔4bとに挿通されることにより、車軸4に対して本体3を幅方向に移動させることができない状態になる。一方、固定部材10が車軸4の第2の固定孔4bから抜かれることにより、車軸4に対して本体3を幅方向に移動させることができる状態になる。このため、本体3の幅方向の位置を調整する場合には、車軸4の第2の固定孔4bから固定部材10を抜き、車軸4に対して本体3を幅方向に移動させればよい。
【0041】
次に、図7を参照して、ケーブル延線機2およびケーブル配線路1の構成についてさらに詳しく説明する。図7は、実施の形態1にかかるケーブル延線システム100を示す正面図である。
【0042】
ケーブル配線路1には、一対の親桁1aと子桁1bとにより区画された配線スペース1kが形成されている。配線スペース1kは、ケーブル配線路1のうちケーブル11が配線されるスペースである。ケーブル11は、配線スペース1kの内部において幅方向および上下方向に敷き詰めて配置されている。本体3、車軸4、車輪5、落下防止部材6、モータ7および電源8は、配線スペース1kの外部に配置されている。換言すると、ケーブル延線機2は、配線スペース1kの外部に配置されている。
【0043】
本体3は、本体3の底面となる底面カバー3cを有している。底面カバー3cは、配線スペース1kよりも上方に配置されている。落下防止フレーム6aは、幅方向において車輪5と落下防止ピン6bとの間に配置されている。
【0044】
次に、図8および図9を参照して、走行路補助治具12について説明する。図8は、実施の形態1にかかる走行路補助治具12をケーブル配線路1に設置した状態を示す斜視図である。図9は、実施の形態1にかかる走行路補助治具12を示す斜視図である。
【0045】
図8に示すように、ケーブル延線システム100は、走行路補助治具12をさらに備えている。走行路補助治具12は、複数のケーブル配線路1のうち隣り合うケーブル配線路1の間に形成される隙間13を跨いでいる。走行路補助治具12は、隙間13を介して隣り合うケーブル配線路1を繋いでいる。走行路補助治具12は、隣り合うケーブル配線路1のうち幅方向の一方の親桁1a同士の間と、隣り合うケーブル配線路1のうち幅方向の他方の親桁1a同士の間とに1つずつ設置されている。走行路補助治具12は、隙間13を跨ぐ繋ぎ部12aと、ケーブル配線路1に固定される一対の固定部12bとを有している。
【0046】
繋ぎ部12aは、隣り合うケーブル配線路1の一方から他方に亘って配置されている。繋ぎ部12aは、隣り合うケーブル配線路1のそれぞれの親桁上部1fに引っ掛けられている。繋ぎ部12aは、親桁上部1fのうち上面の一部と幅方向の内側を向く面の一部と幅方向の外側を向く面の一部とに被せられている。
【0047】
一対の固定部12bは、親桁1aよりも幅方向の外側に配置されている。図9に示すように、固定部12bは、繋ぎ部12aの走行方向の両端部に1つずつ設けられている。固定部12bは、繋ぎ部12aから下方に向かって延びた後、幅方向の内側に向かって延びている。固定部12bのうち幅方向の内側に向かって延びる部分には、ボルト12cが取り付けられている。図8に示される走行路補助治具12に取り付けられたボルト12cを締めて親桁1aの親桁下部1dに下方から押し当てることにより、走行路補助治具12がケーブル配線路1に固定される。すなわち、ケーブル配線路1における親桁1aを下面からボルト12cで押さえる形態にて、走行路補助治具12がケーブル配線路1に固定される。
【0048】
次に、本実施の形態にかかるケーブル延線方法について説明する。はじめに、図1を参照して、1台のケーブル延線機2を用いたケーブル延線方法について説明する。
【0049】
当該ケーブル延線方法は、第1の工程と、第2の工程とを含んでいる。
【0050】
第1の工程は、ケーブル11を取り付けたケーブル延線機2を走行させることによりケーブル11を延線する工程である。第1の工程では、ケーブル延線機2のケーブル保持機構9に、図示しないより戻し金具とアミソーとを用いてケーブル11を取り付ける。第1の工程では、ケーブル延線機2の車輪5をケーブル配線路1の親桁1aに配置する。第1の工程では、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2をケーブル配線路1に沿って前進させる。第1の工程を行うことにより、ケーブル延線機2がケーブル配線路1を走行しながらケーブル11を延線することができる。
【0051】
第2の工程は、所望の距離までケーブル11を延線したケーブル延線機2を停止させ、ケーブル延線機2からケーブル11を取り外して、ケーブル延線機2をスタート地点に戻す工程である。第2の工程では、ケーブル延線機2のケーブル保持機構9からより戻し金具とアミソーとケーブル11とを取り外す。第2の工程では、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2をケーブル配線路1に沿ってスタート地点まで後進させる。以上の工程を繰り返し行うことにより、複数本のケーブル11を延線することができる。
【0052】
次に、図10から図12を参照して、複数台のケーブル延線機2を用いたケーブル延線方法について説明する。図10は、実施の形態1にかかるケーブル延線方法の一例を示す平面図であって、1台のケーブル延線機2でケーブル11を延線する工程を示す図である。図11は、実施の形態1にかかるケーブル延線方法の一例を示す平面図であって、2台のケーブル延線機2でケーブル11を延線する工程を示す図である。図12は、実施の形態1にかかるケーブル延線方法の一例を示す平面図であって、3台のケーブル延線機2でケーブル11を延線する工程を示す図である。
【0053】
当該ケーブル延線方法は、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程とを含んでいる。当該ケーブル延線方法は、第1の工程と第2の工程とを交互に繰り返し行う。
【0054】
図10に示すように、第1の工程は、ケーブル11を取り付けたケーブル延線機2を走行させることによりケーブル11を延線する工程である。第1の工程では、先頭となる1台目のケーブル延線機2のケーブル保持機構9に、図示しないより戻し金具とアミソーとを用いてケーブル11を取り付ける。第1の工程では、ケーブル延線機2の車輪5をケーブル配線路1の親桁1aに配置する。第1の工程では、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2をケーブル配線路1に沿って前進させる。第1の工程を行うことにより、ケーブル延線機2がケーブル配線路1を走行しながらケーブル11を延線することができる。以下、1台目のケーブル延線機2をケーブル延線機2Aと称する場合もある。
【0055】
図11に示すように、第2の工程は、延線したケーブル11の長さ方向の途中部分に新たなケーブル延線機2を取り付ける工程である。第2の工程では、予め設定した距離までケーブル11を延線したら1台目のケーブル延線機2Aを停止させる。第2の工程では、2台目のケーブル延線機2のケーブル保持機構9に、図示しないより戻し金具とアミソーとを用いてケーブル11を取り付ける。以下、2台目のケーブル延線機2をケーブル延線機2Bと称する場合もある。第2の工程では、2台目のケーブル延線機2Bの車輪5をケーブル配線路1の親桁1aに配置する。なお、第2の工程では、延線したケーブル11の長さ方向の中間部分に新たなケーブル延線機2を取り付けることが好ましい。第2の工程を行った後には、再び第1の工程を行う。すなわち、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2A,2Bをケーブル配線路1に沿って前進させる。第1の工程を行うことにより、ケーブル延線機2A,2Bがケーブル配線路1を走行しながらケーブル11を延線することができる。
【0056】
同じ要領で、3台目以降のケーブル延線機2を段階的に追加する。例えば、図12に示すように、3台目のケーブル延線機2Cを追加する場合には、第1の工程では、ケーブル11を取り付けたケーブル延線機2A,2Bを走行させることによりケーブル11を延線する。
【0057】
第2の工程では、第1の工程により延線したケーブル11の長さ方向の途中部分に新たなケーブル延線機2Cを取り付ける。第2の工程では、予め設定した距離までケーブル11を延線したらケーブル延線機2A,2Bを停止させる。第2の工程では、3台目のケーブル延線機2Cのケーブル保持機構9に、図示しないより戻し金具とアミソーとを用いてケーブル11を取り付ける。第2の工程では、3台目のケーブル延線機2Cの車輪5をケーブル配線路1の親桁1aに配置する。第2の工程を行った後には、再び第1の工程を行う。すなわち、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2A,2B,2Cをケーブル配線路1に沿って前進させる。第1の工程を行うことにより、ケーブル延線機2A,2B,2Cがケーブル配線路1を走行しながらケーブル11を延線することができる。
【0058】
第3の工程は、所望の距離までケーブル11を延線したら各ケーブル延線機2を停止させ、各ケーブル延線機2からケーブル11を取り外して、各ケーブル延線機2をスタート地点に戻す工程である。第3の工程では、各ケーブル延線機2のケーブル保持機構9からより戻し金具とアミソーとケーブル11とを取り外す。第3の工程では、図示しない無線操作装置を操作することにより各ケーブル延線機2をケーブル配線路1に沿ってスタート地点まで後進させる。
【0059】
一般論として、ケーブル11の延線作業を行っていくと、ケーブル延線機2の牽引力またはケーブル配線路1と車輪5との間に発生する摩擦力を上回る反力が生じ、ケーブル11の延線作業を継続することが困難になる。この点、本実施の形態にかかるケーブル延線方法では、2台目以降のケーブル延線機2B,2Cがケーブル11の長さ方向の途中部分を牽引することにより、先頭のケーブル延線機2Aに加わる反力を複数台のケーブル延線機2A,2B,2Cに分散させることができる。このため、ケーブル延線機2によるケーブル11の延線作業を継続することが可能になり、ケーブル11の延線距離を延ばすことができる。そして、ケーブル11の長さ方向の途中部分を牽引するケーブル延線機2を段階的に追加することにより、ケーブル11の長距離延線が可能になる。
【0060】
次に、図13を参照して、ケーブル延線機2と張力検出型ケーブル延線機14とを用いたケーブル延線方法について説明する。図13は、実施の形態1にかかるケーブル延線方法の別例を示す平面図である。
【0061】
当該ケーブル延線方法は、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程とを含んでいる。張力検出型ケーブル延線機14は、ケーブル11に加わっている張力を検出して、検出した張力が予め設定された閾値以上である場合にケーブル11を走行方向の前方に押し出す機器である。
【0062】
第1の工程は、ケーブル延線機2にケーブル11を取り付けるとともに、ケーブル延線機2の走行方向の後方にケーブル延線機2から離れて配置した張力検出型ケーブル延線機14にケーブル11を取り付ける工程である。第1の工程では、ケーブル延線機2のケーブル保持機構9に、図示しないより戻し金具とアミソーとを用いてケーブル11の先端を取り付ける。第1の工程では、張力検出型ケーブル延線機14に、ケーブル11の長さ方向の途中部分を取り付ける。第1の工程では、ケーブル延線機2の車輪5をケーブル配線路1の親桁1aに配置する。本実施の形態では、一例として張力検出型ケーブル延線機14が1台である場合を図示しているが、張力検出型ケーブル延線機14が2台以上の複数台であってもよい。張力検出型ケーブル延線機14が複数台である場合には、複数台の張力検出型ケーブル延線機14を走行方向に沿って互いに間隔を空けて配置すればよい。
【0063】
第2の工程は、ケーブル11を取り付けたケーブル延線機2を走行させ、ケーブル11に加わっている張力を張力検出型ケーブル延線機14が検出して、検出した張力が予め設定された閾値以上である場合に張力検出型ケーブル延線機14がケーブル11を走行方向の前方に押し出す工程である。第2の工程では、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2をケーブル配線路1に沿って前進させる。張力検出型ケーブル延線機14は、検出した張力が予め設定された閾値以上である場合に、一定の時間だけケーブル11を走行方向の前方に押し出す。第2の工程を行うことにより、ケーブル延線機2がケーブル配線路1を走行しながらケーブル11を延線することができる。
【0064】
第3の工程は、所望の距離までケーブル11を延線させたらケーブル延線機2および張力検出型ケーブル延線機14を停止させ、ケーブル延線機2および張力検出型ケーブル延線機14からケーブル11を取り外して、ケーブル延線機2および張力検出型ケーブル延線機14をスタート地点に戻す工程である。第3の工程では、張力検出型ケーブル延線機14からケーブル11を取り外す。第3の工程では、人力で張力検出型ケーブル延線機14をスタート地点まで戻す。第3の工程では、ケーブル延線機2のケーブル保持機構9からより戻し金具とアミソーとケーブル11とを取り外す。第3の工程では、図示しない無線操作装置を操作することによりケーブル延線機2をケーブル配線路1に沿ってスタート地点まで後進させる。
【0065】
当該ケーブル延線方法では、ケーブル11に加わっている張力を張力検出型ケーブル延線機14が検出して、検出した張力が予め設定された閾値以上である場合に張力検出型ケーブル延線機14がケーブル11を走行方向の前方に押し出すことにより、ケーブル延線機2に加わる反力を軽減させることができる。このため、ケーブル延線機2によるケーブル11の延線作業を継続することが可能になり、ケーブル11の延線距離を延ばすことができる。そして、複数台の張力検出型ケーブル延線機14を走行方向に沿って互いに間隔を空けて配置することにより、ケーブル11の長距離延線が可能になる。
【0066】
次に、本実施の形態にかかるケーブル延線機2、ケーブル延線システム100および走行路補助治具12の効果について説明する。
【0067】
図14は、実施の形態1にかかるケーブル延線機2の作用を説明するための平面図であって、ケーブル11に角度θが付いた状態を示す図である。図15は、実施の形態1にかかるケーブル延線機2の作用を説明するための平面図であって、ケーブル11に付いた角度θを解消した状態を示す図である。図14に示すように、ケーブル11がケーブル延線機2の中心軸Cに対して幅方向に角度θが付くと、ケーブル11の延線時にケーブル延線機2がケーブル11から受ける反力がケーブル延線機2の中心軸Cに対して幅方向に角度θを有した反力となる。このため、ケーブル延線機2の直進性が損なわれてしまう。なお、ケーブル延線機2の中心軸Cとは、ケーブル延線機2の幅方向の中心を通って走行方向に延びる軸である。
【0068】
この点、本実施の形態では、図15に示すように、ケーブル延線機2は、車軸挿通部3aと第1の固定孔3bとが設けられた本体3と、本体3の車軸挿通部3aに挿通されて本体3に回転可能に取り付けられた車軸4と、本体3の第1の固定孔3bに移動可能に設けられる固定部材10とを備えている。また、本実施の形態では、車軸4には、幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔4bが設けられている。また、本実施の形態では、固定部材10の位置は、固定部材10が複数の第2の固定孔4bのうちのいずれか1つに挿入されて車軸4に対する本体3の幅方向への移動を規制する固定位置と、固定部材10が第2の固定孔4bから抜けて車軸4に対する本体3の幅方向への移動を許容する解除位置とに変更可能である。これらの構成により、図14に示すように、ケーブル11がケーブル延線機2の中心軸Cに対して幅方向に角度θが付いた場合には、図15に示すように、ケーブル延線機2の中心軸Cの軸方向とケーブル11の軸方向とが平行になるように、車軸4に対して幅方向に本体3を移動させることができる。これにより、ケーブル延線機2の中心軸Cの軸方向とケーブル11の延線時にケーブル延線機2がケーブル11から受ける反力の方向とが平行になるため、ケーブル延線機2の直進性を保持することができる。したがって、ケーブル延線機2がケーブル配線路1から脱輪することを抑制できる。
【0069】
なお、図示の例では、ケーブル11の先端がケーブル延線機2のうち中心軸C上に位置する部分に取り付けられている。このため、ケーブル延線機2の中心軸Cの軸方向とケーブル11の軸方向とが平行になるように、車軸4に対して幅方向に本体3を移動させると、ケーブル11がケーブル延線機2の中心軸C上に位置することになる。これにより、ケーブル11の延線時にケーブル延線機2が中心軸Cと同軸上の反力を受けることになるため、ケーブル延線機2の直進性をより一層保持することができる。
【0070】
本実施の形態では、図1および図2に示すように、車軸4は、ケーブル配線路1の幅に応じて軸方向の長さが異なる複数種類の中から選択可能であり、車軸挿通部3aは、複数種類の車軸4のそれぞれを挿通可能な大きさに形成されている。この構成により、ケーブル配線路1の幅が変わった場合であっても、ケーブル配線路1の幅に対応する軸方向の長さを持つ車軸4を選択して、この選択した車軸4を車軸挿通部3aに確実に挿通させることができる。このため、ケーブル配線路1の幅が変わった場合であっても、ケーブル延線機2がケーブル配線路1を走行することができる。
【0071】
本実施の形態では、図1に示すように、複数の車軸4が走行方向に互いに間隔を空けて配置されている。また、本実施の形態では、落下防止部材6は、車輪5よりも幅方向の外側において複数の車軸4に取り付けられて車輪5の幅方向の外側への移動を規制する。また、本実施の形態では、図6に示すように、落下防止部材6には、複数の車軸4のそれぞれが挿通される複数の挿通孔6eと、複数の挿通孔6eのそれぞれの内周面に設けられて車軸4を回転可能に支持する複数の軸受6fとが設けられている。これらの構成により、落下防止部材6が車軸4と供回りしないため、ケーブル延線機2の車輪5がケーブル配線路1から落下しそうになった際に、落下防止部材6により車輪5の落下を防止することができる。
【0072】
本実施の形態では、図7に示すように、本体3、車軸4、車輪5およびモータ7は、ケーブル配線路1のうちケーブル11が配線される配線スペース1kの外部に配置され、本体3の底面となる底面カバー3cは、配線スペース1kよりも上方に配置されている。この構成により、配線スペース1kの内部に配線されるケーブル11とケーブル延線機2とが干渉しないため、配線スペース1kに複数本のケーブル11を配線した場合であっても、ケーブル延線機2がケーブル配線路1を走行することができる。また、前記した構成により、ケーブル延線機2の一部または全部が配線スペース1kの内部に配置されないため、配線スペース1kにより多くのケーブル11を配線することができる。
【0073】
図8に示すように、複数のケーブル配線路1のうち隣り合うケーブル配線路1の間に隙間13が形成されることがある。このような隙間13があると、ケーブル延線機2の走行路が途切れるため、ケーブル延線機2が走行してケーブル11を延線できないという問題がある。この点、本実施の形態では、隣り合うケーブル配線路1の間に形成される隙間13を跨ぎ、隙間13を介して隣り合うケーブル配線路1を繋ぐ走行路補助治具12が設けられている。この構成により、走行路補助治具12が隙間13を埋めてケーブル延線機2の走行路の一部になるため、ケーブル延線機2がケーブル配線路1および走行路補助治具12を走行しながらケーブル11を延線することができる。また、本実施の形態では、走行路補助治具12がケーブル配線路1にボルト12cで固定されるため、ケーブル延線機2の走行路の一部を簡易に作製することができる。
【0074】
次に、実施の形態1の変形例について説明する。
【0075】
本実施の形態では、図1に示すように、ケーブル延線機2が落下防止部材6を備えているが、落下防止部材6を省略してもよい。
【0076】
本実施の形態では、図1に示すように、落下防止部材6は、複数の車軸4にまとめて取り付けられているが、複数の車軸4のそれぞれに1つずつ取り付けられていてもよい。このような構成にする場合には、各落下防止部材6には、図6に示される挿通孔6eと軸受6fとが1つずつ設けられていればよい。
【0077】
本実施の形態では、図7に示すように、本体3、車軸4、車輪5、落下防止部材6、モータ7および電源8が配線スペース1kの外部に配置されているが、例えば、本体3の一部またはモータ7の一部が配線スペース1kの内部に配置されていてもよい。また、本実施の形態では、本体3の底面カバー3cが配線スペース1kよりも上方に配置されているが、配線スペース1kの内部に配置されていてもよい。
【0078】
本実施の形態では、図8に示すように、ケーブル延線システム100が走行路補助治具12を備えているが、隣り合うケーブル配線路1を隙間13が無く並べられる場合には走行路補助治具12を省略してもよい。
【0079】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0080】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0081】
(付記1)
ケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線するケーブル延線機であって、
車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、
前記本体の前記車軸挿通部に挿通されて前記本体に回転可能に取り付けられて、前記ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、
前記車軸に取り付けられて、前記車軸の回転に伴って回転して前記ケーブル配線路を転動する車輪と、
前記本体に設けられて、前記車軸を回転させるモータと、
前記本体に設けられて、前記ケーブルを保持するケーブル保持機構と、
前記本体の前記第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、
を備え、
前記固定部材の位置は、前記固定部材が複数の前記第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を規制する固定位置と、前記固定部材が前記第2の固定孔から抜けて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能であることを特徴とするケーブル延線機。
(付記2)
前記車軸は、前記ケーブル配線路の幅に応じて軸方向の長さが異なる複数種類の中から選択可能であり、
前記車軸挿通部は、複数種類の前記車軸のそれぞれを挿通可能な大きさに形成されていることを特徴とする付記1に記載のケーブル延線機。
(付記3)
前記車輪よりも前記ケーブル配線路の幅方向の外側において前記車軸に取り付けられて、前記車輪の前記幅方向の外側への移動を規制する落下防止部材を備え、
複数の前記車軸が、前記ケーブル延線機の走行方向に互いに間隔を空けて配置され、
前記落下防止部材は、複数の前記車軸に取り付けられ、
前記落下防止部材には、複数の前記車軸のそれぞれが挿通される複数の挿通孔と、複数の前記挿通孔のそれぞれの内周面に設けられて前記車軸を回転可能に支持する複数の軸受とが設けられていることを特徴とする付記1または2に記載のケーブル延線機。
(付記4)
前記本体、前記車軸、前記車輪および前記モータは、前記ケーブル配線路のうち前記ケーブルが配線される配線スペースの外部に配置され、
前記本体の底面は、前記配線スペースよりも上方に配置されていることを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載のケーブル延線機。
(付記5)
ケーブルの延線経路に沿って並んで設置される複数のケーブル配線路と、
前記ケーブル配線路を走行しながら前記ケーブルを延線するケーブル延線機と、を備え、
前記ケーブル延線機は、
車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、
前記本体の前記車軸挿通部に挿通されて前記本体に回転可能に取り付けられて、前記ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、
前記車軸に取り付けられて、前記車軸の回転に伴って回転して前記ケーブル配線路を転動する車輪と、
前記本体に設けられて、前記車軸を回転させるモータと、
前記本体に設けられて、前記ケーブルを保持するケーブル保持機構と、
前記本体の前記第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、
を備え、
前記固定部材の位置は、前記固定部材が複数の前記第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を規制する固定位置と、前記固定部材が前記第2の固定孔から抜けて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能であることを特徴とするケーブル延線システム。
(付記6)
ケーブルの延線経路に沿って並んで設置される複数のケーブル配線路のうち隣り合う前記ケーブル配線路の間に形成される隙間を跨ぎ、前記隙間を介して隣り合う前記ケーブル配線路を繋ぐことを特徴とする走行路補助治具。
(付記7)
付記1から4のいずれか1つに記載のケーブル延線機を複数台用いて、ケーブルを延線するケーブル延線方法であって、
前記ケーブルを取り付けた前記ケーブル延線機を走行させることにより前記ケーブルを延線する第1の工程と、
前記第1の工程により延線した前記ケーブルの長さ方向の途中部分に新たな前記ケーブル延線機を取り付ける第2の工程と、
を含み、
前記第1の工程と前記第2の工程とを交互に繰り返し行うことを特徴とするケーブル延線方法。
(付記8)
付記1から4のいずれか1つに記載のケーブル延線機と、ケーブルに加わっている張力を検出して検出した前記張力が予め設定された閾値以上である場合に前記ケーブルを走行方向の前方に押し出す張力検出型ケーブル延線機とを用いて、前記ケーブルを延線するケーブル延線方法であって、
前記ケーブル延線機に前記ケーブルを取り付けるとともに、前記ケーブル延線機の前記走行方向の後方に前記ケーブル延線機から離れて配置した前記張力検出型ケーブル延線機に前記ケーブルを取り付ける第1の工程と、
前記ケーブルを取り付けた前記ケーブル延線機を走行させ、前記ケーブルに加わっている張力を前記張力検出型ケーブル延線機が検出して、検出した前記張力が予め設定された閾値以上である場合に前記張力検出型ケーブル延線機が前記ケーブルを前記走行方向の前方に押し出す第2の工程と、
を含むことを特徴とするケーブル延線方法。
【符号の説明】
【0082】
1 ケーブル配線路、1a 親桁、1b 子桁、1c 押さえ金具、1d 親桁下部、1e 親桁中間部、1f 親桁上部、1g 取付部、1h 引掛部、1i 連結部、1j 段差、1k 配線スペース、2,2A,2B,2C ケーブル延線機、3 本体、3a 車軸挿通部、3b 第1の固定孔、3c 底面カバー、3d 軸受フレーム、4 車軸、4a 取付孔、4b 第2の固定孔、5 車輪、5a 貫通孔、5b 鍔、5c 溝、6 落下防止部材、6a 落下防止フレーム、6b 落下防止ピン、6c 車軸取付部、6d 接続部、6e 挿通孔、6f 軸受、7 モータ、8 電源、9 ケーブル保持機構、9a 環状部、10 固定部材、11 ケーブル、12 走行路補助治具、12a 繋ぎ部、12b 固定部、12c ボルト、13 隙間、14 張力検出型ケーブル延線機、100 ケーブル延線システム、C 中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル配線路を走行しながらケーブルを延線するケーブル延線機であって、
車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、
前記本体の前記車軸挿通部に挿通されて前記本体に回転可能に取り付けられて、前記ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、
前記車軸に取り付けられて、前記車軸の回転に伴って回転して前記ケーブル配線路を転動する車輪と、
前記本体に設けられて、前記車軸を回転させるモータと、
前記本体に設けられて、前記ケーブルを保持するケーブル保持機構と、
前記本体の前記第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、
を備え、
前記固定部材の位置は、前記固定部材が複数の前記第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を規制する固定位置と、前記固定部材が前記第2の固定孔から抜けて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能であることを特徴とするケーブル延線機。
【請求項2】
前記車軸は、前記ケーブル配線路の幅に応じて軸方向の長さが異なる複数種類の中から選択可能であり、
前記車軸挿通部は、複数種類の前記車軸のそれぞれを挿通可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル延線機。
【請求項3】
前記車輪よりも前記ケーブル配線路の幅方向の外側において前記車軸に取り付けられて、前記車輪の前記幅方向の外側への移動を規制する落下防止部材を備え、
複数の前記車軸が、前記ケーブル延線機の走行方向に互いに間隔を空けて配置され、
前記落下防止部材は、複数の前記車軸に取り付けられ、
前記落下防止部材には、複数の前記車軸のそれぞれが挿通される複数の挿通孔と、複数の前記挿通孔のそれぞれの内周面に設けられて前記車軸を回転可能に支持する複数の軸受とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル延線機。
【請求項4】
前記本体、前記車軸、前記車輪および前記モータは、前記ケーブル配線路のうち前記ケーブルが配線される配線スペースの外部に配置され、
前記本体の底面は、前記配線スペースよりも上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル延線機。
【請求項5】
ケーブルの延線経路に沿って並んで設置される複数のケーブル配線路と、
前記ケーブル配線路を走行しながら前記ケーブルを延線するケーブル延線機と、を備え、
前記ケーブル延線機は、
車軸挿通部と第1の固定孔とが設けられた本体と、
前記本体の前記車軸挿通部に挿通されて前記本体に回転可能に取り付けられて、前記ケーブル配線路の幅方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2の固定孔が設けられた車軸と、
前記車軸に取り付けられて、前記車軸の回転に伴って回転して前記ケーブル配線路を転動する車輪と、
前記本体に設けられて、前記車軸を回転させるモータと、
前記本体に設けられて、前記ケーブルを保持するケーブル保持機構と、
前記本体の前記第1の固定孔に移動可能に設けられる固定部材と、
を備え、
前記固定部材の位置は、前記固定部材が複数の前記第2の固定孔のうちのいずれか1つに挿入されて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を規制する固定位置と、前記固定部材が前記第2の固定孔から抜けて前記車軸に対する前記本体の前記幅方向への移動を許容する解除位置と、に変更可能であることを特徴とするケーブル延線システム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つに記載のケーブル延線機を複数台用いて、ケーブルを延線するケーブル延線方法であって、
前記ケーブルを取り付けた前記ケーブル延線機を走行させることにより前記ケーブルを延線する第1の工程と、
前記第1の工程により延線した前記ケーブルの長さ方向の途中部分に新たな前記ケーブル延線機を取り付ける第2の工程と、
を含み、
前記第1の工程と前記第2の工程とを交互に繰り返し行うことを特徴とするケーブル延線方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1つに記載のケーブル延線機と、ケーブルに加わっている張力を検出して検出した前記張力が予め設定された閾値以上である場合に前記ケーブルを走行方向の前方に押し出す張力検出型ケーブル延線機とを用いて、前記ケーブルを延線するケーブル延線方法であって、
前記ケーブル延線機に前記ケーブルを取り付けるとともに、前記ケーブル延線機の前記走行方向の後方に前記ケーブル延線機から離れて配置した前記張力検出型ケーブル延線機に前記ケーブルを取り付ける第1の工程と、
前記ケーブルを取り付けた前記ケーブル延線機を走行させ、前記ケーブルに加わっている張力を前記張力検出型ケーブル延線機が検出して、検出した前記張力が予め設定された閾値以上である場合に前記張力検出型ケーブル延線機が前記ケーブルを前記走行方向の前方に押し出す第2の工程と、
を含むことを特徴とするケーブル延線方法。