(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174558
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092447
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】洪 庚杓
(72)【発明者】
【氏名】須坂 祐輔
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA04
3B166AE02
3B166BA48
3B166BA72
3B166BA84
3B166CA01
3B166CB01
3B166CB11
3B166CD01
3B166CD15
3B166DA02
3B166DB02
3B166DB11
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166DE04
3B166FA12
3B166FA14
3B166FB01
3B166FB02
3B166FB05
3B166GA02
3B166GA12
3B166JM02
(57)【要約】
【課題】フィルタ部材やポンプとの接続部の清掃が容易な処理剤タンクを備えた洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、水槽と、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、処理剤タンクから所定量の洗濯処理剤を抜き出すポンプと、を有し、水槽に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備える。処理剤タンクは、開口部を有して容器状に形成されたタンク本体と、開口部を着脱可能に閉塞し、逆止弁を含むポンプと接続する接続部を有するキャップ部材と、底部と胴部とを有する有底筒状に形成されて底部がタンク本体の内方を向く姿勢で開口部とキャップ部材との間に配置されポンプが吸い出す洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、前記処理剤タンクから所定量の前記洗濯処理剤を抜き出すポンプと、を有し、前記水槽に所定量の前記洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備え、
前記処理剤タンクは、開口部を有して容器状に形成されたタンク本体と、前記開口部を着脱可能に閉塞し、前記ポンプと接続する接続部を有するキャップ部材と、底部と胴部とを有する有底筒状に形成されて前記底部が前記タンク本体の内方を向く姿勢で前記開口部と前記キャップ部材との間に配置され前記ポンプが吸い出す前記洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材と、を有する、
洗濯機。
【請求項2】
前記開口部は、前記処理剤タンクへの前記洗濯処理剤の入口と前記処理剤タンクからの前記洗濯処理剤の出口とを兼ねる、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記タンク本体は、前記開口部の外に前記洗濯処理剤の補充又は吸い出しが可能な開口部を有さない、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記フィルタ部材は、前記胴部の前記底部の反対側の端部から外側に向けて張り出して形成された鍔部を有し、
前記鍔部の外寸は、前記キャップ部材の内寸よりも小さくかつ前記開口部の内寸よりも大きく設定されており、
前記フィルタ部材は、前記キャップ部材を前記タンク本体に固定することで、前記鍔部が前記キャップ部材と前記タンク本体とによって両側から挟まれて前記タンク本体に固定される、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記フィルタ部材は、前記胴部の前記底部の反対側の端部から外側に向けて張り出して形成された鍔部と、を有して構成されており、
前記鍔部の外寸は、前記キャップ部材の内寸よりも小さく設定されており、
前記キャップ部材は、前記鍔部を着脱可能に把持する爪部を有している、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記開口部は、前記タンク本体の下部に配置されており、
前記タンク本体の底面部は、前記開口部に向けて下降する傾斜面を形成している、
請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記処理剤タンク内部に配置されて、前記洗濯処理剤の残量に応じて位置が変動する被検知部と、前記処理剤タンク外部に配置されて前記被検知部の位置を検知する検知部と、を含む残量検知機構を備え、
前記被検知部は、前記開口部を通過可能に構成されて、屈曲可能に構成された係留部材によって前記フィルタ部材又は前記キャップ部材に係留されている、
請求項6に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの利便性向上のために、洗濯処理剤を自動投入用のタンクに予め複数回分貯留しておき、各洗濯運転時に必要量の洗濯処理剤を処理剤タンクから自動的に投入する自動投入装置を備えた洗濯機が開発されている。洗濯処理剤中に含まれていたごみ等が投入されることを防止するために、この種の処理剤タンクは、洗濯処理剤の注入口と流出口との間に網状のフィルタ部材を有しており、仮に洗濯処理剤に異物が混入していたとしても、このフィルタ部材により異物を捕集して、処理剤タンク内部から洗濯処理剤を吸引するポンプなどに異物が吸い込まれてしまうことを抑制できるようにしている。
【0003】
例えば特許文献1は、外郭を形成する筐体と、前記筐体内に支持された水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられる洗濯槽と、洗剤又は柔軟剤である液体を貯蔵し、下方に前記液体を吐出する吐出口を有する有底形状のタンクと、異物濾過用のフィルタと、前記タンクの前記液体を前記洗濯槽へ供給する液体供給装置と、を備え、前記フィルタは、前記吐出口の上方を覆うように前記タンクの内部に傾斜配置されている洗濯機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処理剤タンクの二面に掛け渡されて傾斜配置されたフィルタ部材は、サイズが大型化しがちである。また、処理剤タンクに洗濯処理剤が貯留された状態でフィルタ部材を外してしまうと、濾過前の洗濯処理剤と濾過後の洗濯処理剤とが混ざり合ってしまうため、処理剤タンクの中身を使い切った状態でないとフィルタ部材やポンプとの接続部の掃除が不可能である。
【0006】
そこで、フィルタ部材やポンプとの接続部の清掃が容易な処理剤タンクを備えた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の洗濯機は、水槽と、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンクと、前記処理剤タンクから所定量の前記洗濯処理剤を抜き出すポンプと、を有し、前記水槽に所定量の前記洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置と、を備える。前記処理剤タンクは、開口部を有して容器状に形成されたタンク本体と、前記開口部を着脱可能に閉塞し、前記ポンプと接続する接続部を有するキャップ部材と、底部と胴部とを有する有底筒状に形成されて前記底部が前記タンク本体の内方を向く姿勢で前記開口部と前記キャップ部材との間に配置され前記ポンプが吸い出す前記洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態による洗濯機の一例の構成を概略的に示す図
【
図2】第1実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンク及び収容部周辺の構成を示す縦断面図
【
図3】第1実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクの概略構成を示す斜視図
【
図4】第1実施形態による洗濯機の一例のタンク本体の概略構成を示す側面図
【
図5】他の実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンクの概略構成を示す縦断側面図
【
図6】第1実施形態による洗濯機の一例のキャップ部材の概略構成を示す側面図
【
図8】第1実施形態による洗濯機の一例のフィルタ部材の概略構成を示す側面図
【
図9】第1実施形態による洗濯機の一例のフィルタ部材と、キャップ部材と、筒状部との配置関係を示す図
【
図10】キャップ部材とフィルタ部材とを
図7のX-X線に沿って示す断面図
【
図11】第2実施形態による洗濯機の一例のキャップ部材に固定したフィルタ部材を示す図
【
図13】第3実施形態による洗濯機の一例のフィルタ部材の概略構成を示す側面図
【
図14】第3実施形態による洗濯機の一例のフィルタ部材の開口部とキャップ部材との位置関係を示す図
【
図15】第4実施形態による洗濯機の一例の処理剤タンク及び収容部周辺の構成を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態による洗濯機について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。各実施形態は、
図1に示す横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1~
図10を参照して説明する。洗濯機10は、
図1に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、給水経路15、給水弁16、排水経路17、排水弁18、注水ケース19、自動投入装置20を備えている。
【0011】
外箱11は、洗濯機10の外殻を構成する物であり、例えば箱状に構成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、内部に洗濯物を収容する洗濯槽として機能する。回転槽モータ14は、回転槽13を回転駆動する。
【0012】
給水経路15は、水道の蛇口等、図示しない外部の水源から水槽12に至る水路である。給水弁16は、給水経路15の途中に設けられており、給水経路15を開閉する機能を有する。給水弁16は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、電磁的な指令に基づいて開閉する。給水弁16は水槽12内に対する給水を制御する。給水弁16の上流側は、水道の蛇口等、図示しない外部の水源に接続される。給水弁16の下流側は、例えば注水ケース19を介して水槽12に繋がっている。
【0013】
排水経路17は、水槽12から機外に至る水路で、水槽12内の水を機外に排水する。排水弁18は、排水経路17の途中に設けられており、排水経路17を開閉する機能を有する。排水弁18は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、電磁的な指令に基づいて開閉する。排水弁18の上流側は水槽12に接続される。排水弁18の下流側は、外部の例えば排水溝等に接続される。
【0014】
注水ケース19は、例えば樹脂製であって内部に空間を有する箱状に形成されている。注水ケース19は、給水経路15の途中において給水弁16の下流に設けられている。注水ケース19は、例えば1つまたは複数の処理剤収容部191を有して構成することができる。処理剤収容部191は、ユーザが洗濯処理剤を洗濯運転毎に手動で投入する際に使用される。
【0015】
処理剤収容部191は、容器状に形成されて例えば注水ケース19に出し入れ又は着脱可能に構成されており、ユーザから例えば液体又は粉末の洗濯処理剤の投入を受ける。処理剤収容部191に洗濯処理剤が投入された状態で給水弁16が開放されると、処理剤収容部191に投入された洗濯処理剤は、給水弁16から注水ケース19に供給される水と共に水槽12内に流し落とされる。
【0016】
自動投入装置20は、所定量の洗濯処理剤を洗濯運転の所定のタイミングで水槽12内に自動で投入する機能を有する。自動投入装置20は、例えば複数種類の洗濯処理剤を水槽12内へ選択的に自動で投入する。自動投入装置20は、収容部21と、複数この場合2つの処理剤タンク22と、ポンプ30と、を有している。
【0017】
図1及び
図2に示すように、収容部21は、例えば上面又は前面が開口した箱状に構成されて外箱11の内部に設けられている。収容部21は、処理剤タンク22を左右又は前後に並べて複数収容可能に構成されている。本実施形態では、収容部21は、外箱11の上面部の一部を下方に向けて窪ませた箱状に構成されている。また、収容部21は、処理剤タンク22を左右に2つ並べて収容可能に構成されている。処理剤タンク22は、収容部21に着脱可能に収容される。
【0018】
複数の処理剤タンク22は、例えばそれぞれ複数回の洗濯運転に使用する量の液体の洗濯処理剤を内部に貯留可能に構成されている。各処理剤タンク22の形状及び容量は同一であっても良いし異なっていても良い。処理剤タンク22は、外箱11内に出し入れ可能、又は着脱可能に構成されている。各処理剤タンク22は、収容部21の所定の位置に配置された場合に、ポンプ30を介して給水経路15の途中部分に接続される。
【0019】
ポンプ30は、洗濯処理剤の流れる方向に関して各処理剤タンク22の下流に設けられている。ポンプ30は、処理剤タンク22から所定量の洗濯処理剤を吸出して給水経路15を介して水槽12に投入する機能を有する。ポンプ30は、例えば電気モータを駆動源としたシリンジポンプで構成することができる。
【0020】
図1に示すように、ポンプ30は、吸出し部31と、選択弁32と、を有する。吸出し部31は、例えば収容部21の側壁面を貫いて収容部21内に露出している。本実施形態の場合、吸出し部31は、収容部21の後側の側壁面を貫いて収容部21内部に露出している。収容部21に収容された処理剤タンク22は、ポンプ30を介して給水経路15に接続される。
【0021】
選択弁32は、例えば電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁で構成されており、各処理剤タンク22とポンプ30との間の経路を開閉する機能を有する。選択弁32は、各処理剤タンク22とポンプ30とを繋ぐ2つの経路の内の1つを択一的に開く。これにより、ポンプ30を駆動させた際に、処理剤タンク22のいずれもから洗濯処理剤が吸い出されて複数種の洗濯処理剤が混ざり合ってしまうことが抑制される。
【0022】
ポンプ30は、各処理剤タンク22のうち選択弁32によって経路が開かれたものから洗濯処理剤を一定量吸引して給水経路15の下流側この場合注水ケース19へ吐出する。この構成において、給水弁16が開放されると、外部の給水源から供給された水が給水経路15に流入し注水ケース19を通る。注水ケース19に洗濯処理剤が貯留している場合、給水経路15を流れる水は、その洗濯処理剤を溶かしながら下流に流れて水槽12内に供給される。このようにして、自動投入装置20は、洗濯機10の運転中に、水槽12に対して所定量の洗濯処理剤を自動で投入する。
【0023】
処理剤タンク22の詳細な構成について、
図2~
図9を参照して説明する。処理剤タンク22は、タンク本体40と、キャップ部材50と、フィルタ部材60とを有する。タンク本体40は、処理剤タンク22の外殻を構成しており、開口部401を有する容器状に形成されている。キャップ部材50は、タンク本体40の開口部401を開閉する。キャップ部材50は、清掃時やメンテナンス時にユーザまたは作業者によってタンク本体40から着脱可能に構成されている。フィルタ部材60は、タンク本体40とキャップ部材50との間に配置されて、ポンプ30によって開口部401を介してタンク本体40の外部に吸い出される洗濯処理剤から埃等の異物を捕集して除去する。
【0024】
図3に示すように、本実施形態の場合、タンク本体40は全体として略直方体状に形成されており、前面部41、左右の側面部42、背面部43、底面部44、及び上面部45を有している。前面部41と、左右の側面部42と、背面部43とは、タンク本体40の容器形状の側面を形成する。底面部44は、タンク本体40の容器形状の底面を形成する。本実施形態では、底面部44は、背面部43に近づく程下降するように傾斜している。上面部45は、タンク本体40の容器形状の上面を形成する。
【0025】
図2及び
図4に示すように、開口部401は、タンク本体40を貫通して形成されており、タンク本体40の内部と外部とを連通する。開口部401は、タンク本体40の下部、例えば前面部41、左右の側面部42、若しくは背面部43の底面部44寄りの部分、又は底面部44に設けられている。開口部401は、ユーザが洗濯処理剤を処理剤タンク22に注入する際の注入口となる開口である。また、開口部401は、ポンプ30によって所定量の洗濯処理剤が吸い出される際に洗濯処理剤の出口となる開口でもある。
【0026】
図2及び
図4等に示すように、タンク本体40は筒状部46を有している。筒状部46は、両端部が貫通した筒状に形成されてタンク本体40の一部から外側に向けて突出している。開口部401は、筒状部46の外側の端部に位置する。本実施形態では、筒状部46は、背面部43の下縁部に設けられている。すなわち、開口部401は、タンク本体40の後部において後方に向けて開口して内部と外部とを連通している。
【0027】
開口部401は、処理剤タンク22への洗濯処理剤の入口と処理剤タンク22からの洗濯処理剤の出口とを兼ねる。すなわち、処理剤タンク22は、洗濯処理剤の入口及び出口として単一の開口部401を有する。ユーザは、開口部401から洗濯処理剤をタンク本体40に補充し、また、ポンプ30によって洗濯処理剤が吸い出される際に、洗濯処理剤は、開口部401から処理剤タンク22外部に流出する。本実施形態では、開口部401は、タンク本体40が有する唯一の開口部である。
【0028】
なお、他の実施形態では、タンク本体40は、開口部401以外に、洗濯処理剤の入口又は出口として機能しない開口部を有していても良い。例えば
図5に示すように、タンク本体40は開口部401以外に吸気口100と、吸気弁101とを有していても良い。吸気口100は、処理剤タンク22の使用時つまり収容部21に収容された状態と、洗濯処理剤の補充時つまり収容部21から取り出して開口部401を上方に向けた状態との双方においてタンク本体40の上部に位置するように配置して、吸気弁101が洗濯処理剤に触れることを抑制することが望ましい。
図5に示す例では、吸気口100は、上面部45の背面部43側の縁部を厚み方向に貫通して形成されている。吸気弁101は、吸気口100を開閉可能に構成されている。またこの場合、開口部401は、底面部44ではなく
図5に示すように背面部43に配置されていることが好ましい。
【0029】
なお、本実施形態では、筒状部46及び開口部401は、背面部43の右縁部に偏って配置されているが、これに限らない。他の実施形態では、筒状部46及び開口部401は、背面部43の左縁部に偏って配置されていても良いし、左右方向の中央部に配置されていても良い。筒状部46は、断面が円形、長円形、楕円形、四角形等の多角形、又は任意の形状であって良い。本実施形態では、筒状部46は断面が円径つまり円筒形状に形成されている。
【0030】
図6及び
図7等に示すように、キャップ部材50は、筒状この場合円筒状に形成された外筒部51と、接続部52と、頭部53と、を含んで構成される。外筒部51は、筒状に形成されて、タンク本体40に装着された状態で、筒状部46を内部に収容する。接続部52は、外筒部51の内側に形成されて、キャップ部材を装着したタンク本体40が収容部21に収容された状態で、吸出し部31が接続する部位である。接続部52は、内筒部521と弁機構522とを含んで構成される。内筒部521は、筒状この場合円筒状に形成されて、接続部52に吸出し部31が接続された状態で、内部に吸出し部31の挿入を許す。内筒部521は、キャップ部材50がタンク本体40に装着された状態で、処理剤タンク22の内部からポンプ30に至る洗濯処理剤の経路を形成する。
【0031】
弁機構522は、接続部52が吸出し部31に接続されていない場合には内筒部521内の経路を閉じて洗濯処理剤の通過を許さず、接続部52が吸出し部31に接続されている場合には内筒部521内の経路を開いて洗濯処理剤の通過を許す。
【0032】
頭部53は、外筒部51の一端部と内筒部521の一端部とを接続する。この場合、頭部53は、キャップ部材50の背面を形成し、外筒部51の後端部と内筒部521の一端部とを接続する。また、頭部53は、中央に開口を有して円環状に形成されている。頭部53の開口は、接続部52に吸出し部31が接続された状態で、内部に吸出し部31の挿入を許す。
【0033】
図8に示すように、フィルタ部材60は、フィルタ部61と鍔部62とを含んで構成される。フィルタ部61は、有底の筒状に形成されており、底部611と胴部612とを有する。底部611は、フィルタ部材60がタンク本体40に装着された状態で、処理剤タンク22の内方を向く面つまりこの場合フィルタ部材60の前面を形成している。胴部612は、フィルタ部材60の筒形状の側面を形成する。胴部612の底部611とは反対側の端部つまりこの場合後端部は、鍔部62に接続されている。
【0034】
底部611と胴部612とには複数の小孔が開口している。フィルタ部61の小孔の寸法は、埃などの異物は通過できないが、洗濯処理剤は通過を許す程度の大きさに設定されている。本実施形態では、フィルタ部61は円筒状に形成されている。
【0035】
図9に示すように、胴部612の外寸つまり外径Rf1は、タンク本体40の筒状部46の内寸つまり内径Rt2よりも小さく、かつ、胴部612の内寸つまり内径Rf2は、キャップ部材50の内筒部521の外寸つまり外径Rc1よりも大きく設定されている。そのため、フィルタ部61は、筒状部46に挿入されることができる。また、フィルタ部61に内筒部521の少なくとも一部を収容することができる。
【0036】
フィルタ部材60がタンク本体40に装着された状態で、底部611は、筒状部46よりもタンク本体40の中央部寄りに位置する。すなわち、胴部612の挿抜方向の長さ寸法は、筒状部46の同方向の長さ寸法よりも長く設定されている。これにより、フィルタ部61の表面積が確保できるので、仮にフィルタ部61の一部が目詰まりしても、ポンプ30によって所定量の洗濯処理剤を吸い出す妨げになり難い。なお、本実施形態では、底部611は平面状に形成されているが、これに限らない。例えば、他の実施形態では、底部は曲面状に形成されていても良いし、段部を有していても良い。
【0037】
鍔部62は、フィルタ部61の後端部から胴部612に対して垂直な方向つまり径方向外側に向けて張り出している。鍔部62は、中央に開口を有して円環状に形成されている。
図9に示すように、鍔部62の外寸つまり外径Rf3は、タンク本体40の筒状部46の少なくとも内寸つまり内径Rt2以上に設定されている。そのため、フィルタ部材60が、開口部401からタンク本体40の内部に落下してしまうことが回避できる。本実施形態では、鍔部62の外径Rf3は、筒状部46の外径Rt1と概ね同一となるように設定されている。
【0038】
図9及び
図10に示すように、鍔部62の外寸つまり外径Rf3は、キャップ部材50の外筒部51の内寸つまり内径Rc4よりも小さく設定されている。そのため、フィルタ部61をタンク本体40の開口部401から内側に挿入した状態で、キャップ部材50をタンク本体40に装着すると、フィルタ部材60は、キャップ部材50と筒状部46との間に挟まれて固定される。
【0039】
この場合、鍔部62は、弾性と水密性とを有する例えば合成ゴムで構成されてパッキンとしての機能を備えていても良い。また、別の実施形態では、鍔部62と開口部401との間に、弾性と水密性とを有する例えば合成ゴムで構成された円環状のパッキンを挟んでいても良い。
【0040】
キャップ部材50とタンク本体40とは、既知の任意の方法で着脱可能に固定することができる。例えば、本実施形態では、キャップ部材50とタンク本体40とは、ねじ機構によって着脱可能に固定されている。
図6、
図7及び
図9に示すように、キャップ部材50は、外筒部51の内面に、雌ねじ部511を有している。
図4、
図7及び
図9に示すように、タンク本体40は、筒状部46の外面に、雌ねじ部511と係合可能な雄ねじ部461を有している。つまりこの場合、キャップ部材50は、螺合により着脱可能ないわゆるスクリューキャップである。このように、キャップ部材50とフィルタ部材60とは、タンク本体40に簡単に着脱することができる。
【0041】
ユーザ又は作業者による清掃・メンテナンス作業や洗濯処理剤の補充について説明する。処理剤タンク22は、収容部21から取り出して、開口部401を有する例えばこの場合背面部43が上方に向く姿勢で台上に載置することができる。ユーザ又は作業者は、キャップ部材50を所定の方向例えば左回しに回すことでねじ機構の螺合状態を緩めてタンク本体40からキャップ部材50を取り外し、フィルタ部材60もタンク本体40から取り外すことができる。タンク本体40内部をボトル用のブラシ等の清掃用具で清掃しても良いし、取り外したキャップ部材50やフィルタ部材60を清掃しても良い。更に、開口部401から洗濯処理剤を注入して補充することができる。また、清掃・メンテナンス作業及び又は洗濯処理剤の補充後、ユーザ又は作業者は、フィルタ部材60とキャップ部材50とをタンク本体40に装着して、再び処理剤タンク22を収容部21に収容する。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、洗濯機10は、水槽12と、水槽12に所定量の洗濯処理剤を自動で投入する自動投入装置20と、を備える。自動投入装置20は、洗濯運転複数回分の洗濯処理剤を貯留可能な処理剤タンク22と、処理剤タンク22から所定量の洗濯処理剤を抜き出すポンプ30と、を有する。処理剤タンク22は、開口部401を有して容器状に形成されたタンク本体40と、開口部401を着脱可能に閉塞し、ポンプ30と接続する接続部52を有するキャップ部材50と、底部611と胴部612とを有する有底筒状に形成されて底部611が前記タンク本体40の内方を向く姿勢で開口部401とキャップ部材50との間に配置されポンプ30が吸い出す洗濯処理剤内の異物を捕捉するフィルタ部材60と、を有する。
【0043】
これによれば、接続部52は、キャップ部材50を外すことでタンク本体40から取り出して清掃することができる。また、キャップ部材50を取り外すとフィルタ部材60もタンク本体40から取り外すことができる。そのため、処理剤タンク22内の貯留量に依らず、任意の時点でフィルタ部材60も清掃することができる。したがって、フィルタ部材60やポンプ30との接続部52の清掃が容易な処理剤タンク22を備えた洗濯機10が提供される。
【0044】
更に、フィルタ部材60は、処理剤タンク22の二面に渡し掛ける構造と比較して、小型化することができる。したがって、フィルタ部材の製造コスト、ひいては洗濯機10の製造コストを抑制することができる。
【0045】
開口部401は、処理剤タンク22への洗濯処理剤の入口と、処理剤タンク22からの洗濯処理剤の出口とを兼ねる。
【0046】
すなわち、処理剤タンク22は、処理剤の出入りのために複数の開口部を有する必要がなく、シンプルな構造とすることができる。そのため、処理剤タンク22の製造性が向上するとともに製造コストが抑制される。また、ユーザが処理剤タンク22を掃除する際には、ボトル用ブラシなどで簡単に掃除することができる。更に、ユーザ又は作業者は、処理剤タンク22を開口部401が上方に向いた姿勢にすることで、洗濯処理剤の貯留量つまり液面位置に拘わらずにキャップ部材を取り外すことができる。そのため、所望の時点でフィルタ部材60や接続部52を清掃することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0047】
タンク本体40は、開口部401の外に洗濯処理剤の補充又は吸出しが可能な開口部を有さない。
【0048】
これによれば、余計な開口部がないため、液漏れの虞が抑制される。また、タンク本体40の形状をシンプルにすることができるため、処理剤タンク22の製造性が向上するとともに製造コストが抑制される。
【0049】
フィルタ部材60は、胴部612の底部611の反対側の端部から外側に向けて張り出して形成された鍔部62を有する。鍔部62の外寸は、キャップ部材50の内寸よりも小さくかつ開口部401の内寸よりも大きく設定されている。フィルタ部材60は、キャップ部材50をタンク本体40に固定することで、鍔部62がキャップ部材50とタンク本体40とによって両側から挟まれてタンク本体40に固定される。
【0050】
これによれば、フィルタ部材60が誤ってタンク本体40内部に落下してしまう事態が回避できる。また、フィルタ部材60とキャップ部材50との間に埃などの異物が混入する結果、ポンプ30が異物を吸い込んでしまうことを抑制できる。
【0051】
なお、鍔部62がキャップ部材50とタンク本体40とによって両側から挟まれることは、鍔部62が直接又は間接的にキャップ部材50とタンク本体40とによって挟まれて固定されることを意味する。そのため、キャップ部材50をタンク本体40に固定することによってフィルタ部材60も固定されるのであれば、鍔部62とタンク本体40の間、及び又は鍔部62とキャップ部材50との間に、例えばパッキンのような別の部材が介在していても良い。
【0052】
開口部401は、タンク本体40の下部に配置されている。タンク本体40の底面部44は、開口部401に向けて下降する傾斜面を形成している。
【0053】
これによれば、処理剤タンク22内部の貯留量が少なくなっても、重力に従い開口部401に向けて洗濯処理剤が集まって来る。そのため、ポンプ30による洗濯処理剤の吸い出し及び水槽12への洗濯処理剤の投入をより確実にすることができる。
【0054】
(第2実施形態)
図11及び
図12を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態では、フィルタ部材60は、キャップ部材50に着脱可能に固定することができる。これにより、フィルタ部材60を固定したキャップ部材50をタンク本体40に装着することで、一度にフィルタ部材60とキャップ部材50とをタンク本体40に装着することができる。
【0055】
この場合、キャップ部材50は、複数この場合2つの爪部54を有している。鍔部62を先頭にしてフィルタ部材60をキャップ部材50の外筒部51に挿入すると、鍔部62の挿抜方向への移動が爪部54によって固定されて、外力のない状態ではフィルタ部材60はキャップ部材50から外れなくなる。そのため、キャップ部材50をタンク本体40から取り外すと、フィルタ部材60も一緒にタンク本体40から取り外される。
【0056】
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0057】
本実施形態によれば、フィルタ部材60は、胴部612の底部611の反対側の端部から外側に向けて張り出して形成された鍔部62を有する。鍔部62の外寸は、キャップ部材50の内寸よりも小さく設定されている。キャップ部材50は、鍔部62を着脱可能に把持する爪部を有している。
【0058】
これによれば、フィルタ部材60をキャップ部材50に固定することができるので、フィルタ部材60とキャップ部材50のタンク本体40への着脱が一度の動作で同時に行え、清掃時やメンテナンス時の作業性が向上する。
【0059】
(第3実施形態)
図13及び
図14を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態では、処理剤タンク22は、フィルタ部材70を含んで構成される。フィルタ部材70は、キャップ部材50を装着しない状態においてもタンク本体40に固定することができる。
【0060】
フィルタ部材70とタンク本体40とは、任意の既知の方法で固定することができる。本実施形態では、フィルタ部材70は、タンク本体40にねじ機構により固定することができる。例えば、フィルタ部材70は、フィルタ部71と、鍔部72と、係合部73とを含んで構成される。フィルタ部71は、有底の筒状に形成されており、底部711と胴部712とを有する。底部711は、フィルタ部材70がタンク本体40に装着された状態で、処理剤タンク22の内方を向く面つまりこの場合フィルタ部材70の前面を形成している。胴部712は、フィルタ部材70の筒形状の側面を形成する。胴部712の底部711とは反対側の端部つまりこの場合後端部は、係合部73に接続されている。
【0061】
係合部73は、筒状この場合円筒状に形成されている。係合部73のフィルタ部71に接合されていない側の端部は、鍔部62に接続されている。フィルタ部材70は、係合部73の外面に、雄ねじ部731を有している。タンク本体40は、筒状部46の内面に図示しない雌ねじ部を有している。雌ねじ部は、雄ねじ部731と係合可能に構成されている。フィルタ部材70は、雄ねじ部731と雌ねじ部の螺合により、筒状部46に着脱可能に固定することができる。フィルタ部材70が筒状部46に固定された状態で、キャップ部材50はタンク本体40に固定することができる。
【0062】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0063】
(第4実施形態)
図15を参照して第4実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯機10は、残量検知機構80を備える。残量検知機構80は、処理剤タンク22内に貯留された洗濯処理剤の残量を検知する機能を有する。
【0064】
残量検知機構80は、被検知部81と、検知部82とを含んで構成される。被検知部81は、タンク本体40内部に配置されて、洗濯処理剤の残量に応じて位置が変動する。被検知部81は、例えば洗濯処理剤に浮くフロートと、磁石等を含んで構成される。検知部82は、処理剤タンク22の外部例えば収容部21の外側に配置されて、被検知部の接近を検知可能に構成されている。検知部82は、例えばホールセンサ等の磁気センサとすることができる。
【0065】
この場合、被検知部81は、少なくとも二方向に関する外寸が開口部401の内寸つまりこの場合内径よりも小さく設定されている。そのため、被検知部81は、開口部401を介してタンク本体40に出し入れすることができる。
【0066】
被検知部81は、係留部材83によってフィルタ部材60又はキャップ部材50に係留されている。本実施形態では、被検知部81は、係留部材83によってフィルタ部材60に係留されている。係留部材83は、屈曲可能に構成された例えば紐状又はリボン状の部材である。係留部材83は、被検知部81の移動を所定の範囲内に規制するので、検知部82による被検知部81の接近の検知が正確となる。
【0067】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0068】
本実施形態によれば、洗濯機10は、処理剤タンク22内部に配置されて、洗濯処理剤の残量に応じて位置が変動する被検知部81と、処理剤22タンク外部に配置されて被検知部81の位置を検知する検知部82と、を含む残量検知機構を備える。被検知部81は、開口部401を通過可能に構成されて、屈曲可能に構成された係留部材83によってフィルタ部材60又はキャップ部材50に係留されている。
【0069】
これによれば、キャップ部材50及び又はフィルタ部材60をタンク本体40から取り外すことで、被検知部81も処理剤タンク22から取り出して清掃することができる。したがって、処理剤タンク22の清掃性が更に向上する。
【0070】
なお、上記各実施形態では、筒状部46及び開口部401は背面部43に設けられていたが、これに限らない。例えば、他の実施形態では、筒状部46及び開口部401は底面部44の後縁部に設けられていても良い。
【0071】
また、上記各実施形態では、キャップ部材50とタンク本体40とは、ねじ機構の螺合により固定されていたが、これに限らない。他の実施形態では、例えばいわゆるスナップフィットによってキャップ部材50とタンク本体40とが固定されていても良い。
【0072】
また、上記各実施形態は、適宜組み合わせて実施することができる。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10…洗濯機、12…水槽、20…自動投入装置、22…処理剤タンク、30…ポンプ、40…タンク本体部材、401…開口部、50…キャップ部材、54…爪部、52…接続部、60…フィルタ部材、61…フィルタ部、611…底部、612…胴部、62…鍔部、70…フィルタ部材、71…フィルタ部、711…底部、712…胴部、72…鍔部、80…残量検知機構、81…被検知部、82…検知部、83…係留部材