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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174568
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】破骨細胞分化抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/20 20060101AFI20241210BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20241210BHJP
   A23L 33/12 20160101ALI20241210BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K31/20
A61P19/10
A61P19/08
A23L33/12
A23L2/52
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092459
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】517298378
【氏名又は名称】株式会社ナガセビューティケァ
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】位上 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】南 大喬
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018MD10
4B018ME05
4B117LC04
4B117LK08
4B117LK09
4B117LK12
4B117LK20
4B117LL01
4B117LL07
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA03
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA96
4C206ZA97
(57)【要約】
【課題】破骨細胞分化抑制等に有用な剤を提供する。
【解決手段】剤に、ヒドロキシC10-30脂肪酸及びオキソC10-30脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含有させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシC10-30脂肪酸及びオキソC10-30脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、破骨細胞分化抑制剤及び/又はTRAP活性抑制剤。
【請求項2】
ヒドロキシC10-30脂肪酸及びオキソC10-30脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含み、下記(1)~(2)から選択された少なくとも1つの用途に使用するための剤。
(1)骨密度の低下抑制及び/又は骨密度の維持
(2)骨粗しょう症の改善、抑制及び/又は予防
【請求項3】
ヒドロキシC10-30脂肪酸及びオキソC10-30脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、破骨細胞分化抑制及び/又はTRAP活性抑制のための組成物。
【請求項4】
ヒドロキシC10-30脂肪酸及びオキソC10-30脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、下記(1)~(2)から選択された少なくとも1つの用途に使用するための組成物。
(1)骨密度の低下抑制及び/又は骨密度の維持
(2)骨粗しょう症の改善、抑制及び/又は予防
【請求項5】
ヒドロキシC12-24脂肪酸及びオキソC12-24脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤又は組成物。
【請求項6】
炭素数16のヒドロキシ脂肪酸、炭素数18のヒドロキシ脂肪酸、炭素数20のヒドロキシ脂肪酸、炭素数16のオキソ脂肪酸、炭素数18のオキソ脂肪酸、炭素数20のオキソ脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤又は組成物。
【請求項7】
ヒドロキシオクタデカン酸及びオキソオクタデカン酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤又は組成物。
【請求項8】
10-ヒドロキシオクタデカン酸及び12-ヒドロキシオクタデカン酸から選択された少なくとも1種を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤又は組成物。
【請求項9】
10-ヒドロキシオクタデカン酸を含む、請求項1~4のいずれかに記載の剤又は組成物。
【請求項10】
経口用である、請求項1~4のいずれかに記載の剤又は組成物。
【請求項11】
飲食品である、請求項3又は4記載の組成物。
【請求項12】
健康食品又はサプリメントである、請求項3又は4記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破骨細胞の分化抑制に有用な剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗しょう症は、過剰な骨吸収により骨量が低下する疾患(病気)であり、破骨細胞の分化(増殖)の活発化による骨量減少に起因する。
【0003】
そのため、破骨細胞の分化(増殖)を抑制(阻害)することで、骨粗しょう症を改善(抑制)・遅延したり、予防できるものと考えられる。
【0004】
なお、ヒドロキシオクタデカン酸のような脂肪酸の機能が研究されつつあり、例えば、特許文献1には、水酸基又はカルボニル基を有する特定の脂肪酸を、抗炎症剤として用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/111701号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、破骨細胞の分化(増殖)の抑制[又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ)活性の抑制]に有用な剤等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の成分が、破骨細胞の分化(増殖)の抑制[又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ)活性の抑制]に有効(有用)であること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の発明等に関する。
[1]
ヒドロキシ脂肪酸(特にヒドロキシC10-30脂肪酸)及びオキソ脂肪酸(特にオキソC10-30脂肪酸)から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、破骨細胞分化抑制剤及び/又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ)活性抑制剤(破骨細胞分化抑制及び/又はTRAP活性抑制のための剤、破骨細胞分化抑制及びTRAP活性抑制から選択された少なくとも1つの用途に使用するための剤)。
[2]
ヒドロキシ脂肪酸(特にヒドロキシC10-30脂肪酸)及びオキソ脂肪酸(特にオキソC10-30脂肪酸)から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含み、下記(1)~(2)から選択された少なくとも1つの用途に使用するための剤。
(1)骨密度の低下抑制及び/又は骨密度(骨量)の維持
(2)骨粗しょう症の改善(治療)、抑制(進行抑制)及び/又は予防
[3]
ヒドロキシ脂肪酸(特にヒドロキシC10-30脂肪酸)及びオキソ脂肪酸(特にオキソC10-30脂肪酸)から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、破骨細胞分化抑制及び/又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ)活性抑制のための組成物。
[4]
ヒドロキシ脂肪酸(特にヒドロキシC10-30脂肪酸)及びオキソ脂肪酸(特にオキソC10-30脂肪酸)から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、下記(1)~(2)から選択された少なくとも1つの用途に使用するための組成物。
(1)骨密度の低下抑制及び/又は骨密度(骨量)の維持
(2)骨粗しょう症の改善(治療)、抑制(進行抑制)及び/又は予防
[5]
ヒドロキシC12-24脂肪酸及びオキソC12-24脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の剤又は組成物。
[6]
炭素数16のヒドロキシ脂肪酸、炭素数18のヒドロキシ脂肪酸、炭素数20のヒドロキシ脂肪酸、炭素数16のオキソ脂肪酸、炭素数18のオキソ脂肪酸、炭素数20のオキソ脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の剤又は組成物。
[7]
ヒドロキシオクタデカン酸及びオキソオクタデカン酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の剤又は組成物。
[8]
10-ヒドロキシオクタデカン酸及び12-ヒドロキシオクタデカン酸から選択された少なくとも1種を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の剤又は組成物。
[9]
10-ヒドロキシオクタデカン酸を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の剤又は組成物。
[10]
経口用である、[1]~[9]のいずれかに記載の剤又は組成物。
[11]
飲食品である、[3]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
健康食品又はサプリメントである、[3]~[11]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、破骨細胞の分化(増殖)の抑制[又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ、tartrate-resistant acid phosphatase)活性の抑制]に有用な剤等を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[剤]
本発明では、ヒドロキシ脂肪酸及びオキソ脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸(以下、単に脂肪酸ということがある)を含む剤を提供する。
【0011】
脂肪酸としては、例えば、炭素数が8以上の脂肪酸等が挙げられ、代表的には炭素数10以上の脂肪酸(例えば、ヒドロキシC10-30脂肪酸、オキソC10-30脂肪酸)、好ましくは炭素数12以上の脂肪酸(例えば、ヒドロキシC12-24脂肪酸、オキソC12-24脂肪酸)、さらに好ましくは炭素数14以上の脂肪酸(例えば、ヒドロキシC14-22脂肪酸、オキソC14-22脂肪酸)、特に炭素数16以上の脂肪酸(例えば、ヒドロキシC16-20脂肪酸、オキソC16-20脂肪酸)であってもよい。
【0012】
脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。特に、ヒドロキシ脂肪酸は飽和脂肪酸であってもよい。なお、不飽和脂肪酸において、不飽和結合の数は、1以上であればよく、例えば、1~6、1~4、1~3、1~2、1等が挙げられる。
【0013】
脂肪酸は、鎖状脂肪酸、環状脂肪酸のいずれであってもよいが、特に鎖状脂肪酸であってもよい。
【0014】
鎖状脂肪酸は、直鎖状脂肪酸、分岐鎖状脂肪酸のいずれであってもよいが、特に直鎖状脂肪酸であってもよい。
【0015】
脂肪酸(カルボキシ基の数)は、モノカルボン酸、ポリカルボン酸(例えば、ジないしテトラカルボン酸)のいずれであってもよいが、好ましくはモノ又はジカルボン酸、特に、モノカルボン酸であってもよい。
【0016】
ヒドロキシ脂肪酸(ヒドロキシ基の数)は、モノヒドロキシ脂肪酸、ポリヒドロキシ脂肪酸(例えば、ジないしテトラヒドロキシ脂肪酸)のいずれであってもよいが、好ましくはモノ又はジヒドロキシ脂肪酸、特に、モノヒドロキシ脂肪酸であってもよい。
【0017】
オキソ脂肪酸(オキソ基の数)は、モノオキソ脂肪酸、ポリオキソ脂肪酸(例えば、ジないしテトラオキソ脂肪酸)のいずれであってもよいが、好ましくはモノ又はジオキソ脂肪酸、特に、モノオキソ脂肪酸であってもよい。
【0018】
ヒドロキシ脂肪酸において、ヒドロキシ基の位置(置換位置)は、ヒドロキシ基の数や脂肪酸の種類等にもよるが、末端、内部[例えば、ヒドロキシオクタデカン酸(1位がカルボキシ基)であれば、末端は18位、内部は2~17位(例えば、3~16位、5~15位、6~15位)]のいずれであってもよく、代表的には内部であってもよい。
【0019】
オキソ脂肪酸において、オキソ基の位置(置換位置)は、オキソ基の数や脂肪酸の種類等にもよるが、末端、内部[例えば、オキソオクタデカン酸(1位がカルボキシ基)であれば、末端は18位、内部は2~17位(例えば、3~16位、5~15位、6~15位)]のいずれであってもよく、代表的には内部であってもよい。
【0020】
なお、脂肪酸は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。また、ヒドロキ脂肪酸がオキソ基を有していてもよい。
【0021】
代表的な脂肪酸としては、例えば、炭素数18の脂肪酸、炭素数18以外(例えば、炭素数16、20等の炭素数10~30(炭素数18を除く)程度)の脂肪酸等が挙げられる。
【0022】
炭素数18の脂肪酸としては、例えば、炭素数18のヒドロキシ脂肪酸[例えば、ヒドロキシオクタデカン酸(例えば、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸、10,12-ジヒドロキシオクタデカン酸、10,13-ジヒドロキシ-オクタデカン酸、10-オキソ-13-ヒドロキシ-オクタデカン酸)、ヒドロキシオクタデセン酸(例えば、10-ヒドロキシ-シス-15-オクタデセン酸、10-ヒドロキシ-シス-6-オクタデセン酸、10-ヒドロキシ-トランス-11-オクタデセン酸、13-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸、10,13-ジヒドロキシ-シス-6-オクタデセン酸、10,13-ジヒドロキシ-シス-15-オクタデセン酸、12-オキソ-シス-9-オクタデセン酸、10-オキソ-13-ヒドロキシ-シス-6-オクタデセン酸、10-オキソ-13-ヒドロキシ-シス-15-オクタデセン酸等)、ヒドロキシオクタデカポリエン酸(例えば、10-ヒドロキシ-シス-12-オクタデセン酸、10-ヒドロキシ-シス-12,シス-15-オクタデカジエン酸、10-ヒドロキシ-シス-6,シス-12-オクタデカジエン酸、10-ヒドロキシ-シス-6,シス-12,シス-15-オクタデカトリエン酸、10-ヒドロキシ-シス-6,シス-15-オクタデカジエン酸、10-ヒドロキシ-トランス-11,シス-15-オクタデカジエン酸、10-ヒドロキシ-シス-6,トランス-11-オクタデカジエン酸、10-ヒドロキシ-シス-6,トランス-11,シス-15-オクタデカトリエン酸、13-ヒドロキシ-シス-6,シス-9-オクタデカジエン酸、13-ヒドロキシ-シス-9,シス-15-オクタデカジエン酸、13-ヒドロキシ-シス-6,シス-9,シス-15-オクタデカトリエン酸、10,13-ジヒドロキシ-シス-6,シス-15-オクタデカジエン酸、10-オキソ-13-ヒドロキシ-シス-6,シス-15-オクタデカジエン酸、13-ヒドロキシ-シス-5,シス-9-オクタデカジエン酸、13-ヒドロキシ-トランス-5,シス-9-オクタデカジエン酸等)等]、炭素数18のオキソ脂肪酸[例えば、オキソオクタデカン酸(例えば、10-オキソオクタデカン酸、12-オキソ-オクタデカン酸、10,13-ジオキソ-オクタデカン酸)、オキソオクタデセン酸(例えば、10-オキソ-シス-12-オクタデセン酸、10-オキソ-シス-6-オクタデセン酸、10-オキソ-シス-15-オクタデセン酸、10-オキソ-トランス-11-オクタデセン酸、13-オキソ-シス-9-オクタデセン酸、10,13-ジオキソ-シス-6-オクタデセン酸、10,13-ジオキソ-シス-15-オクタデセン酸等)、オキソオクタデカポリエン酸(例えば、10-オキソ-シス-12,シス-15-オクタデカジエン酸、10-オキソ-シス-6,シス-12-オクタデカジエン酸、10-オキソ-シス-6,シス-12,シス-15-オクタデカトリエン酸、10-オキソ-シス-6,シス-15-オクタデカジエン酸、10-オキソ-シス-6,トランス-11-オクタデカジエン酸、10-オキソ-トランス-11,シス-15-オクタデカジエン酸または10-オキソ-シス-6,トランス-11,シス-15-オクタデカトリエン酸13-オキソ-シス-6,シス-9-オクタデカジエン酸、13-オキソ-シス-9,シス-15-オクタデカジエン酸、13-オキソ-シス-6,シス-9,シス-15-オクタデカトリエン酸、10,13-ジオキソ-シス-6,シス-15-オクタデカジエン酸、13-オキソ-シス-5,シス-9-オクタデカジエン酸、13-オキソ-トランス-5,シス-9-オクタデカジエン酸等)等の炭素数18のオキソ脂肪酸]等が挙げられる。
【0023】
炭素数18以外(例えば、炭素数16、20等の炭素数10~30(炭素数18を除く)程度)の脂肪酸としては、例えば、ヒドロキシヘキサデカン酸(例えば、10-ヒドロキシ-ヘキサデカン酸)、オキソヘキサデカン酸(例えば、10-オキソ-ヘキサデカン酸)、ヒドロキシエイコセン酸(例えば、12-ヒドロキシ-シス-14-エイコセン酸、15-ヒドロキシ-シス-11-エイコセン酸)、ヒドロキシエイコサポリエン酸(例えば、12-ヒドロキシ-シス-14,シス-17-エイコサジエン酸、12-ヒドロキシ-シス-8,シス-14-エイコサジエン酸、12-ヒドロキシ-シス-5,シス-8-エイコサジエン酸、12-ヒドロキシ-シス-8,シス-14,シス-17-エイコサトリエン酸、12-ヒドロキシ-シス-5,シス-8,シス-14-エイコサトリエン酸、15-ヒドロキシ-シス-11,シス-17-エイコサジエン酸、15-ヒドロキシ-シス-8,シス-11-エイコサジエン酸、15-ヒドロキシ-シス-5,シス-8,シス-11-エイコサトリエン酸、15-ヒドロキシ-シス-8,シス-11,シス-17-エイコサトリエン酸、15-ヒドロキシ-シス-5,シス-11-エイコサジエン酸、15-ヒドロキシ-シス-5,シス-11,シス-17-エイコサトリエン酸)、オキソエイコセン酸(例えば、12-オキソ-シス-14-エイコセン酸、15-オキソ-シス-11-エイコセン酸)、オキソエイコサポリエン酸(例えば、12-オキソ-シス-14,シス-17-エイコサジエン酸、12-オキソ-シス-8,シス-14-エイコサジエン酸、12-オキソ-シス-5,シス-8-エイコサジエン酸、12-オキソ-シス-8,シス-14,シス-17-エイコサトリエン酸、12-オキソ-シス-5,シス-8,シス-14-エイコサトリエン酸、15-オキソ-シス-11,シス-17-エイコサジエン酸、15-オキソ-シス-8,シス-11-エイコサジエン酸、15-オキソ-シス-5,シス-8,シス-11-エイコサトリエン酸、15-オキソ-シス-8,シス-11,シス-17-エイコサトリエン酸、15-オキソ-シス-5,シス-11-エイコサジエン酸または15-オキソ-シス-5,シス-11,シス-17-エイコサトリエン酸)等の炭素数18の脂肪酸に対応する脂肪酸(炭素数16、20の脂肪酸等)等が挙げられる。
【0024】
脂肪酸は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0025】
これらの脂肪酸のうち、ヒドロキシC10-30脂肪酸(例えば、ヒドロキシC12-24脂肪酸、好ましくはヒドロキシC16-20脂肪酸)及びオキソC10-30脂肪酸(例えば、オキソC12-24脂肪酸、好ましくはオキソC16-20脂肪酸)から選択された少なくとも1種の脂肪酸を好適に使用してもよい。
【0026】
中でも、炭素数16のヒドロキシ脂肪酸、炭素数18のヒドロキシ脂肪酸、炭素数20のヒドロキシ脂肪酸、炭素数16のオキソ脂肪酸、炭素数18のオキソ脂肪酸、炭素数20のオキソ脂肪酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸、特に、ヒドロキシオクタデカン酸及びオキソオクタデカン酸から選択された少なくとも1種の脂肪酸(例えば、10-ヒドロキシオクタデカン酸、12-ヒドロキシオクタデカン酸等のヒドロキシオクタデカン酸)を好適に使用してもよい。
【0027】
なお、ヒドロキシオクタデカン酸を使用する場合、特に、安全性(安全性と後述の機能とのバランス)等の観点から、10-ヒドロキシオクタデカン酸を好適に使用してもよい。
【0028】
脂肪酸は、市販品を使用してもよく、慣用ないし公知の方法により合成したものを使用してもよい。
【0029】
(剤の用途)
本発明の剤は、特定の用途に使用できる。
【0030】
まず、本発明の剤は、破骨細胞分化抑制剤[及び/又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ)活性抑制剤]として使用できる。
また、本発明の剤は、破骨細胞の分化抑制(及び/又はTRAP活性抑制)に関連する(又は関連することが報告されている)用途、例えば、下記(1)及び(2)から選択された少なくとも1つの用途に使用してもよい。
(1)骨密度(骨量)の低下抑制及び/又は骨密度(骨量)の維持
(2)骨粗しょう症の改善(治療)、抑制(進行抑制)及び/又は予防
【0031】
[組成物、投与形態等]
本発明には、前記脂肪酸(又は剤)を含む組成物も含まれる。
【0032】
なお、組成物において、前記脂肪酸(又は剤)の態様(具体的態様、好ましい態様等)は前記と同様である。
【0033】
そして、このような組成物もまた、前記剤と同様の機能・用途に使用しうる。例えば、破骨細胞分化抑制(及び/又はTRAP活性抑制)用、骨密度(骨量)の低下抑制及び/又は維持用、骨粗しょう症の改善(治療)、抑制(進行抑制)及び/又は予防用等に使用しうる。
【0034】
なお、このような機能・用途は、前記剤同様、前記脂肪酸を有効成分とするものであってもよい。
【0035】
脂肪酸(又は剤又は組成物)の摂取(服用、投与)形態は、特に限定されず、経口(経口用)であっても、非経口(非経口用)であってもよい。非経口投与(非経口摂取)としては、例えば、直腸投与、注射投与(例えば、静脈内投与、脊椎腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、動脈内投与、関節内投与、皮内投与、病巣内投与)などが挙げられる。
【0036】
特に、摂取(投与)しやすさ等の観点から、脂肪酸(又は剤又は組成物)は、経口用であってもよい。
【0037】
脂肪酸(又は剤又は組成物)の摂取(服用、投与)対象は、ヒト、非ヒト動物(例えば、イヌ、ネコ等)が挙げられる。対象は、特定の対象[例えば、女性用、高齢者用、患者又は病者用(例えば、骨粗しょう症の患者用)など]であってもよい。
【0038】
脂肪酸(剤又は組成物)の摂取量(投与量、服用量)は、疾患・症状の程度等に応じて選択できるが、例えば、1日あたり、脂肪酸として、0.01mg以上(例えば、0.01~1000mg)、好ましくは0.1mg以上(例えば、0.1~100mg)、さらに好ましくは1mg以上(例えば、1~10mg)程度であってもよい。
【0039】
剤又は組成物は、特定の適用対象のためのもの、例えば、医薬用、医薬部外品用、飲食品用等として使用してもよい。
【0040】
飲食品(飲料及び食品)としては、一般飲食品の他、健康食品[保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)を含む]、サプリメント(栄養補助食品)、飼料等が挙げられる。
【0041】
前記のような機能を有しているため、飲食品の中でも、健康食品、サプリメント等に好適である。
【0042】
組成物は、他の成分(前記脂肪酸以外の成分)を含んでいてもよい。
【0043】
他の成分としては、その摂取形態や適用態様等に応じて適宜選択できる。
【0044】
他の成分の一態様としては、製剤化等において使用される成分(添加剤)、例えば、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調製剤、防腐剤、抗酸化剤などが挙げられる。
【0045】
担体としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、牛脂、合成グリセライドなどの動植物油;流動パラフィン、スクワラン、固形パラフィンなどの炭化水素;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油;セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール;シリコン樹脂;シリコーンオイル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースなどの水溶性高分子;エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール;グルコース、ショ糖などの糖;無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸アルミニウムなどの無機粉体;精製水などが挙げられる。
【0046】
賦形剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが挙げられる。
【0047】
結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、トウモロコシデンプンなどが挙げられる。
【0048】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが挙げられる。
【0049】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、矯味矯臭剤としては、ココア末、メントール、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末などが用いられる。
【0050】
特に、飲食品等に用いる場合、他の成分として、例えば、賦形剤(例えば、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、セルロース、乳糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、アルファー化デンプン、カゼイン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)、崩壊剤(例えば、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプンなど)、流動化剤(例えば、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステルなど)、油(例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、亜麻仁油、エゴマ油、ナタネ油、ココナッツ油、トウモロコシ油などの植物油又は動物・魚由来の油)、栄養素(例えば、各種ミネラル、各種ビタミン、アミノ酸)、香料、甘味料、矯味剤、着色料、溶媒(エタノール)、塩類、界面活性剤、pH調節剤、緩衝剤、抗酸化剤、安定化剤、ゲル化剤、増粘剤、滑沢剤、カプセル化剤、懸濁剤、コーティング剤、防腐剤などを使用してもよい。
【0051】
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0052】
剤又は組成物の形態(製剤の形態)としては、特に限定されず、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル、ハードカプセルなど)、液剤(懸濁剤、シロップ剤など)、トローチ剤、ゼリー剤、坐剤、注射剤、スプレー剤等が挙げられる。
【0053】
特に、健康食品等として使用する場合、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、乳剤、ゼリー剤等が好適である。
【0054】
また、脂肪酸(又は剤又は組成物)を、飲食品(一般飲食品)に添加(混合、配合)して用いる場合、飲食品としては、特に限定されないが、例えば、食品[例えば、麺類(そば、うどん、中華麺、即席麺など)、菓子類(飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子(ポテトチップなど)、ビスケット、クッキー、グミ、ゼリー、ジャム、バター、クリーム(シュークリームなど)、ケーキなど)、パン類、水産又は畜産加工食品(かまぼこ、ハム、ソーセージなど)、乳製品(加工乳、発酵乳など)、油脂および油脂加工食品(サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングなど)、調味料(ソース、たれなど)、レトルト食品(カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊など)、冷菓(アイスクリーム、シャーベット、かき氷など)、揚げ物(コロッケ、フライドポテト、フライドチキンなど)など]、飲料(茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料など)などが挙げられる。
【0055】
飲食品における脂肪酸(又は剤又は組成物)の割合は、飲食品の種類や摂取量等に応じて選択できるが、例えば、0.0001質量%以上(例えば、0.001~30質量%)、0.003質量%以上(例えば、0.005~20質量%)、0.01質量%以上(例えば、0.05~10質量%)などであってもよい。
【0056】
<方法>
脂肪酸(又は剤又は組成物)は、上記の通り、種々の用途に適用可能である。そのため、本発明には、当該用途に対応した方法も包含する。
【0057】
まず、本発明の方法では、前記脂肪酸(又は剤又は組成物)を、対象に摂取(投与、服用)させることにより、破骨細胞の分化を抑制[及び/又はTRAP(酒石酸耐性酸性フォスファターゼ)活性を抑制]する。
【0058】
なお、前記のように、破骨細胞の分化抑制(及び/又はTRAP活性抑制)により、関連する症状・疾患を改善(治療、抑制)できる。
【0059】
そのため、本発明には、前記脂肪酸(又は剤又は組成物)を、対象に摂取(投与、服用)させることにより、破骨細胞の分化抑制(及び/又はTRAP活性抑制)に関連する症状・疾患を改善(治療、抑制)する方法が含まれる。
【0060】
このような方法としては、例えば、前記(1)、(2)の用途に対応する方法、すなわち、下記(1A)、(2A)等が挙げられる。
【0061】
(1A)前記脂肪酸(又は剤又は組成物)を対象に摂取(投与、服用)させることにより、骨密度(骨量)の低下を抑制及び/又は、骨密度(骨量)を維持する方法
【0062】
(2A)前記脂肪酸(又は剤又は組成物)を対象に摂取(投与、服用)させることにより、骨粗しょう症を改善(治療)、抑制(進行抑制)及び/又は予防する方法
【0063】
なお、上記のような方法において、前記脂肪酸(又は剤又は組成物)の具体的態様や摂取量等は、前記と同様であってもよい。
【実施例0064】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)12-ヒドロキシオクタデカン酸のTRAP活性
マウスマクロファージ様細胞(以下、RAW264.7)を、96ウェルプレートに播種し、10%牛胎児血清,1%ペニシリン・ストレプトマイシンを加えたα―MEM培地(富士フィルム和光純薬社製)にて37℃、5%CO下で一晩培養した。
Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand(以下、RANKL)を10ng/mLとなるよう培地に添加し、さらに12-ヒドロキシオクタデカン酸を50μMとなるよう添加し、48時間培養した。培養後の細胞から抽出溶液を調製した後、TRACP and ALP assay kit(タカラバイオ社製)の基質溶液を50μL添加後、37℃、30分間インキュベートした。0.5N NaOH溶液を50μL添加後、405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し、TRAP活性を評価した。
【0066】
何も添加せずに培養した場合の吸光度は1.09、RANKL(10ng/mL)のみを添加して培養した場合の吸光度は1.93、RANKL及び12-ヒドロキシオクタデカン酸を添加したときの吸光度は0.89であった。
【0067】
このことから、12-ヒドロキシオクタデカン酸の添加により、RANKL処理により増加するTRAP活性の抑制が確認された。
【0068】
(実施例2)10-ヒドロキシオクタデカン酸のTRAP活性
12-ヒドロキシオクタデカン酸を10-ヒドロキシオクタデカン酸に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、TRAP活性を評価したところ、RANKL及び10-ヒドロキシオクタデカン酸を添加したときの吸光度は1.37であった。
このことから、10-ヒドロキシオクタデカン酸によっても、RANKL処理により増加するTRAP活性の抑制が確認された。
【0069】
(参考例1)オレイン酸のTRAP活性
12-ヒドロキシオクタデカン酸をオレイン酸に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、TRAP活性を評価したところ、RANKL及びオレイン酸を添加したときの吸光度は1.81であった。
このことから、オレイン酸を添加しても、RANKL処理により増加するTRAP活性はほとんど抑制されないことが確認された。
【0070】
(参考例2)オクタデカン酸のTRAP活性
12-ヒドロキシオクタデカン酸をオクタデカン酸に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、TRAP活性を評価したところ、RANKL及びオクタデカン酸を添加したときの吸光度は2.12であった。
このことから、オクタデカン酸を添加しても、RANKL処理により増加するTRAP活性は全く抑制されないか又はむしろ促進されることが確認された。
【0071】
(実施例3)割合変更1
実施例1において、添加する12-ヒドロキシオクタデカン酸を15μMとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてTRAP活性を評価したところ、RANKL及び12-ヒドロキシオクタデカン酸を添加したときの吸光度は1.29であった。
このことから、割合を変更しても、RANKL処理により増加するTRAP活性の抑制が確認された。
【0072】
(実施例4)割合変更2
実施例2において、添加する10-ヒドロキシオクタデカン酸を15μMとなるようにしたこと以外は、実施例2と同様にしてTRAP活性を評価したところ、RANKL及び10-ヒドロキシオクタデカン酸を添加したときの吸光度は1.78であった。
このことから、割合を変更しても、RANKL処理により増加するTRAP活性の抑制が確認された。
【0073】
(参考例3)割合変更3
参考例1において、添加するオレイン酸を15μMとなるようにしたこと以外は、参考例1と同様にしてTRAP活性を評価したところ、RANKL及びオレイン酸を添加したときの吸光度は2.04であった。
このことから、オレイン酸では、割合を変更しても、RANKL処理により増加するTRAP活性は全く抑制されないか又はむしろ促進されることが確認された。
【0074】
(参考例4)割合変更4
参考例1において、添加するオクタデカン酸を15μMとなるようにしたこと以外は、参考例2と同様にしてTRAP活性を評価したところ、RANKL及びオクタデカン酸を添加したときの吸光度は2.10であった。
このことから、オクタデカン酸では、割合を変更しても、RANKL処理により増加するTRAP活性は全く抑制されないか又はむしろ促進されることが確認された。
【0075】
(実施例5)割合変更5
実施例1において、添加する12-ヒドロキシオクタデカン酸を5μMとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてTRAP活性を評価したところ、RANKL及び12-ヒドロキシオクタデカン酸を添加したときの吸光度は1.40であった。
このことから、割合をさらに少なくしても、RANKL処理により増加するTRAP活性の抑制が確認された。
【0076】
(実施例6)細胞毒性
マウスマクロファージ様細胞(以下、RAW264.7)を、96ウェルプレートに播種し、10%牛胎児血清,1%ペニシリン・ストレプトマイシンを加えたα―MEM培地(富士フィルム和光純薬社製)にて37℃、5%CO下で一晩培養した。
RANKLを10ng/mLとなるよう培地に添加し、さらに12-ヒドロキシオクタデカン酸、10-ヒドロキシオクタデカン酸、オレイン酸又はオクタデカン酸を表に示す所定の濃度となるようそれぞれ添加し、48時間培養した。
【0077】
培養後の細胞にWST-8(同仁化学研究所社製)を添加し、30分後に450nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーにて測定し、細胞数を評価した。
【0078】
下記表に、WST-8による吸光度測定結果を示す。なお、対比のため、何も添加せずに培養した場合(無添加)の結果、RANKL(10ng/mL)のみを添加して培養した場合の結果も合わせて示す。
【0079】
【表1】
【0080】
上記表の結果からも明らかなように、ヒドロキシオクタデカン酸の中でも、12-ヒドロキシオクタデカン酸は、条件によっては細胞毒性がある可能性が示された。
そのため、高い安全性(高い安全性と破骨細胞分化抑制の両立)の観点からは、10-ヒドロキシオクタデカン酸が特に好ましいことがわかった。
【0081】
以下、本発明の組成物の具体例を例示する。
【0082】
処方例1:清涼飲料
10-ヒドロキシオクタデカン酸 0.5g
ハチミツ 15.0g
クエン酸 0.1g
dl-リンゴ酸 0.1g
D-ソルビトール液(70%) 10.0g
安息香酸ナトリウム 0.1g
香料 適量
精製水 全量100gとする残余
上記原料を均一に混合し、健康用飲料を得た。
【0083】
処方例2:錠剤
10-ヒドロキシオクタデカン酸 1.0mg
乳糖 94.0mg
トウモロコシデンプン 34.0mg
結晶セルロース 20.0mg
活性吸収型カルシウム(カキ殻由来) 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
上記配合比率にて、各成分をよく混合し、この混合物を打錠して錠剤を得た。
【0084】
処方例3:散剤
10-ヒドロキシオクタデカン酸 1.0mg
乳糖 981.0mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4.0mg
軟質無水ケイ酸 5.0mg
上記配合比率にて、まず、10-ヒドロキシオクタデカン酸と乳糖をよく混合した後、
ヒドロキシプロピルセルロースを加えて造粒する。これを乾燥後に製粒し、軟質無水ケイ
酸を加えてさらによく混合して、散剤を得た。
【0085】
処方例4:カプセル剤
10-ヒドロキシオクタデカン酸 150.0mg
乳糖 70.0mg
トウモロコシデンプン 38.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
上記配合比率にて、各成分をよく混合したものを、カプセルに充填してカプセル剤を得た。
【0086】
処方例5: 軟カプセル剤
10-ヒドロキシオクタデカン酸 50.0mg
精製大豆油 130.0mg
トコフェロール 20.0mg
上記配合比率にて、各成分をよく混合し、カプセルに充填して軟カプセル剤を得た。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の剤は、破骨細胞分化抑制剤等として使用しうる。