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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017457
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 3/02 20060101AFI20240201BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240201BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240201BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240201BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240201BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240201BHJP
【FI】
F21V3/02 400
F21S2/00 230
F21V17/00 154
F21V3/00 320
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120099
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011BA02
3K011EF05
(57)【要約】
【課題】 内カバー、外カバーの組み合わせ構造を工夫することによって、照明効果の高い照明器具を提供する。
【解決手段】
前面側に開口部4を有し器具取付面9に設置される取付部品2と、前記開口部4に配置される光源3と、前記本体31の前面側を覆う内カバー90と、前記内カバー90を覆うように配置された外カバー37を備え、前記内カバー90は、前記外カバー37の内面に密着して配置され、前記外カバー37は前記内カバー90との間に一定の空間を有し、前記外カバー37は、光照射面側にプリズム部37Gが形成された前面部37Aと、前記前面部37Aの両端部に位置する角部37Eから立ち上がる傾斜部37Fと、壁部37Bを有する。
【選択図】 図5A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側に開口部を有し器具取付面に設置される取付部品と、
前記開口部に配置され略直方体形状の本体を有する光源と、
前記本体の前面側を覆う内カバーと、
前記内カバーの外側にあって前記内カバーを覆うように配置された外カバーとを備え、
前記内カバー、前記外カバーは、いずれも、断面が略コ字状であって上部に開口を有する長尺部材であり、
前記内カバーは、前記外カバーの内面に密着して配置されるとともに、前記外カバーは前記内カバーとの間に一定の空間を有し、
前記外カバーは、光照射面側にプリズム部が形成された前面部と、前記前面部の両端部に位置する角部と、前記角部から立ち上がる傾斜部を有することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記空間は、前記内カバーの垂直部と、前記外カバーの前記前面部と前記傾斜部とによって囲まれる断面略三角形状の空間である、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記プリズム部は、断面略三角形状の長尺状であって頂部、斜面部と底面部を有し、前記本体の長尺方向に沿って、前記外カバーの前記前面部の前記角部間に、略並行に複数列配置され、前記プリズム部の前記頂部は、光照射面側に位置し、前記底面部は、前記外カバーの前面部に位置するように形成されている、請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記本体は、略直方体形状の平板であって、長手方向の両端部に光照射面側に突き出す略L字状の突出部を有し、
前記外カバーは、略L字状の縁部を有し、
前記本体の前記突出部と前記外カバーの前記縁部とが互いに係合することによって前記本体に固定される、請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記取付部品は、一枚の板状部材が折り曲げられ前記本体の背面に設けられた一対の保持部材と、
前記取付部品における前記本体の背面に対向する面にそれぞれ前記保持部材と対向するように設けられた一対の係止部材とを備えた、請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項6】
前記外カバーは前記縁部の表面に複数の凸部を有する、請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項7】
前記本体は、前面側に複数の発光素子が実装された基板と、背面側に配置された電源回路を備える、請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項8】
前記基板は、長尺状の平板であり、側面の複数箇所に側面幅の狭い係止部が設けられ、前記係止部に基板ガイドが配置され、前記基板が前記本体に固定される、請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
前記本体と前記外カバーは、前記本体の前記突出部と前記外カバーの壁部との間に、前記光源から出射された光が差し込む空間を有するように配置された、請求項4に記載の照明器具。
【請求項10】
前記外カバーの前記傾斜部と前記前面部との間の傾斜角度は、25°~80°である、請求項1または2に記載の照明器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、照明器具は、戸建住宅、事務所などの一般建築物をはじめ、学校、体育館、病院、劇場、展示場、百貨店、工場、倉庫などの特殊建築物の屋内などで広く使用されている。これらの建築物に用いられる照明器具は、通常、天井や壁面等の高所に設置され、商用電源などの供給を受けて点灯する。そして、これらの照明器具は、屋内配線の途中に設けられた壁スイッチや、照明器具付属のリモートコントローラのボタン操作等によって、照明器具の点灯/消灯等が操作される。
【0003】
従来から天井等に取り付けられて使用される照明器具として、列状のLEDを用いた照明器具が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016―39033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、LED基板を実装した本体を有する光源と、本体を収容可能な取付部品を備え、取付部品を天井等に取り付けることによって使用するタイプの、いわゆる一体化ベース照明と称される照明器具であるが、光源から出射された光が広範囲に散乱し、効率よく前面(床面)側に照射されないなどの課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、先行技術文献の課題を解決するために、光源から出射された光が効率よく床面側に照射され、防眩性を備えるとともに照明効果の高い照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の照明器具は、
前面側に開口部を有し器具取付面に設置される取付部品と、
前記開口部に配置され略直方体形状の本体を有する光源と、
前記本体の前面側を覆う内カバーと、
前記内カバーの外側にあって前記内カバーを覆うように配置された外カバーとを備え、
前記内カバー、前記外カバーは、いずれも、断面が略コ字状であって上部に開口を有する長尺部材であり、
前記内カバーは、前記外カバーの内面に密着して配置されるとともに、前記外カバーは前記内カバーとの間に一定の空間を有し、
前記外カバーは、光照射面側にプリズム部が形成された前面部と、前記前面部の両端部に位置する角部と、前記角部から立ち上がる傾斜部を有する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、照明器具の前面を覆うカバーとして、内カバーと外カバーという二種類のカバーの組み合わせ構造により、防眩性、光拡散性等を向上させるとともに照明効果の高い照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)実施の形態に係る照明器具の長手方向の側面図、(B)同平面図、(C)同端部側からみた側面図である。
図2】(A)実施の形態に係る光源の背面図と、端部側からみた側面図、(B)同光源の長手方向の側面図、(C)同前面図である。
図3】実施の形態に係る取付部品を上方からみた斜視図である。
図4】実施の形態に係る取付部品の係止部材を下方からみた一部断面斜視図である。
図5A図1に示す照明器具のA-A線の断面図である。
図5B図5Aの○印B付近の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の理解を容易にするために本発明の実施の形態に係る照明器具の例を図1ないし図5Bを参照して説明する。本発明の実施の形態に係る照明器具は、一般に一体化ベース照明と称されるLED等の発光素子が基板上に列状に実装された光源を有する長尺状の照明器具である。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものであるから、実施の形態に記載されている構成部品の配置、機能、数値などは、あくまで一例であって、これらによって本発明の範囲が限定解釈されるものではない。
また、照明器具を構成する配線、ネジなど部材の一部は、図面が煩雑になるため省略してある。
【0012】
(実施の形態)
図1(A)は本発明の実施の形態に係る照明器具1の長手方向の側面図、同図(B)は同平面図、同図(C)は同端部側からみた側面図である。
図1(A)乃至(C)に示すように、実施の形態に係る照明器具1は、いずれも長尺状の部材である取付部品2と光源3とを備えている。取付部品2は、天井9などの照明器具1を設置する場所(器具取付面)に設置され、取り付け部品2の下面側には、光源3が取り付けられる。光源3は、光源モジュール、光源ユニットとも呼称される。
【0013】
ここで、本発明では、照明器具1において、光源3から光が照射する側を前面側(床面側)、天井9に向かう側を背面側(天井側)、床面(天井面)と平行な方向を水平方向、床面(天井面)と垂直をなす方向を垂直方向ともいう(図5A参照)。
【0014】
図2(A)は、実施の形態に係る光源3の背面図と、端部側からみた側面図、同図(B)は、同光源3の長手方向の側面図、同図(C)は同前面図である。
図2(A)に示すように、光源3の本体31の背面には、商用電源からコネクタ39を通して電力の供給を受ける電源回路36が配置されている。電源回路36の両側には取付部品2と連結するための一組の保持部材55が設置されている。
【0015】
図2(B)に示すように、光源3の上部には、一対の保持部材55が設置され、一対の保持部材55が、長手方向の端部から保持部材55への距離が、互いに異なるように配置されている。これにより、作業者によって、光源3が取付部品2に逆向き方向に誤って取り付けられることが防止される。
【0016】
本体31は、略直方体形状の平板からなり、基板34、電源回路36等から発生する熱を放熱するヒートシンクとして機能する。また、本体31は、外カバー37を支持し、本体前面31B側には発光素子35が表面実装された基板34が、本体背面31A側には電源回路36が配置されている。本体31は、アルミニウム、鉄などの金属材料から成形されたものであるが、熱伝導性の高い合成樹脂などを用いてもよい。
【0017】
図2(C)に示すように、本体前面31Bには複数の発光素子35が列状に表面実装された平面略長方形状の基板34が配置されている。基板34の側面には、複数箇所に両側面を切り欠くことによって、側面幅の狭い部分である係止部34Aが設けられている。係止部34Aに基板ガイド34Bを配置することによって、基板34が本体前面31Bに固定され、基板34の摺動範囲を最小限に押さえることができる。また、基板ガイド34Bは透明な合成樹脂材料から形成されているが、黄色、青色などに着色された部材を用いてもよい。
【0018】
発光素子35は、白色または赤色、青色、緑色の組み合わせからなるLED等の発光素子で構成される。光源3では、複数の発光素子35が用いられており、発光素子35は、平面略長方形状の基板34に、列方向にほぼ等間隔で実装される。
【0019】
基板34は光源3の長さに対応した1枚の平板からなるものであるが、複数の長方形状の基板34を一列に並べ、互いに連結することによって構成されたものでもよい。また、発光素子35は基板34に複数個を一列に並べたものに限らず、複数列を平行に並べたものや、複数列と単数列を取り混ぜたものであってもよい。さらに、光源3は、昼白色を呈するものであるが、昼光色、電球色を呈してもよい。
【0020】
電源回路36は、電源端子台(図示省略)からコネクタ39を通して商用電源の供給を受け直流電力に変換し、基板34に直流電力を供給する。また、電源回路36は、印加する電圧、電流を制御することにより、光源3の点灯、消灯、減光、増光などの調光を行うが、さらに、昼白色、白色、電球色の発光などの調色制御を行ってもよい。これらの調光、調色の操作は、本体31に設けられた操作スイッチ、壁スイッチや外部のリモートコントローラ(いずれも図示省略)によって行ってもよい。
【0021】
図3は、実施の形態に係る取付部品2を上方からみた斜視図である。取付部品2は、光源取付部21の底面に、点線で示す第1係止部材40および第2係止部材50からなる係止部材53が設けられている。係止部材53は、光源3を取付部品2に取り付けるための接続具である。取付部品2全体では、長手方向に2つの係止部材53が配置されている。前記した保持部材55と同様に、取付部品2の長手方向の端部から係止部材53の距離が、互いに異なるように配置されている。これにより、作業者は、光源3が取付部品2に対して逆向き方向に取り付けられるなどの誤設置を防止することができる。
【0022】
図4は、実施の形態に係る取付部品2の係止部材53を下方から見た一部断面斜視図である。取付部品2は、金属の板状部材が折り曲げられることにより成形され、床面側に開口部4を有する略直方体形状の光源取付部21と、天井9側に傾斜した一対の反射板28とが設けられている。開口部4には、光源3が取り付けられる。開口部4と反射板28との間には、両側に略水平な底部30が設けられ、反射板28の天井9側の両側には略L字形の縁部29が設けられている。略L字形の縁部29の天井9側の一辺は、天井9と接する当接面である。
【0023】
反射板28の表面には、白色塗料等が塗装されており、光源3から照射された光を床面側に反射することにより、光源3からの照射光を効率よく前面側に反射することで、室内を明るく照らすことができる。
【0024】
図4に示すように、第1係止部材40および第2係止部材50の少なくとも一方は、第1係止部材40と第2係止部材50が対向する方向からの押圧により弾性変形する。第1係止部材40は、光源取付部21の底面の向きから前面側(床面側)に向かって屈曲する第1屈曲部41と、第1屈曲部41に連続し、前面側(床面側)に向かって延びる中間部42と、先端に形成された第1保持部材60に係止する形状を有する先端部43とを有する形状を有している。先端部43は、中間部42から第1屈曲部41の突出する側に湾曲し、背面側(天井側)に向かって屈曲している。
【0025】
第2係止部材50は、光源取付部21の底面の向きから水平方向に向かって屈曲する第2屈曲部51を有する形状に形成されている。第2屈曲部51は、第1屈曲部41とは反対向きに突出する。図4の例では、第1屈曲部41は第2係止部材50とは反対側に突出し、第2屈曲部51は第1係止部材40とは反対側に突出する。すなわち、第2屈曲部51の湾曲している部分は第1係止部材40とは反対側に凸になっている。また第2係止部材50は光源取付部21の底面から前面側に向かって延び、第2屈曲部51において、光源取付部21の底面の向きから第1係止部材40とは反対側に突出して前面側に向かって円弧状に屈曲する。第1係止部材40と第2係止部材50との間には係止連結部45が設けられ、留具46によって取付部品2の光源取付部21の底面に取り付けられている。
【0026】
光源3の本体背面31Aが取付部品2側に向けられた状態で、光源3を天井9側に押し上げて、取付部品2の開口部4に挿入すると、第1係止部材40および第2係止部材50がそれぞれ、第1保持部材60、第2保持部材70に形成された第1挿入孔、第2挿入孔(いずれも図示省略)に挿入されて、光源3が取付部品2に取り付けられる。
【0027】
取付部品2は、建物の天井9に器具取付具(図示省略)によって固定される。器具取付具は、取付部品2を照明器具1の設置場所に取り付けるための部材であり、ボルト、ナット等の締結具で構成される。通常は、天井9に配置されたボルトからなる器具取付具が、取付部品2に穿設された孔を通したボルトにナットで締結することにより、固定される。締結手段は、ボルト、ナットに限らず、ネジ止めなど他の手段を用いてもよい。
【0028】
取付部品2は、金属の板状部材が折り曲げられることにより成形され、床面側に開口部4を有する略直方体形状の光源取付部21と、天井9側に傾斜した一対の反射板28とが設けられている。開口部4には、光源3が取り付けられる。
【0029】
図5Aは、図1に示す照明器具1のA-A線の断面図、図5Bは、図5Aの○印B付近の拡大断面図である。図5Aは、図1に示す照明器具1が天井9に設置された状態を示している。なお、図5A等において、構成部品は概略断面図として描き、基本的に断面を表すハッチングおよび内部構造は省略してある。
【0030】
図5Aに示すように、光源3の本体背面31Aに、第1保持部材60と第2保持部材70と、それらの部材を連結する連結部材65が設けられている。第1保持部材60、第2保持部材70には、それぞれ第1挿入孔、第2挿入孔(いずれも図示省略)が形成されている。第1保持部材60、第2保持部材70および連結部材65は、いずれも、本体背面31Aから背面側(天井側)に向かって突出している。
【0031】
発光素子35の光照射面(床面)側全体を覆うカバーとして、内カバー90と外カバー37が二重に配置されている。内カバー90は、乳白状を有する断面コ字形であって、上面に開口を有する長尺状に形成されており、発光素子35から出射された光を床面側に通過させる部材である。内カバー90は乳白状に限らず、表面が磨りガラス状であってもよい。
【0032】
内カバー90の外面と、内面が密着するように配置された外カバー37は、内カバー90と同様、略断面コ字形であって、上面に開口を有し、長手方向に長尺状に形成されている。発光素子35から出射された光は、内カバー90を通過し、外カバー37を通して、床面側に散乱される。内カバー90は透明な材料で形成されているが、乳白状など他の材料であってもよい。
【0033】
外カバー37の前面部37Aの床面側の表面には、断面略三角形状のプリズム部37Gが設けられている。プリズム部37Gは、頂部と斜面部と底面部を有し、本体31の長尺方向に沿って、外カバー37の前面部37Aに、略並行に複数列配置されている。
【0034】
プリズム部37Gは、断面略三角形状の頂部が光照射面側であって、底面部が外カバーの前面部に位置するように配置され、発光素子35から出射された光を、内カバー90を通して床面方向に屈折させることで、発光素子35の粒々感による眩しさを軽減させるとともに、光拡散性を向上させ、床面側への集光度を向上させる。実施の形態では、プリズム部37Gは断面略三角形状のものを示したが、これに限らず、断面が半円形状、台形状、多角形状のものであってもよい。
【0035】
内カバー90と外カバー37は、開口側が本体前面31Bに向けられた状態で、内側の内カバー90の底面部90と垂直部90Bの上部の外側面において密着している。外カバー37は、開口側が本体前面31Bに向けられた状態で、本体31に固定され、開口内に、発光素子35が実装された基板34の前面の全面を覆っている。外カバー37は、光源3を含め、本体31の本体前面31Bの全体を含むように前面側(床面側)から覆っている。
【0036】
外カバー37は本体31の前面側(床面側)に位置し、その端部において、本体31に固定される。図5Bに示すように、外カバー37は、水平(床面と平行)な前面部37Aと、前面部37Aの両端部に鋭角の角部37Eを有する。外カバー37は、角部37Eに引き続き、傾斜部37F、垂直な壁部37Bと、水平状態で連続する水平面部37Cを有する。水平面部37Cには略L字状の縁部37Dが形成されている。
【0037】
外カバー37,内カバー90は、ともに、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂のような光拡散性を有する透光性の樹脂材料で形成される。
【0038】
本発明における取付部品2における係止部材53の構成、光源3における保持部材55の構成、係止部材53と保持部材55を用いた照明器具1の設置方法について説明する。
【0039】
図5Bに示すように、本体31は、略長方形状の平板からなり、本体31の長手方向の両端部には突出部32が形成されている。突出部32は、前面方向に略L字状に垂直に折れた側面部32Aと、その先端に天井9側に向けて円弧を描くように湾曲した先端部32Bから構成されている。
【0040】
本体31の側面部32Aと外カバー37の縁部37Dはほぼ同形状をなしている。本体31の長手方向の両端部に形成された突出部32の側面部32Aと先端部32Bによって形成された空間に、外カバー37の略L字状の縁部37Dが本体31の長手方向から挿通されることによって組み合わされる。その後、光源3の断面形状と同形状に形成された断面形状を有するサイドキャップ(図示省略)を、光源3の両端部に嵌めることによって、外カバー37は、動かないように本体31に固定される。
【0041】
本体31と外カバー37とは、本体31の突出部32と外カバー37の縁部37Dとの係合によって組み立てられるため、従来用いられていた複数の留具(図示省略)を用いて、本体31と外カバー37とを接合する煩雑な作業が不要であり、組み立て作業の効率化を図ることができる。さらに、留具(図示省略)を使用しないため、本体31と外カバー37とを強固に連結することが可能である。
【0042】
また、実施の形態では、本体31と外カバー37との間に、間隙を有するので、発光素子35が実装された基板34や電源回路36等の発熱により発生する本体31や外カバー37等の部品の熱膨張は、上記間隙で吸収されるため、熱膨張によるきしみ音等の音鳴りを防止することができる。
【0043】
さらに、外カバー37の表面に複数の凸部38を形成してもよい。図5Bに示すように、実施の形態では、凸部38は、取付部品2の底部30と当接する水平面部37Cに2カ所、本体31の側面部32Aと当接するL字形の縁部37Dの壁面にそれぞれ1カ所ずつ設けられている。凸部38は、上記本体31と外カバー37との間に生じる間隙に加え、照明器具1の使用時において、外カバー37の表面と本体31の側面部32Aの表面との一定の距離を保つことで、本体31等の温度上昇時に、各部材の熱膨張等により発生するきしみ音などの音鳴りを防止する役割を果たす。
【0044】
外カバー37の表面に設けられた凸部38は、半円筒形の突起が外カバー37の長手方向に沿って、縁部37Dと平行に4カ所(4条)形成されたものであるが、凸部38を半球状の部材で形成し、点状列としてもよい。また、凸部38の配置数も4カ所に限らず、必要に応じて適宜数を配置すればよい。
【0045】
また、図5Bに示すように、本体31の先端に位置する先端部32Bと外カバー37の壁部37Bとは、点線で示す断面楕円形状の空間αを隔てて配置されている。空間αは、幅a、高さb及び高さcによって囲まれる空間である。光源3から照射された光は、外カバー37の内部を通って空間αに到達する。到達した光は、外カバー37の略垂直な壁部37Bを通って、外カバー37の外部に放出され、壁部37Bを明るく光らせる。本体31と外カバー37との間に、空間αを有することで、発光素子35から照射された光は周辺に均等に拡散され、外カバー37の隅部に暗部が生じることがない。本体31と外カバー37とは、本体31の突出部32と外カバー37の壁部37Bとの間に、光源3から出射された光が差し込む空間を有するように配置されている。
【0046】
長さaは、本体31の先端部32Bと外カバー37の間の距離であり、長さbは取付部品2の底部30と本体31のJ字状の突出部32の先端部32Bと外カバー37の縁部37Dの水平面部の凸部38とが接する水平面との距離であり、長さcは、外カバー37の垂直な壁部37Bと取付部品2の底部30との間の距離である。
長さaは、1.0~10.0mm、好ましくは2.0~5.0mmである。長さbは、3.0~20.0mm、好ましくは4.0~12.0mmである。また、長さcは、5.0~20.0mm、好ましくは、8.0~12.0mmである。
【0047】
また、内カバー90と外カバー37によって囲まれる断面三角形状の空間βは、内カバ-90と外カバー37に挟まれた状態で、長尺状の本体に沿って、略三角柱形状に延びる空間βとして形成されている。
【0048】
図5Bに示すように、外カバー37において、前面部37Aの両側の角部37Eと壁部37Bの間に、傾斜部37Fが設けられている。傾斜部37Fは、内カバー90と外カバー37との間に、段差部としての空間βを形成する。空間βは、外カバー37の壁部37Bと傾斜部37Fから外に向けて漏れる光を、内側の表面で反射して、前面(床面)側に照射することで、側面方向から漏れる光を減少させ、効率よく前面に照射することで、前面側の照射効率を向上させる。
【0049】
発光素子35から前面側に効率よく照射するためには、外カバー37の角部37Eを原点とする傾斜部37Fと前面部37Aとの間の傾斜角度γは、発光素子35の前面側に対する光の照射方向と平行であることが望ましい。具体的には、傾斜角度γは、25°~80°、好ましくは、30°~70°、より好ましくは45°から60°である。
【0050】
また、図5Aに示すように、光源取付部21の外壁面には、従来例と同様、外側に向けた半球状の緩衝部材22が、複数設けられており、緩衝部材22が天井9と取付部品2に設けられた垂直面30Bに当接することで、光源3のガタつきが防止されるとともに確実に位置固定される。
【0051】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、上記実施の形態に対して種々の変形および応用が可能である。
【0052】
本発明によれば、照明器具の内カバー、外カバーの組み合わせ構造を工夫することによって、防眩性、光拡散性等を向上させるとともに照明効果の高い照明器具を提供できる。
【符号の説明】
【0053】
1 照明器具
2 取付部品
3 光源
4 開口部
9 天井(器具取付面)
21 光源取付部
22 緩衝部材
28 反射板
29 縁部
30 底部
30B 垂直面
31 本体
31A 本体背面
31B 本体前面
32 突出部
32A 側面部
32B 先端部
34 基板
34A 係止部
34B 基板ガイド
35 発光素子
36 電源回路
37 外カバー
37A 前面部
37B 壁部
37C 水平面部
37D 縁部
37E 角部
37F 傾斜部
37G プリズム部
38 凸部
39 コネクタ
40 第1係止部材
41 第1屈曲部
42 中間部
43 先端部
45 係止連結部
46 留具
50 第2係止部材
51 第2屈曲部
53 係止部材
55 保持部材
60 第1保持部材
65 連結部材
70 第2保持部材
90 内カバー
90A 底面部
90B 垂直部
α,β 空間
γ 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B