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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174578
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】推論装置及び推論方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241210BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241210BHJP
   G06V 10/75 20220101ALI20241210BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20241210BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B6/00 350Z
G06T7/00 350B
G06T7/00 612
G06V10/75
G16H30/00
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092473
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 湧一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 洋平
(72)【発明者】
【氏名】徳岡 雄大
(72)【発明者】
【氏名】高 正妍
(72)【発明者】
【氏名】水野 和恵
(72)【発明者】
【氏名】世木 直喜
(72)【発明者】
【氏名】中島 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】今釜 史郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 定之
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA26
4C093CA35
4C093DA03
4C093DA10
4C093EA07
4C093FA44
4C093FF25
4C093FG18
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA02
5L096FA02
5L096HA11
5L096JA11
5L096JA16
5L096KA04
5L099AA03
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】X線画像を用いた骨の状態の推論精度を向上させる推論装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサと、を備え、少なくとも1つのプロセッサは、第1のモデルを用いてX線画像から内蔵の状態を推論することと、X線画像から第2のモデルを用いて骨の状態を推論することと、を実行する推論装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
第1のモデルを用いてX線画像から内臓の状態を推論することと、
前記X線画像から第2のモデルを用いて骨の状態を推論することと、
を実行する推論装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記第1のモデルを用いた推論の結果が異常であった前記X線画像を前記第2のモデルを用いて骨の状態を推論する前記X線画像から除外する、
請求項1記載の推論装置。
【請求項3】
前記第1のモデルは、肺がん検診で得られたX線画像と医師による所見の結果とを学習データとして用いて学習済みの肺がん検診モデルであり、
前記第2のモデルは、骨粗鬆症検診で得られたX線画像と医師による所見の結果とを学習データとして用いて学習済みの骨粗鬆症検診モデルである
請求項1又は2記載の推論装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記第2のモデルを用いて、推論対象のX線画像から、骨粗鬆症疑い、骨減少症疑い、又は正常を推論する、
請求項3記載の推論装置。
【請求項5】
前記第2のモデルは、骨粗鬆症検診で得られたX線画像と患者の臨床情報と医師による所見の結果とを学習データとして用いて学習済みの骨粗鬆症検診モデルであり、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記第1のモデルを用いた推論の結果が正常であった推論対象のX線画像及び患者の診療情報から、前記第2のモデルを用いて骨の状態を推論する、
請求項3記載の推論装置。
【請求項6】
前記学習データは、X線画像のデータセットに自己教師あり学習を行うことで作成される、
請求項3記載の推論装置。
【請求項7】
前記学習データは、X線画像の撮像機器が読影を補助する為に行う画像処理を施されて作成されている、
請求項3記載の推論装置。
【請求項8】
前記第2のモデルは、X線画像の肺野及び胸部の領域の区分を事前学習済みの骨粗鬆症検診モデルである、
請求項3記載の推論装置。
【請求項9】
少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサと、を備える推論装置における推論方法であって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
第1のモデルを用いてX線画像から内臓の状態を推論することと、
前記X線画像から第2のモデルを用いて骨の状態を推論することと、
を実行する推論方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推論装置及び推論方法に関する。
【背景技術】
【0002】
学習済みの肺がん検診モデルを用いて、患者の胸部X線画像から肺がんを検診する技術が知られている。また、学習済みの骨粗鬆症検診モデルを用いて、患者の胸部X線画像から骨粗鬆症を検診する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6744614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、X線画像を用いた骨の状態の推論精度を向上させる推論装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による推論装置は、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサと、を備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、第1のモデルを用いてX線画像から内蔵の状態を推論することと、前記X線画像から第2のモデルを用いて骨の状態を推論することと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る推論装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る推論方法の一例を示すフローチャートである。
図3】本実施形態に係る推論装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る推論方法の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る学習装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る学習装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7】本実施形態に係る推論装置及び学習装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0008】
[推論装置の概略]
本開示の一実施形態は、同一の胸部X線画像(X線画像の一例)を用いて肺の状態(内臓の状態の一例)及び骨の状態を推論する推論装置である。肺の状態は、例えば肺がん又は肺炎等の肺に関する病気である。骨の状態は、例えば骨粗鬆症、骨減少症、又は異常高値(骨密度が高値であり、無症状骨折の場合)である。また、骨の状態としては他にも骨密度、YAM、骨ミネラル密度、Tスコア又はZスコアでもよい。
【0009】
本実施形態における推論装置は、胸部X線画像を用いて肺の状態を推論するように学習済みの肺がん検診モデル(第1のモデルの一例)を活用して、胸部X線画像を用いて骨の状態を推論するように学習済みの骨粗鬆症検診モデル(第2のモデルの一例)の高精度化及び利便性の向上を図る為の機能を有する。
【0010】
本実施形態における推論装置は、肺がん検診モデルにより「異常所見あり」と推論された胸部X線画像が、肺がん検診モデルにより「正常」と推論された胸部X線画像よりも骨粗鬆症検診モデルによる推論精度が低いという評価結果を利用するものである。本実施形態における推論装置は、学習済みの肺がん検診モデルを前段として活用し、肺の異常が推論された胸部X線画像を骨粗鬆症検診モデルによる推論対象から除外することで、骨粗鬆症検診モデルの推論精度を向上させている。また、本実施形態における推論装置は、同一の胸部X線画像を用いて肺の状態及び骨の状態を高精度に検診できるので、検診を行う医療機関等にとって利便性が高い。
【0011】
本開示の一実施形態は、胸部X画像を用いた骨の状態の推論精度を向上させることを目的とする。本開示の一実施形態によれば、同一の胸部X線画像を用いて肺の状態及び骨の状態を高精度に検診できるので、検診を行う医療機関等の利便性が向上する。
【0012】
[推論装置の機能構成]
本開示の一実施形態に係る推論装置1の機能構成について説明する。図1は、本実施形態に係る推論装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る推論装置1は、胸部X線画像受信部10、胸部X線画像記憶部12、肺がん推論部14、肺がん検診モデル16、胸部X線画像選択部18、骨粗鬆症推論部20、骨粗鬆症検診モデル22、臨床情報受信部24、及び出力部26を備えてもよい。
【0013】
推論装置1は、予めインストールされたプログラムが実行されることで、胸部X線画像受信部10、胸部X線画像記憶部12、肺がん推論部14、肺がん検診モデル16、胸部X線画像選択部18、骨粗鬆症推論部20、骨粗鬆症検診モデル22、臨床情報受信部24、及び出力部26として機能してもよい。なお、推論装置1は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、サーバー等の情報処理装置である。例えば、医師は情報処理装置に対して患者の胸部X線画像を入力し、推論結果を出力として受け取る。
【0014】
胸部X線画像受信部10は、推論対象の胸部X線画像を受信してもよい。例えば胸部X線画像受信部10は、肺の状態及び骨の状態を検診する検診者の胸部X線画像を受信する。胸部X線画像受信部10は、胸部X線画像の撮像機器から検診者の胸部X線画像を受信してもよい。また、胸部X線画像受信部10は、撮像機器が撮像した胸部X線画像を記憶する外部装置から検診者の胸部X線画像を受信してもよい。検診者の胸部X線画像は、1枚もしくは過去に撮像した胸部X線画像を含む複数枚であってもよい。
【0015】
胸部X線画像記憶部12は、胸部X線画像受信部10が受信した検診者の胸部X線画像を記憶してもよい。肺がん推論部14は、肺がん検診モデル16を用いて胸部X線画像から肺の状態を推論してもよい。肺がん検診モデル16は、肺がん検診で得られた胸部X線画像と、医師による所見の結果(正解となる判定ラベル)とを学習データとして用いて、胸部X線画像から肺の状態を推論できるように学習済みである。肺がん検診モデル16の学習は、正解となる判定ラベル付きの学習データ(教師データ)から正解を推論(予測)するモデルを導き出す既存の教師あり学習の手法を利用できる。肺がん推論部14は、胸部X線画像から肺の「異常所見あり」又は「正常」を推論してもよい。
【0016】
胸部X線画像選択部18は、肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」であった検診者の胸部X線画像について、骨粗鬆症検診モデル22を用いて骨の状態を推論する推論対象の胸部X線画像から除外する処理を行う。
【0017】
具体的に、胸部X線画像選択部18は、肺がん推論部14が肺がん検診モデル16を用いて推論を行った胸部X線画像のうち、推論の結果が「正常」であった胸部X線画像を選択して骨粗鬆症推論部20に提供してもよい。また、胸部X線画像選択部18は、肺がん推論部14が肺がん検診モデル16を用いて推論を行った胸部X線画像のうち、推論の結果が肺の「異常所見あり」であった胸部X線画像を骨粗鬆症推論部20に提供しないように選択してもよい。
【0018】
骨粗鬆症推論部20は、骨粗鬆症検診モデル22を用いて胸部X線画像から骨の状態を推論してもよい。なお、骨粗鬆症推論部20は、骨粗鬆症検診モデル22を用いて胸部X線画像及び検診者の臨床情報から骨の状態を推論してもよい。検診者の臨床情報は、例えば検診者の年齢及び性別などの生体情報、又は検診者の病歴に関する情報であってもよい。
【0019】
骨粗鬆症検診モデル22は、骨粗鬆症検診で得られた胸部X線画像と、医師による所見の結果(正解となる判定ラベル)又はDXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry;二重エネルギーX線吸収測定)法により測定した結果とを学習データとして用いて、胸部X線画像から骨の状態を推論できるように学習済みであってもよい。なお、DXA法は、2種類のエネルギーのX線を測定する部位に当てて、骨と他の軟部組織とを区別して骨の成分を測定する測定法である。
【0020】
骨粗鬆症検診モデル22は、骨粗鬆症検診で得られた胸部X線画像と、検診者の臨床情報と、医師による所見の結果又はDXA法により測定した結果とを学習データとして用いて、胸部X線画像から骨の状態を推論できるように学習済みであってもよい。また、骨粗鬆症検診モデル22の学習は、正解となる判定ラベル付きの学習データから正解を推論するモデルを導き出す既存の教師あり学習の手法を利用できる。
【0021】
骨粗鬆症推論部20は、肺がん推論部14よる推論の結果が「正常」であった胸部X線画像を提供される。骨粗鬆症推論部20は、胸部X線画像選択部18から提供された検診者の胸部X線画像から、骨粗鬆症検診モデル22を用いて骨の状態を推論してもよい。骨粗鬆症推論部20は、胸部X線画像選択部18から提供された検診者の胸部X線画像及び検診者の臨床情報から、骨粗鬆症検診モデル22を用いて骨の状態を推論してもよい。
【0022】
骨粗鬆症推論部20は、胸部X線画像から「骨粗鬆症疑い」「骨減少症疑い」又は「正常」を推論してもよい。骨粗鬆症推論部20は、胸部X線画像及び検診者の臨床情報から「骨粗鬆症疑い」「骨減少症疑い」又は「正常」を推論してもよい。骨粗鬆症推論部20は、「骨粗鬆症疑い」「骨減少症疑い」「異常高値」又は「正常」を推論してもよい。骨粗鬆症推論部20は、胸部X線画像及び検診者の臨床情報から「骨粗鬆症疑い」「骨減少症疑い」「異常高値」又は「正常」を推論してもよい。
【0023】
臨床情報受信部24は、検診者の臨床情報を受信し、検診者の臨床情報を骨粗鬆症推論部20に提供してもよい。出力部26は、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果、及び骨粗鬆症推論部20による骨の状態の推論の結果を出力してもよい。
【0024】
例えば出力部26は、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果が肺の「異常所見あり」の場合、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果が「正常」の場合よりも骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論精度が低いため、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果を出力しない。なお、出力部26は、肺の状態の推論の結果が「異常所見あり」のため、骨の状態の推論精度が低いことを明示した上で、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果を出力してもよい。
【0025】
出力部26は、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果が「正常」の場合、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果が肺の「異常所見あり」の場合よりも骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論精度が高いため、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果を出力してもよい。なお、出力部26は、骨の状態の推論精度が高いことを明示した上で、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果を出力してもよい。
【0026】
[推論方法の処理手順]
本開示の一実施形態に係る推論装置1は、例えば図2に示す処理手順で推論方法を実行する。図2は、本実施形態に係る推論方法の一例を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS10において、推論装置1の肺がん推論部14は、肺がん検診モデル16を用いて胸部X線画像から肺の状態を推論してもよい。ステップS12において、推論装置1の胸部X線画像選択部18は、肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」であるか否かを判定してもよい。
【0028】
肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」であれば、胸部X線画像選択部18は、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、胸部X線画像選択部18は、肺がん推論部14がステップS10で肺の異常を推論した胸部X線画像を骨の状態の推論対象から除外してもよい。言い換えれば、胸部X線画像選択部18は、肺がん推論部14が肺の「異常所見あり」と推論した胸部X線画像を骨粗鬆症推論部20に提供しなくてもよい。したがって、骨粗鬆症推論部20は、肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」であった胸部X線画像の骨の状態を推論しなくてもよい。ステップS16において、出力部26は、肺がん検診モデル16による肺の状態の推論の結果として「肺がん疑い」を出力してもよい。
【0029】
肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」でなければ、胸部X線画像選択部18は肺がん推論部14がステップS10で肺の状態を推論した胸部X線画像を骨の状態の推論対象としてもよい。言い換えれば、胸部X線画像選択部18は、肺がん推論部14が「正常」と推論した胸部X線画像を骨粗鬆症推論部20に提供してもよい。ステップS18において、骨粗鬆症推論部20は、肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が「正常」であった胸部X線画像の骨の状態を推論してもよい。
【0030】
ステップS20において、出力部26は、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果として「正常」を出力してもよい。また、ステップS22において、出力部26は、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果として「正常」「骨粗鬆症疑い」又は「骨減少症疑い」を出力してもよい。
【0031】
[推論装置の機能構成の変形例]
本開示の一実施形態に係る推論装置1の機能構成は、図3の構成であってもよい。図3は、本実施形態に係る推論装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、図3のブロック図は、一部を除いて図1のブロック図と同様である。本実施形態に係る推論装置1は、胸部X線画像受信部10、胸部X線画像記憶部12、肺がん・骨粗鬆症推論部30、肺がん検診モデル16、骨粗鬆症検診モデル22、臨床情報受信部24、及び出力部26を備えてもよい。
【0032】
推論装置1は、予めインストールされたプログラムが実行されることで、胸部X線画像受信部10、胸部X線画像記憶部12、肺がん・骨粗鬆症推論部30、肺がん検診モデル16、骨粗鬆症検診モデル22、臨床情報受信部24、及び出力部26として機能してもよい。
【0033】
胸部X線画像受信部10は、推論対象の胸部X線画像を受信してもよい。胸部X線画像記憶部12は、胸部X線画像受信部10が受信した検診者の胸部X線画像を記憶してもよい。肺がん・骨粗鬆症推論部30は、肺がん検診モデル16及び骨粗鬆症検診モデル22を用いて胸部X線画像から肺の状態及び骨の状態を推論してもよい。一例として、肺がん検診モデル16を先に推論に用いてもよいし、骨粗鬆症検診モデル22を先に推論に用いてもよい。肺がん検診モデル16は、肺がん検診で得られた胸部X線画像と、医師による所見の結果とを学習データとして用いて、胸部X線画像から肺の状態を推論できるように学習済みである。肺がん・骨粗鬆症推論部30は、胸部X線画像から肺の「異常所見あり」又は「正常」を推論してもよい。
【0034】
また、肺がん・骨粗鬆症推論部30は、骨粗鬆症検診モデル22を用いて胸部X線画像から骨の状態を推論してもよい。骨粗鬆症検診モデル22は、骨粗鬆症検診で得られた胸部X線画像と、医師による所見の結果又はDXA法により測定した結果とを学習データとして用いて、胸部X線画像から骨の状態を推論できるように学習済みであってもよい。肺がん・骨粗鬆症推論部30は、胸部X線画像から「骨粗鬆症疑い」「骨減少症疑い」又は「正常」を推論してもよい。
【0035】
臨床情報受信部24は、検診者の臨床情報を受信し、検診者の臨床情報を肺がん・骨粗鬆症推論部30に提供してもよい。出力部26は、肺がん推論部14による肺の状態の推論の結果、及び骨粗鬆症推論部20による骨の状態の推論の結果を出力してもよい。出力部26は、肺がん・骨粗鬆症推論部30による肺の状態の推論の結果である「正常」又は「異常所見あり」と骨の状態の推論の結果である「骨粗鬆症疑い」「骨減少症疑い」又は「正常」とを出力してもよい。
【0036】
なお、図3では肺がん・骨粗鬆症推論部30が肺がん検診モデル16及び骨粗鬆症検診モデル22のセットを用いる例を説明したが、肺がん検診モデル16及び骨粗鬆症検診モデル22を単一モデルとしてもよい。肺がん検診モデル16及び骨粗鬆症検診モデル22を単一モデルとすることで、推論装置1は一つのモデルで肺の状態及び骨の状態を推論することができる。
【0037】
[推論方法の処理手順の変形例]
本開示の一実施形態に係る推論装置1は、例えば図4に示す処理手順で推論方法を実行してもよい。図4は、本実施形態に係る推論方法の一例を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS30において、推論装置1の肺がん・骨粗鬆症推論部30は、肺がん検診モデル16を用いて胸部X線画像から肺の状態を推論してもよい。ステップS32において、肺がん・骨粗鬆症推論部30は、骨粗鬆症検診モデル22を用いて胸部X線画像から骨の状態を推論してもよい。
【0039】
ステップS34において、肺がん・骨粗鬆症推論部30は、肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」であるか否かを判定してもよい。肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が肺の「異常所見あり」であれば、出力部36はステップS36の処理を行ってもよい。
【0040】
ステップS36において、出力部26は、肺がん検診モデル16による肺の状態の推論の結果として「肺がん疑い」を出力してもよい。ステップS38において、出力部26は、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果として「正常」「骨粗鬆症疑い」又は「骨減少症疑い」を出力してもよい。
【0041】
また、ステップS34において、出力部26は、肺がん検診モデル16を用いた推論の結果が「正常」であれば、ステップS40の処理を行ってもよい。ステップS40において、出力部26は、肺がん検診モデル16による肺の状態の推論の結果として「正常」を出力してもよい。ステップS42において、出力部26は、骨粗鬆症検診モデル22による骨の状態の推論の結果として「正常」「骨粗鬆症疑い」又は「骨減少症疑い」を出力してもよい。
【0042】
[学習装置の機能構成]
本開示の一実施形態に係る学習装置2の機能構成について説明する。図5は、本実施形態に係る学習装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。図5の学習装置2は、大規模な胸部X線画像データセットを用いて教師無し事前学習を行い、骨粗鬆症検診モデル22の推論精度を向上させるものである。大規模な胸部X線画像データセットは、例えば無償で公開されているMIMIC-CXR又はCheXpertを利用してもよい。
【0043】
図5の学習装置2は、骨粗鬆症検診モデル22、胸部X線画像受信部50、胸部X線画像記憶部52、自己教師あり学習部54、教師あり学習部58、及び骨粗鬆症検診モデル送信部60を備えてもよい。
【0044】
学習装置2は、予めインストールされたプログラムが実行されることで、骨粗鬆症検診モデル22、胸部X線画像受信部50、胸部X線画像記憶部52、自己教師あり学習部54、教師あり学習部58、及び骨粗鬆症検診モデル送信部60として機能してもよい。なお、学習装置2は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォン、サーバー等の情報処理装置である。
【0045】
胸部X線画像受信部50は、正解となる判定ラベル無しの大規模な胸部X線画像データセットを受信してもよい。胸部X線画像記憶部52は、胸部X線画像受信部50が受信した大規模な胸部X線画像データセットを記憶してもよい。
【0046】
自己教師あり学習部54は、胸部X線画像記憶部52が記憶する大規模な胸部X線画像データセットを活用して、自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)による骨粗鬆症検診モデル22の事前学習を行ってもよい。自己教師あり学習とは、判定ラベル無しの大規模なデータセットを活用して、プレテキストタスクと呼ばれる擬似的な判定ラベルが自動生成された代替のタスクを解くための事前学習を行う学習方法である。
【0047】
教師あり学習部58は、ターゲットタスク(下流タスク)を解くために、自己教師あり学習部54で事前学習済みの骨粗鬆症検診モデル22をファインチューニングしてもよい。骨粗鬆症検診モデル送信部60は、教師あり学習部58でファインチューニング済みの骨粗鬆症検診モデル22を推論装置1に送信してもよい。
【0048】
図5の学習装置2によれば、自己教師あり学習により判定ラベル無しの大規模な胸部X線画像データセットに擬似的な判定ラベルを自動生成できるため、判定ラベル付与の手間を削減できる。
【0049】
[学習装置の機能構成の変形例]
本開示の一実施形態に係る学習装置2の機能構成は、図6の構成であってもよい。図6は、本実施形態に係る学習装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。図6の学習装置2は、胸部X線画像の読影に使われている事前知識を骨粗鬆症検診モデル22に事前学習を行い、骨粗鬆症検診モデル22の推論精度を向上させるものである。胸部X線画像の読影に使われている事前知識は、例えば放射線科医が胸部X線画像を読影する際、最初に肺野及び胸部の領域を区分する知識である。図6の学習装置2では、胸部X線画像における肺野及び胸部の境界(領域の区分)を事前に検出し、領域の区分を事前知識として骨粗鬆症検診モデル22の学習及び推論に活用することで、骨粗鬆症検診モデル22の推論精度を向上させる。
【0050】
本実施形態に係る学習装置2は、骨粗鬆症検診モデル22、胸部X線画像受信部50、胸部X線画像記憶部52、骨粗鬆症検診モデル送信部60、事前学習部70、領域区分受信部72、及び教師あり学習部74を備えてもよい。学習装置2は、予めインストールされたプログラムが実行されることで、骨粗鬆症検診モデル22、胸部X線画像受信部50、胸部X線画像記憶部52、骨粗鬆症検診モデル送信部60、事前学習部70、領域区分受信部72、及び教師あり学習部74として機能してもよい。
【0051】
胸部X線画像受信部50は、正解となる判定ラベル無しの大規模な胸部X線画像データセットを受信してもよい。胸部X線画像記憶部52は、胸部X線画像受信部50が受信した大規模な胸部X線画像データセットを記憶してもよい。領域区分受信部72は、胸部X線画像の領域の区分(例えば肺野及び腹部の境界座標)の情報を受信してもよい。
【0052】
事前学習部70は、胸部X線画像の領域の区分を事前学習させてもよい。事前学習部70が行う事前学習は、例えばニューラルネットワークに新たな層を加え、加えた層のパラメータの調整を胸部X線画像の領域の区分により行う学習方法である。
【0053】
教師あり学習部78は、事前学習部70で事前学習済みの骨粗鬆症検診モデル22に教師あり学習を行ってもよい。骨粗鬆症検診モデル送信部60は、教師あり学習部74で教師あり学習済みの骨粗鬆症検診モデル22を推論装置1に送信してもよい。
【0054】
なお、胸部X線画像の撮像機器では、読影を補助するという観点からコントラストの調整又はノイズ除去のフィルタリングなどの様々な画像処理が施されている。胸部X線画像の撮像機器により施されている画像処理の違いにより、骨粗鬆症検診モデル22の汎化性能は低下する場合がある。
【0055】
そこで、図5及び図6の学習装置2は、胸部X線画像の撮像機器が読影を補助する為に行う画像処理を考慮した教師データ水増し(augmentation)を行うことで、骨粗鬆症検診モデル22の頑健性及び汎化性を向上させてもよい。
【0056】
[まとめ]
骨粗鬆症の検診は、DXA法による測定又は超音波を用いた測定が一般的である。DXA法による測定は、骨密度を測定でき、確定診断にも活用されるが、装置が高価であると共に、設置場所の確保及び管理が必要である。また、超音波を用いた測定は、比較的安価であるが、装置及び技師間の差があり、DXA法による測定との一致率が低い。
【0057】
本開示の一実施形態に係る推論装置1は、同一の胸部X線画像を用いて肺の状態及び骨の状態を高精度に検診できるので、定期的な肺がん検診による骨粗鬆症検診、又はかかりつけ医による骨粗鬆症検診が可能となり、骨粗鬆症検診の受診率の向上を期待できる。
【0058】
また、本開示の一実施形態に係る推論装置1は、一つのモデル、又はモデルのセットで肺の状態及び骨の状態の推論を高精度に実施できるので、導入する医療機関等にとっての利便性が高い。
【0059】
本開示の一実施形態に係る推論装置1の機能は、クラウドサービスとして検診施設又は診療所等に提供してもよい。
【0060】
本開示の一実施形態によれば、胸部X画像を用いた骨の状態の推論精度を向上させる推論装置1を提供できる。
【0061】
[推論装置及び学習装置のハードウェア構成]
前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)の一部又は全部は、ハードウェアで構成されていてもよいし、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等が実行するソフトウェア(プログラム)の情報処理で構成されてもよい。ソフトウェアの情報処理で構成される場合には、前述した実施形態における各装置の少なくとも一部の機能を実現するソフトウェアを、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的な記憶媒体(非一時的なコンピュータ可読媒体)に収納し、コンピュータに読み込ませることにより、ソフトウェアの情報処理を実行してもよい。また、通信ネットワークを介して当該ソフトウェアがダウンロードされてもよい。さらに、ソフトウェアの処理の全部又は一部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路に実装されることにより、当該ソフトウェアによる情報処理がハードウェアにより実行されてもよい。
【0062】
ソフトウェアを収納する記憶媒体は、光ディスク等の着脱可能なものでもよいし、ハードディスク、メモリ等の固定型の記憶媒体であってもよい。また、記憶媒体は、コンピュータ内部に備えられてもよいし(主記憶装置、補助記憶装置等)、コンピュータ外部に備えられてもよい。
【0063】
図7は、前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。各装置は、一例として、プロセッサ101と、主記憶装置102(メモリ)と、補助記憶装置103(メモリ)と、ネットワークインタフェース104と、デバイスインタフェース105と、を備え、これらがバス106を介して接続されたコンピュータ7として実現されてもよい。
【0064】
図7のコンピュータ7は、各構成要素を一つ備えているが、同じ構成要素を複数備えていてもよい。また、図7では、1台のコンピュータ7が示されているが、ソフトウェアが複数台のコンピュータにインストールされて、当該複数台のコンピュータそれぞれがソフトウェアの同一の又は異なる一部の処理を実行してもよい。この場合、コンピュータそれぞれがネットワークインタフェース104等を介して通信して処理を実行する分散コンピューティングの形態であってもよい。つまり、前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)は、1又は複数の記憶装置に記憶された命令を1台又は複数台のコンピュータが実行することで機能を実現するシステムとして構成されてもよい。また、端末から送信された情報をクラウド上に設けられた1台又は複数台のコンピュータで処理し、この処理結果を端末に送信するような構成であってもよい。
【0065】
前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)の各種演算は、1又は複数のプロセッサを用いて、又はネットワークを介した複数台のコンピュータを用いて、並列処理で実行されてもよい。また、各種演算が、プロセッサ内に複数ある演算コアに振り分けられて、並列処理で実行されてもよい。また、本開示の処理、手段等の一部又は全部は、ネットワークを介してコンピュータ7と通信可能なクラウド上に設けられたプロセッサ及び記憶装置の少なくとも一方により実現されてもよい。このように、前述した実施形態における各装置は、1台又は複数台のコンピュータによる並列コンピューティングの形態であってもよい。
【0066】
プロセッサ101は、少なくともコンピュータの制御又は演算のいずれかを行う電子回路(処理回路、Processing circuit、Processing circuitry、CPU、GPU、FPGA、ASIC等)であってもよい。また、プロセッサ101は、汎用プロセッサ、特定の演算を実行するために設計された専用の処理回路又は汎用プロセッサと専用の処理回路との両方を含む半導体装置のいずれであってもよい。また、プロセッサ101は、光回路を含むものであってもよいし、量子コンピューティングに基づく演算機能を含むものであってもよい。
【0067】
プロセッサ101は、コンピュータ7の内部構成の各装置等から入力されたデータやソフトウェアに基づいて演算処理を行ってもよく、演算結果や制御信号を各装置等に出力してもよい。プロセッサ101は、コンピュータ7のOS(Operating System)や、アプリケーション等を実行することにより、コンピュータ7を構成する各構成要素を制御してもよい。
【0068】
前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)は、1又は複数のプロセッサ101により実現されてもよい。ここで、プロセッサ101は、1チップ上に配置された1又は複数の電子回路を指してもよいし、2つ以上のチップあるいは2つ以上のデバイス上に配置された1又は複数の電子回路を指してもよい。複数の電子回路を用いる場合、各電子回路は有線又は無線により通信してもよい。
【0069】
主記憶装置102は、プロセッサ101が実行する命令及び各種データ等を記憶してもよく、主記憶装置102に記憶された情報がプロセッサ101により読み出されてもよい。補助記憶装置103は、主記憶装置102以外の記憶装置である。なお、これらの記憶装置は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を意味するものとし、半導体のメモリでもよい。半導体のメモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのいずれでもよい。前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)において各種データ等を保存するための記憶装置は、主記憶装置102又は補助記憶装置103により実現されてもよく、プロセッサ101に内蔵される内蔵メモリにより実現されてもよい。例えば、前述した実施形態における各記憶部は、主記憶装置102又は補助記憶装置103により実現されてもよい。
【0070】
前述した実施形態における各装置(推論装置1及び学習装置2)が、少なくとも1つの記憶装置(メモリ)と、この少なくとも1つの記憶装置に接続(結合)される少なくとも1つのプロセッサで構成される場合、記憶装置1つに対して、少なくとも1つのプロセッサが接続されてもよい。また、1つのプロセッサに対して、少なくとも1つの記憶装置が接続されてもよい。また、複数のプロセッサのうち少なくとも1つのプロセッサが、複数の記憶装置のうち少なくとも1つの記憶装置に接続される構成を含んでもよい。また、複数台のコンピュータに含まれる記憶装置とプロセッサによって、この構成が実現されてもよい。さらに、記憶装置がプロセッサと一体になっている構成(例えば、L1キャッシュ、L2キャッシュを含むキャッシュメモリ)を含んでもよい。
【0071】
ネットワークインタフェース104は、無線又は有線により、通信ネットワーク8に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース104は、既存の通信規格に適合したもの等、適切なインタフェースを用いればよい。ネットワークインタフェース104により、通信ネットワーク8を介して接続された外部装置9Aと情報のやり取りが行われてもよい。なお、通信ネットワーク8は、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、PAN(Personal Area Network)等の何れか又はそれらの組み合わせであってよく、コンピュータ7と外部装置9Aとの間で情報のやり取りが行われるものであればよい。WANの一例としてインターネット等があり、LANの一例としてIEEE802.11やイーサネット(登録商標)等があり、PANの一例としてBluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communication)等がある。
【0072】
デバイスインタフェース105は、外部装置9Bと直接接続するUSB等のインタフェースである。
【0073】
外部装置9Aはコンピュータ7とネットワークを介して接続されている装置である。外部装置9Bはコンピュータ7と直接接続されている装置である。
【0074】
外部装置9A又は外部装置9Bは、一例として、入力装置であってもよい。入力装置は、例えば、カメラ、マイクロフォン、モーションキャプチャ、各種センサ、キーボード、マウス、タッチパネル等のデバイスであり、取得した情報をコンピュータ7に与える。また、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の入力部とメモリとプロセッサを備えるデバイスであってもよい。
【0075】
また、外部装置9A又は外部装置Bは、一例として、出力装置でもよい。出力装置は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示装置であってもよいし、音声等を出力するスピーカ等であってもよい。また、パーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォン等の出力部とメモリとプロセッサを備えるデバイスであってもよい。
【0076】
また、外部装置9Aまた外部装置9Bは、記憶装置(メモリ)であってもよい。例えば、外部装置9Aはネットワークストレージ等であってもよく、外部装置9BはHDD等のストレージであってもよい。
【0077】
また、外部装置9A又は外部装置9Bは、前述した実施形態における各装置(情報処理装置100)の構成要素の一部の機能を有する装置でもよい。つまり、コンピュータ7は、外部装置9A又は外部装置9Bに処理結果の一部又は全部を送信してもよいし、外部装置9A又は外部装置9Bから処理結果の一部又は全部を受信してもよい。
【0078】
本明細書(請求項を含む)において、「a、b及びcの少なくとも1つ(一方)」又は「a、b又はcの少なくとも1つ(一方)」の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、a、b、c、a-b、a-c、b-c又はa-b-cのいずれかを含む。また、a-a、a-b-b、a-a-b-b-c-c等のように、いずれかの要素について複数のインスタンスを含んでもよい。さらに、a-b-c-dのようにdを有する等、列挙された要素(a、b及びc)以外の他の要素を加えることも含む。
【0079】
本明細書(請求項を含む)において、「データを入力として/を用いて/データに基づいて/に従って/に応じて」等の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、特に断りがない場合、データそのものを用いる場合や、データに何らかの処理を行ったもの(例えば、ノイズ加算したもの、正規化したもの、データから抽出した特徴量、データの中間表現等)を用いる場合を含む。また、「データを入力として/を用いて/データに基づいて/に従って/に応じて」何らかの結果が得られる旨が記載されている場合(同様な表現を含む)、特に断りがない場合、当該データのみに基づいて当該結果が得られる場合や、当該データ以外の他のデータ、要因、条件及び/又は状態にも影響を受けて当該結果が得られる場合を含む。また、「データを出力する」旨が記載されている場合(同様な表現を含む)、特に断りがない場合、データそのものを出力として用いる場合や、データに何らかの処理を行ったもの(例えば、ノイズ加算したもの、正規化したもの、データから抽出した特徴量、各種データの中間表現等)を出力として用いる場合を含む。
【0080】
本明細書(請求項を含む)において、「接続される(connected)」及び「結合される(coupled)」との用語が用いられる場合は、直接的な接続/結合、間接的な接続/結合、電気的(electrically)な接続/結合、通信的(communicatively)な接続/結合、機能的(operatively)な接続/結合、物理的(physically)な接続/結合等のいずれをも含む非限定的な用語として意図される。当該用語は、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきであるが、意図的に或いは当然に排除されるのではない接続/結合形態は、当該用語に含まれるものして非限定的に解釈されるべきである。
【0081】
本明細書(請求項を含む)において、「AがBするよう構成される(A configured to B)」との表現が用いられる場合は、要素Aの物理的構造が、動作Bを実行可能な構成を有するとともに、要素Aの恒常的(permanent)又は一時的(temporary)な設定(setting/configuration)が、動作Bを実際に実行するように設定(configured/set)されていることを含んでよい。例えば、要素Aが汎用プロセッサである場合、当該プロセッサが動作Bを実行可能なハードウェア構成を有するとともに、恒常的(permanent)又は一時的(temporary)なプログラム(命令)の設定により、動作Bを実際に実行するように設定(configured)されていればよい。また、要素Aが専用プロセッサ、専用演算回路等である場合、制御用命令及びデータが実際に付属しているか否かとは無関係に、当該プロセッサの回路的構造等が動作Bを実際に実行するように構築(implemented)されていればよい。
【0082】
本明細書(請求項を含む)において、含有又は所有を意味する用語(例えば、「含む(comprising/including)」、「有する(having)」等)が用いられる場合は、当該用語の目的語により示される対象物以外の物を含有又は所有する場合を含む、open-endedな用語として意図される。これらの含有又は所有を意味する用語の目的語が数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)である場合は、当該表現は特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0083】
本明細書(請求項を含む)において、ある箇所において「1つ又は複数(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」等の表現が用いられ、他の箇所において数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)が用いられているとしても、後者の表現が「1つ」を意味することを意図しない。一般に、数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)は、必ずしも特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0084】
本明細書において、ある実施形態の有する特定の構成について特定の効果(advantage/result)が得られる旨が記載されている場合、別段の理由がない限り、当該構成を有する他の1つ又は複数の実施形態についても当該効果が得られると理解されるべきである。但し、当該効果の有無は、一般に種々の要因、条件及び/又は状態に依存し、当該構成により必ず当該効果が得られるものではないと理解されるべきである。当該効果は、種々の要因、条件及び/又は状態が満たされたときに実施形態に記載の当該構成により得られるものに過ぎず、当該構成又は類似の構成を規定したクレームに係る発明において、当該効果が必ずしも得られるものではない。
【0085】
本明細書(請求項を含む)において、「最大化する(maximize)/最大化(maximization)」等の用語が用いられる場合は、グローバルな最大値を求めること、グローバルな最大値の近似値を求めること、ローカルな最大値を求めること、及びローカルな最大値の近似値を求めることを含み、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきである。また、これら最大値の近似値を確率的又はヒューリスティックに求めることを含む。同様に、「最小化する(minimize)/最小化(minimization)」等の用語が用いられる場合は、グローバルな最小値を求めること、グローバルな最小値の近似値を求めること、ローカルな最小値を求めること、及びローカルな最小値の近似値を求めることを含み、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきである。また、これら最小値の近似値を確率的又はヒューリスティックに求めることを含む。同様に、「最適化する(optimize)/最適化(optimization)」等の用語が用いられる場合は、グローバルな最適値を求めること、グローバルな最適値の近似値を求めること、ローカルな最適値を求めること、及びローカルな最適値の近似値を求めることを含み、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきである。また、これら最適値の近似値を確率的又はヒューリスティックに求めることを含む。
【0086】
本明細書(請求項を含む)において、複数のハードウェアが所定の処理を行う場合、各ハードウェアが協働して所定の処理を行ってもよいし、一部のハードウェアが所定の処理の全てを行ってもよい。また、一部のハードウェアが所定の処理の一部を行い、別のハードウェアが所定の処理の残りを行ってもよい。本明細書(請求項を含む)において、「1又は複数のハードウェアが第1の処理を行い、前記1又は複数のハードウェアが第2の処理を行う」等の表現(同様な表現を含む)が用いられている場合、第1の処理を行うハードウェアと第2の処理を行うハードウェアは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。つまり、第1の処理を行うハードウェア及び第2の処理を行うハードウェアが、前記1又は複数のハードウェアに含まれていればよい。なお、ハードウェアは、電子回路、電子回路を含む装置等を含んでよい。
【0087】
本明細書(請求項を含む)において、複数の記憶装置(メモリ)がデータの記憶を行う場合、複数の記憶装置のうち個々の記憶装置は、データの一部のみを記憶してもよいし、データの全体を記憶してもよい。また、複数の記憶装置のうち一部の記憶装置がデータを記憶する構成を含んでもよい。
【0088】
本明細書(請求項を含む)において、「第1の」、「第2の」等の用語は、単に2つ以上の要素間を区別する方法として使用されており、その対象に対して時間的態様、空間的態様、順序、量等の技術的意味を課すことを必ずしも意図するものではない。したがって、例えば、第1の要素及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、第1の要素が第2の要素に先行しなければならないこと、第2の要素が存在するために第1の要素が存在しなければならないこと等を必ずしも意味するものではない。
【0089】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。例えば、前述した実施形態において、数値又は数式を説明に用いている場合、これらは例示的な目的で示されたものであり、本開示の範囲を限定するものではない。また、実施形態で示した各動作の順序も例示的なものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0090】
1 推論装置
2 学習装置
10 胸部X線画像受信部
12 胸部X線画像記憶部
14 肺がん推論部
16 肺がん検診モデル
18 胸部X線画像選択部
20 骨粗鬆症推論部
22 骨粗鬆症検診モデル
24 臨床情報受信部
26 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7