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特開2024-17458可塑化装置、三次元造形装置、および、射出成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017458
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】可塑化装置、三次元造形装置、および、射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/03 20060101AFI20240201BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240201BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240201BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240201BHJP
【FI】
B29C45/03
B33Y30/00
B29C64/209
B29C64/106
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120102
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】中村 和英
(72)【発明者】
【氏名】合津 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】荻原 正章
【テーマコード(参考)】
4F206
4F213
【Fターム(参考)】
4F206AM14
4F206AP05
4F206JA07
4F206JD04
4F206JL08
4F206JP30
4F206JQ41
4F213AR14
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業が容易な可塑化装置、三次元造形装置、および、射出成形装置を提供する。
【解決手段】材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化装置は、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、溝形成面に対向する対向面を有し、可塑化材料を外部へ流出させる連通孔が形成されたバレルと、バレル内に配置され、溝に供給された材料を加熱する第1加熱部と、バレル内に配置され、溝の温度を検出する第1検出部と、を備え、バレルには、第1加熱部を収容する第1孔と、第1検出部を収容する第2孔と、が形成されており、第1孔が延びる方向と、第2孔が延びる方向とは一致しており、第1加熱部および第1検出部は、固定部材を介して互いに連結されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化装置であって、
溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、
前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記可塑化材料を外部へ流出させる連通孔が形成されたバレルと、
前記バレル内に配置され、前記溝に供給された前記材料を加熱する第1加熱部と、
前記バレル内に配置され、前記溝の温度を検出する第1検出部と、を備え、
前記バレルには、前記第1加熱部を収容する第1孔と、前記第1検出部を収容する第2孔と、が形成されており、
前記第1孔が延びる方向と、前記第2孔が延びる方向とは一致しており、
前記第1加熱部および前記第1検出部は、固定部材を介して互いに連結されている、
可塑化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記連通孔に連通する流路が形成されたブロックと、
前記ブロック内に配置され、前記ブロックを加熱する第2加熱部と、を備え、
前記ブロックには、前記第2加熱部を収容する第3孔が形成されており、
前記第3孔が延びる方向は、前記第1孔および前記第2孔が延びる方向と一致しており、
前記第2加熱部は、前記固定部材に固定される、
可塑化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の可塑化装置であって、
前記連通孔に連通する流路が形成されたブロックを備え、
前記バレルと前記ブロックは互いに係合することで連結されており、
前記ブロックは、前記バレルに対向する面から、前記バレルから離れる方向に延びる第1貫通孔を有する、
可塑化装置。
【請求項4】
請求項1に記載の可塑化装置と、
テーブルに向けて前記可塑化材料を吐出するノズルと、を備える、
三次元造形装置。
【請求項5】
請求項4に記載の三次元造形装置であって、
前記可塑化装置は、第1連結部を有し、
第2連結部を有し、前記第1連結部と前記第2連結部を連結させることで前記可塑化装置を吊り下げる支持部を備える、
三次元造形装置。
【請求項6】
請求項5に記載の三次元造形装置であって、
前記可塑化装置は、第1部分と、第2部分とに分離可能に構成されており、
前記第1部分は、前記第1連結部を有する、
三次元造形装置。
【請求項7】
請求項6に記載の三次元造形装置であって、
前記第1部分は前記スクリューを有し、前記第2部分は前記バレルを有する、
三次元造形装置。
【請求項8】
請求項4に記載の三次元造形装置であって、
第1係合部を有し、前記ノズルからの前記可塑化材料の吐出量を調整し、前記三次元造形装置から分離可能な吐出調整部と、
第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部とを係合させることで分離された前記吐出調整部を載置可能な載置部と、を備える、
三次元造形装置。
【請求項9】
請求項1に記載の可塑化装置と、
成形型に前記可塑化材料を射出するノズルと、を備える、
射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可塑化装置、三次元造形装置、および、射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、フラットスクリューを搭載した可塑化装置、三次元造形装置、および、射出成形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-179580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可塑化装置、三次元造形装置、および、射出成形装置は、定期的にメンテナンスを行う必要があるが、装置の構造が複雑なためメンテナンス作業が煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、可塑化装置が提供される。この可塑化装置は、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化装置であって、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記可塑化材料を外部へ流出させる連通孔が形成されたバレルと、前記バレル内に配置され、前記溝に供給された前記材料を加熱する第1加熱部と、前記バレル内に配置され、前記溝の温度を検出する第1検出部と、を備え、前記バレルには、前記第1加熱部を収容する第1孔と、前記第1検出部を収容する第2孔とが形成されており、前記第1孔が延びる方向と、前記第2孔が延びる方向とは一致しており、前記第1加熱部および前記第1検出部は、固定部材を介して互いに連結されている。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、前記可塑化装置と、テーブルに向けて前記可塑化材料を吐出するノズルと、を備える。
【0007】
本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、前記可塑化装置と、成形型に前記可塑化材料を射出するノズルと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】三次元造形装置の概略構成を示す説明図である。
図2】三次元造形装置の概略構成を示す説明図である。
図3】スクリューの概略構成を示す斜視図である。
図4】バレルの概略平面図である。
図5】バレルおよびブロックの側面図である。
図6】ヒーターユニットの斜視図である。
図7】造形部にヒーターユニットが接続された状態を示す図である。
図8】第2実施形態におけるバレルおよびブロックのY方向に垂直な断面における断面図である。
図9】第2実施形態におけるブロックのX方向に垂直な断面における断面図である。
図10】バレルの連通孔に付着している固形物を除去する方法の例を示す図である。
図11】ブロックの流路に付着している固形物を除去する方法の例を示す図である。
図12】プランジャーユニットの斜視図である。
図13】プランジャーユニットが可塑化装置に接続されている状態を示す図である。
図14】載置部の斜視図である。
図15】第3実施形態における三次元造形装置の斜視図である。
図16】第1部分と第2部分が分離された状態の可塑化装置の斜視図である。
図17】第4実施形態における射出成形装置の概略構成を示す説明図である。
図18】第4実施形態における可塑化装置及び型締装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1および図2は、本実施形態における、三次元造形装置100の概略構成を示す説明図である。図1および図2には、互いに直交するX,Y,Z方向を表す矢印が示されている。X方向およびY方向は、水平面に平行な方向である。Z方向は、鉛直方向に平行な方向である。図1および図2におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を指し示している。向きを特定する場合には、矢印の指し示す方向である正の方向を「+」、矢印の指し示す方向とは反対の方向である負の方向を「-」として、方向表記に正負の符号を併用する。
【0010】
三次元造形装置100は、造形部10と、テーブル20と、位置変更部30と、テーブル加熱部40と、制御部50と、を備える。
【0011】
制御部50は、三次元造形装置全体の動作を制御する制御装置である。制御部50は、1つ、または、複数のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成される。制御部50は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、三次元造形物を造形するための造形処理を実行する機能等、種々の機能を発揮する。なお、制御部50は、コンピューターによって構成される代わりに、各機能の少なくとも一部を実現するための複数の回路を組み合わせた構成により実現されてもよい。
【0012】
造形部10は、制御部50の制御下において、固体状態の材料を可塑化させてペースト状にした可塑化材料を、三次元造形物の基台となるテーブル20上に吐出する。造形部10は、材料供給部11と、可塑化装置12と、ノズル13と、を備える。造形部10をヘッドとも呼ぶ。
【0013】
三次元造形装置100は、造形部10として、第1造形部10aと、第2造形部10bと、を備える。第1造形部10aは、材料供給部11として第1材料供給部11aを備え、可塑化装置12として第1可塑化装置12aを備え、ノズル13として第1ノズル13aを備える。第2造形部10bは、材料供給部11として第2材料供給部11bを備え、可塑化装置12として第2可塑化装置12bを備え、ノズル13として第2ノズル13bを備える。第1造形部10aと第2造形部10bは、Y方向における位置が一致するようにX方向に並んで配置されている。第2造形部10bは、第1造形部10aの+X方向の位置に配置されている。第1造形部10aの構成と第2造形部10bの構成とは同様であるため、以下では、両者を特に区別しない場合、両者を単に造形部10と呼ぶこともある。また、両者の構成部材を区別する場合、第1造形部10aの構成部材には、符号「a」を付し、第2造形部10bの構成部材には、符号「b」を付して表記する。
【0014】
材料供給部11は、可塑化材料を生成するための材料を可塑化装置12に供給する。材料供給部11は、例えば、ホッパーによって構成される。材料供給部11には、ペレット状や粉末状の材料が収容されている。材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)などの熱可塑性樹脂が用いられる。材料供給部11の下方には、材料供給部11と可塑化装置12を接続する連通路15が設けられている。材料供給部11は、連通路15を介して、可塑化装置12に材料を供給する。
【0015】
可塑化装置12は、材料供給部11から供給された材料の少なくとも一部を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成し、ノズル13へと導く。ここで、「可塑化」とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。可塑化装置12は、スクリュー110と、駆動モーター120と、バレル130と、吐出部140と、を備える。
【0016】
図2に示すように、スクリュー110は、下部ケース152内に収納されている。スクリュー110の上面側は、駆動軸121を介して駆動モーター120に接続されている。スクリュー110は、駆動モーター120が駆動軸121に駆動力を与えることによって、駆動軸121と一体として回転する。スクリュー110の回転軸RXは、駆動軸121の軸線と一致する。スクリュー110の回転軸RXの軸線方向は、Z方向に沿う方向である。スクリュー110の回転速度は、制御部50が駆動モーター120の回転速度を制御することによって制御される。なお、スクリュー110は、減速機を介して駆動モーター120によって駆動されてもよい。スクリュー110は、ローター、あるいは、フラットスクリューとも呼ばれる。駆動軸121は、下部ケース152の上方に位置する上部ケース151内に設けられている。
【0017】
バレル130は、スクリュー110の-Z方向側に設置されている。バレル130の上面である対向面131は、スクリュー110の下面である溝形成面111に対向している。バレル130の中心には、吐出部140の流路142に連通する連通孔132が形成されている。バレル130の内部には、後述するスクリュー110の溝113に供給された材料を加熱する第1加熱部201と、スクリュー110の溝113の温度を検出する第1検出部202が収容されている。バレル130の詳細については後述する。
【0018】
図3は、スクリュー110の概略構成を示す斜視図である。スクリュー110は、回転軸RXに沿った方向における長さが回転軸RXに垂直な方向における長さよりも小さい略円柱状を有する。溝形成面111には、中央部112を中心に、渦状の溝113が形成されている。溝113は、スクリュー110の側面に形成された材料投入口114に連通している。材料供給部11から供給される材料は、材料投入口114を通じて溝113に供給される。溝113は、凸条部115によって隔てられることにより形成されている。図3には、溝113が3本形成されている例を示しているが、溝113の数は、1本でもよいし、2本以上であってもよい。なお、溝113は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部112から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0019】
図4は、バレル130の概略平面図である。対向面131における連通孔132の回りには、複数の案内溝133が形成されている。それぞれの案内溝133は、その一端が連通孔132に接続され、連通孔132から対向面131の外周に向かって渦状に延びている。なお、案内溝133の一端は連通孔132に接続されていなくてもよい。また、バレル130には案内溝133が形成されていなくてもよい。
【0020】
スクリュー110の溝113に供給された材料は、スクリュー110の回転と第1加熱部201の加熱によって、溝113内において可塑化されながら、溝113に沿って流動し、可塑化材料としてスクリュー110の中央部112へ導かれる。中央部112に流入した流動性を発現しているペースト状の可塑化材料は、連通孔132を介して吐出部140に供給される。なお、可塑化部では、可塑化材料を構成する全ての種類の物質が可塑化していなくてもよい。可塑化材料は、可塑化材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が可塑化することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
【0021】
図2に示す吐出部140は、ブロック141と、流路142と、流量調整部143と、吸引部144と、を備える。
【0022】
ブロック141は、バレル130の-Z方向側に設置されている。ブロック141には、流路142が形成されている。ブロック141の内部には、ブロック141を加熱する第2加熱部203と、ブロック141の温度を検出する第2検出部204と、が収容されている。ブロック141の詳細については後述する。
【0023】
ノズル13は、ブロック141の下端に設けられている。ノズル13は、流路142を通じてバレル130の連通孔132に接続されている。ノズル13は、可塑化装置12において生成された可塑化材料を、ノズル13の先端の吐出口145からテーブル20に向かって吐出する。
【0024】
流量調整部143は、流路142内で回転することにより流路142の開度を変化させる。流量調整部143は、バタフライバルブによって構成されている。流量調整部143は、制御部50によって制御される。制御部50は、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、可塑化装置12からノズル13に流れる可塑化材料の流量、つまり、ノズル13から吐出される可塑化材料の流量を調整する。流量調整部143は、可塑化材料の流量を調整するとともに、可塑化材料の流出のオン/オフを制御する。なお、流量調整部143は、シャッター機構を有し、シャッター機構によって流路142の開度を変化させることで、可塑化材料の流量を調整する構成であってもよい。
【0025】
吸引部144は、流量調整部143と吐出口145の間の流路142に接続されているシリンダーと、シリンダー内を往復するプランジャーと、プランジャーを駆動するプランジャー駆動部と、を有する。吸引部144は、ノズル13からの可塑化材料の吐出停止時に、流路142内の可塑化材料をシリンダー内に一時的に吸引することによって、可塑化材料が吐出口145から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。吸引部144は、制御部50によって制御される。本実施形態では、流量調整部143および吸引部144をまとめて吐出調整部とも呼ぶ。
【0026】
制御部50は、ノズル13からの可塑化材料の吐出を停止させる場合は、まず、流量調整部143を制御して可塑化材料の流出をオフにし、その後、吸引部144を制御して可塑化材料を吸引する。ノズル13からの可塑化材料の吐出を再開させる場合は、吸引部144によって吸引した可塑化材料を、吸引部144を制御して送出した後に、流量調整部143を制御して可塑化材料の流出をオンにする。
【0027】
テーブル20は、ノズル13の吐出口145に対向する位置に配置されている。三次元造形装置100は、ノズル13からテーブル20の造形面21に向けて可塑化材料を吐出させて造形層を積層することによって三次元造形物を造形する。
【0028】
位置変更部30は、ノズル13とテーブル20との相対的な位置を変化させる。本実施形態では、位置変更部30は、造形部10を積層方向であるZ方向に沿って移動させ、テーブル20を積層方向と交差する方向に移動させることによって、ノズル13とテーブル20との相対的な位置を変化させる。より具体的には、本実施形態の位置変更部30は、造形部10をZ方向に沿って移動させることによって、Z方向におけるノズル13とテーブル20との相対的な位置を変化させ、テーブル20をX方向およびY方向に移動させることによって、X方向およびY方向におけるノズル13とテーブル20との相対的な位置を変化させる。図1に示すように、位置変更部30は、テーブル20をX方向に沿って移動させる第1電動アクチュエーター31と、テーブル20と第1電動アクチュエーター31とをY方向に沿って移動させる第2電動アクチュエーター32と、造形部10をZ方向に沿って移動させる第3電動アクチュエーター33とによって構成されている。第3電動アクチュエーター33は、第1造形部10aおよび第2造形部10bが固定された可動部41をZ方向に沿って移動させることによって、第1造形部10aおよび第2造形部10bをZ方向に沿って移動させる。なお、図2では、第3電動アクチュエーター33および可動部41は省略されている。
【0029】
上述した第1電動アクチュエーター31と、第2電動アクチュエーター32と、第3電動アクチュエーター33は、制御部50の制御下で駆動される。なお、位置変更部30は、例えば、テーブル20をZ方向に移動させ、造形部10をX方向およびY方向に沿って移動させてもよいし、造形部10を移動させずにテーブル20をX方向、Y方向およびZ方向に移動させてもよいし、テーブル20を移動させずに造形部10をX方向、Y方向およびZ方向に移動させてもよい。
【0030】
テーブル加熱部40は、テーブル20に積層された可塑化材料を加熱する。テーブル加熱部40は、可動部41に固定されている。テーブル加熱部40は、造形部10とともに、第3電動アクチュエーター33によってZ方向に移動される。テーブル加熱部40には、図2に示すように、Z方向に貫く開口42が設けられている。ノズル13は、可塑化材料を吐出して三次元造形物を造形しているとき、開口42内に位置し、ノズル13の先端はZ方向においてテーブル加熱部40とテーブル20との間に配置される。
【0031】
図5は、バレル130およびブロック141の側面図である。バレル130には、第1加熱部201を収容する第1孔146と、第1検出部202を収容する第2孔147が形成されている。第1孔146が延びる方向と、第2孔147が延びる方向は一致している。すなわち、第1孔146に対する第1加熱部201の挿入方向と、第2孔147に対する第1検出部202の挿入方向は一致している。本実施形態では、第1孔146および第2孔147が延びる方向は、Y方向である。本明細書では、「一致」とは、完全に一致せずに多少傾いている状態も許容するものとする。例えば、第1孔146の径が第1加熱部201の径よりも大きい場合、または、第2孔147の径が第1検出部202の径よりも大きい場合は、第1孔146が延びる方向と、第2孔147が延びる方向は、多少傾いていてもよいものとする。
【0032】
また、ブロック141には、第2加熱部203を収容する第3孔156と、第2検出部204を収容する第4孔157が形成されている。第3孔156が延びる方向と、第4孔157が延びる方向は一致している。すなわち、第3孔156に対する第2加熱部203の挿入方向と、第4孔157に対する第2検出部204の挿入方向と、は一致している。本実施形態では、第3孔156および第4孔157が延びる方向は、Y方向である。第3孔156および第4孔157が延びる方向は、第1孔146および第2孔147が延びる方向と一致している。
【0033】
図6は、ヒーターユニット210の斜視図である。ヒーターユニット210は、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204と、固定部材205と、を有する。第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204は、Y方向に沿う軸線を有する円柱形状であり、固定部材205から-Y方向に突出するように設けられている。第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204は、それぞれ固定部材205に固定されており、固定部材205によって連結されている。固定部材205には、第1加熱部201、第1検出部202、第2加熱部203、第2検出部204の配線が収容されている。第1加熱部201と第2加熱部203は、例えば、ヒーターである。第1検出部202と第2検出部204は、例えば、熱電対である。第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204は、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続した場合に、第1加熱部201が第1孔146に挿入され、第1検出部202が第2孔147に挿入され、第2加熱部203が第3孔156に挿入され、第2検出部204が第4孔157に挿入される位置に設けられている。
【0034】
図7は、可塑化装置12にヒーターユニット210が接続された状態を示す図である。ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続することにより、第1加熱部201が第1孔146に挿入され、第1検出部202が第2孔147に挿入され、第2加熱部203が第3孔156に挿入され、第2検出部204が第4孔157に挿入される。すなわち、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続することにより、第1加熱部201および第1検出部202がバレル130内に配置され、第2加熱部203および第2検出部204がブロック141内に配置される。
【0035】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、バレル130に第1孔146および第2孔147が形成されており、ブロック141に第3孔156および第4孔157が形成されており、第1孔146と、第2孔147と、第3孔156と、第4孔157の孔が延びる方向は一致している。また、ヒーターユニット210は、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204を有し、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204は、固定部材205によって連結されている。そのため、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続した場合に、第1加熱部201が第1孔146に挿入され、第1検出部202が第2孔147に挿入され、第2加熱部203が第3孔156に挿入され、第2検出部204が第4孔157に挿入される。したがって、ヒーターユニット210を一つの方向から可塑化装置12に接続することで、第1加熱部201を第1孔146に挿入すると同時に、第1検出部202を第2孔147に挿入することができる。さらに、ヒーターユニット210を一つの方向から可塑化装置12に接続することで、第1加熱部201および第1検出部202をバレル130に接続すると同時に、第2加熱部203および第2検出部204をブロック141に接続することができる。したがって、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続することで、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204をまとめて可塑化装置12に接続でき、ヒーターユニット210を可塑化装置12から取り外すことで、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204をまとめて可塑化装置12から取り外すことができる。そのため、可塑化装置12のメンテナンス作業を容易にできる。
【0036】
また、本実施形態では、第1孔146と第2孔147の延びる方向が一致しており、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続することで第1加熱部201と第1検出部202をまとめてバレル130に挿入できるため、第1加熱部201と第1検出部202をそれぞれ別の方向からバレル130に挿入する場合と比べて、バレル130内における第1加熱部201と第1検出部202の位置がバレル130の個体によって異なることを抑制できる。また、第3孔156と第4孔157の延びる方向が一致しており、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続することで第2加熱部203と第2検出部204をまとめてブロック141に挿入できるため、第2加熱部203と第2検出部204をそれぞれ別の方向からブロック141に挿入する場合と比べて、ブロック141内における第2加熱部203と第2検出部204の位置がブロック141の個体によって異なることを抑制できる。また、固定部材205には、第1加熱部201、第1検出部202、第2加熱部203、第2検出部204の配線が収容されているため、ヒーターユニット210を可塑化装置12に接続する場合に、ヒーターユニット210と可塑化装置12の間に配線が挟み込まれることを抑制できる。
【0037】
B.第2実施形態:
第2実施形態では、ブロック141は、第1貫通孔161および第2貫通孔171を有する。ブロック141以外の三次元造形装置100の各部の構成は、第1実施形態と同じである。
【0038】
図8は、第2実施形態における、バレル130およびブロック141のY方向に垂直な断面における断面図である。第1貫通孔161は、ブロック141のバレル130に対向する面から、バレル130から離れる方向に延びている。本実施形態では、第1貫通孔161は、ブロック141をZ方向に貫くように形成されている。第1貫通孔161の内部には、ねじ溝が形成されている。
【0039】
バレル130とブロック141は、互いに係合することで連結されている。本実施形態では、ブロック141は、図示しないネジによってバレル130に固定されている。
【0040】
三次元造形物を造形した後の三次元造形装置100のバレル130およびブロック141には、図8に示すように、三次元造形物を造形した際に使用された可塑化材料が固化した固形物Sが付着している。そのため、バレル130とブロック141を係合しているネジを外しても、バレル130とブロック141が固形物Sによって接着されて分離できない場合がある。この場合、押しボルト162を用いてバレル130とブロック141を分離する。具体的には、第1貫通孔161に押しボルト162を挿入し、押しボルト162をその回転軸AX回りに回転させることで、押しボルト162を+Z方向に移動させる。押しボルト162の先端がバレル130の下面を押すことで、バレル130の下面とブロック141の上面との間の空間が拡大し、ブロック141が-Z方向に移動する。
【0041】
図9は、第2実施形態における、ブロック141のX方向に垂直な断面における断面図である。第2貫通孔171は、ブロック141の-Y方向側の側面から、流量調整部143に向かって形成されている。第2貫通孔171の孔が延びる方向は、Y方向である。第2貫通孔171の内部には、ねじ溝が形成されている。
【0042】
ブロック141には、流量調整部143を駆動するモーターの動力を流量調整部143に伝達する伝達部172が接続されている。伝達部172は、流量調整部143の+Y方向側からブロック141に接続されている。すなわち、伝達部172は、流量調整部143を挟んで第2貫通孔171の反対側からブロック141に接続されている。流量調整部143と伝達部172を合わせてバルブユニット173とも呼ぶ。バルブユニット173は、ブロック141から分離可能に構成されている。
【0043】
三次元造形物を造形した後のブロック141の流路142および流量調整部143には、図9に示すように、固形物Sが付着している。そのため、バルブユニット173とブロック141が固形物Sによって接着されて分離できない場合がある。この場合、押しボルト174を用いてバルブユニット173とブロック141を分離する。具体的には、第2貫通孔171に押しボルト174を挿入し、押しボルト174をその回転軸BX回りに回転させることで、押しボルト174を+Y方向に移動させる。押しボルト174の先端が流量調整部143を押すことで、バルブユニット173が+Y方向に移動する。なお、三次元造形装置100が三次元造形物を造形する際は、第2貫通孔171は押しボルト174ではなくキャップ部材等によって塞がれていてもよい。
【0044】
図10は、バレル130の連通孔132に付着している固形物Sを除去する方法の例を示す図である。バレル130の連通孔132内に残留している固形物Sを除去する場合は、バレル130の下面に治具181を固定し、治具181に形成されたねじ穴を介して連通孔132内にネジ182を挿入し、ネジ182を+Z方向に移動させることで連通孔132内の固形物Sを+Z方向に押し出す。
【0045】
図11は、ブロック141の流路142に付着している固形物Sを除去する方法の例を示す図である。ブロック141の流路142内において流量調整部143の下流側に残留している固形物Sを除去する場合は、治具183の突出部184を流路142に+Z方向から挿入し、治具183を-Z方向に移動させることで流路142内の固形物Sを-Z方向に押し出す。
【0046】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、ブロック141は第1貫通孔161を有し、第1貫通孔161に押しボルト162を挿入してバレル130の下面を押すことによって、三次元造形物を造形した後のバレル130およびブロック141に固形物Sが付着している場合でも、バレル130とブロック141を分離できる。そのため、バレル130およびブロック141に残留している固形物Sを加熱して軟化させることなく、バレル130とブロック141を分離できる。したがって、バレル130およびブロック141のメンテナンス作業を容易にできる。
【0047】
また、ブロック141は第2貫通孔171を有し、第2貫通孔171に押しボルト174を挿入してバルブユニット173を押すことによって、三次元造形物を造形した後のブロック141の流路142及び流量調整部143に固形物Sが付着している場合でも、バルブユニット173とブロック141を分離できる。そのため、ブロック141の流路142および流量調整部143に残留している固形物Sを加熱して軟化させることなく、バルブユニット173とブロック141を分離できる。したがって、バルブユニット173およびブロック141のメンテナンス作業を容易にできる。
【0048】
C.第3実施形態:
第3実施形態では、三次元造形装置100は、三次元造形装置100から分離された吐出調整部を載置可能な載置部230と、可塑化装置12を吊り下げる支持部211を備える。また、第3実施形態では、可塑化装置12は、第1部分191と第2部分192に分離可能に構成されている。可塑化装置12と、載置部230と、支持部211以外の三次元造形装置100の各部の構成は、第1実施形態と同じである。
【0049】
図12は、プランジャーユニット220の斜視図である。プランジャーユニット220は、第1係合部221と、プランジャー222と、プランジャー駆動部223と、を有する。プランジャー222およびプランジャー駆動部223は、それぞれ、第1実施形態で説明した吸引部144のプランジャーおよびプランジャー駆動部と同一である。第1係合部221は、プランジャーユニット220から+Y方向に突き出すように設けられた部材である。プランジャー222は、モーターによって構成されるプランジャー駆動部223によって駆動される。第3実施形態では、プランジャーユニット220は、三次元造形装置100から分離可能に構成されている。
【0050】
図13は、プランジャーユニット220が可塑化装置12に接続されている状態を示す図である。プランジャーユニット220は、第1係合部221の端部が上部ケース151の側面に固定されることで、可塑化装置12に固定される。プランジャーユニット220が可塑化装置12に接続されている場合は、プランジャー222は、ブロック141内に設けられ流路142に接続されているシリンダーに挿入されている。
【0051】
図14は、載置部230の斜視図である。載置部230には、可塑化装置12から分離されたプランジャーユニット220が載置される。載置部230は、ボルトで接続された2枚の板から構成されている。載置部230は、第2係合部231を有する。第2係合部231は、載置部230の上端に設けられている。第2係合部231にプランジャーユニット220の第1係合部221の端部が引っかけられることで、第1係合部221と第2係合部231が係合される。第1係合部221と第2係合部231が係合することにより、プランジャーユニット220が載置部230に載置される。なお、第2係合部231には、第1係合部221の端部をねじによって固定するためのねじ穴が形成されていてもよく、第1係合部221と第2係合部231はねじによって係合されてもよい。
【0052】
図15は、第3実施形態における三次元造形装置100の斜視図である。図15に示すように、載置部230の下端は、三次元造形装置100の可動部41に固定された腕部46に固定される。図15には、プランジャーユニット220が載置部230に載置されている状態が示されている。
【0053】
図16は、第1部分191と第2部分192が分離された状態の可塑化装置12の斜視図である。第1部分191は、駆動モーター120と、駆動軸121と、上部ケース151と、スクリュー110と、を有する。第2部分192は、下部ケース152と、バレル130と、ブロック141と、を有する。なお、可塑化装置12が第1部分191と第2部分192に分離される前に、プランジャーユニット220は可塑化装置12から取り外される。
【0054】
図15に示すように、支持部211は、可塑化装置12の+Y方向側かつ+Z方向側に設けられており、可動部41に固定されている。支持部211は、可塑化装置12の第1部分191を吊り下げる。図15では、第1可塑化装置12aの第1部分191aが支持部211に吊り下げられた状態が示されている。支持部211は、バネ212と、第2連結部213と、を有する。バネ212は、例えば、板ばねである。バネ212は、定荷重ばねであることが好ましい。第2連結部213は、バネ212の下端に固定された、第1部分191を吊り下げる部材である。第2連結部213は、例えば、フックである。
【0055】
第1部分191は、第1連結部214を有する。図13および図16に示すように、第1連結部214は、可塑化装置12の上端に設けられている。第1連結部214は、開口215を有する板状の部材であり、駆動モーター120に固定されている。第1部分191は、第2連結部213が第1連結部214の開口215に引っかかることによって、支持部211に吊り下げられる。第2部分192は、支持部211に吊り下げられない。
【0056】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、プランジャーユニット220が三次元造形装置100から分離可能に構成されており、プランジャーユニット220の第1係合部221が載置部230の第2係合部231と係合することによって、三次元造形装置100から取り外されたプランジャーユニット220を載置部230に載置できる。そのため、載置部230を備えていない場合と比べて、三次元造形装置100からプランジャーユニット220を取り外した場合に、プランジャーユニット220を不安定な場所に載置する必要がなく、プランジャーユニット220をより安定した状態で載置することができる。したがって、三次元造形装置100のメンテナンス作業をより安全にできる。
【0057】
また、本実施形態では、可塑化装置12は第1部分191と第2部分192に分離可能に構成されており、第1部分191は支持部211によって吊り下げられるため、可塑化装置12を第1部分191と第2部分192に分解した場合に、第1部分191を三次元造形装置100に残したまま、第2部分192のみを三次元造形装置100から取り外すことができる。可塑化装置12は重量物であるため、第2部分192のみを三次元造形装置100から取り外す場合は、可塑化装置12全体を三次元造形装置100から取り外す場合と比べて、三次元造形装置100から取り外す部品の重量を軽くすることができる。したがって、可塑化装置12のメンテナンス作業を容易にできる。また、可塑化装置12を第1部分191と第2部分192に分解した場合に、スクリュー110とバレル130が分離されるため、スクリュー110およびバレル130のメンテナンス作業を容易にできる。
【0058】
本実施形態において、可塑化装置12は、第2実施形態で説明したバルブユニット173を有してもよい。バルブユニット173は第1係合部を有してもよく、バルブユニット173の第1係合部が載置部230とは別の載置部の第2係合部と係合されることで、載置部にバルブユニット173が載置されてもよい。本実施形態では、プランジャーユニット220およびバルブユニット173をまとめて吐出調整部とも呼ぶ。吐出調整部は、ノズル13からの可塑化材料の吐出量を調整し、三次元造形装置100から分離可能に設けられている。
【0059】
D.第4実施形態:
図17は、第4実施形態における射出成形装置400の概略構成を示す説明図である。射出成形装置400は、材料供給部11と、可塑化装置12cと、ノズル13と、型締装置410と、制御部50cと、ヒーターユニット210と、支持部211と、載置部230と、を備える。本実施形態において、第1実施形態と同一の符号が付された要素は、第1実施形態と同一のものである。
【0060】
図18は、第4実施形態における可塑化装置12c及び型締装置410の概略構成を示す断面図である。可塑化装置12cは、スクリュー110と、駆動モーター120と、バレル130と、吐出部140cと、第1連結部214と、を備える。
【0061】
本実施形態では、吐出部140cは、ブロック141と、流路142と、逆止弁406と、吸引送出部420と、を備える。逆止弁406は、ブロック141の流路142中に設けられており、ノズル13側からスクリュー110側への可塑化材料の逆流を防止する。吸引送出部420は、吸引送出シリンダー421と、プランジャー422と、プランジャー駆動部423と、を備える。吸引送出部420は、吸引送出シリンダー421内の可塑化材料を、成形型411に射出注入する機能を有する。プランジャー422は、吸引送出シリンダー421の内部を流路142から離れる方向に移動して、吸引送出シリンダー421内に可塑化材料を吸引して計量する。その後、プランジャー422は、吸引送出シリンダー421の内部を流路142に近づく方向に移動して、流路142に可塑化材料を送出する。流路142に送出された可塑化材料は、ノズル13に圧送され、ノズル13から成形型411に射出される。プランジャー422は、プランジャー駆動部423によって駆動される。プランジャー422およびプランジャー駆動部423は、射出成形装置400から分離可能に構成されている。本実施形態では、プランジャー422およびプランジャー駆動部423を、吐出調整部とも呼ぶ。
【0062】
バレル130には、第1実施形態と同様に、第1孔146と第2孔147が形成されている。ブロック141には、第1実施形態と同様に、第3孔156と第4孔157が形成されている。図17に示されたヒーターユニット210を可塑化装置12cに接続することにより、第1加熱部201が第1孔146に挿入され、第1検出部202が第2孔147に挿入され、第2加熱部203が第3孔156に挿入され、第2検出部204が第4孔157に挿入される。
【0063】
可塑化装置12cは、第3実施形態と同様に、第1部分191と第2部分192に分解可能に構成されている。第1連結部214は、第3実施形態と同様に、可塑化装置12cの上端に設けられている。また、ブロック141には、第2実施形態と同様に、バレル130に対向する面から、バレル130から離れる方向に延びる第1貫通孔161が形成されている。可塑化装置12cのその他の構成は第1実施形態における可塑化装置12cと同様である。
【0064】
成形型411は、固定型412と可動型413から構成される。固定型412は、可塑化装置12cに固定されている。可動型413は、型締装置410により固定型412に対して型締め方向に進退可能に設けられている。可塑化装置12cによって生成された可塑化材料は、ノズル13から固定型412と可動型413によって区画されるキャビティーに射出される。成形型411は、金属製でもよいし、樹脂製でもよいし、セラミック製でもよい。金属製の成形型411を金型とも呼ぶ。
【0065】
型締装置410は、型駆動部414を備える。型駆動部414は、モーターやギア等によって構成され、ボールネジ415を介して可動型413に接続されている。型締装置410は、制御部50cの制御下で型駆動部414を駆動することによって、ボールネジ415を回転させ、可動型413を固定型412に対して移動させて成形型411を開閉させる。
【0066】
図17に示すように、載置部230は、射出成形装置400の基台401上に固定されている。載置部230には、射出成形装置400から分離された吐出調整部が載置される。
【0067】
支持部211は、射出成形装置400の基台401上に固定されている。支持部211は、第3実施形態と同様に、バネ212の下端に固定された第2連結部213が可塑化装置12cの第1連結部214の開口215に引っかけられることによって、可塑化装置12cの第1部分191を吊り下げる。
【0068】
以上で説明した第4実施形態における射出成形装置400によれば、第1実施形態と同様に、バレル130に第1孔146および第2孔147が形成されており、ブロック141に第3孔156および第4孔157が形成されている。そのため、ヒーターユニット210を可塑化装置12cに接続することで、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204をまとめて可塑化装置12cに接続でき、ヒーターユニット210を造形部10から取り外すことで、第1加熱部201と、第1検出部202と、第2加熱部203と、第2検出部204をまとめて可塑化装置12cから取り外すことができるため、可塑化装置12cのメンテナンス作業を容易にできる。
【0069】
また、本実施形態では、ブロック141は第1貫通孔161を有するため、第2実施形態と同様に、第1貫通孔161に押しボルト162を挿入してバレル130の下面を押すことによって、バレル130およびブロック141に残留している、可塑化材料が固化した固形物Sを加熱して軟化させることなく、バレル130とブロック141を分離できる。したがって、バレル130およびブロック141のメンテナンス作業を容易にできる。
【0070】
また、本実施形態では、射出成形装置400は載置部230を備えるため、射出成形装置400から分離された吐出調整部を載置部230に載置することができる。そのため、射出成形装置400から吐出調整部を取り外した場合に、吐出調整部を不安定な場所に載置する必要がなく、吐出調整部をより安定した状態で載置することができる。
【0071】
また、本実施形態では、可塑化装置12cは第1部分191と第2部分192に分離可能に構成されており、第1部分191は支持部211によって吊り下げられるため、可塑化装置12cを第1部分191と第2部分192に分解した場合に、第1部分191を射出成形装置400に残したまま、第2部分192のみを射出成形装置400から取り外すことができる。可塑化装置12cは重量物であるため、第2部分192のみを射出成形装置400から取り外す場合は、可塑化装置12c全体を射出成形装置400から取り外す場合と比べて、射出成形装置400から取り外す部品の重量を軽くすることができる。
【0072】
E.他の実施形態:
(E-1)第1実施形態および第4実施形態では、ヒーターユニット210は、第2加熱部203と第2検出部204を有する。これに対して、ヒーターユニット210は、第2加熱部203および第2検出部204を有さなくてもよい。ヒーターユニット210が第2加熱部203および第2検出部204を有さない場合、第3孔156および第4孔157が延びる方向は、第1孔146および第2孔147が延びる方向と一致していなくてもよい。すなわち、第3孔156に対する第2加熱部203の挿入方向と、第4孔157に対する第2検出部204の挿入方向は、第1孔146に対する第1加熱部201の挿入方向および第2孔147に対する第1検出部202の挿入方向と一致していなくてもよい。
【0073】
(E-2)第3実施形態および第4実施形態では、可塑化装置12は、第1部分191と第2部分192に分解可能に構成されている。これに対して、可塑化装置12は、第1部分191と第2部分192に分解可能に構成されていなくてもよい。
【0074】
(E-3)第3実施形態および第4実施形態では、支持部211は、第1部分191を吊り下げる。これに対して、支持部211は、第1部分191ではなく、可塑化装置12全体を吊り下げてもよい。
【0075】
(E-4)第3実施形態および第4実施形態では、第1部分191はスクリュー110を有し、第2部分192はバレル130を有する。これに対して、第1部分191はスクリュー110を有さなくてもよい。すなわち、第2部分192がスクリュー110を有するように可塑化装置12が分解されてもよい。また、第2部分192はバレル130を有さなくてもよい。すなわち、第1部分191がバレル130を有するように可塑化装置12が分解されてもよい。
【0076】
(E-5)第3実施形態および第4実施形態では、第2連結部213が第1連結部214の開口215に引っかかることで、第1部分191が支持部211に吊り下げられる。これに対して、第1連結部214が開口を有し、第2連結部213が第1連結部214の開口に引っかかることで、第1部分191が支持部211に吊り下げられてもよい。また、第1連結部214と第2連結部213が互いに引っかかることで、第1部分191が支持部211に吊り下げられてもよい。
【0077】
(E-6)第4実施形態において、ブロック141は、第1貫通孔161を有さなくてもよい。また、射出成形装置400は、支持部211または載置部230を備えなくてもよい。
【0078】
F.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0079】
(1)本開示の一形態によれば、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化装置が提供される。この可塑化装置は、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記可塑化材料を外部へ流出させる連通孔が形成されたバレルと、前記バレル内に配置され、前記溝に供給された前記材料を加熱する第1加熱部と、前記バレル内に配置され、前記溝の温度を検出する第1検出部と、を備え、前記バレルには、前記第1加熱部を収容する第1孔と、前記第1検出部を収容する第2孔と、が形成されており、前記第1孔が延びる方向と、前記第2孔が延びる方向とは一致しており、前記第1加熱部および前記第1検出部は、固定部材を介して互いに連結されている。このような形態によれば、第1加熱部と第1検出部を一つの方向からまとめてバレルに接続、および、バレルから取り外すことができるため、可塑化装置のメンテナンス作業を容易にできる。
【0080】
(2)上記形態において、前記連通孔に連通する流路が形成されたブロックと、前記ブロック内に配置され、前記ブロックを加熱する第2加熱部と、を備え、前記ブロックには、前記第2加熱部を収容する第3孔が形成されており、前記第3孔が延びる方向は、前記第1孔および前記第2孔が延びる方向と一致しており、前記第2加熱部は、前記固定部材に固定されてもよい。このような形態によれば、第1加熱部および第1検出部をバレルに接続すると同時に第2加熱部をブロックに接続することができ、また、第1加熱部および第1検出部をバレルから取り外すと同時に第2加熱部をブロックから取り外すことができるため、可塑化装置のメンテナンス作業を容易にできる。
【0081】
(3)上記形態において、前記連通孔に連通する流路が形成されたブロックを備え、前記バレルと前記ブロックは互いに係合することで連結されており、前記ブロックは、前記バレルに対向する面から、前記バレルから離れる方向に延びる第1貫通孔を有してもよい。このような形態によれば、第1貫通孔に押しボルトを挿入し、押しボルトでバレルを押すことによって、バレルおよびブロックに可塑化材料が固化した固形物が付着している場合でもバレルとブロックを分離しやすくできるため、可塑化装置のメンテナンス作業を容易にできる。
【0082】
(4)本開示の第2の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、前記可塑化装置と、テーブルに向けて前記可塑化材料を吐出するノズルと、を備える。
【0083】
(5)上記形態において、前記可塑化装置は、第1連結部を有し、第2連結部を有し、前記第1連結部と前記第2連結部を連結させることで前記可塑化装置を吊り下げる支持部を備えてもよい。このような形態によれば、可塑化装置が支持部に吊り下げられることにより、重量物である可塑化装置を三次元造形装置から取り外すことなく元の位置から移動させて、三次元造形装置のメンテナンスを行うことができる。
【0084】
(6)上記形態において、前記可塑化装置は、第1部分と、第2部分とに分離可能に構成されており、前記第1部分は、前記第1連結部を有してもよい。このような形態によれば、第1連結部と第2連結部を連結させることで第1部分を支持部に吊り下げ、第1部分を三次元造形装置に残したまま第2部分のみを三次元造形装置から取り外すことにより、三次元造形装置から取り外す部品の重量を軽くすることができる。
【0085】
(7)上記形態において、前記第1部分は前記スクリューを有し、前記第2部分は前記バレルを有してもよい。このような形態によれば、スクリューおよびバレルのメンテナンス作業を容易にできる。
【0086】
(8)上記形態において、第1係合部を有し、前記ノズルからの前記可塑化材料の吐出量を調整し、前記三次元造形装置から分離可能な吐出調整部と、第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部とを係合させることで分離された前記吐出調整部を載置可能な載置部と、を備えてもよい。このような形態によれば、三次元造形装置のメンテナンスを行う際に、吐出調整部を三次元造形装置内の安定した場所に載置することができる。
【0087】
(9)本開示の第3の形態によれば、射出成形装置が提供される。この射出成形装置は、前記可塑化装置と、成形型に前記可塑化材料を射出するノズルと、を備える。
【符号の説明】
【0088】
10…造形部、10a…第1造形部、10b…第2造形部、11…材料供給部、11a…第1材料供給部、11b…第2材料供給部、12…可塑化装置、12a…第1可塑化装置、12b…第2可塑化装置、13…ノズル、13a…第1ノズル、13b…第2ノズル、15…連通路、20…テーブル、21…造形面、30…位置変更部、31…第1電動アクチュエーター、32…第2電動アクチュエーター、33…第3電動アクチュエーター、40…テーブル加熱部、41…可動部、42…開口、46…腕部、50…制御部、100…三次元造形装置、110…スクリュー、111…溝形成面、112…中央部、113…溝、114…材料投入口、115…凸条部、120…駆動モーター、121…駆動軸、130…バレル、131…対向面、132…連通孔、133…案内溝、140…吐出部、141…ブロック、142…流路、143…流量調整部、144…吸引部、145…吐出口、146…第1孔、147…第2孔、151…上部ケース、152…下部ケース、156…第3孔、157…第4孔、161…第1貫通孔、162…押しボルト、171…第2貫通孔、172…伝達部、173…バルブユニット、174…押しボルト、181…治具、182…ネジ、183…治具、184…突出部、191…第1部分、192…第2部分、201…第1加熱部、202…第1検出部、203…第2加熱部、204…第2検出部、205…固定部材、210…ヒーターユニット、211…支持部、212…バネ、213…第2連結部、214…第1連結部、215…開口、220…プランジャーユニット、221…第1係合部、222…プランジャー、223…プランジャー駆動部、230…載置部、231…第2係合部、400…射出成形装置、401…基台、406…逆止弁,410…型締装置、411…成形型、412…固定型、413…可動型、414…型駆動部、415…ボールネジ、420…吸引送出部、421…吸引送出シリンダー、422…プランジャー、423…プランジャー駆動部、RX…スクリューの回転軸、S…固形物
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