(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174580
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20241210BHJP
B66C 17/08 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092475
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】亀井 智一
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 義明
【テーマコード(参考)】
3F203
【Fターム(参考)】
3F203AA01
3F203AA08
(57)【要約】
【課題】収容部に設けられた透過壁部の結露を抑制することができる冷却システムを提供する。
【解決手段】冷却システム50は、ボルテックスチューブ71からの冷気CAを収容部51内へ供給する冷気供給部73を有する。これにより、収容部51内に配置された検出機器20を冷却することができる。ここで、冷却システム50は、収容部51の端壁部51cに設けられ、検出機器20による収容部51の外部の検出を可能とする透過壁部60を有する。透過壁部60は、収容部51の内部に供給された冷気CAの影響によって冷却される。これに対し、暖気供給部74は、透過壁部60に対してボルテックスチューブ71からの暖気HAを供給する。暖気供給部74は、ボルテックスチューブ71において冷気CAから分離された乾燥した暖気を有効活用して、透過壁部60付近に乾燥した暖気HAによるエアカーテンを形成することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンに設けられた検出機器を冷却する冷却システムであって、
前記検出機器を収容する収容部と、
ボルテックスチューブからの冷気を前記収容部内へ供給する冷気供給部と、
前記収容部の壁部に設けられ、前記検出機器による前記収容部の外部の検出を可能とする透過壁部と、
前記透過壁部に対して前記ボルテックスチューブからの暖気を供給する暖気供給部と、を備える、冷却システム。
【請求項2】
前記暖気供給部は、前記透過壁部のうち、前記収容部に対する外面へ前記暖気を供給する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記暖気供給部からの前記暖気が、広がった状態で前記透過壁部へ供給されるように、前記暖気を案内するガイド部を更に備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記暖気供給部から供給される前記暖気を流通させる供給経路の少なくとも一部は前記収容部内に配置され、
前記収容部の内部において、前記供給経路を覆うケースを更に備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記冷気供給部の前記冷気を前記収容部内へ吐出する吐出口の中心軸は、前記検出機器から離間した位置に設置される、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記冷気供給部は、前記冷気を分岐させて前記収容部内へ吐出する複数の前記吐出口を有する、請求項5の記載の冷却システム。
【請求項7】
前記収容部内の温度を検出する温度検出部を更に有し、
前記冷気供給部は、前記温度検出部の検出結果と連動して前記冷気を供給する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記収容部から前記冷気を外部へ排出する排出部を更に備え、
前記排出部は、前記外部から前記収容部内への空気の流れを抑制する逆止弁を有する、請求項1に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製鉄施設などにおいて高温環境下で用いられるレードルクレーンが示されている。このようなレードルクレーンは、溶鋼を溶鍋に入れて運搬して、当該溶鍋から目的の場所へ注湯する作業などを行う。このようなクレーンに対して、作業の様子を監視するためにカメラなどの検出機器が設けられる場合がある。検出機器は、高温の環境下に曝されるため、収容部内に配置される。冷却システムは、当該収容部内に冷気を供給することで、収容部内の検出機器を冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のような収容部には、収容部の壁部に設けられ、検出機器による収容部の外部の撮影を可能とする透過壁部が設けられる。収容部の外部は高温であり、収容部の内部は冷気によって冷却されるため、透過壁部に結露が発生することがある。この場合、検出機器による収容部の外部の検出が行いにくくなるという問題が生じる。
【0005】
本開示は、収容部に設けられた透過壁部の結露を抑制することができる冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る冷却システムは、クレーンに設けられた検出機器を冷却する冷却システムであって、検出機器を収容する収容部と、ボルテックスチューブからの冷気を収容部内へ供給する冷気供給部と、収容部の壁部に設けられ、検出機器による収容部の外部の検出を可能とする透過壁部と、透過壁部に対して暖気を供給する暖気供給部と、を備える。
【0007】
冷却システムは、ボルテックスチューブからの冷気を収容部内へ供給する冷気供給部を有する。これにより、収容部内に配置された検出機器を冷却することができる。ここで、冷却システムは、収容部の壁部に設けられ、検出機器による収容部の外部の検出を可能とする透過壁部を有する。透過壁部は、収容部の内部に供給された冷気の影響によって冷却される。これに対し、暖気供給部は、透過壁部に対してボルテックスチューブからの暖気を供給する。暖気供給部は、ボルテックスチューブにおいて冷気から分離された乾燥した暖気を有効活用して、透過壁部付近に乾燥した暖気によるエアカーテンを形成することができる。これにより、収容部に設けられた透過壁部の結露を抑制することができる。
【0008】
暖気供給部は、透過壁部のうち、収容部に対する外面へ暖気を供給してよい。この場合、透過壁部の外面付近に乾燥した暖気によるエアカーテンを形成し、外面における結露を効果的に抑制することができる。
【0009】
冷却システムは、暖気供給部からの暖気が、広がった状態で透過壁部へ供給されるように、暖気を案内するガイド部を更に備える。これにより、透過壁部に対して全体的に暖気によるエアカーテンを形成することができる。
【0010】
暖気供給部から供給される暖気を流通させる供給経路の少なくとも一部は収容部内に配置され、冷却システムは、収容部の内部において、供給経路を覆うケースを更に備える。この場合、暖気を流通させる供給経路が、収容部内に供給された冷気で冷却されることを抑制できる。
【0011】
冷気供給部の冷気を収容部内へ吐出する吐出口の中心軸は、検出機器から離間した位置に設置されてよい。これにより、吐出口から吐出される冷気を検出機器からずらすことができ、検出機器の凍結を抑制することができる。
【0012】
冷気供給部は、冷気を分岐させて収容部内へ吐出する複数の吐出口を有してよい。これにより、吐出口を検出機器からずれた位置に配置しやすくなる。
【0013】
冷却システムは、収容部内の温度を検出する温度検出部を更に有し、冷気供給部は、温度検出部の検出結果と連動して冷気を供給してよい。この場合、検出機器が過剰に冷却されることを抑制できる。
【0014】
冷却システムは、収容部から冷気を外部へ排出する排出部を更に備え、排出部は、外部から収容部内への空気の流れを抑制する逆止弁を有してよい。この場合、外部の高温の空気が排出部から流入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、収容部に設けられた透過壁部の結露を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却システムが適用されるレードルクレーンの概略正面図である。
【
図4】
図3においてIV-IV線で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本発明を実施する形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、説明の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る冷却システム50が適用されるレードルクレーン100の概略正面図である。レードルクレーン(鋳鍋クレーン)100は、天井クレーンの一種であり、製鉄施設や製鋼施設に設置されて、図示しない平炉や電気炉等から溶鋼(溶湯)Feを溶鍋(鋳鍋)8に入れて運搬した後、溶鍋8を傾けて図示しないタンディッシュや転炉内に溶鋼Feを注湯する作業などに用いられるものである。また、レードルクレーン100は、溶鋼Feという高熱物を取扱うため、主巻き装置10で溶鍋8をつり上げるとともに、補巻き装置のフック7で溶鍋8の下部を持ち上げて溶鍋8を傾斜をさせ、溶鍋8から溶鋼Feを出すようになっている。なお、レードルクレーン100は、製鉄の作業空間110内に配置されている。作業空間110には、タンディッシュや転炉などが設けられている。
【0019】
レードルクレーン100は、建家の天上部(非図示)に敷設された走行レール9に沿って走行するガーダ1を有する。ガーダ1上に敷設された横行レール上には、主巻き装置10を備えた主トロリ2(トロリ)が設置されている。主巻き装置10は、吊具6に設けられた主巻きフック5を溶鍋8の軸8aに係合させて、ワイヤー4を介して溶鍋8を吊り下げる。補巻き用のフック7は、傾転金物8bに引掛けられ、当該傾転金物8bを持ち上げることにより溶鍋8を軸8a回りに傾転させて(図中二点鎖線参照)、溶鍋8内に収納された溶鋼Feをタンディッシュ等へ注湯するようにしている。
【0020】
レードルクレーン100には、作業の様子を検出する検出機器20が設けられている。本実施形態では、ガーダ1に設けられた架台120に検出機器20が設けられている。なお、検出機器20は、後述の収容部51に収容され、周囲の高温から保護される。本発明の実施形態に係る冷却システム50は、冷気を用いて検出機器20を冷却する。冷却システム50は、ガーダ1に設けられている。なお、冷却システム50は、トロリ2または吊具6に設けられてもよいが、後述する圧縮空気の供給の観点から、比較的地上に対する移動が少ないガーダ1に設けることが好ましい。
【0021】
次に、
図2~
図5を参照して、冷却システム50の具体的な構成について説明する。
図2は、冷却システム50の外観を示す斜視図である。
図3は、冷却システム50の側面図である。ただし、
図3では、収容部51及びケース90についてはX軸方向の中央位置で切断した断面が示されている。
図4は、
図3においてIV-IV線で示す断面図である。
図5は、冷却システム50の一部展開斜視図である。なお、以降の説明においては、XYZ座標を設定して説明を行う。互いに直交する方向をX軸方向及びY軸方向とする。X軸方向における一方側を正側として他方側を負側とする。Y軸方向における一方側を正側として他方側を負側とする。X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。本実施形態では、Z軸方向は上下方向に平行になる。上側をZ軸方向における正側とし、下側をZ軸方向における負側とする。なお、本明細書では「上」「下」という語を用いるが、使用時における冷却システム50の姿勢を限定するものではない。また、「内」と言う語は、収容部51の内側を意味し、「外」という語は、収容部51の外側を意味するものとする。
【0022】
図2に示すように、冷却システム50は、検出機器20を収容する直方体箱状の収容部51を備える。収容部51は、X軸方向に対向する側壁部51a,51bと、Y軸方向に対向する端壁部51c,51dと、Z軸方向に対向する下壁部51e及び上壁部51fと、を備える。側壁部51aは、X軸方向における負側に配置され、側壁部51bは、X軸方向における正側に配置される。端壁部51cは、Y軸方向における負側に配置され、端壁部51dは、Y軸方向における正側に配置される。下壁部51eは、Z軸方向における負側に配置され、上壁部51fは、Z軸方向における正側に配置される。
【0023】
各壁部51a~51fは、
図3に示すような断熱構造52を有する。断熱構造52は、外側の外壁52aと、内側の内壁52bと、外壁52aと内壁52bとの間の断熱材52cと、を有する。なお、上壁部51fは、収容部51の内部を開閉するための蓋部53を有する。
【0024】
図3に示すように、冷却システム50は、検出機器20と、透過壁部60と、分離機構70と、ガイド部80と、を備える。
【0025】
検出機器20は、例えばカメラ、または3Dライダーなどのセンサを有する。本実施形態では、検出機器20は、収容部51の内部において、Y軸方向における負側寄りであって、Z軸方向における負側寄りの位置に配置される。検出機器20は、下壁部51eからZ軸方向の正側へ離間し、端壁部51cからY軸方向の正側へ離間した位置に配置される。検出機器20は、後述のケース90の下面に取り付けられた状態で支持される。検出機器20は、端壁部51cとY軸方向に対向する対向面20aにおいて、収容部51の外部の様子を検出する検出面21を有する。
【0026】
透過壁部60は、収容部51のY軸方向の負側の端壁部51cに設けられ、検出機器20による収容部51の外部の検出を可能とする。透過壁部60は、端壁部51cのうち、検出機器20の検出面21と対向する箇所に設けられる。また、端壁部52aのうち、透過壁部60が設けられる箇所には、外壁52a、内壁52b、及び断熱材52cがY軸方向に貫通した開口部61が形成される。透過壁部60は、透過部材62と、支持部材63と、を備える。透過部材62は、開口部61を塞ぐように設けられた透明な板状部材である。透過部材62は、XZ平面と平行に広がる。透過部材62として、耐熱ガラスなどが採用される。透過部材62は、収容部51の外部へ露出する外面62aと、収容部51の内部空間に露出する内面62bと、を有する。本実施形態では、透過部材62は、端壁部51cの内側の面に設けられる。支持部材63は、透過部材62を端壁部51cとの間で挟み込むことによって支持する部材である。支持部材63は、透過部材62の縁部を支持し、透過部材62の内面62bを露出させる。
【0027】
分離機構70は、圧縮空気を冷気CAと暖気HAとに分離する機構である。分離機構70は、ボルテックスチューブ71と、圧縮空気供給部72と、冷気供給部73と、暖気供給部74と、を備える。
【0028】
ボルテックスチューブ71は、供給された圧縮空気を内部で回転させることで冷気CAと暖気HAに分離する機器である。ボルテックスチューブ71は、渦動理論の原理(ボルテックスチューブの原理)を用いて冷気CAを生成する。具体的に、ボルテックスチューブ71は、供給された圧縮空気を管の内部で高速回転させる。ボルテックスチューブ71は、この高速回転により発生する内部での渦流、圧縮、膨張、圧力差を利用して冷気CA(熱を奪われた気体)と暖気HA(熱を奪った気体)とに分離する。ボルテックスチューブ71は、分離した冷気CAを冷気供給部73へ導入し、分離した暖気HAを暖気供給部74へ導入する。なお、冷気CA及び暖気HAの温度は特に限定されないが、冷気CAは-20~60℃程度であり、暖気HAは60~100℃程度に設定される。本実施形態では、ボルテックスチューブ71は、X軸方向における中央位置において、Y軸方向に平行に延びるように配置される。また、ボルテックスチューブ71のY軸方向の正側の端部に冷気供給部73が設けられ、Y軸方向の負側の端部に暖気供給部74が設けられる。ボルテックスチューブ71は、Z軸方向において、上壁部51fと検出機器20との間の位置に設けられる。
【0029】
圧縮空気供給部72は、ボルテックスチューブ71に対して圧縮空気を供給する機構である。圧縮空気供給部72は、上壁部51fに設けられた継手部72aと、当該継手部72aとボルテックスチューブ71のY軸方向の正側の端部とを接続する管部72bと、を有する。圧縮空気供給部72の継手部72aには、図示されない圧縮機が接続される。圧縮空気は、図示されない除湿部によって除湿される。
【0030】
冷気供給部73は、ボルテックスチューブ71からの冷気CAを収容部51内へ供給する。冷気供給部73は、ボルテックスチューブ71のY軸方向の正側の端部から、Y軸方向の正側へ延びて、Z軸方向の負側に延びるように屈曲する屈曲部73aを有する。屈曲部73aのZ軸方向の負側の端部からX軸方向の正側及び負側へ分岐する分岐部73bを有する(
図4参照)。分岐部73bの各先端部には、冷気供給部73の冷気CAを収容部51内へ吐出する吐出口73cが設けられる。このように、冷気供給部73は、冷気CAを分岐させて収容部51内へ吐出する複数の吐出口73cを有する。
【0031】
吐出口73cは、分岐部73bからY軸方向の負側であって、Z軸方向の負側へ向かうように斜め下方へ屈曲する。これにより、吐出口73cの中心軸CLは、Y軸方向の負側であって、Z軸方向の負側へ向かうように傾斜する。また、
図4に示すように、中心軸CLは、検出機器20よりもX軸方向における外側の位置に配置される。すなわち、X軸方向の負側の吐出口73cの中心軸CLは、検出機器20のX軸方向の負側の端部よりも、X軸方向の負側に配置される。X軸方向の正側の吐出口73cの中心軸CLは、検出機器20のX軸方向の正側の端部よりも、X軸方向の正側に配置される。Z軸方向から見た場合の各中心軸CLは、Y軸方向と平行になる。これにより、中心軸CLは、検出機器20から離間した位置に設置される。中心軸CL上には、検出機器20が存在しない。これにより、一対の吐出口73cから吐き出された冷気CAは、検出機器20と側壁部51a,51bとの間の空間において、斜め下方へ向かう。これにより、冷気CAは、下壁部51e、端壁部51c、上壁部51fの順で跳ね返り、収容部51全体に流れる。
【0032】
冷却システム50は、収容部51内の温度を検出する温度検出部75を更に有する。温度検出部75は、
図3では検出機器20のY軸方向の正側の端部に取り付けられているが、取付位置は特に限定されない。温度検出部75は、吐出口73cと透過壁部60との間の何れかの位置に設けられてよい。冷気供給部73は、温度検出部75の検出結果と連動して冷気CAを供給してよい。温度検出部75の検出温度が所定の閾値まで達していない場合は、冷気供給部73は冷気を供給し、所定の閾値まで達したら冷気CAの供給を停止する。
【0033】
また、冷却システム50は、収容部51から冷気CAを外部へ排出する排出部76を更に備える。排出部76は、下壁部51eにおけるY軸方向の負側の端壁部51c付近に設けられている。ただし、排出部76の位置は特に限定されない。排出部76は、外部から収容部51内への空気の流れを抑制する逆止弁77を有する。
【0034】
暖気供給部74は、透過壁部60に対してボルテックスチューブからの暖気HAを供給する。暖気供給部74は、透過壁部60のうち、収容部51に対する外面62aへ暖気HAを供給する。具体的に、暖気供給部74は、ボルテックスチューブ71によって暖気HAを透過壁部60へ供給する。暖気供給部74は、ボルテックスチューブ71のY軸方向の負側の端部から、Y軸方向の負側へ延びる。暖気供給部74のY軸方向の負側の端部は、透過壁部60よりもZ軸方向の正側の位置にて、端壁部51cに取り付けられる。端壁部51cのうち、暖気供給部74の取付位置と開口部61との間では、断熱材52cが省略されることによって、外壁52aと内壁52bとの間に暖気HAの流路78が形成される。暖気供給部74の吐出口74aは、内壁52bを貫通し、流路78において開口している。これにより、吐出口74aから吐出された暖気HAは、流路78に沿ってZ軸方向の負側へ流れ、透過壁部60の位置にて、透過部材62の外面62aに沿って流れる。これにより、透過部材62の外面62a付近に暖気HAによるエアカーテンが形成される。
【0035】
冷却システム50は、暖気供給部74からの暖気HAが、広がった状態で透過壁部60へ供給されるように、暖気HAを案内するガイド部80を更に備える。
図5に示すように、ガイド部80は、流路78に取り付けられたガイド部材81を有する。ガイド部材81は、XZ平面と平行に広がり、内壁52bと離間した状態で対向配置される主面81aと、テーパー面81bを有する。テーパー面81bは、主面81aからY軸方向の正側へ屈曲するように形成される。テーパー面81bは、主面81aのX軸方向の両端側に設けられる。テーパー面81bは、Z軸方向の正側から負側へ向かうに従って、X軸方向の両側へ広がる。なお、断熱材52cには、ガイド部材81のテーパー面81bに対応する形状のテーパー面が形成される。これにより、流路78におけるZ軸方向の正側に形成された吐出口74aから吐出された暖気HAは、テーパー面81bに沿って、透過壁部60へ向かうに従って、X軸方向における両側へ広がる。
【0036】
図3に示すように、暖気供給部74から供給される暖気HAを流通させる供給経路79の少なくとも一部は収容部51内に配置される。本実施形態では、供給経路79としてのボルテックスチューブ71と、暖気供給部74の吐出口74aとボルテックスチューブ71とを接続する管部74bが、収容部51内に配置される。冷却システム50は、収容部51の内部において、供給経路79としてのボルテックスチューブ71を覆うケース90を更に備える。ケース90は、直方体形状の箱体である。ケース90は、上壁部51fに取り付けられる。
【0037】
次に、本実施形態に係る冷却システム50の作用・効果について説明する。
【0038】
冷却システム50は、ボルテックスチューブ71からの冷気CAを収容部51内へ供給する冷気供給部73を有する。これにより、収容部51内に配置された検出機器20を冷却することができる。ここで、冷却システム50は、収容部51の端壁部51cに設けられ、検出機器20による収容部51の外部の検出を可能とする透過壁部60を有する。透過壁部60は、収容部51の内部に供給された冷気CAの影響によって冷却される。これに対し、暖気供給部74は、透過壁部60に対してボルテックスチューブ71からの暖気HAを供給する。暖気供給部74は、ボルテックスチューブ71において冷気CAから分離された乾燥した暖気を有効活用して、透過壁部60付近に乾燥した暖気HAによるエアカーテンを形成することができる。これにより、収容部51に設けられた透過壁部60の結露を抑制することができる。また、エアカーテンにより、透過壁部60への粉塵の付着も抑制できる。
【0039】
暖気供給部74は、透過壁部60のうち、収容部51に対する外面62aへ暖気HAを供給してよい。この場合、透過壁部60の外面62a付近に乾燥した暖気HAによるエアカーテンを形成し、外面62aにおける結露を効果的に抑制することができる。
【0040】
冷却システム50は、暖気供給部74からの暖気HAが、広がった状態で透過壁部60へ供給されるように、暖気を案内するガイド部80を更に備える。これにより、透過壁部60に対して全体的に暖気HAによるエアカーテンを形成することができる。
【0041】
暖気供給部74から供給される暖気HAを流通させる供給経路79の少なくとも一部は収容部51内に配置され、冷却システム50は、収容部51の内部において、供給経路79を覆うケース90を更に備える。この場合、暖気HAを流通させる供給経路79が、収容部51内に供給された冷気CAで冷却されることを抑制できる。
【0042】
冷気供給部73の冷気CAを収容部51内へ吐出する吐出口73cの中心軸CLは、検出機器20から離間した位置に設置されてよい。これにより、吐出口73cから吐出される冷気CAを検出機器20からずらすことができ、検出機器20の凍結を抑制することができる。
【0043】
冷気供給部73は、冷気CAを分岐させて収容部51内へ吐出する複数の吐出口73cを有してよい。これにより、吐出口73cを検出機器20からずれた位置に配置しやすくなる。
【0044】
冷却システム50は、収容部51内の温度を検出する温度検出部75を更に有し、冷気供給部73は、温度検出部75の検出結果と連動して冷気CAを供給してよい。この場合、検出機器20が過剰に冷却されることを抑制できる。
【0045】
冷却システム50は、収容部51から冷気を外部へ排出する排出部76を更に備え、排出部76は、外部から収容部51内への空気の流れを抑制する逆止弁77を有してよい。この場合、外部の高温の空気が排出部76から流入することを抑制できる。
【0046】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
上述の実施形態では、暖気供給部74は、透過壁部60の外面62aへ暖気HAを供給したが、内面62bへ供給してもよく、透過部材62を二重構造にて透過部材62の内部へ暖気HAを供給してもよい。
【0048】
上述の実施形態では、ボルテックスチューブ71を収容部51の内部に配置したが、収容部51の外部に配置してもよい。これに伴い、暖気供給部74は、全体が収容部51の外部に配置されてもよい。
【0049】
また、冷却システムが適用される対象構造物も、レードルクレーンに限定されない。対象構造物として、例えば、ソーキングピットクレーン、スラブリフター付きクレーンなどの天井クレーンが挙げられる。
【符号の説明】
【0050】
20…冷却機器、50…冷却システム、51…収容部、60…透過壁部、71…ボルテックスチューブ、73…冷気供給部、74…暖気供給部、80…ガイド部、90…ケース。