(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174582
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
F01D 25/24 20060101AFI20241210BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
F01D25/24 D
F01D25/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092478
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】514275772
【氏名又は名称】三菱重工航空エンジン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】角 大詩
(72)【発明者】
【氏名】水野 琴世
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】森井 統
(72)【発明者】
【氏名】古田 康晃
(57)【要約】
【課題】重量を増加させずにコンテインメント性能を向上させる。
【解決手段】タービンケーシング51と、排気ケーシング52と、タービンケーシング51の内周面に取り付けられる金属製の遮熱シールド80と、タービンケーシング51と排気ケーシング52を連結する連結部90と、を備え、タービンケーシング51は、本体部51aと、本体部51aの内周面51a1から軸線に向けて突出するとともに軸線に沿って排気ケーシング52に向けて延びる突出部51bと、を有し、遮熱シールド80は、突出部51bの排気ケーシング52側の先端部51b1に係止されるフック81を有し、突出部51bの排気ケーシング52側の先端部51b1は、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、径方向RDで内側となり、かつ軸線方向ADで重なる位置に配置されるガスタービンエンジン100を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転する複数の圧縮動翼を有し、外部空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、
前記圧縮機により生成された圧縮空気を燃料とともに燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記軸線回りに回転する複数のタービン動翼を有し、前記燃焼器が生成する燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
前記圧縮機と前記タービンとを連結するとともに前記軸線に沿って延びるシャフトと、
前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記軸線に対して前記タービンの外周側に配置されるタービンケーシングと、
前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記タービンを通過した燃焼ガスを外部へ導く排気ケーシングと、
前記タービンケーシングと前記排気ケーシングを連結する連結部と、を備え、
前記タービンケーシングは、
前記タービンケーシングの外殻を形成する本体部と、
前記本体部の内周面から前記軸線に向けて突出するとともに前記軸線に沿って前記排気ケーシングに向けて延びる突出部と、を有し、
前記突出部の前記排気ケーシング側の先端部は、前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記軸線に直交する径方向の内側に接触または近接した状態で配置されるガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記突出部は、前記先端部と、前記本体部の内周面および前記先端部を接続するとともに前記径方向に沿って内側に向けて延びる接続部と、を有し、
前記先端部は、前記径方向の厚さが前記軸線に沿った方向の各位置で一定となるように形成されている請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
前記突出部は、前記先端部と、前記本体部の内周面および前記先端部を接続するとともに前記径方向に沿って内側に向けて延びる接続部と、を有し、
前記先端部は、前記径方向の厚さが前記軸線に沿って前記排気ケーシングに近づくにつれて減少するように形成されている請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
前記突出部は、前記軸線回りに筒状に形成され、前記先端部と、前記本体部の前記内周面および前記先端部を接続するとともに前記径方向に沿って内側に向けて延びる接続部と、を有し、
前記先端部は、前記軸線回りの周方向に沿って前記径方向の厚さが周期的に変化するように形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
前記先端部の前記径方向の厚さが最も厚くなる頂部の前記周方向における間隔は、前記突出部が配置される前記軸線に沿った方向の位置における前記本体部の前記軸線に対する外径の2%未満に設定されている請求項4に記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
前記タービンケーシングは、前記軸線に沿った方向の前記排気ケーシング側の端部に形成されるとともに前記軸線に直交する第1接触面を有する第1フランジ部を有し、
前記排気ケーシングは、前記軸線に沿った方向の前記タービンケーシング側の端部に形成されるとともに前記軸線に直交する第2接触面を有する第2フランジ部を有し、
前記連結部は、前記第1接触面と前記第2接触面とを接触させた状態で前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを連結し、
前記先端部の前記径方向の厚さは、前記本体部の前記径方向の厚さの1/3以上かつ2/3以下に設定されている請求項4に記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
前記周方向において前記先端部の前記径方向の厚さが最も厚くなる複数の位置に前記軸線に沿って貫通する貫通穴が形成されている請求項4に記載のガスタービンエンジン。
【請求項8】
前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記タービンケーシングの内周面に取り付けられる金属製の遮熱部を備え、
前記遮熱部は、前記排気ケーシング側の端部に形成されるとともに前記突出部の前記排気ケーシング側の先端部に係止されるフックを有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記先端部は、
前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記径方向で内側となり、かつ前記軸線に沿った方向で重なる位置に配置される第1部分と、
前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記径方向で内側となり、かつ前記軸線に沿った方向で重ならない位置に配置される第2部分と、を有し、
前記第1部分と前記第2部分とが前記軸線回りの周方向に沿って交互に配置されており、
前記フックが前記第2部分に係止されている請求項8に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機等に用いられるガスタービンエンジンでは、ブレード等の回転体が破断した場合に外部に飛び出さないように内部に閉じ込めるコンテインメント性能が求められる。特許文献1には、潤滑油を貯留するオイルタンクをファンケースの外側に設置することで、ファンケースの内部に配置されるファンブレードが破損した際に、破損物の外部への飛散を防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ファンブレードに対応する軸方向位置にオイルタンクを配置するものであるため、燃焼ガスにより回転する高圧タービンおよび低圧タービンが破損した際に、オイルタンクは破損物の外部への飛散防止には寄与しない。高圧タービンおよび低圧タービンが破損した際の破損物の外部への飛散防止性能は、外部ケースおよび内部ケースの強度に依存する。
【0005】
しかしながら、外部ケースおよび内部ケースの強度を高めるためにそれぞれの厚さを厚くすると重量が増加してしまい、例えば、航空機に用いられるガスタービンエンジンでは燃費が悪化してしまう。また、外部ケースおよび内部ケースに加えて更に飛散防止用リングを配置する場合にも重量の増加となってしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、燃焼ガスによって駆動されるタービンが破損した際に破損物が外部へ飛散することを防止するコンテインメント性能を、重量を増加させずに向上させることが可能なガスタービンエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係るガスタービンエンジンは、軸線回りに回転する複数の圧縮動翼を有し、外部空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機と、前記圧縮機により生成された圧縮空気を燃料とともに燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記軸線回りに回転する複数のタービン動翼を有し、前記燃焼器が生成する燃焼ガスによって駆動されるタービンと、前記圧縮機と前記タービンとを連結するとともに前記軸線に沿って延びるシャフトと、前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記軸線に対して前記タービンの外周側に配置されるタービンケーシングと、前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記タービンを通過した燃焼ガスを外部へ導く排気ケーシングと、前記タービンケーシングと前記排気ケーシングを連結する連結部と、を備え、前記タービンケーシングは、前記タービンケーシングの外殻を形成する本体部と、前記本体部の内周面から前記軸線に向けて突出するとともに前記軸線に沿って前記排気ケーシングに向けて延びる突出部と、を有し、前記突出部の前記排気ケーシング側の先端部は、前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記軸線に直交する径方向の内側に接触または近接した状態で配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、燃焼ガスによって駆動されるタービンが破損した際に破損物が外部へ飛散することを防止するコンテインメント性能を、重量を増加させずに向上させることが可能なガスタービンエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るガスタービンエンジンを示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示すガスタービンエンジンのA部分の部分拡大図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係るガスタービンエンジンの部分拡大図である。
【
図4】本開示の第3実施形態に係るガスタービンエンジンのタービンケーシングを排気ケーシング側からみた側面図である。
【
図5】本開示の第4実施形態に係るガスタービンエンジンの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係るガスタービンエンジン100について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の第1実施形態に係るガスタービンエンジン100を示す縦断面図である。本実施形態のガスタービンエンジン100は、例えば、航空機の推力発生装置として用いられる。
【0011】
図1及び
図2に示すように、ガスタービンエンジン100は、圧縮機10と、燃焼器20と、タービン30と、過給ファン40と、内側ケーシング50と、外側ケーシング60と、シャフト70と、を備える。
【0012】
圧縮機10は、航空機の進行方向の前方から流入する外部空気EAを圧縮して圧縮空気を生成する装置である。圧縮機10は、軸線X回りに回転するとともにシャフト70に連結される複数の動翼(圧縮動翼)11を有し、流入した外部空気EAを複数の動翼11を通過させることにより、圧縮空気を生成する。
【0013】
燃焼器20は、圧縮機10により生成された圧縮空気を燃料とともに燃焼させて高温かつ高圧の燃焼ガスCAを生成する装置である。燃焼器20は、高温かつ高圧の燃焼ガスCAをタービン30に供給することによりタービン30を軸線X回りに回転させる。燃焼器20は、軸線X回りの複数個所に設けられている。
【0014】
タービン30は、燃焼器20が生成する燃焼ガスCAによって駆動される装置である。タービン30は、高圧タービン31と、高圧タービン31よりも燃焼ガスCAの流通方向の下流側に配置される低圧タービン32と、を有する。高圧タービン31は、シャフト70に連結される複数の高圧タービン動翼31aを有する。低圧タービン32は、シャフト70に連結される複数の低圧タービン動翼32aを有する。
【0015】
低圧タービン動翼32aは、翼部32a1と、翼部32a1と一体に形成されるプラットフォーム部32a2と、を有する。翼部32a1は、プラットフォーム部32a2を介して、シャフト70に取り付けられたディスク32a3に連結されている。
【0016】
燃焼ガスCAをタービン30に導くことにより、複数の高圧タービン動翼31aおよび複数の低圧タービン動翼32aが軸線X回りに回転する。高圧タービン動翼31aおよび低圧タービン動翼32aが軸線X回りに回転する駆動力は、シャフト70を介して圧縮機10に伝達される。圧縮機10は、タービン30から得られる動力により動翼11を回転させて圧縮空気を生成する。
【0017】
過給ファン40は、軸線X回りに回転することにより、外部空気EAを、内側ケーシング50の内部空間と内側ケーシング50と外側ケーシング60の間の空間の双方に供給する装置である。過給ファン40は、シャフト70を介してタービン30に連結されている。過給ファン40は、タービン30の駆動により軸線X回りに回転するとともに外部空気EAを圧縮機10へ導く。
【0018】
次に、
図2を参照して、低圧タービン32を通過した燃焼ガスCAを外部へ排出する部分の構造について説明する。
図2は、
図1に示すガスタービンエンジン100のA部分の部分拡大図である。
図2に示すように、本実施形態のガスタービンエンジン100は、内側ケーシング50の一部を構成するタービンケーシング51と、排気ケーシング52と、遮熱シールド(遮熱部)80と、連結部90と、を備える。
【0019】
タービンケーシング51は、軸線Xに沿って延びる筒状に形成されるとともに軸線Xに対してタービン30の外周側に配置される構造体である。タービンケーシング51は、耐熱合金等の金属材料により形成されている。タービンケーシング51は、タービンケーシング51の外殻を形成する本体部51aと、本体部51aの内周面51a1から軸線Xに向けて内側に突出する突出部51bと、排気ケーシング52側の端部に形成されるフランジ部(第1フランジ部)51cと、を有する。タービンケーシング51は、本体部51aと突出部51bとフランジ部51cとを一体に形成したものである。
【0020】
突出部51bは、軸線X回りに筒状に形成され、タービンケーシング51の内周面51a1に沿うように配置される。突出部51bは、軸線Xと平行な軸線方向ADに沿って排気ケーシング52に向けて延びる先端部51b1と、タービンケーシング51の本体部51aの内周面51a1および先端部51b1を接続する接続部51b2と、を有する。接続部51b2は、本体部51aの内周面51a1から内側に向けて延びるように形成されている。
【0021】
突出部51bの先端部51b1は、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、径方向RDで内側(軸線Xに近接した側)となる位置に配置される。また、突出部51bの先端部51b1は、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、軸線方向ADで重なる位置に配置される。すなわち、突出部51bの先端部51b1は、低圧タービン動翼32aが破損(破断)して生成された破損物が衝突した際に、衝突による衝撃を排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに伝達する位置に配置される。
【0022】
突出部51bの先端部51b1は、接続部51b2に接続される軸線方向ADの一端の位置P1から軸線方向ADの他端の位置P2まで、径方向RDの厚さt1が軸線方向ADの各位置で一定となるように形成されている。また、先端部51b1は、軸線X回りの周方向の各位置でも径方向RDの厚さt1が一定となるように形成されている。ここで、「一定」とは、厳密に厚さが一致するものだけでなく所定の誤差の範囲で厚さが変動するものも含むものとする。
【0023】
フランジ部51cは、軸線方向ADの排気ケーシング52側の端部に形成されるとともに本体部51aよりも径方向RDの外周側へ突出した部分である。フランジ部51cは、軸線X回りの全周に円環状に形成されるとともに軸線方向ADに直交する接触面(第1接触面)51c1を有する。
【0024】
図2に示すように、フランジ部51cの近傍の本体部51aの径方向RDの厚さはt2である。突出部51bの先端部51b1の径方向RDの厚さt1は、本体部51aの径方向RDの厚さt2の1/3以上かつ2/3以下に設定されている。
【0025】
排気ケーシング52は、軸線Xに沿って延びる筒状に形成されるとともにタービン30を通過した燃焼ガスCAを外部へ導く構造体である。排気ケーシング52は、耐熱合金等の金属材料により形成されている。排気ケーシング52は、本体部52bと、軸線方向ADのタービンケーシング51側の端部に形成されるフランジ部(第2フランジ部)52cとを有する。排気ケーシング52は、本体部52bとフランジ部52cとを一体に形成したものである。
【0026】
フランジ部52cは、軸線方向ADのタービンケーシング51側の端部に形成されるとともに本体部52bよりも径方向RDの外周側へ突出した部分である。フランジ部52cは、軸線X回りの全周に円環状に形成されるとともに軸線方向ADに直交する接触面(第2接触面)52c1を有する。
シャフト70は、軸線Xに沿って延びるように形成され、圧縮機10とタービン30とを連結するものである。燃焼ガスCAにより軸線X回りに回転するタービン30の駆動力は、シャフト70を介して圧縮機10に伝達される。
【0027】
遮熱シールド80は、軸線Xに沿って延びる筒状に形成されるとともにタービンケーシング51の内周面に取り付けられる構造体である。遮熱シールド80は、燃焼ガスCAの熱がタービンケーシング51に伝達されることを抑制するための構造体である。遮熱シールド80は、耐熱合金等の金属材料により形成されている。
【0028】
遮熱シールド80は、軸線方向ADの排気ケーシング52側の端部に形成されるフック81を有する。フック81を突出部51bの排気ケーシング52側の先端部51b1に係止することにより、遮熱シールド80がタービンケーシング51の内周面51a1に沿って配置される。
【0029】
図2に示すように、突出部51bの先端部51b1と排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aとの間には、遮熱シールド80のフック81が配置される。フック81は、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aと接触した状態で配置してもよいし、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aとの間に径方向RDに沿って微小な隙間を設けて近接した状態で配置してもよい。ここで、近接した状態とは、例えば、低圧タービン動翼32aが破損した破損物が突出部51bに衝突した衝撃により先端部51b1が撓んで先端部51b1がタービンケーシング51側の端部52aと接触するときに、先端部51b1の接続部51b2の境界である位置P1の断面の全体が塑性変形した状態(全塑性状態)とならないように、先端部51b1と端部52aとの間に隙間が設けられた状態をいう。
【0030】
連結部90は、タービンケーシング51と排気ケーシング52を連結する構造体である。連結部90は、締結ボルト91と締結ナット92とを有する。連結部90は、接触面51c1と接触面52c1とを接触させた状態で、フランジ部51cとフランジ部52cとを連結する。
【0031】
ここで、突出部51bによって、燃焼ガスCAによって駆動されるタービン30が破損した際に破損物が外部へ飛散することを防止するコンテインメント性能が向上する理由について説明する。
図1に示す低圧タービン32の低圧タービン動翼32aが破損(破断)すると、低圧タービン動翼32aよりも小サイズの破損物は、軸線方向ADに沿って燃焼ガスCAの流通方向の下流側かつ径方向RDの外周側(軸線Xから径方向RDに沿って遠ざかる側)に向けて飛散する。
【0032】
低圧タービン32は、軸線方向ADに並ぶ複数の段から構成されており、各段は複数の低圧タービン動翼32aがシャフト70を中心に軸線X回りに円形に配置された構成をしている。複数の低圧タービン動翼32aのうち、燃焼ガスCAの流通方向の最も下流側に配置される低圧タービン動翼32aが破損した場合、翼部32a1よりも低圧タービン動翼32aの全重量に占める割合が比較的大きいプラットフォーム部32a2に含まれる破損物が、突出部51bに衝突する可能性が高い。突出部51bの近傍において、タービンケーシング51と排気ケーシング52とが、連結部90により連結されている。
【0033】
フランジ部51cとフランジ部52cとが連結部90により連結されて径方向RDの変形に対する剛性が大きくなっているため、タービンケーシング51の径方向RDへの弾性変形が阻害され、突出部51bの近傍で塑性ひずみがタービンケーシング51に発生する。塑性ひずみを発生させる衝撃がタービンケーシング51から他の箇所に伝達されない場合、塑性ひずみによってタービンケーシング51が破損し、低圧タービン動翼32aの破損物が外部へ飛散してしまう可能性がある。
【0034】
塑性ひずみによってタービンケーシング51が破損しないように十分な強度を確保するためには、タービンケーシング51の厚さを厚くすることが有効であるが、タービンケーシング51の重量が増加してしまう。本実施形態において、突出部51bの先端部51b1は、低圧タービン動翼32aが破損(破断)して生成された破損物が衝突した際に、衝突による衝撃を排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに伝達する位置に配置される。塑性ひずみを発生させる衝撃がタービンケーシング51から排気ケーシング52に伝達されるため、ガスタービンエンジン100の重量を増加させることなくコンテインメント性能を向上させることができる。
【0035】
以上で説明した本実施形態のガスタービンエンジン100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のガスタービンエンジン100によれば、タービンケーシング51の外殻を形成する本体部51aの内周面51a1から軸線Xに向けて突出する突出部51bが、軸線Xに沿って排気ケーシング52に向けて延びている。突出部51bの排気ケーシング52側の先端部51b1に係止されるフック81により遮熱シールド80がタービンケーシング51の内周面51a1に取り付けられる。突出部51bの先端部51b1が、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、軸線Xに直交する径方向RDで内側となり、かつ軸線X方向で重なる位置に配置される。低圧タービン動翼32aが破損して破損物が突出部51bに衝突する場合、破損物が突出部51bに衝突したことによる衝撃が突出部51bの先端部51b1から排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに伝達される。
【0036】
本実施形態のガスタービンエンジン100によれば、低圧タービン動翼32aの破損物が突出部51bに衝突したことによる衝撃が排気ケーシング52に伝達される。そのため、衝撃が排気ケーシング52に伝達されない場合に比べて本体部51aに伝達される衝撃荷重が低減し、本体部51aに発生する塑性ひずみが減少する。これにより、低圧タービン動翼32aの破損物がタービンケーシング51を破壊して外部へ飛散することが抑制され、コンテインメント性能が向上する。また、遮熱シールド80のフック81を係止するための突出部51bの先端の形状を工夫することによりコンテインメント性能が向上する。そのため、タービンケーシング51の全体を厚くすること等により重量を増加させることなく、コンテインメント性能を向上させることができる。
【0037】
本実施形態のガスタービンエンジン100によれば、先端部51b1の径方向RDの厚さt1がフランジ部51cの近傍の本体部51aの径方向RDの厚さt2の1/3以上であるため、先端部51b1の強度を十分に確保することができる。また、先端部51b1の径方向RDの厚さt1がフランジ部51cの軸線方向ADの厚さt2の2/3以下であるため、タービンケーシング51の重量を過度に増加させることがない。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係るガスタービンエンジン100Aについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0039】
第1実施形態のガスタービンエンジン100は、突出部51bの先端部51b1の径方向RDの厚さt1が軸線Xに沿った各位置で一定となるものであった。それに対し、本実施形態のガスタービンエンジン100Aは、突出部51bの先端部51b1の径方向RDの厚さt1が軸線Xに沿って排気ケーシング52に近づくにつれて減少するものである。
【0040】
図3は、本開示の第2実施形態に係るガスタービンエンジンの部分拡大図である。
図3に示すように、突出部51bの先端部51b1は、接続部51b2に接続される軸線方向ADの一端の位置P1から軸線方向ADの他端の位置P2まで、径方向RDの厚さt1が軸線Xに沿って排気ケーシング52に近づくにつれて減少するように形成されている。
【0041】
本実施形態のガスタービンエンジン100Aによれば、突出部51bの先端部51b1の径方向RDの厚さt1は、軸線Xに沿って排気ケーシング52に近づくにつれて減少し、排気ケーシング52から軸線方向ADに沿って遠ざかるにつれて増加する。そのため、低圧タービン動翼32aの破損物が衝突し易い領域の先端部51b1の径方向RDの厚さt1を厚くし、突出部51bが破損物の衝撃により破損することを抑制することができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係るガスタービンエンジン100Bについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0043】
第1実施形態のガスタービンエンジン100は、突出部51bの先端部51b1の径方向RDの厚さt1が軸線Xに沿った各位置で一定となり、かつ軸線X回りの周方向CDの各位置で一定となるものであった。それに対して、本実施形態のガスタービンエンジン100Bは、軸線X回りの周方向CDに沿って、突出部51bの先端部51b1の径方向RDの厚さt1が周期的に変化するものである。
【0044】
図4は、本開示の第3実施形態に係るガスタービンエンジン100Bのタービンケーシング51を排気ケーシング52側からみた側面図である。
図4において、突出部51bに取り付けられる遮熱シールド80の図示を省略している。
図4に示すように、突出部51bの先端部51b1は、軸線X回りの周方向CDに沿って径方向RDの厚さt1が周期的に変化するように形成されている。
【0045】
先端部51b1の径方向RDの厚さt1が最も厚くなる頂部Sの周方向CDにおける間隔W1は、突出部51bが配置される軸線方向ADの位置における本体部51aの軸線Xに対する外径D1(
図1参照)の2%未満に設定されている。
【0046】
本実施形態のガスタービンエンジン100Bによれば、頂部Sの周方向CDにおける間隔W1が本体部51aの軸線Xに対する外径D1の2%未満に設定されているため、本体部51aを破壊し得るある一定以上の体積を有する低圧タービン動翼32aの破損物が、先端部51b1の径方向RDの厚さt1が最も薄くなる谷部Vにのみ衝突して突出部51bが容易に破損することを適切に抑制することができる。
【0047】
図4に示すように、周方向CDにおいて先端部51b1の径方向RDの厚さt1が最も厚くなる複数の頂部Sの位置に軸線Xに沿って貫通する貫通穴51b1Aが形成されている。本実施形態のガスタービンエンジン100Bによれば、先端部51b1の径方向RDの厚さt1が最も厚くなる複数の頂部Sの位置に貫通穴51b1Aが形成されているため、先端部51b1の強度を維持しつつ先端部51b1の重量を減少させることができる。
【0048】
本実施形態は、第1実施形態の変形例であるものとしたが、第2実施形態の変形例としてもよい。第1実施形態の変形例である本実施形態において、先端部51b1は、径方向RDの厚さt1が軸線方向ADの各位置で一定となり、かつ径方向RDの厚さt1が周方向CDに沿って周期的に変化するように形成される。一方、第2実施形態の変形例とする場合、先端部51b1は、径方向RDの厚さt1が軸線方向ADに沿って排気ケーシング52に近づくにつれて減少し、かつ径方向RDの厚さt1が周方向CDに沿って周期的に変化するように形成される。
【0049】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係るガスタービンエンジン100Cについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0050】
第1実施形態のガスタービンエンジン100において、先端部51b1は、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、周方向CDの各位置で軸線Xに直交する径方向RDで内側となり、かつ軸線方向ADで重なる位置に配置されるものであった。それに対して、本実施形態のガスタービンエンジン100Cにおいて、先端部51b1は、第1部分51b1Bと第2部分51b1Cとが周方向CDに沿って交互に配置されるものである。
【0051】
図5は、本開示の第4実施形態に係るガスタービンエンジン100Cの部分拡大図である。
図5に示すように、先端部51b1は、軸線X回りの周方向CDに沿って交互に配置される第1部分51b1Bと第2部分51b1Cとを有する。第1部分51b1Bは、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、軸線Xに直交する径方向RDで内側となり、かつ軸線方向ADで重なる位置に配置される部分である。
【0052】
第2部分51b1Cは、排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aに対して、軸線Xに直交する径方向RDで内側となり、かつ軸線方向ADで重ならない位置に配置される部分である。
図5に示すように、遮熱シールド80のフック81は、先端部51b1の第1部分51b1Bには係止されず、第2部分51b1Cにのみ係止される。
【0053】
本実施形態のガスタービンエンジン100Cによれば、先端部51b1の第1部分51b1Bによって低圧タービン動翼32aの破損物が突出部51bに衝突したことによる衝撃が排気ケーシング52に伝達されるため、衝撃が排気ケーシング52に伝達されない場合に比べて突出部51bが破損して低圧タービン動翼32aの破損物が外部へ飛散することが抑制され、コンテインメント性能が向上する。
【0054】
また、先端部51b1の第2部分51b1Cによって遮熱シールド80がタービンケーシング51の内周面51a1に沿って配置される。そのため、遮熱シールド80のフック81を先端部51b1の第1部分51b1Bと排気ケーシング52のタービンケーシング51側の端部52aとの間に配置することなく、遮熱シールド80を容易にタービンケーシング51の内周面51a1に取り付けることができる。
【0055】
以上説明した各実施形態に記載のガスタービンエンジンは、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るガスタービンエンジン(100)は、軸線(X)回りに回転する複数の圧縮動翼(11)を有し、外部空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機(10)と、前記圧縮機により生成された圧縮空気を燃料とともに燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器(20)と、前記軸線回りに回転する複数のタービン動翼(31a,32a)を有し、前記燃焼器が生成する燃焼ガスによって駆動されるタービン(30)と、前記圧縮機と前記タービンとを連結するとともに前記軸線に沿って延びるシャフト(70)と、前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記軸線に対して前記タービンの外周側に配置されるタービンケーシング(51)と、前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記タービンを通過した燃焼ガスを外部へ導く排気ケーシング(52)と、前記タービンケーシングと前記排気ケーシングを連結する連結部(90)と、を備え、前記タービンケーシングは、前記タービンケーシングの外殻を形成する本体部(51a)と、前記本体部の内周面から前記軸線に向けて突出するとともに前記軸線に沿って前記排気ケーシングに向けて延びる突出部(51b)と、を有し、前記突出部の前記排気ケーシング側の先端部は、前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記軸線に直交する径方向の内側に接触または近接した状態で配置される。
【0056】
本開示に係る第1態様に係るガスタービンエンジンによれば、タービンケーシングの外殻を形成する本体部の内周面から軸線に向けて突出する突出部が、軸線に沿って排気ケーシングに向けて延びている。突出部の先端部が、排気ケーシングのタービンケーシング側の端部に対して、軸線に直交する径方向の内側に接触または近接した状態で配置される。タービン動翼が破損して破損物が突出部に衝突する場合、破損物が突出部に衝突したことによる衝撃が突出部の先端部から排気ケーシングのタービンケーシング側の端部に伝達される。
【0057】
本開示に係る第1態様に係るガスタービンエンジンによれば、タービン動翼の破損物が突出部に衝突したことによる衝撃が排気ケーシングに伝達されるため、衝撃が排気ケーシングに伝達されない場合に比べて本体部に伝達される衝撃荷重が減少し、本体部に発生する塑性ひずみが減少する。これにより、タービン動翼の破損物がタービンケーシングを破壊して外部へ飛散することが抑制され、コンテインメント性能が向上する。また、タービンケーシングの全体を厚くすること等により重量を増加させることなく、突出部の先端の形状を工夫することによりコンテインメント性能を向上させることができる。
【0058】
本開示の第2態様に係るガスタービンエンジンは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記突出部は、前記先端部と、前記本体部の内周面および前記先端部を接続するとともに前記径方向に沿って内側に向けて延びる接続部(51b2)と、を有し、前記先端部は、前記径方向の厚さが前記軸線方向の各位置で一定となるように形成されている。
【0059】
本開示の第2態様に係るガスタービンエンジンによれば、突出部の先端部の径方向の厚さが軸線に沿った各位置で一定となるため、先端部の軸線方向の各位置における強度を均一化して突出部が破損物の衝撃により破損することを抑制することができる。
【0060】
本開示の第3態様に係るガスタービンエンジンは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記突出部は、前記先端部と、前記本体部の内周面および前記先端部を接続するとともに前記径方向に沿って内側に向けて延びる接続部と、を有し、前記先端部は、前記径方向の厚さが前記軸線に沿って前記排気ケーシングに近づくにつれて減少するように形成されている。
【0061】
本開示の第3態様に係るガスタービンエンジンによれば、突出部の先端部の径方向の厚さは、軸線に沿って排気ケーシングに近づくにつれて減少し、排気ケーシングから軸線方向に遠ざかるにつれて増加する。そのため、タービン動翼の破損物が衝突し易い領域の先端部の径方向の厚さを厚くし、突出部が破損物の衝撃により破損することを抑制することができる。
【0062】
本開示の第4態様に係がガスタービンは、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記突出部は、前記軸線回りに筒状に形成され、前記先端部と、前記本体部の前記内周面および前記先端部を接続するとともに前記径方向に沿って内側に向けて延びる接続部と、を有し、前記先端部は、前記軸線回りの周方向に沿って前記径方向の厚さが周期的に変化するように形成されている。
【0063】
本開示の第4態様に係るガスタービンエンジンによれば、先端部は、軸線回りの周方向に沿って径方向の厚さが周期的に変化するように形成されている。そのため、先端部の径方向の厚さを周方向の全領域で厚くする場合に比べ、先端部の強度を増加させつつタービンケーシングの重量の増加を抑制することができる。
【0064】
本開示の第5態様に係るガスタービンは、第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記先端部の前記径方向の厚さが最も厚くなる頂部の前記周方向における間隔(W1)は、前記突出部が配置される前記軸線方向の位置における前記本体部の前記軸線に対する外径の2%未満に設定されている。
【0065】
本開示の第5態様に係るガスタービンエンジンによれば、頂部の周方向における間隔が本体部の軸線に対する外径の2%未満に設定されているため、本体部を破壊し得るある一定以上の体積を有するタービン動翼の破損物が、先端部の径方向の厚さが最も薄くなる谷部にのみ衝突して突出部が容易に破損することを適切に抑制することができる。
【0066】
本開示の第6態様に係るガスタービンは、第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記タービンケーシングは、前記軸線方向の前記排気ケーシング側の端部に形成されるとともに前記軸線に直交する第1接触面を有する第1フランジ部(51c)を有し、前記排気ケーシングは、前記軸線方向の前記タービンケーシング側の端部に形成されるとともに前記軸線に直交する第2接触面を有する第2フランジ部(52c)を有し、前記連結部は、前記第1接触面と前記第2接触面とを接触させた状態で前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを連結し、前記先端部の前記径方向の厚さは、前記本体部の前記径方向の厚さの1/3以上かつ2/3以下に設定されている。
【0067】
本開示の第6態様に係るガスタービンエンジンによれば、先端部の径方向の厚さが本体部の径方向の厚さの1/3以上であるため、先端部の強度を十分に確保することができる。また、先端部の径方向の厚さが本体部の径方向の厚さの2/3以下であるため、タービンケーシングの重量を過度に増加させることがない。
【0068】
本開示の第7態様に係るガスタービンエンジンは、第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記周方向において前記先端部の前記径方向の厚さが最も厚くなる複数の位置に前記軸線に沿って貫通する貫通穴(51b1A)が形成されている。
【0069】
本開示の第7態様に係るガスタービンエンジンによれば、先端部の径方向の厚さが最も厚くなる複数の位置に貫通穴が形成されているため、先端部の強度を維持しつつ先端部の重量を減少させることができる。
【0070】
本開示の第8態様に係るガスタービンエンジンは、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、更に以下の構成を備える。すなわち、前記軸線に沿って延びる筒状に形成されるとともに前記タービンケーシングの内周面に取り付けられる金属製の遮熱部(80)を備え、前記遮熱部は、前記排気ケーシング側の端部に形成されるとともに前記突出部の前記排気ケーシング側の先端部(51b1)に係止されるフック(81)を有する。
【0071】
本開示の第8態様に係るガスタービンエンジンによれば、燃焼ガスの熱がタービンケーシングに伝達されることを抑制する遮熱部を係止するための突出部を用いて、破損物が突出部に衝突したことによる衝撃が突出部の先端部から排気ケーシングのタービンケーシング側の端部に伝達されるようにし、コンテインメント性能を向上させることができる。
【0072】
本開示の第9態様に係るガスタービンエンジンは、第8態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記先端部は、前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記軸線に直交する径方向で内側となり、かつ前記軸線方向で重なる位置に配置される第1部分(51b1B)と、前記排気ケーシングの前記タービンケーシング側の端部に対して、前記軸線に直交する径方向で内側となり、かつ前記軸線方向で重ならない位置に配置される第2部分(51b1C)と、を有し、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に沿って交互に配置されており、前記フックが前記第2部分に係止されている。
【0073】
本開示の第9態様に係るガスタービンエンジンによれば、先端部の第1部分によってタービン動翼の破損物が突出部に衝突したことによる衝撃が排気ケーシングに伝達されるため、衝撃が排気ケーシングに伝達されない場合に比べて突出部が破損してタービン動翼の破損物が外部へ飛散することが抑制され、コンテインメント性能が向上する。また、先端部の第2部分によって遮熱部がタービンケーシングの内周面に沿って配置される。そのため、遮熱部のフックを先端部の第1部分と排気ケーシングのタービンケーシング側の端部との間に配置することなく、遮熱部を容易にタービンケーシングの内周面に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0074】
10 圧縮機
20 燃焼器
30 タービン
31 高圧タービン
31a 高圧タービン動翼
32 低圧タービン
32a 低圧タービン動翼
32a1 翼部
32a2 プラットフォーム部
32a3 ディスク
40 過給ファン
50 内側ケーシング
51 タービンケーシング
51a 本体部
51a1 内周面
51b 突出部
51b1 先端部
51b1A 貫通穴
51b1B 第1部分
51b1C 第2部分
51b2 接続部
51c フランジ部
51c1 接触面
52 排気ケーシング
52a 端部
52b 本体部
52c フランジ部
52c1 接触面
60 外側ケーシング
70 シャフト
80 遮熱シールド
81 フック
90 連結部
91 締結ボルト
92 締結ナット
100,100A,100B,100C ガスタービンエンジン
AD 軸線方向
CA 燃焼ガス
CD 周方向
D1 外径
EA 外部空気
RD 径方向
S 頂部
V 谷部
X 軸線
t1,t2 厚さ