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特開2024-174584車両用ドアのロック装置、及び車両用ドアシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174584
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車両用ドアのロック装置、及び車両用ドアシステム
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20241210BHJP
   E05B 83/36 20140101ALN20241210BHJP
【FI】
B61D19/00 C
B61D19/00 A
E05B83/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092481
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】木村 武尊
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH08
2E250JJ22
2E250JJ45
2E250KK02
2E250LL01
2E250MM01
2E250QQ05
2E250RR01
2E250SS02
2E250SS08
(57)【要約】
【課題】アクチュエータ全体を交換する事態を回避する。
【解決手段】実施形態の車両用ドアのロック装置は、車両の乗降口を開閉するドアと共に乗降口を開閉する開閉方向に移動する移動体と、車両の車体に固定される筐体部と、筐体部の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部と、電磁力により第1軸部を駆動するコイルと、を備えるアクチュエータと、第1軸部と共に一方向に移動方向に係り合い、第1軸部が筐体部の外部に移動した際にドアの全閉位置において移動体と係り合ってドアを施錠する施錠位置と、第1軸部が筐体部の内部に移動した際に移動体と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部と、車体に固定され、第2軸部を一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部と、を備える。第1軸部と第2軸部との係合部分の開閉方向における隙間は、第2軸部と第2軸支持部との開閉方向における隙間よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗降口を開閉するドアと共に前記乗降口を開閉する開閉方向に移動する移動体と、
前記車両の車体に固定される筐体部と、前記筐体部の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部と、電磁力により前記第1軸部を駆動するコイルと、を備えるアクチュエータと、
前記第1軸部と共に前記一方向に移動方向に係り合い、前記第1軸部が前記筐体部の外部に移動した際に前記ドアの全閉位置において前記移動体と係り合って前記ドアを施錠する施錠位置と、前記第1軸部が前記筐体部の内部に移動した際に前記移動体と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部と、
前記車体に固定され、前記第2軸部を前記一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部と、を備え、
前記第1軸部と前記第2軸部との係合部分の前記開閉方向における隙間は、前記第2軸部と前記第2軸支持部との前記開閉方向における隙間よりも大きい、
車両用ドアのロック装置。
【請求項2】
前記第1軸部及び前記第2軸部の一方には、前記開閉方向に沿って延びる嵌合穴が形成され、
前記第1軸部及び前記第2軸部の他方は、前記嵌合穴に嵌まるピン部を備え、
前記嵌合穴を形成する壁部と前記ピン部との間の前記開閉方向における隙間は、前記第2軸部と前記第2軸支持部との前記開閉方向における隙間よりも大きい、
請求項1に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記第1軸部を前記筐体部の外部に向かって押し付ける弾性部を更に備え、
前記アクチュエータは、前記弾性部による押し付け力に抗して前記電磁力により前記第1軸部を引き上げることで、前記第1軸部に連結された前記第2軸部を前記施錠位置から前記解錠位置に移動させる、
請求項1又は2に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項4】
前記一方向と平行な軸を中心として回転可能であり、前記ドアの全閉位置において前記第2軸部が係り合う位置と異なる位置で前記移動体と接触して回転し、前記電磁力により引き上げられた前記第2軸部を前記解錠位置に保持する回転体部を更に備える、
請求項3に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項5】
前記第2軸部は、前記第2軸部の径方向に沿って延びる凸部を更に備え、
前記回転体部は、
前記一方向と平行な軸に沿って延び、前記一方向と平行な軸を中心に回転可能であるシャフトと、
前記シャフトの径方向に延び、前記ドアの全閉位置において前記移動体と接触するストライカーと、
前記シャフトに形成され、前記凸部と接触して前記第2軸部が前記解錠位置から前記施錠位置に移動することを制限する制限壁と、を備え、
前記制限壁は、前記ストライカーが前記移動体と接触して前記シャフトと共に回転することで、前記凸部と接触し前記第2軸部の前記施錠位置への移動を制限する制限位置から、前記第2軸部の前記施錠位置への移動を制限しない非制限位置に移動する、
請求項4に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項6】
前記回転体部は、前記車体に固定され、前記シャフトを回転可能に支持するシャフト支持部を更に備え、
前記シャフト支持部と前記シャフトとの間の隙間は、前記第2軸支持部と前記第2軸部との間の隙間よりも大きい、
請求項5に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項7】
前記車体に固定され、前記筐体部、前記第2軸支持部及び前記シャフト支持部を固定する固定板を更に備える、
請求項6に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項8】
前記一方向は、鉛直方向に沿う方向である、
請求項1又は2に記載の車両用ドアのロック装置。
【請求項9】
車両の乗降口を開閉するためのドアと、
前記ドアに固定され、前記ドアと共に前記乗降口を開閉する開閉方向に移動する移動体と、
前記車両の車体に固定される筐体部と、前記筐体部の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部と、電磁力により前記第1軸部を駆動するコイルと、を備えるアクチュエータと、
前記第1軸部と共に前記一方向に移動方向に連結され、前記第1軸部が前記筐体部の外部に移動した際に前記ドアの全閉位置において前記移動体と係り合って前記ドアを施錠する施錠位置と、前記第1軸部が前記筐体部の内部に移動した際に前記移動体と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部と、
前記車体に固定され、前記第2軸部を前記一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部と、を備え、
前記第1軸部と前記第2軸部とは、前記開閉方向に沿って相対移動可能に連結される、
車両用ドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアのロック装置、及び車両用ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラッチ棒がラッチ穴へ移動することで、引戸をロックする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-324159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1に開示の構成では、全閉中の引戸に外力がかかると、ラッチ棒がソレノイド内部の嵌合部にて摩擦した状態でラッチ棒を引き擦りながら引き上げる必要がある。そのため、ソレノイド内部のラッチ棒及び嵌合部が摩耗してしまい、ソレノイド全体を交換する事態が生じる可能性が高い。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、アクチュエータに負荷がかかることを回避でき、アクチュエータ全体を交換する事態を回避できる車両用ドアのロック装置、及び車両用ドアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係る車両用ドアのロック装置は、車両の乗降口を開閉するドアと共に前記乗降口を開閉する開閉方向に移動する移動体と、前記車両の車体に固定される筐体部と、前記筐体部の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部と、電磁力により前記第1軸部を駆動するコイルと、を備えるアクチュエータと、前記第1軸部と共に前記一方向に移動方向に係り合い、前記第1軸部が前記筐体部の外部に移動した際に前記ドアの全閉位置において前記移動体と係り合って前記ドアを施錠する施錠位置と、前記第1軸部が前記筐体部の内部に移動した際に前記移動体と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部と、前記車体に固定され、前記第2軸部を前記一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部と、を備え、前記第1軸部と前記第2軸部との係合部分の前記開閉方向における隙間は、前記第2軸部と前記第2軸支持部との前記開閉方向における隙間よりも大きい。
【0007】
この構成によれば、第1軸部が筐体部の外部に移動すると、第1軸部と第2軸部とが一体となって移動し、第2軸部が施錠位置に移動する。これにより、ドアが施錠される。このときに、移動体からドアの開閉方向に沿った外力がかかる場合がある。この場合でも、第1軸部と第2軸部との係合部分の開閉方向における隙間が、第2軸部と第2軸支持部との開閉方向における隙間よりも大きいため、第2軸部から第2軸支持部に外力による荷重が伝達され、第1軸部には外力による荷重が伝達されない。したがって、アクチュエータに負荷がかかることを回避でき、アクチュエータ全体を交換する事態を回避できる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の車両用ドアのロック装置では、前記第1軸部及び前記第2軸部の一方には、前記開閉方向に沿って延びる嵌合穴が形成され、前記第1軸部及び前記第2軸部の他方は、前記嵌合穴に嵌まるピン部を備え、前記嵌合穴を形成する壁部と前記ピン部との間の前記開閉方向における隙間は、前記第2軸部と前記第2軸支持部との前記開閉方向における隙間よりも大きくてもよい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の車両用ドアのロック装置では、前記アクチュエータは、前記第1軸部を前記筐体部の外部に向かって押し付ける弾性部を更に備え、前記アクチュエータは、前記弾性部による押し付け力に抗して前記電磁力により前記第1軸部を引き上げることで、前記第1軸部に連結された前記第2軸部を前記施錠位置から前記解錠位置に移動させてもよい。
【0010】
(4)上記(3)に記載の車両用ドアのロック装置では、前記一方向と平行な軸を中心として回転可能であり、前記ドアの全閉位置において前記第2軸部が係り合う位置と異なる位置で前記移動体と接触して回転し、前記電磁力により引き上げられた前記第2軸部を前記解錠位置に保持する回転体部を更に備えてもよい。
【0011】
(5)上記(4)に記載の車両用ドアのロック装置では、前記第2軸部は、前記第2軸部の径方向に沿って延びる凸部を更に備え、前記回転体部は、前記一方向と平行な軸に沿って延び、前記一方向と平行な軸を中心に回転可能であるシャフトと、前記シャフトの径方向に延び、前記ドアの全閉位置において前記移動体と接触するストライカーと、前記シャフトに形成され、前記凸部と接触して前記第2軸部が前記解錠位置から前記施錠位置に移動することを制限する制限壁と、を備え、前記制限壁は、前記ストライカーが前記移動体と接触して前記シャフトと共に回転することで、前記凸部と接触し前記第2軸部の前記施錠位置への移動を制限する制限位置から、前記第2軸部の前記施錠位置への移動を制限しない非制限位置に移動してもよい。
【0012】
(6)上記(5)に記載の車両用ドアのロック装置では、前記回転体部は、前記車体に固定され、前記シャフトを回転可能に支持するシャフト支持部を更に備え、前記シャフト支持部と前記シャフトとの間の隙間は、前記第2軸支持部と前記第2軸部との間の隙間よりも大きくてもよい。
【0013】
(7)上記(6)に記載の車両用ドアのロック装置では、前記車体に固定され、前記筐体部、前記第2軸支持部及び前記シャフト支持部を固定する固定板を更に備えてもよい。
【0014】
(8)上記(1)から(7)の何れかに記載の車両用ドアのロック装置では、前記一方向は、鉛直方向に沿う方向であってもよい。
【0015】
(9)本発明の態様に係る車両用ドアシステムは、車両の乗降口を開閉するためのドアと、前記ドアに固定され、前記ドアと共に前記乗降口を開閉する開閉方向に移動する移動体と、前記車両の車体に固定される筐体部と、前記筐体部の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部と、電磁力により前記第1軸部を駆動するコイルと、を備えるアクチュエータと、前記第1軸部と共に前記一方向に移動方向に連結され、前記第1軸部が前記筐体部の外部に移動した際に前記ドアの全閉位置において前記移動体と係り合って前記ドアを施錠する施錠位置と、前記第1軸部が前記筐体部の内部に移動した際に前記移動体と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部と、前記車体に固定され、前記第2軸部を前記一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部と、を備え、前記第1軸部と前記第2軸部とは、前記開閉方向に沿って相対移動可能に連結される。
【0016】
この構成によれば、第1軸部が筐体部の外部に移動すると、第1軸部と第2軸部とが一体となって移動し、第2軸部が施錠位置に移動する。これにより、ドアが施錠される。このときに、移動体からドアの開閉方向に沿った外力がかかる場合がある。この場合でも、第1軸部と第2軸部とが開閉方向に沿って相対移動可能に連結されるため、第1軸部には外力による荷重が伝達されない。したがって、アクチュエータに負荷がかかることを回避でき、アクチュエータ全体を交換する事態を回避できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アクチュエータに負荷がかかることを回避でき、アクチュエータ全体を交換する事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態の車両用ドアシステムの斜視図である。
図2】実施形態の車両用ドアのロック装置の施錠状態における斜視図である。
図3】実施形態の車両用ドアのロック装置の施錠状態における正面図である。
図4】実施形態の車両用ドアのロック装置の解錠状態における斜視図である。
図5】実施形態の車両用ドアのロック装置の解錠状態における正面図である。
図6】実施形態の第1軸部と第2軸部との係合部分の斜視図である。
図7】実施形態の第2軸支持部及びシャフト支持部の断面を含む斜視図である。
図8】実施形態のソレノイド消磁時における施錠状態を示す斜視図である。
図9】実施形態のソレノイド励磁時における解錠状態を示す斜視図である。
図10】実施形態の回転体部の制限壁が第2軸部の凸部と接触し施錠位置への移動を制限している状態(解錠状態)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、車両用ドアシステムとして鉄道車両(車両)の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備えた例を挙げて説明する。以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も含むものとする。以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
<車両用ドアシステム>
図1は、実施形態の車両用ドアシステム1の斜視図である。
図1に示すように、車両用ドアシステム1は、車両の乗降口9を開閉するためのドア10を備える。なお、図1においては、一対のドアのうち一方のドア10を示している。図1においては、ドア10が全閉位置に位置する状態を示している。
【0021】
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、車両の前後方向に相当する。Y方向は、車両の幅方向に相当する。Z方向は、X方向及びY方向に直交する車両の高さ方向(重力方向)に相当する。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Y側は幅方向外側に相当し、-Y側は幅方向内側に相当する。+Z側は重力方向の上側に相当し、-Z側は重力方向の下側に相当する。
【0022】
車両用ドアシステム1は、ドア10を開閉駆動するドア開閉装置20を備える。図の例では、ドア開閉装置20は、ドア10を駆動する駆動力を発生する不図示の駆動源(例えば、モータ)と、駆動源からの駆動力を受けて直線的に移動する長尺部材であるラック21と、ラック21とドア10とを連結する不図示の連結部材と、を備える。ラック21は、不図示の駆動源に組み込まれたピニオンにラック21が噛み合っている。図の例では、駆動源の駆動力でラック21がX方向に沿って直線的に動くことによって、ラック21に取り付けられたドアが開閉移動する構成となっている。
【0023】
車体には、X方向に沿って延びるレール22が固定される。レール22は、乗降口9の上方に設けられる。
【0024】
ドア10は、不図示の連結部材に連結されると共にレール22に沿って動くスライダ11と、ドアリーフ12と、ドアリーフ12の上部に取り付けられると共にスライダ11に固定されたドアハンガ13A,13Bと、を備える。図の例では、ドアハンガ13A,13Bは、ドアリーフ12の上端部における戸先側の部位に取り付けられた第1ハンガ13Aと、ドアリーフ12の上端部における戸尻側の部位に取り付けられた第2ハンガ13Bと、で構成される。なお、ドアハンガ13A,13Bの構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0025】
例えば、ドア10は、図1に示す全閉位置から、駆動源からの駆動力がラック21に伝達され、連結部材を介してラック21に連結されたスライダ11がレール22に沿って動くことにより、全開位置まで移動する。全開位置は、ドアが乗降口9を開放(全開)する位置を意味する。図1においては、一対のドア10のうち+X側のドア10が閉じる方向を閉方向として矢印Vc方向で示している。
【0026】
なお、ドアの駆動方式は、ドア開閉装置20が上述のラック21及びピニオン等を備える、いわゆるラック・アンド・ピニオン方式に限定されない。例えば、ドアの駆動方式は、ドアが接続されたベルトが駆動プーリ及び被動プーリに架け渡され、駆動プーリの回転駆動によりベルトを移動(周回)させることでドアを開閉する方式である、いわゆるベルト式であってもよい。例えば、ドアの駆動方式は、ボルトに相当するスクリュー軸をモータで回転させ、ナットに相当するボールナットに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるスクリュー式であってもよい。例えば、ドアの駆動方式は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0027】
<車両用ドアのロック装置>
図2は、実施形態の車両用ドアのロック装置2の施錠状態における斜視図である。図3は、実施形態の車両用ドアのロック装置2の施錠状態における正面図である。図4は、実施形態の車両用ドアのロック装置2の解錠状態における斜視図である。図5は、実施形態の車両用ドアのロック装置2の解錠状態における正面図である。
図2から図5を併せて参照し、車両用ドアのロック装置2は、車両の乗降口9を開閉するドア10と共に乗降口9を開閉する開閉方向に移動する移動体30と、車両の車体に固定される筐体部41と、筐体部41の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部42と、電磁力により第1軸部42を駆動するコイル43と、を備えるアクチュエータ40と、第1軸部42と共に一方向に移動方向に係り合い、第1軸部42が筐体部41の外部に移動した際にドア10の全閉位置において移動体30と係り合ってドア10を施錠する施錠位置と、第1軸部42が筐体部41の内部に移動した際に移動体30と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部50と、車体に固定され、第2軸部50を一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部60と、を備える。
【0028】
<移動体>
移動体30は、ドアリーフ12の上端部に連結されると共にレール22に沿って動くブラケット31と、ブラケット31に対してX方向の位置を調整可能に取り付けられた調整機構32と、調整機構32において上方に突出する部分に連結されると共に+Y方向に向かって突出する第1突出部33と、調整機構32において第1突出部33が配置される位置とは異なる部位に連結されると共に+Z方向に向かって突出する部分を有する第2突出部34と、を備える。
【0029】
<アクチュエータ>
例えば、アクチュエータ40は、電磁力によりプランジャを移動させるソレノイドである。アクチュエータ40の筐体部41は、第1軸部42の一部と、コイル43と、を収容する。図の例では、筐体部41は、直方体形状の箱状に形成される。なお、筐体部41の形状は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0030】
例えば、第1軸部42は、ソレノイドのプランジャ(可動鉄心)である。第1軸部42は、筐体部41の内部と外部との間を鉛直方向に沿う方向(一方向の一例)に往復移動可能である。例えば、コイル43に電流が流されると、第1軸部42(可動鉄心)は、ソレノイドの固定鉄心へ吸引される。この場合、第1軸部42は、鉛直上方に向かって筐体部41の外部から内部に移動する。一方、コイル43を流れる電流が遮断されると、吸引力が消滅する。この場合、第1軸部42は、鉛直下方に向かって筐体部41の内部から外部に移動する。
【0031】
<第2軸部>
第2軸部50は、第1軸部42が筐体部41の外部に移動した際に施錠位置に移動する。例えば、施錠位置では、第2軸部50は、移動体30における第1突出部33の+Y端側の部分と接触する。これにより、施錠位置では、第2軸部50がドア10の全閉位置において移動体30と係り合うことで、ドア10が施錠される(図2及び図3参照)。
【0032】
なお、施錠位置では、第2軸部50は、移動体30における第1突出部33の+Y端側の部分と接触することに限らず、非接触であってもよい。例えば、施錠位置では、第2軸部50は移動体30における第1突出部33の+Y端側の部分と近接していてもよい。例えば、施錠位置で第2軸部50が移動体30と係り合う態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0033】
第2軸部50は、第1軸部42が筐体部41の内部に移動した際に解錠位置に移動する。例えば、解錠位置では、第2軸部50の下端は、移動体30における第1突出部33の+Y端側の部分よりも上方に配置される。これにより、解錠位置では、第2軸部50が移動体30と係り合わないことで、ドア10が解錠される(図4及び図5参照)。
【0034】
例えば、車両用ドアシステム1は、ドア10が予め設定された閉じ位置まで閉じられたことを検知するドア閉じスイッチ(不図示)を備えてもよい。例えば、ドア閉じスイッチは、ドア10が予め設定された閉じ位置まで移動するとオンするように構成される。例えば、ドア閉じスイッチは、ドア10の全閉位置でオンするように構成されてもよい。例えば、ドア閉じスイッチがオンすると、ドア閉じスイッチは信号を出力する。例えば、出力された信号は、運転台への報知等に利用される。
【0035】
例えば、車両用ドアシステム1は、オンすることによってドア10が施錠(ロック)されていることを示すロック信号を出力するロックスイッチ(不図示)を備えてもよい。例えば、ロックスイッチは、第2軸部50に接続されてもよい。例えば、ロックスイッチは、第2軸部50が施錠位置に位置する場合にオンするように構成されてもよい。
【0036】
第2軸部50は、第2軸部50の径方向に沿って延びる凸部51を更に備える。凸部51は、第2軸部50の上端側の部位から-X方向に向かって延びている。図の例では、凸部51の先端に、ローラ52が設けられている。例えば、ローラ52は、回転体部70の回動時に制限壁73の外面(表面)に沿って転動する。
【0037】
<第2軸支持部>
図6は、実施形態の第1軸部42と第2軸部50との係合部分の斜視図である。図7は、実施形態の第2軸支持部60及びシャフト支持部80A,80Bの断面を含む斜視図である。なお、図6及び図7においては、弾性部44の図示を省略している。
図6及び図7を併せて参照し、例えば、第2軸支持部60は、ボルト等の締結部材で車体に固定される。第2軸支持部60は、第2軸部50を鉛直方向に沿って移動可能に支持する。第2軸支持部60は、第2軸部50の下部を回動可能に支持する第2軸受部61と、第2軸受部61の+Y端側の部分からX方向両側に延びる第2軸受固定部62と、を備える。
【0038】
第2軸受部61は、第2軸部50の下部に沿う筒状のブッシュ63と、ブッシュ63を囲む筒状のホルダ64と、を備える。図の例では、ブッシュ63は、ホルダ64の上面に沿って配置される環状部分と、環状部分の径方向内端部から鉛直下方に沿って延びる筒状部と、を含んで構成される。なお、ブッシュ63の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0039】
第2軸受固定部62は、ホルダ64の+Y端側の部分からX方向両側に延びている。図の例では、第2軸受固定部62は、ホルダ64のX方向両側において片側2個(合計4個)の締結部材で固定される。なお、第2軸受固定部62の固定態様(締結部材の数及び配置等)は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0040】
<嵌合穴及びピン部>
第1軸部42及び第2軸部50の一方には、開閉方向に沿って延びる嵌合穴55が形成される。第1軸部42及び第2軸部50の他方は、嵌合穴55に嵌まるピン部45を備える。本実施形態では、第2軸部50には、開閉方向に沿って延びる嵌合穴55が形成される。第1軸部42は、嵌合穴55に嵌まるピン部45を備える。
【0041】
図の例では、第1軸部42の下部は、Y方向に互いに離間して配置された一対のピン支持壁46を備える。各ピン支持壁46には、ピン部45を取り付け可能にY方向に貫通するピン固定孔47が形成される。図の例では、ピン部45は、スプリングピンである。スプリングピンは、Y方向から見てC字形状を有する。例えば、スプリングピンを縮めた状態で各ピン支持壁46のピン固定孔47に挿入した後、スプリングピンを開くことで、スプリングピンを各ピン支持壁46に固定する。これにより、各ピン支持壁46にピン部45を取り付けることができる。
【0042】
図の例では、第2軸部50の上部は、XZ面に沿う板状に形成された板状部56を備える。板状部56のY方向外側面は、各ピン支持壁46のY方向内側面に沿う平面状に形成される。嵌合穴55は、板状部56において上端側の部位をY方向に貫通すると共にX方向に延びる長孔形状を有する。嵌合穴55のX方向の最大長さは、固定されたピン部45の外径(例えば、スプリングピンを開いた状態の最外径)よりも長い。嵌合穴55のZ方向の最大長さは、固定されたピン部45の外径と略同じである。例えば、嵌合穴55及びピン部45の各寸法は、嵌合穴55に嵌まるピン部45が嵌合穴55を形成する壁部に沿ってX方向に円滑に移動できる程度の寸法に設定するとよい。
【0043】
例えば、第1軸部42と第2軸部50との接続(係り合わせ、連結)は以下の手順で行う。
まず、第1軸部42の一対のピン支持壁46の間に、第2軸部50の板状部56を挿入する。次に、Y方向から見て、各ピン支持壁46のピン固定孔47と、板状部56の嵌合穴55とを、互いに重なるように配置する。次に、スプリングピンを縮めた状態で各ピン固定孔47及び嵌合穴55に挿入した後、スプリングピンを開くことで、スプリングピンを各ピン支持壁46に固定する。これにより、嵌合穴55に嵌まるピン部45を各ピン支持壁46に取り付けることができる。以上の手順で、第1軸部42と第2軸部50との接続を行うことができる。
【0044】
本実施形態では、嵌合穴55を形成する壁部とピン部45との間の開閉方向における隙間X1A,X1Bは、第2軸部50と第2軸支持部60との開閉方向における隙間X2よりも大きい(X1A,X1B>X2)。嵌合穴55を形成する壁部とピン部45との間の開閉方向における隙間X1A,X1Bは、嵌合穴55を形成する壁部の内周縁のX方向外端とピン部45の外形のX方向外端とのX方向の最小間隔を意味する。第2軸部50と第2軸支持部60との開閉方向における隙間X2は、第2軸部50の下部の外周縁のX方向外端と第2軸支持部60の内周縁のX方向内端とのX方向の最小間隔を意味する。
【0045】
なお、嵌合穴55を形成する壁部とピン部45との間の開閉方向における隙間X1A,X2Aは、第1軸部42と第2軸部50との係合部分の開閉方向における隙間の一例である。すなわち、本実施形態では、第1軸部42と第2軸部50との係合部分の開閉方向における隙間X1A,X1Bは、第2軸部50と第2軸支持部60との開閉方向における隙間X2よりも大きい。言い換えると、本実施形態では、第1軸部42と第2軸部50とは、開閉方向に沿って相対移動可能に連結される。
【0046】
図の例では、ピン部45がスプリングピンであり、嵌合穴55がX方向に延びる長孔形状を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ピン部45は、ボルト等の軸部であってもよいし、凸部であってもよい。例えば、嵌合穴55は、ピン部45としての凸部が嵌まる凹部であってもよい。例えば、嵌合穴55及びピン部45の各々の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0047】
<弾性部>
図2及び図3を併せて参照し、アクチュエータ40は、第1軸部42を筐体部41の外部に向かって押し付ける弾性部44を更に備える。例えば、弾性部44は、コイルばね(圧縮ばね)である。なお、弾性部44は、上記に限らず、板ばね又は皿バネ等を含んで構成されてもよい。例えば、弾性部44の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0048】
弾性部44は、筐体部41の下面と、第2軸部50の一部の上面(具体的には、板状部56の下端からXY面に沿って広がる面)との間に配置される。弾性部44は、第2軸部50が施錠位置に保たれるように第2軸部50に対して弾性力を加える。具体的に、弾性部44は、第1軸部42が筐体部41の外部に移動した際にドア10の全閉位置において第2軸部50が移動体30と係り合って施錠位置に位置する場合、第2軸部50が施錠位置に保たれるように第2軸部50を鉛直下方に押し付ける。
【0049】
図4及び図5を併せて参照し、アクチュエータ40は、弾性部44による押し付け力(弾性力)に抗して電磁力により第1軸部42を引き上げることで、第1軸部42に連結された第2軸部50を施錠位置から解錠位置に移動させる。なお、第2軸部50には、弾性部44からの押し付け力が常に加えられている。そのため、第2軸部50に対して引き上げる力が作用しない状態においては、第2軸部50は施錠位置に保持される。
【0050】
<回転体部>
図2及び図3を併せて参照し、車両用ドアのロック装置2は、鉛直方向に沿う方向と平行な軸を中心として回転可能である回転体部70を更に備える。回転体部70は、ドア10の全閉位置において第2軸部50が係り合う位置と異なる位置で移動体30と接触して回転する。回転体部70は、電磁力により引き上げられた第2軸部50を解錠位置に保持する。
【0051】
回転体部70は、鉛直方向に沿う方向と平行な軸に沿って延び、この軸を中心に回転可能であるシャフト71と、シャフト71の径方向に延び、ドアの全閉位置において移動体30と接触するストライカー72と、シャフト71に形成され、凸部51と接触して第2軸部50が解錠位置から施錠位置に移動することを制限する制限壁73と、を備える。
【0052】
例えば、ストライカー72は、ドア10の全閉位置において、移動体30における第2突出部34の上端側の部分と接触する。言い換えると、施錠位置では、ストライカー72は、移動体30における第2突出部34の上端側の部分と接触する。これにより、施錠位置では、第2軸部50がドアの全閉位置において移動体30と係り合うことに加え、ストライカー72が移動体30と接触することで、ドア10の施錠が保持される。
【0053】
なお、施錠位置では、ストライカー72は、移動体30における第2突出部34の上端側の部分と接触することに限らず、非接触であってもよい。例えば、施錠位置では、第2軸部50は移動体30における第2突出部34の上端側の部分と近接していてもよい。例えば、施錠位置でストライカー72が移動体30と接触する態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0054】
制限壁73は、ストライカー72が移動体30と接触してシャフト71と共に回転することで、第2軸部50の凸部51と接触する。制限壁73は、シャフト71と共に回動しながら凸部51と接触し、第2軸部50の施錠位置への移動を制限する制限位置(図4及び図5に示す位置)から、第2軸部50の施錠位置への移動を制限しない非制限位置(図2及び図3に示す位置)に移動する。
【0055】
図4及び図5を併せて参照し、制限壁73は、制限位置では、回転体部70の一部の上面(具体的には、シャフト71の上下中央側の部分から凸部51の先端側の部分に対向する位置までXY面に沿って広がる面)を有する。図2及び図3を併せて参照し、制限壁73は、非制限位置では、回転体部70の一部の側面(具体的には、回転体部70の一部の上面の一方の縁部に連なるようにシャフト71の径方向及びZ方向を含む面に沿って広がる面)を有する。
【0056】
本実施形態では、凸部51の先端にローラ52が設けられている。そのため、制限壁73がシャフト71と共に回動しながら制限位置から非制限位置に移動する際に、円滑な回動が得られる。例えば、ローラ52は、回転体部70の回動時に制限壁73の外面(具体的には、回転体部70の一部の上面、及び、回転体部70の一部の側面)に沿って円滑に転動する。
【0057】
図の例では、ローラ52が転動する制限壁73の外面は、シャフト71の径方向から見て、L字状に形成される。例えば、回転体部70には、制限壁73に沿うようにL字状の溝が形成されてもよい。なお、ローラ52が転動する制限壁73の外面は、シャフト71の径方向から見て、水平面に沿う部分と鉛直面に沿う部分とを含んで形成されてもよい。例えば、ローラ52が転動する制限壁73の外面は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0058】
<シャフト支持部>
回転体部70は、車体に固定され、シャフト71を回転可能に支持するシャフト支持部80A,80Bを更に備える。例えば、シャフト支持部80A,80Bは、ボルト等の締結部材で車体に固定される。シャフト支持部80A,80Bは、鉛直方向に沿う方向と平行な軸を中心としてシャフト71を回転可能に支持する。シャフト支持部80A,80Bは、シャフト71の上端側の部分を回転可能に支持する第1支持部80Aと、シャフト71の下端側の部分を回転可能に支持する第2支持部80Bと、を含んで構成される。なお、シャフト支持部80A,80Bの構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0059】
図7を併せて参照し、シャフト支持部80A,80Bは、シャフト71を回転可能に支持するシャフト軸受部81と、シャフト軸受部81の+Y端側の部分からX方向両側に延びるシャフト軸受固定部82と、を備える。
【0060】
シャフト軸受部81は、シャフト71に沿う筒状のブッシュ83と、ブッシュ83よりも鉛直方向外側に配置されると共にシャフト71を囲むホルダ84と、を備える。図の例では、ブッシュ83は、ホルダ84の鉛直方向内側の面に沿って配置される環状部分と、環状部分の径方向内端部から鉛直方向内方に沿って延びる筒状部と、を含んで構成される。なお、ブッシュ83の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0061】
シャフト軸受固定部82は、ホルダ84の+Y端側の部分からX方向両側に延びている。図の例では、シャフト軸受固定部82は、ホルダ84のX方向両側において片側1個(合計2個)の締結部材で固定される。なお、シャフト軸受固定部82の固定態様(締結部材の数及び配置等)は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0062】
本実施形態では、シャフト支持部80A,80Bとシャフト71との間の隙間S1は、第2軸支持部60と第2軸部50との間の隙間S2よりも大きい(S1>S2)。シャフト支持部80A,80Bとシャフト71との間の隙間S1は、シャフト支持部80A,80Bを構成するホルダ84の内周面と、シャフト71の外周面との間の間隔であって、シャフト71の径方向における最小間隔を意味する。第2軸支持部60と第2軸部50との間の隙間S2は、第2軸支持部60を構成するブッシュ63の内周面と、第2軸部50の下部の外周面との間の間隔であって、第2軸部50の径方向における最小間隔を意味する。
【0063】
<第2弾性部>
回転体部70は、シャフト71を図8の矢印R方向とは反対方向に向かって押し付ける第2弾性部74を更に備える。例えば、第2弾性部74は、ねじりばね(ねじりコイルばね)である。なお、第2弾性部74は、上記に限らず、板ばね又は皿バネ等を含んで構成されてもよい。例えば、第2弾性部74の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0064】
第2弾性部74は、第1支持部80Aの下面と、回転体部70の一部の上面(具体的には、制限壁73の上面の径方向内端から鉛直上方に延びる縦壁部においてXY面に沿って広がる面)との間に配置される。第2弾性部74は、シャフト71を囲むように巻き付けられている。第2弾性部74の一端は、第1支持部80Aのホルダ84に取り付けられる。第2弾性部74の他端は、縦壁部に取り付けられる。
【0065】
<固定板>
図7を併せて参照し、車両用ドアのロック装置2は、車体に固定され、筐体部41、第2軸支持部60及びシャフト支持部80A,80Bを固定する固定板90を更に備える。例えば、固定板90は、ボルト等の締結部材で車体に固定される。図の例では、固定板90は、XZ面に沿う矩形板状に形成される。なお、固定板90の形状は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0066】
<施錠・解錠の状態>
図8は、実施形態のソレノイド消磁時における施錠状態を示す斜視図である。図9は、実施形態のソレノイド励磁時における解錠状態を示す斜視図である。図10は、実施形態の回転体部70の制限壁73が第2軸部50の凸部51(図の例では、ローラ52)と接触し施錠位置への移動を制限している状態(解錠状態)を示す斜視図である。
以下、図8から図10を併せて参照しつつ、施錠動作及び解錠動作の一例について説明する。
【0067】
<施錠動作の一例>
例えば、ドア10が閉動作により全閉位置まで移動すると、ドア10と連動する移動体30の第2突出部34が回転体部70のストライカー72に接触する。すると、鉛直方向に沿う方向と平行な軸を中心としてシャフト71を図10の矢印R方向に回転させる。すると、シャフト71の回転と共に制限壁73が図9の矢印R方向に回動する。すると、凸部51の先端側の部分に設けられたローラ52が、制限壁73の外面に沿って移動する。
【0068】
図8においてはソレノイドが消磁しているため、弾性部44による押し付け力(弾性力)により、第1軸部42が筐体部41の外部に移動する。このとき、第1軸部42と第2軸部50とが一体となって鉛直下方へ移動する。すると、第2軸部50が鉛直下方に突き出た状態となる。第2軸部50は、第1軸部42が筐体部41の外部に移動した際に施錠位置に移動する。例えば、施錠位置では、第2軸部50が移動体30における第1突出部33と接触する。これにより、施錠位置では、第2軸部50がドア10の全閉位置において移動体30と係り合うことで、ドア10が施錠される(図2及び図3参照)。
【0069】
<解錠動作の一例>
例えば、図8に示す位置でソレノイドを励磁する。例えば、アクチュエータ40に電圧を印加し、第1軸部42を引き上げる。アクチュエータ40は、弾性部44による押し付け力に抗して電磁力により第1軸部42を引き上げる。すると、第1軸部42が筐体部41の内部に移動する。このとき、第1軸部42と第2軸部50とが一体となって鉛直上方へ移動する。すると、第2軸部50の凸部51は、図9に示す位置に配置される。
【0070】
その後、ドア10の開動作により、ドア10と連動する移動体30の第2突出部34が回転体部70のストライカー72から離れる。すると、第2弾性部74による弾性力により、シャフト71が図9の矢印R方向とは反対方向に回動する。すると、凸部51の先端側の部分に設けられたローラ52が、制限壁73の上面に沿って移動する。
【0071】
第2軸部50は、第1軸部42が筐体部41の内部に移動した際に解錠位置に移動する。例えば、解錠位置では、第2軸部50の下端は、第1突出部33よりも上方に配置される。これにより、解錠位置では、第2軸部50が移動体30と係り合わないことで、ドア10が解錠される(図4及び図5参照)。
【0072】
図10に示す位置では、第2軸部50の凸部51に設けられたローラ52は、制限壁73の上面に配置される。これにより、制限壁73は、凸部51に設けられたローラ52と接触し、第2軸部50の施錠位置への移動を制限する。
【0073】
本実施形態では、第2突出部34がストライカー72に接触して回転体部70を回転させない限りは、ローラ52が設けられた凸部51は鉛直下方に移動することができない。そのため、ドアの全閉位置においてより確実なドアの施錠が可能となる。加えて、回転体部70が筒状のシャフト71を含んで構成されることで、部品点数を削減し、単純な組み合わせで保持構造を実現できる。加えて、第2軸支持部60だけでなく、回転体部70がストライカー72に加えられる閉保持の荷重を受ける機能を持つ。そのため、強度が必要な要素を削減し、装置全体の軽量化、及び、交換部品点数の低減に寄与する。
【0074】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2は、車両の乗降口9を開閉するドア10と共に乗降口9を開閉する開閉方向に移動する移動体30と、車両の車体に固定される筐体部41と、筐体部41の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部42と、電磁力により第1軸部42を駆動するコイル43と、を備えるアクチュエータ40と、第1軸部42と共に一方向に移動方向に係り合い、第1軸部42が筐体部41の外部に移動した際にドア10の全閉位置において移動体30と係り合ってドア10を施錠する施錠位置と、第1軸部42が筐体部41の内部に移動した際に移動体30と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部50と、車体に固定され、第2軸部50を一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部60と、を備える。第1軸部42と第2軸部50との係合部分の開閉方向における隙間X1A,X1Bは、第2軸部50と第2軸支持部60との開閉方向における隙間X2よりも大きい。
【0075】
この構成によれば、第1軸部42が筐体部41の外部に移動すると、第1軸部42と第2軸部50とが一体となって移動し、第2軸部50が施錠位置に移動する。これにより、ドア10が施錠される。このときに、移動体30からドア10の開閉方向に沿った外力がかかる場合がある。この場合でも、第1軸部42と第2軸部50との係合部分の開閉方向における隙間X1A,X1Bが、第2軸部50と第2軸支持部60との開閉方向における隙間X2よりも大きいため、第2軸部50から第2軸支持部60に外力による荷重が伝達され、第1軸部42には外力による荷重が伝達されない。したがって、アクチュエータ40に負荷がかかることを回避でき、アクチュエータ40全体を交換する事態を回避できる。
例えば、アクチュエータ40が電磁力によりプランジャを移動させるソレノイドである場合は、ソレノイド内部のコイル43や駆動回路等の損傷していない部品を含めたソレノイド全体を交換する事態を回避することができる。
【0076】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、第1軸部42及び第2軸部50の一方には、開閉方向に沿って延びる嵌合穴55が形成される。第1軸部42及び第2軸部50の他方は、嵌合穴55に嵌まるピン部45を備える。嵌合穴55を形成する壁部とピン部45との間の開閉方向における隙間X1A,X1Bは、第2軸部50と第2軸支持部60との開閉方向における隙間X2よりも大きい。
この構成によれば、第1軸部42が筐体部41の外部に移動すると、嵌合穴55を形成する壁部とピン部45とが互いに接触し、第1軸部42と第2軸部50とが一体となって移動する。一方で、移動体30からドア10の開閉方向に沿った外力がかかった場合には、嵌合穴55を形成する壁部とピン部45とが互いに接触するよりも前に、第2軸部50と第2軸支持部60とが互いに接触する。そのため、第2軸部50及び第2軸支持部60に外力による荷重を集中させることができる。
【0077】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、アクチュエータ40は、第1軸部42を筐体部41の外部に向かって押し付ける弾性部44を更に備える。アクチュエータ40は、弾性部44による押し付け力に抗して電磁力により第1軸部42を引き上げることで、第1軸部42に連結された第2軸部50を施錠位置から解錠位置に移動させる。
この構成によれば、弾性部44の押し付け力により、第2軸部50を施錠位置に保持することができる。
【0078】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、一方向と平行な軸を中心として回転可能であり、ドア10の全閉位置において第2軸部50が係り合う位置と異なる位置で移動体30と接触して回転し、電磁力により引き上げられた第2軸部50を解錠位置に保持する回転体部70を更に備える。
この構成によれば、解錠中にアクチュエータ40に電力を供給し続ける必要が無いため、省電力化できる。
【0079】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、第2軸部50は、第2軸部50の径方向に沿って延びる凸部51を更に備える。回転体部70は、一方向と平行な軸に沿って延び、一方向と平行な軸を中心に回転可能であるシャフト71と、シャフト71の径方向に延び、ドア10の全閉位置において移動体30と接触するストライカー72と、シャフト71に形成され、凸部51と接触して第2軸部50が解錠位置から施錠位置に移動することを制限する制限壁73と、を備える。制限壁73は、ストライカー72が移動体30と接触してシャフト71と共に回転することで、凸部51と接触し第2軸部50の施錠位置への移動を制限する制限位置から、第2軸部50の施錠位置への移動を制限しない非制限位置に移動する。
この構成によれば、回転体部70の制限壁73が第2軸部50の凸部51と接触することで、第2軸部50が解錠位置から施錠位置に移動することが制限されるため、解錠中にアクチュエータ40に電力を供給し続ける必要が無い。
【0080】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、回転体部70は、車体に固定され、シャフト71を回転可能に支持するシャフト支持部80A,80Bを更に備える。シャフト支持部80A,80Bとシャフト71との間の隙間S1は、第2軸支持部60と第2軸部50との間の隙間S2よりも大きい。
この構成によれば、第2軸部50及び第2軸支持部60に外力による荷重を集中させることができるため、シャフト71の交換頻度を低減できる。加えて、第2軸部50に対する回転体部70の取付精度を低減できるため、組立コストを低減できる。
【0081】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、車体に固定され、筐体部41、第2軸支持部60及びシャフト支持部80A,80Bを固定する固定板90を更に備える。
この構成によれば、筐体部41、第2軸支持部60及びシャフト支持部80A,80Bが互いに異なる部材に固定される場合と比較して、第1軸部42、第2軸部50及びシャフト71の各々の軸の平行度を保ちやすい。
【0082】
本実施形態に係る車両用ドアのロック装置2では、一方向は、鉛直方向に沿う方向である。
例えば、一方向が水平方向に沿う方向である場合は、重力により第1軸部42が筐体部41に接触することで、筐体部41の内部が摩耗する可能性が高い。これに対し本構成によれば、重力により第1軸部42が筐体部41に接触しないため、筐体部41の内部の摩耗をより防止することができる。
【0083】
本実施形態に係る車両用ドアシステム1は、車両の乗降口9を開閉するためのドア10と、ドア10に固定され、ドア10と共に乗降口9を開閉する開閉方向に移動する移動体30と、車両の車体に固定される筐体部41と、筐体部41の内部と外部との間を一方向に往復移動可能な第1軸部42と、電磁力により第1軸部42を駆動するコイル43と、を備えるアクチュエータ40と、第1軸部42と共に一方向に移動方向に連結され、第1軸部42が筐体部41の外部に移動した際にドア10の全閉位置において移動体30と係り合ってドア10を施錠する施錠位置と、第1軸部42が筐体部41の内部に移動した際に移動体30と係り合わない解錠位置との間を移動する第2軸部50と、車体に固定され、第2軸部50を一方向に沿って移動可能に支持する第2軸支持部60と、を備える。第1軸部42と第2軸部50とは、開閉方向に沿って相対移動可能に連結される。
【0084】
この構成によれば、第1軸部42が筐体部41の外部に移動すると、第1軸部42と第2軸部50とが一体となって移動し、第2軸部50が施錠位置に移動する。これにより、ドア10が施錠される。このときに、移動体30からドア10の開閉方向に沿った外力がかかる場合がある。この場合でも、第1軸部42と第2軸部50とが開閉方向に沿って相対移動可能に連結されるため、第1軸部42には外力による荷重が伝達されない。したがって、アクチュエータ40に負荷がかかることを回避でき、アクチュエータ40全体を交換する事態を回避できる。
【0085】
<変形例>
上述した実施形態では、アクチュエータが電磁力によりプランジャを移動させるソレノイドである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、アクチュエータは、モータを含んで構成されてもよい。例えば、アクチュエータは、モータの回転を一方向への往復移動に変換する変換機構を含んで構成されてもよい。例えば、アクチュエータの構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0086】
上述した実施形態では、第2軸部には、開閉方向に沿って延びる嵌合穴が形成され、第1軸部は、嵌合穴に嵌まるピン部を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1軸部には、開閉方向に沿って延びる嵌合穴が形成され、第2軸部は、嵌合穴に嵌まるピン部を備えてもよい。例えば、第1軸部及び第2軸部の一方には、開閉方向に沿って延びる嵌合穴が形成され、第1軸部及び第2軸部の他方は、嵌合穴に嵌まるピン部を備えてもよい。例えば、嵌合穴の形成態様、及び、ピン部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0087】
上述した実施形態では、嵌合穴を形成する壁部とピン部との間の開閉方向における隙間は、第2軸部と第2軸支持部との開閉方向における隙間よりも大きい例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、嵌合穴を形成する壁部とピン部との間の開閉方向における隙間は、第2軸部と第2軸支持部との開閉方向における隙間以下の大きさでもよい。例えば、嵌合穴を形成する壁部とピン部との間の開閉方向における隙間と、第2軸部と第2軸支持部との開閉方向における隙間との大小関係は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0088】
上述した実施形態では、アクチュエータは、第1軸部を筐体部の外部に向かって押し付ける弾性部を更に備え、アクチュエータは、弾性部による押し付け力に抗して電磁力により第1軸部を引き上げることで、第1軸部に連結された第2軸部を施錠位置から解錠位置に移動させる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、アクチュエータは、弾性部を備えなくてもよい。例えば、アクチュエータは、第1軸部を、筐体部の内部と外部との間を一方向に往復移動可能に構成されていればよい。例えば、弾性部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0089】
上述した実施形態では、一方向と平行な軸を中心として回転可能であり、ドアの全閉位置において第2軸部が係り合う位置と異なる位置で移動体と接触して回転し、電磁力により引き上げられた第2軸部を解錠位置に保持する回転体部を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、車両用ドアのロック装置は、回転体部を備えなくてもよい。例えば、解錠中にアクチュエータに電力を供給し続け、電磁力により第2軸部を解錠位置に保持してもよい。例えば、回転体部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0090】
上述した実施形態では、第2軸部は、第2軸部の径方向に沿って延びる凸部を更に備え、回転体部は、一方向と平行な軸に沿って延び、一方向と平行な軸を中心に回転可能であるシャフトと、シャフトの径方向に延び、ドアの全閉位置において移動体と接触するストライカーと、シャフトに形成され、凸部と接触して第2軸部が解錠位置から施錠位置に移動することを制限する制限壁と、を備え、制限壁は、ストライカーが移動体と接触してシャフトと共に回転することで、凸部と接触し第2軸部の施錠位置への移動を制限する制限位置から、第2軸部の施錠位置への移動を制限しない非制限位置に移動する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2軸部は、凸部を備えなくてもよい。例えば、回転体部は、制限壁を備えなくてもよい。例えば、回転体部は、回転体部の径方向に沿って延びる凸部を備え、第2軸部は、回転体部の凸部と接触して第2軸部が解錠位置から施錠位置に移動することを制限する制限壁を備えてもよい。例えば、第2軸部と回転体部との間において、凸部と制限壁との接触関係(凹凸関係)は上記の逆でもよい。例えば、凸部及び制限壁の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0091】
上述した実施形態では、回転体部は、車体に固定され、シャフトを回転可能に支持するシャフト支持部を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、回転体部は、シャフト支持部を備えなくてもよい。例えば、回転体部は、シャフトが車体に固定され、ストライカーがシャフトを中心に回転可能に構成されてもよい。例えば、シャフト支持部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0092】
上述した実施形態では、シャフト支持部とシャフトとの間の隙間は、第2軸支持部と第2軸部との間の隙間よりも大きい例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シャフト支持部とシャフトとの間の隙間は、第2軸支持部と第2軸部との間の隙間以下の大きさでもよい。例えば、シャフト支持部とシャフトとの間の隙間と、第2軸支持部と第2軸部との間の隙間との大小関係は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0093】
上述した実施形態では、車体に固定され、筐体部、第2軸支持部及びシャフト支持部を固定する固定板を更に備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、筐体部、第2軸支持部及びシャフト支持部は、互いに異なる部材に固定されてもよい。例えば、筐体部、第2軸支持部及びシャフト支持部の各々が固定される態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0094】
上述した実施形態では、一方向は、鉛直方向に沿う方向である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、一方向は、水平方向に沿う方向であってもよい。例えば、一方向は、鉛直方向及び水平方向の各々に交差する方向であってもよい。例えば、一方向の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0095】
<他の変形例>
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0096】
上述した実施形態では、移動体は、ドアリーフの上端部に連結されると共にレールに沿って動くブラケットと、ブラケットに対してX方向の位置を調整可能に取り付けられた調整機構と、調整機構において上方に突出する部分に連結されると共にY方向に沿って延びる第1突出部と、調整機構において第1突出部が配置される位置とは異なる部位に連結されると共にZ方向に沿って延びる部分を有する第2突出部と、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、移動体は、ブラケット又は調整機構を備えなくてもよい。例えば、車両用ドアのロック装置が回転体部を備えない場合は、移動体は第2突出部を備えなくてもよい。例えば、移動体は、ラッチ穴が形成されたハンガを含んで構成されてもよい。例えば、移動体の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0097】
上述した実施形態では、回転体部は、シャフトの径方向に延び、ドアの全閉位置において移動体と接触するストライカーを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、回転体部は、ストライカーに替えて、カムを備えて構成されてもよい。例えば、回転体部の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0098】
上述した実施形態では、車両用ドアシステムが鉄道車両の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、車両用ドアシステムは、鉄道車両以外の車両に設けられてもよい。例えば、車両用ドアシステムは、片引きのドアを備えていてもよい。
【0099】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0100】
1…車両用ドアシステム、2…車両用ドアのロック装置、9…乗降口、10…ドア、30…移動体、40…アクチュエータ、41…筐体部、42…第1軸部、43…コイル、44…弾性部、45…ピン部、50…第2軸部、51…凸部、55…嵌合穴、第2軸支持部、70…回転体部、71…シャフト、72…ストライカー、73…制限壁、80A,80B…シャフト支持部、90…固定板、X1A,X1B…嵌合穴を形成する壁部とピン部との間の開閉方向における隙間(第1軸部と第2軸部との係合部分の開閉方向における隙間)、X2…第2軸部と第2軸支持部との開閉方向における隙間、S1…シャフト支持部とシャフトとの間の隙間、S2…第2軸支持部と第2軸部との間の隙間
図1
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