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特開2024-174587温度制御装置及び温度制御機能付き椅子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174587
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】温度制御装置及び温度制御機能付き椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/74 20060101AFI20241210BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20241210BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20241210BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A47C7/74 A
A47C7/02
A47C7/40
A47C7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092484
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 隆行
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JD00
3B084JE02
(57)【要約】
【課題】外部の電源を使用せずに椅子の温度制御をすること。
【解決手段】実施形態の温度制御装置は、発電機と、蓄電池と、熱電素子と、を持つ。発電機は、可動部を有する椅子に備えられ、前記可動部の動きによって生じた運動エネルギーを電力に変換する。蓄電池は、前記発電機によって発電された電力を蓄電する。熱電素子は、前記蓄電池に蓄電された電力によって前記椅子を冷却又は加熱する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を有する椅子に備えられ、前記可動部の動きによって生じた運動エネルギーを電力に変換する発電機と、
前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、
前記蓄電池に蓄電された電力によって前記椅子を冷却又は加熱する熱電素子と、
を備える温度制御装置。
【請求項2】
前記可動部は、着座者の動作に伴って働く力によって動かされる
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記可動部は、背もたれ、キャスター又は座面を回転させる回転機構である
請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記熱電素子は、ペルチェ素子であり、
前記ペルチェ素子に流れる電流の極性を変えることによって前記冷却と前記加熱とを切り替える制御回路
をさらに備える請求項1から3のうちいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項5】
可動部と、
前記可動部の動きに応じて発電する発電機と、
前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、
前記蓄電池に蓄電された電力によって背もたれ又は座面の少なくとも一方を冷却又は加熱する熱電素子と、
を備える温度制御機能付き椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、温度制御装置及び温度制御機能付き椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、より快適な座り心地を実現するため、背もたれや座面を冷却したり温めたりすることができる椅子がある。このような温度制御機能を有する椅子には、例えば、冷風や温風を吹き出すための温冷感デバイス、ファン、及びダクト等が備えられている。しかしながら、このような温冷感デバイスやファンを動作させるためには、外部の電源が必要であった。そのため、従来の温度制御機能を有する椅子は、コンセントに接続しながら使用したり、事前にバッテリーを充電したりする必要があったことから、利便性が高くないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/116597号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、外部の電源を使用せずに椅子の温度制御を行うことができる温度制御装置及び温度制御機能付き椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の温度制御装置は、発電機と、蓄電池と、熱電素子と、を持つ。発電機は、可動部を有する椅子に備えられ、前記可動部の動きによって生じた運動エネルギーを電力に変換する。蓄電池は、前記発電機によって発電された電力を蓄電する。熱電素子は、前記蓄電池に蓄電された電力によって前記椅子を冷却又は加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の温度制御機能付き椅子1の全体構成を示す外観図。
図2】実施形態の温度制御機能付き椅子1のリクライニング機能を示す図。
図3】実施形態の温度制御機能付き椅子1のリクライニング機能を示す図。
図4】実施形態の温度制御機能付き椅子1の温冷感デバイス22の構成を示す図。
図5】背もたれ部12の冷却時における実施形態の温度制御機能付き椅子1の状態を示す図。
図6】実施形態の温度制御機能付き椅子1の温冷感デバイス22の構成を示す図。
図7】背もたれ部12の加熱時における実施形態の温度制御機能付き椅子1の状態を示す図。
図8】実施形態の温度制御機能付き椅子1の温度制御装置20の構成を示すブロック図。
図9】実施形態の温度制御機能付き椅子1の発電用モータ211による発電の構造を示す図。
図10】実施形態の温度制御機能付き椅子1の温度制御装置20の冷却及び加熱に係る動作を示すフローチャート。
図11】実施形態の温度制御機能付き椅子1の温度制御装置20の発電及び蓄電に係る動作を示すフローチャート。
図12】実施形態の変形例の温度制御機能付き椅子の構成を示す外観図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の温度制御装置及び温度制御機能付き椅子を、図面を参照して説明する。
【0008】
実施形態の温度制御機能付き椅子1の全体構成について説明する。図1は、実施形態の温度制御機能付き椅子1の全体構成を示す外観図である。図1に示されるように、温度制御機能付き椅子1は、座面部11と、背もたれ部12と、可動部13と、脚部14とを備える。
【0009】
座面部11と背もたれ部12とは、可動部13を介して結合している。可動部13は、例えば床と平行な向きに配置された回転軸(不図示)を備えている。可動部13の回転軸が回転することによって、座面部11の座面に対する背もたれ部12の傾斜角度が変化する。可動部13は、座面部11の座面に対して背もたれ部12を回転させる回転機構である。このように、温度制御機能付き椅子1が可動部13を備えていることにより、リクライニング機能が実現される。
【0010】
図2及び図3は、実施形態の温度制御機能付き椅子1のリクライニング機能を示す図である。図2は、背もたれ部12が最も起こされた状態(以下、「基本姿勢状態」という。)であるときの温度制御機能付き椅子1の側面図である。一方、図3は、背もたれ部12が後方に倒された状態であるときの温度制御機能付き椅子1の側面図である。例えば、温度制御機能付き椅子1の着座者が背もたれ部12に背中を付けて後方に体重をかけることで、可動部13の回転軸が回転し、背もたれ部12が後方に倒れる。
【0011】
また、例えば、可動部13は、温度制御機能付き椅子1の着座者が後方に体重をかけることを中止すると、背もたれ部12を引き起こして自動的に基本姿勢状態に戻すように構成されている。例えば、着座者は、座面部11の底面に取り付けられたレバー(不図示)を操作することによって、リクライニング機能を有効又は無効に切り替えることができる。例えば、着座者は、温度制御機能付き椅子1が基本姿勢状態であるときにレバーを引くことによってリクライニング機能を有効にすることができる。また、例えば、着座者は、温度制御機能付き椅子1が基本姿勢状態であるときにレバーを押し込むことによってリクライニング機能を無効にすることができる。具体的には、レバーが押し込まれると、着座者が背もたれ部12に背中を付けて後方に体重をかけたとしても、可動部13の回転軸は回転不可能な状態になる。これにより、座面部11の座面に対する背もたれ部12の傾斜角度は固定され、温度制御機能付き椅子1は、基本姿勢状態を維持する状態となる。
【0012】
なお、温度制御機能付き椅子1は、座面部11の傾斜角度を変化させることができるティルト機能を有していてもよい。
【0013】
また、図1に示されるように、脚部14は、支柱141と、チェアベース142と、複数のキャスター143とを備える。
【0014】
支柱141は、床に対して垂直な向きで、チェアベース142の中央部に固定して取り付けられる。支柱141の上部先端には座面部11が取り付けられ、支柱141は、座面部11及び背もたれ部12を下から支える。例えば、座面部11は、支柱141に対して回転可能に取り付けられる。これにより、着座者は、着座しながら自由に体の向きを変えることができる。なお、支柱141には、シリンダーが備えられていてもよい。これにより、着座者は、床から座面部11までの高さを自由に変えることができる。
【0015】
チェアベース142は、例えば支柱141が取り付けられる中央部から複数のスポークが放射状に伸びた形状の、台座となる部材である。例えば、チェアベース142の中央部から5本のスポークが放射状に伸びている。各スポークの先端にはキャスター143がそれぞれ備え付けられている。これにより、ユーザは、着座した状態であっても、あるいは、着座していない状態であっても、温度制御機能付き椅子1を容易に移動させることができる。
【0016】
キャスター143は、脚部14のうち床と接する部分となる部材であり、小さな車輪を備えている。キャスター143が備えられていることにより、ユーザは、温度制御機能付き椅子1の位置や向きを自在に変えることができる。例えば、キャスター143は、車輪部と旋回部とを有する。車輪部には、車輪が例えば床に対して垂直な向きで備えられている。旋回部は、チェアベース142の各スポークの先端に取り付けられる。旋回部には、例えばベアリングが内蔵されており、床と平行な面で車輪部が自在に回転できるように、当該車輪部が取り付けられている。なお、脚部14は、キャスター143を備えていなくてもよい。
【0017】
また、図1に示されるように、温度制御機能付き椅子1は、温度制御部21と、温冷感デバイス22と、ファン23と、温度センサ24と、着座センサ25と、切替スイッチ26とを更に備える。これらの機能部は、互いに連動して動作することによって温度制御装置20として機能する。
【0018】
温度制御部21は、主に、可動部13の回転によって生じた運動エネルギーを電力に変換する発電機能と、発電した電力を蓄電する蓄電機能と、蓄電した電力を用いて温冷感デバイス22の冷却及び加熱を制御する温度制御機能とを有している。温度制御部21は、例えば、座面部11の底面に設置される。なお、温度制御部21は、座面部11に内蔵されていてもよいし、温度制御機能付き椅子1の任意の箇所に設置されていてもよい。温度制御部21の構成については、後に詳しく説明する。
【0019】
温冷感デバイス22は、温度制御部21による制御の下で、背もたれ部12の冷却及び加熱の動作を行う。温冷感デバイス22は、例えば、背もたれ部12の背面側に備えられる。なお、温冷感デバイス22は、背もたれ部12の内部に備えられてもよい。なお、温冷感デバイス22は、着座者が火傷又は低温火傷等をすることが無いように、着座者に直接触れない箇所に設置されることが望ましい。
【0020】
図4は、実施形態の温度制御機能付き椅子1の温冷感デバイス22の構成を示す図である。図4には、背もたれ部12を冷却する際の温冷感デバイス22の状態が表されている。図4に示されるように、温冷感デバイス22は、半導体素子210と、当該半導体素子210を挟み込むようにして配置される2枚のセラミック基板とを備える。
【0021】
実施形態の半導体素子210は、例えばペルチェ素子等の熱電素子である。例えば、ペルチェ素子に直流電流が流れることによって、当該ペルチェ素子の両面に温度差が発生する。低温側で吸熱、及び高温側で発熱が生じ、ペルチェ素子の低温側から高温側へ熱が押し上げられる。すなわち、ペルチェ素子は、ヒートポンプの役目を担う。与える電流の極性を変えるだけでポンピングする熱の方向を変えることができるとともに、与える電流の大きさを変えることでポンピングされる熱量の大きさを変えることができる。これをペルチェ効果といい、ペルチェ素子を用いることで、冷却、加熱、及び温度制御を容易に行うことができる。
【0022】
なお、例えば電流の極性の切り替え等によって冷却と加熱との切り替えが可能であるならば、温冷感デバイス22は、ペルチェ素子等の半導体素子210以外の熱電素子であってもよい。
【0023】
ペルチェ素子である半導体素子210において所定の向きで電流が流されることによって、当該温冷感デバイス22のうち、背もたれ部12側(すなわち、着座者側)では吸熱が行われる。一方、背もたれ部12の背面側では放熱が行われる。
【0024】
図5は、背もたれ部12の冷却時における実施形態の温度制御機能付き椅子1の状態を示す図である。図5に示されるように、温度制御部21による制御の下で、温冷感デバイス22の背もたれ部12側(すなわち、着座者側)の面において吸熱が行われることによって、背もたれ部12が冷却される。これにより、着座者は背中の部分が涼しく感じられるようになる。
【0025】
図6は、図4と同様に、実施形態の温度制御機能付き椅子1の温冷感デバイス22の構成を示す図である。図6には、背もたれ部12を加熱する際の温冷感デバイス22の状態が表されている。ペルチェ素子である半導体素子210において、図4に示される冷却時とは逆の向きで電流が流されることによって、当該温冷感デバイス22のうち、背もたれ部12側(すなわち、着座者側)では放熱が行われる。一方、背もたれ部12の背面側では吸熱が行われる。
【0026】
図7は、背もたれ部12の加熱時における実施形態の温度制御機能付き椅子1の状態を示す図である。図7に示されるように、温度制御部21による制御の下で、温冷感デバイス22の背もたれ部12側(すなわち、着座者側)の面において放熱が行われることによって、背もたれ部12が加熱される。これにより、着座者は背中の部分が暖かく感じられるようになる。
【0027】
また、図7に示されるように、背もたれ部12の背面側にはファン23が備えられる。例えば、ファン23は、送風により温冷感デバイス22の背面側(背もたれ部12とは逆側)を強制空冷する空冷ファンである。ファン23が回転動作することによって生成された風は温冷感デバイス22の背面側に当たるように向きを固定して、ファン23は設置される。
【0028】
背もたれ部12を加熱する場合には、温度制御部21はファン23を回転させる。これにより、ファン23によって生み出された風が温冷感デバイス22の背面側(吸熱面側)をさらに冷却する。このように、ファン23が温冷感デバイス22の背面側の吸熱を促進することにより、前面側(背もたれ部12側)の放熱も促進される。なお、背もたれ部12を冷却する場合には、温度制御部21はファン23を回転させない。
【0029】
温度センサ24は、温冷感デバイス22の前面側(背もたれ部12側)の温度を計測するセンサである。温度制御部21は、温度センサ24によって計測された温度に基づいて、温冷感デバイス22への通電のオン(ON)とオフ(OFF)とを切り替える。
【0030】
着座センサ25は、座面部11にユーザが着座しているか否かを検知するセンサである。例えば、着座センサ25は、荷重により圧力を受けることによって着座を検知する感圧センサである。なお、着座センサ25の代わりに、荷重で座面部11が沈み込むことによりスイッチがオン(ON)に切り替わる着座スイッチが用いられてもよい。温度制御部21は、着座センサ25によって着座が検知されている間は温冷感デバイス22への通電をオン(ON)の状態に切り替え、着座が検知されていない間は温冷感デバイス22への通電をオフ(OFF)の状態に切り替える。
【0031】
切替スイッチ26は、背もたれ部12を冷却するモードと加熱するモードとを切り替えるためにユーザが用いるスイッチである。温度制御部21は、切替スイッチ26によって設定されたモードに従って温冷感デバイス22に流される電流の向きを決定する。
【0032】
以下、温度制御部21の構成について更に詳しく説明する。図8は、実施形態の温度制御機能付き椅子1の温度制御装置20の構成を示すブロック図である。図8に示されるように、温度制御装置20は、温度制御部21と、温冷感デバイス22と、ファン23と、温度センサ24と、着座センサ25と、切替スイッチ26とを更に備える。
【0033】
温度制御部21は、背もたれ部12に備えられた温冷感デバイス22の冷却及び加熱を制御する。また、温度制御部21は、発電機能及び蓄電機能を有する。温度制御部21は、可動部13の回転軸の回転を利用して発電し、蓄電することができる。より具体的には、温度制御部21は、可動部13の回転軸(不図示)の回転動作のエネルギーを電力に変換して、蓄電する。このように、温度制御部21は、自ら発電して蓄電した電力を用いるため、外部の電源を使用せずに温冷感デバイス22の冷却及び加熱を行うことができる。温度制御部21は、例えば図1に示されるように、座面部11の底面に取り付けられる。なお、温度制御部21は、可動部13の回転軸の回転による運動エネルギーを利用して発電するように構成可能であるならば、任意の箇所に取り付け可能である。
【0034】
図8に示されるように、温度制御部21は、発電用モータ211と、清流回路212と、電圧レギュレータ回路213と、バッテリー214と、制御回路215とを備える。
【0035】
発電用モータ211は、可動部13の回転軸の回転による運動エネルギーを電力に変換する交流発電機である。図9は、実施形態の温度制御機能付き椅子1の発電用モータ211による発電の構造を示す図である。図9に示されるように、可動部13の外周部と発電用モータ211の回転軸rにはベルト220が架けられている。可動部13が回転すると、これに連動してベルト220が回転する。そして、ベルト220が回転すると、これに連動して発電用モータ211の回転軸rが回転する仕組みとなっている。回転軸rが回転すると、発電用モータ211に内蔵されたコイル(不図示)に電流が流れる。これにより、発電がなされる。
【0036】
前述の通り、可動部13は、温度制御機能付き椅子1の着座者が背もたれ部12に対して掛ける荷重に応じて回転する機構を有している。よって、実施形態における温度制御機能付き椅子1は、着座者がリクライニング機能を使用して背もたれ部12の傾斜角度を変化させる度に発電が行われる機構を有している。
【0037】
清流回路212は、発電用モータ211によって発電された交流電流を直流電流に変換する回路である。清流回路212によって変換された直流電流によってバッテリー214に蓄電がなされる。バッテリー214は、繰り返し充放電をすることができる充電式の蓄電池である。
【0038】
制御回路215は、温度制御装置20の各機能部の動作を制御する回路である。例えば、制御回路215は、着座センサ25から検知結果を示す信号を取得する。制御回路215は、取得した信号が着座中であることを示す信号である場合、温冷感デバイス22を冷却又は加熱させる制御を行う。また、制御回路215は、切替スイッチ26から設定モードを示す信号を取得する。制御回路215は、取得した信号が冷却のモードに設定中であることを示す信号である場合には、温冷感デバイス22を冷却させる制御を行う。また、制御回路215は、取得した信号が加熱のモードに設定中であることを示す信号である場合には、温冷感デバイス22を加熱させる制御を行う。
【0039】
また、制御回路215は、バッテリー214の蓄電状態を検知する。制御回路215は、検知されたバッテリー214の蓄電状態が満充電の状態である場合には、過充電等を避けるため、発電用モータ211による発電の動作を停止させる。一方、制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が満充電の状態ではない場合には、発電用モータ211による発電の動作を実行させる。また、制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値以上である場合には、温冷感デバイス22の冷却及び加熱を行うように制御する。一方、制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値に満たない場合には、温冷感デバイス22の冷却及び加熱を行わない(又は、停止させる)ように制御する。
【0040】
なお、制御回路215は、ユーザによる温度設定を受け付ける構成を有していてもよい。この場合、温度制御装置20は、例えば入力ボタン等の、ユーザによる温度設定の入力を受け付ける入力インターフェース(不図示)を備える。この場合、制御回路215は、温度センサ24によって計測された温冷感デバイス22の温度と、ユーザによって指定された設定温度とを比較する。
【0041】
例えば、背もたれ部12を冷却するモードに設定されており、温冷感デバイス22の温度がユーザによる設定温度を超えている場合には、制御回路215は、温冷感デバイス22を冷却するように制御する。一方、背もたれ部12を冷却するモードに設定されており、温冷感デバイス22の温度がユーザによる設定温度以下である場合には、制御回路215は、温冷感デバイス22の冷却を実行しないように制御する。
【0042】
また、例えば、背もたれ部12を加熱するモードに設定されており、温冷感デバイス22の温度がユーザによる設定温度に満たない場合には、制御回路215は、温冷感デバイス22を加熱するように制御する。一方、背もたれ部12を加熱するモードに設定されており、温冷感デバイス22の温度がユーザによる設定温度以上である場合には、制御回路215は、温冷感デバイス22の加熱を実行しないように制御する。
【0043】
なお、制御回路215は、切替スイッチ26によって設定されたモード(冷却モード又は加熱モード)に関わらず、ユーザによる設定温度に基づいて自動的に温冷感デバイス22の冷却及び加熱の制御を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、制御回路215は、温冷感デバイス22の温度がユーザによる設定温度を超えている場合には温冷感デバイス22を冷却するように制御してもよい。また、例えば、制御回路215は、温冷感デバイス22の温度がユーザによる設定温度に満たない場合には温冷感デバイス22を加熱するように制御してもよい。また、制御回路215は、温冷感デバイス22の温度とユーザによる設定温度とが一致する場合には温冷感デバイス22の冷却及び加熱を実行しないように制御してもよい。
【0044】
また、制御回路215は、温冷感デバイス22を加熱する制御を行う場合、ファン23を回転させるように制御する。一方、制御回路215は、温冷感デバイス22を加熱する制御を行わない場合(温冷感デバイス22を冷却する制御を行う場合も含む)、ファン23を回転させないように制御する。
【0045】
以下、実施形態の温度制御装置20の冷却及び加熱に係る動作の一例について説明する。図10は、実施形態の温度制御機能付き椅子1の温度制御装置20の冷却及び加熱に係る動作を示すフローチャートである。図10に示される温度制御装置20の動作は、例えば、温度制御装置20の電源(不図示)がオフ(OFF)にオン(ON)に切り替えられた際に開始する。
【0046】
温度制御部21の制御回路215は、座面部11にユーザが着座しているか否かについての検知結果を示す信号を、着座センサ25から定期的に取得する。制御回路215は、座面部11にユーザが着座していないことを示す信号を取得している間は待機する。制御回路215は、座面部11にユーザが着座していること示す信号を取得した場合(ACT001・YES)、発電用モータ211等を制御して発電機能及び蓄電機能をオン(ON)の状態にする(ACT002)。なお、着座センサ25の代わりに着座スイッチが用いられる場合には、制御回路215は、着座スイッチから出力される信号を取得した場合に、発電機能及び蓄電機能をオン(ON)の状態にする。この場合、当該信号は、荷重で座面部11が沈み込むことで着座スイッチが押下されて着座スイッチがオン(ON)の状態となった場合に、当該着座スイッチから出力される。
【0047】
次に、制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量を検知する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値未満である場合(ACT003・NO)、当該蓄電残量が所定の閾値以上になるまで待機する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値以上である場合(ACT003・YES)、ユーザによって指定された設定温度を示す情報を取得する(ACT004)。設定温度を示す情報は、例えば入力ボタン等の、ユーザによる温度設定の入力を受け付ける入力インターフェース(不図示)によって入力された情報である。
【0048】
次に、制御回路215は、切替スイッチ26によって設定された現在のモードが、冷却モードであるか、又は加熱モードであるかを検知する。
【0049】
現在のモードが冷却モードである場合(ACT005・YES)、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側(背もたれ部12側)の温度(以下、「デバイス温度」ともいう。)の計測結果を示す信号を温度センサ24から取得する(ACT006)。次に、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側が冷却される電流の向きで、バッテリー214から温冷感デバイス22へ電流を流れさせるように制御する。これにより、温冷感デバイス22の前面側の冷却が開始される(ACT007)。
【0050】
次に、制御回路215は、ユーザによって指定された設定温度と、温度センサ24から取得したデバイス温度とを比較する(ACT008)。
【0051】
デバイス温度が設定温度以下である場合(ACT008・NO)、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側の冷却を一時中断させるように制御する(ACT009)。そして、制御回路215は、デバイス温度が設定温度を超えるまで待機する。制御回路215は、デバイス温度が設定温度を超えると、温冷感デバイス22の前面側の冷却を再開させる。以降、ACT008の処理に戻る。
【0052】
デバイス温度が設定温度を超えている場合(ACT008・YES)、制御回路215は、座面部11にユーザが着座しているか否かについての検知結果を示す信号を、着座センサ25から取得する。制御回路215は、座面部11にユーザが着座していないことを示す信号を取得した場合(ACT010・NO)、バッテリー214から温冷感デバイス22へ流れる電流を停止させるように制御する。これにより、温冷感デバイス22の前面側の冷却が停止される(ACT013)。以上で、図10のフローチャートが示す温度制御装置20の動作が終了する。
【0053】
制御回路215は、座面部11にユーザが着座していることを示す信号を取得した場合(ACT010・YES)、バッテリー214の蓄電残量を検知する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値未満である場合(ACT011・NO)、温冷感デバイス22の前面側の冷却を一時中断させるように制御する(ACT009)。そして、制御回路215は、蓄電残量が所定の閾値以上になるまで待機する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値以上になると、温冷感デバイス22の前面側の冷却を再開させる。以降、ACT008の処理に戻る。
【0054】
制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値以上である場合(ACT011・YES)、温冷感デバイス22の前面側の冷却を停止させる指示が入力されたか否かを検出する。当該指示は、例えば入力ボタン等の、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェース(不図示)によって入力される。
【0055】
制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側の冷却を停止させる指示が入力されていない場合(ACT112・NO)、当該冷却の制御を継続する。以降、ACT008の処理に戻る。一方、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側の冷却を停止させる指示が入力されている場合(ACT112・YES)、バッテリー214から温冷感デバイス22へ流れる電流を停止させるように制御する。これにより、温冷感デバイス22の前面側の冷却が停止される(ACT013)。以上で、図10のフローチャートが示す温度制御装置20の動作が終了する。
【0056】
現在のモードが加熱モードである場合(ACT005・NO)、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側(背もたれ部12側)の温度(デバイス温度)の計測結果を示す信号を温度センサ24から取得する(ACT014)。次に、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側が加熱される電流の向きで、バッテリー214から温冷感デバイス22へ電流を流れさせるように制御する。これにより、温冷感デバイス22の前面側の加熱が開始される。また、制御回路215は、ファン23の回転動作をオン(ON)にする制御を行い、温冷感デバイス22の背面側の冷却を促進させる(ACT015)。
【0057】
次に、制御回路215は、ユーザによって指定された設定温度と、温度センサ24から取得したデバイス温度とを比較する(ACT016)。
【0058】
デバイス温度が設定温度以上である場合(ACT016・NO)、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側の加熱を一時中断させるように制御する(ACT017)。そして、制御回路215は、デバイス温度が設定温度未満になるまで待機する。制御回路215は、デバイス温度が設定温度未満になると、温冷感デバイス22の前面側の加熱を再開させる。以降、ACT016の処理に戻る。
【0059】
デバイス温度が設定温度未満である場合(ACT016・YES)、制御回路215は、座面部11にユーザが着座しているか否かについての検知結果を示す信号を、着座センサ25から取得する。制御回路215は、座面部11にユーザが着座していないことを示す信号を取得した場合(ACT018・NO)、バッテリー214から温冷感デバイス22へ流れる電流を停止させるように制御する。これにより、温冷感デバイス22の前面側の加熱が停止される。また、制御回路215は、ファン23の回転動作をオフ(OFF)にする制御を行う(ACT021)。以上で、図10のフローチャートが示す温度制御装置20の動作が終了する。
【0060】
制御回路215は、座面部11にユーザが着座していることを示す信号を取得した場合(ACT018・YES)、バッテリー214の蓄電残量を検知する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値未満である場合(ACT019・NO)、温冷感デバイス22の前面側の加熱を一時中断させるように制御する(ACT017)。そして、制御回路215は、蓄電残量が所定の閾値以上になるまで待機する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値以上になると、温冷感デバイス22の前面側の加熱を再開させる。以降、ACT016の処理に戻る。
【0061】
制御回路215は、バッテリー214の蓄電残量が所定の閾値以上である場合(ACT019・YES)、温冷感デバイス22の前面側の加熱を停止させる指示が入力されたか否かを検出する。当該指示は、例えば入力ボタン等の、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェース(不図示)によって入力される。
【0062】
制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側の加熱を停止させる指示が入力されていない場合(ACT020・NO)、当該冷却の制御を継続する。以降、ACT016の処理に戻る。一方、制御回路215は、温冷感デバイス22の前面側の加熱を停止させる指示が入力されている場合(ACT020・YES)、バッテリー214から温冷感デバイス22へ流れる電流を停止させるように制御する。これにより、温冷感デバイス22の前面側の冷却が停止される。また、制御回路215は、ファン23の回転動作をオフ(OFF)にする制御を行う(ACT021)。以上で、図10のフローチャートが示す温度制御装置20の動作が終了する。
【0063】
以下、実施形態の温度制御装置20の発電及び蓄電に係る動作の一例について説明する。図11は、実施形態の温度制御機能付き椅子1の温度制御装置20の発電及び蓄電に係る動作を示すフローチャートである。図11に示される温度制御装置20の動作は、図10のフローチャートのACT002の処理により、制御回路215が発電用モータ211等を制御して発電機能及び蓄電機能をオン(ON)の状態にした際に開始される。
【0064】
制御回路215は、バッテリー214の蓄電状態を検知する。検知されたバッテリー214の蓄電状態が満充電の状態である場合(ACT101・YES)、制御回路215は、発電用モータ211による発電の動作を一時中断させる(ACT102)。そして、制御回路215は、蓄電状態が満充電の状態ではなくなるまで待機する。制御回路215は、バッテリー214の蓄電状態が満充電の状態ではなくなった場合、発電用モータ211による発電の動作を再開させる。以降、ACT101の処理に戻る。
【0065】
検知されたバッテリー214の蓄電状態が満充電の状態ではない場合(ACT101・NO)、制御回路215は、座面部11にユーザが着座しているか否かについての検知結果を示す信号を、着座センサ25から取得する。制御回路215は、座面部11にユーザが着座していることを示す信号を取得した場合(ACT103・YES)、発電機能及び蓄電機能をオン(ON)の状態のまま維持する。以降、ACT101の処理に戻る。
【0066】
制御回路215は、座面部11にユーザが着座していないことを示す信号を取得した場合(ACT103・NO)、発電用モータ211等を制御して発電機能及び蓄電機能をオフ(OFF)の状態にするように制御する(ACT104)。以上で、図11のフローチャートが示す温度制御装置20の動作が終了する。
【0067】
以上説明したように、実施形態の温度制御機能付き椅子1は、可動部13と、当該可動部13の動きに応じて発電する発電用モータ211と、当該発電用モータ211によって生成された電力を蓄電するバッテリー214とを備える。また、温度制御機能付き椅子1は、バッテリー214に蓄電された電力を用いて背もたれ部12又は座面部11を冷却又は加熱する温冷感デバイス22と、バッテリー214に蓄電された電力を用いて温冷感デバイス22の背面を冷却するファン23とを備える。このように、実施形態の温度制御機能付き椅子1は、発電機能及び蓄電機能を有しているため、外部の電源を使用せずに自給自足のエネルギーで椅子の温度制御を行うことができる。
【0068】
また、実施形態の温度制御機能付き椅子1の可動部13は、例えばリクライニング時の動作等、着座者が普段から自然に行っている動作に応じて回転する回転機構である。したがって、着座者は、発電するために特別な動作を意識的に行う必要がない。これにより、実施形態の温度制御装置20は、着座者に負担をかけることなく発電を行うことができる。
【0069】
また、実施形態の温度制御装置20の温冷感デバイス22は、流される電流の極性を逆転することによって冷却と加熱とが切り替わるペルチェ素子を備えている。そのため、実施形態の温度制御装置20は、椅子の冷却と加熱とを容易に切り替えて温度制御を行うことができる。また、ペルチェ素子は、冷却及び加熱の双方を1枚で行うことができる。そのため、温冷感デバイス22の大きさをより小さくしたり、厚さを薄くしたりすることが可能になるとともに、当該温冷感デバイス22の個数をより少なくすることが可能になる。これにより、温冷感デバイス22の設置スペースの削減、及び装置コストの削減を図ることが可能になる。
【0070】
以下、実施形態の変形例について説明する。上記の実施形態の温度制御機能付き椅子1は、回転軸を持つ可動部13を備え、座面部11の座面に対する背もたれ部12の傾斜角度を変化させるリクライニング機能を有する構成であった。これにより、着座者による背もたれ部12への荷重の変化に応じて可動部13の回転軸が回転する。そして、上記の実施形態の温度制御装置20は、可動部13の回転軸の回転によって生じた運動エネルギーを電力に変換する発電機能を有する構成であった。但し、発電の方法は、このような方法に限られるものではない。
【0071】
例えば発電の方法は、着座者の動作に応じて動く他の可動部の動きによって生じた運動エネルギーを電力に変換する方法であってもよい。図12は、実施形態の変形例の温度制御機能付き椅子の構成を示す外観図である。図12に示されるように、実施形態の変形例の温度制御機能付き椅子の脚部14は、支柱141と、チェアベース142と、複数のキャスター143とを備える。
【0072】
実施形態の変形例の温度制御機能付き椅子は、各キャスター143の回転軸に対して発電用モータ(不図示)が取り付けられている構成である。発電用モータの回転軸は、キャスター143の回転軸と連動して回転する。すなわち、実施形態の変形例の温度制御装置は、可動部であるキャスター143の回転軸の回転によって生じた運動エネルギーを電力に変換する発電機能を有する。この場合、可動部は、チェアベース142に対してキャスター143の車輪を回転させる回転機構である。
【0073】
これにより、着座者が温度制御機能付き椅子を移動させる動作を行うと、キャスター143の回転軸が回転し、発電用モータによる発電が行われる。このように、実施形態の変形例の温度制御機能付き椅子は、前述の実施形態の温度制御機能付き椅子1と同様に、着座者の動作に伴って動かされる可動部の動きによって生じた運動エネルギーを電力に変換する発電機能を有する。
【0074】
なお、可動部は、座面部11を回転させる回転軸を備える支柱141であってもよい。この場合、発電用モータの回転軸は、支柱141の回転軸と連動して回転する。すなわち、この場合の温度制御装置は、可動部である支柱141の回転軸の回転によって生じた運動エネルギーを電力に変換する発電機能を有する。この場合、可動部は、支柱141に対して座面部11を回転させる回転機構である。これにより、着座者が自身の体の向きを変える動作に伴って座面部11の方向が変わり、支柱141の回転軸が回転することで、発電用モータによる発電が行われる。
【0075】
なお、可動部は、着座者の動作によって働く力以外の力によって動かされるものであってもよい。例えば、可動部は、温度制御機能付き椅子の上下方向の振動に応じて上下方向に往復運動するものであってもよい。この場合、例えば、温度制御装置は、上下方向の往復運動を回転運動に変換する機構を備える。そして、発電用モータは、この回転運動によって生じた運動エネルギーを電力に変換する。
【0076】
このような構成を備える温度制御装置は、例えば、屋外等の平坦ではない場所を移動するものを冷却及び加熱することに適している。例えば、このような構成を備える温度制御装置は、自動車のシート及びベビーカーのシート等に取り付けられてもよい。これにより、温度制御装置は、自動車及びベビーカー等が走行する際に生じる振動を利用して発電し、シートの冷却及び加熱を行うことができる。
【0077】
なお、例えば、可動部は、温度制御機能付き椅子の前後方向の揺れに応じて前後方向に往復運動するものであってもよい。この場合、例えば、温度制御装置は、前後方向の往復運動を回転運動に変換する機構を備える。そして、発電用モータは、この回転運動によって生じた運動エネルギーを電力に変換する。例えば、このような構成を備える温度制御装置は、ロッキングチェア、ゆりかご及びベビーラック等に取り付けられてもよい。これにより、温度制御装置は、ロッキングチェア、ゆりかご及びベビーラック等が揺動を行う際に生じる振動を利用して発電し、シートの冷却及び加熱を行うことができる。
【0078】
なお、発電に用いられる可動部は上記のいずれか1つに限られるものではなく、複数の種類の可動部が同時に用いられてもよい。これにより、複数の種類の可動部の各々の動きから電力を生むことが可能になるため、より短時間に、より多くの電力を蓄電することが可能になる。
【0079】
なお、温度制御機能付き椅子は、自己の発電モータによる発電機能によって得られる電力と、例えばACアダプタによって外部の電源から得られる電力とを併用する構成であってもよい。このように複数の方法で電力が得られるようにすることで、より多くの電力を蓄電することが可能になる。
【0080】
なお、温冷感デバイスの半導体素子が広い表面積を持っている場合等、半導体素子の表面が一定の温度以上にはならない場合には、例えば着座者を火傷させる危険性は高くないことから、温度センサは用いられなくてもよい。
【0081】
上述した実施形態によれば、温度制御装置は、発電機と、蓄電池と、熱電素子とを備える。例えば、温度制御装置は、実施形態における温度制御装置20であり、発電機は、実施形態における発電用モータ211であり、蓄電池は、実施形態におけるバッテリー214であり、熱電素子は、実施形態における半導体素子210である。発電機は、可動部を有する椅子に備えられ、可動部の動きによって生じた運動エネルギーを電力に変換する。例えば、可動部は、実施形態における可動部13であり、椅子は、実施形態における椅子1である。蓄電池は、発電機によって発電された電力を蓄電する。熱電素子は、蓄電池に蓄電された電力によって椅子を冷却又は加熱する。
【0082】
なお、上記の温度制御装置において、可動部は、着座者の動作に伴って働く力によって動かされるようにしてもよい。
【0083】
なお、上記の温度制御装置において、可動部は、背もたれ、キャスター又は座面を回転させる回転機構であってもよい。例えば、背もたれは、実施形態における背もたれ部12であり、キャスターは、実施形態におけるキャスター143であり、座面は、実施形態における座面部11である。
【0084】
なお、上記の温度制御装置において、熱電素子は、ペルチェ素子であってもよい。この場合、温度制御装置は、制御回路をさらに備える。制御回路は、ペルチェ素子に流れる電流の極性を変えることによって冷却と加熱とを切り替える。例えば、制御回路は、実施形態における制御回路215である。
【0085】
上述した実施形態によれば、温度制御機能付き椅子は、可動部と、発電機と、蓄電池と、熱電素子とを備える。例えば、温度制御機能付き椅子は、実施形態における椅子1であり、可動部は、実施形態における可動部13であり、発電機は、実施形態における発電用モータ211であり、蓄電池は、実施形態におけるバッテリー214であり、熱電素子は、実施形態における半導体素子210である。発電機は、可動部の動きに応じて発電する。蓄電池は、発電機によって発電された電力を蓄電する。熱電素子は、蓄電池に蓄電された電力によって背もたれ又は座面の少なくとも一方を冷却又は加熱する。例えば、背もたれは、実施形態における背もたれ部12であり、キャスターは、実施形態におけるキャスター143であり、座面は、実施形態における座面部11である。
【0086】
上述した各実施形態における温度制御機能付き椅子1の機能の一部(例えば、制御回路215)をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1…椅子、11…座面部、12…背もたれ部、13…可動部、14…脚部、20…温度制御装置、21…温度制御部、22…温冷感デバイス、23…ファン、24…温度センサ、25…着座センサ、26…切替スイッチ、141…支柱、142…チェアベース、143…キャスター、210…半導体素子、211…発電用モータ、212…清流回路、213…電圧レギュレータ回路、214…バッテリー、215…制御回路、220…ベルト
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