(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174607
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】自動ドア装置、スイッチ装置、自動ドア装置の制御方法及び制御用プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/73 20150101AFI20241210BHJP
E05F 15/74 20150101ALI20241210BHJP
E05F 15/79 20150101ALI20241210BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/74
E05F15/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092516
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】神吉 久幸
(72)【発明者】
【氏名】西井 寅貴
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052BA06
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA13
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA06
2E052GC02
2E052GC06
(57)【要約】
【課題】非接触式スイッチの誤検知による意図しないドアの開閉を抑制しつつ、必要なときには素早くドアを開閉できるようにする技術を提供する。
【解決手段】本発明の自動ドア装置5は、個室の使用者による非接触操作を検出して使用者を検知する検知部と、検知部が使用者を検知したときに個室の開口に設けられたドアの開指示又は閉指示を出力する指示出力部59と、開指示又は閉指示に基づいてドアの開動作又は閉動作を制御するドア制御部10Aと、ドアの位置情報を取得する位置取得部56と、位置情報に基づいてドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部57と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、
前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられたドアの開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、
前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するドア制御部と、
前記ドアの位置情報を取得する位置取得部と、
前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、
を備える、
自動ドア装置。
【請求項2】
前記決定部は前記ドアが全閉位置にある場合には前記ドアが前記全閉位置にない場合よりも前記判定時間を長くする、
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記決定部は前記ドアが移動中である場合には前記ドアが移動中ではない場合よりも前記判定時間を短くする、
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、
前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられたドアの開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、
前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するドア制御部と、
前記ドアの周辺の混雑度を推定する混雑度推定部と、
前記混雑度に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、
を備える、
自動ドア装置。
【請求項5】
前記決定部は前記個室の室外側の前記ドアの前の前記混雑度が所定の混雑基準値よりも大きい場合には前記個室の室外側の前記ドアの前の前記混雑度が前記所定の混雑基準値以下である場合よりも前記判定時間を長くする、
請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記決定部は前記個室の室内の前記混雑度が所定の混雑基準値よりも大きい場合には前記個室の室内の前記混雑度が所定の混雑基準値以下である場合よりも前記判定時間を長くする、
請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
前記混雑度推定部は前記個室内の人数に基づいて前記混雑度を推定する、
請求項6に記載の自動ドア装置。
【請求項8】
前記混雑度推定部は前記個室内の前記使用者の荷物の大きさ又は量に基づいて前記混雑度を推定する、
請求項6又は7に記載の自動ドア装置。
【請求項9】
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、
前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられた自動ドア装置に対する開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、
前記自動ドア装置のドアの位置情報を取得するドア位置取得部と、
前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、
を備える、
スイッチ装置。
【請求項10】
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、
前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられた自動ドア装置に対する開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、
前記自動ドア装置の周辺の混雑度を示す混雑度情報を取得する混雑度取得部と、
前記混雑度情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、
を備える、
スイッチ装置。
【請求項11】
個室の開口に設けられたドアの位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、
前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、
前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、
を備える、
自動ドア装置の制御方法。
【請求項12】
個室の開口に設けられたドアの周辺の混雑度を推定するステップと、
前記混雑度に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、
前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、
前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、
を備える、
自動ドア装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、
個室の開口に設けられたドアの位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、
前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、
前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、
を実行させるための自動ドア装置の制御用プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
開口に設けられたドアの周辺の混雑度を推定するステップと、
前記混雑度に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、
個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、
前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、
前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、
を実行させるための自動ドア装置の制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、スイッチ装置、自動ドア装置の制御方法及び制御用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生面の観点から、非接触式スイッチを用いて使用者によるドアの開閉のための操作を検知する自動ドア装置の技術が普及してきている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
非接触式スイッチでは、使用者による非接触操作が行われたか否かを判定するための判定時間が設定されている。非接触式スイッチは、その検知エリア内に物体が進入してからの経過時間がその判定時間を超えた場合に使用者による非接触操作を検知している。これにより、非接触式スイッチ53がその付近の通行者や使用者等を誤検知することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記判定時間が大きすぎる場合には、使用者が非接触式スイッチを操作したとしても、非接触式スイッチがすぐには非接触操作を検知しないため、自動ドアの開閉動作が遅れてしまうという問題がある。一方で、上記判定時間が小さすぎる場合には、使用者や通行者の手や荷物が意図せず非接触式スイッチの検知エリアに進入してしまうなどの非接触スイッチの操作を目的としない動作を非接触式スイッチが誤検知しやすくなり、そのドアが誤って開閉されやすくなる。
【0006】
上記を鑑み、本発明は、非接触式スイッチの誤検知による意図しないドアの開閉を抑制しつつ、必要なときには素早くドアを開閉できるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドア装置は、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられたドアの開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するドア制御部と、前記ドアの位置情報を取得する位置取得部と、前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様の自動ドア装置は、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられたドアの開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するドア制御部と、前記ドアの周辺の混雑度を推定する混雑度推定部と、前記混雑度に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、を備える。
【0009】
本発明のある態様のスイッチ装置は、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられた自動ドア装置に対する開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、前記自動ドア装置のドアの位置情報を取得するドア位置取得部と、前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、を備える。
【0010】
本発明の他の態様のスイッチ装置は、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知する検知部と、前記検知部が前記使用者を検知したときに前記個室の開口に設けられた自動ドア装置に対する開指示又は閉指示を出力する指示出力部と、前記自動ドア装置の周辺の混雑度を示す混雑度情報を取得する混雑度取得部と、前記混雑度情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定する決定部と、を備える。
【0011】
本発明のある態様の自動ドア装置の制御方法は、個室の開口に設けられたドアの位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、を備える。
【0012】
本発明の他の態様の自動ドア装置の制御方法は、個室の開口に設けられたドアの周辺の混雑度を推定するステップと、前記混雑度に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、を備える。
【0013】
本発明のある態様の自動ドア装置の制御用プログラムは、コンピュータに、個室の開口に設けられたドアの位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、を実行させるための自動ドア装置の制御用プログラムである。
【0014】
本発明の他の態様の自動ドア装置の制御用プログラムは、コンピュータに、開口に設けられたドアの周辺の混雑度を推定するステップと、前記混雑度に基づいて前記ドアの開指示又は閉指示を出力するか否かを判定するための判定時間を決定するステップと、個室の使用者による非接触操作を検出して前記使用者を検知するステップと、前記使用者が検知された状態が前記判定時間継続した場合に前記ドアの開指示又は閉指示を出力するステップと、前記開指示又は前記閉指示に基づいて前記ドアの開動作又は閉動作を制御するステップと、を実行させるための自動ドア装置の制御用プログラムである。
【0015】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、非接触式スイッチの誤検知による意図しないドアの開閉を抑制しつつ、必要なときには素早くドアを開閉できるようにする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の自動ドア装置が設置された多機能トイレの構成を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態の自動ドア装置のドア操作装置の構成を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態の自動ドア装置の機能ブロック図である。
【
図4】第1実施形態のドア操作装置の処理を例示するフローチャートである。
【
図5】第2実施形態の自動ドア装置の機能ブロック図である。
【
図6】第2実施形態のドア操作装置の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0019】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部または全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部または全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0020】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0021】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態及び変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0022】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の自動ドア装置について説明する。
【0023】
図1は、第1実施形態の自動ドア装置5が設置された多機能トイレの構成を示す平面図である。
図1に示すように、多機能トイレ1は、出入口2を一つ備える個室であって、体が不自由な人や子供連れの人が使い易いように広い空間に便器3が設置されている。出入口2には、出入口2を開閉するドア4を駆動制御する自動ドア装置5が設置されている。ドア4は引戸である。本実施形態の出入口2は、開口の一例である。
【0024】
多機能トイレ1の外側(室外側)の壁には、ドア4の開閉を操作する外側ドア操作装置30が設置されている。多機能トイレ1の内側(室内側)の壁には、ドア4の開閉を操作する内側ドア操作装置40が設置されている。出入口2の無目の外側には、出入口2の外側を通行する人や物を検知する物体検知センサ12が設置されている。物体検知センサ12は、出入口2の外側であって出入口2から所定範囲である検知エリアに存在する人や物を検知する。物体検知センサ12は、人又は物を検知すると検知信号を出力する。出入口2の内側の壁には、出入口2の内側に立ち止まる人を検知する補助センサ13が設置されている。天井には、個室内の使用者を検知する在室センサ15が設置されている。本実施形態の外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40は、それぞれ、スイッチ装置の一例である。
【0025】
図2は、第1実施形態の自動ドア装置5の外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の構成を示す正面図である。外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40は、同じ構成を有する。外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40は、接触式スイッチ51と、非接触式スイッチ53と、を備える。接触式スイッチ51は、ボタンスイッチを押す接触操作に基づいてドア4を開閉する開閉指示を出力する。非接触式スイッチ53は、使用者とは接触しない非接触操作に基づいて使用者を検知してドア4を開閉する開閉指示を出力する。非接触式スイッチ53は、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40に内蔵されている。
【0026】
接触式スイッチ51は、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の上側に設置された開ボタンスイッチ52aと、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の下側に設置された閉ボタンスイッチ52bと、を含む。開ボタンスイッチ52aの表面には、「開、←→、OPEN」が記載されている。閉ボタンスイッチ52bに表面には、「閉、→←、CLOSE」が記載されている。
【0027】
非接触式スイッチ53は、開非接触式スイッチ54aと、閉非接触式スイッチ54bと、を備える。開非接触式スイッチ54aは、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の上側に設置されている。閉非接触式スイッチ54bは、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の下側に設置されている。本実施形態の非接触式スイッチは、出力した検知波の反射波に基づいて使用者を検知する。ここでの検知波は、例えば、電波、光波、音波、赤外線などである。これに限定されず、非接触式スイッチは、物体の近接によりすなわち物体との間の距離に応じて静電容量が変化する電極部を備え、電極部54cの静電容量の変化に基づいて使用者を検知してもよい。また、非接触式スイッチは、検出した画像を画像認識することにより使用者の特定の姿勢や動作(例えば、非接触式スイッチ53に対して正対している姿勢や親指を立てる動作)が検出された場合に使用者を検知してもよい。本実施形態の非接触式スイッチ53は、検知部の一例である。
【0028】
図3は、第1実施形態の自動ドア装置5の機能ブロック図である。
図3に示す各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。後述の
図5も同様である。
【0029】
自動ドア装置5は、ドア4を駆動するドアエンジン11と、補助センサ13と、電気錠14と、これらの機器が接続されるドアコントローラ10と、物体検知センサ12と、在室センサ15と、外側ドア操作装置30と、内側ドア操作装置40と、を備えている。ドアコントローラ10、物体検知センサ12、及び在室センサ15は、CAN50に接続されている。補助センサ13は、検知するとドアコントローラ10に検知信号を送信する。物体検知センサ12及び在室センサ15は、検知するとCAN50を介して検知信号をドアコントローラ10に送信する。ドアコントローラ10は、物体検知センサ12、補助センサ13、及び在室センサ15の検知結果に従ってドアエンジン11を駆動制御する。ドアコントローラ10は、開指示又は閉指示に基づいてドア4を開閉制御するドア制御部10Aを備えている。
【0030】
外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々は、位置取得部56と、決定部57と、操作判定部58と、指示出力部59と、をさらに備える。
【0031】
外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の開ボタンスイッチ52aは、使用者の接触操作を検知すると接触開検知信号を指示出力部59に出力する。外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の閉ボタンスイッチ52bは、使用者の接触操作を検知すると接触閉検知信号を指示出力部59に出力する。接触式スイッチ51においては、押し操作が使用者の接触操作に相当する。
【0032】
外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の開非接触式スイッチ54aは、使用者を検知している状態(以下、検知状態という)において非接触開検知信号を操作判定部58に出力する。外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々の閉非接触式スイッチ54bは、検知状態において非接触閉検知信号を操作判定部58に出力する。
【0033】
位置取得部56は、ドア4の位置情報を取得する。例えば、位置取得部56は、ドアエンジン11に設けられたモータのエンコーダ(不図示)の情報をドア4の位置情報としてドアコントローラ10を通じて取得することができる。
【0034】
決定部57は、ドアの位置情報に基づいて使用者による非接触操作が行われたか否かを判定するための判定時間を決定する。本実施形態の決定部57は、判定時間を第1時間と第1時間よりも小さい第2時間に設定する。判定時間の決定方法については後述する。
【0035】
操作判定部58は、非接触式スイッチ53の検知結果に基づいて、使用者による非接触操作が行われたか否かを判断する。本実施形態の操作判定部58は、非接触式スイッチ53の検知状態が後述の判定時間継続した場合、すなわち開非接触式スイッチ54a又は閉非接触式スイッチ54bから非接触開検知信号又は非接触閉検知信号が入力されている状態が後述の判定時間継続した場合、使用者による非接触操作が行われたと判断する。非接触式スイッチ53においては使用者の体の一部又は物を近づける操作が使用者の非接触操作に相当する。
【0036】
指示出力部59は、非接触式スイッチ53が使用者を検知したときに個室の開口に設けられたドアの開指示又は閉指示を出力する。例えば、指示出力部59は、操作判定部58によって使用者による非接触操作が行われたと判断された場合、開指示又は閉指示をドア制御部10Aに出力する。また、指示出力部59は、接触式スイッチ51からの開接触検知信号又は閉接触検知信号に応答して、開指示又は閉指示をドア制御部10Aに出力する。
【0037】
図4は、第1実施形態のドア操作装置の処理S100を例示するフローチャートである。
【0038】
ステップS101で、位置取得部56は、ドア4の位置情報を取得する。
【0039】
ステップS102で、決定部57は、ドア4が全閉位置にあるか否かを判定する。ドア4が全閉位置にある場合(ステップS102のY)、処理S100はステップS103に進む。ドア4が全閉位置にはない場合(ステップS102のN)、処理S100はステップS104に進む。
【0040】
ステップS103で、決定部57は、判定時間を第1時間に設定する。第1時間は、例えば、1秒である。ステップS103の後、処理S100はステップS105に進む。
【0041】
ステップS104で、決定部57は、判定時間を第2時間に設定する。第2時間は、例えば、0.5秒である。ステップS104の後、処理S100はステップS105に進む。
【0042】
ステップS105で、操作判定部58は、非接触式スイッチ53の検知状態がステップS103又はS104で決定された判定時間継続したか否かを判定する。継続した場合(ステップS105のY)、処理S100はステップS106に進む。継続していない場合(ステップS105のN)、処理S100は終了する。
【0043】
ステップS106で、指示出力部59は、非接触式スイッチ53から入力した信号が非接触開検知信号であるか否かを判断する。入力した信号が非接触開検知信号である場合(ステップS106のY)、処理S100はステップS107に進む。入力した信号が非接触開検知信号ではない、すなわち非接触閉検知信号である場合(ステップS106のN)、処理S100はステップS108に進む。
【0044】
ステップS107で、指示出力部59は、非接触開検知信号に応答して、開指示をドア制御部10Aに出力する。その結果、ドア制御部10Aによりドア4が開動作される。
【0045】
ステップS108で、指示出力部59は、第1閉検知信号に応答して、閉指示をドア制御部10Aに出力する。その結果、ドア制御部10Aによりドア4が閉動作される。
【0046】
ステップS108の後、処理S100は終了する。
【0047】
以上のように、第1実施形態では、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々は、使用者とは非接触で使用者を検知する非接触式スイッチ53と、ドア4の位置を取得する位置取得部56と、ドア4の位置に基づいて判定時間を決定する決定部57と、非接触式スイッチ53によって使用者が検知された状態が決定した判定時間継続した場合に開指示又は閉指示を出力する指示出力部59と、を備える。本構成によると、ドア4の位置に基づいて決定された判定時間に基づいて開指示又は閉指示を出力するか否かが判定されるため、非接触式スイッチ53の誤検知による意図しないドアの開閉を抑制しつつ、必要なときには素早くドア4を開閉させることが可能となる。
【0048】
第1実施形態では、決定部57はドア4が全閉位置にある場合にはドア4が全閉位置にない場合よりも判定時間を長くする。ここで、ドア4が全閉位置にある場合には多機能トイレ1が使用状態又は使用の待機状態である。そのため、多機能トイレ1が使用状態のときに内側ドア操作装置40の開非接触式スイッチ54aが使用者の体や荷物を誤検知して使用者が望まないのにドア4が開くことや、多機能トイレ1が使用の待機状態のときに外側ドア操作装置30の開非接触式スイッチ54aがその付近を通行する通行者を誤検知して無駄にドア4が開くのを抑える必要がある。一方、ドア4が全閉位置とは異なる位置にある場合には、例えば使用者が非接触式スイッチ53を操作する際に、非接触式スイッチ53の反応を良くするのが適している。本構成によると、ドア4が全閉位置にある場合には誤検知をより抑制できるとともに、ドア4が全閉位置以外の位置にある場合にはドア4を素早く動作させることが可能となる。そのため、非接触式スイッチ53に対する使用者の利便性を効果的に向上させることができる。
【0049】
以下、第1実施形態の変形例を説明する。
【0050】
実施形態では、外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40は、接触式スイッチ51を備えているが、これに限定されず、接触式スイッチ51を備えなくてもよい。
【0051】
実施形態では、決定部57は、非接触式スイッチ53の検知状態の継続時間を判定時間とし、ドア4の位置に応じてこれを変更したが、非接触式スイッチ53が使用者を検知している状態であると判断するまでの時間を判定時間として、ドア4の位置に応じてこれを変更してもよい。この場合、非接触式スイッチ53は、検知波の反射量が基準値以上の状態が基準時間継続したときに検知状態と判断し、決定部57は、ドア4の位置に応じて当該基準時間を変更する。
【0052】
実施形態では、ステップS102で、決定部57は、ドア4が全閉位置にあるか否かを判定したが、これに限定されず、ドア4が移動中であるか否かを判断してもよい。このとき、ドア4が移動中ではない場合には処理S100はステップS103に進み、ドア4が移動中である場合には処理S100はステップS104に進む。すなわち、決定部57は、ドア4が移動中である場合にはドア4が移動中ではない場合よりも判定時間を短くする。本構成によると、非接触式スイッチ53を用いて開動作中又は閉動作中のドア4を逆方向に素早く反転動作させることが可能となる。
【0053】
また、操作判定部58は、予め基準となる判定時間を有し、決定部57は、ドア4の位置に応じて当該基準となる判断時間を変更するようにしてもよい。
【0054】
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0055】
図5は、第2実施形態の自動ドア装置5の機能ブロック図である。第2実施形態の外側ドア操作装置30及び内側ドア操作装置40の各々は、第1実施形態の位置取得部56の代わりに、画像取得部60と、混雑度推定部61と、を備える。画像取得部60は、自動ドア装置5の周辺の画像を取得する。混雑度推定部61は、自動ドア装置5の周辺の混雑度を推定する。
【0056】
図6は、第1実施形態のドア操作装置の処理S200を例示するフローチャートである。
図6の処理S200のステップS204~S209は、ステップS103~S108と同様であるため、その説明を省略する。
【0057】
ステップS201で、画像取得部60は、多機能トイレ1の室外側のドア4の前の画像を取得する。画像取得部60は、例えば、多機能トイレ1の室外において自動ドア装置5又はその周辺に取り付けられているカメラ(不図示)から画像を取得する。
【0058】
ステップS202で、混雑度推定部61は、取得した画像に基づいて、多機能トイレ1の室外側のドア4の前の混雑度を推定する。本実施形態の混雑度推定部61は、例えば、取得した画像に対して画像認識処理を実行することにより、多機能トイレ1の室外側のドア4の前の人の密度を算出し、この密度に基づいて混雑度を推定する。
【0059】
ステップS203で、決定部57は、混雑度が所定の混雑基準値よりも大きいか否かを判定する。混雑度が所定の混雑基準値よりも大きい場合(ステップS203のY)、処理S200はステップS204に進む。混雑度が所定の混雑基準値よりも大きくない場合(ステップS203のN)、処理S100はステップS205に進む。
【0060】
ここで、自動ドア装置5の周辺が混雑している場合、非接触式スイッチ53の付近を通行する通行者等が多くなるため、非接触式スイッチ53の誤検知が生じやすくなる。これに対し、第2実施形態では、外側ドア操作装置30は、自動ドア装置5の周辺の混雑度を推定する混雑度推定部61と、混雑度に基づいて判定時間を決定する決定部57と、非接触式スイッチ53によって使用者が検知された状態が決定した判定時間継続した場合に開指示又は閉指示を出力する指示出力部59と、を備える。本構成によると、混雑度に基づいて決定された判定時間に基づいて開指示又は閉指示を出力するか否かが判定されるため、非接触式スイッチ53による通行者の検知など非接触式スイッチ53の操作を目的としない動作の誤検知を抑制しつつ、必要なときには素早くドア4を開閉させることが可能となる。
【0061】
第2実施形態では、決定部57は多機能トイレ1の室外側の混雑度が所定の混雑基準値よりも大きい場合には多機能トイレ1の室外側の混雑度が所定の混雑基準値以下である場合よりも判定時間を長くする。本構成によると、自動ドア装置5の周辺が混雑している場合には誤検知をより抑制できるとともに、自動ドア装置5の周辺が混雑していない場合にはドア4を素早く動作させることが可能となる。そのため、非接触式スイッチ53に対する使用者の利便性を効果的に向上させることができる。
【0062】
以下、第2実施形態の変形例を説明する。
【0063】
第2実施形態では、多機能トイレ1の室外側のドア4の前の混雑度が推定されたが、これに限定されない。例えば、在室センサ15など多機能トイレ1の室内側に設けられたセンサによって、室内側のドア4の前の混雑度が推定されてもよい。この場合のセンサの検知方式や本来用途は限定されない。この場合、決定部57は、多機能トイレ1の室内の混雑度が所定の混雑基準値よりも大きい場合には多機能トイレ1の室内の混雑度が所定の混雑基準値以下である場合よりも判定時間を長くする。
【0064】
また、この場合、混雑度推定部61は、多機能トイレ1内の人数を判断し、その人数によって混雑度を推定し、決定部57は多機能トイレ1内に複数の人が存在する場合には多機能トイレ1内に複数の人が存在しない場合よりも判定時間を長くしてもよい。例えば、混雑度推定部61は、複数の検知スポットからなる検知エリアを有する在室センサが複数の検知スポットで検知状態の場合に多機能トイレ1内に複数の人が存在すると判断することができる。また、使用者が入室してきたときの画像に対して画像認識処理を実行することにより多機能トイレ1内の人数を判断することができる。ここで、例えば子連れの親子などの複数の人が多機能トイレ1内に入室した場合、その入室した人の手や荷物が非接触式スイッチ53の検知エリアに意図せず進入してしまう可能性が高くなるため、非接触式スイッチ53の誤検知が生じやすくなる。本構成によると、多機能トイレ1内の複数の人がいる場合であっても、非接触式スイッチ53の誤検知を効果的に抑制できる。
【0065】
また、例えば、混雑度推定部61は、多機能トイレ1内の人の荷物の大きさや量によって混雑度を推定し、決定部57は荷物の大きさや量が基準よりも大きい場合には基準以下の場合よりも判定時間を長くしてもよい。例えば、混雑度推定部61は、在室センサの検知状態のスポットがなす範囲が一定以上の場合に荷物の大きさや量が基準よりも大きいと判断することができる。また、混雑度推定部61は、使用者が入室してきたときの画像に対して画像認識処理を実行することにより荷物の大きさや量を判断できる。ここで、例えば多機能トイレ1内に入室した人が大きい荷物や複数の荷物を所持している場合、その荷物が非接触式スイッチ53の検知エリアに意図せず進入してしまう可能性が高くなるため、非接触式スイッチ53の誤検知が生じやすくなる。本構成によると、多機能トイレ1内に入室した人が大きい荷物や複数の荷物を所持している場合であっても、非接触式スイッチ53の誤検知を効果的に抑制できる。
【0066】
第2実施形態では、多機能トイレ1の室外側のドア4の前の実際の状況に基づいて混雑度が推定されたが、これに限定されない。例えば、混雑度推定部61は、自動ドア装置5が設置された施設が混雑する時間帯には混雑しない時間帯よりも混雑度を大きく推定してもよい。例えば、多機能トイレ1が空港における飛行機の搭乗待合室の周辺に設けられている場合には、混雑度推定部61は、飛行機が到着する時間帯に混雑度を大きく推定してもよい。また、多機能トイレ1が駅に設けられている場合には、混雑度推定部61は、電車のラッシュ時間帯に混雑度を大きく推定してもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上記した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上記の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容され得る。
【0068】
上記した各実施形態及び変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0069】
1 多機能トイレ、 2 出入口、 3 便器、 4 ドア、 5 自動ドア装置、 10 ドアコントローラ、 10A ドア制御部、 11 ドアエンジン、 12 物体検知センサ、 13 補助センサ、 14 電気錠、 15 在室センサ、 30 外側ドア操作装置、 40 内側ドア操作装置、 51 接触式スイッチ、 53 非接触式スイッチ、 54a 開非接触式スイッチ、 54b 閉非接触式スイッチ、 56 位置取得部、 57 決定部、 58 操作判定部、 59 指示出力部、 60 画像取得部、 61 混雑度推定部。