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特開2024-174608画像形成装置、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174608
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20241210BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241210BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H7/02
G03G15/00 480
G03G15/00 460
B41J29/38 206
B41J29/38 302
B41J29/00 H
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092518
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 芳幸
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB08
2C061BB10
2C061CE03
2C061CK08
2C061HH03
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HK07
2C061HK11
2H072AA04
2H072AA07
2H072AA22
2H072CB01
2H072EA14
2H072JA04
2H270LB13
2H270LC04
2H270LC06
2H270LC07
2H270LC15
2H270LC17
2H270LC19
2H270LC22
2H270MH10
2H270NB22
2H270NE01
2H270NE07
2H270NE10
2H270NE14
2H270NE15
2H270PA14
2H270PA45
2H270PA83
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZC08
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA13
3F048BB03
3F048CA02
3F048DA06
3F048DC17
3F048DC20
3F048EB28
(57)【要約】
【課題】装置の大型化やコストの上昇を招くことなく、異常搬送を検知した際に、シートに間違った画像が形成されてしまうことを防止する。
【解決手段】画像形成装置1は、ジョブの実行中に、シートの異常搬送を検知しない場合にはシートを複数の排紙口のうちの第1排紙口51に排出させる。画像形成装置1は、ジョブの実行中に、シートの異常搬送を検知した場合には異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを複数の排紙口のうちの第2排紙口52に排出させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送路に向けて給紙する複数の給紙部と、
前記搬送路に沿って搬送されるシートに対して画像を形成する画像形成部と、
シートの異常搬送を検知する異常搬送検知部と、
前記搬送路の終端に設けられる複数の排紙口と、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知しない場合にはシートを前記複数の排紙口のうちの第1の排紙口に排出させ、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合には異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記複数の排紙口のうちの第2の排紙口に排出させる制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する後続シート判断部、
を更に備え、
前記制御部は、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを前記第2の排紙口に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に前記第1の排紙口に排出させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送路は、前記画像形成部よりも上流側に複数の搬送路が合流する合流部を有し、
前記異常搬送検知部は、前記合流部と前記画像形成部との間に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記後続シート判断部は、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートと同じ給紙部から給紙されている場合に、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であると判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の給紙部のそれぞれに収容されているシートのシート情報を記憶する記憶部、
を更に備え、
前記後続シート判断部は、前記記憶部から、異常搬送が検知されたシートに後続するシートのシート情報を読み出し、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、少なくとも前記異常搬送検知部によって異常搬送が検知されたシートに対し、前記画像形成部による画像形成を行わせないことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記第2の排紙口へ排出させた後、画像形成を再開することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送路は、シートの第1面に画像が形成された後、シートを反転させて前記画像形成部による画像形成位置へ再度搬送する反転路を有し、
前記制御部は、前記反転路にシートを搬送する両面印刷の実行中に、前記異常搬送検知部によって異常搬送が検知された場合、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートを、前記反転路へ搬送させないことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートを、前記反転路へ搬送することなく、前記第2の排紙口に排出させることが可能であるか否かを判断する切替判断部、
を更に備え、
前記制御部は、前記切替判断部によってシートを前記反転路へ搬送することなく、前記第2の排紙口に排出させることが不可能であると判断された場合、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートを、前記反転路へ搬送した後に前記第2の排紙口に排出させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記異常搬送検知部は、複数枚のシートが同時に搬送される重送状態を異常搬送として検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記異常搬送検知部によって重送状態が検知された場合、複数枚のシートの連れ送り量を検知し、前記連れ送り量が所定の閾値以上であるときにシートの搬送を停止させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、異常搬送が検知されたシートの厚みが所定範囲外である場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記異常搬送検知部は、シートの斜行を異常搬送として検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、シートの搬送方向に対し、異常搬送が検知されたシートが所定量以上傾いて搬送されている場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、異常搬送が検知されたシートのサイズを検知し、シートのサイズが所定範囲外である場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御部は、異常搬送が検知されたシートの前記搬送路に対する片寄り量を検知し、シートの片寄り量が所定値以上である場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記搬送路は、シートの第1面に画像が形成された後、シートを反転させて前記画像形成部による画像形成位置へ再度搬送する反転路を有し、
前記制御部は、前記反転路にシートを搬送する両面印刷の実行中に、前記異常搬送検知部によって異常搬送が検知された場合、前記反転路へ搬送した後に、前記第2の排紙口へ排出させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項18】
シートを搬送路に向けて給紙する複数の給紙部と、
前記搬送路に沿って搬送されるシートに対して画像を形成する画像形成部と、
シートの異常搬送を検知する異常搬送検知部と、
前記搬送路の終端に設けられる複数の排紙口と、
を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知しない場合に、シートを前記複数の排紙口のうちの第1の排紙口に排出させる第1ステップと、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合に、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記複数の排紙口のうちの第2の排紙口に排出させる第2ステップと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項19】
前記第2ステップは、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する第3ステップと、
異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを前記第2の排紙口に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に前記第1の排紙口に搬出させる第4ステップと、
を有することを特徴とする請求項18に記載の制御方法。
【請求項20】
シートを搬送路に向けて給紙する複数の給紙部と、
前記搬送路に沿って搬送されるシートに対して画像を形成する画像形成部と、
シートの異常搬送を検知する異常搬送検知部と、
前記搬送路の終端に設けられる複数の排紙口と、
を備える画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知しない場合に、シートを前記複数の排紙口のうちの第1の排紙口に排出させる第1ステップと、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合に、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記複数の排紙口のうちの第2の排紙口に排出させる第2ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
前記第2ステップは、
前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する第3ステップと、
異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを前記第2の排紙口に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に前記第1の排紙口に搬出させる第4ステップと、
を有することを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御方法、及び、プログラムに関し、特に印刷用紙などのシートの異常搬送を検知した場合の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷用紙などのシートを連続的に給紙する給紙部と、給紙部から給紙されたシートに画像を形成する画像形成部と、シートの重送を検知する重送検知部と、を備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1)。この従来の画像形成装置は、シートの搬送中にシートの重送を検知すると、重送状態であるシートへの画像の形成を中止して所定のトレイへ排出し、次に給紙され且つ重送が検知されなかったシートに中止した画像を形成する(例えば特許文献1)。
【0003】
また、従来、給紙部からシートの給紙を開始した後に重送を検知すると、エスケープパスを経て専用のエスケープトレイに重送したシートを排出する画像形成装置も知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-263076号公報
【特許文献2】特開2008-176581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置は、複数枚のシートを連続搬送するジョブにおいて、所定ページ毎に他のページとは異なる種類のシートを搬送することにより仕切紙や表紙を挿入することがある。この場合、上記従来技術を適用すると、重送が検知された場合に重送が検知されたシートに画像を形成することなく、シートを所定の排紙トレイへ排出できる。しかし、重送が検知されたシートに後続するシートには、重送が検知されたシートに形成されるはずであった画像以降の画像が順次形成されていく。そのため、重送が検知されたとき、既に給紙済みであるシートの中に仕切紙や表紙に用いるシートが含まれていると、仕切紙や表紙に用いるシートに本来形成したい画像とは異なる画像を形成してしまうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の従来技術の場合には、重送が検知された場合に重送が検知されたシートをエスケープトレイに排出するための専用のエスケープパスを画像形成装置に設ける必要があり、装置の大型化やコストの上昇を招くという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、装置の大型化やコストの上昇を招くことなく、シートに間違った画像が形成されてしまうことを防止できるようにした画像形成装置、制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像形成装置であって、シートを搬送路に向けて給紙する複数の給紙部と、前記搬送路に沿って搬送されるシートに対して画像を形成する画像形成部と、シートの異常搬送を検知する異常搬送検知部と、前記搬送路の終端に設けられる複数の排紙口と、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知しない場合にはシートを前記複数の排紙口のうちの第1の排紙口に排出させ、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合には異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記複数の排紙口のうちの第2の排紙口に排出させる制御部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する後続シート判断部、を更に備え、前記制御部は、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを前記第2の排紙口に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に前記第1の排紙口に排出させることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記搬送路は、前記画像形成部よりも上流側に複数の搬送路が合流する合流部を有し、前記異常搬送検知部は、前記合流部と前記画像形成部との間に設けられることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2の画像形成装置において、前記後続シート判断部は、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートと同じ給紙部から給紙されている場合に、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であると判断することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2の画像形成装置において、前記複数の給紙部のそれぞれに収容されているシートのシート情報を記憶する記憶部、を更に備え、前記後続シート判断部は、前記記憶部から、異常搬送が検知されたシートに後続するシートのシート情報を読み出し、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記制御部は、少なくとも前記異常搬送検知部によって異常搬送が検知されたシートに対し、前記画像形成部による画像形成を行わせないことを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記制御部は、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記第2の排紙口へ排出させた後、画像形成を再開することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記搬送路は、シートの第1面に画像が形成された後、シートを反転させて前記画像形成部による画像形成位置へ再度搬送する反転路を有し、前記制御部は、前記反転路にシートを搬送する両面印刷の実行中に、前記異常搬送検知部によって異常搬送が検知された場合、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートを、前記反転路へ搬送させないことを特徴とする構成である。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8の画像形成装置において、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートを、前記反転路へ搬送することなく、前記第2の排紙口に排出させることが可能であるか否かを判断する切替判断部、を更に備え、前記制御部は、前記切替判断部によってシートを前記反転路へ搬送することなく、前記第2の排紙口に排出させることが不可能であると判断された場合、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートを、前記反転路へ搬送した後に前記第2の排紙口に排出させることを特徴とする構成である。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記異常搬送検知部は、複数枚のシートが同時に搬送される重送状態を異常搬送として検知することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項10の画像形成装置において、前記制御部は、前記異常搬送検知部によって重送状態が検知された場合、複数枚のシートの連れ送り量を検知し、前記連れ送り量が所定の閾値以上であるときにシートの搬送を停止させることを特徴とする構成である。
【0019】
請求項12に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記制御部は、異常搬送が検知されたシートの厚みが所定範囲外である場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする構成である。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記異常搬送検知部は、シートの斜行を異常搬送として検知することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項14に係る発明は、請求項13の画像形成装置において、前記制御部は、シートの搬送方向に対し、異常搬送が検知されたシートが所定量以上傾いて搬送されている場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする構成である。
【0022】
請求項15に係る発明は、請求項14の画像形成装置において、前記制御部は、異常搬送が検知されたシートのサイズを検知し、シートのサイズが所定範囲外である場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする構成である。
【0023】
請求項16に係る発明は、請求項14の画像形成装置において、前記制御部は、異常搬送が検知されたシートの前記搬送路に対する片寄り量を検知し、シートの片寄り量が所定値以上である場合、シートの搬送を停止させることを特徴とする構成である。
【0024】
請求項17に係る発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記搬送路は、シートの第1面に画像が形成された後、シートを反転させて前記画像形成部による画像形成位置へ再度搬送する反転路を有し、前記制御部は、前記反転路にシートを搬送する両面印刷の実行中に、前記異常搬送検知部によって異常搬送が検知された場合、前記反転路へ搬送した後に、前記第2の排紙口へ排出させることを特徴とする構成である。
【0025】
請求項18に係る発明は、シートを搬送路に向けて給紙する複数の給紙部と、前記搬送路に沿って搬送されるシートに対して画像を形成する画像形成部と、シートの異常搬送を検知する異常搬送検知部と、前記搬送路の終端に設けられる複数の排紙口と、を備える画像形成装置の制御方法であって、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知しない場合に、シートを前記複数の排紙口のうちの第1の排紙口に排出させる第1ステップと、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合に、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記複数の排紙口のうちの第2の排紙口に排出させる第2ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0026】
請求項19に係る発明は、請求項18の制御方法において、前記第2ステップは、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する第3ステップと、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを前記第2の排紙口に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に前記第1の排紙口に搬出させる第4ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0027】
請求項20に係る発明は、シートを搬送路に向けて給紙する複数の給紙部と、前記搬送路に沿って搬送されるシートに対して画像を形成する画像形成部と、シートの異常搬送を検知する異常搬送検知部と、前記搬送路の終端に設けられる複数の排紙口と、を備える画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知しない場合に、シートを前記複数の排紙口のうちの第1の排紙口に排出させる第1ステップと、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合に、異常搬送が検知されたシート及び既に給紙済みの後続するシートの全てを前記複数の排紙口のうちの第2の排紙口に排出させる第2ステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【0028】
請求項21に係る発明は、請求項20のプログラムにおいて、前記第2ステップは、前記異常搬送検知部が異常搬送を検知した場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する第3ステップと、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを前記第2の排紙口に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に前記第1の排紙口に搬出させる第4ステップと、を有することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、装置の大型化やコストの上昇を招くことなく、シートに間違った画像が形成されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】画像形成装置の構成例を示す図である。
図2】ループローラー、レジストローラー及びシート検知センサの構成例を示す図である。
図3】センサによるシートの検知例を示す図である。
図4】制御部の構成例を示すブロック図である。
図5】画像形成装置において複数枚のシートが同時に搬送されている例を示す図である。
図6】画像形成装置における基本的な処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】異常搬送が検知された場合のシートの排出例を示す図である。
図8】給紙情報及びシート情報を示す図である。
図9】後続シート判断部が機能する場合の画像形成装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】異常搬送が検知されたシートと、それに後続するシートが同一種類であると判断された場合のシートの排出例を示す図である。
図11】画像形成装置において両面印刷ジョブが実行されているときの複数枚のシートの搬送位置の一例を示す図である。
図12】両面印刷時に反転路を経由させるか否かを判断する処理手順を示すフローチャートである。
図13】両面印刷ジョブの実行中にシートの異常搬送が検知された場合のシートの排出例を示す図である。
図14】異常搬送として複数枚のシートの重送を検知した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15】両面印刷時に反転路を経由させるか否かを連れ送り量に応じて判断する処理手順を示すフローチャートである。
図16】連れ送り量とは異なる要因でジョブを停止させる処理手順を示すフローチャートである。
図17】連れ送り量とは異なる要因でジョブを停止させる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態における画像形成装置1の構成例を示す図である。この画像形成装置1は、給紙ユニット2と、画像形成ユニット3と、排紙ユニット4と、操作パネル5と、制御部6とを備えている。画像形成装置1は、給紙ユニット2から印刷用紙などのシートPを給紙し、画像形成ユニット3においてシートPに画像を形成し、画像が形成されたシートを排紙ユニット4から排出する。
【0033】
給紙ユニット2は、複数の給紙部11,12を備えている。給紙部11は、第1給紙部である。給紙部12は、第2給紙部である。これら給紙部11,12は、シートPが積載される給紙トレイ13を有している。例えば、第1給紙部11の給紙トレイ13と、第2給紙部12の給紙トレイ13には、それぞれ異なる種類のシートPが積載される。また、各給紙部11,12は、ピックアップローラー14と、給紙ローラー15とを有している。給紙ユニット2は、複数の給紙部11,12のうちの一方のピックアップローラー14と給紙ローラー15とを駆動することにより、シートPを搬送路30に向けて給紙する。
【0034】
搬送路30は、給紙ユニット2、画像形成ユニット3、及び、排紙ユニット4の内部に形成される。給紙部11,12から給紙されるシートPは、その搬送路30に沿って給紙ユニット2、画像形成ユニット3、及び、排紙ユニット4の順で搬送される。例えば、第1給紙部11から給紙されるシートPが搬送される搬送路30と、第2給紙部12から給紙されるシートPが搬送される搬送路30とは、所定位置で合流している。搬送路30は、その合流部よりも下流側において第1給紙部11から給紙されるシートPと、第2給紙部12から給紙されるシートPとを同じ経路で搬送する。
【0035】
画像形成ユニット3は、給紙ユニット2から搬送路30に沿って搬送されるシートPに対して画像を形成する。画像形成ユニット3は、画像形成部20と、定着部29と、ループローラー42と、レジストローラー41と、シート検知センサ60とを備えている。
【0036】
例えば、画像形成部20は、電子写真方式でシートPに画像を形成するように構成される。この画像形成部20は、中間転写ベルト21と、複数の作像部22とを備えている。中間転写ベルト21は、駆動ローラー23と従動ローラー24との間に掛け渡された無端ベルトである。駆動ローラー23及び従動ローラー24は上下方向に所定間隔を隔てて配置される。中間転写ベルト21は、駆動ローラー23と従動ローラー24との間を縦方向(時計回り方向)に循環移動する。複数の作像部22は、上下方向に所定間隔で配置される。これら複数の作像部22は、中間転写ベルト21に隣接している。各作像部22は、例えばY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色のトナー像を作成する。各作像部22は、像担持体25と、露光部26と、現像部27とを備えている。像担持体25は、例えば感光体ドラムによって構成され、所定方向に回転駆動される。像担持体25は、その外周面の一点を中間転写ベルト21に接合させている。露光部26は、像担持体25の表面を露光し、像担持体25の表面に静電潜像を形成する。現像部27は、像担持体25の表面にトナーを含む現像剤を付与することにより、静電潜像をトナーで現像し、像担持体25にトナー像を形成する。像担持体25の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト21と接する位置で中間転写ベルト21に一次転写される。各作像部22は、中間転写ベルト21に各色のトナー像を順次一次転写していくことにより、中間転写ベルト21にカラー画像を形成する。
【0037】
中間転写ベルト21は、シートPの搬送路30において二次転写ローラー28と接触している。中間転写ベルト21に一次転写された画像は、搬送路30に沿って搬送されるシートPが中間転写ベルト21と二次転写ローラー28との間を通過する際にシートPに二次転写される。そのため、中間転写ベルト21と二次転写ローラー28との接触位置は、シートPに画像を形成する画像形成位置である。
【0038】
定着部29は、搬送路30において画像形成位置の下流側に設けられる。定着部29は、シートPに二次転写された画像をシートPに定着させる。定着部29は、例えば加熱ローラーと加圧ローラーとを有する。定着部29は、画像が形成されたシートPに加熱処理及び加圧処理を施すことにより、画像をシートPに定着させる。
【0039】
ループローラー42、レジストローラー41及びシート検知センサ60は、搬送路30において画像形成位置の上流側に設けられる。ループローラー42は、搬送路30においてレジストローラー41よりも上流側に設けられる。シート検知センサ60は、搬送路30においてループローラー42よりも下流側に設けられる。尚、シート検知センサ60の詳細については後述する。
【0040】
画像形成ユニット3に設けられる搬送路30は、反転路31を有する。反転路31は、シートPの表裏を反転させる搬送路である。例えば、画像形成装置1において両面印刷が行われる場合、画像形成ユニット3は、シートPの第1面に画像形成されたシートPを反転路31に供給し、シートPの表裏を反転させる。画像形成ユニット3は、表裏を反転させたシートPを再び画像形成位置へ供給し、シートPの第2面に画像を形成する。
【0041】
搬送路30は、定着部29の下流側に、反転路31へシートPを供給可能な切替ゲート43を有している。この切替ゲート43は、シートPの搬送経路を、搬送路30の下流側と反転路31とのいずれか一方に切り替え可能である。例えば、定着部29を通過したシートPを反転路31へ供給することなく排紙ユニット4へ送るとき、画像形成ユニット3は、切替ゲート43を搬送路30から退避させる。これに対し、両面印刷において定着部29を通過したシートPを反転路31へ供給するとき、画像形成ユニット3は、切替ゲート43を搬送路30に進入させ、シートPを反転路31へと案内する。反転路31には、シートPを搬送するためのローラー48が設けられている。ローラー48は、反転路31に供給されたシートPを、画像形成位置の上流側の搬送路30に向けて搬送する。
【0042】
画像形成ユニット3において画像が形成されたシートPは、排紙ユニット4へ搬送される。排紙ユニット4は、搬送路30の終端に設けられる、第1排紙口51と、第2排紙口52とを備える。また、排紙ユニット4における搬送路30は、シートPを第1排紙口51に案内する搬送路32と、シートPを第2排紙口52に案内する搬送路33とに分岐している。搬送路30は、その分岐部よりも上流側に、ローラー44を有している。搬送路32は、シートPを搬送するローラー45と、シートPを第1排紙口51に排出する排出ローラー46とを有する。搬送路33は、シートPを第2排紙口52に排出する排出ローラー47を有する。
【0043】
操作パネル5は、ユーザーが操作可能なユーザーインタフェースである。操作パネル5は、表示部と操作部とを備えている。表示部は、ユーザーが操作可能な各種の操作画面を表示する。操作部は、ユーザーによる操作を受け付ける。例えば、操作パネル5は、ユーザーによるジョブの実行指示を受け付ける。また、操作パネル5は、給紙部11,12の給紙トレイ13に積載されたシートPに関するシート情報の入力を受け付ける。
【0044】
制御部6は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する。例えば、画像形成装置1においてジョブが実行されるとき、制御部6は、給紙ユニット2における給紙動作、画像形成ユニット3における画像形成動作、及び、排紙ユニット4における排紙動作を制御する。また、制御部6は、搬送路30に沿ってシートPを搬送する動作も制御する。
【0045】
例えば、画像形成装置1において複数枚のシートPに連続して画像を形成するジョブが実行されるとき、制御部6は、ジョブにおいて指定されているシートPを所定間隔で給紙する。この場合、画像形成装置1は、複数枚のシートPを所定間隔で同時に搬送している状態となる。
【0046】
図2は、ループローラー42、レジストローラー41及びシート検知センサ60の構成例を示す図である。図2(a)に示すように、シート検知センサ60は、重送検知センサ61と、斜行検知センサ62と、片寄り検知センサ63と、タイミング検知センサ64とを備えている。重送検知センサ61は、レジストローラー41と、ループローラー42との間に設けられる。斜行検知センサ62、片寄り検知センサ63、及び、タイミング検知センサ64は、シートPの搬送方向においてレジストローラー41の下流側に設けられる。例えば、斜行検知センサ62、及び、タイミング検知センサ64は、反射型センサとして構成される。また、片寄り検知センサ63は、CIS(Contact Image Sensor)などのラインセンサとして構成される。斜行検知センサ62、片寄り検知センサ63、及び、タイミング検知センサ64のそれぞれが設けられている位置には、背景板65が設けられる。背景板65は、その上面が所定色である。この背景板65には、斜行検知センサ62及びタイミング検知センサ64からの光を透過させる孔が形成されており、不要な反射光が斜行検知センサ62及びタイミング検知センサ64のそれぞれに入射しないように構成される。そのため、背景板65の上面側にシートPが搬送されてくると、斜行検知センサ62、片寄り検知センサ63、及び、タイミング検知センサ64は、そのシートPを検知する。
【0047】
レジストローラー41は、搬送路30に沿って搬送されるシートPの斜行を補正する。例えば、搬送路30に沿ってシートPが搬送されるとき、ループローラー42が回転駆動される。そのため、シートPの先端は、ループローラー42からレジストローラー41に向かって進行する。このとき、レジストローラー41は、回転駆動されていない。そのため、シートPの先端は、レジストローラー41のニップ部に当接した位置で進行が止まる。その後、ループローラー42の回転駆動が継続されると、図2(a)に示すようにシートPが撓む。すなわち、シートPは、レジストローラー41とループローラー42との間でループを形成する。シートPにループが形成されることで、シートPの幅方向において、シートPの先端全体がレジストローラー41のニップ部に当接した状態となる。そのため、シートPが斜行した状態でレジストローラー41まで搬送されてきた場合であっても、レジストローラー41の位置でシートPの斜行が補正される。その後、レジストローラー41は、所定のタイミングで回転駆動され、シートPを搬送方向(F方向)の下流側に向けて搬送する。
【0048】
重送検知センサ61は、例えば超音波センサによって構成される。重送検知センサ61は、発信部61aと、受信部61bとを有する。発信部61aは、搬送路30の上方位置に設けられる。受信部61bは、搬送路30の下方位置に設けられる。発信部61aは、受信部61bに向けて超音波を発信する。受信部61bは、発信部61aから発信される超音波を受信する。図2(a)に示すように発信部61aと受信部61bとの間にシートPが存在する場合、受信部61bが受信する超音波は、シートPの枚数に応じて減衰する。そのため、重送検知センサ61は、受信部61bが受信する超音波強度によってシートPの重送を検知する。
【0049】
図2(b)は、2枚のシートP1,P2が同時に給紙された重送状態を示している。複数枚のシートP1,P2が同時に給紙される重送状態の場合、発信部61aから発信される超音波は複数枚のシートP1,P2を通過して受信部61bに届く。超音波は、複数枚のシートP1,P2のそれぞれを通過する際に減衰する。そのため、複数枚のシートP1,P2が同時に給紙された場合、受信部61bが受信する超音波強度が著しく低下する。重送検知センサ61は、受信部61bが受信する超音波強度が所定値未満である場合、複数枚のシートP1,P2が同時に給紙された重送状態であることを検知する。尚、重送検知センサ61は、シートPの厚みを検知することが可能な構成であっても良い。
【0050】
斜行検知センサ62は、レジストローラー41の下流側において、シートPの幅方向両端の2箇所に設けられる。斜行検知センサ62は、レジストローラー41から送り出されるシートPが斜行しているか否かを検知する。
【0051】
尚、上述のように、シートPの斜行は、レジストローラー41によってある程度補正される。しかし、レジストローラー41は、シートPの斜行を完全に補正できないことがある。その場合、シートPは、レジストローラー41の下流側に斜行した状態で搬送されることがある。
【0052】
図3(a)は、斜行検知センサ62による検知例を示す図である。図3(a)に示すように、斜行検知センサ62は、シートPの幅方向両端の2箇所に設けられたセンサ62a,62bを有している。図3(a)に示すように、レジストローラー41から送り出されるシートPが斜行している場合、センサ62aがセンサ62bよりも先にシートPの先端を検知する。センサ62bは、センサ62aがシートPの先端を検知した後にシートPの先端を検知する。斜行検知センサ62は、センサ62a,62bがシートPの先端を検知する時間差によってシートPが斜行しているか否かを検知する。例えば、センサ62a,62bがシートPの先端を検知する時間差が所定時間(T1)未満である場合、斜行検知センサ62は、シートPが斜行していないことを検知する。これに対し、センサ62a,62bがシートPの先端を検知する時間差が所定時間(T1)以上である場合、斜行検知センサ62は、シートPが斜行していることを検知する。
【0053】
片寄り検知センサ63は、斜行検知センサ62の下流側において、シートPの幅方向両端の2箇所に設けられる。片寄り検知センサ63は、レジストローラー41から送り出されるシートPが搬送路30の幅方向に片寄った状態で搬送されているか否かを検知する。
【0054】
図3(b)は、片寄り検知センサ63による検知例を示す図である。図3(b)に示すように、片寄り検知センサ63は、シートPの幅方向両端の2箇所に設けられたセンサ63a,63bを有している。図3(b)に示すように、レジストローラー41から送り出されるシートPが一方に片寄っている場合、センサ63bによるシートPの検知幅がセンサ63aによるシートPの検知幅よりも大きくなる。片寄り検知センサ63は、センサ63a,63bによるシートPの検知幅の差分によってシートPが片寄った状態で搬送されているか否かを検知する。例えば、センサ63a,63bによるシートPの検知幅の差分が所定値(W1)未満である場合、片寄り検知センサ63は、シートPが片寄っていないことを検知する。これに対し、センサ63a,63bによるシートPの検知幅の差分が所定値(W1)以上である場合、片寄り検知センサ63は、シートPが片寄っていることを検知する。尚、片寄り検知センサ63は、シートPの幅方向一端側の1箇所で片寄りを検知するものであっても構わない。
【0055】
図2に戻り、タイミング検知センサ64は、斜行検知センサ62及び片寄り検知センサ53の上流側に設けられる。タイミング検知センサ64は、中間転写ベルト21に一次転写されたトナー像が画像形成位置へ到達するタイミングと、搬送路30に沿って搬送されるシートPが画像形成位置へ到達するタイミングとを合致させるため、画像形成部20の動作開始タイミングを検知する。画像形成ユニット3は、タイミング検知センサ64によってシートPの先端が検知されたタイミングで画像形成部20の動作を開始し、シートPが画像形成位置を通過するときに、シートPに画像を形成する。
【0056】
また、タイミング検知センサ64は、シートPのシート搬送方向サイズを検知可能である。タイミング検知センサ64は、シートPの先端を検知してオン状態になると、シートPの後端が通過するまでオン状態を維持する。そのため、タイミング検知センサ64は、オン状態が継続する時間を計測することにより、シート搬送方向におけるシートPのサイズを検知する。
【0057】
図4は、制御部6の構成例を示すブロック図である。制御部6は、CPU70と、メモリ71とを備えている。CPU70は、メモリ71に記憶されているプログラム72を読み出して実行するハードウェアプロセッサである。メモリ71は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される記憶デバイスである。メモリ71は、上述したプログラム72を予め記憶する。また、メモリ71は、給紙情報81又はシート情報82を記憶する。尚、シート情報82は、ユーザーが操作パネル5を介して入力したシート情報である。
【0058】
CPU70は、プログラム72を実行することにより、制御部6を、ジョブ制御部73、異常搬送検知部74、排紙制御決定部75、後続シート判断部76、及び、排紙制御部77として機能させる。ただし、後続シート判断部76は、制御部6に任意の機能である。
【0059】
ジョブ制御部73は、画像形成装置1におけるジョブの実行を統括的に制御する。例えば、ジョブ制御部73は、ネットワークを介して印刷ジョブを受信する。ジョブ制御部73は、その印刷ジョブにおいて指定されている各種の設定を、給紙ユニット2、画像形成ユニット3及び排紙ユニット4のそれぞれに反映させた状態でジョブの実行を開始する。また、ジョブ制御部73は、操作パネル5を介して印刷ジョブの実行指示を受け付けた場合も同様にジョブの実行を開始する。尚、以下においては、ジョブ制御部73によって実行されるジョブが、複数枚のシートPを連続給紙して画像を形成するジョブである場合を例示する。
【0060】
ジョブ制御部73は、ジョブの実行を開始すると、第1給紙部11及び第2給紙部12のうち、ジョブの設定で指定されている給紙部を駆動してシートPを給紙する。ジョブにおいて、所定枚数ごとに給紙対象となる給紙部を切り替える設定が行われている場合、ジョブ制御部73は、その設定に基づき、所定枚数ごとに、シートPを給紙する給紙部を切り替える。例えば、ジョブ制御部73は、第1給紙部11及び第2給紙部12のいずれか一方からシートPを給紙すると、メモリ71の給紙情報81に給紙履歴を記録する。そのため、給紙情報81は、搬送路30に沿って搬送されているシートPが第1給紙部11及び第2給紙部12のいずれから給紙されたシートであるかを示している。
【0061】
図5は、画像形成装置1において複数枚のシートPが同時に搬送されている例を示す図である。尚、図5では、シートP1~P6の位置を明示するため、搬送路30以外の構成要素は省略されている。また、図5に示すXは、画像形成部20によってシートPに画像が形成される画像形成位置である。
【0062】
ジョブ制御部73は、複数枚のシートPを連続給紙するジョブを実行すると、シートP1~P6を順に給紙部11又は12から給紙する。それらシートP1~P6が画像形成位置Xを通過するとき、ジョブ制御部73は、各シートP1~P6に予め指定された画像を形成する。このとき、ジョブ制御部73は、タイミング検知センサ64によってシートPの先端が検知されたタイミングで画像形成部20を動作させる。その結果、シートPが画像形成位置Xに到達するタイミングと、中間転写ベルト21に一次転写された画像が画像形成位置Xに到達するタイミングとが合致し、シートPに画像を二次転写することができる。その後、ジョブ制御部73は、画像を形成したシートP1~P6を予め指定された排紙口(例えば第1排紙口51)へ排出する。
【0063】
ジョブ制御部73は、搬送路30に沿って搬送される複数枚のシートP1~P6の現在位置を概ね認識できる。なぜなら、搬送路30に沿って搬送されるシートP1~P6は、搬送路30に沿って所定の搬送速度で搬送されるからである。そのため、ジョブ制御部73は、各シートP1~P6を給紙してからの経過時間によって、各シートP1~P6が搬送路30のどの位置に存在しているかを認識できる。
【0064】
異常搬送検知部74は、ジョブ制御部73によってジョブが実行されているとき、搬送路30を搬送されているシートPの異常搬送を検知する。異常搬送検知部74は、シート検知センサ60からの出力に基づき異常搬送を検知する。例えば、異常搬送検知部74は、重送検知センサ61によって重送状態が検知された場合、シートPが異常搬送されていることを検知する。また、異常搬送検知部74は、斜行検知センサ62によってシートPの斜行が検知された場合、シートPが異常搬送されていることを検知する。また、異常搬送検知部74は、片寄り検知センサ63によってシートPの片寄りが検知された場合、シートPが異常搬送されていることを検知する。更に、異常搬送検知部74は、タイミング検知センサ64によってシート搬送方向に所定サイズ以上のシートサイズが検知された場合、シートPが異常搬送されていることを検知する。
【0065】
シート検知センサ60は、搬送路30において画像形成位置Xよりも上流側に設けられている。そのため、異常搬送検知部74は、給紙されたシートPが画像形成位置Xへ搬送される前に、シートPが異常搬送されているか否かを検知する。また、異常搬送検知部74は、シートPの異常搬送を検知すると、異常搬送されているシートPを特定する。例えば、図5に示すように、シートP4がシート検知センサ60の位置を通過しているときに異常搬送を検知した場合、異常搬送検知部74は、搬送路30に存在する複数枚のシートP1~P6のうち、シートP4が異常搬送されているシートであると特定する。
【0066】
異常搬送検知部74は、シートPの異常搬送を検知すると、ジョブ制御部73によるジョブの実行を一時停止させる。また、異常搬送検知部74は、シートPの異常搬送を検知すると、排紙制御決定部75を機能させる。
【0067】
排紙制御決定部75は、異常搬送検知部74によって異常搬送が検知された場合に、異常搬送されているシートPを排紙する制御を決定する。例えば、図5に示すように、シートP4がシート検知センサ60の位置を通過しているときに異常搬送が検知された場合、排紙制御決定部75は、シートP4を第2排紙口52へ排紙することを決定する。第2排紙口52は、異常搬送されていない正常なシートP1~P3が排出される第1排紙口51と異なる排紙口である。
【0068】
ところで、複数枚のシートPを連続搬送して画像を形成するジョブが実行されているとき、異常搬送が検知されたシートP4に後続するシートP5,P6が、既に給紙部11,12から給紙されていることがある。このとき、後続するシートP5,P6の中に、シートP4と異なる種類のシートが含まれることがある。シートP4に後続するシートP5,P6に、シートP4と異なる種類のシートが含まれる場合、ジョブ制御部73は、シートP5,P6に画像を形成してはならない。そのため、排紙制御決定部75は、シートP4だけでなく、既に給紙済みであるシートP5,P6も第2排紙口52へ排出することを決定する。これにより、従来の問題は解決される。
【0069】
排紙制御部77は、排紙制御決定部75によって決定された制御に基づき、搬送路30内のシートPを排紙する。排紙制御部77は、画像が形成された正常なシートPを第1排紙口51へ排出する。また、排紙制御部77は、異常搬送が検知されたシートP4と、既に給紙済みでシートP4に後続するシートP5,P6を第2排紙口52へ排出する。
【0070】
排紙制御部77は、シートP4,P5,P6の排出を開始することに伴い、ジョブ制御部73によるジョブの実行を再開させる。これにより、ジョブ制御部73は、第2排紙口52へ排出されるシートP4と同じシートを給紙し、ジョブの実行を継続する。尚、排紙制御部77は、シートP4,P5,P6の排出が完了した後に、ジョブ制御部73によるジョブの実行を再開させても良い。
【0071】
図6は、上記制御を行うための画像形成装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、制御部6のCPU70がプログラム72を実行することによって行われる。制御部6は、ジョブの実行を開始すると(ステップS10)、シートPの給紙タイミングであるか否かを判断する(ステップS11)。給紙タイミングである場合(ステップS11でYES)、制御部6は、給紙部11,12のいずれか一方からシートPの給紙を開始する(ステップS12)。
【0072】
シートPの給紙を開始すると、制御部6は、シートPの異常搬送を検知したか否かを判断する(ステップS13)。シートPの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、制御部6は、ジョブの実行を一時停止させる(ステップS14)。制御部6は、異常搬送されているシートPを特定する(ステップS15)。制御部6は、異常搬送されているシートPを第2排紙口52へ排出する動作を開始する(ステップS16)。このとき、制御部6は、第2排紙口52へ排出するシートPに対し、画像を形成しない。これにより、制御部6は、必要のないトナー消費を低減できる。
【0073】
次に、制御部6は、異常搬送されているシートPに後続するシートPが既に給紙済みであるか否かを判断する(ステップS17)。後続するシートPが既に給紙済みである場合(ステップS17でYES)、制御部6は、既に給紙済みの後続するシートPを第2排紙口52へ排出する動作を開始する(ステップS18)。例えば、複数枚のシートPが既に給紙済みである場合、制御部6は、それら複数枚のシートPの全てを第2排紙口52へ排出する。このときも、制御部6は、第2排紙口52へ排出するシートPに対し、画像を形成しない。これにより、制御部6は、必要のないトナー消費を低減できる。また、異常搬送されたシートPに後続するシートPが給紙されていない場合(ステップS17でNO)、制御部6は、ステップS18の処理をスキップする。
【0074】
次に、制御部6は、ジョブの実行を再開する(ステップS19)。尚、ステップS13において制御部6がシートPの異常搬送を検知しなかった場合(ステップS13でNO)、ステップS14~S19の処理は行われない。
【0075】
続いて、制御部6は、次の給紙があるか否かを判断する(ステップS20)。次の給紙がある場合(ステップS20でYES)、制御部6による処理は、ステップS11へ戻る。その場合、制御部6は、次のシートPの給紙タイミングであることを検知すると(ステップS11でYES)、シートPの給紙動作を開始する(ステップS12)。尚、ステップS13でシートPの異常搬送が検知された場合(ステップS13でYES)、制御部6は、ジョブの実行再開後のステップS20においてYESと判断し、第2排紙口52へ排出したシートPに代わるシートPの給紙を開始する(ステップS12)。
【0076】
一方、次の給紙がない場合(ステップS20でNO)、制御部6は、ジョブの実行が終了したか否かを判断する(ステップS21)。例えば、最後のシートPが第1排紙口51へ搬出されていない場合、制御部6は、ステップS21でNOと判断する。この場合、制御部6による処理は、ステップS13へ戻る。そして制御部6は、搬送中のシートPの異常搬送を検知したか否かを繰り返し判断する。そのため、制御部6は、ジョブの実行が終了していないときにシートPの異常搬送を検知すると、異常搬送を検知したシートPを第2排紙口52へ排出する。
【0077】
また、制御部6は、最後のシートPが第1排紙口51へ排出されると、ジョブの実行が終了したと判断する(ステップS21でYES)。この場合、画像形成装置1によるジョブの実行が終了する。
【0078】
制御部6によって上記のような処理が行われることにより、画像形成装置1は、ジョブ実行中に、シートPの異常搬送を検知すると、異常搬送が検知されたシートPを第2排紙口52へ排出する。このとき、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートPだけでなく、異常搬送が検知されたシートPに続いて既に給紙されているシートPを第2排紙口52へ排出する。
【0079】
図7は、異常搬送が検知された場合のシートPの排出例を示す図である。例えば、図5に示したように搬送路30において6枚のシートP1~P6が搬送されているとき、シート検知センサ60がシートP4の異常搬送を検知したと仮定する。この場合、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4よりも前に搬送されているシートP1,P2,P3に対して順次画像を形成し、第1排紙口51へ排出する。また、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4と、シートP4の異常搬送が検知されたときに既に給紙済みであった後続するシートP5,P6とを第2排紙口52へ排出する。このとき、画像形成装置1は、シートP4,P5,P6に対する画像形成を行わない。その後、画像形成装置1は、シートP7を給紙する。シートP7の異常搬送が検知されない場合、画像形成装置1は、シートP4に印刷すべきであった画像をシートP7に印刷し、第1排紙口51へ排出する。シートP7以降のシートも同様である。
【0080】
上記のような排出処理により、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4に後続するシートP5,P6の中に、仕切紙や表紙として使用されるシートが含まれる場合、仕切紙や表紙として使用されるシートに画像を形成することなく、シートを第2排紙口52へ排出できる。したがって、画像形成装置1は、仕切紙や表示などのシートに間違った画像が形成されることを未然に防ぐことができる。
【0081】
また図4に示すように、制御部6は、後続シート判断部76を機能させることにより、シートP5,P6の種類を判断しても良い。後続シート判断部76は、例えばシートP4の異常搬送が検知されると、シートP4に後続する給紙済みのシートP5,P6の種類がシートP4の種類と同一であるか否かを判断する。シートP5,P6がシートP4と同一種類である場合、シートP5,P6の中に仕切紙や表示などの特別なシートは含まれない。そのため、シートP5,P6がシートP4と同一種類である場合、画像形成装置1は、シートP5,P6の通常搬送を継続し、シートP5,P6のそれぞれに画像を順次形成しても良い。
【0082】
例えば、後続シート判断部76は、メモリ71に記憶されている給紙情報81を読み出し、シートP5,P6を給紙した給紙部がシートP4を給紙した給紙部と同じであるか否かを判断する。図8(a)は、給紙情報81の一例を示している。図8(a)に示すように、給紙情報81には、シートPの給紙順序に従って、給紙元である給紙部に「YES」が記録されている。したがって、後続シート判断部76は、給紙情報81を参照することにより、異常搬送が検知されたシートP4に後続する給紙済みシートP5,P6がシートP4と同じ給紙部から給紙されたシートであるか否かを判断することができる。シートP5,P6がシートP4と同じ給紙部から給紙されている場合、シートP5,P6はシートP4と同一種類である。そのため、後続シート判断部76は、シートP5,P6がシートP4と同じ給紙部から給紙されているか否かを判断することにより、シートP5,P6がシートP4と同一種類であるか否かを判断することができる。
【0083】
また、後続シート判断部76は、メモリ71から給紙情報81とシート情報82とを読み出し、シートP5,P6がシートP4と同一種類であるか否かを判断しても良い。図8(b)は、シート情報82の一例を示している。シート情報82は、第1給紙部11の給紙トレイ13に積載されたシートPに関するシート情報(種類、サイズ等)と、第2給紙部12の給紙トレイ13に積載されたシートPに関するシート情報(種類、サイズ等)とを含む。そのため、後続シート判断部76は、第1給紙部11から給紙されたシートPの種類と、第2給紙部12から給紙されたシートPの種類とを特定することができる。具体的には、後続シート判断部76は、複数枚のシートを給紙した給紙部がそれぞれ異なる場合であっても、シート情報82を参照することにより、それら複数枚のシートが同一種類であるか否かを判断することができる。それ故、後続シート判断部76は、シートP4,P5,P6のそれぞれを給紙した給紙部に対応するシート情報82を参照することにより、シートP5,P6がシートP4と同一種類であるか否かを判断できる。
【0084】
排紙制御決定部75は、後続シート判断部76によってシートP5,P6がシートP4と同一種類であると判断された場合、異常搬送が検知されたシートP4のみを第2排紙口52へ排出することを決定する。加えて、排紙制御決定部75は、シートP5,P6を通常搬送し、シートP5,P6のそれぞれに画像を順次形成することを決定する。そして排紙制御決定部75は、画像が形成されたシートP5,P6を第1排紙口51へ排出することを決定する。
【0085】
排紙制御部77は、排紙制御決定部75による決定結果に基づき、シートの排出動作を制御する。すなわち、排紙制御部77は、シートP4を第2排紙口52へ排出し、シートP5,P6を第1排紙口51へ排出する。その結果、画像形成装置1は、シートP5,P6を第2排紙口52へ排出することなく、シートP5,P6を用いてジョブの実行を継続できる。したがって、画像形成装置1によるジョブの実行効率が向上する。
【0086】
図9は、後続シート判断部76が機能する場合の画像形成装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートが、図6に示したフローチャートと異なる点は、ステップS25,S26である。以下、ステップS25,S26について説明する。
【0087】
制御部6は、異常搬送されているシートP4に後続するシートP5,P6が既に給紙済みである場合(ステップS17でYES)、シートP5,P6が異常搬送されているシートP4と同じ種類のシートであるか否かを判断する(ステップS25)。このとき、制御部6の後続シート判断部76が機能する。後続シート判断部76は、給紙情報81又はシート情報82を参照し、シートP5,P6がシートP4と同じ種類であるか否かを判断する。
【0088】
シートP5,P6がシートP4と同じ種類である場合(ステップS25でYES)、画像形成装置1は、シートP4に後続するシートP5,P6に画像を形成しても良い。そのため、制御部6は、シートP5,P6の通常搬送を継続し、ジョブの実行を再開する(ステップS19)。
【0089】
これに対し、シートP5,P6の中に、シートP4と異なる種類のシートが含まれている場合(ステップS25でNO)、制御部6は、シートP4と同様に、シートP5,P6を第2排紙口52へ排出する(ステップS26)。このとき、制御部6は、第2排紙口52へ排出するシートP5,P6に画像を形成しない。これにより、制御部6は、必要のないトナー消費を低減できる。また、異常搬送されたシートに後続するシートが給紙されていない場合(ステップS17でNO)、制御部6は、ステップS25,S26の処理をスキップする。
【0090】
図10は、異常搬送が検知されたシートP4に後続するシートP5,P6がシートP4と同一種類であると判断された場合のシートPの排出例を示す図である。例えば、図5に示したように6枚のシートP1~P6が搬送されているとき、シート検知センサ60がシートP4の異常搬送を検知したと仮定する。この場合、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4よりも前に搬送されているシートP1,P2,P3に対して順次画像を形成し、第1排紙口51へ通常排出する。また、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4のみを第2排紙口52へ異常排出する。このとき、画像形成装置1は、シートP4に画像を形成しない。シートP4の異常搬送が検知されたとき、既に給紙済みであった後続するシートP5,P6は、シートP4と同一種類である。そのため、画像形成装置1は、シートP5,P6を搬送路30に沿って通常搬送し、ジョブの実行を再開する。つまり、画像形成装置1は、シートP5,P6に対して順次画像を形成し、第1排紙口51へ通常排出する。このとき、シートP5に形成される画像は、シートP4に印刷予定であった画像である。したがって、異常搬送が検知されたシートP4に後続するシートP5,P6がシートP4と同一種類である場合、画像形成装置1は、第2排紙口52へ異常排出するシートを1枚のシートP4だけに低減できる。
【0091】
一方、後続シート判断部76は、異常搬送が検知されたシートP4に後続するシートP5,P6がシートP4と同一種類でないと判断することがある。その場合、シートPの排出例は、図7に示した排出例と同じである。尚、制御部6は、シートP4に後続するシートP5,P6の中に、シートP4と同一種類でない1枚のシートが含まれると判断した場合、その1枚のシートを第2排紙口52へ排出しても良い。
【0092】
また、画像形成装置1は、両面印刷ジョブが実行されている場合、異常搬送が検出された時点で先行するシートPが反転路31を搬送されていることがある。排紙制御決定部75は、切替判断部78を備えている。切替判断部78は、両面印刷ジョブが実行されているときにシートPの異常搬送が検知されると、機能する。切替判断部78は、第2排紙口52へシートを排出するとき、反転路31を経由させることなく排出するか、或いは、反転路31を経由させて排出するかの切替判断を行う。
【0093】
図11は、画像形成装置1において両面印刷ジョブが実行されているときの複数枚のシートP1~P6の搬送位置の一例を示す図である。図11に示す例では、1枚目のシートP1が反転路31を経由して画像形成位置Xを既に通過している。そのため、1枚目のシートP1は、第1面及び第2面の両面に画像が形成されている。2枚目のシートP2及び3枚目のシートP3は、第1面に画像が形成された後、反転路31を搬送されている状態である。4枚目のシートP4は、シート検知センサ60の位置を通過し、第1面への画像形成のために画像形成位置Xに向かっている状態である。5枚目のシートP5及び6枚目のシートP6は、給紙ユニット2の内部の搬送路30を搬送されている状態である。例えば、2枚目のシートP2は、シートP4とシートP5との間で元の搬送路30に戻る。また、3枚目のシートP3は、シートP5とシートP6との間で元の搬送路30に戻る。
【0094】
上記のような状態のとき、シート検知センサ60がシートP4の異常搬送を検知したと仮定する。シートP4の異常搬送が検知されると、制御部6は、上述したように、シートP4を第2排紙口52へ排出する。このとき、切替判断部78は、第2排紙口52への排出ルートとして、反転路31を経由させるルートと、反転路31を経由させないルートとのいずれか一方を選択する。例えば、第2排紙口52への排出対象となるシートPの先端が既に切替ゲート43へ到達し、切替ゲート43がシートPの先端を反転路31へ案内している場合、切替判断部78は、反転路31を経由させるルートを選択する。これに対し、第2排紙口52への排出対象となるシートPの先端が未だ切替ゲート43に到達しておらず、反転路31を経由させることなく排紙可能である場合、切替判断部78は、反転路31を経由させないルートを選択する。
【0095】
例えば図11に示す状態でシートP4の異常搬送が検知された場合、シートP4は、未だ画像形成位置Xに到達していない。そのため、切替判断部78は、シートP4の排出ルートとして反転路31を経由させないルートを選択する。
【0096】
また排紙制御決定部75は、シートP4に後続するシートP2,P5,P3,P6の排紙制御を決定する。すなわち、排紙制御決定部75は、シートP2,P5,P3,P6のそれぞれを第2排紙口52へ排出するか否かを決定する。このとき、切替判断部78は、第2排紙口52へ排出することが決定されたシートを第2排紙口52へ排出するためのルートとして、反転路31を経由させるルートと、反転路31を経由させないルートとのいずれか一方を選択する。
【0097】
図12は、両面印刷時に反転路31を経由させるか否かを判断する処理手順を示すフローチャートである。図12に示すステップS27~S29は、例えば図6に示すフローチャートのステップS17とS18との間に挿入される処理である。尚、以下においては、図11に示す状態でシートP4の異常搬送が検知された場合を例示してフローチャートを説明する。
【0098】
制御部6は、両面印刷ジョブの実行中に、異常搬送を検知したシートP4を第2排紙口52へ排出する(図6のステップS16)。その後、制御部6は、シートP4に後続するシートが既に給紙済みであるか否かを判断する(図6のステップS17)。このとき、制御部6は、シートP4に後続するシートであるか否かの判断基準として次の2つの判断基準のうちのいずれかを採用する。
【0099】
第1の判断基準は、シートP4が画像形成位置Xを通過した後に、画像形成位置Xを通過するシートの全てを、後続するシートと判断する基準である。例えば図11に示す状態である場合、シートP4が画像形成位置Xを通過した後、シートP2,P5,P3,P6が順に画像形成位置Xを通過する。そのため、第1の判断基準を採用すると、制御部6は、シートP2,P5,P3,P6を、シートP4に後続するシートとして判断する。
【0100】
第2の判断基準は、シートP4が給紙された後に給紙部11,12から給紙されたシートを、後続するシートとして判断する基準である。例えば図11に示す状態である場合、シートP4が給紙された後に給紙部11,12から給紙されたシートは、シートP5,P6である。そのため、第2の判断基準を採用すると、制御部6は、シートP5,P6を、シートP4に後続するシートとして判断する。
【0101】
シートP4に後続するシートが既に給紙済みである場合(ステップS17でYES)、制御部6は、それら後続するシートを第2排紙口52へ排出させる際、反転路31を経由させることなく排出可能であるか否かを判断する(ステップS27)。このとき、制御部6は、シートP4に後続する複数枚のシートがあれば、それら複数枚のシートの1つ1つについて反転路31を経由させることなく排出可能であるか否かを判断しても良い。
【0102】
制御部6は、反転路31を経由させることなく、第2排紙口52へ排出可能である場合(ステップS27でYES)、第2排紙口52へ排出するルートとして、反転路31を経由しない搬送路30を設定する(ステップS28)。また、制御部6は、反転路31を経由させることなく、第2排紙口52へ排出することが不可能である場合(ステップS27でNO)、第2排紙口52へ排出するルートとして、反転路31を経由させる搬送路30を設定する(ステップS29)。制御部6は、このような排出ルートの設定を、シートP4に後続するシートの1つ1つについて行っても良い。
【0103】
したがって、画像形成装置1は、両面印刷ジョブを実行しているとき、シートP4が異常搬送されていることを検知すると、そのシートP4に後続するシートの排出ルートとして、反転路31を経由させるルートと、反転路31を経由させないルートとのいずれか一方を選択する。これにより、画像形成装置1は、搬送路30においてジャムを発生させることなく、シートP4に後続するシートを第2排紙口52へ排出することができる。
【0104】
また、制御部6は、異常搬送が検知されたシートP4を第2排紙口52へ排出するときにも、反転路31を経由させることなく、シートP4を第2排紙口52へ排出可能であるか否かを判断することが好ましい。制御部6は、その判断結果に基づき、シートP4の排出ルートを決定し、第2排紙口52へ排出する。
【0105】
図13は、両面印刷ジョブの実行中にシートP4の異常搬送が検知された場合のシートPの排出例を示す図である。例えば、図11に示したように6枚のシートP1~P6が搬送されているとき、シート検知センサ60がシートP4の異常搬送を検知したと仮定する。この場合、シートPの排出例としては、図13(a)、(b)、(c)の3通りがある。
【0106】
図13(a)は、第1の排出例を示している。この第1の排出例では、上述した第1の判断基準が採用されている。図13(a)の場合、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4よりも前に搬送されているシートP1の両面に対して画像(画像1,2)を形成し、第1排紙口51へ通常排出する。また、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4を第2排紙口52へ異常排出する。図11に示す状態では、シートP4は画像形成位置Xに到達していない。そのため、画像形成装置1は、シートP4に画像を形成しない。また、画像形成装置1は、反転路31を経由させることなく、シートP4を搬送し、第2排紙口52へ排出する。また、画像形成装置1は、シートP4に後続するシートP2,P5,P3,P6を順に第2排紙口52へ搬送する。図11に示す状態では、シートP2,P3は既に反転路31を搬送されている。そのため、画像形成装置1は、シートP2,P3を反転路31経由で第2排紙口52へ導く。また、画像形成装置1は、シートP5,P6を、反転路31を経由させることなく第2排紙口52へ導く。
【0107】
第2排紙口52へ導かれるシートP2は、第1面に画像(画像3)が既に形成されている。画像形成装置1は、そのシートP2を第2排紙口52へ搬送するとき、シートP2の第2面に画像を形成しない。同様に、第2排紙口52へ導かれるシートP3は、第1面に画像(画像5)が既に形成されている。画像形成装置1は、そのシートP3を第2排紙口52へ搬送するとき、シートP3の第2面に画像を形成しない。
【0108】
その後、画像形成装置1は、シートP7を給紙し、シートP7の異常搬送が検知されないことを条件として、シートP7の第1面及び第2面の両面に画像(画像3,4)を形成する。そして画像形成装置1は、シートP7を第1排紙口51へ通常搬送する。
【0109】
次に、図13(b)は、第2の排出例を示している。この第2の排出例では、上述した第2の判断基準が採用されている。図13(b)の場合、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4よりも前に搬送されているシートP1の両面に対して画像(画像1,2)を形成し、第1排紙口51へ通常排出する。また、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4を第2排紙口52へ異常排出する。図11に示す状態では、シートP4は画像形成位置Xに到達していない。そのため、画像形成装置1は、シートP4に画像を形成しない。また、画像形成装置1は、反転路31を経由させることなく、シートP4を搬送し、第2排紙口52へ排出する。
【0110】
画像形成装置1は、シートP4に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP2の第2面に対して画像(画像4)を形成する。これにより、シートP2の第1面及び第2面の両面に画像(画像3,4)が形成される。そして画像形成装置1は、シートP2を第1排紙口51へ排出する。次に、画像形成装置1は、シートP2に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP5を第2排紙口52へ排出する。図11に示す状態では、シートP5は画像形成位置Xに到達していない。そのため、画像形成装置1は、シートP5に画像を形成しない。また、画像形成装置1は、反転路31を経由させることなく、シートP5を搬送し、第2排紙口52へ排出する。
【0111】
画像形成装置1は、シートP5に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP3の第2面に対して画像(画像6)を形成する。これにより、シートP3の第1面及び第2面の両面に画像(画像5,6)が形成される。そして画像形成装置1は、シートP3を第1排紙口51へ排出する。次に、画像形成装置1は、シートP3に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP6を第2排紙口52へ排出する。図11に示す状態では、シートP6は画像形成位置Xに到達していない。そのため、画像形成装置1は、シートP6に画像を形成しない。また、画像形成装置1は、反転路31を経由させることなく、シートP6を搬送し、第2排紙口52へ排出する。
【0112】
その後、画像形成装置1は、シートP7を給紙し、シートP7の異常搬送が検知されないことを条件として、シートP7の第1面及び第2面の両面に画像(画像7,8)を形成する。そして画像形成装置1は、シートP7を第1排紙口51へ通常搬送する。
【0113】
次に、図13(c)は、第3の排出例を示している。この第3の排出例では、上述した第2の判断基準が採用されている。また、第3の排出例では、シートP4に後続するシートP5,P6がシートP4と同一種類であるか否かが判断され、排紙制御が決定される。図13(c)の場合、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4よりも前に搬送されているシートP1の両面に対して画像(画像1,2)を形成し、第1排紙口51へ通常排出する。また、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートP4を第2排紙口52へ異常排出する。図11に示す状態では、シートP4は画像形成位置Xに到達していない。そのため、画像形成装置1は、シートP4に画像を形成しない。また、画像形成装置1は、反転路31を経由させることなく、シートP4を搬送し、第2排紙口52へ排出する。
【0114】
例えばシートP5,P6がシートP4と同一種類である場合、画像形成装置1は、シートP4のみを第2排紙口52へ排出する。また、画像形成装置1は、シートP5,P6に対して画像形成を行うことを決定する。
【0115】
画像形成装置1は、シートP4に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP2の第2面に対して画像(画像4)を形成する。これにより、シートP2の第1面及び第2面の両面に画像(画像3,4)が形成される。そして画像形成装置1は、シートP2を第1排紙口51へ排出する。画像形成装置1は、シートP2に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP5の第1面に対して画像(画像7)を形成し、シートP5を反転路31へ案内する。
【0116】
画像形成装置1は、シートP5に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP3の第2面に対して画像(画像6)を形成する。これにより、シートP3の第1面及び第2面の両面に画像(画像5,6)が形成される。そして画像形成装置1は、シートP3を第1排紙口51へ排出する。画像形成装置1は、シートP3に続いて画像形成位置Xへ搬送されるシートP6の第1面に対して画像(画像9)を形成し、シートP6を反転路31へ案内する。その後、画像形成装置1は、シートP5の第2面に対して画像(画像6)を形成する。また、画像形成装置1は、シートP6の第2面に対して画像(画像10)を形成する。そして、画像形成装置1は、シートP1,P2,P3,P5,P6を順に第1排紙口51へ排出する。
【0117】
図13(c)に示す第3の排出例は、第1及び第2の排出例と比較して、第2排紙口52へ排出されるシートPの数を少なくすることができる。そのため、画像形成装置1は、両面印刷ジョブを効率的に実行できる。
【0118】
尚、上記においては、なるべく反転路31を経由させることなく、第2排紙口52へ排出する例について述べた。しかし、これに限られるものではない。例えば、両面印刷時において、異常搬送が検知されたシート及びそれに後続するシートを第2排紙口52へ排出するとき、それらのシートを反転路31に案内し、反転路31を経由させた後に第2排紙口52へ排出するようにしても構わない。
【0119】
ところで、画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートを第2排紙口52に向けて搬送すると、搬送路30の途中でシートジャムが発生することがある。シートジャムが発生するか否かは、異常搬送の程度による。シートジャムが発生すると、搬送路30からシートを除去するのに手間がかかる。寧ろ、シートが紙詰まりする前に、ジョブを停止させた方が、シートの取り出しが簡単である。そこで、画像形成装置1は、シートの異常搬送を検知すると、その異常搬送の程度を判断する。異常搬送の程度が所定値よりも大きい場合、画像形成装置1は、ジョブの実行を停止させることが好ましい。ジョブの実行を停止させると、シートの搬送が停止するからである。以下、そのような幾つかの実施例について説明する。
【0120】
図14は、異常搬送として複数枚のシートの重送を検知した場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。図14に示すステップS30~S33は、例えば図6に示すフローチャートのステップS13とS14との間に挿入される処理である。
【0121】
制御部6は、ジョブの実行中にシートPの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、重送検知センサ61によって重送状態が検知されたか否かを判断する(ステップS30)。検知された異常搬送が重送状態でない場合(ステップS30でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。これに対し、検知された異常搬送が重送状態である場合(ステップS30でYES)、制御部6は、複数枚のシートの連れ送り量を検知する(ステップS31)。
【0122】
例えば、異常搬送検知部74は、重送検知センサ61の検知結果によって重送状態を検知すると、タイミング検知センサ64がオン状態を維持する時間をカウントする。上述のように、タイミング検知センサ64は、シートの先端を検知してオン状態になると、シートの後端が通過するまでオン状態を維持する。複数枚のシートが同時に搬送される重送状態のとき、タイミング検知センサ64は、同時搬送される複数枚のシートが通過している間、オン状態となる。例えば2枚のシートがシートの搬送方向にずれた状態で搬送されていると、2枚のシートがタイミング検知センサ64による検知位置を通過する時間が長くなる。その結果、タイミング検知センサ64がオン状態である時間も長くなる。異常搬送検知部74は、そのオン状態の時間をカウントすることにより、重送状態における連れ送り量を検知する。すなわち、連れ送り量は、複数枚のシートが連なって搬送されている状態におけるシート搬送方向のシート長さに相当する。
【0123】
制御部6は、複数枚のシートの連れ送り量を検知すると、その連れ送り量が所定の閾値V以上であるか否かを判断する(ステップS32)。連れ送り量が閾値V以上である場合、異常搬送の程度が所定値よりも大きいことになる。その場合、異常搬送が検知されたシートを搬送路30に沿って搬送するとジャムが発生する可能性が高い。それ故、制御部6は、連れ送り量が閾値V以上である場合(ステップS32でYES)、ジョブの実行を停止する(ステップS33)。これにより、異常搬送が検知されたシートの搬送が止まる。したがって、画像形成装置1は、ジャムが発生する前に、ジョブの実行を停止させることができる。
【0124】
次に図15は、両面印刷時に反転路31を経由させるか否かを連れ送り量に応じて判断する処理手順を示すフローチャートである。図15に示すステップS35~S41は、例えば図6に示すフローチャートのステップS17とS18との間に挿入される処理である。尚、以下においては、シートの異常搬送が重送状態である場合を説明する。
【0125】
制御部6は、異常搬送を検知したシートに後続するシートが既に給紙済みであると判断すると(ステップS17でYES)、異常搬送されているシートの連れ送り量を検知する(ステップS35)。続いて、制御部6は、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを第2排紙口52へ排出させる際、反転路31を経由させることなく排出可能であるか否かを判断する(ステップS36)。
【0126】
制御部6は、反転路31を経由させることなく、後続するシートを第2排紙口52へ排出することが不可能である場合(ステップS36でNO)、ステップS35で検知した連れ送り量が所定の閾値V1以上であるか否かを判断する(ステップS37)。重送状態であるシートを反転路31へ導くとき、重なった複数枚のシートがばらけてしまう可能性があり、ジャムが発生しやすくなる。そのため、閾値V1は、比較的小さな値に予め設定される。制御部6は、連れ送り量がその閾値V1以上である場合(ステップS37でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS39)。これにより、画像形成装置1は、ジャムの発生を未然に防ぐことができる。これに対し、連れ送り量が閾値V1未満である場合(ステップS37でNO)、制御部6は、後続するシートを第2排紙口52へ排出するルートとして、反転路31を経由させる搬送路30を設定する(ステップS38)。
【0127】
これに対し、反転路31を経由させることなく、後続するシートを第2排紙口52へ排出可能である場合(ステップS36でYES)、制御部6は、ステップS35で検知した連れ送り量が所定の閾値V2以上であるか否かを判断する(ステップS40)。この場合の閾値V2は、上述した閾値V1よりも大きい値である。反転路31を経由させることなく、シートを第2排紙口52へ搬送する場合は、反転路31へシートを案内する場合と比較すると、複数枚のシートがばらけてしまう可能性は低い。しかし、連れ送り量がかなり大きい場合には搬送路30において複数枚のシートがばらけてしまう可能性がある。それ故、閾値V2は閾値V1よりも大きな値として予め設定される。制御部6は、連れ送り量が閾値V2以上である場合(ステップS40でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS39)。これにより、画像形成装置1は、ジャムの発生を未然に防ぐことができる。これに対し、連れ送り量が閾値V2未満である場合(ステップS40でNO)、制御部6は、後続するシートを第2排紙口52へ排出するルートとして、反転路31を経由させない搬送路30を設定する(ステップS41)。
【0128】
したがって、画像形成装置1は、両面印刷ジョブを実行しているときにシートが重送状態であることを検知すると、その連れ送り量に応じてジョブの実行を停止させることができる。
【0129】
次に図16及び図17は、連れ送り量とは異なる要因でジョブを停止させる処理手順を示すフローチャートである。
【0130】
まず図16(a)は、シートの厚みに応じてジョブを停止させるか否かを決定するフローチャートである。図16(a)に示すステップS50~S53は、例えば図6に示すフローチャートのステップS13とS14との間に挿入される処理である。
【0131】
制御部6は、ジョブの実行中にシートの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、重送検知センサ61によって重送状態が検知されたか否かを判断する(ステップS50)。検知された異常搬送が重送状態でない場合(ステップS30でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。
【0132】
これに対し、検知された異常搬送が重送状態である場合(ステップS50でYES)、制御部6は、シートの厚みを検知する(ステップS51)。例えば、異常搬送検知部74は、重送検知センサ61の検知結果に基づき、シートの厚みを検知する。制御部6は、異常搬送検知部74によって検知されたシートの厚みが所定範囲外か否かを判断する(ステップS52)。例えば、シートの厚みが所定範囲に満たない薄紙である場合、シートの搬送を継続するとジャムが発生しやすい。また、シートの厚みが所定範囲を超えるような厚紙である場合もジャムが発生しやすくなる。そのため、制御部6は、シートの厚みが所定範囲外である場合(ステップS52でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS53)。これにより、画像形成装置1は、ジャムが発生する前にジョブの実行を停止させることができる。
【0133】
また、シートの厚みが所定範囲内である場合(ステップS52でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。この場合、異常搬送が検知されたシートは、搬送路30を搬送され、第2排紙口52へ排出される。そして画像形成装置1は、ジョブの実行を継続する。尚、図16(a)に示す処理は、本実施形態において説明する他の処理と組み合わせて実行しても良い。
【0134】
次に図16(b)は、シートの傾きに応じてジョブを停止させるか否かを決定するフローチャートである。図16(b)に示すステップS55~S58は、例えば図6に示すフローチャートのステップS13とS14との間に挿入される処理である。
【0135】
制御部6は、ジョブの実行中にシートの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、斜行検知センサ62によって斜行が検知されたか否かを判断する(ステップS55)。検知された異常搬送が斜行でない場合(ステップS55でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。
【0136】
これに対し、検知された異常搬送が斜行である場合(ステップS55でYES)、制御部6は、シートの傾きを検知する(ステップS56)。例えば、異常搬送検知部74は、斜行検知センサ62の検知結果に基づき、シートの傾きを検知する。制御部6は、異常搬送検知部74によって検知されるシートの傾きが所定量以上であるか否かを判断する(ステップS57)。例えば、シートの傾きが所定量以上である場合、シートの搬送を継続するとジャムが発生しやすくなる。そのため、制御部6は、シートの傾きが所定量以上である場合(ステップS57でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS58)。これにより、画像形成装置1は、ジャムが発生する前にジョブの実行を停止させることができる。
【0137】
また、シートの傾きが所定量未満である場合(ステップS57でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。この場合、異常搬送が検知されたシートは、搬送路30を搬送され、第2排紙口52へ排出される。そして画像形成装置1は、ジョブの実行を継続する。尚、図16(b)に示す処理は、本実施形態において説明する他の処理と組み合わせて実行しても良い。
【0138】
次に図16(c)は、シートサイズに応じてジョブを停止させるか否かを決定するフローチャートである。図16(c)に示すステップS60~S63は、例えば図6に示すフローチャートのステップS13とS14との間に挿入される処理である。
【0139】
制御部6は、ジョブの実行中にシートの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、斜行検知センサ62によって斜行が検知されたか否かを判断する(ステップS60)。検知された異常搬送が斜行でない場合(ステップS60でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。
【0140】
これに対し、検知された異常搬送が斜行である場合(ステップS60でYES)、制御部6は、シートサイズを検知する(ステップS61)。例えば、異常搬送検知部74は、タイミング検知センサ64の検知結果に基づき、シート搬送方向のシート長さを検知する。制御部6は、異常搬送検知部74によって検知されるシートサイズ(シート長さ)が所定範囲外であるか否かを判断する(ステップS62)。例えば、シートサイズが所定範囲を超えるサイズである場合、シートの搬送を継続するとジャムが発生しやすくなる。そのため、制御部6は、シートサイズが所定範囲外である場合(ステップS62でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS63)。これにより、画像形成装置1は、ジャムが発生する前にジョブの実行を停止させることができる。
【0141】
また、シートサイズが所定範囲内である場合(ステップS62でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。この場合、異常搬送が検知されたシートは、搬送路30を搬送され、第2排紙口52へ排出される。そして画像形成装置1は、ジョブの実行を継続する。尚、図16(c)に示す処理は、本実施形態において説明する他の処理と組み合わせて実行しても良い。
【0142】
尚、異常搬送検知部74は、タイミング検知センサ64の検知結果に基づいてシート長さを検知するものに限られない。例えば、上述したシート情報82には、シートのサイズ情報が含まれている。そのため、異常搬送検知部74は、検知された異常搬送が斜行である場合(ステップS60でYES)、ステップS62においてシート情報82に基づいてシートサイズが所定範囲外であるか否かを判断しても良い。
【0143】
次に図17(a)は、シート幅に応じてジョブを停止させるか否かを決定するフローチャートである。図17(a)に示すステップS65~S68は、例えば図6に示すフローチャートのステップS13とS14との間に挿入される処理である。
【0144】
制御部6は、ジョブの実行中にシートの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、斜行検知センサ62によって斜行が検知されたか否かを判断する(ステップS65)。検知された異常搬送が斜行でない場合(ステップS65でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。
【0145】
これに対し、検知された異常搬送が斜行である場合(ステップS65でYES)、制御部6は、シート幅を検知する(ステップS66)。例えば、異常搬送検知部74は、片寄り検知センサ63の検知結果に基づき、シート搬送方向に直交する方向のシート幅を検知する。制御部6は、異常搬送検知部74によって検知されるシート幅が所定幅以上であるか否かを判断する(ステップS67)。例えば、シート幅が所定幅以上である場合、シートの搬送を継続するとジャムが発生しやすくなる。そのため、制御部6は、シート幅が所定幅以上である場合(ステップS67でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS68)。これにより、画像形成装置1は、ジャムが発生する前にジョブの実行を停止させることができる。
【0146】
また、シート幅が所定幅未満である場合(ステップS67でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。この場合、異常搬送が検知されたシートは、搬送路30を搬送され、第2排紙口52へ排出される。そして画像形成装置1は、ジョブの実行を継続する。尚、図17(a)に示す処理は、本実施形態において説明する他の処理と組み合わせて実行しても良い。
【0147】
次に図17(b)は、シート幅に応じてジョブを停止させるか否かを決定するフローチャートである。図17(b)に示すステップS70~S73は、例えば図6に示すフローチャートのステップS13とS14との間に挿入される処理である。
【0148】
制御部6は、ジョブの実行中にシートの異常搬送を検知すると(ステップS13でYES)、片寄り検知センサ63によってシートの片寄りが検知されたか否かを判断する(ステップS70)。検知された異常搬送がシートの片寄りでない場合(ステップS70でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。
【0149】
これに対し、検知された異常搬送がシートの片寄りである場合(ステップS70でYES)、制御部6は、シートの片寄り量を検知する(ステップS71)。例えば、異常搬送検知部74は、片寄り検知センサ63の検知結果に基づき、シート搬送方向に直交する方向に対するシートの片寄り量を検知する。制御部6は、異常搬送検知部74によって検知されるシートの片寄り量が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS72)。例えば、シートの片寄り量が所定値以上である場合、シートの搬送を継続するとジャムが発生しやすくなる。そのため、制御部6は、シートの片寄り量が所定値以上である場合(ステップS72でYES)、ジョブの実行を停止させる(ステップS73)。これにより、画像形成装置1は、ジャムが発生する前にジョブの実行を停止させることができる。
【0150】
また、シートの片寄り量が所定値未満である場合(ステップS72でNO)、制御部6による処理は、図6のステップS14へと進む。この場合、異常搬送が検知されたシートは、搬送路30を搬送され、第2排紙口52へ排出される。そして画像形成装置1は、ジョブの実行を継続する。尚、図17(b)に示す処理は、本実施形態において説明する他の処理と組み合わせて実行しても良い。
【0151】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、ジョブの実行中、シートの異常搬送を検知しないときには、シートを第1排紙口51に排出する。また、画像形成装置1は、シートの異常搬送を検知したときには、異常搬送を検知したシート、及び、既に給紙済みの後続するシートの全てを、第1排紙口51とは異なる第2排紙口52に排出することが可能な構成である。ここで、第1排紙口51及び第2排紙口52は、排紙ユニット4に搭載されている標準的な排紙口である。そのため、画像形成装置1は、異常搬送を検知したシートを第2排紙口52へ排出するために専用の搬送路を設ける必要がない。また、画像形成装置1は、異常搬送を検知したシート、及び、既に給紙済みの後続するシートの全てを第2排紙口52へ排出する。そのため、画像形成装置1は、ジョブの実行中に、シートに間違った画像を形成することがない。
【0152】
また、本実施形態の画像形成装置1は、後続シート判断部76を備えている。後続シート判断部76は、シートの異常搬送が検知された場合、既に給紙済みであり、且つ、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類であるか否かを判断する。そして画像形成装置1は、異常搬送が検知されたシートに後続する全てのシートが、異常搬送が検知されたシートの種類と同一種類である場合、異常搬送が検知されたシートのみを第2排紙口52に排出させ、異常搬送が検知されたシートに後続するシートを画像が形成された後に第1排紙口51に搬出させる。したがって、画像形成装置1は、ジョブの実行中に異常搬送を検知した場合において、第2排紙口52へ排出するシートを最小限に抑えることができる。
【0153】
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0154】
例えば、上記実施形態では、画像形成部20が電子写真方式でシートに画像を形成する構成である場合を説明した。しかし、画像形成部20による画像形成方式は電子写真方式には限られない。例えば、画像形成部20は、インクジェット方式でシートに画像を形成するものであっても構わない。
【0155】
また、上記実施形態では、制御部6のCPU70によって実行されるプログラム72が予めメモリ71に記憶されている例を説明した。しかし、プログラム72は、必ずしもメモリ71に予め記憶されているものに限られない。すなわち、プログラム72は、それ自体が取引の対象となり得るものである。そのため、プログラム72は、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な形態で提供されるもの、又は、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供されるものの双方を含んでいる。
【符号の説明】
【0156】
1 画像形成装置
2 給紙ユニット
3 画像形成ユニット
4 排紙ユニット
6 制御部
11,12 給紙部
20 画像形成部
30 搬送路
31 反転路
51 第1排紙口
52 第2排紙口
72 プログラム
73 ジョブ制御部
74 異常搬送検知部
75 排紙制御決定部
76 後続シート判断部
77 排紙制御部
78 切替判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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