(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174616
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】排気ガス再循環装置およびエンジン
(51)【国際特許分類】
F01N 3/28 20060101AFI20241210BHJP
F02M 26/35 20160101ALI20241210BHJP
F02M 26/28 20160101ALI20241210BHJP
【FI】
F01N3/28 301V
F02M26/35 C
F02M26/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092531
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003502
【氏名又は名称】弁理士法人芳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 亮
(72)【発明者】
【氏名】天呑 将成
(72)【発明者】
【氏名】長井 順太郎
(72)【発明者】
【氏名】多田 佳弘
【テーマコード(参考)】
3G062
3G091
【Fターム(参考)】
3G062ED08
3G062ED09
3G062ED10
3G091AA11
3G091AB02
3G091HA01
3G091HB01
3G091HB05
(57)【要約】
【課題】部品点数の削減、小型化および省スペース化を図ることができる排気ガス再循環装置およびエンジンを提供すること。
【解決手段】排気ガス再循環装置10は、排気系と吸気系との間に設けられるEGR経路11と、EGR経路11に設けられ、EGR経路11を流れる還流ガスを冷却するEGR冷却部12と、EGR経路11に設けられ、EGR経路11を流れる還流ガスに含まれる炭化物を酸化するDOC20と、を備え、DOC20は、還流ガスの入口部および出口部を有し、触媒を収容する本体と、本体の入口部に設けられる第1フランジ部と、本体の出口部に設けられる第2フランジ部と、を有し、第1フランジ部および第2フランジ部のそれぞれは、三角形の頂点の位置に配置される3つの締結部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気系を流れる排気ガスの一部を還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置であって、
前記排気系と前記吸気系との間に設けられる還流経路と、
前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスを冷却する還流ガス冷却部と、
前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスを浄化する浄化部と、
を備え、
前記浄化部は、
前記還流ガスの入口部および出口部を有し、触媒を収容する本体と、
前記本体の前記入口部に設けられる第1フランジ部と、
前記本体の前記出口部に設けられる第2フランジ部と、を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のそれぞれは、三角形の頂点の位置に配置される3つの締結部を有する、排気ガス再循環装置。
【請求項2】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに同形である、請求項1記載の排気ガス再循環装置。
【請求項3】
前記3つの締結部のそれぞれの配置は、二等辺三角形の頂点の位置である、請求項1記載の排気ガス再循環装置。
【請求項4】
前記第1フランジ部および前記第2フランジのそれぞれは、前記本体の延在する方向に見て、前記3つの締結部のうちの1つと重なる位置に配置される脚部を有する、請求項1記載の排気ガス再循環装置。
【請求項5】
前記浄化部は、前記還流経路における前記還流ガス冷却部よりも上流側に設けられる、請求項1記載の排気ガス再循環装置。
【請求項6】
前記浄化部は、前記還流ガスに含まれる炭化物を酸化する酸化触媒を有する、請求項1記載の排気ガス再循環装置。
【請求項7】
排気系を流れる排気ガスの一部を還流ガスとして吸気系に還流する排気ガス再循環装置を備えたエンジンであって、
前記排気ガス再循環装置は、
前記排気系と前記吸気系との間に設けられる還流経路と、
前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスを冷却する還流ガス冷却部と、
前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスに含まれる炭化物を酸化する浄化部と、
を備え、
前記浄化部は、
前記還流ガスの入口部および出口部を有し、触媒を収容する本体と、
前記本体の前記入口部に設けられる第1フランジ部と、
前記本体の前記出口部に設けられる第2フランジ部と、を有し、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のそれぞれは、三角形の頂点の位置に配置される3つの締結部を有する、エンジン。
【請求項8】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部は、互いに同形である、請求項7記載のエンジン。
【請求項9】
前記3つの締結部のそれぞれの配置は、二等辺三角形の頂点の位置である、請求項7記載のエンジン。
【請求項10】
前記第1フランジ部および前記第2フランジのそれぞれは、前記本体の延在する方向に見て、前記3つの締結部のうちの1つと重なる位置に配置される脚部を有する、請求項7記載のエンジン。
【請求項11】
前記浄化部は、前記還流経路における前記還流ガス冷却部よりも上流側に設けられる、請求項7記載のエンジン。
【請求項12】
前記浄化部は、前記還流ガスに含まれる炭化物を酸化する酸化触媒を有する、請求項7記載のエンジン。
【請求項13】
前記浄化部は、前記エンジンの後方に設けられるフライホイールの上方に配置される、請求項7記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気系を流れる排気ガスの一部を還流ガスとして吸気系に還流する排気ガス再循環装置およびエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関の排気通路から排気の一部をEGRガスとして吸気通路に還流するEGR通路と、EGR通路に設けられ、機関冷却回路から導入した冷却水と熱交換させることでEGRガスを冷却するEGRクーラと、EGRクーラに形成された冷却水の導入口及び排出口と機関冷却回路とを接続するEGR冷却回路と、を備えた、内燃機関の排気浄化装置が開示される。この排気浄化装置では、EGR冷却回路の少なくとも一部は、EGRガスの還流方向においてEGRクーラよりも下流側におけるEGR通路とEGRクーラとの接続部を通って、EGR通路に沿って延びるとともに、EGR通路と熱伝導性の分離壁を介して一体形成され、接続部には、冷却水及びEGRガスをシールするためのガスケットが設けられる。
【0003】
特許文献2には、クランク軸の架設方向を前後方向とし、この前後方向と直交するシリンダヘッドの幅方向を横方向として、シリンダヘッドの横一側面に吸気分配通路壁を取り付け、シリンダヘッドの横他側面に排気合流通路壁を取り付け、排気合流通路と吸気分配通路との間にEGRクーラを介在させた、多気筒エンジンにおいて、シリンダブロックの横側方でEGRクーラを前後方向に架設し、このEGRクーラの真上に排気合流通路壁を位置させた、ことを特徴とする多気筒エンジンが開示される。
【0004】
特許文献3には、ディーゼルエンジンの排気経路に配設されたDOCと、DOCよりも下流の排気経路に配設されたDPFと、DPFよりも下流の排気経路に配設された尿素噴射ノズルと、尿素噴射ノズルよりも下流の排気経路に配設されたターボチャージャのタービンと、タービンよりも下流の排気経路に配設されたSCRと、DPFの前後差圧が所定の差圧範囲内でかつDPFの入口温度が所定の温度以下のとき、DOCにHCを吸着および酸化させる制御を行う制御手段とを備えたディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-096100号公報
【特許文献2】特開2007-092595号公報
【特許文献3】特開2013-142363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排気ガス再循環装置は、新規な吸気に排気ガスの一部を還流ガスとして混合させることで、排気ガス再循環装置が設けられていない場合と比較してシリンダ内の燃焼温度を低下させることができ、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えることができる装置である。このような排気ガス再循環装置を設けることでエンジンの大型化を招きやすく、さらに、排気ガスを浄化する装置を設けることでさらなる大型化や部品点数の増加に繋がる。したがって、排気ガス再循環装置およびエンジンにおいて、部品点数の削減、小型化および省スペース化が望まれる。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、部品点数の削減、小型化および省スペース化を図ることができる排気ガス再循環装置およびエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、エンジンの排気系を流れる排気ガスの一部を還流ガスとして前記エンジンの吸気系に還流する排気ガス再循環装置であって、前記排気系と前記吸気系との間に設けられる還流経路と、前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスを冷却する還流ガス冷却部と、前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスを浄化する浄化部と、を備え、前記浄化部は、前記還流ガスの入口部および出口部を有し、触媒を収容する本体と、前記本体の前記入口部に設けられる第1フランジ部と、前記本体の前記出口部に設けられる第2フランジ部と、を有し、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のそれぞれは、三角形の頂点の位置に配置される3つの締結部を有する、排気ガス再循環装置である。
【0009】
本発明の他の一態様は、排気系を流れる排気ガスの一部を還流ガスとして吸気系に還流する排気ガス再循環装置を備えたエンジンであって、前記排気ガス再循環装置は、前記排気系と前記吸気系との間に設けられる還流経路と、前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスを冷却する還流ガス冷却部と、前記還流経路に設けられ、前記還流経路を流れる前記還流ガスに含まれる炭化物を酸化する浄化部と、を備え、前記浄化部は、前記還流ガスの入口部および出口部を有し、触媒を収容する本体と、前記本体の前記入口部に設けられる第1フランジ部と、前記本体の前記出口部に設けられる第2フランジ部と、を有し、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のそれぞれは、三角形の頂点の位置に配置される3つの締結部を有する、エンジンである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数の削減、小型化および省スペース化を図ることができる排気ガス再循環装置およびエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る排気ガス再循環装置を備えたエンジンを例示する斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る排気ガス際循環装置を備えたエンジンを例示する部分拡大斜視図である。
【
図8】DOCをフランジ部側から見た正面図である。
【
図10】DOCの配置状態を例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
(エンジン)
図1は、本実施形態に係る排気ガス再循環装置を備えたエンジンを例示する斜視図である。
図2は、本実施形態に係る排気ガス際循環装置を備えたエンジンを例示する部分拡大斜視図である。なお、説明の便宜上、
図2では配管の一部を省略して示している。
図1および
図2に示すエンジン1は内燃機関であって、例えばディーゼルエンジンである。エンジン1は、例えば車両、建設機械や農業機械などの産業機械に搭載される。
【0014】
エンジン1は、シリンダヘッド2と、吸気マニホールド(インテークマニホールド)3と、排気マニホールド(エキゾーストマニホールド)4と、排気ガス再循環装置10と、を備える。
【0015】
エンジン1のシリンダヘッド2は、例えば、複数の気筒を有する多気筒エンジンのシリンダヘッドである。吸気マニホールド3は、エンジン1の各気筒に吸気を分配する吸気分配手段の一例である。排気マニホールド4は、エンジン1の各気筒からの排気を集合する排気集合手段の一例である。排気ガス再循環装置10は、排気系である排気マニホールド4と吸気系である吸気マニホールド3との間に設けられ、排気系を流れる排気ガスの一部を還流ガスとしてエンジン1の吸気系に還流する。
【0016】
(排気ガス再循環装置)
排気ガス再循環装置10は、EGR経路11と、EGR冷却部12と、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)バルブ13と、を有する。EGR経路11は、本発明の「還流経路」の一例である。また、EGR冷却部12は、本発明の「還流ガス冷却部」の一例である。排気ガス再循環装置10は、DOC(Diesel Oxidation Catalyst:ディーゼル酸化触媒)20を備える。DOC20は本発明の「浄化部」の一例であり、酸化触媒の一例でもある。DOC20は、排気マニホールド4とEGR経路11との間に設けられる。
【0017】
EGR経路11は、排気マニホールド4に接続され、還流ガスを吸気系に還流する経路である。DOC20が設けられている場合、EGR経路11はDOC20を介して排気マニホールド4に接続される。本実施形態に係るエンジン1では、EGR経路11は第1分岐部1101を有しており、第1分岐部1101によって第1EGR経路111と第2EGR経路112とに分岐されている。第1EGR経路111には第2分岐部1102が設けられ、分岐の一方がEGR冷却部12に接続され、分岐の他方が排出口側に接続される。第2EGR経路112にはEGR冷却部12は設けられていない。
【0018】
EGR冷却部12は、EGR経路11(本実施形態では、第1EGR経路111)に設けられ、還流ガスを冷却する熱交換器である。EGR冷却部12は、エンジン1の冷却水を利用して還流ガスを冷却する。冷却された還流ガスは吸気マニホールド3から取り込まれる新規吸気と混合され、燃焼室に戻される。第2EGR経路112にはEGR冷却部12が設けられていないため、第2EGR経路112を流れる還流ガスは冷却されずに吸気マニホールド3へ送られる。
【0019】
EGRバルブ13は、還流ガスの供給量を調整する調整手段の例である。本実施形態に係るエンジン1では、第1EGR経路111に設けられる第1EGRバルブ131と、第2EGR経路112に設けられる第2EGRバルブ132とを備える。第1EGRバルブ131および第2EGRバルブ132のそれぞれの動作制御(バルブ制御)によって、第1EGR経路111を介した還流ガスを吸気マニホールド3へ送るのか、第2EGR経路112を介した還流ガスを吸気マニホールド3へ送るのかの制御が行われる。例えば、排気ガスの温度が所定の値に満たない場合には還流ガスを冷却せずに戻すため、EGR冷却部12が設けられていない第2EGR経路112を主たる経路とするバルブ制御を行い、排気ガスの温度が所定の値以上になった場合には還流ガスを冷却するため、EGR冷却部12が設けられる第1EGR経路111を主たる経路とするバルブ制御を行う。
【0020】
(EGR冷却部)
図3は、EGR冷却部を例示する斜視図である。
図4は、EGR冷却部を例示する平面図である。
図5は、EGR冷却部を例示する側面図である。
本実施形態に係る排気ガス再循環装置10の備えるEGR冷却部12は、還流ガスの入口部121aおよび出口部121bとなる開口を有する本体121と、冷却水を通す配管122と、本体121の開口に接続されるフランジ部123とを有する。本体121は箱型や筒型に設けられ、内部に還流ガスを通す複数のチューブ(図示せず)が設けられる。複数のチューブは入口部121aから出口部121bにかけて延在する。
【0021】
配管122は、本体121に接続される一端部122aと、一端部122aから本体121の外方に向けて延出する他端部122bとを有する。配管122は第1配管1221および第2配管1222を有する。説明の便宜上、第1配管1221および第2配管1222を区別せず総称するときは配管122と言うことにする。第1配管1221は、例えば本体121に冷却水を送り込む配管であり、第2配管1222は、例えば本体121から冷却水を排出する配管である。第1配管1221から本体121に冷却水が送り込まれることで本体121内の複数のチューブを流れる還流ガスを冷却する。そして、本体121内で還流ガスと熱交換された冷却水が第2配管1222から本体121の外へと出される。
【0022】
本体121の開口である入口部121aおよび出口部121bのそれぞれにはフランジ部123が接続される。入口部121aに接続されるフランジ部123は第1フランジ部1231であり、出口部121bに接続されるフランジ部123は第2フランジ部1232である。説明の便宜上、第1フランジ部1231および第2フランジ部1232を区別せず総称するときはフランジ部123と言うことにする。フランジ部123は、本体121を第1EGR経路111に接続する部分である。
【0023】
第1フランジ部1231は、第2分岐部1102で分岐された第1EGR経路111のパイプと接続され、第2フランジ部1232は第1EGRバルブ131と接続されるパイプと接続される。本体121、配管122およびフランジ部123のそれぞれは、例えばステンレスによって形成される。各部材は、例えばろう付けによって接続される。
【0024】
配管122の一端部122aは、本体121の側面に接続される。配管122は、一端部122aと他端部122bとの間に位置する中間部122cを有する。配管122の一端部122aは、本体121から離れる方向に延出する離間部Aと、離間部Aと中間部122cとの間に設けられる屈曲部Bとを有する。本実施形態では、配管122の一端部122aは、本体121の側面に接続され、離間部Aによって本体121の側面から略垂直に離間し、屈曲部Bで略90度に屈曲している。これにより、配管122は、一端部122aから中間部122cおよび他端部122bに至るまで略L字型の形状を有する。配管122の他端部122bには冷却水を通すチューブが嵌合される。
【0025】
このような配管122において、中間部122cはフランジ部123の外縁123aに固定される。フランジ部123は、第1EGR経路111と接続される締結部分である締結用孔123hを有する。配管122の中間部122cは、締結用孔123hの開口とは反対側の外縁123aに固定される。すなわち、フランジ部123は、本体121の開口から離れる方向(締結用孔123hの位置よりも外側)に延出する延出部123bを有する。配管122の中間部122cは、フランジ部123における延出部123bの外縁123aに例えばろう付けによって接続されている。
【0026】
ここで、配管122は本体121から離間させることで本体121の熱の影響を受けにくくすることができる。その一方、配管122を本体121から離間させることで延出距離が長くなり、小型化の妨げとなるともに振動などの影響で折れやすくなる。そこで、本実施形態のように配管122を離間させつつ中間部122cをフランジ部123の外縁123aに固定することで、延出距離が長くなった配管122を中間部122cで確実に支持することができる。
【0027】
また、配管122の一端部122aは、本体121の側面から離間部Aによって略垂直に離間し、屈曲部Bで略90度に屈曲して、本体121の延在方向の外方に向けて延出している。例えば、第1配管1221は、本体121の側面から離間部Aで離間して屈曲部Bで略90度に屈曲し、第1フランジ部1231の外縁123aに固定される。一方、第2配管1222は、本体121の側面から離間部Aで離間して、屈曲部Bで第1配管1221とは反対側に略90度屈曲し、第2フランジ部1232の外縁123aに固定される。すなわち、第1配管1221および第2配管1222は本体121の延在方向において互いに反対向きに延出し、それぞれフランジ部123の外縁123aに固定される。これにより、第1配管1221と第2配管1222との接近を避けながら、EGR冷却部12の省スペース化を図ることができる。
【0028】
(DOC:浄化部)
図6および
図7は、DOCを例示する斜視図である。
図6にはDOC20を上側から見た斜視図が示され、
図7にはDOCを下側から見た斜視図が示される。
DOC20は、触媒を収容する本体21と、本体21に設けられる第1フランジ部221および第2フランジ部222と、を有する。本体21は、EGRガスの入口部21aおよび出口部21bを有する筒型に設けられる。本体21は、例えばステンレスによって形成される。本体21の筒内には、排気ガスに含まれるPM(粒子状物質)中のSOF(可溶有機成分)、CO(一酸化炭素)およびHC(炭化水素)を酸化させる触媒が収容される。
【0029】
本体21の入口部21aには第1フランジ部221が設けられ、本体21の出口部21bには第2フランジ部222が設けられる。第1フランジ部221および第2フランジ部222のそれぞれは、本体21を前後の部材と接続する締結部225を備える。本実施形態では、第1フランジ部221および第2フランジ部222のそれぞれは、3つの締結部225を有する。3つの締結部225は、三角形の頂点の位置に配置される。すなわち、3つの締結部225によって第1フランジ部221および第2フランジ部222のそれぞれは3点止めによって前後の部材と締結接続される。3つの締結部225のそれぞれの配置は、好ましくは二等辺三角形であり、さらに好ましくは正三角形である。なお、3つの締結部225の配置における三角形の形状はこれらに限定されない。
【0030】
3つの締結部225が三角形の頂点の位置に配置されることで、省スペースでありながら前後の部材との確実な締結を行うことができる。すなわち、2点止め以下では締結の確実性が不足しやすい。一方、4点止め以上では隣り合う締結部の間隔が狭くなり、締結において周辺部材との干渉が生じやすく、レイアウトの自由度を十分に確保できない。したがって、3点止めであれば、確実な締結とともに、締結において周辺部材との干渉を避けやすく、省スペース化を達成することができる。
【0031】
また、第1フランジ部221および第2フランジ部222は、互いに同形に設けられることが好ましい。第1フランジ部221および第2フランジ部222を互いに同形にすることで、部品点数の削減を図ることができる。
【0032】
図8は、DOCをフランジ部側から見た正面図である。
図8には、第1フランジ部221側から見た正面図が示されるが、第2フランジ部222から見た正面図も同じである。
一例として、第1フランジ部221の3つの締結部225の配置は正三角形の頂点の位置となっている。本体21には、DOC20を支持部材に安定して載置するための脚部215が設けられる。例えば、脚部215は本体21の下側に4つ設けられる。本体21の延在方向(フランジ部側から見た方向)において、脚部215は3つの締結部225のうちの1つと重なる位置に配置されていることが好ましい。これにより、フランジ部側から見て脚部215の突出領域内に締結部225を納めることができ、DOC20の省スペース化を図ることができる。
【0033】
図9は、DOCの配置状態を例示する斜視図である。
図10は、DOCの配置状態を例示する正面図である。
図10には、第1フランジ部221側から見た正面図が示される。
図9に示すように、本実施形態に係る排気ガス再循環装置10において、DOC20はエンジン1の後方におけるフライホイール6の上方に横方向に延在する形で配置される。これにより、エンジン1の排気系は、排気マニホールド4から後方のDOC20を経由して排気マニホールド4とは反対側へ取り回される。フライホイール6の上方にはDOC20の支持部材30が設けられ、この支持部材30にDOC20の本体21に設けられた脚部215が載置される。脚部215には例えば雌ネジ穴が設けられており、支持部材30と脚部215とが締結接続される。
【0034】
排気マニホールド4はエンジン1の後方に延出しており、その延出端部4aは内向きに開口し、この開口にフランジ部41が取り付けられる。DOC20の第1フランジ部221は、排気マニホールド4のフランジ部41と付き合わせられ、互いに締結接続される。これにより、排気マニホールド4の延出端部4aに、排気マニホールド4の延出方向に対してほぼ直角にDOC20が取り付けられることになる。
【0035】
図10に示すように、第1フランジ部221の正面から見ると、排気マニホールド4の延出端部4aと重なることなく第1フランジ部221の3つの締結部225が配置される。したがって、排気マニホールド4のフランジ部41とDOC20の第1フランジ部221とを付き合わせて締結接続する際、排気マニホールド4と干渉することなく、締結作業を行うことができる。また、排気マニホールド4の延出端部4aにほぼ直角にDOC20が取り付けられることから、フライホイール6の上方にDOC20が配置されていても、排気マニホールド4の取り回しを最短距離にして、エンジン1の省スペース化を図ることができる。しかも、DOC20の3点止めによって第1フランジ部221および第2フランジ部222のエンジン後方への出っ張りを最小限にすることができる。
【0036】
EGR冷却部12は、DOC20と同様にフライホイール6の上方であって、DOC20と吸気マニホールド3との間に配置される。また、EGR冷却部12は、DOC20の下流側から上方(縦方向)に向けて延在するように設けられる。このような排気系の取り回しと、EGR冷却部12の配置によって、DOC20およびEGR冷却部12を備えながら排気系をコンパクトに取り回してエンジン1の小型化を図ることが可能となる。
【0037】
このような本実施形態によれば、部品点数の削減、小型化および省スペース化を図ることができる排気ガス再循環装置10およびエンジン1を提供することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、浄化部としてはDOC20に限定されず、例えば、尿素SCR(Urea-Selective Catalytic Reduction:尿素選択還元触媒)、LNT(Lean Nox Trap:NOx吸蔵触媒)であってもよい。また、上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…吸気マニホールド、4…排気マニホールド、4a…延出端部、6…フライホイール、10…排気ガス再循環装置、11…EGR経路、12…EGR冷却部、13…EGRバルブ、20…DOC、21…本体、21a…入口部、21b…出口部、30…支持部材、41…フランジ部、111…第1EGR経路、112…第2EGR経路、121…本体、121a…入口部、121b…出口部、122…配管、122a…一端部、122b…他端部、122c…中間部、123…フランジ部、123a…外縁、123b…延出部、123h…締結用孔、131…第1EGRバルブ、132…第2EGRバルブ、215…脚部、221…第1フランジ部、222…第2フランジ部、225…締結部、1101…第1分岐部、1102…第2分岐部、1221…第1配管、1222…第2配管、1231…第1フランジ部、1232…第2フランジ部、A…離間部、B…屈曲部