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特開2024-174619管理装置、規制器材、道路管理システム、道路管理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174619
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】管理装置、規制器材、道路管理システム、道路管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241210BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241210BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20241210BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241210BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20241210BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20241210BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20241210BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G08G1/09 P
G08G1/16 A
G08G1/04 A
G08B21/00 U
G08B21/02
G08B25/00 510M
G08B31/00 B
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092534
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】須藤 伸一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 憲郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 益夫
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA51
5C086AA53
5C086BA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA37
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181JJ23
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】人手を要することなく安全性を向上させることができる管理装置を得ること。
【解決手段】管理装置2は、道路の規制区間を示す規制器材1が道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得する撮影データ受信部24と、撮影データを用いて、上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部26と、車両状態推定部26による推定結果を用いて車両の移動経路を予測し、予測した移動経路と規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、車両が対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両が対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部27と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の規制区間を示す規制器材が前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、
前記車両状態推定部による推定結果を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記対象物は、前記規制器材を含むことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記規制器材の位置を制御する器材制御部、
を備え、
前記規制器材は、前記器材制御部による制御のもとで移動することが可能であり、
前記回避処理は、前記器材制御部が、前記規制器材の位置を移動させる処理を含むことを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記回避処理は、前記規制器材に搭載される緩衝材を起動させる処理を含むことを特徴とする請求項2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記対象物は、前記規制区間内で作業する作業員を含むことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
前記回避処理は、前記規制区間内で作業する作業員へ避難を促す警報を発報する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
前記回避処理は、前記規制区間内で作業する作業員が装着する保護器具を起動させる処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
前記回避処理は、前記車両のドライバへ注意喚起を促す警報の発報を含むことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
前記規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、前記規制区間が設けられていることを事前に通知することが可能な複数の事前通知装置のそれぞれの設置位置を示す情報を含む事前通知装置情報と、を用いて、前記規制器材に対応する前記規制区間に関する前記通知を行う前記事前通知装置を選択する事前通知装置選択部と、
前記事前通知装置選択部によって選択された前記事前通知装置の設置環境に応じて前記事前通知装置における前記通知の方法を決定する通知方法決定部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項10】
前記事前通知装置は、光を発することで前記通知を行うことが可能であり、
前記通知方法決定部は、前記事前通知装置の設置される箇所の明るさに応じて、前記光の照度を決定することを特徴とする請求項9に記載の管理装置。
【請求項11】
前記事前通知装置は、前記通知を、投影する位置を変更しながら前記道路に投影することが可能であり、
前記通知方法決定部は、前記事前通知装置の設置される箇所における走行する車両の速度に合わせて前記通知が投影される投影領域が移動するように、前記投影領域の移動の速度を決定することを特徴とする請求項9に記載の管理装置。
【請求項12】
気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記規制器材の位置を制御する器材制御部と、
を備え、
前記規制器材は、前記器材制御部による制御のもとで移動することが可能であり、
前記器材制御部は、前記位置情報と前記気象情報とを用いて、前記規制器材の位置を制御することを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項13】
道路の規制区間を示す規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、前記規制区間が設けられていることを事前に通知することが可能な複数の事前通知装置のそれぞれの設置位置を示す情報を含む事前通知装置情報と、を用いて、前記規制器材に対応する前記規制区間に関する前記通知を行う前記事前通知装置を選択する事前通知装置選択部と、
前記事前通知装置選択部によって選択された前記事前通知装置の設置環境に応じて前記事前通知装置における前記通知の方法を決定する通知方法決定部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項14】
気象情報を取得する気象情報取得部と、
道路の規制区間を示す規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記規制器材の位置を制御する器材制御部と、
を備え、
前記規制器材は、前記器材制御部による制御のもとで移動することが可能であり、
前記器材制御部は、前記位置情報と前記気象情報とを用いて、前記規制器材の位置を制御することを特徴とする管理装置。
【請求項15】
道路の規制区間を示す規制器材であって、
前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得する撮影部と、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、
前記車両状態推定部による推定結果を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部と、
を備えることを特徴とする規制器材。
【請求項16】
自己位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部によって特定された前記自己位置を示す位置情報を車両へ送信する位置情報送信部と、
を備えることを特徴とする規制器材。
【請求項17】
道路の規制区間を示す規制器材と、
管理装置と、
を備え、
前記規制器材は、前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得し、
前記管理装置は、
前記撮影データを前記規制器材から受信する撮影データ受信部と、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、
前記車両状態推定部による推定結果を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部と、
を備えることを特徴とする道路管理システム。
【請求項18】
走行機構部を備える規制器材と、
前記規制器材が存在することが許可される範囲である許可範囲を示す光である照射光を道路へ照射する設置補助装置と、
を備え、
前記規制器材は、
受光した光を電気信号に変換する受光部と、
前記電気信号に基づいて、前記受光部が前記照射光を受光したか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記照射光を受光したと判定された場合、前記許可範囲に前記規制器材が位置するように、前記走行機構部を制御する走行制御部と、
を備えることを特徴とする道路管理システム。
【請求項19】
管理装置における道路管理方法であって、
道路の規制区間を示す規制器材が前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得するステップと、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を車両状態として推定するステップと、
推定された前記車両状態を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させるステップと、
を含むことを特徴とする道路管理方法。
【請求項20】
コンピュータシステムに、
道路の規制区間を示す規制器材が前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得するステップと、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を車両状態として推定するステップと、
推定された前記車両状態を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させるステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路を管理する管理装置、規制器材、道路管理システム、道路管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路をはじめとした道路では、工事、事故の処理などのために、車両の進入を禁止する規制区間が設けられることがある。特許文献1には、規制区間で作業する作業員の安全を確保するための技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、衝撃を検出するセンサを搭載したラバーコーン設置端末が、車両侵入禁止領域(規制区画)と通行可能部分とを分けるように設置され、ラバーコーン設置端末が衝撃を検出すると、警告が行われる。また、旗振り作業員が、車両が車両侵入禁止領域に進入すると判断した場合にも、警告が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3189644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ラバーコーン設置端末が衝撃を検出して警告が行われる場合には、車両はすでにラバーコーン設置端末に衝突し、かつ、車両侵入禁止領域に進入してしまっており、安全性の確保の観点からは不十分である。また、車両が車両侵入禁止領域に進入する前に警告を行うためには、監視のために旗振り作業員を配置することになり人手を要することになる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、人手を要することなく安全性を向上させることができる管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる管理装置は、道路の規制区間を示す規制器材が道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得する撮影データ取得部と、撮影データを用いて、上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、を備える。管理装置は、さらに、車両状態推定部による推定結果を用いて車両の移動経路を予測し、予測した移動経路と規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、車両が対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両が対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の管理装置によれば、人手を要することなく安全性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる道路管理システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1の規制器材の一例であるロードコーンを模式的に示す図
図3】実施の形態1の規制器材の一例である矢印板を模式的に示す図
図4】実施の形態1の規制器材による撮影のイメージを示す図
図5】実施の形態1の管理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
図6】実施の形態1の変形例にかかる道路管理システムの構成例を示す図
図7】実施の形態1の管理装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
図8】実施の形態2にかかる道路管理システムの構成例を示す図
図9】実施の形態2の管理装置における事前通知装置の制御に関する処理手順の一例を示すフローチャート
図10】実施の形態2の管理装置による事前通知装置の選択の概要を示す図
図11】実施の形態2の管理装置による事前通知方法の一例を示す図
図12】実施の形態3にかかる道路管理システムの構成例を示す図
図13】実施の形態3の規制器材および車両の動作の一例を示すシーケンス図
図14】実施の形態4にかかる道路管理システムの構成例を示す図
図15】実施の形態4の気象情報を考慮した規制器材の制御の概念を示す図
図16】実施の形態5にかかる道路管理システムの構成例を示す図
図17】実施の形態5の規制器材における処理手順の一例を示すフローチャート
図18】実施の形態5の規制器材における処理手順の別の一例を示すフローチャート
図19】実施の形態5の規制器材の配置方法の具体例を模式的に示す図
図20】実施の形態5の規制器材の配置方法の具体例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる管理装置、規制器材、道路管理システム、道路管理方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる道路管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の道路管理システム100は、規制器材1および管理装置2を備える。なお、図1では、規制器材1を1台図示しているが、規制器材1は1台以上であればよく、規制器材1の数は図1に示した例に限定されない。端末装置3は、規制器材1によって規制される規制区間内、または規制区間の周辺で作業する作業員が携帯する端末装置であり、例えば、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータなどである。保護器具4は、規制される規制区間内、または規制区間の周辺で作業する作業員を保護するための器具であり、例えば、作業員が着用するエアバッグであるがこれに限定されない。
【0011】
本実施の形態の規制器材1は、道路において車線の規制に用いられる器材であり、例えば、カラーコーン(登録商標)、パイロンなどとも呼ばれるロードコーン、または矢印板などの器具である。規制器材1が複数用いられ、複数の規制器材1のなかに、ロードコーンと矢印板とが混在してもよい。本実施の形態の規制器材1は、管理装置2の制御に基づき移動する、すなわち自走することが可能である。なお、以下では、規制器材1が自走することが可能な例を説明するが、規制器材1は自走する機能を有していなくてもよい。すなわち、規制器材1は、人手によって設置される規制器材であってもよい。規制器材1は、撮影機能を有し、交通の流れの上流側、すなわち道路の上流側を撮影した映像を示す撮影データを取得する。
【0012】
管理装置2は、例えば、交通管制を行う管制センター、または道路の状況のモニタなどを行う管理事務所に設置されるが、管理装置2の設置箇所はこれに限定されない。管理装置2は、規制器材1によって取得された撮影データを用いて、車両の移動経路を予測し、予測結果を用いて車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両が規制器材1に衝突する可能性がある場合には、回避処理を実行させる。
【0013】
回避処理は、車両が規制器材1に衝突する可能性があることを通知する処理を含み、例えば、警報を発する処理であってもよいし、規制器材1の位置を移動させる処理であってもよいし、衝突の影響を軽減するための処理であってもよいし、これらのうち2つ以上の組み合わせであってもよい。警報を発する処理は、規制区間内で作業する作業員へ避難を促す警報を発報する処理であってもよいし、車両のドライバへ注意喚起を促す警報を発報する処理であってもよい。例えば、作業員へ避難を促す警報は、端末装置3、および図示しない独立した警報装置のうちの少なくとも一方によって発報されてもよいし、規制器材1が備える図示しない警報装置によって警報が発報されてもよい。車両のドライバへ注意喚起を促す警報は、図示しない車両へ警報を送信することで行われてもよいし、図示しない独立した警報装置、規制器材1が備える図示しない警報装置によって発報されてもよい。なお、警報は、例えば、警告音、警音声、警告を示す文字および図形のうち少なくとも一方の表示、および発光による表示などのうちの少なくとも1つであるが、これらに限定されない。
【0014】
衝突の影響を軽減するための処理は、作業員が装着する保護器具4を起動させる処理であってもよいし、規制器材1に搭載される図示しない緩衝材(衝突衝撃緩衝具)を起動させる処理であってもよい。
【0015】
回避処理において、車両が規制器材1に衝突する可能性があることが通知される通知先は、例えば、端末装置3、警報装置、規制器材1、保護器具4および車両のうちの少なくとも1つである。なお、回避処理において、車両が規制器材1に衝突する可能性があることが通知される通知先は、これらに限定されない。
【0016】
なお、図1では、端末装置3および保護器具4を図示しているが、回避処理の内容によっては、これらのうちの少なくとも一方が用いられなくてもよい。また、回避処理に端末装置3が用いられる場合には、道路管理システム100に、端末装置3を含めてもよいし、回避処理に保護器具4が用いられる場合には、道路管理システム100に、保護器具4を含めてもよい。また、回避処理に、図示しない警報装置が用いられる場合には、道路管理システム100に、警報装置を含めてもよい。
【0017】
本実施の形態では、管理装置2が、規制器材1から道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影した撮影データを取得し、取得した撮影データを用いて、車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両が規制器材1に衝突する可能性がある場合には、回避処理を実行させるため、車両が規制区間に到達する前に、対処を行うことができる。これにより、人手を要することなく、規制器材1への車両の衝突を検知して警報を発する場合に比べて安全性を向上させることができる。
【0018】
次に、本実施の形態の各装置の構成例について図1を用いて説明する。図1に示すように、管理装置2は、位置情報受信部21、制御情報送信部22、器材制御部23、撮影データ受信部24、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28を備える。
【0019】
位置情報受信部21は、規制器材1から規制器材1の位置を示す位置情報を受信し、器材制御部23へ出力する。位置情報受信部21は、規制器材1の位置情報を取得する位置情報取得部の一例である。制御情報送信部22は、規制器材1を制御するための制御情報を規制器材1へ送信する。詳細には、制御情報送信部22は、器材制御部23から受け取った制御情報を対応する規制器材1へ送信する。
【0020】
器材制御部23は、規制器材1の位置を制御する。詳細には、器材制御部23は、位置情報受信部21を介して規制器材1から受信した位置情報を用いて規制器材1の位置を制御する。器材制御部23は、例えば、規制器材1の目標位置と当該規制器材1に対応する位置情報とを用いて、規制器材1の位置を制御するための制御量を決定し、制御量を含む制御情報を生成し、生成した制御情報を、制御情報送信部22を介して規制器材1へ送信する。制御量は、例えば、規制器材1の移動量を示し、具体的には、定められた制御周期ごとの当該制御周期における規制器材1の移動方法と距離であってもよいし、規制器材1が移動すべき移動経路を示すものであってもよい。規制器材1の目標位置は、規制区間に応じて定められる規制器材1の位置である。目標位置は、例えば、規制器材1ごとに規制器材1の識別情報と対応付けられて設定され、器材制御部23は、規制器材1の識別情報と対応付けられた目標位置と、位置情報受信部21から受け取った規制器材1の位置情報とに基づいて、規制器材1の位置を制御するための制御情報を規制器材1ごとに生成し、生成した制御情報を規制器材1の識別情報と対応づけて制御情報送信部22へ出力する。目標位置は、図示しない入力手段によって入力されることにより設定されてもよいし、他の装置から送信され、管理装置2が受信することにより設定されてもよい。なお、規制器材1の位置の制御方法は上述した例に限定されない。
【0021】
撮影データ受信部24は、規制器材1から撮影データを受信し、受信した撮影データを車両検出部25に出力する。撮影データ受信部24は、撮影データを取得する撮影データ取得部の一例である。なお、撮影データは、1つの規制器材1から送信されてもよいし、複数の規制器材1から送信されてもよい。車両検出部25は、撮影データ受信部24から受け取った撮影データが示す映像から車両を抽出し、映像内の車両の位置、すなわち映像における車両の映像の領域を特定し、特定結果を撮影データとともに車両状態推定部26へ出力する。車両の抽出は、どのような方法で行われてもよく、一般的な画像処理方法を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0022】
車両状態推定部26は、撮影データを用いて、上流側の車両の位置、進行方向および速度を車両状態として推定する。詳細には、車両状態推定部26は、車両検出部25から受け取った特定結果および撮影データと、規制器材1における撮影方向および画角とに基づいて、車両の位置、進行方向および速度を含む車両状態を推定し、推定結果を衝突判定部27へ出力する。例えば、車両状態推定部26は、複数の時刻に撮影された撮影データに対応する特定結果と、規制器材1における撮影方向および画角とを用いて、車両の状態を推定する。なお、車両の位置および進行方向は、規制器材1を基準として座標系における規制器材1に対する相対位置および相対的な進行方向であってもよいし、規制器材1の位置情報に基づいて地図上の位置に変換されたものであってもよい。これらの値は、後述する処理において車両と規制器材1とが同じ座標系の位置で表現されれば、任意の座標系における値を用いることができる。なお、図1では、車両検出部25を車両状態推定部26とは別に設けているが、車両状態推定部26が車両検出部25の機能を有していてもよい。
【0023】
衝突判定部27は、車両状態推定部26による推定結果を用いて車両の移動経路を予測し、予測した移動経路と規制器材1の位置情報とに基づいて、車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両が規制器材1に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる。例えば、衝突判定部27は、車両が規制器材1に衝突する可能性があると判定すると、回避処理を実行する通知部へ車両が規制器材1に衝突する可能性があることを通知する。詳細には、例えば、衝突判定部27は、車両から車両の進行方向へ延ばした線を予測される車両の移動経路とし、推定された速度で車両が移動経路上を移動する場合に車体の大きさ(車体の幅)を考慮して広げた範囲を車両の移動範囲とし、移動範囲に規制器材1が入る時刻を予測する。車体の大きさは、車両状態推定部26によって推定されてもよいし、あらかじめ定められてもよい。また、移動範囲は、誤差を考慮して余裕を持たせるために、車体の大きさに一定値を加えて設定されてもよいし、車体の大きさに1以上の一定比率を乗算して設定されてもよい。衝突判定部27は、移動範囲に規制器材1が入る時刻が一定時間以内である場合に、車両が規制器材1に衝突する可能性があると判定する。なお、車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かの判定方法はこの例に限定されない。
【0024】
回避処理が端末装置3および警報装置のうち少なくとも一方による警報の発報である場合には、通知部は後述する送信部28であり、回避処理が保護器具4の起動である場合も、通知部は後述する送信部28である。回避処理が規制器材1の位置の移動である場合には、通知部は、器材制御部23および制御情報送信部22である。この場合、衝突判定部27は、例えば、車両の移動経路を器材制御部23へ通知し、器材制御部23が、車両と衝突しない位置に規制器材1を移動させるための制御情報を生成し制御情報送信部22へ出力する。または、車両と規制器材1との衝突が避けられない場合には、器材制御部23は、規制器材1を少しでも車両から遠ざかる方向へ移動させることで衝撃を避けるようにしてもよいし、正面衝突を避けて角度をつけるために規制器材1を移動させてもよい。または、衝突判定部27が、規制器材1の移動量を器材制御部23へ指定し、器材制御部23が指定された移動量分規制器材1を移動させるための制御情報を生成して制御情報送信部22へ出力してもよい。制御情報送信部22は、器材制御部23から受け取った制御情報を規制器材1へ送信する。車両を回避するための制御情報は、車両が規制器材1に衝突する可能性があることを示す情報の例であり、この制御情報が規制器材1に送信されることによって、車両が規制器材1に衝突する可能性があることが規制器材1に通知されることになる。
【0025】
回避処理が、車両への警報の送信である場合には、通知部は後述する送信部28であってもよいし、車両と通信を行う図示しない車両送信部であってもよい。回避処理が、規制器材1に搭載される緩衝材の起動である場合には、通知部は器材制御部23および制御情報送信部22である。この場合、衝突判定部27は、例えば、車両が規制器材1に衝突する可能性があることを器材制御部23へ通知し、器材制御部23が緩衝材を起動させるための制御情報を生成し制御情報送信部22へ出力する。制御情報送信部22は、器材制御部23から受け取った制御情報を規制器材1へ送信する。緩衝材を起動させるための制御情報は、車両が規制器材1に衝突する可能性があることを示す情報の例であり、この制御情報が規制器材1に送信されることによって、車両が規制器材1に衝突する可能性があることが規制器材1に通知されることになる。なお、回避処理として、2種類以上の処理が行われてもよい。例えば、回避処理として、車両への警報と、規制器材1の移動との両方が行われてもよい。
【0026】
なお、規制器材1が、規制区画に1つ配置され、当該規制器材1が撮影データを送信する場合には、当該規制器材1に対する相対位置および相対的な進行方向を用いて車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かを判定してもよい。または、衝突判定部27は、規制器材1の位置と撮影方向とを考慮し、車両の位置および進行方向を地図上における値に座標変換し、変換した値と規制器材1の地図上の位置とに基づいて、車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かを判定してもよい。
【0027】
なお、規制区画に配置される規制器材1が複数存在する場合には、衝突判定部27は、器材制御部23から、各規制器材1の位置を示す位置情報を取得し、各規制器材1の位置と、車両状態推定部26から受け取った推定結果とを用いて、規制器材1ごとに、車両が規制器材1に衝突する可能性があるか否かを判定する。また、衝突判定部27は、配置されている全ての規制器材1に関して、車両との衝突の可能性を判定してもよいし、配置されている規制器材1のうちの指定された一部の規制器材1に関して、車両との衝突の可能性を判定してもよい。例えば、規制区画の上流側に斜めに複数の規制器材1が配置され、これらの規制器材1に続いて道路の延伸方向に沿って規制器材1が配置されることがあるが、このような場合、衝突判定部27は、規制区画の上流側に配置された複数の規制器材1に関して車両との衝突の可能性を判定してもよい。また、回避処理において規制器材1の緩衝材の起動が行われる場合には、衝突する可能性のある規制器材1の緩衝材が起動されてもよいし、周囲の規制器材1の緩衝材も起動されてもよいし、配置されている全ての規制器材1の緩衝材が起動されてもよい。
【0028】
規制器材1は、管理装置2の器材制御部23による制御のもとで移動することが可能である。規制器材1は、図1に示すように、自己位置特定部11、位置情報送信部12、制御情報受信部13、走行制御部14、走行機構部15、撮影部16および撮影データ送信部17を備える。
【0029】
自己位置特定部11は、規制器材1の自己位置を特定する。すなわち、自己位置特定部11は、規制器材1の位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報を位置情報送信部12へ送信する。自己位置特定部11は、GPS(Global Positioning System)、GNSS(Global Navigation Satellite System)といった衛星測位システムを行うことで位置情報を取得してもよいし、位置情報を示す情報として周囲を撮影した撮影データを取得してもよい。すなわち、位置情報は、衛星測位システムを用いた測位結果であってもよいし、規制器材1において撮影された画像を示す画像情報であってもよい。以下、衛星測位システムとしてGNSS測位を行う例を説明する。また、規制器材1の配置される現場周辺に無線信号を送信する複数の無線通信装置を配置して、当該無線通信装置から受信した無線信号の強度と送信元の無線通信装置の識別情報とを用いて、複数の無線通信装置に対する相対的な位置を算出してもよい。複数の無線通信装置は、固定された無線通信装置を含んでいてもよい。自己位置特定部11がGNSS測位により位置情報を取得する場合、どのような測位方法が用いられてもよいが、例えば、準天頂衛星または地上ネットワークを介して配信される補強情報を用いたRTK(Real Time Kinematic)測位、高精度単独測位など高精度な測位結果が得られる測位方法を用いることで、精度の高い位置情報を得ることができる。
【0030】
位置情報送信部12は、自己位置特定部11から受け取った位置情報を管理装置2へ送信する。位置情報送信部12は、例えば、位置情報を無線信号として管理装置2へ送信する。自己位置特定部11が、画像情報を位置情報として取得する場合は、位置情報送信部12は、画像情報を位置情報として管理装置2へ送信する。位置情報送信部12から管理装置2までの通信回線はどのような通信回線が用いられてもよいが、低遅延の通信回線を用いると、遅延を低減することができる。例えば、無線回線が用いられる区間に関しては第5世代移動通信システム(5G)、第6世代移動通信システム(6G)などのように高速で低遅延の通信回線を用いることで、位置情報として画像情報を送信する場合にも低遅延で規制器材1から管理装置2へ位置情報を送信することができる。なお、位置情報送信部12から管理装置2までの通信回線は、無線回線と有線回線との組み合わせであってもよい。
【0031】
制御情報受信部13は、管理装置2から制御情報を受信し、受信した制御情報を走行制御部14へ出力する。走行制御部14は、制御情報を用いて走行機構部15を制御することで、規制器材1を移動させる。走行機構部15は、自己すなわち規制器材1を移動させることが可能な機構を含む。走行機構部15については、どのような機構が用いられてもよいが、例えば、車輪を用いた走行機構であってもよいし、クローラ型の走行機構であってもよいし、これら以外の走行機構であってもよい。
【0032】
撮影部16は、道路における規制器材1の上流側を撮影することが可能であり、撮影した映像を示す撮影データを撮影データ送信部17へ出力する。なお、撮影部16による撮影方向は、管理装置2が規制器材1の位置とともに向きも制御することで、管理装置2によって制御されてもよい。また、撮影部16を回転可能とし、規制器材1が設置された後に、撮影部16の向きが管理装置2によって制御されてもよい。
【0033】
撮影データ送信部17は、撮影部16から受け取った撮影データを管理装置2へ送信する。撮影データ送信部17は、例えば、撮影データを無線信号として管理装置2へ送信する。撮影データ送信部17から管理装置2までの通信回線は、位置情報送信部12から管理装置2までの通信回線と同様に、どのような通信回線が用いられてもよいが、低遅延の通信回線を用いると、遅延を低減することができる。位置情報送信部12から管理装置2までの通信回線と同様に、例えば、無線回線が用いられる区間に関しては第5世代移動通信システム、第6世代移動通信システムなどのように高速で低遅延の通信回線を用いることで、撮影データを送信する場合にも低遅延で規制器材1から管理装置2へ撮影データを送信することができる。なお、撮影データ送信部17から管理装置2までの通信回線は、無線回線と有線回線との組み合わせであってもよい。
【0034】
なお、位置情報として撮影データが用いられる場合には、撮影部16が自己位置特定部11を兼ね、撮影データ送信部17が位置情報送信部12を兼ねていてもよい。
【0035】
図2は、本実施の形態の規制器材1の一例であるロードコーンを模式的に示す図である。図2に示す規制器材1は、コーン状の筐体18と、上述した撮影部16と、走行機構部15の一部である車輪19と、制御箱20とを備える。制御箱20は、例えば、筐体18の内部に設けられ、制御箱20内には、位置情報送信部12、制御情報受信部13および撮影データ送信部17、自己位置特定部11のうちの一部および走行制御部14を実現する制御回路、走行機構部15のうちの車輪19を駆動する駆動回路などが格納される。なお、図2では図示を省略するが、走行機構部15の一部として車輪19を駆動するモータなども規制器材1に搭載される。なお、撮影データ送信部17は、撮影部16と一体化されていてもよいし、撮影部16の近傍に設けられていてもよい。なお、位置情報送信部12、制御情報受信部13および撮影データ送信部17のうちの少なくとも一部は、制御箱20とは別に設けられていてもよい。なお、制御箱20の位置は図2に示した例に限定されない。
【0036】
図3は、本実施の形態の規制器材1の一例である矢印板を模式的に示す図である。図3に示す規制器材1は、矢印が表示される矢印部を含む筐体18と、上述した撮影部16と、走行機構部15の一部である車輪19と、制御箱20とを備える。制御箱20は、例えば、筐体18の内部に設けられ、制御箱20内には、位置情報送信部12、制御情報受信部13および撮影データ送信部17、自己位置特定部11のうちの一部および走行制御部14を実現する制御回路、走行機構部15のうちの車輪19を駆動する駆動回路などが格納される。なお、図3では図示を省略するが、走行機構部15の一部として車輪19を駆動するモータなども規制器材1に搭載される。なお、制御箱20の位置は図3に示した例に限定されない。
【0037】
図2および図3はそれぞれ一例を模式的に示したものであり、各部の配置位置および大きさは図2および図3に示した例に限定されない。上述したように走行機構部15についても、車輪19を用いたものに限定されない。
【0038】
なお、規制器材1が警報装置を備える場合は、警報装置が管理装置2から警報を発報することを示す制御情報を受信して警報を発報してもよいし、制御情報受信部13が当該制御情報を受信して警報装置へ出力することで、警報装置が警報を発報してもよい。また、規制器材1が緩衝材を備える場合、規制器材1が緩衝材を起動させる起動制御部を備え、起動制御部が管理装置2から緩衝材を起動させるための制御情報を受信して緩衝材を起動させてもよいし、制御情報受信部13が当該制御情報を受信して起動制御部を出力することで、起動制御部が緩衝材を起動させてもよい。
【0039】
また、規制器材1のうちの一部が撮影部16および撮影データ送信部17を備え、残部が撮影部16および撮影データ送信部17を備えなくてもよい。回避処理の対象となる規制器材1の全てが撮影部16および撮影データ送信部17を備える場合は、各規制器材1と車両との衝突の可能性の判定は自身が取得した撮影データに基づいて行われてもよい。または、この場合に、管理装置2が、複数の規制器材1によって撮影された撮影データと各規制器材1の位置、撮影方向および画角に基づいて、撮影データを統合して車両の状態を推定し、推定した車両の状態と各規制器材1の位置とに基づいて、規制器材1ごとに、規制器材1と車両との衝突の可能性を判定してもよい。回避処理の対象となる規制器材1のうち、撮影部16および撮影データ送信部17を備えない規制器材1である第1の規制器材1がある場合には、管理装置2は、撮影部16および撮影データ送信部17を備える規制器材1である第2の規制器材によって取得された撮影データに基づいて車両の状態を推定し、車両の状態と各規制器材1の位置とに基づいて第1の規制器材と車両との衝突の可能性を判定する。
【0040】
図1~3では、規制器材1が自走可能な例を示したが、上述したように、規制器材1は自走せずに、作業員などによって設置されてもよい。この場合、規制器材1および管理装置2は、規制器材1の移動のための各機能部を備えなくてよい。すなわち、規制器材1が自走しない場合には、規制器材1は、自己位置特定部11、位置情報送信部12、制御情報受信部13、走行制御部14および走行機構部15を備えなくてよく、管理装置2は、位置情報受信部21、制御情報送信部22および器材制御部23を備えなくてよい。規制器材1および管理装置2が、規制器材1の移動のための各機能部を備えない場合には、回避処理は、規制器材1を移動させる処理を含まない。また、複数の規制器材1が用いられる場合には、自走可能な規制器材1と自走しない規制器材1との両方が用いられてもよい。
【0041】
なお、規制器材1が自走せず、かつ回避処理に規制器材1による警報の発報および緩衝材の起動のうちの少なくとも一方が含まれる場合には、規制器材1は、自己位置特定部11、位置情報送信部12、走行制御部14および走行機構部15を備えず、制御情報受信部13については備えていてもよい。この場合、制御情報受信部13が、回避処理のための制御情報を受信し、受信した制御情報を、回避処理に対応する機能部(警報装置および緩衝材の起動部のうちの少なくとも一方)へ出力してもよいし、上述したように、回避処理に対応する機能部が制御情報を受信する機能を有し制御情報受信部13が設けられなくてもよい。
【0042】
なお、規制器材1が自走しない場合には、規制器材1は、例えば、あらかじめ定められた設置計画に基づいて作業員によって設置され、管理装置2は、設置計画に基づいて、各規制器材1の位置を把握してもよい。または、規制器材1の設置後に、各規制器材1の位置が、作業員から管理装置2のオペレータなどに伝達されて管理装置2に入力されてもよいし、作業員が端末装置3に規制器材1の位置を入力し、端末装置3が、規制器材1の位置を管理装置2へ送信してもよい。
【0043】
規制器材1における撮影方向および画角などの撮影に関するパラメータは、あらかじめ設置計画によって定められていてもよいし、作業員が道路の状況に応じて調整し、調整後に作業員から管理装置2のオペレータなどに伝達されて管理装置2に入力されてもよいし、作業員が端末装置3にパラメータを入力し、端末装置3が、パラメータを管理装置2へ送信してもよい。
【0044】
次に、本実施の形態の道路管理システム100の衝突判定および回避処理に関する動作について説明する。図4は、本実施の形態の規制器材1による撮影のイメージを示す図である。図4に示した例では、片側2車線の道路において、車両5が走行している。車両5の前方に記載した矢印202は車両5の進行方向を示す。画角201は紙面左端の規制器材1の撮影部16の画角であり、図4に示すように、この規制器材1は、道路の上流側、すなわち車線の走行方向とは逆となる側を含む領域を撮影する。なお、車線の走行方向とは、道路において車線ごとに車両5が走行すべき方向として定められている方向である。
【0045】
図4に示した例では、規制器材1によって囲まれる規制区間では、保護器具4を着用した作業員が作業をしている。本実施の形態では、図4に示すように、規制区間に車両5が進入する前に、規制器材1によって道路の上流側を撮影し、撮影された映像を示す撮影データを用いて管理装置2が車両5の移動経路を予測する。図4に示した例では、規制区間が設けられている車線を走行している車両5の移動経路を、破線で示している。図4に示した例では、移動経路上に左から2番目の規制器材1が存在する。管理装置2は、例えば、推定した車両5の速度を用いて、車両5が、左から2番目の規制器材1に到達する時刻を予測し、予測した時刻が一定時間以内(現在から一定時間以内)である場合に、車両5が規制器材1に衝突する可能性があると判定する。また、車両5の移動範囲の設定によっては、左から2番目の規制器材1の両隣の規制器材1が移動範囲内に存在するため、管理装置2は、最も早く移動範囲内に入る規制器材1に関して、規制器材1が移動範囲内に入る時刻を予測し、予測した時刻が一定時間以内である場合に、車両5が規制器材1に衝突する可能性があると判定してもよい。
【0046】
車両5が規制器材1に衝突すると判定されると、例えば、回避処理として、保護器具4が起動され、これにより作業員に関する安全性を向上させることができる。また、回避処理として、図4では図示しない端末装置3、規制器材1、その他の警報装置を介して警報が発報される場合も、作業員に関する安全性を向上させることができる。また、回避処理として、規制器材1の移動が行わることで、車両5と規制器材1との衝突を避けることができ、車両5のドライバの安全性を向上させることができるとともに、車両5と規制器材1との衝突によって規制器材1、車両5などが作業員に衝突する可能性を低下させることができる。また、回避処理として、規制器材1の緩衝材を起動させることで、車両5のドライバの安全性を向上させることができる。
【0047】
なお、図4では、上流側を撮影する例を図示しているが、少なくとも上流側が撮影されればよく、図4より広い範囲が撮影されてもよく、上流側に加えて側方が撮影されてもよい。
【0048】
図5は、本実施の形態の管理装置2における処理手順の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、管理装置2は、撮影データを受信する(ステップS1)。詳細には、撮影データ受信部24が、規制器材1から撮影データを受信し、受信した撮影データを車両検出部25へ出力する。
【0049】
次に、管理装置2は、映像内の車両5を検出する(ステップS2)。詳細には、車両検出部25が、撮影データ受信部24から受け取った撮影データが示す映像から車両5を抽出し、映像内の車両5の位置、すなわち映像における車両5の映像の領域を特定し、特定結果を撮影データとともに車両状態推定部26へ出力する。
【0050】
次に、管理装置2は、車両5の位置、進行方向および速度を推定する(ステップS3)。詳細には、車両状態推定部26が、撮影データ受信部24から受け取った撮影データおよび特定結果を用いて、車両5の位置、進行方向および速度を推定し、推定結果を衝突判定部27へ出力する。
【0051】
次に、管理装置2は、車両5の移動経路を予測する(ステップS4)。詳細には、衝突判定部27が、車両状態推定部26受け取った推定結果を用いて、車両5の移動経路を予測する。次に、管理装置2は、衝突の可能性があるか否かを判定する(ステップS5)。詳細には、衝突判定部27が、例えば、予測した移動経路を用いて、一定時間以内に規制器材1に車両5が衝突する可能性があるか否かを判定する。例えば、衝突判定部27は、移動経路と車両5の大きさとを用いて移動範囲を設定し、移動範囲に規制器材1が入る時刻を算出し、算出した時刻が現在からの一定時間以内である場合に、規制器材1に車両5が衝突する可能性があると判定する。
【0052】
衝突の可能性がない場合(ステップS5 No)、ステップS1からの処理が繰り返される。衝突の可能性がある場合(ステップS5 Yes)、管理装置2は、回避処理を実行し(ステップS6)、処理を終了する。なお、ステップS6の後、ステップS1からの処理が繰り返されてもよい。ステップS6では、詳細には、衝突判定部27が、回避処理を実行する通知部へ車両5が規制器材1に衝突する可能性があることを、通知する。通知部は、上述したとおり、例えば、送信部28と、器材制御部23および制御情報送信部22とのうちの1つ以上である。
【0053】
以上の処理により、本実施の形態では、規制区画に車両5が進入する前に人手を要することなく回避処理を行うことができ、規制器材1への車両5の衝突を検知して警報を発する場合に比べて安全性を向上させることができる。
【0054】
なお、上述した例では、衝突判定部27が、規制器材1と車両5とが衝突する可能性があるか否かを判定したが、この代わりに、またはこれに加えて作業員と車両5とが衝突する可能性があるか否かを判定してもよい。この場合、例えば、管理装置2の車両検出部25が、規制器材1によって取得された撮影データが示す映像から車両5だけでなく作業員も検出することで、作業員の位置を求め、作業員の位置を示す位置情報を衝突判定部27へ通知する。衝突判定部27は、規制器材1と車両5との衝突の可能性の判定と同様に、作業員と車両5との衝突の可能性の判定を行い、衝突の可能性があると判定すると、回避処理が実行される。なお、この場合、規制器材1は、道路の上流側だけなく、規制区間内も撮影する。例えば、1つの規制器材1が道路の上流側と規制区間内との両方を撮影するようにしてもよいし、道路の上流側を撮影する規制器材1と規制区間内を撮影する規制器材1とを異ならせてもよい。
【0055】
または、管理装置2は、作業員の位置を示す作業員位置情報を、作業員が携帯する端末装置3から取得してもよい。端末装置3は、GPS受信機などの位置検出装置を備えることで自己の位置を検出し、検出したい位置を示す位置情報を作業員の位置情報として管理装置2へ送信してもよいし、作業員から作業員の位置を示す位置情報の入力を受け付け、受け付けた位置情報を作業員の位置情報として管理装置2へ送信してもよい。または、端末装置3とは別に作業員の位置を検出して管理装置2へ送信する位置管理装置を作業員が身に着けるようにしてもよい。
【0056】
このように、車両5との衝突の判定となる対象物は、規制器材1に限定されず、規制区間内に位置する人および物のうちの少なくとも一方であればよい。すなわち、衝突判定部27は、予測した移動経路と規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、車両5が対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両5が対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させればよい。対象物は、規制器材1および規制区間内の作業員のうち少なくとも一方を含む。また、対象物は、規制区間内に位置する作業員以外の人を含んでいてもよいし、規制器材1以外の規制区間内で用いられる器材を含んでいてもよい。
【0057】
なお、図1に示した例では、管理装置2が、撮影データを用いて図5に示した処理を行うようにしたが、処理を行う主体は、管理装置2に限定されない。図6は、本実施の形態の変形例にかかる道路管理システム100aの構成例を示す図である。図1に示した構成例を同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。図6に示した道路管理システム100aは、規制器材1aおよび管理装置2aを備える。図6に示した構成例では、規制器材1aは、管理装置である管理部200を備え、管理部200は、図1に示した車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28を備える。このように、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28は、規制器材1a内に設けられてもよい。すなわち、本実施の形態の管理装置は規制器材内に設けられてもよい。図6に示した構成例では、撮影部16が撮影データ取得部となり、自己位置特定部11が位置情報取得部となる。
【0058】
また、管理装置2aにおける器材制御部23についても規制器材1a内に設けられてもよい。この場合、各規制器材1aは、自身に設定された目標位置に基づいて自律的に移動を行うことになり、管理装置2aが設けられなくてもよく、規制器材1aは自走可能でなくてもよく、この場合にも、管理装置2aが設けられなくてよい。
【0059】
また、管理部200が、規制器材1aおよび管理装置2aとは別の管理装置として設けられてもよい。すなわち、規制器材1aの位置の制御は、撮影データを用いた図5に示した処理を行う管理装置2とは別の管理装置によって行われてもよい。この場合、回避処理において規制器材1aの移動が行われる際に、撮影データを用いた図5に示した処理を行う管理装置が、規制器材1aの位置の制御を行う管理装置2aへ、規制器材1aを移動させる指示を送信する。
【0060】
次に、本実施の形態の管理装置2のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の管理装置2は、コンピュータシステム上で、管理装置2における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが管理装置2として機能する。図7は、本実施の形態の管理装置2を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図7に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0061】
図7において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の管理装置2における処理が記述されたプログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。制御部101および記憶部103は、例えば、処理回路を構成する。処理回路は、1つの回路であってもよいし複数の回路であってもよい。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、図7は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図7の例に限定されない。
【0062】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の管理装置2としての処理を実行する。
【0063】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、管理装置2における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0064】
図1に示した器材制御部23、車両検出部25、車両状態推定部26および衝突判定部27は、図7に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、器材制御部23、車両検出部25、車両状態推定部26および衝突判定部27の実現には、記憶部103も用いられる。図1に示した位置情報受信部21、制御情報送信部22、撮影データ受信部24および送信部28は、図7に示した通信部105により実現される。管理装置2は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管理装置2は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。図6に示した管理装置2aも同様に、例えば、図7に示したコンピュータシステムより実現され、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよく、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0065】
例えば、本実施の形態のプログラムは、コンピュータシステムである管理装置2に、規制器材1が道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得するステップと、撮影データを用いて、上流側の車両5の位置、進行方向および速度を車両状態として推定するステップと、推定された車両状態を用いて車両5の移動経路を予測し、予測した移動経路に基づいて、車両5が規制区間内の対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、車両5が対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させるステップと、を実行させる。
【0066】
また、端末装置3も、管理装置2と同様に図7に例示されるコンピュータシステムによって実現される。また、規制器材1における走行制御部14、位置情報送信部12および制御情報受信部13は、例えば、図7に例示されるコンピュータシステムにおける制御部101、記憶部103および通信部105を備える制御回路により実現される。図1に示した走行制御部14は、図7に示した記憶部103に記憶された管理プログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した位置情報送信部12および制御情報受信部13は図7に示した通信部105により実現される。なお、自己位置特定部11は、GNSS測位により位置情報を取得する場合には、GNSSアンテナを備え、GNSSアンテナによって受信した信号を用いて上述した制御回路によって位置情報が算出される。自己位置特定部11は、補強情報を受信する場合には、補強情報を受信するアンテナを備える。または、補強情報を地上ネットワークから受信する場合には制御回路における通信部105により補強情報を受信する。また、自己位置特定部11が位置情報として画像情報を取得する場合には、自己位置特定部11はカメラにより実現される。また、規制器材1における撮影部16はカメラにより実現される。撮影データ送信部17は、上述した位置情報送信部12および制御情報受信部13を実現する通信部105によって実現されてもよいし、位置情報送信部12および制御情報受信部13を実現する通信部105とは別の通信装置により実現されてもよい。図6に示した規制器材1aにおける管理部200も同様に、制御部101、記憶部103および通信部105を備える制御回路により実現される。
【0067】
以上のように、本実施の形態では、管理装置2が、規制器材1によって取得された撮影データを用いて、車両5の移動経路を予測し、予測結果を用いて車両5が規制器材1に衝突する可能性がある場合には、回避処理を実施するようにした。このため、車両5が規制区間に規制器材1に衝突する間に、対処を行うことができる。これにより、人手を要することなく、規制器材1への車両5の衝突を検知して警報を発する場合に比べて安全性を向上させることができる。
【0068】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2にかかる道路管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の道路管理システム100bは、規制器材1b、管理装置2bおよび事前通知装置6を備える。なお、図8では、規制器材1b、事前通知装置6をそれぞれ1台図示しているが、規制器材1b、事前通知装置6は、それぞれ1台以上であればよく、規制器材1b、事前通知装置6のそれぞれの数は、図8に示した例に限定されない。実施の形態1と同一の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0069】
本実施の形態では、規制区間が設けられていること、すなわち規制器材1bが設置されていることを車両5のドライバに事前に通知する事前通知装置6が、規制器材1bの設置位置に応じて選択される。また、本実施の形態では、事前通知装置6による事前通知の方法が事前通知装置6の設置環境に応じて決定される。規制器材1bの配置に応じた適切な事前通知装置6が選択されることにより、車両5のドライバが規制区間を事前に認識しやすくなり、安全性を向上させることができる。また、事前通知装置6の設置環境に応じて事前通知の方法が決定されることにより、さらに、車両5のドライバが規制区間を事前に認識しやすくなり、安全性を向上させることができる。
【0070】
事前通知装置6は、例えば、この先に規制区間があるため車線の変更が必要であることを、文字、図形、音声などによって示す装置である。本実施の形態では、事前通知装置6が、自走可能な例を説明するが、事前通知装置6は作業員によって運ばれることで移動可能な可搬型の装置であってもよいし、定められた場所に固定される装置であってもよい。複数の事前通知装置6が用いられる場合には、これらが混在していてもよい。また、事前通知装置6が自走可能でない場合には、事前通知装置6および管理装置2bにおける事前通知装置6の位置の制御のための機能部は設けられてなくてよい。
【0071】
規制器材1bは、実施の形態1の規制器材1から撮影部16および撮影データ送信部17が削除される以外は、実施の形態1の規制器材1と同様である。なお、規制器材1bは、自走可能でなくてもよく、作業員によって配置されてもよい。この場合、規制器材1bの位置情報は、実施の形態1で述べたように、配置計画によって定められてもよいし、作業員によって入力されてもよい。また、この場合、規制器材1bおよび管理装置2bにおける規制器材1bの位置の制御のための機能部は設けられてなくてよい。
【0072】
管理装置2bは、位置情報受信部21a、制御情報送信部22a、器材制御部23、情報記憶部29、事前通知装置制御部31、事前通知装置選択部32および通知方法決定部33を備える。器材制御部23は、実施の形態1の器材制御部23と同様である。ただし、器材制御部23は、実施の形態1に記載の動作に加えて、規制器材1bの位置情報を事前通知装置選択部32へ出力する。なお、規制器材1bの位置情報は、位置情報受信部21aから事前通知装置選択部32へ出力されてもよい。
【0073】
位置情報受信部21aは、実施の形態1と同様に規制器材1bから位置情報を受信し、受信した位置情報を器材制御部23へ出力する。また、位置情報受信部21aは、事前通知装置6から位置情報を受信し、受信した位置情報を事前通知装置制御部31へ出力する。
【0074】
制御情報送信部22aは、実施の形態1と同様に器材制御部23から規制器材1bを制御するための制御情報を受け取ると、受け取った制御情報を規制器材1bへ送信する。また、制御情報送信部22aは、事前通知装置制御部31から事前通知装置6を制御するための制御情報を受け取ると、受け取った制御情報を事前通知装置6へ送信する。
【0075】
情報記憶部29は、地図情報および事前通知装置情報を記憶する。地図情報は、トンネルなど道路における構造物などの位置を示す情報を含む。また、地図情報は、ダイナミックマップなどのように渋滞情報、各道路における車両5の速度などを含んでいてもよい。地図情報は、例えば、あらかじめ情報記憶部29に記憶されてもよいし、外部の地図情報を提供するサーバなどから取得され、例えば定期的に更新されてもよい。また、渋滞情報、車両5の速度などの動的な情報は、道路に設置された検出装置などによって、地図情報とは別に取得されて、情報記憶部29に格納されてもよい。事前通知装置情報は、各事前通知装置6に関する情報を含み、例えば、事前通知装置6のそれぞれの設置位置を示す情報を含む。事前通知装置情報は、事前通知装置6の種別(機種)を示す情報を含んでいてもよい。
【0076】
事前通知装置制御部31は、位置情報受信部21aを介して事前通知装置6から受信した位置情報を用いて事前通知装置6の位置を制御する。事前通知装置6の位置を制御する方法は、例えば、実施の形態1における規制器材1の制御方法と同様であり、事前通知装置制御部31は、事前通知装置6の目標位置と当該事前通知装置6に対応する位置情報とを用いて、規制器材1bの位置を制御するための制御量を決定する。事前通知装置制御部31は、制御量を含む制御情報を生成し、生成した制御情報を、制御情報送信部22aを介して事前通知装置6へ送信する。事前通知装置6の目標位置は、図示しない入力手段によって入力されることにより設定されてもよいし、他の装置から送信され、管理装置2bが受信することにより設定されてもよい。なお、事前通知装置6の位置の制御方法は上述した例に限定されない。事前通知装置制御部31は、事前通知装置6が目標位置に移動すると、事前通知装置情報として、当該事前通知装置6の位置を情報記憶部29に格納する。なお、事前通知装置6の設置は、規制器材1bの設置と連動ぜずに行われてもよいし、規制器材1bが設置される際に、事前通知装置6も設置されてもよい。
【0077】
事前通知装置選択部32は、器材制御部23から受け取った規制器材1bの位置情報と、情報記憶部29に記憶されている事前通知装置情報とを用いて、規制器材1bに対応する規制区間に関する通知を行う事前通知装置6を選択し、選択結果を通知方法決定部33へ出力する。
【0078】
通知方法決定部33は、事前通知装置選択部32から受け取った選択結果と、情報記憶部29に記憶されている地図情報とを用いて、選択された事前通知装置6の設置環境に応じて事前通知の方法(事前通知方法)を決定する。通知方法決定部33は、決定した事前通知方法で通知を行うことを指示する制御情報を生成し、生成した制御情報を制御情報送信部22aへ出力する。
【0079】
設置環境に応じた事前通知方法は、例えば、事前通知装置6が暗い場所に設置されている場合には、通知を行う際の照度を通常より高くするといったように、明るさに応じて照度を変更する方法である。例えば、事前通知装置6の例である路側誘導灯の点灯の照度をトンネル内とトンネル外とで変えてもよい。このように、事前通知装置6が、光を発することで事前通知を行うことが可能である場合、通知方法決定部33は、事前通知装置6の設置される箇所の明るさに応じて、光の照度を決定してもよい。また、事前通知装置6として道路に文字および図形のうち少なくとも一方を投影する投影装置が用いられる場合、事前通知装置6の周辺の車両5の平均的な速度(車速)に応じて、文字および図形のうち少なくとも一方である投影対象が車速と同じ速度で移動するように投影することを、事前通知方法として決定してもよい。すなわち、通知方法決定部33は、事前通知装置6の設置される箇所における走行する車両5の速度に合わせて事前通知が投影される投影領域が移動するように、投影領域の移動の速度を決定してもよい。例えば、上述した地図情報または地図情報とは別に取得された動的な情報に基づいて、渋滞により10km/hで車両5が走行している場所に設置されている事前通知装置6に関しては、通知方法決定部33は、10km/hで投影対象を車両5の走行方向に移動させながら投影することを事前通知方法として決定する。なお、事前通知装置6の設置環境に応じた事前通知方法は、これらの例に限定されない。
【0080】
事前通知装置6は、自己位置特定部61、位置情報送信部62、制御情報受信部63、走行制御部64、走行機構部65、通知制御部66および事前通知部67を備える。自己位置特定部61、位置情報送信部62、制御情報受信部63、走行制御部64、走行機構部65は、それぞれ規制器材1bにおける自己位置特定部11、位置情報送信部12、制御情報受信部13、走行制御部14、走行機構部15と同様であるが、制御情報受信部63は、受信した制御情報が事前通知方法を指示する制御情報である場合には、当該制御情報を通知制御部66へ出力する。
【0081】
位置情報送信部62から管理装置2bまでの通信回線はどのような通信回線が用いられてもよいが、低遅延の通信回線を用いると、遅延を低減することができる。例えば、無線回線が用いられる区間に関しては第5世代移動通信システム、第6世代移動通信システムなどのように高速で低遅延の通信回線を用いることで、位置情報として画像情報を送信する場合にも低遅延で事前通知装置6から管理装置2bへ位置情報を送信することができる。なお、位置情報送信部62から管理装置2bまでの通信回線は、無線回線と有線回線との組み合わせであってもよい。
【0082】
通知制御部66は、制御情報受信部63から受け取った制御情報に基づいて、事前通知部67を制御する。事前通知部67は、通知制御部66の制御のもとで、発光、投影などにより、車両5のドライバに視認可能な表示を行う。
【0083】
次に、本実施の形態の管理装置2bによる事前通知装置6の制御に関する動作について説明する。図9は、本実施の形態の管理装置2bにおける事前通知装置6の制御に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。管理装置2bは、規制器材1bの位置情報を受信する(ステップS11)。詳細には、位置情報受信部21aが規制器材1bから位置情報を受信し、受信した位置情報を器材制御部23および事前通知装置選択部32へ出力する。
【0084】
次に、管理装置2bは、事前通知装置6を選択する(ステップS12)。詳細には、事前通知装置選択部32が、位置情報受信部21aから受け取った規制器材1bの位置情報と、情報記憶部29に記憶されている事前通知装置情報とを用いて、規制器材1bの位置に応じた事前通知装置6を選択し、選択結果を通知方法決定部33へ出力する。なお、事前通知装置選択部32は、複数の事前通知装置6を選択してもよい。また、1つの規制区間につき、少なくとも1つの規制器材1bの位置情報が選択に用いられればよい。例えば、1つの規制区間において最も上流側に配置される規制器材1bの位置情報が選択に用いられてもよいし、1つの規制区間に対応する上流側の複数の規制器材1bの位置情報に基づいて、これらの複数の規制器材1bの位置の平均値が選択に用いられてもよい。
【0085】
図10は、本実施の形態の管理装置2bによる事前通知装置6の選択の概要を示す図である。図10に示した例では、規制器材1bの周辺に、それぞれが事前通知装置6である事前通知装置6-1,6-2が配置されている。例えば、事前通知装置選択部32は、規制器材1bが配置される車線の上流側で、規制器材1bからの距離が定められた範囲内となる事前通知装置6-2を選択する。定められた範囲は、例えば、50mから70mまでの範囲といったように、上限値と下限値とで定められる。なお、定められた範囲はこの例に限定されない。図10では、規制器材1bからの距離が定められた範囲内となる事前通知装置6として事前通知装置6-1,6-2の2つが存在する例を示している。この例では、事前通知装置6-1は、規制器材1bより上流側ではないので、規制器材1bに対応する事前通知装置6として、規制器材1bより上流側の事前通知装置6-2が選択される。
【0086】
図9の説明に戻る。次に、管理装置2bは、事前通知方法を決定する(ステップS13)。詳細には、通知方法決定部33が、事前通知装置選択部32から受け取った選択結果に対応する事前通知装置6の設置環境を、情報記憶部29に格納されている地図情報などを用いて取得し、取得した設置環境に応じて事前通知方法を決定する。通知方法決定部33は、決定した事前通知方法を示す制御情報を生成し、生成した制御情報を制御情報送信部22aへ出力する。設置環境の取得元になる情報は地図情報に限定されず、地図情報とは別に取得された動的な情報であってもよい。
【0087】
次に、管理装置2bは、事前通知方法を指示し(ステップS14)、処理を終了する。詳細には、ステップS14では、制御情報送信部22aが、通知方法決定部33から受け取った制御情報を事前通知装置6へ送信することで、事前通知方法を事前通知装置6へ指示する。
【0088】
図11は、本実施の形態の管理装置2bによる事前通知方法の一例を示す図である。図11では、図10に示した事前通知装置6-2が、規制器材1bに対応する事前通知装置6として選択された後に、事前通知装置6-2が実施する事前通知方法を例示している。図11に示した例では、事前通知装置6-2は、道路に図形および文字のうち少なくとも一方を投影する投影装置であり、投影する領域である投影領域203を変更可能である。図11に示した例では、事前通知装置6-2の周辺を走行する車両5の車速に合わせて投影領域203を移動させるように、事前通知方法が決定される。これにより、車両5のドライバは、投影領域203に投影された図形および文字のうち少なくとも一方を視認しやすくなり、規制器材1bが設置されていることの事前通知を認識しやすくなる。なお、図11では、投影領域203に、規制器材1bが設置されていることの事前通知として車線変更を促す矢印が投影領域203内に投影されているが、事前通知の具体的な内容はこれに限定されない。
【0089】
本実施の形態の管理装置2bも、実施の形態1の管理装置2,2aと同様に、例えば、図7に例示したコンピュータシステムにより実現される。図8に示した器材制御部23、事前通知装置制御部31、事前通知装置選択部32および通知方法決定部33は、図7に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、器材制御部23、事前通知装置制御部31、事前通知装置選択部32および通知方法決定部33の実現には、記憶部103も用いられる。図8に示した位置情報受信部21aおよび制御情報送信部22aは、図7に示した通信部105により実現される。図8に示した情報記憶部29は、記憶部103の一部である。管理装置2bは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管理装置2bは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0090】
規制器材1bにおける走行制御部14、位置情報送信部12および制御情報受信部13は、実施の形態1の規制器材1と同様に、例えば、図7に例示されるコンピュータシステムにおける制御部101、記憶部103および通信部105を備える制御回路により実現される。事前通知装置6における走行制御部64、位置情報送信部62および制御情報受信部63および通知制御部66も、例えば、図7に例示されるコンピュータシステムにおける制御部101、記憶部103および通信部105を備える制御回路により実現される。
【0091】
なお、図8に示した例では、管理装置2bによって規制器材1bの位置が制御されるが、実施の形態1で述べたように、規制器材1bが自律的に位置の制御を行ってもよい。この場合、管理装置2bの機能は、規制器材1b内に設けられてもよい。また、実施の形態1の変形例と同様に、規制器材1bが、管理部を備え、管理部が情報記憶部29、事前通知装置制御部31、事前通知装置選択部32および通知方法決定部33を備えてもよい。すなわち、本実施の形態の管理装置2bは規制器材1b内に設けられてもよい。この場合、全ての規制器材1bが管理装置を備えてもよいし、一部の規制器材1bが管理装置を備えてもよい。
【0092】
また、実施の形態1(変形例を含む)と実施の形態2とを組み合わせてもよい。例えば、規制器材1bが、さらに、撮影部16および撮影データ送信部17を備え、管理装置2bが、さらに、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28を備えることで、本実施の形態の動作に加えて実施の形態1で述べた動作がさらに行われてもよい。
【0093】
本実施の形態では、以上のように、規制区間が設けられていること、すなわち規制器材1bが設置されていることを車両5のドライバに事前に通知する事前通知装置6が、規制器材1bの設置位置に応じて選択され、選択された事前通知装置6による事前通知の方法が事前通知装置6の設置環境に応じて決定される。これにより、車両5のドライバが規制区間を事前に認識しやすくなり、安全性を向上させることができる。
【0094】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3にかかる道路管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の道路管理システム100cは、規制器材1cおよび管理装置2cを備える。なお、図8では、規制器材1cを1台図示しているが、規制器材1cは、1台以上であればよく、規制器材1cの数は、図12に示した例に限定されない。実施の形態1と同一の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0095】
本実施の形態の規制器材1cは、撮影部16および撮影データ送信部17が削除され、位置情報送信部12の代わりに位置情報送信部12aを備える以外は、実施の形態1の規制器材1と同様である。
【0096】
本実施の形態の管理装置2cは、実施の形態1の管理装置2から、撮影データ受信部24、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28が削除される以外は、実施の形態1の管理装置2と同様である。
【0097】
本実施の形態では、規制器材1cが、自走可能である例を説明するが、規制器材1cは自走可能でなくてもよく、複数の規制器材1cが用いられる場合には、これらが混在してもよい。規制器材1cが、自走可能でない場合には、管理装置2cは設けられなくてよく、規制器材1cは、自己位置特定部11と位置情報送信部12aとを備えていればよい。または、規制器材1cは、自己位置特定部11を備えず、規制器材1cの位置を示す位置情報が図示しない入力受付部を介して入力される、または他の装置から位置情報を受信し、位置情報送信部12aが位置情報を車両5へ送信してもよい。
【0098】
本実施の形態では、規制器材1cの位置情報送信部12aが、規制器材1cの位置を示す位置情報を、管理装置2cに送信するとともに、車両5にも送信する。車両5は、車車間通信を行うことが可能であり、規制器材1cから位置情報を受信すると、受信した位置情報を周辺の車両5へ送信する。図12では、それぞれが車両5である車両5-1~5-4を図示しており、車両5-1と車両5-2とが規制器材1cから位置情報を受信し、車両5-1は、受信した位置情報を車両5-3に送信し、車両5-2は、受信した位置情報を車両5-4に送信する。このように、本実施の形態では、規制器材1cの位置を示す位置情報が車車間通信により順次転送される。なお、図12では、車両5の例として車両5-1~5-4を図示しているが、車両5の数は図12に示した例に限定されない。また、車両5を道路管理システム100cに含めてもよい。
【0099】
なお、位置情報の転送は、車車間の1対1通信で行われてもよいし、送信元の車両5が位置情報を報知することで複数の車両5へ位置情報が送信されてもよい。
【0100】
車両5-1は、位置情報受信部51、ドライバ通知部52および位置情報送信部53を備える。各車両5は走行のための機能部など図示しない構成要素も備えているが、図12では、本実施の形態の規制器材1cの位置情報に関する構成要素を図示している。なお、図示を省略しているが、車両5-2~5-4も、車両5-1と同様に、位置情報受信部51、ドライバ通知部52および位置情報送信部53を備える。
【0101】
位置情報受信部51は、規制器材1cから位置情報を受信し、受信した位置情報をドライバ通知部52および位置情報送信部53へ出力する。位置情報送信部53は、位置情報受信部51から受け取った位置情報を他の車両5へ送信する。なお、位置情報受信部51および位置情報送信部53は、本実施の形態の動作のために設けられてもよいし、車車間通信および路車間通信を行うための一般的な通信装置により実現されてもよいが、低遅延の通信回線を用いると遅延を低減することができる。例えば、第5世代移動通信システム、第6世代移動通信システムなどによる車車間通信等が実現されてもよい。
【0102】
ドライバ通知部52は、位置情報受信部51から受け取った位置情報を用いて、規制器材1cの位置をドライバへ通知する。例えば、ドライバ通知部52は、表示および音声のうちの少なくとも1つにより、規制器材1cの位置をドライバへ通知する。具体的には、ドライバ通知部52は、受信した全ての位置情報について、例えば、カーナビゲーションにおける地図上に規制器材1cの位置を表示することで、規制器材1cの位置をドライバへ通知してもよい。または、ドライバ通知部52は、規制器材1cが上流側の現在位置から一定距離以内の位置に存在する場合に、規制器材1cまでの距離とともにこの先に規制区間があることをドライバに通知することで、規制器材1cの位置をドライバへ通知してもよい。規制器材1cの位置をドライバへ通知する方法はこれらの例に限定されない。
【0103】
次に、本実施の形態の規制器材1cおよび車両5の動作について説明する。図13は、本実施の形態の規制器材1cおよび車両5の動作の一例を示すシーケンス図である。図13に示すように、規制器材1cは、規制器材1cの位置を示す位置情報を送信する(ステップS21)。詳細には、例えば、位置情報送信部12aが、定期的に位置情報を周辺の車両5および管理装置2cへ送信する。なお、図示を省略しているが、規制器材1cは、車両5-1以外の車両5にも位置情報を送信してもよい。例えば、規制器材1cは、規制器材1cと通信可能な範囲内にある全ての車両5に位置情報を送信してもよいし、車両5から車両5の位置を示す情報を受信し、規制器材1cより上流側に存在する車両5のうち通信可能な範囲内の車両5に位置情報を送信してもよい。
【0104】
車両5-1は、規制器材1cから位置情報を受信すると、受信した位置情報を車両5-3に送信する(ステップS22)。位置情報受信部51は、規制器材1cから位置情報を受信し、受信した位置情報をドライバ通知部52および位置情報送信部53へ出力する。なお、図示を省略しているが、車両5-1は、車両5-3以外にも位置情報を送信してもよい。例えば、車両5-1は、車両5-1と通信可能な範囲内にある全ての車両5に位置情報を送信してもよいし、車両5から車両5の位置を示す情報を受信し、車両5-1より上流側に存在する車両5のうち通信可能な範囲内の車両5に位置情報を送信してもよい。
【0105】
車両5-1は、ドライバへの通知を行う(ステップS23)。詳細には、ドライバ通知部52が、位置情報受信部51から受け取った位置情報を用いて、規制器材1cの位置をドライバへ通知する。また、車両5-3も、同様に、位置情報を受信すると、ドライバへの通知を行い(ステップS24)、図示を省略するが、位置情報を他の車両5へ送信する。このような動作が行われることで、本実施の形態では、規制区間をドライバが目視できるようになる前に、規制器材1cの位置をドライバへ認識させることができる。これにより安全性を向上させることができる。なお、車両5による位置情報の転送は、車両5と規制器材1cとの距離がしきい値以上となった場合などには行われないようにしてもよい。
【0106】
本実施の形態の管理装置2cも、実施の形態1の管理装置2,2aと同様に、例えば、図7に例示したコンピュータシステムにより実現される。管理装置2cは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管理装置2cは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0107】
規制器材1cにおける走行制御部14、位置情報送信部12aおよび制御情報受信部13は、実施の形態1の規制器材1と同様に、例えば、図7に例示されるコンピュータシステムにおける制御部101、記憶部103および通信部105を備える制御回路により実現される。車両5における位置情報受信部51および位置情報送信部53は、通信装置により実現される。ドライバ通知部52は、表示装置およびスピーカのうちの少なくとも一方により実現される。なお、位置情報受信部51、ドライバ通知部52および位置情報送信部53は、車車間通信および路車間通信の機能を備えたカーナビゲーションシステムなどによって実現されてもよい。
【0108】
なお、図12に示した例では、管理装置2cによって規制器材1cの位置が制御されたが、実施の形態1で述べたように、規制器材1cが自律的に位置の制御を行ってもよい。この場合、管理装置2cの機能は、規制器材1c内に設けられてもよい。
【0109】
また、実施の形態1(変形例を含む)および実施の形態2のうちの少なくとも一方と本実施の形態とを組み合わせてもよい。例えば、規制器材1cが、さらに、撮影部16および撮影データ送信部17を備え、管理装置2cが、さらに、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28を備えることで、本実施の形態の動作に加えて実施の形態1で述べた動作がさらに行われてもよい。同様に、実施の形態2、または実施の形態1および実施の形態2と、本実施の形態とを組み合わせてもよい。
【0110】
以上のように、本実施の形態では、規制器材1cが自身の位置を示す位置情報を車両5へ送信し、車両5が他の車両5へ位置情報を送信し、位置情報を受信した車両5が、規制器材1cの位置をドライバへ通知するようにした。これにより、規制器材1cの周辺の車両5のドライバが、規制区間を目視できる前までに規制を認識することができ、安全性を向上させることができる。なお、車両5による位置情報の転送は、車両5と規制器材1cとの距離がしきい値以上となった場合などには行われないようにしてもよい。
【0111】
実施の形態4.
図14は、実施の形態4にかかる道路管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の道路管理システム100dは、規制器材1dおよび管理装置2dを備える。なお、図14では、規制器材1dを1台図示しているが、規制器材1dは、1台以上であればよく、規制器材1dの数は、図14に示した例に限定されない。実施の形態1と同一の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0112】
規制器材1dは、実施の形態1の規制器材1から撮影部16および撮影データ送信部17が削除されたものであり、実施の形態2の規制器材1bと同様である。管理装置2dは、実施の形態1と同様の位置情報受信部21、制御情報送信部22および器材制御部23を備えるとともに、さらに、気象情報受信部34を備える。
【0113】
本実施の形態では、気象情報取得部である気象情報受信部34が、気象情報提供装置7から、規制器材1dの周辺の気象情報を受信することで気象情報を取得し、取得した気象情報を器材制御部23へ出力する。器材制御部23は、実施の形態1と同様に規制器材1dの位置を制御する際に、気象情報受信部34から受け取った気象情報を考慮する。すなわち、本実施の形態では、器材制御部23は、規制器材1の位置情報と気象情報とを用いて、規制器材1の位置を制御する。気象情報は、例えば、風向、風速を示す情報を含む。気象情報は、路面が凍結しているか否かを示す情報を含んでいてもよい。
【0114】
気象情報提供装置7は、気象情報の提供業者から提供される実測値または予報値を提供する装置であってもよいし、道路に設けられたセンサ、カメラなどによって取得された情報を提供する装置であってもよく、これらの両方の装置であってもよい。なお、例えば、気象情報が定められた地域単位で提供される場合には、気象情報受信部34が、規制器材1dの現在位置を含む地域の気象情報を受信してもよいし、気象情報受信部34はより広い範囲のすなわち複数の地域の気象情報を受信し、器材制御部23が、規制器材1dの位置に応じて、使用する気象情報を選択してもよい。また、気象情報が、センサ、カメラなどによって取得された情報である場合には、器材制御部23は、例えば、規制器材1dの現在位置の最も近くで取得された情報を用いることができる。
【0115】
図15は、本実施の形態の気象情報を考慮した規制器材1dの制御の概念を示す図である。図15では、気象情報として風向および風速を示す情報を含む例を示しており、器材制御部23は、風向および風速に基づいて、規制器材1dが風によって移動する分を考慮して規制器材1dの位置を制御する。すなわち、器材制御部23は、規制器材1dが風によって移動する分を考慮して規制器材1dの位置を制御するための制御情報を生成する。図15では、規制器材1dが、道路に置かれた後に、定められた位置まで移動する例を示しており、破線で示した規制器材1dの位置が定められた位置であるとする。風が無い場合には、移動経路204によって定められた位置まで規制器材1dを移動させる予定であったとする。
【0116】
一方、図15に示した例では、風向205として示すとおり、風が紙面の左から右へ吹いているとする。風が強い場合には、規制器材1dは左から右へ向かう方向の力を受けるため、器材制御部23が移動経路204で移動するように規制器材1dを制御したとしても、規制器材1dは移動経路206のように、右よりに移動してしまい、定められた位置より右側に配置されてしまう可能性がある。これにより、規制器材1dが隣接する車線に進入する可能性もある。このような場合には、例えば、器材制御部23は、目標の移動経路204が道路に沿って直進する移動であっても、ベクトル207に示すように、移動する向きを示すベクトルが、風向205と反対方向の成分を持つように規制器材1dを移動させる。これにより、規制器材1dを定められた位置に配置することができ、規制器材1dが隣接する車線に進入することを防ぎ、安全性を向上させることができる。なお、ベクトル207を算出する際には、風により規制器材1dが、風速に応じて秒速何mで移動するかを算出することになるが、この値は、規制器材1dの構造、重量などによっても異なるため、例えば、あらかじめ計算または実験によって、風速と秒速何mで移動するかとの対応を対応情報として定めておき、器材制御部23は、この対応情報を用いて、規制器材1dの移動を制御することができる。
【0117】
規制器材1dが、定められた位置に設置された後は、動かないように重りなどによって固定されてもよいが、定められた位置に設置されてからも風によって移動する可能性が有る場合には、定められた位置に設置されてから、すなわち規制器材1dが静止しているときに、風向および風速を考慮して規制器材1dの位置を制御してもよい。
【0118】
また、気象情報として路面が凍結しているか否かの情報を用いる場合には、例えば、路面が凍結していると規制器材1dが滑りやすくなりこれによって定められた位置からずれて配置される可能性がある。このため、器材制御部23は、路面が凍結している場合には、路面が凍結していない通常時より低速で規制器材1dを移動させるように制御してもよい。また、器材制御部23は、路面が凍結していない通常時より低速で規制器材1dを移動させつつ、規制器材1dの位置情報に基づいて、規制器材1dの最新の位置に応じて移動量と移動方法とを決定することで、規制器材1dが滑ることで生じる本来の位置とのずれを低減することができ、安全性を高めることができる。
【0119】
本実施の形態の管理装置2dも、実施の形態1の管理装置2,2aと同様に、例えば、図7に例示したコンピュータシステムにより実現される。管理装置2dは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管理装置2dは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0120】
なお、図14に示した例では、管理装置2dによって規制器材1dの位置が制御されたが、実施の形態1で述べたように、規制器材1dが自律的に位置の制御を行ってもよい。この場合、管理装置2dの機能は、規制器材1d内に設けられてもよい。
【0121】
また、実施の形態1(変形例を含む)、実施の形態2および実施の形態3のうちの少なくとも一方と本実施の形態とを組み合わせてもよい。例えば、規制器材1dが、さらに、撮影部16および撮影データ送信部17を備え、管理装置2dが、さらに、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28を備えることで、本実施の形態の動作に加えて実施の形態1で述べた動作がさらに行われてもよい。同様に、実施の形態2および実施の形態3のうちの少なくとも一方と本実施の形態とを組み合わせてもよいし、実施の形態1と実施の形態2および実施の形態3のうちの少なくとも一方と、本実施の形態とを組み合わせてもよい。
【0122】
実施の形態5.
図16は、実施の形態5にかかる道路管理システムの構成例を示す図である。本実施の形態の道路管理システム100eは、規制器材1eおよび管理装置2eを備える。なお、図16では、規制器材1eを1台図示しているが、規制器材1eは、1台以上であればよく、規制器材1eの数は、図16に示した例に限定されない。実施の形態1と同一の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0123】
設置補助装置8は、規制器材1eの設置を補助する器材である。設置補助装置8は、レーザー光などの光を、線状に照射する光照射部81を備える。設置補助装置8は、規制器材1eが存在することが許可される範囲である許可範囲、または、規制器材1eが設置されるべき位置を、レーザー光などの光(以下、照射光とも呼ぶ)によって示す。すなわち、設置補助装置8は、許可範囲、または、規制器材1eが設置されるべき位置を示す光を道路へ照射する。例えば、許可範囲を示す場合、設置補助装置8は、当該範囲の境界を照射光として照射してもよい。また、複数の規制器材1eを、線状に間隔をあけて配置する場合、設置補助装置8は、規制器材1eが並ぶべき線を設置補助装置8が照射光として照射してもよい。許可範囲は、規制器材1eが設置されることが許可される範囲であってもよいし、規制器材1eの移動中に規制器材1eが存在することが許可される範囲であってもよい。換言すると、許可範囲を示す照射光は、規制器材1eの進入が禁止される禁止範囲の境界を示すことになる。
【0124】
管理装置2eは、実施の形態3の管理装置2cの器材制御部23の代わりに器材制御部23aを備える以外は、実施の形態3の管理装置2cと同様である。器材制御部23aは、実施の形態1の器材制御部23と同様に、規制器材1eの位置を制御するための制御情報を生成し、生成した制御情報を制御情報送信部22へ出力する。器材制御部23aは、さらに、規制器材1eが照射する照射光を制御するための制御情報を生成し、生成した制御情報を制御情報送信部22へ出力する。照射光を制御するための制御情報は、例えば、照射光を照射する方向を示す情報を含む。なお、管理装置2eは、設置補助装置8についても制御可能であってもよい。この場合、管理装置2eは、設置補助装置8の照射光の照射方向を制御するための制御情報を生成する設置制御部を備えてもよいし、器材制御部23aが設置補助装置8の照射光の照射方向の制御情報も生成するようにしてもよい。管理装置2eの制御情報送信部22は、設置補助装置8に関する制御情報を設置補助装置8へ送信する。また、設置補助装置8の照射光の照射方向は、定められた計画にしたがって作業員によって調整されてもよい。
【0125】
規制器材1eは、実施の形態1の規制器材1に、受光部91、判定部92および光照射部93が追加されている。受光部91は、受光した光を電気信号に変換する受光素子を備え、電気信号を検出結果として判定部92に出力する。判定部92は、受光部91から受け取った検出結果を用いて、受光部91が照射光を受光したか否かを判定し、照射光を受光した場合、その旨を走行制御部14へ通知する。
【0126】
本実施の形態では、制御情報受信部13は、管理装置2eから受信した制御情報が位置の制御に関するものである場合には、受信した制御情報を走行制御部14へ出力し、管理装置2eから受信した制御情報が照射光の制御に関するものである場合には、受信した制御情報を光照射部93へ出力する。
【0127】
走行制御部14は、実施の形態1と同様に、制御情報受信部13から受け取った制御情報に基づいて走行機構部15を制御するとともに、判定部92から照射光を受光した旨が通知されると、位置調整処理を実施する。位置調整処理は、規制器材1eを停止させる処理であってもよいし、位置に関する制御情報によって示される制御量である移動量を補正する処理であってもよい。すなわち、走行制御部14は、判定部92によって照射光を受光したと判定された場合、許可範囲に規制器材1eが位置するように、走行機構部15を制御すればよい。
【0128】
本実施の形態では、設置補助装置8が、照射光を道路に照射することで、上述したように、規制器材1eの許可範囲または規制器材1eの設置位置が示される。さらに、規制器材1eも、設置補助装置8と同様に、照射光を道路に照射することで、規制器材1eの許可範囲または他の規制器材1eの設置位置を示すことができる。なお、図16では、規制器材1eも照射光を道路に照射することが可能な例を示しているが、規制器材1eは、照射光を道路に照射することが可能でなくてもよい。すなわち、規制器材1eは、光照射部93を備えていなくてもよい。また、複数の規制器材1eのうちの一部のみが、光照射部93を備えていてもよい。規制器材1eの照射光の照射方向は、定められた計画にしたがって作業員によって調整されてもよい。
【0129】
図17は、本実施の形態の規制器材1eにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。規制器材1eは、制御情報に基づいて移動する(ステップS31)。詳細には、走行制御部14が、制御情報受信部13から受け取った制御情報に基づいて走行機構部15を制御することで、管理装置2eからの制御に応じた規制器材1eの位置の移動が行われる。
【0130】
規制器材1eは、照射光を受光したか否かを判定する(ステップS32)。詳細には、判定部92が、受光部91による検出結果を用いて照射光を受光したか否かを判定する。例えば、受光部91では、照射光に対応する波長を含む波長帯に感度を有する受光素子によって受光した光が電気信号に変換される。受光部91は、変換した電気信号を検出結果として判定部92へ出力する。判定部92は、例えば、検出結果、すなわち電気信号によって示される光の強度がしきい値以上である場合に、照射光を受光したと判定する。
【0131】
なお、受光部91は、照射光以外の光の影響を除去するために照射光に対応する波長の光を抽出するフィルタなどを備えていてもよいし、照射光を受光素子に導く光学系を備えていてもよい。規制器材1eが、照射光の直上に配置されるように照射光が照射される場合には、例えば、受光部91は規制器材1eの底面の中心付近の真下の照射光を検出可能なように構成される。また、許可範囲がその範囲から規制器材1eが出ることを許容しない範囲である場合には、受光部91は底面から斜め下方の照射光を検出可能なように構成される。例えば、受光部91が照射光を受光可能な角度は、受光部91が照射光を受光した際に、規制器材1eの大きさを考慮して許可範囲の内側に留まるように設定される。または、許可範囲を、規制器材1eの大きさを考慮し、本来の設置が可能な範囲より内側となるように設定することで、規制器材1eが真下の照射光を受光した場合に、規制器材1e全体が本来の設置が可能な範囲となるようにしてもよい。
【0132】
照射光を受光していない場合(ステップS32 No)、ステップS31からの処理が繰り返される。照射光を受光した場合(ステップS32 Yes)、規制器材1eは停止し(ステップS33)、処理を終了する。詳細には、ステップS33では、判定部92が、照射光を受光したことを走行制御部14へ通知し、走行制御部14が当該通知を受けると、走行機構部15を停止させることで、規制器材1eを停止させる。
【0133】
例えば、規制器材1eの移動中に、制御情報で示される制御量の誤差が生じたり、通信の不良などにより制御情報が受信できなかったりすることで、規制器材1eの位置が計画された位置からずれる可能性がある。このような場合、規制器材1eが計画された位置に配置されないことになり、本来の規制区間を正しく示せない可能性がある。また、規制器材1eが許可範囲から出ると車両5と接触する可能性がある。図17に示した例では、照射光を受光すると規制器材1eが停止するため、本来の規制区間を正しく示すことができるとともに規制器材1eが許可範囲から出ることを防ぐことができ、安全性を高めることができる。また、照射光によって設置される位置が示される際にも、同様に、定められた線上に規制器材1eを配置することができ、安全性を高めることができる。
【0134】
図18は、本実施の形態の規制器材1eにおける処理手順の別の一例を示すフローチャートである。ステップS31,S32は、図17に示した例と同様である。図18に示した例では、ステップS33において、規制器材1eは、位置を補正する。詳細には、走行制御部14が当該通知を受けると、制御情報によって示される制御量を補正し、補正後の制御量に基づいて走行機構部15を制御する。
【0135】
例えば、規制器材1eが道路に直交する方向に移動中であり、照射光が道路の走行方向に沿って許可範囲を示すように照射され、規制器材1eが道路の走行方向に移動するように制御情報によって指示されているとする。このとき、誤差により、規制器材1eが道路の走行方向に対して傾きを持った方向に移動しているとすると、規制器材1eが照射光を受光することになる。この場合、走行制御部14は、進行方向を、照射光を受光できる方向に補正することができる、また、例えば、照射光が許可範囲を示すとし、規制器材1eが道路の走行方向に直交する方向に移動中であり、制御情報によって、規制器材1eが道路の走行方向に直交する方向に残り0.5m移動した後に道路の走行方向に沿って移動する移動経路が示されていたとする。このとき、走行制御部14は、照射光を受光したことが通知されると、移動経路を、直交する方向に0.5m移動せずにその時点から道路の延伸方向に沿って移動する経路に補正する。なお、補正方法はこの例に限定されず、許可範囲に規制器材1eが留まるように補正される方法であれば、どのような方法であってもよい。
【0136】
次に、照射光を用いた本実施の形態の規制器材1eの配置方法の具体例について説明する。図19および図20は、本実施の形態の規制器材1eの配置方法の具体例を模式的に示す図である。図19および図20に示した例では、設置可能範囲を示す照射光を照射する位置を順次変更することで、各規制器材1eを設置する。具体的には、それぞれが規制器材1eである規制器材1e-1~1e-4の最終的な配置位置は、道路の走行方向に対して傾きを持った線上に間隔をあけて並ぶ配置位置である。また、規制器材1e-1~1e-4は、道路上に置かれた後、道路の走行方向に間隔をあけて並び、道路の走行方向に移動し、その後に、最終的な配置位置に移動するよう制御されるとする。
【0137】
まず、図19の左側に示した状態では、規制器材1e-1~1e-4は、管理装置2eから受信した制御情報に基づいて道路の走行方向に直進している。このとき、図19の左側に示すように、設置補助装置8が、道路に沿って照射光301を照射しており、この照射光301は、規制器材1e-1~1e-4が道路の走行方向に直進している間の許可範囲を示す。
【0138】
次に、図19の中央に示すように、規制器材1e-1~1e-4は、道路の走行方向への直進が終了すると、規制器材1e-1が、管理装置2eから受信した制御情報に基づいて道路の走行方向に直交する方向へ移動する。
【0139】
次に、図19の右側に示すように、規制器材1e-1が、管理装置2eから受信した制御情報に基づいて、道路の走行方向に傾きを持った方向に照射光302を照射する。この照射光302は、規制器材1e-2~1e-4が最終的に配置される配置位置を示すとともに、規制器材1e-2~1e-4の配置が許可される許可範囲を示す。
【0140】
次に、図20の左側に示すように、規制器材1e-2が、管理装置2eから受信した制御情報に基づいて、道路の走行方向に直交する方向へ移動する。規制器材1e-2の移動が終了した後、規制器材1e-2が道路の走行方向に直交する方向へ移動する。次に、図20の右側に示すように、規制器材1e-3が、管理装置2eから受信した制御情報に基づいて、道路の走行方向に傾きを持った方向に照射光303を照射する。この照射光303は、規制器材1e-4が最終的に配置される配置位置を示すとともに、規制器材1e-4の配置が許可される許可範囲を示す。
【0141】
上述した規制器材1e-1~1e-4の移動の過程で、規制器材1e-1~1e-4は、照射光を受光すると、停止するかまたは位置を補正する。これにより、制御情報に誤差が生じたり制御情報が受信できなかったりした場合でも、規制器材1e-1~1e-4は、許可範囲内に設置されることになり、安全性が向上する。なお、図19および図20に示した例では、規制器材1eも照射光を照射する例を示したが、上述したように、規制器材1eが照射光を照射することは必須ではない。また、図19および図20に示した例は一例であり、規制器材1e-1~1e-4の配置方法は、この例に限定されない。
【0142】
また、規制器材1eは、斜め下方の照射光を受光可能な場合、規制器材1eを基準として水平面内における照射光の方向を検出し、検出した方向を用いて、位置の補正を行ってもよい。また、規制器材1e間で通信を行う器材間通信部を備え、規制器材1eの判定部92は、照射光を受光したと判定すると、照射光を受光したことを自身の位置情報とともに、器材間通信部を介して他の規制器材1eへ通知してもよい。これにより、通知を受けた他の規制器材1eは、照射光を受光する前に照射光の位置を知ることができ、停止または位置の補正にこの情報を反映することができる。また、規制器材1eは、照射光を照射する際に、他の規制器材1eへ、照射光を照射する方向と自身の位置情報とを通知してもよい。これにより、他の規制器材1eは、受光部91が受光する向きを変更可能な場合に、照射光を受光する向きを調整することができる。なお、位置情報送信部12および制御情報受信部13が器材間通信部を兼ね、位置情報送信部12および制御情報受信部13が、器材間通信部における受信部および送信部として用いられてもよい。
【0143】
本実施の形態の管理装置2eも、実施の形態1の管理装置2,2aと同様に、例えば、図7に例示したコンピュータシステムにより実現される。図16に示した器材制御部23aは、図7に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図7に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、器材制御部23aの実現には、記憶部103も用いられる。管理装置2eは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管理装置2eは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0144】
なお、図16に示した例では、管理装置2eによって規制器材1eの位置が制御されたが、実施の形態1で述べたように、規制器材1eが自律的に位置の制御を行ってもよい。この場合、管理装置2eの機能は、規制器材1e内に設けられてもよい。
【0145】
また、実施の形態1(変形例を含む)、実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4のうちの少なくとも一方と本実施の形態とを組み合わせてもよい。例えば、規制器材1eが、さらに、撮影部16および撮影データ送信部17を備え、管理装置2eが、さらに、車両検出部25、車両状態推定部26、衝突判定部27および送信部28を備えることで、本実施の形態の動作に加えて実施の形態1で述べた動作がさらに行われてもよい。同様に、実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4のうちの少なくとも1つと本実施の形態とを組み合わせてもよいし、実施の形態1と実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4のうちの少なくとも1つと、本実施の形態とを組み合わせてもよい。
【0146】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0147】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0148】
(付記1)
道路の規制区間を示す規制器材が前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、
前記車両状態推定部による推定結果を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
(付記2)
前記対象物は、前記規制器材を含むことを特徴とする付記1に記載の管理装置。
(付記3)
前記規制器材の位置を制御する器材制御部、
を備え、
前記規制器材は、前記器材制御部による制御のもとで移動することが可能であり、
前記回避処理は、前記器材制御部が、前記規制器材の位置を移動させる処理を含むことを特徴とする付記2に記載の管理装置。
(付記4)
前記回避処理は、前記規制器材に搭載される緩衝材を起動させる処理を含むことを特徴とする付記2または3に記載の管理装置。
(付記5)
前記対象物は、前記規制区間内で作業する作業員を含むことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の管理装置。
(付記6)
前記回避処理は、前記規制区間内で作業する作業員へ避難を促す警報を発報する処理を含むことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の管理装置。
(付記7)
前記回避処理は、前記規制区間内で作業する作業員が装着する保護器具を起動させる処理を含むことを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の管理装置。
(付記8)
前記回避処理は、前記車両のドライバへ注意喚起を促す警報の発報を含むことを特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の管理装置。
(付記9)
前記規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、前記規制区間が設けられていることを事前に通知することが可能な複数の事前通知装置のそれぞれの設置位置を示す情報を含む事前通知装置情報と、を用いて、前記規制器材に対応する前記規制区間に関する前記通知を行う前記事前通知装置を選択する事前通知装置選択部と、
前記事前通知装置選択部によって選択された前記事前通知装置の設置環境に応じて前記事前通知装置における前記通知の方法を決定する通知方法決定部と、
を備えることを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の管理装置。
(付記10)
前記事前通知装置は、光を発することで前記通知を行うことが可能であり、
前記通知方法決定部は、前記事前通知装置の設置される箇所の明るさに応じて、前記光の照度を決定することを特徴とする付記9に記載の管理装置。
(付記11)
前記事前通知装置は、前記通知を、投影する位置を変更しながら前記道路に投影することが可能であり、
前記通知方法決定部は、前記事前通知装置の設置される箇所における走行する車両の速度に合わせて前記通知が投影される投影領域が移動するように、前記投影領域の移動の速度を決定することを特徴とする付記9に記載の管理装置。
(付記12)
気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記規制器材の位置を制御する器材制御部と、
を備え、
前記規制器材は、前記器材制御部による制御のもとで移動することが可能であり、
前記器材制御部は、前記位置情報と前記気象情報とを用いて、前記規制器材の位置を制御することを特徴とする付記1から11のいずれか1つに記載の管理装置。
(付記13)
道路の規制区間を示す規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報と、前記規制区間が設けられていることを事前に通知することが可能な複数の事前通知装置のそれぞれの設置位置を示す情報を含む事前通知装置情報と、を用いて、前記規制器材に対応する前記規制区間に関する前記通知を行う前記事前通知装置を選択する事前通知装置選択部と、
前記事前通知装置選択部によって選択された前記事前通知装置の設置環境に応じて前記事前通知装置における前記通知の方法を決定する通知方法決定部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
(付記14)
気象情報を取得する気象情報取得部と、
道路の規制区間を示す規制器材の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記規制器材の位置を制御する器材制御部と、
を備え、
前記規制器材は、前記器材制御部による制御のもとで移動することが可能であり、
前記器材制御部は、前記位置情報と前記気象情報とを用いて、前記規制器材の位置を制御することを特徴とする管理装置。
(付記15)
道路の規制区間を示す規制器材であって、
前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得する撮影部と、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、
前記車両状態推定部による推定結果を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部と、
を備えることを特徴とする規制器材。
(付記16)
自己位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部によって特定された前記自己位置を示す位置情報を車両へ送信する位置情報送信部と、
を備えることを特徴とする規制器材。
(付記17)
道路の規制区間を示す規制器材と、
管理装置と、
を備え、
前記規制器材は、前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得し、
前記管理装置は、
前記撮影データを前記規制器材から受信する撮影データ受信部と、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を推定する車両状態推定部と、
前記車両状態推定部による推定結果を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させる衝突判定部と、
を備えることを特徴とする道路管理システム。
(付記18)
走行機構部を備える規制器材と、
前記規制器材が存在することが許可される範囲である許可範囲を示す光である照射光を道路へ照射する設置補助装置と、
を備え、
前記規制器材は、
受光した光を電気信号に変換する受光部と、
前記電気信号に基づいて、前記受光部が前記照射光を受光したか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記照射光を受光したと判定された場合、前記許可範囲に前記規制器材が位置するように、前記走行機構部を制御する走行制御部と、
を備えることを特徴とする道路管理システム。
(付記19)
管理装置における道路管理方法であって、
道路の規制区間を示す規制器材が前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得するステップと、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を車両状態として推定するステップと、
推定された前記車両状態を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させるステップと、
を含むことを特徴とする道路管理方法。
(付記20)
コンピュータシステムに、
道路の規制区間を示す規制器材が前記道路における交通の流れの上流側を少なくとも含む領域を撮影することで得られた撮影データを取得するステップと、
前記撮影データを用いて、前記上流側の車両の位置、進行方向および速度を車両状態として推定するステップと、
推定された前記車両状態を用いて前記車両の移動経路を予測し、予測した前記移動経路と前記規制区間内の対象物の位置を示す位置情報とに基づいて、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があるか否かを判定し、前記車両が前記対象物に衝突する可能性があると判定した場合、回避処理を実行させるステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0149】
1,1a,1b,1c,1d,1e 規制器材、2,2a,2b,2c,2d,2e 管理装置、3 端末装置、4 保護器具、5 車両、6 事前通知装置、7 気象情報提供装置、8 設置補助装置、11,61 自己位置特定部、12,12a,53,62 位置情報送信部、13,63 制御情報受信部、14,64 走行制御部、15,65 走行機構部、16 撮影部、17 撮影データ送信部、18 筐体、19 車輪、20 制御箱、21,21a,51 位置情報受信部、22,22a 制御情報送信部、23,23a 器材制御部、24 撮影データ受信部、25 車両検出部、26 車両状態推定部、27 衝突判定部、28 送信部、29 情報記憶部、31 事前通知装置制御部、32 事前通知装置選択部、33 通知方法決定部、34 気象情報受信部、52 ドライバ通知部、66 通知制御部、67 事前通知部、81,93 光照射部、91 受光部、92 判定部、100,100a,100b,100c,100d,100e 道路管理システム、200 管理部。
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