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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017463
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】表示パネルおよび表示灯装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G09F13/04 K
G09F13/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120107
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】万徳 善久
(72)【発明者】
【氏名】山下 英樹
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA04
5C096BA01
5C096CA02
5C096CA13
5C096CA22
5C096CA32
5C096CB01
5C096CC06
5C096FA05
5C096FA11
5C096FA12
5C096FA17
5C096FA18
(57)【要約】
【課題】表示パネルの互いに隣り合う第1透光部と第2透光部との間でクッション材を通じて光漏れが生じるのを抑制する。
【解決手段】表示パネル(10)は、基材(12)と、基材の表側に設けられたクッション材(18)と、クッション材の表側を覆う表皮材(32)とを備える。表皮材は、第1透光部(36)および第2透光部(38)が互いに隣り合う位置に設けられた表示部(34)を有する。クッション材は、表示部に対応する部位で透光性を有する。基材の表示部に対応する部分には、光を通す開口(14)が設けられる。表示パネルは、第1透光部と第2透光部とを選択的に点灯可能である。クッション材は、平面視で第1透光部と第2透光部とを仕切る位置に設けられた遮光層(26)を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(12)と、
前記基材(12)の表側に設けられたクッション材(18)と、
前記クッション材(18)の表側を覆う表皮材(32)と、を備え、
前記表皮材(32)は、各々光を透過させる第1透光部(36)および第2透光部(38)が互いに隣り合う位置に設けられた表示部(34)を有し、
前記クッション材(18)は、少なくとも前記表示部(34)に対応する部位で透光性を有し、
前記基材(12)の前記表示部(34)に対応する部分には、光を通す窓部(14)が設けられ、
前記基材(12)の背面側に配置された光源(94,96)からの光が前記窓部(14)を通じて前記クッション材(18)を透過することで、前記第1透光部(36)と前記第2透光部(38)とを選択的に点灯可能な表示パネルであって、
前記クッション材(18)は、前記表皮材(32)に沿う方向への光の伝播を遮る遮光層(26)を含み、
前記遮光層(26)は、平面視で前記第1透光部(36)と前記第2透光部(38)とを仕切る位置に設けられる、表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルにおいて、
前記第1透光部(36)の前記光源(94)からの光の光軸(A1)が前記表皮材(32)と交差する第1交点(P1)と、前記第2透光部(38)の前記光源(96)からの光の光軸(A2)が前記表皮材(32)と交差する第2交点(P2)との間隔(D)は、20mm以下である、表示パネル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示パネルにおいて、
前記遮光層(26)は、有色フィルム(28)からなり、
前記有色フィルム(28)の硬度は、前記クッション材(18)の硬度以下である、表示パネル。
【請求項4】
請求項3に記載の表示パネルにおいて、
前記有色フィルム(28)は、前記クッション材(18)に粘着剤(30)を用いて貼り付けられる、表示パネル。
【請求項5】
請求項1または2に記載の表示パネル(10)と、
前記表示パネル(10)の背面側に配置される点灯ユニット(50)と、を備え、
前記点灯ユニット(50)は、前記光源(94,96)としての、前記第1透光部(36)に対して光(L1)を発する第1光源(94)、および前記第2透光部(38)に対して光(L2)を発する第2光源(96)と、前記第1光源(94)および前記第2光源(96)を収容するケース(52)と、を備え、
前記ケース(52)には、前記第1光源(94)の光(L1)が通る第1通路(70)と第2光源(96)の光(L2)が通る第2通路(72)とを仕切る隔壁(74)が設けられ、
前記隔壁(74)は、平面視で前記遮光層(26)と重なり合う位置関係にある、表示灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルおよび表示灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用内装品に表示機能を持たせることが知られている。そうした車両内装品として、例えば特許文献1には、入力装置が開示される。この入力装置は、ユーザからの表皮部の表面に対する押し込み操作を受け付けるものである。当該入力装置は、表皮部と、フレーム部とを備える。
【0003】
表皮部は、表皮と、意匠シートと、クッション層とを含んで構成される。意匠シートは、意匠が形成された透過部と、意匠が形成されない部分遮光部とを有し、表皮とクッション層とに挟まれる。表皮は、意匠シートを視認可能なように透光性を有する。クッション層は、透光性を有し、表皮材よりも厚い。フレーム部は、表皮部の背面側に配置される。
【0004】
フレーム部は、フレームと、光源とを含んで構成される。フレームには、光源からの光を透過するための貫通孔が形成される。光源は、フレームの背面側に配置され、貫通孔に対応する位置に設けられた発光素子を有する。発光素子が発する光は、貫通孔および表皮部を透過し、意匠シートに形成された意匠に応じた表示をユーザに視認させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-72098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表示機能を持つ車両用内装品においては、デザイン上の理由などから、互いに隣り合う透光部の間隔を狭くしたい要望がある。
【0007】
しかし、特許文献1の入力装置では、クッション層が透光性を有するため、互いに隣り合う透光部の間の間隔を狭くすると、一方の透光部を点灯状態とし、他方の透光部を消灯状態としたときに、発光素子から点灯状態の透光部へ出射された光が、クッション層を表皮に沿う方向に伝播し、消灯状態の透光部へ漏れて、消灯状態の透光部をぼんやりと光らせてしまう問題がある。特許文献1には、発光素子からの光を導光するための導光体が貫通孔に設けられてもよいと記載されているが、上記光漏れの問題は、クッション層を通じて生じるため、貫通孔に導光体を設けたところで完全に解決することは難しい。
【0008】
本発明の目的は、互いに隣り合う第1透光部と第2透光部との間でクッション材を通じて光漏れが生じるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、クッション材における所定の位置に遮光層を設けるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明は、表示パネルを対象とする。第1の発明の表示パネルは、基材と、前記基材の表側に設けられたクッション材と、前記クッション材の表側を覆う表皮材とを備える。前記表皮材は、各々光を透過させる第1透光部および第2透光部が互いに隣り合う位置に設けられた表示部を有する。前記クッション材は、少なくとも前記表示部に対応する部位で透光性を有する。前記基材の前記表示部に対応する部分には、光を通す窓部が設けられる。表示パネルは、前記基材の背面側に配置された光源からの光が前記窓部を通じて前記クッション材を透過することで、前記第1透光部と前記第2透光部とを選択的に点灯可能である。前記クッション材は、前記表皮材に沿う方向への光の伝播を遮る遮光層を含む。前記遮光層は、平面視で前記第1透光部と前記第2透光部とを仕切る位置に設けられる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の表示パネルにおいて、前記第1透光部の前記光源からの光の光軸が前記表皮材と交差する第1交点と、前記第2透光部の前記光源からの光の光軸が前記表皮材と交差する第2交点との間隔が、20mm以下である、表示パネルである。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明の表示パネルにおいて、前記遮光層が、有色フィルムによって構成される、表示パネルである。前記有色フィルムの硬度は、前記クッション材の硬度以下である。
【0013】
第4の発明は、前記有色フィルムが、前記クッション材に粘着剤を用いて貼り付けられる、表示パネルである。
【0014】
第5の発明は、表示灯装置を対象とする。第1の発明の表示灯装置は、第1または第2の発明の表示パネルと、前記表示パネルの背面側に配置される点灯ユニットとを備える。前記点灯ユニットは、前記光源としての、前記第1透光部に対して光を発する第1光源、および前記第2透光部に対して光を発する第2光源と、前記第1光源および前記第2光源を収容するケースとを備える。前記ケースには、前記第1光源の光が通る第1通路と第2光源の光が通る第2通路とを仕切る隔壁が設けられる。前記隔壁は、平面視で前記遮光層と重なり合う位置関係にある。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、クッション材における平面視で第1透光部と第2透光部とを仕切る位置に遮光層が設けられるので、第1透光部および第2透光部の少なくとも一方の透光部が点灯状態とされ、他方の透光部が消灯状態とされたときに、光源から点灯状態とする透光部へ出射された光が、クッション材の内部を表皮材に沿う方向へ消灯状態とする透光部側に伝播しても、遮光層によって遮られる。これにより、第1透光部と第2透光部との間でクッション材を通じて光漏れが生じるのを抑制できる。
【0016】
第2の発明によれば、第1透光部および第2透光部のそれぞれにおける光源からの光の光軸と表皮材との交点である第1交点と第2交点との間隔が20mm以下と比較的狭いので、クッション材に遮光層が設けられていない場合、第1透光部と第2透光部との間でクッション材を通じて光漏れを生じ易い。そのため、第1の発明が特に有効である。
【0017】
第3の発明によれば、遮光層をなす有色フィルムの硬度がクッション材の硬度以下であるので、ユーザが表示パネルの表面(表皮材)を触ったときの感触に遮光層の存在が異物感を与えない。
【0018】
第4の発明によれば、有色フィルムをクッション材に貼り付ける手段に粘着剤が用いられるので、当該手段として接着剤を用いる場合と比べて、クッション材が有色フィルムの周囲で部分的に硬くなることを抑制できる。このことは、ユーザが表示パネルの表面(表皮材)を触ったときの感触に遮光層の存在が異物感を与えないのに有利である。
【0019】
第5の発明によれば、点灯ユニットのケースに第1光源および第2光源からの光が通る通路を仕切る隔壁が設けられるので、点灯ユニット内において、第1光源からの光が第2通路に漏れること、第2光源からの光が第1通路に漏れることを防止できる。そして、クッション材の遮光層と隔壁とが平面視で重なり合う位置関係にあるので、第1透光部と第2透光部との間で光漏れが生じるのを光源から表皮材に亘り好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、表示灯装置が組み込まれたインストルメントパネルを例示する斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線における表示灯装置の断面図と、表皮材の表示部を裏側から見た状態を第2クッション材の遮光層と共に示す模式図である。
図3図3は、図2のIIIで囲んだ部分を拡大して示す断面図である。
図4図4は、表示パネルの製造における遮光フィルムの準備ステップを示す図である。
図5図5は、表示パネルの製造におけるクッションブロックの作製ステップを示す図である。
図6図6は、表示パネルの製造におけるクッションブロックの切断ステップで切断を行うカットラインを示す図である。
図7図7は、表示パネルの製造におけるクッションブロックの切断ステップで個片化されたクッション材を示す図である。
図8図8は、表示パネルの製造におけるクッションブロックの仕上げステップで打ち抜きを行うパンチングラインを示す図(左図)と打ち抜き後のクッション材を示す図(右図)である。
図9図9は、表示パネルの製造における第2積層ステップを示す図である。
図10図10は、表示灯装置の製造における組立てステップを示す図である。
図11図11は、第1変形例の表示灯装置を示す図2に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
《実施形態》
この実施形態では、スイッチ機能を有する表示灯装置1を例に挙げて説明する。図1に示すように、表示灯装置1は、車両のインストルメントパネル3の右側のエアコン吹出口5の真下のクラスタースイッチ7を構成する。なお、図1では、便宜上、スイッチの操作部49の縁を示すが、実際にはスイッチの操作部49の縁は外観に現れない。
【0023】
-表示灯装置の構成-
図2に示すように、表示灯装置1は、表示パネル10と、スイッチ点灯ユニット50とを備える。
【0024】
〈表示パネル〉
表示パネル10は、表示灯を表示する内装材である。表示パネル10には、表示部34が設けられる。表示パネル10は、スイッチの操作部49を兼ねる。表示パネル10は、クッション付きパネルであり、スイッチの操作部49に柔軟な手触りの表面を有する。表示パネル10は、基材12と、クッション材18と、表皮材32とを備える。
【0025】
〈基材〉
基材12は、クッション材18および表皮材32を支持する板状物である。基材12の表示部34に対応する部分には、開口14が設けられる。この開口14は、当該基材12の厚さ方向に貫通し、その内側で光を通す。開口14は、窓部の一例である。基材12の表面側には、凹部16が形成される。凹部16は、基材12の外周部分を除く領域に広く形成される。開口14は、凹部16の内側に設けられる。
【0026】
基材12は、射出成形などによって成形される。基材12は、遮光性を有する合成樹脂からなる。基材12の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)が挙げられる。
【0027】
〈クッション材〉
クッション材18は、基材12の表側に設けられる。クッション材18は、板状またはシート状に形成される。クッション材18は、柔軟性と弾力性を併せ持つ。クッション材18は、表示パネル10にクッション性を付与する。クッション材18は、少なくとも表示部34に対応する部位で透光性を有する。
【0028】
本例のクッション材18は、表示部34に対応する部位と、表示部34以外に対応する部位とで、別々の部材とされる。具体的には、本例の表示パネル10は、クッション材18としては、第1クッション材20と、第2クッション材24とを備える。以下では、第1クッション材20および第2クッション材24を総称してクッション材18と称する。
【0029】
第1クッション材20は、表示部34以外に対応する部位に設けられる。第1クッション材20は、凹部16に収容され、概ね凹部16内を隙間なく埋める。第1クッション材20には、開口22が設けられる。この開口22は、基材12の開口14と同一形状および同一サイズに形成され、表示部34に対応し、基材12の開口14と連通する。
【0030】
第1クッション材20は、ブロック状の発泡体(クッションブロック)を切断して形成される。第1クッション材20は、基材12の表面に対して直接に発泡成形されててもよい。第1クッション材20は、発泡樹脂からなる。第1クッション材20をなす発泡樹脂は、透光性を特に有する必要はない。当該発泡樹脂としては、例えば発泡ポリウレタン(PU)が挙げられる。
【0031】
第2クッション材24は、表示部34に対応する部位に設けられる。第2クッション材24は、第1クッション材20の開口22内に嵌め入れられ、その開口22内を概ね隙間なく埋める。第2クッション材24は、ブロック状の発泡体(クッションブロック)を切断して形成される。第2クッション材24(第1クッション片24aおよび第2クッション片24b)は、透光性を有する発泡樹脂からなる。
【0032】
第2クッション材24(第1クッション片24aおよび第2クッション片24b)の材料としては、例えば無黄変ウレタンが挙げられる。第2クッション材24は、三次元構造メッシュや高発泡ポリプロピレンシート、その他のクッション性を有する部材によって構成されてもよい。無黄変ウレタンは、加工性およびコストの点で有利であることから、第2クッション材24の材料として好ましい。
【0033】
クッション材18の厚さは、クッション性および形状安定性の観点から、2.5mm以上且つ8.0mm以下であることが好ましい。クッション材18の厚さが2.5mmよりも薄いと、内装材として好適なクッション性が得られ難い。また、クッション材18の厚さが8.0mmよりも厚いと、表皮材32の巻き込みによる外観形状が安定し難い。このことに加え、第2クッション材24においては、透光性が低下する。
【0034】
〈表皮材〉
表皮材32は、クッション材18の表側を覆う。表皮材32の周縁部分は、基材12の外周端部を包み込むようにクッション材18の表側から基材12の背面側に巻き込まれ、基材12に固定される。表皮材32は、第1クッション材20を基材12との間に挟み込む。表皮材32の裏面は、第1クッション材20および第2クッション材18の各表面に密着する。
【0035】
表皮材32は、表示部34を有する。表示部34には、第1透光部36および第2透光部38がそれぞれ複数設けられる。第1透光部36および第2透光部38はそれぞれ、光を透過させる部分である。複数の第1透光部36は、車幅方向に互いに間隔をあけて配置される。複数の第2透光部38も、車幅方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0036】
第1透光部36と第2透光部38とは、一対一で対応し、1セットで表示灯を構成する。第1透光部36および第2透光部38は、互いに隣り合う位置に設けられる。互いに対応する第1透光部36と第2透光部38との間の距離は、隣り合う第1透光部36同士の間の距離、および隣り合う第2透光部38同士の間の距離よりも短く設計される。
【0037】
各第1透光部36は、表皮材32において、アイコン40を表示する部分を構成する。複数の第1透光部36が表示するアイコン40は、互いに異なる図形であり、別々の車載システムを示す。各第2透光部38は、表皮材32において、マーカー42を表示する部分を構成する。マーカー42は、対応する第1透光部36のアイコン40が示す車載システムの作動状態(作動/停止)を表す。
【0038】
表皮材32は、透光層44と、遮光層46とを備える。遮光層46は、透光層44の裏面に設けられる。透光層44および遮光層46は共に、合成樹脂からなり、伸縮性を有する。透光層44および遮光層46の材料としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。遮光層46は、黒色の顔料を含んで、遮光性を有する。透光層44は、顔料を含むが、その含有量が比較的少なく、透光性を有する。
【0039】
遮光層46の各第1透光部36を構成する部分には、アイコン40と同一形状の第1透孔47が形成される。各第1透光部36は、第1透孔47を通じて光L1を透過させる。また、遮光層46の各第2透光部38を構成する部分には、マーカー42と同一形状の第2透孔48が形成される。各第2透光部38は、第2透孔48を通じて光L2を透過させる。
【0040】
このように、表示パネル10は、スイッチ点灯ユニット50からの光L1,L2が基材12の開口を通じてクッション材18(厳密には第2クッション材24)を透過することで、第1透光部36と第2透光部38とを選択的に点灯可能な構成とされる。また、表示パネル10において、各第1透光部36は、ユーザによるスイッチの操作(本例では押下操作)を受け付ける操作部49を構成する。
【0041】
〈第2クッション材〉
図3にも示すように、第2クッション材24は、遮光層26を含む。遮光層26は、第2クッション材24の中程に立てて設けられ、表皮材32に沿う方向への光L1,L2の伝播を遮る。遮光層26は、平面視で第1透光部36と第2透光部38とを仕切る位置に設けられる(図1および図2参照)。遮光層26は、第2クッション材24の厚さ方向における全体に広がり、第2クッション材24の表裏両面に露出する。
【0042】
遮光層26は、有色フィルム28によって構成される。有色フィルム28は、遮光性を有する合成樹脂からなる。有色フィルム28の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。有色フィルム28は、顔料を含んで、例えば黒色に着色される。有色フィルム28の厚さは、例えば20μm以上且つ30μm以下である。
【0043】
第2クッション材24は、第1クッション片24aと、第2クッション片24bと、有色フィルム28とを接合して構成される。第1クッション片24aは、第2クッション材24において、複数の第1透光部36に対応する部分を構成する。第2クッション片24bは、第2クッション材24において、複数の第2透光部38に対応する部分を構成する。
【0044】
有色フィルム28は、第1クッション片24aと第2クッション片24bとの間に挟み込まれる。第1クッション片24aと第2クッション片24bとは、有色フィルム28を介して隔てられる。有色フィルム28の両面には、粘着剤30が設けられる。有色フィルム28は、第1クッション片24aおよび第2クッション片24bの互いに対向する各面に粘着剤30により接着される。
【0045】
このように、第2クッション材24には、有色フィルム28が粘着剤30を用いて貼り付けられる。粘着剤30は、液体と固体の両方の性質を持つ半固形を保って粘着性を有する。粘着剤30は、第1クッション片24aおよび第2クッション片24bの接着面に含浸しても、当該接着面を固めないので、第2クッション材24の柔軟性に与える影響が少ない。
【0046】
第1クッション片24aの硬度および第2クッション片24bの硬度は、同程度であり、いずれも40N以上且つ60N以下である。有色フィルム28の硬度は、第1クッション片24aの硬度および第2クッション片24bの硬度以下である。ここでいう「硬度」は、JIS K 7222およびJIS K 6400に準拠する25%硬度であって、例えばアスカーゴム硬度計F型(ASKER社製)により測定される(以下同じ)。
【0047】
〈スイッチ点灯ユニット〉
スイッチ点灯ユニット50は、表示パネル10の表示部34を背面側から照明すると共に、スイッチを兼ねるコンビネーションユニットである。図2に示すように、スイッチ点灯ユニット50は、表示パネル10の背面側に配置される。スイッチ点灯ユニット50は、ケース52と、カバー62と、複数の第1レンズ76と、複数の第2レンズ84と、スイッチ押圧部材86と、機能モジュール90とを備える。
【0048】
ケース52は、スイッチ点灯ユニット50の外装体である。ケース52には、ブラケット54が設けられる。図示しないが、ブラケット54は、タッピングねじなどの締結具を用いて表示パネル10の基材12に取り付けられる。そのことで、スイッチ点灯ユニット50は、表示パネル10に組み付けられる。ケース52は、内部空間56と、透光開口58と、裏側開口60とを有する。
【0049】
ケース52の内部空間56には、機能モジュール90が収容される。透光開口58は、表示パネル10に向けられ、内部空間56をケース52外に開放する。裏側開口60は、内部空間56を透光開口58とは反対側に設けられ、内部空間56をケース52外に開放する。カバー62は、裏側開口60に嵌め入れられ、裏側開口60を閉塞する。
【0050】
ケース52における透光開口58の周縁部分は、表側に突出した凸部64を構成する。ケース52の透光開口58には、第1周壁66と、第2周壁68とが設けられる。第1周壁66は、第1透光部36ごとに設けられる。各第1周壁66は、平面視で対応する第1透光部36を囲むように形成される。第2周壁68は、第2透光部38ごとに設けられる。各第2周壁68は、平面視で対応する第2透光部38を囲むように形成される。
【0051】
ケース52の内部空間56には、複数の第1通路70と、複数の第2通路72とが設けられる。第1通路70は、後述する第1LED94の光L1が通る通路である。第1通路70は、第1周壁66により個別に取り囲まれて区画される。第2通路72は、後述する第2LED96の光L2が通る通路である。第2通路72は、第2周壁68により個別に取り囲まれて区画される。
【0052】
互いに隣り合う第1透光部36および第2透光部38にそれぞれ対応する第1周壁66と第2周壁68とは、互いの一部を隔壁74として共有する。隔壁74は、第1通路70と第2通路72とを仕切る。隔壁74は、平面視で第2クッション材24の遮光層26と重なり合う位置関係にある。すなわち、遮光層26は、隔壁74の延長線上に位置する。
【0053】
第1レンズ76および第2レンズ84は、光の屈曲作用を示す透明体である。第1レンズ76は、第1透光部36ごとに設けられる。各第1レンズ76は、板状部78と、側壁部80とを有する。側壁部80は、板状部78の周縁部分から全周に亘り裏側へ延びる。側壁部80の表側部分には、係止孔82が形成される。
【0054】
各第1レンズ76は、第1通路70に進退可能に収容され、第1周壁66の表側開口を板状部78で閉塞する。各第1レンズ76は、第1周壁66の表側開口の周縁部分で抜け止めされる。各第1レンズ76の板状部78表面と、当該第1レンズ76が内部に収容される第1周壁66の表側開口の周縁部分とは、概ね面一をなすように連続する。各第1レンズ76の側壁部80の外周面は、第1周壁66の内周面と摺接する。
【0055】
第2レンズ84は、第2透光部38ごとに設けられる。各第2レンズ84は、板状に形成される。各第2レンズ84は、第2周壁68の表側の開口に取り付けられ、当該開口を閉塞する。各第2レンズ84は、ケース52に固定される。各第2レンズ84の表面と、当該第2レンズ84が固定される第2周壁68の表側開口の周縁部分とは、概ね面一をなすように連続する。
【0056】
スイッチ押圧部材86は、筒状に形成される。スイッチ押圧部材86の表側端部の外周面には、爪片88が設けられる。スイッチ押圧部材86は、第1レンズ76の側壁部80の内側に嵌め込まれ、爪片88を係止孔82に掛け止めることにより、第1レンズ76に取り付けられる。スイッチ押圧部材86は、第1レンズ76と協働してスイッチの作動機構として機能する。スイッチ押圧部材86の裏側端部には、接触部89が設けられる。
【0057】
スイッチ押圧部材86は、図示しない付勢部材により、第1周壁66の表側開口に向けて付勢される。付勢部材は、スイッチ押圧部材86の側壁部80の裏側端部に取り付けられる。付勢部材としては、例えば圧縮コイルばねが挙げられる。付勢部材は、スイッチ押圧部材への付勢に代えて、第1レンズ76を付勢するように設けられてもよい。
【0058】
ケース52、カバー62およびスイッチ押圧部材86はいずれも、例えばポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの遮光性を有する合成樹脂からなる。第1レンズ76および第2レンズ84はいずれも、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂などの透光性を有する合成樹脂からなる。
【0059】
機能モジュール90は、ケース52内に裏側開口60から収容される。機能モジュール90は、基板92と、複数の第1LED(Light Emitting Diode)94と、複数の第2LED96と、複数のタクトスイッチ98とを含んで構成される。各第1LED94、各第2LED96、および各タクトスイッチ98は、基板92の同一面に実装される。
【0060】
複数の第1LED94はそれぞれ、第1透光部36に対して光L1を発する光源である。第1LED94は、第1光源の一例である。第1LED94は、第1透光部36ごとに設けられる。複数の第1LED94は、車幅方向に互いに間隔をあけて配置される。各第1LED94は、第1通路70を介して第1透光部36に対向する箇所に位置する。
【0061】
複数の第2LED96はそれぞれ、第2透光部38に対して光L2を発する光源である。第2LED96は、第2光源の一例である。第2LED96は、第2透光部38ごとに設けられる。複数の第2LED96は、車幅方向に互いに間隔をあけて配置される。各第2LED96は、第2通路72を介して第2透光部38に対向する箇所に位置する。
【0062】
タクトスイッチ98は、所定の車載システムを作動および停止を切り換えるための押しボタン式スイッチである。タクトスイッチ98は、第1透光部36ごとに設けられる。複数のタクトスイッチ98は、車幅方向に互いに間隔をあけて配置される。各タクトスイッチ98は、スイッチ押圧部材86の接触部89に対向する箇所に位置し、接触部89と接触するかまたは微小な隙間をあけて対峙する
スイッチ点灯ユニット50は、ケース52の凸部64を基材12の開口14に嵌め込み、各第1レンズ76の板状部78表面および各第2レンズ84の表面を第2クッション材24の裏面に宛がった状態として、表示パネル10に固定される。スイッチ点灯ユニット50は、ケース52、各第1レンズ76および各第2レンズ84で第2クッション材24を支持する。
【0063】
第1LED94からの光L1の光軸A1が表皮材32と交差する第1交点P1は、第1透光部36の中央に設定される。第2LED96からの光L2の光軸A2が表皮材32と交差する第2交点P2は、第2透光部38の中央に設定される。第1交点P1と第2交点P2との間隔Dは、20mm以下である。第1交点P1と第2交点P2との間隔Dが20mm以下であると、遮光層26がない場合、第1透光部36と第2透光部38との間で第2クッション材24を通じて光漏れが生じ易い。
【0064】
-表示灯装置の動作-
表示灯装置1では、電源が投入されると、全ての第1LED94が点灯する。各第1LED94が発した光L1は、第1通路70においてスイッチ押圧部材86の内部を通り、第1レンズ76および第2クッション材24を透過する。第2クッション材24を透過した光L1は、表皮材32の遮光層46で部分的に遮られる。そして、各第1LED94の発した光L1の一部だけが、第1透孔47を通して表示パネル10の外部へと透過する。これにより、表皮材32の各第1透光部36が点灯し、アイコン40が光L1で映し出される。
【0065】
スイッチの操作部49がユーザにより押下されて、表皮材32および第2クッション材24が押し込まれると、第1レンズ76およびスイッチ押圧部材86が付勢部材の付勢力に抗して第1通路70の奥側へ後退し、接触部89がタクトスイッチ98を押す。タクトスイッチ98は、押されると、検知信号を制御部(不図示)に出力する。制御部は、タクトスイッチ98からの検知信号が入力されると、所定の車載システムを、停止中であれば作動させ、作動中であれば停止させる。
【0066】
スイッチの操作により停止中の車載システムが作動されると、対応する第2透光部38へ光Lを発する第2LED96を点灯させる。第2LED96が発した光L2は、第2通路72を通って、第2レンズ84および第2クッション材24を透過する。第2クッション材24を透過した光L2は、表皮材32の遮光層46で部分的に遮られる。そして、第2LED96の発した光L2の一部だけが。第2透孔48を通して表示パネル10の外部へと透過する。これにより、表皮材32の第2透光部38が点灯し、マーカー42が光L2で映し出される。
【0067】
また、スイッチの操作により作動中の車載システムが停止されると、対応する第2透光部38へ光L2を発する第2LED96が消灯する。第2LED96が点灯していない状態では、表皮材32の表面に施された模様や色のみが視認される。すなわち、第2LED96が消灯しているときには、第2透光部38のマーカー42が表示されない。
【0068】
このように、本例の表示灯装置1では、スイッチ点灯ユニット50の動作により、各第1透光部36が常に点灯状態とされる。一方、各第2透光部38は、対応する第1透光部36のアイコン40が示す車載システムの作動に応じて、点灯状態と消灯状態とで切り換えられる。
【0069】
-表示灯装置の製造方法-
表示灯装置1の製造方法は、表示パネル製造工程と、組立て工程とを含む。表示パネル製造工程は、表示パネル10を製造する工程である。組立て工程は、表示パネル10にスイッチ点灯ユニット50を組み付けて、表示灯装置1を組み立てる工程である。
【0070】
表示パネル製造工程では、第2クッション材24を作製するか、または予め作製された第2クッション材24を準備する。
【0071】
第2クッション材24を作製するには、まず、有色フィルム母材101、第1クッション母材103、および第2クッション母材105を準備する。有色フィルム母材101は、有色フィルムを複数切り出せる大判部材である。第1クッション母材103は、第1クッション片24aを複数切り出せる大判部材である。第2クッション母材105は、第2クッション片24bを複数切り出せる大判部材である。
【0072】
そして、図4に示すように、有色フィルム母材101の両面に対して粘着剤30を塗布する。続いて、図5に示すように、第1クッション母材103、有色フィルム母材101および第2クッション母材105を、第1クッション母材103と第2クッション母材105との間に有色フィルム母材101を挟み込むように積層する。これにより、有色フィルム母材101が第1クッション母材103および第2クッション母材105に粘着剤30を介して接着されたクッションブロック107を形成する。
【0073】
次に、図6に二点鎖線で示すような切断ラインCLに沿って、クッションブロック107を所定の厚さで複数に切断する。そうすることで、図7に示すような第2クッション材24を1つのクッションブロック107から複数得る。しかる後、図8の左図に二点鎖線で示すようなパンチングラインPLに沿って、第2クッション材24を所定の形状に打ち抜く。それにより、図8の右図に示すように、第2クッション材24の余剰部分を切り落として形状を整える。このようにして、第2クッション材24を作製できる。
【0074】
表示パネル製造工程は、第1積層ステップと、透孔形成ステップと、第2積層ステップとを含む。なお、第2クッション材24の他、基材12、表皮材32、および第1クッション材20は、予め準備しておく。このとき準備する表皮材32には、第1透孔47および第2透孔48が未だ形成されていない。
【0075】
まず、第1積層ステップを行う。第1積層ステップでは、基材12の凹部16に第1クッション材20を嵌め込んで積層する。次に、表皮材32を、第1クッション材20の開口22を覆うように第1クッション材20に積層する。そして、表皮材32の周縁部分を、基材12の外周部分を包み込むように、基材12の背面側に巻き込んで基材12に固定する。
【0076】
次いで、透孔形成ステップを行う。透孔形成ステップでは、表皮材32において、各第1透光部36の遮光層46にアイコン40に対応する形状の第1透孔47を形成する。具体的には、表皮材32の各第1透光部36に対して、基材12の裏側から基材12および第1クッション材20の各開口14,22を介してレーザー光を照射することにより、遮光層46をアイコン40の形状に除去する。
【0077】
また、透孔形成ステップでは、各第2透光部38の遮光層46にマーカー42に対応する形状の第2透孔48を形成する。具体的には、表皮材32の各第2透光部38に対して、基材12の裏側から基材12および第1クッション材20の各開口14,22を介してレーザー光を照射することにより、遮光層46をマーカー42の形状に除去する。
【0078】
次に、第2積層ステップを行う。図9に示すように、第2積層ステップでは、第2クッション材24を、基材12の裏側から開口14を通して第1クッション材20の開口22内に嵌め込む。そして、第1クッション材20を、表皮材32における表示部34の裏面に宛がって、表皮材32と積層する。第2クッション材24は、表皮材32の裏面に密着されるのみであり、接着剤などを用いて接着はされない。
【0079】
このようにして、表示パネル10を製造できる。
【0080】
組立て工程は、表示パネル製造工程の後に行われる。なお、表示パネル製造工程で製造された表示パネル10の他、スイッチ点灯ユニット50を予め準備しておく。組立て工程では、図10に示すように、スイッチ点灯ユニット50を、表示パネル10に対してその背面側から近づけて、ケース52の凸部64を基材12の開口14に嵌め込む。
【0081】
そして、各第1レンズ76の板状部78表面および各第2レンズ84の表面を第2クッション材24の裏面に宛がって、ケース52、各第1レンズ76および各第2レンズ84に第2クッション材24を支持させる。その状態で、ケース52のブラケット54を締結具により基材12に固定する。
【0082】
こうして、スイッチ点灯ユニット50を表示パネル10に組み付けると、各第1LED94が第1レンズ76と共に第1透光部36に対向する位置に配置され、各第2LED96が第2レンズ84と共に第2透光部38に対向する位置に配置される。そして、スイッチ点灯ユニット50の隔壁74と第2クッション材24の遮光層26とが、平面視で重なり合う位置関係とされる。
【0083】
以上のようにして、表示灯装置1を製造できる。
【0084】
-実施形態の特徴-
この実施形態の表示パネル10では、基材12の背面側に配置されたスイッチ点灯ユニット50からの光L1,L2が基材12の開口14を通じて第2クッション材24を透過することで、表皮材32の表示部34に設けられた第1透光部36と第2透光部38とが選択的に点灯される。本例では、第1透光部36が点灯状態にされるときに、第2透光部38が消灯状態とされる。そして、この表示パネル10では、第2クッション材24における平面視で第1透光部36と第2透光部38とを仕切る位置に遮光層26が設けられる。そのことで、第1透光部36が点灯状態とされ、第2透光部38が消灯状態とされたときに、第1LED94から第1透光部36へ出射された光L1が、第2クッション材24の内部を表皮材32に沿う方向へ第2透光部38側に伝播しても、遮光層26によって遮られる。これにより、第1透光部36と第2透光部38との間で第2クッション材24を通じて光漏れが生じるのを抑制できる。
【0085】
この実施形態の表示パネル10では、第1交点P1と第2交点P2との間隔Dが20mm以下である。第1交点P1は、第1透光部36の第1LED94からの光L1の光軸A1が表皮材32と交差する点である。第2交点P2は、第2透光部38の第2LED96からの光L2の光軸A2が表皮材32と交差する点である。このように第1交点P1と第2交点P2との間隔Dが比較的狭いと、第2クッション材24に遮光層26が設けられていない場合、第1透光部36と第2透光部38との間で第2クッション材24を通じて光漏れを生じ易い。そのため、本発明が特に有効である。
【0086】
この実施形態の表示パネル10では、遮光層26をなす有色フィルム28の硬度が第2クッション材24の硬度以下である。遮光層26の硬度が第2クッション材24の硬度よりも高いと、ユーザが表示パネル10の表面(表皮材32)を触ったときの感触に異物感を与える。これに対して、遮光層26の硬度が第2クッション材24の硬度以下であると、ユーザが表示パネル10の表面(表皮材32)を触ったときの感触に異物感を与えない。
【0087】
この実施形態の表示パネル10では、有色フィルム28を第2クッション材24に貼り付けるのに粘着剤30が用いられる。有色フィルム28を第2クッション材24に貼り付ける手段としては、粘着剤の他に、接着剤が挙げられるが、接着剤を用いた場合、接着剤が第2クッション材24(第1クッション片24aおよび第2クッション片24bの各接着面)に含浸した状態で硬化し、第2クッション材24が有色フィルム28の周辺で部分的に硬くなる。これに対して、有色フィルム28を第2クッション材24に貼り付ける手段として粘着剤を用いると、第2クッション材24が有色フィルム28の周辺で部分的に硬くなることを回避できる。このことは、ユーザが表示パネル10の表面(表皮材32)を触ったときの感触に異物感を与えないのに有利である。
【0088】
この実施形態の表示パネル10では、スイッチ点灯ユニット50のケース52に第1LED94からの光L1が通る第1通路70と第2LED96からの光L2が通る第2通路72を仕切る隔壁74が設けられる。隔壁74は、第1LED94の光L1と第2LED96の光L2とをそれぞれ遮る。よって、スイッチ点灯ユニット50内において、第1LED94の光L1が第2通路72に漏れること、第2LED96の光L2が第1通路70に漏れることを防止できる。そして、第2クッション材24の遮光層26と隔壁74とは、平面視で重なり合う位置関係にある。これにより、第1透光部36と第2透光部38との間で光漏れが生じるのを、第1LED94および第2LED96から表皮材32に亘り好適に抑制できる。
【0089】
-第1変形例-
図11に示すように、この第1変形例の表示灯装置1において、スイッチ点灯ユニット50は、各第2レンズ84に代えて導光体85を備える。本例の各第2透光部38におけるマーカー42は、対応する第1透光部36に寄った位置に設けられる。ケース52における第2通路72の表側部分には、導光孔73が形成される。導光孔73は、マーカー42に対応する箇所に位置する。
【0090】
導光体85は、板状部材であり、第2LED96が発した光L2の光軸A2を偏心させるように屈曲した形状を有する。導光体85の一端は、第2LED96の光L2の出射面に対峙する。また、導光体85の他端は、ケース52の導光孔73に挿入され、第2クッション材24の裏面に当てられる。第2LED96が発した光L2は、導光体85により、第2透光部38のマーカー42に対応する箇所に導かれる。
【0091】
この第1変形例の表示灯装置1では、第2LED96の光L2を、導光体85を用いて第2透光部38のマーカー42に対応する箇所に導く。これによれば、第2透光部38におけるマーカー42の形成位置の自由度が高められ、表示部34において表示灯を構成するセットのアイコン40とマーカー42との距離を近づけることができる。
【0092】
-第2変形例-
この第2変形例の表示灯装置1において、表示パネル10の第2クッション材24に含まれる遮光層26は、第2クッション材24(第1クッション片24aおよび第2クッション片24b)の硬度よりも高い硬度を有する有色フィルム28によって構成される。有色フィルム28の硬度(25%硬度)は、例えば48N以上且つ70N以下である。
【0093】
この第2変形例の表示パネル10では、第2クッション材24の遮光層26をなす有色フィルム28の硬度が第2クッション材24の硬度よりも高い。そのことで、ユーザが表示パネル10の表面(表皮材32)を触ったときの感触に異物感を持たせることができる。これにより、ユーザは、表示パネル10を視認しなくとも、表示パネル10を触れば、遮光層26による異物感を頼りにスイッチの操作部49の位置を認識できる。
【0094】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、表示灯装置1がスイッチ機能を有するとしたが、これに限らない。表示灯装置1は、表示灯の表示機能のみを発揮する装置であってもよい。この場合、表示灯に関連したスイッチ機能は、表示灯装置1とは別体のスイッチ装置として、インストルメントパネル3に組み込まれてもよい。
【0095】
上記実施形態では、基材12に光を通す窓部として開口14が形成されるとしたが、これに限らない。例えば、基材12には、窓部として透明部分が設けられてもよい。この透明部分は、その他の基材12の部分と一体に形成されてもよく、基材12とは別体の透光部材が基材12の開口14に嵌め込まれて構成されてもよい。また、基材12の全体が透光性を有する合成樹脂によって形成され、基材12の表示部34に対応する部分が窓部を構成してもよい。
【0096】
上記実施形態では、クッション材18が、遮光性を有する第1クッション材20と、透光性を有する第2クッション材24とで構成されるとしたが、これに限らない。クッション材18は、全体に亘り透光性を有する一枚物のクッション材であってもよい。要は、クッション材18が、少なくとも表示部34に対応する部位で透光性を有すればよい。
【0097】
上記実施形態では、第2クッション材24に含まれる遮光層26が有色フィルム28によって構成されるとしたが、これに限らない。有色フィルム28は、遮光層26を構成する部材の一例に過ぎず、第2クッション材24の内部で表皮材32に沿う方向への光の伝播を遮るものであれば、小片板状に形成された有色(例えば黒色)の発泡体など、遮光性を有する任意の部材を当該遮光層26として採用することができる。
【0098】
上記実施形態において、第2クッション材24は、表皮材32における表示部34の裏面に接着剤または粘着剤を用いて貼り付けられてもよい。また、スイッチ点灯ユニット50は、タクトスイッチ98に加えてまたはそれに代えて、静電容量式のスイッチを備えてもよい。表示灯装置1は、スイッチ点灯ユニット50の動作により、第1透光部36と第2透光部38とが択一的に点灯されるように構成されてもよい。
【0099】
上記実施形態では、表示灯装置1がインストルメントパネル3に組み込まれた場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。本発明に係る表示パネル10およびそれを備える表示灯装置1は、コンソールボックスのリッドやドアトリム、ピラートリム、サンバイザーなど、他の車両用の内装品にも組み込むことが可能である。また、本発明に係る表示灯装置1は、車両用途以外にも家電製品やゲーム機などの様々な製品に広く適用できる。
【0100】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記実施形態について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてさらに色々な変形が可能なこと、またそうした変形も本発明の範囲に属することは、当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように、本発明は、表示パネルおよび表示灯装置について有用である。
【符号の説明】
【0102】
D 第1交点と第2交点との間隔
L1 第1LEDの光(第1光源の光)
L2 第2LEDの光(第2光源の光)
P1 第1交点
P2 第2交点
1 表示灯装置
10 表示パネル
12 基材
14 開口(窓部)
18 クッション材
20 第1クッション材
24 第2クッション材
26 遮光層
28 有色フィルム
30 粘着剤
32 表皮材
36 第1透光部
38 第2透光部
50 スイッチ点灯ユニット(点灯ユニット)
70 第1通路
72 第2通路
74 隔壁
94 第1LED(第1光源、光源)
96 第2LED(第2光源、光源)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11