(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174633
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】排紙ユニット
(51)【国際特許分類】
B65H 31/14 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65H31/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092556
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】武智 太郎
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA00
3F054AA05
3F054AC01
3F054BA01
3F054BA03
3F054BD04
3F054BD07
3F054BG11
3F054BJ07
3F054DA13
(57)【要約】
【課題】面内高さが異なる特殊用紙を崩さずに大量に積載できる排紙ユニットを提供する。
【解決手段】排紙ユニット10は、搬送された記録媒体P1を上下方向に積み重ねる排紙トレー部11と、排紙トレー部11を傾動可能に軸支する支持部12と、記録媒体P1の重量で傾いた排紙トレー部11の角度を水平方向に戻す角度保持部13と、を備える。角度保持部13は、排紙トレー部11を付勢する付勢手段としてのバネ部材13aと、バネ部材13aが排紙トレー部11に与えるモーメントを変更可能とするモーメント調整部17と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された記録媒体を上下方向に積み重ねる排紙トレー部と、
前記排紙トレー部を傾動可能に軸支する支持部と、
前記記録媒体の重量で傾いた前記排紙トレー部の角度を水平方向に戻す角度保持部と、を備えたことを特徴とする排紙ユニット。
【請求項2】
前記角度保持部は、前記排紙トレー部を付勢する付勢手段と、前記付勢手段が前記排紙トレー部に与えるモーメントを変更可能とするモーメント調整部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の排紙ユニット。
【請求項3】
前記モーメント調整部は、前記付勢手段の弾性力または取付方向を調整可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の排紙ユニット。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記排紙トレー部の前記記録媒体が排紙される方向で少なくとも一箇所を付勢している、ことを特徴とする請求項2または3に記載の排紙ユニット。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記排紙トレー部のうち、前記記録媒体が排紙される方向で前端から後端までの間を付勢する、ことを特徴とする請求項4に記載の排紙ユニット。
【請求項6】
前記付勢手段は、弾性部材である、ことを特徴とする請求項2に記載の排紙ユニット。
【請求項7】
前記弾性部材は、バネ部材である、ことを特徴とする請求項6に記載の排紙ユニット。
【請求項8】
前記記録媒体は、封筒またはラベル用紙である、ことを特徴とする請求項1に記載の排紙ユニット。
【請求項9】
前記モーメント調整部は、前記記録媒体の種類、前記排紙トレー部に排紙される方向または枚数のうち少なくとも何れか一つに応じて予め測定されたモーメントとなるように調整可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の排紙ユニット。
【請求項10】
前記モーメント調整部は、前記記録媒体の排紙方向で左右何れかの側縁部に設置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の排紙ユニット。
【請求項11】
前記排紙トレー部を載置して支持する台車部と、
前記台車部に回転可能に設けられた車輪と、
前記台車部に設けられた把手部と、を備え、
前記排紙トレー部は、画像形成装置の前記記録媒体を排紙する排紙口に着脱可能とした、ことを特徴とする請求項1に記載の排紙ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排紙ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの電子写真方式の画像処理装置には、トナー画像を定着させた紙などの記録媒体を上下方向に積載して収集する排紙ユニットが備えられている。このようなものでは、画像処理装置に設けられた排紙部で上面検知をしながら、用紙枚数に応じてカムを回転させ、排紙積載角度を電気的に制御している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置は、封筒や配送伝票である配送用ラベル用紙等、面内高さが異なる特殊用紙に印刷を行う場合がある。
従来の排紙ユニットは、面内高さが異なる特殊用紙を大量に積載することができない。このような特殊用紙を大量に積み重ねると、上に載せられた特殊用紙の傾きにより崩れてしまうからである。
したがって、従来の排紙ユニットでは、特殊用紙がある程度積み重ねられると、一旦印刷を止めて小分けに運び出す必要がある。
また、特殊用紙が重ねられる角度をモータ等により電気的に制御すること考えられる。このようなものでは、多様な特殊用紙や通常の記録媒体の種類に対応させて制御設定を変更しなければならない。
このため、様々な形状の特殊用紙に対応しながら連続印刷により高い生産性を得るためには更なる改善が望まれている。
【0005】
本発明は、面内高さが異なる特殊用紙を大量に積載できる排紙ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
(1)排紙ユニットは、搬送された記録媒体を上下方向に積み重ねる排紙トレー部と、前記排紙トレー部を傾動可能に軸支する支持部と、前記記録媒体の重量で傾いた前記排紙トレー部の角度を水平方向に戻す角度保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
(2)前記角度保持部は、前記排紙トレー部を付勢する付勢手段と、前記付勢手段が前記排紙トレー部に与えるモーメントを変更可能とするモーメント調整部と、を有することを特徴とする(1)に記載の排紙ユニット。
【0008】
(3)前記モーメント調整部は、前記付勢手段の弾性力または取付方向を調整可能である、ことを特徴とする(2)に記載の排紙ユニット。
【0009】
(4)前記付勢手段は、前記排紙トレー部の前記記録媒体が排紙される方向で少なくとも一箇所を付勢している、ことを特徴とする(2)または(3)に記載の排紙ユニット。
【0010】
(5)前記付勢手段は、前記排紙トレー部のうち、前記記録媒体が排紙される方向で前端から後端までの間を付勢する、ことを特徴とする(4)に記載の排紙ユニット。
【0011】
(6)前記付勢手段は、弾性部材である、ことを特徴とする請求項(2)に記載の排紙ユニット。
【0012】
(7)前記弾性部材は、バネ部材である、ことを特徴とする(6)に記載の排紙ユニット。
【0013】
(8)前記記録媒体は、封筒またはラベル用紙である、ことを特徴とする(1)に記載の排紙ユニット。
【0014】
(9)前記モーメント調整部は、前記記録媒体の種類、前記排紙トレー部に排紙される方向または枚数のうち少なくとも何れか一つに応じて予め測定されたモーメントとなるように調整可能である、ことを特徴とする(2)に記載の排紙ユニット。
【0015】
(10)前記モーメント調整部は、前記記録媒体の排紙方向で左右何れかの側縁部に設置されている、ことを特徴とする(2)に記載の排紙ユニット。
【0016】
(11)前記排紙トレー部を載置して支持する台車部と、前記台車部に回転可能に設けられた車輪と、前記台車部に設けられた把手部と、を備え、前記排紙トレー部は、画像形成装置の前記記録媒体を排紙する排紙口に着脱可能とした、ことを特徴とする(1)に記載の排紙ユニット。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、面内高さが異なる特殊用紙を大量に積載でき、連続印刷により生産性を向上させることができる排紙ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1に係る排紙ユニットで要部の構成を説明する斜視図である。
【
図2】排紙ユニットが装着される画像形成装置の側面図である。
【
図3】特殊用紙を複数枚積み重ねた様子を示す側面図である。
【
図4】画像形成装置から排紙された特殊用紙がトレー部に載せられる様子を説明する側面図である。
【
図5】画像形成装置から排紙された複数枚の特殊用紙がトレー部に重ねられて、回動する様子を説明する側面図である。
【
図6】特殊用紙を載せたトレー部の回動が停止する様子を説明する側面図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る排紙ユニットで要部の構成を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態3に係る排紙ユニットで要部の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態4に係る排紙ユニットで要部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための各形態を詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る画像形成ユニット1で、画像形成装置2およびこの画像形成装置2に着脱可能に設けられる排紙ユニット10の構成を示している。
なお、実施形態では、理解の容易化の為、画像形成ユニット1を正面から見た左側面に排紙口9を設け、記録媒体Pが排紙される排紙方向Fを定義する。また、実施形態では、画像形成装置2の高さ方向を上下方向Hと、定義する。そして、実施形態では、排紙方向Fに対して直交する画像形成装置2の奥行き方向を左右方向Wと定義している。
[排紙ユニット]
まず、
図1を用いて画像形成装置2に用いられる排紙ユニット10について説明する。
排紙ユニット10は、画像形成装置2が搬送する記録媒体Pを上下方向に積み重ねる排紙トレー部11と、排紙トレー部11を傾動可能に軸支する支持部12と、を備えている。
【0020】
排紙ユニット10は、記録媒体Pの重量で傾いた排紙トレー部11の角度を水平方向に戻す角度保持部13と、を備えている。
排紙トレー部11は、上面視長方形の板状で、上面11dを平坦としている。
そして、排紙トレー部11は、後端11bが画像形成装置2の排紙口9に近接された位置に配設される。これにより排紙ユニット10は、画像形成装置2の側面に配置された状態で排紙口9から排紙された記録媒体Pを排紙トレー部11の上面に大量に積載させることができる。
【0021】
支持部12は、左右方向に軸方向を水平に延設する回動軸を有している。支持部12回動軸は、排紙トレー部11のうち、記録媒体Pが排紙される排紙方向Fで中央位置より後端11b寄りに設けられている。
そして、排紙トレー部11は、支持部12の回動軸を回動中心として傾動して、前端11aを上下方向に移動させることができる。これにより排紙トレー部11の上面11dは、排紙方向Fに所望の角度範囲内で傾動する。
【0022】
角度保持部13は、排紙トレー部11の前端11aを上方へ向けてすなわち後端11bを下方に向けて付勢する付勢手段を有している。実施形態1の付勢手段は、弾性部材としてのバネ部材13aを備えている。
バネ部材13aは、引張荷重を受ける引張コイルにより構成されている。バネ部材13aの一端側には、上係止フック13bが形成されている。また、バネ部材13aの他端側には、下係止フック13cが形成されている。
このうち、上係止フック13bは、排紙トレー部11の後端11bの側面から突設されたトレー側被係止突起11cに係止されている。
【0023】
そして、実施形態1のバネ部材13aは、排紙トレー部11のうち、記録媒体Pが排紙される排紙方向Fで前端11aから後端11bまでの間のうち、少なくとも一箇所、ここでは後端11b側を下方に向けて付勢している。
【0024】
また、角度保持部13は、モーメント調整部17を有している。モーメント調整部17は、バネ部材13aが排紙トレー部11に与えるモーメントを変更可能とするように構成されている。
実施形態1のモーメント調整部17は、記録媒体Pの排紙方向Fで左側の側面部14aの外側に設置されている。モーメント調整部17は、台車部14の側面部14aに取り付けられた被係止プレート17aと、被係止プレート17aから側方へそれぞれ間隔を置いて突設される複数の被係止突起17b~17eと、を有している。
【0025】
実施形態1の被係止プレート17aは、トレー側被係止突起11cを円弧の中心とするように三日月状に湾曲形成されている。さらに、複数の被係止突起17bは、被係止プレート17aの湾曲形状に沿って配列されている。このうち、最上部の被係止突起17eは、排紙方向Fで支持部12より前方に配置されている(
図2参照)。
【0026】
このように構成されたモーメント調整部17は、被係止突起17b~17eの何れかにバネ部材13aの下係止フック13cを選択的に係止させる。バネ部材13aは、着脱可能とされていてバネ定数の異なる複数種類のバネのうち少なくとも一つを用いることができる。そして、下係止フック13cが係止される被係止突起17bに応じてバネ部材13aの弾性力または取付方向が変更される。
これにより、異なるモーメントで排紙トレー部11の後端11bが下方に引かれて付勢される。
【0027】
例えば、同じバネ定数のバネ部材13aを用いる場合、下係止フック13cが係止される被係止突起17b~17eの選択によりバネ部材13aの排紙トレー部11への取付角度が変更される。これにより、モーメント調整部17は、被係止突起17bから被係止突起17eへ順次係止させるにつれて、支持部12の軸を中心とする円周方向への付勢力のベクトル成分を減少させることができる。
したがって、排紙トレー部11に与えられるモーメントは、下係止フック13cが係止される被係止突起17b~17eを変更することにより容易に調整できる。
【0028】
また、排紙ユニット10は、例えば記録媒体Pの種類、排紙トレー部11に排紙される方向または枚数のうち少なくとも何れか一つに応じて予め適正なモーメントを測定する。そして、モーメント調整部17は、排紙される記録媒体Pの種類あるいは枚数等に応じてバネ部材13aの係止位置を変更する。これにより、モーメント調整部27は、最上面に重ねられた記録媒体P1がほぼ水平となるように適正なモーメントを設定することができる。
【0029】
さらに、排紙ユニット10は、排紙トレー部11を載置して支持する台車部14と、台車部14に回転可能に設けられた複数の車輪15と、台車部14に設けられた把手部16と、を備えている。そして、排紙トレー部11は、車輪15によって台車部14が床面上を移動することにより画像形成装置2の側面から着脱される。
【0030】
台車部14は、金属製のフレーム枠体14bを有して構成されている。フレーム枠体14bからは、排紙トレー部11の前端11aと排紙方向Fに隙間を開けて上下方向へ長尺な当接板18が固定されている。当接板18は、排紙された記録媒体Pの前縁を当接させる。これにより所望の排紙トレー部11の上面位置に記録媒体Pを停止させて複数枚の記録媒体Pを揃えて積載させることができる。
なお、排紙方向Fで排紙トレー部11の左,右側に、排紙トレー部11に積載される記録媒体Pの左右方向の位置を所望の位置にガイドする左右ガイド板(図示せず)が設けられてもよい。
【0031】
また、台車部14の排紙トレー部11の下方で、排紙トレー部11下面側と対向するフレーム枠体14bの上面には、ストッパ面部19が設けられている。
実施形態1のストッパ面部19は、台車部14のフレーム枠体14b上面側に傾斜面を有している。ストッパ面部19の傾斜面は、平坦状で排紙方向F前方へ向かうにつれて下方へ傾斜して形成されている。
そして、ストッパ面部19は、排紙トレー部11が最下方まで支持部12の軸を中心として回動すると、排紙トレー部11の下面側を当接させて回動を停止させる(
図6参照)。
【0032】
[画像形成装置]
図2に示す画像形成装置2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式を採用する。画像形成装置2は、主に、原稿などの複製対象物から画像を読み取るからの操作信号に基づき各構成部を制御する制御部および記憶部(図示せず)と、を備える。制御部は、CPU(CentraL Processing Unit)、ROM(Read OnLy Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を備える。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと、ストレージ等の記憶部に記憶された各種データと、を協働させて画像形成装置2の各構成部を制御する。
【0033】
また、画像形成装置2は、画像読取部3で読み取られた入力画像データからトナー画像を形成する画像形成部5と、紙などの記録媒体Pを搬送する搬送部6と、を備える。さらに画像形成部5は、搬送された記録媒体Pのトナー画像を加圧および加熱して定着させる定着装置等、を備える。
【0034】
このうち、画像読取部3は、ADF(Automatic document feeder)装置及びスキャナ装置を備える。ADF装置は、給紙トレーユニット7に載置された1枚以上の原稿を搬送機構により搬送してスキャナ装置へ送り出す。スキャナ装置は、ADF装置から搬送またコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査する。スキャナ装置は、原稿からの反射光をCCD(Charge CoupLed Device)センサの受光面上に結像させて読み取り、入力画像データを生成する。
【0035】
画像形成部5は、画像読取部3からの入力画像データに対して、初期設定またはユーザ設定に応じたデジタル画像処理を行う。例えば、画像形成部5は、記憶部内の階調補正データ(例えば、階調補正テーブルLUT)に基づいて階調補正を行う。画像形成部5は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を実行する。
【0036】
画像形成部5は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる転写をそれぞれ行う。このうち、それぞれの成分の画像形成部5は、露光装置5a、現像装置5b、感光体ドラム5c、帯電装置5d、及び定着器5e等を有している。
【0037】
そして、画像形成部5は、各感光体ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像を中間転写ベルト5fの上で4色のトナー像が順次転写されて重ね合わせられる。そして、重ね合わせられたトナー像は、給紙トレーユニット7から搬送経路8により搬送された記録媒体Pの上に二次転写される。
【0038】
給紙トレーユニット7は、複数種類の記録媒体Pをそれぞれ収容する複数の第一給紙トレー部7a,第二給紙トレー部7b,第三給紙トレー部7c等を有している。
実施形態1では、面内高さが異なる特殊用紙である封筒またはラベル用紙を記録媒体P1として用いている。そして、第一給紙トレー部7a,第二給紙トレー部7b,第三給紙トレー部7cのうち少なくとも何れか一つには、記録媒体P1が収容されている。なお、収容される記録媒体Pは、複写紙が重ねられて面内高さが偏って異なるラベル用紙等の記録媒体P1に限らない。例えば、記録媒体P1が収容されているトレー以外のトレーに他の種類の特殊用紙あるいは、面内高さが均等な厚さの用紙を収容していてもよい。
【0039】
さらに搬送経路8は、給紙トレーユニット7内にストックされた記録媒体Pを複数のガイドローラを有する搬送経路に沿って定着器5eまで搬送する。定着器5eは、記録媒体Pの上のトナー画像を加熱および加圧して記録媒体Pの上に定着させる。
そして、トナー画像を定着させた記録媒体Pは、搬送経路8に沿って搬送されて、排紙口9から画像形成装置2の外部に搬出される。
【0040】
図3に示すように、実施形態1の記録媒体P1は、排紙方向Fで前側に複写紙等が重ねられている。このため、記録媒体P1は、厚みに偏りがあり前側が後側と比べて厚い。したがって、複数の記録媒体P1が搬送されて排紙トレー部11の上面11dに積載されると、前側の上下方向寸法H2が後側の上下方向寸法H1より大きく(H2>H1)なる。そして、記録媒体P1の積載される枚数が多くなるとさらに差が大きくなる。
【0041】
図4に示すように、画像形成装置2の排紙口9から排紙された記録媒体P1は、側方に装着された排紙ユニット10の排紙トレー部11の上面11dに順次積み重ねられる。
排紙トレー部11は、積み重ねられた記録媒体Pの重量と、角度保持部13のバネ部材13aの付勢力が釣り合う位置となると支持部12を回動中心とする傾動を停止させる。 記録媒体Pの枚数が少ない場合は、記録媒体Pの初期位置に近いほぼ水平状態に最上部の記録媒体Pの角度が維持される。
【0042】
図5に示すように、記録媒体P1の積み重ねられた枚数が増大すると、排紙トレー部11は、積み重ねられた記録媒体Pの重量の増大に伴って支持部12を回動中心として前端11aを下方に傾動させる。
この際、
図3に示すように、前側の上下方向寸法H2が後側の上下方向寸法H1より大きく(H2>H1)なる。積載された記録媒体P1の最上面は、重量の増大による傾動量により上下方向寸法H2の増大が相殺されてほぼ水平状態に角度が維持される。
【0043】
図6に示すように、記録媒体P1の枚数がさらに増大すると、排紙トレー部11は、下面側を台車部14のストッパ面部19に当接させて傾動を停止させる。この際、積み重ねられた記録媒体Pの最上面は、ほぼ水平状態に角度が維持される。また、記録媒体P1の前縁は、当接板18に当接する。そして、必要に応じて排紙方向Fで排紙トレー部11の左,右側に設けられた左右ガイド板が、積載された記録媒体Pの左右側縁を当接させてガイドする。これにより複数枚の記録媒体Pは、前後左右方向で揃えられる。
したがって、搬送された所望の枚数の記録媒体P1を上下方向Hに積み重ねても崩れない。
【0044】
したがって、実施形態1の排紙ユニット10は、把手部16を用いて容易に移動させることができる。例えば、従来のように厚みの偏りがあり崩れやすい特殊用紙であっても、一旦印刷を止めて小分けに運び出す必要がない。
また、排紙ユニット10は、排紙トレーの角度をモータ等により電気的に制御する必要がなく制御設定の変更や、電気的な配線の装脱着も不要となる。
このため、様々な形状の特殊用紙に対応しながら連続印刷により高い生産性を得ることができる。さらに記録媒体P1が収容されている給紙トレー以外の給紙トレーに他の種類の特殊用紙あるいは、面内高さが均等な厚さの用紙をいれてもよい。この場合、用紙の種類に応じてモーメント調整部17によって付勢手段が排紙トレー部11に与えるモーメントを容易に変更可能である。
【0045】
実施形態1では、同じバネ定数のバネ部材13aを用いて、下係止フック13cが係止される被係止突起17b~17eを適宜選択する。これにより、モーメント調整部17は、排紙トレー部11に与えるモーメントを増減させることができる。また、異なるバネ定数のバネ部材13aを付勢手段としてさらに選択してもよい。
このように、実施形態1の角度保持部13は、排紙トレー部11に与えられるモーメントを容易に増減させることができる。よって、排紙ユニット10は、排紙トレー部11の角度を積載された記録媒体P1の最上面の傾きを水平方向に戻すように保持することができる。したがって、記録媒体Pとして様々な重量や面内高さの偏りを有する特殊用紙や、面内高さの均等な用紙を使用することができる。
【0046】
したがって、排紙トレー部11に積層される記録媒体P1の枚数に応じて、最上面に積載された記録媒体P1の角度がほぼ一定となり、大量に重ねられても崩れにくい。また、異なる種類の用紙を混在させても連続して印刷できてさらに高い生産性を得ることができる。
このように実施形態1の排紙ユニット10は、面内高さが異なる特殊用紙を崩さずに大量に積載できる、といった実用上有益な作用効果を発揮することができる。
【0047】
図7は、実施形態2の画像形成ユニット102に用いられる排紙ユニット20を示すものである。なお、実施形態1の画像形成ユニット1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2の排紙ユニット20は、角度保持部23の付勢手段としてバネ部材23aを有している。バネ部材23aは、引張荷重を受ける引張コイルにより構成されている。バネ部材23aの一端側の上係止フック23bは、当接板18の上部に突設された台車側被係止突起18aに係止されている。
また、バネ部材23aの他端側は、排紙トレー部21に連結されて上下方向へ張設されている。これにより、排紙トレー部21の前端21aはバネ部材23aによって上方へ向けて付勢されて支持部12を回動中心として傾動可能に弾性支持されている。
【0048】
排紙トレー部21の一側面部には、モーメント調整部27が設けられている。
モーメント調整部27は、排紙トレー部21の前端21a側の一側面に沿って前側から後方へ第一トレー側被係止突起27b,第二トレー側被係止突起27c,第三トレー側被係止突起27d,第四トレー側被係止突起27eが直線状に配列されている。
【0049】
それぞれの第一トレー側被係止突起27b~第四トレー側被係止突起27eは、所定の間隔を置いて一側面から突設されている。
そして、バネ部材23aの下係止フック23cは、第一トレー側被係止突起27b~第四トレー側被係止突起27eのうちの何れか一つに係止される。
これにより、下係止フック13cが係止される被係止突起17bに応じてバネ部材13aの取付方向を変更して排紙トレー部21の支持部12を回動中心とするモーメントを調整することができる。
したがって、モーメント調整部27は、記録媒体Pの種類、排紙トレー部21に排紙される方向または枚数のうち少なくとも何れか一つに応じて予め測定された適正なモーメントとなるように設定できる。
【0050】
他の構成、および作用効果については、実施形態1の排紙ユニット10と同様であるので説明を省略する。
【0051】
図8は、実施形態3の画像形成ユニット103に用いられる排紙ユニット30を示すものである。なお、実施形態1の画像形成ユニット1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
排紙ユニット30は、角度保持部33の付勢手段としてバネ部材33aを有している。バネ部材33aは、圧縮荷重を受ける圧縮コイルばねにより構成されている。バネ部材33aは、一端側の上端33bおよび他端側の下端33cを平坦な当接面としている。
【0053】
排紙トレー部31の下側面には、トレー側のモーメント調整部37が設けられている。
モーメント調整部37には、排紙トレー部31の前方から後方へ第一トレー側座面37a,第二トレー側座面37b,第三トレー側座面37c,第四トレー側座面37d,第五トレー側座面37eが交互に凹凸状となるように形成されている。
そして、バネ部材33aの上端33bは、第一トレー側座面37a~第五トレー側座面37eのうち何れかに当接されて配置される。
【0054】
また、台車部14には、台車側のモーメント調整部38が設けられている。モーメント調整部38は、バネ部材33aの下端33cが当接される第一台車側座面38a~第五台車側座面38eを有している。
このうち、当接板18の上下方向H中間位置には、第一台車側座面38aが突設されている。また、台車部14のフレーム上面39は、第二台車側座面38b,第三台車側座面38c,第四台車側座面38d,および第五台車側座面38eを有している。これらの第一台車側座面38a~第五台車側座面38eは、所定の間隔を置いて当接板18およびフレーム上面39の傾斜に沿って排紙方向Fに交互に凹凸状に形成されている。
【0055】
このように構成された実施形態3の排紙ユニット30は、バネ部材33aの上端33bをモーメント調整部37の第一トレー側座面37a~第五トレー側座面37eの何れかに当接させる。また、モーメント調整部38は、バネ部材33aの下端33cを、第一台車側座面38a~第五台車側座面38eの何れかに当接させる。これにより、バネ部材33aは、排紙トレー部31の下側面と台車部14のフレーム上面39との間の所望の位置に配置される。
他の構成、および作用効果については、実施形態1の排紙ユニット10と同様であるので説明を省略する。
【0056】
図9は、実施形態4の画像形成ユニット104に用いられる排紙ユニット40を示すものである。なお、実施形態1の画像形成ユニット1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
排紙ユニット40は、角度保持部の付勢手段としてねじりバネ部材(トーションスプリング)41を有している。ねじりバネ部材41は、一端側を排紙トレー部11の下側面に当接させている。また、ねじりバネ部材41の他端側は、台車部14側のフレーム部に当接されている。これにより、ねじりバネ部材33aは、台車部14と排紙トレー部11との間に配置されて上方へ向けて排紙トレー部11を付勢することができる。
他の構成、および作用効果については、実施形態1の排紙ユニット10と同様であるので説明を省略する。
【0057】
以上、本発明の実施形態1~4について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他のさまざまな実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0058】
例えば、実施形態では、モーメントを変更可能とするモーメント調整部17等を設けたものを示して説明してきたが特にこれに限らない。例えば記録媒体P1の重量で傾いた排紙トレー部11の角度を水平方向に戻す角度保持部13を備えていればよい。
また、角度保持部13は、バネ部材13a等の付勢手段のバネ定数を変更してもよい。 さらに、角度保持部13は、バネ部材13a等に限らず弾性変形可能なゴム部材や他の種類のスプリング等を有していてもよい。
すなわち、角度保持部13は、記録媒体PまたはP1の重量で傾いた排紙トレー部11の角度、さらに詳しくは、最上面の記録媒体P1を水平方向に戻すように付勢力を付与するものであれば、付勢手段の形状、数量、材質および組合わせがどのようなものであってもよい。
【0059】
また、モーメント調整部17等は、その取付角度および排紙トレー部11の支持部12を傾動中心として、角度保持部13の付勢手段により排紙トレー部11に与えられるモーメントを変更可能とするものであればよい。たとえば、実施形態では、段階的にモーメントの大きさを変更するものを示してきた。
しかしながら、特にこれに限らず、モーメント調整部17は、モーメントの大きさを無段階で調整できるように構成されていてもよい。すなわち、モーメント調整部17は、形状、数量および組み合わせがどのように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 排紙ユニット
11 排紙トレー部
13 角度保持部
13a バネ部材(付勢手段)
17 モーメント調整部
P1 記録媒体