(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174637
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20241210BHJP
D01H 9/18 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H67/06 W
B65H67/06 Z
D01H9/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092561
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】井上 敬
(72)【発明者】
【氏名】春日 照之
【テーマコード(参考)】
3F112
4L056
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112BA03
3F112GC01
3F112MA02
3F112PB02
3F112QA01
3F112VB05
4L056AA02
4L056AA45
4L056BA05
4L056BF31
4L056BF45
4L056BF49
4L056EA34
4L056EB22
(57)【要約】
【課題】搬送装置が頻繁に停止することに起因したボビンの供給効率の低下を回避可能な供給装置を提供する。
【解決手段】供給装置は、第1コンベアと、第2コンベアと、到着センサと、制御装置と、を備える。第1コンベアは、複数のボビンを1つずつに分けて、当該ボビンを個別に搬送する。第2コンベアは、第1コンベアから受け渡されたボビンを搬送する。到着センサは到着位置にあるボビンを検出する。第1コンベアを停止させる条件の1つには、到着位置にボビンが存在すると判定されることが含まれる。制御装置は、第2コンベアが運転中の場合は、連続検出時間が第1閾値に到達することで到着位置にボビンが存在すると判定する。制御装置は、第2コンベアが停止中の場合は、連続検出時間が第2閾値に到達することで到着位置にボビンが存在すると判定する。第1閾値が第2閾値よりも長い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機で紡績された糸が芯管に巻き付けられて形成されたボビンを糸巻取機に供給する供給装置において、
複数の前記ボビンを1つずつに分けて、当該ボビンを個別に搬送する第1コンベアと、
前記第1コンベアから受け渡された前記ボビンを搬送する第2コンベアと、
前記第2コンベアの位置であって、かつ、前記第1コンベアから前記ボビンが受け渡される位置である到着位置にある前記ボビンを検出する到着センサと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記到着位置で前記ボビンを連続して検出した連続検出時間に基づいて前記到着位置に前記ボビンが存在するか否かを判定し、
前記第1コンベアを停止させる条件の1つには、前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定されることが含まれ、
前記制御装置は、前記第2コンベアが運転中の場合は、前記連続検出時間が第1閾値に到達することで前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定し、
前記制御装置は、前記第2コンベアが停止中の場合は、前記連続検出時間が第2閾値に到達することで前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定し、
前記第1閾値が前記第2閾値よりも長いことを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置であって、
前記第2コンベアの位置であって、かつ、前記到着位置よりも前記ボビンの搬送方向の下流にある通過位置にある前記ボビンを検出する通過センサを備え、
前記制御装置は、前記第2コンベアが運転中の場合は、前記通過位置に前記ボビンが存在するか否かに関係なく、前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定したときに、前記第1コンベアを停止させる条件を満たすと判定し、
前記制御装置は、前記第2コンベアが停止中の場合は、前記到着位置と前記通過位置の少なくとも一方に前記ボビンが存在すると判定したときに、前記第1コンベアを停止させる条件を満たすと判定することを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の供給装置であって、
前記第1コンベアの位置であって、かつ、前記第2コンベアに前記ボビンを受け渡す位置である供給位置に存在する前記ボビンを検出する供給センサを備え、
前記第1コンベアを停止させる条件の1つには、前記供給センサが前記ボビンを検出していることが含まれることを特徴とする供給装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の供給装置であって、
停止中の前記第1コンベアの運転を再開する条件には、前記到着位置と、前記到着位置よりも前記ボビンの搬送方向の下流にある通過位置と、の両方に前記ボビンが存在しないと前記制御装置が判定したことが含まれることを特徴とする供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の供給装置であって、
前記到着位置又は前記通過位置で前記ボビンを連続して非検出であった時間を連続非検出時間と称し、
停止中の前記第1コンベアの運転を再開する条件には、前記第2コンベアが運転中の場合は、前記到着位置と前記通過位置の前記連続非検出時間が第1再開閾値に到達したことが含まれ、
停止中の前記第1コンベアの運転を再開する条件には、前記第2コンベアが停止中の場合は、前記到着位置と前記通過位置の前記連続非検出時間が第2再開閾値に到達したことが含まれ、
前記第1再開閾値が前記第2再開閾値よりも短いことを特徴とする供給装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記第2コンベアの上流端から中途部までの領域である上流領域に存在する前記ボビンの数の推定値である推定ボビン数を算出し、
前記制御装置は、前記推定ボビン数が2である時間が連続して上限閾値を経過した場合、前記第1コンベアを停止させることを特徴とする供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記推定ボビン数が2である時間が連続して上限閾値を経過した場合、前記第2コンベアを逆方向に駆動して、前記上流領域にある前記ボビンを排出することを特徴とする供給装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記第1コンベアから前記第2コンベアに前記ボビンが供給されることで、前記推定ボビン数を1つ増加させることを特徴とする供給装置。
【請求項9】
請求項6から8までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記第2コンベアの位置であって、
前記制御装置は、前記到着センサが前記ボビンを検出する状態から前記ボビンを検出しない状態に切り替わることで、前記推定ボビン数を1つ減少させることを特徴とする供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、紡績機で紡績された糸が巻かれたボビンを糸巻取機に供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の給糸ボビン供給装置は、ボビン投入部と、ボビン取出部と、トレイ載置部と、を備える。ボビン投入部には、コンテナに入れられて運ばれてきたボビンが投入される。ボビン取出部は、投入されたボビンを1本ずつ取り上げて個別化し、トレイ載置部にボビンを受け渡す。トレイ載置部は、ボビン取出部から受け取ったボビンをトレイに載置する。トレイに載置されたボビンはコンベアによって糸巻取機まで搬送される。
【0003】
特許文献2には、特許文献1と同様の給糸ボビン供給装置が開示されている。特許文献2の給糸ボビン供給装置には、ボビンの搬送経路の様々な箇所にボビン検出センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-184075号公報
【特許文献2】特開2016-3066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボビン検出センサは、例えば、ボビンの搬送を許可するか否かを判定するために用いられる。具体的には、搬送先にボビンが存在しないと判定された場合、ボビンの搬送が許可される。搬送先にボビンが存在すると判定された場合、ボビンの搬送を許可しない。そのため、搬送先にボビンが存在しないと判定されるまで、搬送装置が停止される。しかし、この方法では、搬送装置が頻繁に停止されることとなり、ボビンの供給効率が低下する。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、搬送装置が頻繁に停止することに起因したボビンの供給効率の低下を回避可能な供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の供給装置が提供される。即ち、供給装置は、紡績機で紡績された糸芯管に巻き付けられて形成されたボビンを糸巻取機に供給する。供給装置は、第1コンベアと、第2コンベアと、到着センサと、制御装置と、を備える。前記第1コンベアは、複数の前記ボビンを1つずつに分けて、当該ボビンを個別に搬送する。前記第2コンベアは、前記第1コンベアから受け渡された前記ボビンを搬送する。前記到着センサは、前記第2コンベアの位置であって、かつ、前記第1コンベアから前記ボビンが受け渡される位置である到着位置にある前記ボビンを検出する。前記制御装置は、前記到着位置で前記ボビンを連続して検出した連続検出時間に基づいて前記到着位置に前記ボビンが存在するか否かを判定する。前記第1コンベアを停止させる条件の1つには、前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定されることが含まれる。前記制御装置は、前記第2コンベアが運転中の場合は、前記連続検出時間が第1閾値に到達することで前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定する。前記制御装置は、前記第2コンベアが停止中の場合は、前記連続検出時間が第2閾値に到達することで前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定する。前記第1閾値が前記第2閾値よりも長い。
【0009】
第2コンベアが運転中の場合は、第2コンベアによりボビンが搬送されるため、時間が経過すれば到着位置からボビンが搬送される可能性が高い。そのため、第1閾値を第2閾値よりも長い時間にすることにより、到着位置にボビンが存在すると判定される頻度が低下する。そのため、第1コンベアが頻繁に停止しないので、ボビンの供給効率の低下を回避できる。
【0010】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、前記第2コンベアの位置であって、かつ、前記到着位置よりも前記ボビンの搬送方向の下流にある通過位置にある前記ボビンを検出する通過センサを備える。前記制御装置は、前記第2コンベアが運転中の場合は、前記通過位置に前記ボビンが存在するか否かに関係なく、前記到着位置に前記ボビンが存在すると判定したときに、前記第1コンベアを停止させる条件を満たすと判定する。前記制御装置は、前記第2コンベアが停止中の場合は、前記到着位置と前記通過位置の少なくとも一方に前記ボビンが存在すると判定したときに、前記第1コンベアを停止させる条件を満たすと判定する。
【0011】
第2コンベアが運転中の場合は、通過位置にあるボビンはすぐに通過位置より下流側に搬送される。そのため、通過センサの検出結果を考慮しないことにより、第1コンベアが不要なタイミングで停止することを回避できる。
【0012】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、前記第1コンベアの位置であって、かつ、前記第2コンベアに前記ボビンを受け渡す位置である供給位置に存在する前記ボビンを検出する供給センサを備える。前記第1コンベアを停止させる条件の1つには、前記供給センサが前記ボビンを検出していることが含まれる。
【0013】
供給位置にボビンが存在しない場合は、第1コンベアを運転させ続けても、第1コンベアから第2コンベアにボビンが供給されない。そのため、上記の処理を行うことにより、第1コンベアが不要なタイミングで停止することを回避できる。
【0014】
前記の供給装置においては、停止中の前記第1コンベアの運転を再開する条件には、前記到着位置と前記通過位置の両方に前記ボビンが存在しないと前記制御装置が判定したことが含まれることが好ましい。
【0015】
これにより、第2コンベアでのボビンの重なりが生じないタイミングで第1コンベアの運転を再開できる。
【0016】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記到着位置又は前記通過位置で前記ボビンを連続して非検出であった時間を連続非検出時間と称する。停止中の前記第1コンベアの運転を再開する条件には、前記第2コンベアが運転中の場合は、前記到着位置と前記通過位置の前記連続非検出時間が第1再開閾値に到達したことが含まれる。停止中の前記第1コンベアの運転を再開する条件には、前記第2コンベアが停止中の場合は、前記到着位置と前記通過位置の前記連続非検出時間が第2再開閾値に到達したことが含まれる。前記第1再開閾値が前記第2再開閾値よりも短い。
【0017】
第2コンベアが運転中の場合は、検出されたボビンが即座に下流側に搬送されるため、連続非検出時間を短くすることで、第1コンベアの運転を早期に再開できる。
【0018】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御装置は、前記第2コンベアの上流端から中途部までの領域である上流領域に存在する前記ボビンの数の推定値である推定ボビン数を算出する。前記制御装置は、前記推定ボビン数が2である時間が連続して上限閾値を経過した場合、前記第1コンベアを停止させる。
【0019】
これにより、上流領域にボビンの重なりが生じた可能性がある場合に、第2コンベアに更にボビンが供給される事態を回避できる。
【0020】
前記の供給装置においては、前記制御装置は、前記推定ボビン数が2である時間が連続して上限閾値を経過した場合、前記第2コンベアを逆方向に駆動して、前記上流領域にある前記ボビンを排出することが好ましい。
【0021】
これにより、上流領域にボビンの重なりが生じていた場合に、当該ボビンの重なりを装置側で解消できる。
【0022】
前記の供給装置においては、前記制御装置は、前記第1コンベアから前記第2コンベアに前記ボビンが供給されることで、前記推定ボビン数を1つ増加させることが好ましい。
【0023】
これにより、上流領域にあるボビンの数の増加を適切に算出できる。
【0024】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御装置は、前記到着センサが前記ボビンを検出する状態から前記ボビンを検出しない状態に切り替わることで、前記推定ボビン数を1つ減少させる。
【0025】
これにより、上流領域にあるボビンの数の減少を適切に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る供給装置の側面断面図。
【
図4】第1コンベア及び第2コンベアの駆動に関する処理を行う構成のブロック図。
【
図5】第1コンベアの運転中に第1コンベアを停止するか否かを判定する処理を示すフローチャート。
【
図6】第1コンベアの停止中に第1コンベアの運転を再開するか否かを判定する処理を示すフローチャート。
【
図7】第2コンベアの上流領域の推定ボビン数に関する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0028】
初めに、
図1から
図4を参照して、供給装置1の概要について説明する。以下の説明では、ボビン91が搬送される方向の上流、下流を単に上流、下流と称する。
【0029】
供給装置1は、ボビン91を自動ワインダ等の糸巻取機に供給する。ボビン91は、紡績機で紡績された糸を芯管に巻くことで形成された給糸ボビンである。糸巻取機は、ボビン91に巻かれた糸を巻き取ってパッケージを形成する。
図1に示すように、供給装置1は、受け部10と、個別化部20と、セット部30と、制御装置40と、搬送部50と、を備える。
【0030】
図1に示す収容体90には、紡績機で形成された複数のボビン91が収容されている。収容体90は、箱状の部材であり、上側に開口が形成されている。オペレータ又は図略の投入装置により、収容体90が傾けられて開口が下向きになることにより、収容体90に収容された複数のボビン91が受け部10に投入される。
【0031】
受け部10は、滞留部11と、制限部12と、傾斜部13と、を有する。収容体90から投入されたボビン91は、滞留部11に一時的に滞留する。また、滞留部11は下流側に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面を有しており、ボビン91を自重により搬送できる。なお、斜面に代えてコンベアを用いてボビン91を搬送してもよい。
【0032】
制限部12は、ボビン91の搬送方向において、滞留部11と傾斜部13の間に設けられている。制限部12は、後述する機構により昇降可能である。制限部12が昇降することにより、制限部12は上昇状態と下降状態の間で位置を変更する。制限部12が上昇状態にある間は、ボビン91の移動が阻止される。制限部12が下降状態にある間は、ボビン91の移動が許容される。また、制限部12が上昇状態と下降状態を所定のタイミングで切り替えることにより、滞留部11から傾斜部13へのボビン91の供給量を調整できる。
【0033】
傾斜部13は、下流側に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面を有している。傾斜部13は、ボビン91を自重によって搬送する。ボビン91は、倒れた状態で傾斜部13を転がる又は滑り落ちて移動し、個別化部20に供給される。ボビン91が倒れた状態とは、ボビン91が搬送面(傾斜面等)に対して立ち上がっておらず、かつ、ボビン91の軸方向が搬送面と平行又は略平行なことである。
【0034】
個別化部20は、受け部10の傾斜部13から供給された複数のボビン91を個別のボビン91に分離して1つずつ搬送する。個別化部20が搬送したボビン91は、搬送部50を介して、セット部30まで搬送される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、個別化部20は、ボビン91を上方に搬送する第1コンベア21を備える。第1コンベア21は、第1ベルト22と、上下に配置された2つの回転ローラ23と、第1駆動部24と、を有する。
【0036】
第1ベルト22は、帯状(シート状)の部材である。第1ベルト22は、2つの回転ローラ23にループ状に掛け渡されている。上側の回転ローラ23は、第1駆動部24によって回転駆動される。本実施形態において、第1駆動部24はステッピングモータである。制御装置40は、制御指令を送信することにより、第1駆動部24を動作させる。当該ステッピングモータの出力軸の回転は、駆動伝達ベルト等を介して、上側の回転ローラ23に伝達される。これにより、第1ベルト22が上下方向に循環駆動される。
【0037】
第1ベルト22の外側面には、支持台25が設けられている。支持台25は、第1ベルト22の長手方向において等間隔で設けられている。支持台25は、第1ベルト22と一体的に上下方向に移動する。支持台25は、傾斜部13によって個別化部20に投入された収容体90をすくい上げる。これにより、支持台25にボビン91が載せられる。支持台25は、載せられたボビン91を支持しつつ、ボビン91を上方に搬送する。支持台25は、倒れた状態のボビン91を載せることができるように長方形の面を有している。この長方形の支持台25は、その長手方向が、第1ベルト22の幅方向に沿うようにして、第1ベルト22に取り付けられている。
【0038】
支持台25には、スリット26が形成されている。また、スリット26は、支持台25の長手方向に並べて複数形成されている。複数のスリット26には、それぞれ分離部材27が通っている。分離部材27は、例えば金属製のワイヤである。ただし、分離部材27は金属製のワイヤに限られない。
【0039】
図2に示すように、分離部材27は、下方から順に、第1直線部61と、第1突出部62と、第2直線部63と、第2突出部64と、を有する。第1直線部61は、傾斜部13によって投入された収容体90が第1ベルト22に接触することを回避する。第1突出部62は、第1直線部61と比較して、支持台25の先端側に突出している。2つのボビン91が支持台25に載っている場合、上方に載せられたボビン91の姿勢が第1突出部62により崩されるので、上方に載せられたボビン91が落下する。これにより、第1コンベア21は、1つの支持台25に1つのボビン91が載るようにする(即ち、ボビン91を個別化する)。第2直線部63は、第1突出部62と比較して、支持台25の根元側に位置している。第2突出部64は、第2直線部63と比較して、支持台25の先端側に突出している。第2突出部64は、支持台25に載せられて搬送されたボビン91を落下させる。第2突出部64によって落下したボビン91は、斜面29によって搬送部50に搬送される。
【0040】
図3に示すように、支持台25の長手方向の端部25aは、ボビン91を搬送する領域の外側に位置している。個別化部20は、端部25aを検出する停止位置センサ71を備える。停止位置センサ71は、第1ベルト22ではなく、個別化部20のフレーム等に取り付けられている。停止位置センサ71は、例えば、接触式センサ又は非接触式センサ(マグネットセンサ、又は、光センサ等)である。停止位置センサ71は、検出結果を制御装置40へ送信する。第1ベルト22が駆動された状態において、端部25aは第1ベルト22とともに移動するが、停止位置センサ71の位置は変わらない。そのため、端部25aが所定の位置に到達したタイミングでのみ、停止位置センサ71が端部25aを検出する。停止位置センサ71が端部25aを検出したときの支持台25の位置を停止可能位置と称する。個別化部20は、支持台25が停止可能位置にあることを、第1コンベア21を停止させる条件の1つとする。この条件を設定している理由は、支持台25が停止可能位置にあるときに第1コンベア21を停止させると、ボビン91を受け渡す支持台25が受渡しに最適な位置で停止するように設計されているからである。
【0041】
また、停止位置センサ71は、第1コンベア21が正常に動作されていないことを検出するセンサとしても用いられる。即ち、第1ベルト22が駆動された状態において、停止位置センサ71は、端部25aの検出と非検出とを交互に繰り返す。一方、第1ベルト22が駆動されていない場合、停止位置センサ71の検出結果は変化しない。つまり、停止位置センサ71は、端部25aを検出し続ける状態を維持するか、端部25aを検出しない状態を維持する。停止位置センサ71が端部25aを検出し続ける状態を維持するか、端部25aを検出しない状態を維持する場合、制御装置40は、第1コンベア21の動作を検出できない。この場合は、ボビン91が到着位置に供給されない原因として、ボビン91がメカ部品と干渉し正常な動作ができないと判断して、第1コンベア21を逆転させる。これにより、前記干渉が解消して正常な動作を再開させることができる。
【0042】
図2に示すように、支持台25に載せられたボビン91が搬送される領域であって、更に、第2直線部63が設けられる領域には、供給センサ72が設けられている。供給センサ72は、支持台25によって搬送されるボビン91を検出する接触式センサである。供給センサ72は、スリット26を通る位置に設けられており、支持台25には接触しないが、支持台25に載せられたボビン91には接触する。ボビン91は接触式センサに限られず、非接触式センサであってもよい。個別化部20によって搬送されるボビン91の位置であって、かつ、第2突出部64の周囲の位置を供給位置と称する。供給位置にボビン91が存在する場合、短時間のうちに、第2突出部64によりボビン91が搬送部50に供給される。供給センサ72は、供給位置にボビン91が存在するか否かを検出し、検出結果を制御装置40に送信する。
【0043】
搬送部50は、個別化部20から供給されたボビン91をセット部30に搬送する。
図3に示すように、搬送部50は、第2コンベア51を有する。第2コンベア51は、第2ベルト52と、第2駆動部53と、を備える。第2駆動部53が発生させた動力で図略のプーリを駆動することにより、当該プーリに巻き掛けられた第2ベルト52が駆動される。これにより、第2コンベア51は、ボビン91を第2ベルト52に載せて搬送する。第2駆動部53は制御装置40によって制御される。なお、
図3に太線の矢印で示す方向が、セット部30に向けてボビン91を搬送する際の第2ベルト52の駆動方向である。以下では、この方向を正方向と称し、その反対側の方向を逆方向と称する。制御装置40は、制御指令を送信することにより、第2コンベア51を正方向又は逆方向に駆動することができる。また、第2コンベア51の逆方向の端部には、ボビン91を落下させて傾斜部13に戻すための開口部54が形成されている。
【0044】
また、第2コンベア51の位置であって、かつ、個別化部20から供給されたボビン91が到着する位置を到着位置と称する。即ち、到着位置は、第2コンベア51のうち、斜面29の近傍にある位置である。到着位置の近傍には、到着位置にボビン91が存在するか否かを検出する到着センサ73が設けられている。また、第2コンベア51の位置であって、かつ、到着位置よりも下流にある位置を通過位置と称する。通過位置の近傍には、通過位置にボビン91が存在するか否かを検出する通過センサ74が設けられている。到着センサ73及び通過センサ74は非接触式センサであり、例えば光センサである。到着センサ73及び通過センサ74は、カメラであってもよい。また、到着センサ73及び通過センサ74は接触式センサであってもよい。到着センサ73及び通過センサ74は、検出結果を制御装置40に送信する。また、第2コンベア51のうち、上流端から中途部までの領域を上流領域と称する。到着位置及び通過位置は、上流領域に含まれる。
【0045】
セット部30は、個別化部20から供給されたボビン91をトレイ92にセットする。トレイ92はコンベア等によって構成された搬送経路93に沿って移動可能である。ボビン91は、トレイ92にセットされた状態で搬送経路93に沿って移動し、糸巻取機に供給される。
【0046】
図4に示す制御装置40は、CPU等の演算装置と、RAMと、ストレージと、を備える。ストレージは、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等である。ストレージには、供給装置1に関するプログラムと、プログラムの実行に必要な条件等のデータと、が記憶されている。演算装置は、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御装置40は、制限部12、個別化部20、及びセット部30に関する様々な制御を行う。
【0047】
次に、第1コンベア21の運転と停止に関する処理について説明する。
【0048】
制御装置40は、搬送部50の下流側又はセット部30等に存在するボビン91の搬送状況に応じて、第2コンベア51の運転と停止を変更する。例えば、搬送部50の下流側又はセット部30に存在するボビン91の数が閾値より多い場合、又は、第2コンベア51の搬送先に既にボビン91が存在している場合、第2コンベア51を一時的に停止させる。
【0049】
そのため、第1コンベア21がボビン91を到着位置に供給した場合であっても、第2コンベア51が停止しているときは、そのボビン91が即座に下流側に搬送されない。到着位置にボビン91が存在する状況で、第1コンベア21が更にボビン91を到着位置に供給した場合、到着位置に2つのボビン91が存在することになるため、不具合が生じる可能性がある。なお、以下の説明では、第2コンベア51の所定の位置に2つ以上のボビン91が存在する状態をボビン91の重なりと称する。ボビン91の重なりを回避するため、制御装置40は、到着位置にボビン91が存在すると判定した場合は、第1コンベア21を一時的に停止させる。
【0050】
しかし、第1コンベア21の運転と停止の切替えには時間が掛かることもあるため、第1コンベア21を頻繁に停止させた場合は、ボビン91の供給効率が低下する。特に、本実施形態では、第1コンベア21を一時的に停止させる場合、制御の関係により、支持台25の停止位置が定められている。そのため、第1コンベア21の運転と停止の切替えに必要な時間が長いため、ボビン91の供給効率が低下し易い。以上により、第1コンベア21の停止の頻度を減らすことにより、ボビン91の供給効率の低下を回避できる。
【0051】
到着位置にボビン91が存在するか否かは、到着センサ73の検出結果に基づいて判定される。制御装置40は、誤動作を防ぐために、到着センサ73がボビン91を検出する時間が閾値を超えた場合に、到着位置にボビン91が存在すると判定する。ここで、第2コンベア51が運転中である場合は、到着センサ73がボビン91を検出しても、その後にボビン91がすぐに下流側に移動して、ボビン91が到着位置から外れる可能性が高い。一方、第2コンベア51が停止中である場合において、ボビン91が到着位置に存在するときは、そのままボビン91が到着位置に存在し続ける可能性が高い。
【0052】
以上を考慮し、本実施形態では、第2コンベア51が運転中か停止中かに応じて、上記の閾値を異ならせる。具体的には、第2コンベア51が運転中である場合の閾値である第1閾値は、第2コンベア51が停止中である場合の閾値である第2閾値よりも長い。例えば、第2コンベア51が運転中のときにおいて、ボビン91が到着センサ73に検出される通常の時間は、第1閾値よりも短いことが好ましい。これにより、第2コンベア51が運転中のときにおいて、ボビン91が正常に搬送されていれば、原則として第1コンベア21が停止しない。以上により、第1コンベア21の停止の頻度を減らすことができるので、ボビン91の供給効率の低下を回避できる。
【0053】
以下、
図5のフローチャートを参照して、第1コンベア21の運転を停止するか否かを判定する処理について説明する。
図5に示す処理は、制御装置40によって行われる。
【0054】
制御装置40は、供給位置にボビン91があるか否かを判定する(S101)。この判定は、供給センサ72の検出結果に基づいて行われる。供給センサ72がボビン91を検出していない場合、制御装置40は、供給位置にボビン91がないと判定する。供給位置にボビン91がない場合は、ボビン91の重なりが生じる可能性がないため、第1コンベア21を停止させる必要がない。そのため、制御装置40は、以降の処理を行わない。一方、供給センサ72がボビン91を検出している場合、制御装置40は、供給位置にボビン91があると判定する。供給位置にボビン91がある場合は、ボビン91の重なりが生じる可能性がある。そのため、制御装置40は、次の処理を行う。
【0055】
制御装置40は、支持台25が停止可能位置にあるか否かを判定する(S102)。この判定は、停止位置センサ71の検出結果に基づいて行われる。上述したように、停止位置センサ71が端部25aを検出しているときは、支持台25は停止可能位置にある。そのため、制御装置40は、次の処理を行う。
【0056】
制御装置40は、第2コンベア51が運転中か否かを判定する(S103)。制御装置40は、第2コンベア51を駆動しているため、制御指令に基づいて、第2コンベア51が運転中か否かを判定できる。この処理は、上述したように、到着位置にボビン91が存在するか否かを判定する際に、第1閾値を用いるか第2閾値を用いるかを決定するための処理である。
【0057】
制御装置40は、第2コンベア51が運転中である場合、到着位置にボビン91があることを到着センサ73が連続して検出した時間(以下、到着位置の連続検出時間)が第1閾値に到達したか否かを判定する(S104)。到着位置の連続検出時間が第1閾値に到達していた場合、制御装置40は、到着位置にボビン91が存在すると判定して、第1コンベア21を停止する(S105)。上述したように、第1閾値は第2閾値よりも長いため、第1コンベア21を停止する事態は発生しにくい。一方、到着位置の連続検出時間が第1閾値に到達していない場合、到着位置にボビン91が存在しないか、存在したとしても即座に下流側に搬送されている。そのため、制御装置40は、第1コンベア21を停止しない。
【0058】
制御装置40は、第2コンベア51が運転中でない場合、到着位置の連続検出時間が第2閾値に到達したか否かを判定する(S106)。到着位置の連続検出時間が第2閾値に到達していた場合、制御装置40は、到着位置にボビン91が存在すると判定して、第1コンベア21を停止する(S105)。一方、到着位置の連続検出時間が第2閾値に到達していない場合、到着位置にはボビン91が存在しないと考えられるが、通過位置にボビン91が存在する可能性があるため、制御装置40は次の処理を行う。
【0059】
制御装置40は、通過位置の連続検出時間が第3閾値に到達したか否かを判定する(S107)。第3閾値は、第2コンベア51の運転中のボビン91の存在判定であるため、第2閾値と同じ値であってもよい。ただし、第3閾値と第2閾値とが異なる値であってもよい。通過位置の連続検出時間が第3閾値に到達していた場合、制御装置40は、通過位置にボビン91が存在すると判定して、第1コンベア21を停止する(S108)。一方、通過位置の連続検出時間が第3閾値に到達していない場合、到着位置と通過位置の両方にボビン91が存在しないと考えられるため、第1コンベア21を停止させる必要がない。
【0060】
本実施形態では、第2コンベア51が運転中の場合は、通過位置にボビン91が存在するか否かを判定することなく、第1コンベア21を停止させるか否かの判定を行う。なぜなら、仮に通過位置にボビン91が存在していた場合であっても、第2コンベア51がボビン91を下流側に搬送するため、ボビン91の重なりがほとんど発生しないからである。一方で、第2コンベア51が停止中の場合は、通過位置に存在するボビン91が通過位置に存在し続ける可能性があるため、通過位置にボビン91が存在する場合であっても、制御装置40は第1コンベア21を停止する。
【0061】
以上により、本実施形態では、第1コンベア21を停止させるための前提条件として、(1)供給位置にボビン91があること、(2)支持台25が停止可能位置にあること、がある。更なる条件として、第2コンベア51が運転中の場合は、(3)到着位置の連続検出時間が第1閾値に到達したこと、がある。また、第2コンベア51が停止中の場合は、(4)到着位置の連続検出時間が第2閾値に到達したこと、又は、(5)通過位置の連続検出時間が第3閾値に到達したこと、がある。これらの条件は一例であり、例えば、上記の(1)、(2)、又は(5)の条件を省略してもよい。
【0062】
次に、
図6のフローチャートを参照して、一時的に停止した第1コンベア21の運転を再開するための処理について説明する。
図6のフローチャートは、制御装置40によって行われる。
【0063】
到着位置又は通過位置にボビン91が存在する状態で第1コンベア21の運転を再開した場合、ボビン91の重なりが生じ得る。そのため、制御装置40は、到着位置と通過位置の両方にボビン91が存在しないと判定した場合に、第1コンベア21の運転を再開する。ボビン91が存在しない旨の判定は、ボビン91が存在する旨の判定と同様である。即ち、制御装置40は、到着位置又は通過位置において、ボビン91が連続して検出されない時間が再開閾値に到達した場合に、到着位置又は通過位置にボビン91が存在しないと判定する。
【0064】
また、第2コンベア51が運転中である場合、到着位置及び通過位置でボビン91が検出されなくなったタイミングから、第2コンベア51によりボビン91が下流側に搬送される。そのため、第2コンベア51が運転中である場合は、到着位置及び通過位置でボビン91が検出されなくなってから、比較的早いタイミングで第1コンベア21の運転を再開しても、ボビン91の重なりが生じない。そのため、本実施形態では、第2コンベア51が運転中か否かに応じて、上記の再開閾値を異ならせる。具体的には、第2コンベア51が運転中である場合の再開閾値である第1再開閾値は、第2コンベア51が停止中である場合の再開閾値である第2再開閾値よりも短い。これにより、第1コンベア21の運転を早いタイミングで再開できるので、ボビンの供給効率の低下を回避できる。
【0065】
以下、
図6のフローチャートに沿って説明する。制御装置40は、第2コンベア51が運転中か否かを判定する(S201)。この処理は、到着位置及び通過位置にボビン91が存在するか否かを判定する際に、用いる再開閾値を異ならせるための処理である。
【0066】
第2コンベア51が運転中である場合は、制御装置40は、到着位置及び通過位置で連続してボビン91を検出しなかった時間(以下、到着位置及び通過位置の連続非検出時間)が第1再開閾値に到達したか否かを判定する(S202)。到着位置及び通過位置の連続非検出時間が第1再開閾値に到達していた場合、制御装置40は、到着位置及び通過位置にボビン91が存在しないと判定して、第1コンベア21の運転を再開する(S204)。
【0067】
第2コンベア51が運転中でない場合は、制御装置40は、到着位置及び通過位置の連続非検出時間が第2再開閾値に到達したか否かを判定する(S203)。到着位置及び通過位置の連続非検出時間が第2再開閾値に到達していた場合、制御装置40は、到着位置及び通過位置にボビン91が存在しないと判定して、第1コンベア21の運転を再開する(S204)。
【0068】
本実施形態では、第2コンベア51が運転中か否かに応じて再開閾値を異ならせるが、第2コンベア51が運転中か否かに関係なく同じ値の再開閾値を用いてもよい。また、第1コンベア21を再開させるための他の条件を追加してもよい。
【0069】
次に、上流領域に存在するボビン数の推定に関する処理について説明する。
【0070】
上述した処理により、ボビン91の重なりが生じにくくなるが、ボビン91の重なりを完全に回避できるとは限らない。そのため、制御装置40は、上流領域に存在するボビン数を推定し、その推定結果に応じてボビン91の重なりを解消する処理を行う。以下では、上流領域に存在するボビン数の推定値を、推定ボビン数と称する。
【0071】
制御装置40は、第1コンベア21から第2コンベア51にボビン91を供給したか否かを判定する(S301)。例えば、制御装置40は、第1コンベア21が動作して供給センサ72がボビン91を検出した後に、停止位置センサ71が端部25aを検出した場合に、第1コンベア21から第2コンベア51にボビン91が供給されたと判定する。あるいは、制御装置40は、到着センサ73がボビン91を検出していない状態から到着センサ73がボビン91を検出した場合に、第1コンベア21から第2コンベア51にボビン91が供給されたと判定してもよい。
【0072】
制御装置40は、第1コンベア21から第2コンベア51にボビン91を供給したか否かを判定した場合、推定ボビン数を1つ増加させる(S302)。
【0073】
次に、制御装置40は、到着センサ73がボビン91を検出する状態(ON状態)から到着センサ73がボビン91を検出しない状態(OFF状態)になったか否かを判定する(S303)。到着位置にボビン91が供給されることで到着センサ73がボビン91を検出する(ON状態になる)。その後、ボビン91が第2コンベア51によって搬送されることで、到着センサ73がボビン91を検出しない状態(OFF状態)になる。従って、ステップS303は、ボビン91が到着位置を通り過ぎたか否かを判定する処理である。
【0074】
制御装置40は、到着センサ73がON状態からOFF状態に変化したと判定した場合、推定ボビン数を1つ減少させる(S304)。
【0075】
次に、制御装置40は、推定ボビン数が2以上である時間が上限閾値に到達したか否かを判定する(S305)。推定ボビン数が2以上である場合、上流領域にボビン91が2つ存在することとなる。この状態では、ボビン91の重なりが生じているか、ボビン91の重なりが生じ易い。従って、制御装置40は、推定ボビン数が2以上である時間が上限閾値に到達したと判定した場合、この状態を解消する処理を行う。
【0076】
初めに、制御装置40は、第1コンベア21を停止する(S306)。これにより、上流領域に新たなボビン91が供給されないため、上流領域に存在するボビン91が増加しない。次に、制御装置40は、到着センサ及び通過センサがOFF状態になるまで、第2コンベア51を逆方向に駆動する(S307)。これにより、上流領域に存在するボビン91は、開口部54から傾斜部13に落下して戻される。以上により、ボビン91の重なり又はボビン91の重なりが生じ易い状況が解消される。
【0077】
その後、制御装置40は、推定ボビン数を0に変更する(S308)。次に、制御装置40は、第1コンベア21の運転を再開し、第2コンベア51を正方向に駆動する(S309)。これにより、ボビン91を糸巻取機に向けて供給する作業が再開される。
【0078】
第2コンベア51を逆転させる処理に代えて、上流領域に2以上のボビン91が存在する旨をオペレータに通知する処理を行ってもよい。
【0079】
制御装置40は、第2ベルト52と開口部54を用いてボビン91を傾斜部13に戻す処理に代えて、アーム等の別部材を用いてボビン91を傾斜部13又は他の場所に戻す処理を行ってもよい。
【0080】
通過センサ74を省略し、到着センサ73のみを用いて推定ボビン数を算出してもよい。
【0081】
以上に説明したように、供給装置1は、紡績機で紡績された糸が芯管に巻き付けられて形成されたボビン91を糸巻取機に供給する。供給装置1は、第1コンベア21と、第2コンベア51と、到着センサ73と、制御装置40と、を備える。第1コンベア21は、複数のボビン91を1つずつに分けて、ボビン91を個別に搬送する。第2コンベア51は、第1コンベア21から受け渡されたボビン91を搬送する。到着センサ73は、第2コンベア51の位置であって、かつ、第1コンベア21からボビン91が受け渡される位置である到着位置にあるボビン91を検出する。制御装置40は、到着位置でボビン91を連続して検出した連続検出時間に基づいて到着位置にボビン91が存在するか否かを判定する。第1コンベア21を停止させる条件の1つには、到着位置にボビン91が存在すると判定されることが含まれる。制御装置40は、第2コンベア51が運転中の場合は、連続検出時間が第1閾値に到達することで到着位置にボビン91が存在すると判定する。制御装置40は、第2コンベア51が停止中の場合は、連続検出時間が第2閾値に到達することで到着位置にボビン91が存在すると判定する。第1閾値が第2閾値よりも長い。
【0082】
第2コンベア51が運転中の場合は、第2コンベア51によりボビン91が搬送されるため、時間が経過すれば到着位置からボビン91が搬送される可能性が高い。そのため、第1閾値を第2閾値よりも長い時間にすることにより、到着位置にボビン91が存在すると判定される頻度が低下する。そのため、第1コンベア21が頻繁に停止しないので、ボビン91の供給効率の低下を回避できる。
【0083】
本実施形態の供給装置1は、第2コンベア51のボビン91であって、かつ、到着位置よりもボビン91の搬送方向の下流にある通過位置にあるボビン91を検出する通過センサ74を備える。制御装置40は、第2コンベア51が運転中の場合は、通過位置にボビン91が存在するか否かに関係なく、到着位置にボビン91が存在すると判定したときに、第1コンベア21を停止させる条件を満たすと判定する。制御装置40は、第2コンベア51が停止中の場合は、到着位置と通過位置の少なくとも一方にボビン91が存在すると判定したときに、第1コンベア21を停止させる条件を満たすと判定する。
【0084】
第2コンベア51が運転中の場合は、通過位置にあるボビン91はすぐに通過位置より下流側に搬送される。そのため、通過センサ74の検出結果を考慮しないことにより、第1コンベア21が不要なタイミングで停止することを回避できる。
【0085】
本実施形態の供給装置1は、第1コンベア21のボビン91であって、かつ、第2コンベア51にボビン91を受け渡すボビン91である供給位置に存在するボビン91を検出する供給センサ72を備える。第1コンベア21を停止させる条件の1つには、供給センサ72がボビン91を検出していることが含まれる。
【0086】
供給位置にボビン91が存在しない場合は、第1コンベア21を運転させ続けても、第1コンベア21から第2コンベア51にボビン91が供給されない。そのため、上記の処理を行うことにより、第1コンベア21が不要なタイミングで停止することを回避できる。
【0087】
本実施形態の供給装置1において、停止中の第1コンベア21の運転を再開する条件には、到着位置と通過位置の両方にボビン91が存在しないと制御装置40が判定したことが含まれる。
【0088】
これにより、第2コンベア51でのボビン91の重なりが生じないタイミングで第1コンベア21の運転を再開できる。
【0089】
本実施形態の供給装置1において、到着位置又は通過位置でボビン91を連続して非検出であった時間を連続非検出時間と称する。停止中の第1コンベア21の運転を再開する条件には、第2コンベア51が運転中の場合は、到着位置と通過位置の連続非検出時間が第1再開閾値に到達したことが含まれる。停止中の第1コンベア21の運転を再開する条件には、第2コンベア51が停止中の場合は、到着位置と通過位置の連続非検出時間が第2再開閾値に到達したことが含まれる。第1再開閾値が第2再開閾値よりも短い。
【0090】
第2コンベア51が運転中の場合は、検出されたボビン91が即座に下流側に搬送されるため、連続非検出時間を短くすることで、第1コンベア21の運転を早期に再開できる。
【0091】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、第2コンベア51の上流端から中途部までの領域である上流領域に存在するボビン91の数の推定値である推定ボビン数を算出する。制御装置40は、前記推定ボビン数が2である時間が連続して上限閾値を経過した場合、第1コンベア21を停止させる。
【0092】
これにより、上流領域にボビン91の重なりが生じた可能性がある場合に、第2コンベア51に更にボビン91が供給される事態を回避できる。
【0093】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、前記推定ボビン数が2である時間が連続して上限閾値を経過した場合、第2コンベア51を逆方向に駆動して、上流領域にあるボビン91を排出する。
【0094】
これにより、上流領域にボビン91の重なりが生じていた場合に、当該ボビン91の重なりを装置側で解消できる。
【0095】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、第1コンベア21から第2コンベア51にボビン91が供給されることで、前記推定ボビン数を1つ増加させる。
【0096】
これにより、上流領域にあるボビン91の数の増加を適切に算出できる。
【0097】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、到着センサ73がボビン91を検出する状態からボビン91を検出しない状態に切り替わることで、推定ボビン数を1つ減少させる。
【0098】
これにより、上流領域にあるボビン91の数の減少を適切に算出できる。
【符号の説明】
【0099】
1 供給装置
20 個別化部
21 第1コンベア
40 制御装置
51 第2コンベア
73 到着センサ
74 通過センサ