(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174638
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20241210BHJP
D01H 9/18 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H67/06 Z
B65H67/06 W
D01H9/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092566
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】春日 照之
【テーマコード(参考)】
3F112
4L056
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112BA03
3F112CA03
3F112GC01
3F112MA03
3F112TA06
4L056AA02
4L056AA45
4L056BA05
4L056BF45
4L056BF49
4L056BF68
4L056EA04
4L056EA16
4L056EA28
4L056EA34
(57)【要約】
【課題】芯管に糸が巻かれたボビンと芯管に糸が巻かれていないボビンを区別して異なる位置まで搬送可能な供給装置を提供する。
【解決手段】供給装置は、コンベア群と、糸層センサ61と、芯管センサ62と、制御装置と、を備える。コンベア群は、ボビン91の搬送方向に隣接して配置されボビン91を搬送する複数のコンベアを含む。制御装置は、芯管センサ62と糸層センサ61の検出結果に基づいて、コンベア群を制御して、糸層を有するボビン91を糸巻取機に供給するための中継位置まで搬送し、糸層を有さないボビン91を回収位置まで搬送する。制御装置は、ボビン91を中継位置又は回収位置まで搬送する際に、複数のコンベアのうち下流側に位置する方のコンベアを上流側に位置する方のコンベアよりも高速で動作させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機で生成された糸が芯管に巻き付けられたボビンを糸巻取機に供給する供給装置において、
前記ボビンの搬送方向に隣接して配置され前記ボビンを搬送する複数のコンベアを含むコンベア群と、
前記コンベア群によって搬送される、糸層を有する前記ボビンを検出するための糸層センサと、
前記コンベア群によって搬送される、糸層を有さない前記ボビンを検出するための芯管センサと、
前記コンベア群を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記芯管センサと前記糸層センサの検出結果に基づいて、前記コンベア群を制御して、糸層を有する前記ボビンを前記糸巻取機に供給するための中継位置まで搬送し、糸層を有さない前記ボビンを回収位置まで搬送し、
前記制御装置は、前記ボビンを前記中継位置又は前記回収位置まで搬送する際に、複数の前記コンベアのうち下流側に位置する方の前記コンベアを上流側に位置する方の前記コンベアよりも高速で動作させることを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置であって、
前記回収位置に搬送される前記ボビンを検出する回収センサを備えることを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記コンベア群を駆動して糸層を有さない前記ボビンを前記回収位置に搬送し、
前記回収センサは、前記コンベア群から前記回収位置に搬送される途中の前記ボビンを検出するとともに、前記回収位置に到達した前記ボビンを検出しないように回収位置に配置されることを特徴とする供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の供給装置であって、
前記コンベア群から前記回収位置に前記ボビンを受け渡す経路を開放する状態と、当該経路を閉鎖する状態とを切り替えるシャッタと、
前記コンベア群の最下流に設けられ、前記コンベア群によって搬送される前記ボビンを検出するシャッタセンサと、
を備え、
前記制御装置は、前記ボビンが前記回収位置に到達したと判定した後に、前記シャッタセンサが前記ボビンを検出している場合は、前記シャッタセンサが前記ボビンを検出しなくなるまで、前記コンベア群を前記ボビンが前記回収位置から離れる方向に駆動し、
前記中継位置は、前記コンベア群の受渡位置から前記ボビンを受け取る位置であり、
前記シャッタセンサは、前記ボビンが前記中継位置と前記受渡位置の少なくとも一方に存在するか、前記ボビンが前記中継位置と前記受渡位置の両方に存在しないかを検出可能であり、
前記シャッタセンサは、前記コンベアの前記中継位置と前記受渡位置の両方を検知できるように、前記受渡位置において前記コンベアの搬送方向と直交する方向に光軸を向けて配置されていることを特徴とする供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記コンベア群を前記ボビンが前記回収位置から離れる方向に駆動した後であって、閾値時間が経過した場合は、前記シャッタセンサの検出結果に関係なく、前記シャッタを閉鎖することを特徴とする供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記コンベア群を駆動した後の前記シャッタセンサの検出結果に基づいて、前記中継位置に前記ボビンが存在するか否かを判定することを特徴とする供給装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記コンベア群は、
上流コンベアと、
前記上流コンベアに対して、前記搬送方向の下流側に配置されている下流コンベアと、
を備え、
前記下流コンベアの前記搬送方向の中央よりも上流側には入口センサが設けられ、
前記下流コンベアの前記搬送方向の中央よりも下流側には出口センサが設けられることを特徴とする供給装置。
【請求項8】
請求項7に記載の供給装置であって、
前記上流コンベア及び前記下流コンベアが停止している状態から前記上流コンベア及び前記下流コンベアの駆動を再開する際において、
前記制御装置は、前記入口センサが前記ボビンを検出している場合、前記下流コンベアの駆動を再開した後であって、前記入口センサが前記ボビンを検出しなくなった後に、前記上流コンベアの駆動を再開することを特徴とする供給装置。
【請求項9】
請求項8に記載の供給装置であって、
前記制御装置は、前記下流コンベアの駆動を再開した後であって、第1閾値時間が経過した場合は、前記入口センサの検出結果に関係なく、前記上流コンベアの駆動を再開することを特徴とする供給装置。
【請求項10】
請求項7から9までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記上流コンベアの前記搬送方向の中央よりも下流側には上流出口センサが設けられ、
前記制御装置は、前記上流出口センサが前記ボビンを検出しない状態で第2閾値時間が経過した場合は、前記上流コンベアの搬送速度を上昇させることを特徴とする供給装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記コンベア群は、搬送方向にそれぞれ隣接して配置された少なくとも4つの前記コンベアを備えることを特徴とする供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、紡績機で生成された糸が巻かれたボビンを糸巻取機に供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、パーツフィーダと、ボビンフィードコンベアと、ボビン振分け装置と、を備えるボビン供給装置を開示する。パーツフィーダには螺旋状通路が設けられている。螺旋状通路は、ボビン供給装置に投入されたボビンをボビンフィードコンベアまで搬送する。ボビンフィードコンベアは、螺旋状通路から供給されたボビンを、ボビン振分け装置まで搬送する。ボビン振分け装置は、ボビンを下流側に搬送するボビン導入コンベアを備える。ボビン振分け装置は、ボビン導入コンベアによって導入されたボビンを複数のボビン通路に振り分けて配置する。
【0003】
特許文献1では、ボビンが連なった状態で供給されるのを防止するために、ボビンフィードコンベアとボビン導入コンベアの送りスピードを異ならせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、芯管に糸が巻かれたボビンと、芯管に糸が巻かれていないボビンと、を区別して搬送することが記載されていない。そのため、芯管に糸が巻かれていないボビンが糸巻取機に向けて搬送されることがある。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、ボビンの連なりを解消しつつ、芯管に糸が巻かれたボビンと芯管に糸が巻かれていないボビンを区別して異なる位置まで搬送可能な供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の供給装置が提供される。即ち、供給装置は、紡績機で生成された糸が芯管に巻き付けられたボビンを糸巻取機に供給する。供給装置は、コンベア群と、糸層センサと、芯管センサと、制御装置と、を備える。前記コンベア群は、前記ボビンの搬送方向に隣接して配置され前記ボビンを搬送する複数のコンベアを含む。前記糸層センサは、前記コンベア群によって搬送される、糸層を有する前記ボビンを検出する。前記芯管センサは、前記コンベア群によって搬送される、糸層を有さない前記ボビンを検出する。前記制御装置は、前記コンベア群を制御する。前記制御装置は、前記芯管センサと前記糸層センサの検出結果に基づいて、前記コンベア群を制御して、糸層を有する前記ボビンを前記糸巻取機に供給するための中継位置まで搬送し、糸層を有さない前記ボビンを回収位置まで搬送する。前記制御装置は、前記ボビンを前記中継位置又は前記回収位置まで搬送する際に、複数の前記コンベアのうち下流側に位置する方の前記コンベアを上流側に位置する方の前記コンベアよりも高速で動作させる。
【0009】
これにより、下流側に位置する方のコンベアを上流側に位置する方のコンベアよりも高速で動作させることで、ボビンの連なりを解消できる。また、糸層センサ、芯管センサ、回収位置、中継位置を有することにより、芯管に糸が巻かれたボビンと、芯管に糸が巻かれていないボビンと、を区別してそれぞれ異なる位置まで搬送できる。
【0010】
前記の供給装置においては、前記回収位置に搬送される前記ボビンを検出する回収センサを備えることが好ましい。
【0011】
これにより、回収位置に搬送されるボビンが存在するか否かを検出できる。
【0012】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御装置は、前記コンベア群を駆動して糸層を有さない前記ボビンを前記回収位置に搬送する。前記回収センサは、前記コンベア群から前記回収位置に搬送される途中の前記ボビンを検出するとともに、前記回収位置に到達した前記ボビンを検出しない。
【0013】
これにより、回収位置に搬送されるボビンが存在するだけでなく、ボビンが回収位置に到達したタイミングを検出できる。
【0014】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、シャッタと、シャッタセンサと、を備える。前記シャッタは、前記コンベア群から前記回収位置に前記ボビンを受け渡す経路を開放する状態と、当該経路を閉鎖する状態とを切り替える。前記シャッタセンサは、前記コンベア群によって搬送される前記ボビンを検出する。前記制御装置は、前記ボビンが前記回収位置に到達したと判定した後に、前記シャッタセンサが前記ボビンを検出している場合は、前記シャッタセンサが前記ボビンを検出しなくなるまで、前記コンベア群を前記ボビンが前記回収位置から離れる方向に駆動する。前記中継位置は、前記コンベア群の受渡位置から前記ボビンを受け取る位置である。前記シャッタセンサは、前記ボビンが前記中継位置と前記受渡位置の少なくとも一方に存在するか、前記ボビンが前記中継位置と前記受渡位置の両方に存在しないかを検出可能である。前記シャッタセンサは、前記コンベアの前記中継位置と前記受渡位置の両方を検知できるように、前記受渡位置において前記コンベアの搬送方向と直交する方向に光軸を向けて配置されている。
【0015】
これにより、回収の対象でないボビンがコンベア群に残っていた場合であっても、そのボビンがシャッタに挟まれないように、当該シャッタから離すことができる。また、シャッタセンサが受渡位置と中継位置のボビンを検出する機能を有することにより、個別にセンサを設ける構成と比較して、センサの数を低減できる。
【0016】
前記の供給装置においては、前記制御装置は、前記コンベア群を前記ボビンが前記回収位置から離れる方向に駆動した後であって、閾値時間が経過した場合は、前記シャッタセンサの検出結果に関係なく、前記シャッタを閉鎖することが好ましい。
【0017】
これにより、シャッタセンサが中継位置のボビンを検出し続けた場合においても、シャッタを閉鎖できる。
【0018】
前記の供給装置においては、前記制御装置は、前記コンベア群を駆動した後の前記シャッタセンサの検出結果に基づいて、前記中継位置に前記ボビンが存在するか否かを判定することが好ましい。
【0019】
中継位置におけるボビンの存在を特定したい場合、コンベア群を駆動することにより、受渡位置に存在しているボビンが受渡位置から移動する。そのため、受渡位置のボビンを移動した後にシャッタセンサを用いて、中継位置にボビンが存在するか否かを検出できる。
【0020】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記コンベア群は、上流コンベアと、下流コンベアと、を備える。前記下流コンベアは、前記上流コンベアに対して、前記搬送方向の下流側に配置されている。前記下流コンベアの前記搬送方向の中央よりも上流側には入口センサが設けられる。前記下流コンベアの前記搬送方向の中央よりも下流側には出口センサが設けられる。
【0021】
これにより、ボビンが下流コンベアの何れの位置に存在するか否かを検出できる。
【0022】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記上流コンベア及び前記下流コンベアが停止している状態から前記上流コンベア及び前記下流コンベアの駆動を再開する際において、前記制御装置は、前記入口センサが前記ボビンを検出している場合、前記下流コンベアの駆動を再開した後であって、前記入口センサが前記ボビンを検出しなくなった後に、前記上流コンベアの駆動を再開する。
【0023】
これにより、上流コンベアから下流コンベアに繋がる位置において、ボビンの連なりの発生を未然に防止できる。
【0024】
前記の供給装置においては、前記制御装置は、前記下流コンベアの駆動を再開した後であって、第1閾値時間が経過した場合は、前記入口センサの検出結果に関係なく、前記上流コンベアの駆動を再開することが好ましい。
【0025】
これにより、オペレータを呼ぶことなく異常を解消できる可能性がある。
【0026】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記上流コンベアの前記搬送方向の中央よりも下流側には上流出口センサが設けられる。前記制御装置は、前記上流出口センサが前記ボビンを検出しない状態で第2閾値時間が経過した場合は、前記上流コンベアの搬送速度を上昇させる。
【0027】
これにより、ボビン同士の間隔が過剰に長くなることを回避できるので、ボビンの搬送効率を高くすることができる。
【0028】
前記の供給装置においては、前記コンベア群は、搬送方向にそれぞれ隣接して配置された少なくとも4つの前記コンベアを備えることが好ましい。
【0029】
これにより、効率的にボビンを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る供給装置の側面断面図。
【
図4】ボビンを中継位置と回収位置に搬送する処理のフローチャート。
【
図5】コンベアの速度差によりボビンの連なりが解消されることを示す説明図。
【
図6】コンベアの逆方向の駆動によりボビンの連なりが解消されることを示す説明図。
【
図7】コンベアが中継位置に搬送される際の流れを示す説明図。
【
図8】コンベアが回収位置に搬送される際の流れを示す説明図。
【
図9】受渡センサの検出結果に基づいて中継位置にボビンが存在するか否かを判定する処理のフローチャート。
【
図10】第4コンベアを逆方向に駆動する前後の状況を示す説明図。
【
図11】一時停止からの運転再開時にコンベアの駆動を開始するための行う処理のフローチャート。
【
図12】第N入口センサと第N出口センサの位置を示す平面図。
【
図13】第3コンベアの駆動が開始することにより第3入口センサがボビンを検出しなくなり、その後に第2コンベアの駆動を開始する流れを示す説明図。
【
図14】第N出口センサの検出結果に応じて第Nコンベアの速度を上昇させる処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0032】
初めに、
図1及び
図2を参照して、供給装置1の概要について説明する。以下の説明では、ボビン91が搬送される方向の上流、下流を単に上流、下流と称する。
【0033】
供給装置1は、ボビン91を自動ワインダ等の糸巻取機に供給する。ボビン91は、紡績機で生成された糸を芯管に巻くことで形成された給糸ボビンである。糸巻取機は、ボビン91に巻かれた糸を巻き取ってパッケージを形成する。
図1に示すように、供給装置1は、受け部10と、個別化部20と、搬送部29と、セット部30と、制御装置40と、を備える。
【0034】
図1に示す収容体90には、紡績機で形成された複数のボビン91が収容されている。収容体90は、箱状の部材であり、上側に開口が形成されている。オペレータ又は図略の投入装置により、収容体90が傾けられて開口が下向きになることにより、収容体90に収容された複数のボビン91が受け部10に投入される。
【0035】
受け部10は、滞留部11と、制限部12と、投入部13と、を有する。収容体90から投入されたボビン91は、滞留部11に一時的に滞留する。また、滞留部11は下流側に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面を有しており、ボビン91を自重により搬送できる。なお、斜面に代えてコンベアを用いてボビン91を搬送してもよい。
【0036】
制限部12は、ボビン91の搬送方向において、滞留部11と投入部13の間に設けられている。制限部12は、昇降可能である。制限部12が昇降することにより、制限部12は上昇状態と下降状態の間で位置を変更する。制限部12が上昇状態にある間は、ボビン91の移動が阻止される。制限部12が下降状態にある間は、ボビン91の移動が許容される。また、制限部12が上昇状態と下降状態を所定のタイミングで切り替えることにより、滞留部11から投入部13へのボビン91の供給量を調整できる。
【0037】
投入部13は、下流側に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面を有している。投入部13は、ボビン91を自重によって搬送し、個別化部20に投入する。
【0038】
個別化部20は、受け部10の投入部13から投入された複数のボビン91を個別のボビン91に分離して1つずつ搬送する。個別化部20は、垂直コンベア21と、支持台25と、を備える。垂直コンベア21は、ベルトとモータを有している。モータによってベルトが上下方向に駆動されることにより、垂直コンベア21が上下方向に移動する。垂直コンベア21には支持台25が固定されている。支持台25は、載せられたボビン91を支持しつつ、ボビン91を上方に搬送する。垂直コンベア21によって搬送されたボビン91は、搬送部29を介してセット部30に供給される。なお、搬送部29の詳細は後述する。
【0039】
セット部30は、個別化部20から供給されたボビン91をトレイ92にセットする。トレイ92はコンベア等によって構成された搬送経路93に沿って移動可能である。ボビン91は、トレイ92にセットされた状態で搬送経路93に沿って移動し、糸巻取機に供給される。
【0040】
図2に示す制御装置40は、CPU等の演算装置と、RAMと、ストレージと、を備える。ストレージは、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等である。ストレージには、供給装置1に関するプログラムと、プログラムの実行に必要な条件等のデータと、が記憶されている。演算装置は、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御装置40は、供給装置1に関する様々な制御を行う。
【0041】
次に、搬送部29について詳細に説明する。
【0042】
図3に示すように、搬送部29は、複数のコンベアによってボビン91を搬送し、ボビン91を回収位置又は中継位置まで搬送する。回収位置とは、糸層を有さないボビン91を回収する回収部55の位置である。本明細書において、糸層を有さないとは、芯管に糸が全く巻き付けられていない状態だけでなく、芯管に僅かに糸が巻き付けられている状態を含む。言い換えれば、糸層を殆ど又は全く有さないと装置側で判定したボビン91が、糸層を有さないボビン91に該当する。中継位置とは、ボビン91を糸巻取機にセットするために通過する位置である。中継位置は、例えば、セット部30の一部である。中継位置は、搬送方向において搬送部29とセット部30の間に設けられる位置であってもよい。また、コンベア群50の位置のうち、中継位置にボビン91を受け渡すための位置を受渡位置と称する。
【0043】
搬送部29は、ボビン91を搬送するコンベア群50を備える。コンベア群50は、複数のコンベアで構成される。具体的には、コンベア群50は、上流側から順に、第1コンベア51と、第2コンベア52と、第3コンベア53と、第4コンベア54と、を備える。それぞれのコンベアは、駆動源とベルトとを備える。制御装置40の指令によって駆動源が動力を発生させ、この駆動力によりベルトが駆動される。コンベア群50を構成する複数のコンベアから、隣接する2つのコンベアを選択し時に、上流側のコンベアが上流コンベアに相当し、下流側のコンベアが下流コンベアに相当する。本実施形態では、コンベア群50を構成するコンベアの数は4であるが、4以外であってもよい。
【0044】
コンベア群50の各コンベアは、制御装置40の指令に応じて速度を変更可能である。本実施形態では、低速と高速の2段階に変更可能であるが、多段階又は無段階に変更可能であってもよい。また、駆動源は正逆方向に回転可能である。これにより、制御装置40は、コンベア群50の各コンベアを正方向と逆方向の何れにも駆動可能である。なお、正方向とは、ボビン91を下流側に(言い換えれば、中継位置に向けて)搬送する方向である。
【0045】
搬送部29は、ボビン91を検出するセンサとして、糸層センサ61と、芯管センサ62と、回収センサ63と、シャッタセンサ64と、受渡センサ65と、第1出口センサ71と、第2入口センサ72と、第2出口センサ73と、第3入口センサ74と、第3出口センサ75と、第4入口センサ76と、を備える。これらのセンサは、何れも透過式の光センサである。即ち、検出領域にボビン91が存在しない場合は、投光部が投光した光が受光部に照射される。検出領域にボビン91が存在する場合は、投光部が投光した光がボビン91で遮られるため、受光部に光は照射されない。なお、透過式の光センサに代えて、反射式の光センサを用いてもよい。また、これらのセンサは光センサに限られず、例えば、接触式のセンサを用いてもよい。また、シャッタセンサ64と受渡センサ65の検出範囲は近似する。そのため、シャッタセンサ64に受渡センサ65の機能を持たせて、受渡センサ65を省略してもよい。
【0046】
次に、上述したセンサ及びセンサの検出結果に応じて制御装置40が行うコンベア群50の制御について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
搬送部29の運転中において、制御装置40は、糸層センサ61と芯管センサ62の検出結果を受信する(S101)。
【0048】
図5に示すように、糸層センサ61及び芯管センサ62は、搬送方向で隣接するように配置されている。糸層センサ61及び芯管センサ62は、第4コンベア54によって搬送されるボビン91を検出する。具体的には、糸層センサ61の検出高さは、第4コンベア54の搬送面に置いた芯管の高さよりも高い位置にあり、かつ、搬送面に置いた糸層を有するボビン91の上端よりも低い位置にある。従って、糸層センサ61は、糸層を有さないボビン91は検出せずに、糸層を有するボビン91のみを検出する。芯管センサ62の検出高さは、第4コンベア54の搬送面よりも高い位置にあり、搬送面に置いた芯管の上端よりも低い位置にある。従って、芯管センサ62は、糸層を有するボビン91と糸層を有さないボビン91の両方を検出する。糸層センサ61及び芯管センサ62は、ボビン91の存在を検出するためと、ボビン91に糸層が存在するか否かを検出するために用いられる。
【0049】
制御装置40は、糸層センサ61と芯管センサ62の検出結果に基づいて、ボビン91の連なりがあるか否かを判定する(S102)。ボビン91の連なりとは、2つのボビン91が搬送方向において隙間なく位置していることである。制御装置40は、糸層センサ61又は芯管センサ62がボビン91を検出する時間の長さに基づいて、ボビン91の連なりが生じているか否かを判定する。つまり、ボビン91の連なりが生じていない場合は、ボビン91同士の間が糸層センサ61及び芯管センサ62を通過する際において、糸層センサ61及び芯管センサ62がボビン91を検出しない。一方、ボビン91の連なりが生じている場合は、糸層センサ61及び芯管センサ62がボビン91を検出し続けるため、糸層センサ61又は芯管センサ62がボビン91を連続して検出する時間が長くなる。ここで、ボビン91の長さ及び第4コンベア54の搬送速度は既知であるため、1つのボビン91が糸層センサ61又は芯管センサ62を通過するために必要な時間は算出可能である。従って、計算上の時間より長い時間にわたって、糸層センサ61又は芯管センサ62がボビン91を連続して検出した場合、制御装置40は、ボビン91の連なりが生じたと判定する。
【0050】
図5の上図に示すように、第3コンベア53は低速で駆動され、第4コンベア54は高速で駆動される。そのため、第3コンベア53を搬送される段階でボビン91の連なりが生じていても、前方のボビン91が第4コンベア54によって高速で搬送されるので、
図5の下図に示すように、ボビン91の連なりが解消される。従って、
図5に示す例では、糸層センサ61及び芯管センサ62を通過する時点ではボビン91の連なりが生じていない。そのため、制御装置40は、ボビン91の連なりがないと判定する(S102)。制御装置40は、ボビン91の連なりがないと判定した場合、後述のステップS103の処理を省略する。
【0051】
一方、
図6の最も上の図に示すように、2つのボビン91が重なって搬送されている場合、ボビン91が第4コンベア54に載って高速で搬送されると、ボビン91の連なりが解消する。しかし、ボビン91の連なりが解消されるのと同時に、後方のボビンが第4コンベア54によって搬送される。その結果、ボビン91の連なりが再度発生する。この場合、制御装置40は、ボビン91の連なりがあると判定する(S102)。
【0052】
制御装置40は、ボビン91の連なりがあると判定した場合、コンベア群50の各コンベアを逆方向に駆動後、コンベア群50の各コンベアを正方向に駆動する(S103)。このとき、制御装置40は、逆方向に駆動する時の上流側のコンベアを低速で駆動し、逆方向に駆動する時の下流側のコンベアを高速で駆動する。具体的には、逆方向に駆動するときは、
図6の上から3番目の図に示すように、第3コンベア53(及び図略の第1コンベア51及び第2コンベア52)を高速で駆動し、第4コンベア54を低速で駆動する。正方向に駆動するときは、
図6の上から4番目の図に示すように、第3コンベア53(及び図略の第1コンベア51及び第2コンベア52)を低速で駆動し、第4コンベア54を高速で駆動する。これにより、
図6の上から4番目の図に示すように、ボビン91の連なりを解消できる。
【0053】
なお、本実施形態では、逆方向と正方向の両方においてコンベアに速度差を設定するが、逆方向と正方向の一方のみにおいてコンベアに速度差を設定してもよい。
【0054】
次に、制御装置40は、糸層センサ61と芯管センサ62の検出結果に基づいて、糸層を有するボビン91か否かを判定する(S104)。即ち、制御装置40は、
図7に示すように糸層センサ61及び芯管センサ62の両方がボビン91を検出した場合は、糸層があるボビン91と判定する。制御装置40は、
図8に示すように糸層センサ61及び芯管センサ62のうち芯管センサ62のみがボビン91を検出した場合は、糸層がないボビン91と判定する。このように、糸層センサ61は糸層を有するボビン91を検出するためのセンサであり、芯管センサ62は糸層センサ61と協働して糸層を有さないボビン91を検出するためのセンサである。
【0055】
なお、糸層センサ61及び芯管センサ62に代えて、ラインセンサを用いて、糸層を有するボビン91と糸層を有さないボビン91を区別して検出してもよい。
【0056】
制御装置40は、糸層を有するボビン91と判定した場合、
図7に示すようにボビン91を中継位置に搬送する(S105)。
【0057】
制御装置40は、糸層を有さないボビン91と判定した場合、
図8に示すようにボビン91を回収位置に搬送する。具体的には、制御装置40は、シャッタ56を開放して、ボビン91を回収位置に搬送する(S106)。シャッタ56は、第4コンベア54と回収部55との間に配置されている。シャッタ56を開放した状態では、ボビン91を第4コンベア54から回収部55に搬送できる。シャッタ56を閉鎖した状態では、回収部55に向かうボビン91を阻止するため、ボビン91を回収部55に搬送できない。また、
図8の上から2番目の図に示すように、ボビン91を回収位置に搬送する間は、第4コンベア54を低速に変更して駆動する。これにより、隣接して搬送される次のボビン91が回収位置に回収されることを回避できる。なお、第4コンベア54を低速に変更する処理は省略してもよい。
【0058】
次に、制御装置40は、ボビン91が回収位置に到達したか否かを判定する(S107)。この判定は、回収センサ63の検出結果を用いて行われる。
図8に示すように、回収部55には回収センサ63が配置されている。回収センサ63は、第4コンベア54から回収位置に搬送される途中のボビン91を検出するとともに、回収位置に到達したボビン91は検出しない。従って、制御装置40は、回収センサ63がボビン91を検出した後に、ボビン91を検出しなくなった場合に、ボビン91が回収位置に到達したと判定する。
【0059】
図8の上から3番目の図に示すように、ボビン91が回収位置に到達したタイミングでシャッタ56を閉じると、次のボビン91がシャッタ56に挟まる可能性がある。そのため、制御装置40は、以下の処理を行う。即ち、制御装置40は、シャッタセンサ64がボビン91を検出したか否かを判定する(S108)。
図8に示すように、シャッタセンサ64は、シャッタ56の近傍にボビン91が存在するか否かを判定するためのセンサである。
【0060】
詳細には、シャッタセンサ64は、シャッタ56を基準として、ボビン91の長さの範囲内に配置されている。そのため、シャッタセンサ64がボビン91を検出していない状況では、シャッタ56を閉じてもボビン91はシャッタ56に挟まらない。従って、制御装置40は、シャッタセンサ64がボビン91を検出していない場合、シャッタ56を閉鎖し、コンベア群50の各コンベアを正方向に駆動する(S109)。その後、制御装置40は、次のボビン91に対して、ステップS101以降の処理を行う。
【0061】
一方、シャッタセンサ64がボビン91を検出している状況でシャッタ56を閉鎖すると、シャッタ56でボビン91を挟む可能性がある。従って、制御装置40は、ボビン91が回収位置に到達したタイミングでシャッタセンサ64が次のボビン91を検出した場合は、コンベア群50の各コンベアを逆方向に駆動する(S110)。制御装置40は、コンベア群50の各コンベアを逆方向に駆動している間において、シャッタセンサ64がボビン91を検出したか否かを再び判定する(S111)。上述したように、シャッタセンサ64がボビン91を検出しなくなった場合、シャッタ56を閉じてもボビン91はシャッタ56に挟まらない。従って、制御装置40は、シャッタセンサ64がボビン91を検出しなくなった場合、シャッタ56を閉鎖し、コンベア群50の各コンベアを正方向に駆動する(S109)。
【0062】
なお、コンベア群50の各コンベアを逆方向に駆動しても、シャッタセンサ64がボビン91を検出し続けることもある。この場合は処理が進行しないので、制御装置40は以下の処理を行う。即ち、制御装置40は、シャッタセンサ64がボビン91を検出しない状態で閾値時間が経過したか否かを判定する(S112)。制御装置40は、閾値時間が経過した場合、シャッタ56を閉鎖し、コンベア群50の各コンベアを正方向に駆動する(S109)。
【0063】
図4のフローチャートには、以下に示す複数の処理が含まれているが、それぞれの処理は独立しており、個別の処理だけを実行してもそれぞれの効果を発揮できる。即ち、それぞれの処理とは、ボビンの連なりを解消する処理(S102及びS103)、糸層の有無に応じて搬送先を異ならせる処理(S104からS106)、回収位置がボビン91に到達するまでコンベア群50を駆動する処理(S106及びS107)、ボビン91がシャッタ56に挟まれることを回避する処理(S108からS112)である。
【0064】
次に、
図9及び
図10を参照して、一時停止からの運転再開時において、受渡センサ65を用いて中継位置にボビン91が存在するか否かを検出する処理について説明する。
【0065】
図10に示すように、受渡センサ65は、検出範囲に中継位置と受渡位置の両方が含まれるように、受渡位置においてコンベアの搬送方向と直交する方向に光軸を向けて配置されている。そのため、受渡センサ65は、ボビン91が中継位置と受渡位置の少なくとも一方に存在するか、ボビン91が中継位置と受渡位置の両方に存在しないかを検出可能である。つまり、受渡センサ65がボビン91を検出している場合、中継位置と受渡位置の両方にボビン91が存在するのか、中継位置と受渡位置の片方だけにボビン91が存在するのかを特定できない。特に、一時停止からの運転再開時では、一時停止中にオペレータがボビン91を手動で置く可能性もあるため、過去の制御履歴を参照しても、中継位置にボビン91が存在するか否かを正確に特定できない。
【0066】
上述したように、シャッタセンサ64が受渡センサ65を兼ねてもよい。この場合、シャッタセンサ64は、(1)コンベア群50の最下流に設けられ、コンベア群50によって搬送されるボビン91を検出できるように配置されるとともに、(2)ボビン91が中継位置と受渡位置の少なくとも一方に存在するか、ボビン91が中継位置と受渡位置の両方に存在しないかを検出できるように配置されること、が必要となる。シャッタセンサ64が受渡センサ65を兼ねる場合、シャッタセンサ64は、中継位置にあるボビン91を検出する。そのため、上述したステップS111の判定において、中継位置にボビン91がある場合は、コンベア群50の各コンベアを逆方向に駆動しても、シャッタセンサ64がボビン91を検出し続ける。以上により、シャッタセンサ64が受渡センサ65を兼ねる場合は、ステップS111及びS112の処理を行うことが一層好ましい。
【0067】
そのため、制御装置40は、一時停止からの運転再開時に以下の処理を行う。即ち、制御装置40は、受渡センサ65がボビン91を検出しているか否かを判定する(S201)。制御装置40は、受渡センサ65がボビン91を検出していない場合、中継位置にボビン91がないと判定する(S205)。
【0068】
受渡センサ65がボビン91を検出している場合、制御装置40は、
図10に示すように、コンベア群50の各コンベアを逆方向に駆動する(S202)。これにより、受渡位置にボビン91があった場合は、受渡位置からボビン91が退避する。第4コンベア54を逆方向に駆動する時間は、例えば、予め定めた時間であってもよい。あるいは、糸層センサ61及び芯管センサ62がボビン91を検出して、その後検出しなくなるまでであってもよい。なお、受渡位置と回収位置の間にボビン91を退避させるスペースが存在する場合、コンベア群50の各コンベアを正方向に駆動してもよい。
【0069】
次に、制御装置40は、再び、受渡センサ65がボビン91を検出しているか否かを判定する(S203)。この時点では、受渡位置にはボビン91は存在しない。そのため、受渡センサ65がボビン91を検出している場合は、制御装置40は、中継位置にボビン91が存在すると判定する(S204)。一方、受渡センサ65がボビン91を検出していない場合は、制御装置40は、中継位置にボビン91が存在しないと判定する(S205)。
【0070】
以上により、一時停止からの運転再開時において、中継位置にボビン91が存在するか否かを正確に特定できる。運転再開後の処理について簡単に説明する。制御装置40は、糸層センサ61及び芯管センサ62がボビン91を検出している状態から検出していない状態に変化することにより、ボビン91が受渡位置に到達したと判定する。その後、制御装置40は、受渡センサ65がボビン91を検出していれば、受渡位置のボビン91を中継位置に移動させる。これにより、受渡位置にボビン91が無いと判定され、中継位置にボビン91があると判定される。なお、中継位置にはシャッタが存在し、シャッタが開くと中継位置にボビン91が無いと判定されるようになる。中継位置にボビン91が無いことは、受渡位置のボビン91を中継位置に移動させるための条件の1つである。
【0071】
次に、
図11から
図14を参照して、一時停止からの運転再開時において、コンベア群50の各コンベアの駆動を開始する処理について説明する。
【0072】
仮に、コンベア群50を構成する全てのコンベアの駆動を同時に開始した場合、ボビン91の連なりが生じる可能性がある。そのため、本実施形態では、本制御では、下流側のコンベアから順番に駆動を開始する。本制御では、基本的には、ボビン91の連なりが生じないことを確認した後に、各コンベアの駆動を再開する。
【0073】
本制御において、制御装置40は、
図12に示すように配置された、第1出口センサ71~第4入口センサ76の検出結果を用いる。第N入口センサとは、第Nコンベアの上流端又はその近傍に配置されるセンサである。第N出口センサとは、第Nコンベアの下流端又はその近傍に配置されるセンサである。なお、Nは正の整数であり、
図11のフローチャートではN=2,3,4である。
【0074】
一時停止からの運転再開時において、制御装置40は、初めに、最も下流側のコンベアである第4コンベア54の駆動を開始する(S301)。次に、制御装置40は、第N入口センサがボビン91を検出しているか否かを判定する(S302)。下流側から順番にコンベアの駆動を開始するため、制御装置40は、初めに第4入口センサ76がボビン91を検出しているか否かを判定する。例えば、第4入口センサ76がボビン91を検出している場合、第4コンベア54の上流端にボビン91が存在することになるため、第3コンベア53を駆動すると、ボビン91の連なりが発生する可能性がある。
【0075】
制御装置40は、第N入口センサがボビン91を検出していないと判定した場合、第N-1コンベアの駆動を開始する(S304)。これにより、
図13に示すように、ボビン91の連なりが発生しない状況で、コンベアの駆動を再開できる。一方、下流側のコンベアを駆動しても下流側のコンベアの入口センサがボビン91を検出し続ける事態が発生することがある。
【0076】
この事態を解消するため、制御装置40は、以下の処理を行う。制御装置40は、第N入口センサがボビン91を検出している場合、第Nコンベアの駆動を開始した後に第1閾値時間が経過したか否かを判定する(S303)。制御装置40は、第1閾値時間が経過したと判定した場合、第N-1コンベアの駆動を開始する(S304)。これにより、この種の事態が発生した場合でも、ボビン91の連なりを防止しつつ、制御装置40の判断でコンベアの駆動を開始できる。第1閾値時間の適切な値は、各コンベアの搬送速度やボビン91の長さによって異なる。従って、実験的に適切な値を検証して第1閾値時間を決定することが好ましい。
【0077】
次に、制御装置40は、コンベア群50を構成する全てのコンベアの駆動を開始したか否かを判定する(S305)。制御装置40は、駆動を開始していないコンベアが存在すると判定した場合、1つ小さいNについて、ステップS302からS304の処理を行う。制御装置40は、全てのコンベアの駆動を開始したと判定した場合、処理を終了する。
【0078】
以上により、ボビン91の連なりの発生を未然に防止できる。
【0079】
本実施形態では、制御装置40は、(1)下流側のコンベアの入口センサがボビン91を検出しない、(2)下流側のコンベアの駆動を開始してから第1閾値時間が経過した、の何れか一方の条件が満たされた場合、コンベアの駆動を開始する。なお、(2)の条件を省略して、(1)の条件のみを用いてコンベアの駆動の開始の有無を決定してもよい。また、本実施形態では、下流側から順番にコンベアの駆動を開始したが、コンベアの駆動を開始する順序を定めなくてもよい。
【0080】
次に、
図14を参照して、ボビン91同士の間隔が空いている場合に、当該間隔を小さくする処理について説明する。
図14のフローチャートではN=1,2,3である。
【0081】
図14に示す処理は、コンベアの駆動の開始後に行われる。制御装置40は、第N出口センサがボビン91を検出しない状態が第2閾値時間を経過したか否かを判定する(S401)。第N出口センサがボビン91を検出しない場合、第N出口センサの近傍において、ボビン91同士の間隔が長いと推測できる。
【0082】
制御装置40は、第N出口センサがボビン91を検出しない状態が第2閾値時間を経過したと判定した場合、第Nコンベアの速度を上昇させる(S402)。これにより、ボビン91同士の間隔が狭くなるので、ボビン91の搬送効率を高くすることができる。コンベア群50がボビン91を適切に搬送し続ける状況においても、第N出口センサはボビン91の検出と非検出を繰り返す。この時の第N出口センサの非検出の継続時間よりも、第2閾値時間は長いことが好ましい。
【0083】
次に、制御装置40は、第N出口センサがボビン91を検出したか否かを判定する(S403)。制御装置40は、第N出口センサがボビン91を検出したと判定した場合、第Nコンベアの速度を元に戻す(S404)。これにより、ボビン91の連なりの発生を回避できる。
【0084】
本実施形態では、
図14に示す処理は、第1コンベア51と第2コンベア52、第2コンベア52と第3コンベア53、第3コンベア53と第4コンベア54の何れの組合せにおいても行われる。ただし、少なくとも1つについて、
図14に示す処理を省略してもよい。
【0085】
以上に説明したように、受け部10は、紡績機で生成された糸が芯管に巻き付けられたボビン91を糸巻取機に供給する。供給装置1は、コンベア群50と、糸層センサ61と、芯管センサ62と、制御装置40と、を備える。コンベア群50は、ボビン91の搬送方向に隣接して配置されボビン91を搬送する複数のコンベアを含む。糸層センサ61は、コンベア群50によって搬送される、糸層を有するボビン91を検出する。芯管センサ62は、コンベア群50によって搬送される、糸層を有さないボビン91を検出する。制御装置40は、コンベア群50を制御する。制御装置40は、芯管センサ62と糸層センサ61の検出結果に基づいて、コンベア群50を制御して、糸層を有するボビン91を糸巻取機に供給するための中継位置まで搬送し、糸層を有さないボビン91を回収位置まで搬送する。制御装置40は、ボビン91を中継位置又は回収位置まで搬送する際に、複数のコンベアのうち下流側に位置する方のコンベアを上流側に位置する方のコンベアよりも高速で動作させる。
【0086】
これにより、下流側に位置する方のコンベアを上流側に位置する方のコンベアよりも高速で動作させることで、ボビン91の連なりを解消できる。また、糸層センサ61、芯管センサ62、回収位置、中継位置を有することにより、芯管に糸が巻かれたボビン91と、芯管に糸が巻かれていないボビン91と、を区別してそれぞれ異なる位置まで搬送できる。
【0087】
本実施形態の供給装置1において、回収位置に搬送されるボビン91を検出する回収センサ63を備える。
【0088】
これにより、回収位置に搬送されるボビン91が存在するか否かを検出できる。
【0089】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、コンベア群50を駆動して糸層を有さないボビン91を回収位置に搬送する。回収センサ63は、コンベア群50から回収位置に搬送される途中のボビン91を検出するとともに、回収位置に到達したボビン91を検出しない。
【0090】
これにより、回収位置に搬送されるボビン91が存在するだけでなく、ボビン91が回収位置に到達したタイミングを検出できる。
【0091】
本実施形態の供給装置1は、シャッタ56と、シャッタセンサ64と、を備える。シャッタ56は、コンベア群50から回収位置にボビン91を受け渡す経路を開放する状態と、経路を閉鎖する状態とを切り替える。シャッタセンサ64は、コンベア群50によって搬送されるボビン91を検出する。制御装置40は、ボビン91が回収位置に到達したと判定した後に、シャッタセンサ64がボビン91を検出している場合は、シャッタセンサ64がボビン91を検出しなくなるまで、コンベア群50をボビン91が回収位置から離れる方向に駆動する。中継位置は、コンベア群50の受渡位置からボビン91を受け取る位置である。シャッタセンサ64は、ボビン91が中継位置と受渡位置の少なくとも一方に存在するか、ボビン91が中継位置と受渡位置の両方に存在しないかを検出可能である。シャッタセンサ64は、中継位置と受渡位置の両方を検知できるように、受渡位置においてコンベアの搬送方向と直交する方向に光軸を向けて配置されている。
【0092】
これにより、回収の対象でないボビン91がコンベア群に残っていた場合であっても、そのボビン91がシャッタ56に挟まれないように、当該シャッタ56から離すことができる。また、シャッタセンサ64が受渡位置と中継位置のボビンを検出する機能を有することにより、個別にセンサを設ける構成と比較して、センサの数を低減できる。
【0093】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、コンベア群50をボビン91が回収位置から離れる方向に駆動した後であって、閾値時間が経過した場合は、シャッタセンサ64の検出結果に関係なく、シャッタ56を閉鎖する。
【0094】
これにより、シャッタセンサ64が中継位置のボビン91を検出し続けた場合においても、シャッタ56を閉鎖できる。
【0095】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、コンベア群50を駆動した後のシャッタセンサ64の検出結果に基づいて、中継位置にボビン91が存在するか否かを判定する。
【0096】
中継位置におけるボビン91の存在を特定したい場合、コンベア群を駆動することにより、受渡位置に存在しているボビン91が受渡位置から移動する。そのため、受取位置のボビンを移動した後にシャッタセンサ64を用いて、中継位置にボビン91が存在するか否かを検出できる。
【0097】
本実施形態の供給装置1において、コンベア群50は、上流コンベアと、下流コンベアと、を備える。下流コンベアは、上流コンベアに対して、搬送方向の下流側に配置されている。下流コンベアの搬送方向の中央よりも上流側には入口センサが設けられる。下流コンベアの搬送方向の中央よりも下流側には出口センサが設けられる。なお、コンベア群50を構成するコンベアが3つ以上である場合は、複数のコンベアから選んだ任意の2つのコンベアのうち、搬送方向(詳細には正方向)の上流側に配置されているコンベアが上流コンベアに相当し、下流側に配置されているコンベアが下流コンベアに相当する。
【0098】
これにより、ボビン91が下流コンベアの何れの位置に存在するか否かを検出できる。
【0099】
本実施形態の供給装置1において、上流コンベア及び下流コンベアが停止している状態から上流コンベア及び下流コンベアの駆動を再開する際において、制御装置40は、入口センサがボビン91を検出している場合、下流コンベアの駆動を再開した後であって、入口センサがボビン91を検出しなくなった後に、上流コンベアの駆動を再開する。
【0100】
これにより、上流コンベアから下流コンベアに繋がる位置において、ボビン91の連なりの発生を未然に防止できる。
【0101】
本実施形態の供給装置1において、制御装置40は、下流コンベアの駆動を再開した後であって、第1閾値時間が経過した場合は、入口センサの検出結果に関係なく、上流コンベアの駆動を再開する。
【0102】
これにより、オペレータを呼ぶことなく異常を解消できる可能性がある。
【0103】
本実施形態の供給装置1において、上流コンベアの搬送方向の中央よりも下流側には上流出口センサが設けられる。制御装置40は、上流出口センサがボビン91を検出しない状態で第2閾値時間が経過した場合は、下流コンベアの搬送速度を上昇させる。
【0104】
これにより、ボビン91同士の間隔が過剰に長くなることを回避できるので、ボビン91の搬送効率を高くすることができる。
【0105】
本実施形態の供給装置1において、コンベア群50は、搬送方向にそれぞれ隣接して配置された少なくとも4つのコンベアを備える。
【0106】
これにより、効率的にボビン91を搬送することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 供給装置
40 制御装置
50 コンベア群
61 糸層センサ
62 芯管センサ