(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174640
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65H67/06 B
B65H67/06 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092568
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】古谷 喜久
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112BB01
3F112CA03
3F112FA01
3F112FA09
3F112QA01
(57)【要約】
【課題】ボビンを収容する収容体を傾斜させてボビンを投入する供給装置において、ボビン投入時における装置高さを抑えるための構造を提供する。
【解決手段】供給装置1は、投入装置2を備える。投入装置2の姿勢は、準備姿勢と投入姿勢の間で変更され、投入姿勢においてボビン91を投入する。投入装置2は、第1部材11と、第2部材12と、を備える。第1部材11は、投入装置2の姿勢が少なくとも準備姿勢から投入姿勢に変更される際に収容体を支持する。第2部材12は、第1部材11に接続されており、投入姿勢において収容体を支持する。第2部材12は延在部12aを有する。延在部12aは、第1方向に延びる部分であって、かつ、準備姿勢における第1方向の位置関係において、投入装置2の回転中心を挟んで第1部材11の反対側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸が巻かれたボビンを搬送する搬送装置と、
前記ボビンが収容された収容体から前記ボビンを前記搬送装置に投入する投入装置と、
を備え、
前記投入装置の姿勢は、準備姿勢と投入姿勢の間で変更され、前記投入姿勢において前記ボビンを前記収容体から前記搬送装置に投入し、
前記投入装置は、
前記投入装置の姿勢が少なくとも前記準備姿勢から前記投入姿勢に変更される際に前記収容体を支持する第1部材と、
前記第1部材に接続されており、前記投入姿勢において前記収容体を支持する第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を回転駆動することにより、前記準備姿勢と前記投入姿勢の間で前記投入装置の姿勢が変更される回転装置と、
前記回転装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記第2部材は、前記第1部材に対して交差するようにして当該第1部材から離れる方向である第1方向に延びるように設けられており、
前記第2部材は、前記第1方向に延びる部分であって、かつ、前記準備姿勢における前記第1方向の位置関係において、前記投入装置の回転中心を挟んで前記第1部材の反対側に位置する延在部を有し、前記投入装置の姿勢が前記準備姿勢から前記投入姿勢に変更されることにより前記延在部が前記搬送装置に接近することを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置であって、
前記回転中心に平行な方向で見たときに前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、
前記投入装置は、前記準備姿勢での前記第2方向における位置関係において、前記回転中心を通る前記第1方向を挟んで前記第1部材の反対側を含む範囲に円弧状に配置されたピンを有し、
前記回転装置が前記ピンと噛み合う第1伝達部材を回転させることで前記投入装置を回転させることにより、前記投入装置の姿勢が変更されることを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の供給装置であって、
前記回転装置とは異なる場所に設けられた下降防止装置を備え、
前記制御装置は前記下降防止装置を制御し、
前記下降防止装置は、
前記ピンと噛み合う第2伝達部材と、
前記投入装置の姿勢が前記投入姿勢から前記準備姿勢に変更される下降時において前記第2伝達部材の回転を停止可能な停止機構と、
前記下降時での前記投入装置の異常回転を検出する検出部と、
を備え、
前記制御装置は、前記検出部が前記下降時の前記投入装置の前記異常回転を検出した場合に、前記停止機構を動作させて、前記第2伝達部材の回転を停止させることを特徴とする供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の供給装置であって、
前記停止機構は、
前記第2伝達部材と一体的に回転するギアと、
前記投入装置の姿勢が前記準備姿勢から前記投入姿勢に変更される上昇時に、前記ギアに対して摺動することにより当該ギアの回転を許容するとともに、前記下降時に前記ギアと干渉することにより当該ギアの回転を阻止するギア止め部材と、
前記ギア止め部材を前記ギアに対して接近又は離間させるアクチュエータと、
を備え、
前記制御装置は、前記下降時において、前記検出部が前記投入装置の異常回転を検出していない場合は前記アクチュエータを制御して前記ギア止め部材を前記ギアに対して離間させて当該ギアの回転を許容させ、
前記制御装置は、前記下降時において、前記検出部が前記投入装置の異常回転を検出している場合は前記アクチュエータを制御して前記ギア止め部材を前記ギアに対して接近させて当該ギアの回転を阻止させることを特徴とする供給装置。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記投入装置は、前記準備姿勢での前記第2方向における位置関係において、前記回転中心を通る前記第1方向を挟んで前記第1部材の反対側を含む範囲に円弧状に設けられた被検出部を有し、
前記制御装置は、検出部による前記被検出部の時間あたりの検出回数に基づいて、前記投入装置の異常回転の有無を判定することを特徴とする供給装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記回転装置は、
前記第1部材及び前記第2部材を回転駆動する駆動力を発生させる駆動装置と、
前記駆動装置により駆動力が入力される入力部と、前記駆動力を減速させて出力する出力部と、を有する減速機と、
を備え、
前記減速機の前記出力部から出力される前記駆動力により、前記第1部材及び前記第2部材が回転駆動され、
前記減速機は、前記出力部に伝達された力による前記入力部の駆動を阻止することにより、当該出力部の駆動を阻止するセルフロック機能を有することを特徴とする供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の供給装置であって、
前記減速機はウォームギアを有し、当該ウォームギアにより前記セルフロック機能が実現されることを特徴とする供給装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記搬送装置に向けて流れる前記ボビンを止めるストッパ部材を備え、
前記投入姿勢として、第1投入姿勢と第2投入姿勢が存在し、
前記第1投入姿勢では、前記第2投入姿勢よりも前記延在部の先端が下方に位置し、
前記第1投入姿勢では、前記搬送装置に投入される前記ボビンが流れる接触面の下流端の延長線上に前記ストッパ部材が位置し、
前記第2投入姿勢では、前記接触面の下流端の延長線は、前記ストッパ部材の上端と交わるか、前記ストッパ部材より上方にあり、
前記制御装置の制御により、前記投入装置の姿勢が、前記第1投入姿勢、及び、前記第2投入姿勢の順に変更されることを特徴とする供給装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記ボビンを前記収容体の底部に向けて移動させるための補助姿勢が存在し、
前記制御装置の制御により、前記投入装置の姿勢が、前記投入姿勢、前記補助姿勢、及び前記投入姿勢の順に変更されることを特徴とする供給装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記第1部材は、
中実状のベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられており、中空状であり、前記収容体の底部に接触して前記収容体を支持する支持部材と、
を有することを特徴とする供給装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記第2部材は、前記収容体の側面に接触するとともに、前記搬送装置に投入される前記ボビンが流れる接触面を有し、
前記接触面には、当該接触面に沿って前記収容体の底部側に移動する前記ボビンを前記収容体の内部に向けてガイドするガイド突起が形成されていることを特徴とする供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、搬送装置にボビンを投入する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワゴンに収容された給糸ボビンを自動ワインダに向けて供給する給糸ボビン供給装置を開示する。給糸ボビン供給装置は、可動フレームと、シリンダと、搬送コンベアと、を備える。可動フレームにはワゴンが装着される。シリンダは、可動フレームに装着されたワゴンを傾斜させる動力を発生させる。ワゴンが傾斜することにより、ワゴンに収容された給糸ボビンが搬送コンベアに投入される。搬送コンベアは、投入された給糸ボビンを自動ワインダに向けて搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、可動フレームが上端を回転中心として回転するため、可動フレーム及びワゴンの回転軌跡が大きくなる。特に、ボビンを投入する姿勢では、可動フレームが高い位置にあるため、装置高さが大きくなる。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、ボビンを収容する収容体を傾斜させてボビンを投入する供給装置において、ボビン投入時における装置高さを抑えるための構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の供給装置が提供される。即ち、供給装置は、搬送装置と、投入装置と、を備える。前記搬送装置は、糸が巻かれたボビンを搬送する。前記投入装置は、前記ボビンが収容された収容体から前記ボビンを前記搬送装置に投入する。前記投入装置の姿勢は、準備姿勢と投入姿勢の間で変更され、前記投入姿勢において前記ボビンを前記収容体から前記搬送装置へ投入する。前記投入装置は、第1部材と、第2部材と、回転装置と、制御装置と、を備える。前記第1部材は、前記投入装置の姿勢が少なくとも前記準備姿勢から前記投入姿勢に変更される際に前記収容体を支持する。前記第2部材は、前記第1部材に接続されており、前記投入姿勢において前記収容体を支持する。前記回転装置が前記第1部材及び前記第2部材を回転駆動することにより、前記準備姿勢と前記投入姿勢の間で前記投入装置の姿勢が変更される。前記制御装置は、前記回転装置を制御する。前記第2部材は、前記第1部材に対して交差するようにして当該第1部材から離れる方向である第1方向に延びるように設けられている。前記第2部材は、前記第1方向に延びる部分であって、かつ、前記準備姿勢における前記第1方向の位置関係において、前記投入装置の回転中心を挟んで前記第1部材の反対側に位置する延在部を有し、前記投入装置の姿勢が前記準備姿勢から前記投入姿勢に変更されることにより前記延在部が前記搬送装置に接近する。
【0008】
これにより、回転中心が投入装置の端部ではなく中途部に位置することになる。従って、回転中心の高さが抑えられるので、投入姿勢における装置高さを抑えることができる。
【0009】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記回転中心に平行な方向で見たときに前記第1方向に直交する方向を第2方向とする。前記投入装置は、前記準備姿勢での前記第2方向における位置関係において、前記回転中心を挟んで前記第1部材の反対側を含む範囲に円弧状に配置されたピンを有する。前記回転装置が前記ピンと噛み合う第1伝達部材を回転させることで前記投入装置を回転させることにより、前記投入装置の姿勢が変更される。
【0010】
これにより、回転中心にギアや駆動装置を配置する構成と比較して、第1伝達部材及びそれを回転駆動する部材の位置の自由度を高くすることができる。
【0011】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、前記回転装置とは異なる場所に設けられた下降防止装置を備える。前記制御装置は前記下降防止装置を制御する。前記下降防止装置は、第2伝達部材と、停止機構と、検出部と、を備える。前記第2伝達部材は、前記ピンと噛み合う。前記停止機構は、前記投入装置の姿勢が前記投入姿勢から前記準備姿勢に変更される下降時において前記第2伝達部材の回転を停止可能である。前記検出部は、前記下降時での前記投入装置の異常回転を検出する。前記制御装置は、前記検出部が前記下降時の前記投入装置の前記異常回転を検出した場合に、前記停止機構を動作させて、前記第2伝達部材の回転を停止させる。
【0012】
これにより、投入装置の下降時に異常が生じた場合に、投入装置の回転を停止できる。
【0013】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記停止機構は、ギアと、ギア止め部材と、アクチュエータと、を備える。前記ギアは、前記第2伝達部材と一体的に回転する。前記ギア止め部材は、前記投入装置の姿勢が前記準備姿勢から前記投入姿勢に変更される上昇時に、前記ギアに対して摺動することにより当該ギアの回転を許容するとともに、前記下降時に前記ギアと干渉することにより当該ギアの回転を阻止する。前記アクチュエータは、前記ギア止め部材を前記ギアに対して接近又は離間させる。前記制御装置は、前記下降時において、前記検出部が前記投入装置の異常回転を検出していない場合は前記アクチュエータを制御して前記ギア止め部材を前記ギアに対して離間させて当該ギアの回転を許容させる。前記制御装置は、前記下降時において、前記検出部が前記投入装置の異常回転を検出している場合は前記アクチュエータを制御して前記ギア止め部材を前記ギアに対して接近させて当該ギアの回転を阻止させる。
【0014】
これにより、投入装置の上昇を許容しつつ、異常回転に伴う投入装置の下降を的確に停止できる。
【0015】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記投入装置は、前記準備姿勢での前記第2方向における位置関係において、前記回転中心を挟んで前記第1部材の反対側を含む範囲に円弧状に設けられた被検出部を有する。前記制御装置は、前記検出部による前記被検出部の時間あたりの検出回数に基づいて、前記投入装置の異常回転の有無を判定する。
【0016】
これにより、簡単な構成で投入装置の異常回転を検出できる。
【0017】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記回転装置は、駆動装置と、減速機と、を備える。前記駆動装置は、前記第1部材及び前記第2部材を回転駆動する駆動力を発生させる。前記減速機は、前記駆動装置により駆動力が入力される入力部と、前記駆動力を減速させて出力する出力部と、を有する。前記減速機の前記出力部から出力される前記駆動力により、前記第1部材及び前記第2部材が回転駆動される。前記減速機は、前記出力部に伝達された力による前記入力部の駆動を阻止することにより、当該出力部の駆動を阻止するセルフロック機能を有する。
【0018】
セルフロック機能が作用するため、投入装置の自重による回転を抑制できる。
【0019】
前記の供給装置においては、前記減速機はウォームギアを有し、当該ウォームギアにより前記セルフロック機能が実現されることが好ましい。
【0020】
これにより、機械的な構成だけで、投入装置の自重による回転を抑制できる。
【0021】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記供給装置は、前記搬送装置に向けて流れる前記ボビンを止めるストッパ部材を備える。前記投入姿勢として、第1投入姿勢と第2投入姿勢が存在する。前記第1投入姿勢では、前記第2投入姿勢よりも前記延在部の先端が下方に位置する。前記第1投入姿勢では、前記搬送装置に投入される前記ボビンが流れる接触面の下流端の延長線上に前記ストッパ部材が位置する。前記第2投入姿勢では、前記接触面の下流端の延長線は、前記ストッパ部材の上端と交わるか、前記ストッパ部材より上方にある。前記制御装置の制御により、前記投入装置の姿勢が前記第1投入姿勢、及び、前記第2投入姿勢の順に変更される。
【0022】
第1投入姿勢では、ボビンが接触面を流れてストッパ部材でせき止められる。その後、投入装置の姿勢が第2投入姿勢に変更されることにより、せき止められていたボビンを搬送装置に投入できる。
【0023】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ボビンを前記収容体の底部に向けて移動させるための補助姿勢が存在する。前記制御装置の制御により、前記投入装置の姿勢が、前記投入姿勢、前記補助姿勢、及び前記投入姿勢の順に変更される。
【0024】
投入装置の姿勢が投入姿勢から補助姿勢に変更されることにより、搬送装置とは逆方向に向かってボビンを移動させることができる。そのため、次に投入装置の姿勢が投入姿勢に変更された際にボビンに勢いが付くため、例えば収容体に段差等があっても乗り越えることができる。
【0025】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1部材は、中実状のベース部材と、支持部材と、を備える。前記支持部材は、前記ベース部材に取り付けられており、中空状であり、前記収容体の底部に接触して前記収容体を支持する。
【0026】
これにより、単一の部材で第1部材が構成されている場合と比較して、個々の部品サイズ及び重量が小さくなる。更に、支持部材が中空状であるため、支持部材の重量が小さくなる。以上により、部品の取扱いや組付け作業が容易になり易い。
【0027】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2部材は、前記収容体の側面に接触するとともに、前記搬送装置に投入される前記ボビンが流れる接触面を有する。前記接触面には、当該接触面に沿って前記収容体の底部側に移動する前記ボビンを前記収容体の内部に向けてガイドするガイド突起が形成されている。
【0028】
これにより、ボビンが接触面と収容体の間に入ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る供給装置の斜視図。
【
図6】下降防止装置の離間位置と接近位置における回転方向の可否を示す図。
【
図8】投入装置に収容体をセットする処理を示す側面図。
【
図9】投入装置の姿勢が第1投入姿勢と第2投入姿勢に繰り返し変更される処理を示す側面図。
【
図10】投入装置の姿勢が補助姿勢に変更されてから第2姿勢に変更される処理を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0031】
初めに、
図1及び
図2を参照して、供給装置1の概要について説明する。供給装置1は、芯管に糸が巻かれたボビン91を供給する装置である。供給装置1が供給したボビンは、自動ワインダ等の糸巻取機に供給される。糸巻取機は、ボビンに巻かれた糸を巻き取ってパッケージを形成する。
図1に示すように、供給装置1は、投入装置2と、制御装置3と、搬送装置4と、を備える。
【0032】
投入装置2には、後述する収容体90(
図8)がセットされる。収容体90は、底部と、底部から立設する複数の側面と、を有しており、それらの内部に収容空間が形成される。収容体90の収容空間には、ボビン91が収容されている。投入装置2は回転可能である。投入装置2の姿勢は、少なくとも準備姿勢と投入姿勢の間で変更される。投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更されることで、ボビン91が自重により移動するため、ボビン91が搬送装置4に投入される。
【0033】
制御装置3は、CPU等の演算装置と、RAMと、ストレージと、を備える。ストレージは、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等である。ストレージには、供給装置1に関するプログラムと、プログラムの実行に必要な条件等のデータと、が記憶されている。演算装置は、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御装置3は、供給装置1に関する様々な制御を行う。
【0034】
搬送装置4は、投入装置2が投入したボビン91を糸巻取機に向けて搬送する。搬送装置4は、例えば、斜面、コンベア、又は押圧部材等を用いて、ボビン91を搬送する。
【0035】
次に、
図1から
図4を参照して、投入装置2について詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、投入装置2は、第1部材11と、第2部材12と、回転装置13と、を備える。以下の説明では、投入装置2の回転軸方向を単に回転軸方向と称する。投入装置2の回転中心を単に回転中心と称する。
【0036】
第1部材11は、投入装置2の姿勢が少なくとも準備姿勢から投入姿勢に変更される際において収容体90を支持する。即ち、第1部材11は、投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更されるまでの少なくとも一時の姿勢において、収容体90を支持する。なお、第1部材11は準備姿勢においても収容体90を支持してもよい。第1部材11は、供給装置1の設置面の近傍において、設置面に水平に延びる棒状の部材である。第1部材11は、回転軸方向に並べて配置されている。ただし、第1部材11は収容体90の底部の形状に合わせて適宜変更可能である。例えば、第1部材11は平板状であってもよいし、1本の棒状の部材であってもよい。
【0037】
図3に示すように、本実施形態の第1部材11は、第1フレーム11aと、ベース部材11bと、支持部材11cと、を備える。
【0038】
第1フレーム11aは、第2部材12に接続される。詳細には、回転軸方向に並べて配置される2つの第2部材12を接続するように第1フレーム11aが設けられる。支持部材11cは、投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更されるまでの少なくとも一時の姿勢であるときに、収容体90の底部に接触して収容体90を支持する。
【0039】
ベース部材11bは、第1フレーム11aと支持部材11cとを連結する。詳細には、ベース部材11bはL字状の部分を含んでおり、L字の一辺に相当する部分で第1フレーム11aに取り付けられる。具体的には、第1フレーム11aとベース部材11bにはそれぞれ取付孔が形成されており、取付孔同士の位置を合わせてボルト等の固定具を締結することにより、第1フレーム11aにベース部材11bを取り付けることができる。また、ベース部材11bのうちL字の他辺に相当する部分に支持部材11cが取り付けられる。具体的には、ベース部材11bと支持部材11cにはそれぞれ取付孔が形成されており、取付孔同士の位置を合わせてボルト等の固定具を締結することにより、ベース部材11bに支持部材11cが取り付けられる。
【0040】
このように、第1部材11を構成する各部材は固定具を用いて取り付けられるため、ベース部材11b及び支持部材11cは着脱可能である。これにより、例えば、対象の収容体90の形状に応じて、支持部材11cを交換可能である。また、ベース部材11bのうち第1フレーム11aに取り付けられる部分には、1組の取付孔が形成されている。一方、第1フレーム11aには、複数組の取付孔が形成されている。これにより、第1フレーム11aに対するベース部材11bの取付位置を変更可能である。
【0041】
本実施形態では、第1部材11が分割構造であるため、第1部材11が単一の部材で構成される場合と比較して、個々の部品サイズ及び重量が小さくなる。このため、部品の取扱いや組付け作業が容易である。特に、支持部材11cは板材を折り曲げて形成されている。そのため、支持部材11cは中空状であるため、中実状の部材と比較して重量が小さくなる。その観点においても、第1部材11を構成する部品の取扱い性は高い。
【0042】
第1部材11の構成は一例であり、変更可能である。例えば、3部品に代えて2部品(即ち、ベース部材11bと支持部材11c)で第1部材11が構成されていてもよい。また、個々の部品の形状も一例であり、例えば支持部材11cが中実状であってもよい。1つのベース部材11bに1つの支持部材11cを取り付ける構成に代えて、2つのベース部材11bに板状の1つの支持部材11cを取り付ける構成であってもよい。
【0043】
第2部材12は、第1部材11(第1フレーム11a)に直接的又は間接的に接続されている。第2部材12は、回転軸方向に並べて配置されている。第2部材12は、第1部材11に対して交差するようにして当該第1部材11から離れる方向である第1方向に延びるように設けられている。本実施形態では、第1部材11が水平方向に延びており、第2部材12が鉛直方向に延びており、両者が延びる方向は直交する。なお、この位置関係は一例であり、第1部材11が水平方向とは異なる方向に延びていてもよいし、第2部材12が鉛直方向とは異なる方向に延びていてもよい。また、両者が延びる方向は交差していればよく、両者が延びる方向が直交していなくてもよい。延びる方向とは、例えば、ある部材が棒状の部材である場合は、棒状の部材の長手方向と延びる方向とは一致する。ある部材が棒状の部材ではない場合であっても、当該部材の長手方向が想起できるのであれば、その長手方向が延びる方向に該当する。
【0044】
第2部材12には延在部12aが形成されている。延在部12aは、第2部材12のうち第1方向に延びる部分であって、かつ、準備姿勢における第1方向の位置関係について、回転中心を挟んで第1部材11の反対側に位置する部分である。ここで、第1部材11と第2部材12の位置関係で重要なことは回転中心との位置関係であるため、回転軸方向で見た図(例えば
図2の側面図)で位置関係を把握することが好ましい。
図2において、第1部材11の第1方向における位置は、回転中心よりも下方であり、詳細には設置面と略同じ位置である。一方、延在部12aの第1方向における位置は、回転中心よりも上方である。延在部12aと第1部材11は一体的に回転するため、一方が上昇すると他方が下降する。
【0045】
仮に、延在部12aが存在しない場合、第1部材11及び第2部材12は、第2部材12の上端を回転中心として回転することになる。その場合、回転軌跡が大きくなり易い。これに対し、本実施形態では延在部12aが存在するため、第1部材11及び第2部材12の上端ではなく上端よりも下方の位置を回転中心として回転する。その結果、回転軌跡の大きさを抑えることができるため、投入姿勢における装置高さを抑えることができる。
【0046】
図1及び
図2に示すように、第2部材12は、更に、接触面22と、ガイド側板24と、を有する。
【0047】
接触面22は、一対の第2部材12を接続するように配置される板状の部材である。接触面22には、収容体90の側面が接触する。従って、ボビン91を投入する状態において、第2部材12は、接触面22を介して、収容体90を支持する。投入姿勢では、回転中心を通る水平面よりも下方に接触面22の下流端(又は延在部12aの先端)が位置する。また、投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更されることにより、延在部12aが搬送装置4に接近し、収容体90から投入されたボビン91は接触面22を通って搬送装置4に向けて移動する。なお、第2部材12を平板状の部材に変更して、第2部材12と接触面22を一体化してもよい。
【0048】
接触面22には、ガイド突起25と、収容体センサ27と、が設けられている。ガイド突起25及び収容体センサ27の詳細については後述する。
【0049】
ガイド側板24は、接触面22の側方(回転軸方向の両端部)に一対で立設された板状の部材である。ガイド側板24は、ボビン91が投入装置2の側方から落ちないようにボビン91をガイドする。本実施形態のガイド側板24はテーパ部を含んでおり、下流に近づくにつれてボビン91が幅方向の中央に寄るようにガイドする。なお、テーパ部は必須の形状ではなく省略可能である。テーパ部により投入装置2から搬送装置4に投入されるボビン91の量を調整することができる。
【0050】
ガイド側板24には、保持棒26が設けられている。保持棒26は、一対のガイド側板24を接続するように配置された棒状の部材である。保持棒26は、収容体90を傾斜させたときに収容体90が落下しないように保持する。保持棒26は、収容体90を保持可能であれば棒状以外の形状であってもよい。
【0051】
回転装置13は、第1部材11及び第2部材12を回転駆動する。これにより、投入装置2の姿勢が変更される。
図1及び
図4に示すように、回転装置13は、回転軸31と、回転板32と、モータ(駆動装置)35と、減速機36と、第1スプロケット(第1伝達部材)38と、を備える。
【0052】
回転軸31は軸状の部材であり、第1部材11、第2部材12、及び回転装置13の一部(回転板32)を回転可能に支持する。回転軸31の中心軸方向が回転中心に相当する。なお、回転軸31は必須の構成要素ではない。例えば、回転側の部材に設けられたガイドプレートを、支持側に部材に設けられたカムフォロアに沿って回転させる構成を有していれば、回転軸31を省略できる。回転軸31が省略された場合であっても投入装置2は回転するため回転中心は存在する。
【0053】
回転板32は、回転軸方向に並べて一対で配置された円板状(詳細には扇形の板状)の部材である。回転板32は、第1部材11又は第2部材12に固定されており、第1部材11及び第2部材12と一体的に回転可能である。
図4に示すように、回転板32には、複数のピン33と、円弧板34と、が設けられている。複数のピン33は、回転板32の表面に円弧状に配置されている。詳細には、
図2に示すように、回転中心に平行な方向で見たときに第1方向に直交する方向を第2方向と定義する。準備姿勢での第2方向における位置関係において、回転中心を挟んで第1部材11の反対側を含む範囲にピン33が配置されている。なお、ピン33は、回転中心を挟んで第1部材11と同じ側にも配置されていてもよい。円弧板34は、回転軸方向で見たときにピン33と重なる位置に配置されている。回転板32の中心軸方向と、複数のピン33で形成される円弧の中心軸方向と、円弧板34の中心軸方向と、は一致する。円弧板34の機能については後述する。
【0054】
モータ35は、供給された駆動電流を用いて、投入装置2を回転させる駆動力を発生させる。モータ35は回転方向を切替可能である。モータ35の回転方向を切り替えることにより、投入装置2の回転方向を切り替えることができる。また、モータ35はブレーキ付きモータであり、駆動電流が供給されていない状況ではクラッチが作用してロータの回転が出力軸に伝達しない構造を有する。これにより、例えば投入装置2が投入姿勢のときに停電又は配線異常等により駆動電流が急に供給されなくなった場合において、投入装置2の回転を停止させることができる。モータ35は、上述したピン33と同様に、準備姿勢での第2方向における位置関係において、回転中心を挟んで第1部材11の反対側を含む範囲に配置されている。ここで、第2方向において、回転中心よりも第1部材11側は、収容体90等の移動軌跡に重複するため、部品を配置可能なスペースが限られる。一方で、第2方向において回転中心よりも第1部材11の反対側は、特に投入装置2のフレーム(構造部材)が設けられており、かつ、作業者が作業を行うことがないため、比較的スペースが存在する。本実施形態では、このスペースにモータ35及びピン33が設けられているため、各部品を効率的に配置できる。また、投入装置2の姿勢が投入姿勢となった際には、例えば、ガイド側板24、モータ35、及び他の装置(例えば後述の下降防止装置40)同士の干渉を避ける必要がある。この点、本実施形態では準備姿勢において回転装置13が上述した位置、更に言えば回転中心よりも低い位置に配置されているため、投入装置2の姿勢が投入姿勢に変更された場合でも、ガイド側板24等がモータ35と干渉しにくい。以上により、投入装置2をコンパクトにすることができる。また、本実施形態のモータ35の位置は、後述するように駆動対象である第1スプロケット38の近くに配置されている。そのため、第1スプロケット38の動力を伝達するギア又はベルト等の数を少なくすることができるので、構造を単純化できる。
【0055】
減速機36は、モータ35が発生させた駆動力を減速する。詳細には、減速機36はウォームギア37を有している。ウォームギア37は、ウォーム37aと、ウォームホイール37bと、を備える。ウォーム37aは入力部39aに固定されている。入力部39aは、モータ35の出力軸に直接又は別の部材を介して固定されている。入力部39aには、モータ35により駆動力が入力される。ウォーム37aとウォームホイール37bは噛み合っている。ウォームホイール37bには、出力部39bが固定されている。出力部39bは減速された駆動力を出力する。出力部39bには第1スプロケット38が固定されている。これにより、モータ35からウォームギア37に伝達された駆動力が減速して第1スプロケット38に伝達することができる。
【0056】
第1スプロケット38は、円板状の部材であり、複数の凹部が円周方向に並べて形成されている。第1スプロケット38の凹部はピン33と噛み合う形状である。第1スプロケット38は凹部とピン33が噛み合う位置に配置されている。この構成により、モータ35が発生させた駆動力で第1スプロケット38を回転させることにより、ピン33を介して回転板32(ひいては第1部材11及び第2部材12)を回転駆動することができる。なお、モータ35の駆動力を第1スプロケット38とピン33を用いて伝達する構成に代えて、モータ35の駆動力をギア等により回転軸として機能するシャフトに伝達し、シャフトを回転駆動することにより投入装置2を回転させてもよい。
【0057】
また、減速機36はウォームギア37を用いて減速する構成であるため、減速機36はセルフロック機能を有する。本実施形態のセルフロック機能とは、出力部39bに伝達された力による入力部39aの駆動を阻止することにより、出力部39bの駆動を阻止する機能である。ウォームギア37では、ウォームホイール37bを回転させる方向に力を加えてもウォーム37aを回転させる方向に力が伝達しにくいので、ウォーム37aが回転しない。つまり、入力部39aと出力部39bは一体的に回転する構成であり、かつ、出力部39b側から力を掛けてもウォームギア37を回転させることができない。そのため、出力部39bに力を掛けても出力部39bが駆動されず、その結果として投入装置2の姿勢が変更されない。本実施形態のセルフロック機能は、別の装置を必要とせずに機構だけで実現できる。セルフロック機能を有することにより、オペレータが手動で投入装置2を回転させることを防止できる。また、投入装置2が投入姿勢のときにモータ35が異常停止した場合でも、投入装置2が自重で元に戻ることを防止できる。なお、セルフロック機能を有する構成であれば、ウォームギア37以外を用いてもよい。例えば、遊星ギアを応用した公知のセルフロック機能付きの減速機を用いてもよい。
【0058】
上述したように、本実施形態ではモータ35が発生させた駆動力により、収容体90を持ち上げてボビン91が搬送装置4に投入される。これに対し、特許文献1では、シリンダが発生させた駆動力によりボビンが投入される。シリンダを用いる場合、シリンダを駆動させるための部材又はシリンダ自体の高さ等の影響により、搬送部やボビン受け部の高さが高くなる。その結果、収容体を高く持ち上げる必要があり、装置高さが高くなる。これに対し、本実施形態のモータ35にはこの種の制約がないため、特許文献1と比較して、装置高さを抑えることができる。
【0059】
次に、
図5及び
図6を参照して、供給装置1が備える下降防止装置40について説明する。投入装置2の下降とは、投入装置2の姿勢が投入姿勢から準備姿勢に変更されることである。投入装置2の下降時には、例えば、第1部材11及び収容体90等が設置面に向けて下降する。一方、投入装置2の上昇とは、投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更されることである。投入装置2の上昇時には、例えば、第1部材11及び収容体90等が上昇する。ここで、投入装置2のうち回転する部分(収容体90を含む)の重心の位置は、第2方向において、回転中心よりも第1部材11側にある。そのため、例えば停電等によりモータ35が停止した場合において、投入装置2の下降を防止する機能を有していない場合、投入装置2が下降する。下降防止装置40は、このような投入装置2の下降を防止する装置である。なお、上述した重心の位置であるため、例えば停電時において、投入装置2の上昇を防止する機構を設けなくてもよい。
図5に示すように、下降防止装置40は、第2スプロケット(第2伝達部材)41と、検出部42と、停止機構43と、を備える。
【0060】
第2スプロケット41は、円板状の部材であり、複数の凹部が円周方向に並べて形成されている。第2スプロケット41の凹部はピン33と噛み合う形状であり、第2スプロケット41は凹部がピン33と噛み合う位置に配置される。上述した第1スプロケット38は回転板32を回転駆動する駆動スプロケットであるが、第2スプロケット41は回転板32の回転を受けて回転する従動スプロケットである。つまり、本実施形態では、共通のピン33は、第1スプロケット38と第2スプロケット41の両方に噛み合う。ただし、第1スプロケット38に噛み合うピンと、第2スプロケット41に噛み合うピンと、が異なっていてもよい。何れの場合であっても、これらのピンは、回転板32と一体的に回転する。
【0061】
検出部42は、投入装置2の異常回転を検出する。詳細には、検出部42は光センサであり、光を照射するとともに、その反射光を検出する。検出部42は回転板32(詳細には円弧板34)に向けて光を照射する。ここで、円弧板34には、所定の間隔で被検出孔(被検出部)34aが形成されている。検出部42が照射した光が被検出孔34aに当たる場合と、検出部42が照射した光が円弧板34の表面に当たる場合とでは、検出部42が受光する光が変化する。そのため、検出部42は、被検出孔34aが通過したこと、更に言えば単位時間あたりの被検出孔34aの通過回数を検出できる。単位時間あたりの被検出孔34aの通過回数が通常時より多い場合、円弧板34が通常と比較して高速で回転している(言い換えれば異常回転している)こととなる。検出部42の検出結果は制御装置3に出力される。制御装置3は、単位時間あたりの被検出孔34aの通過回数が閾値を超えるか否かに基づいて、投入装置2が異常回転しているか否かを判定する。
【0062】
本実施形態の検出部42は、以下のように変更可能である。例えば、検出部42は反射式の光センサに限られず、透過式の光センサであってもよい。透過式の光センサは、例えば円弧板34を挟むように発光素子と受光素子が設けられており、発光素子と受光素子の間を被検出孔34aが通過する度に、受光素子が光を検出する。検出部42は光センサに限られず、接触センサ又はマグネットセンサであってもよい。
【0063】
また、本実施形態の被検出孔34aは、以下のように変更可能である。例えば、被検出孔34aを円弧板34ではなく回転板32に形成してもよい。また、被検出孔34aに代えて、反射率を変化させるシートを貼付してもよいし、切欠きを形成してもよい。あるいは、孔又は切欠き等が形成された部分を被検出部として取り扱うことに代えて、孔又は切欠き等が形成されていない円弧板34の表面部分を被検出部として取り扱ってもよい。
【0064】
停止機構43は、ギア43aと、ギア止め部材43bと、アクチュエータ43cと、を備える。
【0065】
ギア43aはシャフトを介して第2スプロケット41に固定されており、ギア43aと第2スプロケット41は一体的に回転する。ギア43aの歯は周方向において非対称であり、詳細には傾斜角度が異なる。
【0066】
ギア止め部材43bは、
図6に示すように、離間位置と接近位置を切替可能である。ギア止め部材43bが離間位置にある場合は、ギア43aは時計回りと反時計回りの何れにも回転可能である。ギア止め部材43bが接近位置にある場合は、ギア43aは、歯とギア止め部材43bを摺動させながら時計回りに回転可能である。しかし、ギア止め部材43b(詳細にはギア止め部材43bに形成された突起)が歯に引っ掛かって摺動しにくくなるので、ギア43aは反時計回りに回転不能である。本実施形態では、ギア43aの時計回りが投入装置2の上昇に対応し、ギア43aの反時計回りが投入装置2の下降に対応する。つまり、ギア止め部材43bを接近位置にすることで、投入装置2の下降を抑制できる。
【0067】
アクチュエータ43cは、ギア止め部材43bの離間位置と接近位置を切り替えるための動力を発生させる。本実施形態ではアクチュエータ43cは電動シリンダであり、制御装置3によって制御されている。具体的には、制御装置3は、アクチュエータ43cに電力を供給することにより、ギア止め部材43bを離間位置に合わせることができる。また、制御装置3は、アクチュエータ43cに電力を供給しないこと(電力の供給を停止させること)によりギア止め部材43bを接近位置に合わせることができる。本明細書では、アクチュエータ43cに電力を供給することだけでなく、アクチュエータ43cに電力を供給しないことも含めて、アクチュエータ43cの制御に該当する。アクチュエータ43cは電動シリンダに限られない。アクチュエータ43cは例えば電磁ソレノイド又はリニアモータであってもよい。
【0068】
制御装置3は、投入装置2を下降させる状態にあると判定した場合にのみ、ギア止め部材43bを離間位置に合わせる。これにより、投入装置2の下降が許容される。一方、それ以外の場合では、ギア止め部材43bは接近位置に合わせられる。そのため、投入装置2の上昇は許容されるが、投入装置2の下降を阻止できる。
【0069】
なお、アクチュエータ43cに電力が供給されていない場合、ギア止め部材43bが接近位置となるようにアクチュエータ43cの初期位置が調整されている。これにより、投入装置2が稼動していない状態や、停電又は配線トラブルがあった場合において、ギア止め部材43bがギア43aの反時計回りの回転を阻止するので、投入装置2の急な下降を防止できる。
【0070】
上述したように、本実施形態の供給装置1は、モータ35によるブレーキ機能、減速機36のセルフロック機能、及び下降防止装置40による急な下降を阻止する機能を有する。従って、オペレータが意図しないタイミングで投入装置2が下降することを略確実に防止できる。なお、これらの3つのうち1つ又は2つの機能を省略してもよい。
【0071】
本実施形態の停止機構43は一例であり、例えばアクチュエータ43cを動作させることで、ギア43aの回転の可否を切り替える構成であってもよい。この場合は、投入装置2の上昇時においてもアクチュエータ43cを動作させてギア止め部材43bをギア43aから離間させる必要がある。その代わりにギア43aとギア止め部材43bの摺動が発生しない。また、アクチュエータ43cを動作させることで、ギア43a又は第2スプロケット41のブレーキの有無を切り替える構成であってもよい。
【0072】
次に、
図7から
図10を参照して、収容体90に収容されたボビン91を供給する処理、特に投入装置2が搬送装置4にボビンを投入する処理の流れを説明する。
図7に示す処理は、制御装置3によって行われる。
【0073】
初めに、
図8に示すように、収容体90が投入装置2にセットされる。例えば収容体90が箱状体と車輪とを有する場合、収容体90を第2部材12に向けて押して移動させることにより、箱状体の底面に第1部材11を差し込む。なお、収容体90が車輪を有さない場合、オペレータ又はロボット等により収容体90を運搬して第1部材11の上に載置する。収容体90と第1部材11は固定されてもよいし、固定されなくてもよい。
【0074】
上述した収容体センサ27は接触センサであり、収容体90を投入装置2にセットすることにより、収容体センサ27が制御装置3に出力する信号が変化する。これにより、制御装置3は、収容体90がセットされたか否かを判定できる。なお、収容体センサ27は接触センサに限られず光センサであってもよい。また、収容体センサ27は接触面22ではなく別の箇所(例えば第1部材11)に配置されていてもよい。オペレータは、収容体90を投入装置2にセットした後に、ボビン91の投入を指示する。
【0075】
初めに、制御装置3は、上昇開始条件を満たすか否かを判定する(S101)。上昇開始条件とは、投入装置2を準備姿勢から投入姿勢に向けて回転させる(上昇させる)動作を開始するための条件である。上昇開始条件は、例えば、収容体センサ27が収容体90を検出していること、搬送装置4又はその下流側の装置が動作中であることである。なお、上昇開始条件は一例であり、別の条件を追加してもよいし、上記の条件の何れかを省略してもよいし、上昇開始条件自体を省略してもよい。
【0076】
上昇開始条件を満たすと判定した場合、制御装置3がモータ35を所定量だけ回転駆動することにより、投入装置2の姿勢が待機姿勢に変更される(S102)。待機姿勢は投入姿勢の一種であり、一度に大量のボビン91が投入されることを防止するために設定された姿勢である。制御装置3は、待機姿勢で投入装置2を一時的に待機させる。
【0077】
次に、制御装置3は、待機解除条件を満たすか否かを判定する(S103)。待機解除条件とは、投入装置2を待機姿勢から解除して更に上昇させる動作を開始するための条件である。待機解除条件は、例えば、所定時間が経過したこと、搬送装置4が処理するボビン91の数がゼロ又は閾値以下であることである。搬送装置4が処理するボビン91の数は、例えば、搬送装置4の搬送面4bに設けられたセンサ4a(
図8)の検出結果に基づいて制御装置3が判定する。なお、待機開始条件は一例であり、別の条件を追加してもよいし、上記の条件の何れかを省略してもよい。
【0078】
待機解除条件を満たすと判定した場合、制御装置3がモータ35を回転駆動することにより、投入装置2の姿勢が第2投入姿勢に変更される(S104、
図9上図)。第2投入姿勢は投入姿勢の一種である。第2投入姿勢では、待機姿勢よりも延在部12aの先端が下方に位置する。第2投入姿勢は、収容体90に収容されたボビン91を搬送装置4に向けて投入するための姿勢である。そのため、第2投入姿勢では、ボビン91を搬送する面(詳細には接触面22、収容体90の一面)が、搬送装置4に近づくにつれて下方に近づくように傾斜する。また、第2投入姿勢では、接触面22の先端が搬送面4bに接続される。これにより、第2投入姿勢では、接触面22を介して、搬送装置4の搬送面4bにボビン91を投入できる。
【0079】
一連の処理において、投入装置2の姿勢が第2投入姿勢に複数回変更される。投入装置2の姿勢が第2投入姿勢に簡単かつ正確に変更されるための構成として、投入装置2は、第2近接センサ52と第2突出片62を備える。第2近接センサ52は固定側(投入装置2が回転しても回転しない側)に設けられている。第2突出片62は回転側(投入装置2と一体的に回転する側)に設けられている。投入装置2が第2姿勢になった状態において、第2近接センサ52は第2突出片62の近接を検出して、出力結果を制御装置3に出力する。なお、近接センサに代えて、接触センサ又は光センサ等を用いてもよい。
【0080】
また、第2近接センサ52と第2突出片62を用いる方法に代えて、検出部42による被検出孔34aの検出結果に基づいて投入装置2の回転角度を特定してもよい。あるいは、モータ35が回転量を指定できる構成(例えばステッピングモータ)である場合は、モータ35に送信する指令に基づいて、投入装置2の回転角度を特定してもよい。
【0081】
次に、制御装置3は、待機解除条件を満たすか否かを判定する(S105)。この処理で用いる待機解除条件は、ステップS103と同じであってもよいし、異なっていてもよい。待機解除条件を満たすと判定した場合、制御装置3がモータ35を回転駆動することにより、投入装置2の姿勢が第1投入姿勢に変更される(S106、
図9下図)。第1投入姿勢は投入姿勢の一種である。第1投入姿勢における延在部12aの先端は、第2投入姿勢における延在部12aの先端よりも下方に位置する。そのため、接触面22の下流端の延長線は、搬送面4bの下方にあるストッパ部材4cと交差する。ストッパ部材4cは、搬送装置4に向けて接触面22上を流れるボビン91を止める部材(更に詳細にはボビン91を止める面)である。本実施形態のストッパ部材4cは、搬送装置4の上流側の領域に設けられた壁状の部材である。投入装置2が第1投入姿勢である場合、一部のボビン91はストッパ部材4cによって止められて、搬送面4bに投入されない。なお、ストッパ部材4cよりも高い位置にあるボビン91が搬送面4bに投入されることもある。また、上述した第2投入姿勢では、接触面22の下流端の延長線はストッパ部材4cよりも上方にあり、搬送面4bと交差する。なお、第2投入姿勢において、接触面22の下流端の延長線がストッパ部材4cの上端と交差してもよい。僅かな段差があっても、ボビン91の投入への影響は少ないからである。なお、ストッパ部材4cは、供給装置1のフレーム部材に設けられていてもよい。即ち、ストッパ部材4cは、投入装置2の姿勢が変更されても回転しない構成であり、投入装置2が第1投入姿勢に変更された状況においてのみ、ボビン91を止める部材である。
【0082】
投入装置2の姿勢が第1投入姿勢に簡単かつ正確に変更されるための構成として、投入装置2は、第1近接センサ51と第1突出片61を備える。第1近接センサ51及び第1突出片61の構成は、位置合わせの対象が異なる以外は、第2近接センサ52及び第2突出片62と同じである。
【0083】
また、第1投入姿勢の方が第2投入姿勢よりも、接触面22が急傾斜である。そのため、投入装置2の姿勢が第2投入姿勢から第1投入姿勢に変更されることにより、第2投入姿勢では流れてこないボビン91を下流に流すことができる。また、投入装置2の姿勢が第1投入姿勢から第2投入姿勢に変更されることにより、ストッパ部材4cで止められていたボビン91を搬送装置4の搬送面4bに投入することができる。詳細には、制御装置3は、以下の処理を行う。即ち、制御装置3は、繰り返し回数が所定回数を超過したか否かを判定し(S107)、超過していない場合は、待機解除条件を満たすか否かを判定する(S108)。制御装置3は、待機解除条件を満たすと判定した場合、モータ35を制御する。これにより、投入装置2の姿勢が再び第2投入姿勢に変更される(S104)。
【0084】
制御装置3は、繰り返し回数が所定回数を超過したと判定した場合、モータ35を制御する。これにより、投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更され(S109、
図10上図)、その後に投入装置2の姿勢が第2投入姿勢に変更される(S110、
図10下図)。これらの処理は、第1投入姿勢と第2投入姿勢に交互に切り替えるだけでは投入できなかったボビン91を投入するための処理である。第1投入姿勢と第2投入姿勢に交互に切り替えても、例えば収容体90の内壁の突起等に引っ掛かっている場合はボビン91を収容体90から出すことができない可能性がある。この状態のボビン91を収容体90から出すためには、勢いを付けてボビン91を移動させる必要がある。ここで、補助姿勢は、ボビン91を収容体90の底部に向けて移動させるための姿勢である。そのため、補助姿勢では、ボビン91を搬送する面(詳細には接触面22、収容体90の一面)が、搬送装置4に近づくにつれて上方に近づくように傾斜する。言い換えれば、ボビンを搬送する面が投入姿勢とは反対方向に傾斜する。上述したように、投入姿勢では、回転中心を通る水平面よりも下方に接触面22の下流端(又は延在部12aの先端)が位置する。これに対し、補助姿勢では、回転中心を通る水平面より上方に接触面22の下流端が位置する。
【0085】
投入装置2の姿勢が補助姿勢に簡単かつ正確に変更されるための構成として、投入装置2は、第3近接センサ53と第3突出片63を備える。第3近接センサ53及び第3突出片63の構成は、位置合わせの対象が異なる以外は、第2近接センサ52及び第2突出片62と同じである。
【0086】
ここで、第2部材12と収容体90の間に隙間が存在する場合、投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更される際に、ボビン91が第2部材12と収容体90の間に入る可能性がある。それを防止するために本実施形態では、ガイド突起25が形成されている。ガイド突起25は、接触面22に設けられており、第2部材12と収容体90の間の隙間を塞ぐ。更に、本実施形態ではガイド突起25は、傾斜が形成されているので、ボビン91がガイド突起25に引っ掛かりにくく、ボビン91を収容体90の底部に向けて的確に移動させることができる。
【0087】
ガイド突起25は、投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更される際に特に有効に作用する。ただし、例えば投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更される際にも、ボビン91が第2部材12と収容体90の間に入る可能性があるため、有用である。つまり、投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更されない供給装置1に対しても、ガイド突起25が形成されていてもよい。
【0088】
投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更されてから第2投入姿勢に変更されることにより、ボビン91に勢いが付くので、ボビン91が収容体90に引っ掛かりにくくなり、より確実にボビン91を搬送装置4に向けて搬送できる。以上により処理が完了する。なお、投入装置2の下降は自動的に行う必要は無く、オペレータの指示があった後に投入装置2を下降させればよい。
【0089】
上述したように、本実施形態では投入装置2の姿勢が多段階に変更される。特に、投入装置2の姿勢が第1投入姿勢と第2投入姿勢に繰返し変更されたり、投入装置2の姿勢が投入姿勢から補助姿勢に変更されたりする。特許文献1のように投入装置2の姿勢が油圧シリンダを用いて変更される場合、この種の制御を実現することが難しい。この点、本実施形態では投入装置2の姿勢がモータ35を用いて変更されるため、この種の制御を容易に実現できる。
【0090】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、待機姿勢を複数設定し、投入装置2の姿勢が複数の待機姿勢に順番に変更された後に、投入装置2の姿勢が第2投入姿勢に変更されてもよい。また、待機姿勢の後に、投入装置2の姿勢が第1投入姿勢に変更されてもよい。また、第1投入姿勢と第2投入姿勢に交互に所定回数変更する処理に代えて、第1投入姿勢と第2投入姿勢に1回ずつのみ変更する処理(詳細には第1投入姿勢の後に第2投入姿勢に変更する処理)を行ってもよい。投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更された後に第2投入姿勢に変更される処理を省略してもよい。あるいは、収容体90に残存するボビン91を検出するセンサを備え、収容体90にボビン91が残存している場合にのみ、投入装置2の姿勢が補助姿勢に変更された後に第2投入姿勢に変更される処理を行ってもよい。投入姿勢が、第1投入姿勢と第2投入姿勢の2段階であることに代えて、投入姿勢を1段階にしてもよいし、3段階以上にしてもよい。
【0091】
以上に説明したように、本実施形態の供給装置1は、投入装置2と、搬送装置4と、を備える。投入装置2は、糸が巻かれたボビン91が収容された収容体90から、ボビン91を投入する。搬送装置4は、投入装置2が投入したボビン91を搬送する。投入装置2の姿勢は、準備姿勢と投入姿勢の間で変更され、投入姿勢においてボビン91を収容体90から搬送装置4へ投入する。投入装置2は、第1部材11と、第2部材12と、回転装置13と、制御装置3と、を備える。第1部材11は、投入装置2の姿勢が少なくとも準備姿勢から投入姿勢に変更される際において収容体90を支持する。第2部材12は、第1部材11に接続されており、投入姿勢において収容体90を支持する。回転装置13が第1部材11及び第2部材12を回転駆動することにより、準備姿勢と投入姿勢の間で投入装置2の姿勢が変更される。制御装置3は、回転装置13を制御する。第2部材12は、第1部材11に対して交差するようにして第1部材11から離れる方向である第1方向に延びるように設けられている。第2部材12は、第1方向に延びる部分であって、かつ、準備姿勢における第1方向の位置関係において、投入装置2の回転中心を挟んで第1部材11の反対側に位置する延在部12aを有し、投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更されることにより延在部12aが搬送装置4に接近する。
【0092】
これにより、回転中心が投入装置2の端部ではなく中途部に位置することになる。従って、回転中心の高さが抑えられるので、投入姿勢における装置高さを抑えることができる。
【0093】
本実施形態の供給装置1において、回転中心に平行な方向で見たときに第1方向に直交する方向を第2方向とする。投入装置2は、準備姿勢での第2方向における位置関係において、回転中心を挟んで第1部材11の反対側を含む範囲に円弧状に配置されたピン33を有する。回転装置13がピン33と噛み合う第1スプロケット38を回転させることで投入装置2を回転させることにより、投入装置2の姿勢が変更される。
【0094】
これにより、回転中心にギアや駆動装置を配置する構成と比較して、第1スプロケット38及びそれを回転駆動する部材(モータ35、減速機36等)の位置の自由度を高くすることができる。
【0095】
本実施形態の供給装置1において、回転装置13とは異なる場所に設けられた下降防止装置40を備える。制御装置3は下降防止装置40を制御する。下降防止装置40は、第2スプロケット41と、停止機構43と、検出部42と、を備える。第2スプロケット41は、ピン33と噛み合う。停止機構43は、投入装置2の姿勢が投入姿勢から準備姿勢に変更される下降時において第2スプロケット41の回転を停止可能である。検出部42は、下降時での投入装置2の異常回転を検出する。制御装置3は、検出部42が下降時の投入装置2の異常回転を検出した場合に、停止機構43を動作させて、第2スプロケット41の回転を停止させる。
【0096】
これにより、投入装置2の下降時に異常が生じた場合に、投入装置2の回転を停止できる。
【0097】
本実施形態の供給装置1において、停止機構43は、ギア43aと、ギア止め部材43bと、アクチュエータ43cと、を備える。ギア43aは、第2スプロケット41と一体的に回転する。ギア止め部材43bは、投入装置2の姿勢が準備姿勢から投入姿勢に変更される上昇時に、ギア43aに対して摺動することによりギア43aの回転を許容するとともに、下降時にギア43aと干渉することによりギア43aの回転を阻止する。アクチュエータ43cは、ギア止め部材43bをギア43aに対して接近又は離間させる。制御装置3は、下降時において、検出部42が投入装置2の異常回転を検出していない場合はアクチュエータ43cを制御してギア止め部材43bをギア43aに対して離間させてギア43aの回転を許容させる。制御装置3は、下降時において、検出部42が投入装置2の異常回転を検出している場合はアクチュエータ43cを制御してギア止め部材43bをギア43aに対して接近させてギア43aの回転を阻止させる。
【0098】
これにより、投入装置2の上昇を許容しつつ、異常回転に伴う投入装置2の下降を的確に停止できる。
【0099】
本実施形態の供給装置1において、投入装置2は、準備姿勢での第2方向における位置関係において、回転中心を挟んで第1部材11の反対側を含む範囲に円弧状に設けられた被検出孔34aを有する。制御装置3は、検出部42による被検出孔34aの時間あたりの検出回数に基づいて、投入装置2の異常回転の有無を判定する。
【0100】
これにより、簡単な構成で投入装置2の異常回転を検出できる。
【0101】
本実施形態の供給装置1において、回転装置13は、モータ35と、減速機36と、を備える。モータ35は、第1部材11及び第2部材12を回転駆動する駆動力を発生させる。減速機36は、モータ35が発生させた駆動力を減速して伝達する。減速機36は、モータ35により駆動力が入力される入力部と、駆動力を減速させて出力する出力部39bと、を有する。減速機36の出力部39bから出力される駆動力により、第1部材11及び第2部材12が回転駆動される。減速機36は、出力部39bに伝達された力による入力部39aの駆動を阻止することにより、出力部39bの駆動を阻止するセルフロック機能を有する。
【0102】
セルフロック機能が作用するため、投入装置2の自重による回転を抑制できる。
【0103】
本実施形態の供給装置1において、減速機36はウォームギア37を有し、ウォームギア37によりセルフロック機能が実現される。
【0104】
これにより、機械的な構成だけで、投入装置2の自重による回転を抑制できる。
【0105】
本実施形態の供給装置1において、供給装置1は、搬送装置4に向けて流れるボビン91を止めるストッパ部材4cを備える。投入姿勢として、第1投入姿勢と第2投入姿勢が存在する。第1投入姿勢では、第2投入姿勢よりも延在部12aの先端が下方に位置する。第1投入姿勢では、搬送装置4に投入されるボビン91が流れる接触面22の下流端の延長線上にストッパ部材4cが位置する。第2投入姿勢では、接触面22の下流端の延長線は、ストッパ部材4cの上端と交わるか、ストッパ部材4cより上方にある。制御装置の制御により、投入装置2の姿勢が第1投入姿勢、及び、第2投入姿勢の順に変更される。
【0106】
第1投入姿勢では、ボビン91が接触面22を流れてストッパ部材4cでせき止められる。その後、投入装置2の姿勢が第2投入姿勢に変更されることにより、せき止められていたボビン91を搬送装置4に投入できる。
【0107】
本実施形態の供給装置1において、ボビン91を収容体90の底部に向けて移動させるための補助姿勢が存在する。制御装置の制御により、投入装置2の姿勢が、投入姿勢、補助姿勢、及び投入姿勢の順に変更される。
【0108】
投入装置2の姿勢が投入姿勢から補助姿勢に変更されることにより、搬送装置4とは逆方向に向かってボビン91を移動させることができる。そのため、次に投入装置2の姿勢が投入姿勢に変更された際にボビン91に勢いが付くため、例えば収容体90に段差等があっても乗り越えることができる。
【0109】
本実施形態の供給装置1において、第1部材11は、中実状のベース部材11bと、支持部材11cと、を備える。支持部材11cは、ベース部材11bに取り付けられており、中空状であり、収容体90の底部に接触して収容体90を支持する。
【0110】
これにより、単一の部材で第1部材11が構成されている場合と比較して、個々の部品サイズ及び重量が小さくなる。更に、支持部材11cが中空状であるため、支持部材の重量が小さくなる。以上により、部品の取扱いや組付け作業が容易になり易い。
【0111】
本実施形態の供給装置1において、第2部材12は、収容体90の側面に接触するとともに、搬送装置4に投入されるボビン91が流れる接触面22を有する。接触面22には、当該接触面22に沿って収容体90の底部側に移動するボビン91を収容体90の内部に向けてガイドするガイド突起25が形成されている。
【0112】
これにより、ボビン91が接触面22と収容体90の間に入ることを抑制できる。
【符号の説明】
【0113】
1 供給装置
2 投入装置
3 制御装置
4 搬送装置
11 第1部材
12 第2部材
12a 延在部
13 回転装置