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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174643
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/06 20060101AFI20241210BHJP
   D01H 9/18 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
B65H67/06 Z
B65H67/06 B
D01H9/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092572
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】井上 敬
【テーマコード(参考)】
3F112
4L056
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112BA03
3F112CA03
3F112HA09
3F112KA03
3F112TA03
4L056AA02
4L056AA45
4L056BF07
4L056BF14
4L056BF45
4L056DA67
(57)【要約】
【課題】個別化部に供給されるボビンが支持台の下方に入り込むことに起因する詰まりを抑制可能な供給装置を提供する。
【解決手段】供給装置は、受け部と、個別化部20と、を備える。受け部には、複数のボビンが投入される。個別化部20は、受け部から供給された複数のボビンを個別のボビンに分離して上方に搬送する。個別化部20は、支持台25を有する。支持台25には、ボビンが載せられ、ボビンを支持する。個別化部20は、支持台25に1つのボビンが載るように1又は複数のボビンを支持台25から落として分離する。支持台25には、第1方向を長手方向とするスリット26が形成されている。受け部又は個別化部20は、支持台25にボビンを載せる導入領域において、スリット26を通る案内部14を有する。案内部14により案内されたボビンを支持台25がすくい上げて、支持台25にボビンを載せる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機で生成された糸が巻かれたボビンを糸巻取機に供給する供給装置において、
複数の前記ボビンが投入される受け部と、
前記受け部から供給された複数の前記ボビンを個別の前記ボビンに分離して上方に搬送する個別化部と、
を備え、
前記個別化部は、
前記ボビンが載せられ、前記ボビンを支持する支持台と、
前記支持台を上下方向に移動させる駆動部と、
を有し、
前記個別化部は、前記支持台に1つの前記ボビンが載るように1又は複数の前記ボビンを前記支持台から落として分離し、
を有し、
平面視において、前記受け部から前記個別化部に前記ボビンが供給される方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向とし、
前記支持台には、前記第1方向を長手方向とするスリットが形成されており、
前記受け部又は前記個別化部は、前記支持台に前記ボビンを載せる導入領域において、前記スリットを通る案内部を有し、
前記案内部により案内された前記ボビンを前記支持台がすくい上げて、前記支持台に前記ボビンを載せることを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置であって、
前記案内部は前記受け部に設けられており、
前記個別化部は、前記支持台が前記ボビンを搬送する搬送方向に沿って設けられ、前記支持台に1つの前記ボビンが載るように1又は複数の前記ボビンを前記支持台から落として分離する分離部材を有し、
前記案内部と前記分離部材は別体であり、
前記分離部材及び前記案内部が1つの前記スリットを通ることを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の供給装置であって、
前記個別化部に前記ボビンが詰まったことを検出するセンサを備え、
前記駆動部は、前記センサが前記詰まりを検出した場合に、前記支持台の上下方向の配置間隔よりも小さい距離、前記支持台を通常時とは逆方向に移動させることを特徴とする供給装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の供給装置であって、
前記個別化部に前記ボビンが詰まったことを検出するセンサを備え、
前記駆動部は、前記センサが前記詰まりを検出した場合に、50mm以上120mm以下、前記支持台を通常時とは逆方向に移動させることを特徴とする供給装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の供給装置であって、
前記個別化部に前記ボビンが詰まったことを検出する検出部と、
前記個別化部から供給された前記ボビンを次工程に搬送する搬送部と、
を備え、
前記検出部が前記詰まりを検出した場合に、前記搬送部から直接前記受け部に前記ボビンを戻すことを特徴とする供給装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記案内部が前記第2方向に並べて4個以上9個以下設けられていることを特徴とする供給装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記案内部が第2方向に並べて複数設けられており、
前記第2方向において、前記案内部の間隔が25mm以上60mm以下であることを特徴とする供給装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記案内部の上下方向の長さは、50mm以上150mm以下であることを特徴とする供給装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記駆動部がステッピングモータであることを特徴とする供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、紡績機で生成された糸が巻かれたボビンを糸巻取機に供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2の給糸ボビン供給装置には、複数の給糸ボビンが投入される。複数の給糸ボビンは、給糸ボビン供給装置が備える個別化部によって、1本ずつ取り上げられ、個別化される。個別化部は、無端環状体と、ボビン皿(支持台)と、駆動源と、を備える。ボビン皿は無端環状体に固定されている。駆動源は無端環状体を駆動する。以上の構成により、個別化部に案内された給糸ボビンは、ボビン皿によってすくい上げられてボビン皿に載る。その後、個別化部は、ボビン皿に給糸ボビンを載せて搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-184074号公報
【特許文献2】特開2012-184075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個別化部に供給される給糸ボビン(ボビン)の勢いや姿勢により、給糸ボビンがボビン皿の上側に載らずにボビン皿の下側に落ちることがあり得る。この場合、給糸ボビンがボビン皿の下方に入り込んで、個別化部に詰まりが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、個別化部に供給されるボビンが支持台の下方に入り込むことに起因する詰まりを抑制可能な供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の供給装置が提供される。即ち、供給装置は、紡績機で生成された糸が巻かれたボビンを糸巻取機に供給する。供給装置は、受け部と、個別化部と、を備える。前記受け部には、複数の前記ボビンが投入される。前記個別化部は、前記受け部から供給された複数の前記ボビンを個別の前記ボビンに分離して上方に搬送する。前記個別化部は、支持台と、駆動部と、を有する。前記支持台には、前記ボビンが載せられ、前記ボビンを支持する。前記駆動部は、前記支持台を上下方向に移動させる。前記個別化部は、前記支持台に1つの前記ボビンが載るように1又は複数の前記ボビンを前記支持台から落として分離する。平面視において、前記受け部から前記個別化部に前記ボビンが供給される方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向とする。前記支持台には、前記第1方向を長手方向とするスリットが形成されている。前記受け部又は前記個別化部は、前記支持台に前記ボビンを載せる導入領域において、前記スリットを通る案内部を有する。前記案内部により案内された前記ボビンを前記支持台がすくい上げて、前記支持台に前記ボビンを載せる。
【0008】
これにより、ボビンが案内部によって案内されるため、ボビンをすくい上げて支持台に載せる際に、ボビンが支持台の下方に移動しない。従って、個別化部の詰まりを抑制できる。
【0009】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記案内部は前記受け部に設けられている。前記個別化部は、前記支持台が前記ボビンを搬送する搬送方向に沿って設けられ、前記支持台に1つの前記ボビンが載るように1又は複数の前記ボビンを前記支持台から落として分離する分離部材を有する。前記案内部と前記分離部材は別体である。前記分離部材及び前記案内部が1つの前記スリットを通る。
【0010】
これにより、案内部と分離部材が別体なので、溶接等の複雑な構成を避けることができる。
【0011】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、前記個別化部に前記ボビンが詰まったことを検出するセンサを備える。前記駆動部は、前記センサが前記詰まりを検出した場合に、前記支持台の上下方向の配置間隔よりも小さい距離、前記支持台を通常時とは逆方向に移動させる。
【0012】
これにより、仮に個別化部が詰まった場合でも、詰まりを解消できる。
【0013】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、前記個別化部に前記ボビンが詰まったことを検出するセンサを備える。前記駆動部は、前記センサが前記詰まりを検出した場合に、50mm以上120mm以下、前記支持台を通常時とは逆方向に移動させる。
【0014】
これにより、ボビンの軸方向の長さを考慮した適切な長さの移動を行って、個別化部の詰まりを解消できる。
【0015】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、供給装置は、検出部と、搬送部と、を備える。前記検出部は、前記個別化部に前記ボビンが詰まったことを検出する。前記搬送部は、前記個別化部が搬送した前記ボビンを次工程に搬送する。前記搬送部は、前記センサが前記詰まりを検出した場合に、前記搬送部から直接前記受け部に前記ボビンを戻す。
【0016】
これにより、個別化部の詰まりに起因する不具合を未然に防止できる。
【0017】
前記の供給装置においては、前記案内部が前記第2方向に並べて4個以上9個以下設けられていることが好ましい。
【0018】
これにより、第2方向の様々な位置にボビンが位置するようにボビンがすくい上げられた場合でも、ボビンが支持台の下方に移動しない。
【0019】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記スリット及び前記案内部が第2方向に並べて複数設けられている。前記第2方向において、前記案内部の間隔が25mm以上60mm以下である。また、前記の供給装置においては、前記案内部の上下方向の長さは、50mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0020】
これにより、標準的なボビンのサイズを考慮した適切なサイズの供給装置を実現できる。
【0021】
前記の供給装置においては、前記駆動部がステッピングモータであることが好ましい。
【0022】
これにより、仮に個別化部の詰まりが発生した場合でも、ステッピングモータが脱調するため、個別化部等の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る供給装置の側面断面図。
図2】供給装置の平面図。
図3】個別化部の全体断面図。
図4】個別化部の全体斜視図。
図5】個別化部の下部分の斜視図。
図6】個別化部でボビンが分離される様子を示す断面図。
図7】個別化部の詰まりに関して制御装置が行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0025】
初めに、図1及び図2を参照して、供給装置1の概要について説明する。以下の説明では、ボビン91が搬送される方向の上流、下流を単に上流、下流と称する。
【0026】
供給装置1は、ボビン91を自動ワインダ等の糸巻取機に供給する。ボビン91は、紡績機で生成された糸を芯管に巻くことで形成された給糸ボビンである。糸巻取機は、ボビン91に巻かれた糸を巻き取ってパッケージを形成する。図1に示すように、供給装置1は、受け部10と、個別化部20と、セット部30と、制御装置40と、を備える。
【0027】
図1に示す収容体90には、紡績機で形成された複数のボビン91が収容されている。収容体90は、箱状の部材であり、上側に開口が形成されている。オペレータ又は図略の投入装置により、収容体90が傾けられて開口が下向きになることにより、収容体90に収容された複数のボビン91が受け部10に投入される。
【0028】
受け部10は、滞留部11と、制限部12と、傾斜部13と、を有する。収容体90から投入されたボビン91は、滞留部11に一時的に滞留する。また、滞留部11は下流側に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面を有しており、ボビン91を自重により搬送できる。なお、斜面に代えてコンベアを用いてボビン91を搬送してもよい。
【0029】
制限部12は、ボビン91の搬送方向において、滞留部11と傾斜部13の間に設けられている。制限部12は、昇降可能である。制限部12が昇降することにより、制限部12は上昇状態と下降状態の間で位置を変更する。制限部12が上昇状態にある間は、ボビン91の移動が阻止される。制限部12が下降状態にある間は、ボビン91の移動が許容される。また、制限部12が上昇状態と下降状態を所定のタイミングで切り替えることにより、滞留部11から傾斜部13へのボビン91の供給量を調整できる。
【0030】
傾斜部13は、下流側に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面を有している。傾斜部13は、ボビン91を自重によって搬送する。ボビン91は、倒れた状態で傾斜部13を転がる又は滑り落ちて移動し、個別化部20に供給される。ボビン91が倒れた状態とは、ボビン91が搬送面(傾斜面等)に対して立ちあがっておらず、かつ、ボビン91の軸方向が搬送面と平行又は略平行なことである。
【0031】
図2に示すように、平面視において、滞留部11がボビン91を搬送する方向と、傾斜部13がボビン91を搬送する方向と、は直交する。ただし、これらの方向は、90度以外の角度で交差してもよいし、一致していてもよい。また、以下の説明では、平面視において、傾斜部13がボビン91を搬送する方向(特に、傾斜部13がボビン91を個別化部20に供給する方向)を第1方向と称する。また、平面視において第1方向と直交する方向を第2方向と称する。本実施形態では、滞留部11がボビン91を搬送する方向と第2方向とが一致するが、異なっていてもよい。
【0032】
個別化部20は、受け部10の傾斜部13から供給された複数のボビン91を個別のボビン91に分離して1つずつ上方向に搬送する。個別化部20が搬送したボビン91は、搬送部50を介して、セット部30まで搬送される。なお、個別化部20の詳細については後述する。
【0033】
セット部30は、個別化部20から供給されたボビン91をトレイ92にセットする。トレイ92はコンベア等によって構成された搬送経路93に沿って移動可能である。ボビン91は、トレイ92にセットされた状態で搬送経路93に沿って移動し、糸巻取機に供給される。
【0034】
制御装置40は、CPU等の演算装置と、RAMと、ストレージと、を備える。ストレージは、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等である。ストレージには、供給装置1に関するプログラムと、プログラムの実行に必要な条件等のデータと、が記憶されている。演算装置は、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御装置40は、制限部12、個別化部20、及びセット部30に関する様々な制御を行う。
【0035】
次に、図3から図6を参照して、個別化部20について詳細に説明する。
【0036】
個別化部20は、ベルト21と、上下に配置された2つの回転ローラ22と、駆動部23と、で構成されるコンベアを有する。ベルト21は、帯状(シート状)の部材である。ベルト21は、2つの回転ローラ22にループ状に掛け渡されている。上側の回転ローラ22は、駆動部23によって回転駆動される。本実施形態において、駆動部23はステッピングモータである。当該ステッピングモータの出力軸の回転は、駆動伝達ベルト等を介して、上側の回転ローラ22に伝達される。これにより、ベルト21が上下方向に循環駆動される。
【0037】
ベルト21の外側面には、支持台25が設けられている。支持台25は、ベルト21の長手方向において等間隔で設けられている。支持台25は、ベルト21と一体的に上下方向に移動する。また、支持台25には、ボビン91が載せられる。これにより、支持台25は、載せられたボビン91を支持しつつ、ボビン91を搬送する。支持台25は、倒れた状態のボビン91を載せることができるように長方形の面を有している。この長方形の支持台25は、その長手方向が、ベルト21の幅方向に沿うようにして、ベルト21に取り付けられている。
【0038】
また、図4及び図5に示すように、支持台25には、奥行方向(第1方向)に沿う方向にスリット26が形成されている。また、スリット26は、支持台25の長手方向に複数形成されている。複数のスリット26には、それぞれ分離部材27が通っている。分離部材27は、例えば金属製のワイヤである。ただし、分離部材27は金属製のワイヤに限られない。
【0039】
図4に示すように、支持台25の長手方向の端部25aは、ボビン91を搬送する領域の外側に位置している。個別化部20は、端部25aを検出するベルトセンサ(検出部)28を備える。ベルトセンサ28は、ベルト21ではなく、個別化部20のフレーム等に取り付けられている。ベルトセンサ28は、例えば、接触式センサ又は非接触式センサ(マグネットセンサ、又は、光センサ等)である。ベルトセンサ28は、検出結果を制御装置40へ送信する。ベルト21が駆動された状態において、端部25aはベルト21とともに移動するが、ベルトセンサ28の位置は変わらない。従って、ベルト21が駆動された状態において、ベルトセンサ28は、端部25aの検出と非検出とを交互に繰り返す。しかし、個別化部20に詰まりが生じている場合、ベルト21が駆動されているにもかかわらず、ベルトセンサ28の検出結果は変化しない。つまり、ベルトセンサ28は、端部25aを検出し続ける状態を維持するか、端部25aを検出しない状態を維持する。制御装置40は、駆動部23が動作しており、かつ、ベルトセンサ28の検出結果が閾値時間内で変化しない場合、個別化部20に詰まりがあると判定する。個別化部20の詰まりを検出する検出部はベルトセンサ28に限られない。例えば、駆動部23の負荷を参照し、負荷が閾値より大きい場合に個別化部20の詰まりが生じたと判定する演算装置が検出部であってもよい。
【0040】
図3に示すように、個別化部20は、ボビン91が上昇する上昇領域において下流側から順に、導入領域と、分離領域と、搬送領域と、に区分される。導入領域は、受け部10から供給されたボビン91を支持台25に載せるための領域である。分離領域は、導入領域で複数のボビン91が支持台25に載った場合において、支持台25に1つのボビン91が載るように他のボビン91を落として分離するための領域である。搬送領域は、分離領域で1つのボビン91が支持台25に載るようになった状態で、ボビン91をセット部30に向けて搬送するための領域である。分離部材27は、導入領域に位置する第1部材61、分離領域に位置する第3部材63、及び、搬送領域に位置する第2部材62を有する。また、分離部材27は、支持台25に載ったボビン91を落として搬送部50に搬送するための第4部材を有する。
【0041】
図3及び図5に示すように、傾斜部13の下流側の端部は、個別化部20の導入領域に隣接する。傾斜部13によって自重で移動したボビン91は、ベルト21が駆動された状態において、個別化部20の導入領域に投入される。これにより、ボビン91は、上下に並ぶ支持台25の間に投入される。支持台25は上方に移動しているため、支持台25によってボビン91がすくい上げられる。これにより、支持台25に1又は複数のボビン91が載せられる。
【0042】
ここで、従来の供給装置では、ボビン91が投入されるタイミングによっては、案内部14の下方に存在する空間20aにボビン91が入り込む可能性がある。空間20aにボビン91が入り込み、かつ、ボビン91が何れかの位置に引っ掛かる等して支持台25がボビン91をすくい上げられなかった場合、個別化部20の詰まりが生じる。この種の詰まりを抑制するために、受け部10は、図3及び図5に示す案内部14を備える。なお空間20aには、コンベアの下方を覆う壁部(床部)で仕切られる空間も含む。
【0043】
案内部14の一部(具体的には上面)が導入領域に位置している。さらに案内部14は、傾斜部13によって案内されたボビン91であって、かつ、支持台25にすくい上げられる前のボビン91を案内する板状の部材である。本実施形態の案内部14は、分離部材27とは別体である。案内部14は、板の側面(厚み方向に平行な面)でボビン91を案内する。案内部14による案内とは、ボビン91が空間20aに入り込まないようにボビン91の位置を規制することである。従って、傾斜部13によって個別化部20に向けて供給されたボビン91は、案内部14によって案内され、案内部14によって案内されている状態のボビン91が支持台25によってすくい上げられる。
【0044】
案内部14は傾斜部13に接続されており、移動不能な構成である。案内部14の少なくとも一部は、支持台25のスリット26を通る。また、支持台25には、第2方向に並ぶ複数のスリット26が形成されている。一方、案内部14は、第2方向に並べて複数設けられている。そして、1つのスリット26に1つの案内部14が入り込んでいる。案内部14をスリット26に入れることにより、案内部14と支持台25の物理的な干渉を防止しつつ、案内部14の上にあるボビン91を支持台25ですくい上げることが可能となる。また、導入領域では、支持台25が複数のボビン91をすくい上げることにより、複数のボビン91が支持台25に載ることがある。
【0045】
また、案内部14の上面は、傾斜部13と同様、下流に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面である。これにより、傾斜部13から案内部14に到達したボビン91を更に下流まで案内できる。また、スリット26には、更に分離部材27の第1部材61が位置している。支持台25によるボビン91のすくい上げは、第1方向において第1部材61から支持台25の先端までの範囲で行われる。支持台25の先端とは、支持台25における第1方向での上流側(傾斜部13側)の端である。つまり、第1部材61は、導入領域において支持台25のうちボビン91を載せることが可能な範囲を規定する機能を有する。また、第1部材61は、ボビン91が下流に移動し過ぎてベルト21に当たることを防止するためのストッパとしても機能する。つまり、案内部14と分離部材27(第1部材61)により、支持台25がすくい上げることが可能な位置にボビン91を留めておくことができる。
【0046】
なお、上述した案内部14の構成は一例であり、以下のように変更可能である。初めに、案内部14は個別化部20側の部材であってもよい。例えば、ベルト21の下側を覆う壁部又は分離部材27に案内部14が溶接等により固定されていてもよい。あるいは、分離部材27を傾斜部13側に突出させることで案内部14を構成してもよい。また、全てのスリット26に案内部14が入っていることは必須ではなく、案内部14が入らないスリット26があってもよい。また、案内部14は板状に限られず、支持台25と干渉しなければブロック状であってもよい。
【0047】
分離領域では、分離部材27の第3部材63がボビン91に接触することにより、支持台25に載るボビン91が1つになるように、1又は複数のボビン91が支持台25から落とされる。図3に示すように、第3部材63は、先端側(第1方向での上流側)に突出する形状である。具体的には、第3部材63は、第1突出部63aと、第2突出部63bと、を有する。第2突出部63bは、第1突出部63aよりも上方(即ち、下流側)に設けられる。第1突出部63aの形状は、第2突出部63bの形状とは異なる。具体的には、第1突出部63aの上下方向に平行な部分の長さLaは、第2突出部63bの上下方向に平行な部分の長さLbより短い。
【0048】
図6に示すように、支持台25に載って搬送されるボビン91は、第1突出部63aの位置にさしかかると、第1突出部63aによって支持台25の先端側に向かって押される。例えば1つの支持台25に2本のボビン91が上下に重なって載っている場合、2本のボビン91は、第1突出部63aによって押されることにより、上側のボビン91の姿勢が崩れる。姿勢が崩れた結果、上に位置するボビン91が支持台25から落ちる可能性がある。ボビン91が支持台25から落ちない場合であっても、2つのボビン91が第1方向に沿って並ぶ可能性がある。その後、支持台25に載って搬送される2つのボビン91は、第2突出部63bの位置にさしかかると、第2突出部63bによって支持台25の先端側に向かって押される。これにより、第1方向に並ぶ2つのボビン91のうち先端側に位置するボビン91を高確率で下方に落とすことができる。また、第1突出部63aと第2突出部63bは形状が異なるため(詳細には長さLbが長さLaより長いため)、第1突出部63aと第2突出部63bでは、ボビン91への力の掛け方が異なる。そのため、例えば、2つのボビン91が第1突出部63aによって押された結果、ボビン91の落下も並び変更も生じない場合であっても、第2突出部63bがボビン91を押すことにより、1つのボビン91が支持台25から落ちる可能性がある。
【0049】
このように、第3部材63は2つの突出部を有し、短い方の第1突出部63aで不要なボビン91の姿勢を崩してボビン91を落とす。ボビン91が落ちない場合であっても、第2突出部63bにより1つのボビン91を落とすことができる。これにより、支持台25に載せられた2つのボビン91のうち一方のボビン91だけを的確に落とすことができる。
【0050】
なお、本実施形態の第3部材63の形状は一例であり、例えば以下のように変更可能である。突出部は2つに限られず、1つ又は3つであってもよい。第1突出部63a及び第2突出部63bは直線状に限られず、曲線を含んでいてもよい。長さLaと長さLbは同じであってもよいし、長さLaが長さLbより長くてもよい。また、第1突出部63aと第2突出部63bは、同一形状であってもよい。
【0051】
搬送領域において、スリット26には、分離部材27の第2部材62が位置している。第2部材62は、搬送領域において支持台25のうちボビン91を載せることが可能な範囲を規定する機能を有する。即ち、搬送領域での支持台25によるボビン91の搬送は、第1方向において第3部材63から支持台25の先端までの範囲で行われる。
【0052】
図3に示すように、搬送領域には、接触センサ71が設けられている。接触センサ71は、支持台25によって搬送されるボビン91を検出する接触式センサである。接触センサ71は、スリット26を通る位置に設けられており、支持台25には接触しないが、支持台25に載せられたボビン91には接触する。接触センサ71は、ボビン91の検出結果を制御装置40に送信する。
【0053】
スリット26、分離部材27、及び案内部14が設けられる数は特に限定されない。ただし、ボビン91の位置や姿勢に関係なく分離部材27及び案内部14がボビン91に接触できるようにするため、分離部材27及び案内部14は、第1方向に並べて4個以上9個以下設けられることが好ましい。なお、本実施形態のように1つのスリット26に1つの分離部材27と案内部14が設けられる場合は、スリット26も同様に、4個以上9個以下設けられることが好ましい。
【0054】
個別化部20によって1つずつ搬送されたボビン91は、搬送部50を介して、セット部30に搬送される。図4に示すように、搬送部50は、コンベア51と、ボビンセンサ52と、開口部53と、有する。
【0055】
コンベア51は、図略の駆動部が発生させた動力で駆動する。コンベア51は、ボビン91をセット部30に向けて搬送する。ボビンセンサ52は、搬送部50にボビン91が存在するか否かを検出する。ボビンセンサ52はボビン91の検出結果を制御装置40に送信する。ボビンセンサ52は、例えば光センサであるが、他のセンサであってもよい。開口部53は、搬送部50の搬送方向の上流側に形成された開口である。開口部53は、ボビン91が通過可能なサイズである。開口部53の下方には、傾斜部13が位置している。開口部53は、個別化部20に詰まりが生じた際にボビン91を傾斜部13に戻すために用いられる。
【0056】
次に、図7を参照して、個別化部20の詰まりに応じて制御装置40が行う処理について説明する。
【0057】
制御装置40は、ベルトセンサ28及びボビンセンサ52の検出結果を取得する(S101)。制御装置40は、ベルトセンサ28の検出結果に基づいて上述したように個別化部20に詰まりがあるか否かを判定する。制御装置40は、個別化部20に詰まりがあると判定した場合、個別化部20の駆動部23を制御して、ベルト21を逆方向に所定長さ駆動する(S103)。ここで、逆方向とは、個別化部20の通常の搬送時とは逆方向であることを意味する。
【0058】
個別化部20の詰まりは、例えば、ボビン91が支持台25等に引っ掛かって外れない場合に生じる。なお、本実施形態の駆動部23はステッピングモータであるため、所定以上の負荷が掛かった場合は脱調するため、駆動部23や支持台25が破損することはない。また、ベルト21を逆方向に駆動することにより、ボビン91の引っ掛かりが解消される可能性がある。また、所定長さは、例えば、支持台25の上下方向(ベルト21の長手方向)の配置間隔である間隔D1(図3)よりも短いことが好ましい。仮に、所定長さが支持台25の上下方向の配置間隔よりも長い場合、支持台25の下方に入り込んだボビン91が新たに引っ掛かる可能性があるからである。更に、所定長さが長過ぎる場合、案内部14と支持台25によってボビン91を挟んでしまう可能性がある。間隔D1又はその他の条件を考慮すると、所定長さは、50mm以上120mm以下であることが好ましい。
【0059】
次に、制御装置40は、ボビンセンサ52の検出結果に基づいて搬送部50にボビン91が存在するか否かを判定する(S104)。搬送部50にボビン91が存在している状態で、個別化部20によるボビン91の搬送を開始した場合、搬送部50に複数のボビン91が存在する状態が発生し得る。そのため、制御装置40は、搬送部50にボビン91が存在すると判定した場合、搬送部50の図略の駆動部を制御して、コンベア51を逆方向に所定長さ駆動する(S105)。ここで、逆方向とは、搬送部50の通常の搬送時とは逆方向であることを意味する。搬送部50を逆方向に駆動することにより、ボビン91を開口部53から落として、ボビン91を直接(即ち、個別化部20を介さずに)傾斜部13に戻すことができる。
【0060】
その後、制御装置40は、個別化部20の駆動部23を制御して、ベルト21を通常の搬送方向に駆動する(S106)。これにより、個別化部20によるボビン91の個別化及び搬送が再開される(S106)。なお、制御装置40は、個別化部20の詰まりが解消したか否かの判定を再度行ってもよい。つまり、ステップS105の後において、ステップS102と同様の判定を行う個別化部20の詰まりが無いと判定した場合にステップS106の処理を行ってもよい。
【0061】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、ステップS104,S105の処理を省略してもよい。
【0062】
次に、個別化部20の各部の好適な長さについて説明する。
【0063】
初めに、図3を参照して、案内部14の高さH1について説明する。案内部14の高さH1は、上下方向における下端から上端までの長さである。高さH1が短過ぎる場合、案内部14の下方に存在する空間20aが大きくなるため、当該空間20aにボビン91が入り込む事態が発生し得る。更に、高さH1が短過ぎる場合、第2方向及び下方向にボビン91が移動し、空間20aにボビン91が入り込む事態が発生し得る。一方で、高さH1が長過ぎる場合、第2方向及び下方向にボビン91が進むことが出来ず、当該空間20aにボビン91が入り込みにくくなる。当該空間20aにボビン91が入り込むためには、案内部14の間をボビン91が下方向のみに進む必要がある。つまり、ボビン91の軸方向が上下方向と平行になる必要があるため、当該空間20aにボビン91が入り込むことが難しくなる。また、ボビン91の大きさ及び支持台25の間隔D1等を考慮すると、高さH1を大きくし過ぎる必要はない。以上の事情を総合的に考慮すると、高さH1は、50mm以上150mm以下であることが好ましい。なお、高さH1は、この範囲を外れていてもよい。
【0064】
次に、図5を参照して、間隔D2について説明する。間隔D2は、第2方向における案内部14同士の間隔である。案内部14同士の間隔が広過ぎる場合、ボビン91が案内部14同士の間から落ちて、ボビン91が空間20aに到達してしまう可能性がある。一方で、案内部14同士の間隔が狭過ぎる場合、大量の案内部14が必要となるためコストが高くなる。更に、案内部14同士の間隔が狭過ぎる場合は、支持台25のうちボビン91を支持する部分が細くなる。更に、スリット26の数が増えるため、加工に必要なコストが増えるとともに、支持台25の強度が低下する可能性がある。また、ボビン91が案内部14同士の間から落ちることを防止するために、案内部14の厚みを大きくした場合、材料のコストが高くなるとともに、スリットが大きくなるためボビン91をすくい上げる機能が低下する。以上の事情を総合的に考慮すると、間隔D2は、25mm以上60mm以下であることが好ましい。なお、間隔D2は、この範囲を外れていてもよい。
【0065】
以上に説明したように、供給装置1は、紡績機で生成された糸が巻かれたボビン91を糸巻取機に供給する。供給装置1は、受け部10と、個別化部20と、を備える。受け部10には、複数のボビン91が投入される。個別化部20は、受け部10から供給された複数のボビン91を個別のボビン91に分離して上方に搬送する。個別化部20は、支持台25と、駆動部23と、を有する。支持台25には、ボビン91が載せられ、ボビン91を支持する。駆動部23は、支持台25を上下方向に移動させる。個別化部20は、支持台25に1つのボビン91が載るように1又は複数のボビン91を支持台25から落として分離する。平面視において、受け部10から個別化部20にボビン91が供給される方向を第1方向とし、第1方向と直交する方向を第2方向とする。支持台25には、第1方向を長手方向とするスリット26が形成されている。受け部10又は個別化部20は、支持台25にボビン91を載せる導入領域において、スリット26を通る案内部14を有する。案内部14により案内されたボビン91を支持台25がすくい上げて、支持台25にボビン91を載せる。
【0066】
これにより、ボビン91が案内部14によって案内されるため、ボビンをすくい上げて支持台25に載せる際に、ボビン91が支持台25の下方に移動しない。従って、個別化部20の詰まりを抑制できる。
【0067】
本実施形態の供給装置1において、案内部14は受け部10に設けられている。個別化部20は、支持台25がボビン91を搬送する搬送方向に沿って設けられ、支持台25に1つのボビン91が載るように1又は複数のボビン91を支持台25から落として分離する分離部材27を有する。案内部14と分離部材27は別体である。分離部材27及び案内部14が1つのスリット26を通る。
【0068】
これにより、案内部14と分離部材27が別体なので、溶接等の複雑な構成を避けることができる
【0069】
本実施形態の供給装置1は、個別化部20にボビン91が詰まったことを検出するベルトセンサ28を備える。駆動部23は、ベルトセンサ28が詰まりを検出した場合に、支持台25の上下方向の配置間隔よりも小さい距離、支持台25を通常時とは逆方向に移動させる。
【0070】
これにより、仮に個別化部20が詰まった場合でも、詰まりを解消できる。
【0071】
本実施形態の供給装置1は、個別化部20にボビン91が詰まったことを検出するベルトセンサ28を備える。駆動部23は、ベルトセンサ28が詰まりを検出した場合に、50mm以上120mm以下、支持台25を通常時とは逆方向に移動させる。
【0072】
これにより、ボビン91の軸方向の長さを考慮した適切な長さの移動を行って、個別化部20の詰まりを解消できる。
【0073】
本実施形態の供給装置1は、ベルトセンサ28と、搬送部50と、を備える。ベルトセンサ28は、個別化部20にボビン91が詰まったことを検出する。搬送部50は、個別化部20が搬送したボビン91を次工程に搬送する。搬送部50は、ベルトセンサ28が詰まりを検出した場合に、搬送部50から直接受け部10にボビン91を戻す。
【0074】
これにより、個別化部20の詰まりに起因する不具合を未然に防止できる。
【0075】
本実施形態の供給装置1において、案内部14が第2方向に並べて4個以上9個以下設けられている。
【0076】
これにより、支持台25の第2方向の様々な位置にボビン91が位置した場合でも、ボビン91が支持台25の下方に移動しない。
【0077】
本実施形態の供給装置1において、スリット26及び案内部14が第2方向に並べて複数設けられている。第2方向において、案内部14の間隔D2が25mm以上60mm以下である。また、案内部14の上下方向の高さH1は、50mm以上150mm以下である。
【0078】
これにより、標準的なボビン91のサイズを考慮した適切なサイズの供給装置1を実現できる。
【0079】
本実施形態の供給装置1において、駆動部23がステッピングモータである。
【0080】
これにより、仮に個別化部20の詰まりが発生した場合でも、ステッピングモータが脱調するため、個別化部20等の破損を防止できる。
【符号の説明】
【0081】
1 供給装置
10 受け部
14 案内部
20 個別化部
28 ベルトセンサ(検出部)
25 支持台
26 スリット
27 分離部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7