(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174644
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65H67/06 C
B65H67/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092573
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】古谷 喜久
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112BA03
3F112CA03
3F112GC06
3F112KA03
3F112TA03
(57)【要約】
【課題】ボビンの搬送面の幅が狭くなる箇所においてボビンの詰まりが発生しにくい供給装置を提供する。
【解決手段】供給装置は、搬送装置と、投入装置と、を備える。投入装置は、搬送面16と、ガイド部17と、を有する。搬送面16では、収容体から搬送装置に投入されるボビンが流れて搬送される。ガイド部17は、搬送面16から立ち上がるように設けられ、ボビンをガイドする。ガイド部17は、第1傾斜ガイド23と、第2傾斜ガイド24と、を有する。第1傾斜ガイド23は、搬送面16の幅方向の中央より第1側に位置し、ボビンを幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する。第2傾斜ガイド24は、搬送面16の幅方向の中央より第2側に位置し、ボビンを幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する。第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24の傾斜面は、搬送方向において一部のみが重複する位置又は完全に異なる位置に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸が巻かれたボビンを搬送する搬送装置と、
前記ボビンが収容された収容体から前記ボビンを前記搬送装置に投入する投入装置と、
を備え、
前記投入装置は、
前記収容体から前記搬送装置に投入される前記ボビンが流れて搬送される搬送面と、
前記搬送面から立ち上がるように設けられ、前記ボビンをガイドするガイド部と、
を有し、
前記搬送面は、前記ボビンが搬送される搬送方向の下流に近づくにつれて低くなる形状であり、
前記ガイド部は、
前記搬送面において前記搬送方向と直交する幅方向において、前記搬送面の中央より第1側に位置し、前記ボビンを前記幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する第1傾斜ガイドと、
前記幅方向において前記搬送面の中央より第2側に位置し、前記ボビンを前記幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する第2傾斜ガイドと、
を有し、
前記第1傾斜ガイド及び前記第2傾斜ガイドの前記傾斜面は、前記搬送方向において一部のみが重複する位置又は完全に異なる位置に設けられることを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置であって、
前記第1傾斜ガイドの前記傾斜面の前記搬送方向の下流端と、前記第2傾斜ガイド前記傾斜面の前記搬送方向の下流端と、の前記搬送方向における離間距離は、50mm以上240mm以下であることを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の供給装置であって、
前記第1傾斜ガイドは、
第1部材と、
前記搬送方向において前記第1部材の下流に配置される第2部材と、
を有し、
前記搬送面に前記第1部材と前記第2部材を投影したときに、前記第1部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度は、前記第2部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度と異なることを特徴とする供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の供給装置であって、
前記搬送面に前記第2部材と前記第2傾斜ガイドを投影したときに、前記第2部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度は、前記第2傾斜ガイドの前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度より大きいことを特徴とする供給装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の供給装置であって、
前記搬送面に前記第1部材と前記第2部材を投影したときに、前記第1部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度は、前記第2部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度より小さく、
前記第2部材は、前記第1部材の一部を収容可能な空間を有しており、
前記第1部材は、前記第2部材の空間に入り込むようにして前記第2部材に対して移動可能であることを特徴とする供給装置。
【請求項6】
請求項3から5までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記搬送面に前記第2部材を投影したときに、前記第2部材の前記傾斜面の長さが80mm以上200mm以下であることを特徴とする供給装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の供給装置であって、
前記投入装置は、水平方向を回転中心として前記搬送面と一体的に回転する回転部を備え、
前記回転部が回転することにより準備姿勢と投入姿勢との間で前記投入装置の姿勢が変更され、
前記準備姿勢は、前記収容体をセットするための姿勢であり、
前記投入姿勢は、前記搬送方向の下流に近づくにつれて前記搬送面の高さが低くなる姿勢であることを特徴とする供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、搬送装置にボビンを投入する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワゴンに収容された給糸ボビンを自動ワインダに向けて供給する給糸ボビン供給装置を開示する。給糸ボビン供給装置は、投入装置を備える。投入装置は、ワゴンを回転させることにより、ワゴンに収容された給糸ボビンを排出させる。投入装置には、幅方向の両端にガイド板が設けられている。ガイド板は、ワゴンから排出された給糸ボビンが幅方向の外側に落ちないようにガイドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなガイド板でボビンをガイドする構成において、ボビンの搬送方向の下流に近づくにつれて幅が狭くなる箇所がある場合、幅方向の内側に向かう両側のボビン同士の力が均衡して、ボビンが詰まることがある。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、ボビンの搬送面の幅が狭くなる箇所においてボビンの詰まりが発生しにくい供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の供給装置が提供される。即ち、供給装置は、搬送装置と、投入装置と、を備える。前記搬送装置は、糸が巻かれたボビンを搬送する。前記投入装置は、前記ボビンが収容された収容体から前記ボビンを前記搬送装置に投入する。前記投入装置は、搬送面と、ガイド部と、を有する。前記搬送面では、前記収容体から前記搬送装置に投入される前記ボビンが流れて搬送される。前記ガイド部は、前記搬送面から立ち上がるように設けられ、前記ボビンをガイドする。前記搬送面は、前記ボビンが搬送される搬送方向の下流に近づくにつれて低くなる形状である。前記ガイド部は、第1傾斜ガイドと、第2傾斜ガイドと、を有する。前記第1傾斜ガイドは、前記搬送面において前記搬送方向と直交する幅方向において、前記搬送面の中央より第1側に位置し、前記ボビンを前記幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する。前記第2傾斜ガイドは、前記幅方向において前記搬送面の幅方向の中央より第2側に位置し、前記ボビンを前記幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する。前記第1傾斜ガイド及び前記第2傾斜ガイドの前記傾斜面は、前記搬送方向において一部のみが重複する位置又は完全に異なる位置に設けられる。
【0008】
これにより、第1傾斜ガイドと第2傾斜ガイドが設けられる範囲が搬送方向において一致しない。そのため、幅方向の内側に向かうボビン同士の力が均衡しにくいので、搬送面を搬送されるボビンが詰まりにくい。
【0009】
前記の供給装置においては、前記第1傾斜ガイドの前記搬送方向の前記傾斜面の下流端と、前記第2傾斜ガイドの前記搬送方向の前記傾斜面の下流端と、の前記搬送方向における離間距離は、50mm以上240mm以下であることが好ましい。
【0010】
これにより、ボビンの詰まりを発生しにくくするための最低限の長さを維持しつつ、かつ、装置サイズが過剰に大きくなることを抑制できる。
【0011】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1傾斜ガイドは、第1部材と、第2部材と、を有する。前記第2部材は、前記搬送方向において前記第1部材の下流に配置される。前記搬送面に前記第1部材と前記第2部材を投影したときに、前記第1部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度は、前記第2部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度と異なる。
【0012】
これにより、傾斜面の角度が異なる2つの部材を用いることで、ボビンの詰まりが発生しにくいという効果と、装置サイズの過大を抑制するという効果と、を両立させ易くなる。
【0013】
前記の供給装置においては、前記搬送面に前記第2部材と前記第2傾斜ガイドを投影したときに、前記第2部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度は、前記第2傾斜ガイドの前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度より大きいことが好ましい。
【0014】
第2部材の傾斜面の角度が大きいことにより、第1傾斜ガイドの搬送方向の長さが抑えられる。そのため、搬送方向において第1傾斜ガイドが設けられておらずかつ第2傾斜ガイドが設けられている範囲の長さを長くすることができる。これにより、ボビンの詰まりが一層発生しにくい。
【0015】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記搬送面に前記第1部材と前記第2部材を投影したときに、前記第1部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度は、前記第2部材の前記傾斜面が前記搬送方向に対して傾斜する角度より小さい。前記第2部材は、前記第1部材の一部を収容可能な空間を有している。前記第1部材は、前記第2部材の空間に入り込むようにして前記第2部材に対して移動可能である。
【0016】
これにより、第2部材に対して第1部材を移動させることで、第1傾斜ガイドの形状又はサイズを変更することができる。
【0017】
前記の供給装置においては、前記搬送面に前記第2部材を投影したときに、前記第2部材の前記傾斜面の長さが80mm以上200mm以下であることが好ましい。
【0018】
これにより、ボビンを幅方向の内側に適切に案内しつつ、かつ、装置サイズが過剰に大きくなることを抑制できる。
【0019】
前記の供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記投入装置は、水平方向を回転中心として前記搬送面と一体的に回転する回転部を備える。前記回転部が回転することにより、準備姿勢と投入姿勢との間で前記投入装置の姿勢が変更される。前記準備姿勢は、前記収容体をセットするための姿勢である。前記投入姿勢は、前記搬送方向の下流に近づくにつれて前記搬送面の高さが低くなる姿勢である。
【0020】
これにより、投入装置を準備姿勢から投入姿勢に変更した際にボビンの詰まりを発生しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る供給装置の斜視図。
【
図6】第2部材に対して第1部材を移動させることを示す図。
【
図8】本実施形態のガイド部のボビンの流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
初めに、
図1から
図3を参照して、供給装置1の概要について説明する。供給装置1は、芯管に糸が巻かれたボビン91を供給する装置である。供給装置1が供給したボビンは、自動ワインダ等の糸巻取機に供給される。糸巻取機は、ボビンに巻かれた糸を巻き取ってパッケージを形成する。
図1に示すように、供給装置1は、投入装置2と、制御装置3と、搬送装置4と、を備える。
【0024】
投入装置2には、
図2に示す収容体90がセットされる。収容体90は、底部と、底部から立設する複数の側面と、を有しており、それらの内部に収容空間が形成される。収容体90の収容空間には、ボビン91が収容されている。
【0025】
投入装置2は、回転部11と、回転軸12と、モータ13と、を備える。回転部11は、回転軸12に回転可能に支持されている。回転軸12の軸方向は水平方向に平行である。モータ13は電気モータであり、制御装置3の指令に基づいて動力を発生させる。モータ13が発生させた動力により、回転部11が回転する。
【0026】
回転部11には、第1フレーム14と、第2フレーム15と、搬送面16と、ガイド部17と、が固定されている。第1フレーム14、第2フレーム15、搬送面16、及びガイド部17は、回転部11と一体的に回転する。第1フレーム14及び第2フレーム15には、収容体90がセットされる。搬送面16は、収容体90から供給されたボビン91を搬送装置4に向けて流れて搬送するための面である。ガイド部17は、搬送面16を流れるボビン91をガイドする。
【0027】
回転部11が回転することにより、投入装置2の姿勢は、準備姿勢と投入姿勢との間で変更される。準備姿勢とは、収容体90を第1フレーム14及び第2フレーム15にセットするための姿勢である。投入姿勢は、ボビン91を投入するための姿勢である。投入姿勢では、搬送方向の下流に近づくにつれて搬送面16の高さが低くなるため、ボビン91は自重で搬送面16に沿って流れる。
【0028】
本実施形態の投入装置2は回転することによりボビン91を搬送装置4に供給する。これに代えて、投入装置2は、回転せずに、斜面又はコンベアによりボビン91を搬送装置4に供給してもよい。
【0029】
制御装置3は、CPU等の演算装置と、RAMと、ストレージと、を備える。ストレージは、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等である。ストレージには、供給装置1に関するプログラムと、プログラムの実行に必要な条件等のデータと、が記憶されている。演算装置は、ストレージに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行する。これにより、制御装置3は、供給装置1に関する様々な制御(例えば投入装置2の姿勢を変更する制御)を行う。
【0030】
搬送装置4は、投入装置2が投入したボビン91を糸巻取機に向けて搬送する。搬送装置4は、例えば、斜面、コンベア、又は押圧部材等を用いて、ボビン91を搬送する。
【0031】
次に、ガイド部17について詳細に説明する。
【0032】
以下の説明では、搬送面16によってボビン91が搬送される方向を単に搬送方向と称する。ボビン91は実際には蛇行しながら搬送されることもあるが、蛇行を考慮せずに搬送経路に沿う方向が搬送方向に該当する。また、搬送面16において搬送方向と直交する方向を幅方向と称する。
図4は、搬送方向に垂直な方向で見た図である。そのため、
図4は、ガイド部17の各部を搬送面16に投影したときの位置関係を示す。以下では、ガイド部17の各部の位置関係を説明した場合、特に言及しない限り、搬送面16に投影したときの位置関係を示すものとする。
【0033】
ガイド部17は、搬送面16から垂直又は斜めに立ち上がるように設けられ、ボビン91をガイドする。ガイドするとは、幅方向においてボビン91が搬送面16から落ちないように、又は、ボビン91が下流に流れるように、ボビン91に接触してボビン91の位置を調整することである。また、それぞれのガイドにおいて、ボビン91に接触してボビン91をガイドする面をガイド面と称する。
図4に示すように、ガイド部17は、第1平行ガイド21と、第2平行ガイド22と、第1傾斜ガイド23と、第2傾斜ガイド24と、第1下流ガイド25と、第2下流ガイド26と、を備える。
【0034】
第1平行ガイド21は、幅方向の中央よりも第1側(詳細には幅方向の第1側の端部)に設けられている。第2平行ガイド22は、幅方向の中央よりも第2側(詳細には幅方向の第2側の端部)に設けられている。第1平行ガイド21と第2平行ガイド22は、搬送方向において一部が重複する位置に設けられている。
【0035】
第1平行ガイド21のガイド面と第2平行ガイド22のガイド面は、平行である。そのため、第1平行ガイド21及び第2平行ガイド22が設けられている範囲において、搬送面16の幅方向の長さは同一である。第1平行ガイド21及び第2平行ガイド22は搬送面16に取り付けられた板部材である。ただし、第1平行ガイド21及び第2平行ガイド22は、ブロック状又は他の形状の部材であってもよい。
【0036】
第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24は、第1平行ガイド21及び第2平行ガイド22の搬送方向の下流に設けられている。第1傾斜ガイド23は、幅方向の中央よりも第1側(詳細には幅方向の第1側の端部の近傍)に設けられている。第2傾斜ガイド24は、幅方向の中央よりも第2側(詳細には幅方向の第2側の端部)に設けられている。搬送方向において第1傾斜ガイド23が設けられる範囲の下流に第2傾斜ガイド24が設けられている。そのため、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24は、搬送方向において完全に異なる位置に設けられている(つまり重複が一切ない)。なお、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24は、搬送方向において一部のみが重複する位置に設けられていてもよい。つまり、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24が設けられる範囲は完全一致ではない。そのため、第1傾斜ガイド23のガイド面と第2傾斜ガイド24のガイド面とは、幅方向の中央を通る仮想線に対して非対称である。
【0037】
第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24は、ボビン91を幅方向の内側に寄せるように傾斜する部分を含む。言い換えれば、第1傾斜ガイド23のガイド面は、下流に近づくにつれて第2側に近づく部分を含む。第2傾斜ガイド24のガイド面は、下流に近づくにつれて第1側に近づく部分を含む。第1傾斜ガイド23は、ブロック状(箱状)の第1部材31及び第2部材32を備える。第2傾斜ガイド24は、搬送面16に取り付けられた板部材である。
【0038】
第1傾斜ガイド23の構成について更に詳細に説明する。
図5に示すように、第1部材31は、ガイド面である第1傾斜面31aと、取付部31bと、を備える。取付部31bはボルト等の取付具を用いて第1平行ガイド21に取り付けられている。第2部材32は、ガイド面である第2傾斜面32a及び平行面32bを備える。平行面32bは搬送方向に平行な面である。また、第2部材32の内部には収容空間が形成されており、第1部材31の一部を収容可能である。
【0039】
第1平行ガイド21の搬送方向の下流の端部には取付面21aが設けられている。取付面21aは、支持板18に取り付けられている。また、支持板18には複数の取付孔が形成されており、取付面21aとの取付けに用いる取付孔を変更することにより、取付位置を変更可能である。一方、第2部材32は支持板18又は搬送面16等に固定されており、第1部材31を移動させても第2部材32は移動しない。これにより、第2部材32に対する第1部材31の位置を変更することができる。その結果、
図6に示すように、ガイド面として機能する第1傾斜面31aの長さと、搬送面16の幅方向の長さと、を変更することができる。例えば、搬送するボビン91の形状、長さ、量等に応じて第2部材32に対する第1部材31の位置を変更することにより、適切なガイド形状が実現できる。
【0040】
第1部材31及び第2部材32の形状は一例であり、本実施形態で示した例に限られない。例えば、第1部材31に収容空間が形成され、第1部材31の収容空間に第2部材32が収容されてもよい。また、第1部材31と第2部材32の何れにも収容空間が形成されなくてもよい。また、第1部材31と第2部材32に区分されず、第1傾斜ガイド23が1つの部品であってもよい。
【0041】
第1下流ガイド25及び第2下流ガイド26は、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24の搬送方向の下流に設けられている。第1下流ガイド25は、幅方向の中央よりも第1側(詳細には幅方向の第1側の端部)に設けられている。第2下流ガイド26は、幅方向の中央よりも第2側(詳細には幅方向の第2側の端部)に設けられている。第1下流ガイド25と第2下流ガイド26は、搬送方向において重複する位置に設けられている。
【0042】
第1下流ガイド25のガイド面と第2下流ガイド26のガイド面は、平行である。そのため、第1下流ガイド25及び第2下流ガイド26が設けられている範囲において、搬送面16の幅方向の長さは同一である。第1下流ガイド25及び第2下流ガイド26は搬送面16に取り付けられた板部材である。ただし、第1下流ガイド25及び第2下流ガイド26は、ブロック状又は他の形状の部材であってもよい。
【0043】
次に、
図7及び
図8を参照して、比較例のガイド部17と本実施形態のガイド部17とで、ボビン91の詰まり易さについて比較する。
【0044】
図7に示す比較例のガイド部17は、幅方向の中心を通る仮想線に対して対称な形状である。比較例では、ボビン91が第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24を通過する際において、幅方向の両側のボビン91が幅方向の中央に向かう。その結果、幅方向の内側に向かう両側のボビン同士の力が均衡して、
図7に示す詰まり発生箇所及びその周辺において、ボビン91の詰まりが発生し易い。
【0045】
これに対し、本実施形態のガイド部17では、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24が搬送方向において重複がないため、本実施形態では、第1傾斜ガイド23によって第1側のボビン91が幅方向の中央に寄せられた後に、第2傾斜ガイド24によって第2側のボビン91が幅方向の中央に寄せられる。そのため、本実施形態では、幅方向の両側のボビン91が搬送方向における同じ箇所で幅方向の中央に向かうことがない。従って、ボビン91の詰まりが発生しにくい。その結果、投入装置2が停止する頻度が減り、オペレータがボビン91の詰まりを解消する頻度が減る。
【0046】
なお、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24が搬送方向において一部のみが重複する位置に設けられている場合でも、ボビン91の詰まりが発生しにくいという同様の効果を発揮できる。
【0047】
次に、
図4を参照して、ガイド部17の各部の好ましいサイズ及び角度について説明する。なお、以下で説明するサイズ及び角度は一例であり、好ましい例から外れていてもよい。
【0048】
上述した効果を高く発揮させるためには、第1傾斜ガイド23と第2傾斜ガイド24の搬送方向の位置を大きく異ならせることが好ましい。そのための指標である離間距離L1について説明する。
図4に示すように、離間距離L1は、第1傾斜ガイド23の傾斜面の搬送方向の下流端と、第2傾斜ガイド24の傾斜面の搬送方向の下流端と、の搬送方向における離間距離である。離間距離が長くなるほど、ボビン91の詰まりが発生しにくくなるが、一方で装置サイズが大きくなる。これらの点及びボビン91のサイズを考慮し、離間距離L1は、50mm以上240mm以下であることが好ましい。
【0049】
次に、第2傾斜面32aの長さL2について説明する。長さL2は、ボビン91を幅方向の内側に寄せるために、特にボビン91の向きを徐々に変更するためには長さL2が長いことが好ましい。しかし、長さL2が長過ぎると装置サイズが大きくなる。これらの点及びボビン91のサイズを考慮し、長さL2は、80mm以上200mm以下であることが好ましい。
【0050】
次に、第1部材31及び第2部材32の傾斜角度について説明する。第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24の傾斜角度は、第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24を搬送面16に投影したときにおいて、搬送方向に対して傾斜する角度(鋭角)である。第1部材31の第1傾斜面31aの傾斜角度を角度θ1α、第2部材32の第2傾斜面32aの傾斜角度を角度θ1β、第2傾斜ガイド24の傾斜面(ガイド面)の傾斜角度を角度θ2とする。角度θ1αは、角度θ1βより小さい。これにより、第2部材32に対して第1部材31を移動させた場合に、第1部材31が第2部材32に干渉しにくい。また、角度θ1βは角度θ2より大きい。角度θ1βの角度が大きいことにより、第1傾斜ガイド23の搬送方向の長さが抑えられる。そのため、ガイド部17の搬送方向の長さが決まっている場合は、離間距離L1が長くなる。その結果、上述したように、ボビン91の詰まりが発生しにくいという効果を発揮できる。
【0051】
また、角度θ1αと角度θ1βが異なる場合、第2部材32に対して第1部材31を移動させることで、第1傾斜面31aと第2傾斜面32aが重なる範囲において、隙間が生じる(
図6を参照)。本実施形態では、角度θ1αは角度θ1βより小さいため、この隙間を第2部材32の内部に位置させることができる。そのため、隙間にボビン91が入り込むことは無い。また、第1部材31の収容空間に第2部材32が入り込む場合においても、角度θ1αは角度θ1βより小さいため、隙間を第1部材31の内部に位置させることができる。この観点においても、角度θ1αは角度θ1βより小さいことが好ましい。
【0052】
なお、角度θ1αと角度θ1βの大小関係は一例であり、角度θ1αと角度θ1βが同じであってもよい。この場合、第1部材31の収容空間に第2部材32が収容されてもよいし、第2部材32の収容空間に第1部材31が収容されてもよい。搬送されるボビン91の引っ掛かりを生じにくくするという観点では、第1部材31の収容空間に第2部材32が収容されることが好ましい。なお、角度θ1αは、角度θ1βより大きくてもよい。
【0053】
次に、
図9を参照して、第1傾斜ガイド23の付替えについて説明する。
【0054】
上述したようにボビン91の長さ等に応じて第2部材32に対して第1部材31を移動させることで、ガイド部17の適切なサイズを実現できる。しかし、第2部材32の位置が固定されていることもあり、第1部材31の移動量には限界がある。そのため、第1傾斜ガイド23を付替え可能に構成することにより、より多様な条件に対応可能となる。
【0055】
それぞれの第1傾斜ガイド23は、第1部材31及び第2部材32のサイズが異なる。例えば、第1部材31の搬送方向の長さ、第2部材32の搬送方向の長さ、角度θ1α、角度θ1β等が異なる。また、
図9の一番下の図に示すように、第1傾斜ガイド23は1部品であってもよい。何れの第1傾斜ガイド23も回転部11への取付構造は共通である。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の供給装置1は、搬送装置4と、投入装置2と、を備える。搬送装置4は、糸が巻かれたボビン91を搬送する。投入装置2は、ボビン91が収容された収容体90からボビン91を搬送装置4に投入する。投入装置2は、搬送面16と、ガイド部17と、を有する。搬送面16では、収容体90から搬送装置4に投入されるボビン91が流れて搬送される。ガイド部17は、搬送面16から立ち上がるように設けられ、ボビン91をガイドする。搬送面16は、ボビン91が搬送される搬送方向の下流に近づくにつれて低くなる形状である。ガイド部17は、第1傾斜ガイド23と、第2傾斜ガイド24と、を有する。第1傾斜ガイド23は、搬送面16において搬送方向と直交する幅方向において、搬送面16の幅方向の中央より第1側に位置し、ボビン91を幅方向の内側に寄せる傾斜面(第1傾斜面31a及び第2傾斜面32a)を有する。第2傾斜ガイド24は、幅方向において搬送面16の幅方向の中央より第2側に位置し、ボビン91を幅方向の内側に寄せる傾斜面を有する。第1傾斜ガイド23及び第2傾斜ガイド24の傾斜面は、搬送方向において一部のみが重複する位置又は完全に異なる位置に設けられる。
【0057】
これにより、第1傾斜ガイド23と第2傾斜ガイド24が設けられる範囲が搬送方向において一致しない。そのため、幅方向の内側に向かうボビン91同士の力が均衡しにくいので、搬送面を搬送されるボビンが詰まりにくい。
【0058】
本実施形態の供給装置1において、第1傾斜ガイド23の傾斜面の搬送方向の下流端と、第2傾斜ガイド24の傾斜面の搬送方向の下流端と、の搬送方向における離間距離L1は、50mm以上240mm以下である。
【0059】
これにより、ボビン91の詰まりを発生しにくくするための最低限の長さを維持しつつ、かつ、装置サイズが過剰に大きくなることを抑制できる。
【0060】
本実施形態の供給装置1において、第1傾斜ガイド23は、第1部材31と、第2部材32と、を有する。第2部材32は、搬送方向において第1部材31の下流に配置される。搬送面16に第1部材31と第2部材32を投影したときに、第1部材31の第1傾斜面31aが搬送方向に対して傾斜する角度θ1αは、第2部材32の第2傾斜面32aが搬送方向に対して傾斜する角度θ1βと異なる。
【0061】
これにより、傾斜面の角度が異なる2つの部材を用いることで、ボビン91の詰まりが発生しにくいという効果と、装置サイズの過大を抑制するという効果と、を両立させ易くなる。
【0062】
本実施形態の供給装置1において、搬送面16に第2部材32と第2傾斜ガイド24を投影したときに、第2部材32の第2傾斜面32aが搬送方向に対して傾斜する角度θ2は、第2傾斜ガイド24の傾斜面が搬送方向に対して傾斜する角度θ1βより大きい。
【0063】
第2部材32の第2傾斜面32aの角度が大きいことにより、第1傾斜ガイド23の搬送方向の長さが抑えられる。そのため、搬送方向において第1傾斜ガイド23が設けられておらずかつ第2傾斜ガイド24が設けられている範囲の長さを長くすることができる。これにより、ボビン91の詰まりが一層発生しにくい。
【0064】
本実施形態の供給装置1において、搬送面16に第1部材31と第2部材32を投影したときに、第1部材31の第1傾斜面31aが搬送方向に対して傾斜する角度θ1αは、第2部材32の第2傾斜面32aが搬送方向に対して傾斜する角度θ1βより小さい。第2部材32は、第1部材31の一部を収容可能な空間を有している。第1部材31は、第2部材32の空間に入り込むようにして第2部材32に対して移動可能である。
【0065】
これにより、第2部材32に対して第1部材31を移動させることで、第1傾斜ガイド23の形状又はサイズを変更することができる。
【0066】
本実施形態の供給装置1において、搬送面16に第2部材32を投影したときに、第2部材32の第2傾斜面32aの長さL2が80mm以上200mm以下である。
【0067】
これにより、ボビン91を幅方向の内側に適切に案内しつつ、かつ、装置サイズが過剰に大きくなることを抑制できる。
【0068】
本実施形態の供給装置1において、投入装置2は、水平方向を回転中心として搬送面16と一体的に回転する回転部11を備える。回転部11が回転することにより、準備姿勢と投入姿勢との間で投入装置2の姿勢が変更される。準備姿勢は、収容体90をセットするための姿勢である。投入姿勢は、搬送方向の下流に近づくにつれて搬送面16の高さが低くなる姿勢である。
【0069】
これにより、投入装置を準備姿勢から投入姿勢に変更した際にボビン91の詰まりを発生しにくくすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 供給装置
2 投入装置
4 搬送装置
16 搬送面
17 ガイド部
23 第1傾斜ガイド
24 第2傾斜ガイド
31 第1部材
32 第2部材