(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174645
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】データ収集装置、データ収集方法、データ収集プログラム、及びデータ収集システム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/08 20220101AFI20241210BHJP
H04L 43/02 20220101ALI20241210BHJP
【FI】
H04L43/08
H04L43/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092574
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓磨
(57)【要約】
【課題】データ収集装置と無線キャプチャ装置の間の通信のデータ量を低減することで、通信遅延又は通信ミスを発生しにくくする技術を提供する。
【解決手段】データ収集装置10は、複数の無線キャプチャ装置20が無線通信により受信したキャプチャデータを収集する。データ収集装置10は、通信部と、記憶部と、制御部と、を備える。通信部は、無線キャプチャ装置20と通信することにより、キャプチャデータを受信する。記憶部は、通信部が受信したキャプチャデータ、及び無線キャプチャ装置20から通信部が受信するキャプチャデータの条件を定めた送信条件を記憶する。制御部は、記憶部から送信条件を読み出し、通信部を用いて、無線キャプチャ装置20に送信条件を送信して、送信条件を無線キャプチャ装置20に設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集するデータ収集装置において、
前記無線キャプチャ装置と通信することにより、前記キャプチャデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記キャプチャデータ、及び前記無線キャプチャ装置から前記通信部が受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記送信条件を読み出し、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信して、前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する制御部と、
を備えることを特徴とするデータ収集装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、前記無線キャプチャ装置毎に異なる前記送信条件を設定することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、前記無線キャプチャ装置が前記キャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを含む前記送信条件を設定することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、前記キャプチャデータのフレーム種別を含む前記送信条件を設定することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、周期を設定し、周期順番毎に異なる前記送信条件を設定することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、前記周期において所定の期間毎に前記キャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを異なるチャネルに変更する前記送信条件を設定することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項7】
請求項5に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、複数の周期に対する全ての前記送信条件を一括して読み出し、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項8】
請求項1に記載のデータ収集装置であって、
前記制御部は、前記無線キャプチャ装置に前記キャプチャデータの送信を許可する前に、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信することを特徴とするデータ収集装置。
【請求項9】
複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集するデータ収集方法において、
前記無線キャプチャ装置から受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を読み出す読出工程と、
前記読出工程で読み出した前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に送信して前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する設定工程と、
前記無線キャプチャ装置が送信した、前記送信条件を用いて選別された前記キャプチャデータを受信する収集工程と、
を含むことを特徴とするデータ収集方法。
【請求項10】
複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集するデータ収集プログラムにおいて、
データ収集装置に、
前記無線キャプチャ装置から前記データ収集装置が受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件送信条件を読み出す読出ステップと、
前記読出ステップで読み出した前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に送信して前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する設定ステップと、
前記無線キャプチャ装置が送信した、前記送信条件を用いて選別された前記キャプチャデータを受信する収集ステップと、
を実行させることを特徴とするデータ収集プログラム。
【請求項11】
複数の無線キャプチャ装置と、
複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集するデータ収集装置と、
を備え、
前記データ収集装置は、
前記無線キャプチャ装置と通信することにより、前記キャプチャデータを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記キャプチャデータ、及び前記無線キャプチャ装置から前記通信部が受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記送信条件を読み出し、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信して、前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する制御部と、
を備えることを特徴とするデータ収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集するデータ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の可視化データ処理システムは、無線品質データサーバと、センサ装置と、通信機器と、を備える。センサ装置は、通信機器から無線通信で取得したデータを無線品質データサーバに送信する。無線品質データサーバは、センサ装置から受信したデータを記憶する。無線品質データサーバは、記憶したデータに対してデータ削減処理を行い、データ削減後のデータを記憶する。無線品質データサーバは、無線品質に関するデータを可視化して可視化データを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、無線キャプチャ装置が取得したデータをデータ収集装置に集約する場合、無線キャプチャ装置とデータ収集装置の間の通信のデータ量が多くなるにつれて、通信遅延又は通信ミスが発生し易くなる。この点、特許文献1では、無線品質データサーバ(データ収集装置)が記憶するデータのデータ量を削減する処理が記載されているだけである。つまり、特許文献1では、センサ装置(無線キャプチャ装置)と無線品質データサーバの間の通信のデータ量を低減する処理は記載されていない。また、複数の無線キャプチャ装置とデータ収集装置の間の通信においても同様に、通信回線の許容量を超える程のデータ量である場合、データ収集装置は全てのデータを受信できないおそれがある。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、データ収集装置と無線キャプチャ装置の間の通信のデータ量を低減することで、通信遅延又は通信ミスを発生しにくくする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のデータ収集装置が提供される。即ち、データ収集装置は、複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集する。データ収集装置は、通信部と、記憶部と、制御部と、を備える。前記通信部は、前記無線キャプチャ装置と通信することにより、前記キャプチャデータを受信する。前記記憶部は、前記通信部が受信した前記キャプチャデータ、及び前記無線キャプチャ装置から前記通信部が受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を記憶する。前記制御部は、前記記憶部から前記送信条件を読み出し、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信して、前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する。
【0008】
これにより、無線キャプチャ装置からデータ収集装置に送信するキャプチャデータのデータ量を低減することができる。そのため、無線キャプチャ装置とデータ収集装置との間の通信が圧迫されにくいので、通信遅延又は通信ミスを発生しにくくすることができる。
【0009】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、前記無線キャプチャ装置毎に異なる前記送信条件を設定することが好ましい。
【0010】
これにより、必要なキャプチャデータのみを更に詳細に選択して収集できる。その結果、無線キャプチャ装置からデータ収集装置に送信するキャプチャデータのデータ量を一層低減できる。
【0011】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、前記無線キャプチャ装置が前記キャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを含む前記送信条件を設定することが好ましい。
【0012】
これにより、無線通信のチャネルを用いて選別されたキャプチャデータを収集できる。
【0013】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、前記キャプチャデータのフレーム種別を含む前記送信条件を設定することが好ましい。
【0014】
これにより、キャプチャデータのフレーム種別を用いて選別されたキャプチャデータを収集できる。
【0015】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、周期を設定し、周期順番毎に異なる前記送信条件を設定することが好ましい。
【0016】
これにより、周期順番毎に異なる送信条件でキャプチャデータを選別できるので、様々なキャプチャデータを収集できる。
【0017】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、前記周期において所定の期間毎に前記キャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを異なるチャネルに変更する前記送信条件を設定することが好ましい。
【0018】
これにより、1つの周期内で複数のチャネルを用いてキャプチャデータを取得できるので、一層柔軟な対応が可能となる。
【0019】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、複数の周期に対する全ての前記送信条件を一括して読み出し、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信することが好ましい。
【0020】
これにより、周期順番毎に送信条件を設定する方法と比較して、通信回数を低減できる。
【0021】
前記のデータ収集装置においては、前記制御部は、前記無線キャプチャ装置に前記キャプチャデータの送信を許可する前に、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信することが好ましい。
【0022】
これにより、不要なキャプチャデータが無線キャプチャ装置からデータ収集装置に送信されないので、通信のデータ量を低減できる。
【0023】
本発明の第2の観点によれば、以下のデータ収集方法が提供される。即ち、データ収集方法では、複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集する。データ収集方法は、読出工程と、設定工程と、収集工程と、を含む。前記読出工程では、前記無線キャプチャ装置から受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を読み出す。前記設定工程では、前記読出工程で読み出した前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に送信して前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する。前記収集工程では、前記無線キャプチャ装置が送信した、前記送信条件を用いて選別された前記キャプチャデータを受信する。
【0024】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成のデータ収集プログラムが提供される。即ち、データ収集プログラムは、複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集するためのプログラムであり、データ収集装置に、データ収集プログラムは、読出ステップと、設定ステップと、収集ステップと、を実行させる。前記読出ステップでは、前記無線キャプチャ装置から前記データ収集装置が受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を読み出す。前記設定ステップでは、前記読出ステップで読み出した前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に送信して前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する。前記収集ステップでは、前記無線キャプチャ装置が送信した、前記送信条件を用いて選別された前記キャプチャデータを受信する。
【0025】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成のデータ収集システムが提供される。即ち、データ収集システムは、複数の無線キャプチャ装置と、データ収集装置と、を備える。前記データ収集装置は、複数の無線キャプチャ装置が無線通信により受信したキャプチャデータを収集する。前記データ収集装置は、通信部と、記憶部と、制御部と、を備える。前記通信部は、前記無線キャプチャ装置と通信することにより、前記キャプチャデータを受信する。前記記憶部は、前記通信部が受信した前記キャプチャデータ、及び前記無線キャプチャ装置から前記通信部が受信する前記キャプチャデータの条件を定めた送信条件を記憶する。前記制御部は、前記記憶部から前記送信条件を読み出し、前記通信部を用いて、前記無線キャプチャ装置に前記送信条件を送信して、前記送信条件を前記無線キャプチャ装置に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ収集システムのブロック図。
【
図2】データ収集システムの処理の流れの概要を示す説明図。
【
図4】キャプチャの開始後に無線キャプチャ装置が行う処理を示すフローチャート。
【
図5】データ収集装置に記憶される送信条件の内容を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1を参照し、データ収集システム1の構成について説明する。
【0028】
データ収集システム1は、例えば工場に設けられている。工場には、複数の産業機械30が設けられている。産業機械30は、例えば、ロボット又は工作機械である。産業機械30には、無線通信機器が内蔵又は外付けで設けられており、無線通信可能である。産業機械30は、動作状況又はセンサの検出結果等を無線通信で送信する。また、産業機械30はデータ収集システム1の管理者や当該システムを利用するユーザのPC50からの指示により、アクセスポイント40を経由して、動作状況又はセンサの検出結果等のデータを無線通信で送信する。以下、本発明の実施形態におけるデータ収集システム1は、産業機械30が無線で送信したデータの収集を例に説明する。
【0029】
なお、データ収集システム1は、工場における産業機械30のデータ収集目的に限られず、他の施設、例えばオフィス又は倉庫等に設けられていてもよい。この場合、データ収集システム1は、施設に設けられる様々な機器が無線で送信するデータを収集する。
【0030】
図1に示すように、データ収集システム1は、データ収集装置10と、複数の無線キャプチャ装置20と、を備える。
【0031】
データ収集装置10は、無線キャプチャ装置20が産業機械30とPC50との間で行われる無線通信から受信したデータを収集する。言い換えると、データ収集装置10は、無線キャプチャ装置20が主として産業機械30とPC50との間で行われる無線通信におけるデータをキャプチャしたデータを収集する。キャプチャとは、自装置の周囲(電波受信可能な範囲)に存在する無線データ(無線フレーム)を収集することである。データ収集装置10は、PC又はサーバ等のコンピュータである。データ収集装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0032】
制御部11はCPU等の演算装置であり、記憶部12はHDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部12には、データ収集プログラムが記憶されている。制御部11は、データ収集プログラムを実行することにより、後述の処理を行ってデータを収集し、収集したデータを記憶部12に記憶する。以下の説明では、通信部13は、コネクタ及び通信用基板等を含む有線通信モジュールである。通信部13は、無線キャプチャ装置との間で有線通信を行う。なお、通信部13は無線キャプチャ装置20との間で無線通信を行う無線通信モジュールであってもよい。
【0033】
無線キャプチャ装置20は、他の通信機器とネットワークを介して通信する通信機器であり、CPU等の演算装置と、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の記憶装置と、有線通信モジュールと、無線通信モジュールと、を備える。無線キャプチャ装置20は、記憶装置に記憶されたプログラムを演算装置が実行することにより、様々な処理を実行可能である。無線キャプチャ装置20は、有線通信モジュールを用いて、データ収集装置10と有線通信を行う。無線キャプチャ装置20は、無線通信モジュールを用いて、産業機械30と無線通信を行う。また、無線キャプチャ装置20は、自装置の周囲(電波受信可能な範囲)に存在する無線データ(無線フレーム)を取得する。本発明の実施形態では、産業機械30とPC50との間で行われる無線通信における無線データを取得(キャプチャ)する例で説明する。
【0034】
次に、
図2(a)から
図2(c)を参照して、データ収集システム1が無線キャプチャ装置20を介して産業機械30とPC50との間で行われる無線通信におけるデータを収集するデータ収集方法の概要について説明する。
【0035】
上述した特許文献1と同様の処理を行う場合、無線キャプチャ装置20は、産業機械30から受信したデータを全てデータ収集装置10に送信することになる。その結果、通信遅延又は通信ミスが発生することがある。この点に鑑み、本実施形態のデータ収集方法の目的は、データ収集装置10と無線キャプチャ装置20の通信のデータ量(特に無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10に送信する際のデータ量)を低減することである。具体的には、無線キャプチャ装置20は、産業機械30から受信したデータのうち、必要なデータのみをデータ収集装置10に送信する。
【0036】
そのため、
図2(a)に示すように、データ収集装置10は送信条件を事前に無線キャプチャ装置20に送信する。送信条件とは、無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10(通信部13)が受信するデータの条件を定めたものである。無線キャプチャ装置20は、送信条件を満たすデータのみをデータ収集装置10に送信する。送信条件の詳細は後述する。
【0037】
次に、
図2(b)に示すように、データ収集装置10は、キャプチャの開始を無線キャプチャ装置20に指示する。以下の説明では、無線キャプチャ装置20がアクセスポイント40を経由して産業機械30とPC50との間で行われる無線通信におけるデータをキャプチャしたデータをキャプチャデータと称することがある。
【0038】
その後、
図2(c)に示すように、無線キャプチャ装置20は、受信したキャプチャデータのうち送信条件を満たすキャプチャデータのみ(即ち、必要なキャプチャデータのみ)をデータ収集装置10に送信する。
【0039】
これにより、無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10に全てのキャプチャデータを送信する場合と比較して、通信のデータ量を低減させることができる。その結果、通信遅延又は通信ミスを発生しにくくすることができる。
【0040】
次に、
図3から
図5を参照して、データ収集装置10と無線キャプチャ装置20が行う処理の詳細について説明する。以下の説明では、無線キャプチャ装置20の例として、第1無線キャプチャ装置20Aと第2無線キャプチャ装置20Bを挙げて説明する。
【0041】
送信条件は、データ収集装置10の記憶部12に記憶されている。制御部11は、記憶部12から無線キャプチャ装置から受信するキャプチャデータの送信条件を読み出す(読出工程、読出ステップ)。その後、制御部11は、通信部13を用いて、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bに対して、それぞれの送信条件を送信する(シーケンス番号S1、設定工程、設定ステップ)。
【0042】
図5には、データ収集装置10(詳細には制御部11)に記憶される送信条件が例示されている。
図5(a)に示す例では、送信条件には、無線キャプチャ装置ID、周期順番、チャネル、及びフレーム種別が含まれている。また、
図5(b)に示す例では、送信条件には、無線キャプチャ装置ID、周期順番、期間、チャネル順番、及びフレーム種別が含まれている。
図5(a)及び
図5(b)における送信条件で異なる点は、期間及びチャネル順番である。
【0043】
無線キャプチャ装置IDは、送信条件を設定する無線キャプチャ装置20を特定する固有の情報である。無線キャプチャ装置IDとしては、例えばMACアドレス、ローカルIPアドレス、又はその他の文字列を用いることができる。本実施形態では無線キャプチャ装置IDを用いて無線キャプチャ装置20を区別して、無線キャプチャ装置20毎に異なる送信条件を設定する。なお、全ての無線キャプチャ装置20に同じ送信条件を設定する場合は、送信条件から、無線キャプチャ装置IDを省略してもよい。
【0044】
周期順番は、送信条件を切り替える周期である。1周期分の時間は予め定められており、1周期分の時間が経過する度に次の周期に移行して(例えば、第1周期から第2周期に移行など)、送信条件が変更される。
図5には、3周期分の送信条件が記載されているが、2周期以下又は4周期以上の送信条件を設定してもよい。また、周期順番毎に送信条件を変更することは必須ではない。
【0045】
チャネルは、無線キャプチャ装置20が無線通信で用いるチャネルである。つまり、無線キャプチャ装置20は送信条件で設定されたチャネルを用いて産業機械30からキャプチャデータを受信する。
【0046】
フレーム種別は、産業機械30がアクセスポイント40を経由して送信するパケットのデータの種類を示す。フレーム種別はパケットのヘッダに記述されている。
図5には、Beaconフレーム、Managementフレーム、及び、データフレームが例として示されている。なお、チャネルとフレーム種別の何れか一方のみを送信条件として用いてもよい。
【0047】
図5(a)に示す送信条件では、1周期分の時間内で同一のチャネルを用いて無線通信を行う。これに対し、
図5(b)に示す送信条件では、1周期分の時間内でチャネルを切り替えながら無線通信を行う。そのため、
図5(b)に示す送信条件には、期間とチャネル条件が含まれる。
【0048】
図5(b)に示す送信条件の一例は、産業機械30とPC50との間の通信データを収集するのではなく、第1無線キャプチャ装置20Aの周囲の無線環境に関するデータを収集する目的のものである。期間は、1周期分の時間内で所定の期間毎(所定の期間経過のたび)にキャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを異なるチャネルに変更するための期間である。
図5(b)に示すように、期間は例えば1秒等である。
【0049】
チャネル順番は、1周期分の時間内で所定の期間毎(所定の期間経過のたび)にキャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを異なるチャネルに変更するためのチャネルを変更する順番である。
図5(b)に示すように、例えば、所定の期間(例えば1秒)が経過する毎に当該チャネルを1ch、3ch、5chの順に変更し、無線キャプチャ装置20が受信に用いる無線通信のチャネルを変更する。
【0050】
送信条件は、産業機械30が用いるチャネル、産業機械30が送信するパケットの内容、産業機械30と無線キャプチャ装置20の位置関係等に基づいて、予め生成されてデータ収集装置10の記憶部12に記憶されている。
【0051】
第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bは、データ収集装置10から送信された自装置の無線キャプチャ装置IDに対応付けられた送信条件を記憶する。これにより、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bのそれぞれに対して、自装置に対応付けられた送信条件の設定が完了する。
【0052】
次に、
図3に示すように、制御部11は、通信部13を用いて、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bに対して、キャプチャの開始指示を送信する(シーケンス番号S2)。これにより、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bは、産業機械30からのキャプチャデータの受信と、データ収集装置10へのキャプチャデータの送信と、を行う。つまり、キャプチャの開始指示は、無線キャプチャ装置20に対してデータ収集装置10へのキャプチャデータの送信を許可する指示と言い換えることもできる。
【0053】
これにより、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bは、産業機械30からのデータ受信を開始する(シーケンス番号S3)。次に、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bは、産業機械30から受信したキャプチャデータが記憶した送信条件を満たすか確認する(シーケンス番号S4)。第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bは、送信条件を満たすキャプチャデータのみをデータ収集装置10に送信する(シーケンス番号S5)。これにより、データ収集装置10は、送信条件に沿った所望のキャプチャデータ(具体的には、データ収集システム1の管理者や当該システムを利用するユーザが所望するキャプチャデータ)を受信し、記憶部12に記憶する(収集工程、収集ステップ)。なお、無線キャプチャ装置20は、送信条件を満たさないキャプチャデータを受信はするものの、データ収集装置10には送信しない。その後、第1無線キャプチャ装置20A及び第2無線キャプチャ装置20Bは、周期順番毎に送信条件を変更して、キャプチャを継続する(シーケンス番号S6)。このように、本実施形態では、送信条件を満たすキャプチャデータのみが無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10に送信される。
【0054】
次に、無線キャプチャ装置20のシーケンス番号S3からシーケンス番号S6の処理について、
図4のフローチャートを参照して、更に詳細に説明する。
【0055】
キャプチャデータの受信を開始した後において、無線キャプチャ装置20は、周期時間が経過したか否かを判定する(S101)。無線キャプチャ装置20は、周期時間が経過したと判定するまでの間において、現在の周期の送信条件を満たすキャプチャデータをデータ収集装置10に送信する(S102)。
【0056】
次に、無線キャプチャ装置20は、全ての周期の送信条件でキャプチャ済みか否かを判定する(S103)。
図5に示す例では、3つの周期が設定されているため、第3周期の送信条件でのキャプチャが完了したか否かを判定する。完了していないと判定した場合、無線キャプチャ装置20は、次の周期の送信条件に切り替える(S104)。例えば、送信条件のチャネルが切り替わる場合、産業機械30とPC50との間の無線通信で用いられるチャネルが変更されるのに合わせてキャプチャするチャネルを変更し、ステップS101の処理に戻って、キャプチャデータの受信を継続する。
【0057】
無線キャプチャ装置20は、全ての周期の送信条件でキャプチャ済みと判定した場合、最初の周期(第1周期)の送信条件を設定する(S105)。その後、無線キャプチャ装置20は、ステップS101の処理に戻って、キャプチャデータの受信を継続する。
【0058】
以上の処理を繰り返すことにより、無線キャプチャ装置20は、産業機械30からのキャプチャデータの受信と、データ収集装置10への送信条件に従ったキャプチャデータの送信と、を繰り返す。なお、データ収集装置10からキャプチャ停止の指示を受信した場合、無線キャプチャ装置20は
図4のフローチャートの処理を終了する。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態のデータ収集装置10(データ収集システム1)は、データ収集プログラムを実行することにより、以下のデータ収集方法を行う。即ち、データ収集装置10は、複数の無線キャプチャ装置20が無線通信により受信したキャプチャデータを収集する。データ収集装置10は、通信部13と、記憶部12と、制御部11と、を備える。通信部13は、無線キャプチャ装置20と通信することにより、キャプチャデータを受信する。記憶部12は、通信部13が受信したキャプチャデータ、及び無線キャプチャ装置20から通信部13が受信するキャプチャデータの条件を定めた送信条件を記憶する。制御部11は、記憶部12から送信条件を読み出し、通信部13を用いて、無線キャプチャ装置20に送信条件を送信して、無線キャプチャ装置20に送信条件を設定する。
【0060】
これにより、無線キャプチャ装置はキャプチャしたデータをその送信条件に従ってデータ収集装置10に送信するため、無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10に送信するキャプチャデータのデータ量を低減することができる。そのため、無線キャプチャ装置20とデータ収集装置10との間の通信が圧迫されにくいので、通信遅延又は通信ミスを発生しにくくすることができる。
【0061】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、無線キャプチャ装置20毎に異なる送信条件を設定する。
【0062】
これにより、必要なキャプチャデータのみを更に詳細に選択して収集できる。その結果、無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10に送信するキャプチャデータのデータ量を一層低減できる。
【0063】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、無線キャプチャ装置20がキャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを含む送信条件を設定する。
【0064】
これにより、無線通信のチャネルを用いて選別されたキャプチャデータを収集できる。
【0065】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、キャプチャデータのフレーム種別を含む送信条件を設定する。
【0066】
これにより、キャプチャデータのフレーム種別を用いて選別されたキャプチャデータを収集できる。
【0067】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、周期を設定し、周期順番毎に異なる送信条件を設定する。
【0068】
これにより、周期順番毎に異なる送信条件でキャプチャデータを選別できるので、様々なキャプチャデータを収集できる。
【0069】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、周期において所定の期間毎にキャプチャデータの受信に用いる無線通信のチャネルを異なるチャネルに変更する送信条件を設定する。
【0070】
これにより、1つの周期内で複数のチャネルを用いてキャプチャデータを取得できるので、一層柔軟な対応が可能となる。
【0071】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、複数の周期に対する全ての送信条件を一括して読み出し、通信部13を用いて、無線キャプチャ装置20に送信条件を送信する。
【0072】
これにより、周期順番毎に送信条件を設定する方法と比較して、通信回数を低減できる。
【0073】
本実施形態のデータ収集装置10において、制御部11は、無線キャプチャ装置20にキャプチャデータの送信を許可する前に、通信部13を用いて、無線キャプチャ装置20に送信条件を送信する。
【0074】
これにより、不要なキャプチャデータが無線キャプチャ装置20からデータ収集装置10に送信されないので、通信のデータ量を低減できる。
【0075】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0076】
上記実施形態で示したシーケンス図及びフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、
図3のシーケンス図では、データ収集装置10は、送信条件を送信した後に、キャプチャの開始指示を送信する。これに代えて、送信条件とキャプチャの開始指示を同時に無線キャプチャ装置20に送信してもよい。また、
図4のフローチャートでは、無線キャプチャ装置20は、最後の周期の送信条件に関するキャプチャの後に、最初の周期の送信条件に関するキャプチャを行う。これに代えて、無線キャプチャ装置20は、最後の周期の送信条件のキャプチャの後に、処理を停止したり、データ収集装置10から新たに受信した別の送信条件のキャプチャを行ったりしてもよい。また、データ収集装置10は、周期順番毎に送信条件を無線キャプチャ装置20に送信してもよい。
【0077】
上記実施形態では、無線キャプチャ装置20は通信可能な産業機械30が送信した全てのデータを受信するが、フィルタ条件を設定しフィルタに合致したキャプチャデータのみを産業機械30から受信してもよい。
【0078】
上記実施形態で挙げた送信条件は一例であり、他の項目を追加してもよい。例えば、産業機械30のMACアドレス又はIPアドレスを送信条件に含めてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 データ収集システム
10 データ収集装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 無線キャプチャ装置
30 産業機械