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特開2024-174646半導体装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174646
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20241210BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01L21/88 S
H01L21/88 J
H01L21/88 P
H01L21/76 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092580
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 玲應奈
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 悠太
(72)【発明者】
【氏名】泉 直希
【テーマコード(参考)】
5F032
5F033
【Fターム(参考)】
5F032AA36
5F032AA37
5F032AA44
5F032AA46
5F032AA48
5F032AA54
5F032AA63
5F032AA64
5F032AA67
5F032AA77
5F032CA24
5F032DA12
5F032DA23
5F032DA24
5F032DA25
5F032DA26
5F032DA28
5F032DA33
5F032DA78
5F033GG01
5F033GG02
5F033HH04
5F033HH11
5F033HH19
5F033MM17
5F033PP06
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ16
5F033QQ19
5F033QQ21
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS04
5F033SS11
5F033SS13
5F033WW01
5F033WW04
5F033XX02
(57)【要約】
【課題】 トレンチ内のシームを低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体装置100は、デバイスを囲むトレンチ200を含む半導体基板1と、トレンチ200の内面を覆う絶縁膜2と、トレンチ200内に設けられた導電領域とを備えている。トレンチ200は、トレンチ200の底面側に位置する第1トレンチ201と、トレンチ200の表面側に位置し、第1トレンチ201に連続し、深さ方向に沿って幅が狭くなる第2トレンチ202とを備え、第2トレンチ202の単位深さ当たりの幅の減少量は、第1トレンチ201の単位深さ当たりの幅の減少量よりも大きい。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを囲むトレンチを含む半導体基板と、
前記トレンチの内面を覆う絶縁膜と、
前記トレンチ内に設けられた導電領域と、
を備え、
前記トレンチは、
前記トレンチの底面側に位置する第1トレンチと、
前記トレンチの表面側に位置し、前記第1トレンチに連続し、深さ方向に沿って幅が狭くなる第2トレンチと、
を備え、
前記第2トレンチの単位深さ当たりの幅の減少量は、前記第1トレンチの単位深さ当たりの幅の減少量よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板は、
下地基板と、
前記下地基板上に形成されたエピタキシャル結晶領域と、
を備え、
前記第1トレンチは、前記下地基板と前記エピタキシャル結晶領域との間の界面を貫通している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電領域は、
前記第1トレンチ及び前記第2トレンチ内に埋め込まれた第1材料領域と、
前記第1材料領域の内側に埋め込まれ、前記第1材料領域とは異なるエッチング特性を有する第2材料領域と、
を備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1材料領域は、不純物が添加されたポリシリコンを含み、
前記第2材料領域は、前記第1材料領域の不純物濃度よりも、低い不純物濃度を有するポリシリコンを含む、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1材料領域の第1不純物濃度C及び前記第2材料領域の第2不純物濃度Cは、以下の関係、
1×1018cm-3≦C≦1×1022cm-3
1×1015cm-3≦C≦1×1018cm-3
を満たす、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2材料領域は、前記トレンチの底面に向かうほど狭くなる幅を有する領域を備えている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2トレンチの最大幅を与える前記第2トレンチの外側端及び内側端に関して、前記外側端の位置を第1位置とし、前記内側端の位置を第2位置とし、前記トレンチの幅方向に隣接する第1凹部及び第2凹部を備え、
前記第1位置の上方には、前記第1凹部内の第1絶縁領域が位置し、
前記第2位置の上方には、前記第2凹部内の第2絶縁領域が位置する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板は、
下地基板と、
前記下地基板上に形成されたエピタキシャル結晶領域と、
備え、
前記第2トレンチの最大幅を与える前記第2トレンチの外側端及び内側端に関して、前記外側端の位置を第1位置とし、前記内側端の位置を第2位置とし、前記トレンチの幅方向に隣接する第1凹部及び第2凹部を備え、
前記第1位置の上方には、前記第1凹部内の第1絶縁領域が位置し、
前記第1凹部の深さは、前記エピタキシャル結晶領域の深さよりも小さい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2位置の上方には、前記第2凹部内の第2絶縁領域が位置し、
前記第2凹部の深さは、前記エピタキシャル結晶領域の深さよりも小さい、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1凹部の深さは、100nm以上である、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2凹部の深さは、100nm以上である、
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1絶縁領域の底面と、前記第2絶縁領域の底面との間の距離は、前記第2トレンチの最大幅よりも小さい、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2トレンチの幅方向及び深さ方向を含む断面と、前記第2トレンチの内面との交わりによって構成される複数の交線は、それぞれ直線的に延びている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2トレンチの幅方向及び深さ方向を含む断面と、前記第2トレンチの内面との交わりによって構成される複数の交線は、それぞれ弧状を有している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
半導体基板上に設けられたマスクの開口を介して、前記半導体基板をエッチングし、前記開口の直下、及び、前記開口の幅方向の両端位置よりも外側の領域の直下に、空間を形成する工程と、
前記開口を介して前記半導体基板をドライエッチングし、前記空間に連続するトレンチを形成する工程と、
前記空間及び前記トレンチの露出表面上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記開口を介して、前記トレンチ内に、第1導電体材料を供給し、第1導電領域を形成すると共に、前記空間内に、前記第1導電体材料を供給し、シームを有する第2導電領域を形成し、前記第1導電領域及び前記第2導電領域を含む第1材料領域を形成する工程と、
前記開口を介して、前記第2導電領域内の前記シームに到達するまで、前記第2導電領域をエッチングする工程と、
前記開口を介して前記シーム内に第2導電体材料を供給し、前記シーム内に第2材料領域を形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、トレンチを備えた半導体装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-32332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一実施形態は、トレンチ内のシームを低減できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態は、デバイスを囲むトレンチを含む半導体基板と、トレンチの内面を覆う絶縁膜と、トレンチ内に設けられた導電領域と、を備え、トレンチは、トレンチの底面側に位置する第1トレンチと、トレンチの表面側に位置し、第1トレンチに連続し、深さ方向に沿って幅が狭くなる第2トレンチと、を備え、第2トレンチの単位深さ当たりの幅の減少量は、第1トレンチの単位深さ当たりの幅の減少量よりも大きい半導体装置を提供する。
【0006】
本開示の一実施形態は、半導体基板上に設けられたマスクの開口を介して、半導体基板をエッチングし、この開口の直下、及び、この開口の幅方向の両端位置よりも外側の領域の直下に、空間を形成する工程と、上記開口を介して半導体基板をドライエッチングし、上記空間に連続するトレンチを形成する工程と、上記空間及びトレンチの露出表面上に、絶縁膜を形成する工程と、上記開口を介して、トレンチ内に、第1導電体材料を供給し、第1導電領域を形成すると共に、上記空間内に、第1導電体材料を供給し、シームを有する第2導電領域を形成し、第1導電領域及び第2導電領域を含む第1材料領域を形成する工程と、上記開口を介して、上記第2導電領域内のシームに到達するまで、第2導電領域をエッチングする工程と、上記開口を介してシーム内に第2導電体材料を供給し、シーム内に第2材料領域を形成する工程とを備える半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態は、トレンチ内のシームを低減できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、半導体装置の平面図である。
図2図2は、図1に示したトレンチ構造を含むデバイス領域の拡大図である。
図3図3は、図2に示したデバイス領域のIII-III線縦断面図である。
図4図4は、トレンチ構造を含む第1半導体装置の縦断面図である。
図5図5は、図4に示した第1領域S1の拡大図である。
図6図6は、第1半導体装置の製造方法を説明するための図である(図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)、図6(E)、図6(F)、図6(G)、図6(H))。
図7図7は、第1半導体装置の製造方法を説明するための図である(図7(A)、図7(B)、図7(C)、図7(D)、図7(E)、図7(F)、図7(G))。
図8図8は、第1半導体装置の製造方法を説明するための図である(図8(A)、図8(B)、図8(C)、図8(D)、図8(E)、図8(F)、図8(G)、図8(H))。
図9図9は、第1半導体装置の製造方法を説明するための図である(図9(A)、図9(B))。
図10図10は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第1半導体装置の縦断面図である。
図11図11は、トレンチ構造を含む第2半導体装置の縦断面図である。
図12図12は、図11に示した第2領域S2の拡大図である。
図13図13は、第2半導体装置の製造方法を説明するための図である(図13(A)、図13(B)、図13(C)、図13(D)、図13(E)、図13(F)、図13(G)、図13(H))。
図14図14は、第2半導体装置の製造方法を説明するための図である(図14(A)、図14(B)、図14(C)、図14(D)、図14(E)、図14(F)、図14(G))。
図15図15は、第2半導体装置の製造方法を説明するための図である(図15(A)、図15(B)、図15(C)、図15(D)、図15(E)、図15(F)、図15(G)、図15(H))。
図16図16は、第2半導体装置の製造方法を説明するための図である(図16(A)、図16(B))。
図17図17は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第2半導体装置の縦断面図である。
図18図18は、トレンチ構造を含む第3半導体装置の縦断面図である。
図19図19は、図18に示した第3領域S3の拡大図である。
図20図20は、第3半導体装置の製造方法を説明するための図である(図20(A)、図20(B)、図20(C)、図20(D)、図20(E)、図20(F)、図20(G)、図20(H))。
図21図21は、第3半導体装置の製造方法を説明するための図である(図21(A)、図21(B)、図21(C)、図21(D)、図21(E)、図21(F))。
図22図22は、第3半導体装置の製造方法を説明するための図である(図22(A)、図22(B)、図22(C)、図22(D)、図22(E)、図22(F)、図22(G)、図22(H))。
図23図23は、第3半導体装置の製造方法を説明するための図である(図23(A)、図23(B))。
図24図24は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第3半導体装置の縦断面図である。
図25図25は、トレンチ構造を含む第4半導体装置の縦断面図である。
図26図26は、図25に示した第4領域S4の拡大図である。
図27図27は、第4半導体装置の製造方法を説明するための図である(図27(A)、図27(B)、図27(C)、図27(D)、図27(E)、図27(F)、図27(G)、図27(H))。
図28図28は、第4半導体装置の製造方法を説明するための図である(図28(A)、図28(B)、図28(C)、図28(D)、図28(E)、図28(F))。
図29図29は、第4半導体装置の製造方法を説明するための図である(図29(A)、図29(B)、図29(C)、図29(D)、図29(E)、図29(F)、図29(G)、図29(H))。
図30図30は、第4半導体装置の製造方法を説明するための図である(図30(A)、図30(B)、図30(C)、図30(D)、図30(E))。
図31図31は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第4半導体装置の縦断面図である。
図32図32は、トレンチ構造を含む第5半導体装置の縦断面図である。
図33図33は、図32に示した第5領域S5の拡大図である。
図34図34は、第5半導体装置の製造方法を説明するための図である(図34(A)、図34(B)、図34(C)、図34(D)、図34(E)、図34(F)、図34(G)、図34(H))。
図35図35は、第5半導体装置の製造方法を説明するための図である(図35(A)、図35(B)、図35(C)、図35(D)、図35(E)、図35(F))。
図36図36は、第5半導体装置の製造方法を説明するための図である(図36(A)、図36(B)、図36(C)、図36(D)、図36(E)、図36(F)、図36(G)、図36(H))。
図37図37は、第5半導体装置の製造方法を説明するための図である(図37(A)、図37(B))。
図38図38は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第5半導体装置の縦断面図である。
図39図39は、トレンチ構造を含む第6半導体装置の縦断面図である。
図40図40は、図39に示した第6領域S6の拡大図である。
図41図41は、第6半導体装置の製造方法を説明するための図である(図41(A)、図41(B)、図41(C)、図41(D)、図41(E)、図41(F)、図41(G)、図41(H))。
図42図42は、第6半導体装置の製造方法を説明するための図である(図42(A)、図42(B)、図42(C)、図42(D)、図42(E)、図42(F))。
図43図43は、第6半導体装置の製造方法を説明するための図である(図43(A)、図43(B)、図43(C)、図43(D)、図43(E)、図43(F)、図43(G)、図43(H))。
図44図44は、第6半導体装置の製造方法を説明するための図である(図44(A)、図44(B))。
図45図45は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第6半導体装置の縦断面図である。
図46図46は、図3に示した第1端部領域R1及び第2端部領域R2の拡大図である(図46(A)、図46(B)、図46(C))。
図47図47は、図3に示した界面領域R3の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附することとし、重複する説明は省略する。
【0010】
まず、半導体装置の基本構造について説明する。
【0011】
図1は、半導体装置の平面図である。
【0012】
半導体装置100は、直方体形状のチップ101(半導体チップ)を含む。チップ101は一方側の第1主面3、他方側の第2主面4(図3参照)を備えている。チップ101は第1主面3及び第2主面4を接続する第1側面5A、第2側面5B、第3側面5C、第4側面5Dを有している。チップ101の厚み方向をZ軸方向とし、Z軸に垂直な方向をX軸方向とし、Z軸及びX軸の双方に垂直な方向をY軸方向とする。なお、チップ101の深さ方向(基板に形成されるトレンチの深さ方向)をZ軸の正方向とし、Z軸の負方向は半導体基板の第2主面4(裏面)から第1主面3(上面)に向かう方向を示すものとする。
【0013】
第1主面3及び第2主面4は、それぞれZ軸に垂直である。第1主面3の法線方向(Z軸方向)からみた第1主面3の平面形状(平面視の形状)は長方形(四角形)である。第2主面4の平面視の形状は長方形(四角形)である。平面視において長方形の対向する二辺を構成する第1側面5A及び第2側面5Bは、それぞれX軸方向に沿って延びている。平面視において長方形の対向する他の二辺を構成する第3側面5C及び第4側面5Dは、それぞれY軸方向に沿って延びている。これらの隣接する側面は平面視において直交しているが、直交以外の角度で交差することもできる。
【0014】
半導体装置100は、第1主面3に設けられた複数のデバイス領域10を含む。それぞれのデバイス領域10と、チップ101の各側面(第1側面5Aから第4側面5D)との間には間隔があいている。デバイス領域10の個数、配置及び形状は任意であり、特定の個数、配置及び形状に限定されない。
【0015】
それぞれのデバイス領域10内には、各種のデバイスが形成されている。少なくとも1つのデバイス領域10は、デバイス50を囲むトレンチを備えている。トレンチの数は単数であっても、複数であってもよい。例示的な1つのデバイス領域10は、第1トレンチ構造TR1及び第2トレンチ構造TR2を備えている。
【0016】
それぞれのデバイス領域10内に形成されるデバイス50は、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイス及び受動デバイスのうちの少なくとも1つをそれぞれ含んでもよい。半導体スイッチングデバイスは、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型の電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、及び、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型のバイポーラトランジスタ)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0017】
MISFETとして、MOSFET(Metal-Oxide-SemiconductorField-Effect Transistor)を用いることができる。デバイス50はパワートランジスタとすることもできる。パワーMOSFETとして、DMOS(Double-diffused MOSFET)を用いることができ、縦型(VDMOS)、横型(LDMOS)などのタイプを用いることができる。MISFETのドレイン・ソース間電圧として、高電圧HV(high voltage:例えば100V以上1000V以下)、中電圧MV(middlevoltage:例えば30V以上100V以下)、低電圧LV(low voltage:例えば1V以上30V以下)のものも知られている。その他、デバイス領域10内に形成されるデバイス50として、発光素子や受光素子などの光デバイスを用いることができる。
【0018】
本例のチップ101を構成する半導体材料は、シリコン(Si)である。チップ101を構成する半導体材料として、化合物半導体を用いることもできる。化合物半導体としては、III-V族化合物半導体、IV-IV族化合物半導体、これらの半導体を用いた混晶半導体などがある。III-V族化合物半導体としては、GaAs及びGaNなどのGa含有半導体を用いることができる。IV-IV族化合物半導体としては、SiC及びSiGeなどのSi含有半導体を用いることができる。
【0019】
図2は、図1に示したトレンチ構造を含むデバイス領域の拡大図である。
【0020】
デバイス領域10は、第1トレンチ構造TR1及び第2トレンチ構造TR2を備えている。第1トレンチ構造TR1は、第2トレンチ構造TR2を囲んでおり、その外側に位置する。第2トレンチ構造TR2は、デバイス50を囲んでいる。
【0021】
第1トレンチ構造TR1の平面視形状は環状である。第1トレンチ構造TR1の第1幅W1は0.5μm以上10μm以下であってもよい。第1幅W1は2μm以上4μm以下であってもよい。第2トレンチ構造TR2の平面視形状は環状である。第2トレンチ構造TR2の第2幅W2は0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2幅W2は、1.5μm以上3.5μm以下であってもよい。第2幅W2は、第1幅W1よりも小さい(W2<W1)こととしてもよい。
【0022】
平面視における第1トレンチ構造TR1と第2トレンチ構造TR2との間の距離は、第3幅W3で与えられる。平面視において第3幅W3を与える半導体領域は、深さ方向(+Z方向)に沿って、幅が広くなっている。第3幅W3は0.5μm以上10μm以下であってもよい。第3幅W3は、1μm以上3μm以下であってもよい。第3幅W3は第1幅W1未満(W3<W1)であってもよい。第3幅W3は第2幅W2未満(W3<W2)とすることができる。第3幅W3は第2幅W2以上(W2≦W3)であってもよく、第1幅W1以上(W1≦W3)であってもよい。
【0023】
図3は、図2に示したデバイス領域のIII-III線縦断面図である。
【0024】
半導体装置を構成するデバイス領域10は、半導体基板1と、半導体基板1上に設けられた保護膜14を備えている。半導体基板1は、下地基板1Aと、下地基板1Aに形成されたエピタキシャル結晶領域1B(エピタキシャル層)とを備えている。エピタキシャル結晶領域1Bは、下地基板1A側の第1エピタキシャル層1Bと、その上に形成された第2エピタキシャル層1Bを備えている。第1トレンチ構造TR1は、半導体基板1の表面から深部に向けて先細りするように延びている。第1トレンチ構造TR1(第1トレンチ)は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している。第2トレンチ構造TR2は、半導体基板1の表面から深部に向けて先細りするように延びている。第2トレンチ構造TR2(第2トレンチ)は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域との間の界面(第2位置Z2)を貫通している。
【0025】
デバイス50は、平面視において、第2トレンチ構造TR2によってZ軸周りに囲まれている。第2トレンチ構造TR2の外側には第1トレンチ構造TR1が位置している。第2トレンチ構造TR2は、平面視において、第1トレンチ構造TR1によってZ軸周りに囲まれている。デバイス50の構造は、特に限定されるものではないが、一例について説明する。
【0026】
例示的なデバイス50は、高電圧HVを用いるタイプのトランジスタ(HV-MISFETセル)である。デバイス50は、エピタキシャル結晶領域1B内に、第1ウエル領域51と、複数の第2ウエル領域52を含んでいる。第1ウエル領域51内には、ドレイン領域53が形成されている。それぞれの第2ウエル領域52内には、ソース領域54及びコンタクト領域56が形成されている。ドレイン領域53とソース領域54との間の半導体基板1の表面表域上にはゲート絶縁膜58が設けられている。ゲート絶縁膜58上には、ゲート電極59が配置されている。プレーナゲート構造57は、ゲート絶縁膜58とゲート電極59により構成されている。
【0027】
半導体基板1の表面側には、複数の絶縁部60が間隔をあけて配置されている。絶縁部60は、第2トレンチ構造TR2と第2ウエル領域52との境界位置に配置されている。絶縁部60は、ドレイン領域53とソース領域54との間の領域であって、ドレイン領域53に隣接する位置に配置されている。それぞれの絶縁部60は、シャロートレンチアイソレーション(STI)から構成することができ、シャロートレンチ61内に埋め込まれた絶縁体62を備えている。
【0028】
ドレイン領域53には、ドレインコンタクト電極63を介してドレイン電位VDが与えられる。ソース領域54には、ソースコンタクト電極64及びコンタクト領域56を介して、ソース電位VSが与えられる。ゲート電極59には、ゲートコンタクト電極65を介して、ゲート電位VGが与えられる。スイッチをONするゲート電位VGが与えられると、ゲート電極59の直下の半導体基板1の表層には、チャネル55が形成される。チャネル55を流れる電荷は、ドレイン領域53に隣接する絶縁部60の下方領域をドリフトして、ソース領域54とドレイン領域53とを電気的に接続することができる。
【0029】
第1トレンチ構造TR1には第1コンタクト電極71を介して第1電位V1が与えられる。第2トレンチ構造TR2には第2コンタクト電極72を介して第2電位V2が与えられる。第1トレンチ構造TR1と第2トレンチ構造TR2との間の領域は、メサ部27を構成している。メサ部27には、第3コンタクト電極73を介して第3電位V3が与えられる。第3電位V3は、ドレイン電位VD以下(好ましくはドレイン電位VD未満)の電位とすることができる。換言すれば、第3電位V3は、最大のデバイス電位未満であることができる。第3電位V3は、第1電位V1以上(V1≦V3)とすることができる。第3電位V3は、第1電位V1を超えている(V1<V3)とすることができる。第3電位V3は、第2電位V2以下(V3≦V2)とすることができる。第3電位V3は、第2電位V2未満(V3<V2)とすることができる。この場合、各電位は、デバイス50から離れる方向に漸減する(VD>V2>V3>V1の順になる)ように設定されることができる。
【0030】
半導体装置を構成する各半導体領域は、本例では、n型を第1導電型とし、p型を第2導電型とするが、これらの導電型は相互に置換可能である。例示的なp型の不純物(3価元素)はホウ素(B)である。例示的なn型の不純物(5価元素)は燐(P)又は砒素(As)である。n型の不純物として燐(P)が好ましい場合がある。
【0031】
本例の半導体基板1の材料はSiである。下地基板1Aはp型のSiからなる。第1エピタキシャル層1Bはp型のSiからなる。第2エピタキシャル層1Bはn型のSiからなる。第1ウエル領域51はn型のSiからなる。第2ウエル領域52はp型のSiからなる。ドレイン領域53はn型のSiからなる。ソース領域54はn型のSiからなる。コンタクト領域56はp型のSiからなる。
【0032】
下地基板1Aの不純物濃度は1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であってもよい。下地基板1Aの厚みは50μm以上500μm以下であってもよい。下地基板1Aの材料は、デバイスの種類によっては、Alなどの絶縁体とする構成も可能である。第1エピタキシャル層1Bの不純物濃度は、下地基板1Aの不純物濃度よりも低く、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第1エピタキシャル層1Bの厚みは1μm以上20μm以下であってもよい。第2エピタキシャル層1Bの不純物濃度は、少なくとも第1ウエル領域51と同じ深さの領域においては、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってもよい。第2エピタキシャル層1Bは、5μm以上40μm以下の厚さを有していてもよく、5μm以上30μm以下の厚さを有していてもよい。
【0033】
第1ウエル領域51、第2ウエル領域52、ドレイン領域53、ソース領域54、及び、コンタクト領域56の不純物濃度及び厚みは、一般的な値を用いることができる。
【0034】
絶縁部60内に埋設された絶縁体62は、酸化シリコン(SiO)又は窒化シリコン(Si)などの絶縁体(無機絶縁体)からなる。保護膜14の材料は、酸化シリコン又は窒化シリコンなどの絶縁体(無機絶縁体)からなる。保護膜14の厚みは特に限定されない。
【0035】
半導体基板1の第1主面3のZ軸方向の位置を基準位置Z0とする。第1ウエル領域51又は第2ウエル領域52のZ軸方向の深さの位置を第1位置Z1とする。エピタキシャル結晶領域1BのZ軸方向の深さの位置を第2位置Z2とする。第1トレンチ構造TR1又は第2トレンチ構造TR2の底面の位置を第3位置Z3とする。エピタキシャル結晶領域1Bの厚み(Z2―Z0)は、第1ウエル領域51又は第2ウエル領域52の厚み(Z1-Z0)よりも大きい。第1トレンチ構造TR1の深さ(Z3―Z0)は、エピタキシャル結晶領域1Bの厚み(Z2-Z0)よりも大きい。
【0036】
第1エピタキシャル層1Bと第2エピタキシャル層1Bとの界面位置をpn接合位置ZJとすると、pn接合位置ZJから第3位置Z3までの距離(Z3-ZJ)は、1μm以上30μm以下であってもよい。距離(Z3-ZJ)は、5μm以上25μm以下とすることができる。距離(Z3-ZJ)は、10μm以上20μm以下とすることができる。距離(Z3-ZJ)は、基準位置Z0とpn接合位置ZJとの間の距離(ZJ-Z0)よりも大きい((ZJ-Z0)<(Z3-ZJ))ことが好ましい。トレンチが深い場合には、トレンチによるアイソレーション機能を確実に奏することができる。
【0037】
第1トレンチ構造TR1の深さと、第2トレンチ構造TR2の深さは同一であってもよい。第1トレンチ構造TR1の底面の位置を第3位置Z3(TR1)とし、第2トレンチ構造TR2の底面の位置を第3位置Z3(TR2)とする。これらの距離の差(第3位置Z3(TR1)-Z3(TR2))は、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。複数のトレンチの深さが近い場合には、同一プロセスで製造することができる。
【0038】
第1トレンチ構造TR1の深さと、第2トレンチ構造TR2の深さは異ならせてもよい。例えば、第2トレンチ構造TR2の深さを小さく設定する(第3位置Z3(TR2)<第3位置Z3(TR1))こともできる。
【0039】
第1トレンチ構造TR1の底面近傍には、トレンチ内部領域を下地基板1Aに電気的に接続する第1端部領域R1を形成してもよい。第2トレンチ構造TR2の底面近傍領域には、逆バイアスが印加される第2端部領域R2(ダイオード)を形成してもよい(図46)参照)。
【0040】
以下、上述の半導体装置における第1トレンチ構造TR1又は第2トレンチ構造TR2として適用可能なトレンチ構造TRについて、説明する。
【0041】
次に、第1半導体装置について説明する。
【0042】
図4は、トレンチ構造TRを含む第1半導体装置の縦断面図(XZ断面図)である。
【0043】
半導体装置100は、トレンチ構造TRを備えている。トレンチ構造として、ディープトレンチアイソレーション構造(DTI構造)と、シャロ―トレンチアイソレーション構造(STI構造)が知られている。本例のトレンチ構造TRは、DTI構造20と、第1STI構造21と、第2STI構造22とを備えている。DTI構造20は、第1STI構造21と第2STI構造22との間に位置する。トレンチ構造TRは、平面視においては環状であるが、平面視において、第1STI構造21は、第2STI構造22の外側に位置する。
【0044】
DTI構造20は、半導体基板1に形成された溝としてのトレンチ200を含んでいる。トレンチ200は、平面視においては、第1位置Z1よりも浅い領域に設けられたデバイス50(図3参照)を囲んでいる。トレンチ200の内面は絶縁膜2によって覆われている。トレンチ200は、トレンチ200の底面側に位置する第1トレンチ201と、トレンチ200の表面側に位置する第2トレンチ202とを備えている。第1トレンチ201は深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。第2トレンチ202は、第1トレンチ201に連続しており、深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。換言すれば、第1トレンチ201及び第2トレンチ202は、それぞれ先細り形状を有している。表面側に位置する第2トレンチ202の単位深さ当たりの幅の減少量は、底面側に位置する第1トレンチ201の単位深さ当たりの幅の減少量よりも大きい。
【0045】
トレンチ200内には、第1材料領域11が設けられている。第1材料領域11は、トレンチ200を覆う絶縁膜2に接触している。第1材料領域11は、第1導電領域11Aと第2導電領域11Bとを備えている。第1導電領域11Aは、第1トレンチ201の内側に位置する。第2導電領域11Bは、第2トレンチ202の内側に位置する。第1導電領域11A及び第2導電領域11Bは、同一の材料から構成され、連続している。第1材料領域11は、第1トレンチ201及び第2トレンチ202内に埋め込まれた第1導電領域11A及び第2導電領域11Bを備えている。
【0046】
第2導電領域11Bの上部には、境界線BD2を介して第2材料領域12が位置している。第2導電領域11Bの製造工程と、第2材料領域12の製造工程とは異なるが、主原料が同一の材料からこれらを製造した場合には、境界線BD2は観察できない場合がある。境界線BD2は深さ方向に突出して尖った形状を有している。第2材料領域12は、第2導電領域11B(第1材料領域11)の内側に埋め込まれており、第2導電領域11Bとは異なるエッチング特性を有する。半導体領域内に添加された不純物濃度が異なる場合、エッチング液又はエッチングガスに対する耐性が異なるため、エッチング速度が異なり、エッチング特性が異なることとなる。
【0047】
本例においては、第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含み、第2材料領域12は、第1材料領域11の不純物濃度よりも、低い不純物濃度を有するポリシリコンを含む。第1材料領域11の不純物濃度(例:ホウ素)が高い場合は、第1材料領域11のエッチングがしやすく、エッチング後に第1材料領域11内に第2材料領域12を埋め込んだ場合には、第2材料領域12の不純物濃度が相対的に低いため、第2材料領域12の耐性が高くなる。第1材料領域11の導電型は、p型とすることもできるし、n型とすることも可能である。
【0048】
このような観点から、第1材料領域11の第1不純物濃度C及び第2材料領域12の第2不純物濃度Cは、以下の関係を満たすことができる。すなわち、1×1018cm-3≦C≦1×1022cm-3 1×1015cm-3≦C≦1×1018cm-3である。
【0049】
なお、第1材料領域11及び第2材料領域12に用いられる導電材料として、ポリシリコンに代えて、タングステン、銅などの材料を用いることも可能である。
【0050】
第2材料領域12は、境界線BD2によって示されるように、トレンチ200の底面に向かうほど狭くなる幅を有する領域12Aを備えている。なお、上述のように、境界線BD2は、観察できない場合がある。第2トレンチ202は、底面に向けて幅が狭くなる形状を有している。したがって、第2トレンチ202の内部に導電材料を充填する工程において、導電材料が第2トレンチ202の幅方向の中央近傍に充填されず、ここにシーム(空間)が形成される。シームは、第2トレンチ202の形状をトレースした形状となるので、シームは下向きに突出した形状を有する。第2材料領域12は、これをシーム内に充填して形成しているので、領域12Aは、底面に向けて突出した形状となる。
【0051】
第1トレンチ201は、第1外側内面201Aと第1内側内面201Bを備えている。第2トレンチ202は、第2外側内面202Aと第2内側内面202Bを備えている。絶縁膜2は、外側絶縁膜2Aと内側絶縁膜2Bを備えている。外側絶縁膜2Aは、第1外側内面201A及び第2外側内面202Aに接触している。内側絶縁膜2Bは、第1内側内面201B及び第2内側内面202Bに接触している。
【0052】
第1トレンチ201と第2トレンチ202との境界位置BDは、第1位置Z1よりも基板表面側に位置している。下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの界面の位置である第2位置Z2は、第1位置Z1よりも深い位置にある。第1トレンチ201は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している。
【0053】
第1STI構造21は、半導体基板1(エピタキシャル結晶領域1B)の表面に形成された第1凹部DP1と、第1凹部DP1内に充填された第1絶縁領域13OUTを備えている。第2STI構造22は、半導体基板1の表面に形成された第2凹部DP2と、第2凹部DP2内に充填された第2絶縁領域13INを備えている。保護膜14の材料が、第1絶縁領域13OUT及び第2絶縁領域13INと同一材料の場合、これらは一体化する。保護膜14は、DTI構造20の上部に位置する第2材料領域12を被覆している。保護膜14は、第1STI構造21及び第2STI構造22を被覆している。
【0054】
DTI構造20の最上部に埋め込まれた第2材料領域12の上部主表面の位置を基準位置Z0とする。第1凹部DP1の底面の位置を第1底面位置ZSとする。基準位置Z0から第1底面位置ZSまでの距離は、第1凹部DP1又は第2凹部DP2の深さΔZとする。STI構造は、隣接素子間のリーク電流を抑制し、耐圧を確保する機能を有する。かかる機能の観点から、基準位置Z0からみた第1凹部DP1及び第2凹部DP2の凹部深さΔZは、一定値以上の深さを有することが好ましい。第1凹部DP1の深さ(凹部深さΔZ)は、100nm以上であることが好ましい。第2凹部DP2の深さ(凹部深さΔZ)は、100nm以上であることが好ましい。本例ではDTI構造とSTI構造を組み合わせているので、STI構造は深すぎる必要はない。かかる観点から、STI構造を規定する凹部深さΔZは、100nm以上500nm以下とすることができる。また、凹部深さΔZは、第1位置Z1の深さ(Z1-Z0)よりも小さい。凹部深さΔZは、エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2の深さ(Z2-Z0))よりも小さい。DTI構造と組み合わせることにより、このような深さ条件においても、十分なアイソレーション機能を奏することができる。なお、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の深さは、エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい。
【0055】
図5は、図4に示した第1領域S1の拡大図である。
【0056】
DTI構造20の外側には第1STI構造21が配置され、内側には第2STI構造22が配置されている。各STI構造は、凹部内に絶縁体(絶縁領域)を埋設してなる。第2トレンチ202の最大幅WDTBを与える第2トレンチ202の外側端の位置を第1位置(X1)とし、内側端の位置を第2位置(X6)とする。第1凹部DP1の底面における第1位置(X1)の上方には、第1凹部DP1内の第1絶縁領域13OUTが位置している。第1絶縁領域13OUTにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。第2凹部DP2の底面における第2位置(X6)の上方には、第2凹部DP2内の第2絶縁領域13INが位置している。第2絶縁領域13INにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。
【0057】
第1絶縁領域13OUTの第1底面141(第1凹部DP1の底面)と、第2絶縁領域13INの第2底面142(第2凹部DP2の底面)との間の幅方向距離WDTCは、第2トレンチ202の最大幅WDTBよりも小さい。幅方向距離WDTCは、第1底面141の内側端部位置(X2)と、第2底面142の外側端部位置(X5)と間の距離で規定される。
【0058】
図5においては、XZ断面内の寸法及び角度が示されている。幅方向距離WDTCを与える両端の近傍領域は、XZ断面においてノッチ形状を有している。第1底面141の内側端部位置(X2)の第1近傍領域11OUTにおいて、第2導電領域11Bは、絶縁膜2と第1絶縁領域13OUTの第1底面141と間の隙間に充填されている。第1近傍領域11OUTにおいて、絶縁膜2の内面と第1底面141の成す第1角度θ141は、鋭角である。第2底面142の内側端部位置(X5)の第2近傍領域11INにおいて、第2導電領域11Bは、絶縁膜2と第2絶縁領域13INの第2底面142と間の隙間に充填されている。第2近傍領域11INにおいて、絶縁膜2の内面と第2底面142の成す第2角度θ142は、鋭角である。
【0059】
製造工程において、上部を開放可能な形状のシーム(図7(A)のシーム310を参照)を形成し、その後のシーム内に導電材料を充填する(図7(C)参照)ためには、第1角度θ141は、30°≦第1角度θ141≦60°に設定されることが好ましい。同様に、第2角度θ142は、30°≦第2角度θ142≦60°に設定されることが好ましい。また、同様の理由から、幅方向距離WDTCは、2μm≦幅方向距離WDTC≦8μmに設定されることが好ましい。また、同様の理由から、絶縁膜2の水平方向の厚みをΔWとして、最大幅WDTBは、1μm≦(WDTB-2×ΔW)≦10μmに設定されることが好ましい。最大幅WDTBは、1μm≦WDTB≦10μmに設定してもよい。
【0060】
この場合の絶縁膜2の厚み(ΔW)の例示的な好適範囲は、100nm≦ΔW≦1000nmである。絶縁膜2の水平方向の厚みΔWが深さ方向に、ほぼ一定である場合は、例示的には境界位置BDにおける厚みΔWを用いることができるが、トレンチの最大幅を与える深さ位置における厚みを用いてもよい。境界位置BDを与えるトレンチ200の境界位置幅WDTAは、X軸方向の第3位置(X3)と第4位置(X4)との間の距離で規定される。境界位置幅WDTAは、最大幅WDTBよりも小さい。
【0061】
XZ断面(第1トレンチ201の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第1トレンチ201の交わりによって構成される交線(第1外側内面201A、第1内側内面201B)は、それぞれ線分であり、直線的に延びている。XZ断面(第2トレンチ202の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第2トレンチ202の交わりによって構成される交線(第2外側内面202A、第2内側内面202B)は、それぞれ線分であり、直線的に延びている。直線的に延びているため、形状制御の再現性が高いという利点がある。
【0062】
第1トレンチ201の第1外側内面201Aと水平面(XY面)との成す角度(θ1A)は、鋭角である。第2トレンチ202の第2外側内面202Aと水平面(XY面)との成す角度(θ2A)は、鋭角である。同様に、第1トレンチ201の第1内側内面201Bと水平面(XY面)との成す角度(θ1B)は、鋭角である。第2トレンチ202の第2内側内面202Bと水平面(XY面)との成す角度(θ2B)は、鋭角である。なお、これらの角度(θ1A、θ2A、θ1B、θ2B)は、XZ平面内において、トレンチ中心軸から水平方向に沿って離れる方向と、各トレンチ内面を上方向に向かう方向の成す角度である。第1トレンチ201の角度(θ1A)は、第2トレンチ202の角度(θ2A)よりも大きい(θ2A<θ1A)。第1トレンチ201の角度(θ1B)は、第2トレンチ202の角度(θ2B)よりも大きい(θ2B<θ1B)。
【0063】
第1トレンチ201は、深い位置まで延びているので、その角度(θ1A)及び角度(θ1B)は、基準角度(θUNDER)よりも大きくなり、且つ、90°よりも小さい(θUNDER<θ1A<90°、θUNDER<θ1B<90°)。例示的に好適な基準角度(θUNDER)は89.0°である。第2トレンチ202の角度(θ2A)及び角度(θ2B)は、シーム充填等の理由から、80°≦角度(θ2A)<90°、80°≦角度(θ2B)<90°に設定することができる。
【0064】
第2材料領域12は、基準位置Z0よりも少し深い位置(ZR)までは幅が一定である。位置(ZR)から深さ方向に向かって、第1底面141及び第2底面142の位置まで、第2材料領域12の幅は、徐々に広くなっている。製造工程において、第2材料領域12の頂面(基準位置Z0)上には、これと同じ幅のマスクが配置されており(図8(F)の第5絶縁膜313(マスク))、当該マスクを介して、マスク開口内の下方の半導体領域をエッチングしたため、このような形状になっている。マスク幅を変更すると、上述の幅方向距離WDTCが変わる。換言すれば、本例の形状は、マスク幅を調整することで、幅方向距離WDTCが、上述の好適範囲内に収まるように制御された構造であることを示している。
【0065】
上述のトレンチ構造を備えた半導体装置の製造方法について説明する。
【0066】
図6図9は、第1半導体装置の製造方法を説明するための図であり、以下に説明される工程が順次実行される。
【0067】
図6(A)に示すように、半導体基板1上に、第1絶縁膜301、第2絶縁膜302、第3絶縁膜303を積層する。第3絶縁膜303上に、第1レジスト材料304を形成する。第1レジスト材料304をパターニングして、第1開口305を形成する。半導体基板1の材料はシリコン(Si)である。第1絶縁膜301の材料は二酸化シリコン(SiO)、第2絶縁膜302の材料は窒化シリコン(Si)、第3絶縁膜303の材料は二酸化シリコン(SiO)である。
【0068】
第1絶縁膜301のように、露出したシリコン表面上に二酸化シリコンを形成する場合、シリコンの熱酸化を用いることができる。第2絶縁膜302のように、窒化シリコンを形成する場合、窒化シリコン形成用の減圧(Low Pressure)CVD(化学的気相成長)法を用いることができる。窒化シリコン形成用のCVD法の原料ガスとしては、ジクロロシランガス(SiHCl)、アンモニアガス(NH)及び窒素ガス(N)の混合ガスが例示される。第3絶縁膜303のように比較的厚い二酸化シリコンを形成する場合、CVD法を用いることができる。二酸化シリコン形成用のCVD法として、TEOS(Si(OC)を用いた形成法が例示される。
【0069】
図6(B)に示すように、パターニングされた第1レジスト材料304をマスクとして、第3絶縁膜303、第2絶縁膜302、第1絶縁膜301を順次エッチングし、マスク開口と同一形状に、これらをパターニングする。エッチング方法として、絶縁膜用の異方性ドライエッチングを用いることができる。パターニングされた第3絶縁膜303、第2絶縁膜302、及び第1絶縁膜301からなる積層体をハードマスクとする。絶縁膜用の異方性ドライエッチングを行う場合、フッ化炭素系のエッチングガスが例示される。
【0070】
図6(C)に示すように、第1レジスト材料304を除去する。第1レジスト材料304が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0071】
図6(D)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1の表面側をエッチングし、表面側凹部306を形成する。表面側凹部306は、上述の第2トレンチ202(図4参照)に対応する。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチングを用いることができる。表面側凹部306の上部の幅は、第1絶縁膜301の下面が露出する位置まで広がる。
【0072】
シリコン用のウエットエッチング法に用いられるエッチング液としては、酸性エッチング液としては、フッ酸及び硝酸等が例示され、アルカリ性エッチング液としてはKOH及びアンモニア等が例示される。これらのウエットエッチング法を用いた場合、ハードマスクの下面において、等方性エッチングが行われる。エッチング初期においてウエットエッチングを用い、その後、ドライエッチングを用いることもできる。ドライエッチングには、反応性イオンエッチング(RIE)などの異方性エッチングと、活性種を用いた等方性ドライエッチングが知られている。したがって、表面側凹部306の形成において、等方性ドライエッチングのみを用いることも可能である。エッチング時の制御パラメータ(温度、時間、エッチング液又はエッチングガスの種類等)を変更することにより、所望の形状のエッチングを行うことができる。シリコン用の異方性ドライエッチング法として、反応性イオンエッチング(RIE)を用いる方法が例示される。ドライエッチング用のエッチングガスとしては、CF及びSF等のフッ素含有ガスを用いるものが例示される。
【0073】
図6(D)の工程においては、半導体基板1上に設けられたマスク(第3絶縁膜を含むハードマスク)の開口を介して、半導体基板1をエッチングし、開口の直下、及び、開口の幅方向の両端位置よりも外側の領域の直下に、空間(第2トレンチ202(図4参照))を形成している。
【0074】
図6(E)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1を更にエッチングし、すなわち、表面側凹部306の底部をエッチングして、底深凹部307からなるトレンチを形成する。エッチング方法としては、シリコン用のドラインエッチングを用いることができる。例示的にはRIEを用いた異方性ドライエッチングを用いることができる。この工程においては、ハードマスクの開口を介して半導体基板1をドライエッチングし、空間(第2トレンチ202)に連続するトレンチ(第1トレンチ201)を形成している。
【0075】
図6(F)に示すように、露出した底深凹部307(トレンチ)の表面に絶縁膜2を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、絶縁膜2として二酸化シリコンを形成することができる。この工程においては、空間(第2トレンチ202)及びトレンチ(第1トレンチ201)の露出表面上に、絶縁膜2を形成している。
【0076】
図6(G)に示すように、絶縁膜2のうち、底深凹部307(トレンチ)の底面に位置する部分を除去し、底深凹部307の底面に位置する半導体基板1を露出させる。除去方法としては、絶縁膜用の異方性ドライエッチングを用いることができる。
【0077】
図6(H)に示すように、トレンチ内部の絶縁膜2、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口内側面、及びハードマスクの上面を覆うように、第1導電体材料309を形成する。第1導電体材料309は不純物を添加したポリシリコンであり、形成方法はCVD法を用いることができる。トレンチ内部において、第1導電体材料309が充填されない領域(シーム310)が形成される。ポリシリコンを形成可能なCVD法として、シラン(SiH)を用いた形成法などが例示される。この工程においては、ハードマスクの開口を介して、トレンチ(第1トレンチ201)内に、第1導電体材料309を供給し、第1導電領域11Aを形成すると共に、この空間(第2トレンチ202)内に、第1導電体材料309を供給し、シーム310を有する第2導電領域11Bを形成し、第1導電領域11A及び第2導電領域11Bを含む第1材料領域11を形成している。
【0078】
図7(A)に示すように、第1導電体材料309の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第3絶縁膜303の上面を露出させる。
【0079】
図7(B)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口内に充填された導電材料をエッチングし、シーム310の上部を開放し、露出させる。このエッチングは、シリコン用の異方性ドライエッチングを用いることができる。エッチングは、第1絶縁膜301の下面位置よりも深い位置まで行われる。このエッチングにより、トレンチ内に第1材料領域11が形成される。この工程では、ハードマスクの開口を介して、第2導電領域11B内のシーム310に到達するまで、第2導電領域11Bをエッチングしている。
【0080】
図7(C)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口内を埋めるように、上部導電材料311を形成する。第1材料領域11の上部に存在していたシーム310の内部は、上部導電材料311によって充填される。上部導電材料311は、第3絶縁膜303の表面上にも堆積される。上部導電材料311の材料は、アンドープのポリシリコンであり、CVD法を用いて形成することができる。ポリシリコンを形成可能なCVD法として、シラン(SiH)を用いた形成法などが例示される。この工程では、ハードマスクの開口を介してシーム310内に上部導電材料311を供給し、シーム310内に第2材料領域12を形成している。
【0081】
図7(D)に示すように、上部導電材料311の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第3絶縁膜303の上面を露出させる。
【0082】
図7(E)に示すように、第3絶縁膜303の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第2絶縁膜302の上面を露出させる。この工程より、第3絶縁膜303の開口内に存在していた上部導電材料311も除去される。
【0083】
図7(F)に示すように、第2絶縁膜302を除去する。窒化シリコンからなる第2絶縁膜302の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。
【0084】
図7(G)に示すように、第1絶縁膜301を除去する。二酸化シリコンからなる第1絶縁膜301の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、フッ酸(HF)などが例示される。
【0085】
図8(A)に示すように、半導体基板1の露出表面上に第4絶縁膜312を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第4絶縁膜312として二酸化シリコンを形成することができる。
【0086】
図8(B)に示すように、第4絶縁膜312上に第5絶縁膜313を形成する。第5絶縁膜313は窒化シリコンからなり、形成方法としては、窒化シリコン形成用の減圧CVD法を用いることができる。
【0087】
図8(C)に示すように、第5絶縁膜313上に第2レジスト材料314を形成する。第2レジスト材料314は、STI構造用の凹部形成予定領域が開口するようにパターニングされる。
【0088】
図8(D)に示すように、第2レジスト材料314により構成されるマスクの開口内に存在する第5絶縁膜313及び第4絶縁膜312を順次エッチングし、第5絶縁膜313を含むハードマスクを形成する。このエッチングには、絶縁膜用のドライエッチングを用いることができる。
【0089】
図8(E)に示すように、第2レジスト材料314を除去する。第2レジスト材料314が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0090】
図8(F)に示すように、第5絶縁膜313を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1をエッチングし、第1凹部DP1及び第2凹部DP2を形成する。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチング法又はドラインエッチング法を用いることができる。なお、このエッチング工程において、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の底面よりも高い位置に、絶縁膜2の最上部を位置させることができる。
【0091】
図8(G)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の露出表面上に第6絶縁膜315を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第6絶縁膜315として二酸化シリコンを形成することができる。
【0092】
図8(H)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2内を充填するように、第7絶縁膜316を形成する。形成方法としては、二酸化シリコン形成用のCVD法を用いることができ、TEOSを用いた形成法が例示され、第7絶縁膜316として二酸化シリコンを形成することができる。第7絶縁膜316は、第5絶縁膜313上にも形成される。
【0093】
図9(A)に示すように、第7絶縁膜316の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第5絶縁膜313の上面を露出させる。
【0094】
図9(B)に示すように、第5絶縁膜313を除去する。窒化シリコンからなる第5絶縁膜313の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。最後に、基板表面上を覆う保護膜を形成し、図4に示した保護膜14を有する構造が完成する。保護膜14は二酸化シリコン形成用のCVD法を用いて形成することができる。
【0095】
図10は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第1半導体装置の縦断面図である。
【0096】
本例の半導体装置は、STI構造を有していない点が、図4に示した半導体装置と異なり、他の構成は、同一である。絶縁膜2の上部は保護膜14に連続しており、絶縁膜2が形成される第2トレンチ202の上端部分の形状が、図4に示した半導体装置と異なる。平面形状が環状を構成するトレンチの外側に位置する保護膜14の底面を第1底面141とし、トレンチの内側に位置する保護膜14の底面を第2底面142とし、この底面位置をZTとする。
【0097】
第1近傍領域11OUTにおいて、絶縁膜2の内面と第1底面141の成す第1角度θ141は、鋭角である。第2近傍領域11INにおいて、絶縁膜2の内面と第2底面142の成す第2角度θ142は、鋭角である。これらの第1角度θ141及び第2角度θ142の好適範囲は、図5に示した第1角度θ141及び第2角度θ142の好適範囲と同一である。境界線BD2は、底面位置ZTから深さ方向に広がっている。この構造は、図8(A)の工程の後、基板露出表面上に保護膜14を形成することで製造することができる。
【0098】
次に、第2半導体装置について説明する。
【0099】
図11は、トレンチ構造TRを含む第2半導体装置の縦断面図(XZ断面図)である。
【0100】
第1半導体装置(図4)と第2半導体装置(図11)との相違点は、第2トレンチ202の形状のみであり、その他の構造は、第1半導体装置と同一である。以下、相違点について説明する。
【0101】
第1トレンチ201は深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。第2トレンチ202は、第1トレンチ201に連続しており、深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。表面側に位置する第2トレンチ202の単位深さ当たりの幅の減少量は、底面側に位置する第1トレンチ201の単位深さ当たりの幅の減少量よりも大きいが、第2トレンチ202のXZ断面形状を構成するトレンチ内面の交線は、それぞれ弧状となっている。
【0102】
第2導電領域11Bの上部には、境界線BD2を介して第2材料領域12が位置している。第2導電領域11Bの製造工程と、第2材料領域12の製造工程とは異なるが、主原料が同一の材料からこれらを製造した場合には、境界線BD2は観察できない場合がある。本例の境界線BD2は深さ方向に膨らんだ弧状の形状を有している。
【0103】
第2材料領域12は、境界線BD2によって示されるように、トレンチ200の底面に向かうほど狭くなる幅を有する領域12Aを備えている。第2トレンチ202の内部に導電材料を充填する工程において、導電材料が第2トレンチ202の幅方向の中央近傍に充填されず、ここに弧状の底面を有するシーム(空間)が形成される。シームは、第2トレンチ202の形状をトレースした形状となるので、シームは下向きに膨らんだ形状を有する。第2材料領域12は、これをシーム内に充填して形成しているので、領域12Aは、底面に向けて緩やかに突出した形状となる。
【0104】
図12は、図11に示した第2領域S2の拡大図である。
【0105】
第1絶縁領域13OUTの第1底面141(第1凹部DP1の底面)と、第2絶縁領域13INの第2底面142(第2凹部DP2の底面)との間の幅方向距離WDTCは、第2トレンチ202の最大幅WDTBよりも小さい。幅方向距離WDTCは、第1底面141の内側端部位置(X2)と、第2底面142の外側端部位置(X5)と間の距離で規定される。
【0106】
第1底面141と絶縁膜2の交差する第1近傍領域11OUTにおいて、第2導電領域11Bは、絶縁膜2と第1絶縁領域13OUTの第1底面141と間の隙間に充填されている。第1近傍領域11OUTにおいて、絶縁膜2の内面と第1底面141の成す第1角度θ141は、鋭角である。第2底面142と絶縁膜2の交差する第2近傍領域11INにおいて、第2導電領域11Bは、絶縁膜2と第2絶縁領域13INの第2底面142と間の隙間に充填されている。第2近傍領域11INにおいて、絶縁膜2の内面と第2底面142の成す第2角度θ142は、鋭角である。
【0107】
製造工程において、上部を開放可能な形状のシーム(図14(A)のシーム310を参照)を形成し、その後のシーム内に導電材料を充填する(図14(C)参照)ためには、第1角度θ141は、30°≦第1角度θ141≦60°に設定することができる。同様に、第2角度θ142は、30°≦第2角度θ142≦60°に設定することができる。なお、図12における第1角度θ141及び第2角度θ142は、図5に示した角度よりも大きな角度、或いは、上記範囲よりも大きな角度に設定してもよい。
【0108】
また、同様の理由から、幅方向距離WDTCは、2μm≦幅方向距離WDTC≦8μmに設定されることが好ましい。また、同様の理由から、絶縁膜2の厚みをΔWとして、最大幅WDTBは、1μm≦(WDTB-2×ΔW)≦10μmに設定されることが好ましい。最大幅WDTBは、1μm≦WDTB≦10μmに設定してもよい。
【0109】
この場合の絶縁膜2の厚み(ΔW)の例示的な好適範囲は、100nm(0.1μm)≦ΔW≦1000nm(1μm)である。絶縁膜2の水平方向の厚みΔWが深さ方向に、ほぼ一定である場合は、例示的には境界位置BDにおける厚みΔWを用いることができるが、トレンチの最大幅を与える深さ位置における厚みを用いてもよい。境界位置BDを与えるトレンチ200の境界位置幅WDTAは、X軸方向の第3位置(X3)と第4位置(X4)との間の距離で規定される。境界位置幅WDTAは、最大幅WDTBよりも小さい。
【0110】
XZ断面(第2トレンチ202の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第2トレンチ202の交わりによって構成される交線(第2外側内面202A、第2内側内面202B)は、それぞれ弧状に延びている。これらの弧状の交線は深さ方向に膨らむように湾曲している。換言すれば、深さ方向に向かうにしたがって、すなわち、境界位置BDに近づくほど、第2トレンチ202の幅の深さあたりの減少率が大きくなっている。第1角度θ141及び第2角度θ142が大きい場合は、この領域に第2材料領域12を充填しやすくなる。
【0111】
第1トレンチ201の内面角度は、第1半導体装置の場合と同一である。第2トレンチ202の内面は、弧状であるため、その平均的な角度を、第2トレンチ202のZ軸方向距離の1/2の位置において規定する。すなわち、第1トレンチ201と第2トレンチ202との境界位置BDと、第1底面141との間のZ軸方向距離をΔCとし、境界位置BDよりもΔC/2だけ上方の位置において、第2トレンチ202の角度を規定する。
【0112】
第2トレンチ202の第2外側内面202Aと水平面(XY面)との成す角度(θ2A)は、鋭角である。第2トレンチ202の第2内側内面202Bと水平面(XY面)との成す角度(θ2B)は、鋭角である。第1トレンチ201の角度(θ1A)は、第2トレンチ202の角度(θ2A)よりも大きい(θ2A<θ1A)。第1トレンチ201の角度(θ1B)は、第2トレンチ202の角度(θ2B)よりも大きい(θ2B<θ1B)。
【0113】
第2トレンチ202の角度(θ2A)及び角度(θ2B)は、シーム充填等の理由から、80°≦角度(θ2A)<90°、80°≦角度(θ2B)<90°に設定することができる。
【0114】
上述のトレンチ構造を備えた半導体装置の製造方法について説明する。
【0115】
図13図16は、第2半導体装置の製造方法を説明するための図であり、以下に説明される工程が順次実行される。
【0116】
図13(A)~図13(C)までの工程は、図6(A)~図6(C)の工程と同一である。
【0117】
図13(D)の工程においては、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1の表面側をエッチングし、表面側凹部306を形成する。この点は、図6(D)の工程と同一であるが、図13(D)の工程においては、図6(D)の工程と比較して、エッチングの等方性を増加させている。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチングを用いることができる。表面側凹部306の上部の幅は、第1絶縁膜301の下面が露出する位置まで広がる。表面側凹部306の縦断面形状は、弧状となる。
【0118】
図13(D)の工程においては、半導体基板1上に設けられたマスク(第3絶縁膜を含むハードマスク)の開口を介して、半導体基板1をエッチングし、開口の直下、及び、開口の幅方向の両端位置よりも外側の領域の直下に、空間(第2トレンチ202(図11参照))を形成している。
【0119】
図13(E)~図13(H)の工程は、図6(E)~図6(H)の工程と同一である。
【0120】
図14(A)~図14(G)の工程は、図7(A)~図7(G)の工程と同一である。
【0121】
図15(A)~図15(H)の工程は、図8(A)~図8(H)の工程と同一である。
【0122】
図16(A)~図16(B)の工程は、図9(A)~図9(B)の工程と同一である。最後に、基板表面上を覆う保護膜を形成し、図11に示した保護膜14を有する構造が完成する。保護膜14は二酸化シリコン形成用のCVD法を用いて形成することができる。
【0123】
図17は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第2半導体装置の縦断面図である。
【0124】
本例の半導体装置は、STI構造を有していない点が、図11に示した半導体装置と異なり、他の構成は、同一である。絶縁膜2の上部は保護膜14に連続しており、絶縁膜2が形成される第2トレンチ202の上端部分の形状が、図11に示した半導体装置と異なる。平面形状が環状を構成するトレンチの外側に位置する保護膜14の底面を第1底面141とし、トレンチの内側に位置する保護膜14の底面を第2底面142とし、この底面位置をZTとする。
【0125】
第1近傍領域11OUTにおいて、絶縁膜2の内面と第1底面141の成す第1角度θ141は、鋭角である。第2近傍領域11INにおいて、絶縁膜2の内面と第2底面142の成す第2角度θ142は、鋭角である。これらの第1角度θ141及び第2角度θ142の好適範囲は、図12に示した第1角度θ141及び第2角度θ142の好適範囲と同一である。境界線BD2は、底面位置ZTから深さ方向に広がっている。この構造は、図15(A)の工程の後、基板露出表面上に保護膜14を形成することで製造することができる。
【0126】
次に、第3半導体装置について説明する。
【0127】
図18は、トレンチ構造TRを含む第3半導体装置の縦断面図(XZ断面図)である。
【0128】
半導体装置100は、トレンチ構造TRを備えている。本例のトレンチ構造TRは、DTI構造20と、第1STI構造21と、第2STI構造22とを備えている。DTI構造20は、第1STI構造21と第2STI構造22との間に位置する。トレンチ構造TRは、平面視においては環状であるが、平面視において第1STI構造21は第2STI構造22の外側に位置する。
【0129】
DTI構造20は、半導体基板1に形成された溝としてのトレンチ200を含んでいる。トレンチ200は、平面視においては、第1位置Z1よりも浅い領域に設けられたデバイス50(図3参照)を囲んでいる。トレンチ200の内面は絶縁膜2によって覆われている。トレンチ200は、第1及び第2半導体装置と同様の第1トレンチ201を備えており、第1トレンチ201の内面の傾斜角は、上述の範囲を満たすことができる。第1トレンチ201は深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。換言すれば、第1トレンチ201は、先細り形状を有している。
【0130】
トレンチ200内には、第1材料領域11が設けられている。第1材料領域11は、トレンチ200を覆う絶縁膜2に接触している。第1材料領域11の上部には、境界線BD2を介して第2材料領域12が位置している。第1材料領域11及び第2材料領域12は、導電領域を構成する。第1及び第2材料領域は、製造工程が異なるが、主原料が同一の材料から、これらを製造した場合には、境界線BD2は観察できない場合がある。境界線BD2は、水平面(XY平面)内に沿って延びている。第2材料領域12は、第1材料領域11とは、異なるエッチング特性を有する。半導体領域内に添加された不純物濃度が異なる場合、エッチング液又はエッチングガスに対する耐性が異なるため、エッチング速度が異なり、エッチング特性が異なることとなる。
【0131】
本例においては、第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含み、第2材料領域12は、第1材料領域11の不純物濃度よりも、低い不純物濃度を有するポリシリコンを含む。第1材料領域11の不純物濃度(例:ホウ素)が高い場合は、第1材料領域11のエッチングがしやすく、エッチング後に第1材料領域11上に、第2材料領域12を形成した場合には、第2材料領域12の不純物濃度が相対的に低いため、第2材料領域12の耐性が高くなる。第1材料領域11の導電型は、p型とすることもできるし、n型とすることも可能である。
【0132】
このような観点から、第1材料領域11の第1不純物濃度C及び第2材料領域12の第2不純物濃度Cは、上述の第1半導体装置及び第2半導体装置における濃度範囲と同一に設定することができる。
【0133】
トレンチ200内に埋め込まれる導電材料は、トレンチ200の内面形状をトレースする傾向がある。トレンチ200の開口幅が広く、内面の傾斜が緩い場合には、埋め込んだ導電材料内にシームが形成されにくい。したがって、製造時において、トレンチ開口幅が広く、且つ、絶縁膜2の上部位置(第1上部位置2AT、第2上部位置2BT(図20(F))参照)の表面傾斜が緩やかな場合、シームが形成されにくい。緩やかな表面を形成する場合には、絶縁膜2を厚くする。本例では、トレンチ200の開口幅が比較的広く、絶縁膜2の厚みΔW(水平面内(幅方向(X軸方向))の厚み)が大きく設定されている。
【0134】
半導体基板1の厚み方向に垂直な方向を水平方向とし、トレンチ200内における絶縁膜2の水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、以下の範囲を満たす。すなわち、0.1μm≦ΔW≦1μmである。
【0135】
ΔWの最大値が下限値を下回るとシーム発生の抑制効果が低減し、上限値を超えると必要以上にトレンチ寸法が大きくなる。なお、厚みΔWの最大値が得られる深さは、本例では第1凹部DP1の第1底面位置ZSの近傍位置である。
【0136】
第1トレンチ201は、第1外側内面201Aと第1内側内面201Bを備えている。絶縁膜2は、外側絶縁膜2Aと内側絶縁膜2Bを備えている。外側絶縁膜2Aは、第1外側内面201Aに接触している。内側絶縁膜2Bは、第1内側内面201Bに接触している。
【0137】
第1トレンチ201は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している。
【0138】
第1STI構造21は、半導体基板1(エピタキシャル結晶領域1B)の表面に形成された第1凹部DP1と、第1凹部DP1内に充填された第1絶縁領域13OUTを備えている。第2STI構造22は、半導体基板1の表面に形成された第2凹部DP2と、第2凹部DP2内に充填された第2絶縁領域13INを備えている。保護膜14の材料が、第1絶縁領域13OUT及び第2絶縁領域13INと同一材料の場合、これらは一体化する。保護膜14は、DTI構造20の上部に位置する第2材料領域12を被覆している。保護膜14は、第1STI構造21及び第2STI構造22を被覆している。
【0139】
DTI構造20の最上部に埋め込まれた第2材料領域12の上部主表面の位置を基準位置Z0とする。第1凹部DP1の底面の位置を第1底面位置ZSとする。基準位置Z0から第1底面位置ZSまでの距離は、第1凹部DP1又は第2凹部DP2の深さΔZとする。STI構造は、隣接素子間のリーク電流を抑制し、耐圧を確保する機能を有する。かかる機能の観点から、基準位置Z0からみた第1凹部DP1及び第2凹部DP2の凹部深さΔZは、一定値以上の深さを有することが好ましい。第1凹部DP1の深さ(凹部深さΔZ)及び第2凹部DP2の深さ(凹部深さΔZ)は、第1半導体装置において説明した範囲と、同一範囲に設定することができる。
【0140】
図19は、図18に示した第3領域S3の拡大図である。
【0141】
DTI構造20の外側には第1STI構造21が配置され、内側には第2STI構造22が配置されている。各STI構造は、凹部内に絶縁体(絶縁領域)を埋設してなる。トレンチ200の最大幅WDTBを与えるトレンチ200の外側端の位置を第1位置(X1)とし、内側端の位置を第2位置(X6)とする。
【0142】
絶縁膜2の水平方向の厚みをΔWとして、最大幅WDTBは、1μm≦(WDTB-2×ΔW)≦10μmに設定されることが好ましい。最大幅WDTBは、1μm≦WDTB≦10μmに設定してもよい。絶縁膜2の水平方向の厚みΔWは、例示的には第1底面位置ZSにおける厚みΔWを用いることができるが、トレンチの最大幅を与える深さ位置における厚みを用いてもよい。
【0143】
第1凹部DP1は、第1位置(X1)よりも外側に広がっている。第2凹部DP2は、第2位置(X6)よりも内側に広がっている。第1凹部DP1内には、第1絶縁領域13OUTが位置している。第1絶縁領域13OUTにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。第2凹部DP2内には、第2絶縁領域13INが位置している。第2絶縁領域13INにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。
【0144】
第1絶縁領域13OUTの第1底面141(第1凹部DP1の底面)と、第2絶縁領域13INの第2底面142(第2凹部DP2の底面)の深さ方向の位置は、第1底面位置ZSである。上述のトレンチ200(第1トレンチ201)内における絶縁膜2の水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、例示的には、第1底面位置ZSにおける値である。なお、第1絶縁領域13OUTの第1底面141と、第2絶縁領域13INの第2底面142との間の距離(幅方向距離)は、トレンチ200の最大幅WDTBよりも大きい。
【0145】
XZ断面(第1トレンチ201の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第1トレンチ201の交わりによって構成される交線(第1外側内面201A、第1内側内面201B)は、それぞれ線分であり、直線的に延びている。直線的に延びているため、形状制御の再現性が高いという利点がある。
【0146】
第2材料領域12は、基準位置Z0から深さ方向に沿って幅が徐々に広くなっている。製造工程において、第2材料領域12の頂面(基準位置Z0)上には、これと同じ幅のマスクが配置されており(図22(F)の第5絶縁膜313(マスク))、当該マスクを介して、マスク開口内の下方の半導体領域をエッチングしている。マスク幅及びエッチング方法によって、第2材料領域12の頂面より下方の領域の形状を制御することができる。
【0147】
上述のトレンチ構造を備えた半導体装置の製造方法について説明する。
【0148】
図20図23は、第3半導体装置の製造方法を説明するための図であり、以下に説明される工程が順次実行される。
【0149】
図20(A)~図20(C)までの工程は、図6(A)~図6(C)の工程と同一である。
【0150】
図20(D)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1をエッチングし、底深凹部307からなるトレンチ200を形成する。エッチング方法としては、シリコン用のドラインエッチングを用いることができる。例示的にはRIEを用いた異方性ドライエッチングを用いることができる。異方性ドライエッチングの方法は、第1及び第2半導体装置の製造方法において説明した通りである。
【0151】
図20(E)に示すように、露出した底深凹部307(トレンチ)の表面に絶縁膜2を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、絶縁膜2として二酸化シリコンを形成することができる。
【0152】
図20(F)に示すように、絶縁膜2のうち、底深凹部307(トレンチ)の底面に位置する部分を除去し、底深凹部307の底面に位置する半導体基板1を露出させる。除去方法としては、絶縁膜用の異方性ドライエッチングを用いることができる。このエッチングにより、XZ断面内において、絶縁膜2の上部端面の形状が緩やかな弧状となる。絶縁膜2の第1上部位置2AT及び第2上部位置2BTの表面は、異方性ドライエッチングにより、緩やかにトレンチの内側に落ち込むように変形する。
【0153】
図20(G)に示すように、トレンチ内部の絶縁膜2、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口内側面、及びハードマスクの上面を覆うように、第1導電体材料309を形成する。第1導電体材料309は不純物を添加したポリシリコンであり、形成方法はCVD法を用いることができる。上述の理由から、トレンチ内部において、第1導電体材料309が充填されない領域の発生が抑制される。ポリシリコンを形成可能なCVD法として、シラン(SiH)を用いた形成法などが例示される。
【0154】
図20(H)に示すように、第1導電体材料309の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第3絶縁膜303の上面を露出させる。
【0155】
図21(A)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口内に充填された第1導電体材料309をエッチングし、上述の第1上部位置2AT及び第2上部位置2BTを露出させる。第1導電体材料309(第1材料領域11)の頂面位置は、トレンチ200の内部まで低下する。このエッチングは、シリコン用の異方性ドライエッチングを用いることができる。エッチングは、第1絶縁膜301の下面位置よりも深い位置まで行われる。このエッチングにより、トレンチ200内に第1導電体材料309(第1材料領域11)が残留する。
【0156】
図21(B)に示すように、第3絶縁膜303を含むハードマスクの開口内を埋めるように、第1導電体材料309上に、上部導電材料311を形成する。上部導電材料311は、第3絶縁膜303の表面上にも堆積される。上部導電材料311の材料は、アンドープのポリシリコンであり、シラン(SiH)を用いたCVD法等を用いて形成することができる。
【0157】
図21(C)に示すように、上部導電材料311の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第3絶縁膜303の上面を露出させる。
【0158】
図21(D)に示すように、第3絶縁膜303の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第2絶縁膜302の上面を露出させる。この工程より、第3絶縁膜303の開口内に存在していた上部導電材料311も除去される。
【0159】
図21(E)に示すように、第2絶縁膜302を除去する。窒化シリコンからなる第2絶縁膜302の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。
【0160】
図21(F)に示すように、第1絶縁膜301を除去する。二酸化シリコンからなる第1絶縁膜301の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、フッ酸(HF)などが例示される。
【0161】
図22(A)に示すように、半導体基板1の露出表面上に第4絶縁膜312を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第4絶縁膜312として二酸化シリコンを形成することができる。
【0162】
図22(B)に示すように、第4絶縁膜312上に第5絶縁膜313を形成する。第5絶縁膜313は窒化シリコンからなり、形成方法としては、窒化シリコン形成用の減圧CVD法を用いることができる。
【0163】
図22(C)に示すように、第5絶縁膜313上に第2レジスト材料314を形成する。第2レジスト材料314は、STI構造用の凹部形成予定領域が開口するようにパターニングされる。
【0164】
図22(D)に示すように、第2レジスト材料314により構成されるマスクの開口内に存在する第5絶縁膜313及び第4絶縁膜312を順次エッチングし、第5絶縁膜313を含むハードマスクを形成する。このエッチングには、絶縁膜用のドライエッチングを用いることができる。
【0165】
図22(E)に示すように、第2レジスト材料314を除去する。第2レジスト材料314が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0166】
図22(F)に示すように、第5絶縁膜313を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1をエッチングし、第1凹部DP1及び第2凹部DP2を形成する。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチング法又はドラインエッチング法を用いることができる。なお、このエッチング工程において、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の底面よりも高い位置に、絶縁膜2の最上部を位置させることができる。
【0167】
図22(G)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の露出表面上に第6絶縁膜315を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第6絶縁膜315として二酸化シリコンを形成することができる。
【0168】
図22(H)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2内を充填するように、第7絶縁膜316を形成する。形成方法としては、二酸化シリコン形成用のCVD法を用いることができ、TEOSを用いた形成法が例示され、第7絶縁膜316として二酸化シリコンを形成することができる。第7絶縁膜316は、第5絶縁膜313上にも形成される。
【0169】
図23(A)に示すように、第7絶縁膜316の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第5絶縁膜313の上面を露出させる。
【0170】
図23(B)に示すように、第5絶縁膜313を除去する。窒化シリコンからなる第5絶縁膜313の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。最後に、基板表面上を覆う保護膜を形成し、図18に示した保護膜14を有する構造が完成する。保護膜14は二酸化シリコン形成用のCVD法を用いて形成することができる。
【0171】
図24は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第3半導体装置の縦断面図である。
【0172】
本例の半導体装置は、STI構造を有していない点が、図18に示した半導体装置と異なり、他の構成は、同一である。絶縁膜2の上部は保護膜14に連続している。XZ断面内において、底面側から直線的に延びた第1トレンチ201は、保護膜14の下面に連続する。平面形状が環状を構成するトレンチの外側に位置する保護膜14の底面を第1底面141とし、トレンチの内側に位置する保護膜14の底面を第2底面142とし、この底面位置をZTとする。境界線BD2は、底面位置ZTよりも深い位置に設定することができる。境界線BD2は、図20(F)に示した第1上部位置2AT及び第2上部位置2BTの表面に接するように設定することができる。絶縁膜2の水平方向の厚みΔWの最大値を与える深さは、第1上部位置2AT及び第2上部位置2BTの直下の位置に設定することができる。この構造は、図22(A)の工程の後、基板露出表面上に保護膜14を形成することで製造することができる。
【0173】
次に、第4半導体装置について説明する。
【0174】
図25は、トレンチ構造TRを含む第4半導体装置の縦断面図(XZ断面図)である。
【0175】
半導体装置100は、トレンチ構造TRを備えている。本例のトレンチ構造TRは、DTI構造20と、第1STI構造21と、第2STI構造22とを備えている。DTI構造20は、第1STI構造21と第2STI構造22との間に位置する。トレンチ構造TRは、平面視においては環状であるが、平面視において第1STI構造21は第2STI構造22の外側に位置する。
【0176】
DTI構造20は、半導体基板1に形成された溝としてのトレンチ200を含んでいる。トレンチ200は、平面視においては、第1位置Z1よりも浅い領域に設けられたデバイス50(図3参照)を囲んでいる。トレンチ200の内面は絶縁膜2によって覆われている。トレンチ200は、第1~第3半導体装置と同様の第1トレンチ201を備えており、第1トレンチ201の内面の傾斜角は、上述の範囲を満たすことができる。第1トレンチ201は深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。換言すれば、第1トレンチ201は、先細り形状を有している。
【0177】
第1トレンチ201は、第1外側内面201Aと第1内側内面201Bを備えている。絶縁膜2は、外側絶縁膜2Aと内側絶縁膜2Bを備えている。外側絶縁膜2Aは、第1外側内面201Aに接触している。内側絶縁膜2Bは、第1内側内面201Bに接触している。第1トレンチ201は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している。
【0178】
絶縁膜2の内面は、トレンチ200の底面側に位置する第1内面(第1下側面2AX,第2下側面2BX)を備えている。絶縁膜2の内面は、トレンチ200の表面側(基板表面側)に位置し、第1内面に連続し、深さ方向に沿って幅が狭くなる第2内面(湾曲面2AA,湾曲面2BB)を備えている。本例においては、これらの第1内面と第2内面との境界位置BDは、深さ方向の第1底面位置ZSよりも上側に設定されているが、下側に設定することもできる。
【0179】
絶縁膜2の第1下側面2AXは、第1トレンチ201の第1外側内面201Aに対向しており、第2下側面2BXは、第1トレンチ201の第1内側内面201Bに対向している。絶縁膜2の上部に位置する湾曲面2AAは、弧状を有しており、深さ方向に膨らむ形状を有している。絶縁膜2の上部に位置する湾曲面2BBは、弧状を有しており、深さ方向に膨らむ形状を有している。換言すれば、トレンチ200の幅方向及び深さ方向を含む断面(XZ断面)と、第2内面(湾曲面2AA,湾曲面2BB)の交わりによって構成される複数の交線は、それぞれ弧状を有している。
【0180】
なお、トレンチ200の内側に充填された導電領域(第1材料領域11)は、絶縁膜2の最も深い位置(第3位置Z3)よりも深い位置まで延びている。これは上述の第2内面(湾曲面2AA,湾曲面2BB)の形成後、トレンチ内部の充填材料を、絶縁膜2の底が抜けるまで除去した(図28(D)参照)ためである。第1材料領域11の最深部の位置は、絶縁膜2の最深部位置(第3位置Z3)よりも、深さ差分ΔZ3だけ深い。この深さ差分ΔZ3は、他の半導体装置におけるトレンチ構造にも適用できる。本例において、例示的な深さ差分ΔZ3は、以下の範囲を満たすことが好ましい。すなわち、0.1μm≦ΔZ3≦1μmである。
【0181】
第2内面(湾曲面2AA,湾曲面2BB)の形成(図28(C)参照)と、深さ差分ΔZ3を得るエッチング(図28(D)参照)により、トレンチ内に発生したシーム310(図28(C)参照)が除去されている。
【0182】
トレンチ200内に設けられる第1材料領域11は、トレンチ200を覆う絶縁膜2に接触している。本例においては、第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含む。第1材料領域11の不純物濃度(例:ホウ素)が高い場合は、第1材料領域11のエッチングがしやすい。第1材料領域11の導電型は、p型とすることもできるし、n型とすることも可能である。このような観点から、第1材料領域11の第1不純物濃度Cは、上述の第1半導体装置における濃度範囲と同一に設定することができる。
【0183】
半導体基板1の厚み方向に垂直な方向を水平方向とし、トレンチ200内における絶縁膜2の水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、以下の範囲を満たす。すなわち、0.1μm≦ΔW(最大値)≦1μmである。厚い絶縁膜2として、シーム発生抑制効果を得るためには、0.3μm≦ΔW(最大値)以上とすることができ、0.5μm≦ΔW(最大値)とすることができ、0.7μm≦ΔW(最大値)とすることができる。
【0184】
なお、厚みΔWの最大値が得られる深さは、トレンチの最大幅WDTB図26参照)が得られる位置である。
【0185】
第1STI構造21は、半導体基板1(エピタキシャル結晶領域1B)の表面に形成された第1凹部DP1と、第1凹部DP1内に充填された第1絶縁領域13OUTを備えている。第2STI構造22は、半導体基板1の表面に形成された第2凹部DP2と、第2凹部DP2内に充填された第2絶縁領域13INを備えている。保護膜14の材料が、第1絶縁領域13OUT及び第2絶縁領域13INと同一材料の場合、これらは一体化する。保護膜14は、DTI構造20の上部に位置する第1材料領域11を被覆している。保護膜14は、第1STI構造21及び第2STI構造22を被覆している。
【0186】
DTI構造20の最上部に位置する第1材料領域11の上部主表面の位置を基準位置Z0とする。第1凹部DP1の底面の位置を第1底面位置ZSとする。基準位置Z0から第1底面位置ZSまでの距離は、第1凹部DP1又は第2凹部DP2の深さΔZとする。STI構造は、隣接素子間のリーク電流を抑制し、耐圧を確保する機能を有する。かかる機能の観点から、基準位置Z0からみた第1凹部DP1及び第2凹部DP2の凹部深さΔZは、一定値以上の深さを有することが好ましい。第1凹部DP1の深さ(凹部深さΔZ)及び第2凹部DP2の深さ(凹部深さΔZ)は、第1半導体装置において説明した範囲と、同一範囲に設定することができる。
【0187】
第1材料領域11は、基準位置Z0と第3基準位置BD3との間において、深さ方向に向かうにしたがって、幅が広くなっている。第3基準位置BD3は、深さ方向に向かって幅が狭くなる弧状の湾曲面2AA及び湾曲面2BBの上端位置により規定される。
【0188】
図26は、図25に示した第4領域S4の拡大図である。
【0189】
DTI構造20の外側には第1STI構造21が配置され、内側には第2STI構造22が配置されている。各STI構造は、凹部内に絶縁体(絶縁領域)を埋設してなる。トレンチ200の最大幅WDTBを与える第1トレンチ201の外側端の位置を第1位置(X1)とし、内側端の位置を第2位置(X6)とする。
【0190】
絶縁膜2の水平方向の厚みをΔWとして、最大幅WDTBは、1μm≦(WDTB-2×ΔW)≦10μmに設定されることが好ましい。最大幅WDTBは、1μm≦WDTB≦10μmに設定してもよい。本例では、この厚みΔWは、トレンチの最大幅WDTBを与える深さ位置における厚みである。
【0191】
第1凹部DP1は、第1位置(X1)よりも外側に広がっている(図30(A)参照)。第2凹部DP2は、第2位置(X6)よりも内側に広がっている(図30(A)参照)。第1凹部DP1内には、第1絶縁領域13OUTが位置している。第1絶縁領域13OUTにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。第2凹部DP2内には、第2絶縁領域13INが位置している。第2絶縁領域13INにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。
【0192】
第1絶縁領域13OUTの第1底面141(第1凹部DP1の底面)と、第2絶縁領域13INの第2底面142(第2凹部DP2の底面)の深さ方向の位置は、第1底面位置ZSである。上述のトレンチ200(第1トレンチ201)内における絶縁膜2の水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、例示的には、第1底面位置ZSにおける値である。
【0193】
XZ断面(第1トレンチ201の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第1トレンチ201の交わりによって構成される交線(第1外側内面201A、第1内側内面201B)は、それぞれ線分であり、直線的に延びている。直線的に延びているため、形状制御の再現性が高いという利点がある。
【0194】
上述のトレンチ構造を備えた半導体装置の製造方法について説明する。
【0195】
図27図30は、第4半導体装置の製造方法を説明するための図であり、以下に説明される工程が順次実行される。
【0196】
図27(A)~図27(D)までの工程は、図20(A)~図20(D)の工程と同一である。
【0197】
図27(E)に示すように、形成された底深凹部307(トレンチ200)内に、第1絶縁材料317を埋め込む。第1絶縁材料317として、二酸化シリコンを用いることができる。第1絶縁材料317は、CVD法を用いて形成することができる。二酸化シリコン形成用のCVD法として、TEOS(Si(OC)を用いた形成法が例示される。第1絶縁材料317は、トレンチ200の内部に加えて、第3絶縁膜303の上部にも形成され、これと一体化する。トレンチ200の内側において、第1絶縁材料317の内部には、材料が充填されない空間(シーム310)が形成される。
【0198】
図27(F)に示すように、第3絶縁膜303(第1絶縁材料317の上部領域)の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第2絶縁膜302の上面を露出させる。
【0199】
図27(G)に示すように、第2絶縁膜302の表面を含む基板露出表面上に、マスク用導電材料318を形成する。本例のマスク用導電材料318は、アンドープのポリシリコンであり、シラン(SiH)を用いたCVD法等を用いて形成することができる。
【0200】
図27(H)に示すように、マスク用導電材料318上に第3レジスト材料319を形成する。第3レジスト材料319には、トレンチ200の上部位置に第2開口320を有するパターンが形成される。
【0201】
図28(A)に示すように、第3レジスト材料319の第2開口320を介して、マスク用導電材料318をエッチングする。このエッチングには、シリコン用の異方性ドライエッチングを用いることができる。これにより、マスク用導電材料318にも第2開口320が形成される。
【0202】
図28(B)に示すように、第3レジスト材料319を除去する。第3レジスト材料319が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0203】
図28(C)に示すように、マスク用導電材料318の開口を介して、第1絶縁材料317の表層領域をエッチングし、底浅凹部321を形成する。このエッチングには、等方性エッチングを用いることができ、本例では、フッ酸を用いたウエットエッチングを用いる。底浅凹部321の底面は、シーム310に連続し、シーム310の上部が開放する。
【0204】
図28(D)に示すように、底浅凹部321の底部を更にエッチングし、第2の底深凹部322を形成する。第2の底深凹部322の底面位置は、第1絶縁材料317の底面よりも深くなり、第1絶縁材料317の底部は除去される。このエッチングには、RIEを用いた異方性ドライエッチングを用いることができる。エッチングガスとしては、炭化フッ素などのフッ素系ガスを用いることもできる。
【0205】
図28(E)に示すように、マスク用導電材料318を除去する。除去方法としては、シリコン用のエッチングを用いることができる。フッ素系ガスを含んだガスを用いたエッチング方法などを用いることができる。
【0206】
図28(F)に示すように、第3導電体材料323をトレンチ200内に埋め込むように形成する。第3導電体材料323は、第2絶縁膜302上にも形成される。第3導電体材料323は不純物を添加したポリシリコンであり、形成方法はCVD法を用いることができる。ポリシリコンを形成可能なCVD法として、シラン(SiH)を用いた形成法などが例示される。
【0207】
図29(A)に示すように、第3導電体材料323の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第2絶縁膜302の上面を露出させる。
【0208】
図29(B)に示すように、第2絶縁膜302を除去する。窒化シリコンからなる第2絶縁膜302の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。
【0209】
図29(C)に示すように、第1絶縁膜301を除去する。二酸化シリコンからなる第1絶縁膜301の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、フッ酸(HF)などが例示される。
【0210】
図29(D)に示すように、半導体基板1の露出表面上に第4絶縁膜312を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第4絶縁膜312として二酸化シリコンを形成することができる。
【0211】
図29(E)に示すように、第4絶縁膜312上に第5絶縁膜313を形成する。第5絶縁膜313は窒化シリコンからなり、形成方法としては、窒化シリコン形成用の減圧CVD法を用いることができる。
【0212】
図29(F)に示すように、第5絶縁膜313上に第2レジスト材料314を形成する。第2レジスト材料314は、STI構造用の凹部形成予定領域が開口するようにパターニングされる。
【0213】
図29(G)に示すように、第2レジスト材料314により構成されるマスクの開口内に存在する第5絶縁膜313及び第4絶縁膜312を順次エッチングし、第5絶縁膜313を含むハードマスクを形成する。このエッチングには、絶縁膜用のドライエッチングを用いることができる。
【0214】
図29(H)に示すように、第2レジスト材料314を除去する。第2レジスト材料314が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0215】
図30(A)に示すように、第5絶縁膜313を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1をエッチングし、第1凹部DP1及び第2凹部DP2を形成する。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチング法又はドラインエッチング法を用いることができる。なお、このエッチング工程において、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の底面よりも高い位置に、絶縁膜2の最上部を位置させることができる。
【0216】
図30(B)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の露出表面上に第6絶縁膜315を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第6絶縁膜315として二酸化シリコンを形成することができる。
【0217】
図30(C)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2内を充填するように、第7絶縁膜316を形成する。形成方法としては、二酸化シリコン形成用のCVD法を用いることができ、TEOSを用いた形成法が例示され、第7絶縁膜316として二酸化シリコンを形成することができる。第7絶縁膜316は、第5絶縁膜313上にも形成される。
【0218】
図30(D)に示すように、第7絶縁膜316の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第5絶縁膜313の上面を露出させる。
【0219】
図30(E)に示すように、第5絶縁膜313を除去する。窒化シリコンからなる第5絶縁膜313の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。最後に、基板表面上を覆う保護膜を形成し、図25に示した保護膜14を有する構造が完成する。保護膜14は二酸化シリコン形成用のCVD法を用いて形成することができる。
【0220】
図31は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第4半導体装置の縦断面図である。
【0221】
本例の半導体装置は、STI構造を有していない点が、図25に示した半導体装置と異なり、他の構成は、同一である。絶縁膜2の上部は保護膜14に連続している。XZ断面内において、底面側から直線的に延びた第1トレンチ201は、保護膜14の下面に連続する。平面形状が環状を構成するトレンチの外側に位置する保護膜14の底面を第1底面141とし、トレンチの内側に位置する保護膜14の底面を第2底面142とし、この底面位置をZTとする。第3基準位置BD3は、深さ方向に向かって幅が狭くなる弧状の湾曲面2AA及び湾曲面2BBの絶縁膜2の部分の上端位置により規定される。本例では、底面位置ZTと第3基準位置BD3の深さ方の位置は一致しているが、異ならせることもできる。この構造は、図29(D)の工程の後、基板露出表面上に保護膜14を形成することで製造することができる。
【0222】
次に、第5半導体装置について説明する。
【0223】
図32は、トレンチ構造TRを含む第5半導体装置の縦断面図(XZ断面図)である。
【0224】
半導体装置100は、トレンチ構造TRを備えている。本例のトレンチ構造TRは、DTI構造20と、第1STI構造21と、第2STI構造22とを備えている。DTI構造20は、第1STI構造21と第2STI構造22との間に位置する。トレンチ構造TRは、平面視においては環状であるが、平面視において第1STI構造21は第2STI構造22の外側に位置する。
【0225】
DTI構造20は、半導体基板1に形成された溝としてのトレンチ200を含んでいる。トレンチ200は、平面視においては、第1位置Z1よりも浅い領域に設けられたデバイス50(図3参照)を囲んでいる。トレンチ200(第1トレンチ201)は、第1外側内面201Aと第1内側内面201Bを備えている。第1トレンチ201の内面は第1絶縁膜2Sによって覆われている。第1トレンチ201の内面の傾斜角は、上述の第1半導体装置における第1トレンチ201と同一の角度範囲を満たすことができる。第1トレンチ201は深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。換言すれば、第1トレンチ201は、先細り形状を有している。
【0226】
DTI構造20は、第1絶縁膜2Sを備えている。第1絶縁膜2Sは上述の絶縁膜2に対応する絶縁膜であり、トレンチ200(第1トレンチ201)の内面に接触している。第1絶縁膜2Sは、絶縁膜2SAと、絶縁膜2SBを備えている。絶縁膜2SAは、トレンチの第1外側内面201Aに接触する。絶縁膜2SBは、トレンチの第1内側内面201Bに接触する。
【0227】
第1導電膜11S(外側導電領域)は、第1絶縁膜2Sの内側に形成されている。第1導電膜11Sは、導電膜11SAと、導電膜11SBを備えている。導電膜11SAは、絶縁膜2SAに接触する。導電膜11SBは、絶縁膜2SBに接触する。第2絶縁膜2Tは、第1導電膜11Sの内側に形成されている。第2絶縁膜2Tは、絶縁膜2TAと、絶縁膜2TBを備えている。絶縁膜2TAは、導電膜11SAに接触する。絶縁膜2TBは、導電膜11SBに接触する。第1材料領域11は、第2絶縁膜2Tの内側に形成されている。第1材料領域11は、絶縁膜2TAと絶縁膜2TBとの間に設けられている。
【0228】
本例においては、第1導電膜11S及び第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含む。第1導電膜11S及び第1材料領域11の不純物濃度(例:ホウ素)が高い場合は、第1導電膜11S及び第1材料領域11のエッチングがしやすい。第1導電膜11S及び第1材料領域11の導電型は、p型とすることもできるし、n型とすることも可能である。
【0229】
このような観点から、第1導電膜11S及び第1材料領域11の第1不純物濃度Cは、上述の第1半導体装置における濃度範囲と同一に設定することができる。
【0230】
半導体基板1の厚み方向に垂直な方向を水平方向とし、トレンチ200内における絶縁膜2の水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、以下の範囲を満たす。すなわち、0.1μm≦ΔW(最大値)≦1μmである。
【0231】
なお、厚みΔWの最大値が得られる深さは、本例では第1トレンチ201の最大幅WDTB図33参照)を与える位置である。
【0232】
第1トレンチ201は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している。
【0233】
第1STI構造21は、半導体基板1(エピタキシャル結晶領域1B)の表面に形成された第1凹部DP1と、第1凹部DP1内に充填された第1絶縁領域13OUTを備えている。第2STI構造22は、半導体基板1の表面に形成された第2凹部DP2と、第2凹部DP2内に充填された第2絶縁領域13INを備えている。保護膜14の材料が、第1絶縁領域13OUT及び第2絶縁領域13INと同一材料の場合、これらは一体化する。保護膜14は、DTI構造20の上部に位置する第1材料領域11を被覆している。保護膜14は、第1STI構造21及び第2STI構造22を被覆している。
【0234】
DTI構造20の最上部に位置する第1材料領域11の上部主表面の位置を基準位置Z0とする。第1凹部DP1の底面の位置を第1底面位置ZSとする。基準位置Z0から第1底面位置ZSまでの距離は、第1凹部DP1又は第2凹部DP2の深さΔZとする。STI構造は、隣接素子間のリーク電流を抑制し、耐圧を確保する機能を有する。かかる機能の観点から、基準位置Z0からみた第1凹部DP1及び第2凹部DP2の凹部深さΔZは、一定値以上の深さを有することが好ましい。第1凹部DP1の深さ(凹部深さΔZ)及び第2凹部DP2の深さ(凹部深さΔZ)は、第1半導体装置において説明した範囲と、同一範囲に設定することができる。
【0235】
なお、トレンチ200の内側に充填された導電領域(第1導電膜11S、第1材料領域11)は、絶縁膜2の最も深い位置(第3位置Z3)よりも深い位置まで延びている。これは図34(F)の工程において、絶縁膜2を底が抜けるまでエッチングしたためである。この導電領域の最深部の位置は、絶縁膜2の最深部位置(第3位置Z3)よりも、深さ差分ΔZ3だけ深い。例示的な深さ差分ΔZ3は、第4半導体装置において規定したような範囲を満たすことができる。なお、トレンチ底面の絶縁膜2を除去する場合において、深さ差分ΔZ3を0とすることもできる。
【0236】
図33は、図32に示した第5領域S5の拡大図である。
【0237】
DTI構造20の外側には第1STI構造21が配置され、内側には第2STI構造22が配置されている。各STI構造は、凹部内に絶縁体(絶縁領域)を埋設してなる。トレンチ200の最大幅WDTBを与えるトレンチ200(第1トレンチ201)の外側端の位置を第1位置(X1)とし、内側端の位置を第2位置(X6)とする。
【0238】
絶縁膜2の水平方向の厚みをΔWとして、最大幅WDTBは、1μm≦(WDTB-2×ΔW)≦10μmに設定されることが好ましい。最大幅WDTBは、1μm≦WDTB≦10μmに設定してもよい。この厚みΔWとして、トレンチの最大幅WDTBを与える深さ位置における水平方向の厚みを用いることができる。
【0239】
第1凹部DP1は、第1位置(X1)よりも外側に広がっている。第2凹部DP2は、第2位置(X6)よりも内側に広がっている。第1凹部DP1内には、第1絶縁領域13OUTが位置している。第1絶縁領域13OUTにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。第2凹部DP2内には、第2絶縁領域13INが位置している。第2絶縁領域13INにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。
【0240】
第1絶縁領域13OUTの第1底面141(第1凹部DP1の底面)と、第2絶縁領域13INの第2底面142(第2凹部DP2の底面)の深さ方向の位置は、第1底面位置ZSである。第1底面位置ZSとトレンチの第1外側内面201Aとの間には、上方向に凹んだ第1凹表面DAがある。第1底面位置ZSとトレンチの第1内側内面201Bとの間には、上方向に凹んだ第2凹表面DBがある。第1凹表面DA及び第2凹表面DBの最深部に位置する位置を上端位置ZDとする。第1絶縁領域13OUTの第1底面141と、第2絶縁領域13INの第2底面142との間の距離は、トレンチ200の最大幅WDTBよりも大きい。
【0241】
トレンチ200(第1トレンチ201)の最大幅WDTBを与える上端位置ZDは、例示的には、第1底面位置ZSよりも浅く設定される。深さ方向の位置が上端位置ZDにおける絶縁膜2TA及び絶縁膜2TBの水平方向の厚みをそれぞれ第2厚みΔW2とする。本例におけるΔW2は、ΔWよりも小さい(ΔW2<ΔW)。第2厚みΔW2は、例示的には以下の範囲を満たす。すなわち、0.1μm≦ΔW2≦1μmである。第2厚みΔW2が、上限値を超えた場合、及び、下限値を下回った場合には、シーム抑制効果が小さくなる傾向がある。
【0242】
XZ断面(第1トレンチ201の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第1トレンチ201の交わりによって構成される交線(第1外側内面201A、第1内側内面201B)は、それぞれ線分であり、直線的に延びている。直線的に延びているため、形状制御の再現性が高いという利点がある。
【0243】
上述のトレンチ構造を備えた半導体装置の製造方法について説明する。
【0244】
図34図37は、第5半導体装置の製造方法を説明するための図であり、以下に説明される工程が順次実行される。
【0245】
図34(A)~図34(D)までの工程は、図20(A)~図20(D)の工程と同一である。
【0246】
図34(E)に示すように、露出した底深凹部307(トレンチ)の表面に絶縁膜2(図32の第1絶縁膜2S)を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化に加えて、TEOS等を用いた減圧CVD法を用いる。絶縁膜2として二酸化シリコンを形成することができる。
【0247】
図34(F)に示すように、絶縁膜2のうち、底深凹部307(トレンチ)の底面に位置する部分を除去し、底深凹部307の底面に位置する半導体基板1を露出させる。除去方法としては、絶縁膜用の異方性ドライエッチングを用いることができる。このエッチングにより、XZ断面内において、半導体基板1の表面よりも上部に位置する第3絶縁膜303のトレンチ開口端面の形状が緩やかな弧状となる。第3絶縁膜303の第1上部位置2AT及び第2上部位置2BTの表面は、異方性ドライエッチングにより、緩やかにトレンチの内側に落ち込むように変形する。
【0248】
図34(G)に示すように、トレンチ内部の絶縁膜2の表面と、第3絶縁膜303の表面を覆うように、第4導電体材料324(導電膜)(図32の第1導電膜11S)を形成する。第4導電体材料324は不純物を添加したポリシリコンであり、形成方法はCVD法を用いることができる。ポリシリコンを形成可能はCVD法として、シラン(SiH)を用いた形成法などが例示される。
【0249】
図34(H)に示すように、トレンチ内部及び外部の第4導電体材料324を覆うように、第8絶縁膜325(図32の第2絶縁膜2T)を形成する。第8絶縁膜325の形成方法は、シリコンの熱酸化を用いることができる。
【0250】
図35(A)に示すように、第3絶縁膜303の上部表面上に位置する第8絶縁膜325をエッチングする。エッチング方法としては、絶縁膜の異方性ドライエッチングを用いることができる。トレンチ内部の第8絶縁膜325は、残留する。
【0251】
図35(B)に示すように、トレンチ200の内部を充填し、第4導電体材料324の表面を覆うように第5導電体材料326(図32の第1材料領域11)を形成する。第5導電体材料326は、アンドープのポリシリコンであり、シラン(SiH)を用いたCVD法等を用いて形成することができる。
【0252】
図35(C)に示すように、第5導電体材料326の露出表面及び第4導電体材料324の上面部分を化学機械研磨(CMP)し、第3絶縁膜303の上面を露出させる。
【0253】
図35(D)に示すように、ハードマスクを構成した第3絶縁膜303の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第2絶縁膜302の上面を露出させる。この工程より、第3絶縁膜303の開口内に存在していた第5導電体材料326も除去される。
【0254】
図35(E)に示すように、第2絶縁膜302を除去する。窒化シリコンからなる第2絶縁膜302の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。
【0255】
図35(F)に示すように、第1絶縁膜301を除去する。二酸化シリコンからなる第1絶縁膜301の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、フッ酸(HF)などが例示される。
【0256】
図36(A)に示すように、半導体基板1の露出表面上に第4絶縁膜312を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第4絶縁膜312として二酸化シリコンを形成することができる。
【0257】
図36(B)に示すように、第4絶縁膜312上に第5絶縁膜313を形成する。第5絶縁膜313は窒化シリコンからなり、形成方法としては、窒化シリコン形成用の減圧CVD法を用いることができる。
【0258】
図36(C)に示すように、第5絶縁膜313上に第2レジスト材料314を形成する。第2レジスト材料314は、STI構造用の凹部形成予定領域が開口するようにパターニングされる。
【0259】
図36(D)に示すように、第2レジスト材料314により構成されるマスクの開口内に存在する第5絶縁膜313および第4絶縁膜312を順次エッチングし、第5絶縁膜313を含むハードマスクを形成する。このエッチングには、絶縁膜用のドライエッチングを用いることができる。
【0260】
図36(E)に示すように、第2レジスト材料314を除去する。第2レジスト材料314が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0261】
図36(F)に示すように、第5絶縁膜313を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1をエッチングし、第1凹部DP1及び第2凹部DP2を形成する。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチング法又はドラインエッチング法を用いることができる。なお、このエッチング工程において、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の底面よりも高い位置に、絶縁膜2の最上部を位置させることができる。
【0262】
図36(G)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の露出表面上に第6絶縁膜315を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第6絶縁膜315として二酸化シリコンを形成することができる。
【0263】
図36(H)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2内を充填するように、第7絶縁膜316を形成する。形成方法としては、二酸化シリコン形成用のCVD法を用いることができ、TEOSを用いた形成法が例示され、第7絶縁膜316として二酸化シリコンを形成することができる。第7絶縁膜316は、第5絶縁膜313上にも形成される。
【0264】
図37(A)に示すように、第7絶縁膜316の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第5絶縁膜313の上面を露出させる。
【0265】
図37(B)に示すように、第5絶縁膜313を除去する。窒化シリコンからなる第5絶縁膜313の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。最後に、基板表面上を覆う保護膜を形成し、図32に示した保護膜14を有する構造が完成する。保護膜14は二酸化シリコン形成用のCVD法を用いて形成することができる。
【0266】
図38は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第5半導体装置の縦断面図である。
【0267】
本例の半導体装置は、STI構造を有していない点が、図32に示した半導体装置と異なり、他の構成は、同一である。第1絶縁膜2Sの上部は保護膜14に連続している。XZ断面内において、底面側から直線的に延びた第1トレンチ201は、保護膜14の下面に連続する。平面形状が環状を構成するトレンチの外側に位置する保護膜14の底面を第1底面141とし、トレンチの内側に位置する保護膜14の底面を第2底面142とし、この底面位置をZTとする。第1材料領域11の最上部に位置する頂面(基準位置Z0)は、底面位置ZTよりも高い位置に設定される。この構造は、図36(A)の工程の後、基板露出表面上に保護膜14を形成することで製造することができる。
【0268】
次に、第6半導体装置について説明する。
【0269】
図39は、トレンチ構造TRを含む第6半導体装置の縦断面図(XZ断面図)である。
【0270】
半導体装置100は、トレンチ構造TRを備えている。本例のトレンチ構造TRは、DTI構造20と、第1STI構造21と、第2STI構造22とを備えている。DTI構造20は、第1STI構造21と第2STI構造22との間に位置する。トレンチ構造TRは、平面視においては環状であるが、平面視において第1STI構造21は第2STI構造22の外側に位置する。
【0271】
DTI構造20は、半導体基板1に形成された溝としてのトレンチ200を含んでいる。トレンチ200は、平面視においては、第1位置Z1よりも浅い領域に設けられたデバイス50(図3参照)を囲んでいる。トレンチ200の内面は絶縁膜2によって覆われている。トレンチ200は、第1及び第2半導体装置と同様の第1トレンチ201を備えており、第1トレンチ201の内面の傾斜角は、上述の範囲を満たすことができる。第1トレンチ201は深さ方向(Z軸の正方向)に沿って幅が狭くなっている。換言すれば、第1トレンチ201は、先細り形状を有している。
【0272】
トレンチ200内には、第1材料領域11(導電領域)が設けられている。第1材料領域11は、トレンチ200を覆う絶縁膜2に接触している。第1材料領域11の上部領域内において、埋込絶縁領域2Uが設けられている。埋込絶縁領域2Uは、トレンチ200の幅方向の中央位置に設けられ、トレンチ200の深さ方向に沿って延びた形状を有している。
【0273】
本例においては、第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含む。第1材料領域11の不純物濃度(例:ホウ素)が高い場合は、第1材料領域11のエッチングがしやすい。第1材料領域11の導電型は、p型とすることもできるし、n型とすることも可能である。
【0274】
このような観点から、第1材料領域11の第1不純物濃度Cは、上述の第1半導体装置における濃度範囲と同一に設定することができる。
【0275】
半導体基板1の厚み方向に垂直な方向を水平方向とし、トレンチ200内における絶縁膜2の水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、以下の範囲を満たす。すなわち、0.1μm≦ΔW≦1μmである。なお、厚みΔWの最大値が得られる深さは、本例では第1トレンチ201の最大幅WDTB図40参照)を与える位置である。
【0276】
第1トレンチ201は、第1外側内面201Aと第1内側内面201Bを備えている。絶縁膜2は、外側絶縁膜2Aと内側絶縁膜2Bを備えている。外側絶縁膜2Aは、第1外側内面201Aに接触している。内側絶縁膜2Bは、第1内側内面201Bに接触している。
【0277】
第1トレンチ201は、下地基板1Aとエピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している。
【0278】
第1STI構造21は、半導体基板1(エピタキシャル結晶領域1B)の表面に形成された第1凹部DP1と、第1凹部DP1内に充填された第1絶縁領域13OUTを備えている。第2STI構造22は、半導体基板1の表面に形成された第2凹部DP2と、第2凹部DP2内に充填された第2絶縁領域13INを備えている。保護膜14の材料が、第1絶縁領域13OUTおよび第2絶縁領域13INと同一材料の場合、これらは一体化する。保護膜14は、DTI構造20の上部に位置する第1材料領域11を被覆している。保護膜14は、第1STI構造21及び第2STI構造22を被覆している。
【0279】
第1材料領域11は、境界位置BDより深い位置の領域である第1導電領域11Aと、境界位置BDよりも浅い位置の領域である第2導電領域11Bを備えている。第1導電領域11Aは、深さ方向に向かって幅が狭くなっている。第2導電領域11Bは、深さ方向に沿って幅が広くなっている。境界位置BDは、埋込絶縁領域2Uを水平方向に横断する位置に設定されている。
【0280】
DTI構造20の最上部に埋め込まれた第1材料領域11の上部主表面の位置を基準位置Z0とする。第1凹部DP1の底面の位置を第1底面位置ZSとする。基準位置Z0から第1底面位置ZSまでの距離は、第1凹部DP1又は第2凹部DP2の深さΔZとする。STI構造は、隣接素子間のリーク電流を抑制し、耐圧を確保する機能を有する。かかる機能の観点から、基準位置Z0からみた第1凹部DP1及び第2凹部DP2の凹部深さΔZは、一定値以上の深さを有することが好ましい。第1凹部DP1の深さ(凹部深さΔZ)及び第2凹部DP2の深さ(凹部深さΔZ)は、第1半導体装置において説明した範囲と、同一範囲に設定することができる。
【0281】
なお、トレンチ200の内側に充填された導電領域(第1材料領域11)は、絶縁膜2の最も深い位置(第3位置Z3)よりも深い位置まで延びている。これは図41(F)の工程において、絶縁膜2を底が抜けるまでエッチングしたためである。この導電領域の最深部の位置は、絶縁膜2の最深部位置(第3位置Z3)よりも、深さ差分ΔZ3だけ深い。例示的な深さ差分ΔZ3は、第4半導体装置において規定したような範囲を満たすことができる。なお、トレンチ底面の絶縁膜2を除去する場合において、深さ差分ΔZ3を0とすることもできる。
【0282】
図40は、図39に示した第6領域S6の拡大図である。
【0283】
埋込絶縁領域2Uの幅方向(X軸方向)の寸法の最大値(第1最大幅X2U)は、以下の範囲を満たす。第1最大幅X2Uが下限値を下回ると、製造時に絶縁材料がシーム内に充填される傾向が低下し、上限値を上回ると、周辺の導電領域が小さくなる傾向がある。したがって、第1最大幅X2Uは、以下の範囲を満たすことが好ましい。すなわち、0.1μm≦X2U≦5μmである。
【0284】
埋込絶縁領域2Uの深さ方向(Z軸方向)の寸法の最大値(第1最大厚Z2U)は、以下の範囲を満たす。第1最大厚Z2Uは、製造時において、好適な第1最大幅X2Uが得られるように、第1最大厚Z2Uは設定することができる。例示的に好適な第1最大厚Z2Uは、以下の範囲を満たすことが好ましい。すなわち、0.1μm≦Z2U≦20μmである。
【0285】
DTI構造20の外側には第1STI構造21が配置され、内側には第2STI構造22が配置されている。各STI構造は、凹部内に絶縁体(絶縁領域)を埋設してなる。トレンチ200の最大幅WDTBを与えるトレンチ200の外側端の位置を第1位置(X1)とし、内側端の位置を第2位置(X6)とする。
【0286】
絶縁膜2の厚みをΔWとして、最大幅WDTBは、第5半導体装置(図33)と同様の範囲に設定することができる。
【0287】
第1凹部DP1は、第1位置(X1)よりも外側に広がっている。第2凹部DP2は、第2位置(X6)よりも内側に広がっている。第1凹部DP1内には、第1絶縁領域13OUTが位置している。第1絶縁領域13OUTにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。第2凹部DP2内には、第2絶縁領域13INが位置している。第2絶縁領域13INにより十分なリーク電流の抑制を行うことができる。
【0288】
第1絶縁領域13OUTの第1底面141(第1凹部DP1の底面)と、第2絶縁領域13INの第2底面142(第2凹部DP2の底面)の深さ方向の位置は、第1底面位置ZSである。第1底面位置ZSは、埋込絶縁領域2Uの最深部位置ZMよりも浅い位置に設定することができる。第1絶縁領域13OUTの第1底面141と、第2絶縁領域13INの底面142との間の距離は、トレンチ200の最大幅WDTBよりも大きい。
【0289】
XZ断面(第1トレンチ201の幅方向及び深さ方向を含む断面)と、第1トレンチ201の交わりによって構成される交線(第1外側内面201A、第1内側内面201B)は、それぞれ線分であり、直線的に延びている。直線的に延びているため、形状制御の再現性が高いという利点がある。
【0290】
上述のトレンチ構造を備えた半導体装置の製造方法について説明する。
【0291】
図41図44は、第6半導体装置の製造方法を説明するための図であり、以下に説明される工程が順次実行される。
【0292】
図41(A)~図41(F)までの工程は、図34(A)~図34(F)の工程と同一である。
【0293】
図41(G)に示すように、トレンチ内部の絶縁膜2及び第3絶縁膜303の上面を覆うように、第1導電体材料309(導電体膜)を形成する。第1導電体材料309は不純物を添加したポリシリコンであり、形成方法はCVD法を用いることができる。ポリシリコンを形成可能はCVD法として、シラン(SiH)を用いた形成法などが例示される。第1導電体材料309の厚みは、トレンチ200内にシーム310(空間)ができるように設定される。
【0294】
図41(H)に示すように、第1導電体材料309の表面に第9絶縁膜327を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第9絶縁膜327として二酸化シリコンを形成することができる。シーム内にも第9絶縁膜327が充填される。
【0295】
図42(A)に示すように、シーム内の第9絶縁膜327を除いて、第1導電体材料309上の第9絶縁膜327を除去する。例示的な除去方法としては、フッ酸等を用いたウエットエッチングを用いることができる。
【0296】
図42(B)に示すように、第1導電体材料309を被覆するように第10導電体材料328を形成する。第10導電体材料328の最深部は、シーム内の第9絶縁膜327に接触する。第10導電体材料328は、アンドープのポリシリコンであり、シラン(SiH)を用いたCVD法等を用いて形成することができる。
【0297】
図42(C)に示すように、第10導電体材料328及び第1導電体材料309の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第3絶縁膜303の上面を露出させる。シーム内の第9絶縁膜327に接触した一部の第10導電体材料328は残留する。
【0298】
図42(D)に示すように、第3絶縁膜303の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第2絶縁膜302の上面を露出させる。この工程より、第3絶縁膜303の開口内に存在していた第10導電体材料328も除去され、第9絶縁膜327の頂面が露出し、第9絶縁膜327は上述の埋込絶縁領域2U(図39参照)となる。
【0299】
図42(E)に示すように、第2絶縁膜302を除去する。窒化シリコンからなる第2絶縁膜302の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。
【0300】
図42(F)に示すように、第1絶縁膜301を除去する。二酸化シリコンからなる第1絶縁膜301の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、フッ酸(HF)などが例示される。
【0301】
図43(A)に示すように、半導体基板1の露出表面上に第4絶縁膜312を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第4絶縁膜312として二酸化シリコンを形成することができる。
【0302】
図43(B)に示すように、第4絶縁膜312上に第5絶縁膜313を形成する。第5絶縁膜313は窒化シリコンからなり、形成方法としては、窒化シリコン形成用の減圧CVD法を用いることができる。
【0303】
図43(C)に示すように、第5絶縁膜313上に第2レジスト材料314を形成する。第2レジスト材料314は、STI構造用の凹部形成予定領域が開口するようにパターニングされる。
【0304】
図43(D)に示すように、第2レジスト材料314により構成されるマスクの開口内に存在する第5絶縁膜313及び第4絶縁膜312を順次エッチングし、第5絶縁膜313を含むハードマスクを形成する。このエッチングには、絶縁膜用のドライエッチングを用いることができる。
【0305】
図43(E)に示すように、第2レジスト材料314を除去する。第2レジスト材料314が、樹脂からなる場合は、有機溶剤を用いて除去することができる。
【0306】
図43(F)に示すように、第5絶縁膜313を含むハードマスクの開口を介して、半導体基板1をエッチングし、第1凹部DP1及び第2凹部DP2を形成する。エッチング方法としては、シリコン用のウエットエッチング法又はドラインエッチング法を用いることができる。なお、このエッチング工程において、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の底面よりも高い位置に、絶縁膜2の最上部を位置させることができる。
【0307】
図43(G)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2の露出表面上に第6絶縁膜315を形成する。形成方法としては、シリコンの熱酸化を用いることができ、第6絶縁膜315として二酸化シリコンを形成することができる。
【0308】
図43(H)に示すように、第1凹部DP1及び第2凹部DP2内を充填するように、第7絶縁膜316を形成する。形成方法としては、二酸化シリコン形成用のCVD法を用いることができ、TEOSを用いた形成法が例示され、第7絶縁膜316として二酸化シリコンを形成することができる。第7絶縁膜316は、第5絶縁膜313上にも形成される。
【0309】
図44(A)に示すように、第7絶縁膜316の露出表面を化学機械研磨(CMP)し、第5絶縁膜313の上面を露出させる。
【0310】
図44(B)に示すように、第5絶縁膜313を除去する。窒化シリコンからなる第5絶縁膜313の除去方法としては、ウエットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、リン酸(HPO)などが例示される。最後に、基板表面上を覆う保護膜を形成し、図39に示した保護膜14を有する構造が完成する。保護膜14は二酸化シリコン形成用のCVD法を用いて形成することができる。
【0311】
図45は、STI構造を備えないトレンチ構造を含む第6半導体装置の縦断面図である。
【0312】
本例の半導体装置は、STI構造を有していない点が、図39に示した半導体装置と異なり、他の構成は、同一である。絶縁膜2の上部は保護膜14に連続している。XZ断面内において、底面側から直線的に延びた第1トレンチ201は、保護膜14の下面に連続する。平面形状が環状を構成するトレンチの外側に位置する保護膜14の底面を第1底面141とし、トレンチの内側に位置する保護膜14の底面を第2底面142とし、この底面位置をZTとする。第1導電領域11Aは、絶縁膜2の内面が直線的に延びた部分とし、この内面が湾曲する深さ位置を境界位置BDとし、境界位置BDよりも浅い位置の導電材料を第2導電領域11Bとする。第2導電領域11Bは、深さ方向に向かって幅が狭くなるが、深くなるほど、単位深さ当たりの幅の減少率が小さくなっている。境界位置BDは、底面位置ZTよりも深い位置に設定することができる。絶縁膜2の水平方向の厚みΔWの最大値を与える深さは、例示的には境界位置BDに設定することができる。この構造は、図43(A)の工程の後、基板露出表面上に保護膜14を形成することで製造することができる。
【0313】
図46は、図3に示した第1端部領域R1及び第2端部領域R2の拡大図(図46(A)、(B)、(C))である。
【0314】
図46(A)に示すように、第1端部領域R1の構造の一例として、第1材料領域11の導電型をp型とし、第1材料領域11の最深部よりも深い位置にp型不純物を添加し、高濃度不純物領域1Pとすることができる。
【0315】
図46(B)に示すように、第1端部領域R1の構造の一例として、第1材料領域11の導電型をp型とするが、内側半導体領域11Pの不純物濃度よりも、内側半導体領域11Pを挟む外側半導体領域11Pの不純物濃度を高くすることもできる。外側半導体領域11Pの最深部には、高濃度不純物領域1Pを連続させることもできる。
【0316】
図46(C)に示すように、第2端部領域R2の構造の一例として、表面側半導体領域11N(第1材料領域11)の導電型をn型とするが、底面側半導体領域11Pの導電型をp型とし、これらの間にPN接合を構成し、ダイオードを構成することもできる。ダイオードには逆バイアスを印加してもよい。
【0317】
不純物濃度の一例は、以下の通りである。高濃度不純物領域1Pの不純物濃度C1Pは、1×1019cm-3≦C1P≦1×1022cm―3である。外側半導体領域11Pの不純物濃度C11P1は、1×1016cm-3≦C11P1≦1×1019cm―3である。内側半導体領域11Pの不純物濃度C11P2は、1×1016cm-3≦C11P2≦1×1022cm―3である。底面側半導体領域11Pの不純物濃度C11P3は、1×1017cm-3≦C11P3≦1×1020cm―3である。表面側半導体領域11Nの不純物濃度C11Nは、1×1012cm-3≦C11N≦1×1016cm―3である。
【0318】
なお、各半導体領域において、その半導体領域における第1導電型とは反対の第2導電型の不純物を含むこともできる。
【0319】
図47は、図3に示した界面領域R3の拡大図である。
【0320】
下地基板1Aに形成されたエピタキシャル結晶領域1Bは、p型の第1エピタキシャル層1Bと、n型の第2エピタキシャル層1Bを備えている。n型の第2エピタキシャル層1Bは、第1半導体層1B21、第2半導体層1B22、第3半導体層1B23を順次積層してなる。第2半導体層1B22の不純物濃度は、第1半導体層1B21及び第3半導体層1B23のいずれよりも高く設定される。第1半導体層1B21の不純物濃度C1B21、第2半導体層1B22の不純物濃度C1B22、第3半導体層1B23の不純物濃度C1B23の例示的な好適範囲は、以下の通りである。すなわち、1×1014cm-3≦C1B21≦1×1018cm―3、1×1016cm-3≦C1B22≦1×1021cm―3、1×1014cm-3≦C1B23≦1×1017cm―3である。
【0321】
第1半導体層1B21の厚みは、0.1μm以上5μm以下とすることができ、好ましくは、0.5μm以上2.5μm以下に設定することができる。第2半導体層1B22の厚みは、0.1μm以上5μm以下とすることができ、好ましくは、0.5μm以上2.5μm以下に設定することができる。第3半導体層1B23の厚みは、5μm以上30μm以下とすることができる。
【0322】
以上、説明した通り、本開示における種々の実施形態は、以下の付記として規定しうる。
【0323】
上述の第1半導体装置(図1図10)に関して、(A1)~(A13)を規定する。
【0324】
[A1] デバイス50を囲むトレンチ200を含む半導体基板1と、前記トレンチ200の内面を覆う絶縁膜2と、前記トレンチ200内に設けられた導電領域(第1材料領域11、第2材料領域12)と、を備え、前記トレンチ200は、前記トレンチ200の底面側に位置する第1トレンチ201と、前記トレンチ200の表面側に位置し、前記第1トレンチ201に連続し、深さ方向に沿って幅が狭くなる第2トレンチ202と、を備え、前記第2トレンチ202の単位深さ当たりの幅の減少量は、前記第1トレンチ201の単位深さ当たりの幅の減少量よりも大きい半導体装置。
【0325】
[A2] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、を備え、前記第1トレンチ201は、前記下地基板1Aと前記エピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している、A1に記載の半導体装置。
【0326】
[A3] 前記導電領域は、前記第1トレンチ201及び前記第2トレンチ202内に埋め込まれた第1材料領域11と、前記第1材料領域11の内側に埋め込まれ、前記第1材料領域11とは異なるエッチング特性を有する第2材料領域12と、を備える、A1又はA2に記載の半導体装置。
【0327】
[A4] 前記第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含み、前記第2材料領域12は、前記第1材料領域11の不純物濃度よりも、低い不純物濃度を有するポリシリコンを含む、A3に記載の半導体装置。
【0328】
[A5] 前記第1材料領域11の第1不純物濃度C及び前記第2材料領域12の第2不純物濃度Cは、以下の関係、1×1018cm-3≦C≦1×1022cm-3 1×1015cm-3≦C≦1×1018cm-3を満たす、A3又はA4に記載の半導体装置。
【0329】
[A6] 前記第2材料領域12は、前記トレンチ200の底面に向かうほど狭くなる幅を有する領域12Aを備えている、A3~A5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0330】
[A7] 前記第2トレンチ202の最大幅WDTBを与える前記第2トレンチ202の外側端及び内側端に関して、前記外側端の位置を第1位置(X1)とし、前記内側端の位置を第2位置(X6)とし、前記第1位置(X1)の上方には、第1凹部DP1内の第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2位置(X6)の上方には、第2凹部DP2内の第2絶縁領域13INが位置する、A1~A6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0331】
[A8] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、備え、前記第2トレンチ202の最大幅WDTBを与える前記第2トレンチ202の外側端及び内側端に関して、前記外側端の位置を第1位置(X1)とし、前記内側端の位置を第2位置(X6)とし、前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1位置(X1)の上方には、第1凹部DP1内の第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第1凹部DP1の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、A1~A6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0332】
[A9] 前記第2位置(X6)の上方には、第2凹部DP2内の第2絶縁領域13INが位置し、前記第2凹部DP2の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、A8に記載の半導体装置。
【0333】
[A10] 前記第1凹部DP1の深さは、100nm以上である、A7~A9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0334】
[A11] 前記第2凹部DP2の深さは、100nm以上である、A7~A9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0335】
[A12] 前記第1絶縁領域13OUTの底面141と、前記第2絶縁領域13INの底面142との間の距離(幅方向距離WDTC)は、前記第2トレンチ202の最大幅WDTBよりも小さい、A7又はA9に記載の半導体装置。
【0336】
[A13] 前記第2トレンチ202の幅方向及び深さ方向を含む断面(XZ断面)と、前記第2トレンチ202の内面との交わりによって構成される複数の交線(第2外側内面202A、第2内側内面202B)は、それぞれ直線的に延びている、A1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0337】
上述の第2半導体装置(図1図3図11図17)に関して、上述のA1~12に加えて、B14を規定する。
【0338】
[B14] 前記第2トレンチ202の幅方向及び深さ方向を含む断面(XZ断面)と、前記第2トレンチ202の内面との交わりによって構成される複数の交線(第2外側内面202A、第2内側内面202B)は、それぞれ弧状を有している、A1~A12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0339】
上述の第1半導体装置及び第2半導体装置に関して、B15を規定する。
【0340】
[B15] 半導体基板1上に設けられたマスク(第3絶縁膜303を含むハードマスク)の開口を介して、半導体基板をエッチングし、開口の直下、及び、開口の幅方向の両端位置よりも外側の領域の直下に、空間を形成する工程(図6(D)、図13(D))と、開口を介して半導体基板1をドライエッチングし、空間に連続するトレンチを形成する工程(図6(E)、図13(E))と、この空間及びトレンチの露出表面上に、絶縁膜2を形成する工程(図6(F)、図13(F))と、マスクの開口を介して、トレンチ内に、第1導電体材料309を供給し、第1導電領域(11A)を形成すると共に、この空間内に、第1導電体材料309を供給し、シーム310を有する第2導電領域(11B)を形成し、第1導電領域(11A)及び第2導電領域(11B)を含む第1材料領域(11)を形成する工程(図6(H)、図13(H))と、マスクの開口を介して、第2導電領域(11B)内のシーム310に到達するまで、第2導電領域(11B)をエッチングする工程(図7(B)、図14(B))と、マスクの開口を介してシーム310内に第2導電体材料(上部導電材料311)を供給し、シーム310内に第2材料領域12を形成する工程(図7(C)、図14(C))とを備えた半導体装置の製造方法。
【0341】
上述の第3半導体装置(図1図3図18図24)に関して、C1~C12を規定する。
【0342】
[C1] デバイス50を囲むトレンチ200を含む半導体基板1と、前記トレンチ200の内面を覆う絶縁膜2と、前記トレンチ200内に設けられた導電領域(第1材料領域11、第2材料領域12)と、を備え、前記半導体基板1の厚み方向に垂直な方向を水平方向とし、前記トレンチ200内における前記絶縁膜2の前記水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、0.1μm以上1μm以下である、半導体装置。
【0343】
[C2] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、を備え、前記トレンチ200は、前記下地基板1Aと前記エピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している、C1に記載の半導体装置。
【0344】
[C3] 前記導電領域は、前記トレンチ200内に埋め込まれた第1材料領域11と、前記第1材料領域11の上部に設けられ、前記第1材料領域11とは異なるエッチング特性を有する第2材料領域12と、を備える、C1又はC2に記載の半導体装置。
【0345】
[C4] 前記第1材料領域11は、不純物が添加されたポリシリコンを含み、前記第2材料領域12は、前記第1材料領域11の不純物濃度よりも、低い不純物濃度を有するポリシリコンを含む、C3に記載の半導体装置。
【0346】
[C5] 前記第1材料領域11の第1不純物濃度C及び前記第2材料領域12の第2不純物濃度Cは、以下の関係、1×1018cm-3≦C≦1×1022cm-3 1×1015cm-3≦C≦1×1018cm-3を満たす、C3又はC4に記載の半導体装置。
【0347】
[C6] 前記トレンチ200の最大幅WDTBは、以下の関係、1μm≦WDTB≦10μm満たす、C1~C5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0348】
[C7] 前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置する、C1~C6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0349】
[C8] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、備え、前記トレンチの幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置し、前記第1凹部DP1の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、C1~C6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0350】
[C9] 前記第2凹部DP2の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、C8に記載の半導体装置。
【0351】
[C10] 前記第1凹部DP1の深さは、100nm以上である、C7~C10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0352】
[C11] 前記第2凹部DP2の深さは、100nm以上である、C7~C11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0353】
[C12] 半導体基板1上に設けられたマスク(第3絶縁膜303を含むハードマスク)の開口を介して、半導体基板1をドライエッチングし、トレンチ200を形成する工程(図20(D))と、トレンチ200の露出表面上に、絶縁膜2を形成する工程(図20(E))と、マスクの開口を介して、トレンチ200内に、第1導電体材料309を供給し、第1材料領域(11)を形成する工程(図20(G))とを備え、前記半導体基板1の厚み方向に垂直な方向を水平方向とし、前記トレンチ200内における前記絶縁膜2の前記水平方向に沿った厚みΔWの最大値は、0.1μm以上1μm以下である、半導体装置の製造方法。
【0354】
上述の第4半導体装置(図1図3図25図31)に関して、D1~D10を規定する。
【0355】
[D1] デバイス50を囲むトレンチ200を含む半導体基板1と、前記トレンチ200の内面を覆う絶縁膜2と、前記トレンチ200内に設けられた導電領域(第1材料領域11)と、を備え、前記絶縁膜2の内面は、前記トレンチ200の底面側に位置する第1内面(第1下側面2AX,第2下側面2BX)と、前記トレンチ200の表面側に位置し、前記第1内面に連続し、深さ方向に沿って幅が狭くなる第2内面(湾曲面2AA,湾曲面2BB)と、を備え、前記トレンチ200の幅方向及び深さ方向を含む断面(XZ断面)と、前記第2内面(湾曲面2AA,湾曲面2BB)の交わりによって構成される複数の交線(第2外側内面202A、第2内側内面202B)は、それぞれ弧状を有しており、且つ、前記導電領域(第1材料領域11)は、前記絶縁膜2の最も深い位置(第3位置Z3)よりも深い位置まで延びている、半導体装置。
【0356】
[D2] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、を備え、前記トレンチ200は、前記下地基板1Aと前記エピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している、D1に記載の半導体装置。
【0357】
[D3] 前記導電領域は、不純物が添加されたポリシリコンを含む、D1又はD2に記載の半導体装置。
【0358】
[D4] 前記不純物の濃度は、以下の第1不純物濃度Cの範囲を満たす、1×1018cm-3≦C≦1×1022cm-3、D3に記載の半導体装置。
【0359】
[D5] 前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置する、D1~D4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0360】
[D6] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、備え、前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置し、前記第1凹部DP1の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、D1~D4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0361】
[D7] 前記第2凹部DP2の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、D6に記載の半導体装置。
【0362】
[D8] 前記第1凹部DP1の深さは、100nm以上である、D5~D7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0363】
[D9] 前記第2凹部DP2の深さは、100nm以上である、D5~D8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0364】
[D10] 半導体基板1をエッチングしてトレンチ200を形成する工程(図27(D))と、前記トレンチ200内に絶縁材料(第1絶縁材料317)を充填する工程(図27(E))と、前記半導体基板1上に設けられたマスク(マスク用導電材料318)の開口を介して、前記トレンチ200内の前記絶縁材料(第1絶縁材料317)をエッチングし、前記開口の直下、及び、前記開口の幅方向の両端位置よりも外側の領域の直下に、空間(底浅凹部321)を形成する工程(図28(C))と、前記開口を介して前記トレンチ200内の前記絶縁材料(第1絶縁材料317)を異方性エッチングして、空間(底浅凹部321)に連続し、半導体基板1内に到達する凹部(第2の底深凹部322)を形成する工程(図28(E))と、前記空間(底浅凹部321)及び前記凹部(第2の底深凹部322)内に導電体材料(323)を供給し、第1材料領域11を形成する工程(図28(F))を備えた半導体装置の製造方法。
【0365】
上述の第5半導体装置(図1図3図32図38)に関して、E1~E11を規定する。
【0366】
[E1] デバイス50を囲むトレンチ200を含む半導体基板1と、前記トレンチ200の内面を覆う第1絶縁膜2S(絶縁膜2SA、絶縁膜2SB)と、前記トレンチ200内において、前記第1絶縁膜2S(絶縁膜2SA、絶縁膜2SB)よりも内側に設けられた外側導電領域(第1導電膜11S)と、前記トレンチ200内において、前記外側導電領域(第1導電膜11S)よりも内側に設けられた第2絶縁膜2T(絶縁膜2TA、絶縁膜2TB)と、前記トレンチ200内において、前記第2絶縁膜2T(絶縁膜2TA、絶縁膜2TB)よりも内側に設けられた内側導電領域(第1材料領域11)と、を備える、半導体装置。
【0367】
[E2] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、を備え、前記トレンチ200は、前記下地基板1Aと前記エピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している、E1に記載の半導体装置。
【0368】
[E3] 前記外側導電領域(第1導電膜11S)は、不純物が添加されたポリシリコンを含み、前記内側導電領域(第1材料領域11)は、不純物が添加されたポリシリコンを含む、E1又はE2に記載の半導体装置。
【0369】
[E4] 前記外側導電領域(第1導電膜11S)の外側用不純物濃度COUT及び前記内側導電領域(第1材料領域11)の内側用不純物濃度CINは、以下の関係、1×1018cm-3≦COUT≦1×1022cm-3 1×1015cm-3≦CIN≦1×1018cm-3を満たす、E1~E3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0370】
[E5] 前記トレンチ200の最大幅WDTBは、以下の関係、1μm≦WDTB≦10μmを満たす、E1~E4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0371】
[E6] 前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置する、E1~E5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0372】
[E7] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、備え、前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置し、前記第1凹部DP1の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、E1~E5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0373】
[E8] 前記第2凹部DP2の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、E7に記載の半導体装置。
【0374】
[E9] 前記第1凹部DP1の深さは、100nm以上である、E6~E8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0375】
[E10] 前記第2凹部DP2の深さは、100nm以上である、E6~E9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0376】
[E11] 半導体基板1をエッチングしてトレンチ200を形成する工程(図34(D)と、前記トレンチ200内に第1絶縁膜(絶縁膜2、第1絶縁膜2S)を形成する工程(図34(E))と、前記第1絶縁膜上に導電膜(第4導電体材料324、第1導電膜11S)を形成する工程(図34(G))と、前記導電膜(第4導電体材料324)上に第2絶縁膜(第8絶縁膜325、第2絶縁膜2T)を形成する工程(図34(H))と、前記トレンチ200内の前記第2絶縁膜(第8絶縁膜325、第2絶縁膜2T)上に導電材料(第5導電体材料326)を供給し、導電領域(図32の第1材料領域11)を形成する工程(図35(B))を備えた半導体装置の製造方法。
【0377】
上述の第6半導体装置(図1図3図39図45)に関して、F1~F11を規定する。
【0378】
[F1] デバイス50を囲むトレンチ200を含む半導体基板1と、前記トレンチ200の内面を覆う絶縁膜2と、前記トレンチ200内に設けられた導電領域(第1材料領域11)と、前記トレンチ200の幅方向の中央位置に設けられ、前記トレンチ200の深さ方向に沿って延びた形状を有する埋込絶縁領域2Uと、を備える、半導体装置。
【0379】
[F2] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、を備え、前記トレンチ200は、前記下地基板1Aと前記エピタキシャル結晶領域1Bとの間の界面(第2位置Z2)を貫通している、F1に記載の半導体装置。
【0380】
[F3] 前記埋込絶縁領域2Uの深さ方向(Z方向)の第1最大厚(Z2U)及び幅方向(X方向)の第1最大幅(X2U)は、以下の関係、0.1μm≦Z2U≦20μm、0.1μm≦X2U≦5μmを満たす、F1又はF2に記載の半導体装置。
【0381】
[F4] 前記導電領域は、不純物が添加されたポリシリコンを含む、F1~F2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0382】
[F5] 前記導電領域の第1不純物濃度Cは、以下の関係、1×1018cm-3≦C≦1×1022cm-3 を満たす、F4に記載の半導体装置。
【0383】
[F6] 前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置する、F1~F5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0384】
[F7] 前記半導体基板1は、下地基板1Aと、前記下地基板1A上に形成されたエピタキシャル結晶領域1Bと、備え、前記トレンチ200の幅方向に隣接する第1凹部DP1及び第2凹部DP2を備え、前記第1凹部DP1内には第1絶縁領域13OUTが位置し、前記第2凹部DP2内には第2絶縁領域13INが位置し、前記第1凹部DP1の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、F1~F5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0385】
[F8] 前記第2凹部DP2の深さは、前記エピタキシャル結晶領域1Bの深さ(第2位置Z2)よりも小さい、F7に記載の半導体装置。
【0386】
[F9] 前記第1凹部DP1の深さは、100nm以上である、F6~F8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0387】
[F10] 前記第2凹部DP2の深さは、100nm以上である、F6~F9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0388】
[F11] 半導体基板1をエッチングしてトレンチ200を形成する工程(図41(D))と、前記トレンチ200内に絶縁膜2を形成する工程(図41(E))と、前記絶縁膜2上に第1導電体材料309を供給し、前記トレンチ200内にシーム310を形成する工程(図41(G))と、前記シーム310内に絶縁膜(第9絶縁膜327)を形成する工程(図41(H))と、を備えた半導体装置の製造方法。
【0389】
なお、上述の第1~第6半導体装置及びその製造方法に関して、各要素は、必要に応じて組み合わせることも可能である。
【0390】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。また、以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的本明細書において説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0391】
1…半導体基板、1A…下地基板、1B…エピタキシャル結晶領域、1B…第1エピタキシャル層、1B…第2エピタキシャル層、1B21…第1半導体層、1B22…第2半導体層、1B23…第3半導体層、1P…高濃度不純物領域、2…絶縁膜、2AT…第1上部位置、2BT…第2上部位置、2A…外側絶縁膜、2AA…湾曲面、2AX…第1下側面、2B…内側絶縁膜、2BB…湾曲面、2BX…第2下側面、2S…第1絶縁膜、2SA…絶縁膜、2SB…絶縁膜、2T…第2絶縁膜、2TA…絶縁膜、2TB…絶縁膜、2U…埋込絶縁領域、3…第1主面、4…第2主面、5A…第1側面、5B…第2側面、5C…第3側面、5D…第4側面、10…デバイス領域、11…第1材料領域、11OUT…第1近傍領域、11IN…第2近傍領域、11N…表面側半導体領域、11P…外側半導体領域、11P…内側半導体領域、11P…底面側半導体領域、11S…第1導電膜、11SA…導電膜、11SB…導電膜、11A…第1導電領域、11B…第2導電領域、12…第2材料領域、12A…領域、13OUT…第1絶縁領域、13IN…第2絶縁領域、14…保護膜、20…DTI構造、21…第1STI構造、22…第2STI構造、27…メサ部、50…デバイス、51…第1ウエル領域、52…第2ウエル領域、53…ドレイン領域、54…ソース領域、55…チャネル、56…コンタクト領域、57…プレーナゲート構造、58…ゲート絶縁膜、59…ゲート電極、60…絶縁部、61…シャロートレンチ、62…絶縁体、63…ドレインコンタクト電極、64…ソースコンタクト電極、65…ゲートコンタクト電極、71…第1コンタクト電極、72…第2コンタクト電極、73…第3コンタクト電極、100…半導体装置、101…チップ、141…第1底面、142…第2底面、200…トレンチ、201…第1トレンチ、202…第2トレンチ、201A…第1外側内面、201B…第1内側内面、202A…第2外側内面、202B…第2内側内面、301…第1絶縁膜、302…第2絶縁膜、303…第3絶縁膜、304…第1レジスト材料、305…第1開口、306…表面側凹部、307…底深凹部、309…第1導電体材料、310…シーム、311…上部導電材料、312…第4絶縁膜、313…第5絶縁膜、314…第2レジスト材料、315…第6絶縁膜、316…第7絶縁膜、317…第1絶縁材料、318…マスク用導電材料、319…第3レジスト材料、320…第2開口、321…底浅凹部、322…第2の底深凹部、323…第3導電体材料、324…第4導電体材料、325…第8絶縁膜、326…第5導電体材料、327…第9絶縁膜、328…第10導電体材料、DP1…第1凹部、DP2…第2凹部、TR…トレンチ構造、TR1…第1トレンチ構造、TR2…第2トレンチ構造、BD…境界位置、BD2…境界線、BD3…第3基準位置、DA…第1凹表面、DB…第2凹表面、R1…第1端部領域、R2…第2端部領域、R3…界面領域、S1…第1領域、S2…第2領域、S3…第3領域、S4…第4領域、S5…第5領域、S6…第6領域、V1…第1電位、V2…第2電位、V3…第3電位、VD…ドレイン電位、VG…ゲート電位、VS…ソース電位、WDTB…最大幅、WDTC…幅方向距離、W1…第1幅、W2…第2幅、W3…第3幅、X2U…第1最大幅、θ141…第1角度、θ142…第2角度、Z0…基準位置、Z1…第1位置、Z2…第2位置、Z3…第3位置、ZD…上端位置、ZJ…pn接合位置、ZM…最深部位置、ZS…第1底面位置、ZT…底面位置、ΔZ3…深さ差分、Z2U…第1最大厚。
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