(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174647
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】サイフォン送水装置及びそれを使用したサイフォン送水工法
(51)【国際特許分類】
E02B 7/18 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
E02B7/18
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092581
(22)【出願日】2023-06-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】391028155
【氏名又は名称】株式会社山辰組
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 和三
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 健
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 剛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用後にサイフォン装置を撤収する際に、容易かつ迅速に撤収作業を行うことができるサイフォン装置及びサイフォン送水工法を提供する。
【解決手段】サイフォン送水装置100は、サイフォン送水ホース10の最上流部に設けた吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁を省略した構造とし、1条配管の上流側の貯水部1の水面からサイフォン送水ホース10の最高部付近の何れかの位置に開閉式注水口部材20を設けその上流側に注水口上流側開閉部材30A又は注水口上流側逆止弁部材30Bを設ける構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側開閉部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項2】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側逆止弁部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項3】
前記サイフォン送水ホースの口径以下の2台以上の小口径の送水機器に連結された2本以上の小口径の注水ホースの流れを集水合流部材を介して開閉式注水口部材と小口径の注水ホースの間又は開閉式注水口部材の注水口に連結された注水ホースと小口径の注水ホース間に着脱自在に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記注水ホースは、前記サイフォン送水ホースの口径より小口径を有し、
前記開閉式注水口部材よりも下流側に配置される前記サイフォン送水ホース内には、前記開閉式注水口部材から注水される水を堰き止めながら、前記サイフォン送水ホース内で増大する水圧に押されて流下するスポンジ状又はバルーン状の塊からなるホース内堰き止め部材が挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項5】
前記サイフォン送水ホースの下流側端部には、吐き出される水の流量を調節可能な吐出流量調節装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項6】
請求項1に記載のサイフォン装置を使用したサイフォン送水工法において、前記送水機器を稼働しサイフォン送水ホースへ注水し、前記注水口上流側開閉部材よりも下流側のサイフォン送水ホースが満水状態で流下する状態となったら、前記注水口上流開閉部材を開口することによって、前記開閉式注水口部材より下流側の水が位置エネルギーにより下流側の吐出し口から吐出されるとともに、前記サイフォン送水ホース内を流下する水に吸引されて前記サイフォン送水ホースの上流端の吸水口から前記貯水部の水を吸水し前記サイフォン送水ホース内を流下して前記サイフォン送水ホース下流側の前記吐出口から吐き出されることで、前記送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項7】
請求項2に記載のサイフォン送水装置において、前記サイフォン送水ホースの下流端部に備えた吐出流量調節装置を閉じた状態で、前記サイフォン送水ホースの口径より細い口径を有する前記送水機器を稼働するか又は容器を用いて手作業で開口した注水口から水を流し込んで、前記サイフォン送水ホース内へ注水して注水口上流側逆止弁部材よりも下流側の前記サイフォン送水ホース内が満水状態となったら前記開閉式注水口部材の注水口を閉じるとともに吐出流量調節装置を開くと、前記開閉式注水口部材より下流部の水が位置エネルギーにより前記吐出流量調節装置の方向へ移動すると前記サイフォン送水ホースの上流端の水面下に浸漬けしている前記サイフォン送水ホース内の水や吸水口から新たに吸水した前記貯水部の水が前記注水口上流逆止弁部材の逆止弁を下流方向へ押し開いて流下し、前記サイフォン送水ホース内を移動して前記吐出流量調節装置から吐き出されて送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項8】
請求項2から6の何れか1項に記載されたサイフォン送水装置を使用したサイフォン送水工法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイフォン送水装置及びそれを使用したサイフォン送水工法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイフォン送水装置は、高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水を行う送水装置である。
図6に示すように従来のサイフォン送水装置200に欠かせない必須構成要素の一つとしてとして、上流側貯水部1内に浸漬するサイフォン送水ホース10の上流端に吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁210が必要であった、これら吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁210を設けて閉じた状態とし、また、サイフォン送水ホース10の最下流端の吐出し口220にも開閉装置230を設けて閉じた状態で配管の最高部に設けた注水口240から注水を行い注水口240の上下流側のサイフォン送水ホース10内の全長に渡って満水状態にしていた。これは、サイフォン送水ホース10内の全長を満水状態にしなければサイフォン作用を起動させることができないとの常識があったからである。したがって、従来は、このようなサイフォン送水ホース全長を満水状態にしてから配管最高部の開閉式注水口部材240を閉じた後、上流側の吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁210と下流側の開閉装置230を開口してサイフォン作用を起動させていた。
【0003】
このように従来型のサイフォン装置では、上流側の吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁と、下流側の吐出し口開閉装置との両方を閉じた状態にして配管最高部に設けた開閉式注水口部材から注水作業を行い、サイフォン送水ホースの全延長を満水状態にしたら、開閉式注水口部材の開口部を閉じ、上流側の吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁と下流側の吐出し口開閉装置との両方を開く必要があった。しかし、この作業は上流側の吸水口開閉装置は湛水池の水の中にあるので、人が近づくには危険を伴った。また、下流側の吐出し口開閉装置を開くのも、危険な堤防法面を下ったり、上ったりするため危険作業が伴うものであった。
【0004】
その後サイフォン送水作業が終了したら撤収作業となる。この際に、上流側のサイフォン送水ホースは堤防の上から人力で引っ張り上げる作業となるが、上流側の吸水口開閉装置は水の中であるため、一般的に吸水口開閉装置の方がサイフォン送水ホースより口径が大きく開閉用のハンドルが付いていることから、湖底にある障害物に引っ掛かったり、水草がハンドルに絡みついて引き上げるのに支障となったりすることがあった。
【0005】
一方、上流側の水中にある吸水口開閉装置を閉じる作業工程が危険であるため、吸水口開閉装置に代えて吸水口逆止弁を使用する場合がある。吸水口逆止弁の場合はサイフォン送水ホース内への注水作業を行うと注水された水は逆止弁によりサイフォン送水ホース内に留まることとなるので、サイフォン送水ホース内を満水状態にしたら、開閉式注水口部材の開口部を閉じた後に下流側の吐出し口開閉装置を開口すると、上流側の吸水口逆止弁は吸水現象により吸い込まれる水により逆止弁を内側へ押し開いて流入するため、人力で逆止弁を開く作業を省略することができた。しかし、サイフォン送水作業を終了して撤収作業にかかると、上流側のサイフォン送水ホースを引き上げる際に、サイフォン送水ホース内の水が逆止弁は閉じているためサイフォン送水ホース内の水を吸水口から外側の貯水部に排出させることができないため、ホース内の水が満水状態のままの重いホースを大勢の作業員又はクレーン等を使用して引き上げなければならないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、サイフォン送水装置の設置作業、サイフォン起動作業が従来のサイフォン送水装置の設置及びサイフォン起動作業とは異なり簡易であり、サイフォン送水作業終了後の撤収作業も容易かつ迅速に撤収作業を行うことができるサイフォン装置及びサイフォン送水工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるサイフォン送水装置は、サイフォン送水ホースの最上流部に設けた吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁、及び最下流部の吐出し口の開閉装置を省略した構造とし、1条配管の上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近に設けた開閉式注水口部材までの間の何れかの位置に注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材を設ける構成とした。これは開閉式注水口部材より上流側で貯水部の水面より上にあることで注水口上流側開閉部材の操作を陸上で行えるという特徴が得られるためである。上記サイフォン送水装置の構成として1条配管としての構成を説明するが、この構成を複数条配管することも含めたサイフォン送水装置の考案である。
【0008】
また、サイフォン送水ホースと同口径以上の送水機器に連結された同口径以上の注水ホース連結部、又はサイフォン送水ホースと同口径以下の送水機器に連結された複数の注水ホースの流れを合流させてサイフォン送水ホースと同口径の送水機器と同等以上の送水量を送水できる機能を備えた流れの集水部材の連結部を開閉式注水口部材に連結して注水を行うことができる。注水完了後、開閉式注水口部材の開口部を閉じてサイフォン起動後には注水ホースの取り外しも可能である。開閉式注水口部材はサイフォン作用を停止する場合の空気吸入作用も兼務する。また、注水口上流部開閉部材はサイフォン作用中にサイフォンの流れをサイフォン送水ホース内で一時停止する場合にも利用できる。
【0009】
本発明にかかるサイフォン送水装置によれば、従来設けられていた最上流部の吸水口開閉装置の開口部を開閉するための水の中の危険な作業や斜面を上り下りして行う最下流部の吐出し口に設けた開閉装置の開閉作業を省略できる。また、注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材が開閉式注水口部材の上流部に備えてあるため、サイフォン送水ホースと同じ口径以上の送水機器と注水ホースを使用して開閉式注水口部材に連結してサイフォン送水ホース内に注水を行う際に、水は上流側と下流側に分かれて移動するが上流側は注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材で閉塞されているため、水はそれより上流に進めずにサイフォン送水ホース内で滞留することとなる。注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材からサイフォン送水ホース下流端の吐出し口までのサイフォン送水ホース内が注水により満水状態となって流れる状態になったら、注水作業を続けたまま注水口上流開閉部材を開くと開閉式注水口部材から下流端部の吐出し口までの間のサイフォン送水ホース内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口の方向への流れに引っ張られて注水口上流開閉部材から上流のサイフォン送水ホース内の空気と水が下流方向へ流れ始めたら、注水作業を停止しサイフォン送水作業とする。注水口上流側逆止弁部材の場合は注水作業により注水口上流逆止弁部材の上流側のサイフォン送水ホース内の空気が注水の流れに吸い込まれてその分サイフォン送水ホース内の水位が徐々に上昇することとなり、水は注水口上流逆止弁部材まで到達すると逆止弁を上流側から押して注水口上流逆止弁部材の下流側へ移動することとなる。注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材から上流の貯水部の水面までの間のサイフォン送水ホース内の空気も下流部へ引き込んで流下することとなる。この流下に伴い空気の後ろから貯水部の水も吸水口から吸い込まれてサイフォン送水ホース内を流下することとなる。この空気が吐出し口から吐出されるとサイフォン送水ホース内は満水状態で流下を続けることとなり、サイフォン作用が起動することとなる。
【0010】
また、本発明は、サイフォン送水ホースと同口径以下の複数の送水機器に連結された複数の注水ホースの流れを集水合流部材で合流させてサイフォン送水ホースと同口径の送水機器と同等以上の送水量を送水できる機能を備えた集水合流部材の流れを注水ホースを介して開閉式注水口部材に連結して注水を行うことができる。
【0011】
また、本発明は、開閉式注水口部材の直下流部のサイフォン送水ホース内へスポンジ状又はバルーン状の塊となった柔軟なホース内堰き止め部材を挿入しておく構成を採用した。サイフォン送水ホースと同口径未満の小口径な送水機器に連結された同口径未満の小口径な注水ホースを開閉式注水口部材に連結してサイフォン送水ホース内へ注水を行う構成を採用している。又は注水完了後は、開閉式注水口部材の開口部を閉じてサイフォンを起動させた後には注水ホースの取り外しが可能となる。
【0012】
かかる発明によれば、上述と同様に最上流部の吸水口開閉装置の開口部を開閉するための水中の危険な作業や斜面を上り下りして行う最下流部の吐出し口に設けた開閉装置の開閉作業が省略することができる。また、サイフォン送水ホースと同口径以上は勿論であるが、サイフォン送水ホースと同口径未満の小口径の送水機器に連結された同口径未満の小口径の注水ホースの連結部、又はサイフォン送水ホースと同口径以下の複数の送水機器に連結された複数の注水ホースの流れを集水合流部材で合流させてサイフォン送水ホースと同口径の送水機器と同等以上の送水量を送水できる機能を備えた流れの集水合流部材の連結部を注水ホースを介して開閉式注水口部材に連結してサイフォン送水ホース内へ注水を行うことができる。注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材が開閉式注水口部材の上流部で閉じているため、水はそれより上流に進めずにサイフォン送水ホース内で滞留することとなる。送水機器の水圧で注水された水が滞留すると、注水作業以前にサイフォン送水ホース内へ挿入しておいたスポンジ状又はバルーン状の塊である柔軟なホース内堰き止め部材に水圧がかかることとなり、送水機器の水圧により徐々にホース内堰き止め部材は下流方向へ押されて移動することとなる。やがてホース内堰き止め部材が下流側吐出し口に到達すると、この時点でサイフォン送水ホースの注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材からサイフォン送水ホース下流端部の吐出し口までの間のサイフォン送水ホース内が注水により満水状態となっている状態で吐出し口からホース内堰き止め部材が押し出される。押し出されたことを確認したら、注水口上流開閉部材を開口する。これにより、開閉式注水口部材から下流端部の吐出し口までの間のサイフォン送水ホース内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口の方向に一斉に流れ始める。注水口上流逆止弁部材の場合も水の流れが下流方向への流れと変わるため逆止弁が下流方向へ開く。サイフォン送水ホースの最高部付近に設けた開閉式注水口部材から下流端部の吐出し口までの間のサイフォン送水ホース内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口の方向に一斉に流れ始める。サイフォン送水ホース内の水は位置エネルギーにより一斉に下流端の吐出し口に向かって流下することとなり、注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材から上流の貯水部の水面までの間のホース内の空気を下流部へ引き込んで流下することとなる。この流下に伴い空気の後ろから貯水部の水も吸水口から吸い込まれてサイフォン送水ホース内を流下することとなる。この空気が吐出し口から吐き出されるとサイフォン送水ホース内は満水状態で流下を続けることとなり、サイフォン作用が起動したこととなる。
【0013】
さらに、本発明は、サイフォン送水ホースの下流端部に吐出される水の流量を調節可能な吐出流量調節装置を設けるという構成を採用した。このような構成を採用することによって、開閉式注水口部材に注水ホースを連結しないで開口状態のままで送水機器で注水したり、バケツなどの容器で開閉式注水口部材の開口部から手作業で注水したりすることもできる。
【0014】
サイフォンホース下流端部に吐出流量調節装置を設けると、サイフォン起動後の送水量の調節をすることができると同時に、サイフォン送水ホースと同口径未満の小口径の送水機器に連結された同口径未満の小口径の注水ホースで注水する場合や、バケツなどの容器を使用して開閉式注水口部材を介して手作業で注水する場合に、ホース内堰き止め部材を使用しなくてもサイフォン吐出し口を吐出流量調節装置で閉口することで、注水により下流端部から順番に水をサイフォン吐き出し口内に溜めて、サイフォン送水ホースの最高部まで満水状態になったら吐出流量調節装置と注水口上流開閉部材を開口する。これにより、開閉式注水口部材から下流端部の吐出し口までの間のサイフォン送水ホース内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口の方向に一斉に流れ始める。注水口上流逆止弁部材の場合はサイフォン送水ホース内の水が位置エネルギーにより管頂部より下流側に流下を始める。その動きにより注水口上流逆止弁部材から上流側の貯水部の水面までの間の空気を吸い上げて下流側へ移動すると、移動する空気が吸水口から新たな貯水部の水をサイフォン送水ホース内へ引き込むこととなり、サイフォン作用が起動することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100の別実施例の構成の概略を示す側面図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【
図5】
図5は、第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100の別実施形態の構成の概略を示す側面図である。
【
図6】
図6は、従来にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
次に第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100について図に従って詳細に説明する。第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の概略が
図1に示されている。
【0017】
第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、
図1に示すように、主として、上流域又は高水域の貯水部1の水を吸水する吸水口11及び低水域で水を吐出する吐出し口12を有する1条配管されたサイフォン送水ホース10と、水を注入する注水口21を有する開閉式注水口部材20と、この開閉式注水口部材20よりも上流に設けられる注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30と、注水口開閉レバー21Aを備えた注水口21に連結される注水ホース40と、サイフォン送水装置100を起動するためサイフォン送水ホース10に水を注入する水中ポンプ等の送水機器50と、を備えている。
【0018】
サイフォン送水作業に使用されるサイフォン送水ホース10は、容易に断面形状が変形することがない硬質のホース又は管材が使用される。硬質な素材を使用したホースの例としては、一般的にいわれるサクションホース、硬質ポリエチレンや塩化ビニール等のホース、鋼管などが挙げられる。サイフォン送水ホース10は、上流端部に吸水口11を有し、上流域又は高水域であるプール、池、沼、河、ダム等の貯水部1に配置されている。一方、下流側は水を吐出する吐出し口12を有し、吐出し口12は少なくとも高水域であるプール、池、沼、河、ダム等の貯水部1の水位よりも低い低水域に配置される。
【0019】
開閉式注水口部材20は、配管されたサイフォン送水ホース10の最も高い位置である最高部又はその近傍に配置される。開閉式注水口部材20は、サイフォン送水ホース10内に水を注入する開閉可能な注水口21と注水口21の開口部を開閉するための注水口開閉レバー21Aを有している。注水口21は、開口部にフランジを有し、注水ホース40の連結部41を取付けることができる。
【0020】
開閉式注水口部材20より下流側のサイフォン送水ホース10の配管延長は、上流側の貯水部1の水面よりも低い高さ(水頭差)まで配管してあることが設置の条件であり水頭差はある程度大きい方が送水量は大きくなる。開閉式注水口部材20より下流側のサイフォン送水ホース10内が満水状態で流下し始めると、開閉式注水口部材20から上流側の貯水部1の水面までのサイフォン送水ホース10内にある空気を引き込んで流下し始める。この空気がサイフォン送水ホース10の下流端の吐出し口12に到達した時点で空気の後ろには新たに吸い込んだ貯水部の水が続いているため同様に吐き出されることでサイフォン作用が起動することとなる。従って、注水口上流側開閉部材30A(30)又は注水口上流側逆止弁部材30B(30)の設置位置としては、開閉式注水口部材20より上流側で貯水部1の水面との間であれば同じ作用を起こすことができることとなるが、開閉式注水口部材20の近くに設置した方が操作する人が移動しなくてもその場で操作できるため便利となる。なお、注水口上流側開閉部材30Aは、手動でサイフォン送水ホース10内を開閉することができる開閉部を有する部材であり、注水口上流側逆止弁部材30Bは、
図1の丸に記載のように、内部に逆止弁31Bを有し、吸水口11側から吐出し口12側への水の流れを許可し、吐出し口12側から吸水口11側への流れを防止する。
【0021】
注水ホース40は、開閉式注水口部材20の注水口21に取付けられるホースであり、硬質のホース又は管材に加えて、軟質のホースでも使用することができる。
【0022】
送水機器50は、電気によって稼働する送水機能を有するポンプであり、注水ホース40を介して開閉式注水口部材20の注水口21に水を注入する。この送水機器50は、発電機又は系統の電源を引き込んだ配電盤のスイッチ(図示しない。)によって送水機器10のオン/オフを行うことができる。
【0023】
以上のように構成された第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、サイフォン送水ホース10と同じ口径以上の送水機器50であって、注水ホース40を連結して使用して開閉式注水口部材20に連結してサイフォン送水ホース10内に注水を行う場合に、サイフォン送水ホース10内も満水で流すことを維持できる場合に使用される。このサイフォン送水装置100は、注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30が開閉式注水口部材20より上流部に設置されている。そのため送水機器50で開閉式注水口部材20の注水口21から水を注水すると、水は上流側及び下流側の両方に流れる。しかし、上流側は注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30で閉塞されているため、水はそれより上流に進めずにサイフォン送水ホース10内で滞留する。その後も送水機器50で水の供給を続けると、注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30からサイフォン送水ホース10の下流端の吐出し口12までのサイフォン送水ホース10内が注水により満水状態となって流れる状態になる。この状態を確認できたら、この状態のまま注水口上流側開閉部材30Aの場合は、開閉部を開くと、開閉式注水口部材20から下流端部の吐出し口12までの間のサイフォン送水ホース10内の水が注水作用と共に位置エネルギーにより下流端にある吐出し口12の方向に流れ続ける。注水口上流開閉部材30Aから上流の貯水部1の水面までの間のサイフォン送水ホース10内の空気も下流部へ引き込んで流下する。すると、この流下に伴い空気の後ろから貯水部1の水も吸水口11から吸い込まれてサイフォン送水ホース10内を流下する。この空気が吐出し口12から吐出されるとサイフォン送水ホース10内は満水状態で流下を続けることとなり、サイフォン作用が起動することとなる。一方、注水口上流側逆止弁部材30Bの場合は、注水作業により注水口上流逆止弁部材30Bの上流側のサイフォン送水ホース10内の空気が注水の流れに吸い込まれてその分徐々に水位が上昇する。そして、水が注水口上流逆止弁部材30Bまで到達すると逆止弁を上流側から押して、さらに水は注水口上流逆止弁部材30Bの下流側へ移動することとなる。すると、注水口上流側開閉部材30Aと同様に、注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材30から上流の貯水部1の水面までの間のサイフォン送水ホース10内の水も引き続き下流部へ引き込んで流下することとなる。この流下に伴い貯水部1の水も吸水口11から吸い込まれてサイフォン送水ホース10内を流下することとなる。この水が吐出し口から吐出されるとサイフォン送水ホース10内は満水状態で流下を続けることとなり、サイフォン作用が起動することとなる。
【0024】
本発明にかかるサイフォン送水装置100によれば、従来設けられていた最上流部の吸水口開閉装置をなくしたことで開閉装置を開閉するための水中の危険な作業をなくし、サイフォン送水ホース10の最下流部の吐出し口12に設けてあった開閉装置をなくしたことで斜面を上り下りして行う最下流部の吐出し口12に設けた開閉装置の開閉作業を省略することができる。
【0025】
(第2実施形態)
第2実施形態にかかるサイフォン送水装置110について図に従って詳細に説明する。第2実施形態にかかるサイフォン送水装置110の概略が
図2に示されている。
【0026】
第2実施形態にかかるサイフォン送水装置110の構成のうち、サイフォン送水ホース10、開閉式注水口部材20、注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30、注水口21に連結される注水ホース40、注水口開閉レバー21A、送水機器50の構成は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0027】
第2実施形態にかかるサイフォン送水装置110は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100に対して、開閉式注水口部材20の直下流部(開閉式注水口部材20から1m以内)のサイフォン送水ホース10内へスポンジ状又はバルーン状の塊となった柔軟なホース内堰き止め部材60が挿入されている。
【0028】
このようなホース内堰き止め部材60を採用することで、サイフォン送水ホース10と同口径未満の小口径な送水機器50に連結された同口径未満の小口径注水ホース40Aを開閉式注水口部材20に連結してサイフォン送水ホース10内へ注水を行うことで、少ない注水量であってもホース内塞き止め部材60を送水機器50の水圧により徐々に下流方向へ押して進みやがて吐出し口12に到達した段階でホース内堰き止め部材60の上流の注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30までのサイフォン送水ホース10内は満水状態であり、ホース内塞き止め部材60が吐出し口12から押し出された時点で注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30から上流部のサイフォン送水ホース10内の水を引き込む作用と同時に吸水口11から貯水池1の新たな水を吸い込む作用が起動する。この新たに吸い込まれた水が吐出し口12に到達した時点でサイフォン作用が起動したこととなる。
【0029】
また、
図3に示すように、サイフォン送水ホース10と同口径以下の複数の小口径送水機器50Aに連結された複数の小口径注水ホース40Aの流れを集水合流部材42で1本に合流して連結した注水ホース40に通し、連結した開閉式注水口部材20を介してサイフォン送水ホース10内へ注水する場合においても、サイフォン送水ホース10と同口径の送水機器50が200Vの電源を必要とする場合であっても、100Vの小口径の送水機器50Aを小型発電機を用いて稼働し、その合流した流れでサイフォン作用を起動することもできる。また小口径の送水機器50Aの送水量ではサイフォンを起動する送水量に至らない場合であってもホース内塞き止め部材60を使用することで前述と同様にサイフォン作用を起動することができる。
【0030】
第2実施形態にかかるサイフォン送水装置110は、注水口21から水を注入した場合、注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材30が開閉式注水口部材20の上流部で閉じているため、水はそれより上流に進めずにサイフォン送水ホース10内で滞留することとなる。送水機器50による注水で滞留する水に水圧が加わりサイフォン送水ホース10内へ挿入しておいたスポンジ状又はバルーン状の塊である柔軟なホース内堰き止め部材60に水圧がかかることとなり、送水機器50の水圧により徐々にホース内堰き止め部材60は下流方向へ押されて移動する。やがてホース内堰き止め部材60が下流側の吐出し口12に到達すると、この時点でサイフォン送水ホース10の注水口上流開閉部材又は注水口上流逆止弁部材30からサイフォン送水ホース10の下流端部の吐出し口12までの間のサイフォン送水ホース10内が注水により満水状態となっている。そして、サイフォン送水ホース10の下流端にある吐出し口12からホース内堰き止め部材60が押し出される。押し出されたことを確認したら、注水作業を続けながら注水口上流開閉部材30Aの場合は開閉部を開口する。これにより、開閉式注水口部材20から下流端部の吐出し口12までの間のサイフォン送水ホース10内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口12の方向に一斉に流れ始める。以降の作用は第1実施形態と同様である。また、注水口上流側逆止弁部材30Bの場合は開閉式注水口部材20から下流端部の吐出し口12までの間のサイフォン送水ホース10内の水が位置エネルギーにより下流端にある吐出し口12の方向に一斉に流れ始めると注水口上流側逆止弁部材30Bの上流部の空気と水が下流方向に吸い込まれると同時に貯水部1の新たな水が吸水口11から吸い込まれて下流端の吐出し口12に流下して吐き出されサイフォン作用が起動することとなる。
【0031】
かかる発明によれば、第1実施形態と同様に従来のサイフォン装置に必須であった最上流部の吸水口11に設けた吸水口開閉装置210をなくしたので開口部を開閉するための水中での危険な作業を行うことを回避することができる。また、最下流部の吐出し口12に設けた開閉装置230をなくしたので、開閉装置230の開閉作業を省略することができる。また、サイフォン送水ホース10と同口径未満の小口径の送水機器に連結された同口径未満の小口径の注水ホース40を開閉式注水口部材20に連結してサイフォン送水ホース10内へ注水を行いサイフォンを起動することができる。
【0032】
(第3実施形態)
第3実施形態にかかるサイフォン送水装置120について図に従って詳細に説明する。第3実施形態にかかるサイフォン送水装置120の概略が
図4に示されている。
【0033】
第3実施形態にかかるサイフォン送水装置120の構成のうち、サイフォン送水ホース10、開閉式注水口部材20、注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材30、注水口21に連結される注水ホース40、注水口開閉レバー21A、送水機器50の構成は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
第3実施形態にかかるサイフォン送水装置120は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100に対して、サイフォン送水ホース10の下流端部に吐き出される水の流量を調節可能な吐出流量調節装置70が設けられている点が異なる。かかる構成を採用することによって、開閉式注水口部材20に注水ホース40を連結しないで開口部から送水機器50で注水したり、バケツなどの容器を用いて手作業でサイフォン送水ホース10内へ注水してサイフォンを起動させたりすることができる。
【0035】
サイフォン送水ホース10の下流端部に吐出流量調節装置70を設けると、サイフォン起動後の送水量の調節をすることができると同時に、
図5に示すようにサイフォン送水ホース10と同口径未満の小口径の送水機器50Aに連結された同口径未満の小口径の注水ホース40Aで注水する場合や、バケツなどの容器を使用して開閉式注水口部材20を介して手作業で注水する場合に、ホース内堰き止め部材60を使用しなくても吐出し口12を閉口することで、注水により下流端部から順番に水をサイフォン送水ホース10内に溜めて、サイフォン送水ホース10の最高部まで満水状態になったら送水機器50で注水する場合は吐出流量調節装置70と注水口上流開閉部材30Aを開口することにより、第1実施形態又は第2実施形態と同様にサイフォン作用を起動させせることができる。また、注水口上流逆止弁部材30Bの場合はサイフォン送水ホース10内が満水状態となったら吐出流量調節装置70を開口するとサイフォン送水ホース10内の水が位置エネルギーにより流下を始めるためそれに引かれて注水口上流逆止弁部材30Bの上流側の空気と新たな貯水部の水が注水口上流逆止弁部材30B内部の開閉弁を押し開けて流下して第1実施形態又は第2実施形態と同様にサイフォン作用を起動させせることができる。また、開閉式注水口部材20の開口部を開けた状態でバケツなどでサイフォン送水ホース内へ注水する場合はサイフォン送水ホース10の最高部まで満水状態になったら開閉式注水口部材20の開口部を閉じてから吐出流量調節装置70と注水口上流開閉部材30Aを開口することにより、また、注水口上流逆止弁部材30Bの場合もサイフォン送水ホース10の最高部まで満水状態になったら開閉式注水口部材20の開口部を閉じてから吐出流量調節装置70を開口すると第1実施形態又は第2実施形態と同様にサイフォン作用を起動させせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
上述した実施の形態で示すように、河川、湖沼、土砂ダムや氷河湖等の貯水部の水を安全に安価に効率よく排水する装置として利用することができる。また、サイフォン作用により稼働するため電気の消費を大幅に軽減することで、発電に伴う温室効果ガスの排出を大幅に軽減するため地球温暖化防止・脱炭素社会の構築・カーボンニュートラルに大きく貢献できる。
【符号の説明】
【0037】
1…貯水部、200…従来のサイフォン送水装置、10…サイフォン送水ホース、11…吸水口、12…吐出し口、20…開閉式注水口部材、21…注水口、21A…注水口開閉レバー、30…注水口上流側開閉部材又は注水口上流側逆止弁部材、30A…注水口上流側開閉部材、30B…注水口上流側逆止弁部材、40…注水ホース、40A…小口径注水ホース、41…注水ホース連結部、42…集水合流部材、50…送水機器、50A…小口径送水機器、60…ホース内堰き止め部材、70…吐出流量調節装置、210…吸水口開閉装置又は吸水口逆止弁、220…吐出口、230…開閉装置、240…開閉式注水口部材
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側開閉部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項2】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側逆止弁部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項3】
前記サイフォン送水ホースの口径以下の2台以上の小口径の送水機器に連結された2本以上の小口径の注水ホースを集水合流部材を介して注水ホースに一本に合流させ、この合流させた注水ホースが開閉式注水口部材に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記注水ホースは、前記サイフォン送水ホースの口径より小口径を有し、
前記開閉式注水口部材よりも下流側に配置される前記サイフォン送水ホース内には、前記開閉式注水口部材から注水される水を堰き止めながら、前記サイフォン送水ホース内で増大する水圧に押されて流下するスポンジ状又はバルーン状の塊からなるホース内堰き止め部材が挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項5】
前記サイフォン送水ホースの下流側端部には、吐き出される水の流量を調節可能な吐出流量調節装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項6】
請求項1に記載のサイフォン装置を使用したサイフォン送水工法において、前記送水機器を稼働しサイフォン送水ホースへ注水し、前記注水口上流側開閉部材よりも下流側のサイフォン送水ホースが満水状態で流下する状態となったら、前記注水口上流開閉部材を開口することによって、前記開閉式注水口部材より下流側の水が位置エネルギーにより下流側の吐出し口から吐出されるとともに、前記サイフォン送水ホース内を流下する水に吸引されて前記サイフォン送水ホースの上流端の吸水口から前記貯水部の水を吸水し前記サイフォン送水ホース内を流下して前記サイフォン送水ホースの下流側の前記吐出し口から吐き出されることで、前記送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項7】
請求項2に記載のサイフォン送水装置において、前記サイフォン送水ホースの下流端部に備えた吐出流量調節装置を閉じた状態で、前記サイフォン送水ホースの口径より細い口径を有する前記送水機器を稼働するか又は容器を用いて手作業で開口した注水口から水を流し込んで、前記サイフォン送水ホース内へ注水して注水口上流側逆止弁部材よりも下流側の前記サイフォン送水ホース内が満水状態となったら前記開閉式注水口部材の注水口を閉じるとともに吐出流量調節装置を開くと、前記開閉式注水口部材より下流部の水が位置エネルギーにより前記吐出流量調節装置の方向へ移動すると前記サイフォン送水ホースの上流端の水面下に浸漬けしている前記サイフォン送水ホース内の水や吸水口から新たに吸水した前記貯水部の水が前記注水口上流逆止弁部材の逆止弁を下流方向へ押し開いて流下し、前記サイフォン送水ホース内を移動して前記吐出流量調節装置から吐き出されて送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載されたサイフォン送水装置を使用したサイフォン送水工法
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側開閉部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項2】
高水域にある貯水部の水を、サイフォン作用により低水域に送水するサイフォン送水装置において、
前記貯水部に配置された吸水口から低水域に配置された吐出し口まで1条配管で設置されたサイフォン送水ホースのうち、上流側の前記貯水部の水面から前記サイフォン送水ホースの最高部付近の何れかの位置に設けられた開閉式注水口部材と、
前記開閉式注水口部材より上流側に設けられた注水口上流側逆止弁部材を備え、
前記開閉式注水口部材の注水口開閉レバーを備えた注水口には、送水機器と接続された注水ホースが着脱自在に連結されていることを特徴とするサイフォン送水装置。
【請求項3】
前記サイフォン送水ホースの口径以下の2台以上の小口径の送水機器に連結された2本以上の小口径の注水ホースを集水合流部材を介して注水ホースに一本に合流させ、この合流させた注水ホースが開閉式注水口部材に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項4】
前記注水ホースは、前記サイフォン送水ホースの口径より小口径を有し、
前記開閉式注水口部材よりも下流側に配置される前記サイフォン送水ホース内には、前記開閉式注水口部材から注水される水を堰き止めながら、前記サイフォン送水ホース内で増大する水圧に押されて流下するスポンジ状又はバルーン状の塊からなるホース内堰き止め部材が挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項5】
前記サイフォン送水ホースの下流側端部には、吐き出される水の流量を調節可能な吐出流量調節装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイフォン送水装置。
【請求項6】
請求項1に記載のサイフォン装置を使用したサイフォン送水工法において、前記送水機器を稼働しサイフォン送水ホースへ注水し、前記注水口上流側開閉部材よりも下流側のサイフォン送水ホースが満水状態で流下する状態となったら、前記注水口上流側開閉部材を開口することによって、前記開閉式注水口部材より下流側の水が位置エネルギーにより下流側の吐出し口から吐出されるとともに、前記サイフォン送水ホース内を流下する水に吸引されて前記サイフォン送水ホースの上流端の吸水口から前記貯水部の水を吸水し前記サイフォン送水ホース内を流下して前記サイフォン送水ホースの下流側の前記吐出し口から吐き出されることで、前記送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項7】
請求項2に記載のサイフォン送水装置において、前記サイフォン送水ホースの下流端部に備えた吐出流量調節装置を閉じた状態で、前記サイフォン送水ホースの口径より細い口径を有する前記送水機器を稼働するか又は容器を用いて手作業で開口した注水口から水を流し込んで、前記サイフォン送水ホース内へ注水して注水口上流側逆止弁部材よりも下流側の前記サイフォン送水ホース内が満水状態となったら前記開閉式注水口部材の注水口を閉じるとともに吐出流量調節装置を開くと、前記開閉式注水口部材より下流部の水が位置エネルギーにより前記吐出流量調節装置の方向へ移動すると前記サイフォン送水ホースの上流端の水面下に浸漬けしている前記サイフォン送水ホース内の水や吸水口から新たに吸水した前記貯水部の水が前記注水口上流側逆止弁部材の逆止弁を下流方向へ押し開いて流下し、前記サイフォン送水ホース内を移動して前記吐出流量調節装置から吐き出されて送水機器を停止してもサイフォン作用が起動することを特徴とするサイフォン送水工法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載されたサイフォン送水装置を使用したサイフォン送水工法。