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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174653
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】椅子用座起立機構および椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/121 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A47C1/121
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092588
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】510274430
【氏名又は名称】コトブキシーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 康
【テーマコード(参考)】
3B099
【Fターム(参考)】
3B099FA03
3B099FA09
3B099FA11
3B099FA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】起立した座をさらに椅子の背の側に押し込むことができ、人が通過する通路を確保し易くするととともに、押し込まれた座を起立位置に向けて自律的に復帰させ、座を容易に着座位置に回動させるようにする。
【解決手段】椅子の座を着座位置と起立位置との間で回動可能に支持するとともに座を起立位置へ向けて常時付勢する椅子用座起立機構10であって、座支持軸を座の左右方向へ延在する二個の座ブラケットと、椅子の側面部材に固定され、二個の座ブラケットの座支持軸をそれぞれ回動可能に支持する二個の軸支持部材30と、座を起立位置へ向けて常時付勢するように、座支持軸を第1回動付勢力をもって回動付勢する渦巻状ばねと座を起立位置よりもさらに椅子の背の側に押し込む押し込み時に、座が起立位置に向けて自律的に復帰するように、座支持軸に第1回動付勢力とは反対向きの第2回動付勢力を付与する復帰部材を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子の座を着座位置と起立位置との間で回動可能に支持するとともに、前記座を前記起立位置へ向けて常時付勢する椅子用座起立機構であって、
前記座の左右側部にそれぞれ固定され、各々座支持軸を固定支持し、前記座支持軸を前記座の左右方向へ延在する同一中心軸線上で前記座の左右側方に突出させる二個の座ブラケットと、
前記座の左右側方にそれぞれ位置するように前記椅子の側面部材に固定され、前記二個の座ブラケットの前記座支持軸をそれぞれ回動可能に支持する二個の軸支持部材と、
前記二個の軸支持部材の少なくとも一方に設けられ、前記座を前記起立位置へ向けて常時付勢するように、前記座支持軸を第1回動付勢力をもって回動付勢する渦巻状ばねと、
前記二個の軸支持部材の少なくとも一方に設けられ、前記座を前記起立位置よりもさらに前記椅子の背の側に押し込む押し込み時に、前記座が前記起立位置に向けて自律的に復帰するように、前記座支持軸に前記第1回動付勢力とは反対向きの第2回動付勢力を付与する復帰部材と、
を備える椅子用座起立機構。
【請求項2】
請求項1に記載の椅子用座起立機構であって、
前記復帰部材は、
前記座の押し込み時に前記座ブラケットの一部に当接しつつ、前記座支持軸の回動に連動して回動する押し込み回動部材と、
前記軸支持部材及び前記押し込み回動部材に取り付けられ、前記押し込み回動部材の回動によって前記第2回動付勢力を発生する復帰ばねと、
を含む椅子用座起立機構。
【請求項3】
請求項2に記載の椅子用座起立機構であって、
前記座ブラケットは、前記座支持軸の周囲に設けられ、前記座支持軸と共に前記座の左右側方に突出するストッパピンを有し、
前記軸支持部材には、前記座支持軸の貫通を許容する貫通孔の周囲に、前記ストッパピンを移動可能に収容するとともに、前記座の着座位置において前記座支持軸の回動を止めるように、前記ストッパピンが当接する端部を有するピン収容部が形成され、
前記座ブラケットの一部は、前記ストッパピンである、
椅子用座起立機構。
【請求項4】
請求項3に記載の椅子用座起立機構であって、
前記押し込み回動部材が、
前記軸支持部材の前記ピン収容部の周囲に、回動可能に取り付けられる回動本体部と、
前記回動本体部から前記ピン収容部に向かって径方向に突出して、前記座の押し込み時に前記ストッパピンに当接する当接部と、
前記復帰ばねに取り付けられるばね取り付け部と、を含む、
椅子用座起立機構。
【請求項5】
請求項4に記載の椅子用座起立機構であって、
前記当接部が前記ピン収容部に配置され、
前記復帰ばねと、前記回動本体部と、前記ばね取り付け部とが、前記ピン収容部に隣接するように前記軸支持部材に設けられたばね収容部に配置される、
椅子用座起立機構。
【請求項6】
請求項2に記載の椅子用座起立機構であって、
前記復帰ばねがコイルばねであり、当該コイルばねの軸方向の一端が前記軸支持部材に取り付けられ、他端が前記押し込み回動部材に取り付けられる、
椅子用座起立機構。
【請求項7】
請求項6に記載の椅子用座起立機構であって、
前記コイルばねは、前記軸方向が前記座支持軸と平行となるように前記軸支持部材及び前記押し込み回動部材に取り付けられる、
椅子用座起立機構。
【請求項8】
請求項2に記載の椅子用座起立機構であって、
前記第2回動付勢力が前記第1回動付勢力より大きい、
椅子用座起立機構。
【請求項9】
請求項1に記載の椅子用座起立機構であって、
前記復帰部材が、前記二個の軸支持部材のそれぞれに設けられる、
椅子用座起立機構。
【請求項10】
請求項9に記載の椅子用座起立機構であって、
二個の前記復帰部材により付与される前記第2回動付勢力が、前記第1回動付勢力より大きい、
椅子用座起立機構。
【請求項11】
請求項1に記載の椅子用座起立機構であって、
前記渦巻状ばねが、前記二個の軸支持部材のうちの一方の軸支持部材に設けられ、
前記二個の軸支持部材のうちの他方の軸支持部材に設けられ、前記渦巻状ばねの第1回動付勢力を緩和する制動トルクを発生可能なロータリダンパをさらに備える、
椅子用座起立機構。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載された椅子用座起立機構を備える椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子用座起立機構および椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば劇場や公共ホール等では、観客やホール利用者等の出入りの容易化および火災等の際の避難路の確保を目的として、備え付けの椅子の座を座起立機構によって略水平な着座位置と略垂直な起立位置との間で揺動可能に支持する。座起立機構は、座を起立位置へ向けて常時付勢することで、人が着座していないときは座を起立位置に上げて前の列の椅子との間に横方向の通路を確保するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/099601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座起立機構が座を起立位置へ向けて常時付勢することにより、前の列の椅子との間に通路を確保することができるが、椅子の間隔によっては、十分な大きさの通路を確保することが難しいことがある。特に着座した人が存在する状態において、他の人が通路を通過しようとした際に、問題が生じ得る。
【0005】
すなわち、着座した人が、通路を通過しようとする他の人に気付くと、善意で立ち上がって、自分の前に通路を確保しようとする。しかしながら、起立した座が障害となって、立ち上がった人が椅子の座の側に移動できず、十分な通路を確保し難く、他の人が通過に苦労することがある。
【0006】
本発明は、前の椅子との間に広いスペースを確保し、人が通過する通路を確保し易くする椅子用座起立機構および椅子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の椅子用座起立機構は、
椅子の座を着座位置と起立位置との間で回動可能に支持するとともに、前記座を前記起立位置へ向けて常時付勢する椅子用座起立機構であって、
前記座の左右側部にそれぞれ固定され、各々座支持軸を固定支持し、前記座支持軸を前記座の左右方向へ延在する同一中心軸線上で前記座の左右側方に突出させる二個の座ブラケットと、
前記座の左右側方にそれぞれ位置するように前記椅子の側面部材に固定され、前記二個の座ブラケットの前記座支持軸をそれぞれ回動可能に支持する二個の軸支持部材と、
前記二個の軸支持部材の少なくとも一方に設けられ、前記座を前記起立位置へ向けて常時付勢するように、前記座支持軸を第1回動付勢力をもって回動付勢する渦巻状ばねと、
前記二個の軸支持部材の少なくとも一方に設けられ、前記座を前記起立位置よりもさらに前記椅子の背の側に押し込む押し込み時に、前記座が前記起立位置に向けて自律的に復帰するように、前記座支持軸に前記第1回動付勢力とは反対向きの第2回動付勢力を付与する復帰部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザは、起立した座をさらに椅子の背の側に押し込むことができ、前の椅子との間に広いスペースを確保し、人が通過する通路を確保し易くすることができる。また、復帰部材が、押し込まれた座を起立位置に向けて自律的に復帰させるため、ユーザは、座を容易に着座位置に回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る椅子用座起立機構および椅子を示す斜視図である
図2図2は、着座した人が立ち上がって、他の人の通路を確保する状態を示す模式図であり、(A)は従来の座、(B)は実施形態の座を示す。
図3図3は、実施形態に係る椅子用座起立機構であって、着座状態における左側の椅子用座起立機構の正面図である。
図4図4は、着座状態における右側の椅子用座起立機構の正面図である。
図5図5は、起立状態における左側の椅子用座起立機構の側面図である。
図6図6は、右側の椅子用座起立機構の軸支持部材の側面図である。
図7図7は、着座状態における右側の椅子用座起立機構の側面図である。
図8図8は、起立状態における右側の椅子用座起立機構の側面図である。
図9図9は、押し込み時における右側の椅子用座起立機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、実施形態に係る椅子用座起立機構および椅子を示す斜視図である。実施形態に係る椅子1は、背2と、座3と、側面部材4と、椅子用座起立機構10とを備えている。側面部材4は肘掛け5および脚6を含み、脚6の上に肘掛け5が固定され、二つの側面部材4の間に背2が固定支持されている。さらに側面部材4は、椅子用座起立機構10を介して、座3を回動可能に支持している。
【0012】
図1は、三つの椅子1が、横方向に並べられた状態を示す。図中のXYZ座標系は、椅子1および椅子用座起立機構10の向きを明確にするための座標系であり、X軸は椅子1の左右方向(横方向)、Y軸は椅子1の前後方向、Z軸は椅子1の高さ方向にそれぞれ対応する。また、椅子1、座3、 椅子用座起立機構10等について左右というときは、椅子1に前向きに着座した人から見て、X軸方向に沿った左右を意味する。
【0013】
椅子1は、例えば劇場や公共ホール等では、観客やホール利用者等の出入りの容易化および火災等の際の避難路の確保を目的として、椅子1の座3を座起立機構によって略水平な着座位置と略垂直な起立位置との間で揺動可能に支持する。座起立機構は、座3を起立位置へ向けて常時付勢することで、人が着座していないときは座3を起立位置に上げて前の列の椅子との間に横方向の通路を確保するのが一般的である。
【0014】
座起立機構が座3を起立位置へ向けて常時付勢することにより、前の列の椅子との間に通路を確保することができるが、椅子1の前後方向の間隔によっては、十分な大きさの通路を確保することが難しいことがある。特に着座した人が存在する状態において、他の人が通路を通過しようとした際に、問題が生じ得る。
【0015】
図2は、着座した人が立ち上がって、他の人の通路を確保する状態を示す模式図であり、図2(A)は従来の座を示す。図2(A)に示す様に、着座した人H1が、通路を通過しようとする他の人H2に気付くと、善意で立ち上がって、前の椅子1Aとの間に通路を確保しようとする。しかしながら、起立した座3が障害となって、立ち上がった人H1が椅子の背2の側に移動できず、十分な通路の幅を確保し難く、他の人H2が通過に苦労することがある。
【0016】
一方、図2(B)は実施形態の座を示す。本実施形態に係る椅子は、図2(B)に示す様に、立ち上がった人H1が座3を背2の側に押し込むことにより、座3を一時的に押し込み位置まで押し込むことができる。これにより、前の椅子1Aとの間に広いスペースを確保し、人H2が通過する通路を確保し易くすることができる。
【0017】
また、後述するように、本実施形態に係る椅子用座起立機構10は、人H1が押し込みを止めることにより、図2(B)の様に押し込まれた座3を、起立位置に向けて自律的に復帰させることができる。よって、座3を容易に着座位置に回動させることができる。
【0018】
図3は、実施形態に係る椅子用座起立機構10であって、着座状態における左側の椅子用座起立機構10Lの正面図である。図4は、実施形態に係る椅子用座起立機構10であって、着座状態における右側の椅子用座起立機構10Rの正面図である。椅子用座起立機構10は、椅子1の座3を着座位置と起立位置との間で回動可能に支持するとともに、座3を起立位置へ向けて常時付勢する機構である。
【0019】
椅子用座起立機構10は、図3の左側の椅子用座起立機構10Lおよび図4の左側の椅子用座起立機構10Rを含むものである。図3に示す左側の椅子用座起立機構10Lは、座ブラケット20と、軸支持部材30と、渦巻状ばね40と、復帰部材50と、を備えている。一方、図4に示す右側の椅子用座起立機構10Rは、座ブラケット20と、軸支持部材30と、復帰部材50と、ロータリダンパ60と、を備えている。
【0020】
左側の椅子用座起立機構10Lにおける座ブラケット20は、座3の下面であって左側部に固定され、座支持軸21を固定支持し、座支持軸21を座3の左側方に突出させる部材である。右側の椅子用座起立機構10Rにおける座ブラケット20は、座3の下面であって右側部に固定され、座支持軸21を固定支持し、座支持軸21を座3の右側方に突出させる部材である。椅子用座起立機構10Lおよび椅子用座起立機構10Rそれぞれの座ブラケット20における座支持軸21は、座3の左右方向へ延在する同一中心軸線C上で突出している。
【0021】
座ブラケット20は、L字状に折り曲げられた一枚の板(例えば金属板)の下部を構成する下板20aと、一枚の板の側部を構成する側板20bとを有している。下板20aには座ブラケット20を座3の下面にねじ12(図1参照)で固定するための複数のねじ孔20cが形成され、側板20bは、下板20aと反対の方向へ突出するように挿通された座支持軸21を例えば溶接により固定支持する。
【0022】
左側の椅子用座起立機構10Lにおける軸支持部材30は、座3の左側方に位置するように椅子1の側面部材4に固定され、座ブラケット20の座支持軸21を回動可能に支持する。右側の椅子用座起立機構10Rにおける軸支持部材30は、座3の右側方に位置するように椅子1の側面部材4に固定され、座ブラケット20の座支持軸21を回動可能に支持する。
【0023】
図5は、座3の起立状態における左側の椅子用座起立機構10Lの側面図である。軸支持部材30は、例えば金属板を成形により得られる略長方形の厚板状をなしており、その中央部には、座ブラケット20の座支持軸21の貫通を許容する貫通孔31が形成されている。軸支持部材30には、側面部材4にねじ13(図1参照)で固定するための複数のねじ孔30eが形成されている。また、渦巻状ばね40が、左側の椅子用座起立機構10Lの軸支持部材30に設けられている。
【0024】
座ブラケット20に突設された座支持軸21が、軸支持部材30の貫通孔31に背面側(図5における紙面の奥側)から挿通されて、座ブラケット20と軸支持部材30との組立体が形成される。軸支持部材30は、凹状の収容部30bを有しており、渦巻状ばね40は、収容部30bに収容される。
【0025】
渦巻状ばね40は、内側端部40aと外側端部40bとを有している。収容部30b内で、内側端部40aは、座支持軸21の先端に形成された十字状スリット21aの一方の向きの部分内に嵌め合わされて掛合し、外側端部40bは、収容部30bの周縁に形成された掛合溝30c内に嵌め合わされて掛合している。なお、複数の掛合溝30cが、収容部30bの周縁に設けられており、外側端部40bが掛合する掛合溝30cを変えることにより、渦巻状ばね40の付勢力を変更することができる。
【0026】
渦巻状ばね40は、後述の如くストッパピン23(図7参照)およびピン収容部32の作用により、座ブラケット20の軸支持部材30に対する回動が制限される前に、あらかじめある程度捻られて、図5に矢印で示すように座ブラケット20ひいては座3を起立位置に回動させるようにプリロードをかけられている。すなわち、渦巻状ばね40は、座3を起立位置へ向けて常時付勢するように、座支持軸21を、第1回動付勢力をもって回動付勢する。第1回動付勢力は十分な大きさを有しているため、座り心地向上の観点から座3が分厚く重いものであっても、座3を起立位置へ向けて付勢することができる。
【0027】
図6は、右側の椅子用座起立機構10Rの軸支持部材30の側面図である。図6では、図4で示した座ブラケット20、ロータリダンパ60、復帰部材50は示されていない。ロータリダンパ60は、渦巻状ばね40が設けられていない右側の椅子用座起立機構10Rの軸支持部材30の収容部30bに設けられ(図4参照)、渦巻状ばね40の第1回動付勢力を緩和する制動トルクを発生可能な構成を有する。ロータリダンパ60は一般的なものであってよく、例えば、粘性体が充填されたタイプや、ガス封入のタイプや、摩擦ディスクのタイプ等のものであってよい。ロータリダンパ60が、渦巻状ばね40の第1回動付勢力を緩和するため、着座位置から起立位置への座の回動を緩やかなものとすることができる。例えば、コンサートホール等での離座時の衝撃音をなくすとともに高級感を醸し出すことができる。
【0028】
本実施形態においては、二個の座ブラケット20と、二個の軸支持部材30とが、左側の椅子用座起立機構10Lおよび右側の椅子用座起立機構10Rそれぞれに対応して設けられ、座3を支持する。一方、渦巻状ばね40は左側の椅子用座起立機構10Lの軸支持部材30のみに設けられ、ロータリダンパ60は右側の椅子用座起立機構10Rの軸支持部材30のみに設けられている。すなわち、渦巻状ばね40は、二個の軸支持部材30のうち一方の軸支持部材30に設けてよく、ロータリダンパ60は他方の軸支持部材30に設けてよい。ただし、渦巻状ばね40は、二個の軸支持部材30の少なくとも一方に設ける必要がある。
【0029】
図3図4図6に示す様に、軸支持部材30は、凹状のピン収容部32を有している。ピン収容部32は、軸支持部材30の厚み方向における略中央部に形成された仕切壁33(図3図4参照)を隔てて収容部30bと反対側に形成される。図6では、収容部30bはピン収容部32の紙面奥側に形成されている。なお、貫通孔31は仕切壁33に形成されたボス部36によって設けられる。
【0030】
さらに、後述する復帰部材50の復帰ばね52を収容するばね収容部34が、ピン収容部32に隣接するように軸支持部材30に設けられている。ばね収容部34は、復帰部材50の大部分を収容するが、特に復帰ばね52を主に収容し、軸支持部材30の本体部分にあるピン収容部32に隣接することで、軸支持部材30の全体のサイズをコンパクトなものにしている。
【0031】
復帰部材50は、図3図4に示すように、二個の軸支持部材30のいずれにも設けられている。ただし、復帰部材50は、二個の軸支持部材30の少なくとも一方にのみ設けてもよい。
【0032】
本実施形態の椅子1は、図2(B)に示す様に、ユーザ、すなわち着座した人H1が、他の人H2に気付くと、立ち上がって座3を背2の側に押し込むことにより、座3を一時的に押し込み位置まで押し込むことができる。これにより、前の椅子1Aとの間に広いスペースを確保し、人H2が通過する通路を確保し易くすることができる。
【0033】
そして、復帰部材50は、この押し込み時に、座3が起立位置に向けて自律的に復帰するように、座ブラケット20の座支持軸21に、渦巻状ばね40の第1回動付勢力とは反対向きの第2回動付勢力を付与する役割を果たす部材である。
【0034】
図7は、着座状態における右側の椅子用座起立機構10Rの側面図である。図8は、起立状態における右側の椅子用座起立機構10Rの側面図である。図9は、押し込み時における右側の椅子用座起立機構10Rの側面図である。図7図9において、座ブラケット20は、他の部材を見やすくするため、破線又は二点鎖線で示しているが、実際は、軸支持部材30よりも紙面の手前に位置している。以下、復帰部材50の構成及び作用について、図7図9を用いて説明するが、左側の椅子用座起立機構10Lについても同様である。
【0035】
復帰部材50は、押し込み回動部材51と復帰ばね52とを含む。押し込み回動部材51は、座3の押し込み時に座ブラケット20の一部に当接しつつ、座支持軸21の回動に連動して回動する。復帰ばね52は、軸支持部材30及び押し込み回動部材51に取り付けられ、押し込み回動部材51の回動によって、渦巻状ばね40の第1回動付勢力とは反対向きの第2回動付勢力を発生する。
【0036】
押し込み回動部材51について詳細に説明する。押し込み回動部材51は、回動本体部54と、当接部55と、ばね取り付け部56と、を含む。実施形態では、押し込み回動部材51は一体の樹脂部材により成形されている。ただし、押し込み回動部材51の材料、構成は特に限定されない。
【0037】
回動本体部54は、全体的に円形状をしており、軸支持部材30のピン収容部32の周囲、具体的には、ばね収容部34に回動可能に取り付けられる。当接部55は、回動本体部54からピン収容部32に向かって、回動本体部54の径方向に突出しており、座3の押し込み時に、座3の一部、具体的にはストッパピン23に当接する。ばね取り付け部56は、回動本体部54から軸支持部材30の厚み方向(X軸方向)に突出する円筒状の部材であり、外周に復帰ばね52が取り付けられるとともに、ばね収容部34に突出して設けられた円筒状の案内部35(図3、4参照)の周囲に配置される。案内部35の筒状の先端部には、回動本体部54の中心に形成された嵌合孔54aが嵌合する。
【0038】
復帰ばね52は、ばね取り付け部56の周囲に巻き付けられつつ、復帰ばね52の一端52aが軸支持部材30のばね収容部34の内壁に取り付けられ、他端52bが押し込み回動部材51に取り付けられる。さらに、取付ねじ57が、回動本体部54を案内する案内部35の貫通孔35a内を貫通し、ナット58と螺合する。これにより、押し込み回動部材51は、軸支持部材30に回動可能に取り付けられつつ、回動時に復帰ばね52の第2回動付勢力が付与される構成を有する。
【0039】
座ブラケット20に設けられたストッパピン23は、座支持軸21の周囲に設けられ、座支持軸21と共に座3の左右側方に突出する。突出したストッパピン23は、軸支持部材30のピン収容部32に収容される。ピン収容部32は、座支持軸21の貫通を許容する貫通孔31の周囲において、円弧状の二つの凹部により形成され、二つのストッパピン23のそれぞれが、二つの凹部それぞれに収容される。ピン収容部32は、ストッパピン23を移動可能に収容するとともに、図7に示す様に、座3の着座位置において座支持軸21の回動を止めるように、ストッパピン23が当接する端部32aを有する。
なお、図示しないが、ストッパピン23の周囲には、緩衝材が巻回されてもよい。
【0040】
押し込み回動部材51の当接部55はピン収容部32に配置されるが、復帰ばね52と、押し込み回動部材51の回動本体部54およびばね取り付け部56は、ばね収容部34に配置されている。
【0041】
ユーザ、図2(B)では人H1が座3に着座すると、人H1の重みにより、座3および座ブラケット20は、渦巻状ばね40の第1回動付勢力に対抗して座支持軸21を中心に回動し、図7に示す着座位置に位置する。座ブラケット20の二つのストッパピン23も、座支持軸21の回動とともにピン収容部32内をスライドして移動するが、ピン収容部32の一の端部32aに当接することにより、座3および座ブラケット20が図7に示す位置からさらに回動するのを防止する。この状態において、座ブラケット20のストッパピン23は、押し込み回動部材51の当接部55に干渉せず、押し込み回動部材51は中立位置に位置しており、何ら機能を発動していない。復帰ばね52は付勢力を発生しない。
【0042】
人H1が起立すると、人H1の重みが喪失するため、座3および座ブラケット20は、渦巻状ばね40の第1回動付勢力により、座支持軸21を中心に回動し、図8に示す起立位置に位置する。座ブラケット20の二つのストッパピン23も、座支持軸21の回動とともにピン収容部32内をスライドして移動し、ピン収容部32の略中央位置で止まる。この状態においては、一つのストッパピン23が押し込み回動部材51の当接部55に軽く当接する程度であり、押し込み回動部材51は中立位置に位置しており、何ら機能を発動していない。復帰ばね52は付勢力を実質的に発生しない。
【0043】
ピン収容部32は、一の端部32aと逆側に他の端部32bを有しており、図7の着座位置から図8の起立位置に遷移する過程で、二つのストッパピン23は、一の端部32aから他の端部32bの方へ向かうが、他の端部32bに当接していない。そのため、人H1が、さらに図2(B)に示す様に、手を用いて座を背2の側に押し込むことにより、座3および座ブラケット20は、座支持軸21を中心に回動し、図9に示す押し込み位置に位置する。
【0044】
押し込み位置では、一つのストッパピン23が押し込み回動部材51の当接部55に当接した後、さらに当接部55を移動させることにより、押し込み回動部材51が回動本体部54およびばね取り付け部56を中心に図9に示す付勢位置まで回動する。
【0045】
図7および図8の状態においては、押し込み回動部材51が中立位置に位置しており、復帰ばね52は付勢力を発生しない。押し込み回動部材51が、図9の付勢位置に位置すると、復帰ばね52にストッパピン23による外力が作用するため、復帰ばね52は、この外力に対向して第2回動付勢力を発生する。この第2回動付勢力は、図9の矢印で示す方向に作用する。
【0046】
よって、人H1が座3から手を離すと、復帰ばね52の第2回動付勢力により、座3および座ブラケット20は、図9の矢印で示す方向に回動し、図8の起立位置に復帰する。すなわち、人H1の手により、座3および座ブラケット20を図9の押し込み位置まで一時的に移動させても、人H1が座3から手を離すと、座3および座ブラケット20は、復帰部材50の作用により自律的に図8の起立位置に復帰する。この起立位置にある座3は、図9の押し込み位置にあるときに比べて斜めかつ前方向に突出しているため、着座位置への回動が容易となる。
【0047】
本実施形態に係る椅子用座起立機構10により、ユーザは、起立した座3をさらに椅子1の背2の側に押し込むことができ、前の椅子1Aとの間に広いスペースを確保し、人が通過する通路を確保し易くすることができる。また、復帰部材50が、押し込まれた座3を起立位置に向けて自律的に復帰させるため、ユーザは、座3を容易に着座位置に回動させることができる。
【0048】
また、復帰部材50は、押し込み回動部材51と、復帰ばね52とを有する。これにより、復帰部材50は、座3の押し込み時における座支持軸21の回動に連動して、第2回動付勢力を発生することができる。
【0049】
また、座ブラケット20は、その一部にストッパピン23を有し、軸支持部材30には、ピン収容部32が形成されている。これにより、ストッパピン23およびピン収容部32という簡易な構成をもって、押し込み回動部材51を回動させることができる。
【0050】
また、押し込み回動部材51は、回動本体部54と、当接部55と、ばね取り付け部56とを有する。これにより、押し込み回動部材51を簡易な構成により形成することができる。
【0051】
また、当接部55はピン収容部32に配置され、復帰ばね52と、回動本体部54と、ばね取り付け部56とが、ばね収容部34に配置される。これにより、押し込み回動部材51を軸支持部材30の限られたスペースに、効率よく配置することができる。
【0052】
次に、復帰ばね52についてより詳細に説明する。復帰ばね52は、図示の様にいわゆるコイルばねにより構成され、コイルばねの軸方向の一端52aが軸支持部材30のばね収容部34の内壁に取り付けられ、他端52bが押し込み回動部材51に取り付けられる。これにより、復帰ばね52をコイルばねという一般的なばねにより構成することができる。
【0053】
復帰ばね52を構成するコイルばねは、軸方向が座支持軸21と平行となるように軸支持部材30及び押し込み回動部材51に取り付けられる。これにより、復帰ばね52を軸支持部材30の限られたスペースに、効率よく配置することができる。
【0054】
また、復帰ばね52の第2回動付勢力は、渦巻状ばね40の第1回動付勢力より大きくなるように設定されている。これにより、復帰部材50が、渦巻状ばね40の付勢力に対抗して、押し込まれた座3を、押し込み位置から起立位置に向けて確実に復帰させることができる。
【0055】
なお、実施形態では、復帰部材50は、二個の軸支持部材30のそれぞれに設けられている。これにより、二個の復帰部材50をもって、押し込まれた座3を起立位置に向けて確実に復帰させることができる。この場合、二個の復帰部材50により付与される第2回動付勢力が、渦巻状ばね40の第1回動付勢力より大きくなるように設定されている。これにより、二個の復帰部材50が、渦巻状ばね40の付勢力に対抗して、押し込まれた座3を、押し込み位置から起立位置に向けて確実に復帰させることができる。
【0056】
以上により、本開示には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0057】
(1)椅子(椅子1)の座(座3)を着座位置と起立位置との間で回動可能に支持するとともに、前記座を前記起立位置へ向けて常時付勢する椅子用座起立機構(椅子用座起立機構10)であって、
前記座の左右側部にそれぞれ固定され、各々座支持軸(座支持軸21)を固定支持し、前記座支持軸を前記座の左右方向へ延在する同一中心軸線上で前記座の左右側方に突出させる二個の座ブラケット(座ブラケット20)と、
前記座の左右側方にそれぞれ位置するように前記椅子の側面部材(側面部材4)に固定され、前記二個の座ブラケットの前記座支持軸をそれぞれ回動可能に支持する二個の軸支持部材(軸支持部材30)と、
前記二個の軸支持部材の少なくとも一方に設けられ、前記座を前記起立位置へ向けて常時付勢するように、前記座支持軸を第1回動付勢力をもって回動付勢する渦巻状ばね(渦巻状ばね40)と、
前記二個の軸支持部材の少なくとも一方に設けられ、前記座を前記起立位置よりもさらに前記椅子の背(背2)の側に押し込む押し込み時に、前記座が前記起立位置に向けて自律的に復帰するように、前記座支持軸に前記第1回動付勢力とは反対向きの第2回動付勢力を付与する復帰部材(復帰部材50)と、
を備える椅子用座起立機構。
【0058】
これにより、ユーザは、起立した座をさらに椅子の背の側に押し込むことができ、前の椅子との間に広いスペースを確保し、人が通過する通路を確保し易くすることができる。また、復帰部材が、押し込まれた座を起立位置に向けて自律的に復帰させるため、ユーザは、座を容易に着座位置に回動させることができる。
【0059】
(2)(1)に記載の椅子用座起立機構であって、
前記復帰部材は、
前記座の押し込み時に前記座ブラケットの一部に当接しつつ、前記座支持軸の回動に連動して回動する押し込み回動部材(押し込み回動部材51)と、
前記軸支持部材及び前記押し込み回動部材に取り付けられ、前記押し込み回動部材の回動によって前記第2回動付勢力を発生する復帰ばね(復帰ばね52)と、
を含む椅子用座起立機構。
【0060】
これにより、復帰部材は、座の押し込み時における座支持軸の回動に連動して、第2回動付勢力を発生することができる。
【0061】
(3)(2)に記載の椅子用座起立機構であって、
前記座ブラケットは、前記座支持軸の周囲に設けられ、前記座支持軸と共に前記座の左右側方に突出するストッパピン(ストッパピン23)を有し、
前記軸支持部材には、前記座支持軸の貫通を許容する貫通孔(貫通孔31)の周囲に、前記ストッパピンを移動可能に収容するとともに、前記座の着座位置において前記座支持軸の回動を止めるように、前記ストッパピンが当接する端部を有するピン収容部(ピン収容部32)が形成され、
前記座ブラケットの一部は、前記ストッパピンである、
椅子用座起立機構。
【0062】
これにより、ストッパピンおよびピン収容部という簡易な構成をもって、押し込み回動部材を回動させることができる。
【0063】
(4)(3)に記載の椅子用座起立機構であって、
前記押し込み回動部材が、
前記軸支持部材の前記ピン収容部の周囲に、回動可能に取り付けられる回動本体部(回動本体部54)と、
前記回動本体部から前記ピン収容部に向かって径方向に突出して、前記座の押し込み時に前記ストッパピンに当接する当接部(当接部55)と、
前記復帰ばねに取り付けられるばね取り付け部(ばね取り付け部56)と、を含む、
椅子用座起立機構。
【0064】
これにより、押し込み回動部材を簡易な構成により形成することができる。
【0065】
(5)(4)に記載の椅子用座起立機構であって、
前記当接部が前記ピン収容部に配置され、
前記復帰ばねと、前記回動本体部と、前記ばね取り付け部とが、前記ピン収容部に隣接するように前記軸支持部材に設けられたばね収容部(ばね収容部34)に配置される、
椅子用座起立機構。
【0066】
これにより、押し込み回動部材を軸支持部材の限られたスペースに、効率よく配置することができる。
【0067】
(6)(2)から(5)のいずれかに記載の椅子用座起立機構であって、
前記復帰ばねがコイルばねであり、当該コイルばねの軸方向の一端(一端52a)が前記軸支持部材に取り付けられ、他端(他端52b)が前記押し込み回動部材に取り付けられる、
椅子用座起立機構。
【0068】
これにより、復帰ばねをコイルばねという一般的なばねにより構成することができる。
【0069】
(7)(6)に記載の椅子用座起立機構であって、
前記コイルばねは、前記軸方向が前記座支持軸と平行となるように前記軸支持部材及び前記押し込み回動部材に取り付けられる、
椅子用座起立機構。
【0070】
これにより、復帰ばねを軸支持部材の限られたスペースに、効率よく配置することができる。
【0071】
(8)(2)から(7)のいずれかに記載の椅子用座起立機構であって、
前記第2回動付勢力が前記第1回動付勢力より大きい、
椅子用座起立機構。
【0072】
これにより、復帰部材が、渦巻状ばねの付勢力に対抗して、押し込まれた座を起立位置に向けて確実に復帰させることができる。
【0073】
(9)(1)から(7)のいずれかに記載の椅子用座起立機構であって、
前記復帰部材が、前記二個の軸支持部材のそれぞれに設けられる、
椅子用座起立機構。
【0074】
これにより、二個の復帰部材をもって、押し込まれた座を起立位置に向けて確実に復帰させることができる。
【0075】
(10)(9)に記載の椅子用座起立機構であって、
二個の前記復帰部材により付与される前記第2回動付勢力が、前記第1回動付勢力より大きい、
椅子用座起立機構。
【0076】
これにより、二個の復帰部材が、渦巻状ばねの付勢力に対抗して、押し込まれた座を起立位置に向けて確実に復帰させることができる。
【0077】
(11)(1)から(10)のいずれかに記載の椅子用座起立機構であって、
前記渦巻状ばねが、前記二個の軸支持部材のうちの一方の軸支持部材に設けられ、
前記二個の軸支持部材のうちの他方の軸支持部材に設けられ、前記渦巻状ばねの第1回動付勢力を緩和する制動トルクを発生可能なロータリダンパ(ロータリダンパ60)をさらに備える、
椅子用座起立機構。
【0078】
これにより、ロータリダンパが、渦巻状ばねの第1回動付勢力を緩和するため、着座位置から起立位置への座の回動を緩やかなものとすることができる。
【0079】
(12)(1)から(11)のいずれかに記載された椅子用座起立機構を備える椅子。
【0080】
これにより、ユーザは、起立した座をさらに椅子の背の側に押し込むことができ、前の椅子との間に広いスペースを確保し、人が通過する通路を確保し易くすることができる。また、復帰部材が、押し込まれた座を起立位置に向けて自律的に復帰させるため、ユーザは、座を容易に着座位置に回動させることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 椅子
2 背
3 座
4 側面部材
5 肘掛け
6 脚
10 椅子用座起立機構
20 座ブラケット
21 座支持軸
23 ストッパピン
30 軸支持部材
31 貫通孔
32 ピン収容部
32a 端部
34 ばね収容部
40 渦巻状ばね
50 復帰部材
51 押し込み回動部材
52 復帰ばね
52a 一端
52b 他端
54 回動本体部
55 当接部
56 ばね取り付け部
60 ロータリダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9