(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174654
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20241210BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092589
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】荒金 邦明
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 徹
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 直一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】同一の対象者が購入した商品及び処方箋データに基づく処理を効率的に行う。
【解決手段】情報処理システムにおいて、情報処理装置は、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットに基づいて、処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、何れかの処方箋医薬品を抽出条件として、購買データセットから購買データを抽出し、抽出した購買データを用いて、何れかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を推定する生活用品分析モデルと、推定した一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を出力する出力部とを備える。購買履歴は、第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴と、を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記購買データセットから購買データを抽出し、抽出した前記購買データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を推定する推定部と、
推定された前記一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を出力する出力部とを備え、
前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む
情報処理システム。
【請求項2】
複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、前記複数の第1の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記属性データセットから属性データを抽出し、抽出した属性データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する属性情報を推定する推定部と、
推定された前記一部の第1の対象者にて共通する属性情報を出力する出力部とを備える
情報処理システム。
【請求項3】
前記推定部は、更に、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、前記複数の第1の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、属性データセットから属性データを抽出し、抽出した属性データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する属性情報を推定し、
前記出力部は、更に、推定された前記一部の第1の対象者にて共通する属性情報を出力する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットとに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生すると推定される第2の対象者を前記第2の対象者の購買履歴から推定するための推定モデルを構築するモデル構築部と、
前記第2の対象者の購買履歴を記述する購買データを取得するデータ取得部と、
前記処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生する推定される第2の対象者を、前記購買データに記述される前記第2の対象者の購買履歴と前記推定モデルとに基づいて推定する推定部とを備え、
前記購買履歴は、前記第1の対象者及び第2の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者及び第2の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む
情報処理システム。
【請求項5】
前記推定部は、
前記購買履歴が、本人購入であるか代理購入であるかを判定し、
前記処方箋医薬品が処方されている前記対象者が、購入品利用者である購買履歴を推定する
請求項1、3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記購買履歴に含まれる生活用品それぞれに対する購買層に関する情報を含む参照テーブルが記憶された記憶部を含み、
前記推定部は、
前記処方箋医薬品が処方されている前記対象者の属性に基づき、前記参照テーブルを参照することにより、前記購買履歴が、本人購入であるか代理購入であるかを判定する
請求項1、3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記参照テーブルは、処方箋医薬品に対応する疾患に関する情報を含み、
前記推定部は、
前記第1の対象者及び前記第1の対象者の家族に処方された処方箋医薬品に基づき、前記参照テーブルを参照することにより、前記購買履歴が、本人購入であるか代理購入であるかを判定する
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記参照テーブルは、前記購買履歴に含まれる生活用品それぞれに対し、前記第1の対象者の家族構成に応じた複数のレコードが関連付けられており、
前記レコードそれぞれは、前記第1の対象者のための本人購入の確率、及び前記第1の対象者の家族のための代理購入の確率に関する情報を含む
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記購買データセットを生成する生成部を備え、
前記生成部は、
前記第1の対象者による購買履歴を、前記第1の対象者の家族の人数分に複製し、
前記複製した人数分の購買履歴を前記購買データセットに含ませ、
前記第1の対象者による購買履歴及び前記複製された購買履歴のうちのいずれかの購買履歴に対し、購買履歴が本人購入であるか代理購入であるかの判定結果を付与する
請求項1、3又は4に記載の情報処理システム。
【請求項10】
複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットと、前記複数の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記購買データセット及び前記属性データセットから購買データ及び属性データを抽出し、抽出した前記購買データ及び前記属性データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴及び属性情報を推定部に推定させ、
推定された前記一部の第1の対象者にて共通する購買履歴及び属性情報を出力部に出力させ、
前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む
処理をコンピュータに実行させる情報処理方法。
【請求項11】
複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットとに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生すると推定される第2の対象者を前記第2の対象者の購買履歴から推定するための推定モデルをモデル構築部に構築させ、
前記第2の対象者の購買履歴を記述する購買データをデータ取得部に取得させ、
前記処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生する推定される第2の対象者を、前記購買データに記述される前記第2の対象者の購買履歴と前記推定モデルとに基づいて推定部に推定させ、
前記購買履歴は、前記第1の対象者及び第2の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者及び第2の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む
処理をコンピュータに実行させる情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本人の健診データを参照することなしに、対応する個人の健康状態を推定可能な推定システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この推定システムは、複数の第1の対象者の健康状態を記述する健康データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットとに基づいて、第2の対象者の健康状態を第2の対象者の購買履歴から推定するための推定モデルを構築するものである。近年、一般用医薬品(OTC医薬品)を販売し、更に日用品や食品類を小売りするドラッグストアにおいても、処方箋に基づく調剤を行う保険薬局を併設する場合が増え、また、ドラッグストアチェーンの経営母体が、別途、保険薬局チェーンを経営する場合も増えてきており、ドラッグストアでの購買履歴と、保険薬局の利用を紐づけることが比較的容易になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の推定システムは、同一の対象者が購入した購買履歴と、処方箋医薬品を記述する処方箋データとに基づく処理を行う点が考慮されていない。
【0005】
本開示は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、同一の対象者が購入した商品及び処方箋データに基づく処理を効率的に行うことができる情報処理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの案では、情報処理システムは、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記購買データセットから購買データを抽出し、抽出した前記購買データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を推定する推定部と、推定された前記一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を出力する出力部とを備え、前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【0007】
一つの案では、情報処理システムは、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットとに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生すると推定される第2の対象者を前記第2の対象者の購買履歴から推定するための推定モデルを構築するモデル構築部と、前記第2の対象者の購買履歴を記述する購買データを取得するデータ取得部と、前記処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生する推定される第2の対象者を、前記購買データに記述される前記第2の対象者の購買履歴と前記推定モデルとに基づいて推定する推定部とを備え、前記購買履歴は、前記第1の対象者及び第2の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者及び第2の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、処方箋データを利用することで、対象者が購入した生活用品等と容易に紐づけることができ、処方箋医薬品に関する推定を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る購買調剤システムの概要を示す説明図である。
【
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】生活者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図4】購買テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図5】調剤テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図6】疾患対応テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図7】アドバイス履歴テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。
【
図8】情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図9】情報処理装置の制御部による処理手順を例示するフローチャートである。
【
図10】疾患レポート情報を示す表示画面(疾患レポート画面)を例示する説明図である。
【
図11】疾患レポート情報を示す表示画面(疾患レポート画面)を例示する説明図である。
【
図12】実施形態2(学習モデル)に係る第1学習モデル(疾患別患者解析エンジン)の生成処理に関する説明図である。
【
図13】第2学習モデル(疾患啓発最適化エンジン)の生成処理に関する説明図である。
【
図14】情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
【
図15】情報処理装置の制御部による処理手順を例示するフローチャートである。
【
図16】生活者レポート情報を示す表示画面(生活者レポート画面)を例示する説明図である。
【
図17】製薬会社向けレポート情報を示す表示画面を例示する説明図である。
【
図18】実施形態3(投薬後フォロー)に係る情報処理装置の制御部による処理手順を例示するフローチャートである。
【
図19】実施形態4に係る家族情報付き会員マスタテーブルの作成方法等を例示する説明図である。
【
図20】購買データセットに対し、家族の人数分にて複製した購買履歴を含ませる複製処理に関する説明図である。
【
図21】参照テーブル(家族構成)を例示する説明図である。
【
図22】参照テーブルの作成に用いる分析データ(ID-POS分析)を例示する説明図である。
【
図23】参照テーブル(疾患該当)を例示する説明図である。
【
図24】購買データセット(家族の人数分に複製し、判定結果を付与)を例示する説明図である。
【
図25】情報処理装置の制御部による処理手順(購買データセット及びレポート生成)を例示するフローチャートである。
【
図26】分析結果(患者と来店者全員の商品カテゴリー毎の購入人数抽出)を例示する説明図である。
【
図27】実施形態5に係る共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者の属性値)に関する説明図である。
【
図28】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者の比率)に関する説明図である。
【
図29】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(回帰分析結果)に関する説明図である。
【
図30】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(クラスター分析)に関する説明図である。
【
図31】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者の購買履歴)に関する説明図である。
【
図32】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者が買いやすい商品:購入頻度のリフト値)に関する説明図である。
【
図33】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者が買いやすい商品:買上率のリフト値)に関する説明図である。
【
図34】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者が初めて受診するまでに買うようになった商品)に関する説明図である。
【
図35】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(決定木分析結果)に関する説明図である。
【
図36】共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(回帰分析結果)に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る購買調剤システムS(情報処理システム)の概要を示す説明図である。
図2は、情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。購買調剤システムSは、情報処理装置1を主たる装置(サーバ)として構成され、当該情報処理装置1は、例えばインターネット等の外部ネットワークNを介して店舗サーバTS及び保険薬局サーバHSと通信可能に接続される。
【0011】
店舗サーバTSは、例えば、ドラッグストア等の店舗における販売管理を行うサーバである。情報処理装置1は、店舗サーバTSから、当該店舗において生活者が購入した生活用品等の商品の購買データを取得する。すなわち、当該購買データは、生活者が店舗にて購入することができる商品に関するものである。本実施形態において、当該商品は、例えば、OTC医薬品、健康食品、サプリメント、食料品、健康器具、化粧品、ペット用品、文具、衣料品、介護用品等の生活用品である。当該生活用品(商品)の購買データは、これら各種の生活用品の品名及び個数、購入した店舗名称、購入時を示す日付データ、及び生活者を一意に識別する店舗会員番号又はカード番号等の識別番号が含まれる。複数の生活者の購買データを集約することにより、購買データセットが構成される。
【0012】
保険薬局サーバHSは、例えば、保険薬局の調剤業務を管理するサーバである。当該保険薬局は、保険薬局等の薬局を意図する。情報処理装置1は、保険薬局サーバHSから、当該保険薬局にて生活者が受けた処方箋に関する処方箋データを取得する。処方箋データは生活者が処方された処方箋医薬品を特定可能で、例えば、医師の診断に基づき交付される処方箋、保険薬局での調剤に応じて発行される調剤報酬明細書(調剤レセプト)、又は医療機関が健康保険組合に医療費を請求するため診療報酬明細書である。複数の生活者の処方箋データを集約することにより、処方箋データセットが構成される。処方箋データは、処方箋データ及び、調剤報酬明細書(調剤レセプト)データの少なくとも一つである、又はこれらデータの組み合わせであってもよい。
【0013】
情報処理装置1は、店舗サーバTS及び保険薬局サーバHSから取得した購買データ及び処方箋データを関連付けて記憶することにより、生活者それぞれにおいて、購入したOTC医薬品等の生活用品と、処方(調剤)された処方箋医薬品との相関に関する情報を保存及び管理する。情報処理装置1は、更に、各生活者に関連付けられた購買データ及び処方箋データを用いて、各種の分析結果を含むレポート情報を生成し、当該レポート情報を店舗サーバTS及び保険薬局サーバHSに出力する。
【0014】
情報処理装置1は、更に外部ネットワークNを介して、外部サーバGSと通信可能に接続されるものであってもよい。当該外部サーバGSは、例えば広告代理店、保険会社、又は製薬会社等の各企業にて運用管理されるサーバであり、情報処理装置1は、自装置にて生成した各種データを外部サーバGSそれぞれに出力することにより、当該外部サーバGSを運用管理する広告代理店等に各種データを提供するものであってもよい。
【0015】
情報処理装置1は、制御部2、記憶部3、及び通信部4を備える。制御部2は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU
(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、記憶部3に記憶されたプログラムP(プログラム製品)を読み出して実行することにより、情報処理装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
【0016】
記憶部3は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性記憶領域及び、EEPROM又はハードディスク等の不揮発性記憶領域を含む。記憶部3には、プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部3に記憶されたプログラムP(プログラム製品)は、情報処理装置1が読み取り可能な記録媒体31から読み出されたプログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部3に記憶させたものであってもよい。
【0017】
記憶部3には、取得した購買データ及び処方箋データを関連付けて保存及び管理する購買調剤DB300が、記憶されるものであってもよい。購買調剤DB300は、例えば、生活者マスタテーブル、購買テーブル、調剤テーブル、疾患対応テーブル、及びアドバイス履歴テーブルを含む。これら各種テーブルの詳細は、後述する。
【0018】
通信部4は、有線又は無線によりインターネット等を介し、店舗サーバTS、保険薬局サーバHS又は外部サーバGS等と通信するための通信インターフェイスである。
【0019】
図3は、生活者マスタテーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。生活者マスタテーブルは、管理項目(メタデータ)として、例えば、生活者ID、購買用会員番号、保険者番号、氏名、性別、生年月日、及びメールアドレスを含む。
【0020】
生活者IDの項目には、購買調剤システムSに登録(サブスクライブ)されている生活者を一意に特定するためのID情報が格納される。当該生活者IDが、主キーとして設定されるものであってもよい。
【0021】
購買用会員番号の項目には、購買データに含まれる番号であり、例えば、店舗にて登録した会員番号、又は購入時に用いたクレジットカードの番号等が格納される。当該番号(購買用会員番号)により、購買データの生活者が特定される。
【0022】
保険者番号の項目には、例えば、処方箋データ(例えば、調剤報酬明細書等)に含まれる保険者番号と被保険者番号(枝番含む)が格納される。当該番号(保険者番号と枝番含む被保険者番号)により、処方箋データの生活者が特定される。被保険者でなく保険者番号を持たない生活者に対しては、保険者番号に相当する仮番号を割り当て、保険者番号として利用する。
【0023】
氏名の項目には、生活者の氏名が格納される。性別の項目には、生活者の性別が格納される。生年月日の項目には、生活者の生年月日が格納される。当該生年月日を用いることにより、現時点における生活者の年齢が算出されるのは言うまでもない。メールアドレスの項目には、生活者のメールアドレスが格納される。生活者マスタテーブルは、更に生活者の身長及び体重等の身体属性、居住地の地域情報、国籍、家族構成、及び職種等の各種の属性情報を含むものであってもよい。これら各種の属性情報は、生活者の属性データに相当する。複数の生活者の属性データを集約することにより、属性データセットが構成される。属性データは、更に、生活者によるブラウザ検索履歴データ、又はインターネット上における行動データを含むものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、当該属性データを、保険薬局サーバHS、店舗サーバTS、又は外部サーバGSから取得するものであってもよい。保険薬局サーバHSから属性データを取得する場合、当該属性データは、処方箋データの一部として構成されているものであってもよい。これら属性データが生活者マスタテーブルに保存される生活者は、本実施形態における情報処理システムにて処方箋医薬品が処方されているとして登録されている生活者、及び、未登録の生活者を含む。情報処理システムにて処方箋医薬品が処方されているとして登録されている生活者は、第1の対象者に相当する。情報処理システムにて処方箋医薬品が処方されているとして、抽出条件の処方箋医薬品の処方データが登録されていない未登録の生活者は、第2の対象者に相当する。なお、抽出条件の処方箋医薬品の処方データが登録されていない未登録の生活者(第2の対象者)は、いずれの処方箋医薬品の処方データが未登録の生活者と、抽出条件の処方箋医薬品の処方データは未登録であるが、当該抽出条件以外の処方箋医薬品(他の処方箋医薬品)の処方データは登録されている生活者とを含むものとなる。この際、上述した第2の対象者は、抽出条件の処方箋医薬品の処方データが未登録である生活者であり、当該抽出条件以外の処方箋医薬品の処方データの登録の有無に関して考慮しないものであってもよい。又は、上述した第2の対象者は、抽出条件の処方箋医薬品の処方データが未登録の生活者であるとした上で、更に、他の処方箋医薬品(当該抽出条件以外の処方箋医薬品)の処方データの登録の有無に応じて、当該第2の対象者を分類するものであってもよい。この場合、第2の対象者は、他の処方箋医薬品(当該抽出条件以外の処方箋医薬品)の処方データの登録がされている第2の対象者(いずれかの処方箋医薬品の処方を受けている者)と、いかなる処方箋医薬品の処方データが未登録(一切の処方箋医薬品の処方を受けていない者)とに分類される。情報処理装置1は、抽出条件の処方箋医薬品の処方データが登録されていない第2の対象者に関する各種の分析処理等を行うにあたり、更に、当該第2の対象者における分類(一切の処方箋医薬品の処方を受けていない者であるか否か)を考慮(細分化)して当該分析処理等を行うものであってもよい。
【0024】
図4は、購買テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。購買テーブルは、管理項目(メタデータ)として、例えば、購買用会員番号、購買日時、生活用品、生活用品の品名及び個数、及び店舗名やPOS機番を含む。複数の生活者のこれら管理項目(メタデータ)を集約することにより、購買データセットが構成される。購買用会員番号の項目には、購買データに含まれる購買用会員番号が格納され、生活者マスタテーブルにて管理される生活者ID等と関連付けが行われる。
【0025】
購買日時の項目には、購買データに含まれる購買日時(年月日、時間)、すなわち生活用品の購入時の日時データが格納される。
【0026】
生活用品の項目には、購買データに含まれるOTC医薬品、健康食品、サプリメント、食料品、化粧品、ペット用品、文具、衣料品、介護用品、及び日常生活品の全般を含む生活用品の細目情報が格納される。当該生活用品の細目情報は、例えば、これら生活用品毎の名称、種類、区分及び個数を含み、XML形式のファイルによるオブジェクトデータとして、保存されるものであってもよい。このように生活用品の細目情報をXMLファイルで保存することにより、XMLにて用いられる拡張タグを用いてパース処理し、生活用品に含まれるOTC医薬品等の品名及び個数を抽出することができる。
【0027】
店舗名の項目には、購買データに含まれる店舗名、すなわち生活用品を購入した店舗の名称が格納される。情報処理装置1の制御部2は、購買データを取得した場合、上述した各種データを当該購買データから抽出し、購買テーブルに登録する。
【0028】
図5は、調剤テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。調剤テーブルは、管理項目(メタデータ)として、例えば、保険者番号、調剤日時、保険薬局名、処方箋医薬品、YJコード(個別医薬品コード)、数量、用量、処方日数及び疾患を含む。複数の生活者のこれら管理項目(メタデータ)を集約することにより、処方箋データセットが構成される。保険者番号の項目には、処方箋データに含まれる保険者番号と枝番を含む被保険者番号が格納され、生活者マスタテーブルにて管理される生活者ID等と関連付けが行われる。
【0029】
調剤日時の項目には、処方箋データに含まれる調剤日時(年月日、時間)、すなわち保険薬局にて処方箋に基づき、調剤が行われた時の日時データが格納される。
【0030】
保険薬局名の項目には、処方箋データに含まれる保険薬局の名称が格納される。
【0031】
処方箋医薬品の項目には、処方箋データに含まれる処方箋医薬品の名称が格納される。この項目に格納される処方箋医薬品は、医師又は歯科医師よって使用され、又は処方箋もしくは指示によって使用されるものも含む医療用医薬品であってもよい。
【0032】
疾患の項目には、同一のレコードに格納される処方箋医薬品に対応する疾患が格納される。当該処方箋医薬品と疾患との対応は、後述する疾患対応テーブルにて定義されている。情報処理装置1の制御部2は、処方箋データを取得した場合、上述した各種データを当該処方箋データから抽出し、調剤テーブルに登録する。
【0033】
図6は、疾患対応テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。疾患対応テーブルは、管理項目(メタデータ)として、例えば、処方箋医薬品、及び疾患を含む。処方箋医薬品の項目には、各種の処方箋医薬品の名称が格納される。疾患の項目には、同一のレコードに格納される処方箋医薬品に対応する疾患が格納される。
【0034】
情報処理装置1の制御部2は、疾患対応テーブルを参照する(ルックアップテーブルとして用いる)ことにより、処方箋データに含まれる処方箋医薬品に対応する疾患を特定することができる。疾患対応テーブルにおいて、処方箋医薬品と疾患との対応関係は、単一の処方箋医薬品によって疾患が特定される場合に限定されず、複数の処方箋医薬品の組み合わせにより、いずれかの疾患が特定されるものであってもよい。疾患対応テーブルに含まれる処方箋医薬品と疾患との対応関係に関するデータは、例えば製薬会社のサーバ等から定期的に取得することにより、更新されるものであってもよい。
【0035】
図7は、アドバイス履歴テーブルのデータレイアウトを例示する説明図である。アドバイス履歴テーブルは、管理項目(メタデータ)として、例えば、生活者ID、アドバイス日時、及びアドバイス情報の項目(フィールド)を含む。
【0036】
生活者IDの項目には、生活者マスタテーブルにて定義されている生活者IDが格納される。
【0037】
アドバイス日時の項目には、同一のレコードに格納される生活者(生活者ID)に対するアドバイス情報が出力された日時(年月日、時間)が格納される。
【0038】
アドバイス情報の項目には、同一のレコードに格納される生活者に対するアドバイス情報(コンテンツデータ)が格納される。当該アドバイス情報(コンテンツデータ)は、例えばPDF形式のファイルによるオブジェクトデータとして、保存されるものであってもよい。
【0039】
本実施形態においては、生活者マスタテーブル主キーである生活者IDは、購買テーブルの主キーである購買用会員番号と、調剤テーブルの主キーである保険者番号とを、関連付けるために用いられる。これにより、各生活者の購買テーブルに登録される購買データと調剤テーブルに登録される処方箋データ及び疾患とを関連付けて、保存及び管理することができる。本実施形態における各テーブルにおける正規化の構成(購買調剤DB300のスキーマ)は、これらデータの関連付けを目的とした際の一例であり、これに限定されず、購買調剤DB300は、本実施形態とは異なるテーブル構成であってもよいことは、言うまでもない。
【0040】
図8は、情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部21、疾患特定部22、DB登録部23、生活用品分析モデル24、疾患レポート生成部25、及び出力部26として機能する。
【0041】
取得部21は、例えば店舗サーバTSから購買データを取得し、保険薬局サーバHSから処方箋データを取得する。例えば、店舗が、OTC医薬品を含む生活用品と、処方箋に基づく調剤を行う調剤コーナとを併設しているドラッグストア等の場合、当該ドラッグストアの販売管理サーバから、購買データ及び処方箋データを取得するものであってもよい。取得部21は、取得したこれらデータを、疾患特定部22等、後工程を担う他の機能部に出力する。
【0042】
疾患特定部22は、取得部21からの処方箋データに含まれる処方箋医薬品の名称又は分類コード等を抽出し、例えば疾患対応テーブルを参照することにより、当該処方箋医薬品の名称等に対応する疾患を特定する。処方箋データは、例えば保険薬局が発行した調剤報酬明細書であり、生活者に処方された処方箋医薬品を特定し得る。当該調剤報酬明細書には処方箋が交付された患者(生活者)の疾患そのものは記載されていないが、疾患対応テーブルを用いることにより、処方された処方箋医薬品から疾患、すなわち疾患の名称である病名を逆引きすることができる。
【0043】
DB登録部23は、取得部21からの購買データ及び処方箋データと、疾患特定部22によって特定された疾患とを関連付けて、例えば購買調剤DB300に登録する。購買データ及び処方箋データは、生活者を特定する識別情報が含まれており、購買データに含まれる識別情報は購買用会員番号であり、処方箋データに含まれる識別情報は保険者番号と枝番を含む被保険者番号である。
【0044】
DB登録部23は、例えば生活者マスタテーブルを参照することにより、購買データに含まれる購買用会員番号及び処方箋データに含まれる保険者番号と枝番を含む被保険者番号に該当する生活者IDを抽出することにより、購買調剤システムSに登録されている生活者を特定する。DB登録部23は、特定された生活者IDに基づいて、生活者の属性情報、例えば、生年月日、性別、身長、体重、居住地の地域情報、国籍、家族構成、職種、新規の処方又は新規以外の処方であるか、ブラウザ検索履歴データ、インターネット上における行動データ等を属性データとして生活者マスタテーブルから取り込み登録する。DB登録部23は、購買データを購買テーブルに登録し、処方箋データ及び想定される疾患を調剤テーブルに登録することにより、これらデータが関連付けられて記憶される。上述のように購買調剤DB300のテーブル構成が正規化されている場合、購買テーブルに登録された購買データと、調剤テーブルに登録された処方箋データ及び疾患とは、生活者マスタテーブルにて定義される生活者IDと、当該生活者IDに対応する購買用会員番号及び保険者番号とによって関連付けられる。
【0045】
購買調剤DB300には、同一の生活者による処方箋データと購買データと属性データが登録されるものとなり、これらデータは共に日付情報(処方箋の調剤日時(交付日を含め4日以内))、OTC医薬品等の生活用品の購入日時を含む。これにより、当該日付情報に基づき、個々の生活者において、生活用品の購入時と、処方箋による調剤時との時間的な前後関係(経時的要素)を特定することができる。例えば、処方箋による調剤時を基準として、当該調剤時よりも以前に購入したOTC医薬品等の生活用品の購買履歴を特定することができる。これにより、OTC医薬品等の生活用品の購買履歴と、交付された処方箋との相関関係又は因果関係を導出することができる。又、当該処方箋の調剤時よりも後に購入したOTC医薬品等の生活用品の購買履歴を特定することにより、処方箋医薬品とOTC医薬品との併用状況を導出し、把握することができる。
【0046】
疾患レポート生成部25は、所定の抽出条件(検索条件)を用いて、購買調剤DB300から抽出(検索)した購買データ、処方箋データ、疾患及び属性データを用いて、疾患レポート情報を生成する。当該抽出条件は、例えば、疾患の種類(処方箋医薬品)を含むものであってもよい。疾患レポート生成部25は、生活用品分析モデル24に購買データを入力することにより、購買データに関する分析結果を取得し、当該分析結果を含めた疾患レポート情報を生成するものであってもよい。当該疾患レポート情報は、例えば、疾患レポート画面として表示されるものであってもよい。疾患レポート画面(疾患レポート情報)の詳細は後述する。
【0047】
生活用品分析モデル24は、疾患レポート生成部25からの、抽出条件によって抽出された購買データや属性データを入力データとし、当該データに対する購買履歴及び属性情報を推定する分析処理を行った結果を出力する推定部である。これにより、前記抽出条件(例えば、疾患の種類(処方箋医薬品))に該当する全ての対象者において、一部の対象者にて共通する購買履歴及び属性情報を推定できる。生活用品分析モデル24は、例えば、クラスタリング(クラスター分析)又はアソシエーション分析の機能を有する教師なし学習モデルにより構成されるものであってもよい。
【0048】
生活用品分析モデル24がクラスタリング機能を有する場合、生活用品の購買履歴が含まれる購買データ及び属性データ等を当該生活用品分析モデル24に入力することにより、購買データ及び属性データ等に内在するグループ分け(区分化された生活用品及び属性)に関する情報を出力する。生活用品分析モデル24がアソシエーション分析機能を有する場合、購買データ及び属性データ等を当該生活用品分析モデル24に入力することにより、当該購買データ及び属性データ等に含まれる属性情報の傾向、生活用品の傾向、又は複数の生活用品における相関に関する分析結果を出力する。生活用品分析モデル24は、これらクラスター分析又はアソシエーション分析に限定されず、ベイズ分析又は主成分分析の統計分析等、各種の分析処理を行うものであってもよい。
【0049】
生活用品分析モデル24に対し、特定の疾患が発生した複数の生活者(生活者群)の購買データ及び属性データ等を入力することにより、当該疾患に対応する処方箋医薬品が調剤、すなわち当該処方箋医薬品を含む処方箋データが取得されるまでに、当該疾患が発生した複数の生活者(患者)における購買履歴等を属性毎に分析することができる。すなわち、購買調剤DB300による検索機能を用いて各疾患の分類毎に複数の生活者による購買データ及び属性データ等を集約し、当該疾患の分類毎に集約した購買データ等を生活用品分析モデル24に入力することにより、疾患の分類毎の処方前後の購買行動の変化(購買動向)のグラフ又は数値等の分析結果を属性毎に取得することができる。これにより、疾患が発生した生活者において、各疾患の分類毎に、処方箋が交付されるまでのOTC医薬品等の生活用品の購入傾向等を把握することができ、当該生活用品の購入の観点からの属性毎のペイシェントジャーニーを把握することができる。
【0050】
出力部26は、疾患レポート生成部25からの疾患レポート情報を、例えば、処方箋データを提供した保険薬局の保険薬局サーバHS、及び購買データを提供した店舗の店舗サーバTSに対し出力する。出力部26は、更に、疾患レポート情報を、例えば広告代理店、保険会社、又は製薬会社それぞれの外部サーバGSに出力する。出力部26は、これら外部サーバGSに疾患レポート情報を出力する場合、当該疾患レポート情報から、生活者を特定する個人情報を除外するものであってもよい。このように個人情報を除外し匿名性を備える疾患レポート情報を広告代理店、保険会社及び製薬会社等が用いる外部サーバGSに出力することにより、これら関連企業は、それぞれの業態に応じて、当該疾患レポート情報を効率的に活用することができる。また、第1の対象者の現在及び未来の疾患状態の推移推測情報を該疾患状態に対応した購買行動の情報とともに出力してもよい。
【0051】
図9は、情報処理装置1の制御部2による処理手順を例示するフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、購買データを取得する(S101)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、ドラッグストア等の店舗における販売管理を行う店舗サーバTSから購買データを取得する。
【0052】
情報処理装置1の制御部2は、処方箋データを取得する(S102)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、保険薬局の調剤業務を管理する保険薬局サーバHSから処方箋データを取得する。
【0053】
情報処理装置1の制御部2は、処方箋データから想定される疾患を特定する(S103)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、記憶部3に記憶されている疾患対応テーブルを参照し、調剤報酬明細書等の処方箋データに含まれる処方箋医薬品に対応する疾患を特定する。
【0054】
情報処理装置1の制御部2は、購買データ及び処方箋データ等を関連付けて記憶する(S104)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、購買データを購買テーブルに登録し、処方箋データ及び特定した疾患を調剤テーブルに登録する。購買データに含まれる購買用会員番号と、処方箋データに含まれる保険者番号と枝番を含む被保険者番号とは、生活者マスタテーブルの生活者IDによって紐づけされているため、同一の生活者による購買データと処方箋データとを関連付けて記憶することができる。このとき、生活者IDによって紐づけされている属性データを生活者マスタテーブルから取り込み登録する。なお、属性データは、処方箋データに含まれる生年月日や性別などを利用してもよい。
【0055】
情報処理装置1の制御部2は、関連付けて記憶された購買データ及び処方箋データ等に基づき、疾患レポート情報を出力する(S105)。情報処理装置1の制御部2は、所定の抽出条件を用いて、購買調剤DB300から抽出(検索)した購買データ、処方箋データ、疾患及び属性データを用いて、疾患レポート情報を生成する。当該抽出条件は、例えば、生活者の性別、年齢層又は居住地域等により設定するものであってもよい。
【0056】
図10は、疾患レポート情報を示す表示画面(疾患レポート画面)を例示する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、疾患レポート情報を出力するにあたり、当該疾患レポート情報を示す疾患レポート画面を構成する画面データを生成し、生成した画面データを店舗サーバTS及び保険薬局サーバHSに出力する。又は、情報処理装置1の制御部2は、WEBサーバ機能を用いて、店舗又は保険薬局の関連者の携帯端末に、疾患レポート画面を表示するものであってもよい。疾患レポート画面は、例えば、購買調剤DB300からデータを抽出(検索)する抽出条件を示す抽出条件エリアと、抽出結果をリスト表示するリスト表示エリアとを含む。
【0057】
抽出条件エリアには、疾患レポート情報の対象となる購買データ及び処方箋データ等を特定するため、購買調剤DB300に対する抽出条件が表示される。当該抽出条件は、例えば、調剤日時の期間、対象となる生活者の年齢範囲、性別、疾患の種類(処方箋医薬品)、及び地域である。
【0058】
リスト表示エリアは、表示項目の一例として、処方箋データ(処方箋医薬品)、疾患、該当生活者数、OTC医薬品の併用者数、併用率、分析結果、及び履歴データを含む。処方箋データ(処方箋医薬品)の項目には、処方箋に基づき調剤された処方箋医薬品の名称が表示される。疾患の項目には、処方箋医薬品に対応する疾患が表示され、当該疾患は、例えば疾患対応テーブルにより特定される。
【0059】
該当生活者数の項目には、設定された抽出条件にて抽出された生活者のうち、当該疾患に該当する生活者の人数が表示される。OTC医薬品の併用者数の項目には、当該疾患に該当する生活者において、OTC医薬品を購入した生活者の人数が表示される。併用率の項目には、当該疾患に該当する生活者の人数を母数とし、当該OTC医薬品を購入した生活者の人数の割合(パーセンテージ)が表示される。
【0060】
分析結果の項目には、分析結果表示画面をポップアップ表示するためのリンクが表示される。当該リンクをクリックすることにより、対応する疾患(各疾患の分類毎)に該当する生活者の購買データに対するクラスター分析及びアソシエーション分析等の分析結果が含まれる分析結果表示画面が表示される。クラスター分析結果は、対応する疾患(同一の疾患)が発生した複数の生活者の購買データにおける、生活用品のグループ分け(区分化された生活用品)に関する情報を含む。アソシエーション分析結果は、対応する疾患(同一の疾患)が発生した複数の生活者の購買データにおける、生活用品同士の連関又は相関に関する情報を含む。当該分析結果表示画面により、個々の疾患又は処方箋医薬品それぞれにおいて、当該疾患を有する複数の生活者における購買データの統計的な分析結果を把握することができる。これにより、当該疾患の発生に至るまでの生活者それぞれのペイシェントジャーニーに関する事項を、統計的な視点から把握することができる。
【0061】
履歴データの項目には、購買履歴表示画面をポップアップ表示するためのリンクが表示される。当該リンクをクリックすることにより、対応する疾患に該当する生活者の購買データに含まれる購買履歴である購入日時、購入した生活用品及び購入した店舗等が、含まれる購買履歴表示画面が表示される。これにより、個々の疾患又は処方箋医薬品それぞれにおいて、当該疾患の発生に至るまでの生活者それぞれの購買履歴を把握することができる。
【0062】
図11は、疾患レポート情報を示す表示画面(疾患レポート画面)を例示する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、
図10及び
図11にて例示される疾患レポート画面等、種々の表示形態を用いて当該疾患レポート画面を生成及び出力する。
【0063】
図11にて例示される疾患レポート画面は、例えば、情報処理装置1に入力されたターゲット疾患薬剤情報に基づいて、いずれかの処方箋医薬品が処方されている生活者の購買履歴及び属性情報を示す。情報処理装置1の制御部2は、例えば、指定されたターゲット疾患薬剤情報に基づき処方箋医薬品を特定し、当該処方箋医薬品が処方された複数の生活者におけるクラスター分析、属性の分布、処方前後の購買行動の変化をグラフ形式又は表形式にて表示する。生活者の属性は、例えば、これら複数の生活者の性別、年齢層及び、新規の処方又は新規以外の処方であるかを含むものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、更に、指定されたターゲット疾患薬剤情報に基づき、疾患別患者分析としてペイシェントジャーニー及び購買動向を可視化した図を疾患レポート画面に含めるものであってもよい。
【0064】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、同一の生活者における処方箋データ及び購買データを、当該生活者の識別番号を用いて、例えば購買調剤DB300に登録することにより、これら処方箋データと購買データとを関連付けて記憶する。これにより、個々の生活者における処方箋データと、OTC医薬品等を含む生活用品の購買データとを含む購買調剤DB300を生成及び活用し、生活者に対し医薬全般に関する総合的な情報提供を行うための基盤環境を構築することができる。
【0065】
本実施形態によれば、購買調剤DB300には、同一の生活者による処方箋データと購買データとが登録されるものとなり、これらデータは共に日付情報、OTC医薬品等の生活用品の購入日時)を含む。情報処理装置1の制御部2は、当該日付情報に基づき、個々の生活者において、生活用品の購入時と処方箋の調剤時(交付時)の時間的な前後関係である経時的要素を特定し、処方箋の調剤時を基準として、OTC医薬品等の生活用品の購買履歴と、交付された処方箋との相関関係を導出することができる。又、当該処方箋の調剤時よりも後に購入したOTC医薬品等の生活用品の購買履歴を特定することにより、処方箋医薬品とOTC医薬品との併用状況を導出(把握)することができる。前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【0066】
本実施形態によれば、関連付けられた購買データ及び処方箋データ等を含む疾患レポート情報は、処方箋データを提供した保険薬局、及び購買データを提供した店舗に対し出力されるため、これら保険薬局又は店舗が生活者に対し医薬に関する啓発活動を行うにあたり、当該啓発活動の支援を行うことができる。
(実施形態2)
【0067】
図12は、実施形態2(学習モデル)に係る第1学習モデル201の生成処理に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、第1学習モデル201用の訓練データを用いて、例えばニューラルネットワーク等を学習させ、生活者の購買データを入力とし、当該生活者における疾患に関する情報を出力とする第1学習モデル201を生成する。当該疾患に関する情報は、例えば、疾患、及び当該疾患が発生する確度(可能性)を含む。すなわち、第1学習モデル201(疾患モデル)は、入力された生活者の購買データに基づき、当該生活者において、各疾患別の発生確度を出力する疾患別患者解析エンジンとして機能する。
【0068】
訓練データは問題データ及び回答データを含み、個々の生活者の購買データそれぞれは、問題データに相当し、当該生活者の処方箋データに含まれる処方箋医薬品に対応する疾患は、回答データに相当する。問題データは、購買データ、すなわち生活用品の購買履歴に関する情報により構成される。又は、問題データは、当該購買データに加え、生活者の年齢、性別、身長及び体重等の身体属性を含むものであってもよい。回答データは、購買データに含まれる最終の購入日時によりも後の調剤日時の処方箋データに基づき特定された疾患により構成される。これにより、生活用品の購買履歴と、交付された処方箋との相関関係を、経時的に設定することができる。
【0069】
問題データとして用いる購買データは、処方箋データの調剤日時を基準として、例えば、1年前まで等、所定期間前までのデータを用いるものであってもよい。このように処方箋データの調剤日時を基準として、問題データとして用いる購買データの遡及期間(何年前までのデータを用いるか)を定めることにより、回答データの精度を向上させることが期待される。当該購買データの遡及期間は、例えば、処方箋データに含まれる処方箋医薬品の分類等に応じて、異ならせるものであってもよい。これらデータは、例えば、OTC医薬品を含む生活用品と、処方箋に基づく調剤を行う調剤コーナとを併設しているドラッグストア等の店舗における販売管理データに基づき集約することができ、当該販売管理データ等を用いて訓練データを生成することができる。本実施形態における購買調剤システムSは、これら購買データと処方箋データとを関連付けて記憶(保存及び管理)する購買調剤DB300を含むため、情報処理装置1の制御部2は、当該購買調剤DB300に保存されたデータを用いて、訓練データを効率的に生成することができる。
【0070】
第1学習モデル201等、学習モデルを学習するための訓練データに含まれる問題データ及び回答データのデータセットと、当該学習モデル(学習モデル101等)を用いた際の入力データ及び出力データのデータセットとは同義であり、いずれかのデータセットにて定義されていれば、他方のデータセットにおいても、当然に適用される。
【0071】
訓練データを用いて学習されたニューラルネットワーク(第1学習モデル201)は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとして利用が想定される。第1学習モデル201(疾患モデル)は、上述のごとく制御部2(CPU等)及び記憶部3を備える情報処理装置1にて用いられるものであり、このように演算処理能力を有する情報処理装置1にて実行されることにより、ニューラルネットワークシステムが構成される。すなわち、情報処理装置1の制御部2が、記憶部3に記憶された第1学習モデル201からの指令に従って、入力層に入力された購買データの特徴量を抽出する演算を行い、出力層から、疾患に関する情報を出力する。
【0072】
第1学習モデル201(疾患モデル)は、例えばDNN(Deep Neural Network)にて構成され、購買データの入力を受け付ける入力層と、当該購買データの特徴量を抽出する中間層と、疾患に関する情報を出力とする出力層とを有する。入力層は、購買データに含まれる文字列及び値等の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された値を中間層に受け渡す。中間層は、ReLU関数又はシグモイド関数等の活性化関数を用いて定義され、入力されたそれぞれの値の特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。当該活性化関数の重みづけ係数及びバイアス値等のパラメータは、誤差逆伝播法を用いて最適化される。出力層は、例えば全結合層により構成され、中間層から出力された特徴量に基づいて疾患に関する情報を出力する。又は、出力層は、例えば、ソフトマックス層により構成され、複数種類の疾患それぞれに対する確度(各疾患の種類毎における発生の可能性)を出力するものであってもよい。
【0073】
本実施形態では、第1学習モデル201(疾患モデル)は、DNNであるとしたがこれに限定されず、DNN以外のニューラルネットワーク、トランスフォーマ、BERT、GPT、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long-short term model)、CNN、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、線形回帰、回帰木、重回帰、ランダムフォレスト、アンサンブルなど、他の学習アルゴリズムで構築された第1学習モデル201(疾患モデル)であってよい。
【0074】
図13は、第2学習モデル202の生成処理に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、第2学習モデル202用の訓練データを用いて、例えばニューラルネットワーク等を学習させ、生活者の購買データを入力とし、当該生活者に対するアドバイス情報を出力とする第2学習モデル202を生成する。当該アドバイス情報は、例えば、将来的な発生が懸念される疾患に対応するための疾患啓発スケジュール、生活改善コンテンツ等を含む。更に、購買データにOTC医薬品が含まれる場合等は、アドバイス情報は、当該OTC医薬品から、処方箋に基づき調剤された処方箋医薬品への切り替えの示唆を含むものであってもよい。このようにアドバイス情報は、疾患啓発最適化プログラムとして出力されるものであり、当該疾患啓発最適化プログラムは、疾患状態を改善するにあたり最適な商品情報、及び、生活者の生活変容を促す情報の少なくとも1つを含む。すなわち、第2学習モデル202(アドバイスモデル)は、入力された生活者の購買データに基づき、当該生活者にて懸念される疾患への対策を啓発するためのアドバイスを出力する疾患啓発最適化エンジンとして機能する。
【0075】
訓練データは問題データ及び回答データを含み、個々の生活者の購買データそれぞれは問題データに相当し、当該生活者に対するアドバイス情報は回答データに相当する。問題データは、購買データ、すなわち生活用品の購買履歴(OTC医薬品等の生活用品の品名、個数、購入日時)に関する情報により構成される。又は、問題データは、当該購買データに加え、生活者の年齢、性別、身長及び体重等の身体属性を含むものであってもよい。
【0076】
回答データであるアドバイス情報は、購買調剤DB300において、問題データである購買データに関連付けられた処方箋データに基づき生成されるものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、例えば、処方箋データに含まれる処方箋医薬品の種類に基づき、当該処方箋医薬品への切り替えを示唆する内容を含むアドバイス情報を生成するものであってもよい。第2学習モデル202においても、第1学習モデル201と同様に、処方箋データの調剤日時を基準として、問題データとして用いる購買データの遡及期間、すなわち何年前までのデータを用いるか、を定めるものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、購買データに含まれる食料品等の摂取量に対する生活改善事項が含まれる対応情報を参照し、当該生活改善事項を用いてアドバイス情報を構成するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、第1学習モデル201と同様に、例えば、購買調剤DB300に保存されたデータを用いて第2学習モデル202の訓練データを効率的に生成し、当該訓練データを用いて第2学習モデル202を学習させ生成することができる。
【0077】
第2学習モデル202(アドバイスモデル)は、例えばDNN(Deep Neural Network)にて構成され、購買データの入力を受け付ける入力層と、当該購買データの特徴量を抽出する中間層と、アドバイス情報を出力とする出力層とを有する。入力層は、購買データに含まれる文字列及び値等の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された値を中間層に受け渡す。中間層は、ReLU関数又はシグモイド関数等の活性化関数を用いて定義され、入力されたそれぞれの値の特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、抽出した特徴量を出力層に受け渡す。当該活性化関数の重みづけ係数及びバイアス値等のパラメータは、誤差逆伝播法を用いて最適化される。出力層は、例えば全結合層により構成され、中間層から出力された特徴量に基づいてアドバイス情報を出力する。
【0078】
本実施形態では、第2学習モデル202は、DNNであるとしたがこれに限定されず、第1学習モデル201と同様にDNN以外のニューラルネットワークなど、他の学習アルゴリズムで構築された第2学習モデル202であってよい。
【0079】
図14は、情報処理装置1の制御部2に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部2は、記憶部3に記憶されているプログラムを実行することにより、取得部21、第1学習モデル201(疾患別患者解析エンジン)、疾患想定者判定部27、第2学習モデル202(疾患啓発最適化エンジン)、生活者レポート生成部28、及び出力部26として機能する。
【0080】
取得部21は、例えば店舗サーバTSから購買データを取得する。取得部21は、当該購買データに含まれる購買用会員番号を抽出し、当該購買用会員番号の生活者を特定することにより、特定された生活者IDに基づいて、生活者の属性情報、例えば、生年月日、性別、身長、体重、居住地の地域情報、国籍、家族構成、職種、新規の処方又は新規以外の処方であるか、ブラウザ検索履歴データ、インターネット上における行動データ等を属性データとして購買調剤DB300にある生活者マスタテーブルから取り込み登録する。この属性データから当該生活者が、未だに抽出条件の処方箋医薬品が登録されていない未登録の生活者であるか否かを把握することができる。当該抽出条件の処方箋医薬品が登録されていない未登録の生活者に関しては、前述のとおりであり、抽出条件の処方箋医薬品の処方データ自体が未登録である生活者であり、当該抽出条件以外の処方箋医薬品(他の処方箋医薬品)の処方データの登録の有無に関して考慮しないものであってもよい。当該未登録の生活者は、購買データに含まれる購買日時よりも前に登録された処方箋データが、例えば過去1年等、所定期間内において無い生活者を意味する。本実施形態における情報処理システムにて処方箋医薬品が処方されているとして登録されている生活者、及び、未登録の生活者を含む。情報処理システムにて処方箋医薬品が処方されているとして登録されている生活者は、第1の対象者に相当する。情報処理システムにて処方箋医薬品が処方されているとして登録されていない未登録の生活者は、第2の対象者に相当する。前記購買履歴は、前記第1の対象者及び前記第2の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者及び前記第2の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【0081】
購買調剤システムSに登録されている生活者において、未登録の生活者に関するデータは、購買調剤DB300の購買テーブルのみに格納されているものとなり、調剤テーブルには格納されていないものとなる。本実施形態における処理は、一例として、当該未登録の生活者を対象とした処理となるが、登録済みの生活者に対しても、同様の処理を行うものであってもよい。
【0082】
第1学習モデル201は、前述のとおり、対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、同じ対象者の購買履歴を記述する購買データセットとを用いて、この処方箋医薬品が処方される可能性を購買履歴から推定する推定モデルを構築するモデル構築部である。取得部21からの購買データが入力されることにより、当該購買データの生活者(未登録の生活者)における疾患に関する情報を出力する。当該疾患に関する情報とは、例えば、現時点から1年以内等、所定期間内にて当該生活者(未登録の生活者)に疾患が発生する可能性を示す情報である。第1学習モデル201は、入力された購買データに基づき、各疾患の種類毎における可能性(確度)を出力するものであってもよい。
【0083】
疾患想定者判定部27は、第1学習モデル201とともに疾患別患者解析エンジンとして、第1学習モデル201が出力した疾患に関する情報に基づき、生活者(抽出条件の処方箋医薬品の未登録の生活者)が疾患想定者に該当するか否かを推定する推定部である。当該推定部は、抽出条件として特定される処方箋医薬品に基づき処理を行うため、いずれかの処方箋医薬品が処方されている生活者であっても、当該抽出条件として特定された処方箋医薬品が処方されていない生活者は、未登録の生活者に相当するものとなり、従って、推定部によって疾患想定者に該当するか否かの推定の対象となる。第1学習モデル201が各疾患の種類毎における可能性(確度)を出力する際、いずれの種類の疾患に対する可能性の値が所定値よりも低い(未満)場合、疾患想定者判定部27は、当該未登録の生活者において、将来、いずれの疾患も発生する可能性が、低いと判定する。この場合、当該未登録の生活者は、疾患想定者に該当しないと判定される。疾患想定者判定部27は、単数又は複数の種類の疾患に対する可能性の値が所定値以上である場合、当該未登録の生活者において、将来、これら可能性の値が所定値以上である疾患が発生する可能性が、高いと判定する。この場合、当該未登録の生活者は、疾患想定者に該当すると判定される。所定値の設定に関しては、疾患想定者判定部で処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生すると推定される対象者数を確認しながら、所望の対象者数を満たすように、所定値を再設定するものであってもよい。
【0084】
疾患想定者判定部27は、当該判定結果に基づき、第2学習モデル202への購買データ等の入力を制御する。すなわち、疾患想定者に該当すると判定された場合、当該疾患想定者(抽出条件の処方箋医薬品の未登録の生活者)の購買データが、第2学習モデル202に入力される。
【0085】
第2学習モデル202は、啓蒙評価部かつ啓蒙変更部でもあり、疾患想定者判定部27の判定結果に基づき、疾患想定者(抽出条件の処方箋医薬品の未登録の生活者)の購買データが入力されることにより、当該疾患想定者に対するアドバイス情報を出力する。当該アドバイス情報は、例えば、疾患啓発に則するスケジュール又はコンテンツ等を含むものであってもよい。
【0086】
生活者レポート生成部28は、第2学習モデル202が出力したアドバイス情報、及び疾患想定者(抽出条件の処方箋医薬品の未登録の生活者)の購買データに基づき、生活者レポート情報を生成する疾患啓蒙部である。当該生活者レポート情報は、例えば、生活者レポート画面として表示されるものであってもよく、患者啓発プログラム及び企画案・コンテンツを含む。生活者レポート画面(生活者レポート情報)の詳細は後述する。
【0087】
出力部26は、生活者レポート生成部28からの生活者レポート情報を、例えば、処方箋データを提供した保険薬局の保険薬局サーバHS、及び購買データを提供した店舗の店舗サーバTSに対し出力する。出力部26は、更に、生活者レポート情報を、例えば広告代理店、保険会社、又は製薬会社それぞれの外部サーバGSに出力するものであってもよい。出力部26は、これら外部サーバGSに生活者レポート情報を出力する場合、当該生活者レポート情報から、生活者(疾患想定者)を特定する個人情報を除外した属性情報、例えば、年齢、性別、身長、体重、居住地を出力するものであってもよい。又は、出力部26は、生活者レポート情報を、当該生活者レポート情報の対象である生活者のメールアドレスに送信することにより、当該生活者へ生活者レポート情報を直接的に出力し送信するものであってもよい。更に、第2の対象者の属性情報として今後疾患となることが予想される処方箋未登録者の購買パターンの条件を出力してもよい。
【0088】
図15は、情報処理装置1の制御部2による処理手順を例示するフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、購買データを取得する(S201)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1のS101と同様に、店舗サーバTSから購買データを取得する。
【0089】
情報処理装置1の制御部2は、取得した購買データに含まれる購買用会員番号に基づき生活者を特定し、当該生活者が、未だに抽出条件の処方箋医薬品を登録されていない未登録の生活者である場合、以下の処理を行うものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、調剤テーブルを参照し、購買データに含まれる購買日時よりも前に登録された処方箋、すなわち登録された処方箋データが、例えば過去1年等、所定期間内において無い場合、当該購買データの生活者が未登録であると判断するものであってもよい。
【0090】
情報処理装置1の制御部2は、購買データの生活者が、疾患想定者に該当するか否かを疾患別患者解析エンジンとして判定する(S202)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、第1学習モデル201に取得した購買データを入力し、第1学習モデル201が出力した当該購買データの生活者における疾患に関する情報を取得する。第1学習モデル201は、入力された購買データに基づき、各疾患の種類毎における発生の可能性(確度)を出力するものであってもよい。
【0091】
第1学習モデル201が各疾患の種類毎における可能性(確度)を出力する際、いずれの種類の疾患に対する可能性の値が所定値よりも低い(未満)場合、情報処理装置1の制御部2は、疾患別患者解析エンジンとして当該購買データの生活者は疾患想定者に該当しないと判定する。単数又は複数の種類の疾患に対する可能性の値が所定値以上である場合、情報処理装置1の制御部2は、当該購買データの生活者は疾患想定者に該当すると判定する。
【0092】
疾患想定者に該当すると判定した場合(S202:YES)、情報処理装置1の制御部2は、購買データ等に基づき、アドバイス情報を導出する(S203)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、第2学習モデル202に取得した購買データを入力し、第2学習モデル202が出力したアドバイス情報を取得することにより、当該購買データの生活者に対するアドバイス情報を導出する当該アドバイス情報は、例えば、疾患啓発に則するスケジュール又はコンテンツ等を含み、更に、購買データにOTC医薬品が含まれる場合は当該OTC医薬品から、処方箋に基づき調剤された処方箋医薬品への切り替えの示唆を含むものであってもよい。
【0093】
情報処理装置1の制御部2は、アドバイス情報等を含む生活者レポート情報を出力する(S204)。情報処理装置1の制御部2は、第2学習モデル202が出力したアドバイス情報、及び疾患想定者の購買データに基づき生活者レポート情報を生成し、例えば、処方箋データを提供した保険薬局の保険薬局サーバHS、及び購買データを提供した店舗の店舗サーバTSに対し出力する。
【0094】
保険薬局サーバHS又は店舗サーバTSに出力された生活者レポート情報は、リーフレット又はチラシ等の疾患啓発資材として成形され、保険薬局又は店舗に来た生活者に対し配布されるものであってもよい。又は、当該生活者レポート情報は、保険薬局サーバHS又は店舗サーバTSを介して、生活者の携帯端末等へメール等によって送信されるものであてもよい。又は、電子おくすり手帳を用いて、生活者レポート情報を配信してもよい。
【0095】
図16は、生活者レポート情報を示す表示画面(生活者レポート画面)を例示する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、生活者レポート情報を出力するにあたり、当該生活者レポート情報を示す生活者レポート画面を構成する画面データを生成し、生成した画面データを店舗サーバTS及び保険薬局サーバHSに出力する。又は、情報処理装置1の制御部2は、WEBサーバ機能を用いて、店舗又は保険薬局の関連者の携帯端末に、生活者レポート画面を表示するものであってもよい。生活者レポート画面は、例えば、対象となる生活者の書誌事項を示す生活者事項エリア、当該生活者の購買履歴を示す購買履歴エリア、及び当該生活者に対するアドバイス情報を表示するアドバイス情報表示エリアを含む。
【0096】
生活者事項エリアには、対象となる生活者の生活者ID、購買用会員番号、保険者番号、氏名等を含む生活者の書誌事項が表示される。購買履歴エリアには、対象となる生活者の購買履歴である購入日時、購入した生活用品、及び購入した店舗等が、リスト形式で表示される。アドバイス情報表示エリアには、当該購買履歴に基づき導出されたアドバイス情報が表示される。
【0097】
疾患想定者に該当しないと判定した場合(S202:NO)、又はS204の処理の実行後、情報処理装置1の制御部2は、判定結果等を記憶する(S205)。情報処理装置1の制御部2は、判定結果等に応じて生成されたアドバイス情報を、例えばアドバイス履歴テーブルに登録することにより、記憶部3に記憶する。情報処理装置1の制御部2は、疾患想定者に該当しないと判定された生活者に対しても、当該判定結果を、例えばアドバイス履歴テーブルに登録するものであってもよい。この場合、アドバイス履歴テーブルのアドバイス情報の項目には、非該当等、疾患想定者に該当しないと判定された旨(判定結果)を格納するものであってもよい。
【0098】
情報処理装置1の制御部2は、本処理の結果に基づき、製薬会社向けの疾患啓発のレポートを生成し、製薬会社が用いる外部サーバGSに出力するものであってもよい。
図17は、製薬会社向けレポート情報を示す表示画面を例示する説明図である。製薬会社向けレポート情報を示す表示画面(製薬会社向けレポート画面)は、例えば、検証レポートとして、受診勧奨(新規患者獲得)の状況を示すエリアと、服薬継続フォローの状況を示すエリアを含む。受診勧奨のエリアには、アドバイス情報に含まれる疾患啓発プログラムの種類、個々の疾患啓発プログラムの対象人数、処方箋持参人数、及び新規患者人数が、リスト形式で表示される。服薬継続フォローのエリアは、アドバイス情報に含まれる疾患啓発プログラムの種類、個々の疾患啓発プログラムの服薬継続対象人数、及び継続人数がリスト形式で表示される。
【0099】
情報処理装置1の制御部2は、生活者の疾患の種類に応じて生成したアドバイス情報それぞれにおいて、当該アドバイス情報に含まれる疾患啓発プログラムの種類に基づき、該当する生活者の人数等を集計することにより、製薬会社向けレポート画面にて表示されるそれぞれの人数を算出する。このように個々の疾患啓発プログラムにおいて、対象となる生活者の人数の集計結果を含むレポートを、製薬会社向けの疾患啓発のレポートとして生成し、製薬会社の外部サーバGSに出力することにより、当該製薬会社に対し有益な情報を効率的に提供することができる。
【0100】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、例えば購買調剤DB300に登録されている購買データ及び処方箋データを用いた訓練データによってニューラルネットワークを学習させることにより、第1学習モデル201を効率的に生成することができる。情報処理装置1の制御部2は、抽出条件の処方箋医薬品の登録がされていない当該未登録の生活者の購買データを第1学習モデル201に入力することにより、未登録の生活者が、未登録の生活者における疾患に関する情報を導出することができる。疾患に関する情報は、将来的に疾患を発生する可能性等を含む。第1学習モデル201は、個々の処方箋データに対応する疾患の分類(種類)に応じて、各疾患の種類毎における可能性を導出するものであってもよい。このように、購買調剤DB300に登録されたデータを用いて学習された第1学習モデル201を用いることにより、現時点において処方箋の登録がされていない未登録の生活者に対しても、当該未登録の生活者が、将来的に疾患を発生する可能性等を含む情報(疾患に関する情報)を導出することができる。
【0101】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、第2学習モデル202を用いることにより、将来において疾患を発生する可能性が高い生活者(疾患想定者)に対し、当該疾患想定者の購買データに基づき、アドバイス情報を導出することができる。当該アドバイス情報は、例えば、疾患想定者の購買データに含まれるOTC医薬品に対し、当該OTC医薬品から、処方箋に基づき調剤された処方箋医薬品への切り替えの示唆を含むものであってもよい。
【0102】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、疾患想定者に対するアドバイス情報と、当該アドバイス情報の根拠となる購買データとを含む生活者レポート情報を生成し、処方箋データを提供した保険薬局、及び購買データを提供した店舗に対し出力する。当該生活者レポート情報を、保険薬局又は店舗に出力又は公開することにより、これら保険薬局又は店舗が疾患想定者に対し効率的なアドバイスを行うことを、支援することができる。情報処理装置1の制御部2は、更に、当該生活者レポート情報から、生活者(疾患想定者)を特定する個人情報を除外し、当該個人情報が除外された生活者レポート情報を、広告代理店、保険会社、又は製薬会社に出力又は公開するものであってもよい。
【0103】
(実施形態3)
図18は、実施形態3(投薬後フォロー)に係る情報処理装置1の制御部2による処理手順を例示するフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、出力したアドバイス情報の対象となった疾患想定者を特定する(S301)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、アドバイス履歴テーブルを参照することにより、出力したアドバイス情報の対象となった疾患想定者(生活者ID)を特定する。
【0104】
情報処理装置1の制御部2は、アドバイス情報の出力以降、特定した疾患想定者の処方箋データを取得したか否かを判定する(S302)。情報処理装置1の制御部2は、例えば、購買調剤DB300のアドバイス履歴テーブル及び調剤テーブルを参照することにより、アドバイス情報の出力日時以降、当該アドバイス情報の対象者である疾患想定者の処方箋データが、購買調剤DB300(調剤テーブル)に登録された否かを判定する。このように購買調剤DB300を活用することにより、疾患想定者に対するアドバイス情報を出力した以降に、疾患想定者に対する処方箋データの取得の有無、すなわち当該疾患想定者が、医師等の診断を受け、処方箋が登録された否かを検証することができる。
【0105】
処方箋データを取得しなかった場合(S302:NO)、情報処理装置1の制御部2は、第2学習モデル202の再学習(更新)を行う(S303)。処方箋データを取得しなかった場合、すなわちアドバイス情報を出力した以降、例えば一か月等の所定期間以内に処方箋による調剤を受けていない場合、情報処理装置1の制御部2は、啓蒙評価部として、出力したアドバイス情報の有用性が低いと判定する。情報処理装置1の制御部2は、当該アドバイス情報を改善すべく、啓蒙変更部として、第2学習モデル202を再学習、転移学習、又はファインチューニング等を行い、更新するものであってもよい。購買調剤DB300には、前回のアドバイス情報を出力した時点以降、上述した所定期間におけるデータが追加登録されている。情報処理装置1の制御部2は、最新のデータ登録状況となっている購買調剤DB300を用いることにより、第2学習モデル202の回答データであるアドバイス情報を刷新して再生成した訓練データを用いて第2学習モデル202を再学習するものであってもよい。その際、アドバイス情報に関する変更は、該アドバイス情報の内容、該アドバイス情報を出力する時期、及び該アドバイス情報を出力する手段の少なくとも1つの変更を含むことが望ましい。
【0106】
情報処理装置1の制御部2は、生活者レポート情報を再出力する(S304)。情報処理装置1の制御部2は、再学習(更新)された第2学習モデル202を用いて、アドバイス情報を再度、生成し、生成したアドバイス情報を実施形態2の処理S204と同様に再度、出力(再出力)する。
【0107】
処方箋データを取得した場合(S302:YES)、情報処理装置1の制御部2は、フォロー情報を出力する(S3021)。処方箋データを取得した場合、すなわちアドバイス情報を出力した以降、例えば一か月等の所定期間以内に処方箋による調剤を受けた場合、情報処理装置1の制御部2は、啓蒙評価部として、出力したアドバイス情報の有用性が高いと判定する。情報処理装置1の制御部2は、その上で、当該アドバイス情報の対象となった生活者が、今後も継続して処方箋を受けるように、リマインダ等のフォロー情報を生成し、処方箋データを提供した保険薬局の保険薬局サーバHS、及び購買データを提供した店舗の店舗サーバTSに対し出力するものであってもよい。
【0108】
保険薬局サーバHSに出力されたフォロー情報は、リーフレット又はチラシ等の疾患啓発資材として成形され、保険薬局に来た生活者に対し配布されるものであってもよい。又は、当該フォロー情報は、保険薬局サーバHSを介して、生活者の携帯端末等へメール等によって送信されるものであてもよい。又は、電子おくすり手帳を用いて、フォロー情報を配信してもよい。このようにフォロー情報を用いて生成したチラシ等を、保険薬局に来た生活者に対し配布することにより、当該生活者によるアドヒアランスの改善を図ることができる。
【0109】
S3021又はS304の処理の実行後、情報処理装置1の制御部2は、本フローにおける一連の処理を終了する。このような処理を行うことにより、情報処理装置1の制御部2は、アドバイス情報の出力後に処方されている処方箋データセットに基づいてアドバイス情報を評価する啓蒙評価部、及び評価結果に応じてアドバイス情報を変更する啓蒙変更部として機能する。当該啓蒙変更部として機能する情報処理装置1の制御部2は、生活者レポート情報を再出力するにあたり、アドバイス情報の変更に加え、アドバイス情報を出力する時期、又はアドバイス情報を出力する手段を変更するものであってもよい。
【0110】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2は、処方箋データ及び購買データの取得及び、これらデータを関連付けて購買調剤DB300への登録する処理を継続している。情報処理装置1の制御部2は、いずれかの疾患想定者(生活者)に対するアドバイス情報を、例えば、購買データを提供した店舗に対し出力した後、当該疾患想定者(生活者)の処方箋データを取得した否かを判定する。当該疾患想定者(生活者)の処方箋データを取得しなかった場合、情報処理装置1の制御部2は、出力したアドバイス情報は、有用性が低いと判定する。情報処理装置1の制御部2は、有用性が低いと判定されたアドバイス情報を改善すべく、第2学習モデル202を再学習、転移学習、又はファインチューニング等を行い、更新するものであってもよい。これにより、アドバイス情報の質的向上を継続することができる。
【0111】
当該疾患想定者(生活者)の処方箋データを取得した場合、情報処理装置1の制御部2は、出力したアドバイス情報は、有用性が高いと判定する。情報処理装置1の制御部2は、所定期間後、当該疾患想定者(生活者)に対する報知情報(フォロー情報)を、処方箋データを提供した保険薬局に出力するものであってもよい。このような報知情報(フォロー情報)を出力することにより、当該疾患想定者が処方箋医薬品の服用を適切に継続することを支援することができる。
【0112】
(実施形態4)
図19は、実施形態4に係る家族情報付き会員マスタテーブル(生活者マスタテーブルを拡張)の作成方法等を例示する説明図である。本実施形態における家族情報付き会員マスタテーブルは、商品(生活用品)の購入者(会員ID)と、当該購入者(会員ID)の家族との関連性が定義されている。家族情報付き会員マスタテーブルは、実施形態1の生活者マスタテーブルを拡張したテーブルであってもよい。この場合、家族情報付き会員マスタテーブルは、実施形態1の生活者マスタテーブルの全ての管理項目を含んだ上で、当該管理項目における生活者(生活者ID)の家族の患者ID(保険者番号)を含むものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、例えば、取得した調剤レセプトの患者リストと、家族構成、家族の氏名・生年月日・性別のリストとに基づき、家族情報付き会員マスタテーブルを生成する。情報処理装置1の制御部2は、これら取得した調剤レセプトの患者リスト、家族構成、家族の氏名・生年月日・性別のリスト及び家族情報付き会員マスタテーブルを、属性データセットとして購買調剤DB300にて保存管理するものであってもよい。
【0113】
調剤レセプトの患者リストは、患者ID(例えば、保険者番号)、氏名、性別、及び生年月日を含む。家族構成、家族の氏名・生年月日・性別のリストは、会員ID(例えば、店舗におけるポイントカードのメンバID)、本人の氏名、性別、生年月日、及び当該本人(会員ID)の家族の者それぞれの氏名、性別、生年月日を含み、すなわち会員IDにて特定される第1の対象者(ポイントカードのメンバ)の家族構成に関する情報を含む。情報処理装置1の制御部2は、会員ID(本人)による氏名及び生年月日と、患者IDよる氏名及び生年月日との同一性に応じて、本人を示す会員IDと患者IDとの関連付けを行う。情報処理装置1の制御部2は、当該関連付けされた会員ID(本人)の家族の者それぞれの氏名及び生年月日と、患者IDよる氏名及び生年月日との同一性に応じて、本人を示す会員IDと、当該会員ID(本人)の家族の者それぞれの患者IDとの関連付けを行う。情報処理装置1の制御部2は、会員ID(本人)と、本人の患者ID及び当該本人の家族の者それぞれの患者IDとの関連付けを行うことにより、家族情報付き会員マスタテーブルを生成する。情報処理装置1の制御部2は、家族情報付き会員マスタテーブル、調剤レセプトの患者リスト、及び家族構成、家族の氏名・生年月日・性別のリストに含まれる情報にて構成される属性データセットに基づき、会員IDにて示される商品(生活用品)の購入者(本人)と、当該購入者(本人)及び購入者(本人)の家族の者それぞれの患者IDとの対応関係を把握することができる。
【0114】
図20は、購買データセットに対し、家族の人数分にて複製した購買履歴を含ませる複製処理に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、例えばPOSデータを取得することにより、会員IDにて示される商品(生活用品)の購入者(本人)による購買履歴に関する情報を取得することができ、複数の購入者(本人)による購買履歴を集約することにより、購買データセットを生成することができる。情報処理装置1の制御部2は、このようにPOSデータ等から生成した購買データセットにおいて、購入者(本人)による購買履歴(購入した商品を示す購買データ)に対し、当該購入者(本人)の家族の人数分に複製した複製データを生成し、生成した複製データを購買データセットに追加する。
【0115】
本実施形態における図示においては、情報処理装置1の制御部2は、商品(商品名:商品0001)の本人(会員ID:Drug07011)の購買履歴(購入した商品を示す購買データ)に対し、当該本人(会員ID:Drug07011)の家族の人数分(5人)の複製データを購買データセットに追加する。これにより、商品(商品名:商品0001)の本人(会員ID:Drug07011)の購買履歴(購入した商品を示す購買データ)の個数は、当該本人及び家族の人数分(5人)とによる6レコードとなる。このように家族の人数分の複製データが追加された購買データセットにおいて、個々のレコードが本人(会員)又は家族であるかを定義する区分が、管理項目として設定されている。すなわち、商品の購入者であるReceipt00003(会員ID:Drug07011)とReceipt00107、Receipt02010等が家族である場合、情報処理装置1の制御部2は、Receipt00003(Drug07011)「本人」の購買履歴をコピー(複製)して紐づけると共に、判別できるように区分(会員(本人)、又は家族)などを付与する。
【0116】
図21は、参照テーブル(家族構成)を例示する説明図である。情報処理装置1の記憶部3には、購買履歴が本人購入であるか代理購入であるか判定するための用いられる参照情報が、例えばテーブル形式(参照テーブル)にて記憶されている。当該参照テーブル(代理購買判定用テーブル)は、購買履歴に含まれる生活用品それぞれに対し、第1の対象者の家族構成に応じた複数のレコードが関連付けらており、当該レコードそれぞれは、第1の対象者のための本人購入の確率、及び第1の対象者の家族のための代理購入の確率に関する情報を含む。このように構成された参照テーブル(代理購買判定用テーブル)は、管理項目として、例えば、購入商品、回答者(商品購入者)、家族_1、家族_1性年代、家族_2、家族_2性年代、及び、各人による購入確率として、本人(購入確率)、夫(購入確率)、妻(購入確率)、子供(購入確率)を含む。
【0117】
購入商品の管理項目には、代理購買判定の対象となる商品(生活用品)の品名等が格納される。参照テーブルにおける購入商品の管理項目には、購買データセットに含まれる全ての商品(生活用品)の品名が、格納されているものであってもよい。回答者(商品購入者)は、当該商品(生活用品)の実際の購入者(第1の対象者(ポイントカードのメンバ))の属性である性別及び年代(性年代)が格納される。家族_1の管理項目には、回答者(商品購入者)の家族の者の続柄が格納され、家族_1性年代の管理項目には、当該家族の者のる性別及び年代(性年代)が格納される。本実施形態において、家族の構成人数は2人(家族_1、家族_2)としているが、これに限定されず、3人以上(家族_n:n≧3)であってもよい。各人による購入確率として、本人(購入確率)、夫(購入確率)、妻(購入確率)、及び子供(購入確率)には、回答者(商品購入者)の家族構成に応じた家族の者それぞれにおける購入確率が格納される。情報処理装置1の制御部2は、商品(生活用品)と、購入者属性をキーにして、誰のための商品購入であるかを示す購入確率を算出するものであってもよい。
【0118】
購買履歴に含まれる生活用品それぞれにおいて、本実施形態においては特定の商品(購入商品:商品0001)に対し、想定される家族構成の種類数に応じたレコード(本実施形態では、4レコード)が、関連付けられている。すなわち同じ商品(購入商品:商品0001)に対し、商品(生活用品)の実際の購入者(第1の対象者(ポイントカードのメンバ))の属性(性年代)及び家族構成に基づき、複数のレコードが関連付けられており、各レコードにおいて家族の者それぞれにおける購入確率が示される。
【0119】
図22は、参照テーブルの作成に用いる分析データ(ID-POS分析)を例示する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、参照テーブルを作成するにあたり、例えば、ID-POSの分析データを用いるものであってもよい。当該分析データは、例えば、購入者の性年代別人数構成比に関するデータ、及び性年代別買上率(100名あたり何%が購入するか)に関するデータを含む。購入者の性年代別人数構成比に関するデータは、各商品それぞれにおいて、性年代別におけるそれぞれの購入比率を示す。これにより、商品毎に主要購買層の属性(性別、年齢)の傾向等を把握し、参照テーブルの作成に用いることができる。性年代別買上率(100名あたり何%が購入するか)は、店舗に来店した顧客がどの商品を購入したかを、当該顧客の属性(性別、年齢)に応じた購入比率(例えば100名あたり何%が購入するか)にて示す。これにより、どのような属性の方が購入する商品なのか(確率)を数値化して、参照テーブルの作成に用いることができる。
【0120】
又は、情報処理装置1の制御部2は、例えば、商品(生活用品)の実際の購入者(第1の対象者(ポイントカードのメンバ))が、店舗等のメンバに加入する際、又は商品購入の際に当該購入者からのヒヤリング結果等に基づき、当該購入者の家族構成及び、誰のために購入したかの情報を取得し、これら情報を用いて参照テーブルを生成するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、SNSやネット販売等の口コミサイトから商品(生活用品)の利用者の属性を取得(推定)し、これらを用いて参照テーブルを生成するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、商品(生活用品)の販売会社等からの商品情報を取得し、誰に使ってもらいたい商品なのか確認し、これらを用いて参照テーブルを生成するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、店舗内に設置されたAIカメラ等で撮像された撮像画像の分析結果(視認時間の長さに応じて本人購買(例えば、視認時間が長い)、又は代理購買(例えば、視認時間が短い))を用いて参照テーブルを生成するものであってもよい。
【0121】
このように家族構成に応じた参照テーブル(代理購買判定用テーブル)を用いることにより、情報処理装置1の制御部2は、第1の対象者(例えばポイントカードのメンバ)によるが商品の購入が、第1の対象者が購入品利用者(購入対象者)である本人購入であるか、又は第1の対象者の家族が購入品利用者(購入対象者)である代理購入であるかを、効率的に判定することができる。その上で、情報処理装置1の制御部2は、代理購入である場合、家族のいずれの者のための商品の購入であるかを、効率的に判定することができる。
【0122】
図23は、参照テーブル(疾患該当)を例示する説明図である。参照テーブルは、家族構成に加え、更に家族のいずれかの者の疾患該当に関する情報を含むものであってもよい。疾患該当が加味された参照テーブルは、更に商品購入者(購入者属性)及び家族の者それぞれ(家族_1、家族_2)の疾患の管理項目を含む。これら商品購入者(購入者属性)及び家族の者それぞれの疾患の管理項目には、各人における疾患の有無、及び疾患有の場合は当該疾患の種類が格納される。各人による購入確率それぞれの管理項目には、疾患の有無に応じた購入確率が格納され、例えば、特定の疾患を有する者に対し、特定の商品(購入商品)の購入確率が比較的に高い値が設定される。
【0123】
情報処理装置1の制御部2は、例えば、調剤レセプト(処方箋データセット)及び購買データ(購買履歴)の分析結果により、特定の疾患の方は、全体の御客様に比べて、特定の商品を買いやすいという購買パターンを確認する。当該確認結果が反映され、疾患該当が加味された参照テーブルを用いることにより、情報処理装置1の制御部2は、商品購入者である第1の対象者(ポイントカードのメンバ)の家族に、当該特定の疾患に該当する方がいれば、その方(家族の者)のための購買であると推定することができる。
【0124】
図24は、購買データセット(家族の人数分に複製し、判定結果を付与)を例示する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、上述にて説明した処理を行うことにより、購買履歴が家族の人数分に複製され、いずれかに判定結果が付与された購買データセット(代理購買判定済みの購買データセット)を生成することができる。購買データセット(代理購買判定済みの購買データセット)は、管理項目として、例えば、患者ID、性別、年齢、会員ID、購買日、レシート番号、商品名、数量、金額、区分、家族構成、会員から見た続柄、及び使用者(代理購買判定)を含む。
【0125】
当該管理項目において、患者IDと会員IDとの関連付け等は、
図20等にて説明した事項のとおりであり、患者IDの管理項目には例えば保険証番号が格納され、会員IDには例えば商品を購入する店舗等の会員番号(ポイントカードのメンバID)が格納される。性別及び年齢には、患者IDにて特定される者(本人又は本人の家族の者)の性別及び年齢(属性)が格納される。
【0126】
購買日、レシート番号、商品名、数量、金額、及び区分には、購入された商品に対応した各事項が格納される。家族構成の管理項目には、患者IDにて特定される者(本人又は本人の家族の者)の家族構成が格納される。会員から見た続柄の管理項目には、会員IDにて特定される者(商品の購入者である会員(ポイントカードのメンバ))との家族関係を示す続柄(本人、夫、妻、子供等)が格納される。使用者(代理購買判定)の管理項目には、本人の購買履歴(購買データ)及び当該本人の家族分に複製された購買履歴(購買データ)において、参照テーブルに基づき実行された代理購買判定の結果が付与されている。本実施形態においては、〇が付与されているレコードが、商品の購入品利用者のレコードであることを示す。
【0127】
図25は、情報処理装置1の制御部2による処理手順(購買データセット及びレポート生成)を例示するフローチャートである。情報処理装置1の制御部2は、取得した購買データ及び処方箋データにてデータ入力を実行する(S401)。情報処理装置1の制御部2は、実施形態1の処理S101及びS102と同様に購買データ及び処方箋データを取得し、取得したこれらデータを記憶部3に記憶する。複数の生活者(第1の対象者)の購買データ(購買履歴)を集約することにより、購買データセットが構成される。この時点における購買データセットには、家族分にて複製される購買履歴が含まれていない。複数の生活者(対象者)の処方箋データを集約することにより、処方箋データセットが構成される。
【0128】
情報処理装置1の制御部2は、データ入力した購買データ及び処方箋データにてデータ統合を実行する(S402)。情報処理装置1の制御部2は、家族情報付き会員マスタテーブルを参照することにより、購買データの第1の対象者と、処方箋データの対象者との関連付けをして、購買データ及び処方箋データのデータ統合を行う。これにより、購買データ及び処方箋データにてデータ統合を行うことにより、購買データと処方箋データとの間にて、生活用品を購入した第1の対象者と、処方箋医薬品が処方された対象者との対応付け(氏名及び生年月日に基づく同一人性による関連付け)が行われる。情報処理装置1の制御部2は、データ入力した購買データ及び処方箋データにてデータ統合を実行し、当該統合されたデータを購買調剤DB300に登録(インポート)するものであってもよい。
【0129】
情報処理装置1の制御部2は、家族情報付き会員マスタテーブルを参照し、第1の対象者による購買履歴を、第1の対象者の家族の人数分に複製する処理(家族の購買データ紐づけ)を実行する(S403)。第1の対象者それぞれの家族構成は、例えば家族情報付き会員マスタテーブルとして記憶部3に記憶されている。情報処理装置1の制御部2は、家族情報付き会員マスタテーブルを参照することにより、第1の対象者それぞれの家族構成を特定し、特定した家族構成に応じて、当該第1の対象者による購買履歴を、第1の対象者の家族の人数分に複製する。
【0130】
第1の対象者の家族構成が、当該第1の対象者と配偶者による二人構成の場合、情報処理装置1の制御部2は、当該配偶者分を複製する。これにより、第1の対象者による購買履歴(商品の購買データ)は、当該第1の対象者の購買履歴と、複製された配偶者分の購買履歴とによる2レコードとなる。第1の対象者の家族構成が、当該第1の対象者と配偶者及び二人の子供による四人構成の場合、情報処理装置1の制御部2は、当該配偶者及び子供二人分を複製する。これにより、第1の対象者による購買履歴(商品の購買データ)は、当該第1の対象者の購買履歴と、複製された配偶者及び子供二人分の購買履歴とによる4レコードとなる。第1の対象者の家族構成が、当該第1の対象者のみによる一人構成の場合、情報処理装置1の制御部2は、家族分としての複製を行わない。これにより、第1の対象者による購買履歴(商品の購買データ)は、当該第1の対象者の購買履歴のみによる1レコードとなる。
【0131】
情報処理装置1の制御部2は、参照テーブル(代理購買判定用テーブル)を参照し、第1の対象者の購買履歴が、当該第1の対象者を購入品利用者とする本人購入であるか、又は当該第1の対象者の家族を購入品利用者とする代理購入であるかを、判定(代理購買判定)を実行する(S404)。参照テーブル(代理購買判定用テーブル)は、対象となる商品(生活用品)それぞれに対し、家族構成における複数の態様毎での購入確率(本人及び家族それぞれの購入確率)が定義されている。情報処理装置1の制御部2は、代理購買判定の対象となる第1の対象者の家族構成を、家族情報付き会員マスタテーブルを参照して特定する。
【0132】
情報処理装置1の制御部2は、当該第1の対象者が購入した商品(生活用品)及び特定した家族構成の組み合わせに基づき、参照テーブルにて定義されている購入確率(本人及び家族それぞれの購入確率)を参照し、最も購入確率が高い属性に該当する者(第1の対象者、又は当該第1の対象者の家族のいずれかの者)を購入品利用者として特定する。これにより、第1の対象者が特定された場合は、本人購入に該当する。当該第1の対象者の家族のいずれかの者が特定された場合は、代理購入に該当する。情報処理装置1の制御部2は、当該代理購買判定を、全ての購買履歴(個々の商品(生活用品)における第1の対象者の購買履歴と複製された購買履歴)に対して行う。
【0133】
情報処理装置1の制御部2は、代理購買判定を行う際、参照テーブルを用いられる場合に限定されず、例えばChatGPT等の人工知能チャットボットを用いて、代理購買判定を行うものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、人工知能チャットボット(ChatGPT等)に対し、第1の対象者(購入者本人)が購入した商品及び当該第1の対象者の家族構成を入力する。そして、情報処理装置1の制御部2は、人工知能チャットボットから当該商品の利用者が、第1の対象者本人であるか(本人購入)、又は第1の対象者の家族のいずれかの者(代理購入)であるかの判定結果を取得するものであってもよい。すなわち、情報処理装置1の制御部2は、人工知能チャットボット(ChatGPT等)を、実質的に参照テーブル(代理購買判定用テーブル)として機能させ、代理購買判定の判定結果を取得(導出)するものであってもよい。
【0134】
情報処理装置1の制御部2は、第1の対象者による購買履歴が第1の対象者の家族の人数分に複製され、更に代理購買判定(判定結果が付与)がされた購買データセットを用いて、各種のデータ分析を実行する(S405)。情報処理装置1の制御部2は、各種のデータ分析の結果に基づき、レポート作成を実行する(S406)。情報処理装置1の制御部2は、処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、当該処方箋医薬品が、所定期間にて処方された対象者(患者)を特定する。これにより、抽出条件として用いられた処方箋医薬品に対応する疾患を有する複数の対象者(患者)を特定することができる。
【0135】
情報処理装置1の制御部2は、特定した対象者(患者)を検索キーとして、購買データセットを検索することにより、当該対象者(患者)が購入した商品(生活用品)の品名、個数、購入時期等を含む購買履歴(処方箋医薬品が処方された患者の購買履歴)を取得することができる。当該処方箋医薬品が処方された患者の購買履歴が、各種の分析処理を行うにあたり元となる母集団となる。更に情報処理装置1の制御部2は、特定した対象者(患者)を検索キーとして、家族情報付き会員マスタテーブル等により構成される属性データセットを検索することにより、当該対象者(患者)の年齢、性別、家族構成等の属性(処方箋医薬品が処方された患者の属性)を取得することができる。当該処方箋医薬品が処方された患者の属性が、各種の分析処理を行うにあたり元となる母集団となる。これら2つの母集団(処方箋医薬品が処方された患者の購買履歴の集合、及び処方箋医薬品が処方された患者の属性の集合)は、主キーとして用いられる患者IDにより関連付け及び正規化されている。情報処理装置1の制御部2は、当該2つの母集団(処方箋医薬品が処方された患者の購買履歴の集合、及び処方箋医薬品が処方された患者の属性の集合)を用いることにより、種々の分析処理を行う。
【0136】
情報処理装置1の制御部2は、例えば、検索キーとして用いられた特定の処方箋医薬品が処方された複数の対象者(患者)において、少なくとも一部の対象者(患者)にて購入された商品(生活用品)を、当該一部の対象者(患者)にて共通する購買履歴として抽出(推定)する。情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方された複数の対象者(患者)が購入した商品(生活用品)それぞれにおいて、個々の商品(生活用品)を購入した対象者(患者)の人数を抽出し、個々の商品(生活用品)それぞれにおける購入人数の分布を出力(推定)するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方された複数の対象者(患者)を性別又は年代等の属性に応じて更に細分化(分類化)して、各属性それぞれにおいて、一部の対象者(患者)にて共通する購買履歴として抽出(推定)ものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方された複数の対象者(患者)において、同一又は同種の商品(生活用品)を購入した対象者(患者)を抽出し、当該抽出した対象者(患者)の属性毎の人数の分布を出力(推定)するものであってもよい。このように情報処理装置1の制御部2は、例えばRDB(Relational Database)等にて構成される購買調剤DB300にて、正規化及び関連付けられて保存管理されている処方箋データセット、購買データセット及び属性データセット(家族情報付き会員マスタテーブル等)を用いることにより、種々の観点からの分析処理を行うことができる。
【0137】
図26は、分析結果(患者と来店者全員の商品カテゴリー毎の購入人数抽出)を例示する説明図である。上述のとおり、情報処理装置1の制御部2は、処方箋データセット、購買データセット及び属性データセット(家族情報付き会員マスタテーブル等)を用いることにより、種々の観点からの分析処理を行うものであり、その一例を図示にて説明する。本実施形態における図示において、上表は、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件とし、購買データセット及び属性データセットから購買データ(代理購買判定済み)及び属性データの抽出結果を示す。当該抽出結果において、会員ID(ポイントカードのメンバ:第1の対象者)と患者ID(患者)の対応関係(本人又は家族)が示され、区分にて会員(本人)、又は家族(null値等の空白でもよい)にて本人購買か、代理購買かが示される。購入履歴として、購入した商品(生活用品)それぞれにおける店舗、購買日、購買時間、POS機番、商品名、数量、金額、品名、小分類、中分類、大分類が、示される。患者ID(患者)の属性情報として、性別、生年(年代)が、示される。
【0138】
情報処理装置1の制御部2は、分析例として、患者と全員(来店者)のカテゴリー(JICFS品名)毎の購入人数の抽出(算出)を行い、当該抽出(算出)結果を下表として出力する。情報処理装置1の制御部2は、特定の商品(品名)を購入した患者(抽出条件である処方箋医薬品が処方された患者)の人数(患者の購入人数)と、当該商品を販売する店舗にて当該特定の商品(品名)の購入者の人数(全体(来店者)の購入人数)との対比を分析結果と出力する。情報処理装置1の制御部2は、当該分析結果を含む画面データを生成し、出力するものであってもよい。
【0139】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2(推定部)は、複数の対象者(第1の対象者(例えばポイントカードのメンバ)及び第1の対象者の家族を含む)が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者(例えばポイントカードのメンバ)の購買履歴を記述する購買データセットと、複数の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品を抽出条件として種々の検索又は抽出処理を行い、抽出した情報に対する各種の分析処理を行う。処方箋データセットにおける複数の対象者は、購買データセットにおける複数の第1の対象者及び当該第1の対象者の家族を含む。情報処理装置1の制御部2(推定部)は、処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、購買データセット及び属性データセットから購買データ及び属性データを抽出する。すなわち、情報処理装置1の制御部2(推定部)は、処方箋データセットに対し、検索キーとなる処方箋医薬品が処方されている複数の対象者を特定する。情報処理装置1の制御部2(推定部)は、購買データセットに対し、特定した対象者を検索キーとして、当該複数の対象者(対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者)による購買履歴を推定(抽出)する。これにより、対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者の購買履歴を推定(抽出)することができる。
【0140】
推定した購買履歴は、対象者(対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者)それぞれによる、各種の生活用品の購買履歴が含まれている。情報処理装置1の制御部2(推定部)は、これら生活用品それぞれの区分、種類又は名称等を検索キーとして、特定の生活用品を購入した対象者(対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者)を抽出する。情報処理装置1の制御部2(推定部)は、例えば、購買履歴に含まれる全ての生活用品それぞれを検索キーとして、例えば、当該生活用品を購入した対象者(対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者)の人数等を特定(算出)する。情報処理装置1の制御部2(出力部)は、生活用品それぞれを検索キーとして特定した対象者(対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者)の人数を、当該検索キーである生活用品と関連付けて、例えばバブルチャートとして出力するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2(出力部)は、生活用品それぞれを検索キーとして特定した対象者(対象となる処方箋医薬品が処方されている対象者)の年代、性別、家族構成の態様等、当該対象者の属性情報に応じた分類結果を表形式(分類表)にて出力するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2(出力部)は、このような分析結果を生成及び出力するにあたり、例えばBI(Business Intelligence)ツールを用いてドリルダウン、スライシング、又はダイシング等の各種分析処理を行うものであってもよい。情報処理装置1の制御部2(推定部、出力部)は、このような処理を行うことにより、いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を推定及び出力する。又は、情報処理装置1の制御部2(推定部、出力部)は、いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する属性情報を推定及び出力する。又は、情報処理装置1の制御部2(推定部、出力部)は、いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴及び属性情報の双方を推定及び出力する。このように情報処理装置1の制御部2(推定部、出力部)は、推定及び出力する形態を、共通する属性情報のみ、共通する購買履歴のみ、及び共通する購買履歴及び属性情報の双方とし、これら3形態にて出力することができる。
【0141】
処方箋データセットにおける対象者は、処方箋医薬品が処方された対象者本人を示すものであり、当該処方箋医薬品は対象者によって使用される。購買データセットにおける第1の対象者は、OTC医薬品、健康食品、サプリメント、食料品、健康器具、介護用品等の生活用品を購入した実際の購入者を示し、当該生活用品を販売する店舗等の会員(ポイントカードのメンバ)を示す。しかしながら、購入者である第1の対象者が、例えば同居の家族を有する場合、購入した生活用品は、当該第1の対象者本人が利用する場合の本人購入と、家族が利用する場合の代理購入とのいずれかが想定される。情報処理装置1の制御部2によって推定(導出)される購買履歴は、第1の対象者が購入品利用者(購入対象者)である本人購入による購買履歴と、第1の対象者の家族が購入品利用者(購入対象者)である代理購入による購買履歴とを含むため、本人購入及び代理購入のいずれにも対応することができる。
【0142】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2(推定部)は、例えば記憶部3に記憶されている参照テーブル(代理購買判定用テーブル)を参照することにより、第1の対象者(ポイントカードのメンバ)の購買履歴が、当該第1の対象者を購入品利用者(購入対象者)とする本人購入であるか、又は当該第1の対象者の家族を購入品利用者(購入対象者)とする代理購入であるかを判定する。その上で、情報処理装置1の制御部2(推定部)は、処方箋医薬品が処方されている対象者が購入品利用者(購入対象者)である購買履歴を推定(導出)するため、処方箋医薬品が処方されている対象者が使用する生活用品(当該対象者が購入品利用者(購入対象者)となる生活用品)を効率的に特定することができる。すなわち、第1の対象者(ポイントカードのメンバ)の購買履歴が、本人購入及び代理購入を含むものであっても、処方箋医薬品が処方されている対象者と、購入した生活用品の利用者(購入品利用者)との対応関係を整合化させ、当該処方箋医薬品が処方されている対象者による生活用品の購入傾向等を推定する際の精度を向上させることができる。
【0143】
本実施形態によれば、参照テーブル(代理購買判定用テーブル)は、購買履歴に含まれる生活用品(第1の対象者が購入した商品)それぞれに対する購買層に関する情報を含む。当該購買層に関する情報は、例えば、当該生活用品の購入者の年齢、性別又はこれらの組み合わせ等の属性に応じた購入確率を示す情報である。情報処理装置1の制御部2(推定部)は、処方箋医薬品が処方されている対象者及び当該対象者の家族の年齢又は性別等の属性に基づき、参照テーブルを参照して最も購入確率が高い属性に該当する者(第1の対象者、又は当該第1の対象者の家族のいずれかの者)を購入品利用者として特定する。これにより、第1の対象者が特定された場合は、本人購入に該当する。当該第1の対象者の家族のいずれかの者が特定された場合は、代理購入に該当する。このように年齢、性別等の属性に応じた購入確率を含む参照テーブル(代理購買判定用テーブル)を用いることにより、例えば店舗等のポイントカードのメンバである第1の対象者による購入が、当該第1の対象者(本人)が購入した商品(購入品)を利用する本人購入であるか、又は当該第1の対象者の家族(配偶者又は子息等)が購入品利用する代理購入であるかを効率的に判定(推定)することができる。
【0144】
本実施形態によれば、参照テーブル(代理購買判定用テーブル)は、購買履歴に含まれる生活用品(第1の対象者が購入した商品)それぞれに対し、処方箋医薬品に対応する疾患に関する情報を含む。当該処方箋医薬品に対応する疾患に関する情報は、例えば、当該疾患を有する者に応じた購入確率を示す情報である。すなわち、特定の疾患を有する者が、特定の生活用品を購入する傾向が高いことが想定されるところ、当該疾患を有することを、第1の対象者又は当該第1の対象者の家族の属性として設定することにより、当該傾向を加味して本人購入であるか代理購入であるかを判定することができる。
【0145】
本実施形態によれば、参照テーブル(代理購買判定用テーブル)は、購買履歴に含まれる生活用品それぞれに対し、第1の対象者の家族構成に応じた複数のレコードが関連付けられている。第1の対象者の家族構成は、例えば、第1の対象者のみの独身者構成、第1の対象者と配偶者による夫婦構成、第1の対象者と配偶者及び一人以上の子息を含む核家族構成、又は第1の対象者と父母を含む二世帯構成等、さまざまな家族構成が想定される。これに対し、参照テーブルにおいては、各種分析処理を行う際の対象となる生活用品それぞれ、すなわち生活用品の区分、種類又は名称それぞれにおいて、当該想定される複数の家族構成それぞれに応じたレコードが関連付けられている。当該レコードは、対応する家族構成における購入確率を含むものであり、すなわち第1の対象者のための本人購入の確率、及び第1の対象者の家族のための代理購入の確率に関する情報を含む。情報処理装置1の制御部2(推定部)は、参照テーブルを参照するにあたり、生活用品を購入した第1の対象者の家族構成と同様の家族構成となるレコードを用いて、当該生活用品の利用者が本人(本人購入)であるか、又は家族のいずれかの者(代理購入)であるかを特定する。このようなレコード構成を有する参照テーブルを用いることにより、生活用品を購入した第1の対象者の家族構成に応じて、本人購入又は代理購入であるかを効率的に特定することができる。
【0146】
本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部2(生成部)は、複数の生活者(第1の対象者)の購買データ(購買履歴)を集約して購買データセットを生成する際、当該購買データ(購買履歴)を、購入者である第1の対象者の家族の人数分に複製し、複製した購買データを購買データセットに含める。従って、購買データセットは、第1の対象者による購買履歴と、第1の対象者による購買履歴が第1の対象者の家族の人数分に複製された購買履歴とを含むものとなる。すなわち、購買データセットは、第1の対象者が購入した商品に対し、第1の対象者による購買履歴と、第1の対象者による購買履歴が第1の対象者の家族の人数分に複製された購買履歴とによる複数のレコード(購買履歴)を含むものとなる。更に、情報処理装置1の制御部2(生成部)は、第1の対象者による購買履歴及び複製された購買履歴のうちのいずれかの購買履歴に対し、購買履歴が本人購入であるか代理購入であるかの判定結果を付与する。情報処理装置1の制御部2(生成部)は、例えば、参照テーブル(代理購買判定用テーブル)を参照することにより本人購入であるか代理購入であるか判定し、第1の対象者(購入者本人)のレコード及び家族の人数分に複製されたレコードのいずかにおいて、購入した商品の利用者に該当するレコードに〇を付与し、他には×又はnull値を付与するものであってもよい。又は情報処理装置1の制御部2(生成部)は、例えばChatGPT等の人工知能チャットボットに対し、第1の対象者(購入者本人)が購入した商品及び当該第1の対象者の家族構成を入力し、当該商品の利用者が、第1の対象者本人であるか(本人購入)、又は第1の対象者の家族のいずれかの者(代理購入)であるかを、人工知能チャットボットから取得するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2(生成部)は、第1の対象者による購買履歴(購買データ)を、第1の対象者の家族の人数分に複製し、商品の利用者に該当するいずれかの購買履歴(購買データ)に対し、マーキング(利用者を示す〇)を付与することにより、本人購入のみならず代理購入が含まれる購買データセットを効率的に生成することができる。
【0147】
(実施形態5)
図27は、実施形態5に係る共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者の属性値)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、購買調剤DB300にて会員ID及び患者IDにて正規化及び関連付けられた購買データセット、属性データセット及び処方箋データセットを用いて、各種の分析処理を行い、当該分析結果を本実施形態における図示のとおり出力する。情報処理装置1の制御部2は、当該分析結果を含む画面データを生成し、当該画面データをスマートホン等の情報端末に出力するものであってもよい。各種の分析処理を行う際に用いられる購買データセットは、実施形態4にて説明した代理購買判定済みの購買データセットに限定されるものでなく、実施形態1にて説明した購買データセット(代理購買判定がされていない購買データセット)であってもよい。
【0148】
情報処理装置1の制御部2は、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として処方箋データセットから抽出した患者IDに基づき、属性データセットから属性データを抽出し、共通する属性情報の特定処理として対象薬剤患者の属性値の分類結果を出力する。情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方されている患者(対象薬剤患者)の年代及び性別の属性(性年代)それぞれにおいて、当該対象薬剤患者を集計した表を出力する。これにより、患者数の構成比が高い性年代を特定することができる。更に、情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方された時期及び回数に基づき、新規患者数の構成比が高い性年代を特定することができる。
【0149】
図28は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者の比率)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として処方箋データセットから抽出した患者IDに基づき、属性データセットから属性データを抽出し、共通する属性情報の特定処理として対象薬剤患者の比率の分類結果を出力する。情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方された時期及び回数に基づき、患者(対象薬剤患者)の年代及び性別の属性(性年代)それぞれにおいて、新規患者及び継続患者の人数を集計し、新規率及び継続率の算出結果を含めた分類結果を表形式にて出力する。これにより、情報処理装置1の制御部2は、患者数のうち、新規患者の比率が高い性年代を特定することができる。
【0150】
更に、情報処理装置1の制御部2は、年代及び性別の属性(性年代)それぞれにおいて、家族情報付き会員マスタテーブルに登録されている全員と、特定の処方箋医薬品が処方されている患者(対象薬剤患者)との対比を示す人数(患者数、全体人数)及び処方率の分類結果を出力する。これにより、情報処理装置1の制御部2は、全体における患者の人数比率(処方率)が高い性年代を特定することができる。
【0151】
図29は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(回帰分析結果)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、処方箋データセットに対し、特定の処方箋医薬品を抽出条件として、当該処方箋医薬品が、所定期間にて処方された対象者(患者:患者ID)を抽出(特定)する。情報処理装置1の制御部2は、抽出した複数の対象者(患者:患者ID)にて、属性データセット(家族情報付き会員マスタテーブル)を検索し、当該患者の属性情報を抽出することにより、分析対象となる母集団(処方箋医薬品が処方された患者の属性の集合)を特定する。情報処理装置1の制御部2は、当該分析対象となる母集団に対し、回帰分析を行うことにより、患者の確率が高い性別及び年代(性年代)を特定することができる。当該回帰分析結果は、性別(男性=0/女性=1)に応じた偏回帰係数、P値及びオッズ比を含み、情報処理装置1の制御部2は、これら事項に基づき、考察を推定するものであってもよい。更に、情報処理装置1の制御部2は、回帰分析結果として、年代に応じた偏回帰係数、P値、オッズ比及び推定した考察を出力するものであってもよい。
【0152】
図30は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(クラスター分析)に関する説明図である。更に、情報処理装置1の制御部2は、当該分析対象となる母集団に対し、クラスター分析を行うことにより、患者がどのような属性(性年代)に分類されるかを確認して特定するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、属性(性年代)の分類を行うにあたり、クラス分けを行い、各クラスにおける割合(パーセンテージ)を出力するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、当該クラスター分析の結果に応じた分布グラフを生成し出力するものであってもよい。
【0153】
図31は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者の購買履歴)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として処方箋データセットから抽出した患者IDに基づき、購買データセットから購買履歴を抽出する。情報処理装置1の制御部2は、当該抽出した複数の購買履歴における共通する購買履歴の特定処理として、対象薬剤患者(抽出条件の処方箋医薬品が処方された患者)の購買商品(カテゴリー/単品)の分類結果を出力する。情報処理装置1の制御部2は、特定の処方箋医薬品が処方されている患者(対象薬剤患者)が購入品利用者である商品に関する分類結果を出力する。上述のとおり、購買データセットは代理購買判定の結果が付与されており、商品の購入品利用者と、処方箋医薬品が処方されている患者(対象薬剤患者)との関連付けが行われている。
【0154】
情報処理装置1の制御部2は、処方箋データセットに対し、特定の処方箋医薬品を抽出条件として、当該処方箋医薬品が、所定期間にて処方された対象者(患者:患者ID)を抽出(特定)する。情報処理装置1の制御部2は、抽出した複数の対象者(患者:患者ID)にて、購買データセットを検索し、当該患者の購買履歴(購買データ)を抽出することにより、分析対象となる母集団(処方箋医薬品が処方された患者の購買履歴の集合)を特定する。情報処理装置1の制御部2は、当該分析対象となる母集団に対し、例えば、商品のカテゴリー(分類)に応じて、買上率(来店人数における購入人数の割合)を算出する。これら買上率により、処方箋医薬品が処方された複数の患者において、少なくとも一部の患者にて共通して購入された商品のカテゴリー(分類)を特定することができる。これにより、商品のカテゴリー(分類)において共通する購買傾向を特定することができる。更に、情報処理装置1の制御部2は、当該分析対象となる母集団に対し、例えば、商品名に応じて、買上率(来店人数における購入人数の割合)を算出するものであってもよい。これにより、商品名において共通する購買履歴(単品の商品毎の傾向)を特定することができる。更に、情報処理装置1の制御部2は、当該分析対象となる母集団に対し、例えば、商品のカテゴリー(分類)に応じて、購入頻度(一人当たりの購入回数)を算出するものであってもよい。
【0155】
図32は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者が買いやすい商品:購入頻度のリフト値)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、共通する購買履歴の特定処理として、対象薬剤患者が買いやすい商品の分類結果を出力する。情報処理装置1の制御部2は、商品のカテゴリー(分類)それぞれにおいて、家族情報付き会員マスタテーブルに登録されている全員(全体)による購入頻度と、患者(抽出条件である処方箋医薬品が処方された患者)との購入頻度を示す数値それぞれを出力する。当該購入頻度は、分母を当該商品のカテゴリーの購入者数とし、分子を当該商品のカテゴリー購入者の購入回数として、算出される。なお、全員(全体)による購入頻度に関しては、家族情報付き会員マスタテーブルに登録されている全員による者であってもよく、又は、当該全員から、患者(抽出条件である処方箋医薬品が処方された患者)を差し引いた者を、全体とするものであってもよい。
【0156】
情報処理装置1の制御部2は、商品のカテゴリー(分類)それぞれにおいて、全体の購入頻度と、患者の購入頻度に基づき、対象薬剤患者が買いやすい商品であるかの指標を示すリフト値を算出(患者の購入頻度/全体の購入頻度)する。当該リフト値が、例えば1.5以上の場合、対応する商品のカテゴリー(分類)は、患者(抽出条件である処方箋医薬品が処方された患者)において比較的に共通して購入されてやすいカテゴリー(分類)であるとし(制御部2は関連有りと判定)、例えば0.8未満の場合、比較的に共通して購入されにくいカテゴリー(分類)であるとして、共通する購買傾向を特定することができる。なお、リフト値の閾値を1.5とするのは例示であり、例えば、1.2から2.0の値を適宜用いるものであってもよい。
【0157】
図33は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者が買いやすい商品:買上率のリフト値)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、共通する購買履歴の特定処理として、対象薬剤患者が買いやすい商品の分類結果を、例えば、カテゴリー、又は単品毎にて出力する。情報処理装置1の制御部2は、商品のカテゴリー(分類)又は単品(商品名)それぞれにおいて、家族情報付き会員マスタテーブルに登録されている全員(全体)による買上率と、患者(抽出条件である処方箋医薬品が処方された患者)との買上率を示す数値それぞれを出力する。当買上率は、分母を全員(全体)の人数、又は抽出条件である処方箋医薬品が処方された全患者の人数とし、分子を当該商品のカテゴリーの購入者数として、算出される。
【0158】
情報処理装置1の制御部2は、商品のカテゴリー(分類)又は単品(商品名)それぞれにおいて、全体の買上率と、患者の買上率に基づき、対象薬剤患者が買いやすい商品であるかの指標を示すリフト値を算出(患者の買上率/全体の買上率)する。当該リフト値が、例えば1.5以上の場合、対応する商品のカテゴリー(分類)又は単品(商品名)は、患者(抽出条件である処方箋医薬品が処方された患者)において比較的に共通して購入されてやすいカテゴリー(分類)又は単品(商品名)であるとし(制御部2は関連有りと判定)、例えば0.8未満の場合、比較的に共通して購入されにくいカテゴリー(分類)又は単品(商品名)であるとして、共通する購買傾向を特定することができる。なお、リフト値の閾値を1.5とするのは例示であり、例えば、1.2から2.0の値を適宜用いるものであってもよい。
【0159】
図34は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(対象薬剤患者が初めて受診するまでに買うようになった商品)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、共通する購買履歴の特定処理として、対象薬剤患者が、初めて受診するまでに買うようになった商品(カテゴリー/商品)の分析結果を出力する。情報処理装置1の制御部2は、分析対象商品患者(新規患者)の購買推移分析として、例えば、商品のカテゴリーが皮膚トラブルケアを対象に初回受診週の前後の26週分の購入人数の推移をグラフ形式で出力する。当該分析結果により、例えば、初回受診週の3から6週前、及び9から10週前などにおいて、購入人数がピークとなるタイミングが複数あることを導出することができる。これにより、分析対象商品患者(新規患者)は、初回受診前に皮膚トラブル(湿疹・皮膚炎)をかかえていることが、購買傾向として把握することができる。従って、情報処理装置1の制御部2は、皮膚トラブルケア商品を買い始めた方は、所定週間後に対象薬剤が処方される、すなわち将来疾患になる可能性がある(患者予備軍)と推定することができる。
【0160】
図35は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(決定木分析結果)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、共通する購買履歴の特定処理として、対象薬剤患者が購入した各種の商品の関連性を出力する。情報処理装置1の制御部2は、決定木分析結果より購買傾向を特定するにあたり、分岐となる商品のカテゴリー(表示カテゴリー)を定め、当該表示カテゴリーそれぞれにおいて、非購買(≦0.5)の方はTrueへ進み、購買の方はFalseへ進むことにより、決定木を展開するものであってもよい。これにより、対象のカテゴリーを購入したことがあるか否かで分岐させることができ、決定木分析結果に基づき、例えば、特定の対象薬剤患者が購入する商品は、全体的に高齢者をイメージさせる商品が多いことを推定(導出)することができる。
【0161】
図36は、共通する購買履歴及び属性情報の特定処理(回帰分析結果)に関する説明図である。情報処理装置1の制御部2は、共通する購買履歴の特定処理として、対象薬剤患者が購入した各種の商品(カテゴリー)の回帰分析結果(統計的有意差があり、オッズ比が高いもの)を出力する。情報処理装置1の制御部2は、回帰分析結果として、性別に応じた偏回帰係数、P値、オッズ比及び推定した考察を出力するものであってもよい。更に、情報処理装置1の制御部2は、回帰分析結果として、対象薬剤患者が購入した各種の商品(カテゴリー)それぞれにおける偏回帰係数、P値、オッズ比及び推定した考察を出力するものであってもよい。情報処理装置1の制御部2は、例えばオッズ比に基づき、オッズ比が1を超える場合は、全体において購入している患者の確率が比較的に高いと推定し、オッズ比が1未満の場合は、患者の確率が比較的に低いと推定するものであってもよい。
【0162】
(付記1)情報処理システムは、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記購買データセットから購買データを抽出し、抽出した前記購買データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を推定する推定部と、
推定された前記一部の第1の対象者にて共通する購買履歴を出力する出力部とを備え、
前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【0163】
(付記2)情報処理システムは、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、前記複数の第1の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記属性データセットから属性データを抽出し、抽出した属性データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する属性情報を推定する推定部と、
推定された前記一部の第1の対象者にて共通する属性情報を出力する出力部とを備える。
【0164】
(付記3)情報処理システムは、付記1において、前記推定部は、更に、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、前記複数の第1の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、属性データセットから属性データを抽出し、抽出した属性データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する属性情報を推定し、
前記出力部は、更に、推定された前記一部の第1の対象者にて共通する属性情報を出力し、
前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【0165】
(付記4)情報処理システムは、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットとに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生すると推定される第2の対象者を前記第2の対象者の購買履歴から推定するための推定モデルを構築するモデル構築部と、
前記第2の対象者の購買履歴を記述する購買データを取得するデータ取得部と、
前記処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生する推定される第2の対象者を、前記購買データに記述される前記第2の対象者の購買履歴と前記推定モデルとに基づいて推定する推定部とを備え、
前記購買履歴は、前記第1の対象者及び第2の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者及び第2の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む。
【0166】
(付記5)情報処理システムは、付記1、付記3又は付記4において、前記推定部は、
前記購買履歴が、本人購入であるか代理購入であるかを判定し、
前記処方箋医薬品が処方されている前記対象者が、購入品利用者である購買履歴を推定する。
【0167】
(付記6)情報処理システムは、付記1、付記3、付記4又は付記5において、前記購買履歴に含まれる生活用品それぞれに対する購買層に関する情報を含む参照テーブルが記憶された記憶部を含み、
前記推定部は、
前記処方箋医薬品が処方されている前記対象者の属性に基づき、前記参照テーブルを参照することにより、前記購買履歴が、本人購入であるか代理購入であるかを判定する。
【0168】
(付記7)情報処理システムは、付記6において、前記参照テーブルは、処方箋医薬品に対応する疾患に関する情報を含み、
前記推定部は、
前記第1の対象者及び前記第1の対象者の家族に処方された処方箋医薬品に基づき、前記参照テーブルを参照することにより、前記購買履歴が、本人購入であるか代理購入であるかを判定する。
【0169】
(付記8)情報処理システムは、付記6又は付記8において、前記参照テーブルは、前記購買履歴に含まれる生活用品それぞれに対し、前記第1の対象者の家族構成に応じた複数のレコードが関連付けられており、
前記レコードそれぞれは、前記第1の対象者のための本人購入の確率、及び前記第1の対象者の家族のための代理購入の確率に関する情報を含む。
【0170】
(付記9)情報処理システムは、付記1、又は付記3から付記8のいずれか一つにおいて、前記購買データセットを生成する生成部を備え、
前記生成部は、
前記第1の対象者による購買履歴を、前記第1の対象者の家族の人数分に複製し、
前記複製した人数分の購買履歴を前記購買データセットに含ませ、
前記第1の対象者による購買履歴及び前記複製された購買履歴のうちのいずれかの購買履歴に対し、購買履歴が本人購入であるか代理購入であるかの判定結果を付与する。
【0171】
(付記10)情報処理方法は、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットと、前記複数の対象者の属性情報を記述する属性データセットに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品を抽出条件として、前記購買データセット及び前記属性データセットから購買データ及び属性データを抽出し、抽出した前記購買データ及び前記属性データを用いて、前記いずれかの処方箋医薬品が処方されている全ての第1の対象者において、一部の第1の対象者にて共通する購買履歴及び属性情報を推定部に推定させ、
推定された前記一部の第1の対象者にて共通する購買履歴及び属性情報を出力部に出力させ、
前記購買履歴は、前記第1の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む
処理をコンピュータに実行させる。
【0172】
(付記11)情報処理方法は、複数の対象者が処方されている処方箋医薬品を記述する処方箋データセットと、複数の第1の対象者の購買履歴を記述する購買データセットとに基づいて、前記処方箋データセットに含まれる処方箋医薬品のうち、いずれかの処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生すると推定される第2の対象者を前記第2の対象者の購買履歴から推定するための推定モデルをモデル構築部に構築させ、
前記第2の対象者の購買履歴を記述する購買データをデータ取得部に取得させ、
前記処方箋医薬品に対応する疾患が将来発生する推定される第2の対象者を、前記購買データに記述される前記第2の対象者の購買履歴と前記推定モデルとに基づいて推定部に推定させ、
前記購買履歴は、前記第1の対象者及び第2の対象者が購入品利用者である本人購入による購買履歴と、前記第1の対象者及び第2の対象者の家族が購入品利用者である代理購入による購買履歴とを含む
処理をコンピュータに実行させる。
【0173】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0174】
S 購買調剤システム(情報処理システム)
N 外部ネットワーク
TS 店舗サーバ
HS 保険薬局サーバ
GS 外部サーバ
1 情報処理装置
2 制御部
21 取得部
22 疾患特定部
23 DB登録部
24 生活用品分析モデル
25 疾患レポート生成部
26 出力部
27 疾患想定者判定部
28 生活者レポート生成部
201 第1学習モデル
202 第2学習モデル
3 記憶部
31 記録媒体
P プログラム(プログラム製品)
300 購買調剤DB
4 通信部