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  • 特開-スイッチギヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174659
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20241210BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02B1/30 F
H02B3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092598
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩満 智宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛貴
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016CB01
(57)【要約】
【課題】隣り合う電力機器の間に絶縁バリアが配置されることで、スペースが比較的狭いスイッチギヤであっても、例えばメンテナンス等の作業時において、作業性を損なうことを軽減できるスイッチギヤを提供する。
【解決手段】スイッチギヤ100は、前面に開口面を有する筐体1と、筐体1内において、左右方向に並ぶように配置された複数の電力機器2と、複数の電力機器2の間に配置された絶縁バリア4と、筐体1に設けられ絶縁バリア4を前方向に移動可能に保持するレール32と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口面を有する筐体と、
前記筐体内において、左右方向に並ぶように配置された複数の電力機器と、
前記複数の電力機器の間に配置された絶縁バリアと、
前記筐体に設けられ前記絶縁バリアを前後方向に移動可能に保持するレールと、
を備える、
スイッチギヤ。
【請求項2】
前記筐体は、前記複数の電力機器の上方に配置された水平板を有し、
前記レールが前記水平板に設けられている、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記遮蔽板は、
前記レールに対してスライド可能に装着されたスライダと、
前記スライダに吊られた絶縁バリア本体と、
を有する、
請求項2に記載のスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のスイッチギヤが開示されている。特許文献1に記載のスイッチギヤは、筐体内に複数の電力機器(特許文献1では遮断器)が配置されている。電力機器の間には、板状の絶縁バリア(相間絶縁バリア及び対地間絶縁バリア)が配置されている。絶縁バリアは、固定電極に固定された連結体に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-299211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のスイッチギヤにおいて、隣り合う絶縁バリアの間は、比較的狭いスペースであるため、絶縁バリアを設置する際に、作業性が悪いうえに、複数人での作業が難しいという問題がある。また、電力機器のメンテナンスの作業の際にも、隣り合う絶縁バリアの間が比較的狭いスペースであり、作業スペースが限られているため、例えば、手の届きにくい部位の清掃性、グリスアップ等の作業性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、隣り合う電力機器の間に絶縁バリアが配置されることで、スペースが比較的狭いスイッチギヤであっても、例えばメンテナンス等の作業時において、作業性を損なうことを軽減できるスイッチギヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様のスイッチギヤは、前面に開口面を有する筐体と、前記筐体内において、左右方向に並ぶように配置された複数の電力機器と、前記複数の電力機器の間に配置された絶縁バリアと、前記筐体に設けられ前記絶縁バリアを前方向に移動可能に保持するレールと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る上記態様のスイッチギヤは、隣り合う電力機器の間に絶縁バリアが配置されることで、スペースが比較的狭いスイッチギヤであっても、例えば、メンテナンス等の作業時において、作業性を損なうことを軽減できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るスイッチギヤの正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るスイッチギヤに用いられる支持装置及び絶縁バリアの模式斜視図である。
図3図2におけるA-A線での断面図である。
図4図2におけるB-B線での断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る支持装置に対して、絶縁バリアが移動することを説明する模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
本実施形態に係るスイッチギヤ100は、例えば、ビル、工場等の施設に設置される受容変電設備である。スイッチギヤ100は、屋外に設置されてもよいし、屋内に設置されてもよい。スイッチギヤ100は、複数の配電盤10を有することが好ましい。スイッチギヤ100は、特に図示しないが、複数の配電盤10が一方向に並び、隣り合う配電盤10同士が互いに連結されていることが好ましい。各配電盤10は、図1に示すように、筐体1と、筐体1内に設置された電力機器2と、電力機器2の間に配置された絶縁バリア4と、支持装置3と、を備える。支持装置3は、図2に示すように、絶縁バリア4を前後方向に移動可能に保持するレール32を有している。
【0010】
このように構成されていることで、絶縁バリア4を前方に移動させることができるため、隣り合う絶縁バリア4の対向間の距離が短い場合であっても、電力機器2のメンテナンス等の作業や、設置時の組立ての作業性が損なわれることを軽減でき、作業性を向上できる。
【0011】
以下では、説明の便宜上、図1に示すように「左右方向」を定義し、図1において紙面奥手前方向を「前後方向」として定義し、特に図1における奥から手前に向かう方向を「前方向」として定義する。また、左右方向及び前後方向に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、説明のために定義したものに過ぎず、使用態様を特定する意図はない。
【0012】
本明細書において「平行」とは、2つの直線、面等(以下、直線等)が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線等が90°±10°の範囲で交わる場合を意味する。ただし、2つの直線等が直接交わっていなくても、延長した場合に交わる場合には「直交」に含まれる。
【0013】
(筐体1)
図1には、1つの配電盤10の正面図を示す。筐体1は、一対の側板11、天板12及び底板13を有する箱体であり、前面及び後面に開口面を有する。天板12は、電力機器2の上方において水平面に沿う水平板である。底板13は、電力機器2の下方において水平面に沿う水平板である。筐体1の前面の開口面は、図示しない正面扉によって開閉可能に閉じられる。また、筐体1の後面の開口面は、図示しない背面扉によって開閉可能に閉じられる。
【0014】
筐体1の材料は、金属板であることが好ましい。ただし、筐体1の材料は、金属板に限らず、例えば、合成樹脂、カーボン、ガラス、陶器、セラミックス等であってもよい。
【0015】
(電力機器2)
電力機器2は、電力の供給を受けて駆動する機器である。電力機器2としては、特に制限はなく、一例として、固定電極と可動電極とを有する断路器を例示することができる。隣り合う電力機器2において、絶縁が必要な部分(ここでは、固定電極と可動電極)同士の間には、絶縁バリア4が配置される。
【0016】
(支持装置3)
支持装置3は、筐体1に取り付けられ、絶縁バリア4を保持する。支持装置3は、図2に示すように、筐体1に取り付けられる複数の取付具31と、取付具31に固定された複数のレール32とを備える。本実施形態に係る支持装置3は、図1に示すように、筐体1の天板12に取り付けられている。
【0017】
取付具31は、天板12に固定される固定プレート311と、固定プレート311から下方に突き出る一対の支柱312と、を備える。天板12に対する固定プレート311の固定方法としては、例えば、溶接、ねじ止め、リベット止め、ボルト・ナット等が挙げられる。支柱312の下端には、レール32が取り付けられる。支柱312に対するレール32の取付け方法としては、天板12に対する固定プレート311の固定方法と、同様の方法を挙げることができる。
【0018】
複数の取付具31は、前後方向に間隔をおいて配置される。複数の取付具31には、前後方向に延びたレール32が架け渡されて取り付けられる。複数のレール32は、左右方向に間隔をおいて配置される。
【0019】
レール32は、図3に示すように、絶縁バリア4を保持する。レール32は、レール32の長手方向に直交する横断面において、下面に開口面321を有するC字状に形成されていることが好ましい。開口面321は、前後方向に延びたスリット状に形成されている。これによって、後述の絶縁バリア4のスライダ6を、スライド可能に吊持することができる。
【0020】
前後方向に延びるレール32は、前後方向に連続した1つのレール32で構成されることが好ましい。これによって、絶縁バリア4をスムーズに前後方向に移動させることができる。ただし、レール32は、前後方向において、複数に分割されてもよい。分割したレール32は接続されてもよいし、スライダ6の前後方向の長さよりも短い距離であれば離れていてもよい。
【0021】
(絶縁バリア4)
絶縁バリア4は、隣り合う電力機器2の間に配置される。絶縁バリア4によれば、隣り合う電力機器2同士を絶縁できる。絶縁バリア4は、図2に示すように、スライダ6と、絶縁バリア本体5を備える。
【0022】
スライダ6は、レール32に沿って移動する。断面視において、スライダ6の形状は、略T字状であることが好ましい。ただし、スライダ6の形状としては、例えば、L字状、Y字状、J字状等であってもよい。スライダ6には、絶縁バリア本体5が吊り下げられる。スライダ6は、レール32に対して前方向に移動し、レール32の端部を前方向に超えると、レール32から外すことができる。
【0023】
絶縁バリア本体5は、図2に示すように、前側に配置された第1板51と、第1板51の後側に配置された第2板52と、連結部材53と、を備える。本実施形態に係る絶縁バリア本体5は、剛性を有する板体であることが好ましい。なお、絶縁バリア本体5は、1つの板材で構成されてもよい。隣り合う絶縁バリア本体5の間の距離W1は、例えば、20cm以上30cm以下である。
【0024】
第1板51の前後方向の長さは、第2板52の前後方向の長さよりも小さいことが好ましい。これによって、作業者は、例えば、作業時に必要な最小限の範囲の第1板51のみを前方に移動させることができる。
【0025】
絶縁バリア本体5の材料としては、例えば合成樹脂、カーボン等が挙げられる。入手のしやすさ、加工のしやすさ等のコストのバランスから、絶縁バリア本体5の材料には合成樹脂が用いられることが好ましい。
【0026】
連結部材53は、第1板51と第2板52とが、主面に直交する方向に離れるのを規制する部材である。図4に示すように、連結部材53の前側の端部531は、第1板51にねじ具により固定されている。連結部材53の後側の端部532は、第1板51に対して離れている。第2板52の前端部は、連結部材53の後側の端部532と第1板51との間に差し込まれる。このように構成することで、連結部材53は、第1板51の後端部と第2板52の前端部とを重ねた状態で、左右方向において、第1板51と第2板52とが離れるのを防ぐことができる。また、第1板51を前方向に移動させた場合には、第2板52を残したまま、第1板51のみを移動させることができる。
【0027】
絶縁バリア4は、図5に示すように、レール32に対してスライダ6が前後方向に移動可能であるため、レール32に対して絶縁バリア本体5を前後方向に平行移動させることができる。このため、隣り合う絶縁バリア4の対向間の距離が短い場合であっても、電力機器2のメンテナンス等の作業の作業性が損なわれることを軽減でき、作業性を向上できる。
【0028】
設置された状態の絶縁バリア4は、図1に示すように、筐体1の底板13に固定された固定金具7に連結される。固定金具7は、略L字状に形成されている。遮蔽板4と固定金具7とは、例えば、ねじ等の連結具によって取外し可能に連結される。これによって、電力機器2の使用時において、絶縁バリア4が移動することを防ぐことができる。
【0029】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0030】
上記実施形態に係るレール32は、取付具31を介して天板12に取り付けられたが、電力機器2の上方にある水平板であれば、取付け対象は天板12でなくてもよい。例えば、棚板や水平な仕切り板等のような水平板の下面に、レール32が設けられてもよい。
【0031】
レール32は、取付具31によって筐体1に取り付けられたが、天板12の下面に対し、上方に凹む凹状の溝を設け、当該溝をレール32としてもよい。また、レール32としては、絶縁バリア4を挟んで自立させることができる突条を、底板13に設けてもよい。
【0032】
配電盤10としては、例えば、変圧器2次盤、母線連絡盤、受電盤、配電線盤、変圧器1次盤、所内変圧器盤、VCT盤等であってもよく、絶縁が必要な箇所であれば適宜適用することができる。
【0033】
上記実施形態のスイッチギヤ100では、一対の側板11の間に、複数の絶縁バリア4が配置されたが、一対の側板11の間に1つの絶縁バリア4が配置された構造であってもよい。この場合、側板11と絶縁バリア4との間の距離が短くても、作業スペースを確保できる。
【0034】
絶縁バリア本体5の下端部には、電力機器2の大きさに応じて適宜、垂下板を設けてもよい。垂下板は、絶縁バリア本体5の下端部に対して、上下方向にスライド可能に取り付けられてもよいし、固定的に設けられてもよい。
【0035】
上記実施形態では、主に、第1板51を移動させることで、作業スペースを確保することを説明したが、第1板51及び第2板52の両方を前方に移動させてもよい。
【0036】
上記実施形態に係る絶縁バリア4は、絶縁バリア本体5が剛性のある板体で構成されたが、これに限らず、例えば、絶縁バリア本体5が柔軟性を有する板体(柔軟シート)等で構成されてもよい。また、絶縁バリア4の厚さには特に制限はないが、本明細書において「板」とは、縦辺及び横辺のうちの長いほうの辺の10%以下の厚さを有する材料を意味する。例えば、絶縁バリア4では、上下方向の長さの10%以下の厚さを有する材料であれば、「板」又は「板状」であるとする。
【0037】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るスイッチギヤ100は、前面に開口面を有する筐体1と、筐体1内において、左右方向に並ぶように配置された複数の電力機器2と、複数の電力機器2の間に配置された絶縁バリア4と、筐体1に設けられ絶縁バリア4を前後方向に移動可能に保持するレール32を備える。
【0038】
この態様によれば、絶縁バリア4を前方に移動させることができるため、隣り合う絶縁バリア4の対向間の距離が短い場合であっても、電力機器2のメンテナンス等の作業の作業性が損なわれることを軽減でき、作業性を向上できる。したがって、隣り合う電力機器2の間に絶縁バリア4が配置されることで、スペースが比較的狭いスイッチギヤ100であっても、作業時において、作業性を損なうことを軽減できる。
【0039】
第2の態様に係るスイッチギヤ100では、第1の態様において、筐体1は、複数の電力機器2の上方に配置された水平板を有し、レール32が水平板に設けられている。この態様によれば、絶縁バリア4がレール32によって吊られているので、絶縁バリア4が重くても、移動させやすい。
【0040】
第3の態様に係るスイッチギヤ100では、第2の態様において、絶縁バリア4は、レール32に対してスライド可能に装着されたスライダ6と、スライダ6に吊られた絶縁
バリア本体5と、を有する。この態様によれば、スライダ6を取り付けた絶縁バリア本体5をレール32に取り付けるだけで、移動可能な絶縁バリア4を構成することができる。
【符号の説明】
【0041】
100 スイッチギヤ
1 筐体
2 電力機器
3 支持装置
31 取付具
32 レール
4 絶縁バリア
5 絶縁バリア本体
51 第1板
52 第2板
53 連結部材
6 スライダ
図1
図2
図3
図4
図5