(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174660
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】下部ノズル着脱装置
(51)【国際特許分類】
B22D 41/34 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B22D41/34 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092600
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000170716
【氏名又は名称】黒崎播磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 勇介
(72)【発明者】
【氏名】尾上 雄大
(72)【発明者】
【氏名】二村 麻熙
(72)【発明者】
【氏名】吉村 守
【テーマコード(参考)】
4E014
【Fターム(参考)】
4E014MA08
4E014MA18
(57)【要約】
【課題】下部ノズルの着脱を確実に行うことのできる下部ノズル着脱装置を提供する。
【解決手段】スライディングノズル装置7に装着されている耐火物製の下プレートに対して、耐火物製の下部ノズル72を着脱するための下部ノズル着脱装置Aであって、下部ノズル72を保持する保持金枠に着脱可能な保持具1、保持具1を先端に有するロボットアーム2、ロボットアーム2の動作に伴い保持具1が前記保持金枠より受ける前後方向の反力及び回転方向の反力を検出する力センサ3、並びにロボットアーム2の動作を監視し制御する制御部21を含む。制御部21は、力センサ3が検出する各反力、並びにロボットアーム2の前後方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながら当該ロボットアーム2の動作を制御することにより下部ノズル72の着脱を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライディングノズル装置に装着されている耐火物製の下プレートに対して、耐火物製の下部ノズルを着脱するための下部ノズル着脱装置であって、
前記下部ノズルを保持する保持金枠に着脱可能な保持具、この保持具を先端に有するロボットアーム、このロボットアームの動作に伴い前記保持具が前記保持金枠より受ける前後方向の反力及び回転方向の反力を検出する力センサ、並びに前記ロボットアームの動作を監視し制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記力センサが検出する各反力、並びに前記ロボットアームの前後方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながら当該ロボットアームの動作を制御することにより下部ノズルの着脱を実行する、下部ノズル着脱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記下部ノズルの取外しの際に前記力センサが検出する各反力がそれぞれ所定の設定値に達することなく、前記ロボットアームの後方向の動作量及び回転方向の動作量がそれぞれ所定の設定値に達した場合、当該下部ノズルの取外しが正常に完了したと判断する、請求項1に記載の下部ノズル着脱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記下部ノズルの取外しの際に前記力センサが検出する各反力の少なくとも一方が所定の設定値に達した場合、取外し異常と判断して前記ロボットアームの動作を停止する、請求項2に記載の下部ノズル着脱装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記下部ノズルの取付けの際に前記力センサが検出する各反力がそれぞれの所定の設定値に達し、かつ前記ロボットアームの前方向の動作量及び回転方向の動作量がそれぞれ所定の設定値に達した場合、当該下部ノズルの取外しが正常に完了したと判断する、請求項1に記載の下部ノズル着脱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記下部ノズルの取付けの際に前記力センサが検出する各反力の少なくとも一方が所定の設定値に達した時点で、前記ロボットアームの前方向の動作量及び回転方向の動作量の少なくとも一方が所定の設定値に達していない場合、取付け異常と判断して前記ロボットアームの動作を停止する、請求項4に記載の下部ノズル着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鋼の連続鋳造において、溶鋼流量を制御するスライディングノズル装置に使用される下部ノズルの取付け/取外し、すなわち着脱を行うための下部ノズル着脱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鋼の連続鋳造で使用されるスライディングノズル装置において、通常、溶鋼流量を制御するプレートれんが、すなわち下プレートの下面側には、溶鋼の流れを整流するために耐火物製のノズル、すなわち下部ノズルを配置している。この下部ノズルは飛散するスプラッシュの付着や酸素洗浄によるダメージでプレート寿命より早く交換が必要となる。そのため、通常、下部ノズルは、単独で交換可能となるように、下プレートを収納するプレート収納金枠の下面側に固定されている円筒状のスリーブ金物に対して、下部ノズルを保持する円環状の保持金枠を介してバイヨネット機構によって保持されている。
【0003】
このような下部ノズル及びその保持金枠を着脱するための装置として、例えば特許文献1には、トルクと回転角が制御できる駆動機構を含む着脱装置が開示されている。また特許文献2には、規定のトルクで下部ノズルの保持金枠を回転させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-254670号公報
【特許文献2】特表2016-525452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らが下部ノズルの着脱試験を重ねたところ、従来技術のようにトルク及び回転角を制御するだけでは、下部ノズルの着脱を確実に行うことができないことがわかった。すなわち、下部ノズルは使用前と使用後で大きく溶損し形状が変化し、また、下部ノズルの保持金枠やスリーブ金物も温度変化による熱膨張や外力による変形が大きいため着脱時の摩擦抵抗が大きく変化する。そのため、トルク及び回転角を制御するだけでは下部ノズルの着脱を確実に行うことができない。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、下部ノズルの着脱を確実に行うことのできる下部ノズル着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者らが下部ノズルの着脱試験を更に重ねた結果、下部ノズルの着脱時のロボットアームの動作制御において、ロボットアームに作用する前後方向及び回転方向の各反力、並びにロボットアームの前後方向及び回転方向の各動作量を監視しながらロボットアームの動作を制御することが有効であることがわかった。
【0008】
すなわち本発明の一観点によれば、次の下部ノズル着脱装置が提供される。
スライディングノズル装置に装着されている耐火物製の下プレートに対して、耐火物製の下部ノズルを着脱するための下部ノズル着脱装置であって、
前記下部ノズルを保持する保持金枠に着脱可能な保持具、この保持具を先端に有するロボットアーム、このロボットアームの動作に伴い前記保持具が前記保持金枠より受ける前後方向の反力及び回転方向の反力を検出する力センサ、並びに前記ロボットアームの動作を監視し制御する制御部を含み、
前記制御部は、前記力センサが検出する各反力、並びに前記ロボットアームの前後方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながら当該ロボットアームの動作を制御することにより下部ノズルの着脱を実行する、下部ノズル着脱装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下部ノズルの着脱を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態である下部ノズル着脱装置の全体構成図。
【
図2】
図1の下部ノズル着脱装置の使用状態を示す要部の断面図。
【
図3】
図1の下部ノズル着脱装置における保持具及び着脱される下部ノズル等を示す分解側面図。
【
図4】
図1の下部ノズル着脱装置における保持具及び着脱される下部ノズル等を示す分解斜視図。
【
図5】
図1の下部ノズル着脱装置における保持具を単体で示す斜視図。
【
図6A】
図1の下部ノズル着脱装置による下部ノズルの取外し動作において、保持具を保持金枠に係合させた状態を示す要部の斜視図。
【
図7A】
図6Aの状態から保持具を反時計回り方向に回転させながら後方向に移動させて、下部ノズルを取り外した状態を示す要部の斜視図。
【
図8A】
図7Aの状態から保持具を後方向に移動させて、下部ノズルを保持する保持金枠をスリーブ金物から取り外した状態を示す要部の斜視図。
【
図9A】
図8Aの状態から保持具を後方向に移動させて、下部ノズルをスリーブ金物から抜き取った状態を示す要部の斜視図。
【
図10A】
図1の下部ノズル着脱装置による下部ノズルの取付け動作において、下部ノズルを保持した保持金枠を保持具に取り付けた状態を示す要部の斜視図。
【
図11A】
図10Aの状態から保持具を前方向に移動させて、保持金枠の突起をスリーブ金物の溝に嵌め込んだ状態を示す要部の斜視図。
【
図12A】
図11Aの状態から保持具を時計回り方向に回転しながら前方向に移動させて、下部ノズルを下プレートに取り付けた状態を示す要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、本発明の一実施形態である下部ノズル着脱装置Aの全体構成を示している。また
図2には、下部ノズル着脱装置Aの使用状態を要部の断面で示している。
図1において、鋳造が終わった直後の取鍋4が床5に設置された取鍋受部6の上で横に倒されている。この取鍋の底41にはスライディングノズル装置7が取り付けられ、
図1の状態では摺動方向がほぼ鉛直となっている。
下部ノズル着脱装置Aは、スライディングノズル装置7に装着されている耐火物製の下プレート71(
図2参照)に対して、耐火物製の下部ノズル72を着脱するための装置である。
図2に表れているように下部ノズル72は、下プレート71を収納するプレート収納金枠73の下面側に固定されている円筒状のスリーブ金物74に対して、下部ノズル72を保持する円環状の保持金枠75を介してバイヨネット機構によって保持されている。
【0012】
下部ノズル着脱装置Aは、下部ノズル72を保持する円環状の保持金枠75に着脱可能な保持具1、この保持具1を先端に有するロボットアーム2、このロボットアーム2の動作に伴い保持具1が保持金枠75より受ける前後方向の反力及び回転方向の反力を検出する力センサ3、並びにロボットアーム2の動作を監視し制御する制御部21を含む。
図1に示しているように、本実施形態においてロボットアーム2は、その基端が床5に設置されたロボットアーム用の架台22に固定されている。そして、このロボットアーム2の先端部に力センサ3が取り付けられている。このとき、力センサ3とロボットアーム2の先端部とは中心軸が一致するように直列に配置される。なお、力センサ3は、ロボットアーム2から独立して保持具1側に設けることもできる。この場合も、力センサ3とロボットアーム2の先端部とは中心軸が一致するように直列に配置される。なお、このように反力を検出する力センサは、力覚センサとも称されておりロボットアーム等に一般的に使用されているものを使用することができ、本実施形態では力センサ3として6軸力センサを使用している。また、ロボットアーム2は6軸の垂直多関節ロボットアームであり、その先端に取り付けられた保持具1の姿勢や位置を自在に動かすことが可能である。
【0013】
本実施形態においてロボットアーム2の先端部分には、カメラとレーザー照射機を有する立体センサ23が取り付けられている。カメラで撮影された画像は画像処理装置に入力されて、画像処理法によって3次元位置座標が補正される。この座標情報を制御部21に入力することで、ロボットアーム2は、保持具1を、下部ノズル72を着脱するための所定位置まで移動することができる。一方、力センサ3が検出する上述の各反力(前後方向の反力及び回転方向の反力)は、常に制御部21に入力されている。そして詳細は後述するが、制御部21は、力センサ3が検出する上述の各反力、並びにロボットアーム2の前後方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながらロボットアーム2の動作を制御することにより、下部ノズル72の着脱を実行する。なお、ロボットアーム2の前後方向の動作量及び回転方向の動作量は、ロボットアーム2自体で認識する。すなわち、ロボットアーム2は、前後方向及び回転方向の動作をさせるためのエンコーダ付モータを有し、そのエンコーダ値に基づいて制御部21が前後方向の動作量及び回転方向の動作量を認識する。
【0014】
次に、保持具1の構成について説明する。
図3及び
図4には、保持具1と、この保持具1を含む下部ノズル着脱装置Aにより着脱される下部ノズル72等とを分解して示している。また、
図5には保持具1単体を斜視図で示している。なお、
図3及び
図4においてプレート収納金枠は省略している。
図2並びに
図3から
図5に表れているように、保持具1は、基体11と、この基体11に取り付けられた、芯棒12、係止ピン13及びクランプ14を有する。
基体11は、下部ノズル72の下端部を挿入可能な空間111を有する円環状の構造体であり、その基端部がロボットアーム2の先端に取り付けられる。
芯棒12は、空間111の中心軸に沿って設けられ、使用時には例えば
図2に示すように下部ノズル72のノズル孔721に挿入され、その下部ノズル72を保持する。
係止ピン13は、基体11の先端部から更に突出するように2箇所に設けられ、クランプ14は、一方の係止ピン13の近傍に設けられている。なお、係止ピン13及びクランプ14の機能等については後述する。
【0015】
保持具1に着脱される保持金枠75は、その下端側に、係止ピン13と係合する係合溝751と、係止ピン13が挿入されて係合する係合孔752をそれぞれ2箇所に有する。詳細は後述するが、係合溝751は下部ノズル72を取り外すときに係止ピン13と係合し、係合孔752は下部ノズル72を取り付けるときに係止ピン13と係合する。すなわち、下部ノズル72を取り外すときは、係止ピン13の回転方向の位置にばらつきがあるため干渉しないように、係止ピン13は溝形状の係合溝751と係合させる。一方、下部ノズル72を取り付けるときは、作業者が保持金枠75の位置を微調整することができるため、係止ピン13は孔形状の係合孔752と係合させる。なお、
図2には、取付け時の状態、すなわち係合孔752が係止ピン13と係合した状態を示している。
保持金枠75は下部ノズル72を保持した状態で、スリーブ金物74に対してバイヨネット機構によって着脱される。具体的にはバイヨネット機構として、保持金枠75はその外周面の3箇所に突起753を有し、スリーブ金物74は突起753を嵌め込むための螺旋状の溝741を3箇所に有する。
【0016】
次に、下部ノズル着脱装置Aの動作について説明する。最初に下部ノズルを取り外す際の取外し動作について説明する。
まず、スライディングノズル装置7に設けた撮影基準部であるマーカー(図示省略)に向けて、立体センサ23のレーザー照射機からレーザーを照射してカメラで撮影し画像処理することでスライディングノズル装置7の基準位置とのズレを計算してスライディングノズル装置7の3次元位置座標を補正する。このスライディングノズル装置7の補正位置を制御部21に入力することで、ロボットアーム2が動作して、ロボットアーム2に取り付けられた保持具1がスライディングノズル装置7に取り付けられた下部ノズル72の手前の所定位置まで移動する。なお、
図1はこの所定位置まで移動する途中の状態を示している。
【0017】
本実施形態において制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により、保持具1を上述の所定位置まで移動させ、その所定位置で一旦停止させた後に、更に下部ノズル72に向けて前方向に移動させる。これにより、上述の2箇所の係止ピン13が2箇所の係合溝751とそれぞれ係合すると共に、芯棒12がノズル孔721に挿入される。
図6A及び
図6Bには、この状態を斜視図及び縦断面で示している。なお、
図6A及び
図6Bにおいてプレート収納金枠は省略している。以降の図面においても同様である。
【0018】
図6A及び
図6Bの状態から制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により、上述のバイヨネット機構が緩む方向(本実施形態では反時計回り方向)に保持具1を回転させると共に、下部ノズル72を取り外す方向、すなわち後方向へ保持具1を移動させる。このとき制御部21は、力センサ3が検出する上述の各反力、並びにロボットアーム2の後方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながらロボットアーム2の動作を制御する。具体的に本実施形態では、力センサ3が検出する上述の各反力がそれぞれ所定の設定値に達することなく、ロボットアーム2の後方向の動作量及び回転方向の動作量が所定のタイミングでそれぞれ所定の設定値に達した場合、下部ノズル72の取外しが正常に完了したと判断する。
図7A及び
図7Bには、この状態を斜視図及び縦断面で示している。すなわち、この状態ではバイヨネット機構が正常に解除されており、この段階で下部ノズル72の取外しが完了したと判断することができる。なお、本実施形態において、
図6A及び
図6Bの状態から
図7A及び
図7Bの状態までのロボットアーム2の後方向及び回転方向の動作量は、それぞれ3mm程度及び25度程度である。
【0019】
その後、制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により保持具1を更に後方向へ移動させ、
図8A及び
図8Bに示しているように下部ノズル72を保持する保持金枠75をスリーブ金物74から取り外す。続いて制御部21は必要に応じて、ロボットアーム2を例えば上下方向に動作させることにより、下部ノズル72と下プレート71との間のシール目地を分離する。そして制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により保持具1を更に後方向へ移動させる。これにより、
図9A及び
図9Bに示すように下部ノズル72をスリーブ金物74から抜き取ることができる。更に制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により、保持具1を下方に傾ける。これにより下部ノズル72のみを落下させ、廃棄することができる。なお、保持具1を下方に傾ける際、上述のクランプ14を作動させることで、係止ピン13と係合溝751とを確実に係合させることができる。これにより、保持具1を下方に傾けたときに保持金枠75は落下することなく、下部ノズル72のみが確実に落下する。
【0020】
他方で制御部21は、下部ノズル72の取外しの際、力センサ3が検出する上述の各反力の少なくとも一方が所定のタイミングで所定の設定値に達した場合、取外し異常と判断してロボットアーム2の動作を停止する。すなわち、力センサ3が検出する各反力の少なくとも一方が所定の設定値に達したということは、上述のバイヨネット機構における摩擦抵抗が増大するなどして、バイヨネット機構が緩みにくくなっているということであり、そのまま取外し動作を継続すると、保持具1やロボットアーム2等の損傷を招くおそれがある。したがって本実施形態において制御部21は、力センサ3が検出する各反力の少なくとも一方が所定の設定値に達した場合、取外し異常と判断してロボットアーム2の動作を停止する。なお、制御部21はロボットアーム2の動作を停止した後、ロボットアーム2を一旦逆方向に動作させ、その後、上述の取外し動作を再開することもできる。
【0021】
次に、下部ノズルを取り付ける際の取付け動作について説明する。
まず、ロボットアーム2の先端に取り付けた保持具1に、下部ノズル72を保持した保持金枠75を取り付ける。具体的に本実施形態では、保持金枠75の係合孔752に保持具1の係止ピン13を挿入することで、下部ノズル72を保持した保持金枠75を保持具1に取り付ける。
図10A及び
図10Bには、この状態を斜視図及び縦断面で示している。なお、上述の、保持具1に下部ノズル72を保持した保持金枠75を取り付ける作業は、作業者が行うことができる。またこのとき、下部ノズル72の上端面にシール目地材を塗布又は設置することができる。
【0022】
続いて、上述の取外し動作のときと同様に、スライディングノズル装置7に設けた撮影基準部であるマーカー(図示省略)に向けて、立体センサ23のレーザー照射機からレーザーを照射してカメラで撮影し画像処理することでスライディングノズル装置7の基準位置とのズレを計算してスライディングノズル装置7の3次元位置座標を補正する。このスライディングノズル装置7の補正位置を制御部21に入力することで、ロボットアーム2が動作して、保持具1に取り付けられた保持金枠75及び下部ノズルが、スライディングノズル装置7に固定されているスリーブ金物74の手前の所定位置まで移動する。
【0023】
本実施形態において制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により、保持具1を上述の所定位置まで移動させ、その所定位置で一旦停止させた後に、更にスリーブ金物74に向けて前方向に移動させる。これにより、下部ノズル72の上端面(シール目地材)が下プレート71に接触すると共に保持金枠75の突起753がスリーブ金物74の溝741に嵌まり込み、バイヨネット機構が構成可能な位置となる。
図11A及び
図11Bには、この状態を斜視図及び縦断面で示している。
【0024】
この状態から制御部21は、ロボットアーム2の動作制御により、上述のバイヨネット機構が締まる方向(本実施形態では時計回り方向)に保持具1を回転させると共に、下部ノズル72を取り付ける方向、すなわち前方向へ保持具1を移動させる。このとき制御部21は、力センサ3が検出する上述の各反力、並びにロボットアーム2の前方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながらロボットアーム2の動作を制御する。具体的に本実施形態では、力センサ3が検出する上述の各反力が所定のタイミングでそれぞれの所定の設定値に達し、かつロボットアーム2の前方向の動作量及び回転方向の動作量がそれぞれ所定の設定値に達した場合、下部ノズル72の取付けが正常に完了したと判断する。
図12A及び
図12Bには、この状態を斜視図及び縦断面で示している。
【0025】
その後、制御部21はロボットアーム2の動作制御により、保持具1を後方向に移動させる。これにより、保持具1の係止ピン13が保持金枠75の係合孔752から外れ、保持具1のみが後方向に移動する。
【0026】
他方で制御部21は、下部ノズル72の取付けの際、力センサ3が検出する上述の各反力の少なくとも一方が所定のタイミングで所定の設定値に達した時点で、ロボットアームの前方向の動作量及び回転方向の動作量の少なくとも一方が所定の設定値に達していない場合、取付け異常と判断してロボットアーム2の動作を停止する。すなわち、この場合は、上述のバイヨネット機構における摩擦抵抗が増大するなどしてバイヨネット機構が締まりにくくなっているということであり、そのまま取付け動作を継続すると、保持具1やロボットアーム2等の損傷を招くおそれがある。したがって本実施形態において制御部21は、力センサ3が検出する各反力の少なくとも一方が所定の設定値に達した時点で、ロボットアームの前方向の動作量及び回転方向の動作量の少なくとも一方が所定の設定値に達していない場合、取付け異常と判断してロボットアーム2の動作を停止する。なお、制御部21はロボットアーム2の動作を停止した後、ロボットアーム2を一旦逆方向に動作させ、その後、上述の取付け動作を再開することもできる。
【0027】
以上の通り本実施形態において制御部21は、力センサ3が検出する上述の各反力、並びにロボットアーム2の前後方向の動作量及び回転方向の動作量を監視しながらロボットアーム2の動作を制御することにより下部ノズルの着脱を実行する。これにより、下部ノズル72の着脱を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
A 下部ノズル着脱装置
1 保持具
11 基体
111 空間
12 芯棒
13 係止ピン
14 クランプ
2 ロボットアーム
21 制御部
22 架台
23 立体センサ
3 力センサ
4 取鍋
41 取鍋の底
5 床
6 取鍋受部
7 スライディングノズル装置
71 下プレート
72 下部ノズル
721 ノズル孔
73 プレート収納金枠
74 スリーブ金物
741 溝
75 保持金枠
751 係合溝
752 係合孔
753 突起