(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174666
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電池検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092610
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】安田 吉輝
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB02
2G051AB07
2G051AC02
2G051BA10
2G051CA04
2G051EC01
(57)【要約】
【課題】サイクルタイムを短縮しつつ、精度よく二次電池の電池外装の検査を行う。
【解決手段】電池検査装置は、所定の領域が写っている電池の外装の形状画像を生成する形状画像生成部11と、形状画像生成部11で生成された形状画像から、電池の外装の欠陥の有無を判定する欠陥有無判定部12と、欠陥有無判定部12により電池の外装に欠陥があると判定された場合に、欠陥の座標を導出する欠陥座標導出部13と、欠陥座標導出部13により導出された欠陥の座標を含め、かつ、形状画像に写っている電池外装の領域より狭い領域で、電池の外装の三次元形状の計測を行い、得られた三次元形状から電池の外装の良否の判定を行う三次元形状検査部14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の外装の検査を行う電池検査装置であって、
所定の領域が写っている電池の外装の形状画像を生成する形状画像生成部と、
前記形状画像生成部で生成された形状画像から、電池の外装の欠陥の有無を判定する欠陥有無判定部と、
前記欠陥有無判定部により電池の外装に欠陥があると判定された場合に、前記欠陥の座標を導出する欠陥座標導出部と、
前記欠陥座標導出部により導出された前記欠陥の座標を含め、かつ、前記形状画像に写っている電池外装の領域より狭い領域で、電池の外装の三次元形状の計測を行い、得られた三次元形状から電池の外装の良否の判定を行う三次元形状検査部と、を備える、
電池検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池が広く利用されている。典型的には、二次電池は、電池本体部と、電池本体部を保護する電池ケースとを備えており、電池ケースの製造には多数の加工工程が存在するため、製造過程で電池ケースの側面に打痕や歪みが発生する場合がある。
【0003】
特許文献1には、光切断法によって、二次電池の三次元形状を計測し、計測した結果を濃淡差で表現した画像として表示する外観検査装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像素子を変更せずに、光切断法を利用した三次元計測の精度を向上させたい場合には、撮影対象を撮影する際に視野範囲を狭め、撮影対象の一部を拡大した状態とすることが考えられる。しかしながら、撮影対象の面積当たりの測定にかかる時間が長くなるため、面積が広い電池ケース表面の全体について適用すると、サイクルタイムが長くなるという問題がある。
【0006】
本開示は、サイクルタイムを短縮しつつ、精度よく二次電池の電池外装の検査を行う電池検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる電池検査装置は、電池の外装の検査を行う電池検査装置であって、所定の領域が写っている電池の外装の形状画像を生成する形状画像生成部と、前記形状画像生成部で生成された形状画像から、電池の外装の欠陥の有無を判定する欠陥有無判定部と、前記欠陥有無判定部により電池の外装に欠陥があると判定された場合に、前記欠陥の座標を導出する欠陥座標導出部と、前記欠陥座標導出部により導出された前記欠陥の座標を含め、かつ、前記形状画像に写っている電池外装の領域より狭い領域で、電池の外装の三次元形状の計測を行い、得られた三次元形状から電池の外装の良否の判定を行う三次元形状検査部と、を備える。
これにより、電池の外装に欠陥が有ると判定された箇所に限定して、三次元形状の計測及び判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示よれば、サイクルタイムを短縮しつつ、精度よく二次電池の電池外装の検査を行う電池検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる電池検査装置の構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる電池検査装置の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
以下、図面を参照して本実施の形態に係る電池検査装置について説明する。
図1は、電池検査装置1の構成例を示すブロック図である。
【0011】
電池検査装置1は、形状画像生成部11と、欠陥有無判定部12と、欠陥座標導出部13と、三次元形状検査部14と、判定制御部15と、を備える。ここでは、電池検査装置1は、所定の面積を有している二次電池の電池外装を検査する装置として説明する。
【0012】
形状画像生成部11は、検査対象である電池の外装の形状画像を生成する。形状画像生成部11には、少なくともカメラが設けられており、検査を行いたい電池の外装の表面に対向する位置から、電池の外装における所定の広範囲の領域を撮影する。これにより、形状画像生成部11では、1つの画像中に、電池の外装において検査を行いたい面のうちの所定の広い範囲が写っている形状画像を生成することができる。
【0013】
なお一例として、形状画像生成部11では、正弦波縞パターンを計測対象に複数回投影して、その様子をカメラで撮影することにより、計測対象の形状を高精度に計測する位相シフト法を用いた形状画像を生成することができる。
【0014】
欠陥有無判定部12は、形状画像生成部11により生成された形状画像について、欠陥の有無を判定する。ここで、欠陥有無判定部12により抽出される欠陥とは、電池の外装上に発生している打痕や歪みであって、三次元形状検査部14において、再度の検査を行う必要がある箇所の候補である。
【0015】
欠陥座標導出部13は、欠陥有無判定部12により欠陥が有る旨の判定が行われた場合に、欠陥の座標の導出を行う。例えば、欠陥座標導出部13では、形状画像生成部11で生成した形状画像上の欠陥の座標の導出を行う。なお例えば、欠陥座標導出部13は、電池検査装置1にセットされた検査対象の電池の外装に対して、三次元空間上の欠陥の座標を導出してもよい。
【0016】
三次元形状検査部14は、欠陥座標導出部13により導出された欠陥の座標について、詳細な三次元形状検査を行う。具体的には、三次元形状検査部14では、欠陥座標導出部13により導出された欠陥の座標及びその近傍の狭い範囲で、詳細な三次元形状計測を行う。そして、三次元形状検査部14は、詳細に計測された欠陥箇所の三次元形状の情報から、その箇所の良否判定を行う。
【0017】
一例として、三次元形状検査部14では、光切断法を利用して検査を行うことが可能である。この場合には、三次元形状検査部14には、検査対象である電池の外装の表面に対して、対象物にライン状レーザーを照射する照射部と、欠陥座標導出部13で導出された欠陥の座標及びその近傍において、照射されたライン上のレーザーの画像を取得する撮影部と、撮影されたレーザー画像の処理をして、欠陥があらかじめ定めた所定の規格内か否かに応じて欠陥の評価を行う評価部と、を備えている。
【0018】
なお、三次元形状検査部14では、欠陥有無判定部12で複数の欠陥が抽出され、欠陥座標導出部13でそれぞれの欠陥の座標が導出された場合に、それぞれの欠陥の箇所について、三次元形状計測を行って良否判定を行うことができる。
【0019】
判定制御部15は、検査対象である電池の外装の全体を検査したか否かを判定し、検査の処理を継続するか否かを制御できる。
【0020】
次に、電池検査装置1の動作の一例について説明する。
図2は、電池検査装置1の動作にかかるフローチャートである。
【0021】
最初に、電池検査装置1では、1次スクリーニングを行う。具体的には、形状画像生成部11は、検査対象である電池の外装の形状画像を生成する(ステップS1)。ここでは、形状画像生成部11では、撮影したい電池の外装の表面のうちの広い領域の撮影を行う。
【0022】
具体的には、形状画像生成部11では、撮影位置を変更しながら数回の撮影を行うことによって電池の外装の全体をカバーできるように、電池の外装を所定の広い領域で撮影して形状画像を生成する。
【0023】
欠陥有無判定部12は、形状画像生成部11で生成した形状画像に欠陥が有るか否かを判定する(ステップS2)。欠陥有無判定部12が、形状画像において電池の外装に欠陥が有ると判定した場合には(ステップS2でYes)、ステップS3に進む。一方、欠陥有無判定部12が、形状画像において電池の外装に欠陥が無いと判定した場合には(ステップS2でNo)、ステップS7に進む。
【0024】
欠陥座標導出部13は、欠陥有無判定部12により欠陥が有ると判定された際に、欠陥の座標を導出する(ステップS3)。
【0025】
次に、電池検査装置1では、2次検査を行う。具体的には、三次元形状検査部14は、欠陥座標導出部13により導出された欠陥の座標の三次元形状の計測を行う(ステップS4)。典型的には、三次元形状検査部14は、導出された欠陥の座標やその欠陥の近傍を計測範囲として三次元形状の計測を行う。これにより、三次元形状検査部14は、形状画像生成部11により形状画像として生成されている領域に比べて狭い領域で、詳細な三次元形状計測を実行して、三次元情報を生成することができる。
【0026】
三次元形状検査部14は、生成された欠陥の座標及びその近傍の三次元情報に基づいて、欠陥の箇所が規格の範囲内か否かを判定する(ステップS5)。三次元形状検査部14により、欠陥が規格の範囲内ではないと判定した場合には(ステップS5でNo)、その電池の外装には問題が有るものとして判定を出力し(ステップS6)、検査処理を終了する。
【0027】
一方、三次元形状検査部14により、欠陥が規格の範囲内であると判定した場合には(ステップS5でYes)、ステップS7に進む。この処理は、欠陥有無判定部12により、形状画像生成部11において生成された形状画像中に複数の欠陥が有ると判定された場合には、三次元形状検査部14が、複数の欠陥の全てにおいて規格の範囲内であると判定した場合にステップS7に進むこととする。
【0028】
判定制御部15は、検査対象である電池の外装の全ての領域について検査が完了したか否かを判定する(ステップS7)。判定制御部15が、電池の外装の全ての領域について操作が完了していると判定した場合には(ステップS7でYes)、検査対象である電池パックの全領域において欠陥が無いか、欠陥が有る場合であっても夫々の欠陥が規格の範囲内であることになるため、電池の外装には問題が無いものとして判定を出力し(ステップS8)、検査処理を終了する。
【0029】
一方、判定制御部15が、電池の外装の全ての領域についての検査が完了していないと判定した場合には(ステップS7でNo)、ステップS1に戻り、検査が行われていない領域の検査を続行する。
【0030】
以上のことから、電池の外装の広範囲を短時間で1次スクリーニングを行った後に、三次元形状による2次検査を行うことができる。
【0031】
すなわち、電池検査装置1では、1次スクリーニングとして、電池の外装の広範囲について、高さ情報の測定が不可能であるが高速で処理可能である位相シフト法による欠陥検出を行い、検出された欠陥に対して三次元測定による詳細な2次検査を行うことができる。これにより、電池の外装の全体について三次元測定による詳細な2次検査を行う場合に比べて処理時間を短縮しつつ、欠陥の箇所についての詳細な検査を実行できる。すなわち、サイクルタイムを短縮しつつ、精度よく電池の外装の検査を行うことができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。すなわち上記の記載は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされており、当業者であれば、実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。
【0033】
例えば、電池検査装置1では、1次スクリーニングでは位相シフト法を用い、2次検査では光切断法による三次元形状測定を行うこととして説明したが、これに限られない。言い換えると、電池検査装置1では、1次スクリーニングにおいて欠陥の有無が判定できる程度の精度で、高速で電池の外装上の広範囲の測定を行うことが出来ればよく、さらに2次検査では欠陥部分について、1次スクリーニングに比べて詳細に検査を行う構成であればよく、測定方法は任意に変更可能である。
【0034】
また上記では、1次スクリーニングを行う際に、電池の外装の全体を、複数の箇所に分けて広範囲に撮影するものとして説明したが、電池の外装の全体を撮影された1つの形状画像を生成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 電池検査装置
11 形状画像生成部
12 欠陥有無判定部
13 欠陥座標導出部
14 三次元形状検査部
15 判定制御部