(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174668
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】液晶表示装置、照明デバイス、光学デバイス
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241210BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241210BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241210BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20241210BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241210BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20241210BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20241210BHJP
【FI】
F21S2/00 433
G02F1/13357
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y115:30
F21Y103:00
F21Y101:00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092614
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】518411903
【氏名又は名称】Kepler株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100214938
【弁理士】
【氏名又は名称】樋熊 政一
(72)【発明者】
【氏名】カランタル カリル
(72)【発明者】
【氏名】石鍋 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】坪井 浩尚
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA16
2H391AB02
2H391AB03
2H391AB04
2H391AB07
2H391AB08
2H391AC25
2H391AC32
2H391AD34
2H391AD36
2H391AD37
2H391AD44
2H391DA08
3K244AA01
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA03
3K244DA05
3K244EA02
3K244EA12
3K244EC03
3K244EC12
3K244GA01
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】光学デバイス、照明デバイス、及び、出射光が全方位に渡って略均一な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】光学デバイス1は、表面と裏面と複数の端面11とを有する透明な板状の光学デバイス1であって、錐体構造2を表面又は裏面の少なくとも一方に備え、錐体構造2は、前後左右の端面の少なくとも何れかに垂直な方位に稜線23を有する。照明デバイス100は、光源3と、光学デバイス1とを備え、光源3からの光L1の少なくとも一部が、錐体構造2を透過する。液晶表示装置300は、照明デバイス100を有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面と複数の端面とを有する透明な板状の光学デバイスであって、
錐体構造を前記表面又は前記裏面の少なくとも一方に備え、
前記錐体構造は、前後左右の前記端面の少なくとも何れかに垂直な方位に稜線を有する、
光学デバイス。
【請求項2】
前記錐体構造は、切頭錐体の形状を有する、
請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
複数の前記錐体構造を有し、
前記錐体構造は千鳥に配置される、
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記錐体構造は、凸構造を含む、
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記錐体構造は、凹構造を含む、
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記錐体構造が稠密に配列された部分を有する、
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記錐体構造は、楕円形状の下底を有する、
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記錐体構造は、多角形の下底を有する、
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記錐体構造は、四角形の前記下底を有する、
請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記切頭錐体の上底が略楕円形状を有する、
請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記切頭錐体の上底は、下底に向けて凹んでいる、
請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記錐体構造は、2つ以上の切頭錐体が共通の中心軸を有して上下に重なった構成を含む
請求項1又は請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記錐体構造は、錐体の形状を有する、
請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
大きさ及び/又は形状の異なる複数の前記錐体構造を有する、
請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
光源と、請求項1又は請求項2に記載の光学デバイスとを備え、
前記光源からの光の少なくとも一部が、前記錐体構造を透過する、
照明デバイス。
【請求項16】
前記錐体構造が主たる光の出射面に設けられている
請求項15に記載の照明デバイス。
【請求項17】
前記錐体構造が主たる光の出射面に対して反対側の面に設けられる、
請求項15に記載の照明デバイス。
【請求項18】
前記光学デバイスと、
前記光学デバイスの前記端面に配置される前記光源とを有し、
前記光源に基づく光が前記光学デバイスの前記端面から前記光学デバイスに入射する、
請求項15に記載の照明デバイス。
【請求項19】
前記光源は、白熱電球、ハロゲンランプ、熱陰極管、冷陰極管、発光ダイオード、レーザ光デバイス、無機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの何れか1つを少なくとも含む、
請求項15に記載の照明デバイス。
【請求項20】
請求項15に記載の照明デバイスを有する液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、照明デバイス、光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導光板を有するサイドエッジ型バックライトシステムを備える液晶表示装置がテレビ用、PCモニター用、スマートフォン用等に広く実用化されている。そして、印刷表示媒体の光学特性を再現し、あたかも紙のような印刷媒体であるかのような感覚を与える液晶表示装置が、例えば、特許文献1にて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示装置が、紙のような印刷媒体であるかのような感覚を与えるためには、液晶表示装置からの出射光が反射光のように全方位に渡って略均一であることが求められる。液晶表示装置においては、液晶層の透過率は全方位に渡っては均一ではない。このため、液晶層の透過率の不均一性を補償する配光特性を有し、バックライトとして機能する照明デバイスが必要となる。
【0005】
本発明は、光学デバイス、照明デバイス、及び、出射光が全方位に渡って略均一な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)光学デバイスは、表面と裏面と複数の端面とを有する透明な板状の光学デバイスであって、錐体構造を表面又は裏面の少なくとも一方に備え、錐体構造は、前後左右の端面の少なくとも何れかに垂直な方位に稜線を有する。
(2)照明デバイスは、光源と、(1)の光学デバイスとを備え、光源からの光の少なくとも一部が、錐体構造を透過する。
(3)液晶表示装置は、(2)の照明デバイスを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光学デバイス、照明デバイス、及び、出射光が全方位に渡って略均一な液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る液晶表示装置の全体構成の断面図である。
【
図2A】本発明に係る光学デバイスと、錐体構造と、サイドエッジライトとを示す斜視図である。
【
図2B】本発明に係る光学デバイスの正面図である。
【
図2C】本発明に係る光学デバイスの横面図である。
【
図3】本発明に係る錐体構造の形態の例である切頭錐体の詳細を示す斜視図である。
【
図4A】本発明に係る錐体構造の形態の例である四角錐の詳細を示す斜視図である。
【
図4B】本発明に係る錐体構造の高さと稜角との関係を示す図である。
【
図5】本発明に係るサイドエッジ型バックライトシステムにおける光の伝播方向の定義を説明する図である。
【
図6A】本発明に係る光学デバイス中の光の伝播状態を示す斜視図である。
【
図6B】本発明に係る光学デバイス中の光の伝播状態を示す横面図である。
【
図6C】本発明に係る光学デバイス中の光の伝播状態を示す横面図である。
【
図6D】本発明に係る錐体構造から出射する光の様子を正面から観察した図である。
【
図7A】本発明に係る錐体構造(切頭錐体)から出射する光の様子を横から観察した図である。
【
図7B】本発明に係る錐体構造(切頭錐体)から出射する光の様子を正面から観察した図である。
【
図9】本発明に係る複数の錐体構造が光学デバイスの液晶パネルに対向する面に稠密に設けられた様子を示す斜視図である。
【
図10A】本発明に係るサイドエッジ型バックライトシステムの断面図である。
【
図10B】本発明に係る液晶パネルを出射する光の配光特性を示す模式図である。
【
図10C】本発明に係る逆プリズムフィルムを出射する光の配光特性を示す模式図である。
【
図10D】本発明に係る光学デバイスを出射する光の配光特性を示す模式図である。
【
図11】本発明に係るバックライトからの出射光の相対強度及び液晶パネルの相対透過率を示す図である。
【
図12】本発明に係る複数の錐体構造、特に凹状の錐体構造が複数稠密に設けられた変形例1を示す斜視図である。
【
図13】本発明の変形例2に係る錐体構造の斜視図である。
【
図14A】本発明の変形例3に係る錐体構造の正面図である。
【
図14B】本発明の変形例3に係る錐体構造の正面図である。
【
図15】本発明の変形例4に係る錐体構造の斜視図である。
【
図16A】本発明の変形例5に係る錐体構造の横面図である。
【
図16B】本発明の変形例5に係る錐体構造の配光特性の模式図である。
【
図16C】本発明の変形例5に係る錐体構造の配光特性を光の入射方向から観察した図である。
【
図17A】本発明の変形例6に係る錐体構造の横面図である。
【
図17B】本発明の変形例6に係る錐体構造の正面図である。
【
図18A】本発明の変形例7に係る錐体構造の横面図である。
【
図18B】本発明の変形例7に係る錐体構造の配光特性を光の入射方向から観察した図である。
【
図19】本発明の変形例9に係る光学デバイスの正面図である。
【
図20】本発明の変形例13に係る光学デバイスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る液晶表示装置300、照明デバイス100、光学デバイス1について図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付す。同一構成要素にて第1の構成要素、第2の構成要素のように区別する場合には、符号にa、b等が付加される。
【0010】
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「略」、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0011】
図1は液晶表示装置300の全体構成の断面図である。液晶表示装置300は、液晶パネル200と照明デバイス100とを備える。照明デバイス100は、サイドエッジ型バックライトシステムとして機能する。液晶パネル200は、一対の偏光板201と一対のガラス基板202と液晶層203とシール材204と駆動回路205とを有する。照明デバイス100は、透明な板状の光学デバイス1と光学フィルム4と反射フィルム5と光源3とを有する。光学デバイス1は
図1に示す構成において、導光板として機能する。
【0012】
以下の説明でX1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2,X,Y,Zの表記を適宜用いる。X方向は、光源3からの光L1が光学デバイス1の中を伝播する方位である。液晶表示装置300の表示を正面から観察する場合の右方向をX1方向とする。X1方向、X2方向は互いに逆の方向である。光学デバイス1が液晶パネル200に対向する方向をZ1方向とする。Z2方向はZ1方向に対して逆方向である。Z1方向とZ2方向とを区別しない場合にはZ方向と表記する。X方向とZ方向とに直交する方向がY方向である。液晶表示装置300の表示を正面から観察する場合の下方向をY1方向とする。Y2方向はY1方向に対して逆方向である。X1、X2のみを示しXの表記を適宜省略することがある。Y、Zについても同様である。XYZの表記は、説明の便宜上付与するものであり、適宜入れ替わり得る。
【0013】
図1に示す光源3は、例えば、白熱電球、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)光源が並べられたユニット、熱陰極管、冷陰極管、無機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機エレクトロルミネッセンスデバイス、レーザ光デバイス等である。レーザ光デバイスは、例えば、レーザ光のスキャン照射ユニットである。光源3は一方の光源3aと他方の光源3bとを有する。一対の光源3はそれぞれ、光学デバイス1の一対の端面11に配置される。
【0014】
光学デバイス1は表面12と裏面13と複数の端面11とを有する透明な板状の光学デバイスである。光学デバイス1は、表面構造として、詳細は後述するが、透明な錐体構造2(
図1には図示されていない)を表面12又は裏面13の少なくとも一方に備える。錐体構造2は、詳細は後述するが、錐体及び切頭錐体及びこれらが上下に重ねられた構造体を含む。
【0015】
光学フィルム4は、詳細は後述するが、例えば逆プリズムフィルム41を含む。
【0016】
液晶層203の液晶は、一対のガラス基板202の間に挟持され、シール材204により封止されている。液晶層203には駆動回路205を通して電圧が印加される。液晶層203は印加された電圧に基づいて、入射した光L1の偏光を制御し、光L1の透過率が制御される。
【0017】
光源3から出射した光L1は、端面11から光学デバイス1に入射する。光L1は、光学デバイス1の中を全反射により導光する。錐体構造2により全反射が崩れ、光L1は光学デバイス1から出射する。光学デバイス1を出射した光L1は、光学フィルム4を通過し、液晶パネル200に入射する。光L1の透過率が各画素で制御され、映像パターンが液晶表示装置300に表示される。
【0018】
図2Aは、光学デバイス1と、光学デバイス1に配置された錐体構造2と、光源3と、を示す斜視図である。
図2Bは光学デバイス1の正面図である。
図2Cは光学デバイス1の横面図である。光学デバイス1は、
図1に示す液晶パネル200に対向する面に錐体構造2を有する。光学デバイス1が
図1に示すように導光板として使用される場合には、好ましくは、光学デバイス1は、複数の錐体構造2を有する。
図2A,
図2B、及び、
図2Cにおいては、1つの錐体構造2を抜き出して拡大して記載している。錐体構造2の配置の例については後述する。
【0019】
図2Aから
図2Cに示す錐体構造2は切頭錐体の形状を有する。錐体構造2は側面26と稜線23とを有する。少なくとも一つの稜線23は、光源3が設けられる光学デバイス1の端面11に垂直な方位に延びる。より具体的には、本実施形態の錐体構造2は、4つの稜線23を有する。錐体構造2は面対称構造である。錐体構造2は、光学デバイス1の端面11に垂直な方位に延びる稜線23aと、光学デバイス1の端面11に平行な方位に延びる稜線23bとを有する。光学デバイス1の端面11に垂直な方位に延びる稜線23aは、光学デバイス1の端面11に平行な方位に延びる稜線23bに比較して長い。
【0020】
図3は、錐体構造2の形態の例である切頭錐体の詳細を示す斜視図である。錐体構造2は、切頭錐体として、下底21と上底24とを有する。下底21は、下底輪郭22を有する。上底24は、上底輪郭25を有する。切頭錐体は、複数の側面26を有する。複数の側面26それぞれは、下底21と上底24とを結ぶ。隣り合う側面26の間には稜線23が形成されている。切頭錐体は、錐体の頂点27(
図4A参照)、即ち頭部、に近い側の錐体を切り落とした形状を有する。切頭錐体の光学的な特性は、錐体の光学的な特性に基づいて説明される。切頭錐体の光学特性を説明するため、まず、錐体の光学的な特性について説明する。特に四角錐体の光学特性について説明する。
【0021】
図4Aは、錐体構造2として四角錐を想定した場合の詳細を示す斜視図である。錐体構造2は、四角錐として、下底21を有する。下底21は、下底輪郭22を有する。錐体構造2は、複数の側面26を有する。錐体構造2は、稜線23を有する。錐体構造2は、頂点27を有する。四角錐の形状は、頂点27と下底21との間の距離である高さで表され得る。
【0022】
一方の稜線23bに垂直で下底21の中心Оを通る線と一方の稜線23bとの交点Qと、一方の対角線28aの両端の点と、により一方の三角形が形成される。一方の三角形の交点Qの内角は、稜角ωLを形成する。
【0023】
他方の稜線23cに垂直で下底21の中心Оを通る線と他方の稜線23cとの交点Sと、他方の対角線28bの両端の点と、により他方の三角形が形成される。他方の三角形の交点Sの内角は稜角ωSを形成する。四角錐の形状は、一方の稜角ωLと他方の稜角ωSとで表記され得る。
【0024】
図4Bは、四角錐である錐体構造2の高さと稜角ωL、ωCとの関係を示す。横軸は高さを示し、縦軸は稜角ωL、ωCを示す。
図4Bで想定する錐体構造2において、
図4Aに示す一方の対角線28aの長さは100ミクロン、他方の対角線28bの長さは50ミクロンである。高さは10ミクロンから100ミクロンである。一方の稜角ωLと他方の稜角ωSとの値は、高さが高くなると小さくなる。
【0025】
図5は、光L1の伝播方向の定義を説明する図である。方位角φ、傾き角θで光L1の伝播方向及び出射方向は定義される。
図5においては、光L1の出射強度分布が略楕円の図形により表記されている。原点Оと略楕円の図形とを結ぶ直線の方向が光L1の伝播方向を表す。原点Оと略楕円の図形とを結ぶ直線の長さが光L1の強度を表す。光L1の強度が最大である方位が傾き角θ及び方位角φにより示されている。以下、この方位の定義を適宜用いて説明する。
【0026】
図6Aは、錐体構造2に入射し出射する光L1の伝播状態を示す斜視図である。
図6Aは、導光板として機能する光学デバイス1の光L1に対する主たる光の出射面である表面12に錐体構造2が設けられる例である。光源3から出射した光L1は、光学デバイス1の中を導光する。光L1は、錐体構造2に入射すると、側面26のポイントPから出射する。光L1の出射方向について、以下、
図6Bから
図6Dを参照して説明する。
【0027】
図6Bと
図6Cとは、光L1の錐体構造2の中における伝播状態をY1方向から観察した図である。光L1が側面26のポイントPで屈折する。
図6Bと
図6Cとは、ポイントPを通りXZ平面に平行な平面で錐体構造2が切られた状態を示す。
図6Bにおいては、稜角ωL及びωSは比較的大きい。別の例である
図6Cにおいては、稜角ωL及びωSは比較的小さい。
図6Dは、光L1の錐体構造2の中における伝播状態をZ1方向から観察した図である。
【0028】
図6Bは、四角錐の錐体構造2において、
図4Aに示す一方の稜角ωLと他方の稜角ωSとが大きい場合における、光学デバイス1と錐体構造2との中の光L1の伝播状態を示す。
図6Bは、Y1方向から観察した場合を示す。光L1が端面11に垂直な方位に伝播する場合が想定されている。錐体構造2をXZ平面と平行な平面で切断した場合に得られる線が、側面26を表す線として、描かれている。
図6Bにおいて、錐体構造2の稜線23aを挟んだ一対の側面26は下底21に平行に近い角度で配置されている。下底21から錐体構造2の中に伝播する光L1a及びL1bは、一対の側面26を透過する。当該光L1は、
図6Dに示すように稜線23aを挟んで両側の一対の側面26上のポイントPで屈折する。一対の側面26が集光の効果を示す。
【0029】
図6Bに戻る。光L1は正面に対する両側の一対の側面26に対して浅い角度で入射する。即ち、一対の側面26への入射角は、それぞれの側面26を基準として比較的小さい。一対の側面26から出射する光L1が進行する方向は、
図6Bにおいて光L1a及び光L1bで示すように、光学デバイス1の液晶パネル200に対向する面に対して下向きである。即ち、光L1の進行する傾き角(
図5に示すθ)は90度以上になる。そして、錐体構造2から出射した光L1は、光学デバイス1の表面12の側に向かう。錐体構造2から出射した光L1は、光学デバイス1に再度入射する。
【0030】
図6Cは、四角錐の錐体構造2において、
図4Aに示す一方の稜角ωLと他方の稜角ωSとが小さい場合における、光学デバイス1と錐体構造2との中の光L1の伝播状態を示す。
図6Cは、Y1方向から観察した場合を示す。光L1が端面11に垂直な方位に伝播する場合が想定されている。錐体構造2をXZ平面と平行な平面で切断した場合に得られる線が、側面26を表す線として、描かれている。錐体構造2の稜線23aを挟んだ一対の側面26は下底21に垂直に近い角度で配置されている。下底21から錐体構造2の中に伝播する光L1c及びL1dは、一対の側面26上のポイントPで屈折する。正面に対する両側の一対の側面26が集光の効果を示す。一対の側面26への入射角は、それぞれの側面26を基準として比較的大きい。一対の側面26から出射する光L1が進行する方向は
図6Cにおいて光L1c及び光L1dで示すように、光学デバイス1の液晶パネル200に対向する表面12に対して上向きである。即ち、光L1の進行する傾き角(
図5に示すθ)は90度未満になる。錐体構造2から出射した光L1は、光学デバイス1から離れる方向に向かう。
【0031】
錐体構造2が切頭錐体の場合には、錐体として考えた場合の光学特性で、錐体の頂点27(
図4A参照)に近い部位における特性が削除される。
図6Bにおいて、錐体の切頭される部位である切頭部位2xを一点鎖線で示す。一点鎖線で示す光L1xが削除され、後述する光L1eに置き換わる。
図6Bは、この場合における、光学デバイス1と錐体構造2との中の光L1eの伝播状態をも示す。上底24は下底21と平行、即ち、錐体構造2の存在しない部分における光学デバイス1の表面12と平行なので、光L1eは上底24で全反射する。切頭錐体として頂点27に近い位置で錐体を切り取るか、頂点27から遠い位置で錐体を切り取るかで光学特性が調整可能である。これらの光学特性に基づいて、錐体構造2の形状が最適化される。稜角ωL、ωSの異なる複数種類の錐体構造2が配置されてもよい。
【0032】
図7Aは、錐体構造2を出射する光L1の様子を入光側、即ち
図5のX1方向、から観察した図である。
図7Bは、錐体構造2を出射する光L1の様子を正面、即ち
図5のZ1方向から観察した図である。
図7Aに示すように、光L1は、例えばZ1方位から傾き角θ(90度未満)で出射する。これは、
図6Cで示した例に相当する。
図6Dに示すように、稜線23aを挟んで両側の一対の側面26が集光の役割を果たす。
図7Bに示すように光L1は、当該集光の効果に基づいてY方向に±φの方向を中心に出射する。
図1に示したように、光源3は、光学デバイス1の両端に1つずつ設けられている。これら2方向からの光L1が錐体構造2に入射し出射する。このため、
図7Bに示すように、光L1は、X1方位及びX2方位に出射する。
【0033】
図8は、錐体構造2が複数配置される態様を示す。錐体構造2の大きさはそれぞれ数10μm以下である。散乱要素にならない程度の大きさと、特性が視認されない程度の小ささとを有する。錐体構造2は千鳥状に配置される。錐体構造2の配置密度は光学デバイス1内で変化する。端面11に近い位置では錐体構造2の配置密度は低い。端面11から遠い位置では錐体構造2の配置密度は高い。端面11から光L1は光学デバイス1に入射し、錐体構造2からその一部が出射する。このため、光学デバイス1の中を伝播する光L1の光量は、端面11から離れる程少なくなる。端面11から近い位置では、導光する多い光量と錐体構造2の低い密度とが相補的になる。端面11から遠い位置では、導光する少ない光量と錐体構造2の高い密度とが相補的となる。出射光強度は、導光する光量と錐体構造2の密度との積に基づく。結果、光学デバイス1のXY平面内で正面垂直方向において均一な出射光の輝度分布が得られる。
図8に示すように、例えば光学デバイス1の中央付近で錐体構造2の密度が高くなる。光学デバイス1の中央付近で錐体構造2を稠密に配置することがこのましい。これにより、高い光L1の出射効率が得られる。
【0034】
ここで、錐体構造2が
図2A又は
図8に示すように四角錐体又は四角錐台である場合には、下底21を互いに接して稠密に錐体構造2を配置することが出来る。
図9は、四角錐台の形状を有する複数の錐体構造2が光学デバイス1の液晶パネル200に対向する面に設けられた様子を示す斜視図である。錐体構造2の下底輪郭22が互いに接する。錐体構造2が隙間なく並べられる。
図8に示すように錐体構造2の配置密度を変える場合に、例えば光学デバイス1の中央付近にて最大の密度を実現することが出来る。そして、錐体構造2の側面26の密度を最大化することが出来る。結果、光学デバイス1の錐体構造2の側面26から出射する光L1の出射効率を最大化することが出来る。
【0035】
次に、照明デバイス100の中での光L1の状態について説明する。
図10Aは、照明デバイス100の断面図である。照明デバイス100は、光学デバイス1とサイドエッジに設けられる光源3と光学フィルム4とを有する。光学フィルム4は、逆プリズムフィルム41と拡散フィルム42とを有する。光学フィルム4については、一部を拡大して図示している。実際には、光学デバイス1と光学フィルム4との大きさの関係は
図10Aに記載の関係とは異なる。
【0036】
図10Bから
図10Dは、照明デバイス100における光L1の配光状態を示す。
図10Bは、液晶パネル200を出射する光L1の配光特性を示す模式図である。
図10Cは、逆プリズムフィルム41を出射する光L1の配光特性を示す模式図である。
図10Dは、光学デバイス1を出射する光L1の配光特性を示す模式図である。
図7AがX1方向から観察した光L1を示し、
図7BがZ1方向から観察した光L1を示すのに対して、
図10Dは、Y1方向から観察した光L1を示す。
【0037】
図1及び
図10Aに示すように、一対の光源3が設けられている。この場合には、
図10Dに示すように、光L1は二方向に出射する。この配光特性は、
図7Aを参照して説明した配光特性と同様である。この光L1の出射方向は、
図4Aに示したωL及びωSに依存する。
図10Dに示すように、光学デバイス1の錐体構造2に基づいて出射した光L1は、出射方向が絞られた形を有する。出射した光L1において、液晶パネル200に垂直な方位(Z1方向)への光L1の出射が少ない。
図10Cに示すように、光L1は、次に、逆プリズムフィルム41を通過する。
図10Cに示すように、光L1の出射方向は広がりを持つ。液晶パネル200に垂直なZ1方向への光L1の出射量が少ない。次に光L1は、
図10Bには図示されず
図10Aに図示される拡散フィルム42を通過する。更に、光L1は、
図10Bに示すように液晶パネル200を通過する。液晶パネル200を通過した光L1の配光特性はほぼ全方位に均一な出射量が実現されている。
【0038】
詳細は
図11を参照して後述するが、全方位に均一な出射量は、液晶パネル200が有する透過率の角度分布と、逆プリズムフィルム41及び
図10Bには図示されず
図10Aに図示される拡散フィルム42を通過した光L1の角度分布とが相補的になったため実現される。正面方位においては、正面方位での光L1の少ない出射量と、液晶パネル200の高い透過率とが、互いに補償されている。光L1の出射量が多い斜め方位では、光L1の多い出射量と、液晶パネル200の低い透過率とが、互いに補償されている。
【0039】
図11は、照明デバイス100から出射する光L1の相対強度を示す。更に、
図11は、液晶パネル200の相対透過率を示す。横軸は、
図5に示すZ1方向からの傾き角θである。横軸はX方位又はY方位を示す。横軸の正の軸は、X1方位及びY1方位を示す。横軸の負の軸は、X2方位及びY2方位を示す。縦軸は、照明デバイス100から出射する光L1の相対強度、及び、液晶パネル200の相対透過率を示す。
図11において、太線の一点鎖線は照明デバイス100からの出射光のX方向における相対強度を示す。
図11において、細線の一点鎖線は照明デバイス100からの出射光のY方向における相対強度を示す。
図11において、太線の実線は、液晶パネル200のX方位における相対透過率を示す。
図11において、細線の実線は、液晶パネル200のY方位における相対透過率を示す。
【0040】
図11に示すように、照明デバイス100から出射する光L1の相対強度は正面に近い角度において低下する。照明デバイス100から出射する光L1の相対強度は、傾き角θが0度、即ちZ1方向の表示正面方向、において最小である。照明デバイス100から出射する光L1の相対強度は、傾き角θが大きくなるほど、大きい。
【0041】
図11において、液晶パネル200の相対透過率は正面に近い角度においてより高い。液晶パネル200の相対透過率は、傾き角θが0度、即ちZ1方向の表示正面方向、において最大である。液晶パネル200の相対透過率は、傾き角θが大きくなるほど、小さい。
【0042】
液晶表示装置300の表示輝度は、液晶パネル200の相対透過率と照明デバイス100から出射する光L1の相対強度との積に比例する。液晶パネル200の相対透過率の正面に近い角度においてより高い特性と、照明デバイス100から出射する光L1の相対強度の正面に近い角度において低下する特性とは、互いに補償される。結果、液晶表示装置300の表示輝度は、全ての傾き角θで略一定となる。即ち、液晶表示装置300の表示輝度は全方位で一定となり、ランバーシアン光分布が実現される。
【0043】
(変形例1)
図9までを参照して説明を加えて光学デバイス1は、凸状の錐体構造2を光学デバイス1の表面12に有する。
図12は、光学デバイス1が複数の錐体構造2、特に凹状の錐体構造2を有する変形例1を示す。
図12に示すように、錐体構造2は、四角錐台の形状を有する。上底24が凹部の最深部に設けられる。そして、錐体構造2は、液晶パネル200に対向する面の反対側の面に設けられる。
図12においては、座標系として、図面下側がZ1方向、即ち、液晶パネル200に対向する方向である。この構成においても稜線23aはXの方位に配置される。光学デバイス1内を導光してきた光L1は、錐体構造2の側面26にて全反射し、液晶パネル200に対向する面から出射するようになる。稜線23がXの方位に配置され、側面26はX方向に対して角度を有する。このため、一対の側面26は凸面鏡の効果を有する。光L1は、
図7A及び
図7Bに示した配光特性と同様の配光特性を有する。
【0044】
凸状の錐体構造2を液晶パネル200に対向する表面12の反対の面である裏面13に設ける構成、及び、凹状の錐体構造2を液晶パネル200に対向する表面12に設ける構成も可能である。主たる光の出射面は、液晶パネル200に対向する表面12である。錐体構造2は、主たる光の出射面に対して反対側の裏面13に設けられる。これらの場合には、錐体構造2を出射した光L1は、液晶パネル200に対向する表面12の反対の裏面13から出射する。そして、光L1は、
図1に示す反射フィルム5で反射され、光学デバイス1に再度入射し、光学デバイス1の液晶パネル200に対向する表面12から出射する。光L1は、反射フィルム5の反射特性を反映しつつ、
図7A及び
図7Bに示した配光特性と同様の配光特性を示す。
【0045】
(変形例2)
以上において説明した錐体構造2において、上底24が存在する場合、上底24は平面の形状を有する。変形例2に係る錐体構造2の上底24は、下底21に向けて凹んでいる。
図13は、変形例2として、上底24がひし形の形状を有する場合の錐体構造2の斜視図である。上底24は、錐体の頂点が下底21に向く形状を有する。上底24は、稜線23を有する。稜線23は、端面11に垂直な方位に延びる稜線23aを含む。光学デバイス1の中をX2方位に向かって導光する光L1は、斜面となっている上底24a及び24bで例えば全反射される。光学デバイス1の中をX1方位に向かって導光する光L1は、斜面となっている上底24c及び24dで例えば全反射される。その反射角度は、上底24が1つの平面からなる上記実施形態とは異なる。全反射が生じることで、上底24の有する稜線23aの両側に光L1の反射や誘導が生じ得る。光学デバイス1の中を導光する光L1は、斜面となっている上底24a及び24bで例えば屈折され、及び/又は誘導される。屈折して光L1は光学デバイス1から出射する。
【0046】
(変形例3)
以上において説明した錐体構造2の側面26は平面であった。又、下底輪郭22と上底輪郭25とは、直線のみで構成されていた。変形例3の錐体構造2において、
図14Aに示すように、下底輪郭22と上底輪郭25とは曲線を有する。側面26は曲面を有する。
図14Aに示した錐体構造2は、稜線23を4本有する。そして稜線23を挟んで互いに反対側にある一対の側面26の間で、稜線23において各一対の側面26の接線は互いに不連続である。これを表すため、
図14Aでは稜線23が直線で表されている。又、
図14Aに示す錐体構造2は、上下対称であり、且つ、左右対称である。錐体構造2は、略楕円形状の下底21を有する。
【0047】
錐体構造2は、
図14Bに示すように、2本の稜線23のみを有する形状を採ることが出来る。錐体構造2は、上下に比べて左右が長い対称形状を有する。
【0048】
(変形例4)
変形例4に係る錐体構造2は、
図15に示すように、側面26のみならず上底24内にも稜線23を有する。側面26は曲面で構成される。錐体構造2は透明であるので、
図15では稜線23と上底輪郭25と下底輪郭22とが記載されている。上底24の中央は窪んだ部分を有する。上底24がXY平面と平行でない部分を有する。このため、当該XY平面から上底24のずれた角度に基づいて上底24で全反射する光L1の伝播方向を変えることが出来る。更には、
図6Bで光L1eで示したような全反射が生じず、上底24から出射する光L1を得ることが出来る。上底24が平面でない構成は、あらゆる切頭錐体の構成において適用することが出来る。
【0049】
(変形例5)
上記の実施形態においては、個々の錐体構造2は、錐体又は切頭錐体単独の形状を有する。変形例5に係る錐体構造2は、2つ以上の切頭錐体が共通の中心軸を有して上下に重なった構成を有する。
図16Aは2つの切頭錐体が共通の中心軸を有して上下に重なった構成例を示す。
図16Aは、錐体構造2の横面図、
図16Bは光L1の出射の様子を示す模式図、
図16Cは配光特性を示す。一方の切頭錐体2aが他方の切頭錐体2bの上に重なっている。一方の切頭錐体2aの下底輪郭22aは、他方の切頭錐体2bの上底輪郭25bに比して小さい。そして、錐体構造2は、他方の切頭錐体2bの上底24の平面部を有する。当該平面部において、導光する光L1が全反射する。当該平面部により、光L1の配光状態を調整することが出来る。
図16Bに示すように、錐体構造2の各切頭錐体の側面26から光L1が出射する。光L1は、集光効果で一対の側面26で屈折する。
図16Bでは、一方の切頭錐体2aと他方の切頭錐体2bについて稜線23に付与する符号は区別していない。光L1は、稜線23aを中心として、Y2側に存在する側面26に基づいて、Y1側に向けて出射する。光L1は、稜線23aを中心として、Y1側に存在する側面26に基づいて、Y2側に向けて出射する。
図16Bでは、ファーフィールド、即ち錐体構造2から光学的に離れた位置、における錐体構造2としての出射光の方向が記載されている。
図16Bに示すように、ファーフィールドにおいては、切頭錐体2aの上底24aからの光L1の出射が観察され得る。
図6B及び
図6Cで示したような全反射条件から外れた光L1が一方の切頭錐体2aに入射し、一方の切頭錐体2aの上底24aから出射する光L1が例えば想定される。
図16Cは、光L1の入射方向であるX1方向からみた配光特性を示す。配光特性は、一対の切頭錐体2a及び2bの側面26の傾き角度、
図4Aに示した稜角ωLと稜角ωS、上底24と下底21との面積比、切頭錐体の上下左右の寸法比等により制御される。二つの切頭錐体に基づく二つの光学特性が混在する。このため、
図16Cに示されるように、Z1方向から傾き角θ1、傾き角θ2でそれぞれ示される輝度のピークが観察される。
【0050】
(変形例6)
変形例6に係る錐体構造2は、
図17A及び
図17Bに示すように、変形例5同様に一方の切頭錐体2aが他方の切頭錐体2bの上に重なっている。
図17Aは変形例6に係る錐体構造2の横面図である。
図17Bは変形例6に係る錐体構造2の正面図である。一方の切頭錐体2aの下底輪郭22aと、他方の切頭錐体2bの上底輪郭25bとは、同一である。一方の切頭錐体2aの側面26aの傾きは、他方の切頭錐体2bの側面26bの傾きよりも急峻である。これにより、
図6Bを参照して説明した配光特性が他方の切頭錐体2bにより実現される。
図6Cを参照して説明した配光特性が一方の切頭錐体2aにより実現される。そして、
図6Bを参照して説明した配光特性と、
図6Cを参照して説明した配光特性とを混在させた配光特性が実現される。
【0051】
(変形例7)
変形例7に係る錐体構造2について、
図18Aと
図18Bとを参照して説明する。
図18Aは、錐体構造2をY1方向から見た断面図である。変形例7に係る錐体構造2は、変形例6と同様に一方の切頭錐体2aが他方の切頭錐体2bの上に重なる形状を有する、一方の切頭錐体2aの下底輪郭22aと、他方の切頭錐体2bの上底輪郭25bとは同一である。錐体構造2は、変形例6とは異なり、光学デバイス1の液晶パネル200に対向する表面12と反対側の裏面13に凹部として形成される。錐体構造2は、
図18Aに示すように、光学デバイス1を導光する光L1を全反射し、Z1方向に出射させる。側面26aで反射した光L1aと側面26bで反射した光L1bとの2つの特性が混在する。このため、
図18Bに示すように、Z1方向から傾き角θ3及びθ4でそれぞれ示される二つの輝度のピークが観察される。変形例5と同様に、配光特性は、一対の切頭錐体2a及び2bの側面26の傾き角度、
図4Aに示した稜角ωLと稜角ωS、上底24と下底21との面積比、切頭錐体の上下左右の寸法比等により制御される。
【0052】
(変形例8)
上記実施形態においては、一方の切頭錐体2aの下底21の形と他方の切頭錐体2bの形状は何れも四角形である。上底24及び下底21の形状はこれに限られず、
図14A、
図14B、
図15に記載したような切頭錐体に基づく上底24又は下底21であってもよい。
【0053】
(変形例9)
上記実施形態においては、
図8に示すように、光学デバイス1は配置密度が面内で変化する錐体構造2を有する。変形例9においては、光学デバイス1は、面内で大きさが変化せず、面内で配置密度の変化しない錐体構造2を有する。
図19は、変形例89に係る光学デバイス1の正面図である。端面11に近い位置では錐体構造2は比較的小さいサイズを有する。錐体構造2の底辺は5μm前後でもよく、200μm以下であることが好ましい。錐体構造2が小さいほど、例えば型からの離型が容易であり、作りやすい。錐体構造2の高さと底辺とのアスペクト比は例えば0.2である。例えば、錐体構造2は、20μmの高さ、及び、100μmの底辺の長さを有する。端面11から遠い位置では錐体構造2は比較的大きいサイズを有する。端面11から光L1は光学デバイス1に入射し、錐体構造2からその一部が出射する。このため、光学デバイス1の中を伝播する光L1の光量は、端面11から離れる程少なくなる。端面11から近い位置では、導光する多い光量と錐体構造2の小ささ、即ち出射をもたらす面の小ささとが相補的になる。端面11から遠い位置では、導光する少ない光量と錐体構造2の大きいこと、即ち出射をもたらす面の大きいこととが相補的になる。出射光強度は、導光する光量と出射をもたらす面の大きさとの積に基づく。結果、光学デバイス1の面内で均一な正面垂直方向の出射光強度が得られる。錐体構造2の配置は
図19に示すように、千鳥状であることが好ましい。千鳥状にすることで錐体構造2から出射した光L1が隣りの錐体構造2に入射する可能性を低くすることが出来る。そして、錐体構造2から出射する光L1の角度について、より高い自由度に基づいて設計することが可能となる。ここで、錐体構造2が四角錐体又は四角錐台である場合には、
図9に示したように、錐体構造2は下底21を互いに接して隙間なく配列され得る。側面26の面積を最大化することが出来る。側面26に基づいて光L1が出射する。光L1の最大の出射効率が実現される。
【0054】
(変形例10)
上記の実施形態においては、同一の形状を有する錐体構造2が光学デバイス1に設けられる例について説明している。これに限られず、切頭錐体形状、錐体形状、及び、これらの重なった形状が混在して光学デバイス1に配置される構成が可能である。例えば、均一性を実現するために錐体構造2の密度は一定以上必要で、且つ、端面11の近傍では出射効率を下げたい場合が考えられる。全反射を行う上底24を有する切頭錐体の形状を有する錐体構造2を端面11の近傍に配置し、錐体の形状を有する錐体構造2を端面11から離れた部位に配置することが好ましい。同様の配置密度を維持し、且つ、出射効率を調整することが出来る。上記の説明においては、切頭錐体の上に切頭錐体が重ねられた錐体構造2について説明している。切頭錐体の上底24が点である形状は錐体である。上記の説明は、切頭錐体の上に錐体が重ねられた錐体構造2を含む。
【0055】
上記の実施形態において、錐体構造2に光L1が光学デバイス1から入射する場合を主に記載している。これに限られず、光L1は、錐体構造2に基づいて光学デバイス1から出射し、他の錐体構造2に入射し、当該他の錐体構造2を通り光学デバイス1から出射する場合がある。又、光L1は、錐体構造2に基づいて光学デバイス1から出射し、他の錐体構造2に入射し、当該他の錐体構造2を通り、再度光学デバイス1に入射し、光学デバイス1内を導光する場合がある。
【0056】
(変形例11)
上記の変形例9においては、錐体構造2の大きさは徐々に規則正しく変化している。又、錐体構造2の形状として同一のものが採用されている。これに限られず、大きさ及び/又は形状の異なる複数の錐体構造2は自由に組み合わせてもよい。例えば、大きさ及び/又は形状の異なる錐体構造2を乱雑(ランダム)に配置し、全体として均一な配光特性が実現されてもよい。
【0057】
(変形例12)
上記の実施形態においては、
図10に典型例と示されるように、逆プリズムフィルム41が、錐体構造2を有する光学デバイス1に積層されている。これに限られず、逆プリズムフィルム41がない構成であってもよい。この場合においても錐体構造2の稜角ωL及びωSの最適化、拡散フィルム42の適用等により、
図11に示す配光特性を実現することが出来る。
【0058】
(変形例13)
上記の実施形態においては、錐体構造2が光学デバイス1に設けられる例について説明している。当該構成は、別の見方をすると、錐体構造2の設けられたフィルム状の光学デバイス1が板状の透明基板からなる導光板を兼ねているとも言える。これに限られず、錐体構造2が設けられたフィルム状の光学デバイス1が別体の板状の透明基板に積層される構成であっても良い。又、錐体構造2が設けられた当該フィルム状の光学デバイス1と別体の板状の透明基板との間に、他のフィルム、例えば拡散フィルム、逆プリズムフィルム等、が設けられてもよい。
【0059】
(変形例14)
上記の実施形態においては、錐体構造2は、例えば
図8に示すように、面内の輝度ムラを低減させるために勾配を有して配置されている。これに限られず、錐体構造2は、
図20に示すように、面内に均一に配置されてもよい。例えば、光学デバイス1に拡散パターンが勾配を伴なって配置されており、光学デバイス1からの出射する光L1の正面輝度が面内で均一な場合が想定される。又は、直下型のバックライトシステムに適用される場合が想定される。例えば、LEDが複数配列されおり正面輝度が面内で均一な場合が想定される。この光L1の正面輝度が面内で均一な光学デバイス1の上に、錐体構造2が面内に均一に配置されるフィルムが積層される。当該光学デバイス1又は直下型BLの上に錐体構造2を有するフィルムを積層する場合には、既に均一性は担保されているため、錐体構造2は勾配を伴なって配置される必要はない。錐体構造2は光学デバイス1からの光L1の配光特性を一対の側面26の集光効果に基づいて制御する働きのみを有する。錐体構造2は千鳥状に均一に配置されることがこのましい。
【0060】
(変形例15)
上記の実施形態においては、光学デバイス1及び照明デバイス100は直視型の液晶表示装置300に適用される例について説明した。錐体構造2は照明に供されてもよい。照明として使用される場合においては、照明デバイス100は、表面12と裏面13と端面11とを有する板状の透明な光学デバイス1を有し、光学デバイス1の前後左右の端面11に垂直な方位に稜線23が向いている錐体構造2を有する。例えば、複数のLEDの光源3が端面11に設けられる構成であってもよい。錐体構造2はフィルム上に1つ設けられる構成であってもよい。1つのLEDの光源3が光学デバイス1の裏面13に配置され、照明に供される光L1が裏面13に垂直に入射し、表面12に錐体構造2が一つ設けられ、光L1の少なくとも一部が錐体構造2を透過する構成の照明デバイス100であってもよい。この場合には、錐体構造2の有する一対の側面26の集光効果に基づいて、配光が制御される。
【0061】
本開示は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。又、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0062】
以上説明した実施形態に係る接近動体検出方法によれば以下のような効果が奏される。
【0063】
(1)光学デバイス1は、表面12と裏面13と複数の端面11とを有する透明な板状の光学デバイス1であって、錐体構造2を表面12又は裏面13の少なくとも一方に備え、錐体構造2は、前後左右の端面11の少なくとも何れかに垂直な方位に稜線23を有する。
【0064】
これにより、錐体構造2の集光効果に基づいて、光学デバイス1に垂直な方向から傾いた方向への光量が多い配光特性を提供することが出来る。前後左右方向への配光特性も同時に制御され得る。
【0065】
(2)(1)の光学デバイス1において、錐体構造2は、切頭錐体の形状を有してもよい。
【0066】
これにより、光L1の方向を4方向又は5方向以上に分けることが出来る。切頭錐体として錐体から切り取られた部位に基づく集光効果が削除されることとなり、集光度合の調整に利用され得る。又、切頭錐体の形状によりもたらされる上底24における全反射が配光特性の調整に利用され得る。
【0067】
(3)光学デバイス1は複数の錐体構造2を有し、錐体構造2は千鳥に配置されてもよい。
【0068】
これにより、錐体構造2を出射した光L1が他の錐体構造2に再度入射する可能性を低くすることが出来る。そして、より浅い角度で錐体構造2から出射する光L1を照明に寄与させることが可能となる。
【0069】
(4)(1)から(3)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、凸構造を含んでもよい。
【0070】
これにより、凸部の屈折に基づく集光効果を利用することが出来る。射出成型に向いており、加工性が良い。
【0071】
(5)(1)から(4)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、凹構造を含んでもよい。
【0072】
これにより、凹部の反射に基づく集光効果を利用することが出来る。ロールtoロールインプリントに向いており、加工性が良い。錐体構造2を一様に並べるのに好適である。フィルム化するのが容易である。
【0073】
(6)(1)から(5)の何れか1つの光学デバイス1は、錐体構造2が稠密に配列された部分を有してもよい。
【0074】
これにより、高い出射効率を得ることが出来る。
【0075】
(7)(1)から(6)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、楕円形状の下底21を有してもよい。
【0076】
これにより、集光効果として、屈折角に分布が出来る。集光効果を制御することが出来る。
【0077】
(8)(1)から(7)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、多角形の下底21を有してもよい。
【0078】
これにより、下底21は互いに接して配置され得る。配置密度を高めることが出来る。
【0079】
(9)(1)から(8)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、四角形の下底21を有してもよい。
【0080】
これにより、稜線23を挟んだ一対の側面26により集光効果が発揮され得る。端面11に対して一定の角度を有する側面26の密度を最大化することが出来る。
【0081】
(10)(2)から(9)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、楕円形状の上底24を有してもよい。
【0082】
これにより、集光効果として、屈折角に分布が出来る。集光効果を制御することが出来る。
【0083】
(11)(2)から(10)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2の上底24は、下底21に向けて凹んでいてもよい。
【0084】
これにより、上底24における光L1の反射、屈折の度合い及び方向を制御することが出来る。
【0085】
(12)(2)から(11)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、2つ以上の切頭錐体が共通の中心軸を有して上下に重なった構成を含んでもよい。
【0086】
これにより、異なった稜角ωLωCによる異なる集光効果を組み合わせるとともに、切頭錐体の上底24に基づく反射の効果を利用することが出来る。集光効果を調整することが出来る。
【0087】
(13)(1)から(12)の何れか1つの光学デバイス1において、錐体構造2は、錐体を含んでもよい。
【0088】
これにより、錐体構造2として、集光効果の担い手である側面26の占める割合を最大化することが出来る。錐体構造2における側面26の有効占有率が高まる。切頭錐体における上底24がないため、全反射する部位を減らすことが出来る。結果、出射効率を高めることが出来る。切頭錐体の形状を有する錐体構造2と錐体の形状を有する錐体構造2との配置に基づいて、光学デバイス1の各部位からの光L1の出射効率を調整することが出来る。
【0089】
(14)(1)の光学デバイス1は、大きさ及び/又は形状の異なる複数の錐体構造2を有してもよい。
【0090】
これにより、光学デバイス1に垂直な方位において面内で均一な輝度を実現することが出来る。高い設計自由度を有する配光特性を実現することが出来る。
【0091】
(15)照明デバイス100は、光源3と、(1)から(13)の何れか1つの光学デバイス1とを備え、光源3からの光L1の少なくとも一部が、錐体構造2を透過してもよい。
【0092】
これにより、錐体構造2の有する集光効果を備える照明デバイス100が実現される。
【0093】
(16)(15)の照明デバイス100において、錐体構造2が主たる光L1の出射面に設けられてもよい。
【0094】
これにより、錐体構造2を透過した光L1を直接に照明に寄与させることが出来る。錐体構造2の有する集光効果を直接に照明の配光に寄与させることが出来る。これにより、垂直な方向への光量が少なく、垂直な方向から傾いた方向への光量が多い配光特性を提供することが出来る。上下方向への配光特性も同時に制御され得る。結果、光学部品点数が少なくなり得る。射出成型に向いており、加工性が良い。
【0095】
(17)(15)又は(16)の照明デバイス100において、錐体構造2が主たる光L1の出射面に対して反対側の面に設けられていてもよい。
【0096】
主たる光L1の出射面の反対側にて反射し、表示に寄与する。光学デバイス1において、光L1が光学デバイス1から出射する効率をより高くすることが出来る。主たる光L1の出射面の反対側に反射フィルム5が設けられる場合、光L1は反射フィルム5により反射し、光L1の光学デバイス1から出射する効率はより高くなり得る。
【0097】
(18)(15)から(17)の何れか1つの照明デバイス100は、光学デバイス1と、光学デバイス1の端面11に配置される光源3とを有し、光源3に基づく光L1が光学デバイス1の端面11から光学デバイス1に入射してもよい。
【0098】
これにより、光学デバイス1に垂直な方位における光量は更に少なく、光学デバイス1に垂直な方位から傾いた方位における光量は更に多い、配光特性、を有する照明デバイス100が実現される。
【0099】
(19)(15)から(18)の何れか1つの照明デバイス100において、光源3は、白熱電球、ハロゲンランプ、熱陰極管、冷陰極管、発光ダイオード、レーザ光デバイス、無機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの何れか1つを少なくとも含む。
【0100】
光源3として、あらゆる種類のものを採用することが出来る。
【0101】
(20)液晶表示装置300は、(15)から(19)の何れか1つに記載の照明デバイス100を有してもよい。
【0102】
これにより、液晶パネル200に垂直な方位における光量は少なく、液晶パネル200に垂直な方位から傾いた方位における光量は多い照明デバイス100と、液晶パネル200と、を積層することが出来る。バックライトからの光量と、液晶パネル200の透過率とが相補し、ランバーシアンな表示特性を液晶表示装置300により実現することが出来る。
【符号の説明】
【0103】
1 光学デバイス
11 端面
12 表面
13 裏面
2 錐体構造
21 下底
22 下底輪郭
23 稜線
24 上底
25 上底輪郭
26 側面
27 頂点
3 光源
4 光学フィルム
41 逆プリズムフィルム
42 拡散フィルム
5 反射フィルム
100 照明デバイス
200 液晶パネル
201 偏光板
202 ガラス基板
203 液晶層
204 シール材
205 駆動回路
300 液晶表示装置
L1 光
P ポイント