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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174672
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241210BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 655G
H01L29/78 653A
H01L29/78 655B
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 652J
H01L29/78 652T
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092627
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】野口 晴司
(72)【発明者】
【氏名】内藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 奈央
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】古川 暢昭
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 竜太郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】活性部を備える半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、半導体基板の上方に設けられたゲートパッドと、半導体基板の上方に設けられたエミッタ電極と、活性部120において、半導体基板のおもて面に設けられたゲートトレンチ部40と、ゲートパッドとゲートトレンチ部とを接続するためのゲート配線部50と、を備える。ゲート配線部は、予め定められた方向に延伸した第1ゲートトレンチ配線部と、第1ゲートトレンチ配線部と異なる方向に延伸し、第1ゲートトレンチ配線部と交差部で交差した第2ゲートトレンチ配線部と、を有し、エミッタ電極は、交差部510の上方に設けられる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性部を備える半導体装置であって、
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記半導体基板の上方に設けられたゲートパッドと、
前記半導体基板の上方に設けられたエミッタ電極と、
前記活性部において、前記半導体基板のおもて面に設けられたゲートトレンチ部と、
前記ゲートパッドと前記ゲートトレンチ部とを接続するためのゲート配線部と、
を備え、
前記ゲート配線部は、
予め定められた方向に延伸した第1ゲートトレンチ配線部と、
前記第1ゲートトレンチ配線部と異なる方向に延伸し、前記第1ゲートトレンチ配線部と交差部で交差した第2ゲートトレンチ配線部と、
を有し、
前記エミッタ電極は、前記交差部の上方に設けられる
半導体装置。
【請求項2】
前記ゲートトレンチ部の底部に接して設けられた第2導電型のトレンチボトム領域を備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチボトム領域のドーピング濃度は、前記ベース領域のドーピング濃度よりも低い
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トレンチボトム領域は、前記交差部の底部に接して設けられる
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備え、
前記交差部の底部に接して設けられた前記トレンチボトム領域は、前記ウェル領域と接続される
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備え、
前記トレンチボトム領域は、前記ウェル領域と接続される
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トレンチボトム領域は、前記半導体装置の外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の一端から、前記外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の他端まで延伸して設けられる
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備え、
前記トレンチボトム領域は、
第1トレンチボトム部と、
前記第1トレンチボトム部と離間して設けられ、前記ウェル領域と接続された第2トレンチボトム部と、
を有する
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備え、
前記交差部は、前記半導体基板の深さ方向と平行な断面において、前記ウェル領域の内側に設けられ、下端が前記ウェル領域の下端よりも浅い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ウェル領域は、前記半導体装置の外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の一端から、前記外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の他端まで延伸して設けられる
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記活性部は、第1活性領域と第2活性領域とを有し、
前記エミッタ電極は、上面視で、前記第1活性領域から前記第2活性領域まで、前記第2ゲートトレンチ配線部を越えて設けられる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記活性部は、第1活性領域と第2活性領域とを有し、
前記第1ゲートトレンチ配線部は、前記第1活性領域から前記第2活性領域に延伸して設けられ、前記第1活性領域のゲートトレンチ部と前記第2活性領域のゲートトレンチ部とを接続する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2ゲートトレンチ配線部は、複数の第2ゲートトレンチ配線部を含み、
前記複数の第2ゲートトレンチ配線部は、前記第1ゲートトレンチ配線部とそれぞれ前記交差部を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2ゲートトレンチ配線部の幅は、前記第1ゲートトレンチ配線部の幅よりも広い
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ゲート配線部は、前記半導体装置の外周部に設けられ、前記外周部において前記第2ゲートトレンチ配線部の端部と接続され、金属からなるゲート金属層を有する
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ゲート配線部は、前記半導体装置の外周部に設けられ、前記外周部において前記第2ゲートトレンチ配線部の端部と接続され、ポリシリコンからなるゲートランナを有する
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記ゲート配線部は、前記半導体装置の外周部に設けられ、前記外周部において前記第2ゲートトレンチ配線部の端部と接続された第3ゲートトレンチ配線部を有する
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記交差部の上方において、前記エミッタ電極上に設けられためっき膜を備える
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記ドリフト領域の上方に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度が高い第1導電型のエミッタ領域を備え、
前記エミッタ電極は、前記エミッタ領域の上方に設けられる
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「電気的性能を向上できる半導体装置」が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2020-136315号公報
[特許文献2] 特開2019-091892号公報
[特許文献3] 特開2017-103400号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様においては、活性部を備える半導体装置であって、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のベース領域と、前記半導体基板の上方に設けられたゲートパッドと、前記半導体基板の上方に設けられたエミッタ電極と、前記活性部において、前記半導体基板のおもて面に設けられたゲートトレンチ部と、前記ゲートパッドと前記ゲートトレンチ部とを接続するためのゲート配線部と、を備え、前記ゲート配線部は、予め定められた方向に延伸した第1ゲートトレンチ配線部と、前記第1ゲートトレンチ配線部と異なる方向に延伸し、前記第1ゲートトレンチ配線部と交差部で交差した第2ゲートトレンチ配線部と、を有し、前記エミッタ電極は、前記交差部の上方に設けられる半導体装置を提供する。
【0004】
上記半導体装置は、前記ゲートトレンチ部の底部に接して設けられた第2導電型のトレンチボトム領域を備えてよい。
【0005】
上記いずれかの半導体装置において、前記トレンチボトム領域のドーピング濃度は、前記ベース領域のドーピング濃度よりも低くてよい。
【0006】
上記いずれかの半導体装置において、前記トレンチボトム領域は、前記交差部の底部に接して設けられてよい。
【0007】
上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備えてよい。前記交差部の底部に接して設けられた前記トレンチボトム領域は、前記ウェル領域と接続されてよい。
【0008】
上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備えてよい。前記トレンチボトム領域は、前記ウェル領域と接続されてよい。
【0009】
上記いずれかの半導体装置において、前記トレンチボトム領域は、前記半導体装置の外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の一端から、前記外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の他端まで延伸して設けられてよい。
【0010】
上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備えてよい。前記トレンチボトム領域は、第1トレンチボトム部と、前記第1トレンチボトム部と離間して設けられ、前記ウェル領域と接続された第2トレンチボトム部と、を有してよい。
【0011】
上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域の上方に設けられた第2導電型のウェル領域を備えてよい。前記交差部は、前記半導体基板の深さ方向と平行な断面において、前記ウェル領域の内側に設けられてよく、下端が前記ウェル領域の下端よりも浅くてよい。
【0012】
上記いずれかの半導体装置において、前記ウェル領域は、前記半導体装置の外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の一端から、前記外周部に設けられた前記第2ゲートトレンチ配線部の他端まで延伸して設けられてよい。
【0013】
上記いずれかの半導体装置において、前記活性部は、第1活性領域と第2活性領域とを有してよい。前記エミッタ電極は、上面視で、前記第1活性領域から前記第2活性領域まで、前記第2ゲートトレンチ配線部を越えて設けられてよい。
【0014】
上記いずれかの半導体装置において、前記活性部は、第1活性領域と第2活性領域とを有してよい。前記第1ゲートトレンチ配線部は、前記第1活性領域から前記第2活性領域に延伸して設けられ、前記第1活性領域のゲートトレンチ部と前記第2活性領域のゲートトレンチ部とを接続してよい。
【0015】
上記いずれかの半導体装置において、前記第2ゲートトレンチ配線部は、複数の第2ゲートトレンチ配線部を含んでよい。前記複数の第2ゲートトレンチ配線部は、前記第1ゲートトレンチ配線部とそれぞれ前記交差部を有してよい。
【0016】
上記いずれかの半導体装置において、前記第2ゲートトレンチ配線部の幅は、前記第1ゲートトレンチ配線部の幅よりも広くてよい。
【0017】
上記いずれかの半導体装置において、前記ゲート配線部は、前記半導体装置の外周部に設けられ、前記外周部において前記第2ゲートトレンチ配線部の端部と接続され、金属からなるゲート金属層を有してよい。
【0018】
上記いずれかの半導体装置において、前記ゲート配線部は、前記半導体装置の外周部に設けられ、前記外周部において前記第2ゲートトレンチ配線部の端部と接続され、ポリシリコンからなるゲートランナを有してよい。
【0019】
上記いずれかの半導体装置において、前記ゲート配線部は、前記半導体装置の外周部に設けられ、前記外周部において前記第2ゲートトレンチ配線部の端部と接続された第3ゲートトレンチ配線部を有してよい。
【0020】
上記いずれかの半導体装置は、前記交差部の上方において、前記エミッタ電極上に設けられためっき膜を備えてよい。
【0021】
上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域の上方に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度が高い第1導電型のエミッタ領域を備えてよい。前記エミッタ電極は、前記エミッタ領域の上方に設けられてよい。
【0022】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】半導体装置100の上面の一例を示す。
図1B図1Aにおける領域Rの拡大図の一例を示す。
図1C図1Bにおけるa-a'断面の一例を示す。
図1D図1Bにおけるb-b'断面の一例を示す。
図1E図1Bにおけるc-c'断面の一例を示す。
図1F図1Bにおけるd-d'断面の一例を示す。
図2図1Aにおける領域Rの上面にトレンチボトム領域60を投影した図の一例を示す。
図3】半導体装置100の変形例における領域Rの拡大図の一例を示す。
図4A】半導体装置100の変形例における領域Rの上面にトレンチボトム領域60を投影した図の一例を示す。
図4B】半導体装置100の変形例におけるd-d'断面の一例を示す。
図5】半導体装置100の変形例におけるd-d'断面の一例を示す。
図6A】半導体装置100の変形例における領域Rの拡大図の一例を示す。
図6B】半導体装置100の変形例におけるd-d'断面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
【0026】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
【0027】
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
【0028】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0029】
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
【0030】
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をN、アクセプタ濃度をNとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はN-Nとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
【0031】
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。
【0032】
ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。
【0033】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。
【0034】
本明細書では、SI単位系を採用する。本明細書において、距離や長さの単位がcm(センチメートル)で表されることがある。この場合、諸計算はm(メートル)に換算して計算してよい。10のべき乗の数値表示について、例えば1E+16の表示は、1×1016を示し、1E-16の表示は、1×10-16を示す。
【0035】
図1Aは、半導体装置100の上面の一例を示す。本例の半導体装置100は、ゲート配線部50と、ゲートパッド112と、活性部120と、エッジ終端構造部140と、外周部150と、横断部160と、を備える。
【0036】
半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。なお、本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。半導体基板10は、端辺102を有する。また、半導体基板10は、後述の通り、おもて面21および裏面23を有する。
【0037】
活性部120は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10のおもて面21と裏面23との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部120の上方には、エミッタ電極52が設けられているが本図では省略している。
【0038】
活性部120は、第1活性領域121と、第2活性領域122と、第3活性領域123とを有してよい。活性部120が有する活性領域の数は、これに限定されない。活性部120は、少なくとも2つの活性領域を有してよく、4つ以上の活性領域を有してよい。第1活性領域121と第2活性領域122とは、離間して設けられてよい。第2活性領域122と第3活性領域123とは、離間して設けられてよい。活性部120が4つ以上の活性領域を有する場合も同様に、それぞれの活性領域は離間して設けられてよい。本例の活性領域は、Y軸方向に離間して設けられているが、複数の活性領域がX軸方向に離間して設けられてもよい。
【0039】
横断部160は、離間して設けられた複数の活性領域の間の領域である。すなわち、横断部160は、第1活性領域121と第2活性領域122とを離間してよく、第2活性領域122と第3活性領域123とを離間してよい。本例の横断部160は、X軸方向に延伸した領域であるが、Y軸方向に延伸した領域であってもよい。
【0040】
外周部150は、活性部120と端辺102との間の領域である。すなわち、外周部150は、第1活性領域121と、第2活性領域122と、第3活性領域123と、横断部160と、を取り囲んだ領域であってよい。
【0041】
ゲートパッド112は、半導体基板10の上方に設けられる。ゲートパッド112には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド112は、活性部120のゲートトレンチ部40に電気的に接続される。ゲートトレンチ部40については、後述する。
【0042】
ゲート配線部50は、上面視において、外周部150および横断部160に設けられる。ゲート配線部50は、ゲートパッド112とゲートトレンチ部40とを接続する。ゲート配線部50が横断部160に設けられることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド112からの配線長のバラツキを低減することができる。外周部150に設けられるゲート配線部50と、横断部160に設けられるゲート配線部50とは、異なる構成であってよく、同一の構成であってよい。ゲート配線部50の構成については、後述する。
【0043】
エッジ終端構造部140は、半導体基板10のおもて面21に設けられる。エッジ終端構造部140は、上面視において、外周部150に設けられる。エッジ終端構造部140は、半導体基板10のおもて面21側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部140は、活性部120を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
【0044】
図1Bは、図1Aにおける領域Rの拡大図の一例を示す。本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21において、ダミートレンチ部30と、ゲートトレンチ部40と、ゲート配線部50と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15と、ウェル領域17とを備える。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられたエミッタ電極52を備える。
【0045】
ダミートレンチ部30は、活性部120において、半導体基板10のおもて面21に設けられる。ダミートレンチ部30は、エミッタ電極52と電気的に接続されたトレンチ部である。ダミートレンチ部30は、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。ダミートレンチ部30は、半導体基板10のおもて面21に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではY軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分31と、2つの延伸部分31を接続する接続部分33を有してよい。
【0046】
接続部分33は、少なくとも一部が曲線状に形成されることが好ましい。ダミートレンチ部30の2つの延伸部分31の端部を接続することで、延伸部分31の端部における電界集中を緩和することができる。
【0047】
ゲートトレンチ部40は、活性部120において、半導体基板10のおもて面21に設けられる。ゲートトレンチ部40は、予め定められた延伸方向(本例ではY軸方向)に延伸して設けられる。ゲートトレンチ部40は、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21においてI字形状を有するが、半導体基板10のおもて面21においてU字形状を有してよい。すなわち、ゲートトレンチ部40は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分と、2つの延伸部分を接続する接続部分を有してよい。
【0048】
本例の半導体装置100は、1つのゲートトレンチ部40と2つのダミートレンチ部30を繰り返し配列させた構造を有する。即ち、本例の半導体装置100は、1:2の比率でゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30を有している。例えば、半導体装置100は、I字形状のゲートトレンチ部40とU字形状のダミートレンチ部30を交互に有する。
【0049】
ただし、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は本例に限定されない。ゲートトレンチ部40の比率がダミートレンチ部30の比率よりも大きくてよく、ダミートレンチ部30の比率とゲートトレンチ部40の比率とが同一であってよい。ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は、1:1であってもよく、3:2であってもよい。また、半導体装置100は、全てのトレンチ部をゲートトレンチ部40として、ダミートレンチ部30を有しなくてもよい。
【0050】
ベース領域14は、後述するドリフト領域18の上方に設けられた第2導電型の領域である。ベース領域14は、一例としてP-型である。
【0051】
エミッタ領域12は、ドリフト領域18の上方に設けられ、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い第1導電型の領域である。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12のドーパントの一例はヒ素(As)である。エミッタ領域12は、おもて面21において、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に延伸して設けられてよい。エミッタ領域12は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0052】
また、エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のエミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接している。
【0053】
コンタクト領域15は、ベース領域14の上方に設けられ、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。本例のコンタクト領域15は、おもて面21に設けられている。コンタクト領域15は、2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に設けられてよい。コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40またはダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のコンタクト領域15は、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接する。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0054】
ウェル領域17は、ドリフト領域18の上方に設けられた第2導電型の領域である。ウェル領域17は、一例としてP+型である。ウェル領域17の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ウェル領域17とベース領域14のX軸方向における境界は、外周部150と活性部120との境界であってよい。ウェル領域17とベース領域14のY軸方向における境界は、横断部160と活性部120との境界であってよい。
【0055】
エミッタ電極52は、層間絶縁膜38を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。層間絶縁膜38は、図1Bでは省略されている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56が貫通して設けられている。エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15およびウェル領域17の上方に設けられている。また、エミッタ電極52は、横断部160に設けられたゲート配線部50の上方に設けられている。エミッタ電極52とゲート配線部50とは、互いに絶縁されている。
【0056】
エミッタ電極52は、金属を含む材料で形成される。エミッタ電極52の少なくとも一部の領域は、アルミニウム(Al)等の金属、または、アルミニウム‐シリコン合金(AlSi)、アルミニウム‐シリコン‐銅合金(AlSiCu)等の金属合金で形成されてよい。エミッタ電極52は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンまたはチタン化合物等で形成されたバリアメタル層を有してよい。
【0057】
コンタクトホール54は、活性部120において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の各領域の上方に形成される。コンタクトホール54は、ベース領域14の上方に形成されてよい。コンタクトホール54は、Y軸方向両端に設けられたウェル領域17の上方には設けられていない。このように、層間絶縁膜38には、1又は複数のコンタクトホール54が形成されている。1又は複数のコンタクトホール54は、延伸方向に延伸して設けられてよい。
【0058】
コンタクトホール55は、ゲート配線部50のゲート金属層540と第2ゲートトレンチ配線部514内のゲート導電部とを接続する。ゲート金属層540については、後述する。コンタクトホール55の内部には、タングステン等で形成されたプラグ層が形成されてもよい。
【0059】
コンタクトホール56は、エミッタ電極52とダミートレンチ部30内のダミー導電部とを接続する。コンタクトホール56の内部には、タングステン等で形成されたプラグ層が形成されてもよい。
【0060】
ゲート配線部50は、第1ゲートトレンチ配線部512と、第2ゲートトレンチ配線部514とを有する。
【0061】
第1ゲートトレンチ配線部512は、予め定められた方向に延伸する。本例の第1ゲートトレンチ配線部512は、Y軸方向に延伸して設けられる。第1ゲートトレンチ配線部512は、第1活性領域121から第2活性領域122に延伸して設けられてよい。第1ゲートトレンチ配線部512は、第1活性領域121のゲートトレンチ部40と第2活性領域122のゲートトレンチ部40とを接続してよい。すなわち、ゲートトレンチ部40と第1ゲートトレンチ配線部512とは、互いに電気的に接続されてよい。
【0062】
第1ゲートトレンチ配線部512とゲートトレンチ部40とは、同一の構成を有してよい。すなわち、第1ゲートトレンチ配線部512の幅とゲートトレンチ部40の幅とは同一であってよく、第1ゲートトレンチ配線部512の深さとゲートトレンチ部40の深さとは同一であってよい。ただし、第1ゲートトレンチ配線部512の幅とゲートトレンチ部40の幅とは異なってよく、第1ゲートトレンチ配線部512の深さとゲートトレンチ部40の深さとは異なってよい。第1ゲートトレンチ配線部512とゲートトレンチ部40とは、同一の工程で一体的に形成されてよい。ただし、第1ゲートトレンチ配線部512とゲートトレンチ部40とは、異なる工程で形成されてもよい。第1ゲートトレンチ配線部512とゲートトレンチ部40との境界は、活性部120と横断部160との境界であってよい。
【0063】
第1ゲートトレンチ配線部512は、複数の第1ゲートトレンチ配線部512を含んでよい。複数の第1ゲートトレンチ配線部512の数と、活性部120の複数のゲートトレンチ部40の数とは、同一であってよい。すなわち、第1ゲートトレンチ配線部512は、第1活性領域121に設けられたゲートトレンチ部40と第2活性領域122に設けられたゲートトレンチ部40とのすべてを互いに接続してよい。ただし、複数の第1ゲートトレンチ配線部512の数と活性部120の複数のゲートトレンチ部40の数とは異なってよく、複数の活性領域に設けられた複数のゲートトレンチ部40の一部は、複数の活性領域にわたって互いに接続されなくてもよい。
【0064】
第2ゲートトレンチ配線部514は、第1ゲートトレンチ配線部512と異なる方向に延伸し、第1ゲートトレンチ配線部512と交差部510で交差してよい。本例の第2ゲートトレンチ配線部514は、第1ゲートトレンチ配線部512の延伸方向であるY軸方向とは異なるX軸方向に延伸している。第1ゲートトレンチ配線部512と第2ゲートトレンチ配線部514とは、交差部510において電気的に接続されてよい。
【0065】
交差部510は、半導体基板10の深さ方向と平行な断面において、ウェル領域17の内側に設けられてよく、下端がウェル領域17の下端よりも浅くてよい。すなわち、ウェル領域17の拡散深さは、第1ゲートトレンチ配線部512および第2ゲートトレンチ配線部514の深さよりも深くてよく、交差部510の深さよりも深くてよい。交差部510がウェル領域17の内側に設けられることで、交差部510の底部における電界集中を緩和することができる。これにより、半導体装置100の耐圧低下を抑制することができる。
【0066】
第2ゲートトレンチ配線部514は、複数の第2ゲートトレンチ配線部514を含んでよい。本例の第2ゲートトレンチ配線部514は、4つの第2ゲートトレンチ配線部514を含んでいる。本例の第2ゲートトレンチ配線部514は、U字形状を有している。すなわち、第2ゲートトレンチ配線部514は、半導体基板10のおもて面21に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではX軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分と、2つの延伸部分を接続する接続部分を有してよい。第2ゲートトレンチ配線部514は、+X軸方向の端部においても、同様のU字形状を有してよい。すなわち、第2ゲートトレンチ配線部514は、ループ形状を有してよい。
【0067】
複数の第2ゲートトレンチ配線部514は、第1ゲートトレンチ配線部512とそれぞれ交差部510を有してよい。本例の複数の第2ゲートトレンチ配線部514は、図示された領域Rにおいて、それぞれ4つの交差部510を有している。複数の第2ゲートトレンチ配線部514のそれぞれが有する交差部510の数は、複数の第1ゲートトレンチ配線部512の数と同一であってよい。
【0068】
ウェル領域17は、半導体装置100の外周部150に設けられた第2ゲートトレンチ配線部514の一端から、外周部150に設けられた第2ゲートトレンチ配線部514の他端まで延伸して設けられてよい。すなわち、複数の第1ゲートトレンチ配線部512と複数の第2ゲートトレンチ配線部514が交差するすべての交差部510は、ウェル領域17の内部に設けられてよい。
【0069】
第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1と第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2とは同一であってよい。これにより、第1ゲートトレンチ配線部512と第2ゲートトレンチ配線部514とが、同一の工程により形成されることができる。ただし、第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1と第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2とは異なってよく、第1ゲートトレンチ配線部512と第2ゲートトレンチ配線部514とは、異なる工程で形成されてよい。
【0070】
本例のゲート配線部50は、横断部160において、第1ゲートトレンチ配線部512と、第2ゲートトレンチ配線部514とを有する。これにより、半導体装置100の製造工程において半導体基板10の上方にポリシリコンを残す必要がないので、半導体装置100の平坦化が可能となり、大口径ウエハにおいても、パターニング精度を向上することができる。第1ゲートトレンチ配線部512と第2ゲートトレンチ配線部514とがトレンチ構造を有することで、同一幅のゲートランナ構造を半導体基板10の上方に設ける場合と比較して、ゲート配線部50の抵抗値を低減することができる。また、半導体装置100の製造工程において半導体基板10の上方にポリシリコンを残す必要がないので、全面エッチバックが可能となり、マスクの枚数を削減することができる。
【0071】
エミッタ電極52は、交差部510の上方に設けられてよい。すなわち、エミッタ電極52は、上面視で、第1活性領域121から第2活性領域122まで、第2ゲートトレンチ配線部514を越えて設けられてよい。
【0072】
図1Bにおいては、図1Aにおける領域Rの拡大図の一例を示した。領域Rは、第1活性領域121と、第2活性領域122と、横断部160と、活性部120の-X軸方向に位置する外周部150と、を含む領域である。第2活性領域122と、第3活性領域123と、横断部160と、活性部120の-X軸方向に位置する外周部150と、を含む領域も、領域Rと同様の構成を有してよい。第1活性領域121と、第2活性領域122と、横断部160と、活性部120の+X軸方向に位置する外周部150と、を含む領域も、領域Rと鏡映対称となる同様の構成を有してよい。第2活性領域122と、第3活性領域123と、横断部160と、活性部120の+X軸方向に位置する外周部150と、を含む領域も、領域Rと鏡映対称となる同様の構成を有してよい。
【0073】
例えば、いずれの領域においても、ゲート配線部50は、第1ゲートトレンチ配線部512と、第2ゲートトレンチ配線部514と、を有してよく、第1ゲートトレンチ配線部512と第2ゲートトレンチ配線部514とは、交差部510で交差してよい。第1ゲートトレンチ配線部512は、第1活性領域121のゲートトレンチ部40と第2活性領域122のゲートトレンチ部40とを接続してよく、第2活性領域122のゲートトレンチ部40と第3活性領域123のゲートトレンチ部40とを接続してよい。いずれの領域においても、エミッタ電極52は、交差部510の上方に設けられてよい。すなわち、エミッタ電極52は、ゲート配線部50によって分断されることなく、複数の活性領域にわたって単一の電極として設けられてよい。
【0074】
エミッタ電極52が交差部510の上方に設けられることで、エミッタ電極52がゲート配線部50によって分断して設けられる場合と比較して、半導体装置100の寄生インダクタンスを低減することができる。寄生インダクタンスを低減することで、半導体装置100のターンオン時および短絡時に発生する発振を抑制することができる。
【0075】
図1Cは、図1Bにおけるa-a'断面の一例を示す。a-a'断面は、外周部150において、ウェル領域17を通過するYZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38およびコレクタ電極24を有する。
【0076】
ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。すなわち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
【0077】
バッファ領域20は、ドリフト領域18よりも半導体基板10の裏面23側に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、一例としてN型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。なお、バッファ領域20は、省略されてよい。
【0078】
コレクタ領域22は、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22は、第2導電型を有する。本例のコレクタ領域22は、一例としてP+型である。
【0079】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。コレクタ電極24の材料は、エミッタ電極52の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0080】
第2ゲートトレンチ配線部514は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜5142およびゲート導電部5144を有する。ゲート絶縁膜5142は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜5142は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部5144は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜5142よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜5142は、ゲート導電部5144と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部5144は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。第2ゲートトレンチ配線部514は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われてよい。
【0081】
第2ゲートトレンチ配線部514は、ウェル領域17の内部に設けられてよい。すなわち、半導体基板10の深さ方向において、ウェル領域17の深さは、第2ゲートトレンチ配線部514の深さよりも深くてよい。
【0082】
層間絶縁膜38は、半導体基板10の上方に設けられる。本例の層間絶縁膜38は、おもて面21と接して設けられる。層間絶縁膜38の膜厚は、例えば1.0μmであるが、これに限定されない。層間絶縁膜38は、シリコン酸化膜であってよい。層間絶縁膜38は、BPSG(Boro‐phospho Silicate Glass)膜であってもよいし、BSG(borosilicate glass)膜であってもよいし、PSG(Phosphosilicate glass)膜であってもよい。層間絶縁膜38は、高温シリコン酸化(HTO:High Temperature Oxide)膜を含んでもよい。
【0083】
図1Dは、図1Bにおけるb-b'断面の一例を示す。b-b'断面は、第1活性領域121、横断部160および第2活性領域122を通る断面であって、活性部120においてコンタクトホール54を通過するYZ面である。本例の半導体装置100は、b-b'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52、めっき膜53およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52およびめっき膜53は、半導体基板10および層間絶縁膜38の上方に形成される。本例の半導体装置100は、蓄積領域16を備えてよい。蓄積領域16については、後述する。
【0084】
トレンチボトム領域60は、第2導電型の領域である。本例のトレンチボトム領域60は、一例としてP--型である。トレンチボトム領域60のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度よりも低くてよい。トレンチボトム領域60は、ウェル領域17と接続されてよい。
【0085】
トレンチボトム領域60は、第1トレンチボトム部62と、第2トレンチボトム部64と、を有してよい。第2トレンチボトム部64は、第1トレンチボトム部62と離間して設けられ、ウェル領域17と接続されてよい。
【0086】
ダミートレンチ部30は、第2ゲートトレンチ配線部514と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われてよい。
【0087】
層間絶縁膜38の上方には、エミッタ電極52が設けられている。エミッタ電極52と第2ゲートトレンチ配線部514とは、層間絶縁膜38によって互いに絶縁されている。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続するための1又は複数のコンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール56も同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。
【0088】
めっき膜53は、エミッタ電極52の上方に形成される。めっき膜53は、金属等の導電材料で形成される。めっき膜53の材料は、金、パラジウムおよびニッケルの少なくとも1つを含んでよい。めっき膜53は、コレクタ電極24の下方にも形成されてよい。エミッタ電極52の上方にめっき膜53を形成することで、はんだ等を介したボンディングワイヤおよびリードフレーム等との接触特性を向上し、外部装置との電気的な接続を担保することができる。
【0089】
めっき膜53は、エミッタ電極52の全体にわたって、エミッタ電極52の上方に形成されてよい。前述のように、エミッタ電極52は、第1活性領域121から第2活性領域122まで、第2ゲートトレンチ配線部514を越えて設けられてよい。したがって、半導体装置100は、交差部510の上方において、エミッタ電極52上に設けられためっき膜53を備えてよい。
【0090】
図1Eは、図1Bにおけるc-c'断面の一例を示す。c-c'断面は、第1活性領域121および外周部150を通る断面であって、活性部120においてエミッタ領域12を通過するXZ面である。
【0091】
蓄積領域16は、ドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられる第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。但し、蓄積領域16が設けられなくてもよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高くてよい。蓄積領域16のイオン注入のドーズ量は、1.0E+12cm-2以上、3.0E+13cm-2以下であってよい。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、半導体装置100のオン電圧を低減できる。
【0092】
ゲートトレンチ部40は、第2ゲートトレンチ配線部514およびダミートレンチ部30と同一の構造を有してよい。ゲートトレンチ部40は、おもて面21側に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部に形成され、且つ、ゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われてよい。
【0093】
トレンチボトム領域60は、ゲートトレンチ部40の底部に接して設けられる。トレンチボトム領域60は、ダミートレンチ部30の底部に接して設けられてよい。本例のトレンチボトム領域60は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の底部に接して設けられている。
【0094】
本例のトレンチボトム領域60は、複数のトレンチ部のトレンチ配列方向において、複数のトレンチ部の1つのトレンチ部の下端から、対向する他のトレンチ部の下端まで延伸して設けられている。トレンチボトム領域60は、複数のトレンチ部の1つのトレンチ部の下端から、対向する他のトレンチ部の下端を超えて、当該対向する他のトレンチ部に隣接するトレンチ部の下端まで延伸して設けられてよい。すなわち、トレンチボトム領域60は、2つ以上のトレンチ部の下端を超えて延伸して設けられてよい。
【0095】
トレンチボトム領域60がゲートトレンチ部40の底部に接して設けられることで、半導体装置100のターンオン時のゲートトレンチ部40周辺の電位上昇を抑制することができ、半導体装置100のdV/dtを抑制することができる。これにより、半導体装置100のスイッチング動作に応じたノイズの発生を低減することができる。
【0096】
トレンチボトム領域60は、前述のように、第1トレンチボトム部62と、第1トレンチボトム部62と離間して設けられ、ウェル領域17と接続された第2トレンチボトム部64と、を有している。すなわち、活性部120は、トレンチボトム領域60が設けられていないトレンチボトムレス領域66を有してよい。トレンチボトムレス領域66を設けることで、電子障壁が低下し、オン損失Eonを低減することができる。半導体装置100のターンオン時には、最初にトレンチボトムレス領域66において電子の注入が始まってよく、続いてトレンチボトム領域60が設けられた活性部120の通電が開始してよい。
【0097】
エミッタ領域12は、第1トレンチボトム部62の上方に設けられる。エミッタ領域12は、第2トレンチボトム部64の上方およびトレンチボトムレス領域66に設けられなくてよい。エミッタ領域12がトレンチボトムレス領域66に設けられないことで、トレンチボトムレス領域66が通電開始時のトリガとして動作しやすくなる。
【0098】
ベース領域14は、トレンチボトム領域60の上方およびトレンチボトムレス領域66に設けられてよい。ベース領域14がトレンチボトムレス領域66に設けられることで、トレンチボトムレス領域66が通電開始時のトリガとして動作することができる。
【0099】
蓄積領域16は、トレンチボトムレス領域66の上方およびトレンチボトムレス領域66に設けられてよい。本例の蓄積領域16は、第1トレンチボトム部62の上方にのみ設けられている。
【0100】
ゲート配線部50は、ゲートランナ520と、ゲート金属層540と、を有する。ゲートランナ520とゲート金属層540とは、層間絶縁膜38に設けられたコンタクトホール55を介して接続されている。コンタクトホール55は、コンタクトホール54およびコンタクトホール56と同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。
【0101】
ゲートランナ520は、半導体装置100の外周部150に設けられる。ゲートランナ520は、酸化膜39を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。ゲートランナ520は、ポリシリコン等の導電材料で形成されてよい。本例のゲートランナ520は、ポリシリコンからなる。
【0102】
酸化膜39は、半導体基板10の半導体を酸化または窒化して形成されてよい。酸化膜39は、トレンチ内に設けられた絶縁膜と同一の工程で形成されてよい。ただし、酸化膜39は、トレンチ内に設けられた絶縁膜と異なる工程で形成されてもよい。酸化膜39は、ゲートランナ520と半導体基板10とを絶縁する。
【0103】
ゲート金属層540は、半導体装置100の外周部150に設けられる。ゲート金属層540は、層間絶縁膜38を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。ゲート金属層540は、金属を含む材料で形成される。ゲート金属層540の材料は、エミッタ電極52の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0104】
ゲート金属層540およびエミッタ電極52は、互いに分離して設けられる。これにより、エミッタ電極52とゲート配線部50とは、互いに絶縁されている。
【0105】
めっき膜53は、ゲート金属層540の上方に設けられてよい。ただし、めっき膜53は、ゲート金属層540の上方に設けられなくてもよい。
【0106】
図1Fは、図1Bにおけるd-d'断面の一例を示す。d-d'断面は、外周部150および横断部160を通過する断面であって、横断部160において第1ゲートトレンチ配線部512を通過するXZ面である。
【0107】
第1ゲートトレンチ配線部512は、第2ゲートトレンチ配線部514、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。第1ゲートトレンチ配線部512は、おもて面21側に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜5122およびゲート導電部5124を有する。ゲート絶縁膜5122は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート導電部5124は、ゲートトレンチの内部に形成され、且つ、ゲート絶縁膜5122よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜5122は、ゲート導電部5124と半導体基板10とを絶縁する。第1ゲートトレンチ配線部512は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われてよい。
【0108】
第1ゲートトレンチ配線部512は、ウェル領域17の内部に設けられてよい。すなわち、ウェル領域17の深さは、第1ゲートトレンチ配線部512の深さよりも深くてよい。
【0109】
第2ゲートトレンチ配線部514の深さは、第1ゲートトレンチ配線部512の深さと同一であってよく、第1ゲートトレンチ配線部512の深さよりも深くてよく、第1ゲートトレンチ配線部512の深さよりも浅くてよい。本例の第2ゲートトレンチ配線部514の深さは、第1ゲートトレンチ配線部512の深さと同一である。
【0110】
ゲートランナ520は、外周部150において第2ゲートトレンチ配線部514の端部と接続されてよい。ゲート金属層540は、外周部において、ゲートランナ520を介して、第2ゲートトレンチ配線部514の端部と接続されてよい。すなわち、第2ゲートトレンチ配線部514のゲート導電部5144と、ゲートランナ520と、ゲート金属層540とは、互いに電気的に接続されてよい。
【0111】
本例の半導体装置100においては、ゲートパッド112と、半導体装置100の外周部150に設けられたゲート金属層540およびゲートランナ520とが電気的に接続される。ゲート金属層540およびゲートランナ520は、外周部150において、第2ゲートトレンチ配線部514と電気的に接続される。第2ゲートトレンチ配線部514は、交差部510において、第1ゲートトレンチ配線部512と電気的に接続される。第1ゲートトレンチ配線部512は、活性部120のゲートトレンチ部40と電気的に接続される。このように、ゲートパッド112は、活性部120のゲートトレンチ部40に電気的に接続される。
【0112】
図2は、図1Aにおける領域Rの上面にトレンチボトム領域60を投影した図の一例を示す。本例のトレンチボトム領域60は、第1トレンチボトム部62と、第1トレンチボトム部62と離間して設けられ、ウェル領域17と接続された第2トレンチボトム部64と、を有している。本例の活性部120は、トレンチボトム領域60が設けられていないトレンチボトムレス領域66を有している。
【0113】
第1トレンチボトム部62は、上面視において、活性部120の内側に設けられてよい。すなわち、第1トレンチボトム部62は、上面視において、第1活性領域121、第2活性領域122および第3活性領域123の内側に設けられてよい。活性部120のうち第1トレンチボトム部62が設けられない領域には、トレンチボトムレス領域66または第2トレンチボトム部64が設けられてよい。
【0114】
第2トレンチボトム部64は、第1トレンチボトム部62と離間して、第1トレンチボトム部62の外側に設けられる。第2トレンチボトム部64は、活性部120から横断部160にわたって設けられてよい。すなわち、第2トレンチボトム部64は、上面視において、第1活性領域121および横断部160と重複して設けられてよく、第2活性領域122および横断部160と重複して設けられてよく、第3活性領域123および横断部160と重複して設けられてよい。
【0115】
第2トレンチボトム部64は、活性部120から外周部150にわたって設けられてよい。すなわち、第2トレンチボトム部64は、上面視において、第1活性領域121および外周部150と重複して設けられてよく、第2活性領域122および外周部150と重複して設けられてよく、第3活性領域123および外周部150と重複して設けられてよい。
【0116】
エミッタ領域12は、第1トレンチボトム部62の上方に設けられてよい。エミッタ領域12は、第2トレンチボトム部64の上方およびトレンチボトムレス領域66に設けられなくてよい。エミッタ領域12がトレンチボトムレス領域66に設けられないことで、トレンチボトムレス領域66が通電開始時のトリガとして動作しやすくなる。
【0117】
ベース領域14は、トレンチボトム領域60の上方およびトレンチボトムレス領域66に設けられてよい。ベース領域14がトレンチボトムレス領域66に設けられることで、トレンチボトムレス領域66が通電開始時のトリガとして動作することができる。
【0118】
第2トレンチボトム部64は、外周部150に最も近接するダミートレンチ部30を超えて設けられてよい。ただし、第2トレンチボトム部64は、ウェル領域17と接続されて設けられていればよく、外周部150に最も近接するダミートレンチ部30よりも内側まで設けられてもよい。
【0119】
本例のトレンチボトムレス領域66は、外周部150および横断部160の近傍に設けられている。トレンチボトムレス領域66は、外周部150および横断部160からさらに離間して、活性部120の中央付近に設けられてもよい。この場合、エミッタ領域12は、トレンチボトムレス領域66に設けられなくてよい。また、トレンチボトムレス領域66においては、ゲートトレンチ部40が設けられず、ダミートレンチ部30のみが設けられてよい。
【0120】
図3は、半導体装置100の変形例における領域Rの拡大図の一例を示す。本例の半導体装置100は、第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1と第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2が異なる点で、図1Fの実施例と相違する。本例では、図1Fの実施例と相違する点について特に説明し、その他は図1Fの実施例と同一であってよい。
【0121】
第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2は、第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1よりも広くてよい。第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2を第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1よりも広くすることで、ゲート導電部5144の断面積を大きくすることができ、抵抗値を低減することができる。ただし、第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2は、第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1と同一であってよく、第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1よりも狭くてもよい。
【0122】
一例として、第2ゲートトレンチ配線部514の幅W2が第1ゲートトレンチ配線部512の幅W1よりも狭い場合、横断部160に設けられる複数の第2ゲートトレンチ配線部514の数を増やしてよい。これにより、複数の第2ゲートトレンチ配線部514におけるゲート導電部5144の総断面積を大きくすることができ、抵抗値を低減することができる。
【0123】
図4Aは、半導体装置100の変形例における領域Rの上面にトレンチボトム領域60を投影した図の一例を示す。本例の半導体装置100は、トレンチボトム領域60が横断部160に設けられた第3トレンチボトム部68を有する点で、図2の実施例と相違する。本例では、図2の実施例と相違する点について特に説明し、その他は図2の実施例と同一であってよい。
【0124】
第3トレンチボトム部68は、半導体装置100の外周部150に設けられた第2ゲートトレンチ配線部514の一端から、外周部150に設けられた第2ゲートトレンチ配線部514の他端まで延伸して設けられてよい。上述のように、第1活性領域121と、第2活性領域122と、横断部160と、活性部120の+X軸方向に位置する外周部150と、を含む領域も、領域Rと鏡映対称となる同様の構成を有してよい。すなわち、第3トレンチボトム部68は、当該鏡映対象となる領域にまで延伸して設けられてよい。
【0125】
本例の第3トレンチボトム部68は、第1活性領域121に設けられた第2トレンチボトム部64と、第2活性領域122に設けられた第2トレンチボトム部64と、それぞれ離間して設けられている。第3トレンチボトム部68は、第1活性領域121に設けられた第2トレンチボトム部64と、第2活性領域122に設けられた第2トレンチボトム部64と、接続して設けられてもよい。すなわち、第3トレンチボトム部68と、第1活性領域121に設けられた第2トレンチボトム部64と、第2活性領域122に設けられた第2トレンチボトム部64とは、一体的に設けられてもよい。
【0126】
図4Bは、半導体装置100の変形例におけるd-d'断面の一例を示す。本例のd-d'断面は、図4Aの半導体装置100におけるd-d'断面である。
【0127】
第3トレンチボトム部68は、第1ゲートトレンチ配線部512の底部に接して設けられてよい。第3トレンチボトム部68は、第2ゲートトレンチ配線部514の底部に接して設けられてよい。したがって、第3トレンチボトム部68は、交差部510の底部に接して設けられてよい。トレンチボトム領域60が交差部510の底部に接して設けられることで、交差部510の底部における電界集中を緩和することができる。これにより、半導体装置100の耐圧低下を抑制することができる。
【0128】
交差部510の底部に接して設けられた第3トレンチボトム部68は、ウェル領域17と接続されてよい。本例の第3トレンチボトム部68は、ウェル領域17の内部に設けられることで、ウェル領域17と接続されている。交差部510の底部に接して設けられた第3トレンチボトム部68がウェル領域17と接続されることで、交差部510の底部の電位をエミッタ電位に保つことができ、交差部510の底部における電界集中を緩和することができる。これにより、半導体装置100の耐圧低下を抑制することができる。
【0129】
本例の半導体装置100は、交差部510の下方において、第3トレンチボトム部68およびウェル領域17を備えている。半導体装置100は、交差部510の下方において、第3トレンチボトム部68のみを備えてもよい。
【0130】
図5は、半導体装置100の変形例におけるd-d'断面の一例を示す。本例の半導体装置100は、ゲート配線部50がゲートランナ520を有しない点で、図1Fの実施例と相違する。本例では、図1Fの実施例と相違する点について特に説明し、その他は図1Fの実施例と同一であってよい。
【0131】
ゲート配線部50は、半導体装置100の外周部150に設けられ、金属からなるゲート金属層540を有してよい。ゲート金属層540は、外周部150において第2ゲートトレンチ配線部514の端部と接続されてよい。
【0132】
本例のゲート配線部50は、半導体装置100の外周部150において、ゲート金属層540を有し、ゲートランナ520を有しない。ゲート配線部50がゲートランナ520を有しないことで、半導体装置100の製造工程において半導体基板10の上方にポリシリコンを残す必要がないので、全面エッチバックが可能となり、マスクの枚数を削減することができる。また、半導体装置100の製造工程において半導体基板10の上方にポリシリコンを残す必要がないので、半導体装置100の平坦化が可能となり、大口径ウエハにおいても、パターニング精度を向上することができる。
【0133】
図6Aは、半導体装置100の変形例における領域Rの拡大図の一例を示す。本例の半導体装置100は、ゲート配線部50が半導体装置100の外周部150に設けられた第3ゲートトレンチ配線部516を有する点で、図1Bの実施例と相違する。本例では、図1Bの実施例と相違する点について特に説明し、その他は図1Bの実施例と同一であってよい。
【0134】
第3ゲートトレンチ配線部516は、外周部150において第2ゲートトレンチ配線部514の端部と接続されてよい。第3ゲートトレンチ配線部516は、第2ゲートトレンチ配線部514と交差部510で交差してよい。第3ゲートトレンチ配線部516は、端辺102と平行な方向に延伸して設けられてよい。
【0135】
図6Bは、半導体装置100の変形例におけるd-d'断面の一例を示す。本例のd-d'断面は、図6Aの半導体装置100におけるd-d'断面である。
【0136】
第3ゲートトレンチ配線部516は、第1ゲートトレンチ配線部512、第2ゲートトレンチ配線部514、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。第3ゲートトレンチ配線部516は、おもて面21側に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜5162およびゲート導電部5164を有する。ゲート絶縁膜5162は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート導電部5164は、ゲートトレンチの内部に形成され、且つ、ゲート絶縁膜5162よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜5162は、ゲート導電部5164と半導体基板10とを絶縁する。第3ゲートトレンチ配線部516は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われてよい。
【0137】
交差部510は、半導体基板10の深さ方向と平行な断面において、ウェル領域17の内側に設けられてよく、下端がウェル領域17の下端よりも浅くてよい。すなわち、ウェル領域17の拡散深さは、第2ゲートトレンチ配線部514および第3ゲートトレンチ配線部516の深さよりも深くてよく、交差部510の深さよりも深くてよい。交差部510がウェル領域17の内側に設けられることで、交差部510の底部における電界集中を緩和することができる。これにより、半導体装置100の耐圧低下を抑制することができる。
【0138】
本例のゲート配線部50は、半導体装置100の外周部150において、ゲート金属層540および第3ゲートトレンチ配線部516を有し、ゲートランナ520を有しない。ゲート配線部50がゲートランナ520を有しないことで、半導体装置100の製造工程において半導体基板10の上方にポリシリコンを残す必要がないので、全面エッチバックが可能となり、マスクの枚数を削減することができる。また、半導体装置100の製造工程において半導体基板10の上方にポリシリコンを残す必要がないので、半導体装置100の平坦化が可能となり、大口径ウエハにおいても、パターニング精度を向上することができる。
【0139】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0140】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0141】
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・ウェル領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、30・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、39・・・酸化膜、40・・・ゲートトレンチ部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、50・・・ゲート配線部、52・・・エミッタ電極、53・・・めっき膜、54・・・コンタクトホール、55・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、60・・・トレンチボトム領域、62・・・第1トレンチボトム部、64・・・第2トレンチボトム部、66・・・トレンチボトムレス領域、68・・・第3トレンチボトム部、100・・・半導体装置、102・・・端辺、112・・・ゲートパッド、120・・・活性部、121・・・第1活性領域、122・・・第2活性領域、123・・・第3活性領域、140・・・エッジ終端構造部、150・・・外周部、160・・・横断部、510・・・交差部、512・・・第1ゲートトレンチ配線部、514・・・第2ゲートトレンチ配線部、516・・・第3ゲートトレンチ配線部、520・・・ゲートランナ、540・・・ゲート金属層、5122・・・ゲート絶縁膜、5124・・・ゲート導電部、5142・・・ゲート絶縁膜、5144・・・ゲート導電部、5162・・・ゲート絶縁膜、5164・・・ゲート導電部
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B