(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174675
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】盗難防止システム、盗難防止方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 13/22 20060101AFI20241210BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20241210BHJP
【FI】
G08B13/22
H02S50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092630
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】522226395
【氏名又は名称】RYOKI ENERGY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】西田 勇介
(72)【発明者】
【氏名】森 由実
(72)【発明者】
【氏名】亀井 友範
【テーマコード(参考)】
5C084
5F251
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084CC06
5C084DD01
5C084EE02
5C084HH12
5F251BA11
5F251JA08
5F251JA27
5F251KA02
5F251KA08
(57)【要約】
【課題】太陽光発電設備における、電気ケーブルの盗難を防止するための種々の技術を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムが提供される。この盗難防止システムは、パワーコンディショナと、ストリング部と、プロセッサとを備える。パワーコンディショナは、抵抗測定部を備える。抵抗測定部は、測定データを取得可能に構成される。測定データは、ストリング部を含む回路の抵抗値を示すデータである。ストリング部は、複数のセル部を含むように構成され、電気ケーブルを少なくとも介することにより、パワーコンディショナと電気的に接続されており、セル部は、太陽光のエネルギーを直流電流に変換して取得可能に構成される。プロセッサは、抵抗測定部から測定データを取得する。測定データが示す抵抗値の変化に応じて電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムであって、
パワーコンディショナと、ストリング部と、プロセッサとを備え、
前記パワーコンディショナは、抵抗測定部を備え、
前記抵抗測定部は、測定データを取得可能に構成され、
前記測定データは、前記ストリング部を含む回路の抵抗値を示すデータであり、
前記ストリング部は、複数のセル部を含むように構成され、前記電気ケーブルを少なくとも介することにより、前記パワーコンディショナと電気的に接続されており、
前記セル部は、太陽光のエネルギーを直流電流に変換して取得可能に構成され、
前記プロセッサは、
前記抵抗測定部から前記測定データを取得し、
前記測定データが示す抵抗値の変化に応じて前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【請求項2】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記プロセッサは、前記測定データが示す抵抗値が無限大に発散したとき、又は一時的に抵抗値がゼロとなったこと検知した場合に、前記電気ケーブルが切断された旨の通知を出力する、
盗難防止システム。
【請求項3】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記ストリング部は、セルストリング回路と、バイパス回路とを備え、
前記セルストリング回路は、複数の前記セル部を電気的に直列に接続するように構成されており、
前記バイパス回路は、バイパスダイオードを含み、前記セルストリング回路と電気的に並列に接続されており、
前記バイパスダイオードは、前記セルストリング回路が断線もしくは発電せずに抵抗となった場合に、前記バイパス回路に電流を流すダイオードとして構成され、
前記プロセッサは、前記ストリング部に含まれる前記バイパスダイオードに起因する抵抗値が減少した場合に前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【請求項4】
請求項3に記載の盗難防止システムにおいて、
接続箱を備え、
前記電気ケーブルは、第1電気ケーブルと、第2電気ケーブルとを含み、
前記第1電気ケーブルは、少なくとも当該第1電気ケーブルを介して、前記パワーコンディショナと1以上の前記接続箱とを電気的に接続し、
前記第2電気ケーブルは、少なくとも当該第2電気ケーブルを介して、前記接続箱と1以上の前記ストリング部とを電気的に接続し、
前記プロセッサは、
前記パワーコンディショナに従属する複数の前記ストリング部に含まれる、1以上のバイパスダイオードに起因する抵抗値の減少を検出した場合、前記第1電気ケーブルの盗難に関するデータを出力し、
1つの前記ストリング部に含まれる、1以上のバイパスダイオードに起因する抵抗値の減少を検出した場合、前記第2電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【請求項5】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記プロセッサは、所定の範囲を超える抵抗値の変化が、所定時間内に所定回発生した場合に、前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【請求項6】
請求項1に記載の盗難防止システムにおいて、
前記プロセッサは、所定の切替条件を満たすことにより、前記抵抗測定部からの前記測定データの取得を開始し、前記切替条件は、発電に起因する電圧が所定の値の範囲を下回ることである、
盗難防止システム。
【請求項7】
太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムであって、
パワーコンディショナと、セル部と、プロセッサとを備え、
前記パワーコンディショナは、信号発生部と、信号測定部とを備え、
前記信号発生部は、前記電気ケーブルを伝達する信号を発生可能に構成され、
前記信号測定部は、発生した前記信号の反射波のデータを取得可能に構成され、
前記セル部は、太陽光のエネルギーを直流電流に変換して取得可能に構成され、
前記電気ケーブルは、当該電気ケーブルを少なくとも介すことにより、前記セル部で発生した前記直流電流を前記パワーコンディショナに送電可能に構成され、
前記プロセッサは、
前記信号発生部から信号を前記電気ケーブル中に発生させ、
前記信号測定部にて、前記電気ケーブルを介して反射した信号のデータを取得し、
反射した前記信号のデータに基づいて前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【請求項8】
請求項7に記載の盗難防止システムにおいて、
前記プロセッサは、前記電気ケーブルの異常が発生した箇所に応じて変化する、反射した前記信号の位相のデータに基づいて、前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【請求項9】
盗難防止方法であって、
請求項1~8の何れか1つに記載の盗難防止システムの前記プロセッサが実行する各処理を備える、
盗難防止方法。
【請求項10】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1~8の何れか1つに記載の盗難防止システムの前記プロセッサとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難防止システム、盗難防止方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、低コストに、かつ、簡易なシステム構成によって、夜間にも確実に、盗難等の異常を検出することができる、太陽光発電設備の異常検出システムを提供する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年において、太陽光発電設備において、電気ケーブルの盗難を防止するための種々の技術の開発が進められている。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、太陽光発電設備における、電気ケーブルの盗難を防止するための種々の技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムが提供される。この盗難防止システムは、パワーコンディショナと、ストリング部と、プロセッサとを備える。パワーコンディショナは、抵抗測定部を備える。抵抗測定部は、測定データを取得可能に構成される。測定データは、ストリング部を含む回路の抵抗値を示すデータである。ストリング部は、複数のセル部を含むように構成され、電気ケーブルを少なくとも介することにより、パワーコンディショナと電気的に接続されており、セル部は、太陽光のエネルギーを直流電流に変換して取得可能に構成される。プロセッサは、抵抗測定部から測定データを取得する。測定データが示す抵抗値の変化に応じて電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する。
【0007】
本開示によれば、太陽光発電設備における、電気ケーブルの盗難を防止するための種々の技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】盗難防止システム1のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】パワーコンディショナ20、及びクライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るアクティビティ図の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態における太陽光発電設備2の概要を示す図である。
【
図5】変形例における電気ケーブルの盗難防止の技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント装置でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.盗難防止システム1のシステム構成
まず、
図1を参照しながら本実施形態の盗難防止システム1のシステム構成について説明する。
図1は、盗難防止システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図1が示すように、盗難防止システム1は、太陽光発電設備2と、クライアント装置3と、ネットワークNとを含む。太陽光発電設備2、クライアント装置3は、ネットワークNを介して、相互に通信可能に構成される。なお、太陽光発電設備2及びクライアント装置3は、複数あってもよい。クライアント装置3は、情報処理装置の一例であり、本実施形態に限定されるものではない。クライアント装置3は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。ここで盗難防止システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、太陽光発電設備2又はクライアント装置3単体であっても盗難防止システム1に例示されるシステムに含まれる。
【0014】
太陽光発電設備2は、太陽光の日射を電気エネルギーに変換し、電気を生み出すことが可能な設備である。太陽光発電設備2は、パワーコンディショナ20を少なくとも含む。パワーコンディショナ20は、ストリング部23にて取得した直流電流を交流電流に変換可能に構成される。
【0015】
2.ハードウェア構成
次に、
図2を参照しながら本実施形態のハードウェア構成について説明する。
図2は、パワーコンディショナ20、及びクライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0016】
2.1.パワーコンディショナ20のハードウェア構成
図2に示されるように、パワーコンディショナ20は、プロセッサ201と記憶部202と通信部203と抵抗測定部204と信号発生部205と信号検出部206とを備え、これらの構成要素がパワーコンディショナ20の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。パワーコンディショナ20は、実施形態に係る処理を実行する。
【0017】
プロセッサ201は、パワーコンディショナ20に関連する全体動作の処理及び制御を行う。プロセッサ201は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ201が、記憶部202に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、パワーコンディショナ20に係る種々の機能、例えば、後述する
図3に示される処理が実現される。なお、プロセッサ201は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ201を有するように実施してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0018】
記憶部202は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ201によって実行されるパワーコンディショナ20に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部202は、プロセッサ201によって実行されるパワーコンディショナ20に係る種々のプログラム、変数及びプロセッサ201がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。
【0019】
通信部203は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、パワーコンディショナ20は、通信部203を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
抵抗測定部204は、測定データを取得可能に構成され、測定データは、正常時(電気ケーブルが切断されていない状態)におけるパワーコンディショナ20からストリング部23までを含む回路の抵抗値を示すデータである。抵抗測定部204は、プロセッサ201からの動作命令を受けて、電圧印加を開始し、電流値を計測することにより、回路全体の合成抵抗を計測する。回路全体とは、パワーコンディショナ20と電気的に接続される全てのストリング部23を含むように構成される電気回路であり、例えば、パワーコンディショナ20の抵抗測定部204と、集電箱21と、接続箱22と、ストリング部23とを少なくとも含む電気回路である。集電箱21又は接続箱22を含まない太陽光発電設備2の場合、集電箱21又は接続箱22は省略される。
【0021】
信号発生部205は、電気ケーブルを伝達する信号を発生可能に構成される。信号は、電圧により規定される、パルス波の連続波又は高周波の連続波により構成される。信号の周波数及び電圧値は、任意の値をとることができる。すなわち、信号の波形は、プロセッサ201の指示に応じて、任意に整形されてもよい。信号は、パワーコンディショナ20、集電箱21及び接続箱22にそれぞれ設けられる分岐点で分岐して進行する。信号は、電気ケーブルC1、C2、C3の断線箇所等の端に到達した場合に自由端反射する。
【0022】
信号検出部206は、発生した信号の反射波のデータを取得可能に構成される。信号検出部206は、自由端反射した信号を検出し、反射した信号の電圧値のデータを取得可能に構成される。
【0023】
2.2.クライアント装置3のハードウェア構成
図2に示されるように、クライアント装置3は、プロセッサ31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、を有し、これらの構成要素がクライアント装置3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。クライアント装置3は、実施形態に係る処理を実行する。クライアント装置3のプロセッサ31、記憶部32及び通信部33については、パワーコンディショナ20のプロセッサ201、記憶部202及び通信部203を参照されたい。クライアント装置3は、太陽光発電設備2の所有者により使用されてもよいし、太陽光発電設備2又はパワーコンディショナ20の販売元となる企業の従業員により使用されてもよい。
【0024】
入力部34は、クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部34は、出力部35と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、キーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部34がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介してプロセッサ31に転送され、プロセッサ31が必要に応じて所定の制御又は演算を実行しうる。
【0025】
出力部35は、クライアント装置3の表示部として機能することが可能である。出力部35は、例えば、クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部35は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、クライアント装置3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0026】
3.盗難防止システム1の動作の流れ
本実施形態の盗難防止システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。本実施形態において、電気ケーブルC1、C2、C3が盗難される場合、犯人は電気ケーブルC1、C2、C3を切断することが想定される。したがって、本実施形態における電気回路では、電気ケーブルC1、C2、C3の切断に伴う変化が生じる。
【0027】
本明細書において、ネットワークN、通信部203及び通信部33を介して送受信された種々の情報は、記憶部202及び記憶部32に記憶されるものとする。
【0028】
なお本明細書において、「取得」とは、データ等を他の装置から受信する態様と、データ等を自ら生成する態様との両方を含む概念である。
【0029】
3.1.情報処理の概要
次に
図3を示しながら、測定データの取得を開始してから、電気ケーブルC1、C2、C3の状態を判定し、電気ケーブルC1、C2、C3の盗難に関するデータを出力するまでの情報処理について説明する。
図3は、本実施形態に係るアクティビティ図の一例を示す図である。
【0030】
A1では、パワーコンディショナ20のプロセッサ201は、切替条件を満たすか否かを判定する。プロセッサ201は、所定の切替条件を満たすことにより、抵抗測定部204又は信号検出部206からの測定データの取得を開始する。この所定の切替条件は、抵抗測定部204又は信号検出部206からの測定を開始させるための条件であり、ストリング部23を介して発生した電気エネルギーが小さい場合に満たされるように設計される条件である。例えば、所定の切替条件を満たす場合は、発電に起因する電圧が所定の値の範囲を下回った場合、日没又は日の入りの時間を過ぎた場合、ユーザが任意に設定した時間となった場合、ユーザが任意に切り替える場合等が挙げられる。これにより、盗難専用回路に高電圧の負荷がかかることを防ぐことができる。
【0031】
A2では、プロセッサ201は、回路を切り替える指示に基づいて、ストリング部23と盗難専用回路とを電気的に接続するように切り替える。この盗難専用回路は、抵抗測定部204と信号発生部205と信号検出部206とを含む機能を使用可能にする回路である。
【0032】
A3では、プロセッサ201は、抵抗測定部204又は信号検出部206から測定データを取得する。
A4では、プロセッサ201は、測定データに基づいて、異常が発生しているか否かを判定する。
A3及びA4については、
図4を示しながら詳述する。
【0033】
A5では、プロセッサ201は、異常が発生していないと判定した場合、A3に処理を進める。プロセッサ201は、異常が発生したと判定した場合、A6に処理を進める。
A6では、プロセッサ201は、通信部203及びネットワークNを介して、異常が発生した旨の通知をクライアント装置3に送信する。
A7では、クライアント装置3のプロセッサ31は、ネットワークN及び通信部33を介して、異常が発生した旨の通知をパワーコンディショナ20から受け付ける。
A8では、プロセッサ31は、異常が発生した旨の通知を出力部35から出力する。出力の態様は、メール、電話、インスタントメッセージ等、ユーザが認知できる態様であればよい。
【0034】
3.2.情報処理の詳細
次に、説明を省略したA3及びA4の詳細について、
図4を示しながら説明する。
図4は、本実施形態における太陽光発電設備2の概要を示す図である。
図4の太陽光発電設備2は、パワーコンディショナ20と集電箱21と接続箱22とストリング部23とを含む。パワーコンディショナ20は、「2.1」の節で上記した通りである。
【0035】
集電箱21は、複数の接続箱22のそれぞれが集電した電気を更に集めるためのものである。集電箱21は、逆流防止ダイオード210を含む。逆流防止ダイオード210は、回路内において電流の逆流を防ぐダイオードである。
【0036】
接続箱22は、ストリング部23を介して発電した電力を取りまとめるためのものである。接続箱22は、複数のストリング部23と電気的に接続される。接続箱22も、逆流防止ダイオード220を含む。逆流防止ダイオード220は、回路内において電流の逆流を防ぐダイオードである。
【0037】
集電箱21及び接続箱22、又は集電箱21のみは、太陽光発電設備2において省略されてもよい。省略される場合、ストリング部23は、省略される装置を介さずにパワーコンディショナ20と接続される。
【0038】
ストリング部23は、複数のパネル部230を電気的に直列に接続するように構成される。
【0039】
パネル部230は、複数のクラスタ部231を電気的に直列に接続するように構成される。
【0040】
クラスタ部231のそれぞれは、1つのセルストリング回路232と1つのバイパス回路234とが一対一対応するように構成される。
【0041】
セルストリング回路232は、複数(例えば、10~25枚)のセル部233を電気的に直列に接続するように構成されている。
【0042】
セル部233は、太陽光のエネルギーを、直流電流に変換して取得可能に構成される。セル部233は、太陽電池を構成するパーツの基本単位である。セル部233は、後述する電気ケーブルを少なくとも介することにより、パワーコンディショナ20と電気的に接続されている。
【0043】
バイパス回路234は、セルストリング回路232と電気的に並列に接続されており、バイパスダイオード235を含む。
【0044】
バイパスダイオード235は、セルストリング回路232が断線もしくは発電せずに抵抗となった場合に、バイパス回路234に電流を流すダイオードとして構成される。バイパスダイオード235は、セルストリング回路232が短絡していない場合、回路全体として抵抗として機能するため、抵抗測定部204にてその抵抗値が測定される。バイパスダイオード235は、ショットキーダイオード等により構成される。
【0045】
太陽光発電設備2は、電気ケーブルC1、C2、C3を含む。電気ケーブルC1、C2、C3は、当該電気ケーブルC1、C2、C3を少なくとも介すことにより、セル部233で発生した直流電流をパワーコンディショナ20に送電可能に構成される。電気ケーブルC1、C2、C3は、PVケーブル、CVケーブル、HCVケーブル等により構成される。
【0046】
電気ケーブルC1、C2、C3は、例えば、上流電気ケーブルC1と、中流電気ケーブルC2と、下流電気ケーブルC3とを含む。上流電気ケーブルC1は、パワーコンディショナ20と集電箱21とを電気的に接続する。中流電気ケーブルC2は、集電箱21と接続箱22とを電気的に接続する。下流電気ケーブルC3は、接続箱22とストリング部23とを電気的に接続する。この場合において、上流電気ケーブルC1及び中流電気ケーブルC2は、第1電気ケーブルの一例であり、下流電気ケーブルC3は、第2電気ケーブルの一例である。
【0047】
太陽光発電設備2が集電箱を有しない場合、上流電気ケーブルは、パワーコンディショナ20と接続箱とを電気的に接続し、下流電気ケーブルは、接続箱とストリング部23とを電気的に接続する。太陽光発電設備2が集電箱を有しない場合における、上流電気ケーブルは第1電気ケーブルの一例であり、下流電気ケーブルは第2電気ケーブルの一例である。また、太陽光発電設備2が集電箱及び接続箱を有しない場合、電気ケーブルは、パワーコンディショナ20とストリング部23とを電気的に接続する。
【0048】
プロセッサ201は、測定データが示す抵抗値の変化に応じて電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する。具体的には、以下のような3種類の手法により抵抗値の変化から電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する。なお、電気ケーブルの盗難に関するデータには、電気ケーブルが切断された可能性が高い旨を示すデータ、太陽光発電設備2に不審者が存在する可能性が高い旨を示すデータ等が含まれる。これにより、少なくとも回路全体の抵抗値のみのデータから、電気ケーブルの盗難に関するデータを出力することができる。
【0049】
抵抗値を使用する場合の第1の手法として、電気ケーブルC1、C2、C3の切断により抵抗値が一時的に大きく変化することを利用する。例えば、プロセッサ201は、一時的に抵抗値が大きく変化することを検知した場合に、電気ケーブルが切断されたものと判定してもよい。より具体的には例えば、プロセッサ201は、一時的に抵抗値が無限大に発散したとき、又は一時的に抵抗値が0となったこと検知した場合に、電気ケーブルが切断された旨の通知を出力してもよい。これにより、少なくとも抵抗値が大きく変化したことを判定することで、電気ケーブルの盗難に関するデータを出力することができる。
【0050】
抵抗値を使用する場合の第2の手法として、電気ケーブルC1、C2、C3の切断箇所に応じて、測定データが示す抵抗値の大きさが変化することを利用する。プロセッサ201は、ストリング部23に含まれるバイパスダイオード235に起因する抵抗値が減少した場合に電気ケーブルC1、C2、C3の盗難に関するデータを出力する。例えば、上流電気ケーブルC1が切断された場合、プロセッサ201は、全てのストリング部に含まれるバイパスダイオード235に起因する抵抗値の減少を検出する。この場合、プロセッサ201は、上流電気ケーブルC1の盗難に関するデータを出力する。また、ある中流電気ケーブルC2が切断された場合、プロセッサ201は、中流電気ケーブルC2に従属する接続箱22について、その接続箱22に従属する複数のストリング部23に含まれるバイパスダイオード235に起因する抵抗値の減少を検出する。この場合、プロセッサ201は、中流電気ケーブルC2の盗難に関するデータを出力する。ある下流電気ケーブルC3が切断された場合、プロセッサ201は、その下流電気ケーブルC3に従属するストリング部23に含まれるバイパスダイオード235に起因する抵抗値の減少を検出する。この場合、プロセッサ201は、下流電気ケーブルC3の盗難に関するデータを出力する。例えば、ある接続箱に従属するクラスタ部231が10個あり、それぞれのクラスタ部231に含まれるバイパスダイオードの抵抗が10Ωであった場合であって、ある下流電気ケーブルC3が切断された場合、プロセッサ201は、約100Ωの抵抗値の減少を検出する。これにより、パワーコンディショナに設けられた抵抗測定部が示すデータによって、ストリング部23や接続箱22等に同様の装置を設けなくとも、どの電気ケーブルが盗難に会いそうなのか推定することが可能となる。
【0051】
また、第1の手法と第2の手法とを組み合わせてもよい。例えば、プロセッサ201は、一時的に抵抗値が大きく変化することを検知し、かつ、その後に何れかのセルストリング回路232に含まれるバイパスダイオード235に起因する抵抗値の減少を検出した場合に、電気ケーブルの盗難に関するデータを出力してもよい。
【0052】
抵抗値を使用する場合の第3の手法として、電気ケーブルの盗難にあたって、複数の電気ケーブルが切断されることが想定されることを利用してもよい。プロセッサ201は、所定の範囲を超える抵抗値の変化(バイパスダイオード235単位、集電箱21単位、接続箱22単位、ストリング部23単位での抵抗値の変化、100Ω以上等のユーザが設定した抵抗値の変化等)が、所定時間(5分以内等)内に所定回(2回以上等であり、1回のみも含んでもよい)発生した場合に、電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する。これにより、1箇所のみから盗難と判断する場合と比較してより誤検知を防止することが可能となる。
【0053】
次に信号によって電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する例について説明する。まず、プロセッサ201は、信号発生部205から信号を電気ケーブル中に発生させる。信号は、何れかの電気ケーブルC1、C2、C3の切断箇所にて反射し、信号検出部206に入力される。本実施形態の盗難専用回路において、信号は、電気ケーブルの異常が発生していない状態(正常な状態)では反射せず、電気ケーブルが切断されている状態では反射して信号検出部206にて検出される。プロセッサ201は、信号検出部206にて、反射した信号のデータを取得する。パワーコンディショナ20からストリング部23にかけて複数の分岐先で電気ケーブルが断線している場合、プロセッサ201は、複数の反射した信号のデータを取得する。プロセッサ201は、反射した信号のデータに基づいて、電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する。
【0054】
信号を使用する例では電気ケーブルの断線箇所を特定することもできる。すなわち、プロセッサ201は、電気ケーブルの異常が発生した箇所に応じて変化する、反射した信号の位相のデータに基づいて、電気ケーブルの盗難に関するデータを出力してもよい。例えば、信号発生部205は、波長が20mの連続波の信号を発生させたとする。信号検出部206が1/2(λ/2)だけ波長の位相がずれた信号を検出した場合、プロセッサ201は、パワーコンディショナ20から、10mに0以上の整数を掛けて5mを足した箇所で、電力ケーブルが断線しているものと判定する。また、1種類の波長のみでは電力ケーブルの断線箇所を特定できない場合、プロセッサ201は、信号発生部205に、波長の異なる複数の信号を発生させることで、電力ケーブルの断線箇所を特定してもよい。これにより、電気ケーブルが切断されたか否かと、切断された箇所とに関するデータを出力することができる。
【0055】
以上本開示によれば、太陽光発電設備における、電気ケーブルの盗難を防止するための種々の技術を提供することができる。
【0056】
[その他]
変形例では、
図5を示しながら、実施形態で説明した以外の電気ケーブルの盗難を防止するための種々の技術について説明する。
図5は、変形例における電気ケーブルの盗難防止の技術を説明するための図である。変形例における太陽光発電設備は、サーバ装置4とフェンス5と抵抗測定部6とを備える。サーバ装置4と抵抗測定部6とは、ネットワークNを介してデータを相互に送受信可能に構成される。
【0057】
サーバ装置4は、プロセッサ41と、記憶部42と、通信部43とを有し、これらの構成要素がサーバ装置4の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。サーバ装置4は、実施形態に係る処理を実行する。サーバ装置4のプロセッサ41、記憶部42及び通信部43については、パワーコンディショナ20のプロセッサ201、記憶部202及び通信部203を参照されたい。
【0058】
変形例におけるフェンス5は、ネット部50と電線部51とを備える。ネット部50は、ワイヤーを網目模様に交差させ、人間の通過を不能に構成される。電線部51は、1芯の電線又は2芯の電線により構成され、結束バンド等によりネット部50に固定される。電線部51は、門扉のある箇所についてネット部50に固定することなく地面に設置されてもよい。電線部51は、抵抗測定部6に電気的に接続される。電線部51は、2芯の電線の場合、アース用として端を短絡させてもよい。
【0059】
抵抗測定部6は、電線部51の抵抗値を示すデータを取得可能に構成される。抵抗測定部6は、プロセッサ41からの動作命令を受けて、電圧印加を開始し、電流値を計測することにより、電線部51の抵抗を計測する。抵抗測定部6は、サーバ装置4の通信部43と、ネットワークNを介して通信可能な機能を有し、サーバ装置4に抵抗値を示すデータを送信可能に構成される。
【0060】
抵抗測定部6は、サーバ装置4の通信部43と、ネットワークNを介して通信可能な機能を有し、サーバ装置4に抵抗値を示すデータを送信する。抵抗値を示すデータに基づいて、プロセッサ41は、抵抗値が無限大に発散したことを検知した場合に、又は抵抗値が0となったこと検知した場合に、PVケーブルが盗難される可能性が高いものとしてクライアント装置3に通知を送る。
【0061】
[付記1]
太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムであって、
フェンス部と、電線部と、抵抗測定部と、プロセッサとを備え、
前記フェンス部は、太陽光発電設備を囲うように構成され、
前記電線部は、前記太陽光発電設備を前記フェンス部と共に囲うように構成され、少なくとも一部がフェンス部に固定され、
前記抵抗測定部は、前記電線部の抵抗値を測定可能に構成され、
前記プロセッサは、抵抗値が無限大に発散したことを検知した場合に、又は抵抗値が0となったこと検知した場合に、前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【0062】
[付記2]
付記1に記載の盗難防止システムであって、
前記電線部は、1芯又は2芯の電線により構成される、
盗難防止システム。
【0063】
太陽光発電所は、撮像部7を備える。撮像部7には、種々のカメラが使用され、固定カメラ、PTZ(Panoramac Tilt Zoom)カメラ等が使用される。太陽光発電所においては、撮像部7は、PTZカメラであり、当該PTZカメラによって発電所全体を順次拡大表示し監視することが好ましい。撮像部7は、サーバ装置4に画像データを送信可能に構成される。画像データは、撮影により得られた1以上の画像を示すデジタルデータであればよく、静止画像及び動画像の何れか、又は両方を含むものであってよい。また画像データは、当該画像データを格納して生成される画像ファイルのファイル形式に応じてその態様が定まるものであってよく、符号化されたデータに限定されるものではない。
【0064】
プロセッサ41は、撮像部7から取得した画像データについて、画像処理を行う。プロセッサ41は、画像処理の結果に基づいて、所定の状況を検知する。所定の状況は、フェンス5が壊され得る可能性が高い状況、不審な人物が見られる状況等である。フェンス5が壊され得る可能性が高い状況は、不審者がニッパー等のフェンスを壊す道具を所有していることが検知された場合、不審者の関節の動きからフェンス5を壊す動作が検知された場合等の状況である。不審な人物が見られる状況は、車、バイク等の電気ケーブルを持ち出すための車両が検知された場合、不審者によってフェンス5の外から太陽光発電設備を覗き込む動作が検知された場合等の状況である。プロセッサ41は、これらの状況を検知した旨の通知をクライアント装置3に送信する。通知には、写真か短い動画が含まれていてもよい。所定の状況の検知には、NN(ニューラルネットワーク)等の機械学習によるアルゴリズムが使用されてもよい。
【0065】
[付記3]
太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムであって、
撮像部と、プロセッサとを備え、
前記撮像部は、前記太陽光発電設備のフェンスを撮像することで画像データを取得可能に構成され、
前記プロセッサは、取得した画像データに基づいて、所定の状況を検知した場合、前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、
盗難防止システム。
【0066】
[付記4]
付記3に記載の盗難防止システムであって、
前記所定の状況は、フェンスが壊され得る可能性が高い状況又は不審な人物が見られる状況等である、
盗難防止システム。
【0067】
盗難防止方法は、盗難防止システム1のプロセッサが実行する各処理を備える。プログラムは、コンピュータを、盗難防止システム1のプロセッサとして機能させるプログラムである。
【0068】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0069】
(1)太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムであって、パワーコンディショナと、ストリング部と、プロセッサとを備え、前記パワーコンディショナは、抵抗測定部を備え、前記抵抗測定部は、測定データを取得可能に構成され、前記測定データは、前記ストリング部を含む回路の抵抗値を示すデータであり、前記ストリング部は、複数のセル部を含むように構成され、前記電気ケーブルを少なくとも介することにより、前記パワーコンディショナと電気的に接続されており、前記セル部は、太陽光のエネルギーを直流電流に変換して取得可能に構成され、前記プロセッサは、前記抵抗測定部から前記測定データを取得し、前記測定データが示す抵抗値の変化に応じて前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、盗難防止システム。
【0070】
(2)上記(1)に記載の盗難防止システムにおいて、前記プロセッサは、前記測定データが示す抵抗値が無限大に発散したとき、又は一時的に抵抗値がゼロとなったこと検知した場合に、前記電気ケーブルが切断された旨の通知を出力する、盗難防止システム。
【0071】
(3)上記(1)に記載の盗難防止システムにおいて、前記ストリング部は、セルストリング回路と、バイパス回路とを備え、前記セルストリング回路は、複数の前記セル部を電気的に直列に接続するように構成されており、前記バイパス回路は、バイパスダイオードを含み、前記セルストリング回路と電気的に並列に接続されており、前記バイパスダイオードは、前記セルストリング回路が断線もしくは発電せずに抵抗となった場合に、前記バイパス回路に電流を流すダイオードとして構成され、前記プロセッサは、前記ストリング部に含まれる前記バイパスダイオードに起因する抵抗値が減少した場合に前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、盗難防止システム。
【0072】
(4)上記(3)に記載の盗難防止システムにおいて、接続箱を備え、前記電気ケーブルは、第1電気ケーブルと、第2電気ケーブルとを含み、前記第1電気ケーブルは、少なくとも当該第1電気ケーブルを介して、前記パワーコンディショナと1以上の前記接続箱とを電気的に接続し、前記第2電気ケーブルは、少なくとも当該第2電気ケーブルを介して、前記接続箱と1以上の前記ストリング部とを電気的に接続し、前記プロセッサは、前記パワーコンディショナに従属する複数の前記ストリング部に含まれる、1以上のバイパスダイオードに起因する抵抗値の減少を検出した場合、前記第1電気ケーブルの盗難に関するデータを出力し、1つの前記ストリング部に含まれる、1以上のバイパスダイオードに起因する抵抗値の減少を検出した場合、前記第2電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、盗難防止システム。
【0073】
(5)上記(1)に記載の盗難防止システムにおいて、前記プロセッサは、所定の範囲を超える抵抗値の変化が、所定時間内に所定回発生した場合に、前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、盗難防止システム。
【0074】
(6)上記(1)に記載の盗難防止システムにおいて、前記プロセッサは、所定の切替条件を満たすことにより、前記抵抗測定部からの前記測定データの取得を開始し、前記切替条件は、発電に起因する電圧が所定の値の範囲を下回ることである、盗難防止システム。
【0075】
(7)太陽光発電設備における電気ケーブルの盗難防止システムであって、パワーコンディショナと、セル部と、プロセッサとを備え、前記パワーコンディショナは、信号発生部と、信号測定部とを備え、前記信号発生部は、前記電気ケーブルを伝達する信号を発生可能に構成され、前記信号測定部は、発生した前記信号の反射波のデータを取得可能に構成され、前記セル部は、太陽光のエネルギーを直流電流に変換して取得可能に構成され、前記電気ケーブルは、当該電気ケーブルを少なくとも介すことにより、前記セル部で発生した前記直流電流を前記パワーコンディショナに送電可能に構成され、前記プロセッサは、前記信号発生部から信号を前記電気ケーブル中に発生させ、前記信号測定部にて、前記電気ケーブルを介して反射した信号のデータを取得し、反射した前記信号のデータに基づいて前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、盗難防止システム。
【0076】
(8)上記(7)に記載の盗難防止システムにおいて、前記プロセッサは、前記電気ケーブルの異常が発生した箇所に応じて変化する、反射した前記信号の位相のデータに基づいて、前記電気ケーブルの盗難に関するデータを出力する、盗難防止システム。
【0077】
(9)盗難防止方法であって、上記(1)~(8)の何れか1つに記載の盗難防止システムの前記プロセッサが実行する各処理を備える、盗難防止方法。
【0078】
(10)プログラムであって、コンピュータを、上記(1)~(8)の何れか1つに記載の盗難防止システムの前記プロセッサとして機能させるためのプログラム。
もちろん、この限りではない。
【0079】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 :盗難防止システム
2 :太陽光発電設備
20 :パワーコンディショナ
201:プロセッサ
202:記憶部
203:通信部
204:抵抗測定部
205:信号発生部
206:信号検出部
22 :接続箱
220:逆流防止ダイオード
23 :ストリング部
230:パネル部
231:クラスタ部
232:セルストリング回路
233:セル部
234:バイパス回路
235:バイパスダイオード
C1 :上流電気ケーブル
C2 :中流電気ケーブル
C3 :下流電気ケーブル