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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174679
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】X線診断装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241210BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241210BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B6/00 370
A61B6/03 377
A61B6/12
A61B6/00 320Z
A61B6/03 330A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092638
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】野田 浩二
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA24
4C093AA25
4C093CA32
4C093DA02
4C093EC16
4C093EE16
(57)【要約】
【課題】安価な装置の追加により、被検体やカテーテル、寝台装置等の動きに基づいて撮像装置を制御することのできるX線診断装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係るX線診断装置は、被検体に対しX線を照射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、赤外光を検出する光検出器とを備える撮像装置と、前記光検出器が検出した赤外光の位置に基づいて、前記撮像装置を制御する撮像制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対しX線を照射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、赤外光を検出する光検出器とを備える撮像装置と、
前記光検出器が検出した赤外光の位置に基づいて、前記撮像装置を制御する撮像制御部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項2】
前記撮像制御部は、前記光検出器が検出した赤外光の位置に基づいて、前記撮像装置の移動量を決定する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記撮像制御部は、赤外光の位置と前記光検出器の位置との相対的位置関係が保たれるように、前記撮像装置の移動量を算出する、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記光検出器は、前記X線管と前記X線検出器とのうちの少なくとも一方に配置されている、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記X線管と前記X線検出器とを支持するアームをさらに備える、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記光検出器は、前記X線管と前記X線検出器とのうちの少なくとも一方と、前記アームの内周面とに配置されている、請求項5に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記撮像制御部は、前記アームの角度に応じて、前記撮像装置を制御するために用いる光検出器を切り替えて選択する、請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記撮像制御部は、前記撮像装置を制御するために、前記被検体と前記光検出器との間に障害物がない配置となっている光検出器が検出した赤外光の位置を用いる、請求項7に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記撮像制御部は、前記被検体が横たわる寝台装置の天板の下方に前記光検出器が位置する場合には、前記撮像装置を制御するために、他の光検出器が検出した赤外光の位置を用いる、請求項7に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記撮像制御部は、前記アームの角度に応じて、複数の光検出器の検出した赤外光の検出結果について、重み付けを変えて、赤外光の位置を算出する、請求項6に記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記撮像制御部は、前記被検体が横たわる寝台装置の天板の下方に前記光検出器が位置する場合には、前記撮像装置を制御するために、前記寝台装置の天板の下方に位置する光検出器による赤外光の検出結果の重み付けよりも、他の光検出器による赤外光の検出結果の重み付けを大きくして、赤外光の位置を算出する、請求項10に記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記撮像制御部は、前記被検体に正対する方向に位置する光検出器による赤外光の検出結果の重み付けを、他の光検出器による赤外光の検出結果の重み付けよりも大きくして、赤外光の位置を算出する、請求項10に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記光検出器は、被検体の体内に挿入された発光デバイスの先端から放射された赤外光を検出する、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記光検出器は、被検体に取り付けられた発光デバイスから放射された赤外光を検出する、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記光検出器は、前記被検体が横たわる寝台装置の移動に追従する位置に設けられた発光デバイスから放射された赤外光を検出する、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のX線診断装置。
【請求項16】
前記撮像装置は、X線コンピュータ断層撮影を行うために、被検体の周囲を回転する回転フレームに取り付けられた前記X線管と前記X線検出器を格納する架台装置である、請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項17】
前記撮像装置は、X線コンピュータ断層撮影を行うために、被検体の周囲を回転する回転フレームに取り付けられた前記X線管と前記X線検出器を格納する架台装置を、さらに備える請求項5に記載のX線診断装置。
【請求項18】
被検体に対しX線を照射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、赤外光を検出する光検出器とを備える撮像装置と、
前記撮像装置の制御を行う撮像制御部と、
を備える、X線診断装置の制御方法であって、
前記光検出器が、赤外光を検出する工程と、
前記撮像制御部が、前記光検出器が検出した赤外光の位置に基づいて、前記撮像装置を制御する工程と、
を備えるX線診断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CアームやΩアーム等を備えたX線診断装置を用いて被検体の中を透かして見ながら、細い医療デバイスを血管に挿入して、標的となる病気を診断したり治療したりすることが広く行われている。そのような医療デバイスとして、例えばカテーテルが用いられる場合、カテーテル先端に埋め込まれたマグネットと外部に設けられた磁場発生装置により、カテーテルを直接制御するとともに、被検体の撮像を行う撮像装置を、カテーテルの動きに自動的に追従させる制御を行うものがある。
【0003】
また、カテーテル先端に設けられた磁場センサと、被検体の臥位下に設けられた磁場発生装置とを組み合わせて、磁場計測によりカテーテルの位置を検出し、この検出したカテーテルの位置に基づいて、被検体の撮像を行う撮像装置を、カテーテルの動きに自動的に追従させるX線診断装置もある。
【0004】
しかしながら、いずれのX線診断装置においても、磁場発生装置や磁場センサなどの専用装置を追加的に設ける必要があり、X線診断装置のみならず、このようなX線診断装置と医療デバイスとにより構成されるX線診断システム全体として、製造コストの増加や設置スペースの増大を招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006-521860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、安価な装置の追加により、被検体やカテーテル、寝台装置等の動きに基づいて撮像装置を制御することのできるX線診断装置を提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るX線診断装置は、被検体に対しX線を照射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、赤外光を検出する光検出器とを備える撮像装置と、前記光検出器が検出した赤外光の位置に基づいて、前記撮像装置を制御する撮像制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るX線診断装置の備える処理回路が実行する機能をブロックで表現するブロック図である。
図3】第1実施形態に係るX線診断装置の全体的な斜視図を示している。
図4】第1実施形態に係るX線診断装置に組み合わせて用いられるOCTカテーテル装置の構成を示す図である。
図5】第1実施形態に係るX線診断装置が備える光検出器を用いて、処理回路の撮像制御機能が、カテーテル先端の位置を決定する原理を説明する図である(移動前)。
図6】第1実施形態に係るX線診断装置が備える光検出器を用いて、処理回路の撮像制御機能が、カテーテル先端の位置を決定する原理を説明する図である(移動後)。
図7】第1実施形態に係るX線診断装置の処理回路における撮像制御機能が実行する追従制御処理を説明するためのフローチャートを示す図である。
図8】第2実施形態に係るX線診断装置に組み合わせて用いられる生体組織モニタを、被検体に装着した状態の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係るX線診断装置において、頭部に生体組織モニタを装着した被検体が、寝台装置に仰臥位で横たわっている状態を模式的に示す図である(移動前)。
図10】第2実施形態に係るX線診断装置において、頭部に生体組織モニタを装着した被検体が、寝台装置に仰臥位で横たわっている状態を模式的に示す図である(移動後)。
図11】第3実施形態に係るX線診断装置において、被検体が仰臥位で横たわっている寝台装置に、光源ユニットを設けた状態を模式的に示す図である(移動前)。
図12】第3実施形態に係るX線診断装置において、被検体が仰臥位で横たわっている寝台装置に、光源ユニットを設けた状態を模式的に示す図である(移動後)。
図13】第4実施形態に係るX線診断装置として、X線検出器に加えてX線管にも光検出器を配置した例を模式的に示す図である。
図14】第4実施形態に係るX線診断装置として、X線検出器には光検出器を配置せずに、X線管に光検出器を配置した例を模式的に示す図である。
図15】第4実施形態に係るX線診断装置として、X線検出器とX線管とアームとにそれぞれ光検出器を配置した例を模式的に示す図である。
図16】第4実施形態に係るX線診断装置として、X線検出器とアームとにそれぞれに光検出器を配置し、X線管には光検出器には配置しない例を示す図である。
図17】第4実施形態に係るX線診断装置として、X線管とアームとにそれぞれ光検出器を配置し、X線検出器には光検出器を配置しない例を示す図である。
図18】第5実施形態に係るX線診断装置の処理回路における撮像制御機能が実行する追従制御処理を説明するためのフローチャートを示す図である。
図19】X線管とX線検出器とアームのそれぞれに、光検出器が配置されている第5実施形態に係るX線診断装置1を部分的に示す模式図である(X線検出器に設けられた光検出器が検出した赤外光の検出結果の重み付けと、アームに設けられた光検出器が検出した赤外光の検出結果の重み付けが同等となるアームの角度)。
図20】X線管とX線検出器とアームのそれぞれに、光検出器が配置されている第5実施形態に係るX線診断装置1を部分的に示す模式図である(X線検出器に設けられた光検出器が検出した赤外光の検出結果の重み付けを、他の光検出器が検出した赤外光の検出結果の重み付けよりも大きくするアームの角度)。
図21】第6実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を説明する斜視図である。
図22】第6実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口が、被検体が横たわる寝台装置の天板の外にある状態を示す斜視図である。
図23】第6実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口が、被検体が横たわる寝台装置の天板の外にある状態を示す平面レイアウト図である。
図24】第6実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口に、被検体が横たわる寝台装置の天板が挿入されている状態を示す斜視図である。
図25】第6実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口に、被検体が横たわる寝台装置の天板が挿入されている状態を示す平面レイアウト図である。
図26】第7実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を説明する斜視図である。
図27】第7実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口が、被検体が横たわる寝台装置の天板の外にある状態を示す斜視図である。
図28】第7実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口が、被検体が横たわる寝台装置の天板の外にある状態を示す平面レイアウト図である。
図29】第7実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口に、被検体が横たわる寝台装置の天板が挿入されている状態を示す斜視図である。
図30】第7実施形態に係るX線診断装置における円筒状の架台装置の開口に、被検体が横たわる寝台装置の天板が挿入されている状態を示す平面レイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るX線診断装置及びその制御方法を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す図である。なお、以下においては、Cアームを有する循環器用のX線診断装置1を一例として説明するが、多目的のX線診断装置やX線TV寝台装置等の他の種類のX線撮像装置をX線診断装置1としてもよい。
【0011】
この図1に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1は、撮像装置3と、寝台装置5と、駆動部7と、操作部9と、X線高電圧装置11と、処理回路25と、記憶回路27と、表示部29と、入力インターフェース31とを備えて構成されている。なお、説明を容易にするために、以下においては、適宜、寝台装置5の長手方向をy軸、鉛直方向をz軸、y軸及びz軸と直交する方向をx軸として説明する。
【0012】
撮像装置3は、X線管保持部19と、X線検出器21と、保持装置23とを備える。X線管保持部19は、被検体PにX線を照射するX線管13と、X線管13から照射されたX線を絞り込むためのX線絞り15とを保持する。X線絞り15は、絞りカバー17により覆われている。
【0013】
保持装置23は、X線管13を備えるX線管保持部19及びX線検出器21を備える受像部40を支持するためのアームを備える。すなわち、X線管保持部19のX線管13及び受像部40のX線検出器21は、保持装置23が備えるアームにより支持される。本実施形態においては、この保持装置23が備える支持用のアームがC型の形状をなしており、このような形状の支持アームをC型のアーム23aとして表している。なお、C型のアーム23aは、X線管保持部19及び受像部40を支持するために、撮像装置3が備えるアームの一例であり、Ωアームなど、他の形状のアーム23aであってもよい。つまり、撮像装置3が備えるアーム23aは、X線管保持部19及び受像部40を支持することが可能であれば、その形状は任意である。
【0014】
X線管13は、X線高電圧装置11からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。X線管13では、熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生する。
【0015】
X線管13には、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。なお、X線管13の型式は、回転陽極型に限定されず、任意の型式のX線管が適用可能である。
【0016】
X線絞り15は、X線管13におけるX線照射窓の前面に設けられる。X線絞り15は、例えば、鉛などの金属板で構成された4枚の絞り羽根を有する。絞り羽根は、操作部9や入力インターフェース31を介して操作者により入力された関心領域に応じて、図示しない駆動装置により駆動される。
【0017】
X線絞り15は、駆動装置によりこれらの絞り羽根をスライドさせることで、X線が遮蔽される領域を任意のサイズに調節する。調整された絞り羽根により、X線絞り15は、開口領域外のX線を遮蔽する。これにより、X線絞り15は、X線管13が発生したX線を、被検体Pの関心領域に照射されるように絞り込み、被検体Pへの不要被曝を抑制する。
【0018】
絞りカバー17は、X線絞り15を覆うためのカバーである。本実施形態に係るX線診断装置1は、X線絞り15が絞りカバー17によって覆われていることにより、操作者や被検体PとX線管13との距離が一定未満にならないような構成となっている。
【0019】
X線検出器21は、X線管保持部19におけるX線管13により発生されたX線を検出する。X線検出器21は、例えば、フラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)である。FPDは、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子にはX線を直接的に電気信号に変換する直接変換型と、X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する間接変換型とがある。FPDには、いずれの型式が用いられてもよい。X線検出器21における複数の半導体素子が配列された面が、X線受像面となる。
【0020】
X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、処理回路25に出力する。
【0021】
本実施形態においては、X線検出器21には、赤外光を検出する光検出器24が設けられている。より具体的には、X線検出器21の近傍に、赤外光を検出する機能を有する光検出器24が配置されている。例えば、本実施形態においては、X線検出器21のカバーに、光検出器24が取り付けされている。なお、本実施形態においては、赤外光には、赤外光の中でも比較的波長の短い近赤外光、比較的波長の長い遠赤外光、その中間の中間赤外光を含んでいると解釈されるべきである。図1の例においては、これらX線検出器21と光検出器24により、受像部40が構成されている。
【0022】
寝台装置5の上面には、被検体Pを支える天板5aが設けられている。寝台装置5の天板5aは、X線管13とX線検出器21との間に設けられ、被検体Pを支持する。また、寝台装置5には、撮像装置3及び寝台装置5を動作させるための操作部9が設けられる。この操作部9からの動作に関する指令に基づいて、駆動部7は、撮像装置3及び寝台装置5を移動させる。駆動部7は、受像部移動部71と、アーム移動部73と、天板移動部75と、X線管保持部移動部77と、を備える。
【0023】
受像部移動部71は、受像部40を移動させる機構であり、アーム移動部73は、保持装置23のアーム23aを移動させる機構であり、天板移動部75は、寝台装置5の天板5aを移動させる機構であり、X線管保持部移動部77は、X線管保持部19を移動させる機構である。駆動部7のこれらの機構が、本実施形態における移動機構を構成する。
【0024】
X線高電圧装置11は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路と、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、X線管13に印加する高電圧及びX線管13に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管13が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。
【0025】
X線高電圧装置11は、例えば、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。また、X線高電圧装置11は、保持装置23に設けられてもよいし、保持装置23以外の箇所に設けられてもよい。
【0026】
処理回路25は、操作部9又は入力インターフェース31から出力される入力操作に関する電気信号に応じて、X線診断装置1全体の動作を制御する。処理回路25は、ハードウェア資源として、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。
【0027】
本実施形態においては、処理回路25において実行される各種処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路27へ記憶されている。処理回路25は、記憶回路27からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0028】
図2は、本実施形態に係る処理回路25が実行する機能をブロックで表現するブロック図である。この図2に示すように、本実施形態においては、処理回路25は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、基本制御機能251と、画像生成機能252と、表示機能253と、撮像制御機能254を実現する。
【0029】
基本制御機能251は、このX線診断装置1の全体的な制御を行う。特に本実施形態においては、駆動部7の駆動を制御して、保持装置23とX線管保持部19と受像部40の位置や姿勢を制御する。基本制御機能251を実行する処理回路25は、本実施形態における基本制御部に相当する。
【0030】
画像生成機能252は、受像部40のX線検出器21が検出したX線に基づく電気信号をデータとして取得して、撮像画像としてのX線画像を生成する。画像生成機能252が生成した撮像画像は、例えば、記憶回路27に記憶される。表示機能253は、画像生成機能252が生成した撮像画像や、記憶回路27に記憶されている撮像画像を、例えば表示部29のディスプレイ291に表示する。
【0031】
詳しくは後述するが、撮像制御機能254は、光検出器24が検出した赤外光の位置に基づいて、撮像装置3を制御する。すなわち、撮像制御機能254は、光検出器24が赤外光を検出し、その検出結果に基づいて、赤外光を発した発光デバイスの位置を算出する。そして、この算出された発光デバイスの位置に基づいて、撮像装置3の位置を制御する。
【0032】
なお、基本制御機能251、画像生成機能252、表示機能253、及び、撮像制御機能254は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、基本制御機能251、画像生成機能252、表示機能253、及び、撮像制御機能254を実現するものとしても構わない。
【0033】
再び図1に示すように、記憶回路27は、一般的にメモリと称される回路であり、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置により構成されている。記憶回路27は、例えば、投影データや画像データを記憶したり、保持装置23のアーム23aの位置や角度及び寝台装置5の天板5aの位置や角度のデータを記憶したり、処理回路25によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶したりする。
【0034】
記憶回路27は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、記憶回路27の保存領域は、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0035】
表示部29は、医用画像などを表示するディスプレイ291と、ディスプレイ291に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ291と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。内部回路は、画像データに被検体情報や投影データ生成条件等の付帯情報を重畳して表示データを生成する。次いで、内部回路は、得られた表示データに対してD/A変換を行なう。
【0036】
内部回路は、これらの変換が実行された表示データを、医用画像としてディスプレイ291に表示する。これに加え、表示部29は、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。
【0037】
ディスプレイ291としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0038】
また、ディスプレイ291は、デスクトップ型と呼ばれる固定設置を前提とした装置でもよいし、処理回路25と無線通信可能な可搬性のあるタブレット端末等であってもよい。
【0039】
入力インターフェース31は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路25に出力する。例えば、入力インターフェース31は、撮像装置3や寝台装置5を動作させるための操作、X線の発生に関するX線条件、画像生成機能252により実行される画像処理に関する条件等を操作者から受け付ける。
【0040】
入力インターフェース31としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、フットスイッチ、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。入力インターフェース31は、例えば、保持装置23に設けられる。また、入力インターフェース31がタッチパッドやタッチパネルで構成される場合には、表示部29におけるディスプレイ291と一体で設けられてもよい。つまり、ディスプレイ291が入力インターフェース31の機能を備えるようにすることもできる。
【0041】
なお、本実施形態において、入力インターフェース31は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。
【0042】
例えば、装置本体とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路25へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。なお、入力インターフェース31は、処理回路25と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0043】
次に、図3に基づいて、本実施形態に係るX線診断装置1の構成をより詳細に説明する。図3は、図1に示したX線診断装置1の全体的な斜視図を示している。この図3に示すように、X線診断装置1におけるアーム23aの一端にはX線管保持部19が設けられており、他端には受像部40が設けられている。そして、これらX線管保持部19と受像部40の双方を対向配置させて、アーム23aがこれらを固定保持する構造になっている。
【0044】
また、アーム23aの背面または側面にはレールが設けられており、固定アーム52に設けられた接続部50で挟み込むことにより、アーム23aはスライド可能に保持されている。固定アーム52は支点54によって支えられ、例えば天井に固設された基台56に固定される。アーム23aは、X線管保持部19と受像部40とを所定の位置に配置するために、図3に示す方向C、方向D、及び、方向Eにそれぞれ独立して移動することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、光検出器24が、例えば、撮像装置3におけるX線検出器21に設けられている。換言すれば、本実施形態に係るX線診断装置1の撮像装置3は、X線管13と、X線検出器21と、光検出器24とを備えて構成されている。X線検出器21のどのような位置に、光検出器24を配置するかは任意であるが、本実施形態においては、例えば、受像部40の内側に光検出器24を配置している。これにより、X線診断装置1の操作や被検体Pに対する手技の邪魔にならないと考えられる。
【0046】
寝台装置5は、被検体Pと搭載するための天板5aと、天板5aを支える器台5bとを備えて構成されている。天板5aは鉛直方向及び水平方向に移動可能となっており、これにより被検体Pは、X線管保持部19と受像部40との間に適当に配置される。
【0047】
図1及び図2を用いて説明したように、X線診断装置1における、これらの回転動作や移動動作は、処理回路25の基本制御機能251が駆動部7の駆動を制御することにより実現される。また、これらの回転動作や移動動作は、設定に基づいてX線診断装置1が自動的に行うようにしてもよいし、操作者が入力インターフェース31を介して、X線診断装置1に操作入力を行い、この操作入力に基づいて行うようにしてもよい。
【0048】
上述したX線診断装置1に組み合わせて用いられる医療デバイスとして、OCT(Optical Coherence Tomography)カテーテル装置がある。図4は、本実施形態に係るX線診断装置1に組み合わせて用いられるOCTカテーテル装置80の構成を示す図である。この図4に示すOCTカテーテル装置80は、装置本体82にて近赤外光を生成し、カテーテル84内のファイバーケーブルを用いて近赤外光を搬送し、カテーテル先端86から放射する。そして、この放射した近赤外光の反射光を、カテーテル先端86のプローブにて検出して、この反射光を装置本体82で測定することにより、カテーテル84が挿入された被検体Pの組織断面を高解像度で解析できるようになる。
【0049】
このOCTカテーテル装置80は、例えば、被検体Pの血管内にカテーテル84を挿入し、血管の組織断面を観察するために用いられる。本実施形態においては、このOCTカテーテル装置80と、上述したX線診断装置1とにより、X線診断システムが構成されている。そして、このX線診断システムにおいては、カテーテル先端86から発せられる近赤外光を、光検出器24が検出し、光検出器24が検出した近赤外光の位置に基づいて、処理回路25の撮像制御機能254が、撮像装置3を制御する。具体的には、カテーテル先端86の移動に追従するように、撮像装置3を移動させて、撮像装置3によりカテーテル先端86の位置が撮像され続けるようにする。このため、OCTカテーテル装置80のカテーテル先端86が、本実施形態において、被検体Pの体内に挿入された発光デバイスを構成する。
【0050】
図5及び図6は、本実施形態における光検出器24を用いて、処理回路25の撮像制御機能254が、カテーテル先端86の位置を決定する原理を説明する図である。カテーテル先端86の位置は、取りも直さず、近赤外光の放射位置であり、図5及び図6では、移動前の近赤外光の放射位置をEm1で表し、移動後の近赤外光の放射位置をEm2で表すものとする。その上で、図5は、X線診断装置1のxz平面における光検出器24と近赤外光の放射位置Em1、Em2の位置関係を示しており、図6は、X線診断装置1のxy平面における光検出器24と近赤外光の放射位置Em1、Em2の位置関係を表している。
【0051】
これら図5及び図6に示すように、処理回路25における撮像制御機能254は、光検出器24が検出した近赤外光の強度により、光検出器24から近赤外光の放射位置Em1、Em2までの距離を算出する。また、処理回路25における撮像制御機能254は、光検出器24が検出した近赤外光の受光方向により、光検出器24を基準とした放射位置Em1、Em2の方向を算出する。そして、これら算出した距離と方向により、近赤外光の放射位置Em1、Em2に関する三次元の空間座標、つまりx軸、y軸、z軸のそれぞれの座標を算出する。
【0052】
図5及び図6の例では、放射位置Em1から放射位置Em2に近赤外光の放射位置が移動していることから、高さ方向であるz軸においては、近赤外光の放射位置が下がっていることがわかり、xy平面では近赤外光の放射位置が天板5aに平行な平面上を斜めに移動していることがわかる。このように特定した近赤外光の位置に基づいて、処理回路25における撮像制御機能254は、撮像装置3を移動制御する。
【0053】
図7は、本実施形態に係るX線診断装置1の処理回路25の撮像制御機能254により実行される追従制御処理を説明するためのフローチャートを示す図である。本実施形態においては、処理回路25が、例えば記憶回路27に記憶されている追従制御処理プログラムを読み出して実行することにより、この処理回路25における撮像制御機能254が実現される。また、この追従制御処理は、例えば、X線診断装置1の操作者が、例えば入力インターフェース31を介して、追従制御の開始を指示した場合に、その実行が開始される処理である。
【0054】
この図7に示すように、X線診断装置1の処理回路25における撮像制御機能254は、光検出器24を用いて、赤外光を検出する(ステップS10)。本実施形態においては、光検出器24は、OCTカテーテル装置80のカテーテル先端86から放射された赤外光を検出する。
【0055】
次に、X線診断装置1の処理回路25における撮像制御機能254は、光検出器24が検出した赤外光の位置を算出する(ステップS12)。具体的には、上述したように、撮像制御機能254は、カテーテル先端86から放射された赤外光までの距離と、その方向を算出し、赤外光がカテーテル先端86から放射された放射位置を特定する。
【0056】
次に、X線診断装置1の処理回路25における撮像制御機能254は、ステップS12で算出された赤外光の位置に基づいて、撮像装置3を制御する(ステップS14)。具体的には、撮像制御機能254は、特定された赤外光の放射位置に基づいて、撮像装置3の移動量を決定する。この撮像装置3の移動量は、赤外光の位置と光検出器24との相対的位置関係が保たれるように算出される。
【0057】
本実施形態においては、この撮像装置3の移動制御により、OCTカテーテル装置80のカテーテル先端86の位置が、撮像装置3のX線検出器21の検出範囲から外れないように、撮像装置3が追従移動する。このため、X線診断装置1の操作者は、撮像装置3の移動操作に煩わされることなく、被検体Pに対する施術に集中することができる。
【0058】
このステップS14の処理の後、X線診断装置1の処理回路25における撮像制御機能254は、上述したステップS10に戻り、光検出器24による赤外光の検出から繰り返す。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、OCTカテーテル装置80のカテーテル先端86から放射された赤外光を、光検出器24により検出して、その赤外光の放射位置を特定した上で、この赤外光の放射位置の移動に追従して、撮像装置3を移動制御することとしたので、撮像装置3のX線検出器21が検出したX線に基づいて生成されるX線画像にカテーテル先端86が含まれる状態を自動的に維持することができる。このため、OCTカテーテル装置80のカテーテル先端86を被検体Pの体内で移動させる際における、X線診断装置1の操作負担を軽減することができる。
【0060】
また、撮像装置3の追従制御は、カテーテル先端86から発せられた赤外光を検出する光検出器24をX線診断装置1に追加的に設けることで実現できる。一般的に、赤外光を検出する光検出器24は、比較的安価であり、従来のような磁場発生装置や磁場センサなどの高価な装置を追加的に設ける必要がなくなる。このため、X線診断装置1及びこのようなX線診断装置1を含むX線診断システムの製造コストを低減することができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、被検体に挿入する細い医療デバイスが、OCTカテーテル装置80である場合を例として説明をしたが、発光デバイスとしての医療デバイスはOCTカテーテル装置80に限られるものではない。例えば、医療デバイスは、バルーンやステント、ロータブレーターをカテーテル先端に取り付けたカテーテル装置であってもよい。この場合、例えば、カテーテル装置におけるカテーテル先端に、赤外線を発する光源を追加的に設ける。そして、X線診断装置1は、この光源から発せられた赤外光の放射位置を光検出器24で検出し、この赤外光の放射位置に追従して撮像装置3を移動制御することにより、カテーテルの動きに撮像装置3を自動追従させることができる。
【0062】
さらに、医療デバイスは、カテーテルに限られるものではなく、被検体Pの体内に挿入されて赤外光を発するデバイスであれば、如何なる種類のデバイスでもよい。例えば、医療デバイスは、カテーテルを血管内の診断対象部位や治療対象部位へ誘導するためのガイドワイヤであってもよい。この場合、ガイドワイヤの先端に、赤外光を発する光源を追加的に設ける。そして、X線診断装置1は、この光源から発せられた赤外光の放射位置を光検出器24で検出し、この赤外光の放射位置に追従して撮像装置3を移動制御することにより、ガイドワイヤの動きに撮像装置3を自動追従させることができる。
【0063】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態においては、X線診断装置1に組み合わせる、赤外光を発する発光デバイスとして、医療デバイスであるOCTカテーテル装置80を用いた例を説明したが、このような赤外光を発する発光デバイスは、OCTカテーテル装置80に限られるものではない。第2実施形態においては、X線診断装置1に組み合わせる、赤外光を発する発光デバイスとして、被検体Pに取り付けられる生体組織モニタを用いた例を説明する。
【0064】
図8は、被検体Pに生体組織モニタ90を装着した状態の一例を示す図である。この生体組織モニタ90は、本実施形態において、被検体Pに取り付けられた赤外光を発する発光デバイスの一例である。図8は、被検体Pの頭部に、リング状の生体組織モニタ90を装着した例を図示している。
【0065】
一般に、生体組織モニタ90は、被検体Pの頭部や大腿部などに装着されて、近赤外線を用いて、体内組織のヘモグロビン濃度を測定する装置である。ヘモグロビン濃度を測定することにより、体内組織の酸素濃度を計測することができ、脳機能の研究や筋肉組織の運動評価などに利用される。本実施形態においては、この生体組織モニタ90とX線診断装置1とにより、X線診断システムが構成されている。
【0066】
図9及び図10は、頭部に生体組織モニタ90を装着した被検体Pが、寝台装置5に仰臥位で横たわっている状態を模式的に示す図である。例えば、図9は、寝台装置5が移動する前の状態を示す図であり、図10は、寝台装置5が移動した後の状態を示す図である。
【0067】
これら図9及び図10に示すように、寝台装置5は、器台5bの上部に天板5aが移動可能に設けられている。本実施形態においては、天板5aはy軸方向に沿って移動可能に構成されている。この天板5aは、例えば、操作者が操作部9を操作することにより、y軸の正方向及び負方向に移動させることが可能である。
【0068】
また、任意ではあるが、天板5aと被検体Pとの間には、寝台マット5cが挿入されてもよい。この寝台マット5cは、例えば弾性のある素材で形成されており、被検体Pが天板5aに横たわる際の快適性を向上させる。
【0069】
寝台装置5のパンニング動作により、天板5aをy軸方向に移動させると、この天板5aに横たわる被検体Pも、生体組織モニタ90も、これにともないy軸方向に移動する。理論上、天板5aの移動量と、被検体Pの移動量と、生体組織モニタ90の移動量は、実質的に同じである。このため、図9に示す生体組織モニタ90の近赤外光の放射位置Em1と、図10に示す生体組織モニタ90の近赤外光の放射位置Em2との移動量は、被検体Pの移動量と同等である。
【0070】
そこで、本実施形態に係るX線診断装置1では、光検出器24が検出した赤外光の位置の移動に基づいて、撮像装置3を追従して移動するように制御することにより、天板5aを移動させて被検体Pが移動してしまったとしても、撮像装置3で被検体Pの目的部位の撮像を継続することができるようにしている。特に本実施形態においては、赤外光の放射位置の移動量と同じだけ、撮像装置3をy軸方向に移動させることにより、撮像装置3による被検体Pの目的部位の撮像を自動的に続けることができる。換言すれば、生体組織モニタ90の近赤外光の放射位置と、光検出器24の位置との相対的位置関係が保たれるように、撮像装置3を移動させることにより、X線検出器21が被検体Pを透過したX線を検出して、被検体Pの目的部位のX線画像を撮像し続けることができるようになる。
【0071】
このような撮像装置3の追従制御は、上述した第1実施形態と同様に、図7に示した追従制御処理を、処理回路25における撮像制御機能254が実行することにより実現される。つまり、本実施形態に係るX線診断装置1を備えるX線診断システムは、赤外光を発する発光デバイスがOCTカテーテル装置80から生体組織モニタ90に入れ替わった点を除いて、上述した第1実施形態に係るX線診断システムと同等である。
【0072】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、生体組織モニタ90から放射された赤外光を、光検出器24により検出して、その赤外光の放射位置を特定した上で、この赤外光の放射位置の移動に追従して、撮像装置3を移動制御することとしたので、撮像装置3のX線検出器21が検出したX線に基づいて生成されるX線画像に目的部位が含まれる状態を維持することができる。このため、天板5aに横たわっている被検体Pを天板5aの操作で移動させる際における、操作者によるX線診断装置1の操作負担を軽減することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るX線診断装置1においても、撮像装置3の追従制御は、生体組織モニタ90から放射された赤外光を検出する光検出器24を追加的に設けることで実現できることから、X線診断装置1及びこのようなX線診断装置1を含むX線診断システムの製造コストを低減することができる。
【0074】
〔第3実施形態〕
上述した第2実施形態においては、X線診断装置1に組み合わせる、赤外光を発する発光デバイスである生体組織モニタ90を被検体Pに取り付けるようにしたが、このような発光デバイスを取り付ける位置は、任意である。第3実施形態においては、このような発光デバイスとして、赤外光を発する光源ユニットを用いて、この光源ユニットを寝台装置5に取り付けた例を説明する。
【0075】
図11及び図12は、被検体Pが仰臥位で横たわっている寝台装置5に、赤外光の一種である近赤外光を発する光源ユニット100を設けた状態を模式的に示す図である。例えば、図11は、寝台装置5が移動する前の状態を示す図であり、上述した第2実施形態における図9に対応する図である。図12は、寝台装置5が移動した後の状態を示す図であり、上述した第2実施形態における図10に対応する図である。
【0076】
寝台装置5が、器台5b上に設けられた移動可能な天板5aと、任意の寝台マット5cとを備えて構成されていることは、上述した第2実施形態と同様である。ただし、本実施形態においては、被検体Pにではなく、寝台装置5に発光デバイスである光源ユニット100が設けられている点で、第2実施形態とは異なる。このため、本実施形態においては、この光源ユニット100とX線診断装置1とにより、X線診断システムが構成されている。
【0077】
光源ユニット100を設ける位置は、被検体Pの移動とともに移動する箇所であれば、寝台装置5における任意の位置でよい。つまり、被検体Pが横たわる寝台装置5の移動に追従する任意の位置に、光源ユニット100を設けることができる。例えば、光源ユニット100は、天板5aの任意の位置に設けてもよいし、寝台マット5cが存在する場合は、この寝台マット5cの任意の位置に設けてもよい。図11及び図12に示す例では、光源ユニット100は、被検体Pの頭上における、寝台マット5cに設けられている。
【0078】
また、光源ユニット100は、操作者が必要となる都度、寝台装置5に設けるようにしてもよいし、予め固定的に寝台装置5に設けるようにしてもよい。固定的に寝台装置5に設ける場合には、不要な場合は、光源ユニット100の発光を停止できるように、光源ユニット100のオン/オフの切替スイッチを設けておいてもよい。
【0079】
寝台装置5のパンニング動作により、天板5aをy軸方向に移動させると、この天板5aに横たわる被検体Pも、光源ユニット100も、これにともないy軸方向に移動する。理論上、天板5aの移動量と、被検体Pの移動量と、光源ユニット100の移動量は、実質的に同じである。このため、図11に示す生体組織モニタ90の近赤外光の放射位置Em1と、図12に示す生体組織モニタ90の近赤外光の放射位置Em2との移動量は、被検体Pの移動量と同等である。
【0080】
そこで、本実施形態に係るX線診断装置1では、光検出器24が検出した赤外光の位置の移動に基づいて、撮像装置3を追従して移動するように制御することにより、天板5aを移動させて被検体Pが移動してしまったとしても、撮像装置3で被検体Pの目的部位の撮像を継続することができるようにしている。特に本実施形態においては、赤外光の放射位置の移動量と同じだけ、撮像装置3をy軸方向に移動させることにより、撮像装置3による被検体Pの目的部位の撮像を自動的に続けることができる。換言すれば、光源ユニット100の近赤外光の放射位置と、光検出器24の位置との相対的位置関係が保たれるように、撮像装置3を移動させることにより、X線検出器21が被検体Pを透過したX線を検出して、被検体Pの目的部位のX線画像を撮像し続けることができるようになる。
【0081】
このような撮像装置3の追従制御は、上述した第1実施形態や第2実施形態と同様に、図7に示した追従制御処理を、処理回路25における撮像制御機能254が実行することにより実現される。つまり、本実施形態に係るX線診断装置1を備えるX線診断システムは、赤外光を発する発光デバイスがOCTカテーテル装置80から光源ユニット100に入れ替わった点を除いて、上述した第1実施形態に係るX線診断システムと同等であり、赤外光を発する発光デバイスが生体組織モニタ90から光源ユニット100に入れ替わった点を除いて、上述した第2実施形態に係るX線診断システムと同等である。
【0082】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、光源ユニット100から放射された赤外光を、光検出器24により検出して、その赤外光の放射位置を特定した上で、この赤外光の放射位置の移動に追従して、撮像装置3を移動制御することとしたので、撮像装置3のX線検出器21が検出したX線に基づいて生成されるX線画像に目的部位が含まれる状態を維持することができる。このため、天板5aに横たわっている被検体Pを天板5aの操作で移動させる際における、操作者によるX線診断装置1の操作負担を軽減することができる。
【0083】
特に、本実施形態においては、X線診断装置1の寝台装置5に光源ユニット100を設けるだけで撮像装置3の追従制御を実現できるので、X線診断装置1を用いた様々なX線撮像で応用することができる。
【0084】
また、本実施形態に係るX線診断装置1においても、撮像装置3の追従制御は、光源ユニット100から放射された赤外光を検出する光検出器24を追加的に設けることで実現できることから、X線診断装置1及びこのようなX線診断装置1を含むX線診断システムの製造コストを低減することができる。
【0085】
〔第4実施形態〕
上述した第1実施形態乃至第3実施形態に係るX線診断装置1においては、撮像装置3に1つの光検出器24を配置していたが、複数の光検出器24を撮像装置3に配置して、複数の光検出器24のうちのいずれか1つの光検出器24の検出結果を用いて、赤外光の放射位置を算出するようにしてもよい。以下、上述した第1実施形態乃至第3実施形態に係るX線診断装置1において、複数の光検出器24を撮像装置3に配置した実施形態を、第4実施形態として説明する。
【0086】
図13は、光検出器24をX線検出器21に加えて、X線管13にも配置した例を模式的に示す図である。このようにX線管13に光検出器24を設けることにより、X線管13が被検体Pの上方に位置するようなX線診断装置1の使用態様においても、X線管13に設けた光検出器24を用いることにより、精度よく赤外光の放射位置を検出することができる。
【0087】
つまり、この場合、処理回路25における撮像制御機能254が、アーム23aの角度に応じて、赤外光を検出する光検出器24を切り替えて選択的に用いる。これは、被検体Pの上方に位置するX線管13に配置された光検出器24は、被検体Pと光検出器24との間に障害物がない位置関係となっているためである。逆の見方をすれば、処理回路25における撮像制御機能254は、被検体Pが横たわる寝台装置5の天板5aの下方に光検出器24が位置する場合には、撮像装置3を制御するために、他の光検出器24が検出した赤外光を用いる。
【0088】
すなわち、被検体Pの下方にあるX線検出器21に設けられた光検出器24で、赤外光の放射位置を検出しようとすると、その赤外光は少なくとも天板5aを透過した赤外光である。しかし、天板5aは赤外光にとっては障害物であり、X線検出器21で検出する赤外光の光強度が必ずしも十分でない可能性もある。このような位置関係にある場合、被検体Pの上方に位置する光検出器24を用いて赤外光を検出して、赤外光の放射位置を算出する方が、被検体Pの下方に位置する光検出器24を用いて赤外光を検出して、赤外光の放射位置を算出するよりも、高い精度で位置を特定することができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、X線診断装置1の使用態様によっては、図14に示すように、X線検出器21に光検出器24を配置せずに、X線管13に光検出器24を配置するようにしてもよい。すなわち、光検出器24は、X線管13とX線検出器21とのうちの少なくとも一方に配置することができる。
【0090】
さらに、光検出器24は、アーム23aに配置することができる。図15は、X線検出器21とX線管13とにそれぞれ光検出器24を配置するとともに、アーム23aに光検出器24を配置した例を模式的に示す図である。この図15の例においては、アーム23aの内周面に光検出器24を配置することにより、アーム23aが被検体Pの上方に位置するX線診断装置1の使用態様においても、このアーム23aに配置された光検出器24を用いることにより、精度よく赤外光の放射位置を検出することができる。
【0091】
具体的には、X線管13やX線検出器21が被検体Pの側方に位置し、アーム23aが被検体Pの正面上方に位置するようなX線診断装置1の使用態様である場合には、アーム23aに配置された光検出器24を用いて赤外光を検出し、赤外光の放射位置を算出する。X線診断装置1のアーム23aがこのような角度になるのは、例えば、X線診断装置1を用いて、冠動脈造影(CAG:coronary angiography)により冠動脈を撮像する際に、回旋枝(RAO CAU(アールエーオー カウダール))を正面にして撮像する場合である。このようなアーム23aの角度の場合は、アーム23aに配置された光検出器24を用いて赤外光を検出する方が、X線管13やX線検出器21に配置された光検出器24を用いて赤外光を検出するよりも、高い精度で赤外線の放射位置を算出することができる。
【0092】
これは、アーム23aに配置された光検出器24は、被検体Pと光検出器24との間に障害物がない位置関係となっているためである。逆の見方をすれば、処理回路25における撮像制御機能254は、被検体Pが横たわる寝台装置5の天板5aの下方に光検出器24が位置する場合や被検体Pの側方に光検出器24が位置する場合には、撮像装置3を制御するために、他の光検出器24が検出した赤外光を用いるととらえることができる。すなわち、本実施形態においては、処理回路25における撮像制御機能254が、アーム23aの角度に応じて、赤外光を検出する光検出器24を切り替えて選択的に用いる。
【0093】
なお、本実施形態においては、X線診断装置1の使用態様によっては、X線管13に配置した光検出器24とX線検出器21に配置した光検出器24のうちの一方を省略することもできる。具体的には、図16に示すように、X線検出器21とアーム23aのそれぞれに光検出器24を配置し、X線管13には光検出器24を配置しないようにすることができる。また、図17に示すように、X線管13とアーム23aのそれぞれに光検出器24を配置し、X線検出器21には光検出器24を配置しないようにすることもできる。つまり、光検出器24は、X線管13とX線検出器21とのうちの少なくとも一方と、アーム23aの内周面とに配置することができる。
【0094】
〔第5実施形態〕
上述した第4実施形態においては、撮像装置3に設けられた複数の光検出器24のうち、被検体Pと光検出器24との間に障害物のない最も適した光検出器24が検出した赤外光を用いて、撮像装置3の制御を行うようにしたが、複数の光検出器24が検出した赤外光の検出結果を用いて、撮像装置3の制御を行うことも可能である。このように、複数の光検出器24を用いて、赤外光の放射位置を算出し、撮像装置3を制御する実施形態を、第5実施形態として説明する。
【0095】
図18は、本実施形態に係るX線診断装置1の処理回路25における撮像制御機能254が実行する追従制御処理を説明するためのフローチャートを示す図であり、上述した第1実施形態における図7に対応する図である。本実施形態においても、処理回路25が、例えば記憶回路27に記憶されている追従制御処理プログラムを読み出して実行することにより、この撮像制御機能254が実現される。また、この追従制御処理は、例えば、X線診断装置1の操作者が、例えば入力インターフェース31を介して、追従制御の開始を指示した場合に、その実行が開始される処理である点も、上述した第1実施形態と同様である。
【0096】
ただし、本実施形態に係るX線診断装置1においては、ステップS10で複数の光検出器24が赤外光を検出した後に、その重み付けを算出する処理が実行される(ステップS20)。具体的には、処理回路25における撮像制御機能254は、ステップS10における複数の光検出器24による赤外光の検出結果に対する重み付けを算出する。
【0097】
例えば、本実施形態においては、撮像装置3が備えるアーム23aの角度に応じて、複数の光検出器24の検出した赤外光の検出結果について、重み付けを変えることができる。すなわち、処理回路25における基本制御機能251が、アーム23aの角度を制御していることから、当然に処理回路25における撮像制御機能254は、アーム23aの角度を把握することができる。このため、このアーム23aの角度に基づいて、光検出器24が検出した赤外光の検出結果に関する重み付けを決定する。
【0098】
図19は、X線管13とX線検出器21とアーム23aのそれぞれに、光検出器24が配置されているX線診断装置1を部分的に示す模式図である。この図19に示すような角度にアーム23aが制御されている場合には、処理回路25における撮像制御機能254は、例えば、天板5aの上方に位置するX線検出器21に設けられた光検出器24が検出した赤外光の検出結果の重み付けと、同じく天板5aの上方に位置するアーム23aに設けられた光検出器24が検出した赤外光の検出結果の重み付けとを、同じにすることができる。この場合、天板5aの下方に位置するX線管13に設けられた光検出器24が検出した赤外光の検出結果の重み付けはゼロである。
【0099】
また、図20に示すような角度にアーム23aが制御されている場合には、処理回路25における撮像制御機能254は、例えば、天板5aの上方に位置するX線検出器21に設けられた光検出器24が検出した赤外光の検出結果の重み付けを8とし、天板5aの右斜め上方に位置するアーム23aに設けられた光検出器24が検出した赤外光の検出結果の重み付けを2とすることができる。そして、天板5aの下方に位置するX線管13に設けられた光検出器24が検出した赤外光の検出結果の重み付けはゼロである。このように、処理回路25における撮像制御機能254は、アーム23aの角度に応じて、赤外光の検出結果の重み付けを決定することができる。
【0100】
これら図19及び図20の例では、処理回路25における撮像制御機能254は、天板5aの下方に光検出器24が位置する場合には、天板5aの下方に位置する光検出器24により赤外光の検出結果の重み付けよりも、他の光検出器24による赤外光の検出結果の重み付けを大きくする、ということもできる。
【0101】
さらに、図20の例では、処理回路25における撮像制御機能254は、被検体Pが正対する方向に位置する光検出器24による赤外光の検出結果の重み付けを、他の光検出器24による赤外光の検出結果の重み付けよりも大きくする、ということもできる。
【0102】
図18に示した追従制御処理におけるステップS20にて、重み付けを算出した後は、上述した第1実施形態乃至第4実施形態と同様に、処理回路25における撮像制御機能254は、赤外光の放射位置を算出する処理(ステップS12)と、撮像装置3の制御処理(ステップS14)を実行する。
【0103】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によっても、光源ユニット100から放射された赤外光を、複数の光検出器24により検出して、アーム23aの角度に応じて、重み付けを変えて、その赤外光の放射位置を算出することとしたので、赤外光の放射位置の移動に追従して、撮像装置3を精度よく移動制御することができる。
【0104】
しかも、アーム23aの角度に応じて、複数の光検出器24により赤外光の検出結果の重み付けを算出することとしたので、より高い精度で赤外光の放射位置を算出することができる。すなわち、より強い強度で検出される光検出器24による赤外光の検出結果の重み付けを、他の光検出器24による赤外光の検出結果の重み付けよりも大きくするので、より精度良く、赤外光の放射位置を特定することができる。
【0105】
〔第6実施形態〕
上述した第1実施形態乃至第5実施形態においては、C型やΩ型のアーム23aを備えるX線診断装置1を例に各実施形態を説明したが、X線診断装置1は、X線を用いた他の種類のX線診断装置であってもよい。第6実施形態においては、X線診断装置1がX線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置である場合を例に実施形態を説明する。なお、以下に説明する第6実施形態においては、第3実施形態におけるX線診断装置1をCT装置で構成する例を説明するが、第1実施形態及び第2実施形態においても、X線診断装置1をCT装置で構成することが可能である。
【0106】
図21は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明する斜視図である。この図21からも分かるように、本実施形態においては、X線診断装置1が、CT装置により構成されている。このため、本実施形態に係るX線診断装置1における撮像装置3は、ガントリとも称される架台装置200により構成されている。この架台装置200には、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系を有する装置である。つまり、架台装置200により、X線コンピュータ断層撮影が実現される。
【0107】
架台装置200は、上述した各実施形態におけるX線管13及びX線検出器21が格納されている。但し、架台装置200においては、これらX線管13及びX線検出器21が、回転フレームにより対向支持されている。つまり、架台装置200には、被検体Pの周囲を回転する回転フレームに取り付けられたX線管13とX線検出器21とが格納されている。そして、この回転フレームが回転することにより、X線管13及びX線検出器21も被検体Pの周囲を回転し、被検体Pの三次元のX線画像が生成できるようになる。
【0108】
本実施形態に係るX線診断装置1においては、光検出器24が架台装置200に設けられている。例えば、図21の例では、円筒状の架台装置200の寝台装置5側の上部に、光検出器24が設けられている。但し、光検出器24が設けられる位置は任意であり、発光デバイスが放射した赤外光を検出できる位置であれば、円筒状の架台装置200のいずれの位置に設けられてもよい。
【0109】
図21の例では、上述した第3実施形態と同様に、発光デバイスである光源ユニット100が、寝台装置5に設けられている。すなわち、図11及び図12で説明したように、本実施形態においても、この光源ユニット100が放射する赤外光を光検出器24が検出することにより、赤外光の放射位置を算出し、この赤外光の位置に基づいて、撮像装置3である架台装置200および、天板5aをy軸方向に制御することができる。例えば、本実施形態においては、被検体Pの位置決めや寝台装置5の天板5aの位置決めをする際に、光検出器24が検出した赤外光の位置に基づいて、撮像装置3である架台装置200を制御することができる。
【0110】
具体的には、図7に示した追従制御処理のステップS14において、撮像装置3である架台装置200の位置制御を行う。すなわち、処理回路25における撮像制御機能254が、ステップS14において、架台装置200の位置を制御する。
【0111】
図22は、円筒状の架台装置200の開口が、被検体Pが横たわる寝台装置5の天板5aの外にある状態を示す斜視図であり、図23はその平面レイアウト図である。一方、図24は、円筒状の架台装置200の開口に、被検体Pが横たわる寝台装置5の天板5aが挿入されている状態を示す斜視図であり、図25はその平面レイアウト図である。
【0112】
これら図22乃至図25に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1においては、架台装置200である撮像装置3は、y軸方向に移動可能である。すなわち、架台装置200は、y軸に沿って、天板5aに横たわる被検体Pに近づく方向と、遠ざかる方向とに、移動可能である。
【0113】
例えば、図22及び図23に示す位置に、架台装置200が位置していたとする。被検体Pの撮像を行うために、操作者が操作部9を操作して、架台装置200を被検体Pに近づく方向に移動させる。その際、処理回路25における撮像制御機能254は、被検体Pが横たわる寝台装置5の位置を、赤外光の位置に基づいて特定し、撮像装置3を被検体Pの目的部位の位置まで移動させることができる。移動後の状態が、図24及び図25に示されている。
【0114】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、光源ユニット100から放射された赤外光を、光検出器24により検出して、その赤外光の放射位置を特定した上で、この赤外光の放射位置に基づいて、架台装置200を制御することができる。このため、CT装置であるX線診断装置1の操作者の位置決め作業を容易にすることができる。
【0115】
なお、本実施形態係るX線診断装置1においても、複数の光検出器24を架台装置200に設けることにより、赤外光の放射位置を算出する精度の向上を図ってもよい。すなわち、本実施形態を上述した第4実施形態又は第5実施形態に適用して、これら第4実施形態及び第5実施形態に係るX線診断装置1を、CT装置で構成することもできる。
【0116】
〔第7実施形態〕
上述した第6実施形態においては、CT装置でX線診断装置1を構成したが、この第6実施形態に係るX線診断装置1に、上述した第1実施形態乃至第5実施形態のように、C型又はΩ型のアーム23aを備える撮像装置3も追加的に備えるようにX線診断装置1を構成することできる。換言すれば、第1実施形態乃至第5実施形態に係るX線診断装置1に、CT装置の架台装置200を追加的に備えるようにすることもできる。
【0117】
以下においては、第6実施形態に、C型又はΩ型のアーム23aを備える撮像装置3を追加的に備えるX線診断装置1を、第7実施形態として説明する。なお、以下に説明する第7実施形態においては、第6実施形態と同様に、第3実施形態におけるX線診断装置1をCT装置で構成した例を説明するが、第1実施形態及び第2実施形態においても、X線診断装置1をCT装置で構成することが可能である。
【0118】
図26は、本実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を説明する斜視図である。この図26からも分かるように、本実施形態においては、X線診断装置1が、アーム23aを有する撮像装置3と、架台装置200との双方を備えている。
【0119】
本実施形態に係るX線診断装置1の撮像装置3においては、光検出器24が架台装置200に設けられているとともに、撮像装置3のX線検出器21にも設けられている。このため、図26に示すX線診断装置1では、架台装置200を移動させる場合には、架台装置200に設けられた光検出器24により検出された赤外光に基づいて赤外光の放射位置を特定して、架台装置200の制御を行うことができ、さらに、アーム23aを備える撮像装置3を移動させる場合には、撮像装置3に設けられた光検出器24により検出された赤外光に基づいて赤外光の放射位置を特定して、撮像装置3の制御を行うことができる。
【0120】
具体的には、図7に示した追従制御処理のステップS14において、架台装置200の位置制御を行い、また、撮像装置3の位置制御を行う。すなわち、処理回路25における撮像制御機能254が、ステップS14において、架台装置200及び撮像装置3の位置を制御する。
【0121】
図27は、円筒状の架台装置200の開口が、被検体Pが横たわる寝台装置5の天板5aの外にある状態を示す斜視図であり、図28はその平面レイアウト図である。一方、図29は、円筒状の架台装置200の開口に、被検体Pが横たわる寝台装置5の天板5aが挿入されている状態を示す斜視図であり、図30はその平面レイアウト図である。
【0122】
これら図27乃至図30に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1においては、架台装置200は上述した第6実施形態と同様の動きをし、撮像装置3は上述した第3実施形態と同様の動きをする。
【0123】
例えば、図27及び図28に示す位置に、架台装置200が位置していたとする。被検体Pの撮像を行うために、操作者が操作部9を操作して、架台装置200を被検体Pに近づく方向に移動させる。その際、処理回路25における撮像制御機能254は、被検体Pが横たわる寝台装置5の位置を、赤外光の位置に基づいて特定し、撮像装置3を被検体Pの目的部位の位置まで移動させることができる。移動後の状態が、図29及び図30に示されている。
【0124】
また、図27及び図28に示す位置に架台装置200がある場合、例えば、操作者は、撮像装置3を用いて、カテーテルを被検体Pに挿入しながら造影剤を注入し、血管造影検査(アンギオグラフィー)を行うことができる。そして、必要に応じて、操作者は、図29及び図30に示す位置に架台装置200を移動した上で、架台装置200を用いて被検体PのCT撮影を行うことができる。
【0125】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、光源ユニット100から放射された赤外光を、光検出器24により検出して、その赤外光の放射位置を特定した上で、この赤外光の放射位置に基づいて、架台装置200及び撮像装置3の双方を制御することができる。このため、CT装置であるX線診断装置1の操作者の位置決め作業を容易にすることができるだけでなく、赤外光の放射位置の移動に追従して、アーム23aを備える撮像装置3を移動制御することができる。
【0126】
なお、本実施形態係るX線診断装置1においても、複数の光検出器24を架台装置200に設けることにより、赤外光の放射位置を算出する精度の向上を図ってもよい。すなわち、本実施形態を上述した第4実施形態又は第5実施形態に適用して、これら第4実施形態及び第5実施形態に係るX線診断装置1を、撮像装置3に加えて、架台装置200も備えるようにできる。
【0127】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、光検出器という比較的安価な装置をX線診断装置に追加することにより、被検体やカテーテル、寝台装置等の動きに追従して撮像装置3を制御することができる。
【0128】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0129】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0130】
1 X線診断装置
3 撮像装置
5 寝台装置
5a 天板
5b 器台
5c 寝台マット
7 駆動部
9 操作部
13 X線管
19 X線管保持部
21 X線検出器
23 保持装置
23a アーム
24 光検出器
25 処理回路
27 記憶回路
29 表示部
31 入力インターフェース
80 OCTカテーテル装置
82 装置本体
84 カテーテル
86 カテーテル先端
Em1、Em2 放射位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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