(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174680
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】遮断器システム
(51)【国際特許分類】
H02H 3/093 20060101AFI20241210BHJP
H02H 9/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02H3/093 A
H02H9/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092639
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 晃旗
【テーマコード(参考)】
5G004
5G013
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004AB01
5G004BA01
5G004BA03
5G004CA05
5G004DC10
5G013AA01
5G013BA01
5G013CA16
(57)【要約】
【課題】系統連系において、事故時に適切に電流を遮断する必要がある。
【解決手段】分路リアクトル(7)を備えた電力系統(100)における遮断器システム(9)は、分路リアクトルに対して直列に接続された対象遮断器(4)と、分路リアクトルに対して並列に接続され、かつ互いに直列に接続されたリアクトル(82)およびコンデンサ(83)を複数の相間に有する容量装置(8)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分路リアクトルを備えた電力系統における遮断器システムであって、
前記分路リアクトルに対して直列に接続された遮断器と、
前記分路リアクトルに対して並列に接続され、かつ互いに直列に接続されたリアクトルおよびコンデンサを有する容量装置と、を備える、遮断器システム。
【請求項2】
前記リアクトルおよび前記コンデンサは、前記電力系統における複数の相間に接続される、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項3】
前記電力系統は、3相電力系統である、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項4】
前記分路リアクトルと前記容量装置とは、異なる拠点に配置される、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項5】
前記容量装置と前記遮断器とは、同一の拠点に配置される、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項6】
前記分路リアクトルと前記容量装置とは、前記遮断器に対して直列に接続されたトランスの二次側に接続される、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項7】
前記容量装置において電流が共振し、
前記共振における電流の振幅を、分路リアクトルにおいて発生する直流電流よりも大きな値とする、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項8】
前記容量装置は、前記電力系統に対して、スター型に結線されている、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項9】
前記容量装置は、前記電力系統に対して、デルタ型に結線されている、請求項1に記載の遮断器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮断器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
系統連系による電力の売買が一般化してきている。系統連系した電力系統において、短絡事故または地絡事故などの事故が発生した際に、故障範囲を制限するために、速やかに故障範囲を遮断する必要がある。
【0003】
ケーブルによる系統連系では、系統連系における電圧変動を緩和するために、分路リアクトルを用いることが一般的である。分路リアクトルを備えた電力系統において事故が発生すると、送電ケーブルの充電電流に対し、分路リアクトルによる電流を合成した電流が遮断器に流れることになる。その結果、遮断器には、直流電流が印加されることになり、電流がゼロクロスしない零点推移現象が発生し、遮断器を開の状態にしても、電流を遮断することができなくなる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、分路リアクトルに印加される電流をゼロクロスさせるために、分路リアクトルに対し直列にコンデンサを接続して、電力系統に流れる電流を共振させることで、電流をゼロクロスさせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は事故時に発生する交流振動によってコンデンサの端子間電圧が大きくなる挙動をするため、コンデンサの耐電圧を大きくする必要があり、高いコストが掛かる。
【0007】
本発明の一態様は、系統連系において、事故時に適切に電流を遮断する遮断器システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る遮断器システムは、電力系統における遮断器システムであって、遮断器と、前記遮断器に対して直列に接続された分路リアクトルと、前記分路リアクトルに対して並列に接続され、かつ互いに直列に接続されたリアクトルおよびコンデンサを有する容量装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、事故時に適切に電流を遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る電力系統の要部の構成を示す回路図である。
【
図2】実施形態1に係る容量装置8の詳細を示す三線図である。
【
図3】事故発生時前後での各部の電流変動を示すグラフである。
【
図4】対象遮断器側から見た容量装置の周波数‐インピーダンス特性である。
【
図5】実施形態2に係る電力系統の要部の構成を示す回路図である。
【
図6】実施形態3に係る電力系統の要部の構成を示す回路図である。
【
図7】変形例に係る容量装置8の詳細を示す三線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
(回路構成)
図1は、実施形態1に係る電力系統100の要部の構成を示す回路図である。電力系統100には、3相電源1が備わっており、電力系統100に電力を供給している。電力系統100は、3相電源1の下位系統に対象遮断器4を挟んで、送電線5に接続されている。送電線5の下位系統に並列に負荷や発電設備が接続される。
【0013】
電力系統100における負荷の一つに、分路リアクトル7が電力系統に対してスター型に結線されている。つまり、対象遮断器4に対して、分路リアクトル7が直列に接続されている。送電線5と分路リアクトル7との間には、分路リアクトル用遮断器6が接続されている。なお、
図1における符号Sで表す記号は、スター結線を表す記号である。すなわち、
図1において分路リアクトル7はスター結線で接続されていることを表している。
図1を含むこれ以降の図面において、符号Sを記載していない同様の記号に関しても同様である。
【0014】
図2は、実施形態1に係る容量装置8の詳細を示す三線図である。送電線5の上位には、容量装置8が、分路リアクトル7に対して並列に接続されている。容量装置8は、容量装置用遮断器81と、リアクトル82と、コンデンサ83と、が互いに直列に接続された回路である。なお、容量装置8は、電力系統100に対してスター型に結線されている。リアクトル82は、コンデンサ83に対する突入電流を抑制する役割も果たす。また、分路リアクトル7と容量装置8とは異なる拠点に配置されている。
【0015】
ここで、リアクトル82と、コンデンサ83とは、複数の相間に接続されている。
図2に示すように、異なる相(例えば、第1相および第2相)の間に、あるリアクトル、あるコンデンサ、別のコンデンサ、および別のリアクトルがこの順に接続されている。なお、該リアクトルと該コンデンサはそれぞれ、複数の素子を有したリアクトル82およびコンデンサ83のそれぞれの一素子である。
【0016】
なお、容量装置8は、容量装置用遮断器81を備えなくてもよい。容量装置8は、3相をスター結線で接続している。また、対象遮断器4と容量装置8とを合わせて遮断器システム9とも称する。遮断器システム9は、対象遮断器4を電力系統100の遮断のために用いる遮断器とする。
【0017】
(事故発生時の動作)
以降は、
図1における対象遮断器4より上位の符号Pの箇所において事故、例えば短絡事故が発生した場合の動作に関して記す。なお、事故は短絡事故に制限されず地絡事故であってもよい。
図3は、事故発生時前後での各部の電流変動を示すグラフである。
図3は、対象遮断器4に流入する電流のグラフ400と、分路リアクトル用遮断器6に流入する電流のグラフ600と、容量装置用遮断器81に流入する電流のグラフ800と、を併記している。なお、各グラフ400、600、および800は、それぞれ横軸が時間であり、縦軸が電流である。
【0018】
図3に示すように、短絡事故の発生前は、グラフ600およびグラフ800において、3相交流の電流が計測されている。なお、グラフ400に示すように、対象遮断器4に流入する電流は短絡事故の発生前は0である。これは、分路リアクトル7と、容量装置8と、送電線5とにおける3相電源1による基本波の無効電力の和が0[Mvar]となるように設定しているためである。
【0019】
その後、時刻T1において、対象遮断器4より上位の符号Pの箇所において短絡事故が発生した。そのため、各グラフ400、600、800の波形は変化している。グラフ600では、分路リアクトル7の作用によって、事故発生前から連続な電流を流そうとするために、直流電流になる。また、グラフ800では、容量装置8におけるリアクトル82とコンデンサ83との共振が発生する。この容量装置8における共振周波数は、3相電源1の商用周波数よりも高い周波数である。
【0020】
なお、遮断器システム9は事故を検出し、対象遮断器4を遮断しようとする。しかしながら、対象遮断器4に対しては、負荷側の各機器、つまり、分路リアクトル用遮断器6と、容量装置用遮断器81と、図示を省略している3相電源1に対する下位の負荷(送電線5を流れる電流をも含む)と、を流れている電流が流れ込むことになる。
【0021】
対象遮断器4は、遮断器のリレー時間または上位系統から信号が伝送される時間に加え、遮断器自体の開極時間を合わせた時間をかけて開極する。対象遮断器4が開極するまでの間、グラフ400に示すように、対象遮断器4の流入電流は、商用周波数よりも高い周波数において振動する。なお、該振動は負荷側の機器において生じる損失によって徐々に減衰していく。なお、対象遮断器4が物理的に開極してから、対象遮断器4のゼロ点評価時間が開始する。
【0022】
その後、時刻T2において、対象遮断器4の接点間が十分に開いた状態において、対象遮断器4に対する流入電流がゼロクロスしたタイミングに対象遮断器4が遮断される。なお、このタイミングは例えば、短絡事故発生から約61ミリ秒ほど後である。
【0023】
時刻T2以降では、対象遮断器4が遮断される。これにより、対象遮断器4に流入していた電流が、負荷側の機器間において還流することになる。したがって、各負荷側の機器においてそれぞれ電流の振動が発生する。なお、この振動はそれぞれの抵抗分によって徐々に減衰していく。
【0024】
(事故発生時のメカニズム)
ここで、容量装置8において発生する共振に関して説明する。容量装置8には、インダクタンスLのリアクトル82と、キャパシタンスCのコンデンサ83とが直列に接続されている。そのため、容量装置8における共振周波数frは次式で表せる。
【0025】
【数1】
共振周波数を商用周波数よりも高い周波数とし、商用周波数よりも高い周波数の電流の波を、送電線5等に流れていた3相電源1由来の商用周波数の電流の波に対して、重ね合わせることによって、対象遮断器4の流入電流において電流をゼロクロスさせることができる。
【0026】
また、容量装置8において電流が共振するが、この共振における電流の振幅が分路リアクトル7において発生する直流電流よりも大きい値とすることができる。これにより、分路リアクトル7で発生した直流電流に対し、共振による電流を重ね合わせることによって、対象遮断器4における電流をゼロクロスさせることができる。
【0027】
容量装置8を容量装置として機能させるために、容量装置8の共振周波数frは、商用周波数よりも高い周波数となる。共振周波数が商用周波数よりも高い周波数では、対象遮断器4のゼロ点評価時間内に適切に電流をゼロクロスさせることができる。そのため、対象遮断器4によって、電流を遮断することができる。
【0028】
図4は、対象遮断器4側から見た容量装置8の周波数‐インピーダンス特性である。
図4は横軸が周波数であり、縦軸がインピーダンスである。
図4に示すように、周波数200[Hz]程に、共振点が発生していることがわかる。これは、
図4においては共振周波数が商用周波数よりも高い周波数となるように、商用周波数の4倍程度になるように数1に基づき設計をしたためである。
【0029】
(容量装置8の設計)
遮断器システム9が所望の動作をするためには、容量装置8の遅れ無効電力に対する設備容量の設計が適切である必要がある。以下に、容量装置8の設備容量の設計指針に関して記す。
【0030】
分路リアクトル7の容量をQL[Mvar]、線間電圧をVl[kV]とした場合における、3相における短絡事故発生時に分路リアクトル7で発生する直流性の電流ILdc1[A]は、次式で表せる。
【0031】
【数2】
分路リアクトル7の抵抗分をRとすると、短絡事故発生からt秒後の電流I
Ldc2[A]は、次式で表せる。
【0032】
【数3】
ここで、短絡事故発生から対象遮断器4の遮断までの時間をTとすると、その時の分路リアクトル7の電流I
Ldc3[A]は、次式で表せる。
【0033】
【数4】
ここで、容量装置8の容量をQ
c(<0)[MVar]とした場合の、容量装置8に流れる電流I
c[A]を求める。容量装置8に印加される電圧について、3相のうち1相の電圧が0[V]の場合に短絡事故が発生した場合、0[V]の相から故障点に向かって流れる電流は、容量装置8の設備容量に対して1pu(Per unit)の電流である。この電流値を閾値とすれば、過酷ケースにおける容量装置8の設備容量を求めることができる。そのため、この場合におけるI
cは、次式で表せる。
【0034】
【数5】
したがって、容量装置8における損失がほとんど無い場合においては、対象遮断器4の遮断時点(短絡事故の発生からT秒後)において、-I
c>I
Ldc3の関係が成り立てばよいことになる。したがって、式を整理すると、次の関係が得られる。
【0035】
【数6】
なお、送電線5の進相容量を打ち消すために必要な遅れ無効電力をQとすると、次の関係が成り立つ。
【0036】
【数7】
数6および数7から、式を整理すると、次式の関係が得られる。
【0037】
【数8】
ここで、Qcを単純に容量装置8の設備容量として考えると、次のように式が変形する。これにより、容量装置8の容量を適切に設計することができる。
【0038】
【数9】
(小括)
系統連系した分路リアクトル7を有する電力系統100において事故が発生した場合に、分路リアクトル7に対して並列に容量装置8を設けることで、対象遮断器4に流入する直流電流に対し大きな電流を加えることができる。これにより、対象遮断器4の流入電流がゼロクロスするようになり、対象遮断器4を開の状態にすると、遮断できるようになる。
【0039】
また、容量装置8を分路リアクトル7に対して並列に設けるため、容量装置8をメンテナンスしている際も、分路リアクトル7の機能を損なうことが無い。そのため、安定した電力系統100を実現することができる。
【0040】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0041】
図5は、実施形態2に係る電力系統101の要部の構成を示す回路図である。電力系統101では、分路リアクトル用遮断器6および分路リアクトル7が送電線5に対して上位に接続されている点が、電力系統100と異なり、他は同一である。つまり、実施形態1では、容量装置8と分路リアクトル7とが異なる拠点に配置されていたが、実施形態2では、容量装置8と分路リアクトル7とが同一の拠点に配置されている。
【0042】
この場合においても、容量装置8によって、対象遮断器4に対する流入電流に高い周波数の波を生じさせることができる。そのため、対象遮断器4は電流を遮断することができる。
【0043】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0044】
図6は、実施形態3に係る電力系統102の要部の構成を示す回路図である。電力系統102では、送電線5の2次側に3相3巻線変圧器3を有することが電力系統100と異なる。さらに、該3相3巻線変圧器3の3次側に、第2対象遮断器41が接続されている。第2対象遮断器41の2次側に、分路リアクトル7および容量装置8が並列に接続されている。また、本実施形態では、対象遮断器4を第1対象遮断器4とも称する。第1対象遮断器4と第2対象遮断器41と容量装置8とを合わせて遮断器システム9aと称する。なお、分路リアクトル7と容量装置8とは同一の拠点に配置されている。
【0045】
この場合においても、容量装置8によって、第1対象遮断器4および第2対象遮断器41に対する流入電流に高い周波数の波を生じさせることができる。そのため、第1対象遮断器4および第2対象遮断器41は電流を遮断することができる。
【0046】
ここで、電力系統102では電力系統100とは異なり、分路リアクトル7および容量装置8は、事故が発生した第1対象遮断器4より上位の符号Pの箇所とは、3相3巻線変圧器3を介して接続されている。つまり、第1対象遮断器4と第2対象遮断器41とが直接的に送電線5によるバス配線を共有しているわけではない。しかしながら、遮断器システム9aは遮断器システム9と同様に正常に動作し、第1対象遮断器4および第2対象遮断器41を開の状態にすることで電流を遮断することができる。
【0047】
なお、実施形態3は、3相3巻線変圧器3に関して記載したが、3相2巻線変圧器であってもよい。この場合は、3相2巻線変圧器の2次側に分路リアクトル7および容量装置8が並列に接続される。
【0048】
〔変形例〕
実施形態1から3では、容量装置8は電力系統に対してスター型に結線されているが、電力系統に対してデルタ型に結線されてもよい。
図7は、変形例に係る容量装置8の詳細を示す三線図である。本変形例では、容量装置8における結線をスター結線に代えてデルタ結線を用いている。
【0049】
つまり、
図7に示すように、異なる相(例えば、第1相および第2相)の間に、あるリアクトル、あるコンデンサ、および別のリアクトルがこの順に接続されている。なお、該リアクトルと該コンデンサはそれぞれ複数の素子を有したリアクトル82およびコンデンサ83のそれぞれの一素子である。
【0050】
デルタ結線の場合であっても、スター結線の場合と同様に、分路リアクトル7に対して並列に容量装置8を設けることで、対象遮断器4の流入電流に対し高い周波数の電流を加えることができる。これにより、対象遮断器4の流入電流がゼロクロスするようになり、対象遮断器4を開の状態にすると、遮断できるようになる。
【0051】
また、容量装置8を分路リアクトル7に対して並列に設けるため、容量装置8をメンテナンスしている際も、分路リアクトル7の機能を損なうことが無い。そのため、安定した電力系統100を実現することができる。
【0052】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る遮断器システムは、分路リアクトルを備えた電力系統における遮断器システムであって、前記分路リアクトルに対して直列に接続された遮断器と、前記分路リアクトルに対して並列に接続され、かつ互いに直列に接続されたリアクトルおよびコンデンサを有する容量装置と、を備える。
【0053】
上記の構成によれば、容量装置のメンテナンスを行う際も、分路リアクトルを電力系統に対して接続しておくことができる。
【0054】
本発明の態様2に係る遮断器システムは、前記態様1において、前記リアクトルおよび前記コンデンサは、前記電力系統における複数の相間に接続されてもよい。
【0055】
上記の構成によれば、複数の相間の間にリアクトルおよびコンデンサの各素子を接続することができる。
【0056】
本発明の態様3に係る遮断器システムは、前記態様1または2において、前記電力系統は、3相電力系統であってもよい。
【0057】
上記の構成によれば、3相電力系統に対して容量装置を接続することができる。
【0058】
本発明の態様4に係る遮断器システムは、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記分路リアクトルと前記容量装置とは、異なる拠点に配置されてもよい。
【0059】
上記の構成によれば、容量装置の配置は特に制限されない。
【0060】
本発明の態様5に係る遮断器システムは、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記容量装置と前記遮断器とは、同一の拠点に配置されてもよい。
【0061】
上記の構成によれば、容量装置の配置は特に制限されない。
【0062】
本発明の態様6に係る遮断器システムは、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記分路リアクトルと前記容量装置とは、前記遮断器に対して直列に接続されたトランスの二次側に接続されてもよい。
【0063】
上記の構成によれば、容量装置と遮断器とは、トランスを介して接続されていてもよい。
【0064】
本発明の態様7に係る遮断器システムは、前記態様1から6のいずれかにおいて、前記容量装置において電流が共振し、前記共振における電流の振幅を、分路リアクトルにおいて発生する直流電流よりも大きな値としてもよい。
【0065】
上記の構成によれば、容量装置から供給される電流の振幅が、分路リアクトルで発生する直流電流よりも大きくなることで、遮断器における電流をゼロクロスさせることができる。
【0066】
本発明の態様8に係る遮断器システムは、前記態様1から7のいずれかにおいて、前記容量装置は、前記電力系統に対して、スター型に結線されてもよい。
【0067】
本発明の態様9に係る遮断器システムは、前記態様1から7のいずれかにおいて、前記容量装置は、前記電力系統に対して、デルタ型に結線されてもよい。
【0068】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 3相電源
3 3相3巻線変圧器
4 対象遮断器
5 送電線
6 分路リアクトル用遮断器
7 分路リアクトル
8 容量装置
9、9a 遮断器システム
81 容量装置用遮断器
82 リアクトル
83 コンデンサ
100、101、102 電力系統