(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174684
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】第4級アンモニウム塩組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 23/18 20220101AFI20241210BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20241210BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241210BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241210BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C09K23/18
A61K8/40
A61Q5/12
A61Q5/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092647
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】390029458
【氏名又は名称】ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 純司
(72)【発明者】
【氏名】的場 啓介
(72)【発明者】
【氏名】石黒 正雄
【テーマコード(参考)】
4C083
4D077
【Fターム(参考)】
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD282
4C083CC05
4C083CC33
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE07
4C083FF01
4D077AA09
4D077AB11
4D077AC05
4D077BA03
4D077CA03
4D077CA13
4D077DC15Y
4D077DC42Y
4D077DC54Y
(57)【要約】
【課題】第4級アンモニウム塩組成物は高温下で色調が劣化する問題がある。また、従来技術では、フレーク化適性を未だ満足できない。本発明はこれらの問題を鑑みてなされたものであり、第4級アンモニウム塩組成物において、高温下での色調安定性及びフレーク化適性の向上を図る。
【解決手段】(A)成分:特定の第4級アンモニウム塩と、(B)成分:多価アルコールと、(C)成分:水と、を含み、前記(A)成分の含有量は50質量%以上であり、前記(C)成分の含有量は1~10質量%であり、酸価が1.0mgKOH/g以下である、ことよりなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下記(a1)式で表される第4級アンモニウム塩と、
(B)成分:多価アルコールと、
(C)成分:水と、
を含み、
前記(A)成分の含有量は50質量%以上であり、
前記(C)成分の含有量は1~10質量%であり、
酸価が1.0mgKOH/g以下である、第4級アンモニウム塩組成物。
【化1】
((a1)式中、R
1は、炭素数12~36の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数12~36の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基であり、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、X
-はアニオンである。)
【請求項2】
化粧料組成物用である、請求項1に記載の第4級アンモニウム塩組成物。
【請求項3】
前記(A)成分は、前記X-が炭素数1~5のアルキル基を有するアルキル硫酸イオンである、請求項1又は2に記載の第4級アンモニウム塩組成物。
【請求項4】
前記(A)成分は、R1が炭素数16~22のアルキル基であり、R2、R3及びR4がメチル基であり、X-がメチル硫酸アニオンである、請求項1又は2に記載の第4級アンモニウム塩組成物。
【請求項5】
フレーク状である、請求項1又は2に記載の第4級アンモニウム塩組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第4級アンモニウム塩組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ハンドクリーム等の化粧料組成物には、第4級アンモニウム塩が配合される。第4級アンモニウム塩は、第4級アンモニウム塩を含む第4級アンモニウム塩組成物として供給され、化粧料組成物には、第4級アンモニウム塩組成物として配合される。一般に、第4級アンモニウム塩組成物は、その製造過程で生成したアミン塩類等を含む。
【0003】
化粧料組成物の製造工程は、高温下(例えば、80℃以上)で乳化する工程(乳化工程)を有する。このため、第4級アンモニウム塩を含む化粧料組成物には、高温下での色調安定性が求められる。
化粧料組成物の色調を安定させる方法としては、第4級アンモニウム塩組成物からアミン塩類を留去する方法がある。
【0004】
産業上、第4級アンモニウム塩組成物には、第4級アンモニウム塩を高濃度で含むことが求められる。第4級アンモニウム塩の濃度を高めた第4級アンモニウム塩組成物としては、フレーク状の組成物がある。フレーク状の組成物は、第4級アンモニウム塩の濃度を高め、かつ化粧料組成物の製造時における取り扱いが容易である。
【0005】
しかし、第4級アンモニウム塩の濃度を高めると、融点が高くなって、第4級アンモニウム塩組成物をフレーク状に成形しにくくなる(フレーク化適性に劣る)。イソプロピルアルコール等の短鎖のアルコールを溶媒として用いることで、第4級アンモニウム塩の濃度を高める技術が知られている。しかし、短鎖のアルコールは、作業環境中に揮発しやすく、皮膚等への刺激も懸念される。
こうした問題に対して、特許文献1には、炭素数12~24の鎖長を有する少なくとも1つの脂肪アルコール(いわゆる高級アルコール)及び少なくとも1つのグリコールを特定量で含む溶媒を含み、特定の第4級アンモニウム塩を35%以上含み、しかもフレーク状にできることを特徴とする組成物が提案されている。特許文献1に記載の発明によれば、第4級アンモニウム塩を高濃度で含み、かつフレーク化適性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、第4級アンモニウム塩組成物からアミン塩類を留去するには、新たな工程を設ける必要があり、製造工程が煩雑になる。
第4級アンモニウム塩組成物の製造においては、アルカリ金属化合物を添加し、第4級アンモニウム塩組成物の色調の安定化を図っているものの、得られた第4級アンモニウム塩組成物を用いても、化粧料組成物での色調安定性を満足できない。
加えて、特許文献1の発明では、フレーク化適性を未だ満足できない。
そこで、本発明は、高温下での色調安定性に優れ、かつフレーク化適性に優れる第4級アンモニウム塩組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を有する。
<1>
(A)成分:下記(a1)式で表される第4級アンモニウム塩と、
(B)成分:多価アルコールと、
(C)成分:水と、
を含み、
前記(A)成分の含有量は50質量%以上であり、
前記(C)成分の含有量は1~10質量%であり、
酸価が1.0mgKOH/g以下である、第4級アンモニウム塩組成物。
【化1】
((a1)式中、R
1は、炭素数12~36の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数12~36の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基であり、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、X
-はアニオンである。)
<2>
化粧料組成物用である、<1>に記載の第4級アンモニウム塩組成物。
<3>
前記(A)成分は、前記X
-が炭素数1~5のアルキル基を有するアルキル硫酸イオンである、<1>又は<2>に記載の第4級アンモニウム塩組成物。
<4>
前記(A)成分は、R
1が炭素数16~22のアルキル基であり、R
2、R
3及びR
4がメチル基であり、X
-がメチル硫酸アニオンである、<1>~<3>のいずれかに記載の第4級アンモニウム塩組成物。
<5>
フレーク状である、<1>~<4>のいずれかに記載の第4級アンモニウム塩組成物。
【0009】
<6>
<1>~<5>のいずれかに記載の第4級アンモニウム塩組成物の製造方法であって、
第3級アミンに4級化剤を添加する4級化工程を有する、第4級アンモニウム塩組成物の製造方法。
<7>
前記4級化工程は、前記第3級アミン100モルに対して、前記4級化剤を95~100モル添加する、<6>に記載の第4級アンモニウム塩組成物の製造方法。
【0010】
<8>
<6>又は<7>に記載の第4級アンモニウム塩組成物の製造方法で前記第4級アンモニウム塩組成物を得る工程と、
得られた前記第4級アンモニウム塩組成物を含む油相と水相とを混合する乳化工程と、
を有する、化粧料組成物の製造方法。
<9>
前記乳化工程は、前記油相と前記水相とを60~90℃に加熱しつつ混合する、<8>に記載の化粧料組成物の製造方法。
【0011】
<10>
化粧料組成物の製造における、<1>~<5>のいずれかに記載の第4級アンモニウム塩組成物の使用。
<11>
前記化粧料組成物の製造は、前記第4級アンモニウム塩組成物を含む油相と水相とを60~90℃に加熱しつつ混合する乳化工程を有する、<10>に記載の第4級アンモニウム塩組成物の使用。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第4級アンモニウム塩組成物によれば、高温下での色調安定性に優れ、かつフレーク化適性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第4級アンモニウム塩組成物)
本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、(A)~(C)成分を含有する。第4級アンモニウム塩組成物の剤形としては、例えば、フレーク状、ブロック状、ペレット状、スラリー状等が挙げられる。中でも、取り扱いをより容易にする観点から、第4級アンモニウム塩組成物の剤形としては、フレーク状、ペレット状が好ましく、フレーク状がより好ましい。
なお、フレーク状とは、複数の薄片が個々に独立して存在する形態である。個々の薄片は、例えば、厚さ0.1~2mm、平面視で長さが0.3~3cmである。フレーク状の第4級アンモニウム塩組成物は、小さな力で粉砕又は切削可能である。
【0014】
第4級アンモニウム塩組成物の酸価は、1.0mgKOH/g以下が好ましく、0.5mgKOH/g以下がより好ましく、0.2mgKOH/g以下がさらに好ましい。酸価が上記上限値以下であると、色調安定性を高められる。酸価の下限値は特に限定されない。
第4級アンモニウム塩組成物の酸価は、必要に応じて、アルカリ金属化合物(後述の(F)成分)の種類及び量の組み合わせにより調節される。
【0015】
酸価の測定方法について説明する。試料(第4級アンモニウム塩組成物)を精秤し、イソプロピルアルコールと精製水の混合溶液(体積比50:50)に溶解して、測定試料とする。自動滴定装置を用い、測定試料に対して0.1mol/L水酸化カリウム溶液で中和滴定を行う。下記(s1)式により酸価を算出する。
【0016】
酸価={(p-q)×F×56.11}/S ・・・(s1)
p:試料溶液の滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム溶液滴定量(mL)。
q:空試験に要した0.1mol/L水酸化カリウム溶液滴定量(mL)。
F:0.1mol/L水酸化カリウム溶液の力価。
S:試料採取量(g)。
【0017】
第4級アンモニウム塩組成物の融点は、例えば、60~100℃が好ましく、70~90℃がより好ましく、75~85℃がさらに好ましい。
【0018】
<(A)成分>
(A)成分は、下記(a1)式で表されるカチオン界面活性剤である。
【0019】
【0020】
(a1)式中、R1は、炭素数12~36の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数12~36の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基である。
R1は、アルキル基又はアルケニル基であり、アルキル基が好ましい。R1がアルキル基であると、製造する化粧料組成物の性能をより高められる。
R1は、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよく、直鎖が好ましい。直鎖であると、製造する化粧料組成物の性能をより高められる。
R1の炭素数は、12~36であり、14~30が好ましく、16~22がより好ましい。炭素数が上記範囲内であると、製造する化粧料組成物の性能をより高められる。
【0021】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、X-はアニオンである。
【0022】
R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、アルキル基、ヒドロキシル基であり、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。これらのR2、R3及びR4であると、製造する化粧料組成物の性能をより高められる。
【0023】
X-は、対イオンであるアニオンである。X-としては、塩化物アニオン、ヨウ化物アニオン、臭化物アニオン、炭素数1~5のアルキル硫酸イオン(メチル硫酸アニオン、エチル硫酸アニオン等)、硫酸水素アニオン、乳酸アニオン、クエン酸アニオン等が挙げられる。中でも、X-としては、塩化物アニオン、メチル硫酸アニオン、エチル硫酸アニオンが好ましく、メチル硫酸アニオンがより好ましい。これらのX-であると、製造する化粧料組成物の性能をより高められる。
【0024】
(A)成分としては、R1が炭素数12~36のアルキル基であるアルキルトリメチルアンモニウム化合物が好ましく、R1が炭素数14~30のアルキル基であるアルキルトリメチルアンモニウム化合物がより好ましく、R1が炭素数16~22のアルキル基であるアルキルトリメチルアンモニウム化合物がさらに好ましく、R1が炭素数22のアルキル基(ベヘニル基)、ステアリル基(炭素数18)及びセチル基(炭素数16)のいずれかであるアルキルトリメチルアンモニウム化合物又はこれらの混合物が特に好ましい。
即ち、(A)成分としては、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ステアルトリモニウムメトサルフェート、セトリモニウムメトサルフェート、及びこれらを混合したアルキルトリメチルアンモニウム化合物が好ましい。
【0025】
(A)成分の含有量は、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、50~80質量%がより好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。含有量が上記下限値以上であると、第4級アンモニウム塩の濃度を高めて、取り扱いが容易である。含有量が上記上限値以下であると、フレーク化適性をより高められる。
【0026】
<(B)成分>
(B)成分は多価アルコールである。(B)成分を含むことで、第4級アンモニウム塩組成物の融点を調整できる。このため、第4級アンモニウム塩組成物を化粧料組成物の製造に適した融点にできる。
【0027】
(B)成分としては、例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチルペンタンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、ジグリセロール、グリセリン、トリグリセロール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール挙げられる。中でも、(B)成分としては、1,3-ブチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,2-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールが好ましい。
即ち、(B)成分としては、炭素数2~16の多価アルコールが挙げられ、中でも炭素数2~6の多価アルコールが好ましく、炭素数2~6の二価アルコールがより好ましく、1,3-ブチレングリコール、1,2-プロピレングリコールがさらに好ましい。
【0028】
(B)成分の含有量は、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、10~49.9質量%が好ましい。(B)成分の含有量の下限値は、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。(B)成分の含有量の上限値は、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲内であると、フレーク化適性をより高められる。
【0029】
(A)成分に対する(B)成分の質量比(B/A比)は、特に限定されないが、0.15~1.0が好ましく、0.2~0.9がより好ましい。B/A比が上記下限値以上であると、フレーク化適性をより高められる。B/A比が上記上限値以下であると、水性媒体に対してより良好に分散できる。
【0030】
<(C)成分>
(C)成分は水である。(C)成分としては、純水、イオン交換水、蒸留水、水道水、井水等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、1.0~10質量%である。(C)成分の含有量の下限値は、2.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましい。(C)成分の含有量の上限値は、10質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、色調安定性を高め、フレーク化適性を高められ、水性媒体への分散性を高められる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、フレーク化適性を高められる。
【0031】
(B)成分と(C)成分との合計に対する(B)成分の質量比(B/(B+C)比)は、0.5~0.99が好ましい。B/(B+C)比の下限値は、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましい。B/(B+C)比の上限値は、0.98以下がより好ましく、0.97以下がさらに好ましい。B/(B+C)比が上記下限値以上であると、フレーク化適性をより高められる。B/(B+C)比が上記上限値以下であると、色調安定性をより高められる。
【0032】
(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計に対する(B)成分と(C)成分との合計の質量比((B+C)/(A+B+C)比)は、0.5以下が好ましい。(B+C)/(A+B+C)比の下限値は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。(B+C)/(A+B+C)比の上限値は、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。(B+C)/(A+B+C)比が上記下限値以上であると、より好ましい融点となるためフレーク化適性をより高められる。(B+C)/(A+B+C)比が上記上限値以下であると、より好ましい融点となるためフレーク化適性をより高められる。
【0033】
(任意成分)
第4級アンモニウム塩組成物は、(A)~(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、炭素数10~36の脂肪族アルコール((D)成分)、炭素数1~6のモノアルコール((E)成分)、アルカリ金属化合物((F)成分)等が挙げられる。
なお。(A)~(C)成分及び任意成分の合計量は100質量%である。
【0034】
(D)成分は、いわゆる高級アルコールである。(D)成分としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサニルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデカノール、トリデカノール、ペンタデカノール等が挙げられる。これらの(D)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
(D)成分の含有量は、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、実質的に含まないことがさらに好ましい。実質的に含まないとは、配合することによって効果に影響を及ぼさない程度の量をいう。(D)成分において、実質的に含まないとは、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、5質量%以下である。
【0035】
(E)成分は、いわゆる短鎖モノアルコールである。(E)成分としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ヘプタノール等が挙げられる。これらの(E)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
(E)成分の含有量は、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、実質的に含まないことがさらに好ましい。(E)成分において、実質的に含まないとは、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、5質量%以下である。
【0036】
(F)成分としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等が挙げられる。水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらの(F)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
(F)成分の含有量は、第4級アンモニウム塩組成物の総質量に対して、0.05~0.5質量%が好ましく、0.1~0.4質量%がより好ましい。
【0037】
(製造方法)
本発明の第4級アンモニウム塩組成物の製造方法は、従来公知の製造方法によって製造される。即ち、第4級アンモニウム塩組成物の製造方法は、第3級アミンを4級化する工程(4級化工程)を有する。
以下に、本発明の第4級アンモニウム塩組成物の製造方法の一例を示す。
【0038】
本実施形態の第4級アンモニウム塩組成物の製造方法は、4級化工程と、調整工程と、固化工程とを有する。
【0039】
4級化工程は、第3級アミンを4級化し、第4級アミンを含む反応物を得る工程である。4級化工程は、例えば、溶媒中で、第3級アミンに4級化剤を添加する。
【0040】
第3級アミンとしては、例えば、下記(a11)式で表される第3級アミンが挙げられる。
【0041】
R1-N(R2)(R3) ・・・(a11)
【0042】
(a11)式中のR1、R2、R3は、それぞれ(a1)式中のR1、R2、R3である。
【0043】
4級化剤としては、第3級アミンを第4級アンモニウム塩の構造とする化合物が適宜選択される。4級化剤としては、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等が挙げられる。
【0044】
溶媒としては、有機溶媒、水、及びこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、上述の(B)成分、(D)成分、(E)成分が挙げられる。
【0045】
4級化工程において、第3級アミンの配合量は、溶媒100質量部に対して、例えば、70~300質量部が好ましい。
【0046】
4級化工程において、4級化剤の配合量は、第3級アミン100モルに対して、例えば、95~100モルが好ましく、97~100モルがより好ましく、99~100モルがさらに好ましい。
【0047】
4級化工程では、アルカリ金属化合物が添加されてもよい。4級化工程において、アルカリ金属化合物を添加する場合、その添加量は、第3級アミン100モルに対して、例えば、1.0~3.0モルが好ましい。
【0048】
第3級アミンに対する4級化剤の添加速度は、例えば、第3級アミンに対して0.3~0.6モル倍/分とされる。
【0049】
4級化工程における反応温度は、例えば、80~100℃とされる。
【0050】
4級化工程において、第3級アミンに対して所定量の4級化剤を添加した後に熟成操作を設けることが好ましい。熟成操作においては、例えば、80~100℃で、30~120分間で反応物を撹拌しつつ熟成する。
【0051】
調整工程は、4級化工程で得られた反応物に対して、多価アルコール(即ち(B)成分)及び水(即ち(C)成分)の含有量を調整する工程である。
調整工程においては、4級化工程で添加した(B)成分及び(C)成分の量を勘案し、本発明の第4級アンモニウム塩組成物の組成となるように、(B)成分及び(C)成分を新たに加える。
こうして、調整工程において、スラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を得る。
【0052】
4級化工程及び調整工程のいずれかの後に、アミン塩類を留去する工程(アミン除去工程)を設けてもよい。アミン除去工程としては、例えば、温度50~100℃、真空度1~100kPaに保ち、低沸点成分を留去する方法が挙げられる。
但し、本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、高温下での色調安定性に優れるため、アミン除去工程を設けないことが好ましい。アミン除去工程を設けないことで、生産性をより高められる。
【0053】
固化工程は、スラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を、所望の形態の固体にする工程である。
固化工程としては、例えば、容器にスラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を流し込み、これを冷却して、ブロック状の第4級アンモニウム塩組成物とする方法が挙げられる。さらにブロック状の第4級アンモニウム塩組成物を粉砕して、フレーク状としてもよい。
あるいは、固化工程としては、スラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を冷却板に接触させて薄膜とし、これを掻き取ることでフレーク状の第4級アンモニウム塩組成物としてもよい。このような製造方法に用いられる装置としては、ドラムフレーカー等が挙げられる。ドラムフレーカーでは、回転したドラムの表面にスラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を流し、冷却して薄膜状に固化する。次いで、薄膜状の第4級アンモニウム塩組成物をスクレーパーで掻き取って、フレーク状の第4級アンモニウム塩組成物を得る。
あるいは、スラリー状の第4級アンモニウム塩組成物をダイから押し出しつつ切断し、又はスラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を冷却媒に滴下して、ペレット状の第4級アンモニウム塩組成物としてもよい。
【0054】
(使用方法)
本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、例えば、化粧料組成物の原料として用いられる。
化粧料組成物としては、例えば、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ハンドクリーム等のパーソナルケア用品が挙げられる。
【0055】
化粧料組成物中の第4級アンモニウム塩組成物の含有量は、化粧料組成物に対する(A)成分の配合量を勘案して適宜決定される。第4級アンモニウム塩組成物の含有量は、化粧料組成物の総質量に対して、例えば、1~50質量%とされる。
【0056】
化粧料組成物に含まれる他の成分としては、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸等の油相原料、水溶性セルロース、水溶性有機溶媒、水等の水相原料等が挙げられる。
化粧料組成物の総質量に対する油相原料の含有量は、例えば、10~90質量%とされる。
【0057】
<化粧料組成物の製造方法>
化粧料組成物の製造方法としては、本発明の第4級アンモニウム塩組成物を用いる以外は、従来公知の製造方法を採用できる。
化粧料組成物の製造方法は、例えば、油相原料を混合して油相とする工程(油相調製工程)と、水相原料を混合して水相とする工程(水相調製工程)と、油相と水相とを混合して乳化する工程(乳化工程)とを有する。
【0058】
油相調製工程は、油相原料を混合する工程である。油相調製工程では、油相原料を加熱しつつ混合することが好ましい。油相工程における温度は、例えば、60~90℃とされる。この際、本発明の第4級アンモニウム塩組成物はフレーク化適性に優れるため、他の油相原料と容易に混合でき、容易に相溶する。
【0059】
水相調製工程は、水相原料を混合する工程である。水相調製工程では、水相原料を加熱しつつ混合することが好ましい。水相工程における温度は、例えば、60~90℃とされる。
【0060】
乳化工程は、油相と水相とを混合して、乳化物である化粧料組成物を得る工程である。乳化工程における添加順序は、化粧料組成物に求める乳化状態等を勘案して決定される。
乳化工程は、例えば、水相を所定の温度で加熱し撹拌しつつ、この水相に油相を添加してもよいし、油相を所定の温度で加熱し撹拌しつつ、この油相に水相を添加してもよい。あるいは、予め油相と水相とを撹拌機に仕込み、油相と水相とを加熱しつつ混合して、乳化してもよい。
乳化工程における加熱温度は、例えば、60~90℃とされる。
【0061】
上述の通り、本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、高温下での色調安定性に優れる。このため、化粧料組成物等において、乳化工程で加熱しても色調の劣化を抑制できる。
加えて、本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、フレーク化適性に優れる。このため、本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、化粧料組成物等の製造において、取り扱いが容易である。
本発明の第4級アンモニウム塩組成物は、色調安定性に優れかつフレーク化適性に優れるため、化粧料組成物の原料として好適である。特に、高温(80℃以上)で加熱する工程(例えば、乳化工程)を有する化粧料組成物用の原料として、好適である。
【実施例0062】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0063】
(使用原料)
<(A)成分>
・A-1:ベヘントリモニウムメトサルフェート((a1)式中のR1が炭素数22の直鎖アルキル基、R2~R4がメチル基、X-がメチル硫酸アニオンである化合物)。
・A-2:ステアルトリモニウムメトサルフェート((a1)式中のR1が炭素数18の直鎖アルキル基、R2~R4がメチル基、X-がメチル硫酸アニオンである化合物)。
・A-3:セトリモニウムメトサルフェート((a1)式中のR1が炭素数16の直鎖アルキル基、R2~R4がメチル基、X-がメチル硫酸アニオンである化合物)。
<(B)成分>
B-1:1,3-ブチレングリコール。
B-2:1,2-プロピレングリコール。
<(C)成分>
C-1:イオン交換水。
<(F)成分>
F-1:炭酸水素ナトリウム。
【0064】
(評価方法)
<色調測定方法>
試料(第4級アンモニウム塩組成物)を精秤し、イソプロピルアルコールと精製水の混合溶液(体積比50:50)で濃度50質量%に調整する。50~60℃で加温溶解したものを測定試料とし、自動色差計により測定を行い、色調(APHA)を算出する。
【0065】
<色調安定性>
製造直後の各例の第4級アンモニウム塩組成物の色調(APHA)を測定した(色調α)。各例の第4級アンモニウム塩組成物を95℃で48時間保存した後、色調(APHA)を測定した(色調β)。下記式(s2)よりΔAPHAを求め、下記評価基準に従って評価した。
ΔAPHA=β-α ・・・(s2)
【0066】
≪評価基準≫
◎:ΔAPHAが20以下。
〇:ΔAPHAが20超50以下。
△:ΔAPHAが50超70以下。
×:ΔAPHAが70超。
【0067】
<フレーク化適性>
各例の第4級アンモニウム塩組成物を100℃に加熱し、流動性を与えた。これを傾斜(5°)したプレート(SUS304)上に、薄膜(0.1~0.5mm)となるように流し、室温まで冷却した後、薄膜の状態を観察し、下記評価基準に従って評価した。
【0068】
≪評価基準≫
◎:速くフレーク形状になり、フレーク形状に適した固さ、膜形状である。
〇:やや時間が掛かるが均質な塗膜のフレーク形状になり、適した固さになる。
△:フレーク形状に近い状態にはなるが、やわらかくムラがある。もしくは、固さは適当だが均質な塗膜の状態になっていない。
×:フレーク形状にならならない。
【0069】
<総合評価>
下記評価基準に従い、総合評価を行った。
【0070】
≪評価基準≫
〇:色調安定性及びフレーク化適性の評価がいずれも「〇」又は「◎」である。
△:色調安定性及びフレーク化適性の評価のいずれにも「×」がなく、色調安定性及びフレーク化適性の評価のいずれかに「△」がある。
×:色調安定性及びフレーク化適性の評価のいずれかに「×」がある。
【0071】
(実施例1)
撹拌機、温度計、窒素導入管を具備した1000mLの4つ口フラスコに、N,N-ジメチルドコシルアミン354.88g(0.992モル)、1,3-ブチレングリコール150.4g、炭酸水素ナトリウム1.42gを仕込み、95℃まで昇温した。ここにジメチル硫酸124.7g(0.988モル)を4時間かけて滴下し、その後、同温度で30分間熟成した。反応終了後、酸価を測定すると、0.39mgKOH/gであった(4級化工程)。この酸価に対して等モル量となる炭酸水素ナトリウム0.37g及び水33.1g、1,3-ブチレングリコール20.5gを添加し、30分間撹拌して、スラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を得た(調整工程)。その後、スラリー状の第4級アンモニウム塩組成物を型枠に流し、薄膜化した第4級アンモニウム塩組成物を掻き取って、フレーク状のサンプルを得た(固化工程)。得られたサンプルの組成はベヘントリモニウムメトサルフェート70質量%、1,3-ブチレングリコール25質量%、水5質量%であり、酸価は0.1mgKOH/g、色調(APHA)20であった。
【0072】
(実施例2)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が17であった。
【0073】
(実施例3)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が22であった。
【0074】
(実施例4)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が20であった。
【0075】
(実施例5)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が22であった。
【0076】
(実施例6)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更し、調整工程の炭酸水素ナトリウムの量を0.06gに変更した以外は、実施例2と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.3mgKOH/g、色調(APHA)が18であった。
【0077】
(実施例7)
4級化工程での炭酸水素ナトリウムの量を1.07gに変更し、調整工程の炭酸水素ナトリウムの量を0.33gに変更した以外は実施例3と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.5mgKOH/g、色調(APHA)が20であった。
【0078】
(実施例8)
4級化工程での炭酸水素ナトリウムの量を0gに変更し、調整工程の炭酸水素ナトリウムの量を1.26gに変更した以外は実施例3と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が1.0mgKOH/g、色調(APHA)が16であった。
【0079】
(実施例9)
4級化工程での炭酸水素ナトリウムの量を0gに変更し、調整工程の炭酸水素ナトリウムの量を1.26gに変更した以外は実施例5と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が1.0mgKOH/g、色調(APHA)が21であった。
【0080】
(実施例10)
4級化工程でのN,N-ジメチルドコシルアミンをN,N-ジメチルステアリルアミンに変更し、ジメチル硫酸の滴下量を147.4gに変更した以外は実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.3mgKOH/g、色調(APHA)が17であった。
【0081】
(実施例11)
4級化工程でのN,N-ジメチルドコシルアミンをN,N-ジメチルヘキサデシルアミンに変更し、ジメチル硫酸の滴下量を161.3gとし、炭酸水素ナトリウムの添加量を0.12gとし、調整工程での水の添加量を変更した以外は実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.2mgKOH/g、色調(APHA)が22であった。
【0082】
(実施例12)
4級化工程での1,3-ブチレングリコールを1,2-プロピレングリコールに変更した以外は実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が21であった。
【0083】
(比較例1)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が20であった。
【0084】
(比較例2)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が19であった。
【0085】
(比較例3)
4級化工程での炭酸水素ナトリウムの量を0gに変更し、調整工程での炭酸水素ナトリウムの量を1.26gとし、水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様に作製した。酸価は1.0mgKOH/g、色調(APHA)は16であった。
【0086】
(比較例4)
4級化工程での炭酸水素ナトリウムの量を0gに変更し、調整工程での炭酸水素ナトリウムの量を0.95gとした以外は比較例3と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が1.3mgKOH/g、色調(APHA)が18であった。
【0087】
(比較例5)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が1.3mgKOH/g、色調(APHA)が23であった。
【0088】
(比較例6)
調整工程での水及び1,3-ブチレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、第4級アンモニウム塩組成物を得た。得られた第4級アンモニウム塩組成物は、酸価が0.1mgKOH/g、色調(APHA)が22であった。
【0089】
【0090】
【0091】
表1~2に示すように、実施例1~12は、色調安定性及びフレーク化適性のいずれも「〇」又は「◎」であった。
(C)成分を欠く比較例1、3、(C)成分の含有量が12質量%である比較例2は、フレーク化適性が「△」であった。
(C)成分を欠き、酸価が1.3mgKOH/gである比較例4は、色調安定性が「×」、フレーク化適性が「△」であった。
酸価が1.3mgKOH/gである比較例5は、色調安定性が「△」であった。
(A)成分の含有量が40質量%である比較例6は、フレーク化適性が「×」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、色調安定性とフレーク化適性とを高められることが確認された。
【0092】
(製造例1)
下記組成に従い、油相原料を混合し80℃に加熱して、油相とした。水相原料を混合し80℃に加熱して、水相とした。油相及び水相を80℃に保持し、撹拌しつつ、油相に水相を添加した(乳化工程)。その後、撹拌しながら室温まで冷却して、化粧料組成物とした。得られた化粧料組成物は、色調劣化(黄変)がなかった。
なお、下記組成において油相原料と水相原料との合計が100質量%であり、残部は、化粧料組成物の全量を100質量%とするのに必要な量である。
【0093】
<組成>
≪油相原料≫
・実施例3の第4級アンモニウム塩組成物・・・・11質量%。
・ステアリルアルコール・・・・・・・・・・・・5~11質量%。
・スクワラン・・・・・・・・・・・・・・・・・40質量%。
≪水相原料≫
・ヒドロキシエチルセルロース・・・・・・・・・0.1質量%。
・グリセリン・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量%。
・香料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量。
・防腐剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量。
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・残部。
≪合計≫
・計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100質量%。