(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174687
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】組成物、有機蛍光材料、組成物の製造方法及び薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 11/06 20060101AFI20241210BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20241210BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20241210BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
C09K11/06
C09K11/06 650
C09K11/06 655
H10K85/60
H01L29/84
H10K50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092650
(22)【出願日】2023-06-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.研究集会名:第43回光化学若手の会、主催者名:第43回光化学若手の会実行委員会、講演予稿集発行日:2022年6月6日、開催日:2022年6月10~11日 2.研究集会名:第43回光化学若手の会、主催者名:第43回光化学若手の会実行委員会、発表日:2022年6月10日、開催日:2022年6月10~11日 3.研究集会名:第32回基礎有機化学討論会、主催者名:基礎有機化学会、講演予稿集発行日:2022年9月15日、開催日:2022年9月20~22日 4.研究集会名:第32回基礎有機化学討論会、主催者名:基礎有機化学会、発表日:2022年9月20日、開催日:2022年9月20~22日 5.研究集会名:日本化学会第103春季年会、主催者名:公益社団法人日本化学会、講演予稿集発行日:2023年3月8日、開催日:2023年3月22~25日 6.研究集会名:日本化学会第103春季年会、主催者名:公益社団法人日本化学会、発表日:2023年3月24日、開催日:2023年3月22~25日
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 傑
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕歩
【テーマコード(参考)】
3K107
4M112
【Fターム(参考)】
3K107AA03
3K107EE68
4M112EA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】良好な感度のメカノクロミック発光特性を保持したまま成型加工が可能な組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される組成物。
式(1)中、E
1は下記式(2)または(3)であり、E
2は特定の置換基を有していてもよいフェニル基または1-ナフチル基である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される組成物。
【化1】
(式(1)中、E
1は下記式(2)または(3)で表され、E
2は下記式(4)または(5)で表される。
【化2】
【化3】
式(2)~(5)中、R
1~R
2、R
4~R
15、R
17~R
32は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。R
3及びR
16は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。)
【請求項2】
前記式(1)中、E
1は下記式(6)、(7)または(23)で表される、請求項1に記載の組成物。
【化4】
(式(6)、(7)及び(23)中、Phはフェニル基である。)
【請求項3】
前記式(1)中、E
2は下記式(8)~(12)のいずれか1つで表される、請求項1に記載の組成物。
【化5】
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物を含む有機蛍光材料。
【請求項5】
蛍光パターニング材料、蛍光スイッチング材料または蛍光センサー材料である請求項4に記載の有機蛍光材料。
【請求項6】
下記式(2’)または(3’)で表される化合物に、下記式(13)で表される化合物を反応させて、下記式(2’’)または(3’’)で表される化合物を作製する工程と、
前記式(2’’)または(3’’)で表される化合物に、下記式(4’)または(5’)で表される化合物を反応させて、前記式(1)で表される組成物を作製する工程と、
を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
(式(13)、式(2’’)または(3’’)中、X
1及びX
2は、それぞれ、互いに独立して求核置換反応の際に使用される脱離基である。)
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物を有機溶媒に溶解させて前記組成物の溶液を作製する工程と、
前記組成物の溶液を、前記組成物に対する貧溶媒中に加えて撹拌した後、フィルターでろ過する工程と、
前記ろ過後に、前記フィルター上に堆積してなる組成物の薄膜を回収する工程と、
を有する、薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、有機蛍光材料、組成物の製造方法及び薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
擦る、潰すなどの機械的刺激に応答して蛍光や燐光の発光色が可逆的に変化するメカノクロミック発光性の分子結晶は、圧力や歪、摩耗状態の検知を中心とした幅広い応用が期待されることから、圧力センサーなどへの応用が期待され、近年盛んに研究されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献2には、有機ナノ結晶を、高分子材料とのハイブリッド組成物とすることにより得られる発光性の自立フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6663820号公報
【特許文献2】特開2022-091772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、メカノクロミック発光特性を有する固体蛍光性の有機分子は、粒径が不均質な粉末材料であるため、高分子材料等との組成物としなければ薄膜などの所望の形状に成型加工することが困難であった。また、当該有機分子を高分子材料等と組み合わせて加工するため、その分、メカノクロミック発光特性の感度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、良好な感度のメカノクロミック発光特性を保持したまま成型加工が可能な組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、さらに当該組成物を用いた有機蛍光材料、当該組成物の製造方法及び薄膜の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下のように特定される本発明によって解決される。
1.下記式(1)で表される組成物。
【化1】
(式(1)中、E
1は下記式(2)または(3)で表され、E
2は下記式(4)または(5)で表される。
【化2】
【化3】
式(2)~(5)中、R
1~R
2、R
4~R
15、R
17~R
32は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。R
3及びR
16は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。)
2.前記式(1)中、E
1は下記式(6)、(7)または(23)で表される、前記1に記載の組成物。
【化4】
(式(6)、(7)及び(23)中、Phはフェニル基である。)
3.前記式(1)中、E
2は下記式(8)~(12)のいずれか1つで表される、前記1または2に記載の組成物。
【化5】
4.前記1~3のいずれかに記載の組成物を含む有機蛍光材料。
5.蛍光パターニング材料、蛍光スイッチング材料または蛍光センサー材料である前記4に記載の有機蛍光材料。
6.下記式(2’)または(3’)で表される化合物に、下記式(13)で表される化合物を反応させて、下記式(2’’)または(3’’)で表される化合物を作製する工程と、
前記式(2’’)または(3’’)で表される化合物に、下記式(4’)または(5’)で表される化合物を反応させて、前記式(1)で表される組成物を作製する工程と、
を有する、前記1~3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
(式(13)、式(2’’)または(3’’)中、X
1及びX
2は、それぞれ、互いに独立して求核置換反応の際に使用される脱離基である。)
7.前記1~3のいずれかに記載の組成物を有機溶媒に溶解させて前記組成物の溶液を作製する工程と、
前記組成物の溶液を、前記組成物に対する貧溶媒中に加えて撹拌した後、フィルターでろ過する工程と、
前記ろ過後に、前記フィルター上に堆積してなる組成物の薄膜を回収する工程と、
を有する、薄膜の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な感度のメカノクロミック発光特性を保持したまま成型加工が可能な組成物を提供することができる。また、本発明によれば、さらに当該組成物を用いた有機蛍光材料、当該組成物の製造方法及び薄膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施例1の薄膜及びバルク結晶のPXRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための形態を詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0011】
<組成物>
本実施形態に係る組成物は、下記式(1)で表される。
【化10】
(式(1)中、E
1は下記式(2)または(3)で表され、E
2は下記式(4)または(5)で表される。
【化11】
【化12】
式(2)~(5)中、R
1~R
2、R
4~R
15、R
17~R
32は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。R
3及びR
16は、それぞれ、互いに独立して水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基である。)
【0012】
本実施形態に係る組成物は、エチレングリコール鎖の両端に電子状態の異なる芳香環または複素環を有し、芳香環または複素環が分子間で積層することにより針状または繊維状の微結晶を形成するため、微結晶同士が絡まり合った堆積物として成型加工が可能となる。また、機械的刺激により結晶状態から非晶質状態へ相転移することで発光特性が変化する機構であるため、組成物の結晶により成型された薄膜では、良好な感度のメカノクロミック発光特性が保持される。
【0013】
本実施形態に係る組成物は、式(1)中、E
1は下記式(6)、(7)または(23)で表されることが好ましい。このような構成によれば、窒素原子上のアリール基による立体障害で適度に分子間相互作用が抑制された結晶が形成されるため、メカノクロミック発光特性を維持したまま成型加工が可能となる。
【化13】
(式(6)、(7)及び(23)中、Phはフェニル基である。)
【0014】
本実施形態に係る組成物は、式(1)中、E
2は下記式(8)~(12)のいずれか1つで表されることが好ましい。このような構成によれば、式(6)、(7)及び(23)と異なる構造の芳香環または複素環をもつことから、分子間積層による針状または繊維状微結晶の形成が容易になる。特にE
2が式(8)および(9)で表される組成物は、ドナー・アクセプター型発光体として機能するため、機械的刺激により結晶状態から非晶質状態に相転移した際に、発光色が大きく変化するメカノクロミック発光特性を発現する。
【化14】
【0015】
本実施形態に係る組成物は、下記式(14)~(21)、(24)のいずれか1つで表されることが好ましい。
【化15】
【0016】
<組成物の製造方法>
次に、本実施形態に係る組成物の製造方法について詳述する。前述の式(1)で表される組成物は、下記式(2’)または(3’)で表される化合物に、下記式(13)で表される化合物を反応させて、下記式(2’’)または(3’’)で表される化合物を作製する工程と、式(2’’)または(3’’)で表される化合物に、下記式(4’)または(5’)で表される化合物を反応させて、式(1)で表される組成物を作製する工程とを有する。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
(式(13)、式(2’’)または(3’’)中、X
1及びX
2は、それぞれ、互いに独立して脱離基であり、求核置換反応の際に使用される脱離基であれば特に限定されない。好ましい例としては、それぞれ、互いに独立してトシラート基(-O-S(=O)
2-C
6H
4-CH
3)、トリフラート基(-O-S(=O)
2-CF
3)、メシラート基(-O-S(=O)
2-CH
3)、ノナフルオロブタンスルホナート基(-O-S(=O)
2-C
4F
9)、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、ヒドロキシ基などを挙げることができる。)
【0017】
本実施形態に係る組成物の製造方法によれば、簡便な方法によって効率よく本実施形態に係る組成物を製造することができる。
【0018】
<薄膜の製造方法>
本実施形態に係る薄膜の製造方法は、本実施形態に係る組成物を有機溶媒に溶解させて組成物の溶液を作製する工程と、組成物の溶液を、組成物に対する貧溶媒中に加えて撹拌した後、フィルターでろ過する工程と、ろ過後に、フィルター上に堆積してなる組成物の薄膜を回収する工程とを有する。
【0019】
組成物の溶液を、組成物に対する貧溶媒中に加えて撹拌することで、貧溶媒に溶けない組成物が、貧溶媒中で微結晶化する。この組成物の微結晶をフィルターで吸引ろ過することで、フィルター上に組成物の微結晶が堆積して薄膜となる。この薄膜は、フィルターから容易に回収することができる。フィルターとしては、メンブレンフィルターを用いることが好ましい。メンブレンフィルターは溶液中の微粒子を除去するときに用いられ、フィルターの孔径以上の粒子を確実に捕捉することができる。このため、組成物の微結晶を確実に捕捉し、フィルター上に組成物の微結晶を良好に堆積させることができ、収率良く薄膜を製造することができる。組成物を溶解させる有機溶媒としては、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、トルエンなどが挙げられる。また、組成物に対する貧溶媒としては、水、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトニトリル、メタノールなどが挙げられる。
【0020】
このようにして製造した本実施形態に係る組成物の薄膜は、組成物単独からなる針状または繊維状の微結晶が絡まり合うことで構成されているため、自立可能であり、また、当該薄膜を用いた有機蛍光材料は、従来の高分子材料にドープして形成したものに比べてメカノクロミック発光特性の感度が優れている。また、当該薄膜は柔軟性があり、一定の応力下では崩壊しない耐久性を有する。
【0021】
なお、上記の製造方法では、フィルター上に組成物を堆積させることで薄膜を形成しているが、所定の形状の型枠を用いて吸引ろ過することで、当該型枠の形状に組成物を成型することができる。このように、本実施形態に係る組成物は、メカノクロミック発光特性を保持したまま、任意形状の自立薄膜を含む自立成型品に成型することができる。このような自立成型品は、機械的刺激(スパチュラを用いて擦る等)を加えると、発光色が変化するメカノクロミック発光を示す。また、組成物の置換基を変更することで、発光色や機械的刺激に対する応答挙動を制御することができ、用途に応じて調整することができる。
【0022】
<有機蛍光材料>
本実施形態に係る組成物を用いてメカノクロミック発光特性を有する有機蛍光材料を作製することができる。本実施形態に係る組成物を単独で用いて有機蛍光材料を形成してもよく、本実施形態に係る組成物を、例えば高分子材料にドープすることで有機蛍光材料を作製してもよい。本実施形態に係る組成物を単独で用いて形成した有機蛍光材料は、高分子材料にドープして形成したものに比べてメカノクロミック発光特性の感度が優れている。
【0023】
本実施形態に係る有機蛍光材料を、例えば、蛍光パターニング材料、蛍光スイッチング材料または蛍光センサー材料等に用いることができる。
【0024】
また、本実施形態に係る有機蛍光材料は、メカノクロミック発光特性を有するため、高感度な蛍光検出を利用した下記の用途に応用することができる。
・書き込み、消去可能な蛍光記憶材料
・劣化構造物に加わる応力や歪、材料中の部分的な歪みの検出
・産業機械の開発における摩耗検知
・ウェアラブル触覚センサー
・生体材料に加わる微小圧力の検出
【実施例0025】
以下に、本発明を実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
<実施例1>
(式(14)の組成物の合成)
E
1にトリフェニルイミダゾール、E
2にベンゾチアジアゾールを持つ上記式(14)で表される組成物を下記のようにして合成した。
アルゴン雰囲気下、乳鉢ですりつぶした炭酸カリウム(3.0mmol、0.414g)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)懸濁液(10mL)に、4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノール(1.0mmol、0.389g)のDMF溶液(10mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、1,2-ビス(トシルオキシ)エタン(3.0mmol、1.11g)のDMF溶液(10mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液を減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン/酢酸エチル=5:5:1)によって分離することでp-トルエンスルホン酸2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(31)、0.411g、収率70%)を白色固体として得た。当該反応式を下記式(30)に示す。
次に、アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、1.0mmol、0.0485g)のDMF溶液(3.0mL)に、4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)フェノール(0.30mmol、0.0685g)のDMF溶液(3.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、混合物にp-トルエンスルホン酸2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(31)、0.30mmol、0.176g)のDMF溶液(3.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加え、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回抽出した後、有機層を合わせて水で5回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液を減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)および分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン=3:1)により分離し、トルエンから再結晶することで、4-(4-[2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エトキシ]フェニル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(式(14)、0.124g、収率64%)を黄色結晶として得た。当該反応式を下記式(32)に示す。
【化20】
【0027】
また、以下に式(14)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 212.8-214.8 ℃; IR (ATR): vmax 3054, 1606, 1514, 1481, 1445, 1236, 1177, 1069, 942, 831 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.97 (dd, J = 8.2, 1.8 Hz, 1H), 7.92-7.88 (m, 2H), 7.69-7.64 (m, 2H), 7.61-7.59 (m, 2H), 7.38-7.34 (m, 2H), 7.31-7.18 (m, 9H), 7.13-7.09 (m, 4H), 7.05-7.03 (m, 2H), 6.85-6.83 (m, 2H), 4.41-4.34 (m, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 158.8, 158.5, 155.6, 153.5, 146.8, 138.0, 137.2, 134.5, 134.0, 131.1 (2C), 130.7, 130.5 (2C), 130.3 (2C), 130.2, 129.7, 129.0 (2C), 128.4 (2C), 128.3 (2C), 128.2, 128.1 (2C), 127.8, 127.4 (2C), 126.9, 126.5, 123.6, 119.9, 114.8 (2C), 114.2 (2C), 66.5, 66.3; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C41H31N4O2S, 643.2162; found, 643.2152.
【0028】
(式(14)の組成物の薄膜の成型)
式(14)の組成物の濃度:2.5×10
-2Mのクロロホルム溶液を調製した。これをマイクロシリンジで250μL量り取り、ヘキサン10mL中に加えた。室温で5分間撹拌すると懸濁し、メンブレンフィルターで吸引ろ過することで結晶を回収した。メンブレンフィルター上で膜状に堆積した結晶を剥離することで薄膜を得た。得られた薄膜の表面のSEM画像を取得した。当該SEM画像を
図1に示す。
【0029】
(式(14)の組成物の薄膜の柔軟性)
式(14)の組成物の薄膜の一端をピンセットで挟んだ状態で、他方の端部を押し込むと、破断することなく良好に曲げることができ、良好な柔軟性を有することが確認された。
【0030】
(式(14)の組成物の薄膜の結晶性)
式(14)の組成物の薄膜と、式(14)の組成物の結晶(バルク結晶)とについて、それぞれ同条件にて粉末X線回折測定(PXRD)を行った。それぞれについて得られたPXRDパターンを
図2に示す。
図2に示す通り、薄膜のPXRDパターンは、バルク結晶のPXRDパターンと良好な一致を示した。
【0031】
(式(14)の組成物の薄膜の発光特性)
式(14)の組成物の薄膜の表面を針でなぞることで刺激を与えると、薄膜の形状を保持したまま発光色の変化を生じた。続いて、200℃で加熱すると、発光色が消えてほぼ元の薄膜の状態に戻った。これらの発光スペクトルを測定した。その結果を
図3に示す。
【0032】
<実施例2>
(式(18)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、乳鉢ですりつぶした炭酸カリウム(3.0mmol、0.414g)のDMF懸濁液(10mL)に、4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノール(1.0mmol、0.386g)のDMF溶液(10mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、1,2-ビス(トシルオキシ)エタン(3.0mmol、1.11g)のDMF溶液(10mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液を減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン/酢酸エチル=6:6:1)によって分離することで、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(33)、0.517g、収率88%)を白色固体として得た。当該反応式を下記式(34)に示す。
次に、アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、1.0mmol、0.0424g)のDMF懸濁液(3.0mL)に、4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)フェノール(0.30mmol、0.0687g)のDMF溶液(3.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(33)、0.30mmol、0.1757g)のDMF溶液(3.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加え、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル=10:1、シリカゲル(60N、15g))、分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム)の順に分離することで、4-(4-[2-{4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エトキシ]フェニル)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(式(18)、0.120g、収率63%)を黄色固体として得た。当該反応式を下記式(35)に示す。
【0033】
【0034】
また、以下に式(18)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 200.4-204.0 ℃; IR (ATR): vmax 3065, 2962, 1606, 1511, 1450, 1378, 1237, 1178, 1058, 828 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.87 (dd, J = 7.9, 1.0 Hz, 1H), 8.77 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.71 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.98-7.93 (m, 1H), 7.91-7.88 (m, 2H), 7.74 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.67-7.58 (m, 6H), 7.54-7.48 (m, 5H), 7.26 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.11-7.08 (m, 2H), 6.90-6.86 (m, 2H), 4.39-4.33 (m, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 159.0, 158.8, 155.6, 153.5, 150.8, 138.8, 137.3, 134.0, 130.8 (2C), 130.5 (2C), 130.3, 130.1 (2C), 129.70, 129.68, 129.13 (2C), 129.07, 128.1, 127.9, 127.2 (2C), 127.0, 126.2, 125.5, 124.7, 124.0, 123.4, 123.1, 123.0, 122.7, 120.7, 119.9, 114.8 (2C), 114.3 (2C), 66.5, 66.4; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C41H29N4O2S, 641.2006; found, 641.2013.
【0035】
<実施例3>
(式(15)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、1.0mmol、0.0414g)のDMF懸濁液(1.0mL)に、2-(4-ヒドロキシフェニル)アントラキノン(0.10mmol、0.0299g)のDMF溶液(1.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、混合物にp-トルエンスルホン酸2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(31)、0.10mmol、0.0586g)のDMF溶液(1.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加え、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液を減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン=2:1)および分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン=4:1)により分離し、トルエンから再結晶することで2-(4-[2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エトキシ]フェニル)アントラセン-9,10-ジオン(式(15)、0.043g、収率60%)を黄色結晶として得た。当該反応式を下記式(36)に示す。
【0036】
【0037】
また、以下に式(15)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 231.6-232.3 ℃; IR (ATR): vmax 3066, 1671, 1592, 1480, 1307, 1245, 1180, 1068, 948, 830 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.51 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.37-8.32 (m, 3H), 7.99 (dd, J = 8.3, 2.0 Hz, 1H), 7.84-7.79 (m, 2H), 7.72-7.68 (m, 2H), 7.61-7.58 (m, 2H), 7.39-7.36 (m, 2H), 7.29-7.16 (m, 9H), 7.14-7.11 (m, 2H), 7.09-7.03 (m, 4H), 6.86-6.83 (m, 2H), 4.39-4.33 (m, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 183.3, 182.9, 159.4, 158.5, 146.7, 146.3, 138.1, 137.2, 134.5, 134.2, 134.0, 133.9, 133.7, 133.6, 131.73, 131.70, 131.6, 131.1 (2C), 130.7, 130.5, 130.4 (2C), 129.1 (2C), 128.55 (2C), 128.46 (2C), 128.3 (2C), 128.17, 128.13 (2C), 128.07, 127.9, 127.4 (2C), 127.25, 127.18, 126.5, 124.9, 123.7, 115.3 (2C), 114.2 (2C), 66.6, 66.3; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C49H35N2O4, 715.2591; found, 715.2581.
【0038】
<実施例4>
(式(19)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、0.91mmol、0.0395g)のDMF懸濁液(3.0mL)に、2-(4-ヒドロキシフェニル)アントラキノン(0.26mmol、0.0778g)のDMF溶液(3.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(33)、0.26mmol、0.151g)のDMF溶液(3.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加え、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をジクロロメタンで洗浄しながら吸引ろ過した。ろ物をトルエンから再結晶することで、2-(4-[2-{4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エトキシ]フェニル)アントラセン-9,10-ジオン(式(19)、0.0681g、収率37%)を黄色結晶として得た。当該反応式を下記式(37)に示す。
【0039】
【0040】
また、以下に式(19)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 245.8-246.6 ℃; IR (ATR): vmax 3055, 2932, 1678, 1593, 1522, 1450, 1292, 1248, 1179, 1070, 942, 833 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.87 (dd, J = 8.0, 0.9 Hz, 1H), 8.77 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.71 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.51 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.37-8.33 (m, 3H), 7.99 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.84-7.80 (m, 2H), 7.76-7.69 (m, 3H), 7.67-7.59 (m, 4H), 7.55-7.48 (m, 5H), 7.28-7.24 (m, 1H), 7.18 (dd, J = 8.3, 0.9 Hz, 1H), 7.10-7.07 (m, 2H), 6.90-6.87 (m, 2H), 4.41-4.35 (m, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 183.4, 182.9, 159.4, 159.0, 150.8, 146.3, 138.9, 137.3, 134.2, 134.0, 133.9, 133.7, 133.6, 131.8 (2C), 131.7, 130.9 (2C), 130.1 (2C), 129.7, 129.2 (2C), 129.1, 129.0, 128.6 (2C), 128.2, 128.1, 128.0, 127.3, 127.2 (2C), 126.2, 125.5, 124.9, 124.7, 124.1, 123.6, 123.09, 123.05, 122.7, 120.8, 115.3 (2C), 114.4 (2C), 66.6, 66.4; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C49H33N2O4, 713.2435; found, 713.2447.
【0041】
<実施例5>
(式(16)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、0.37mmol、0.0160g)のDMF懸濁液(1.0mL)に、フェノール(0.10mmol、0.0102g)のDMF溶液(1.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(31)、0.10mmol、0.0587g)のDMF溶液(1.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加えた後、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン)で分離することで、2-{4-(2-フェノキシエトキシ)フェニル}-1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール(式(16)、0.0097g、収率17%)を得た。当該反応式を下記式(38)に示す。
【0042】
【0043】
また、以下に式(16)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 186.9-187.4 ℃; IR (ATR): vmax 3065, 2914, 1600, 1496, 1483, 1236, 1188, 1065, 928, 838 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.60 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.37-7.34 (m, 2H), 7.29-7.16 (m, 11H), 7.12-7.10 (m, 2H), 7.04-7.01 (m, 2H), 6.97-6.92 (m, 3H), 6.82-6.79 (m, 2H), 4.27 (s, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 158.6, 158.5, 146.8, 138.0, 137.2, 134.5, 131.1 (2C), 130.7, 130.5, 130.3 (2C), 129.5 (2C), 129.0 (2C), 128.4 (2C), 128.3 (2C), 128.14, 128.10 (2C), 127.8, 127.3 (2C), 126.5, 123.5, 121.1, 114.6 (2C), 114.2 (2C), 66.4, 66.3; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C35H29N2O2, 509.2224; found, 509.2228.
【0044】
<実施例6>
(式(20)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、1.0mmol、0.0440g)のDMF懸濁液(3.0mL)に、フェノール(0.30mmol、0.0286g)のDMF溶液(3.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(33)、0.24mmol、0.143g)のDMF溶液(1.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加えた後、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン)で分離することで、2-{4-(2-フェノキシエトキシ)フェニル}-1-フェニル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(式(20)、0.113g、収率91%)を得た。当該反応式を下記式(39)に示す。
【0045】
【0046】
また、以下に式(20)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 224.0-224.5 ℃; IR (ATR): vmax 3053, 2935, 1609, 1598, 1497, 1453, 1388, 1240, 1180, 1061, 942, 842 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.87 (dd, J = 8.0, 1.1 Hz, 1H), 8.76 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.70 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.75-7.72 (m, 1H), 7.66-7.57 (m, 4H), 7.52-7.47 (m, 5H), 7.31-7.23 (m, 3H), 7.17-7.16 (m, 1H), 6.98-6.92 (m, 3H), 6.86-6.83 (m, 2H), 4.28 (s, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 159.0, 158.5, 150.9, 138.8, 137.3, 130.8 (2C), 130.1 (2C), 129.7, 129.5 (2C), 129.12 (2C), 129.08, 128.2, 127.9, 127.2, 126.2, 125.5, 124.7, 124.0, 123.4, 123.1, 123.0, 122.7, 121.1, 120.7, 114.6 (2C), 114.3 (2C), 66.4, 66.3; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C35H27N2O2, 507.2067; found, 507.2076.
【0047】
<実施例7>
(式(17)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、0.60mmol、0.0264g)のDMF懸濁液(2.0mL)に、1-ナフトール(0.40mmol、0.0572g)のDMF溶液(2.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(31)、0.20mmol、0.117g)のDMF溶液(2.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加えた後、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン)で分離することで、2-[4-{2-(ナフタレン-1-イルオキシ)エトキシ}フェニル]-1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール(式(17)、0.0487g、収率44%)を得た。当該反応式を下記式(40)に示す。
【0048】
【0049】
また、以下に式(17)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 201.0-201.6 ℃; IR (ATR): vmax 3049, 2932, 1577, 1496, 1482, 1444, 1398, 1271, 1253, 1237, 1187, 1103, 1076, 940, 837 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 8.26 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.62-7.59 (m, 2H), 7.49-7.43 (m, 3H), 7.39-7.343 (m, 3H), 7.29-7.17 (m, 9H), 7.13-7.11 (m, 2H), 7.05-7.02 (m, 2H), 6.86-6.83 (m, 3H), 4.46-4.40 (m, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 158.7, 154.3, 146.8, 138.0, 137.2, 134.50, 134.48, 131.1 (2C), 130.7, 130.5, 130.3 (2C), 129.0 (2C), 128.5 (2C), 128.3 (2C), 128.2, 128.1 (2C), 127.8, 127.4 (3C), 126.5, 126.4, 125.7, 125.6, 125.2, 123.5, 122.1, 120.7, 114.3 (2C), 105.0, 66.7, 66.5; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C39H31N2O2, 559.2380; found, 559.2390.
【0050】
<実施例8>
(式(21)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、0.60mmol、0.0320g)のDMF懸濁液(2.0mL)に、4-フェニルフェノール(0.20mmol、0.0338g)のDMF溶液(2.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(31)、0.20mmol、0.117g)のDMF溶液(2.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加えた後、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン)で分離することで、2-[4-{2-([1,1-ビフェニル]-4-イルオキシ)エトキシ}フェニル]-1,4,5-トリフェニル-1H-イミダゾール(式(21)、0.102g、収率86%)を得た。当該反応式を下記式(41)に示す。
【0051】
【0052】
また、以下に式(21)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 204.6-205.4 ℃; IR (ATR): vmax 3056, 2925, 1609, 1520, 1484, 1452, 1367, 1243, 1181, 1066, 930, 835 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.61-7.58 (m, 2H), 7.56-7.50 (m, 4H), 7.42-7.35 (m, 4H), 7.31-7.17 (m, 10H), 7.13-7.11 (m, 2H), 7.05-6.98 (m, 4H), 6.83-6.81 (m, 2H), 4.34-4.29 (m, 4H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 158.6, 158.1, 146.8, 140.7, 138.0, 137.2, 134.5, 134.2, 131.1 (2C), 130.7, 130.5, 130.3 (2C), 129.0 (2C), 128.7 (2C), 128.5 (2C), 128.3 (2C), 128.2 (3C), 128.1 (2C), 127.8, 127.4 (2C), 126.7 (3C), 126.5, 123.6, 114.9 (2C), 114.2 (2C), 66.5, 66.4; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C41H33N2O2, 585.2537; found, 585.2550.
【0053】
<実施例9>
(式(24)の組成物の合成)
アルゴン雰囲気下、乳鉢ですりつぶした炭酸カリウム(3.0mmol、0.414g)のDMF懸濁液(10mL)に、4-{1-(4-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル}フェノール(1.0mmol、0.389g)のDMF溶液(10mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、1,2-ビス(トシルオキシ)エタン(3.0mmol、1.11g)のDMF溶液(10mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液を減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/トルエン/酢酸エチル=5:5:1)によって分離することでp-トルエンスルホン酸2-[4-{1-(4-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル}フェノキシ]エチル(式(42)、0.491g、収率80%)を白色固体として得た。当該反応式を下記式(43)に示す。
次に、アルゴン雰囲気下、ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(55% in oil、1.0mmol、0.0436g)のDMF懸濁液(3.0mL)に、4-(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール-4-イル)フェノール(0.30mmol、0.0688g)のDMF溶液(3.0mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、p-トルエンスルホン酸2-{4-(1-(4-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル)フェノキシ}エチル(式(42)、0.30mmol、0.186g)のDMF溶液(3.0mL)を滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物に水を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。水層をクロロホルムで3回抽出した後、有機層を合わせて水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液にトルエンを加えた後、減圧下溶媒留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=20:1)および分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=10:1)により分離することで、4-{4-(2-[4-{1-(4-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール-2-イル}フェノキシ]エトキシ)フェニル}ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(式(24)、0.0459g、収率23%)を得た。当該反応式を下記式(44)に示す。
【0054】
【0055】
また、以下に式(24)の組成物の融点(M.p.)、赤外線吸収スペクトル(ATR法):IR(ATR)、1H NMRスペクトル、13C NMRスペクトル、精密質量分析(エレクトロスプレーイオン化法):HRMS-ESIの測定結果をそれぞれ示す。
M.p. 223.8-224.5 ℃; IR (ATR): vmax 3060, 2927, 1606, 1511, 1483, 1234, 1176, 1063, 935, 840 cm-1; 1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ (ppm) 7.98-7.94 (m, 1H), 7.91-7.89 (m, 2H), 7.68-7.63 (m, 2H), 7.60-7.58 (m, 2H), 7.42-7.38 (m, 2H), 7.26-7.08 (m, 10H), 6.98-6.94 (m, 2H), 6.87-6.84 (m, 2H), 6.78-6.75 (m, 2H), 4.40-4.33 (m, 4H), 3.77 (s, 3H); 13C NMR (126 MHz, CDCl3): δ (ppm) 159.0, 158.8, 158.5, 155.6, 153.5, 146.9, 137.9, 134.6, 134.0, 131.1 (2C), 130.9, 130.7, 130.5 (2C), 130.30 (2C), 130.27, 130.0, 129.7, 129.5 (2C), 128.3 (2C), 128.1 (2C), 127.8, 127.3 (2C), 127.0, 126.4, 123.7, 119.9, 114.8 (2C), 114.3 (2C), 114.2 (2C), 66.6, 66.4, 55.3; HRMS-ESI (m/z): [M + H]+ calcd for C42H33N4O3S, 673.2268; found, 673.2266.