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特開2024-174700箱体折畳装置、および、箱体折畳方法
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  • 特開-箱体折畳装置、および、箱体折畳方法 図1
  • 特開-箱体折畳装置、および、箱体折畳方法 図2
  • 特開-箱体折畳装置、および、箱体折畳方法 図3
  • 特開-箱体折畳装置、および、箱体折畳方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174700
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】箱体折畳装置、および、箱体折畳方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092674
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】514296663
【氏名又は名称】智頭電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】馬場園 龍史
(72)【発明者】
【氏名】熊本 豪紀
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058CA01
3E058DA04
3E058FA05
3E058FA20
(57)【要約】
【課題】組み立てられた状態の箱体を一定かつ見た目の良い形状に折り畳むことのできる箱体折畳装置を提供する。
【解決手段】箱体折畳装置10を、箱体Hの開閉面Oに対向する対向面が鉛直方向側面に位置するように配置された箱体Hの当該対向面を被吸着面Kとして吸着して箱体Hを横方向に移動させる吸着・移動装置12と、被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xを除く被吸着面Kのすべての縁端辺をカットするカット装置30と、カット装置30によるカット後、自重により被吸着面Kの鉛直方向下側縁端辺Xを中心にして下方に回動した箱体Hの天面開口Tから箱体H内に挿入される2本のロッド34を有する折り装置16とで構成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の開閉面に対向する対向面が鉛直方向側面に位置するように配置された前記箱体の前記対向面を被吸着面として吸着して前記箱体を横方向に移動させる吸着・移動装置と、
前記被吸着面における鉛直方向下側縁端辺を除く前記被吸着面のすべての縁端辺をカットするカット装置と、
前記カット装置によるカット後、自重により前記被吸着面の前記鉛直方向下側縁端辺を中心にして下方に回動した前記箱体の天面開口から前記箱体内に挿入される2本のロッドを有する折り装置とを備える
箱体折畳装置。
【請求項2】
箱体の開閉面に対向する対向面が鉛直方向側面に位置するように前記箱体を配置し、
前記対向面を被吸着面として吸着保持して前記箱体を横方向に移動させつつ、
前記被吸着面における鉛直方向下側縁端辺を除く前記被吸着面のすべての縁端辺をカットし、
カット後、自重により前記被吸着面の前記鉛直方向下側縁端辺を中心にして下方に回動した前記箱体の天面開口から前記箱体内に2本のロッドを挿入し、
横方向に移動される前記箱体の内側を前記ロッドで押すことで前記箱体を折り畳む
箱体折畳方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱に代表される箱体を折り畳むための箱体折畳装置、および、その箱体の折畳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在までに、物流、生活用品、食品、家電製品、家具等の梱包材料として、段ポール箱に代表される箱体が広く使用されている。
【0003】
これら箱体から収容物を取り出した後、当該箱体を折り畳む作業は意外に面倒であり、折り畳む箱体の数が多くなると大変な作業になる。
【0004】
このため、箱体を折り畳むための装置が従前より開発されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載の箱体折畳装置は、2基の搬送コンベヤを、箱体(段ボール箱)を搬入する搬入側が広く、箱体を搬出する搬出側が狭くなるように配置し、これら2基の搬送コンベヤの搬出端の下流に一対の圧縮・搬出ローラを配置し、さらに、2基の搬送コンベヤの搬出速度を異なる速度に設定している(特許文献1の図9および図10を参照)。
【0006】
これにより、2基の搬送コンベヤの搬入側に投入した箱体は、搬出側に引き込まれながら平坦な展開状態となって搬出側から出された後、圧縮・搬出ローラによってさらに圧縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2020/161931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された箱体折畳装置の場合、組み立てられた状態の箱体をそのまま2基の搬送コンベヤの間で潰してしまうので、折り畳まれた状態の箱体の形状が一定に定まらず、また、折り畳まれた状態の箱体の見た目が悪くなり、保管や運送時の必要容積も増えリサイクル業者が回収してくれないおそれがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、組み立てられた状態の箱体を一定かつ見た目の良い形状に折り畳むことのできる箱体折畳装置および箱体折畳方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従うと、
箱体の開閉面に対向する対向面が鉛直方向側面に位置するように配置された前記箱体の前記対向面を被吸着面として吸着して前記箱体を横方向に移動させる吸着・移動装置と、
前記被吸着面における鉛直方向下側縁端辺を除く前記被吸着面のすべての縁端辺をカットするカット装置と、
前記カット装置によるカット後、自重により前記被吸着面の前記鉛直方向下側縁端辺を中心にして下方に回動した前記箱体の天面開口から前記箱体内に挿入される2本のロッドを有する折り装置とを備える
箱体折畳装置が提供される。
【0011】
この発明の別の局面に従うと、
箱体の開閉面に対向する対向面が鉛直方向側面に位置するように前記箱体を配置し、
前記対向面を被吸着面として吸着保持して前記箱体を横方向に移動させつつ、
前記被吸着面における鉛直方向下側縁端辺を除く前記被吸着面のすべての縁端辺をカットし、
カット後、自重により前記被吸着面の前記鉛直方向下側縁端辺を中心にして下方に回動した前記箱体の天面開口から前記箱体内に2本のロッドを挿入し、
横方向に移動される前記箱体の内側を前記ロッドで押すことで前記箱体を折り畳む
箱体折畳方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、箱体の鉛直方向側面に位置する被吸着面における鉛直方向下側縁端辺を除く被吸着面のすべての縁端辺をカットした後、自重により被吸着面の鉛直方向下側縁端辺を中心にして下方に回動した箱体の天面開口から箱体内に2本のロッドを挿入し、横方向に移動される箱体の内側をロッドで押すことで箱体を折り畳むようになっているので、箱体を圧縮する等して押し潰す必要がないことから、組み立てられた状態の箱体を一定かつ見た目の良い形状に折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る吸着・移動装置12を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。また、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、箱体Hは、段ボール箱に限定されるものではなく、ボール紙箱等の他の種類の箱であってもよい。
【0015】
<本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成>
まず、本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成について、図1から図3を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成を示す平面図である。図3は、本実施形態に係る箱体折畳装置10の全体構成を示す斜視図である。
【0016】
本実施形態に係る箱体折畳装置10は、大略、装置架台11と、吸着・移動装置12と、カット装置14と、折り装置16とで構成されている。
【0017】
装置架台11は、箱体折畳装置10を構成する各装置を保持・収容するための架台であり、角パイプ材等の骨組みとパネル材等の壁材とで構成されている。また、装置架台11には、組み立てられた状態の箱体Hを箱体折畳装置10に投入するための投入口20と、折り畳まれた状態の箱体Hを箱体折畳装置10から排出するための排出口22とを有している。
【0018】
本実施形態に係る箱体折畳装置10では、箱体Hの開閉面Oに対向する対向面が鉛直方向側面に位置するようにして箱体Hが投入口20に投入されるようになっている。なお、この対向面が箱体Hの被吸着面Kとなる。
【0019】
吸着・移動装置12は、図4に示すように、大略、吸着具24と、吸着具ベース26と、移動機構28とを有している。
【0020】
吸着具24は、箱体Hの被吸着面Kに吸着することにより、箱体Hを保持する役割を有している。本実施形態に係る吸着具24は、圧縮空気による負圧を利用して吸着を行うタイプを使用しているが、吸着の方式はこれに限定されるものではなく、粘着式等ほかの方式であってもよい。
【0021】
吸着具ベース26は、吸着具24および当該吸着具24に吸着された箱体Hを横方向に移動させるための部材であり、移動機構28によって横方向に摺動するようになっている。
【0022】
移動機構28は、吸着具ベース26を横方向に摺動移動させるための機構であり、本実施形態では、モータとタイミングベルトを用いた駆動で吸着具ベース26を横方向に移動させるようになっている。
【0023】
カット装置14は、箱体Hの被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xを除く被吸着面Kのすべての縁端辺をカットする役割を有する装置であり、カット刃30と、カット刃上下動装置32とを有している。
【0024】
カット刃30は、箱体Hの上記縁短辺をカットするための刃物であり、カット刃上下動装置32によってカット刃30が最も下方に移動したときに当該カット刃30の下端が箱体Hの被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xよりも少しだけ上に位置するように配置されている。
【0025】
カット刃上下動装置32は、カット刃30の上端部に取り付けられており、カット刃30を所定の上下方向幅で上下動させる役割を有している。
【0026】
カット刃30がカット刃上下動装置32によって上下動しているところに、箱体Hが移動機構28によって横方向に摺動移動することにより、箱体Hの被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xを除く被吸着面Kのすべての縁端辺がカットされる。
【0027】
このように被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xを除く被吸着面Kのすべての縁端辺がカットされることで、箱体Hは自重により被吸着面Kの鉛直方向下側縁端辺Xを中心にして下方に回動し、その結果、箱体Hの天面(元々、被吸着面Kがあった面)には天面開口Tが形成される。さらに、この時点での天面に対向する底面は開閉面Oであり、当該開閉面Oを構成する箱体HのフラップPも下方に回動することから、箱体Hの底面にも底面開口Sが形成される。
【0028】
折り装置16は、移動機構28による箱体Hの移動方向から見て、カット装置14の次の位置に配置された装置であり、大略、上下方向に伸びる2本のロッド34と、これらロッド34を上下方向に伸縮させるロッド伸縮機構36とを有している。
【0029】
2本のロッド34は、ロッド伸縮機構36によって箱体Hの天面開口Tから当該箱体H内に挿入されるようになっている。ロッド34が箱体H内に挿入されたとき、当該ロッド34の下端は少なくとも箱体HのフラップPまで到達していればよい。さらには、ロッド34の下端がフラップPを越えて下方に突き出てもよい。ロッド34の下端が箱体HのフラップPまで到達することで、フラップPを下方向に回動させることができる。
【0030】
平面視におけるロッド34の位置は、できるだけ被吸着面Kに近い方がよい。これにより、ロッド34が箱体H内に挿入された状態で移動機構28が箱体Hを横方向に移動させると、ロッド34が箱体Hの内側面における被吸着面Kに近い側を外方に押圧していく。これにより、ロッド34に押されて箱体Hが折り畳まれる。
【0031】
箱体Hが折り畳まれる位置まで移動したとき、ロッド伸縮機構36が作動してロッド34を箱体H内から引き上げる。
【0032】
その後、移動機構28が折り畳まれた状態の箱体Hを装置架台11の排出口22近くまで移動させたとき、吸着具24による被吸着面Kの吸着を終了する。これにより、吸着具24から箱体Hが落下して当該箱体Hは排出口22から排出される。
【0033】
<本実施形態に係る箱体折畳装置10による箱体Hの折り畳み手順>
次に、上述した本実施形態に係る箱体折畳装置10を用いて箱体Hを折り畳む手順について簡単に説明する。
【0034】
最初に、箱体Hの開閉面Oに対向する対向面(被吸着面K)が鉛直方向側面に位置するようにして箱体Hを装置架台11の投入口20に投入する。
【0035】
然る後、吸着・移動装置12の吸着具24が箱体Hの被吸着面Kに吸着することにより、吸着・移動装置12が箱体Hを保持して横方向に摺動移動させていく。
【0036】
横方向に移動される箱体Hがカット装置14まで来ると、カット刃上下動装置32によって上下動するカット刃30によって箱体Hの被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xを除く被吸着面Kのすべての縁端辺がカットされる。
【0037】
すると、箱体Hは自重により被吸着面Kの鉛直方向下側縁端辺Xを中心にして下方に回動し、その結果、箱体Hの天面(元々、被吸着面Kがあった面)には天面開口Tが形成される。さらに、この時点での天面に対向する底面は開閉面Oである。
【0038】
次に、横方向に移動される箱体Hが折り装置16まで来ると、折り装置16における2本のロッド34が、ロッド伸縮機構36によって箱体Hの天面開口Tから当該箱体H内に挿入される。
【0039】
ロッド34の下端が箱体HのフラップPまで到達することで、フラップPを下方向に回動させることができる。このように、当該開閉面Oを構成する箱体HのフラップPも下方に回動することから、箱体Hの底面にも底面開口Sが形成される。
【0040】
ロッド34が箱体H内に挿入された状態で箱体Hがさらに横方向に移動していくと、ロッド34が箱体Hの内側面における被吸着面Kに近い側を外方に押圧していくことにより、当該ロッド34に押されて箱体Hが折り畳まれる。
【0041】
箱体Hがロッド34によって折り畳まれる位置まで移動すると、ロッド伸縮機構36が作動してロッド34が箱体H内から引き上げられる。
【0042】
その後、移動機構28が折り畳まれた状態の箱体Hを装置架台11の排出口22近くまで移動させたとき、吸着具24による被吸着面Kの吸着を終了する。これにより、吸着具24から箱体Hが落下して当該箱体Hは排出口22から排出される。
【0043】
<本実施形態に係る箱体折畳装置10の特徴>
本実施形態に係る箱体折畳装置10によれば、箱体Hの鉛直方向側面に位置する被吸着面Kにおける鉛直方向下側縁端辺Xを除く被吸着面Kのすべての縁端辺をカットした後、自重により被吸着面Kの鉛直方向下側縁端辺Xを中心にして下方に回動した箱体Hの天面開口Tから箱体H内に2本のロッド34を挿入し、横方向に移動される箱体Hの内側をロッド34で押すことで箱体Hを折り畳むようになっているので、箱体Hを圧縮する等して押し潰す必要がないことから、組み立てられた状態の箱体Hを一定かつ見た目の良い形状に折り畳むことができる。
【0044】
(変形例1)
上述した実施形態に係る箱体折畳装置10では、折り装置16において2本のロッド34を使用していたが、ロッド34の数はこれに限定されるものではない。ただし、ロッド34の下端で箱体HのフラップPを下方に回動させるので、ロッド34の本数は少なくとも2本以上であるのが好適である。
【0045】
(変形例2)
また、ロッド34の形状は、円柱状に限られず、丸パイプ状であってもよいし、角柱あるいは角パイプ状であってもよく、サイズも特に限定されない。また、箱体Hがロッド34によって箱体Hを折り畳んだ後で、ロッド伸縮機構36が作動して2本のロッド34を箱体H内から引き上げられるのであれば、2本のロッド34の下端同士を繋げるようにしてもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
10…箱体折畳装置、11…装置架台、12…吸着・移動装置、14…カット装置、16…折り装置
20…投入口、22…排出口、24…吸着具、26…吸着具ベース、28…移動機構、30…カット刃、32…カット刃上下動装置、34…ロッド、36…ロッド伸縮機構
H…箱体、O…(箱体Hの)開閉面、K…(箱体Hの)被吸着面、X…(箱体Hの)鉛直方向下側縁端辺、T…天面開口、P…フラップ、S…(箱体Hの)底面開口
図1
図2
図3
図4