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特開2024-174703画像生成システム、画像生成システムの制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174703
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像生成システム、画像生成システムの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/182 20190101AFI20241210BHJP
【FI】
G06F16/182 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092679
(22)【出願日】2023-06-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 晋吾
(57)【要約】
【課題】処理の応答性が低下することを抑制する。
【解決手段】Webページの描画結果を通信装置へ提供する画像生成システムであって、前記Webページを介したファイルのダウンロード指示を前記通信装置から受信する受信手段と、前記ファイルのファイルサイズの情報を取得する取得手段と、前記ファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを制御する制御手段とを備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webページの描画結果を通信装置へ提供する画像生成システムであって、
前記Webページを介したファイルのダウンロード指示を前記通信装置から受信する受信手段と、
前記ファイルのファイルサイズの情報を取得する取得手段と、
前記ファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像生成システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ファイルサイズが前記画像生成システムの空き容量以下である場合に、前記ファイルのダウンロードを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項3】
ダウンロードされた前記ファイルをストレージサービスに保存する保存手段と、
ダウンロードされた前記ファイルの保存先URLを前記通信装置へ通知する通知手段と、
前記通知手段による通知後に前記ファイルを前記画像生成システムから削除する削除手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の画像生成システム。
【請求項4】
前記ストレージサービスを介して、前記通信装置へ、ダウンロードされた前記ファイルを送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の画像生成システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ファイルサイズが前記画像生成システムの空き容量よりも大きい場合は、前記ファイルのダウンロードを実行しないことを特徴とする請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項6】
前記ファイルをダウンロードすることができないことを前記通信装置へ通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の画像生成システム。
【請求項7】
前記通知手段は、ダウンロード対象のファイル単体のファイルサイズが、データ利用可能量の上限値よりも大きい場合に、前記ファイルをダウンロードすることができないことを通知することを特徴とする請求項6に記載の画像生成システム。
【請求項8】
前記制御手段は、他のファイルをダウンロード中である場合、前記ファイルサイズと、当該ダウンロード中の前記他のファイルのファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを実行するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項9】
前記他のファイルのダウンロード中に前記ファイルのダウンロードを実行しないと判定された場合に、前記ファイルのダウンロードが遅延することを前記通信装置へ通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の画像生成システム。
【請求項10】
前記画像生成システムは仮想マシンを備え、
前記仮想マシンが、前記受信手段、前記取得手段、及び前記制御手段の処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項11】
前記空き容量は、前記仮想マシンのデータ利用可能量の上限値であることを特徴とする請求項10に記載の画像生成システム。
【請求項12】
前記取得手段は、前記Webページを管理するWebサーバへ問い合わせを行うことにより、前記ファイルサイズの情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項13】
Webページの描画結果を生成するブラウザエンジンをさらに備え、
前記制御手段は、前記ブラウザエンジンから、前記ファイルのダウンロード完了通知とともに、描画完了通知を受け取っているか否かを確認することにより描画更新が行われたか否かを判定し、
前記画像生成システムは、
前記描画更新が行われたことを示す識別情報と、描画結果にアクセスするための描画結果URLと、ダウンロードしたファイルの保存先URLとを前記通信装置へ通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項14】
Webページの描画結果を通信装置へ提供する画像生成システムの制御方法であって、
前記Webページを介したファイルのダウンロード指示を前記通信装置から受信する受信工程と、
前記ファイルのファイルサイズの情報を取得する取得工程と、
前記ファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを制御する制御工程と、
を有することを特徴とする画像生成システムの制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1乃至13の何れか1項に記載の画像生成システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成システム、画像生成システムの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、Webブラウザ(以下、ブラウザ)を搭載し、そのブラウザ上で、HTML文書で構成されたWebページを閲覧可能な通信装置が普及している。ブラウザを通して外部サーバ上で稼働する外部サービスのWebページを表示することにより、通信装置が外部サービスと連携できるようになる。
【0003】
ところで、ブラウザの形態として、クラウドサーバ上でWebページの描画結果を生成するクラウドブラウザと呼ばれる形態がある。Webページの解析処理や実行処理といった計算負荷の高い処理をサーバ上で実行することにより、通信装置の計算負荷が軽減される。
【0004】
クラウドブラウザでは、Webページの解析処理や描画結果を生成する処理を行うブラウザエンジンが、クラウドサーバ上で稼働する仮想マシン上に配置される。クラウドサーバ上に配置されたブラウザエンジンでWebページをレンダリングして描画した結果を画像にし、レンダリング結果の画像データを通信装置へ提供し、通信装置で画像データを表示することでWebページを閲覧することができる。
【0005】
また、通信装置の入力情報(キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力イベント)をクラウドサーバに送信し、クラウドサーバで動作するブラウザエンジンに渡せば、ブラウザの操作も可能になる。従って、あたかも通信装置上でブラウザが動いているように見せることができる。仮想マシンには、PCに必要とされる様々な機器リソースが仮想的に割り当てられる。このため、仮想マシン上で稼働するブラウザエンジンは、PC上で稼働する場合と同様に動作することができる。
【0006】
そして、ブラウザが実施する処理には、ユーザが外部サービス上に保管しているファイルをダウンロードするための標準仕様も含まれる。Webページにファイルをダウンロードするためのリンクがあり、ユーザがそのリンクを押下した場合、ダウンロード指示が通知され、外部サービスから取得したファイルが仮想マシンに一旦保存される。そして、仮想マシンに保存されたファイルが、最終的に通信装置側に渡ることで、一連のファイルをダウンロードする処理が完結する。
【0007】
特許文献1は、配信制御システム2のブラウザ20が、ウェブサーバ8から画像(音)データとしてのウェブコンテンツデータを取得してレンダリングすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-063247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載の技術では、クラウドブラウザ機能を有する仮想マシンの空き容量が少ない場合、外部サービスから複数のファイルを連続でダウンロードする際、並行してダウンロードすることができず、処理の応答性が低下するという課題がある。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、処理の応答性が低下することを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成する本発明の一態様による
Webページの描画結果を通信装置へ提供する画像生成システムであって、
前記Webページを介したファイルのダウンロード指示を前記通信装置から受信する受信手段と、
前記ファイルのファイルサイズの情報を取得する取得手段と、
前記ファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像生成システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、処理の応答性が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態における情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態における仮想マシンのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図4】一実施形態におけるクラウドブラウザの表示例を示す図である。
図5】一実施形態における処理をプログラムで実装した例を示す図である。
図6】一実施形態におけるプロトコルのレスポンスの例を示す図である。
図7】実施形態2における処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態3における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
(実施形態1)
本実施形態では、ファイルをダウンロードできるWebページにアクセスした通信装置から、ファイルのダウンロード指示を受信した場合に、ファイルのダウンロード元(外部のWebサーバ)に当該ファイルのファイルサイズを問い合わせる。そして、画像生成システム(仮想マシン)の空き容量に応じてダウンロードの実行可否を制御する。
【0016】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成図である。情報処理システム100は、通信装置101と画像生成システム103とを備えている。ユーザは通信装置101の画面を閲覧及び、操作する。通信装置101は例えばプリンタであり、画像生成システム103とネットワークで繋がっている。通信装置101は、操作情報を画像生成システム103へ送信したり、描画結果の画像取得要求を画像生成システム103へ送信したりする。本実施形態におけるネットワークは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、およびLAN(Local Area Network)、等の複合であってもよい。また、通信装置は複数存在してもよい。
【0017】
Webサーバ102は、画像生成システム103とネットワークで繋がっている。Webサーバ102は、URLで指定された外部サービスのWebページや、Webページ上からリンクされたファイル等を保持する。画像生成システム103は、仮想マシン104及びストレージサービス107を備えている。仮想マシン104は、通信装置連携モジュール105及びブラウザエンジン106を備えている。
【0018】
ここで、通信装置101でWebページが表示されるまでのクラウドブラウザの基本的な処理を説明する。ユーザが通信装置101上でURLを入力すると、画像生成システム103の通信装置連携モジュール105にURL情報が渡される。通信装置連携モジュール105は、ブラウザエンジン106にURLで指定されたWebページの取得及び解析、描画結果の画像生成を要求する。ブラウザエンジン106は、外部サービスを公開しているWebサーバ102にアクセスし、URLで指定されたWebページを取得、解析する。
【0019】
そして、ブラウザエンジン106は、描画結果の画像を生成し、描画結果の画像の生成が完了したことを、通信装置連携モジュール105に通知する。通信装置連携モジュール105は、ブラウザエンジン106から描画結果の画像の生成完了通知を受け取ると、描画結果の画像をブラウザエンジン106から取得し、ネットワークで繋がっているストレージサービス107に保存する。そして、通信装置連携モジュール105は、通信装置101に描画結果の画像の保存が完了したことを通知する。通信装置101は、通信装置連携モジュール105から描画結果の画像の保存完了通知を受け取ると、ストレージサービス107に描画結果の画像の取得を要求し、取得した描画結果の画像を表示する。
【0020】
続いて、通信装置101で取得した描画結果の画像に外部サービスのファイルをダウンロードするためのリンクがWebページ内にあり、ユーザが通信装置上でリンク部分を押下した場合の処理を説明する。
【0021】
ユーザが通信装置101上でリンク部分を押下すると、通信装置101から押下した部分の座標が通信装置連携モジュール105に送信される。通信装置連携モジュール105は、受信した座標を、ブラウザエンジン106に通知する。ブラウザエンジン106は、通知された座標に対する押下の処理を実行し、押下されたリンクの情報であるURLを使って、Webサーバ102に接続し、ファイルをダウンロードし、仮想マシン104に一旦保存する。
【0022】
ブラウザエンジン106は、ダウンロードが完了したら、通信装置連携モジュール105にダウンロードが完了したことを通知する。通信装置連携モジュール105は、ダウンロードされたファイルをストレージサービス107に保存し、ストレージサービス107上に保存されたファイルへアクセスするためのURLを生成し、そのURLを通信装置101へ送信する。通信装置101は、ファイルへアクセスするための受信されたURLを使用して、ストレージサービス107からファイルをダウンロードすることができる。
【0023】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態における仮想マシン104のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。仮想マシン104は、主な構成要素として、装置全体の制御を司るコントローラ部201、インターフェース装置202、及びハードディスク203を備えている。コントローラ部201は、CPU204、ROM205、及びRAM206等を備える。
【0024】
CPU204は、仮想マシン104における各処理部の処理を実行する。ROM205には、CPU204が実行する各種プログラムや、プログラムが必要とするデータ等が記憶されている。また、一部のプログラムやデータは、外部記憶装置であるハードディスク203にあらかじめ格納しておき、RAM206に読み出して実行する。
【0025】
通信装置101から送られてくる座標を押下してファイルをダウンロードする処理や、ダウンロードしたファイルをストレージサービス107に保存するか否か等を制御する処理を実行するプログラムは、ROM205やハードディスク203に保存される。そして、CPU204にて処理が実行される。RAM206は、仮想マシン104における各処理部の作業領域であり、プログラム実行中に使用するデータを一時的に記憶する。
【0026】
インターフェース装置202は、仮想マシン104をネットワークなどに接続するインターフェースである。仮想マシン104は、インターフェース装置202を介して、通信装置101、Webサーバ102、ストレージサービス107と接続し、データの送受信を行うことができる。
【0027】
<処理>
次に、図3に示すフローチャートを参照して、クラウドサーバ上にある仮想マシン104の通信装置連携モジュール105が実行する本実施形態の全体の処理の流れについて説明する。なお、以降で説明する各フローチャートの処理は、CPU204が、ROM205に格納されたプログラムを、RAM206に読み出して実行することにより実現される。以下、フローチャートの各工程(ステップ)は、それら符号の先頭にはSを付与して説明する。
【0028】
S301では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101から通知されたWebページのURLを読み込む。このとき、画像生成システム103は、通信装置101に描画結果(Webページに対応する画像データ)を送信する。
【0029】
S302では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101から通知されたユーザの操作指示を受信する。ユーザの操作指示には、端末画面を指で触る"タップ"や、通信装置に装備されたキーボードを押下する"キー入力"といった操作の属性を示す情報が含まれる。また、ユーザが画面上で触った場所を示すx、y座標や、ユーザが押下したキーの値といった操作の属性ごとに付属される情報が含まれる。
【0030】
S303では、通信装置連携モジュール105は、ユーザが押下した要素が、ファイルダウンロード要素であるか否かを判定する。ファイルダウンロード要素である場合(S303でYES)には、S304へ進む。一方、ファイルダウンロード要素ではない場合(S303でNO)には、S316へ進む。
【0031】
ここで、ファイルダウンロード要素は<a href=[URL] download>という記述(以下、ファイルダウンロード要素)で実現される。ここで、図4を参照して、Web標準仕様に基づいたファイルダウンロード要素について説明する。図4の401は、通信装置101上で表示されるブラウザの一例であり、ファイルダウンロード要素を含んだWebページが表示されている。図4において、ファイルダウンロード要素は「Sample-data1」と表示されたリンク402である。リンク402は、図4の403に示す記述(「<a href="Sample-data1.txt" download>Sample-data1</a>」)で実現される。
【0032】
続いて、図5を参照して、S303の処理の判定方法の詳細を説明する。図5は、ファイルダウンロード要素を判定するJavaScriptプログラムの一例である。「document.getElementFromPoint(x,y);」は、x、y座標の要素を抽出する関数である。これにより、ユーザがタップした位置(x,y)に存在する要素が分かる。また「element.tagName;」は要素名を示す。「element.hasAttribute("download")」は、対象とするelementに、download属性が付与されているか確認する。
【0033】
例えば、要素名が"a"であり、かつ、download属性が付与されている場合に、JavaScriptプログラムは、ダウンロード処理が行われることを示す情報を返すことができる。このJavaScriptプログラムは、例えば、通信装置連携モジュール105が、ブラウザエンジン106に対して渡すことができ、ブラウザエンジン106で、このJavaScriptプログラムが実行される。そして、ブラウザエンジン106は、このJavaScriptプログラムで実行された結果を通信装置連携モジュール105に返すことができる。本実施形態では、要素名が"a"であり、かつ、download属性が付与されている場合に、ユーザが押下した要素がファイルダウンロード要素であると判定する。尚、ここで説明した判定処理は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0034】
S304では、通信装置連携モジュール105は、仮想マシン104の空き容量の情報を取得する。S305では、通信装置連携モジュール105は、ダウンロード対象のファイルへアクセスするためのURLを使用して、Webページを管理するWebサーバ102にアクセスし、ダウンロード対象のファイルサイズの情報を取得する。本実施形態では、S305において、HTTPプロトコルのHEADメソッドを利用する。HTTPプロトコルのHEADメソッドでは、対象ファイルの情報が格納されたHEADデータのみ取得して、対象ファイルのデータに相当するBODYデータは取得しない。
【0035】
ここで、HEADデータの例を図6に示す。図6では「Content-length: 3274014」と表示されている。Content-lengthは、対象ファイルのサイズを示す値である。ここから、図6では、対象のファイルのサイズは3274014バイトと分かる。尚、ここで説明したサイズ取得処理は一例であり、これに限定されるものではない。
【0036】
S306では、通信装置連携モジュール105は、既にダウンロード中のファイルが他にあるか否かを判定する。他のファイルをダウンロード中である場合(S306でYES)には、S307へ進む。一方、他のファイルをダウンロード中ではない場合(S306でNO)には、S308へ進む。
【0037】
S307では、通信装置連携モジュール105は、ダウンロード中のファイルの全体のファイルサイズを取得する。ダウンロード中のファイルサイズについては、例えば、S305で取得した際にファイルへアクセスするためのURLとファイルサイズとを関連付けて管理しておくことで、後から参照できるようにする。
【0038】
S308では、通信装置連携モジュール105は、ダウンロード対象のファイルを取得できるか否かを判定する。ダウンロード可能である場合(S308でYES)には、S309へ進む。一方、ダウンロード可能ではない場合(S308でNO)には、S314へ進む。
【0039】
ここで、S308でのダウンロード対象のファイルをダウンロードできるか否かの判定方法について説明する。S306でYESと判断された場合、ダウンロード対象のファイルのファイルサイズと、既にダウンロード中のファイルのファイルサイズとの合計値が、S304で取得した仮想マシン104の空き容量以下であれば、ダウンロード可能であると判定する。例えば、ダウンロード対象のファイルのファイルサイズが2MBであり、既にダウンロード中のファイルのファイルサイズが4MBであり、仮想マシン104の空き容量が5MBであった場合、6MB>5MBとなり、ダウンロードはできないと判定する。
【0040】
なお、S306でNOと判定された場合は、ダウンロード対象のファイルのファイルサイズが、S304で取得した仮想マシン104の空き容量以下であれば、ダウンロード可能であると判定する。
【0041】
S309では、通信装置連携モジュール105は、S302で受信した操作指示をブラウザエンジン106に通知する。これにより、ブラウザエンジン106は、Web標準仕様に従ってファイルのダウンロードを実行する。なお、通信装置連携モジュール105は、ブラウザエンジン106がWebサーバ102にアクセスしてダウンロードしたファイルを保存するための仮想マシン104の保存場所を示すファイルパスも、ブラウザエンジン106へ通知しておく。これにより、ブラウザエンジン106は、通知されたファイルパスが指し示す保存場所にダウンロードしたファイルを保存することができる。
【0042】
S310では、通信装置連携モジュール105は、ブラウザエンジン106からファイルのダウンロード完了通知を受け取る。S311では、通信装置連携モジュール105は、ブラウザエンジン106がダウンロードしたファイルを、ストレージサービス107へ送信する。通信装置連携モジュール105は、同時に、送信したファイルにアクセスするための保存先URLを、ストレージサービス107に生成するように指示を出す。
【0043】
S312では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101に、S311で生成した保存先URLの情報を通知する。この通知後、S313では、通信装置連携モジュール105は、S309でダウンロードされて仮想マシン104に保存されたファイルを削除する。
【0044】
S314では、通信装置連携モジュール105は、ダウンロード対象のファイル自体のサイズが、仮想マシン104にファイルを保存できるデータ利用可能量の上限値よりも大きいか否かを判定する。ダウンロード対象のファイル自体のサイズが上限値以上である場合(S314でYES)には、S315へ進む。一方、ダウンロード対象のファイル自体のサイズが上限値未満である場合(S314でNO)には、S308に戻る。
【0045】
S315では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101に、ダウンロード対象のファイルはダウンロードできないことを示す情報を通知する。S316では、通信装置連携モジュール105は、S302で受信した操作指示をブラウザエンジン106に通知する。これに応じて、ブラウザエンジン106は、Web標準仕様に従って、操作指示に対応する処理を行う。
【0046】
S317では、通信装置連携モジュール105は、S316でブラウザエンジン106により行われた処理結果を反映したことを示す描画完了通知、及び描画結果をブラウザエンジン106から受け取る。S318では、通信装置連携モジュール105は、ストレージサービス107へ描画結果の画像を送信する。通信装置連携モジュール105は、同時に、送信した描画結果の画像にアクセスするための描画結果URLを、ストレージサービス107に生成するように指示を出す。
【0047】
S319では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101に、S318で生成した描画結果URLを通知する。S320で、通信装置連携モジュール105は、Webページの閲覧が終了したか否かを判定する。Webページの閲覧が終了した場合(S320でYES)には、本実施形態の一連の処理を終了する。一方、Webページの閲覧が終了していない場合(S320でNO)には、S302に戻る。
【0048】
以上の処理を行うことで、仮想マシン104の空き容量の上限に到達しないようにダウンロード処理を制御でき、可能な限り複数のファイルを並行してダウンロードすることが可能となる。また、複数のファイルを並行してダウンロード中に、追加でダウンロードする場合であって、且つ、仮想マシン104の空き容量の上限に達する場合は、追加でダウンロードするファイルは、他のダウンロードが完了するまで待機状態となる。そして、他のダウンロードされたファイルが仮想マシン104から削除され、仮想マシン104の空き容量が増えて、ダウンロード可能になったら、追加のダウンロードを開始することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、仮想マシンの空き容量に基づいて、外部サービスからのファイルダウンロード処理を制御することで、処理の応答性を可能な限り維持することができる。
【0050】
(実施形態2)
本実施形態では、実施形態1において、ダウンロード対象のファイル単体のサイズが、データ利用可能量の上限値未満である場合の処理について説明する。なお、本実施形態において、実施形態1の処理と重複する部分の説明は省略する。システム構成は、実施形態1と同様である。
【0051】
<処理>
図7は、本実施形態に係るクラウドサーバ上にある仮想マシン104の通信装置連携モジュール105が主に実施する処理の流れを示したフローチャートである。なお、図7は、図3のフローチャートの一部を利用して記述したものであり、処理が重複する部分については説明を省略する。図7のフローチャートは、図3のフローチャートに対してS314でNOと判定された後の処理が異なっている。
【0052】
S701では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101に、S302から受信した操作指示に応じてダウンロード対象となるファイルのダウンロードが遅延する旨を通知する。例えば、通信装置連携モジュール105は、先行して複数のファイルをダウンロード中であるため、先行してダウンロード中のファイルのダウンロードが完了し、仮想マシン104の空き容量が増えたら、ダウンロードを開始することを示す情報等を通知する。通知する際の理由などに応じた識別情報などは、事前にクラウドブラウザの仕様として取り決めておいてもよい。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、ダウンロードの状況として、遅延が発生することを通信装置101に通知することが可能となる。
【0054】
(実施形態3)
本実施形態では、実施形態1及び実施形態2において、ファイルのダウンロード時に描画結果の更新も行われる場合の処理について説明する。なお、本実施形態において、実施形態1及び2の処理と重複する部分の説明は省略する。システム構成は、実施形態1と同様である。
【0055】
<処理>
図8は、本実施形態に係るクラウドサーバ上にある仮想マシン104の通信装置連携モジュール105が主に実施する処理の流れを示したフローチャートである。なお、図8は、図3及び図7のフローチャートの一部を利用して記述したものであり、処理が重複する部分については説明を省略する。図8のフローチャートは、図3及び図7のフローチャートに対して、S311の後段の処理が異なっている。
【0056】
S801では、通信装置連携モジュール105は、ブラウザエンジン106から、S310において、ファイルのダウンロード完了通知と合わせて、描画完了通知も受け取っているか否かを確認し、描画更新が行われたか否かを判定する。描画完了通知を受け取っており描画更新が行われたと判定された場合(ステップS801でYES)には、ステップS802へ進む。一方、描画完了通知は受け取っておらず描画更新が行われていないと判定された場合(ステップS801でNO)には、ステップS312へ進む。
【0057】
S802では、通信装置連携モジュール105は、通信装置101に、描画更新が行われたことを示す識別情報と、描画結果にアクセスするための描画結果URLと、ダウンロードしたファイルの保存先URLとを通知する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信装置101は、外部サービスのファイルをダウンロードするためのリンクをユーザが押下した場合に、ダウンロードしたファイルを取得できるだけでなく、描画結果を表示することが可能となる。そのため、例えば、外部サービスのファイルをダウンロードするためのリンクの横に、「ダウンロード済み」という文字がダウンロード後に更新表示されるようなWebページであれば、その文字を含んだ描画結果を取得して表示することができる。
【0059】
本明細書の開示は、以下の画像生成システム、画像生成システムの制御方法及びプログラムを含む。
【0060】
(項目1)
Webページの描画結果を通信装置へ提供する画像生成システムであって、
前記Webページを介したファイルのダウンロード指示を前記通信装置から受信する受信手段と、
前記ファイルのファイルサイズの情報を取得する取得手段と、
前記ファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像生成システム。
【0061】
(項目2)
前記制御手段は、前記ファイルサイズが前記画像生成システムの空き容量以下である場合に、前記ファイルのダウンロードを実行することを特徴とする項目1に記載の画像生成システム。
【0062】
(項目3)
ダウンロードされた前記ファイルをストレージサービスに保存する保存手段と、
ダウンロードされた前記ファイルの保存先URLを前記通信装置へ通知する通知手段と、
前記通知手段による通知後に前記ファイルを前記画像生成システムから削除する削除手段と、
をさらに備えることを特徴とする項目1又は2に記載の画像生成システム。
【0063】
(項目4)
前記ストレージサービスを介して、前記通信装置へ、ダウンロードされた前記ファイルを送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする項目3に記載の画像生成システム。
【0064】
(項目5)
前記制御手段は、前記ファイルサイズが前記画像生成システムの空き容量よりも大きい場合は、前記ファイルのダウンロードを実行しないことを特徴とする項目1から4のいずれか1項目に記載の画像生成システム。
【0065】
(項目6)
前記ファイルをダウンロードすることができないことを前記通信装置へ通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする項目5に記載の画像生成システム。
【0066】
(項目7)
前記通知手段は、ダウンロード対象のファイル単体のファイルサイズが、データ利用可能量の上限値よりも大きい場合に、前記ファイルをダウンロードすることができないことを通知することを特徴とする項目6に記載の画像生成システム。
【0067】
(項目8)
前記制御手段は、他のファイルをダウンロード中である場合、前記ファイルサイズと、当該ダウンロード中の前記他のファイルのファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを実行するか否かを判定することを特徴とする項目1から7のいずれか1項目に記載の画像生成システム。
【0068】
(項目9)
前記他のファイルのダウンロード中に前記ファイルのダウンロードを実行しないと判定された場合に、前記ファイルのダウンロードが遅延することを前記通信装置へ通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする項目8に記載の画像生成システム。
【0069】
(項目10)
前記画像生成システムは仮想マシンを備え、
前記仮想マシンが、前記受信手段、前記取得手段、及び前記制御手段の処理を実行することを特徴とする項目1から9のいずれか1項目に記載の画像生成システム。
【0070】
(項目11)
前記空き容量は、前記仮想マシンのデータ利用可能量の上限値であることを特徴とする項目10に記載の画像生成システム。
【0071】
(項目12)
前記取得手段は、前記Webページを管理するWebサーバへ問い合わせを行うことにより、前記ファイルサイズの情報を取得することを特徴とする項目1から11のいずれか1項目に記載の画像生成システム。
【0072】
(項目13)
Webページの描画結果を生成するブラウザエンジンをさらに備え、
前記制御手段は、前記ブラウザエンジンから、前記ファイルのダウンロード完了通知とともに、描画完了通知を受け取っているか否かを確認することにより描画更新が行われたか否かを判定し、
前記画像生成システムは、
前記描画更新が行われたことを示す識別情報と、描画結果にアクセスするための描画結果URLと、ダウンロードしたファイルの保存先URLとを前記通信装置へ通知する通知手段をさらに備えることを特徴とする項目1から12のいずれか1項目に記載の画像生成システム。
【0073】
(項目14)
Webページの描画結果を通信装置へ提供する画像生成システムの制御方法であって、
前記Webページを介したファイルのダウンロード指示を前記通信装置から受信する受信工程と、
前記ファイルのファイルサイズの情報を取得する取得工程と、
前記ファイルサイズと、前記画像生成システムの空き容量とに基づいて、前記ファイルのダウンロードを制御する制御工程と、
を有することを特徴とする画像生成システムの制御方法。
【0074】
(項目15)
コンピュータを、項目1乃至13の何れか1項目に記載の画像生成システムとして機能させるためのプログラム。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0076】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0077】
100:情報処理システム、101:通信装置、102:Webサーバ、103:画像生成システム、104:仮想マシン、105:通信装置連携モジュール、106:ブラウザエンジン、107:ストレージサービス、201:コントローラ部、202:インターフェース装置、203:ハードディスク、204:CPU、205:ROM、206:RAM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8