(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174706
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】生体埋込型紫外線照射デバイスおよび生体埋込型紫外線照射システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092686
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】523209771
【氏名又は名称】稲田 シュンコ アルバーノ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】稲田 シュンコ アルバーノ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA03
4C082PC10
4C082PE10
4C082PJ30
(57)【要約】
【課題】低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える生体埋込型紫外線照射デバイスを提供する。
【解決手段】この生体埋込型紫外線照射デバイス1は、無線給電を受けるための受電コイル2と、前記受電コイル2が生じた電力により紫外線を発光する紫外線発光素子6と、前記受電コイル2および前記紫外線発光素子6を前記紫外線発光素子6が発する紫外線を外部へ放出可能な状態で保持するハウジング10とを具備し、前記紫外線発光素子6は、300nm~400nmの間に発光波長のピークを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線給電を受けるための受電コイルと、前記受電コイルが生じた電力により紫外線を発光する紫外線発光素子と、前記受電コイルおよび前記紫外線発光素子を前記紫外線発光素子が発する紫外線を外部へ放出可能な状態で保持するハウジングとを具備し、前記紫外線発光素子は、300nm~400nmの間に発光波長のピークを有することを特徴とする生体埋込型紫外線照射デバイス。
【請求項2】
前記紫外線発光素子は、330nm~395nmの間に発光波長のピークを有する発光ダイオードであり、癌細胞にアポトーシスを生じさせるために使用されることを特徴とする請求項1記載の生体埋込型紫外線照射デバイス。
【請求項3】
前記ハウジングは、アモルファスフッ素樹脂で形成され両端が封止された筒形状をなし、前記ハウジングの外径は2.9mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の生体埋込型紫外線照射デバイス。
【請求項4】
前記ハウジング内には、前記受電コイルからの交流電流を受けて、前記紫外線発光素子を点灯可能な順方向電圧範囲の直流電流または直流パルス電流を前記紫外線発光素子へ供給する制御回路が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の生体埋込型紫外線照射デバイス。
【請求項5】
請求項1または2記載の生体埋込型紫外線照射デバイスと、前記受電コイルへ体外から無線給電するための無線給電装置とを備え、前記無線給電装置は、電磁誘導方式、磁界共鳴型電磁誘導方式、および電磁波方式のいずれかの給電方式であることを特徴とする生体埋込型紫外線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の治療に用いることができる生体埋込型の紫外線照射デバイスおよびそれを用いた生体埋込型紫外線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
癌の発生率および死亡率は現在でも増加傾向にある。死亡率が高い癌の種類としては、肺癌、乳癌、肝臓癌、大腸癌、胃癌、白血病などが挙げられ、医療技術のさらなる発展が求められている。癌の治療方法としては主に、抗癌剤を用いた化学療法、電磁波や粒子線を用いた放射線療法、開腹手術、内視鏡手術、腹腔鏡手術等の外科手術、造血幹細胞移植や骨髄移植等の移植手術に大別されるが、いずれも侵襲性や副作用が大きく、身体的にも負担が大きい。
【0003】
本発明者は、低侵襲で副作用が小さく、身体的な負担も少なくコストも安い治療手段として光エネルギーに注目し、光エネルギーにより癌細胞のアポトーシス(細胞死)を高く誘導させる一方、ネクローシス(壊死)の誘導を低く抑えることができる技術を模索した。ネクローシス(壊死)の発生を抑制しつつ、アポトーシス(細胞死)をより多く発生させることができれば、癌治療による炎症の発生を避けながら、癌細胞を効果的に減らすことができるからである。
そして、本発明者の研究の結果、特定の紫外線域の光を適切な強度で癌細胞に照射することにより、癌細胞にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることが可能であることを見いだすに到った。
【0004】
特許文献1のように、生体埋込型光照射デバイスは一部で提案されてはいるが、癌細胞に対して実効性のある提案はいまだなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える生体埋込型紫外線照射デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1に係る生体埋込型紫外線照射デバイスは、無線給電を受けるための受電コイルと、前記受電コイルが生じた電力により紫外線を発光する紫外線発光素子と、前記受電コイルおよび前記紫外線発光素子を前記紫外線発光素子が発する紫外線を外部へ放出可能な状態で保持するハウジングとを具備し、前記紫外線発光素子は、300nm~400nmの間に発光波長のピークを有することを特徴とする。
【0008】
この生体埋込型紫外線照射デバイスによれば、癌細胞に前記紫外線発光素子が発する紫外線を照射できる位置で生体埋込型紫外線照射デバイスを生体内に埋め込み、体外から無線給電装置により前記受電コイルに電力を生じさせ、この電力により前記紫外線発光素子から紫外線を発生させて癌細胞に照射する。これにより、癌細胞にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることにより、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える。
【0009】
態様2に係る生体埋込型紫外線照射デバイスは、態様1において、前記紫外線発光素子が330nm~395nmの間に発光波長のピークを有する発光ダイオードであるから、様々な癌細胞にアポトーシスを効果的に誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることが可能である。したがって、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える。
なお、後述する実験結果では、乳癌、皮膚癌、胃癌、および白血病について効果を確認したが、本発明者の実験により癌細胞が一般的に特定波長の紫外線を吸収することが確認されたので、他のいかなる癌細胞(例えば、大腸癌、食道癌、肝臓癌、前立腺癌、子宮癌など)にも本発明は同様の効果があると推測できる。
【0010】
態様3に係る生体埋込型紫外線照射デバイスは、態様1または2において、前記ハウジングが、アモルファスフッ素樹脂で形成され両端が封止された筒形状をなす。また、前記ハウジングの外径は2.9mm以下である。
【0011】
前記ハウジングが、アモルファスフッ素樹脂で形成され両端が封止された筒形状をなすことにより、生体内に前記ハウジングの長手方向に沿って挿入が容易であり、前記ハウジングの防水性も高いからデバイスの内部構造を長期に亘って保護することができる。なお、アモルファスフッ素樹脂が生体への影響が最も小さい点で最適ではあるが、それ以外にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなども低侵襲で使用可能である。また、ハウジングの形状は円柱状、四角柱状、六角柱状であってもよいし、ハウジングの先端は円錐状または角錐状に尖っていてもよい。尖っている場合には、患部への挿入が容易に行える可能性がある。
【0012】
また、前記ハウジングの外径は2.9mm以下、好ましくは2.8mm以下であることにより、一般的な内視鏡の先端の処置具収容スペース(内径2.9mm)に挿入することができ、内視鏡を操作することにより先端の処置具収容スペースから生体埋込型紫外線照射デバイスを押し出して患部へ高い位置精度を以て挿入、または患部から取り出すことが可能である。内視鏡の代わりに後述する専用の挿入治具または除去治具を用いてもよい。
【0013】
前記ハウジングは可撓性のある材料であるから、長手方向の中途部で屈曲させて「く」の字状または円弧状にして患部へ挿入してもよいし、形状記憶作用を持たせて内視鏡または治具で挿入する際には直線状で、患部へ挿入後に生体内で湾曲するようにしてもよい。これにより、受電コイルを受電に適した向きに設定することも可能である。また、湾曲または屈曲することにより患部からの位置ずれを抑制することも可能である。患部からの位置ずれを防ぐために、ハウジングの外周面に凸部または凹部を形成してもよい。凸部または凹部はハウジングの中心軸と同軸のリング状であっても螺旋状であってもよい。螺旋状の場合には生体埋込型紫外線照射デバイスを内視鏡や治具を用いて回転させ、患部へねじ込んでもよい。
【0014】
態様4に係る生体埋込型紫外線照射デバイスは、態様1~3のいずれかにおいて、前記ハウジング内に、前記受電コイルからの交流電流を受けて、前記紫外線発光素子を点灯可能な順方向電圧範囲の直流電流または直流パルス電流を前記紫外線発光素子へ供給する制御回路が設けられている。
【0015】
この生体埋込型紫外線照射デバイスによれば、前記制御回路が、前記受電コイルからの交流電流を受けて、整流および電圧調整して、前記紫外線発光素子を点灯可能な順方向電圧範囲の直流電流または直流パルス電流を前記紫外線発光素子へ供給するから、前記紫外線発光素子を安定して連続発光またはパルス発光することができる。パルス発光する場合には、紫外線発光素子の受電コイルが発生する電力に比してピーク発光強度を高めることができる。
【0016】
本発明の態様5の生体埋込型紫外線照射システムは、態様1~4のいずれかの生体埋込型紫外線照射デバイスと、前記受電コイルへ体外から無線給電するための無線給電装置とを備え、前記無線給電装置は、電磁誘導方式、磁界共鳴型電磁誘導方式、および電磁波方式のいずれかの給電方式である。
【0017】
この生体埋込型紫外線照射システムによれば、癌細胞に前記紫外線発光素子が発する紫外線を照射できる位置で生体埋込型紫外線照射デバイスを生体内に埋め込み、体外から前記無線給電装置により電磁誘導方式、磁界共鳴型電磁誘導方式、および電磁波方式のいずれかの給電方式で前記受電コイルに電力を生じさせ、この電力により前記紫外線発光素子から紫外線を発生させて癌細胞に照射する。これにより、癌細胞にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることにより、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える。前記無線給電装置は、据え置き型であっても、携帯可能な装置であってもよい。携帯可能な装置の場合、電池と、電池の電力により交流電流を生じる制御回路と、制御回路により磁力または電磁波を生じる送電コイルとを具備してもよい。
【発明の効果】
【0018】
この生体埋込型紫外線照射デバイスによれば、癌細胞に前記紫外線発光素子が発する紫外線を照射できる位置で生体埋込型紫外線照射デバイスを生体内に埋め込み、体外から無線給電装置により前記受電コイルに電力を生じさせ、この電力により前記紫外線発光素子から紫外線を発生させて癌細胞に照射する。これにより、癌細胞にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることにより、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの側断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの側断面図である。
【
図3】本発明の実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの回路図である。
【
図4】本発明の他の実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの回路図である。
【
図5】第1実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの使用状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの側断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの回路図である。
【
図8】本発明の第4実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの側断面図である。
【
図9】本発明の第5実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの側断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイスの回路図である。
【
図11】本発明の他の実施形態の送電コイルの例を示す平面図である。
【
図12】生体埋込型紫外線照射デバイスの挿入治具に生体埋込型紫外線照射デバイスをセットした状態を示す平面図である。
【
図13】生体埋込型紫外線照射デバイスの挿入治具から生体埋込型紫外線照射デバイスを押し出す状態を示す平面図である。
【
図14】挿入治具から生体埋込型紫外線照射デバイスを癌細胞内に挿入する状態を示す断面図である。
【
図15】生体埋込型紫外線照射デバイスを挿入した後に挿入治具を引き抜く状態を示す断面図である。
【
図16】生体埋込型紫外線照射デバイスの引き抜き治具の平面図である。
【
図17】引き抜き治具の係止爪を先端から突出させた状態の平面図である。
【
図18】引き抜き治具で生体内の生体埋込型紫外線照射デバイスを掴む状態の断面図である。
【
図19】引き抜き治具で生体内の生体埋込型紫外線照射デバイスを引き抜く状態の断面図である。
【
図20】生体埋込型紫外線照射デバイスに使用される紫外線発光素子の発光する紫外線の波長スペクトルの例を示すグラフである。
【
図21】癌細胞に紫外線を照射して癌細胞を殺す効果を比較する試験装置を示す斜視図である。
【
図22】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合に、癌細胞に誘導されたアポトーシスおよびネクローシスの割合を比較したグラフである。
【
図23】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合の癌細胞の生存率を比較したグラフである。
【
図24】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合の癌細胞のアポトーシス率を比較したグラフである。
【
図25】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合の癌細胞のネクローシス率を比較したグラフである。
【
図26】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合、癌細胞に誘導されたアポトーシスおよびネクローシスの割合を比較したグラフである。
【
図27】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合の癌細胞の生存率を比較したグラフである。
【
図28】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合の癌細胞のアポトーシス率を比較したグラフである。
【
図29】紫外線の波長と総照射量を変化させた場合の癌細胞のネクローシス率を比較したグラフである。
【
図30】実験に使用した大腸癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞のサンプルを示す写真である。
【
図31】実験に使用した大腸癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞のサンプルに紫外線照射をしない状態と、30J/cm
2で照射した状態でのアポトーシス率を示すグラフである。
【
図32】健常細胞(ヒト皮膚線維芽細胞)に紫外線照射をしない状態と、10,20,30J/cm
2で照射した状態での細胞の生存率を示すグラフである。
【
図33】健常細胞(ヒト皮膚線維芽細胞)に紫外線照射をしない状態と、10,20,30J/cm
2で照射した状態での細胞の死亡率を示すグラフである。
【
図34】健常細胞(ヒト皮膚線維芽細胞)に紫外線照射をしない状態と、10,20,30J/cm2で照射した状態を示すの光学顕微鏡画像(100倍)である。
【
図35】試作した生体埋込型紫外線照射デバイスの写真である。
【
図36】試作した生体埋込型紫外線照射デバイスを光らせた状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス]
図1は本発明に係る生体埋込型紫外線照射デバイスの第1実施形態を示す側断面図である。この生体埋込型紫外線照射デバイス1は、無線給電を受けるための受電コイル2と、受電コイル2が発生した交流電流から直流電流を生成する制御回路4と、制御回路4からの直流電流により紫外線を発光する紫外線発光素子6と、これらを収容するハウジング10とを有している。
【0021】
受電コイル2は、円筒形のボビン2Aに、表面が絶縁された銅やアルミニウム等の導電線を多数回螺旋状に巻回して巻線2Bを設けたものであり、後述する送電コイル31が発生する磁束を受けて誘導起電力により送電コイル31と同じ周波数の交流電流を発生する。この実施形態の受電コイル2は、ハウジング10と同軸に配置されており、巻線2Bの導電線の太さ、巻回数、および巻回ピッチは送電コイル31へ供給される交流電流の周波数や強度に対応して適切に設定される。ボビン2Aは、受電コイル2が受ける交流磁束の周波数が高い場合は磁性を有しないプラスチック等の材質で形成されたものであってよく、受電コイル2が受ける交流磁束の周波数が低い場合はフェライトなどの磁性体で形成されたものであってもよい。
【0022】
制御回路4は、受電コイル2が発生する交流電流を紫外線発光素子6を発光させることができる直流電流または直流パルス電流へ変換するものであり、以下のように種々のタイプが採用可能である。
(1)受電コイル2からの交流電流を単にダイオード等の整流素子により半波整流もしくは全波整流し、直流の脈流として紫外線発光素子6へそのまま供給する。過電流から紫外線発光素子6を保護するために電流制御抵抗または過電流保護回路を有していることは好ましい。脈流のピーク電圧は、紫外線発光素子6の発光電圧を超えている必要がある。この場合、紫外線発光素子6は送電コイル31の発生する磁束の周波数に同期してパルス発光する。
【0023】
(2)受電コイル2からの交流電流をダイオード等の整流素子により半波整流もしくは全波整流し、コンデンサまたはキャパシタによりある程度平滑化してリップルが残る直流電流として紫外線発光素子6へ供給する。直流電流のピーク電圧は、紫外線発光素子6の発光電圧を超えている必要がある。この場合、紫外線発光素子6は連続発光する。
【0024】
(3)受電コイル2からの交流電流をダイオード等の整流素子により半波整流もしくは全波整流し、公知の昇圧回路により電圧を高めた直流電流または直流パルス電流として紫外線発光素子6へ供給する。直流電流のピーク電圧は、紫外線発光素子6の発光電圧を超えている必要がある。この場合、受電コイル2からの交流電圧が低い場合にも、昇圧回路により紫外線発光素子6が必要とする発光電圧まで高めることができる。受電コイル2の交流電流から紫外線発光素子6を連続発光させるだけの電力が得られない場合には、直流パルス電流に変換して、パルス幅を周期で除したデューティー比を自動的に下げて出力電圧を維持するPWM制御を行ってもよい。この場合、紫外線発光素子6は受電コイル2が発生する交流電力が十分に大きければ連続発光し、受電コイル2が発生する交流電力が連続発光するに満たない場合はパルス発光する。
【0025】
図3は、受電コイル2からの交流電流をダイオードブリッジ等の整流回路12により全波整流し、昇圧回路14により電圧を高めた直流電流DCを紫外線発光素子6へ供給する回路の例を示す。直流電流DCの電圧は紫外線発光素子6の発光電圧VLより高い。
図4は、受電コイル2からの交流電流をダイオードブリッジ等の整流回路12により全波整流し、PWM制御を行うパルス制御回路16により電圧を高めた直流パルス電流PCとして、紫外線発光素子6へ供給する回路の例を示す。直流パルス電流PCの電圧は紫外線発光素子6の発光電圧VLより高い。
【0026】
(4)制御回路4は、受電コイル2が発生する交流磁束との共鳴回路を備えており、その上で、前記(1)~(3)の回路を備えていてもよい。受電コイル2との共鳴回路としては、所定容量のコンデンサを受電コイル2と並列に接続することが可能である。このコンデンサとしては、固定容量のコンデンサを用いてもよいし、送電コイル31から受ける周波数の変動に応じて一定の範囲内で共鳴周波数を合わせる容量可変コンデンサを用いてもよいし、あるいは、受電コイル2の巻線2Bの線間容量を用いて共鳴するようにしてもよい。
【0027】
紫外線発光素子6は、300nm~400nmの紫外線波長域に発光波長のピークを有するものである。本発明者の実験により、この波長域の紫外線を癌細胞に照射することにより、癌細胞にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることにより、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行えることが判明した。紫外線発光素子6は、330nm~395nmの間に発光波長のピークを有してもよく、この場合、特に乳癌、皮膚癌、胃癌、および白血病から選択される癌細胞にアポトーシスを生じさせる効果が高いことが本発明者の実験により確かめられている。
【0028】
紫外線発光素子6は、本発明用に特別設計されたものでもよいが、一般に市販されている紫外線発光ダイオードを使用することも可能である。一般に市販されているUVA1領域の紫外線発光ダイオードとしては、340nm、365nm、375nm、385nm、392.5nm、395nm用などがあり、定格電圧は340nm:4.6~4.8V、365nm:3.80~3.85V、375nm:3.40V、385nm:3.35V、395nm:3.30Vなどとされているが、これらに限定されるものではない。
【0029】
紫外線発光素子6は支持体8によってハウジング10内に固定されている。紫外線発光素子6の光発生方向には紫外線発光素子6の発生する紫外線に対して透明なレンズ10Bが設けられハウジング10の先端を封止している。ハウジング10全体が紫外線発光素子6の発生する紫外線に対して透明な材料で形成されている場合は、特にレンズ10Bを設けない構成も可能である。ハウジング10の後端は端部10Cとして封止されており、ハウジング10の内部は気密的に保たれている。
【0030】
ハウジング10の材質としては、生体に対する侵襲性が低い樹脂、破損しにくいガラスやセラミックスが挙げられる。特に、侵襲性が低いアモルファスフッ素樹脂が生体への影響が小さい点で最適であるが、それ以外にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなども使用可能である。ハウジング10の形状は円筒状、四角筒状、六角筒状であってもよいが、特に円筒状であることが好ましい。ハウジング10の先端は半球状であってもよいし、円錐状または角錐状に尖っていてもよい。尖っている場合には、患部への挿入が容易に行える可能性がある。
【0031】
ハウジング10の外径は、内視鏡とともに使用される場合には、2.9mm以下であることが好ましく、好ましくは2.8mm以下である。この場合、一般的な内視鏡の先端の処置具収容スペース(通常は内径2.9mm)に挿入することができ、内視鏡を操作することにより先端の処置具収容スペースから生体埋込型紫外線照射デバイス1を押し出して患部へ高い位置精度を以て挿入することが可能である。内視鏡の代わりに後述する専用の挿入治具または除去治具を用いてもよい。
【0032】
図5は、生体埋込型紫外線照射デバイス1を用いた生体埋込型紫外線照射システム、および生体埋込型紫外線照射デバイス1の使用方法を示す生体の断面図である。この生体埋込型紫外線照射デバイス1は、内視鏡または挿入治具により生体の正常細胞20内に挿入され、正常細胞20からなる組織の内部に生じた癌細胞24にレンズ10Bを向けた状態、または癌細胞24にレンズ10Bを挿入した状態に保持される。患部に挿入される生体埋込型紫外線照射デバイス1は1本とは限らず、癌細胞24を含む患部の大きさに応じて必要な本数が必要な位置および角度で生体内に挿入される。
【0033】
患部に対応する皮膚22の表面には、送電コイル31を内部に備えた湿布体30が粘着剤等により貼り付けて固定される。なお、本発明では湿布による固定に限定されず、他のあらゆる方法により送電コイル31を皮膚22に沿って固定してもよい。湿布体30の内部には、
図11に例示するような送電コイル31が電気的に絶縁された状態で平面状に配置されており、コード32を介して送電ユニット34に接続されている。送電ユニット34は、電池36、制御回路38、操作盤40を有し、図示しないベルト等により患者が身につけて運搬できるようになっている。電池36からの電力を受けて制御回路38が交流電流を発生させ、コード32を通じて送電コイル31へ交流電力を供給して、送電コイル31から交流磁束を発生させる。なお、送電ユニット34は必ずしも携帯型でなくてもよく、据え置き型としても実施可能である。
【0034】
送電コイル31が発生する交流磁束の周波数は、本発明では限定されないが、受電コイル2による受電効率を考慮して、10kHz~20MHzの範囲であることが好ましい。
【0035】
受電コイル2が交流磁束を受けて交流電流を発生した後、制御回路4で直流電流または直流パルス電流に変換され、紫外線発光素子6へ供給され、紫外線発光素子6が紫外線Lを連続的またはパルス状に発する。発せられた紫外線Lはレンズ10Bを通じて癌細胞24に照射され、この照射が一定時間継続されることにより、癌細胞24にアポトーシスを高く誘導させて癌細胞24の少なくとも一部を死滅させることができるとともに、ネクローシスの誘導は抑えて炎症発生等の副作用は少なくて済む。なお、紫外線Lは癌細胞24の内部をある程度の距離に亘って透過するので、単層分の癌細胞24が死ぬだけでなく、複数層分の癌細胞24を死なせることができる。癌細胞24の全部または一部がアポトーシス誘導された後、内視鏡もしくは後述する除去治具を用いて生体内の正常細胞20から生体埋込型紫外線照射デバイス1を抜き取ることにより、治療は完了する。
【0036】
制御回路38は、送電コイル31へ流れる交流電流の状態から、受電コイル2から紫外線発光素子6へ供給される電力を推定し、送電コイル31と受電コイル2の距離や向きにより磁気結合が悪い場合には送電コイル31へ供給する電力を増し、送電コイル31と受電コイル2の磁気結合が良い場合には送電コイル31へ供給する電力を減らすフィードバック制御を行ない、紫外線発光素子6が発生する紫外線強度の一定化を図っても良い。操作盤40は制御回路38のオンオフ切り替え、および送電コイル31へ供給する交流電流の強度や周波数を調整して、紫外線発光素子6から必要な強度の紫外線が発生するように調整する。
【0037】
送電ユニット34には、送電コイル31から受電コイル2へ送った電力値を経時的に記録する記憶装置や、前記電力値を送電ユニット34の外の記録装置へ無線信号で伝達する通信装置を備えていても良い。この場合、記録装置の情報から治療効果を定量的に確認することが可能である。
【0038】
[第2実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス]
図2は、生体埋込型紫外線照射デバイス1の第2実施形態を示す。この第2実施形態では、受電コイル2が第1実施形態と異なり、ハウジング10の長手方向に対して垂直な方向に軸線を有する楕円状または長円状のボビン2Aを用い、巻線2Bを巻回して受電コイル2が形成されている。第2実施形態のその他の構成は
図1の生体埋込型紫外線照射デバイス1と同様であるから説明を援用する。
【0039】
この第2実施形態では、ハウジング10の長手方向に対し直交する方向からの磁束により受電コイル2が発電するため、皮膚22に対して平行に近い状態で生体埋込型紫外線照射デバイス1を埋設する場合も、皮膚22に貼り付けた湿布体30の送電コイル31から送電することができる。したがって、生体埋込型紫外線照射デバイス1の生体内への埋設角度により、
図1の生体埋込型紫外線照射デバイス1と、
図2の生体埋込型紫外線照射デバイス1を選択して使用することが可能である。
【0040】
[第3実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス]
図6は、生体埋込型紫外線照射デバイス1の第3実施形態を示す。この第3実施形態では、制御回路4を簡略化して全体の小型化を図ったことを特徴としている。全長の短いハウジング10内に受電コイル2が同軸状に配置され、
図7に示すように、受電コイル2のリード線は直接、紫外線発光素子6のリード線に接続されている。制御回路としては、ダイオード42が紫外線発光素子6と逆向きに、紫外線発光素子6と平行に接続されている。ダイオード42は紫外線発光素子6が逆電圧で破壊されることを防止する作用を果たし、紫外線発光素子6は送電コイル31から供給される交流磁束に同期してパルス光PLを発生する。直流パルス電流PCのピーク電圧は紫外線発光素子6の発光電圧VLより高い。
【0041】
紫外線発光素子6の先端はプラスチック被覆が削られて四角錐状に尖らされ、ハウジング10の先端から露出している。第3実施形態のその他の構成は
図1の生体埋込型紫外線照射デバイス1と同様であるから第1実施形態の説明を援用する。
【0042】
この第3実施形態によれば、生体埋込型紫外線照射デバイス1の全長が短いので、癌細胞24が生体組織の浅い位置にある場合にも、生体埋込型紫外線照射デバイス1を患部に挿入して姿勢を保持しやすい。また、紫外線発光素子6の先端が尖っているため、生体内への挿入が容易に行える利点を有する。
【0043】
[第4実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス]
図8は、生体埋込型紫外線照射デバイス1の第4実施形態を示す。この第4実施形態では、ハウジング10が中央部10Dにおいて屈折可能となっており、生体埋込型紫外線照射デバイス1がくの字状または曲線状に湾曲可能とされている。この第4実施形態によれば、受電コイル2の軸線向きと、紫外線発光素子6の紫外線の光軸向きを変更することができるため、生体内で紫外線発光素子6の光軸を皮膚22の表面に対して傾斜して配置した場合にも、受電コイル2の軸線向きを皮膚22の表面に対して垂直に近い角度に配置することが可能となる。したがって、送電コイル31からの受電効率を高めることが可能である。また、第4実施形態によれば、生体から生体埋込型紫外線照射デバイス1が抜けにくいという効果も得られる可能性がある。
【0044】
なお、ハウジング10を屈曲部10Dにおいて屈曲させるには、生体埋込型紫外線照射デバイス1を埋設する前に屈曲させてもよいし、生体内に埋設した途中または後に屈曲部10Dを屈折させてもよい。また、ハウジング10に湾曲形状または屈曲形状の形状を記憶させておき、内視鏡から生体に埋設した後に湾曲または屈曲して記憶形状に戻るようにしても良い。
【0045】
[第5実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス]
図9は、生体埋込型紫外線照射デバイス1の第5実施形態を示す。この第5実施形態では、生体埋込型紫外線照射デバイス1の先端部からの紫外線照射領域を広げるために、ハウジング10の先端部に、ハウジング中心軸方向前方に紫外線照射方向を向けた第1の紫外線発光素子6と、ハウジング中心軸に対し一定角度(図では90°)傾斜した紫外線照射方向を有する複数(例えば2個~4個)の第2の紫外線発光素子6を配置したことを特徴とする。第2の紫外線発光素子6は、ハウジング中心軸回りに等間隔に配置されていることが好ましい。レンズ10Bは、広い照射角度で紫外線Lを放出できるように、円筒部が長い断面U字状をなし、紫外線を透過する材質で形成されている。第1および第2の紫外線発光素子6は互いに並列または直列に接続され、同時に同波長の紫外線を発するようになっている。レンズ10Bは紫外線を散乱させない材質であってもよいが、レンズ10Bの内面10Eおよび/または外面は、第1および第2の紫外線発光素子6が発する紫外線を散乱させる光散乱面とされてもよいし、あるいはレンズ10Bが紫外線を散乱させる光散乱性の材質で形成されていてもよい。レンズ10Bが散乱効果を有する場合には、さらに紫外線照射領域を広げることが可能となる。
【0046】
第5実施形態によれば、生体埋込型紫外線照射デバイス1がその先端から広い角度に亘って紫外線を発するため、癌細胞24に対し紫外線を照射できる面積を増やし、治療効果が得られる領域を広げることが可能である。
【0047】
[第6実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス]
図10は、生体埋込型紫外線照射デバイス1の第6実施形態を示す。この第6実施形態では、ハウジング10の先端内部にそれぞれ発光波長が異なる紫外線を発生させる第1紫外線発光素子6B、第2紫外線発光素子6C、および第3紫外線発光素子6Dを配置しており、いずれが発光しても紫外線がレンズ10Bを通してハウジング10前方へ照射されるようになっている。
【0048】
ハウジング10内には、受電コイル2からの交流電流を整流するダイオードブリッジ等の整流回路12と、整流された直流から電圧を高めた直流電流DCを生成する昇圧回路14と、昇圧された直流電流または直流パルス電流を第1紫外線発光素子6B、第2紫外線発光素子6C、および第3紫外線発光素子6Dのいずれか一つへのみ切り替えて流すスイッチング回路43が設けられている。
【0049】
第1紫外線発光素子6B、第2紫外線発光素子6C、および第3紫外線発光素子6Dはいずれも紫外線を発生するが、例えば、第1紫外線発光素子6Bが340nm、第2紫外線発光素子6Cが365nm、第3紫外線発光素子6Dが385nmというように波長が異なっている。本発明者の実験によれば、癌細胞の種類によってアポトーシス誘導を生じやすくネクローシスの誘導を生じにくい紫外線波長が異なる場合があるため、いずれか適切な波長の紫外線を外部から選択して発光させることができれば、複数種の癌の治療に用いることが可能になる。
【0050】
スイッチング回路43は、整流回路12により整流される前の巻線2Bからの交流電流の周波数を検知する周波数検知回路を有し、この周波数検知回路が周波数Aと判定した場合は制御回路14の出力電力を第1紫外線発光素子6Bに供給し、周波数Bと判定した場合は制御回路14の出力電力を第2紫外線発光素子6Cに供給し、周波数Cと判定した場合は制御回路14の出力電力を第3紫外線発光素子6Dに供給する。
【0051】
一方、送電ユニット34の制御回路38は、操作盤40により送電コイル31に供給する交流電流の周波数を、周波数A、B、Cのいずれかに設定することが可能とされている。したがって、第6実施形態の生体埋込型紫外線照射デバイス1およびそれを用いた生体埋込型紫外線照射システムによれば、操作盤40の操作により生体埋込型紫外線照射デバイス1が発生する紫外線波長を複数種の中から選択して、治療の対象とする癌細胞の種類を選択できるメリットがある。
【0052】
[生体埋込型紫外線照射デバイスの挿入治具]
本発明の生体埋込型紫外線照射デバイス1は、前述のように内視鏡を用いて患部に挿入することが可能であるが、
図12~
図15に示すような挿入治具を用いて患部に挿入することも可能である。
【0053】
この挿入治具50は、
図12および
図13に示すように、円筒状の本体51と、本体51の先端から同軸に伸びる細長い円筒形のニードル52と、ニードル52の先端に形成された刃先54を有し、刃先54の根元に開口部56が形成されている。ニードル52の内部は、生体埋込型紫外線照射デバイス1が通過できる内径とされ、生体埋込型紫外線照射デバイス1は開口部56から外部へ脱出可能とされている。本体51およびニードル52の内部には、スライド可能にシャフト58が同軸に配置されている。本体51の周面には本体51の後端付近から先端付近に達するスリット59が形成され、シャフト58の後端にはスリット59を通してつまみ60が取り付けられている。つまみ60を締めるとシャフト58が本体51に任意の位置で固定されるようになっている。
【0054】
挿入治具50を用いて生体埋込型紫外線照射デバイス1を生体内に挿入するには、
図12に示すように、まずつまみ60をスリット59の後端で固定し、スリット59の前端とシャフト58との間に生じる開口部から生体埋込型紫外線照射デバイス1をニードル52内に装填する。生体埋込型紫外線照射デバイス1の紫外線発光素子6を刃先54側に向ける。
【0055】
次に、
図14に示すように、患者を部分麻酔したうえ、患部の上下それぞれに外科用X線撮影装置62を配置し、モニター64を見ながら腫瘍の位置を確認しつつ、挿入治具50のニードル52を癌細胞24がある位置まで生体内に刺し入れる。この状態で、つまみ60を緩めてスリット59に沿ってシャフト58を前方へ移動させ、生体埋込型紫外線照射デバイス1を開口部56から押し出して、紫外線発光素子6からの紫外線が癌細胞24に当たる位置で正常細胞20内に挿入する。挿入が完了したら、
図15に示すように、挿入治具50を生体から引き抜く。この挿入作業を繰り返して必要な本数の生体埋込型紫外線照射デバイス1を患部にセットする。その後、送電ユニット34から送電コイル31へ通電することにより、紫外線発光素子6からの紫外線を癌細胞24に照射し、癌細胞24にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることにより、低侵襲で炎症発生等の副作用が少ない癌治療を行うことが可能である。
【0056】
[生体埋込型紫外線照射デバイスの引き抜き治具]
本発明の生体埋込型紫外線照射デバイス1は、前述のように内視鏡を用いて生体から引き抜くことが可能であるが、
図16~
図19に示すような引き抜き治具70を用いて生体から引き抜くことも可能である。
【0057】
この引き抜き治具70は、
図16および
図17に示すように、円筒状の本体71と、本体71の先端から同軸に伸びる細長い円筒形のニードル72と、ニードル72の先端に形成された刃先74を有し、刃先74の根元に開口部76が形成されている。ニードル72の内部は、生体埋込型紫外線照射デバイス1が通過できる内径とされ、生体埋込型紫外線照射デバイス1は開口部76から内部へ挿入可能とされている。本体71およびニードル72の内部には、スライド可能にチューブ78が同軸に配置されている。本体71の周面にはスリット77が形成され、チューブ78の後端にはスリット77を通してつまみ80が取り付けられている。つまみ80を締めるとチューブ78が本体71に任意の位置で固定される。チューブ78の内部には一対の係止爪79がスライド可能に配置され、チューブ78の先端から係止爪79を外へ出すと係止爪79が開き、チューブ78の内部に係止爪79を引き入れると係止爪79が閉じ、生体埋込型紫外線照射デバイス1を掴めるようになっている。チューブ78には、係止爪79の位置を固定するための止めネジ82が設けられている。
【0058】
引き抜き治具70を用いて生体埋込型紫外線照射デバイス1を生体内から回収するには、患者を部分麻酔したうえ、
図18に示すように、患部の上下それぞれに外科用X線撮影装置62を配置し、モニター64を見て腫瘍のあった位置を確認しつつ、引き抜き治具70のニードル72を生体内に刺し入れ、先端を生体埋込型紫外線照射デバイス1の後端に対向させる。この状態で、つまみ80を緩めてチューブ78を前方へ移動させ、止めネジ82を緩めて係止爪79をチューブ78から押し出し、開いた係止爪79で生体埋込型紫外線照射デバイス1の後端を挟む。次に、
図19に示すように、係止爪79をチューブ78内に引き入れ、係止爪79で生体埋込型紫外線照射デバイス1を掴み、この状態で止めネジ82を固定する。さらに、つまみ80を後端側へスライドして生体埋込型紫外線照射デバイス1をスリーブ72内に収容する。そして、引き抜き治具70を生体から引き抜くことにより、生体埋込型紫外線照射デバイス1を除去することが可能である。
【0059】
このような挿入治具50および引き抜き治具70を利用することにより、生体埋込型紫外線照射デバイス1を安全かつ簡単に生体内へ挿入および回収することが可能であり、生体埋込型紫外線照射デバイス1およびシステムの利便性を高めることが可能である。
【0060】
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲内において、各実施形態の特徴を相互に組み合わせても良いし、本発明に必須では無い構成を除去してもよい。
【実施例0061】
次に、本発明者による各種癌細胞に対する紫外線照射実験の結果を説明し、本発明の効果を詳しく説明する。
【0062】
図20は、本実験例で用いた市販の紫外線発光素子(紫外線発光ダイオード)の特性を示したグラフであり、縦軸は光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。それぞれのピーク波長は規格通りに340nm、365nm、385nmであった。340nmの紫外線発光素子の光束/放射束:70mW、発光電圧:4.8Vであった。365nmの紫外線発光素子の光束/放射束:1200mW,発光電圧:3.80Vであった。385nmの紫外線発光素子の光束/放射束:550mW、発光電圧:3.35Vであった。
【0063】
図21は本実験に用いた紫外線照射装置、発光制御装置、およびコンピューターを示す斜視図である。中央の紫外線照射装置内に下向きに配置された紫外線発光ダイオードから、下方に配置されたシャーレ内の癌細胞に紫外線を照射した。紫外線発光ダイオードは冷却ファンおよびヒートシンクを用いて常時冷却した。シャーレ内には、皮膚リンパ腫の病原細胞(Jurkat T細胞)または皮膚癌(メラノーマ細胞)を配置して実験を行った。
【0064】
[皮膚リンパ腫の病原細胞(Jurkat T細胞)のアポトーシス/ネクローシス誘導実験]
Jurkat T細胞を細胞増殖用培地(RPMI1640+10%FBS)を用いて、37℃、CO
2:5%の環境で48時間培養した。増殖したJurkat T細胞を洗浄し、36個のシャーレ内のPBS培地に入れ替えた。
図21に示す装置を用い、340nm、365nm、385nmの前記紫外線発光ダイオードを用い、シャーレ内の病原細胞に紫外線を照射した。照射条件を表1に示す。
【0065】
【0066】
なお、紫外線波長の相違により、紫外線発光ダイオードの発光効率が異なるため、照射強度を一定にするために病原細胞までの照射距離を調整した。これにより、表1の照射強度、総照射量、照射時間は3波長とも同じ条件にした。
【0067】
紫外線照射後の病原細胞を、細胞増殖用培地(RPMI1640+10%FBS)を用いて、37℃、CO2:5%の環境で24時間培養した。培養後の各シャーレ内の病原細胞に対し、染色試薬Annexin Vと、染色試薬PIによる染色を行ったうえ、フローサイトメーター装置を用い、フローサイトメトリー(FACS)解析を行った。Jurkat T細胞がアポトーシスを誘導していない正常な状態であれば、細胞膜の内側に膜リン脂質(フォスファチジルセリン PS)が存在し、細胞膜の損傷もないので、試薬PIは細胞内に取り込まれず、核内DNAと結合しない。しかし、病原細胞にアポトーシス誘導が生じた場合には、アポトーシス細胞およびネクローシス細胞は、染色試薬Annexin Vと、染色試薬PIの両方に染まるから、フローサイトメトリーにより、アポトーシス細胞およびネクローシス細胞の定量的な解析が行える。
【0068】
図22は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合の病原細胞の生細胞、アポトーシス誘導された細胞、およびネクローシス誘導された細胞の密度それぞれを示すフローサイトメトリー解析の結果を示すグラフである。いずれの波長においても、総照射量が多くなるにつれてアポトーシス誘導された細胞は増えたが、ネクローシス誘導された細胞は殆ど増えなかった。また、波長は短い方が最終的な生細胞が少なくなった。
図23は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合の病原細胞の生細胞の比率(%)を示すグラフである(Tukey-Kramer test,p<0.05,n=3)。総照射量が多くなるにつれ、また、波長は短いほうが、最終的な生細胞が少なかった。
図24は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合の病原細胞のアポトーシス誘導された細胞の比率(%)を示すグラフである(Tukey-Kramer test,p<0.05,n=3)。10J/cm
2で60%以上、20J/cm
2で70%以上、30J/cm
2では80%以上の細胞がアポトーシス誘導された。波長が短い方がアポトーシス誘導の比率がさらに高かった。
図25は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合の病原細胞のネクローシス誘導された細胞の比率(%)を示すグラフである(Tukey-Kramer test,p<0.05,n=3)。コントロールから30J/cm
2に到るまで、いずれもネクローシス誘導された細胞の比率は2%以下であった。総照射量と波長の差がネクローシス誘導に与える影響も特に見られなかった。
【0069】
図22~
図25に示すように、浮遊細胞である白血病細胞(Jurkat T細胞)の場合はピーク波長340nm×30J/cm
2の場合に97%と最も高いアポトーシス誘導が生じることが分かった。一方、ネクローシス誘導はピーク波長340nm×30J/cm
2の場合でも2%以下しか生じなかった。
【0070】
[皮膚癌(メラノーマ細胞)のアポトーシスおよびネクローシス誘導実験]
メラノーマ細胞を細胞増殖用培地(RPMI1640+10%FBS)を用いて、37℃、CO
2:5%の環境で48時間培養した。増殖したメラノーマ細胞を洗浄し、36個のシャーレ内のPBS培地に入れ替えた。
図21に示す装置を用い、340nm、365nm、385nmの紫外線発光ダイオードを用い、シャーレ内の病原細胞に紫外線を照射した。照射条件は表1と同じにした。
【0071】
紫外線照射後の病原細胞を、細胞増殖用培地(RPMI1640+10%FBS)を用いて、37℃、CO2:5%の環境で48時間培養した。培養後の各シャーレ内のメラノーマ細胞に対し、染色試薬Annexin Vと、染色試薬PIによる染色を行ったうえ、フローサイトメーター装置を用い、フローサイトメトリー(FACS)解析を行った。
【0072】
図26は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合のメラノーマ細胞の生細胞、アポトーシス誘導された細胞、およびネクローシス誘導された細胞の密度を示すフローサイトメトリー解析の結果を示すグラフである。いずれの波長においても、総照射量が多くなるにつれてアポトーシス誘導された細胞は増えたが、ネクローシス誘導された細胞は殆ど増えなかった。また、3波長の中では、340nmと365nmの場合にアポトーシス誘導の効果が高く、中でも365nmの場合にメラノーマ細胞に対するアポトーシス誘導効果が高いことが確認された。このように、癌の種類によって波長毎の紫外光の吸収率が異なることが確認できた。
【0073】
図27は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合のメラノーマ細胞の生細胞の比率(%)を示すグラフである(Tukey-Kramer test,p<0.05,n=3)。総照射量が30J/cm
2になると、340nmおよび365nmの場合に生存率が著しく低下した。
図28は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合のメラノーマ細胞のアポトーシス誘導された細胞の比率(%)を示すグラフである(Tukey-Kramer test,p<0.05,n=3)。総照射量が30J/cm
2になると、340nmおよび365nmの場合にアポトーシス誘導された細胞の比率が100%近くに達した。
図29は、340nm、365nm、385nmの各波長において、総照射量0(コントロール)、10J/cm
2、20J/cm
2、30J/cm
2で照射した各場合のメラノーマ細胞のネクローシス誘導された細胞の比率(%)を示すグラフである(Tukey-Kramer test,p<0.05,n=3)。コントロールでは5~6%であったが、10から30J/cm
2の条件では、いずれもネクローシス誘導された細胞の比率は1%程度以下であった。これらの間では総照射量と波長の差がネクローシス誘導に与える影響も特に見られなかった。
【0074】
図26~
図29に示すように、接着細胞である悪性黒色腫(皮膚癌)の場合はピーク波長340nmと365nmにおいて30J/cm
2の場合に95~98%程度のアポトーシス誘導を示した。特に、365nmの場合にメラノーマ細胞に対するアポトーシス誘導効果が高いことが確認された。一方、これら場合のネクローシス誘導は1%程度以下であった。
【0075】
以上の結果に示すように、特定波長域の紫外光は、癌細胞のアポトーシスを誘導する効果が高く、ネクローシスの誘導は抑えられることが判った。また、癌細胞の種類によって有効なピーク波長および総照射量が異なることが判明した。
【0076】
[大腸癌、胃癌、乳癌の病原細胞に対する紫外線照射実験]
ヒト由来の大腸癌、胃癌、乳癌の病原細胞を用いて紫外線照射実験を行った。実際の状況を想定して、各病原細胞で腫瘍(スフェロイド)を作成した。病原細胞の詳細は以下のとおりである。
大腸癌細胞(E-GFP)
胃癌細胞(名和(N+0))
乳癌細胞(MCF-7)
【0077】
各病原細胞を、細胞増殖用培地(RPMI1640+10%FBS)を用いて、37℃、CO
2:5%の環境で96時間培養し、腫瘍(スフェロイド)を作成した。
図30(a)~(c)はシャーレ中で培養後の各細胞の写真であり、
図30(d)~(f)はそれらの細胞の顕微鏡写真(40倍)である。
【0078】
図21に示す装置を用い、365nmの紫外線発光ダイオードを用い、シャーレ内の大腸癌、胃癌、乳癌の腫瘍に紫外線を照射した。照射条件は、総照射量0(コントロール)および総照射量30J/cm
2とした。
照射後の腫瘍細胞をさらに細胞増殖用培地(RPMI1640+10%FBS)を用いて、37℃、CO
2:5%の環境で24時間培養し、腫瘍をシャーレから取り出し、細胞をほぐした。ほぐした細胞を血球計算盤(ヘモサイトメーター)にかけて、生細胞およびアポトーシス誘導された死細胞をカウントし、無照射(コントロール)のサンプルと比較した。
【0079】
図31(a)~(c)は大腸癌細胞(E-GFP)、胃癌細胞(名和(N+0))、 乳癌細胞(MCF-7)の無照射(コントロール)の場合の生細胞と死細胞の比率を示すグラフであり、
図31(d)~(f)はそれぞれに30J/cm
2の紫外線照射を行った後の生細胞とアポトーシス誘導された死細胞の比率を示すグラフである。
【0080】
図31に示すように、紫外線無照射(コントロール)に対して総照射量30J/cm
2を与えた細胞にはアポトーシス(細胞死)誘導が生じているのが分かった。総照射量30J/cm
2の照射した大腸癌細胞、胃癌細胞、乳癌細胞を比較すると、大腸癌細胞はアポトーシス誘導し易いことがわかった。一方、胃癌細胞および乳癌細胞に対しては、365nmは効果がないということではなく、今回の実験条件である総照射量30J/cm
2より高い総照射量が必要であると推定できた。これらの実験結果から、生体埋込型紫外線照射デバイスは十分な総照射量を得ることにより癌治療に有効であることが判った。
【0081】
[ヒト皮膚線維芽細胞に対する紫外線(365nm)の影響調査]
癌細胞ではないヒト皮膚線維芽細胞に紫外線を照射して、健常な細胞には異常が生じないことを確認するため、下記の実験を行った。
ヒト皮膚線維芽細胞を細胞増殖用培地(MEMα+10%FBS)を用いて、37℃、CO
2:5%の環境で72時間培養した。増殖したヒト皮膚線維芽細胞を洗浄し、15個のシャーレ内のPBS培地に入れ替えた。
図21に示す装置を用い、365nmの紫外線発光ダイオードを用い、シャーレ内の細胞に紫外線を照射した。照射条件を表2に示す。なお、模擬照射(Sham Irradiation)とは、紫外線を照射しないで、PBS培地を加えた状態で総照射量30J/cm
2と同じ時間(16.6min.)、室温に置いた条件である。この条件から細胞に対するPBS培地の影響を調べた。
【0082】
【0083】
紫外線照射後の細胞を、細胞増殖用培地(MEMα+10%FBS)を用いて、37℃、CO2:5%の環境で72時間培養した。培養後の各シャーレ内の細胞に対し、染色試薬Acridine Orange/Propidium Iodide Stainによる染色を行ったうえ、自動蛍光セルカウンターを用いて解析を行った。
【0084】
図32は、紫外線総照射量を0(コントロール),模擬照射,10,20,30(J/cm
2)とした各サンプルでの生細胞の比率(%)を示すグラフである。生存率はいずれも100%近かった。
図33は、紫外線総照射量を0(コントロール),模擬照射,10,20,30(J/cm
2)とした各サンプルでの死細胞の比率(%)を示すグラフである。死亡率はいずれも2~3%程度と低かった。
図34(a)~(e)は、紫外線総照射量を0(コントロール),模擬照射,10,20,30(J/cm
2)とした各サンプルでのヒト皮膚線維芽細胞の光学顕微鏡写真(100倍)である。これらには特に差が見られなかった。
【0085】
図32~34に示すように、コントロールと模擬照射を比較すると大きな差はみられなかった。したがって、PBS培地がヒト皮膚線維芽細胞に悪影響を与えていないことが分かった。また、コントロールに比較して、総照射量10、20、30J/cm
2の紫外線照射はヒト皮膚線維芽細胞に悪影響を与えていないことが分かった。最大総照射量30J/cm
2の場合にも、僅か3%程度の細胞死に留まった。
これらの結果から生体埋込型紫外線照射デバイスから発する紫外線は健全細胞に悪影響をほとんど与えないことが分かった。
【0086】
図35および
図36は、本発明者が試作した生体埋込型紫外線照射デバイスの写真である。直径4.8mm×全長12mmの小型さであるにも拘わらず、送電コイルからの交流磁束(300kHz)を受けて紫外線発光ダイオード(365nm)が発光できた。
本発明の生体埋込型紫外線照射デバイスによれば、癌細胞に前記紫外線発光素子が発する紫外線を照射できる位置で生体埋込型紫外線照射デバイスを生体内に埋め込み、体外から無線給電装置により前記受電コイルに電力を生じさせ、この電力により前記紫外線発光素子から紫外線を発生させて癌細胞に照射する。これにより、癌細胞にアポトーシスを高く誘導させ、ネクローシスの誘導を抑えることにより、低侵襲で炎症発生等の副作用が少なく、患者への負担が少ない癌治療が行える。よって、本発明は産業上の利用が可能である。
無線給電を受けるための受電コイルと、前記受電コイルが生じた電力により紫外線を発光する紫外線発光素子と、前記受電コイルおよび前記紫外線発光素子を前記紫外線発光素子が発する紫外線を外部へ放出可能な状態で保持するハウジングとを具備し、前記紫外線発光素子は、340nm~385nmの間に発光波長のピークを有する生体埋込型紫外線照射デバイス、および
前記受電コイルへ体外から無線給電するための無線給電装置を備え、
前記無線給電装置は、電磁誘導方式、磁界共鳴型電磁誘導方式、および電磁波方式のいずれかの給電方式であり、
前記無線給電装置は前記紫外線発光素子からの前記紫外線の総照射量が10~30J/cm
2
となるように前記受電コイルへ無線給電することを特徴とする生体埋込型紫外線照射システム。
前記ハウジングは、アモルファスフッ素樹脂で形成され両端が封止された筒形状をなし、前記ハウジングの外径は2.9mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の生体埋込型紫外線照射システム。