(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174710
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】仮想空間システム、管理装置及び迷惑行為対処方法
(51)【国際特許分類】
H04L 67/1396 20220101AFI20241210BHJP
H04L 67/131 20220101ALI20241210BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241210BHJP
【FI】
H04L67/1396
H04L67/131
G06T19/00 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092690
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】田島 和博
(72)【発明者】
【氏名】長島 春澄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊輔
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA09
5B050BA11
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA09
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想空間上での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減する仮想空間システム、管理装置及び迷惑行為対処方法を提供する。
【解決手段】仮想空間システムにおいて、AI操作用アバターを介して検知手段が、一般用アバター間の迷惑行為を発見したとき、通知手段が、対応可能人数が最も多い警備拠点に出動指令を通知する。例えば、A支社の対応可能人数が6名で最も多い場合、A支社に対して出動指令を通知し、出動指令を受けたA支社の警備員が仮想空間システムにログインし、AI操作用アバターをA支社の警備員操作による警備員操作用アバターに交換して警備を行う。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザがそれぞれ操作する一般用アバターが活動する仮想空間を管理する管理装置を有する仮想空間システムであって、
前記管理装置は、
前記仮想空間上での巡回又は立哨を自動的に行うAIアバターの制御を行うAIアバター制御手段と、
前記AIアバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記迷惑行為の発生が検知された場合に、所定の警備員管理装置に対して前記迷惑行為に係る情報を通知する通知手段と、
前記警備員管理装置から出動指令を受けた警備員により操作される警備員アバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により前記仮想空間内での迷惑行為が発生したと判定された場合に、前記迷惑行為に対処する迷惑行為対処手段と
を備えたことを特徴とする仮想空間システム。
【請求項2】
前記通知手段は、
前記AIアバターにより前記迷惑行為の発生が検知された場合に、前記警備員管理装置に対して前記仮想空間における前記迷惑行為の位置、発生時刻及び緊急度の少なくとも1つを含む情報を前記迷惑行為に係る情報として通知することを特徴とする請求項1に記載の仮想空間システム。
【請求項3】
前記警備員管理装置は、
前記管理装置から前記迷惑行為に係る情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた前記迷惑行為に対応する警備拠点を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された警備拠点の警備端末に対して、前記仮想空間への出動指令を行う出動指令手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の仮想空間システム。
【請求項4】
前記警備員管理装置は、
複数の警備拠点に対応付けて対応可能人数を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記選択手段は、
前記記憶手段に記憶された対応可能人数の多い警備拠点を特定し、特定した警備拠点を選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の仮想空間システム。
【請求項5】
前記警備員管理装置は、
警備員アバターを操作中の第1の警備員に、警備員アバターの操作を中断する必要が生じた場合には、前記警備員アバターの操作を第2の警備拠点に所属する第2の警備員に交代させるよう制御する交代制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の仮想空間システム。
【請求項6】
前記交代制御手段は、前記記憶手段に記憶された対応可能人数の多い警備拠点を前記第2の警備拠点として特定することを特徴とする請求項5に記載の仮想空間システム。
【請求項7】
複数のユーザがそれぞれ操作する一般用アバターが活動する仮想空間を管理する管理装置であって、
前記仮想空間内での巡回又は立哨を自動的に行うAIアバターの制御を行うAIアバター制御手段と、
前記AIアバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記迷惑行為の発生が検知された場合に、所定の警備員管理装置に対して前記迷惑行為に係る情報を通知する通知手段と、
前記警備員管理装置から出動指令を受けた警備員により操作される警備員アバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により前記仮想空間内での迷惑行為が発生したと判定された場合に、前記迷惑行為に対処する迷惑行為対処手段と
を備えたことを特徴とする管理装置。
【請求項8】
複数のユーザがそれぞれ操作する一般用アバターが活動する仮想空間を管理する管理装置を有する仮想空間システムにおける迷惑行為対処方法であって、
前記仮想空間内での巡回又は立哨を自動的に行うAIアバターの制御を行うAIアバター制御工程と、
前記AIアバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生を検知する検知工程と、
前記検知工程において前記迷惑行為の発生が検知された場合に、所定の警備員管理装置に対して前記迷惑行為に係る情報を通知する通知工程と、
前記警備員管理装置から出動指令を受けた警備員により操作される警備員アバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生の有無を判定する判定工程と、
前記判定工程により前記仮想空間内での迷惑行為が発生したと判定された場合に、前記迷惑行為に対処する迷惑行為対処工程と
を含むことを特徴とする迷惑行為対処方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間上での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる仮想空間システム、管理装置及び迷惑行為対処方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク上に構成される多人数参加型の仮想空間(メタバース)が知られている。かかる仮想空間は、メタバース又はVRSNS(Virtual Reality Social Networking Service)とも呼ばれる。ユーザは、アバターと呼ばれる分身を用いて、仮想空間上でのユーザ間のコミュニケーションや売買取引などを行うことになる。かかる仮想空間は、現実世界と同様に、ユーザがWeb上で社会生活を送ることができる世界である。
【0003】
近年、かかる仮想空間上での迷惑行為が顕在化しているため、かかる迷惑行為に対する自衛措置を講ずる技術が知られている。例えば、特許文献1には、ユーザにより指定されたアバターをフィルタリング対象として登録し、登録されたアバターに関するデータをフィルタリングして見聞きできなくする技術が開示されている。また、特許文献2には、仮想空間上でNGワードを検知したならば、NGフィルタを用いてフィルタリングするとともに、責任者の情報端末に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4441979号公報
【特許文献2】特開2011-204178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2のものは、事後的な対応にならざるを得ず、被害の拡大を防ぐことが難しい。ユーザに対する迷惑行為者を見聞きできなくしたとしても、その後も迷惑行為者による暴言、中傷的な発言、虚偽の流布が行われたとしても防ぐことができない。このため、仮想空間上での迷惑行為をいかに迅速かつ効率的に低減するかが重要な課題となっている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点(課題)を解決するためになされたものであって、仮想空間上での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる仮想空間システム、管理装置及び迷惑行為対処方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、複数のユーザがそれぞれ操作する一般用アバターが活動する仮想空間を管理する管理装置を有する仮想空間システムであって、前記管理装置は、前記仮想空間上での巡回又は立哨を自動的に行うAIアバターの制御を行うAIアバター制御手段と、前記AIアバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生を検知する検知手段と、前記検知手段により前記迷惑行為の発生が検知された場合に、所定の警備員管理装置に対して前記迷惑行為に係る情報を通知する通知手段と、前記警備員管理装置から出動指令を受けた警備員により操作される警備員アバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生の有無を判定する判定手段と、前記判定手段により前記仮想空間内での迷惑行為が発生したと判定された場合に、前記迷惑行為に対処する迷惑行為対処手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記通知手段は、前記AIアバターにより前記迷惑行為の発生が検知された場合に、前記警備員管理装置に対して前記仮想空間における前記迷惑行為の位置、発生時刻及び緊急度の少なくとも1つを含む情報を前記迷惑行為に係る情報として通知することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記警備員管理装置は、前記管理装置から前記迷惑行為に係る情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記迷惑行為に対応する警備拠点を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された警備拠点の警備端末に対して、前記仮想空間への出動指令を行う出動指令手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記警備員管理装置は、複数の警備拠点に対応付けて対応可能人数を記憶する記憶手段をさらに備え、前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された対応可能人数の多い警備拠点を特定し、特定した警備拠点を選択することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記警備員管理装置は、警備員アバターを操作中の第1の警備員に、警備員アバターの操作を中断する必要が生じた場合には、前記警備員アバターの操作を第2の警備拠点に所属する第2の警備員に交代させるよう制御する交代制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記交代制御手段は、前記記憶手段に記憶された対応可能人数の多い警備拠点を前記第2の警備拠点として特定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、複数のユーザがそれぞれ操作する一般用アバターが活動する仮想空間を管理する管理装置であって、前記仮想空間内での巡回又は立哨を自動的に行うAIアバターの制御を行うAIアバター制御手段と、前記AIアバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生を検知する検知手段と、前記検知手段により前記迷惑行為の発生が検知された場合に、所定の警備員管理装置に対して前記迷惑行為に係る情報を通知する通知手段と、前記警備員管理装置から出動指令を受けた警備員により操作される警備員アバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生の有無を判定する判定手段と、前記判定手段により前記仮想空間内での迷惑行為が発生したと判定された場合に、前記迷惑行為に対処する迷惑行為対処手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、複数のユーザがそれぞれ操作する一般用アバターが活動する仮想空間を管理する管理装置を有する仮想空間システムにおける迷惑行為対処方法であって、前記仮想空間内での巡回又は立哨を自動的に行うAIアバターの制御を行うAIアバター制御工程と、前記AIアバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生を検知する検知工程と、前記検知工程において前記迷惑行為の発生が検知された場合に、所定の警備員管理装置に対して前記迷惑行為に係る情報を通知する通知工程と、前記警備員管理装置から出動指令を受けた警備員により操作される警備員アバターを介して、前記仮想空間内での迷惑行為の発生の有無を判定する判定工程と、前記判定工程により前記仮想空間内での迷惑行為が発生したと判定された場合に、前記迷惑行為に対処する迷惑行為対処工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、仮想空間上での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る仮想空間システムの概要の説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る仮想空間システムのシステム構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したサーバの構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した仮想空間制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、
図3に示したユーザ管理部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、
図3に示した一般用アバター部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図3に示した警備員操作用アバター部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、
図3に示したAI操作用アバター部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、
図3に示したユーザデータ及び警備ログデータの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る第1人称視点画像及び第3人称視点画像に関する表示の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態1に係る警備員操作用アバターによる警備に関する処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態1に係るAI操作用アバターによる警備に関する処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、変形例に係る仮想空間システムの概要の説明図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る仮想空間システムの概要の説明図(その1)である。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る仮想空間システムの概要の説明図(その2)である。
【
図16】
図16は、実施形態2に係る仮想空間システムのシステム構成を示す図である。
【
図18】
図18は、
図17に示した警備員操作用アバター部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図24】
図24は、実施形態2に係るアバター交換に関する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1]
以下に、本実施形態1に係る仮想空間システム、管理装置及び迷惑行為対処方法を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、説明の便宜上、「AA情報を含むデータの受信」を単に「AA情報の受信」と記載し、「BB指示を含むデータの受信」を単に「BB指示の受信」と記載し、「CC画像データの受信」を単に「CC画像の受信」と記載することとする。
【0018】
本実施形態1に係る仮想空間システムでは、一般ユーザが操作するアバター(以下、「一般用アバター」と言う)が、仮想空間の中で他の一般用アバターと会話をしたり、この一般用アバターの動作によって相互にコミュニケーションを取ることができる。
【0019】
一般用アバターが相互にコミュニケーションを取る際に、暴言を吐いたり、暴力的な行為を行う等、迷惑行為を行う場合が考えられる。このため、仮想空間における迷惑行為を早期に発見し、トラブルの拡大を防止するためのアバター(以下、「警備用アバター」と言う)を用いて、仮想空間の警備を行う。本実施形態1に係る仮想空間システムでは、警備員の操作による警備用アバター(以下、「警備員操作用アバター」と言う)及びAIの操作による警備用アバター(以下、「AI操作用アバター」と言う)を用いて、仮想空間の警備を行う。
【0020】
<実施形態1に係る仮想空間システムの概要>
図1は、本実施形態1に係る仮想空間システムの概要を説明するための説明図である。
図1に示すように、AI操作用アバターが一般用アバターによる迷惑行為を発見したならば、AI操作用アバターを警備員操作用アバターに交換する。
【0021】
警備員操作用アバターが、迷惑行為を行う一般用アバターに声掛けをし、迷惑行為の状況を確認する。警備員操作用アバターを操作する警備員により迷惑行為が規定違反と判定されたならば、迷惑行為を行った一般用アバターに対してペナルティ権限を行使する。
【0022】
このように、本実施形態1に係る仮想空間システムでは、AI操作用アバターが一般用アバターによる迷惑行為を発見した場合には、警備用アバターをAI操作用アバターから警備員操作用アバターに交換し、この警備員操作用アバターを操作する警備員により迷惑行為が規定違反と判定されたならば、迷惑行為を行った一般用アバターに対してペナルティ権限を行使するよう構成したので、仮想空間内での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる。
【0023】
<実施形態1に係るシステム構成>
次に、本実施形態1に係る仮想空間システムのシステム構成について説明する。
図2は、本実施形態1に係る仮想空間システムのシステム構成を示す図である。
図2に示すように、サーバ100、警備端末200及び複数のユーザ端末300は、インターネットを介して通信可能に接続される。
【0024】
サーバ100は、仮想空間及びアバターを制御するとともに、仮想空間システムを利用するユーザを管理する管理装置である。サーバ100は、仮想空間を設定し、この仮想空間に配置されるオブジェクトや発生する音声の制御を行う。サーバ100は、仮想空間システムを利用するユーザに係るユーザデータの管理を行う。
【0025】
また、サーバ100は、警備端末200又はユーザ端末300からログイン指示を受信したならば、ログイン処理を行い、警備端末200又はユーザ端末300に対してアバター起動画面を通知する。
【0026】
また、サーバ100は、警備端末200から警備員操作用アバター起動指示を受信したならば警備員操作用アバターを、AI操作用アバター起動指示を受信したならばAI操作用アバターを仮想空間に設置する。サーバ100は、ユーザ端末300から一般用アバター起動指示を受信したならば、一般用アバターを仮想空間に設置する。
【0027】
また、サーバ100は、一般用アバター及び警備用アバター(以下、単に「アバター」という)に係る視点画像及び音声情報を取得し、このアバターに係る警備端末200又はユーザ端末300に対して、取得した視点画像及び音声情報を通知する。サーバ100は、警備端末200又はユーザ端末300から、アバターに関する動作指示及び音声情報を受信したならば、このアバターに対する動作及び発話を制御する。
【0028】
また、サーバ100は、AI操作用アバターによる迷惑行為の判定及びこの判定結果に基づく警備員操作用アバターとAI操作用アバターの交換処理を行う。サーバ100は、警備端末200からペナルティ指示を受信したならば、このペナルティ指示に含まれるユーザIDに対してペナルティ権限を行使する。
【0029】
また、サーバ100は、警備端末200又はユーザ端末300からログアウト指示を受信したならば、このログアウト指示に係る警備員操作用アバター、AI操作用アバター又は一般用アバターを仮想空間から消去する等のログアウト処理を行う。
【0030】
警備端末200は、警備員が警備用アバターを制御する端末である。警備端末200は、ユーザID及びパスワードを含むログイン指示をサーバ100に通知し、サーバ100からアバター起動画面を受信したならば、このアバター起動画面を表示する。
【0031】
また、警備端末200は、アバター起動画面において警備員操作用アバター又はAI操作用アバターの起動指示を受信したならば、警備員操作用アバター起動指示又はAI操作用アバター起動指示をサーバ100に通知する。なお、警備員操作用アバター起動指示及びAI操作用アバター起動指示は、ユーザIDを含む。
【0032】
また、警備端末200は、警備員操作用アバター起動指示をサーバ100に通知したならば、警備員操作用アバターに対する操作の受付を許可する。
【0033】
また、警備端末200は、サーバ100から視点画像及び音声情報を受信したならば、この視点画像を表示するとともに、音声情報をスピーカから出力する。
【0034】
また、警備端末200は、マウス等の入力デバイスから警備員操作用アバターに対する動作指示を受信したならば、この動作指示をサーバ100に通知する。警備端末200は、マイクから音声情報を受信したならば、この音声情報に警備員操作用アバターの位置情報及び音量情報を付加してサーバ100に通知する。
【0035】
また、警備端末200は、ペナルティ指示を受信したならば、このペナルティ指示をサーバ100に通知する。なお、ペナルティ指示は、ペナルティの対象となる一般用アバターのユーザIDを含む。
【0036】
また、警備端末200は、ログアウト操作を受信したならば、サーバ100に対してログアウト指示を通知し、仮想空間との接続を解除する。
【0037】
ユーザ端末300は、一般ユーザが一般用アバターを操作する端末である。ユーザ端末300は、ユーザID及びパスワードを含むログイン指示をサーバ100に通知し、サーバ100からアバター起動画面を受信したならば、このアバター起動画面を表示する。
【0038】
また、ユーザ端末300は、アバター起動画面において、一般用アバター起動指示を受信したならば、この一般用アバター起動指示をサーバ100に通知する。そして、一般用アバターに対する操作の受付を許可する。なお、通知する一般用アバター起動指示は、ユーザIDを含む。
【0039】
また、ユーザ端末300は、サーバ100から視点画像及び音声情報を受信したならば、この視点画像を表示するとともに、音声情報をスピーカから出力する。
【0040】
また、ユーザ端末300は、マウス等の入力デバイスから一般用アバターに対する動作指示を受信したならば、この動作指示をサーバ100に通知する。ユーザ端末300は、マイクから音声情報を受信したならば、この音声情報に一般用アバターの位置情報及び音量情報を付加してサーバ100に通知する。
【0041】
また、ユーザ端末300は、ログアウト操作を受信したならば、サーバ100に対してログアウト指示を通知し、仮想空間との接続を解除する。
【0042】
<サーバ100の構成>
次に、
図2に示したサーバ100の構成について説明する。
図3は、
図2に示したサーバ100の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ100は、表示部101及び入力部102と接続され、通信部103、記憶部110及び制御部120を有する。
【0043】
表示部101は、液晶パネルやディスプレイ装置等である。入力部102は、キーボードやマウス等である。通信部103は、インターネットを介して警備端末200及びユーザ端末300とデータ通信するためのインタフェース部である。
【0044】
記憶部110は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、空間データ111、オブジェクトデータ112、ユーザデータ113及び警備ログデータ114を記憶する。
【0045】
空間データ111は、仮想空間を提供するために規定されたテンプレートを示すデータである。オブジェクトデータ112は、仮想空間において使用されるオブジェクトや再生されるコンテンツ等を示すデータである。このコンテンツは、例えば、ライブなどのイベント、現実社会と同様の風景を表したコンテンツやユーザごとに設定されたアバターの情報等を含む。
【0046】
ユーザデータ113は、一般用アバター又は警備用アバターを操作するユーザの情報を示すデータである。このユーザ情報は、ユーザID及びパスワードを含む。警備ログデータ114は、警備用アバターが検知した迷惑行為に係る情報及びこの迷惑行為に対して対応した情報を示すデータである。
【0047】
制御部120は、サーバ100の全体制御を行う制御部であり、仮想空間制御部130、ユーザ管理部140、一般用アバター部150、警備員操作用アバター部160及びAI操作用アバター部170を有する。実際には、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、仮想空間制御部130、ユーザ管理部140、一般用アバター部150、警備員操作用アバター部160及びAI操作用アバター部170にそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0048】
仮想空間制御部130は、仮想空間を設定し、この仮想空間に配置されるオブジェクトや発生する音声の制御を行う処理部である。ユーザ管理部140は、ユーザデータ113の管理並びに仮想空間システムへのログイン及びログアウトの制御を行う処理部である。
【0049】
一般用アバター部150は、一般用アバターに対する操作の制御を行う処理部である。警備員操作用アバター部160は、警備員操作用アバターに対する操作の制御及びペナルティ権限の行使を行う処理部である。AI操作用アバター部170は、AI操作用アバターに対する操作、迷惑行為の判定及びアバターの交換要請を行う処理部である。
【0050】
<仮想空間制御部130の構成>
次に、
図3に示した仮想空間制御部130の構成について説明する。
図4は、
図3に示した仮想空間制御部130の構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、仮想空間制御部130は、仮想空間設定部131、仮想オブジェクト制御部132、操作オブジェクト制御部133及び音声制御部134を有する。
【0051】
仮想空間設定部131は、仮想空間の設定を行う処理部である。仮想空間設定部131は、空間データ111を用いて、仮想空間の設定を行う。
【0052】
仮想オブジェクト制御部132は、仮想空間に配置するオブジェクトの設定及び制御を行う処理部である。仮想オブジェクト制御部132は、オブジェクトデータ112を用いて、ライブなどのイベント、現実社会と同様の風景を表したコンテンツやユーザごとに設定されたアバターを仮想空間に配置する。
【0053】
操作オブジェクト制御部133は、仮想空間に配置されるオブジェクトを操作するための操作オブジェクトを仮想空間に配置する処理部である。操作オブジェクト制御部133は、アバターを操作するユーザの手に相当する手オブジェクト、ユーザの指に相当する指オブジェクト等を仮想空間に配置する。ユーザは、この操作オブジェクトを用いて、仮想空間に配置されたオブジェクト等に接触することができる。
【0054】
音声制御部134は、仮想空間において発生する音声の制御を行う処理部である。音声制御部134は、仮想空間に配置されたオブジェクトから発生する音声の音声情報、並びに、警備端末200及びユーザ端末300から受信した音声情報に関して、次の処理を行う。音声情報に含まれる位置情報及び音量情報から、音声が届く範囲を特定し、この範囲内に存在するアバターに係る一般用アバター部150、警備員操作用アバター部160及びAI操作用アバター部170に対して、音声の位置情報を含む音声情報を受け渡す。
【0055】
<ユーザ管理部140の構成>
次に、
図3に示したユーザ管理部140の構成について説明する。
図5は、
図3に示したユーザ管理部140の構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、ユーザ管理部140は、ユーザデータ管理部141及びログイン制御部142を有する。
【0056】
ユーザデータ管理部141は、ユーザデータ113を管理する処理部である。ユーザデータ管理部141は、入力部102からユーザに関する情報を受信したならば、受信した情報をユーザデータ113に記憶する。このユーザ情報は、ユーザID及びパスワードを含む。
【0057】
ログイン制御部142は、仮想空間システムへのログイン及びログアウトの制御を行う処理部である。ログイン制御部142は、警備端末200又はユーザ端末300からログイン指示を受信したならば、このログイン指示に含まれるユーザID及びパスワード並びにユーザデータ113を用いてログイン処理を行う。そして、ログイン指示を受信した警備端末200又はユーザ端末300に対して、アバター起動画面を通知する。
【0058】
また、ログイン制御部142は、警備端末200又はユーザ端末300からログアウト指示を受信したならば、ログアウト処理を行う。このログアウト処理には、ログアウト指示を受信した警備端末200又はユーザ端末300が操作するアバターを仮想空間から消去する処理を含む。
【0059】
<一般用アバター部150の構成>
次に、
図3に示した一般用アバター部150の構成について説明する。
図6は、
図3に示した一般用アバター部150の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、一般用アバター部150は、起動部151、画像取得部152、音声取得部153、操作部154及び発話部155を有する。
【0060】
起動部151は、一般用アバターの起動を行う処理部である。起動部151は、ユーザ端末300から一般用アバター起動指示を受信したならば、仮想空間に一般用アバターを設置する。
【0061】
画像取得部152は、一般用アバターの視点画像を取得する処理部である。画像取得部152は、仮想空間における一般用アバターの位置及び方向から、一般用アバターからの視点画像を取得し、ユーザ端末300に通知する。この視点画像には、一般用アバター自体の画像を含まない第1人称視点画像及び一般用アバター自体の画像を含む第3人称視点画像を含む。
【0062】
音声取得部153は、一般用アバターの位置から聞こえる音声情報を取得する処理部である。音声取得部153は、音声制御部134から受け取った音声情報及び一般用アバターの位置情報を用いて、一般用アバターの位置から聞こえる音声情報を取得し、ユーザ端末300に通知する。
【0063】
操作部154は、一般用アバターの動作の制御を行う処理部である。操作部154は、ユーザ端末300から一般用アバターに関する動作指示を受信したならば、受信した動作指示に基づいて一般用アバターを動作させる。
【0064】
発話部155は、一般用アバターの発話の制御を行う処理部である。発話部155は、ユーザ端末300から音声情報を受信したならば、この音声情報を音声制御部134に受け渡す。なお、この音声情報は、音声の位置情報及び音量情報を含む。
【0065】
<警備員操作用アバター部160の構成>
次に、
図3に示した警備員操作用アバター部160の構成について説明する。
図7は、
図3に示した警備員操作用アバター部160の構成を示す機能ブロック図である。
図7に示すように、警備員操作用アバター部160は、共通機能部161及び警備員操作用専用機能部162を有する。
【0066】
共通機能部161は、画像取得部152、音声取得部153、操作部154及び発話部155を有する。共通機能部161は、一般用アバター部150と共通した機能部であり、細部の説明は省略する。なお、一般用アバター部150の送受信先の端末として対応付けられる端末がユーザ端末300であるのに対し、共通機能部161に対応付けられる端末は、警備端末200である。
【0067】
警備員操作用専用機能部162は、起動部163、アバター交換要請受領部164、アバター交換部165及びペナルティ権限部166を有する。
【0068】
起動部163は、警備員操作用アバターの起動を行う処理部である。起動部163は、警備端末200から警備員操作用アバター起動指示を受信したならば、この警備員操作用アバター起動指示に含まれるユーザIDと関連付けて警備員操作用アバターを仮想空間に設置する。
【0069】
アバター交換要請受領部164は、アバター交換要請を受領する処理部である。アバター交換要請受領部164は、AI操作用アバター部170からアバター交換要請を受け取ったならば、このアバター交換要請に含まれる位置情報(以下、「交換要請位置情報」と言う)をアバター交換部165に受け渡す。
【0070】
アバター交換部165は、アバターの交換処理を行う処理部である。アバター交換部165は、アバター交換要請受領部164から交換要請位置情報を受け取ったならば、警備員操作用アバターの位置情報を含むAI操作指示をAI操作用アバター部170に受け渡す。そして、現在の位置の警備員操作用アバターを消去し、交換要請位置情報が示す仮想空間の位置に警備員操作用アバターを設置する。
【0071】
ペナルティ権限部166は、ペナルティを行使する処理部である。ペナルティ権限部166は、警備端末200からペナルティ指示を受信したならば、このペナルティ指示に含まれるユーザIDに対して、所定のペナルティを行使する。例えば、対象となるユーザIDの所定期間の利用停止、ライブ会場等の公共性の高い施設オブジェクトへの入場禁止等のペナルティを行使する。また、仮想空間を管理する管理者端末に対して、迷惑行為発生の旨を通知してもよい。
【0072】
また、ペナルティ権限部166は、ペナルティを行使したならば、対象となるユーザIDに対応付けて、ユーザデータ113のペナルティの項目及び警備ログデータ114の判定の項目に「ペナルティ有」と記憶して更新するするとともに、行使したペナルティの内容を記憶する。なお、一般用アバターがログインをしようとする場合に、ユーザデータ113を参照することで、ペナルティ有の場合は内容に応じた処理(ログイン制限など)が行われる。
【0073】
<AI操作用アバター部170の構成>
次に、
図3に示したAI操作用アバター部170の構成について説明する。
図8は、
図3に示したAI操作用アバター部170の構成を示す機能ブロック図である。
図8に示すように、AI操作用アバター部170は、共通機能部171及びAI操作用専用機能部172を有する。
【0074】
共通機能部171は、画像取得部152及び音声取得部153を有する。共通機能部171は、一般用アバター部150と共通した機能部であり、細部の説明は省略する。なお、取得した視点画像及び音声情報は他の端末に通知しない。
【0075】
AI操作用専用機能部172は、起動部173、移動制御部174、迷惑行為判定部175、アバター交換要請部178及びアバター交換部179を有する。
【0076】
起動部173は、AI操作用アバターの起動を行う処理部である。起動部173は、警備端末200からAI操作用アバター起動指示を受信したならば、このAI操作用アバター起動指示に含まれるユーザIDと関連付けてAI操作用アバターを仮想空間に設置する。
【0077】
移動制御部174は、AI操作用アバターの行動を制御する処理部である。移動制御部174は、仮想空間の所定の経路に沿ってAI操作用アバターを巡回させる。この際、所定の場所に留まって立哨させることもできる。なお、AI操作用アバターの操作はAIにより行う。例えば、AI操作用アバターを巡回及び立哨させる操作では、一般用アバターの行動の妨げならないようにAIが操作する。
【0078】
迷惑行為判定部175は、迷惑行為の判定を行う処理部であり、行動判定部176及び音声判定部177を有する。迷惑行為判定部175は、行動判定部176又は音声判定部177において、一般用アバターの行動が迷惑行為と判定されたならば、対象となる一般用アバターのユーザIDに対応付けて、日時、場所、状況を警備ログデータ114に記憶する。なお、警備ログデータ114の判定の項目は「ペナルティ無」と記憶する。また、一般用アバターから発出されたテキスト情報が迷惑行為となるか否かを判定するよう構成することもできる。
【0079】
行動判定部176は、一般用アバターの動作に対する迷惑行為の判定を行う処理部である。行動判定部176は、共通機能部171の画像取得部152により取得した視点画像及び図示しない画像AIを用いて、一般用アバターの動作に対する迷惑行為の判定を行う。例えば、一般用アバター間の距離が所定の距離より近い場合や、手や足の動作が暴力的な行動として画像AIが検知したならば、迷惑行為と判定する。
【0080】
音声判定部177は、一般用アバターの発話に対する迷惑行為の判定を行う処理部である。音声判定部177は、共通機能部171の音声取得部153により取得した音声情報及び図示しない音声AIを用いて、一般用アバターの発話に対する迷惑行為の判定を行う。例えば、暴言に相当する発話や、音声量が所定値を超えたことを音声AIが検知したならば、迷惑行為と判定する。
【0081】
アバター交換要請部178は、アバター交換要請を行う処理部である。アバター交換要請部178は、迷惑行為判定部175において一般用アバターの行動が迷惑行為と判定されたならば、AI操作用アバターの位置情報を含むアバター交換要請を警備員操作用アバター部160に受け渡す。
【0082】
アバター交換部179は、アバターの交換処理を行う処理部である。アバター交換部179は、警備員操作用アバター部160からAI操作指示を受け取ったならば、現在の位置のAI操作用アバターを消去する。そして、受け取ったAI操作指示に含まれる位置情報が示す仮想空間の位置にAI操作用アバターを設置する。
【0083】
次に、
図3に示したサーバ100の記憶部110が記憶するデータの具体例について説明する。
図9は、
図3に示したユーザデータ113及び警備ログデータ114の一例を示す図である。
【0084】
図9(a)に示すユーザデータ113は、ユーザID「NAB1234」に対して、ユーザ区分が「一般」であり、ニックネームが「TARO」であり、氏名が「特許太郎」であり、ペナルティが「有」である状態を対応付け、ユーザID「NAB1567」に対して、ユーザ区分が「一般」であり、ニックネームが「HANA」であり、氏名が「開発花子」であり、ペナルティが「無」である状態を対応付け、ユーザID「KAB2345」に対して、ユーザ区分が「警備」であり、ニックネームが「警備員」であり、氏名が「ABC警備」であり、ペナルティが「-」である状態を対応付けている。なお、ペナルティが「有」の場合には、行使したペナルティの内容も記憶する。ここでは、行使したペナルティが「ログイン制限」である状況を示している。
【0085】
図9(b)に示す警備ログデータ114は、日時「2023/05/01 14:20:15」に対して、ユーザIDが「NAB1567」であり、場所が「ロビー」であり、状況が「大声」であり、判定が「ペナルティ無」である状態を対応付け、日時「2023/05/01 14:35:50」に対して、ユーザIDが「NAB1234」であり、場所が「カフェXYZ」であり、状況が「暴言」であり、判定が「ペナルティ有」である状態を対応付けている。
【0086】
<実施形態1に係る第1人称視点画像及び第3人称視点画像に関する表示の一例>
次に、本実施形態1に係る第1人称視点画像及び第3人称視点画像に関する表示の一例について説明する。
図10は、本実施形態1に係る第1人称視点画像及び第3人称視点画像に関する表示の一例を示す図である。
【0087】
図10(a)に示すように、第1人称視点画像では、アバターの視点から見える仮想空間が表示され、アバター自体の画像は表示されない。
【0088】
図10(b)に示すように、第3人称視点画像では、アバターの視点から見える仮想空間が、アバター自体の画像を含めて表示される。第3人称視点画像では、アバターの後方に視点を置き、アバターを含めた仮想空間が表示されるイメージとなる。
【0089】
<実施形態1に係る警備員操作用アバターによる警備に関する処理手順>
次に、本実施形態1に係る警備員操作用アバターによる警備に関する処理手順について説明する。
図11は、本実施形態1に係る警備員操作用アバターによる警備に関する処理手順を示すフローチャートである。
【0090】
仮想空間の警備を担当する警備員が、警備端末200によりユーザIDやパスワードを入力するログイン操作を行うと、警備端末200よりユーザIDとパスワードを含むログイン指示がサーバ100に通知される。サーバ100は、警備端末200からのログイン指示を受信すると(ステップS101;Yes)、ログイン処理を行い、当該警備端末200にアバター起動画面を通知する。
【0091】
警備端末200は、サーバ100からアバター起動画面を受信すると、アバター起動画面を表示し、警備員による警備員操作用アバター又はAI操作用アバターの起動指示を受信すると、警備員操作用アバター起動指示又はAI操作用アバター起動指示をサーバ100に通知する。また、警備端末200は、警備員操作用アバター起動指示をサーバ100に通知すると、警備員による警備員操作用アバターに対する操作の受付を許可する。サーバ100は、警備端末200よりAI操作用アバター起動指示を受信したならば(ステップS102;Yes)、AI操作用アバターを仮想空間に設置し(ステップS103)、AI操作による巡回や立哨を開始する。
【0092】
なお、サーバ100は、ステップS101において、警備端末200からのログイン指示を受信しなければ(ステップS101;No)、ログイン指示があるまで待機する。また、ステップS102において、AI操作用アバター起動指示を受信していなければ(ステップS102;No)、AI操作用アバターを仮想空間に設置せず、ステップS104に移行する。
【0093】
次に、サーバ100は、警備端末200より警備員操作用アバター起動指示を受信したならば(ステップS104;Yes)、警備員操作用アバターを仮想空間に設置し(ステップS105)、警備員操作による警備を開始し巡回や立哨を行う(ステップS106)。なお、サーバ100は、ステップS104において、警備員操作用アバター起動指示を受信していなければ(ステップS104;No)、警備員操作用アバター起動指示があるまで待機する。
【0094】
サーバ100は、仮想空間に設置したAI操作用アバター及び警備員操作用アバターに係る視点画像及び音声情報を取得し、当該アバターに係る警備端末200に通知する。警備端末200では、サーバ100から視点画像及び音声情報を受信すると、この視点画像を表示するとともに、音声情報をスピーカから出力する。
【0095】
また、警備端末200は、警備員による警備員操作用アバターに対する動作指示や音声情報を受信した場合、動作指示や音声情報をサーバ100に通知する。サーバ100では、警備端末200からの動作指示や音声情報を受信すると、当該警備員操作用アバターの動作及び発話を制御する。
【0096】
サーバ100は、仮想空間に設置したAI操作用アバターに係る視点画像及び音声情報をもとに、一般用アバターの動作や発言に迷惑行為に該当するものがあると判定した場合、アバター交換の要請があると判断する(ステップS107;Yes)。そして、現在の位置の警備員操作用アバターを消去し、迷惑行為に該当する視点画像や音声情報を取得しているAI操作用アバターの位置情報が示す仮想空間の位置に警備員操作用アバターを設置するとともに、警備員操作用アバターを消去したときの位置情報が示す仮想空間の位置にAI操作用アバターを設置することで、警備員操作用アバターとAI操作用アバターのアバター交換処理を行う(ステップS108)。なお、ステップS107において、アバター交換の要請がなければ(ステップS107;No)、ステップS109に移行する。
【0097】
警備員操作用アバターを操作している警備員は、警備端末200に表示又は出力される警備員操作用アバターに係る視点画像及び音声情報をもとに、仮想空間に設置されている一般用アバターが迷惑行為を行っていないかを監視している。警備員が一般用アバターによる迷惑行為を発見しなかったならば(ステップS109;No)、ステップS112に移行する。
【0098】
警備員は、一般用アバターによる迷惑行為を発見したならば(ステップS109;Yes)、警備員操作用アバターを操作することで迷惑行為者に対して声掛けして迷惑行為の停止などの説得を行う。説得に成功したならば(ステップS110;Yes)、迷惑行為は解消したと判断しステップS112に移行する。説得に失敗し迷惑行為が継続した場合(ステップS110;No)、警備員は迷惑行為を行っている一般用アバターの操作者に対してペナルティ権限を行使するため、当該一般用アバターのユーザIDやペナルティの内容を含むペナルティ指示を通知する(ステップS111)。
【0099】
警備員操作用アバターを操作している警備員は、警備員操作用アバターによる仮想空間内の巡回や立哨を終了する場合、警備端末200にてログアウト操作を行う。警備端末200は、ログアウト操作を受信すると、当該警備員操作用アバター及びAI操作用アバターのユーザIDを含むログアウト指示をサーバ100へ通知するとともに、警備員による警備員操作用アバターに対する操作の受付を終了する。
【0100】
サーバ100は、ログアウト指示を受信すると(ステップS112;Yes)、ログアウト指示に含まれるユーザIDをもとに該当する警備員操作用アバター及びAI操作用アバターを仮想空間から消去するログアウト処理を行い(ステップS113)、処理を終了する。なお、サーバ100は、警備端末200からログアウト指示を受信していないならば(ステップS112;No)、ステップS106に移行する。
【0101】
<実施形態1に係るAI操作用アバターによる警備に関する処理手順>
次に、本実施形態1に係るAI操作用アバターによる警備に関する処理手順について説明する。
図12は、本実施形態1に係るAI操作用アバターによる警備に関する処理手順を示すフローチャートである。
【0102】
図11に示すフローチャートのステップS102において、サーバ100は、警備端末200よりAI操作用アバター起動指示を受信したならば(ステップS102;Yes)、AI操作用アバターを仮想空間に設置し(ステップS103)、AI操作による巡回や立哨を開始する。
サーバ100は、AI操作用アバターを起動し巡回や立哨を開始したならば(ステップS201;Yes)、AI操作による警備を行う(ステップS202)。ステップS201において、AI操作用アバターを起動していなければ(ステップS104;No)、AI操作用アバターの起動まで待機する。
【0103】
サーバ100は、仮想空間に設置したAI操作用アバターに係る視点画像及び音声情報を取得し、取得した音声情報及び音声AIを用いて一般用アバターの発話に対する迷惑行為の判定を行う(ステップS203)。また、サーバ100は、取得した視点画像及び画像AIを用いて一般用アバターの動作に対する迷惑行為の判定を行う(ステップS204)。音声判定及び画像判定のいずれにおいても迷惑行為との判定がなされなかったならば(ステップS203;No、ステップS204;No)、ステップS208に移行する。
【0104】
サーバ100は、音声判定において一般用アバターの行動が迷惑行為と判定された(ステップS203;Yes)、又は、画像判定において迷惑行為と判定されたならば(ステップS203;No、ステップS204;Yes)、警備員による状況の確認と対応が必要であると判断しAI操作用アバターと警備員操作用アバターのアバター交換要請を行う(ステップS205)。
【0105】
そして、サーバ100は、当該AI操作用アバターを消去し、警備員操作用アバターを消去したときの位置情報が示す仮想空間の位置にAI操作用アバターを設置し、AI操作用アバターと警備員操作用アバターのアバター交換処理が完了したならば(ステップS206;Yes)、交換後のAI操作用アバターでAI操作による警備を行う(ステップS207)。ステップS206において、アバター交換処理が完了していなければ(ステップS206;No)、アバター交換処理が完了するまで待機する。
【0106】
サーバ100は、警備端末200からログアウト指示を受信していないならば(ステップS208;No)、ステップS202に移行する。ログアウト指示を受信したならば(ステップS208;Yes)、ログアウト指示に含まれるユーザIDをもとに該当するAI操作用アバターを仮想空間から消去するログアウト処理を行い(ステップS209)、処理を終了する。
【0107】
上述してきたように、本実施形態1に係る仮想空間システムでは、AI操作用アバターが一般用アバターによる迷惑行為を発見した場合には、警備用アバターをAI操作用アバターから警備員操作用アバターに交換し、この警備員操作用アバターを操作する警備員により迷惑行為が規定違反と判定されたならば、迷惑行為を行った一般用アバターに対してペナルティ権限を行使するよう構成している。これにより、同じ動作や言葉を一律に迷惑行為としてフィルタリングしてしまうことなく、自由度を確保しつつ仮想空間内での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる。また、AI操作用アバターを仮想空間内で巡回・立哨させることで犯罪抑止効果を得ることができる。
【0108】
なお、上記の実施形態1では、仮想空間の警備に関する処理やデータの管理をサーバに集中させる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ブロックチェーン技術を活用したWeb3.0において、仮想空間の仮想空間システムを構築するよう構成することもできる。Web3.0では、ブロックチェーン技術によって各種データが分散管理され、不正アクセスや情報漏洩、データ改ざんなどのリスクを低減することができる。
【0109】
また、上記の実施形態1では、AI操作用アバターにおいて、画像AI及び音声AIを用いた迷惑行為の自動検知を行う構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、警備員操作用アバターにおいて、画像AI及び音声AIを用いた迷惑行為の自動検知を行うよう構成することもできる。
【0110】
また、上記の実施形態1では、警備員操作用アバター及びAI操作用アバターを用いて仮想空間の警備を行う構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、警備員操作用アバターのみを用いて仮想空間の警備を行うよう構成することもできる。
【0111】
[変形例]
ところで、上記の実施形態1では、AI操作用アバターがAI操作によって仮想空間の警備を行う構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。AI操作によるドローンアバター及び防犯カメラオブジェクトを用いて警備を行うよう構成することもできる。本変形例では、AI操作用アバターとしてAI操作によるドローンアバター及び防犯カメラオブジェクトを用いて警備を行う仮想空間システムについて説明する。
【0112】
<変形例に係る仮想空間システムの概要>
本変形例に係る仮想空間システムの概要について説明する。
図13は、本変形例に係る仮想空間システムの概要の説明図である。
【0113】
図13に示すように、本変形例に係る仮想空間システムでは、AI操作によるドローンアバターが仮想空間の空中を移動して警備を行う。また、仮想空間の施設オブジェクト等に設置された防犯カメラオブジェクトにより、固定位置での警備を行う。
【0114】
ドローンアバター及び防犯カメラオブジェクトにより警備を行うことにより、迷惑行為を直接発見することができるとともに、一般用アバターに対する迷惑行為の抑止効果を期待することができる。
【0115】
上述してきたように、本変形例に係る仮想空間システムでは、AI操作によるドローンアバター及び防犯カメラオブジェクトを用いて警備を行うよう構成したので、仮想空間内での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる。
【0116】
[実施形態2]
ところで、上記の実施形態1では、AI操作用アバターが一般用アバターによる迷惑行為を発見した場合に、警備用アバターをAI操作用アバターからログイン中の警備員操作用アバターに交換する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0117】
AI操作用アバターが一般用アバターによる迷惑行為を発見した場合に、警備会社等の各警備拠点のうち適切な警備拠点を選定して、迷惑行為の発生を通知し対応を要請することで、この警備拠点で待機中の警備員による警備員操作用アバターに交換するよう構成することもできる。本実施形態2では、警備組織の各警備拠点から適切な警備拠点を選定して、迷惑行為の発生を通知し対応を要請することで、この警備拠点の警備員による警備員操作用アバターに交換する仮想空間システムについて説明する。
【0118】
<実施形態2に係る仮想空間システムの概要>
図14及び
図15は、本実施形態2に係る仮想空間システムの概要を説明するための説明図である。
図14に示すように、AI操作用アバターが一般用アバターによる迷惑行為が発生していると判定したならば、対応可能人数が最も多い警備拠点に出動要請を通知する。例えば、
図14の例では、A支社にて待機中であり迷惑行為への対応が可能な警備員の人数(以下、「対応可能人数」という。)が6名で最も多いので、A支社に対して出動要請を通知する。
【0119】
出動要請を受けたA支社の警備員が仮想空間システムにログインし、AI操作用アバターをA支社の警備員操作による警備員操作用アバターに交換して迷惑行為を行っている一般用アバターへの対応を行う。
【0120】
また、
図15に示すように、C支社の警備員が警備員操作用アバターで迷惑行為を行っている者への対応中に、現実空間での対応業務が発生した場合、対応可能人数が最も多い警備拠点に出動要請を通知する。例えば、A支社の対応可能人数が6名で最も多いので、A支社に対して出動要請を通知する。
【0121】
出動要請を受けたA支社の警備員が仮想空間システムにログインし、C支社の警備員による対応内容を引き継ぐ。例えば、会話ログが「お前は・・・」であり、対応内容が「暴言の事実は確認済み」であることを引き継ぐ。
【0122】
そして、警備用アバターをA支社の警備員が操作する警備員操作用アバターに交換して、A支社の警備員が警備員操作用アバターにて迷惑行為を行っている一般用アバターへの対応を行う。引継ぎ内容は警備員操作用アバターの視点画像内に挿入した状態で画面に表示し、A支社の警備員は、画面に表示される引継ぎ内容を確認しつつ警備員操作用アバターを操作することにより迷惑行為を行っている一般用アバターへの対応を継続する。
【0123】
このように、本実施形態2に係る仮想空間システムでは、警備用アバターの交換を行う場合に、警備会社等の各警備拠点のうち適切な警備拠点を選定して、この警備拠点で待機中の警備員に迷惑行為を行っている一般用アバターへの対応を実施させるよう構成したので、仮想空間内での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる。
【0124】
<実施形態2に係るシステム構成>
次に、本実施形態2に係る仮想空間システムのシステム構成について説明する。
図16は、本実施形態2に係る仮想空間システムのシステム構成を示す図である。
図16に示すように、サーバ400、警備員管理サーバ500、複数の警備端末600及び複数のユーザ端末300は、インターネットを介して通信可能に接続される。なお、
図2に示した実施形態1の仮想空間システムと同様の機能についての説明は省略する。
【0125】
サーバ400は、仮想空間及びアバターを制御するとともに、仮想空間システムを利用するユーザを管理する管理装置である。サーバ400は、警備端末600からアバター交換引継ぎ情報を受信したならば、このアバター交換引継ぎ情報をアバター交換引継データに記憶する。
【0126】
また、サーバ400は、警備端末600からアバター交換要請を受信したならば、このアバター交換要請を警備員管理サーバ500に通知する。サーバ400は、AI操作用アバターが一般用アバターの言動を迷惑行為と判定したならば、当該AI操作用アバターのID(以下、「AIアバターID」と言う。)を要請者IDとし、要請者IDを含むアバター交換要請を警備員管理サーバ500に通知する。
【0127】
また、サーバ400は、警備端末600から警備員操作用アバター起動指示を受信したならば、この警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDに係るアバターを消去するとともに、要請者IDに係るアバターの位置情報が示す仮想空間の位置に出動者IDと関連付けた警備員操作用アバターを仮想空間に設置する。なお、警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDが警備員操作用アバターのユーザIDであったならば、この要請者IDに係るアバター交換引継データを警備員操作用アバターの視点画像の所定の位置に表示する。また、サーバ400は、警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDがAIアバターIDであるならば、新たなAI操作用アバターを仮想空間の所定の位置に設置する。
【0128】
警備員管理サーバ500は、警備会社等の施設に設置され、警備員の管理を行う警備員管理装置である。警備員管理サーバ500は、警備端末600から警備員管理情報を受信したならば、この警備員管理情報を警備員管理データに記憶して更新する。
【0129】
また、警備員管理サーバ500は、サーバ400からアバター交換要請を受信したならば、警備員管理データから対応可能人数が最も多い警備拠点のユーザIDを特定し、このユーザIDを出動者IDとして、出動者ID及びアバター交換要請に含まれる要請者IDを出動指令に含め、サーバ400に通知する。また、出動者IDに係る警備端末600に対しても、出動指令を通知する。
【0130】
警備端末600は、警備員が警備用アバターを制御する端末である。警備端末600は、警備員の操作によるアバター交換要請及びアバター交換引継ぎ情報を受け付けたならば、自端末のユーザIDを要請者IDとして、このアバター交換要請及びアバター交換引継ぎ情報に含ませ、それぞれの情報をサーバ400に通知する。なお、アバター交換要請には緊急度が含まれており、例えば、高/中/低で指定する。
【0131】
また、警備端末600は、警備員管理サーバ500から出動指令を受信したならば、出動指令の内容を出動指令画面に表示する。警備端末600は、出動指令画面において、出動操作を受け付けたならば、警備員管理サーバ500から受信した出動指令を警備員操作用アバター起動指示として、サーバ400に通知する。
【0132】
また、警備端末600は、仮想空間における警備に関する対応可能人数を受け付けたならば、この対応可能人数、自装置のユーザID及び警備拠点名を警備員管理情報として警備員管理サーバ500に通知する。
【0133】
なお、ユーザ端末300は、
図2に示したユーザ端末300と同様の端末であり、細部の説明は省略する。
【0134】
<サーバ400の構成>
次に、
図16に示したサーバ400の構成について説明する。
図17は、
図16に示したサーバ400の構成を示す機能ブロック図である。
図17に示すように、サーバ400は、表示部101及び入力部102と接続され、通信部103、記憶部410及び制御部420を有する。なお、
図3に示したサーバ100と同様の機能部についての説明は省略する。
【0135】
記憶部410は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、空間データ111、オブジェクトデータ112、ユーザデータ113、警備ログデータ114及びアバター交換引継データ415を記憶する。アバター交換引継データ415は、アバター交換を行った際に引き継いだ内容を示すデータである。
【0136】
制御部420は、サーバ400の全体制御を行う制御部であり、仮想空間制御部130、ユーザ管理部140、一般用アバター部150、警備員操作用アバター部460、AI操作用アバター部470及びアバター交換制御部480を有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、仮想空間制御部130、ユーザ管理部140、一般用アバター部150、警備員操作用アバター部460、AI操作用アバター部470及びアバター交換制御部480にそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0137】
警備員操作用アバター部460は、警備員操作用アバターに対する操作の制御、アバターの交換要請及びペナルティ権限の行使を行う処理部である。AI操作用アバター部470は、AI操作用アバターに対する操作、迷惑行為の判定及びアバターの交換要請を行う処理部である。アバター交換制御部480は、アバター交換処理及びアバター交換の際の引継ぎ処理を行う処理部である。
【0138】
<警備員操作用アバター部460の構成>
次に、
図17に示した警備員操作用アバター部460の構成について説明する。
図18は、
図17に示した警備員操作用アバター部460の構成を示す機能ブロック図である。
図18に示すように、警備員操作用アバター部460は、共通機能部161及び警備員操作用専用機能部462を有する。なお、
図7に示した警備員操作用アバター部160と同様の機能部についての説明は省略する。
【0139】
警備員操作用専用機能部462は、起動部463、アバター交換要請受領部164、アバター交換部165、ペナルティ権限部166、アバター交換要請部467及びアバター交換引継部468を有する。
【0140】
起動部463は、警備員操作用アバターの起動を行う処理部である。起動部463は、警備端末600から警備員操作用アバター起動指示を受信したならば、この警備員操作用アバター起動指示に含まれる出動者IDと関連付けて警備員操作用アバターを仮想空間に設置する。この際、警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDに係るアバターの位置情報に基づいた仮想空間の位置に設置する。
【0141】
また、起動部463は、警備端末600から受信した警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDが警備員操作用アバターのユーザID(例えば、ユーザIDの最初の3文字が「KAB」)であったならば、要請者ID及び出動者IDを含む引継ぎ依頼をアバター交換制御部480に受け渡す。
【0142】
アバター交換要請部467は、アバター交換要請を行う処理部である。アバター交換要請部467は、警備端末600からアバター交換要請及びアバター交換引継ぎ情報を受信したならば、受信したそれぞれの情報に警備員操作用アバターの位置情報及び時刻情報を含めて、アバター交換要請は警備員管理サーバ500に通知し、アバター交換引継ぎ情報はアバター交換制御部480に受け渡す。
【0143】
アバター交換引継部468は、アバター交換引継ぎ情報の表示制御を行う処理部である。アバター交換引継部468は、アバター交換制御部480から引継ぎ指示を受け取ったならば、この引継ぎ指示に含まれる要請者IDを抽出し、この要請者IDに係るアバター交換引継データ415のデータを特定する。そして、画像取得部152が取得した視点画像の所定の位置に、特定したアバター交換引継データ415のデータを張り付ける。
【0144】
<AI操作用アバター部470の構成>
次に、
図17に示したAI操作用アバター部470の構成について説明する。
図19は、
図17に示したAI操作用アバター部470の構成を示す機能ブロック図である。
図19に示すように、AI操作用アバター部470は、共通機能部171及びAI操作用専用機能部472を有する。なお、
図8に示したAI操作用アバター部170と同様の機能部についての説明は省略する。
【0145】
AI操作用専用機能部472は、起動部173、移動制御部174、迷惑行為判定部175、アバター交換要請部478及びアバター交換部479を有する。
【0146】
アバター交換要請部478は、アバター交換要請を行う処理部である。アバター交換要請部478は、迷惑行為判定部175において一般用アバターの行動が迷惑行為と判定されたならば、アバター交換要請を警備員管理サーバ500に通知する。このアバター交換要請には、AIアバターIDを要請者IDとしたもの、AI操作用アバターの位置情報、時刻情報及び緊急度を含む。緊急度は、迷惑行為判定部175の判定に基づいて、その緊急の程度を指定する。例えば、迷惑行為の対象となる一般用アバターの行動や音声の大きさから、高/中/低で指定する。
【0147】
アバター交換部479は、アバターの交換処理を行う処理部である。アバター交換部479は、アバター交換制御部480からアバター交換指示を受け取ったならば、このアバター交換指示に含まれるAIアバターIDに対応するAI操作用アバターを仮想空間から消去し、新たなAI操作用アバターを仮想空間の所定の位置に設置する。
【0148】
<アバター交換制御部480の構成>
次に、
図17に示したアバター交換制御部480の構成について説明する。
図20は、
図17に示したアバター交換制御部480の構成を示す機能ブロック図である。
図20に示すように、アバター交換制御部480は、アバター交換処理部481及びアバター交換引継部482を有する。
【0149】
アバター交換処理部481は、アバターの交換処理を行う処理部である。アバター交換処理部481は、警備員管理サーバ500から出動指令を受信し、この出動指令に含まれる要請者IDがAIアバターIDであるならば、AIアバターIDを含むアバター交換指示をAI操作用アバター部470に受け渡す。
【0150】
アバター交換引継部482は、アバター交換引継ぎ情報の受け渡しを行う処理部である。アバター交換引継部482は、警備員操作用アバター部460からアバター交換引継ぎ情報を受け取ったならば、このアバター交換引継ぎ情報をアバター交換引継データ415に記憶する。
【0151】
また、アバター交換引継部482は、警備員操作用アバター部460から引継ぎ依頼を受け取ったならば、この引継ぎ依頼に含まれる要請者ID及び出動者IDを抽出し、この要請者IDに係るアバター交換引継データ415のデータに、出動者IDを記憶する。そして、この出動者IDに係る警備員操作用アバター部460に対して、要請者IDを含む引継ぎ指示を受け渡す。
【0152】
次に、
図17に示したサーバ400の記憶部410が記憶するデータの具体例について説明する。
図21は、
図17に示したアバター交換引継データ415の一例を示す図である。
【0153】
図21に示すアバター交換引継データ415は、日時「2023/05/01 14:40:20」に対して、要請者IDが「KAB6789」であり、出動者IDが「KAB2345」であり、場所が「カフェXYZ」であり、対象ユーザIDが「NAB1234」であり、引継内容が「暴言の事実について本人確認済み」である状態を対応付けている。
【0154】
<警備員管理サーバ500の構成>
次に、
図16に示した警備員管理サーバ500の構成について説明する。
図22は、
図16に示した警備員管理サーバ500の構成を示す機能ブロック図である。
図22に示すように、警備員管理サーバ500は、表示部501及び入力部502と接続され、通信部503、記憶部510及び制御部520を有する。
【0155】
表示部501は、液晶パネルやディスプレイ装置等である。入力部502は、キーボードやマウス等である。通信部503は、インターネットを介して警備端末600及びサーバ400とデータ通信するためのインタフェース部である。
【0156】
記憶部510は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、警備員管理データ511を記憶する。警備員管理データ511は、警備拠点ごとの対応可能人数を示すデータである。
【0157】
制御部520は、警備員管理サーバ500の全体制御を行う制御部であり、警備員管理部521、アバター交換要請受領部522、アバター交換先選択部523及び出動指令部524を有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、警備員管理部521、アバター交換要請受領部522、アバター交換先選択部523及び出動指令部524にそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0158】
警備員管理部521は、警備員管理データ511を管理する処理部である。警備員管理部521は、警備端末600から警備員管理情報を受信したならば、この警備員管理情報を警備員管理データ511に記憶して更新する。
【0159】
アバター交換要請受領部522は、アバター交換要請の受領を行う処理部である。アバター交換要請受領部522は、サーバ400からアバター交換要請を受信したならば、選択指示をアバター交換先選択部523に受け渡す。
【0160】
アバター交換先選択部523は、アバター交換要請に対して出動する警備拠点の選択を行う処理部である。アバター交換先選択部523は、アバター交換要請受領部522から選択指示を受け取ったならば、警備員管理データ511から、対応可能人数が最も多い警備拠点のユーザIDを特定し、このユーザIDを出動者IDとして出動指令部524に受け渡す。
【0161】
出動指令部524は、出動指令を通知する処理部である。出動指令部524は、アバター交換先選択部523から出動者IDを受け取ったならば、この出動者ID及びアバター交換要請に含まれる要請者IDを出動指令に含め、サーバ400に通知する。また、出動者IDに係る警備端末600に対しても、出動指令を通知する。
【0162】
次に、
図22に示した警備員管理サーバ500の記憶部510が記憶するデータの具体例について説明する。
図23は、
図22に示した警備員管理データ511の一例を示す図である。
【0163】
図23に示す警備員管理データ511は、ユーザID「KAB2345」に対して、拠点名が「A支社」であり、対応可能人数が「6名」である状態を対応付け、ユーザID「KAB4567」に対して、拠点名が「B支社」であり、対応可能人数が「3名」である状態を対応付け、ユーザID「KAB6789」に対して、拠点名が「C支社」であり、対応可能人数が「0名」である状態を対応付けている。
【0164】
<実施形態2に係るアバター交換に関する処理手順>
次に、本実施形態2に係るアバター交換に関する処理手順について説明する。
図24は、本実施形態2に係るアバター交換に関する処理手順を示すフローチャートである。
【0165】
サーバ400は、必要に応じてAI操作用アバターを仮想空間に設置し、AI操作による巡回や立哨を行い、仮想空間に設置したAI操作用アバターに係る視点画像及び音声情報をもとに一般用アバターの言動に迷惑行為に該当するものがあるか判定している。
また、警備端末600では、迷惑行為を行っていると判定された一般用アバターに対して、警備員が警備員操作用アバターを操作することで迷惑行為者に対して声掛けや、迷惑行為の停止などの説得を行っている。
【0166】
ところで、仮想空間において迷惑行為者への対応を行っている警備員に対して現実空間での対応業務が発生した場合、警備員の操作に応じて警備端末600はアバター交換要請をサーバ400に通知する。サーバ400は、警備端末600からアバター交換要請を受信した場合、又は、AI操作用アバターの視点画像や音声情報をもとに一般用アバターの行動を迷惑行為と判定してアバター交換要請が必要とする場合は(ステップS301;Yes)、警備員管理サーバ500にアバター交換要請を通知する(ステップS302)。なお、サーバ400は、ステップS301において、警備端末600からアバター交換要請を受信せず、かつ、AI操作用アバターの視点画像や音声情報をもとに一般用アバターの行動を迷惑行為と判定していない場合は(ステップS301;No)、アバター交換要請の受信、又は、AI操作用アバターにより一般用アバターの行動を迷惑行為と判定するまで待機する。
【0167】
警備員管理サーバ500は、警備員管理データ511を用いてアバター交換する警備拠点を選定し(ステップS303)、選定した警備拠点に係る警備端末600及びサーバ400に対して出動指令を通知する(ステップS304)。
【0168】
警備端末600は、警備員管理サーバ500から出動指令を受信したならば、この出動指令を警備員操作用アバター起動指示として、サーバ400に通知する。サーバ400は、警備端末600から警備員操作用アバター起動指示を受信したならば(ステップS305;Yes)、警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDに対応するアバターを仮想空間から消去するとともに、警備員操作用アバター起動指示に含まれる位置情報に基づいた仮想空間の位置に警備員操作用アバターを設置する。また、サーバ400は、要請者IDがAIアバターIDであるならば、新たなAI操作用アバターを仮想空間の所定の位置に設置する。なお、サーバ400は、ステップS305において、警備員操作用アバター起動指示を受信していなければ(ステップS305;No)、警備員操作用アバター起動指示があるまで待機する。
【0169】
サーバ400は、警備員操作用アバター起動指示に含まれる要請者IDが警備員操作用IDであるならば(ステップS306;Yes)、アバター交換引継情報を警備員操作用アバターの視点画像の所定の位置に表示し(ステップS307)、処理を終了する。
【0170】
上述してきたように、本実施形態2に係る仮想空間システムでは、警備用アバターの交換を行う場合に、警備組織の各警備拠点から適切な警備拠点を選定して、この警備拠点の警備員による警備員操作用アバターに交換するよう構成したので、仮想空間内での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減することができる。また、警備員アバターを操作することにより迷惑行為を行っている者への対応を行っている警備員が、何らかの理由で迷惑行為を行っている者への対応を継続できなくなった場合であっても、他の警備員により迷惑行為者への対応を継続することができる。
【0171】
なお、上記の実施形態2では、警備員が警備員操作用アバターで迷惑行為を行っている者への対応中に実空間での対応業務が発生した場合、対応可能人数が最も多い警備拠点に出動要請をし、要請を受けた警備拠点の警備員が警備員操作用アバターを用いて警備を継続する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。警備員が警備員操作用アバターで警備中に実空間での対応業務が発生した場合、この警備員操作用アバターによる警備をAI操作用アバターに引き継ぐよう構成することもできる。
【0172】
また、上記の実施形態2では、警備員が警備員操作用アバターで迷惑行為を行っている者への対応中に実空間での対応業務が発生した場合、対応可能人数が最も多い警備拠点を選択して出動要請をし、要請を受けた警備拠点の所定の警備員が警備員操作用アバターを用いて迷惑行為を行っている者への対応を継続する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。警備員管理サーバにおいて、警備拠点ごとに対応可能人数及び対応可能な警備員の優先順位を記憶しておき、この対応可能人数及び優先順位に基づいて、警備拠点及び警備員を選択して出動要請をするよう構成することもできる。
【0173】
また、上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明に係る仮想空間システム、管理装置及び迷惑行為対処方法は、仮想空間内での迷惑行為を迅速かつ効率的に低減する場合に適している。
【符号の説明】
【0175】
100 サーバ
101 表示部
102 入力部
103 通信部
110 記憶部
111 空間データ
112 オブジェクトデータ
113 ユーザデータ
114 警備ログデータ
120 制御部
130 仮想空間制御部
131 仮想空間設定部
132 仮想オブジェクト制御部
133 操作オブジェクト制御部
134 音声制御部
140 ユーザ管理部
141 ユーザデータ管理部
142 ログイン制御部
150 一般用アバター部
151 起動部
152 画像取得部
153 音声取得部
154 操作部
155 発話部
160 警備員操作用アバター部
161 共通機能部
162 警備員操作用専用機能部
163 起動部
164 アバター交換要請受領部
165 アバター交換部
166 ペナルティ権限部
170 AI操作用アバター部
171 共通機能部
172 AI操作用専用機能部
173 起動部
174 移動制御部
175 迷惑行為判定部
176 行動判定部
177 音声判定部
178 アバター交換要請部
179 アバター交換部
200 警備端末
300 ユーザ端末
400 サーバ
410 記憶部
415 アバター交換引継データ
420 制御部
460 警備員操作用アバター部
462 警備員操作用専用機能部
463 起動部
467 アバター交換要請部
468 アバター交換引継部
470 AI操作用アバター部
472 AI操作用専用機能部
478 アバター交換要請部
479 アバター交換部
480 アバター交換制御部
481 アバター交換処理部
482 アバター交換引継部
500 警備員管理サーバ
501 表示部
502 入力部
503 通信部
510 記憶部
511 警備員管理データ
520 制御部
521 警備員管理部
522 アバター交換要請受領部
523 アバター交換先選択部
524 出動指令部
600 警備端末