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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174714
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】箱搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65G47/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092695
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 秀一
【テーマコード(参考)】
3F044
【Fターム(参考)】
3F044AA01
3F044AA07
3F044AB19
3F044AB29
3F044AB31
3F044AB39
3F044CA01
3F044CA08
3F044CB01
3F044CB08
3F044CD09
(57)【要約】
【課題】順次送り出される箱内への搬送対象物の配置作業などのための箱の一時停止と箱の搬送方向変換とを少ない消費電力で行う箱搬送装置を提供する。
【解決手段】作業荷台5は回転軸11を中心に回転し、第1ガイド斜面3S側となる第1状態と第2ガイド斜面4S側となる第2状態とに切り替え可能であり、上部リンクの上端が作業荷台5の底部に連結され、下部リンクの下端が装置本体フレーム2に連結されたリンク機構6と、第1状態となるように下部リンクの上端を伸長するダンパ機構7と、第2状態となるように下部リンクの上端を引っ張るアクチュエータ8と、第1状態が解除されると、箱の繰り出しを停止し、第2状態から第1状態に復帰した場合、箱の繰り出しを許容する第1箱ストッパ9と、第1状態から第2状態に移行する直前まで、箱の移動を押え、第2状態になった場合、箱の第2搬送路4への転送を許容する第2箱ストッパ10とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段の第1搬送路の第1ガイド斜面から自重により作業荷台上に順次繰り出される箱内に搬送対象物を配置し、あるいは該箱から搬送対象物を取り出す作業が完了した箱を下段の第2搬送路の第2ガイド斜面に自重により転送する箱搬送装置であって、
前記作業荷台は、一端に、てこの支点となる回転軸を有し、他端が該回転軸を中心に回転し、前記他端が前記第1ガイド斜面側となる第1状態と前記第2ガイド斜面側となる第2状態とに切り替え可能であり、
上部リンクと下部リンクとが屈折状態で連結され、前記上部リンクの上端が前記作業荷台の底部に連結され、前記下部リンクの下端が装置本体の第1固定点に連結され、前記回転軸を中心に前記作業荷台の底部を上下方向に回転させるリンク機構と、
前記下部リンクの上端と前記装置本体の第2固定点とに連結され、前記作業荷台の他端が前記第1状態となるように伸長するダンパ機構と、
前記下部リンクの上端を前記ダンパ機構の伸長力に抗して引き、前記作業荷台の他端が前記第2状態となるように支援するアクチュエータと、
前記作業荷台が前記第1状態から前記第2状態への移行を開始して前記第1状態が解除されると、前記第1搬送路上の次の箱の前記作業荷台上への繰り出しを停止する第1停止状態にするとともに、前記作業荷台が前記第2状態から前記第1状態に復帰した場合、前記作業荷台の回転に連動して前記第1停止状態を解除し前記第1搬送路上の次の箱の前記作業荷台上への繰り出しを許容する第1箱ストッパと、
前記第1状態から前記第2状態に移行する直前まで、前記作業荷台上の箱の移動を押える第2停止状態にし、前記第2状態になった場合、前記作業荷台の回転に連動して前記第2停止状態を解除し前記作業荷台上の箱の前記第2搬送路への転送を許容する第2箱ストッパと
を備えたことを特徴とする箱搬送装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記下部リンクの上端に接続されたワイヤを前記ダンパ機構の伸長力に抗して引き、前記作業荷台の他端が前記第2状態となるように支援するワイヤ機構であることを特徴とする請求項1に記載の箱搬送装置。
【請求項3】
前記第1箱ストッパは、前記装置本体に設けられて自重により降下する第1停止突起により前記第1停止状態を呈し、前記作業荷台が前記第2状態から前記第1状態に復帰した際、前記作業荷台の側面に設けられた解除突起が該第1箱ストッパに当接して該第1箱ストッパを上昇させることにより前記第1停止状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の箱搬送装置。
【請求項4】
前記第2箱ストッパは、前記作業荷台の他端側に設けられてバネの回転力により前記作業荷台の載置面上に突起する第2停止突起を有し、前記作業荷台が前記第2状態に移行した際、前記第2停止突起に対向する当接端部が前記装置本体に設けられた当接部に押圧されて前記第2停止突起が回転し前記第2停止突起を前記載置面下に凹ませて第2停止状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の箱搬送装置。
【請求項5】
前記ダンパ機構による伸長を押さえて前記第1状態を形成させる第1当接部と、
前記アクチュエータによる引張を押さえて前記第2状態を形成させる第2当接部と
を備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の箱搬送装置。
【請求項6】
前記ダンパ機構は、前記第1状態のとき最大伸長となり、前記第2状態のとき最小伸長となることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の箱搬送装置。
【請求項7】
前記作業荷台は、前記第1状態のとき、該作業荷台の載置面が前記第1搬送路の前記第1ガイド斜面よりも低くなるように配置されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の箱搬送装置。
【請求項8】
前記第1搬送路、前記第2搬送路及び前記作業荷台は、複数列、配置されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の箱搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機構的なからくりを用いて順次送り出される箱内への搬送対象物の配置作業あるいは箱からの取り出し作業のための箱の一時停止と箱の搬送方向変換とを少ない消費電力で行うことができる箱搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機構的なからくりを用いて、順立て箱と空箱を手早く順序立てて交換する箱搬送装置が知られている。例えば、特許文献1では、順立て箱又は空箱を載置可能な荷台と、荷台の姿勢を変更可能な姿勢変更部とを備え、荷台が、その下部に姿勢変更部があてがわれることで、ステーションに順立て箱を自重で送り出し可能な傾斜姿勢とは反対向きの逆傾斜姿勢に保持するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016―179865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の箱搬送装置では、荷台を上下動させるアクチュエータと箱を停止させるアクチュエータとを備えており、複数のアクチュエータが必要となる。また、荷台を上下動させるアクチュエータはワークの重量をそのまま受けているため、大きな推力が必要となる。このため、従来の箱搬送装置は、消費電力が大きいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、機構的なからくりを用いて順次送り出される箱内への搬送対象物の配置作業あるいは箱からの取り出し作業のための箱の一時停止と箱の搬送方向変換とを少ない消費電力で行うことができる箱搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、上段の第1搬送路の第1ガイド斜面から自重により作業荷台上に順次繰り出される箱内に搬送対象物を配置し、あるいは該箱から搬送対象物を取り出す作業が完了した箱を下段の第2搬送路の第2ガイド斜面に自重により転送する箱搬送装置であって、前記作業荷台は、一端に、てこの支点となる回転軸を有し、他端が該回転軸を中心に回転し、前記他端が前記第1ガイド斜面側となる第1状態と前記第2ガイド斜面側となる第2状態とに切り替え可能であり、上部リンクと下部リンクとが屈折状態で連結され、前記上部リンクの上端が前記作業荷台の底部に連結され、前記下部リンクの下端が装置本体の第1固定点に連結され、前記回転軸を中心に前記作業荷台の底部を上下方向に回転させるリンク機構と、前記下部リンクの上端と前記装置本体の第2固定点とに連結され、前記作業荷台の他端が前記第1状態となるように伸長するダンパ機構と、前記下部リンクの上端を前記ダンパ機構の伸長力に抗して引き、前記作業荷台の他端が前記第2状態となるように支援するアクチュエータと、前記作業荷台が前記第1状態から前記第2状態への移行を開始して前記第1状態が解除されると、前記第1搬送路上の次の箱の前記作業荷台上への繰り出しを停止する第1停止状態にするとともに、前記作業荷台が前記第2状態から前記第1状態に復帰した場合、前記作業荷台の回転に連動して前記第1停止状態を解除し前記第1搬送路上の次の箱の前記作業荷台上への繰り出しを許容する第1箱ストッパと、前記第1状態から前記第2状態に移行する直前まで、前記作業荷台上の箱の移動を押える第2停止状態にし、前記第2状態になった場合、前記作業荷台の回転に連動して前記第2停止状態を解除し前記作業荷台上の箱の前記第2搬送路への転送を許容する第2箱ストッパとを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の発明において、前記アクチュエータは、前記下部リンクの上端に接続されたワイヤを前記ダンパ機構の伸長力に抗して引き、前記作業荷台の他端が前記第2状態となるように支援するワイヤ機構であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記第1箱ストッパは、前記装置本体に設けられて自重により降下する第1停止突起により前記第1停止状態を呈し、前記作業荷台が前記第2状態から前記第1状態に復帰した際、前記作業荷台の側面に設けられた解除突起が該第1箱ストッパに当接して該第1箱ストッパを上昇させることにより前記第1停止状態を解除することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記第2箱ストッパは、前記作業荷台の他端側に設けられてバネの回転力により前記作業荷台の載置面上に突起する第2停止突起を有し、前記作業荷台が前記第2状態に移行した際、前記第2停止突起に対向する当接端部が前記装置本体に設けられた当接部に押圧されて前記第2停止突起が回転し前記第2停止突起を前記載置面下に凹ませて第2停止状態を解除することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記ダンパ機構による伸長を押さえて前記第1状態を形成させる第1当接部と、前記アクチュエータによる引張を押さえて前記第2状態を形成させる第2当接部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記ダンパ機構は、前記第1状態のとき最大伸長となり、前記第2状態のとき最小伸長となることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記作業荷台は、前記第1状態のとき、該作業荷台の載置面が前記第1搬送路の前記第1ガイド斜面よりも低くなるように配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記第1搬送路、前記第2搬送路及び前記作業荷台は、複数列、配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機構的なからくりを用いて順次送り出される箱内への搬送対象物の配置作業あるいは箱からの取り出し作業のための箱の一時停止と箱の搬送方向変換とを少ない消費電力で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施の形態に係る箱搬送装置の全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示した箱搬送装置の側面図である。
図3図3は、第1状態における第1搬送路、第2搬送路および作業荷台の近傍を示す斜視図である。
図4図4は、第1状態における箱搬送装置のA-A線断面図である。
図5図5は、第2状態における第1搬送路、第2搬送路および作業荷台の近傍を示す斜視図である。
図6図6は、第2状態における箱搬送装置のB-B線断面図である。
図7図7は、変形例にかかる箱搬送装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る箱搬送装置について説明する。
【0017】
<全体構成>
図1は、本実施の形態に係る箱搬送装置1の全体構成を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した箱搬送装置1の側面図である。図1及び図2に示すように、箱搬送装置1は、装置本体フレーム2に上段の第1搬送路3と下段の第2搬送路4と、作業荷台5とを有する。箱搬送装置1は、第1搬送路3の第1ガイド斜面3Sに方向AR1から箱100が順次配置され、自重により作業荷台5上に順次繰り出される。作業者あるいは作業ロボットは、作業荷台5上の箱内に搬送対象物であるワーク101を配置し、あるいは箱100からワーク101を取り出す作業を行う。作業が完了すると、作業者あるいは作業ロボット、さらには電動モータやエアシリンダにより、アクチュエータ8を作動させ、回転軸11を、てこの支点として作業荷台5を下方に回転させ、作業荷台5の載置面5Sを下段の第2搬送路4に向け、作業荷台5上の箱100を自重により第2ガイド斜面4S上に転送し、方向AR2に搬送する。ここで、作業荷台5が第1搬送路3側に向いている状態を第1状態とし、作業荷台5が第2搬送路4側に向いている状態を第2状態とする。
【0018】
箱搬送装置1は、リンク機構6、ダンパ機構7、上記のアクチュエータ8、第1箱ストッパ9、第2箱ストッパ10を有する。リンク機構6は、上部リンクと下部リンクとが屈折状態で連結され、上部リンクの上端が作業荷台5の底部に連結され、下部リンクの下端が装置本体フレーム2の第1固定点に連結され、回転軸11を中心に作業荷台の底部を上下方向に回転させ、第1状態と第2状態とに切り替える。
【0019】
ダンパ機構7は、下部リンクの上端と装置本体フレーム2の第2固定点とに連結され、作業荷台5が第1状態となるように伸長して第1状態を保持する。アクチュエータ8は、作業者あるいは作業ロボットにより、下部リンクの上端をダンパ機構7の伸長力に抗してワイヤ8aを介して引き、作業荷台5が第2状態となるように支援する。なお、アクチュエータ8に加えられる推力(引張力)がなくなった場合、ダンパ機能7の伸長力によりリンク機構6の上部リンクが上昇して作業荷台5を上方に押し上げ、作業荷台5は第1状態に復帰する。
【0020】
第1箱ストッパ9は、作業荷台5が第1状態から第2状態への移行を開始して第1状態が解除されると、第1搬送路3上の次の箱100の作業荷台5上への繰り出しを停止する第1停止状態にするとともに、作業荷台5が第2状態から第1状態に復帰した場合、作業荷台5の回転に連動して第1停止状態を解除し第1搬送路3上の次の箱100の作業荷台5上への繰り出しを許容する。
【0021】
第2箱ストッパ10は、第1状態から第2状態に移行する直前まで、作業荷台5上の箱100の移動を抑える第2停止状態にし、第2状態になった場合、作業荷台5の回転に連動して第2停止状態を解除し作業荷台5上の箱100の第2搬送路4への転送を許容する。なお、第2箱ストッパ10の詳細については後述する。
【0022】
<箱搬送動作>
図3は、第1状態における第1搬送路3、第2搬送路4および作業荷台5の近傍を示す斜視図である。図4は、第1状態における箱搬送装置1のA-A線断面図である。また、図5は、第2状態における第1搬送路3、第2搬送路4および作業荷台5の近傍を示す斜視図である。図6は、第2状態における箱搬送装置1のB-B線断面図である。
【0023】
図3に示すように、第1箱ストッパ9は、ハンガー形状をなし、中央部分が第1搬送路3の終端近傍であって第1搬送路3の上部の装置本体フレーム2に取り付けられ、上下方向にガイドされつつ、自重により降下する。第1箱ストッパ9の作業荷台5側の端部には下方に向けた停止解除突起9aが形成されている。また、第1箱ストッパ9の第1搬送路5側の端部には、下方に向けた第1停止突起9bが形成されている。
【0024】
作業荷台5の一側面であって停止解除突起9aに対応する位置には、解除突起5aが形成されている。作業荷台5が第2状態から第1状態に復帰した際、この復帰動作に連動して、作業荷台5の解除突起5aが第1箱ストッパ9の停止解除突起9aに当接して第1箱ストッパ9を上昇させることにより、第1停止状態が解除され、第1搬送路3上の次の箱100の作業荷台5への繰り出しを許容する。なお、第1状態から第2状態への移行により解除突起5aが下降し、この解除突起5aの下降により、第1停止突起9bは、第1搬送路3上の次の箱100に係合して次の箱100の作業荷台5への繰り出しが停止される(図5参照)。
【0025】
図4に示すように、リンク機構6は、上部リンク31と下部リンク32とが軸42により屈折状態で連結される。上部リンク31の上端は、作業荷台5の底部に配置されて軸41に連結され、下部リンク32の下端は、装置本体フレーム2の第1固定点の軸43に連結される。作業荷台5は、回転軸11を中心に、YZ平面内を回転する。また、リンク機構6は、軸42を介してYZ平面を屈折し、軸42は軸43を中心に-Y方向に回転し、軸41は下降する。
【0026】
ダンパ機構7は、下部リンク32の上端に設けられた軸45と装置本体フレーム2の第2固定点の軸46とに連結され、軸46から軸45方向に伸長して、-Y方向から斜め上に押し上げることにより、作業荷台5を第1状態に保持する。ダンパ機構7は、例えばエアシリンダであるが、これに限らない。作業荷台5のY方向の他端側(回転軸11の反対側)の上部は、第1搬送路3の作業荷台5側の下端に設けられた第1当接部21に当接することにより、ダンパ機構7による伸長が停止し、ダンパ機構7による押圧力により第1状態が保持される。
【0027】
なお、第1状態において、作業荷台5の載置面5Sは、第1搬送路3の第1ガイド斜面よりも低くなるようにしている。これは、第1搬送路3上の次の箱100が作業荷台5上に繰り出された際、次の箱100の先端を下方に向けて斜めにすることにより、次の箱100の繰り出しを容易にするとともに、載置面5Sへの転送を確実にするためである。また、作業荷台5の載置面5Sを、第1搬送路3の第1ガイド斜面よりも低くすることにより、第2箱ストッパ10の第2停止突起10aによる箱100の繰り出し阻止を解消することができる。
【0028】
ここで、図6に示すように、アクチュエータ8のレバー8bを下方(-Z方向)に押し下げることにより、第1状態から第2状態に移行する。アクチュエータ8は、ワイヤ8aを用いたワイヤ機構であり、ワイヤ8aは、下部リンク32の上端の軸45に連結される。具体的には、軸45近傍のリングに接続される。
【0029】
レバー8bの下方への押し下げにより、軸45はダンパ機構7の伸長力に抗して-Y方向の斜め下方に引っ張られ、ダンパ機構7のストロークが縮まることにより、リンク機構6が屈折する。これにより、上部リンク31の上端に連結する作業荷台5が回転軸11を中心に下方に回転し、第1状態から第2状態に移行する。
【0030】
装置本体フレーム2には、第2搬送路4の作業荷台5側の端部の下方に第2当接部22が設けられる。第2当接部22は、作業荷台5側の端部下方に当接し、作業荷台5が第2状態を超える下方回転を押え、アクチュエータ8による押圧状態において第2状態を保持する。
【0031】
ここで、第2箱ストッパ10は、作業荷台5の他端側(回転軸11の反対側)に設けられ、軸10cを中心とするバネの回転力により作業荷台5の載置面5S上に突起する第2停止突起10aを有する。第2停止突起10aは、第1状態のとき突出した状態となり(図4参照)、載置面5S上における箱100のスライドを防止している。
【0032】
作業荷台5が第2状態への移行が完了した際、軸10cに関し、第2停止突起10aに対応する当接端部10bが、装置本体フレーム2に設けられた当接部23に当接する。そして、当接部23による当接端部10bへの押圧により第2停止突起10aが回転し第2停止突起10aを載置面5S下に凹ませて第2停止状態を解除する。この第2停止状態の解除により、作業荷台5上の箱100は、第2搬送路4に送り出される。
【0033】
作業荷台5上の箱100が第2搬送路4に送り出された後、アクチュエータ8のレバー8bの下方への押下を解除すると、ダンパ機構7により、作業荷台5は第2状態から第1状態に移行し、移行した第1状態において第1搬送路3上の次の箱100が作業荷台5の載置面5S上に繰り出される。
【0034】
なお、上記の実施の形態では、第1当接部21により第1状態を保持し、第2当接部22により第2状態を保持するようにしていたが、ダンパ機構7のロッドが、第1状態のとき最大伸長となり、第2状態のとき最小伸長となるようにストロークの制限をかけることにより、第1状態および第2状態を保持するようにしてもよい。
【0035】
本実施の形態では、1つのアクチュエータ8の駆動と機構的なからくりとにより、順次送り出される箱内への搬送対象物の配置作業あるいは箱からの取り出し作業のための箱の一時停止と箱の搬送方向変換とを行うことができ、しかも、作業荷台5におけるてこ機構、リンク機構6、ダンパ機構7の連結により作業荷台5に対する支持を間接的に行っているのでアクチュエータ8の推力(引張力)を低減でき、消費電力を抑えることができる。
【0036】
<変形例>
図7は、変形例にかかる箱搬送装置1の構成を示す斜視図である。図7に示すように、本変形例では、図1に示した箱搬送装置1を並列配置している。すなわち、本体装置フレームに、第1搬送路3、第2搬送路4及び作業荷台5を、複数列、配置している。なお、リンク機構6、ダンパ機構7、アクチュエータ8は、列ごとに設けられる。
【0037】
なお、上記の実施の形態および変形例では、作業荷台5に解除突起5aが1つ設けられ、これに対応して第1箱ストッパ9は1つの停止解除突起9aが設けられていたが、図7に示すように、2つの解除突起5aを作業荷台5の両側面に設け、第1箱ストッパ9が各解除突起5aに対応した2つの停止解除突起9aを設けるようにしてもよい。これにより、第1箱ストッパ9の上下動が安定し、第1停止突起9bによる箱100の繰り出し停止を確実に行うことができる。また、第1停止突起9bは第1搬送路3上の箱100の後端に設けられているが、さらに第1停止突起9cを箱100の前端側に設け、箱100の繰り出し停止を確実に行うようにしてもよい。
【0038】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の箱搬送装置は、機構的なからくりを用いて順次送り出される箱内への搬送対象物の配置作業あるいは箱からの取り出し作業のための箱の一時停止と箱の搬送方向変換とを少ない消費電力で行う場合に有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 箱搬送装置
2 装置本体フレーム
3 第1搬送路
3S 第1ガイド斜面
4 第2搬送路
4S 第2ガイド斜面
5 作業荷台
5a 解除突起
5S 載置面
6 リンク機構
7 ダンパ機構
8 アクチュエータ
8a ワイヤ
8b レバー
9 第1箱ストッパ
9a 停止解除突起
9b,9c 第1停止突起
10 第2箱ストッパ
10a 停止突起
10b 当接端部
10c,41~43,45,46 軸
11 回転軸
21 第1当接部
22 第2当接部
23 当接部
31 上部リンク
32 下部リンク
100 箱
101 ワーク
AR1,AR2 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7