(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174717
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20241210BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241210BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G09F9/30 320
G09F9/30 309
G02F1/1334
G02F1/1368
G02F1/1343
G02F1/1333 505
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092699
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】花田 明紘
(72)【発明者】
【氏名】海東 拓生
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 涼
(72)【発明者】
【氏名】湯川 統央
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H190
2H192
2H391
5C094
【Fターム(参考)】
2H092HA04
2H092JA25
2H092JA26
2H092JB32
2H092JB33
2H092JB69
2H092KA08
2H092KB22
2H092KB25
2H092MA14
2H092NA25
2H092PA03
2H092QA15
2H092RA10
2H189AA04
2H189DA07
2H189DA08
2H189DA25
2H189DA31
2H189DA32
2H189FA16
2H189HA14
2H189JA04
2H189LA02
2H189LA03
2H189LA06
2H189LA10
2H189LA15
2H189LA20
2H189LA22
2H189MA15
2H189NA09
2H190HA03
2H190HA04
2H190HB02
2H190HB07
2H190HD03
2H190LA02
2H190LA04
2H190LA16
2H192AA24
2H192CB02
2H192CB05
2H192CB08
2H192CB37
2H192CC55
2H192CC64
2H192CC72
2H192DA15
2H192DA24
2H192EA04
2H192EA13
2H192EA23
2H192EA67
2H192FA73
2H192FB03
2H192FB05
2H192FB22
2H192GD23
2H192GD47
2H192HA44
2H192JA53
2H192JB01
2H192JB03
2H391AA15
2H391AA23
2H391AA25
2H391AB04
2H391FA01
2H391FA02
5C094AA02
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA07
5C094DA13
5C094DA15
5C094FA01
5C094FA02
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】表示装置の表示品質を向上させる。
【解決手段】表示装置は、第1基板の上に設けられ、第1方向に延在する第1導電層と、第1導電層の上に設けられた第1絶縁膜と、第1絶縁膜の上に設けられ、第1方向と交差する第2方向に延在する第2導電層と、第2導電層の上に設けられ、第1方向及び第2方向に延在する第2絶縁膜と、第2絶縁膜の上に設けられ、第1方向及び第2方向に延在する第1透明導電層と、第1透明導電層の上に設けられた第3絶縁膜と、第1基板と対向する第2基板と、を有し、第2絶縁膜は、第1透明導電層の表面よりも上方に突出する第1突出部を有し、第1透明導電層において第1突出部を囲む第1開口部が設けられ、第3絶縁膜において第1突出部を囲む第2開口部が設けられ、第1突出部は、第1基板と第2基板とのギャップを維持するように設けられる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の上に設けられ、第1方向に延在する第1導電層と、
第1導電層の上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上に設けられ、前記第1方向と交差する第2方向に延在する第2導電層と、
前記第2導電層の上に設けられ、前記第1方向及び前記第2方向に延在する第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の上に設けられ、前記第1方向及び前記第2方向に延在する第1透明導電層と、
前記第1透明導電層の上に設けられた第3絶縁膜と、
前記第1基板と対向する第2基板と、を有し、
前記第2絶縁膜は、前記第1透明導電層の表面よりも上方に突出する第1突出部を有し、
前記第1透明導電層において前記第1突出部を囲む第1開口部が設けられ、
前記第3絶縁膜において前記第1突出部を囲む第2開口部が設けられ、
前記第1突出部は、前記第1基板と前記第2基板とのギャップを維持するように設けられる、表示装置。
【請求項2】
前記第3絶縁膜は、前記第1突出部の側面に接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第3絶縁膜は、前記第1絶縁膜と接する第2領域を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2導電層の膜厚は、前記第1導電層の膜厚よりも薄い、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1透明導電層と前記第3絶縁膜との間に設けられた第3導電層をさらに有し、
前記第3導電層において前記第1突出部を囲む第3開口部が設けられ、
前記第3開口部の端部は、前記第1開口部の端部よりも外側に位置する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1突出部は、前記第1導電層が前記第2導電層と交差する第1領域に設けられる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1突出部は、前記第1領域に隣接して設けられた画素のトランジスタと重ならない、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1基板の上に設けられ、前記第1導電層と同じ層で形成された第4導電層をさらに有し、
前記第2絶縁膜は、前記第1透明導電層の表面よりも上方に突出する第2突出部を有し、
前記第1透明導電層において前記第2突出部を囲む第4開口部が設けられ、
前記第3絶縁膜において前記第2突出部を囲む第5開口部が設けられ、
前記第2突出部は、前記第2基板の表面側と接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1基板の周縁部において、前記第2基板を貼り合わせるシール材をさらに有し、
前記シール材は、前記第2突出部と接する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
前記第1基板の側面又は前記第2基板の側面に向かって光が入るように配置される光源と、をさらに有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記液晶層は、高分子分散型液晶であり、
前記高分子分散型液晶が散乱状態にあるとき、表示領域において画像を表示し、
前記高分子分散型液晶が非散乱状態にあるとき、前記表示領域において、前記第1基板から前記第2基板の背景が視認され、前記第2基板から前記第1基板の背景が視認される、請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一方の面から、反対側の他方の面の背景を視認可能な透明ディスプレイの開発が進んでいる(特許文献1、2参照)。透明ディスプレイでは、表裏両面から映像を見ることができるため、透明ディスプレイを間に挟んで対向する二つの方向から映像又は文字を視認することができる。
【0003】
通常、液晶表示装置では、アレイ基板と対向基板とのセルギャップを保持するためのスペーサが設けられる。スペーサは、画素の開口率を低下させないために、ゲート配線とソース配線との交差部に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-160254号公報
【特許文献2】国際公開第2022/153665号
【特許文献3】国際公開第2018/130920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透明ディスプレイなどの表示装置において、アレイ基板上には様々な厚さの導電層が積層される。導電層が積層されることにより、アレイ基板の最表面には凹凸が生じることがある。対向基板に設けられた複数のスペーサがアレイ基板の最表面の凹凸に接触することにより、セルギャップにばらつきが生じてしまう。これにより、表示装置の表示品質が低下してしまう。
【0006】
本発明の一実施形態では、表示装置の表示品質を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1基板の上に設けられ、第1方向に延在する第1導電層と、第1導電層の上に設けられた第1絶縁膜と、第1絶縁膜の上に設けられ、第1方向と交差する第2方向に延在する第2導電層と、第2導電層の上に設けられ、第1方向及び第2方向に延在する第2絶縁膜と、第2絶縁膜の上に設けられ、第1方向及び第2方向に延在する第1透明導電層と、第1透明導電層の上に設けられた第3絶縁膜と、第1基板と対向する第2基板と、を有し、第2絶縁膜は、第1透明導電層の表面よりも上方に突出する第1突出部を有し、第1透明導電層において第1突出部を囲む第1開口部が設けられ、第3絶縁膜において第1突出部を囲む第2開口部が設けられ、第1突出部は、第1基板と第2基板とのギャップを維持するように設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の概要を説明する斜視図である。
【
図2】
図1に示す表示装置のA1-A2間に対応する構造を示す断面模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を説明する平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素を表す回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素のタイミングチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトを拡大した図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトを拡大した図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトを拡大した図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトを拡大した図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の平面レイアウトを拡大した図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置において、
図12に示すB1-B2線における断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置において、
図12に示すC1-C2線における断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る表示装置において、周辺領域のシール材近傍の断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る表示装置において、周辺領域のシール材近傍の断面図である。
【
図17A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図17B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図18A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図18B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図19A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図19B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図20A】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図20B】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面に関して、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状等を模式的に表す場合があるが、それら模式的な図は一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同一又は類似の要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。なお、本明細書等において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与するためのものであり、優先順位や順番を示すものではない。
【0010】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。また、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、本明細書等において、-1、-2等と区別して記載する場合がある。
【0011】
なお、本明細書等において、「上」、「下」などの表現は、着目する構造体と他の構造体との相対的な位置関係を表現している。本明細書等では、側面視において、後述する第1基板から画素電極に向かう方向を「上」と定義し、その逆の方向を「下」と定義する。本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
また、本明細書等において、ボトムゲート駆動とは、半導体層の下方に配置されたゲート電極によって、オンオフが制御されるものである。また、本明細書等において、トップゲート駆動とは、半導体層の上方に配置されたゲート電極によって、オンオフが制御されるものである。また、本明細書において、デュアルゲート駆動とは、半導体層の上下に配置されたゲート電極に、同じ制御信号を入力することによって、オンオフが制御されるものである。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る表示装置10について、
図1~
図13を参照して説明する。
【0014】
<表示装置の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の斜視図を示す。表示装置10は、アレイ基板150(第1基板ともいう)、対向基板152(第2基板ともいう)、及びアレイ基板150と対向基板152との間の液晶層(図示されず)と、ゲート駆動回路28と、ソース駆動回路38と、を含む表示パネル102と、光源104と、表示パネル102を挟む第1透明基板151A及び第2透明基板151Bと、を含む。
図1を参照する以下の説明において、表示パネル102における平面の一方向をD1方向とし、D1方向と直交する方向をD2方向とし、D1-D2平面に直交する方向をD3方向とする。
【0015】
アレイ基板150及び対向基板152は透光性を有する。アレイ基板150及び対向基板152は、好ましくは可視光に対して透明である。対向基板152は、アレイ基板150に対向するようにD3方向に配置される。アレイ基板150と対向基板152とは間隙を有して対向配置された状態で、シール材154によって貼り合わされている。アレイ基板150と対向基板152との間の間隙には、図示されない液晶層が設けられている。
【0016】
表示パネル102は、表示領域12と、表示領域12の外側の周辺領域14とを有する。表示領域12には、複数の画素PIXが行方向及び列方向に配置されている。ここで、行方向とはD1方向に平行な方向を指し、列方向とはD2方向に平行な方向を指すものとする。表示領域12には、行方向にm個の画素が配列され、列方向にはn個の画素が配列される。そして、mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて適宜設定される。表示領域12には、D1方向にゲート配線(走査信号線ともいう)が配設され、D2方向にソース配線(データ信号線ともいう)が配設される。
【0017】
アレイ基板150の周辺領域14には、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38が設けられる。
図1は、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38が、集積回路(IC)で提供され、アレイ基板150にCOG(Chip on Glass)方式で実装される態様を示す。ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38は、図示される態様に限定されず、COF(Chip on Film)方式で実装されてもよいし、アレイ基板150の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)によって形成されてもよい。
【0018】
周辺領域14には、ゲート配線領域32、コモン配線領域22、及びソース配線領域42が配設される。ゲート配線領域32は、ゲート駆動回路28と表示領域12に配設されるゲート配線GLとを接続する配線により形成されるパターンが設けられる領域である。コモン配線領域22は、コモン配線により形成されるパターンが設けられる領域である。コモン配線領域22は、回路的には、対向基板152に設けられるコモン電極218(
図7参照)にコモン電圧を印加する配線として用いられる。ソース配線領域42は、ソース駆動回路38と表示領域12に配設されるデータ信号線SLとを接続する配線により形成されるパターンが設けられる領域である。
【0019】
光源104は、D1方向に沿った構造を有する。光源104は、例えば、D1方向に沿って配列された発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)により構成される。光源104の詳細な構造に限定はなく、D1方向に配列される発光ダイオードに加え、反射板、拡散板、レンズなどの光学部材が含まれてもよい。光源104及び光源104を制御する発光制御回路110は表示パネル102と独立した別部材として設けられていてもよい。また、光源104は、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38と同期する発光制御回路110により発光のタイミングが制御されるものであってもよい。光源104を制御する発光制御回路110は、表示パネル102とは別に光源104と同じく別部材として設けられていてもよいし、個別部品としてアレイ基板150に実装されてもよいし、ゲート駆動回路28又はソース駆動回路38に組み込まれていてもよい。
【0020】
第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、表示領域12及び周辺領域14を挟むように設けられる。第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、表示パネル102の保護部材としての機能を有する。また、
図2を参照して説明されるように、第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは光源104から出射された光を表示パネル102に導入する導光板としての機能を有する。
【0021】
図2は、
図1に示すA1-A2間に対応する表示装置10の断面構造を示す。
図2に示すように、表示パネル102のアレイ基板150側に第1透明基板151Aが設けられ、対向基板152側に第2透明基板151Bが設けられる。第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、ガラス基板、又はプラスチック基板が用いられる。第1透明基板151A及び第2透明基板151Bは、アレイ基板150及び対向基板152と同等の屈折率を有していることが好ましい。アレイ基板150と第1透明基板151A、及び対向基板152と第2透明基板151Bとは、図示されない透明接着剤で接着される。
【0022】
表示パネル102は、アレイ基板150と、対向基板152とが対向するように配置され、その間に液晶層210が設けられる。アレイ基板150は対向基板152より大きく、周辺領域14の一部が対向基板152から露出するような大きさを有する。アレイ基板150には、駆動回路(
図2では、ソース駆動回路38)が実装される。また、アレイ基板150の周縁部には、フレキシブルプリント回路34が取り付けられる。
【0023】
光源104は、第1透明基板151A又は第2透明基板151Bの一つの側面に隣接するように配置される。
図2は、光源104が第2透明基板151Bの一つの側面に沿って配置された構成を示す。また、
図2は、光源104がアレイ基板150に取り付けられた構成を示すが、光源104を配置する構成に限定はなく、取り付け位置を固定できるものであれば取り付け構造に限定はない。光源104は、例えば、表示パネル102を囲む筐体によって支持されてもよい。
【0024】
図2に示すように、光源104は、第2透明基板151Bの第1側面15Cに沿って配置される。
図2に示すように、光源104は、第2透明基板151Bの第1側面15Cへ光Lを照射する。光源104は、第1側面15Cに向けて光Lを出射することからサイド光源と呼ばれることもある。光源104に対向する第2透明基板151Bの第1側面15Cは光入射面となる。
【0025】
図2に模式的に示すように、第2透明基板151Bの第1側面15Cから入射した光Lは、第2透明基板151Bの第2平面15B、第1透明基板151Aの第1平面15Aで反射しながら、第1側面15Cから遠ざかる方向(D2方向)へ伝搬する。第1透明基板151Aの第1平面15A及び第2透明基板151Bの第2平面15Bから外部へ光Lが向かうと、屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質へ進むことになる。このとき、第1平面15A及び第2平面15Bへ入射する光Lの入射角が臨界角よりも大きければ、全反射することになり、第1平面15A及び第2平面15Bで反射しながらD2方向へ導光する。
【0026】
液晶層210は、高分子分散型液晶で形成される。高分子分散型液晶で形成される液晶層210は、画素PIX(
図1参照)毎に散乱状態と非散乱状態が制御される。
図2に示すように、第1平面15A及び第2平面15Bで反射しながら伝搬する光Lは、液晶層210が散乱状態となっている画素があると、少なくとも一部の光が散乱され、散乱光の入射角が臨界角よりも小さな角度となって、散乱光LA、LBがそれぞれ第1平面15A及び第2平面15Bから外部に出射され、出射された散乱光LA、LBは、観察者に観察される。表示パネル102において、散乱光LA、LBが出射される以外の領域は、アレイ基板150及び対向基板152、並びに第1透明基板151A及び第2透明基板151Bが透光性を有し(可視光に対して透明であり)、液晶層210が非散乱状態であるため実質的に透明であり、観察者は表示パネル102を通して背面側を視認することができる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10のアレイ基板150の構成を説明する平面図である。
図3に示すように、アレイ基板150は、表示領域12及び周辺領域14を含む。
【0028】
表示領域12は、マトリクス状に配列された複数の画素PIXを有する。複数の画素PIXの各々は、複数のトランジスタ及び液晶素子を有する。
【0029】
周辺領域14は、表示領域12を囲むように設けられる。なお、周辺領域14とは、アレイ基板150において、表示領域12からアレイ基板150の端部までの領域をいう。言い換えると、周辺領域14は、アレイ基板150上で表示領域12が設けられる以外の領域(すなわち、表示領域12の外側の領域)をいうものとする。
【0030】
周辺領域14には、ゲート駆動回路28及びソース駆動回路38の他に、ゲート配線領域32、ソース配線領域42、コモン配線16、18、端子部26、36、フレキシブルプリント回路24、34及び各種検査回路が設けられている。端子部26、36は、アレイ基板150の一辺に沿って配置されている。
【0031】
端子部26には、フレキシブルプリント回路24が接続されている。フレキシブルプリント回路24は、ゲート駆動回路28、コモン配線16、18、ESD用保護回路59、QDパッド56に各種信号を供給する。ゲート駆動回路28は、複数のゲート配線GLと接続されており、複数のゲート配線GLの各々は、表示領域12における複数の画素PIXの各々と電気的に接続されている。
図3では、複数のゲート配線GLが設けられた領域をゲート配線領域32として表しており、複数のゲート配線GLの詳細な配置については図示を省略している。2つのゲート駆動回路28と接続されるゲート配線GLの本数は、表示領域12における画素PIXの行の数に相当する。なお、
図3において、ゲート配線領域32は、表示領域12と離間して設けられている構成を示すが、実際にはゲート配線GLと画素PIXとは電気的に接続されている。
【0032】
端子部36には、フレキシブルプリント回路34が接続されている。フレキシブルプリント回路34は、ソース駆動回路38に映像信号を供給する。ソース駆動回路38は、複数のソース配線SLと接続されており、複数のソース配線SLの各々は、表示領域12における複数の画素PIXの各々と電気的に接続されている。
図3では、複数のソース配線SLが設けられた領域を、ソース配線領域42として表しており、複数のソース配線SLの詳細な配置については図示を省略している。8つのソース駆動回路38と接続されるソース配線SLの本数は、表示領域12における画素PIXの列の数の少なくとも3倍に相当する。本実施形態では、ソース配線SLの本数は、表示領域12における画素PIXの列の数の4倍の場合について説明する。なお、
図3において、ソース配線領域42は、表示領域12と離間して設けられている構成を示すが、実際にはソース配線SLと画素PIXとは電気的に接続されている。
【0033】
ゲート配線領域32と表示領域12との間には、コモン配線18、ESD用保護回路46、ゲート検査回路48、及び検査ライン54が設けられている。ソース配線領域42と表示領域12との間には、コモン配線18、ESD用保護回路46、ソース検査回路52及び検査ライン54が設けられている。検査ライン54は、ESD用保護回路58と、QDパッド56と接続されている。また、コモン配線18は、ESD用保護回路59と接続されている。
【0034】
コモン配線16は、アレイ基板150における周辺領域14を囲むように設けられており、2つのフレキシブルプリント回路24から信号が供給される。また、コモン配線16は、メッシュ状の電極で形成されたコモン配線領域22と電気的に接続されている。
【0035】
表示装置10は、
図1及び
図2に示す透明ディスプレイのような高速駆動パネルに限定されない。表示装置10は、透明ディスプレイでない表示装置に用いられる大型パネルに適用することができる。
【0036】
<画素回路>
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10が有する画素PIXの画素回路を説明する図である。本実施形態では、4本のゲート配線GLに同時にオン電圧を供給し、列方向に並ぶ4つの画素PIXを4本のソース配線SLによって同時に充電することが可能な表示装置10について説明する。これにより、ライン順次の水平期間よりも、1水平期間を長くすることができる。言い換えると、表示領域12に配置された全画素ラインのスキャンに必要な時間を1/4に短縮することができる。したがって、透明ディスプレイのような高速駆動パネルや、大型パネルにおいて、画素PIXの充電期間を十分に確保することができる。以下に、本実施形態における画素PIXの構成について詳細に説明する。
【0037】
図4において、4つの画素PIX1~PIX4が列方向(D2方向)に配列されている。4つの画素PIX1~PIX4の各々は、4本のゲート配線GL1~GL4の各々と電気的に接続されている。また、4つの画素PIX1~PIX4の各々は、4本のソース配線SL1~SL4の各々と電気的に接続されている。4つの画素PIX1~PIX4の各々は、容量配線CWと接続されている。以降の説明において、画素PIX1~PIX4を各々区別しない場合には、画素PIXと記載する。ゲート配線GL1~GL4の各々、及びソース配線SL1~SL4の各々についても区別しない場合には、ゲート配線GL及びソース配線SLと記載する。
【0038】
画素PIXは、トランジスタTr、液晶素子LE、及び保持容量Cを有する。トランジスタTrのゲートは、ゲート配線GLと接続され、トランジスタTrのソースは、ソース配線SLと接続され、トランジスタTrのドレインは液晶素子LEの一方の電極及び保持容量Cの一方の電極と接続される。液晶素子LEの他方の電極は、コモン電極218(
図7)と接続される。保持容量Cの他方の電極は、容量配線CWと接続される。
【0039】
トランジスタTrは、オン状態とオフ状態とを切り替えることにより、ソース配線SLから供給された映像信号の画素PIXへの書き込み時間を制御する機能を有する。トランジスタTrをオン状態とすることにより、ソース配線SLから供給された映像信号に対応する電位を、トランジスタTrと電気的に接続された保持容量Cに書き込むことができる。また、トランジスタTrをオフ状態とすることにより、保持容量Cに保持された電位を保持することができる。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置10のタイミングチャートである。通常、ゲート配線GLは、1行ずつオン電圧が供給されることで、D2方向に並ぶ画素列を同一のソース配線SLで順次充電する。これに対し、本実施形態では、4本のゲート配線GLに同時にオン電圧が供給されることで、4つの画素PIXの各々のトランジスタTrが同時にオン状態となる。この状態で、異なるソース配線SL1~SL4に対して同時に映像信号が供給される。これにより、D2方向に並ぶ4つの画素を同時に駆動することが可能となる。
【0041】
<画素の平面レイアウト>
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る表示装置10における画素PIXの平面レイアウトを説明する。
図6において、PIX-A1、PIX-A2、PIX-B1、PIX-B2を平面視した構成を示す。
【0042】
図6に示すように、D1方向に沿って、ゲート配線GLn-1~GLn+1が配置されている。また、D2方向に沿って、ソース配線SL1~SL4が配置されている。ここで、画素PIX-B1の開口領域は、隣接するゲート配線GLn-1と、ゲート配線GLnと、ソース配線SL1と、ソース配線SL4とによって囲まれた領域である。
【0043】
図6に示すように、1列の画素PIX-B1、PIX-B2を挟むように、ソース配線SL1及びソース配線SL3と、ソース配線SL2及びソース配線SL4とが設けられている。言い換えると、1列の画素PIX-A1、PIX-A2と1列の画素PIX-B1、PIX-B2との間には、4本のソース配線SL1~SL4が配置される。
【0044】
ゲート配線GLとソース配線SL1~SL4とが交差する領域250において、トランジスタTrが設けられる。また、トランジスタTrは、画素電極と接続される。画素電極は、画素PIX-B1の開口領域に設けられる。
図6に示すように、複数のスペーサSPは、マトリクス状に配置された画素PIXの交差部に配置される。または、複数のスペーサSPは、マトリクス状に配置された画素PIXの交差部に対して規則性を有するように配置される。例えば、複数のスペーサは、画素PIXの一行おき及び一列おきに配置されてもよい。言い換えると、スペーサSPが配置された交差部と隣接する交差部には、スペーサSPが配置されなくてもよい。
【0045】
図6に示すゲート配線GLとソース配線SL1~SL4とが交差する領域250において、ソース配線SL2及びソース配線SL4は、画素PIX-A1及び画素PIX-A2と隣接し、ソース配線SL1及びソース配線SL3は、画素PIX-B1及び画素PIX-B2と隣接している。スペーサSPが配置される位置を詳細に説明すると、スペーサSPは、画素PIX-B1及び画素PIX-B2と隣接するソース配線SL3と、画素PIX-A1及び画素PIX-A2と隣接するソース配線SL2と、重畳する。スペーサSPは、画素PIX-B2及び画素PIX-B3(図示せず)と隣接するソース配線SL4と、画素PIX-C2及び画素PIX-C3(図示せず)と隣接するソース配線SL3と、重畳する。
【0046】
スペーサSPは、ゲート配線GLと交差し、互いに隣接して設けられるソース配線SL1~SL4のうち、画素に近接する2本のソース配線に挟まれた2本のソース配線の上に配置される。
【0047】
図7は、表示装置10における断面図である。
図7では、表示装置10を断面視したときの各層の積層順について説明する。
【0048】
図7に示すように、アレイ基板150の上には導電層202-1が設けられている。導電層202-1の上には、ゲート絶縁膜203が設けられている。ゲート絶縁膜203の上には、酸化物半導体層204-1が設けられている。酸化物半導体層204-1は、ゲート絶縁膜203を介して導電層202-1と対向して設けられている。酸化物半導体層204-1の上には、導電層206-3、206-4が設けられている。導電層206-3、206-4の上に、絶縁膜205が設けられている。絶縁膜205の上には、導電層208-1が設けられている。
【0049】
本実施形態において、導電層202-1は、ゲート配線GL(ゲート電極)として機能する。導電層206-3は、ドレイン電極として機能し、導電層206-4はソース配線SL(ソース電極)として機能する。導電層208-1は、バックゲートとして機能する。導電層202-1、酸化物半導体層204-1、絶縁膜205、及び導電層206-3、206-4は、トランジスタTrとして機能する。また、本実施形態では、トランジスタTrをボトムゲート駆動のトランジスタであるとして説明するが、これに限定されず、トップゲート駆動のトランジスタであってもよいし、デュアルゲート駆動のトランジスタであってもよい。
【0050】
本実施形態では、ゲート絶縁膜203は、積層された窒化絶縁膜203a及び酸化絶縁膜203bを有する。絶縁膜205は、積層された酸化絶縁膜205a及び窒化絶縁膜205bを有する。また、酸化物半導体層204-1は、酸化絶縁膜203bと酸化絶縁膜205aとの間に挟まれている。酸化絶縁膜205aと酸化絶縁膜203bは、プロセス中に、酸化絶縁膜203b及び酸化絶縁膜205aから酸素が放出される。放出された酸素を酸化物半導体層204-1に供給させることができる。これにより、酸化物半導体層204-1の酸素欠陥を修復できるため好ましい。
【0051】
導電層208-1及び絶縁膜205の上に、平坦化膜207が設けられている。平坦化膜207は、トランジスタTrを構成する各種配線の凹凸を緩和するために設けられている。表示装置10を、透明ディスプレイに適用する場合、画素PIXの開口領域において、平坦化膜207は除去されることが好ましい。これにより、開口領域において平坦化膜207により光が吸収されてしまうことを抑制することができる。
図6において、平坦化膜207は、ゲート配線GLn-1~GLn+1及びソース配線SL1~SL4と重畳する位置に設けられている。
図7においては、平坦化膜207は、導電層206-4及びトランジスタTrと重なる領域に設けられている。また、平坦化膜207は、画素PIXの開口領域では除去されるため、導電層206-3と画素電極216-1との間には、平坦化膜207は設けられていない。
【0052】
平坦化膜207の上には、透明導電層212が設けられる。透明導電層212に接して導電層214が設けられる。透明導電層212及び導電層214は、容量配線CWとして機能する。透明導電層212及び導電層214は、
図6に示すゲート配線GLn-1~GLn+1及びソース配線SL1~SL4と重畳する位置に設けられている。なお、導電層214は、遮光層としても機能する。本実施形態では、透明導電層212の上に導電層214が設けられる構成について説明するが、導電層214の上に透明導電層212が設けられる構成であってもよい。導電層214の上に、絶縁膜209が設けられている。平坦化膜207は、開口領域では除去されているため、開口領域において、絶縁膜209は、絶縁膜205と接している。絶縁膜209の上に、画素電極216-1が設けられている。画素電極216-1は、絶縁膜205、209に設けられたコンタクトホールを介して導電層206-3と接続されている。画素電極216-1は、画素PIXの開口領域に設けられる。画素電極216-1は、ソース配線SL及びトランジスタTrを覆わず、導電層206-3の一部を覆っている。
【0053】
図7に示すように、トランジスタTrと重なる平坦化膜207の上において、透明導電層212の端部は、導電層214の端部と、画素電極216-1との間に設けられる。このような配置することで、トランジスタTrを遮光するとともに、開口領域における光の透過率を向上させることができる。
【0054】
アレイ基板150と対向するように対向基板152が設けられている。対向基板152には、遮光層219、コモン電極218、絶縁膜221が設けられている。遮光層219は、ブラックマトリクスとして機能する。
図7に示す構造では、遮光層219は、導電層206-4と重なる領域に設けられる。遮光層219は、ゲート配線GLn-1~GLn+1、及びソース配線SL1~ソース配線SL4を覆うように、格子状に配置される。コモン電極218は、表示領域112の全面に広がる大きさを有する。遮光層160は、金属膜で形成されていてもよく、透明導電膜で形成されるコモン電極218に接して設けられることで、補助電極としての機能を有する。アレイ基板150と対向基板152との間には液晶層210が設けられており、シール材154(
図1参照)によって封止されている。画素電極216-1と、液晶層210と、コモン電極218とにより、液晶素子LEが構成される。
【0055】
以上説明したように、表示装置において、アレイ基板150上には様々な厚さの導電層が積層されることにより、アレイ基板150の最表面には凹凸が生じることがある。対向基板152に設けられた複数のスペーサがアレイ基板150の最表面の凹凸に接触することにより、セルギャップにばらつきが生じてしまう。これにより、表示装置の表示品質が低下してしまう。
【0056】
また、表示領域において、ゲート配線GL及びソース配線SLと、導電層214によって、寄生容量が形成されることを抑制するために、平坦化膜207は厚く形成される。平坦化膜207は、ゲート配線GL及びソース配線SLを覆うように格子状に配置される。つまり、画素の開口領域においては、平坦化膜207は除去される。平坦化膜207の膜厚が2μmを超える場合、平坦化膜207の上に形成される導電膜又は絶縁膜を加工するためのマスクとしてレジストを塗布すると、塗布されたレジストは平坦化膜207の上から開口領域に流れてしまう場合がある。これにより、平坦化膜207の上部に配置されるレジストの膜厚が薄くなることで、レジストの塗布ムラが生じる。このようなレジストマスクを用いて導電膜または絶縁膜を加工すると、導電膜または絶縁膜に加工不良が生じる。
【0057】
平坦化膜207の上部に形成されるレジストの塗布ムラを抑制するために、レジストの膜厚を厚くすることで、平坦化膜207の上部から開口領域にレジストが流れることを抑制することができる。これにより、平坦化膜207の上部にレジストを覆うことができる。しかしながら、膜厚が厚いレジストを除去することは困難であり、パターンを微細化することも困難となる。また、レジストを厚く塗布することにより、レジスト内の溶剤の濃度が膜厚方向に応じて変化してしまう。例えば、レジストの表面では溶剤の濃度が低く、底面では溶剤の濃度が高くなる。レジストは、溶剤の濃度が低い方が固くなるためレジストを除去しづらく、溶剤の濃度が高い方が柔らかくなるためレジストを除去しやすくなる。そのため、レジストの膜厚方向に応じて溶剤の濃度が変化する場合、レジストを露光して、現像することで、マスクの形状が悪化してしまう。レジストを厚く塗布する場合に、レジストに含まれる溶剤の濃度を低くすると、レジストの膜厚方向における溶剤の濃度のムラは抑制される。レジストに含まれる溶剤の濃度を低くして、レジストを塗布した後に減圧乾燥時間を延長することで、レジストの形状を改善することが可能である。しかし、フォトリソグラフィ工程の処理タクトが長くなるため、量産化に適していない。
【0058】
このように、膜厚が厚く、加工された平坦化膜の上部にレジストマスクを精度よく形成することは困難である。また、レジストマスクの形状不良が生じることで、導電膜及び絶縁膜の加工不良が生じ、表示装置の表示不良を引き起こすおそれがある。
【0059】
さらに、表示装置において、トランジスタに酸化物半導体層を用いる場合、平坦化膜207に含まれる水分が酸化物半導体層に侵入すると、トランジスタの特性の悪化を招く。そのため、平坦化膜に含まれる水分を除去する必要がある。
【0060】
本発明の一実施形態に係る表示装置10では、平坦化膜207によって、ゲート配線及びソース配線と、導電層214との寄生容量を低減するとともに、開口領域の透過率を向上させる。このとき、平坦化膜207において、平坦化膜の上に設けられた透明導電層の表面よりも上方に突出する突出部を設け、当該突出部をスペーサとして機能させる。当該突出部によって、アレイ基板150と対向基板152との間のセルギャップを維持する。
【0061】
これにより、アレイ基板150に形成された様々な厚さの導電層の凹凸の影響が低減されたスペーサを対向基板152側に接触させることができる。そのため、アレイ基板150の最表面の凹凸に起因するセルギャップのばらつきを抑制することができる。これにより、表示装置の表示品質を向上させることができる。また、対向基板152におけるスペーサ形成工程を省略することができる。
【0062】
また、平坦化膜207に突出部を設けることにより、レジストを塗布しても、突出部の上部にはレジストが塗布されず、突出部以外の領域にレジストが塗布される。このようなレジストマスクを用いて突出部の上部における導電膜または絶縁膜を除去することにより、導電膜または絶縁膜から突出部の上部を露出させることができる。これにより、表示装置の製造工程において、加熱処理の際に、平坦化膜207に含まれる水分を露出した突出部の上部から放出させることができる。これにより、平坦化膜に含まれる水分が酸化物半導体層に侵入することを抑制することができ、トランジスタTrの特性が劣化することを抑制することができる。
【0063】
以降の説明において、ゲート配線GLとソース配線SL1~SL4とが交差する領域250について、
図8~
図13を参照して説明する。なお、
図8~
図13において、ソース配線SL2、SL4は、画素PIX-A1、PIX-A2を駆動する列の配線であり、ソース配線SL1、SL3は、画素PIX-B1、PIX-B2を駆動する列の配線である。
【0064】
図8は、領域250における導電層202-1~202-9、酸化物半導体層204-1~204-4、及び導電層206-1~206-11の平面レイアウトである。導電層202-1~202-9は、アレイ基板150の上に設けられる。導電層202-1は、D1方向に延在しているが、D2方向に分岐する領域を有する。また、導電層202-2~202-9は、D2方向に延在する。酸化物半導体層204-1~204-4は、導電層202-1の上に、ゲート絶縁膜203(
図7参照)を介して設けられる。酸化物半導体層204-1~204-4は、D2方向に並んで配置されている。本実施形態では、トランジスタTrを構成するために4つの酸化物半導体層204-1~204-4で構成している例について示す。酸化物半導体層は、複数の酸化物半導体層204-1~204-4に分離して設けることで発熱の影響を低減することができる。酸化物半導体層の数は、特に限定されない。酸化物半導体層204-1~204-4は、導電層202-1によって、導電層202-1側から酸化物半導体層204-1~204-4に向かうガラス基板(アレイ基板150)を導光してきた光が反射され、酸化物半導体層204-1~204-4に光リークが生じにくくなる。導電層206-1~206-11は、ゲート絶縁膜203及び酸化物半導体層204-1~204-4の上に設けられる。導電層206-1、206-2、206-11は、D1方向に延在し、導電層206-3~206-10は、D2方向に延在する。
【0065】
導電層202-1は、導電層206-1、206-2、206-11と重畳する。導電層202-1は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-1を介して導電層206-1と接続されており、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-2を介して、導電層206-2と接続されている。導電層202-1のうち、D1方向に延在する領域は、ゲート配線として機能する。また、導電層202-1のうち、D2方向に延在する領域は、ゲート電極として機能する。
【0066】
導電層202-2、202-3は、導電層206-4と重畳する。導電層202-2は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-3を介して導電層206-4と接続されている。導電層202-3は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-4を介して導電層206-4と接続されている。導電層206-4は、導電層202-1と交差している。導電層206-4は、第1ソース配線SL1として機能する。また、導電層206-4において、導電層202-2、202-3と重畳しない領域は、トランジスタTrのソース電極として機能する。導電層206-3は、トランジスタTrのドレイン電極として機能する。
【0067】
導電層202-4は、導電層206-5と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-5を介して、導電層206-5と接続されている。導電層202-5は、導電層206-6と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-6を介して、導電層206-6と接続されている。導電層206-5は、導電層208-2(
図9参照)を介して導電層206-6と接続される。これにより、導電層206-5、導電層206-6、及び導電層208-2は、第3ソース配線SL3として機能する。
【0068】
導電層202-6は、導電層206-7と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-7を介して、導電層206-7と接続されている。導電層202-7は、導電層206-8と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-8を介して、導電層206-8と接続されている。導電層206-7は、導電層208-3(
図9参照)を介して導電層206-8と接続される。導電層206-7、導電層206-8及び導電層208-3は、第2ソース配線SL2として機能する。
【0069】
導電層202-8は、導電層206-9と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-9を介して、導電層206-9と接続されている。導電層202-9は、導電層206-9及び導電層206-10と重畳している。導電層202-9は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-10を介して、導電層206-9と接続されている。また、導電層202-9は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-11を介して導電層206-10と接続されている。導電層206-9は、導電層202-1と交差する領域を有する。導電層206-9及び導電層206-10は、第4ソース配線SL4として機能する。
【0070】
また、導電層202-1は、導電層206-11と重畳し、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-12を介して、導電層206-11と接続されている。
【0071】
導電層202-9及び導電層206-8は、屈曲した領域を有する。導電層202-9は、導電層206-8と重畳し、交差する領域を有する。つまり、第2ソース配線SL2と、第4ソース配線SL4とが交差する領域を有している。
【0072】
詳述はしないが
図6に示すように、導電層202-2及び導電層206-5は、屈曲した領域を有する。導電層202-2は、導電層206-5と重畳し、交差する領域を有する。つまり、第1ソース配線SL1は、第3ソース配線SL3と交差する領域を有している。
【0073】
図8に示すように、ゲート配線GLnは、導電層202-1と、導電層206-1、206-2とが積層されることで構成されている。導電層202-1は、D1方向に沿って延在している。また、ゲート配線GLnは、ソース配線SL1~ソース配線SL4と交差する領域においては、導電層202-1のみが設けられており、導電層206-1と導電層206-2とは離間して設けられている。また、ソース配線SL1は、導電層202-2、202-3と、導電層206-4とが積層されることで構成されている。また、ソース配線SL1は、ゲート配線GLnと交差する領域においては、導電層206-4のみが設けられており、導電層202-2と導電層202-3とは離間して設けられている。これにより、アレイ基板150における表示領域12及び周辺領域14の製造工程において静電気が発生したとしても、静電気を逃がすことができるため、静電気に起因する不良の発生を抑制することができる。
【0074】
図9は、領域250における導電層206-1~206-11及び導電層208-1~208~3の平面レイアウトである。導電層206-1~206-11については、
図8において説明した通りである。導電層208-1~208-3は、絶縁膜205(
図7参照)の上に設けられている。導電層208-1は、D2方向に延在する領域と、D1方向に延在する領域と、を有する。D2方向に延在する領域は、酸化物半導体層204-1~204~5と重畳する。また、D1方向に延在する領域は、導電層206-11と重畳しており、絶縁膜205に設けられたコンタクトホール215-7を介して導電層206-11と接続されている。導電層208-2は、D2方向に延在している。導電層208-2は、導電層206-5及び導電層206-6と重畳しており、絶縁膜205に設けられたコンタクトホール215-3、215-4を介して導電層206-5及び導電層206-6と接続されている。導電層208-3は、D2方向に延在している。導電層208-3は、導電層206-7及び導電層206-8と重畳しており、絶縁膜205に設けられたコンタクトホール215-5、215-6を介して導電層206-7及び導電層206-8と接続されている。
【0075】
図10は、領域250における平坦化膜207、透明導電層212、及び導電層214の平面レイアウトである。平坦化膜207は、
図7に示すように画素PIX1~PIX4の開口領域において除去されている。つまり、平坦化膜207は、ゲート配線GL及びソース配線SL1~SL4の上に設けられている。平坦化膜207の上に、透明導電層212が設けられている。また、透明導電層212の上に、導電層214が設けられている。透明導電層212及び導電層214は、容量配線CWとして機能する。透明導電層212は、導電層206-1~206-11の上に、平坦化膜207を介して設けられている。そのため、ソース配線SL1~SL4と、容量配線CW配線とが離間して設けられるため、容量配線CWからの電位の影響を受けにくくなる。また、導電層214の電気抵抗は、透明導電層212の電気抵抗よりも小さい。そのため、表示領域12のうち、画素PIXがある位置による容量配線CWの電位のばらつきが抑制される。なお、透明導電層212は、開口部223を有しており、導電層214は、開口部225を有している。開口部223と開口部225とは、重なるように配置されている。開口部223の内側において、平坦化膜207が露出しており、スペーサSPが配置されている。
【0076】
透明導電層212及び導電層214は、ゲート配線GLn及びソース配線SL1~SL4の上方を覆うように、格子状に設けられている。これにより、透明導電層212が設けられていない領域と、画素電極216との間の保持容量Cが減少する。透明導電層212が設けられていない領域の大きさにより、保持容量Cが調整される。なお、透明導電層212は、格子状ではなく、全面に設けられていてもよい。また、導電層214は、トランジスタTrを覆うように設けられている。これにより、トランジスタTrの光リークを抑制することができる。
【0077】
導電層214は、透明導電層212の上に設けられている例を示すが、透明導電層212の下に設けられていてもよい。導電層214は、透明導電層212と積層されていればよい。導電層214は、遮光性を有している。そのため、ゲート配線GLn及びソース配線SL1~SL4を遮光することができる。導電層214の幅は、平面視で、ソース配線SL1~SL4を合わせた幅よりも大きくなるように設けられていてもよい。また、導電層214の幅は、平面視で、ゲート配線GLnの幅よりも大きくなるように設けられていてもよい。これにより、ソース配線SL1~SL4のエッジで反射する反射光を表示パネル11により放射することを抑制することができる。なお、導電層214の幅、又はソース配線SL1~SL4を合わせた幅とは、ソース配線SL1~SL4が延在する方向と交差する方向(D1方向)の長さをいう。また、ゲート配線GLnの幅とは、ゲート配線GLnが延在する方向と交差する方向(D2方向)の長さをいう。
【0078】
図11は、領域250における導電層206-1~206-11、及び画素電極216-1~216-4の平面レイアウトである。導電層206-1~206-11については、
図8において説明した通りである。画素電極216-1~216-4は、絶縁膜209の上に設けられている。画素電極216-1~216-4は、画素PIXの開口領域に設けられる。画素電極216-1は、絶縁膜209に設けられたコンタクトホール217-1、217-2、絶縁膜205に設けられたコンタクトホール215-1、215-2(
図9参照)を介して、導電層206-3と接続される。なお、絶縁膜209は、開口部217-3を有する。開口部217-3は、スペーサSPを囲むように配置される。また、開口部217-3は、開口部223及び開口部225(
図10参照)と重なるように設けられている。平坦化膜207の上において、開口部223、225、開口部217-3が設けられることで、露出した平坦化膜207から平坦化膜207に含まれる水分を放出させることができる。
【0079】
表示領域12において、ゲート配線GL1~GL4、ソース配線SL1~SL4として、導電層202と導電層206とを互いに積層して延在するように配置している。ソース配線SL1~SL4を、導電層202と導電層206とを積層して延在して配置することにより、ソース配線SL1~SL4の抵抗を均一化、及び配線容量の均一化を図ることができる。また、ソース配線SL1とソース配線SL3とを交差して配置し、ソース配線SL2とソース配線SL4とを交差して配置することができる。
【0080】
図12は、領域250における導電層202、導電層206、導電層208、導電層214、及びスペーサSPが重なる図である。
図13は、表示領域において、
図12に示すB1-B2線における断面図である。
図14は、表示領域において、
図12に示すC1-C2線における断面図である。スペーサSPが配置されるゲート配線GLnとソース配線SLとの交差部において、ゲート配線GLnとして膜厚が厚い導電層202-1で構成されているが、ソース配線SLとして膜厚が厚い導電層を設けることなく、導電層202及び導電層206に比べ膜厚が薄い導電層208-2、208-3で構成されている。これにより、膜厚が厚い導電層が互いに交差することなく、ゲート配線GLnとソース配線SLとが交差させることができる。
【0081】
図13及び
図14に示すように、スペーサSPは、導電層202-1と、導電層208-2、208-3とが交差する領域に配置される。スペーサSPは、平坦化膜207の一部であり、透明導電層212の表面よりも平坦化膜207の一部が上方に突出するように設けられる。透明導電層212において、スペーサSPを囲むように開口部223が設けられる。導電層214において、スペーサSPを囲むように開口部225が設けられる。ここで、開口部225の端部は、開口部223の端部の外側に位置する。絶縁膜209において、スペーサSPを囲むように開口部217-3が設けられる。絶縁膜209は、スペーサSPの側面に接している。ここで、開口部217-3の面積は、開口部223、225の面積よりも小さい。ここで、平坦化膜207において、窒化絶縁膜205bの表面から突出部の上面までの厚さを厚さT1とする。また、窒化絶縁膜205bの表面から透明導電層212までの厚さを厚さT2とする。厚さT1は、3μm程度であり、厚さT2は、2μm程度である。
【0082】
スペーサSPは、対向基板152の表面と接するように設けられる。スペーサSPは、対向基板152に設けられた導電膜や絶縁膜を介して接していてもよい。対向基板152には、遮光層219が設けられる。遮光層219に接してコモン電極218が設けられている。また、コモン電極218に接して、絶縁膜221が設けられている。絶縁膜221には、開口部232が配置されている。絶縁膜221に開口部232を配置して、開口部232の内側でコモン電極218とスペーサSPとが接することで、スペーサSPとコモン電極218との密着性を向上させることができる。また、開口部232の面積は、開口部217-3の面積よりも大きくてもよい。
【0083】
図8及び
図12に示すように、ソース配線SL3において、導電層202-4と導電層206-5とが重畳する領域と、導電層202-5と導電層206-6とが重畳する領域と、を有する。導電層206-5は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-5を介して、導電層202-4と接続される。導電層206-6は、ゲート絶縁膜203に設けられたコンタクトホール213-6を介して、導電層202-5と接続される。ここで、スペーサSPは、導電層206-5、206-6、206-7、206-8とは重ならない領域に設けられることが好ましい。
【0084】
また、スペーサSPは、導電層202-1と、導電層208-2、208-3とが交差する領域に隣接する画素PIX-B1のトランジスタTrとは重ならない。トランジスタTrは、ゲート配線GLn、ソース配線SL1、導電層206-3(ドレイン電極)、及び酸化物半導体層204によって構成される。そのため、ゲート配線GLnとソース配線SL1と酸化物半導体層204とが重なると、トランジスタTrの上に設けられる平坦化膜207の表面に凹凸が生じる。スペーサSPは、トランジスタTrの上に配置されないことで、セルギャップのばらつきを低減することができる。
【0085】
本実施形態では、複数のスペーサSPがマトリクス状に配置された画素の全ての交差部に対して配置される例について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。複数のスペーサSPがマトリクス状に配置された画素の交差部に対して規則性を有するように配置されてもよい。例えば、複数の交差部のうち一か所にスペーサSPが設けられるように、規則的に配置されてもよい。また、スペーサSPが、画素の交差部以外の領域に設けてもよい。複数のスペーサSPの高さが、全て同じ高さであってもよいし、複数のスペーサSPの内、異なる高さのスペーサSPが設けられてもよい。例えば、対向基板152側に接触するメインのスペーサSPと、セルギャップよりも高さが小さいサブのスペーサSPとが設けられていてもよい。
【0086】
<周辺領域>
次に、表示装置10の周辺領域14に配置されるスペーサについて、
図15及び
図16を参照して説明する。
【0087】
図15は、周辺領域14において、コモン配線領域22の近傍に配置されたシール材154をD1方向に切断したときの表示装置10の断面図である。
【0088】
図15では、アレイ基板150の上には、導電層202-21、202-22、202-23が設けられている。導電層202-21、202-22、202-23の上には、窒化絶縁膜203a、酸化絶縁膜203b、酸化絶縁膜205a、窒化絶縁膜205bが設けられている。導電層202-21、202-22、202-23と重なる領域に、平坦化膜207が配置されており、平坦化膜207にはスペーサSP-1、SP-2、SP-3として機能する突出部が設けられている。スペーサSP-1~SP-3のそれぞれは、透明導電層212の表面よりも突出している。平坦化膜207のスペーサSP-1を囲むように、透明導電層212の開口部が配置されており、導電層214の開口部が配置されている。また、スペーサSP-2を囲むように透明導電層212に開口部が配置されており、スペーサSP-3を囲むように透明導電層212に開口部が配置されている。スペーサSP-1、スペーサSP-2、SP-3は、コモン電極218と接する。スペーサSP-1は、シール材154が設けられる位置に配置される。
【0089】
図16は、周辺領域14において、端子部36の近傍に配置されたシール材154をD2方向に切断したときの表示装置10の断面図である。
【0090】
図16では、アレイ基板150の上には、導電層202-24、202-25、202-26、202-27が設けられている。導電層202-24、202-25、202-26、202-27の上には、窒化絶縁膜203a、酸化絶縁膜203b、酸化絶縁膜205a、窒化絶縁膜205bが設けられている。
図15に示す平坦化膜207と異なる点は、複数の導電層202-24、202-25、202-26と重畳して平坦化膜207が設けられている点である。また、導電層202-24~202-26と重畳する平坦化膜207には、スペーサSP-4、スペーサSP-5として機能する突出部が設けられている。スペーサSP-4、スペーサSP-5のそれぞれは、透明導電層212の表面よりも上方に突出している。平坦化膜207のスペーサSP-4、SP-5を囲むように、透明導電層212に2つの開口部が配置されており、導電層214に2つの開口部が配置されている。導電層202-27と重畳する平坦化膜207にはスペーサSP-5として機能する突出部が設けられている。スペーサSP-5を囲むように透明導電層212に開口部が配置されている。
【0091】
図15及び
図16において、平坦化膜207、透明導電層212、及び導電層214は、各種の配線の上に格子状に配置されている。アレイ基板150上において、平坦化膜207は、1つの層で形成されていてもよいし、複数の層に分割されて形成されていてもよい。同様に、透明導電層212及び導電層214のそれぞれは、1つの層で形成されていてもよいし、複数の層に分割されていてもよい。
【0092】
本実施形態では、周辺領域に配置されるスペーサSPは、ほぼ同じ高さで形成される場合について説明したが、本発明の一実施形態はこれに限定されない。周辺領域において、複数のスペーサSPの内、異なる高さのスペーサSPが設けられてもよい。例えば、対向基板152側に接触するメインのスペーサSPと、セルギャップよりも高さが小さいサブのスペーサSPとが設けられていてもよい。
【0093】
通常、表示装置は大型のマザー基板を用いて製造される。このとき、マザー基板の上に複数の表示領域を形成した後、シール材を塗布して、対向基板と貼り合わせる。その後、隣接する表示領域の間において、マザー基板及び対向基板をカットすることで、個々の表示パネルを切り出す。このとき、マザー基板及び対向基板をカットするためのカットラインに沿って有機樹脂を用いて平坦化膜及び突出部を形成する。カットラインに沿って設けられる平坦化膜及び突出部の双方は、例えば、ライン状である。または、平坦化膜はライン状であり、突出部はドット状であってもよい。カットラインに沿って、平坦化膜及び突出部を設けることにより、液晶汚染防止壁として機能する。
【0094】
<平坦化膜及びスペーサの形成方法>
次に、本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法について、
図17A~
図20Bを参照して説明する。具体的には、平坦化膜207及びスペーサSPを形成し、透明導電層212、導電層214、絶縁膜209、及び画素電極216を形成する方法について説明する。まず、有機樹脂を用いて平坦化膜207及びスペーサSPを形成する方法について、
図17A~
図18Aを参照して説明する。
【0095】
図17A~
図18Aは、アレイ基板150の上に平坦化膜207となる有機樹脂242を塗布して多階調露光を行う工程を説明する図である。ここでは、有機樹脂242の下に設けられる導電層、絶縁膜、及び酸化物半導体層の図示を省略して説明する。
図17Aに示すように、アレイ基板150の上に有機樹脂242が塗布されている。平坦化膜207として機能する有機樹脂242の材料として、ポジ型の有機樹脂を用いる。ポジ型の有機樹脂は、光(主に紫外線)を照射することで軟化する。ここで、有機樹脂242の膜厚は、3.0μm程度である。
【0096】
図17Bに示すように、多階調マスク240を用いて、有機樹脂242に露光を行う。多階調マスク240として、グレートーンマスク又はハーフトーンマスクを用いればよい。グレートーンマスクは、遮光部と透過部とグレートーン部とを有する。グレートーン部は、露光機の解像度以下のスリットが設けられることで光の透過量を調整する機能を有する。ハーフトーンマスクは、半透過膜によって光の透過量を調整する機能を有する。多階調マスク240を用いて露光を行うことにより、有機樹脂242に未露光領域244、中間露光領域246、及び露光領域248を形成することができる。ここで、未露光領域244はスペーサSPが形成される領域に対応し、中間露光領域246は平坦化膜207が形成される領域に対応する。中間露光領域246においては、有機樹脂242の表面から25%以上30%以下の膜厚が露光される。
【0097】
次に、露光された有機樹脂242に現像を行うことにより、中間露光領域246の有機樹脂及び露光領域248の有機樹脂を除去することができる。これにより、
図18に示すように、平坦化膜207に一部が突出したスペーサSPを形成することができる。このとき、平坦化膜207のうち、厚さT1は3μm程度であり、ゲート配線GL及びソース配線SLを覆う領域の厚さT2は2μm程度であり、スペーサSPとして機能する突出部の厚さT3は1μm程度である。
【0098】
本発明の一実施形態において、平坦化膜207及びスペーサSPを形成する方法は、多階調マスク240を用いた方法に限定されない。例えば、有機樹脂242にスペーサの形状に合わせた開口を有するマスクで露光した後、平坦化膜の形状に合わせた開口を有するマスクで露光するように、2回露光を行ってもよい。または、1層目の有機樹脂を用いて平坦化膜207を形成したのち、平坦化膜207の上にさらに2層目の有機樹脂を塗布し、当該2層目の有機樹脂を用いて平坦化膜207上にスペーサを形成する、2回のフォトリソグラフィ工程を行ってもよい。
【0099】
次に、透明導電層212~画素電極216を形成する方法について、
図18B~
図20Bを参照して説明する。
【0100】
図18Bは、透明導電層212及び導電層214を形成する工程を説明する図である。まず、絶縁膜205及び平坦化膜207の上に、透明導電層212を形成する。透明導電層212に、スペーサSPを囲むように開口部を形成する。透明導電層212の上に導電層214を形成する。導電層214に、スペーサSPを囲むように開口部を形成する。なお、透明導電層212を形成した後、導電膜を成膜した状態で、熱処理を行ってもよいし、導電膜をエッチングして導電層214を形成した後に、熱処理を行ってもよい。平坦化膜207が露出した領域から水分を放出させることができる。
【0101】
図19Aは、透明導電層212、導電層214、及びスペーサSPを覆うように、絶縁膜209を形成する工程を説明する図である。絶縁膜209は、スペーサSPの側面及び上部も覆うように形成される。図示しないが、絶縁膜209は、絶縁膜205と接する領域を有する。換言すると、画素の開口領域において、絶縁膜209は、絶縁膜205と接する。
【0102】
図19Bは、絶縁膜209上にレジストマスク252を形成する工程を説明する図である。上述したように、レジストマスク252の厚さによっては絶縁膜209の上部が形成されない領域と形成される領域とが生じる場合がある。本実施形態では、スペーサSPの上部に形成されるレジストマスク252を除去することで、スペーサSPの上部の絶縁膜209を露出させる。
【0103】
図20Aは、レジストマスク252を用いて、エッチング処理を行う工程を説明する図である。エッチング処理を行うことにより、スペーサSPの上部の露出された絶縁膜209を除去することができる。これにより、スペーサSPの上部を露出させることができる。その後、レジストマスク252を除去する。スペーサSPを囲むように、透明導電層212の開口部、導電層214の開口部、絶縁膜209の開口部が配置される。この状態で熱処理を行うことにより、スペーサSPの露出した領域から、平坦化膜207に含まれる水分を放出させることができる。
【0104】
図20Bは、絶縁膜209の上に、画素電極216を形成する工程を説明する図である。画素電極216は、画素の開口領域に設けられる。言い換えると、画素電極216は、平坦化膜207が除去された領域に設けられる。画素電極216を形成した後、熱処理を行って、スペーサSPの露出した領域から、平坦化膜207に含まれる水分を放出させてもよい。最後に、ポストベークを行ってもよい。
【0105】
以上説明した通り、平坦化膜207にスペーサSPとして機能する突出部を形成することができる。平坦化膜207の上に形成される透明導電層212、導電層214、及び絶縁膜209は、平坦化膜207に含まれる水分の放出をブロックする。そのため、スペーサSPの上部を露出させることにより、繰り返しの熱処理によって、平坦化膜207に含まれる水分を放出させることができる。これにより、平坦化膜207の下に形成された酸化物半導体層に水分が侵入することを抑制することができる。したがって、トランジスタの特性の劣化を抑制することができる。
【0106】
<表示装置10の各部材の材質>
アレイ基板150、対向基板152として、ガラス基板、石英基板、およびサファイア基板など、透光性を有し、可撓性を有しない剛性基板を用いることができる。一方、アレイ基板150、対向基板152が可撓性を有する必要がある場合は、アレイ基板150、対向基板152としてポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、またはフッ素樹脂基板など、樹脂を含み、可撓性を有するフレキシブル基板を用いることができる。アレイ基板150、対向基板152の耐熱性を向上させるために、上記の樹脂に不純物を導入してもよい。また、表示装置10を透明ディスプレイや大型ディスプレイに適用する場合には、アレイ基板150及び対向基板152として、ガラス基板を用いることが好ましい。また、第1透明基板151A及び第2透明基板151Bについては、アレイ基板150及び対向基板152を保護するために設ける。そのため、例えば、透光性を有するガラス基板、プラスチック基板等を用いることが好ましい。
【0107】
ゲート絶縁膜203、絶縁膜205、及び絶縁膜209として、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、窒化アルミニウム(AlNx)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)の単層又は積層構造を用いる。本実施形態では、ゲート絶縁膜203は、窒化絶縁膜203a、酸化絶縁膜203bの積層構造で構成される。また、絶縁膜205は、酸化絶縁膜205a、窒化絶縁膜205bで構成される。窒化絶縁膜203a、205b、絶縁膜209として、窒化シリコンを用いる。窒化シリコン膜は、例えば、化学気相成長法により形成される。また、酸化絶縁膜203b、205aとして、酸化シリコンを用いる。
【0108】
上記のSiOxNy及びAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない比率(x>y)の窒素(N)を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。また、SiNxOy及びAlNxOyは、窒素よりも少ない比率(x>y)の酸素を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。
【0109】
平坦化膜207として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はシロキサン樹脂などの有機絶縁材料を用いることができる。
【0110】
導電層202、206、208及び導電層214として、一般的な金属材料を用いることができる。例えば、これらの部材として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、及びこれらの合金又は化合物が用いられる。上記の部材として、上記の材料が単層で用いられてもよく、積層で用いられてもよい。
【0111】
酸化物半導体層204として、半導体の特性を有する酸化物半導体を用いることができる。酸化物半導体層204は透光性を有する。例えば、酸化物半導体層204として、インジウム(In)を含む2以上の金属を含む酸化物半導体が用いられる。酸化物半導体層204として、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を含む酸化物半導体を酸化物半導体層204として用いてもよい。特に、In:Ga:Zn:O=1:1:1:4の組成比を有する酸化物半導体を用いてもよい。ただし、本実施形態で使用される酸化物半導体層204は上記の組成に限定されるものではなく、上記とは異なる組成の酸化物半導体を用いることもできる。
【0112】
透明導電層212、画素電極216、及びコモン電極218として、酸化インジウム及び酸化スズの混合物(ITO)及び酸化インジウム及び酸化亜鉛の混合物(IZO)を用いることができる。当該透明導電層として、上記以外の材料が用いられてもよい。ブラックマトリクスBMに用いる遮光層219は黒色の樹脂又は金属材料で形成することができる。ブラックマトリクスBMはコモン電極218と接して形成される(
図8参照)。透明導電膜で形成されるコモン電極218に対し、ブラックマトリクスBMを金属材料で形成することで、抵抗損失を低減するための補助電極としての機能を持たせることができる。ブラックマトリクスBMを形成する金属材料としては、アルミニウムに対して相対的に反射率が低い、クロム、モリブデン、チタンなどを単層で、又は積層して用いてもよい。
【0113】
表示装置10を透明ディスプレイに適用する場合、液晶層210として、高分子分散型液晶を用いることが好ましい。高分子分散型液晶は、バルク及び微粒子を含む。微粒子は、バルク内で画素電極216とコモン電極218との電位差に応じて配向が変化する。画素PIX毎に、画素電極216の電位が個別に制御されることで、画素PIX毎に少なくとも透光及び分散のいずれかの度合いが制御される。液晶層(微粒子)の散乱度は、各画素電極216の電圧とコモン電極218の電圧に応じて制御される。例えば、液晶層は各画素PIXの電圧とコモン電極218との間の電圧が大きくなるほど散乱度が大きくなるような高分子分散型液晶を用いてもよいし、各画素電極216の電圧とコモン電極218との間の電圧が小さくなるほど散乱度が大きくなるような高分子分散型液晶を用いてもよい。
【0114】
液晶層210において、バルク及び微粒子の常光屈折率は互いに等しい。画素電極216とコモン電極218との間に電圧が印加されていない状態では、あらゆる方向においてバルク及び微粒子との間の屈折率差がゼロになる。液晶層210は、光源から射出された光を散乱しない非散乱状態となる。光源から射出された光は、アレイ基板150の第1主面及び対向基板152の第1主面で反射しながら、光源(発光部)から遠ざかる方向に伝播する。液晶層210が光源から射出された光Lを散乱しない非散乱状態であると、アレイ基板150から対向基板152の背景が視認され、対向基板152からアレイ基板150の背景が視認される。
【0115】
電圧が印加された画素電極216とコモン電極218との間では、微粒子の光軸は、画素電極216とコモン電極218との間に発生する電界によって傾くことになる。バルクの光軸は、電界によって変化しないため、バルクの光軸と微粒子の光軸の向きは互いに異なる。電圧が印加された画素電極216がある画素PIXにおいて、光源から射出された光が散乱される。上述したように散乱された光源から射出された光の一部がアレイ基板150の第1主面又は対向基板152の第1主面から外部に放射された光は、観察者に観察される。
【0116】
電圧が印加されていない画素電極216がある画素PIXでは、アレイ基板150の第1主面から対向基板152の第1主面側の背景が視認され、対向基板152の第1主面からアレイ基板150の第1主面側の背景が視認される。そして、本実施形態の表示装置10は、映像信号が入力されると、画像が表示される画素PIXの画素電極216に電圧が印加され、映像信号に基づく画像が背景とともに視認される。このように、高分子分散型液晶が散乱状態にあるとき、表示領域において画像が表示される。
【0117】
以上、好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0118】
10:表示装置、11:表示パネル、12:表示領域、14:周辺領域、15A:第1平面、15B:第2平面、15C:第1側面、16:コモン配線、18:コモン配線、22:コモン配線領域、24:フレキシブルプリント回路、26:端子部、28:ゲート駆動回路、32:ゲート配線領域、34:フレキシブルプリント回路、36:端子部、38:ソース駆動回路、42:ソース配線領域、46:ESD用保護回路、48:ゲート検査回路、52:ソース検査回路、54:検査ライン、56:QDパッド、58:ESD用保護回路、59:ESD用保護回路、102:表示パネル、104:光源、110:発光制御回路、112:表示領域、150:アレイ基板、151A:第1透明基板、151B:第2透明基板、152:対向基板、154:シール材、160:遮光層、202:導電層、202:導電層、203:ゲート絶縁膜、204:酸化物半導体層、205:絶縁膜、206:導電層、207:平坦化膜、208:導電層、209:絶縁膜、210:液晶層、212:透明導電層、213:コンタクトホール、214:導電層、215:コンタクトホール、216:画素電極、217-1、217-2:コンタクトホール、217-3:開口部、218:コモン電極、219:遮光層、221:絶縁膜、223:開口部、225:開口部、232:開口部、240:多階調マスク、242:有機樹脂、244:未露光領域、246:中間露光領域、248:露光領域、250:領域、252:レジストマスク、BM:ブラックマトリクス、C:保持容量、CW:容量配線、GL:ゲート配線、LE:液晶素子、PIX:画素、SL:ソース配線、SP:スペーサ