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  • 特開-ハイブリッド車両の制御装置 図1
  • 特開-ハイブリッド車両の制御装置 図2
  • 特開-ハイブリッド車両の制御装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174724
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/17 20160101AFI20241210BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20241210BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B60W20/17 ZHV
B60K6/445
B60W10/08 900
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092708
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】岡屋 晋伍
(72)【発明者】
【氏名】浅浦 慎也
【テーマコード(参考)】
3D202
【Fターム(参考)】
3D202AA03
3D202BB11
3D202CC42
3D202DD00
3D202DD26
(57)【要約】
【課題】変速ギア機構の歯打ち音の発生を好適に抑制することができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】複数の気筒112及びクランク軸AXを有する内燃機関110と、クランク軸AXに連結され、クランク軸AXの回転によって発電可能な第2モータジェネレータ140と、を備えるハイブリッド車両10に適用され、ハイブリッド車両10の停車中に、内燃機関110から出力されるトルクを出力比を変換して伝達する変速ギア機構160のギア比ごとに設定された第2モータジェネレータ140の回転数と第2モータジェネレータ140から出力される押し当てトルクとの対応関係を示す情報を参照し、第2モータジェネレータ140の回転数に応じた押し当てトルクを第2モータジェネレータ140から変速ギア機構160に対して伝達させることで、内燃機関110の始動時における変速ギア機構160の制動制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒及びクランク軸を有する内燃機関と、前記クランク軸に連結され、前記クランク軸の回転によって発電可能な電気モータと、を備えるハイブリッド車両に適用され、
前記ハイブリッド車両の停車中に、前記内燃機関から出力されるトルクを出力比を変換して伝達する変速ギア機構のギア比ごとに設定された前記電気モータの回転数と前記電気モータから出力される押し当てトルクとの対応関係を示す情報を参照し、前記電気モータの回転数に応じた押し当てトルクを前記電気モータから前記変速ギア機構に対して伝達させることで、前記内燃機関の始動時における前記変速ギア機構の制動制御を行う、
ハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関と電気モータとを駆動源として有するハイブリッド車両が種々提案されている。例えば、特許文献1に記載のハイブリッド車両においては、ハイブリッド車両の停車中に内燃機関の始動を行う際に、電気モータからの出力に基づいて変速ギア機構に所定の押し当てトルクを付加する押し当て制御を実行することで、変速ギア機構のバックラッシュを詰めてギア歯とギア歯を押し当てた状態に維持して、変速ギア機構の歯打ち音の発生を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-264853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、変速ギア機構の段数ごとに変速ギア機構が歯打ち音を発生させる際の条件が異なることから、変速ギア機構の歯打ち音の発生を抑制するうえで、なお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、変速ギア機構の歯打ち音の発生を好適に抑制することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するハイブリッド車両の制御装置は、複数の気筒及びクランク軸を有する内燃機関と、クランク軸に連結され、クランク軸の回転によって発電可能な電気モータと、を備えるハイブリッド車両に適用され、ハイブリッド車両の停車中に、内燃機関から出力されるトルクを出力比を変換して伝達する変速ギア機構のギア比ごとに設定された電気モータの回転数と電気モータの押し当てトルクとの対応関係を示す情報を参照し、電気モータの回転数に応じた押し当てトルクを電気モータから変速ギア機構に対して伝達させることで、内燃機関の始動時における変速ギア機構の制動制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変速ギア機構の歯打ち音の発生を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のハイブリッド車両の制御装置の周辺構成を示すブロック図である。
図2】変速ギア機構の歯打ち音の周波数と変速ギア機構の動力の伝達率との相関関係を示すグラフである。
図3】モータの回転数とモータの押し当てトルクとの対応関係を示すマップの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ハイブリッド車両の制御装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1には、本実施形態の制御装置100を備えるハイブリッド車両10の一例が図示されている。本実施形態では、ハイブリッド車両10を、単に「車両10」と称す。
【0011】
車両10は、内燃機関110と、動力配分統合機構120と、第1モータジェネレータ130と、電気モータの一例としての第2モータジェネレータ140とを備えている。第1モータジェネレータ130には、内燃機関110のクランク軸AXが接続されている。動力配分統合機構120には、変速ギア機構160を介して、電気モータの一例としての第2モータジェネレータ140が接続されている。動力配分統合機構120には、ディファレンシャル170を介して駆動輪180が連結されている。
【0012】
第1モータジェネレータ130は、第1インバータ190を介してバッテリと電力の授受を行う。第2モータジェネレータ140は、第2インバータ200を介してバッテリと電力の授受を行う。
【0013】
内燃機関110は、複数の気筒112を有している。各気筒112内では、ピストンが往復動するようになっている。各ピストンは、コネクティングロッドを介してバッテリと電力の授受を行う。
【0014】
内燃機関110の吸気通路には、吸気通路を流れる吸入空気の流量である吸入空気量を調整するスロットルバルブが設けられている。また、内燃機関110には、吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、燃料と吸気とを含む混合気を気筒ごとに燃焼させ、混合気の燃焼によって各気筒内で生じた排気が排気通路に排出される。排気通路には、三元触媒が設けられている。
【0015】
制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0016】
制御装置100は、車両10を統括的に制御する統括制御部102と、内燃機関110を制御する内燃機関制御部104と、第1モータジェネレータ130及び第2モータジェネレータ140を制御するモータ制御部106とを有している。
【0017】
統括制御部102には、アクセルペダル20により検出された車両10の運転者によるアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量と、車速センサ30により検出された車両10の走行速度である車速が入力される。そして、統括制御部102は、アクセル操作量及び車速に基づいて車両10の駆動力の要求値である車両要求パワーを算出する。
【0018】
モータ制御部106は、第1インバータ190を動作させることにより、第1モータジェネレータ130を制御する。すなわち、モータ制御部106は、第1モータ要求トルクに基づいて第1インバータ190を動作させる。また、モータ制御部106は、第2インバータ200を動作させることにより、第2モータジェネレータ140を制御する。すなわち、モータ制御部106は、第2モータ要求トルクに基づいて第2インバータ200を動作させる。
【0019】
モータ制御部106は、車両10の停車中に、第2モータジェネレータ140の回転数に応じた押し当てトルクを第2モータジェネレータ140から変速ギア機構160に伝達し、内燃機関110の始動時における変速ギア機構160のバックラッシュを詰めてギア歯とギア歯を押し当てた状態に維持することで、変速ギア機構160の制動制御を行う。これにより、変速ギア機構160の歯打ち音の発生が抑制される。
【0020】
内燃機関制御部104は、例えば、エアフロメータ、クランク角センサ、第1空燃比センサ、及び、第2空燃比センサなどの各種のセンサからの検出信号に基づいて、内燃機関110が備える各種のアクチュエータを制御する。
【0021】
内燃機関制御部104は、機関要求トルク、吸入空気量及び機関回転速度を基に、燃料噴射量の基準値である燃料噴射量基準値を導出する。また、内燃機関制御部104は、空燃比の目標値である空燃比目標値と第1空燃比との偏差を入力するフィードバック制御によって燃料噴射量の補正量を導出する。例えば、理論空燃比が空燃比目標値として設定されている。そして、内燃機関制御部104は、燃料噴射量基準値と、燃料噴射量の補正量との和又は当該和に応じた値を要求燃料噴射量として設定し、当該要求燃料噴射量を基に各燃料噴射弁を制御する。
【0022】
図2は、変速ギア機構160の制動制御を実行する前後における変速ギア機構160の歯打ち音の周波数特性を示したグラフである。同図に示すように、変速ギア機構160の制動制御を実行した際には、変速ギア機構160の制動制御を実行する前と比較して、特に、高周波数帯域における変速ギア機構160の歯打ち音の発生が抑制される。
【0023】
なお、変速ギア機構160の歯打ち音が発生する条件は、変速ギア機構160のギア比に応じて異なる。そこで、図3に示すように、モータ制御部106は、変速ギア機構160のギア比ごとに、第2モータジェネレータ140の回転数と第2モータジェネレータ140の押し当てトルクとの対応関係を示すマップを記憶部に格納している。そして、モータ制御部106は、変速ギア機構160の制動制御を実行する際には、変速ギア機構のギア比ごとに設定された第2モータジェネレータ140の回転数と第2モータジェネレータ140の押し当てトルクとの対応関係を示すマップを記憶部から読み出し、第2モータジェネレータ140の回転数に応じた押し当てトルクを第2モータジェネレータ140から変速ギア機構160に対して伝達させることで、内燃機関110の始動時における変速ギア機構160の制動制御を行う。これにより、変速ギア機構160の歯打ち音の発生が好適に抑えられ、変速ギア機構160の制動制御が的確に行われる。
【0024】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0025】
10…ハイブリッド車両、20…アクセルペダル、30…車速センサ、100…制御装置、102…統括制御部、104…内燃機関制御部、106…モータ制御部、110…内燃機関、112…気筒、130…第1モータジェネレータ、140…第2モータジェネレータ、160…変速ギア機構、170…ディファレンシャル、180…駆動輪、190…第1インバータ、200…第2インバータ。
図1
図2
図3