(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174726
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】材料特性予測装置、材料特性予測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B21B 37/00 20060101AFI20241210BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B21B37/00 300
B21C51/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092710
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 純一
(72)【発明者】
【氏名】湊 研
(72)【発明者】
【氏名】酒井 健吾
(72)【発明者】
【氏名】塩川 一生
【テーマコード(参考)】
4E124
【Fターム(参考)】
4E124AA07
4E124AA08
4E124BB02
4E124BB07
4E124BB09
4E124CC02
4E124EE11
(57)【要約】
【課題】鋼材の略全長に亘る材料特性値を精度良く予測可能な材料特性予測装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る材料特性予測装置100は、予測対象となる対象鋼材の略全長に亘る材料特性値を予測する装置であり、対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第1材料特性値予測モデルを備える。第1材料特性値予測モデルは、例えば、過去に製造された参照鋼材の製造工程における所定の長手方向位置での操業実績を入力とし、参照鋼材の前記所定の長手方向位置から取得した試験片について測定した材料特性値を出力とする既知データを用いることで構築される。材料特性予測装置100は、第1材料特性値予測モデルから、対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を対象鋼材の略全長に亘って出力することで、対象鋼材の略全長に亘る材料特性値を予測する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測装置であって、
前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第1材料特性値予測モデルを備え、
前記第1材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、
材料特性予測装置。
【請求項2】
前記第1材料特性値予測モデルは、過去に製造された鋼材である参照鋼材から試験片を取得した長手方向位置での製造工程における操業実績を入力とし、前記参照鋼材から取得した前記試験片について測定した材料特性値を出力とする既知データを用いることで構築される、
請求項1に記載の材料特性予測装置。
【請求項3】
前記第1材料特性値予測モデルは、前記対象鋼材の製造工程における試験片を取得した長手方向位置での操業実績を入力とし、前記対象鋼材から取得した前記試験片について測定した材料特性値を出力とする新たな既知データを追加して用いることで再構築される、
請求項2に記載の材料特性予測装置。
【請求項4】
予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測装置であって、
前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績と、前記対象鋼材から取得した試験片について測定した材料特性値と、前記試験片を取得した前記対象鋼材の長手方向位置とを入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第2材料特性値予測モデルを備え、
前記第2材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、
材料特性予測装置。
【請求項5】
前記第2材料特性値予測モデルは、過去に製造された鋼材である参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置での製造工程における操業実績と、前記モデル出力用試験片を取得した前記長手方向位置と、前記参照鋼材から取得した基準試験片について測定した材料特性値と、前記基準試験片を取得した前記参照鋼材の長手方向位置での製造工程における操業実績と、前記基準試験片を取得した前記長手方向位置とを入力とし、前記モデル出力用試験片について測定した材料特性値を出力とする既知データを用いることで構築される、
請求項4に記載の材料特性予測装置。
【請求項6】
請求項1から3の何れかに記載の前記第1材料特性値予測モデルと、
請求項4又は5に記載の前記第2材料特性値予測モデルと、を備え、
前記第1材料特性値予測モデルから出力される前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、前記第2材料特性値予測モデルから出力される前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、を合成した確率分布を、最終的な前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布として、前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、
材料特性予測装置。
【請求項7】
前記予測した前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値に基づき、製造コストの期待値が最小となるように、前記対象鋼材の長手方向の切断位置を算出する、
請求項1から5の何れかに記載の材料特性予測装置。
【請求項8】
前記予測した前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値に基づき、製造コストの期待値が最小となるように、前記対象鋼材の長手方向の切断位置を算出する、
請求項7に記載の材料特性予測装置。
【請求項9】
予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測方法であって、
前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第1材料特性値予測モデルを用い、
前記第1材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、
材料特性予測方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から5の何れかに記載の材料特性予測装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板等の鋼材の略全長に亘る引張応力等の材料特性値を精度良く予測可能な、材料特性予測装置、材料特性予測方法、及び材料特性予測装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱工程や圧延工程等の公知の製造工程を経て製造される鋼板等の鋼材は、要求される品質を保証するために、納品に先立って、引張応力等の材料特性値が測定される。材料特性値は、鋼材の先端部又は後端部(製品仕様に応じた長さに切断した後の鋼材の先端部又は後端部を含む)で試験片を採取し、所定の試験機を用いることで測定される。このため、鋼材の全長に亘って鋼材の材料特性値を測定することはできない。
【0003】
鋼材の先端部及び後端部は、鋼材の温度や圧延荷重の設定値からのずれが大きく、材料特性値が要求を満足できないことが多い。このため、試験片を採取した位置で材料特性値が要求を満足できなかった場合、従来は、鋼材の全長に亘る鋼材温度や圧延荷重の情報(温度チャート、荷重チャート)に基づき、鋼材の先端又は後端から、材料特性値が要求を満足すると考えられる位置まで鋼材を切断し、切断後の鋼材の先端部又は後端部から再度試験片を採取し、測定した材料特性値が要求を満足しているかを確認している。
【0004】
しかしながら、鋼材の材料特性値は、鋼材温度、圧延荷重、成分値など、多数の操業実績によって決まるため、温度チャートや荷重チャートを確認するだけでは、鋼材の切断位置を適切に決定することは難しい。このため、鋼材の全長に亘って、材料特性値を精度良く予測できる技術が望まれている。また、鋼材の全長に亘って材料特性値を予測することは、品質保証の観点からも有用な技術である。
【0005】
従来、鋼材の全長に亘る材料特性値を予測する技術として、例えば、特許文献1、2に記載の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術は、鋼材の全域に亘る温度分布を含む操業条件を測定した操業実績と、鋼材の所定位置で測定した材料特性値とを関連付けた情報に基づき予測モデルを作成しておき、次に製造された鋼材の操業実績に基づき、材質予測モデルから鋼材の材料特性値を予測する技術である。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、予測モデルの不確実性を考慮できていないため、材料特性値にどの程度のバラツキが生じるかを予測できず、鋼材の切断位置の適正化や、全長に亘る材料特性値の保証への適用は困難である。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術は、金属学モデルと機械学習モデルとのハイブリッド手法であり、金属学モデルの入力変数となる製造条件因子を、設備出力因子から機械学習によって推定する手法である。特許文献2に記載の技術では、設備出力因子の組合せが過去実績に存在しない場合に、製造条件因子の推定精度が悪くなるという問題がある。また、金属学モデルは鉄鋼プロセスにおける様々な外乱を考慮しきれていないため、例え製造条件因子が正しく計算されたとしても、材料特性値を高精度に予測することが難しいという問題がある。
【0007】
なお、非特許文献1、2には、分散不均一ガウス過程(分散不均一を考慮したガウス過程回帰)について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6086155号公報
【特許文献2】特開2022-48037号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Alan D. Saul, James Hensman, Aki Vehtari, Neil D. Lawrence, "Chained Gaussian Processes", Proceedings of the 19th International Conference on Artificial Intelligence and Statistics, PMLR 51:1431-1440, 2016
【非特許文献2】「ヘテロスケダスティック尤度と多潜在GP」, [online], [令和4年9月19日検索], インターネット<URL:https://gpflow.github.io/GPflow/develop/notebooks/advanced/heteroskedastic.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、鋼材の略全長に亘る材料特性値(期待値のみではなくバラツキも含む)を精度良く予測可能な、材料特性予測装置、材料特性予測方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、第1手段として、予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測装置であって、前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第1材料特性値予測モデルを備え、前記第1材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、材料特性予測装置を提供する。
【0012】
本発明の第1手段において、「操業実績」は、鋼材の品質に影響を与えるデータであり、鋼材の製造工程で得られる測定値や設定値の他、これらを物理式等を用いて加工することで得られるデータを含む概念である。操業実績としては、製造工程における鋼材の温度(表面温度)、鋼材にかかる荷重(圧延荷重)、鋼材の成分値、設備(ロールや加熱炉等)の温度、鋼材のサイズ(厚み・幅)等を例示できる。後述する本発明の第2手段についても同様である。
また、本発明の第1手段において、「材料特性値」は、鋼材の有する機械特性を意味し、引張応力(TS)、降伏応力、表面硬度、曲げ強度、靭性値、疲れ寿命を例示できる。後述する本発明の第2手段についても同様である。
また、本発明の第1手段において、「長手方向位置毎の操業実績」とは、長手方向について所定のピッチ(例えば、1m)毎に順次得られる操業実績の他、複数のピッチ毎にしか得られない操業実績や、鋼材全長の代表値としてしか得られない操業実績である場合に、得られた操業実績と同一の値や内挿した値を各ピッチに割り当てたものを含む概念である。後述する本発明の第2手段についても同様である。
さらに、本発明の第1手段において、「略全長」とは、厳密に鋼材の全長である場合に限らず、鋼材の品質保証の観点から許容できる限りにおいて、鋼材の長手方向の一部に予測されない部分がある場合を含む概念である。後述する本発明の第2手段についても同様である。
なお、第1材料特性値予測モデルは、本発明の第1手段に係る材料特性予測装置が構築してもよいし、他の装置で構築した第1材料特性値予測モデルを本発明の第1手段に係る材料特性予測装置に記憶させてもよい。
【0013】
本発明の第1手段に係る材料特性予測装置は、予測対象となる鋼材である対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第1材料特性値予測モデルを備える。この第1材料特性値予測モデルは、例えば、過去に製造された鋼材である参照鋼材から試験片を取得した長手方向位置(例えば、鋼材の先端部、後端部、及び、中央部(製品仕様に応じた長さに切断した後の鋼材の先端部又は後端部に相当))での製造工程における操業実績を入力とし、参照鋼材から取得した試験片について測定した材料特性値を出力とする既知データを用いることで構築される。このような既知データを教師データとして用い、例えば機械学習によって、第1材料特性値予測モデルを構築することで、第1材料特性値予測モデルは、対象鋼材の長手方向位置毎(例えば、1m毎)の材料特性値の確率分布、換言すれば、試験片を取得した長手方向位置以外の長手方向位置を含む材料特性値の確率分布を精度良く算出して出力可能である。したがって、第1材料特性値予測モデルから、対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を対象鋼材の略全長に亘って出力することで、対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の材料特性値を精度良く予測可能である。
本発明の第1手段に係る材料特性予測装置は、対象鋼材の材料特性値の確率分布、換言すれば、材料特性値の期待値とバラツキを予測結果として出力するため、対象鋼材の操業実績のうち、過去の操業実績が無い操業実績についても、材料特性値(特に、バラツキ)の予測精度が高まることが期待できる。また、材料特性値のコントロールが難しく、材料特性値にバラツキが生じ易い対象鋼材の操業実績についても、材料特性値の予測精度が高まることが期待できる。これにより、鋼材の略全長に亘る材料特性値を保証することが可能である。
【0014】
本発明の第1手段において、好ましくは、前記第1材料特性値予測モデルは、前記対象鋼材の製造工程における試験片を取得した長手方向位置での操業実績を入力とし、前記対象鋼材から取得した前記試験片について測定した材料特性値を出力とする新たな既知データを追加して用いることで再構築される。
【0015】
上記の好ましい構成によれば、第1材料特性値予測モデルを構築する既知データとして、参照鋼材についての既知データのみならず、対象鋼材についての新たな既知データも用いるため、材料特性値の予測精度が高まることが期待できる。
【0016】
また、前記課題を解決するため、本発明は、第2手段として、予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測装置であって、前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績と、前記対象鋼材から取得した試験片について測定した材料特性値と、前記試験片を取得した前記対象鋼材の長手方向位置とを入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第2材料特性値予測モデルを備え、前記第2材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、材料特性予測装置を提供する。
前記第2材料特性値予測モデルは、例えば、過去に製造された鋼材である参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置での製造工程における操業実績と、前記モデル出力用試験片を取得した前記長手方向位置と、前記参照鋼材から取得した基準試験片について測定した材料特性値と、前記基準試験片を取得した前記参照鋼材の長手方向位置での製造工程における操業実績と、前記基準試験片を取得した前記長手方向位置とを入力とし、前記モデル出力用試験片について測定した材料特性値を出力とする既知データを用いることで構築される。
【0017】
本発明の第2手段における第2材料特性値予測モデルが上記のような既知データを用いて構成される場合、「モデル出力用試験片」は、参照鋼材から取得した試験片であって、その測定した材料特性値が、第2材料特性値予測モデルを構築する際に、既知データにおける第2材料特性値予測モデルからの出力として用いられる試験片を意味する。
また、第2材料特性値予測モデルが上記のような既知データを用いて構成される場合、「基準試験片」は、参照鋼材の所定の基準位置(基準となる長手方向位置であって、モデル出力用試験片を取得した長手方向位置と異なる長手方向位置が含まれる)から取得した試験片を意味する。基準試験片には、モデル出力用試験片と異なる長手方向位置から取得した試験片の他、モデル出力用試験片と同じ長手方向位置から取得した試験片が含まれてもよい。
また、第2材料特性値予測モデルが上記のような既知データを用いて構成される場合、第2材料特性値予測モデルを構築する際に、既知データにおける第2材料特性値予測モデルへの入力として用いられる「モデル出力用試験片を取得した長手方向位置」及び「基準試験片を取得した長手方向位置」は、それぞれ個別に入力として用いてもよいし、基準試験片を取得した長手方向位置(基準位置)を基準とした、モデル出力用試験片を取得した長手方向位置の相対位置(モデル出力用試験片を取得した長手方向位置と基準位置との差又は差の絶対値)を入力として用いてもよい。
さらに、第2材料特性値予測モデルが上記のような既知データを用いて構成される場合、第2材料特性値予測モデルを構築するのに用いる既知データとして、参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置での製造工程における操業実績と、参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置と、参照鋼材から取得した基準試験片について測定した材料特性値と、参照鋼材から基準試験片を取得した参照鋼材の長手方向位置での製造工程における操業実績と、参照鋼材から基準試験片を取得した長手方向位置とを入力とし、参照鋼材から取得したモデル出力用試験片について測定した材料特性値を出力とするデータを用いるが、これに限るものではない。この参照鋼材に関する既知データに加えて、対象鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置での製造工程における操業実績と、対象鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置と、対象鋼材から取得した基準試験片について測定した材料特性値と、対象鋼材から基準試験片を取得した対象鋼材の長手方向位置での製造工程における操業実績と、対象鋼材から基準試験片を取得した長手方向位置とを入力とし、対象鋼材から取得したモデル出力用試験片について測定した材料特性値を出力とするデータを既知データとして用いることも可能である。このように、第2材料特性値予測モデルを構築するのに用いる既知データとして、参照鋼材及び対象鋼材の双方のデータを用いる場合、参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置と、対象鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置とは、同一の位置であっても異なる位置であってもよい。同様に、参照鋼材から基準試験片を取得した長手方向位置と、対象鋼材から基準試験片を取得した長手方向位置とは、同一の位置であっても異なる位置であってもよい。
なお、第2材料特性値予測モデルは、本発明の第2手段に係る材料特性予測装置が構築してもよいし、他の装置で構築した第2材料特性値予測モデルを本発明の第2手段に係る材料特性予測装置に記憶させてもよい。
【0018】
本発明の第2手段に係る材料特性予測装置が備える第2材料特性値予測モデルは、第1手段に係る材料特性予測装置が備える第1材料特性値予測モデルと同様に、対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力としている。しかしながら、第2材料特性値予測モデルは、第1材料特性値予測モデルと異なり、対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績のみならず、対象鋼材から取得した試験片について測定した材料特性値、及び、試験片を取得した対象鋼材の長手方向位置も入力としている。
また、上記のように、第2材料特性値予測モデルの入力が第1材料特性値予測モデルの入力と相違することに伴い、第2材料特性値予測モデルは、第1材料特性値予測モデルを構築するのに用いる既知データと異なり、例えば、参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置での製造工程における操業実績と、参照鋼材からモデル出力用試験片を取得した長手方向位置と、参照鋼材から取得した基準試験片について測定した材料特性値と、参照鋼材から基準試験片を取得した参照鋼材の長手方向位置での製造工程における操業実績と、参照鋼材から基準試験片を取得した長手方向位置とを入力とし、参照鋼材から取得したモデル出力用試験片について測定した材料特性値を出力とする既知データを用いることで構築される。
以上のように、第2材料特性値予測モデルは、第1材料特性値予測モデルと異なり、対象鋼材の操業実績のみならず、対象鋼材から取得した試験片について測定した材料特性値、及び、試験片を取得した対象鋼材の長手方向位置を、入力としている。このため、第2材料特性値予測モデルを備える第2手段に係る材料特性予測装置によれば、第1材料特性値予測モデルを備える第2手段に係る材料特性予測装置に比べて、対象鋼材で測定された材料特性値に強く影響される予測結果となる。
【0019】
また、本発明は、第3手段として、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を備え、各予測モデルの出力を合成したものを出力する材料特性予測装置としても提供される。
具体的には、本発明は、第3手段として、前記第1材料特性値予測モデルと、前記第2材料特性値予測モデルと、を備え、前記第1材料特性値予測モデルから出力される前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、前記第2材料特性値予測モデルから出力される前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、を合成した確率分布を、最終的な前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布として、前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、材料特性予測装置を提供する。
【0020】
本発明の第3手段に係る材料特性予測装置によれば、第1材料特性値予測モデルから出力される対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、第2材料特性値予測モデルから出力される対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、を合成した確率分布を、最終的な対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布とするため、材料特性値の予測精度が高まることが期待できる。
【0021】
本発明の第1~第3手段において、好ましくは、前記予測した前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値に基づき、製造コストの期待値が最小となるように、前記対象鋼材の長手方向の切断位置を算出する。
【0022】
上記の好ましい構成によれば、精度良く予測した対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の材料特性値に基づき、製造コストの期待値が最小となるように、対象鋼材の長手方向の切断位置を算出するため、対象鋼材の切断位置が適切に決定されることが期待できる。これにより、対象鋼材の歩留まりを改善することが可能である。
【0023】
また、前記課題を解決するため、本発明は、予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測方法であって、前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第1材料特性値予測モデルを用い、前記第1材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、材料特性予測方法としても提供される。
また、本発明は、予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する材料特性予測方法であって、前記対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績と、前記対象鋼材から取得した試験片について測定した材料特性値と、前記試験片を取得した前記対象鋼材の長手方向位置とを入力とし、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を出力とする第2材料特性値予測モデルを用い、前記第2材料特性値予測モデルから、前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布を前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、材料特性予測方法としても提供される。
また、本発明は、前記第1材料特性値予測モデルと、前記第2材料特性値予測モデルと、を用い、前記第1材料特性値予測モデルから出力される前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、前記第2材料特性値予測モデルから出力される前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布と、を合成した確率分布を、最終的な前記対象鋼材の長手方向位置毎の材料特性値の確率分布として、前記対象鋼材の略全長に亘って出力することで、前記対象鋼材の略全長に亘る前記対象鋼材の材料特性値を予測する、材料特性予測方法としても提供される。
【0024】
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、コンピュータを、本発明の第1~第3手段の何れかに係る材料特性予測装置として機能させるためのプログラムとしても提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、鋼材の略全長に亘る材料特性値を精度良く予測可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る材料特性予測装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す材料特性予測装置100を用いて実行する材料特性予測方法の概略手順を示すフロー図である。
【
図3】
図1に示す製造実績取得部10が取得する製造実績の一例を示す図である。
【
図4】第2材料特性値予測モデルを構築するための既知データ(教師データ)の一例を示す図である。
【
図5】第1材料特性値予測モデルの構築例を従来の機械学習モデルの構築例と比較して説明する図である。
【
図6】
図1に示す操業実績取得部40が取得する操業実績の一例を示す図である。
【
図7】
図1に示す材料特性値取得部50が取得する機械試験値及び機械試験位置の一例を示す図である。
【
図8】第2材料特性値予測モデルへの入力データの一例を示す図である。
【
図9】第1材料特性値予測モデルから出力される確率分布と、第2材料特性値予測モデルから出力される確率分布との合成を説明する模式図である。
【
図10】
図1に示す材料特性値予測部70によって予測した対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る材料特性予測装置について、鋼材が鋼板である場合を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態に係る材料特性予測装置の概略構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示す材料特性予測装置を用いて実行する材料特性予測方法の概略手順を示すフロー図である。
本実施形態に係る材料特性予測装置100は、予測対象となる鋼材である対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の材料特性値を予測する装置である。
図1に示すように、材料特性予測装置100は、製造実績取得部10と、材料特性値予測モデル構築部20と、材料特性値予測モデル格納部30と、操業実績取得部40と、材料特性値取得部50と、材料特性値予測モデル取得部60と、材料特性値予測部70と、鋼材切断位置算出部80と、を備える。
【0028】
材料特性予測装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1つ又は複数のハードウェアプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の1つ又は複数のメモリを具備し、メモリに格納される1つ又は複数のプログラムが1つ又は複数のハードウェアプロセッサにより実行されることで各種の演算を実行する。これにより、材料特性予測装置100は、製造実績取得部10、材料特性値予測モデル構築部20、材料特性値予測モデル格納部30、操業実績取得部40、材料特性値取得部50、材料特性値予測モデル取得部60、材料特性値予測部70及び鋼材切断位置算出部80として機能する。なお、材料特性予測装置100は、PLC(Programmable Logic Controller)であってもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアによって実現してもよい。以下、材料特性予測装置100が備える各部10~80について、順に説明する。
【0029】
<製造実績取得部10>
製造実績取得部10は、
図2に示すステップST1を実行する。具体的には、製造実績取得部10は、過去に製造された鋼材である参照鋼材から試験片を取得した長手方向位置(本実施形態では、これを「機械試験位置」とも称する)での製造工程における製造実績を所定のデータベース(図示せず)から取得する。機械試験位置での製造実績は、機械試験位置での操業実績と、機械試験位置から取得した試験片について測定した材料特性値(本実施形態では、これを「機械試験値」とも称する)と、機械試験位置との組み合わせデータである。
図3は、製造実績取得部10が取得する製造実績の一例を示す図である。
図3に示す例では、鋼材No.001の参照鋼材について、先端から長手方向に3m、751m、1235mの各機械試験位置で機械試験値を測定し、鋼材No.002の参照鋼材について、先端から長手方向に6m、482m、1036mの各機械試験位置で機械試験値を測定している。そして、機械試験値及び機械試験位置の他、各機械試験位置での操業実績として、参照鋼材のサイズ(板厚、板幅等)、成分値及び圧延実績(加熱温度、圧延荷重等)を取得する。
【0030】
<材料特性値予測モデル構築部20>
材料特性値予測モデル構築部20は、
図2に示すステップST2を実行する。具体的には、材料特性値予測モデル構築部20は、既知データを用いて材料特性値予測モデルを構築する。例えば、材料特性値予測モデル構築部20は、既知データを教師データとして用いた機械学習によって、材料特性値予測モデルを構築してもよい。本実施形態では、過去の操業実績が無いことによる予測の不確実性を定量化するために、ガウス回帰過程を用いた材料特性値予測モデルを構築するが、本発明はこれに限るものではない。例えば、材料特性値予測モデル構築部20は、既知データを用いた分位点回帰等の統計処理によって材料特性値予測モデルを構築してもよいし、ベイジアンニューラルネットワーク等のその他の機械学習によって材料特性値予測モデルを構築してもよい。
以下、本実施形態で用いるガウス回帰過程の概要について説明する。なお、以下の各式において太字で表した変数は、ベクトル又は行列を意味する。
以下の式(1)で表される入力xに対応する、以下の式(2)で表される出力のベクトルfが、平均が0で、共分散行列が以下の式(3)で表されるKとするガウス分布N(0,K)に従うとき、出力fはガウス過程に従うといい、以下の式(4)のように記述する。
【数1】
このとき、新しいデータ点x
*の出力y
*の確率分布は、以下の式(5)に示すように推定することができる。
【数2】
【0031】
材料特性値予測モデルとして、通常のガウス回帰過程を用いることも可能であるものの、通常のガウス回帰過程では、操業実績の違いによるバラツキの変化を考慮できない。このため、本実施形態では、以下の式(6)~式(10)で表される、期待値(平均値)と分散(標準偏差)とを個別に推定するガウス過程gP(0,K
1)、gP(0,K
2)を定義し、各ガウス過程の出力をパラメータとしたガウス分布を最終的な予測結果とする分散不均一ガウス過程(分散不均一を考慮したガウス過程)を用いている。
【数3】
上記の式(8)及び式(10)において、loc(x)は出力の平均値を意味する。上記の式(9)及び式(10))において、scale(x)は出力の標準偏差を意味し、正の値となるように、exp関数を使用している。
なお、分散不均一ガウス過程の詳細については、非特許文献1、2に記載されているため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施形態の材料特性値予測モデル構築部20は、以上に説明した分散不均一ガウス過程を用いた材料特性値予測モデルを構築する。
具体的には、材料特性値予測モデル構築部20は、材料特性値予測モデルとして、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルを構築する。以下、各材料特性値予測モデルについて、順に説明する。
【0033】
[第1材料特性値予測モデル]
第1材料特性値予測モデルは、対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を入力とし、対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布を出力とするモデルである。
第1材料特性値予測モデルは、
図3に示すような、参照鋼材の各機械試験位置での製造工程における操業実績を入力とし、参照鋼材の各機械試験位置から取得した試験片について測定した機械試験値を出力とする既知データを用いることで構築される。
なお、第1材料特性値予測モデルは、
図3に示すような参照鋼材についての既知データのみならず、対象鋼材についての新たな既知データを追加して用いることで再構築(機械学習によって構築する場合には再学習)することも可能である。具体的には、後述する操業実績取得部40が取得した対象鋼材の各機械試験位置での製造工程における操業実績を入力とし、対象鋼材の各機械試験位置から取得した試験片について測定した機械試験値を出力とする既知データを追加して用いることで再構築してもよい。このように、参照鋼材についての既知データのみならず、対象鋼材についての既知データも用いることで、機械試験値の予測精度が高まることが期待できる。
【0034】
[第2材料特性値予測モデル]
第2材料特性値予測モデルは、対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績と、対象鋼材の各機械試験位置から取得した試験片について測定した機械試験値と、各機械試験位置とを入力とし、対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布を出力とするモデルである。
図4は、第2材料特性値予測モデルを構築するための既知データの一例を示す図である。
第2材料特性値予測モデルは、例えば、
図4に示すような、参照鋼材及び対象鋼材からモデル出力用試験片を取得した機械試験位置での製造工程における操業実績(
図4に示す「操業実績」のうち、「サイズ」、「成分」及び「圧延実績」がこれに相当する)と、参照鋼材及び対象鋼材からモデル出力用試験片を取得した機械試験位置(
図4に示す「機械試験位置」がこれに相当し、後述のように「相対位置」として第2材料特性値予測モデルに入力される)と、参照鋼材及び対象鋼材から取得した基準試験片について測定した機械試験値(以下、基準試験片について測定した機械試験値を適宜「基準機械試験値」と称し、
図4に示す「基準機械試験値」がこれに相当する)と、参照鋼材及び対象鋼材から基準試験片を取得した機械試験位置(以下、基準試験片を取得した機械試験位置を適宜「基準機械試験位置」という)での製造工程における操業実績(
図4に示す「操業実績」のうち、「圧延実績(基準)」がこれに相当する)と、参照鋼材及び対象鋼材から基準試験片を取得した機械試験位置(基準機械試験位置であり、
図4に示す例では、後述のように「相対位置」として第2材料特性値予測モデルに入力される)とを入力とし、参照鋼材及び対象鋼材から取得したモデル出力用試験片について測定した機械試験値(
図4に示す「機械試験値」がこれに相当する)を出力とする既知データを用いることで構築される。
図4に示す例では、既知データとして、参照鋼材及び対象鋼材の双方のデータが含まれているが、本発明はこれに限るものではなく、既知データとして、少なくとも参照鋼材のデータが含まれていればよい。また、
図4に示す例では、基準試験片には、モデル出力用試験片と異なる長手方向位置から取得した試験片のみが含まれている(換言すれば、後述の「相対位置」が0ではないものを既知データの入力して用いている)が、本発明はこれに限るものではなく、モデル出力用試験片と同じ長手方向位置から取得した試験片が含まれてもよい(換言すれば、後述の「相対位置」が0の場合を既知データの入力として用いてもよい)。なお、上記の既知データにおいて、対象鋼材からモデル出力用試験片及び基準試験片を取得した機械試験位置での製造工程における操業実績(
図4に示す「操業実績」がこれに相当する)としては、後述の操業実績取得部40で取得したものが用いられる。また、対象鋼材から取得したモデル出力用試験片及び基準試験片について測定した機械試験値と、対象鋼材からモデル出力用試験片及び基準試験片を取得した機械試験位置としては、後述の材料特性値取得部50で取得したものが用いられる。
【0035】
図4に示す例では、
図3を参照して説明したのと同様に、例えば、鋼材No.001の参照鋼材について、先端から長手方向に751m、1235m、3mの各機械試験位置で機械試験値を測定している。そして、
図4に示す例では、各機械試験位置をモデル出力用試験片及び基準試験片を取得した機械試験位置としてそのまま個別の入力とするのではなく(先端や後端からの距離である絶対位置を個別に入力するのではなく)、好ましい態様として、相対位置を入力としている。具体的には、例えば、
図4において太枠で囲ったように、モデル出力用試験片の機械試験位置が751mの場合、3mの位置を基準機械試験位置としたときの相対位置748mと、1235mの位置を基準機械試験位置としたときの相対位置484mとをそれぞれ既知データの入力としている。鋼材の長さや、機械試験位置(特に、鋼材の中央部に位置する機械試験位置)は、鋼材毎に異なることが一般的であるため、予測精度に対するその違いの影響を低減するには、上記のように、各機械試験位置として相対位置を入力とすることが好ましい。ただし、参照鋼材及び対象鋼材の長さや機械試験位置が同等である場合には、絶対位置を個別に入力しても支障はない。また、モデル出力用試験片の機械試験位置が751mの場合、既知データの入力としての機械試験値は、機械試験位置751mでの機械試験値1015MPaではなく(すなわち、モデル出力用試験片の機械試験値ではなく)、
図4において太枠で囲ったように、基準機械試験位置3mでの機械試験値(すなわち、基準試験片の機械試験値である基準機械試験値)1020MPaと、基準機械試験位置1235mでの機械試験値(基準機械試験値)990MPaとを用いている。ただし、本発明はこれに限るものではなく、既知データの入力として、機械試験位置751mでのモデル出力用試験片の機械試験値1015MPaを加えることも可能である(換言すれば、基準試験片の中にモデル出力用試験片を含めてもよい)。さらに、モデル出力用試験片の機械試験位置が751mの場合、
図4において太枠で囲ったように、既知データの入力としての圧延実績(操業実績)は、モデル出力用試験片を取得した機械試験位置751mでの圧延実績(加熱温度T2[℃]、圧延荷重(ここでは、単位幅当たりの圧延荷重。以下、同様)P2[MPa/mm])だけではなく、基準試験片を取得した基準機械試験位置3mでの圧延実績(加熱温度T1[℃]、圧延荷重P1[MPa/mm])と、基準試験片を取得した基準機械試験位置1235mでの圧延実績(加熱温度T3[℃]、圧延荷重P3[0.25MPa/mm])とを更に用いている。そして、モデル出力用試験片の機械試験位置が751mの場合、
図4において太枠で囲ったように、既知データの出力としての機械試験値は、機械試験位置751mでのモデル出力用試験片の機械試験値1015MPaを用いている。鋼材No.001の他の機械試験位置や、他の鋼材についても同様である。
なお、既知データとしては、
図4に示す例に限るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、操業実績における加熱温度や圧延荷重として、機械試験位置と同様に、相対値を用いることも可能である。
【0036】
以上に説明した第1材料特性値予測モデルは、参照鋼材及び対象鋼材の機械試験値を入力に用いておらず、操業実績とその結果得られる機械試験値との因果関係をモデル化している。
一方、第2材料特性値予測モデルは、少なくとも参照鋼材(
図4に示す例では、参照鋼材及び対象鋼材の双方)の機械試験値も入力に用いていることから、操業実績と機械試験値との関係性よりも、少なくとも参照鋼材(
図4に示す例では、参照鋼材及び対象鋼材の双方)で測定された機械試験値に強く影響されるモデルとなっている。
【0037】
図5は、第1材料特性値予測モデルの構築例を従来の機械学習モデルの構築例と比較して説明する図である。具体的には、
図5では、図示の便宜上、操業条件を構成する複数のパラメータのうち鋼材の焼鈍温度のみをプロットし、機械試験値として引張応力(TS)を予測するモデルの構築例である。
図5(a)は従来の機械学習モデルの構築例を、
図5(b)は第1材料特性値予測モデルの構築例を示す。
図5に「×」でプロットしたデータが既知データである。
図5(a)に示す従来の機械学習モデルでは、入力される操業条件(焼鈍温度)に対して、機械試験値(TS)の平均値が予測結果として出力されることになる。このため、
図5(a)において破線で囲んだ領域のように、同じ操業条件でも機械試験値のバラツキが大きな領域では、機械試験値の予測精度が悪くなるという問題がある。
これに対して、
図5(b)に示す第1材料特性値予測モデルは、予測結果として機械試験値の確率分布が出力される。具体的には、本実施形態の第1材料特性値予測モデルは、分散不均一ガウス過程を用いたモデルであり、予測結果として、平均値及び標準偏差が出力されることになる。
図5(b)に示すハッチングを施した領域が、平均値及び標準偏差から求まる95%予測範囲(95%信頼区間)である。第1材料特性値予測モデルでは、矢符A1で示すように、機械試験値のバラツキが大きな領域(
図5(a)の破線で囲んだ領域に対応する領域)が、確率分布(95%予測範囲)に含まれることで、出力として反映されることになる。また、第1材料特性値予測モデルでは、矢符A2、A3で示すように、操業実績が無い領域(
図5(a)のハッチングを施した領域に対応する領域)でも、確率分布(95%予測範囲)が出力されるため、予測の不確実性が考慮されることになる。
【0038】
<材料特性値予測モデル格納部30>
材料特性値予測モデル格納部30は、
図2に示すステップST3を実行する。具体的には、材料特性値予測モデル格納部30は、材料特性値予測モデル構築部20で構築した第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルを格納(記憶)する。
【0039】
<操業実績取得部40>
操業実績取得部40は、
図2に示すステップST4を実行する。具体的には、操業実績取得部40は、対象鋼材の製造工程後に得られる、対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を所定のデータベース(図示せず)から取得する。なお、本明細書において、鋼材の製造工程とは、鋼材の製品に付加価値を与える工程(連続溶融亜鉛めっき工程や、連続焼鈍工程等)までの工程を意味し、鋼材の切断や検査を行う精整工程を含まない。
図6は、操業実績取得部40が取得する操業実績の一例を示す図である。
図6に示す例では、対象鋼材である鋼材No.101の先端から長手方向に1m毎の操業実績を取得している。なお、
図6に示す例では、前述の
図4に示す例と同様に、ハッチングを施した対象鋼材(鋼材No.101)の先端から長手方向に3m、654m、1301mの各位置で機械試験値を測定している。
【0040】
<材料特性値取得部50>
材料特性値取得部50は、
図2に示すステップST5を実行する。具体的には、材料特性値取得部50は、製造工程後の対象鋼材の各機械試験位置から取得した試験片について測定した機械試験値と、各機械試験位置とを所定のデータベース(図示せず)から取得する。なお、材料特性値取得部50及びステップST5は、後述の材料特性値予測部70で、第2材料特性値予測モデルのみを用いて対象鋼材の機械試験値を予測する場合と、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いて対象鋼材の機械試験値を予測する場合とに必要であり、材料特性値予測部70で、第1材料特性値予測モデルのみを用いて対象鋼材の機械試験値を予測する場合には不要である。
図7は、材料特性値取得部50が取得する機械試験値及び機械試験位置の一例を示す図である。
図6を参照して前述したように、
図7に示す例では、対象鋼材の先端部(TOP)に位置する機械試験位置3m、中央部(MID)に位置する機械試験位置654m、後端部(BOT)に相当する機械試験位置1301mの各位置で機械試験値を測定している。
例えば、対象鋼材の引張応力(TS)の要求下限値(要求仕様の下限値)が980MPaであるとすれば、
図7に示す例では、機械試験位置3mでの機械試験値975MPaが要求下限値を下回っていることになる。このように、要求仕様を満たさない部分(不合格部)を有する鋼材は、機械試験値の不合格部を切断して、発生品(屑)となる。従来は、前述のように、温度チャート等を確認しながら切断位置を決定しており、その精度と属人性に問題があった。これに対し、本実施形態に係る材料特性予測装置100では、後述のように、材料特性値予測部70によって、対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値を精度良く予測できるため、鋼材切断位置算出部80によって、対象鋼材の切断位置が適切に決定される。
【0041】
<材料特性値予測モデル取得部60>
材料特性値予測モデル取得部60は、
図2に示すステップST6を実行する。具体的には、材料特性値予測モデル取得部60は、材料特性値予測モデル格納部30に格納された第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルのうちの何れか一方、又は、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を取得する。より具体的には、後述の材料特性値予測部70で第1材料特性値予測モデルのみを用いて対象鋼材の機械試験値を予測する場合には、材料特性値予測モデル取得部60は、第1材料特性値予測モデルを取得する。材料特性値予測部70で第2材料特性値予測モデルのみを用いて対象鋼材の機械試験値を予測する場合には、材料特性値予測モデル取得部60は、第2材料特性値予測モデルを取得する。材料特性値予測部70で第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いて対象鋼材の機械試験値を予測する場合には、材料特性値予測モデル取得部60は、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を取得する。
【0042】
<材料特性値予測部70>
材料特性値予測部70は、
図2に示すステップST7を実行する。具体的には、材料特性値予測部70は、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルのうちの何れか一方、又は、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いて、対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値を予測する。以下、各予測モデルを用いる場合について、順に説明する。
【0043】
[第1材料特性値予測モデルを用いる場合]
第1材料特性値予測モデルを用いる場合、材料特性値予測部70は、操業実績取得部40が取得した
図6に示すような対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績を第1材料特性値予測モデルに入力する。長手方向位置毎の操業実績が得られるピッチ(例えば、1m)は、機械試験位置のピッチに比べて、非常に小さい。
そして、材料特性値予測部70は、第1材料特性値予測モデルから、対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布を対象鋼材の略全長に亘って出力させることで、対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値を予測する。
【0044】
[第2材料特性値予測モデルを用いる場合]
第2材料特性値予測モデルを用いる場合、材料特性値予測部70は、操業実績取得部40が取得した対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎の操業実績と、材料特性値取得部50が取得した対象鋼材の各機械試験位置から取得した試験片について測定した機械試験値及び各機械試験位置とに基づき、第2材料特性値予測モデルへの入力データを作成する。
図8は、第2材料特性値予測モデルへの入力データの一例を示す図である。
第2材料特性値予測モデルは、
図8に示すような、対象鋼材の製造工程における長手方向位置毎(
図8に示す例では、対象鋼材の先端から長手方向に1m毎)の操業実績と、対象鋼材の各機械試験位置(
図8に示す例では、対象鋼材の先端から長手方向に3m、654m、1301mの位置)から取得した試験片について測定した機械試験値と、各機械試験位置とを入力としている。機械試験値は対象鋼材の略全長に亘る長手方向位置では得られないため、対象鋼材の各長手方向位置に近い位置(例えば、各長手方向位置と同じ先端部、中央部又は後端部に位置する機械試験位置)で測定した機械試験値が各長手方向位置に割り当てられる。また、
図8に示す例では、各機械試験位置をそのまま入力するのではなく、好ましい態様として、相対位置を入力としている。具体的には、例えば、対象鋼材の長手方向位置が先端部(TOP)に位置する1mの場合、先端部(TOP)の機械試験位置3mを基準機械試験位置としたときの相対位置2mを入力とし、対象鋼材の長手方向位置が中央部(MID)に位置する653mの場合、中央部(MID)の機械試験位置654mを基準機械試験位置としたときの相対位置1mを入力としている。また、
図8に示す例では、圧延実績(操業実績)として、対象鋼材の各長手方向位置での圧延実績だけではなく、各長手方向位置に対応する機械試験位置での圧延実績も入力としている。具体的には、例えば、対象鋼材の長手方向位置が先端部(TOP)に位置する4mの場合、圧延実績として、4mの位置での圧延実績(加熱温度T7[℃]、圧延荷重P3[MPa/mm])だけではなく、4mの位置に対応する機械試験位置3mでの圧延実績(加熱温度T4[℃]、圧延荷重P1[MPa/mm])も入力している。対象鋼材の他の位置についても同様である。
なお、第2材料特性値予測モデルへの入力データとしては、
図8に示す例に限るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、基準機械試験位置の設定は任意であるし、操業実績における加熱温度や圧延荷重として、機械試験位置と同様に、相対値を用いることも可能である。また、第2材料特性値予測モデルへの入力データとして、互いに異なるものを複数用意しておき、各入力データを第2材料特性値予測モデルに入力したときにそれぞれ出力される確率分布を合成した確率分布を、最終的な対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布とすることも可能である。
材料特性値予測部70は、第2材料特性値予測モデルから、対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布を対象鋼材の略全長に亘って出力させることで、対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値を予測する。
【0045】
[第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いる場合]
第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルを用いる場合、材料特性値予測部70は、第1材料特性値予測モデルから出力される対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布と、第2材料特性値予測モデルから出力される対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布と、を合成した確率分布を、最終的な対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布とする。そして、材料特性値予測部70は、この最終的な対象鋼材の長手方向位置毎の機械試験値の確率分布対象鋼材の略全長に亘って出力することで、対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値を予測する。
図9は、第1材料特性値予測モデルから出力される確率分布と、第2材料特性値予測モデルから出力される確率分布との合成を説明する模式図である。
図9に示すように、第1材料特性値予測モデルから出力される確率分布をN(μ
1,σ
1
2)とし、第2材料特性値予測モデルから出力される確率分布をN(μ
2,σ
2
2)とした場合、これらを合成した確率分布N(μ
1+2,σ
1+2
2)は、式(11)及び式(12)によって算出することができる。なお、μ
i(i=1,2,1+2)は、前述の式(8)に示すloc(x)に対応するパラメータであり、σ
i(i=1,2,1+2)は、前述のscale(x)に対応するパラメータである。
【0046】
図10は、材料特性値予測部70によって予測した対象鋼材(
図8に示す鋼材No.101)の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値(引張応力TS)の一例を示す図である。
図10(a)は、第1材料特性値予測モデルを用いて予測した結果である。
図10(b)は、第2材料特性値予測モデルを用いて予測した結果である。
図10(c)は、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いて予測した結果である。
図10(d)は、後述の切断位置(136m)で測定した機械試験値を既知データとして追加して用いることで再構築(再学習)した第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いて予測した結果である。
図10において、「●」でプロットしたデータは、対象鋼材から取得した試験片について測定した機械試験値である。
図10に示すように、第1材料特性値予測モデルを用いた場合(
図10(a))、第2材料特性値予測モデルを用いた場合(
図10(b))、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの双方を用いた場合(
図10(c)及び
図10(d))の順に、対象鋼材で測定された機械試験値に強く影響され、95%予測範囲が狭くなる予測結果となっている。
図10(c)に示すように、第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性値予測モデルの教師データや、対象鋼材の機械試験値を予測する際に第2材料特性値予測モデルの入力として用いなかった、後述の切断位置(136m)で測定した機械試験値(
図10(c)において「×」でプロットしたデータ)が、95%予測範囲に入っており、精度良く予測できていることが分かる。
【0047】
<鋼材切断位置算出部80>
鋼材切断位置算出部80は、
図2に示すステップST8を実行する。具体的には、鋼材切断位置算出部80は、材料特性値予測部70で予測した対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値に基づき、製造コストの期待値が最小となるように、対象鋼材の長手方向の切断位置を算出する。より具体的に説明すると、以下の通りである。
対象鋼材の長手方向位置l[m]における機械試験値の合格率をp(l)とすれば、p(l)は、以下の式(13)によって計算できる。
【数4】
上記の式(13)において、upperは機械試験値の要求上限値であり、lowerは機械試験値の要求下限値である。yは機械試験値であり、N(y;μ(l),σ(l))は、機械試験値がyのときの確率分布を意味する。
【0048】
そして、対象鋼材切断後の追加工程コスト(不合格時に発生するコスト)をW
1とし、1m当たりの鋼材価格をW
2とすると、長手方向位置l[m]で鋼材を切断したときの製造コストの期待値J(l)は、以下の式(14)によって計算できる。
【数5】
鋼材切断位置算出部80は、この製造コストの期待値J(l)が最小となる長手方向位置l[m]を公知の最適化手法を用いて求めることで、この長手方向位置l[m]を対象鋼材の切断位置として算出する。前述の
図10(c)に示す対象鋼材の略全長に亘る対象鋼材の機械試験値を用いた場合、l=136[m]が最小の製造コストになる長手方向位置として算出された。
【0049】
なお、本実施形態では、材料特性値予測モデル(第1材料特性値予測モデル及び第2材料特性予測値モデル)として、分散不均一ガウス過程を用いた予測モデルを例として挙げたが、本発明はこれに限るものではない。材料特性値予測モデルとして、ベイジアンニューラルネットワークや、分位点回帰やブートストラップ法を用いた予測モデルを用いることも可能である。
【0050】
また、本実施形態では、鋼材の幅方向(長手方向に直交する方向)について触れなかったが、鋼材の幅方向を所定の区間毎に区切って、区間毎に操業実績や機械試験値が取得できる場合には、区間毎に材料特性値予測モデルを構築することで、鋼材の略全長全幅に亘って機械試験値を予測することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10・・・製造実績取得部
20・・・材料特性値予測モデル構築部
30・・・材料特性値予測モデル格納部
40・・・操業実績取得部
50・・・材料特性値取得部
60・・・材料特性値予測モデル取得部
70・・・材料特性値予測部
80・・・鋼材切断位置算出部
100・・・材料特性予測装置