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特開2024-174729立体的形状を有する加飾製品の製造装置と、その製造装置を使用した立体的形状を有する加飾製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174729
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】立体的形状を有する加飾製品の製造装置と、その製造装置を使用した立体的形状を有する加飾製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/10 20060101AFI20241210BHJP
   B29C 51/42 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B29C51/10
B29C51/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092713
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】301049733
【氏名又は名称】株式会社プラネット
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 剛
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AC03
4F208AG07
4F208MA01
4F208MB01
4F208MC02
4F208MH06
4F208MJ22
4F208MJ23
4F208MK08
4F208MK11
(57)【要約】
【課題】 賦形型を用いて立体的形状を有する加飾製品の製造装置と、その製造装置を使用した立体的形状を有する加飾製品の製造方法を提供する。
【解決手段】
立体的形状を有する加飾製品の製造装置は、加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、賦形型を具備するケース部と、ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、賦形型を底部に載置し、賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、壁部は、その上端に上端部を具備し、上端部に配置する上端吸引孔と、を有し、根本吸引孔と、上端吸引孔から空気を吸引する吸引ブロー装置と、加飾シートをケース部に配置したときに加飾シートを固定する固定枠と、をさらに有するというものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、
前記賦形型を具備するケース部と、
前記ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、前記底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、
前記賦形型を前記底部に載置し、前記賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、
前記壁部は、その上端に上端部を具備し、前記上端部に配置する上端吸引孔と、を有し、前記根本吸引孔と、前記上端吸引孔から空気を吸引する吸引ブロー装置と、
前記加飾シートを前記ケース部に配置したときに前記加飾シートを固定する固定枠と、をさらに有する加飾製品の製造装置。
【請求項2】
加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、
前記賦形型を具備するケース部と、
前記ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、前記底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、
前記賦形型を前記底部に載置し、前記賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、
前記壁部は、その上端に上端部を具備し、前記上端部に配置する上端吸引孔と、
前記壁部の根元に配置する底部吸引孔と、を有し、
前記根本吸引孔と、前記上端吸引孔および前記底部吸引孔から空気を吸引する吸引ブロー装置と、
前記加飾シートを前記ケース部に配置したときに前記加飾シートを固定する固定枠と、
をさらに有する加飾製品の製造装置。
【請求項3】
模様を具備する加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、
前記賦形型を具備するケース部と、
前記ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、前記底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、
前記賦形型を前記底部に載置し、前記賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、
前記壁部は、その上端に上端部を具備し、前記上端部に配置する上端吸引孔と、
前記壁部の根元に配置する底部吸引孔と、
前記賦形型は、吸引孔となる第1賦形型吸引孔と、第2賦形型吸引孔と、を有し、
前記根本吸引孔および前記上端吸引孔、および前記底部吸引孔、から空気を吸引する吸引ブロー装置と、
前記第1賦形型吸引孔から空気を吸引する第1吸引ブロー装置と、
前記第2賦形型吸引孔から空気を吸引する第2吸引ブロー装置と、
前記加飾シートを前記ケース部に配置したときに前記加飾シートを固定する固定枠と、
をさらに有する加飾製品の製造装置。
【請求項4】
前記請求項1または2記載の加飾製品の製造装置と、
前記加飾シートを加熱する加熱装置と、を有し、
前記製造装置と前記加熱装置を使用して、立体的形状を有する加飾製品の製造するために、
前記加飾シートを前記ケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、
前記加飾シート配置工程において、前記ケース部における上端部に配置された加飾シート上に前記固定枠を載置する加飾シート固定工程と、
前記加熱装置を、前記固定枠上に配置し、前記加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、
前記加飾シート加熱工程によって、加熱された前記加飾シートが軟化し始めた状態で、前記吸引ブロー装置が駆動し、前記根本吸引孔および前記上端吸引孔からその軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート吸引工程と、を有する立体的形状を有する加飾製品の製造方法。
【請求項5】
前記請求項1または2記載の加飾製品の製造装置と、
前記加飾シートを加熱する加熱装置と、
前記加飾シートを冷却する冷却装置と、を有し、
前記製造装置と、前記加熱装置および前記冷却装置を使用して、立体的形状を有する加飾製品の製造するために、
前記加飾シートを前記ケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、
前記加飾シート配置工程において、前記ケース部における上端部に配置された加飾シート上に前記固定枠を載置する加飾シート固定工程と、
前記加熱装置を、前記固定枠上に配置し、前記加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、
前記加飾シート加熱工程によって、加熱された前記加飾シートが軟化し始めた状態で、前記吸引ブロー装置が駆動し、前記根本吸引孔および前記上端吸引孔からその軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート吸引工程と、
前記加飾シート加熱工程および加飾シート吸引工程によって、前記加飾シートが、前記賦形型によって成型され、当該加飾シートが立体的形状に成型されると前記冷却装置によって、その成型された立体的形状の前記加飾シートが冷却される加飾シート冷却工程と、を有する立体的形状を有する加飾製品の製造方法。
【請求項6】
前記請求項3記載の加飾製品の製造装置と、
前記模様を具備する加飾シートを加熱する加熱装置と、を有し、
前記製造装置および前記加熱装置を使用して、模様を具備し、かつ立体的形状を有する加飾製品の製造するために、
前記模様を具備する加飾シートを前記ケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、
前記加飾シート配置工程において、前記ケース部における上端部に配置された加飾シート上に前記固定枠を載置する加飾シート固定工程と、
前記加熱装置を、前記固定枠上に配置し、前記模様を具備する加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、
前記加飾シート加熱工程によって、加熱された前記模様を具備する加飾シートが軟化し始めた状態で、前記第1吸引ブロー装置を駆動させ、高い位置に配置した前記賦形型吸引孔から空気を吸引する高位置加飾シート賦形型吸引工程と、
前記第2吸引ブロー装置を駆動させ、前記賦形型吸引孔よりも低い位置に配置した賦形型吸引孔から空気を吸引する低位置加飾シート賦形型吸引工程と、
前記吸引ブロー装置が駆動し、前記根本吸引孔および前記上端吸引孔および前記賦形型吸引孔から軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート賦形型吸引工程と、を有する立体的形状を有し、かつ模様を具備する加飾製品の製造方法。
【請求項7】
前記請求項3記載の加飾製品の製造装置と、
前記模様を具備する加飾シートを加熱する加熱装置と、
前記模様を具備する加飾シートを冷却する冷却装置と、を有し、
前記製造装置と、前記加熱装置と、前記冷却装置とを使用して、模様を具備し、かつ立体的形状を有する加飾製品の製造するために、
前記模様を具備する加飾シートを前記ケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、
前記加飾シート配置工程において、前記ケース部における上端部に配置された加飾シート上に前記固定枠を載置する加飾シート固定工程と、
前記加熱装置を、前記固定枠上に配置し、前記模様を具備する加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、
前記加飾シート加熱工程によって、加熱された前記模様を具備する加飾シートが軟化し始めた状態で、前記第1吸引ブロー装置を駆動させ、高い位置に配置した前記賦形型吸引孔から空気を吸引する高位置加飾シート賦形型吸引工程と、
前記第2吸引ブロー装置を駆動させ、前記賦形型吸引孔よりも低い位置に配置した賦形型吸引孔から空気を吸引する低位置加飾シート賦形型吸引工程と、
前記吸引ブロー装置が駆動し、前記根本吸引孔および前記上端吸引孔および前記賦形型吸引孔から軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート賦形型吸引工程と、
前記加飾シート加熱工程および高位置加飾シート賦形型吸引工程と低位置加飾シート賦形型吸引工程と加飾シート賦形型吸引工程によって、前記加飾シートが、前記賦形型によって成型され、模様を付加した立体的形状の加飾製品が成型されると前記冷却装置によって、その成型された立体的形状の加飾製品が冷却される加飾製品冷却工程と、を有する立体的形状を有し、かつ模様を具備する加飾製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型を用いて立体的形状を有する加飾製品の製造装置と、その製造装置を使用した立体的形状を有する加飾製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体的形状を有する加飾製品を製造する方法として、特許第5554016号において、「シート面を貫通する位置決め孔が形成された加飾シートを用いて、プラスチックのプレス加工技術によって形成された、加飾部を有する加飾パネルとして、プラスチック製のシート基材から成り、かつ、型成型によってシート基材が立体的形状に形成されているパネル本体と、パネル本体の表面又は裏面の何れか一面又は両面に設けられているインク、塗料又は微粒子の何れかより成る加飾部とを備えて構成する」というものが開示されている。
【0003】
上記発明は本発明者が発明したものであり、市場において好感を持って受け入れられており、加飾シートを用いて、立体的形状の加飾パネルを作成することができる。
【0004】
しかしながら、上記発明は、加飾シートの厚みがおおむね0.5ミリメートルのものに適したものであり、それ以上の厚さのシートには適当ではない。
【0005】
そこで、立体的形状を有する加飾製品を作成する場合に、射出成型で成型品を作成するとともにその成型品に模様などを加飾する方法については、射出成型と同時に加飾するインサート成型やインモールド成型などが用いられている。また、その成型後に塗装をすることによって、その模様などを加飾する。さらには、成型品の表面に金属の薄膜を被覆するメッキや成型品の表面に名入れなど一部分を印刷することで加飾する場合がある。
【0006】
しかしながら、塗装は多色になると部分的にマスキングをしたり、乾燥後に色数ごとに加工を施したり、空気中のゴミなどの異物による不良が出たりと非常にコスト面や工程での問題がある。また、メッキをする場合は、メッキ後にレーザー加工で不要な部分を削り取ったりすることがある。これらもまた手間もコストもかかる。また、印刷については成型品の比較的平坦な部分の一部に表現する事が多く、凹凸などがある全体に加工することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第5554016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、賦形型を用いて立体的形状を有する加飾製品の製造装置と、その製造装置を使用した立体的形状を有する加飾製品の製造方法を提供することである。
【0009】
前記の課題を解決するために、第1観点の立体的形状を有する加飾製品の製造装置は、加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、賦形型を具備するケース部と、ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、賦形型を底部に載置し、賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、壁部は、その上端に上端部を具備し、上端部に配置する上端吸引孔と、を有し、根本吸引孔と、上端吸引孔から空気を吸引する吸引ブロー装置と、加飾シートをケース部に配置したときに加飾シートを固定する固定枠と、をさらに有するというものである。
【0010】
前記の課題を解決するために、第2観点の立体的形状を有する加飾製品の製造装置は、加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、賦形型を具備するケース部と、ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、賦形型を底部に載置し、賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、壁部は、その上端に上端部を具備し、上端部に配置する上端吸引孔と、壁部の根元に配置する底部吸引孔と、を有し、根本吸引孔と、上端吸引孔および底部吸引孔から空気を吸引する吸引ブロー装置と、加飾シートをケース部に配置したときに加飾シートを固定する固定枠と、をさらに有するというものである。
【0011】
前記の課題を解決するために、第3観点の立体的形状を有する加飾製品の製造装置は、模様を具備する加飾シートを、立体的形状を呈する加飾製品に成型するために、その立体的形状を呈する賦形型と、賦形型を具備するケース部と、ケース部は、当該ケースの底面に相当する底部と、底部を取り囲むように立設する壁部と、を有し、賦形型を底部に載置し、賦形型を取り囲むように配置する根本吸引孔と、壁部は、その上端に上端部を具備し、上端部に配置する上端吸引孔と、壁部の根元に配置する底部吸引孔と、賦形型は、吸引孔となる第1賦形型吸引孔と、第2賦形型吸引孔と、を有し、根本吸引孔および上端吸引孔、および底部吸引孔、から空気を吸引する吸引ブロー装置と、第1賦形型吸引孔から空気を吸引する第1吸引ブロー装置と、第2賦形型吸引孔から空気を吸引する第2吸引ブロー装置と、加飾シートをケース部に配置したときに加飾シートを固定する固定枠と、をさらに有するというものである。
【0012】
前記の課題を解決するために、第4観点の加飾製品の製造方法は、第1観点または第2観点の加飾製品の製造装置と、加飾シートを加熱する加熱装置と、を有し、製造装置と加熱装置を使用して、立体的形状を有する加飾製品の製造するために、加飾シートをケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、加飾シート配置工程において、ケース部における上端部に配置された加飾シート上に固定枠を載置する加飾シート固定工程と、
加熱装置を、固定枠上に配置し、加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、加飾シート加熱工程によって、加熱された前記加飾シートが軟化し始めた状態で、吸引ブロー装置が駆動し、根本吸引孔および上端吸引孔からその軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート吸引工程と、を有するというものである。
【0013】
前記の課題を解決するために、第5観点の加飾製品の製造方法は、第1観点または第2観点の加飾製品の製造装置と、加飾シートを冷却する冷却装置と、を有し、製造装置と、加熱装置および前記冷却装置を使用して、立体的形状を有する加飾製品の製造するために、加飾シートを前記ケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、加飾シート配置工程において、ケース部における上端部に配置された加飾シート上に固定枠を載置する加飾シート固定工程と、加熱装置を、固定枠上に配置し、加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、加飾シート加熱工程によって、加熱された加飾シートが軟化し始めた状態で、吸引ブロー装置が駆動し、根本吸引孔および前記上端吸引孔からその軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート吸引工程と、加飾シート加熱工程および加飾シート吸引工程によって、加飾シートが、賦形型によって成型され、当該加飾シートが立体的形状に成型されると冷却装置によって、その成型された立体的形状の前記加飾シートが冷却される加飾シート冷却工程と、を有するというものである。
【0014】
前記の課題を解決するために、第6観点の加飾製品の製造方法は、第3観点の加飾製品の製造装置と、模様を具備する加飾シートを加熱する加熱装置と、を有し、製造装置および加熱装置を使用して、模様を具備し、かつ立体的形状を有する加飾製品の製造するために、模様を具備する加飾シートをケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、加飾シート配置工程において、ケース部における上端部に配置された加飾シート上に固定枠を載置する加飾シート固定工程と、加熱装置を、固定枠上に配置し、模様を具備する加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、加飾シート加熱工程によって、加熱された前記模様を具備する加飾シートが軟化し始めた状態で、第1吸引ブロー装置を駆動させ、高い位置に配置した賦形型吸引孔から空気を吸引する高位置加飾シート賦形型吸引工程と、第2吸引ブロー装置を駆動させ、賦形型吸引孔よりも低い位置に配置した賦形型吸引孔から空気を吸引する低位置加飾シート賦形型吸引工程と、吸引ブロー装置が駆動し、根本吸引孔および上端吸引孔および賦形型吸引孔から軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート賦形型吸引工程と、を有するというものである。
【0015】
前記の課題を解決するために、第7観点の加飾製品の製造方法は、第3観点の加飾製品の製造装置と、模様を具備する加飾シートを加熱する加熱装置と、模様を具備する加飾シートを冷却する冷却装置と、を有し、製造装置と、加熱装置と、冷却装置とを使用して、模様を具備し、かつ立体的形状を有する加飾製品の製造するために、模様を具備する加飾シートをケース部における上端部に載置する加飾シート配置工程と、加飾シート配置工程において、ケース部における上端部に配置された加飾シート上に固定枠を載置する加飾シート固定工程と、加熱装置を、固定枠上に配置し、模様を具備する加飾シートを加熱する加飾シート加熱工程と、加飾シート加熱工程によって、加熱された模様を具備する加飾シートが軟化し始めた状態で、第1吸引ブロー装置を駆動させ、高い位置に配置した前記賦形型吸引孔から空気を吸引する高位置加飾シート賦形型吸引工程と、第2吸引ブロー装置を駆動させ、賦形型吸引孔よりも低い位置に配置した賦形型吸引孔から空気を吸引する低位置加飾シート賦形型吸引工程と、吸引ブロー装置が駆動し、根本吸引孔および上端吸引孔および賦形型吸引孔から軟化し始めた加飾シートを吸引する加飾シート賦形型吸引工程と、加飾シート加熱工程および高位置加飾シート賦形型吸引工程と低位置加飾シート賦形型吸引工程と加飾シート賦形型吸引工程によって、加飾シートが、賦形型によって成型され、模様を付加した立体的形状の加飾製品が成型されると冷却装置によって、その成型された立体的形状の加飾製品が冷却される加飾製品冷却工程と、を有するというものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、賦形型を用いて立体的形状を有する加飾製品の製造装置と、その製造装置を使用した立体的形状を有する加飾製品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】加飾製品の製造装置における賦形型とケース部の平面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】Aは、加飾製品の製造装置に加飾シートを配置した状態の平面概念図である。Bは、Aの状態のIIIB-IIIB線断面概念図である。
図4】Aは、加飾製品の製造装置に加飾シートを配置した状態において、加熱装置で加熱しようとする状態の断面概念図である。Bは、加飾製品の製造装置に加飾シートを配置した状態において、加熱装置で加熱し加飾シートが軟化し始めた状態の断面概念図である。
図5】Aは、加熱装置で加飾シートを加熱している状態の断面概念図である。Bは、加熱装置で加飾シートを加熱した状態の断面概念図である。
図6】Aは、冷却装置で加飾シートを冷却している状態の断面概念図である。Bは、冷却装置で加飾シートを冷却した状態の断面概念図である。
図7】Aは、成型された加飾シートが賦形型から、離型する状態の断面概念図である。Bは、加飾製品の断面概念図である。
図8】Aは、4面付の加飾シートと、ケース部が4個一体となった第2ケース部の平面図である。Bは、AのVIIIB-VIIIB線断面概念図である。
図9】Aは、模様X、Y、Zを有する加飾シートの平面概念図である。Bは、ケース部における上端部上に配置された加飾シートの上に固定枠を載置した状態の断面概念図である。
図10】加飾製品の製造装置に模様X、Y、Zを有する加飾シートを配置した状態において、加熱装置で加熱する状態を示した断面概念図である。
図11】冷却装置で模様X、Y、Zを有する加飾シートを冷却している状態の断面概念図である。
図12】成型された模様X、Y、Zを有する加飾シートが賦形型から、離型する状態の断面概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図示の実施形態を参照して実施例について説明する。第1実施例の加飾製品800の製造装置10は、立体的形状を呈する賦形型20と、その賦形型20を具備するケース部60と、を有する。また、第1実施例の加飾製品800(図7B参照)の製造装置10は、後述する加飾シート700をケース部60に固定するための固定枠80とを有する場合がある(図3A、B参照)。なお、賦形型20を具備するとは、ケース部60内に、その賦形型20が配置されていることをいい、具体的な構成は後述する。また、さらに第1実施例の加飾製品800の製造装置10は、空気を吸引し、または、空気を送り出す吸引ブロー装置100と加飾シート700を加熱する加熱装置200を有する場合がある(図4A、B参照)。
【0019】
賦形型20は、その加飾シート700を、立体的形状を有する加飾製品800に加工するためのものであり、その形状は、あらかじめその加飾製品800の形状を模すように立体的形状に加工することは言うまでもない。また、賦形型20は、アルミニウム、真鍮、鉄、ステンレスからなる金属類の他、ベークライト、ケミカルウッドからなる樹脂類を使用することができる。
【0020】
ケース部60は、底面となる底部61とその底部61を取り囲むように立設する壁部66を有する。底部61は、文字通りケース部60の底面に相当するものであり、その底部61に上述の賦形型20が配置されている。なお、賦形型20と底部61は別体に作成し取り付けてもよいが、それらを一体に取り付けられていてもよい。
【0021】
また、底部61において、その賦形型20の周囲を取り囲むように吸引するための根本吸引孔61aを複数有している(各図においてはその一部の吸引孔61aに符号を記載している)。また、根本吸引孔61aから、例えば5ミリメートルオフセットした位置において、その賦形型20の周囲を取り囲むように溝である溝部61bを設けることができる。また、溝部61bは、根本吸引孔61aを取り囲むように配置されている。また、溝部61bは、吸引するための溝吸引孔61cを複数有する(各図においてはその一部の溝吸引孔61cに符号を記載している)。
【0022】
この溝部61bは、加飾シート700を成型する際に、後述するケース部60における壁部66から賦形型20の方向に向かってしわが入る場合がある。そのときに壁部66から賦形型20の方向に成長しようとするそのしわが、この溝部61bに達すると、この溝部61bによってそのしわの成長が阻害されるので後述する成型した加飾製品800にしわが入ることを防止することができる。特に上記の通り、溝部61bは、吸引するための溝吸引孔61cを有するので、その吸引によって加飾シート700がその溝部61bに入り込むことで、しわの成長を阻害する効果がさらに期待することができる。
【0023】
また、壁部66は、上端である上端部67を有し、その上端部67に、吸引ブロー装置100からの吸引力を発揮するための吸引孔となる上端吸引孔67aを複数有している(各図においてはその一部の上端吸引孔67aに符号を記載している)。また、上端部67は、加飾シート700を載置するときにその位置を位置決めするあて部69を2か所あるいは3か所有する。このあて部69は、上端部67における第1辺部70aあるいは第2辺部70bにそれぞれ配置することで、加飾シート700をケース部60に対して位置決めすることができる。すなわち、あて部69は、ケース部60に配置した賦形型20と加飾シート700との見当合わせをするためのものである。なお、使用者が、加飾シート700をケース部60に対して正確に載置することで見当合わせを行うことができれば、そのあて部は、かならずしも必要ではない。
【0024】
さらに底部61において、壁部66の根元部分68に、吸引ブロー装置100からの吸引力を発揮するための吸引孔となる底部吸引孔68aを有している(各図においてはその一部の部吸引孔68aに符号を記載している)。また、底部61において、上方に突出する凸部62を有する場合が好ましい。凸部62は、加飾シート700を成型した際に、その加飾シート700に後加工時の位置決めするための凸部を成型するためのものである。なお、凸部62、62においてもそれぞれ凸部吸引孔62a、62aを有する場合が好ましい。
【0025】
固定枠80は、ケース部60における上端部67に、加飾シート700を配置したときのその加飾シート700を固定するためのものである。また、固定枠80は、開口する開口部81を有するものである。開口部81は加熱装置200における遠赤外線あるいは近赤外線を照射した場合に加飾シート700を露出させるための窓としての機能を有するものである。すなわち、この開口部81を通じて、上端部67に載置された加飾シート700の一部を加熱し、固定枠80で覆われている加飾シート700の他の部分は、その加熱装置200の熱が伝わらず加熱しにくいものとなるのである。このように、加飾シート700の他の部分は、加熱しにくいものとしたのは、加飾シート700と、ケース部60との位置ずれを避けるためである(例えば図3A、B参照)。
【0026】
この加熱装置200は、遠赤外線ヒーターのほか、その遠赤外線ヒーターと、近赤外線ヒーターを併用することも好ましい。加飾シート700が比較的薄いものの場合は、遠赤外線ヒーターが好ましく、加飾シート700が比較的厚いものの場合は、遠赤外線ヒーターと、近赤外線ヒーターを併用することも好ましい。なお、例えば、加飾シート700が比較的厚いものとは、その厚さが3ミリメートル以上のものをいい、薄いものとはそれ以下のものをいう場合がある。
【0027】
吸引ブロー装置100は、空気を吸引するだけでなく空気を吹き出すブロー装置としても使用することができるものであり、真空ポンプおよびコンプレッサーからなるものが好ましく、根本吸引孔61a、溝吸引孔61c、凸部吸引孔62a、上端吸引孔67a、底部吸引孔68aに接続されている。なお、根本吸引孔61a、溝吸引孔61c、凸部吸引孔62a、上端吸引孔67a、底部吸引孔68aは、空気を吸引するのみなら空気を排出するためのものでもある。
【0028】
加飾シート700は、文字通りシート状を呈し、第1実施例の製造装置10を使用することで、加飾製品800に加工することができるものである。加飾シート700において基材となるシートは、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネイト)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリルブタジエンスチレン)やポリマーアロイからなるシートが好ましく、それらの熱可塑性樹脂類からなるシートであれば好ましい。また、その加飾シート700の厚みは、0.1ミリメートルから5ミリメートル、または、0.1ミリメートルから3ミリメートルが好ましい。
【0029】
また、加飾シート700は、上述の樹脂類からなるシートの表面あるいは、裏面に、絵柄や模様を加えることができる。例えば、加飾シート700の表面あるいは裏面に、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、シール印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの印刷技法によって、絵柄や模様を印刷することができる。また、金属色を付加する場合にはいわゆる箔押しの刻印型またはラバー型や熱ロールによる転写を使用することができる。この箔押し技法は加飾シートの表面からでも裏面からでも加工することできる。なお、箔押しに使用する箔は通常はアルミを蒸着した箔を使用するができるが、錫(スズ)蒸着箔またはインジューム蒸着箔を使用してもよい。このようにして絵柄や模様を加えた加飾シート700を作成することができる。
【0030】
次に、加飾シート700を、上述の第1実施例の加飾製品の製造装置10と加飾シート700を加熱する加熱装置200と、その加熱した加飾シート700を冷却する冷却装置300と、を使用して、立体的形状を有する加飾製品800の製造方法について説明する。まず、加飾シート700をケース部60における上端部67に載置する。このとき、あて部69に接するようにその加飾シート700を配置する(加飾シート配置工程)。もっとも必ずしも冷却装置300を使用しなくても立体的形状を有する加飾製品800の製造することができる。
【0031】
次に上述の加飾シート配置工程の後に、固定枠80を、ケース部60における上端部67上に配置された加飾シート700の上に載置する(加飾シート固定工程、図3A、B参照。)。これにより、加飾シート700が、ケース部60と固定枠80によって挟まれるように固定される。
【0032】
次に加熱装置200を、固定枠80上に配置し、それぞれ開口部81を通じて、加飾シート700を加熱する(加飾シート加熱工程、図4A参照)。これにより加熱された加飾シート700が軟化し始めた状態で、吸引ブロー装置100を駆動(吸引をON)し、それぞれの根本吸引孔61a、溝吸引孔61c、凸部吸引孔62a、上端吸引孔67a、底部吸引孔68aからその軟化し始めた加飾シート700を吸引する(加飾シート吸引工程、図4B参照)。
【0033】
上述の加飾シート加熱工程および加飾シート吸引工程によって、加飾シート700が、賦形型20によって成型され(図5A、B参照)、冷却装置300によって、その立体的形状に成型された加飾シート700が冷却され、加飾シート700が立体的形状を呈するように固定される(加飾シート冷却工程、図6A参照)。その後、固定枠80を開放し(図6B参照)、空気を吹き付ける吸引ブロー装置100を駆動(ブローをONする)し、それぞれ、根本吸引孔61a、溝吸引孔61c、凸部吸引孔62a、上端吸引孔67a、底部吸引孔68aから、その立体的形状に成型された加飾シート700に空気を吹き付け、その成型された加飾シート700が賦形型20から、離型する(加飾シート離型工程、図7A参照)。このようにして、加飾製品800を得ることができる(図7B参照)。なお、冷却装置300を使用することは必須ではない。自然に冷却することで、加飾製品800を得ることができる。したがって、上述の加飾シート冷却工程は必須の工程ではない。
【0034】
このように、立体的形状を有する加飾製品800の製造方法において、いわば下型のみ用い、上形を使用しない方法であるために、上述の通り、加飾シート700の厚みは、0.1ミリメートルから5ミリメートル、または、0.1ミリメートルから3ミリメートルのものを使用することができる。したがって、従来の上型と下型を用いる成型方法においては、0.5ミリメートル以上の厚みのシートでは、しわが寄る場合あるいは、形状が正確に成形出来ない場合があるが、0.1ミリメートルから5ミリメートル、または、0.1ミリメートルから3ミリメールのものを使用しても、その恐れを可及的に軽減することができる。さらにいえば、加飾シート700がその溝部61bに入り込むことで、しわの成長を阻害する効果がさらに期待することができる。
【0035】
なお、図示しない立体的形状を有する加飾製品を一度に4個製作するいわゆる多面付けをする場合がある。例えば、4面付の加飾シート700’と、その4面付の加飾シート700’を一度に成型する4個の賦形型20と、その賦形型20をそれぞれ具備するケース部60が4個一体となった第2ケース部60’と、枠部が4個一体となった第2枠部80’と、を使用しているが、それぞれ1個のもの(ケース部60、枠部80)と、同一の構成については同一の符号を付すことでその説明を省略する場合がある(図8A、B参照)。
【0036】
次に、第2実施例の加飾製品850の製造装置500は、立体的形状を呈する賦形型120と、その賦形型120を具備するケース部160と、を有する。また、第2実施例の加飾製品850(図12参照)の製造装置500は、後述する模様X、模様Y、模様Zを付された加飾シート750(図9A参照)をケース部160に固定するための固定枠80とを有する場合がある(図9B参照)。なお、固定枠80は第1実施例の固定枠と同様でありその説明を省略する場合がある。また、賦形型120を具備するとは、ケース部160内に、その賦形型120が配置されていることをいい、賦形型120の具体的な構成は後述する。
【0037】
また、第2実施例の加飾製品850の製造装置500は、吸引又は排気する第1吸引ブロー装置601、第2吸引ブロー装置602、上端吸引ブロー装置603、底部吸引ブロー装置604、を有する。
【0038】
第2実施例の賦形型120は、複数の凸部125a、125b、125cあるいはそれらの境界に複数の凹部126a、126bとを有するものであり、それら凸部125a、125b、125cあるいは複数の凹部126a、126bと、例えば加飾シート750に施された模様X、模様Y、模様Zとを一致させるように配置することができる。なお、それらを一致させるために、図示しないあて部を有する。このあて部は、いわば加飾シート700と見当合わせに用いられるものであり、第1実施例の賦形型20におけるあて部69と同様のものを有することが好ましい。なお、第2実施例の賦形型120において、あて部は図示しない。
【0039】
なお、あて部は、ケース部160に配置した賦形型120と加飾シート750との見当合わせをするためのものである。なお、使用者が、加飾シート750をケース部160に対して正確に載置することで見当合わせを行うことができれば、そのあて部は、かならずしも必要ではない。
【0040】
なお模様X、模様Y、模様Zは、上述の加飾シート700と同様に樹脂類からなるシートの表面あるいは、裏面に、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、シール印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの印刷技法によって、印刷することができる。また、金属色を付加する場合にはいわゆる箔押しの刻印型またはラバー型や熱ロールによる転写を使用することができる。この箔押し技法は加飾シートの表面からでも裏面からでも加工することできる。なお、箔押しに使用する箔は通常はアルミを蒸着した箔を使用するができるが、錫(スズ)蒸着箔またはインジューム蒸着箔を使用してもよい。このようにして、例えば、模様X、模様Y、模様Zを有する加飾シート750を作成することができる。
【0041】
このように、複数の凸状の凸部125a、125b、125cあるいは複数の凹状の凹部126a、126bとを有する賦形型120は、第1吸引ブロー装置601からの吸引又は排気するための吸引孔となる賦形型吸引孔121a、賦形型吸引孔121b、を有する。第2実施例の賦形型120において、賦形型吸引孔121a、賦形型吸引孔121b、は、凹部126a、126bにそれぞれ配置されているが、複数の凸部125a、125b、125cにも設けることもできる(図示しない)。これは、後述する加飾シート750を成型した加飾製品850の凸部850a、850b、850cあるいは複数の凹部856a、856bと、例えば加飾シート750に施された模様X、模様Y、模様Zとが一致するように構成することができるというものである。
【0042】
なお、賦形型吸引孔121aは、断面視比較的高い位置に配置することができ、その次に高い位置に賦形型吸引孔121bを配置することができるがこれに限られることはない。
【0043】
また、上述の賦形型吸引孔121aは、上述する通り第1吸引ブロー装置601からの吸引力を発揮するための吸引孔となるものであり、賦形型吸引孔121bは、第2吸引ブロー装置602からの吸引力を発揮するための吸引孔となるものである。なお、賦形型吸引孔121aおよび賦形型吸引孔121bは空気を吸引するのみならず空気を排出するためのものである。
【0044】
また、ケース部160は、底面となる底部161とその底部161を取り囲むように立設する壁部166を有する。底部161は、文字通りケース部160の底面に相当するものであり、その賦形型120と底部161は別体に作成し取り付けてもよいが、それらを一体に取り付けられていてもよい。
【0045】
また、底部161において、その賦形型120の周囲を取り囲むように吸引するための根本吸引孔161aを複数有している。また、根本吸引孔161aから、例えば5ミリメートルオフセットした位置において、その賦形型120の周囲を取り囲むように溝である溝部161bを設けることができる。また、溝部161bは、根本吸引孔161aを取り囲むように配置されている。また、溝部161bは、吸引するための溝吸引孔161cを複数有する。また、根本吸引孔161a、溝吸引孔161cは、空気を吸引するのみならず空気を排出するためのものである。
【0046】
この溝部161bは、上述の溝部61aと同様であり、成型した加飾製品850にしわが入ることを防止する効果が期待できるというものである。
【0047】
底部161の内部には、上述の賦形型吸引孔121aからの空気の通路となる空間である第1区画部171が配置されており、その第1区画部171は第1吸引ブロー装置601に接続されている。また、底部161の内部には、上述の賦形型吸引孔121bからの空気の通路となる空間である第2区画部172が配置されており、その第2区画部172は第2吸引ブロー装置602に接続されている。なお、底部161および壁部166の内部には、後述する上端吸引孔167aからの空気の通路となる空間である第3区画部173が配置されており、その第3区画部173は後述する上端吸引ブロー装置603に接続されている。さらに、底部161の内部には、上述の根本吸引孔161aと後述する底部吸引孔168a、凸部吸引孔162aからの空気の通路となる空間である第4区画部174が配置されており、その第4区画部174は後述する底部吸引ブロー装置604に接続されている。
【0048】
また、壁部166は、上端である上端部167を有し、その上端部167に、上端吸引ブロー装置603からの吸引力を発揮するための吸引孔となる上端吸引孔167aを複数有している。なお、上端吸引孔167aは、空気を吸引するのみなら空気を排出するためのものである。
【0049】
また、上端部167は、加飾シート700を載置するときにその位置を位置決めする図示しないあて部を2か所あるいは3か所有する場合がある。このあて部は、上述のあて部69と同様のものであってもよい。もっとも上述の通り、使用者が、加飾シート750をケース部160に対して正確に載置することで見当合わせを行うことができれば、そのあて部は、かならずしも必要ではない。
【0050】
さらに底部161において、壁部166の根元部分168に、底部吸引ブロー装置604からの吸引力を発揮するための吸引孔となる底部吸引孔168aを有している。また、底部161において、上方に突出する凸部162を有する場合が好ましい。凸部162は、加飾シート750を成型した際に、その加飾シート750に後加工時の位置決めするための凸部を成型するためのものである。なお、凸部162、162においてもそれぞれ底部吸引ブロー装置604からの吸引力を発揮するための吸引孔となる凸部吸引孔162a、162aを有する場合が好ましい。なお、凸部162、162によって、加飾シート750に、上方に突出する突起760、760が構成される場合がある(図12参照)。この突起760、760は、後工程において、加飾製品850の位置決めに使用することができる。
【0051】
なお固定枠80と加熱装置200は上述の通りであり同一の符号を付しその説明を省略する場合がある。
【0052】
次に、模様X、模様Y、模様Zを付された加飾シート750を、上述の第2実施例の加飾製品の製造装置500とその加飾シート750を加熱する加熱装置200と、その加熱した加飾シート750を冷却する冷却装置300と、を使用して、立体的形状を有する加飾製品850の製造方法について説明する。
【0053】
加飾シート750をケース部160における上端部167に載置する。このとき、図示しないあて部に接するようにその加飾シート750を配置する(第2加飾シート配置工程)。なお、あらかじめ、加飾シート750に施された模様X、模様Y、模様Zと、賦形型120における凸部125a、125b、125cとを互いに一致させるように、その加飾シート750をケース部160に対して位置決めする図示しないあて部を上端部167に配置することが好ましい。
【0054】
次に上述の第2加飾シート配置工程の後に、固定枠80を、ケース部160における上端部167上に配置された加飾シート750の上に載置する(図9B参照、第2加飾シート固定工程)。これにより、加飾シート750を、固定枠80とケース部160における上端部167で挟むように固定する。なお、このとき、上端吸引ブロー装置603を駆動(ON)させることにより吸引力を発揮させ上端吸引孔167aから吸引することで、加飾シート750を上端部167に密着させる。
【0055】
次に加熱装置200によって、固定枠80における開口部81を通じて、加飾シート750を加熱する(第2加飾シート加熱工程)。これにより加熱された加飾シート750が軟化し始めた状態で、第1吸引ブロー装置601を駆動(ON)させ、高い位置に配置した賦形型吸引孔121aから空気を吸引する(高位置加飾シート賦形型吸引工程)。なお、その後、第2吸引ブロー装置602を駆動(ON)させ、賦形型吸引孔121aよりも低い位置に配置した賦形型吸引孔121bからの空気を吸引する(低位置加飾シート賦形型吸引工程)。このようにすることで加飾シート750に施された模様X、模様Y、模様Zと、賦形型120における凸部125a、125b、125cとを互いに一致するように密着することができる(図10参照)。
【0056】
次に、底部吸引ブロー装置604を作動させ、上述の根本吸引孔161aおよび溝吸引孔161cと底部吸引孔168a、凸部吸引孔162aから空気を吸引する(第2加飾シート吸引工程)。
【0057】
上述の第2加飾シート加熱工程および第2加飾シート吸引工程によって、加飾シート750が、賦形型120によって成型され、立体的形状の加飾シート750が成型されると冷却装置300によって、その成型された立体的形状の加飾シート750が冷却される(図11参照、第2加飾製品冷却工程)。その後空気を吹き付ける第1吸引ブロー装置601、第2吸引ブロー装置602、上端吸引ブロー装置603、底部吸引ブロー装置604を駆動(ブローをON)させることで、今度は反対に空気を吹き付けることによって、賦形型120によって成型された加飾シート750をその賦形型120から離型することで、加飾製品850を得ることができる。なお、冷却装置300を使用することは必須ではない。自然に冷却することで、加飾製品850を得ることができる。したがって、上述の第2加飾製品冷却工程は必須の工程ではない。
【0058】
この場合、図示しないあて部の位置は、あらかじめ、賦形型120における凸部125a、125b、125cと加飾シート750に施された模様X、模様Y、模様Zとを一致させるように配置している。したがって、上記の高位置加飾シート賦形型吸引工程と低位置加飾シート賦形型吸引工程によって、賦形型120における凸部125a、125b、125cと加飾シート750に施された模様X、模様Y、模様Zとを一致させることで、これらの模様X、模様Y、模様Zと一致する凸部850a、 850b、 850cを有する加飾製品850を得ることができる。
【0059】
このように、立体的形状を有する加飾製品850の製造方法において、いわば下型のみ用い、上形を使用しない方法であるために、上述の通り、加飾シート750の厚みは、0.1ミリメートルから5ミリメートル、または、0.1ミリメートルから3ミリメートルのものを使用することができる。したがって、従来の上型と下型を用いる成型方法においては、0.5ミリメートル以上の厚みのシートではしわが寄る場合あるいは、形状が正確に成形出来ない場合があるが、上記の通り0.1ミリメートルから5ミリメートル、または、0.1ミリメートルから3ミリメートルのものを使用しても、その恐れを可及的に軽減することができる。
【0060】
また更に、凸部あるいは凹部を複数有する立体的形状を呈する加飾製品850を制作するときに、賦形型120におけるその凸部あるいは凹部と、加飾シート750に施された模様を一致させることができるので、複雑な模様を有し、かつその模様と複雑な立体的形状とを一致させた加飾製品850を製造することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 第1実施例の加飾製品の製造装置
20 賦形型
60 ケース部
60’第2ケース部
61 底部
61a 根本吸引孔
61b 溝部
61c 溝吸引孔
62 凸部
62a 凸部吸引孔
66 壁部
67 上端部
67a 上端吸引孔
68 根元部分
68a 底部吸引孔
69 あて部
70a 第1辺部
70b 第2辺部
80 固定枠
80’第2枠部
81 開口部
100 吸引ブロー装置
120 賦形型
121a、 121b 賦形型吸引部
125a、125b、125c 凸部
126a、126b 凹部
160 ケース部
161 底部
161a 根本吸引部
161b 溝部
161c 溝吸引孔
166 壁部
167 上端部
167a 上端部吸引孔
168 壁部166の根本部分
168a 底部吸引孔
171 第1区画部
172 第2区画部
173 第3区画部
174 第4区画部
200 加熱装置
300 冷却装置
500 第2実施例の加飾製品の製造装置
601 第1吸引ブロー装置
602 第2吸引ブロー装置
603 上端吸引ブロー装置
604 底部吸引ブロー装置
700 加飾シート
700’ 加飾シート
750 加飾シート
800 加飾製品
850 第2実施例の加飾製品
850a、 850b、 850c、凸部
856a、 856b、凹部
X Y Z 模様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12