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  • 特開-部品実装装置、及び、部品実装方法 図1
  • 特開-部品実装装置、及び、部品実装方法 図2
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  • 特開-部品実装装置、及び、部品実装方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174736
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】部品実装装置、及び、部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241210BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092727
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大輔
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353EE02
5E353EE28
5E353EE29
5E353EE37
5E353HH11
5E353HH52
5E353HH55
5E353HH72
5E353JJ02
5E353LL06
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】部品実装装置の生産効率を向上させる。
【解決手段】部品実装装置は、部品が格納されたトレイを保持するパレットが位置する部品取り出し位置を備えるトレイフィーダと、部品を供給する部品供給機構と、トレイフィーダ又は部品供給機構から部品を取得して基板に装着するための機構を備える部品実装機構と、制御部とを備え、部品実装機構が前記トレイフィーダの部品取り出し位置のトレイ又は部品供給機構から部品を取得して基板に装着する1回の動作を1ターンとし、制御部は、今回のターンが基板に対してトレイフィーダから供給される部品を装着する最終ターンである場合、トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を装着するための部品実装装置であって、
前記部品が格納されたトレイを保持するパレットが位置する部品取り出し位置を備えるトレイフィーダと、
前記部品を供給する部品供給機構と、
前記トレイフィーダ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して、前記基板に装着するための機構を備える部品実装機構と、
制御部と、を備え、
前記部品実装機構が前記トレイフィーダの前記部品取り出し位置のトレイ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して前記基板に装着する1回の動作を1ターンとし、
前記制御部は、
今回のターンが前記基板に対して前記トレイフィーダから供給される前記部品を装着する最終ターンである場合、前記トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する、
部品実装装置。
【請求項2】
前記トレイフィーダは、前記部品を補給済みのトレイを保持するパレットである補給済みパレットが載置されるパレット載置部をさらに備え、
前記トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理として、前記制御部は、前記補給済みパレットが前記パレット載置部に載置されている場合、前記トレイフィーダにおけるトレイの交換を実行する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記トレイフィーダにおけるトレイの交換の実行として、前記制御部は、前記部品取り出し位置のトレイが部品切れである場合、
前記部品取り出し位置に位置する部品切れのトレイを保持するパレットを退避させ、
前記パレット載置部に載置されている前記補給済みパレットを前記部品取り出し位置に移動させる、
請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記トレイフィーダは、
前記パレットを収納可能な複数のパレット収納部と、
前記部品取り出し位置と、前記パレット載置部と、前記パレット収納部との間で前記パレットを移動させるためのパレット保持部と、をさらに備え、
前記トレイフィーダにおけるトレイの交換の実行として、前記制御部は、前記部品取り出し位置に位置するパレットが保持するトレイが部品切れである場合、前記パレット保持部を用いて、
前記部品取り出し位置に位置する、部品切れのトレイを保持するパレットである第1のパレットを、前記パレット収納部に移動させ、
前記パレット載置部に載置されている前記補給済みパレットを前記パレット収納部に移動させ、
前記パレット収納部に移動させた前記第1のパレットを前記パレット載置部に移動させ、
前記パレット収納部に移動させた前記補給済みパレットを前記部品取り出し位置に移動させる、
請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記トレイフィーダは、
前記パレットを収納可能な複数のパレット収納部と、
前記部品取り出し位置と、前記パレット載置部と、前記パレット収納部との間で前記パレットを移動させるためのパレット保持部と、をさらに備え、
前記トレイフィーダにおけるトレイの交換の実行として、前記制御部は、前記部品取り出し位置に位置するパレットが保持するトレイが部品切れでない場合、前記パレット保持部を用いて、
前記部品取り出し位置に位置する、部品切れでないトレイを保持するパレットである第2のパレットを、前記パレット収納部に移動させ、
前記パレット載置部に載置されている前記補給済みパレットを前記パレット収納部に移動させ、
前記パレット収納部に移動させた前記第2のパレットを前記部品取り出し位置に移動させる、
請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記部品供給機構は、テープフィーダである、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項7】
基板を搬送する第1レーン及び第2レーンを備え、
前記制御部は、前記部品実装機構を制御して、
前記第1レーンの基板に対する部品の装着が完了した後、前記第2レーンの基板に対する部品の装着を開始する、あるいは、
前記第2レーンの基板に対する部品の装着が完了した後、前記第1レーンの基板に対する部品の装着を開始する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
基板に部品を装着するための部品実装装置が行う部品実装方法であって、
前記部品実装装置は、
前記部品が格納されたトレイを保持するパレットが位置する部品取り出し位置を備えるトレイフィーダと、
前記部品を供給する部品供給機構と、
前記トレイフィーダ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して、前記基板に装着するための機構を備える部品実装機構と、を備え、
前記部品実装機構が前記トレイフィーダの前記部品取り出し位置のトレイ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して前記基板に装着する1回の動作を1ターンとし、
今回のターンが前記基板に対して前記トレイフィーダから供給される前記部品を装着する最終ターンである場合、前記トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装装置、及び、部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、トレイフィーダから部品を取得し、搬入した基板に装着させる部品実装装置が知られている。トレイフィーダは、部品が格納されたトレイを保持するパレットを複数収納し、トレイの部品が空になった際、空になったトレイを保持するパレットと、部品を補給済みのトレイを保持するパレットとを交換する。従来、このパレット交換は、搬入した基板に対する部品装着が完了した後、その基板が搬出され、次の基板は搬入される期間に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-197516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板の搬出と搬入の期間が短い場合、パレット交換が間に合わない可能性がある。この場合、パレット交換が完了するまで、次に搬入された基板に対する部品装着を開始できず、生産効率が低下する。あるいは、部品実装装置がデュアルレーンを構成する場合、第1レーンの基板に対する部品装着が完了した後、パレット交換が行われると、そのパレット交換が完了するまで、第2レーンに搬入済みの基板に対する部品装着を開始できず、生産効率が低下する。
【0005】
本開示の目的は、トレイフィーダにおけるパレットの交換に関する処理を適切に行うことにより、部品実装装置の生産効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る、基板に部品を装着するための部品実装装置は、前記部品が格納されたトレイを保持するパレットが位置する部品取り出し位置を備えるトレイフィーダと、前記部品を供給する部品供給機構と、前記トレイフィーダ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して、前記基板に装着するための機構を備える部品実装機構と、制御部と、を備え、前記部品実装機構が前記トレイフィーダの前記部品取り出し位置のトレイ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して前記基板に装着する1回の動作を1ターンとし、前記制御部は、今回のターンが前記基板に対して前記トレイフィーダから供給される前記部品を装着する最終ターンである場合、前記トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する。
【0007】
本開示に係る、基板に部品を装着するための部品実装装置が行う部品実装方法では、前記部品実装装置は、前記部品が格納されたトレイを保持するパレットが位置する部品取り出し位置を備えるトレイフィーダと、前記部品を供給する部品供給機構と、前記トレイフィーダ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して、前記基板に装着するための機構を備える部品実装機構と、を備え、前記部品実装機構が前記トレイフィーダの前記部品取り出し位置のトレイ又は前記部品供給機構から前記部品を取得して前記基板に装着する1回の動作を1ターンとし、今回のターンが前記基板に対して前記トレイフィーダから供給される前記部品を装着する最終ターンである場合、前記トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、部品実装装置の生産効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る部品実装装置を上から見た平面図
図2】本実施の形態に係る部品実装装置の部分断面図
図3】本実施の形態に係る部品実装装置の制御に関する機能的構成を例示するブロック図
図4】本実施の形態に係る実装データの構成例を示す図
図5】本実施の形態に係る部品装着方法の一例を示すフローチャート
図6図5のトレイ交換チェックの詳細を示すフローチャート
図7】従来のトレイ交換等を説明するための図
図8】本実施の形態のトレイ交換等を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
例えば、実施の形態でいう「部」または「装置」とは単にハードウェアによって機械的に実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、または2つ以上の構成の機能が例えば1つの物理的構成によって実現されてもかまわない。
【0013】
(本実施の形態)
<部品実装装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る部品実装装置1を上から見た平面図である。
【0014】
なお、説明の便宜上、部品実装装置1が設置される床面から高さ方向に延びる軸をZ軸とする。Z軸に対して垂直(つまり床面に平行)かつ部品実装装置1の前方(図1の紙面で下側)から部品実装装置1の後方(図1の紙面で上側)に向かう軸をY軸とする。Y軸及びZ軸に対して垂直な軸をX軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」、Y軸の正方向を「後」、Y軸の負方向を「前」、X軸の正方向を「右」、Y軸の負方向を「左」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0015】
部品実装装置1は、実装基板を製造する部品実装ライン(図示しない)に配置され、搬入された基板3に1個以上の部品Dを実装する装置である。部品実装装置1は、基台1A(下述参照)の内部に部品実装装置1の各部を制御する本体制御部15(図2図3参照)を収納して備える。
【0016】
部品実装装置1の基台1Aの中央部には、図1に示すX方向(基板3の搬送方向)に沿って2列の基板搬送機構2A、2Bが配設される。つまり、部品実装装置1は、2つの基板3をそれぞれ搬送可能なデュアルレーンの構成を有する。ただし、部品実装装置1は、1つの基板3を搬送可能なシングルレーンの構成を有してもよい。
【0017】
基板搬送機構2A、2Bは、それぞれ、X方向に沿って延設される一対のコンベアを有し、その一対のコンベアの上に載置される基板3を搬入して所定の部品実装位置で位置決めして保持する。
【0018】
部品実装装置1は、基板3を搬送する基板搬送機構2A、2Bを挟んで、前方に部品供給機構4Bを備え、後方に部品供給機構4Aを備える。部品供給機構4Aには、トレイフィーダ5が着脱自在に配置される。部品供給機構4Bには、複数のテープフィーダ6が着脱自在に配置される。トレイフィーダ5及びテープフィーダ6は、基板3に実装される基板実装用の部品Dを供給するものである。
【0019】
トレイフィーダ5は、図2に示すように、複数のパレット24を備える。パレット24は、上面に、1枚以上のトレイ7を保持する。トレイ7は、部品を格納するための格子配列を呈し、格子配列のそれぞれに1つの部品Dを格納する。
【0020】
トレイフィーダ5は、部品取り出し位置P(図2参照)に1枚のパレット24を移動させて、部品実装機構12に部品Dを供給する。なお、トレイフィーダ5の構成の詳細については後述する。
【0021】
トレイフィーダ5は、上面にモニタTを備えてよい。モニタTは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electroluminescence)を用いて構成される。モニタTは、トレイフィーダ5の稼働状況、それぞれのパレット収納部23(図2参照)に収納されたパレット24の情報等を表示する。モニタTは、タッチパネル等のユーザインターフェースの機能を有し、作業者OPによる入力操作を受け付けると、入力内容を電気信号に変換してフィーダ制御部30に出力する。例えば、モニタTは、部品切れのパレット24の取り出し、又は、移動に関する入力操作を受け付ける。
【0022】
テープフィーダ6は、複数の部品Dを収納したキャリヤテープを備える。テープフィーダ6は、キャリヤテープをピッチ送りして、部品取り出し位置(図示しない)に部品Dを供給する。
【0023】
部品実装機構12は、基板3に部品を実装するための機構であって、Y軸ビーム8と、X軸ビーム9A、9Bと、実装ヘッド10A、10Bと、吸着ノズル11(11A)とを含んで構成される。実装ヘッド10A、10Bは、複数の吸着ノズル11を備えてよい。
【0024】
Y軸ビーム8は、基台1Aの上面の右端(あるいは左端)に、Y方向に延出するように配設される。
【0025】
X軸ビーム9A、9Bは、X方向に延出するように配設され、一端がY軸ビーム8に移動自在に取り付けられる。X軸ビーム9A、9Bは、リニアガイド機構により、Y軸ビーム8に沿って(つまりY方向)にスライド移動可能である。
【0026】
実装ヘッド10Aは、X軸ビーム9Aに移動自在に取り付けられる。実装ヘッド10Aは、リニアガイド機構により、X軸ビーム9Aに沿って(つまりX方向に)スライド移動可能である。
【0027】
実装ヘッド10Bは、X軸ビーム9Bに移動自在に取り付けられる。実装ヘッド10Bは、リニアガイド機構により、X軸ビーム9Bに沿って(つまりX方向に)スライド移動可能である。
【0028】
これにより、実装ヘッド10A、10Bのそれぞれは、基板3の表面と略平行する平面上、つまり水平面(XY平面)において任意に位置決めされる。
【0029】
実装ヘッド10Aは、トレイフィーダ5の部品取り出し位置Pに移動し、吸着ノズル11を用いて、その部品取り出し位置Pに載置されたパレット24のトレイ7から部品Dを吸着する。
【0030】
実装ヘッド10Bは、テープフィーダ6の部品取り出し位置(図示しない)に移動し、吸着ノズル11を用いて、その部品取り出し位置から部品Dを吸着する。
【0031】
実装ヘッド10Aが取り付けられたプレート9Cには、基板認識カメラ13が配設される。実装ヘッド10Bも同様である。
【0032】
実装ヘッド10A、10Bは、部品実装位置まで搬送された後の基板3の位置に移動し、基板認識カメラ13は、その基板3を上から撮像し、基板撮像画像を生成する。基板認識カメラ13は、その基板撮像画像を本体制御部15(図2参照)に送信する。本体制御部15は、その基板撮像画像に基づいて、基板3の姿勢及び搬入位置等を計測する。
【0033】
部品供給機構4Aと基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14が配設される。同様に、部品供給機構4Bと基板搬送機構2との間にも、部品認識カメラ14が配設される。以下では、部品供給機構4Aと基板搬送機構2との間の部品認識カメラ14について説明するが、部品供給機構4Bと基板搬送機構2との間の部品認識カメラ14についても同様である。
【0034】
実装ヘッド10Aは、吸着ノズル11Aによってトレイフィーダ5の部品Dを吸着した状態で、部品認識カメラ14の上方を移動して通過する。このとき、部品認識カメラ14は、その通過する吸着ノズル11Aに吸着されている部品Dを下から撮像し、部品撮像画像を生成する。部品認識カメラ14は、その部品撮像画像を本体制御部15(図2参照)に送信する。本体制御部15は、その部品撮像画像に基づいて、実装ヘッド10Aの吸着ノズル11Aに吸着されている部品Dの保持姿勢及び位置等を計測する。
【0035】
図2は、本実施の形態に係る部品実装装置1の部分断面図である。当該部分断面図は、図1に示す部品実装装置1を、X軸の正方向から負方向を見た場合の断面図に相当する。
【0036】
トレイフィーダ5は、ベース部20と、複数の車輪21と、フィーダ本体部22と、昇降機構26と、パレット保持部25とを備える。
【0037】
複数の車輪21は、ベース部20の下面に備えられる。トレイフィーダ5は、複数の車輪21によって作業床上で移動自在である。
【0038】
トレイフィーダ5は、移動して部品実装装置1に装着される。トレイフィーダ5が部品実装装置1に装着されることにより、部品実装装置1の本体制御部15と、後述するフィーダ本体部22のフィーダ制御部30とが、電気的に接続される。
【0039】
昇降機構26は、ベース部20の上面の、部品実装装置1の側に配設される。昇降機構26は、パレット保持部25を含み、当該パレット保持部25をZ方向に昇降させるための機構を備える。例えば、昇降機構26は、トレイ7を保持するパレット24が載置されたパレット保持部25を、部品取り出し位置Pに移動させる。
【0040】
フィーダ本体部22は、ベース部20の上面において、作業者OP側(Y方向)に配設される。フィーダ本体部22は、複数のパレット収納部23と、パレット載置部27と、開閉カバー28と、フィーダ制御部30とを備える。
【0041】
複数のパレット収納部23は、フィーダ本体部22において、上下方向(Z方向)に多段に備えられる。パレット収納部23は、トレイ7を保持するパレット24を収納可能である。
【0042】
パレット載置部27は、複数のパレット収納部23の最上段のさらに上段に配設される。パレット載置部27の上方(Z方向)は、フィーダ本体部22の天井部によって覆われる。開閉カバー28は、フィーダ本体部22の天井部の手前側(作業者OP側)に、開閉可能に設けられる。作業者OPは、開閉カバー28を開放して、パレット載置部27にアクセスできる。例えば、作業者OPは、開閉カバー28を開放して、部品を補給済みのトレイ7を保持するパレット24を、パレット載置部27に載置することができる。例えば、作業者OPは、開閉カバー28を開放して、パレット載置部27に載置されている、部品切れのトレイ7を保持するパレット24を取り出すことができる。
【0043】
フィーダ制御部30は、トレイフィーダ5の動作を制御する。フィーダ制御部30は、単独で制御を行ってもよいし、本体制御部15と連携して制御を行ってもよい。なお、フィーダ制御部30が行う制御の詳細については後述する。
【0044】
<部品実装装置の機能的構成>
図3は、本実施の形態に係る部品実装装置1の制御に関する機能的構成を例示するブロック図である。
【0045】
部品実装装置1は、本体制御部15と、記憶部40と、機構駆動部41と、基板搬送機構2(2A、2B)と、部品実装機構12と、基板認識カメラ13と、部品認識カメラ14と、入力部42と、表示部43と、トレイフィーダ5と、テープフィーダ6とを備える。
【0046】
本体制御部15は、例えばCPU(Central Processing unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、記憶部40と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、本体制御部15は、記憶部40に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0047】
本体制御部15は、基板搬送機構2により所定の部品実装位置まで基板3が搬入されると、基板認識カメラ13に搬入後の基板3を撮像させる。本体制御部15は、基板認識カメラ13により撮像された基板撮像画像に基づいて、搬送された基板3の姿勢及び搬入位置等を計測する。
【0048】
本体制御部15は、部品取り出し位置Pと基板3との間に設置された部品認識カメラ14の上部を、部品実装機構12により吸着保持された部品が通過するタイミングで、部品認識カメラ14に部品を撮像させる。
【0049】
本体制御部15は、部品認識カメラ14により撮像された部品撮像画像に基づいて、吸着保持された部品の大きさ、形状、保持姿勢、及び、位置等を計測して部品の保持姿勢、及び、実装高さを補正する。
【0050】
本体制御部15は、計測された計測結果に基づいて、部品が不良部品であるか否かを判定する。本体制御部15は、部品実装機構12により吸着保持された部品が不良部品であると判定した場合、部品実装機構12に部品を廃棄させる。
【0051】
本体制御部15は、作業者OPにより設定された実装基板の生産枚数をカウントする。本体制御部15は、パレット24が部品取り出し位置Pに移動されると、記憶部40に記憶された現在の実装基板の生産枚数を0(ゼロ)枚にリセットし、基板搬送機構2により基板3が部品実装位置まで搬入されたタイミングで、記憶部40に記憶された実装基板の生産枚数をインクリメントする。
【0052】
本体制御部15は、基板3が部品実装位置から搬出された後に、次に生産される実装基板の基板3があるか否かを判定する。本体制御部15は、次に生産される実装基板の基板3があると判定した場合、さらに、記憶部40に記憶された実装基板の生産枚数が作業者OPにより設定された実装基板の生産枚数であるか否かを判定する。
【0053】
記憶部40は、例えば本体制御部15の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、本体制御部15の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、本体制御部15により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、本体制御部15の動作を規定するプログラムが書き込まれている。記憶部40は、実装データ40Aと、部品データ40Bとを記憶する。また、記憶部40は、現在生産が完了した生産枚数を記憶する。
【0054】
実装データ40Aは、基板3に関する情報、および基板3に実装される複数の部品のそれぞれに関する情報であって、例えば基板3の高さ(厚み)情報、基板3に実装される部品の種類および個数の情報、1枚のパレット24が保持するトレイ7に格納された部品を用いて生産される実装基板の生産枚数、部品ごとの部品実装位置の情報等を含むデータである。なお、実装データ40Aの一例については後述する(図4参照)。
【0055】
部品データ40Bは、それぞれのテープフィーダ6が保持する部品の情報、それぞれのトレイ7が格納する部品の種類および個数の情報、同一種類の部品を格納したエリアの情報、それぞれのパレット24が保持するトレイ7の枚数の情報等を含むデータである。
【0056】
機構駆動部41は、本体制御部15から出力された制御指令に基づいて、基板搬送機構2および部品実装機構12のそれぞれを駆動させる。機構駆動部41は、第1レーンの基板搬送機構2Aを駆動させて基板3を部品実装位置まで搬入する。同様に、機構駆動部41は、第2レーンの基板搬送機構2Bを駆動させて基板3を部品実装位置まで搬入する。
【0057】
機構駆動部41は、部品実装機構12の実装ヘッド10Aを駆動させて、トレイフィーダ5の部品取り出し位置Pに位置するパレット24が保持するトレイ7から部品を吸着保持して取り出し、基板3上の部品実装位置に部品を実装する。同様に、機構駆動部41は部品実装機構12の実装ヘッド10Bを駆動させて、テープフィーダ6の部品取り出し位置から部品を吸着保持して取り出し、基板3上の部品実装位置に部品を実装する。
【0058】
入力部42は、所謂ユーザインターフェースであって、部品実装装置1により実行される実装基板の生産に関する作業者OPの入力操作を受け付け、入力操作の結果を電気信号に変換して本体制御部15に出力する。入力部42は、上述した表示部43と一体的に構成されたタッチパネルとして実現されてよい。
【0059】
表示部43は、例えばLCDもしくは有機ELを用いて構成される。表示部43は、部品実装装置1の稼働状況に関する情報等を表示する。なお、表示部43は、入力部42と一体的に構成されたタッチパネルとして構成される場合、部品実装装置1の制御を受け付け可能なボタン等を表示し、作業者OPによる入力操作を受け付け可能であってよい。
【0060】
トレイフィーダ5のフィーダ制御部30は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、フィーダ記憶部50と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、フィーダ制御部30は、フィーダ記憶部50に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0061】
フィーダ制御部30は、指示待ち状態、及び、受付中断状態等のトレイフィーダ5の状態を本体制御部15に送信する。指示待ち状態は、部品取り出し位置Pに部品切れでないトレイ7を保持するパレット24を移動させる制御指令を受け付け可能な状態である。
受付中断状態は、トレイ交換作業中などで制御指令の受け付けを中断している状態である。トレイ交換作業中とは、パレット載置部27に部品切れのトレイ7を保持するパレット24を移動させた状態であって、作業者OPにより部品の補給作業が行われていることであってよい。
【0062】
また、フィーダ制御部30は、本体制御部15から制御指令を受け取った後、指示された部品を格納するトレイ7を保持するパレット24を部品取り出し位置Pに位置させて部品を供給可能な状態となると、制御指令の完了報告を本体制御部15に送信する。
【0063】
フィーダ記憶部50は、例えばフィーダ制御部30の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、フィーダ制御部30の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、フィーダ制御部30により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、フィーダ制御部30の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0064】
<実装データの構成>
図4は、本実施の形態に係る実装データ40Aの構成例を示す図である。
【0065】
実装データ40Aは、項目として、ターン番号、ノズル番号、部品ID、部品供給位置、X座標、Y座標、回転角θを有する。
【0066】
ターン番号は、1つの基板3に対するターンの番号を示す。1ターンは、部品実装機構12が、トレイフィーダ5の部品取り出し位置Pのトレイ7、又は、テープフィーダ6から部品を取得して、基板3に装着する動作をいう。つまり、ターン番号に示されるターンを順番に最後まで行うことにより、1つの基板3に対する部品実装が完了する。
【0067】
ノズル番号は、実装ヘッド10A、10Bが備える複数の吸着ノズル11のそれぞれを識別するための番号である。図4に示す実装データ40Aは、吸着ノズル11が4つの場合の例である。ノズル番号は、実装ヘッド10Aが備える吸着ノズルの数に対応する。
【0068】
部品IDは、対応するターン番号が示すターンにおいて、対応するノズル番号が示す吸着ノズル11に吸着されるべき部品のIDを示す。
【0069】
部品供給位置は、対応する部品IDの部品が供給される位置を示す。例えば、部品供給位置は、その部品が、何番目のテープフィーダ6に格納されているかを示す。例えば、部品供給位置は、その部品が、トレイフィーダ5の部品取り出し位置Pに載置されているトレイ7の格子配列の何れに格納されているかを示す。すなわち、本体制御部15は、部品供給位置を参照することにより、部品の取得先がトレイフィーダ5かテープフィーダ6かを知ることができる。
【0070】
X座標、Y座標、回転角θは、対応する部品IDの部品が基板3に装着されるべきX座標及びY座標と、対応する部品IDの部品が基板3に装着される際の回転角θとを示す。
【0071】
例えば、本体制御部15は、実装データ40Aを参照し、ターン毎に次の(S11)から(S18)の処理を行う。
(S11)本体制御部15は、実装データ40Aの部品供給位置を参照し、今回のターンにおいて部品をトレイフィーダ5又はテープフィーダ6のいずれから取得するかを判定する。以下では、部品をトレイフィーダ5から取得する場合について説明する。
(S12)本体制御部15は、実装ヘッド10Aをトレイフィーダ5に移動させて、部品取り出し位置Pに存在するトレイ7に格納されている部品のうち、実装データ40Aの今回のターン番号の各ノズル番号に対応する部品IDの部品Dを、各ノズル番号に対応する吸着ノズルに吸着保持させる。
(S13)本体制御部15は、実装ヘッド10Aを、部品認識カメラ14の上を通過させ、基板3の位置に移動させる。このとき、本体制御部15は、部品認識カメラ14に、上を通過する実装ヘッド10Aの吸着ノズル11に吸着保持されている部品Dを撮像させ、部品撮像画像を生成させる。
(S14)本体制御部15は、部品撮像画像に基づいて、吸着ノズル11に吸着保持されている部品Dの位置及び姿勢等を計測する。
(S15)本体制御部15は、基板3の位置に移動した実装ヘッド10Aの基板認識カメラ13に、基板3を撮像させ、基板撮像画像を生成させる。
(S16)本体制御部15は、基板撮像画像に基づいて、基板3の位置及び姿勢等を計測する。
(S17)本体制御部15は、実装データ40Aの今回のターン番号に対応する各ノズル番号のX座標、Y座標及び回転角θと、(S14)で計測された吸着ノズル11の部品Dの位置及び姿勢等と、(S16)で計測された基板3の位置及び姿勢等とに基づいて、部品Dと基板3との相対的な位置及び姿勢等を補正する。
(S18)本体制御部15は、その補正結果を用いて、実装ヘッド10Aの吸着ノズル11の位置及び姿勢等を補正し、部品Dを基板3に装着する。
【0072】
<部品装着方法>
図5は、本実施の形態に係る部品装着方法の一例を示すフローチャートである。次に、図5を参照して、本実施の形態に係る部品実装装置1が行う部品装着方法について説明する。
【0073】
機構駆動部41は、機構駆動部41に対して基板3の搬入を指示する(S101)。機構駆動部41は、基板搬送機構2Aを制御して、第1レーンに基板3を搬入し、基板搬送機構2Bを制御して、第2レーンに基板3を搬入する。以下に説明する基板3への部品装着は、第1レーンの基板3と、第2レーンの基板3とに対して交互に行われてよい。
【0074】
本体制御部15は、基板3に対して、実装データ40Aを参照し、1ターン分の部品装着を実施する(S102)。具体的には、本体制御部15は、上述した(S11)から(S18)の処理を行う。
【0075】
本体制御部15は、今回のターンが基板3に対してトレイ7の部品Dを装着する最終ターンであるか否かを判定する(S103)。例えば、本体制御部15は、実装データ40Aの部品供給位置を参照して、以降のターンにトレイフィーダ5から部品を取得するターンが存在しない場合、トレイ7の部品Dを装着する最終ターンであると判定する。反対に、本体制御部15は、実装データ40Aの部品供給位置を参照して、以降のターンにトレイフィーダ5から部品Dを取得するターンが存在する場合、トレイ7の部品Dを装着する最終ターンでないと判定する。
【0076】
本体制御部15は、今回のターンが基板3に対してトレイ7の部品Dを装着する最終ターンであると判定した場合(S103:YES)、トレイ交換チェックを開始し(S104)、当該トレイ交換チェックの完了を待つことなく、処理をステップS109に進める。なお、トレイ交換チェックの詳細については後述する(図6参照)。
【0077】
本体制御部15は、今回のターンが基板3に対してトレイ7の部品Dを装着する最終ターンでないと判定した場合(S103:NO)、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れであるか否かを判定する(S105)。なお、トレイ7が部品切れであるとは、トレイ7に部品Dが全く存在しないこと(つまりトレイ7が空であること)を意味してもよいし、トレイ7に部品は存在するものの基板3に装着されるべき部品Dが存在しないことを意味してもよい。
【0078】
本体制御部15は、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れでないと判定した場合(S105:NO)、処理をステップS109に進める。
【0079】
本体制御部15は、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れであると判定した場合(S105:YES)、補給済みのトレイ7がパレット載置部27又はパレット収納部23に存在するか否かを判定する(S106)。補給済みのトレイ7とは、部品Dが補給されているトレイ7を意味する。
【0080】
本体制御部15は、フィーダ制御部30に対して、補給済みのトレイ7がパレット載置部27又はパレット収納部23に存在すると判定した場合(S106:YES)、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を、補給済みのトレイ7を保持するパレット24と交換するよう指示する(S107)。当該ステップS107の処理の詳細については後述する。これにより、補給済みのトレイ7が部品取り出し位置Pに配置され、後続のターンを継続できる。
【0081】
なお、本体制御部15は、当該ステップS107の処理が完了するまで、処理をステップS109に進めず、当該ステップS107の処理が完了した後、処理をステップS109に進める。今回のターンがトレイ7の部品Dを装着する最終ターンでないにも関わらず(つまりステップS103がNOであるにも関わらず)、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れの状態で処理をステップS109に進めると、後続のターンで部品取り出し位置Pのトレイから部品Dを取得できないためである。
【0082】
本体制御部15は、補給済みのトレイ7がパレット載置部27又はパレット収納部23に存在しないと判定した場合(S106:NO)、フィーダ制御部30に対して、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を、パレット載置部27又はパレット収納部23に移動させるよう指示する(S108)。この場合、作業者OPは、パレット載置部27又はパレット収納部23に移動した部品切れのトレイ7を保持するパレット24を取り出し、補給済みのトレイ7を保持するパレット24をパレット載置部27に載置する。フィーダ制御部30は、昇降機構26によりパレット保持部25を駆動し、このパレット載置部27に載置された補給済みのトレイ7を、部品取り出し位置Pに移動する。これにより、後続のターンを継続できる。なお、本体制御部15は、ステップS108において、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を放置してもよい。
【0083】
なお、本体制御部15は、当該ステップS108の処理が完了するまで、処理をステップS109に進めず、当該ステップS108の処理が完了した後、処理をステップS109に進める。今回のターンがトレイ7の部品Dを装着する最終ターンでないにも関わらず(つまりステップS103がNOであるにも関わらず)、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れの状態で処理をステップS109に進めると、後続のターンで部品取り出し位置Pのトレイ7から部品Dを取得できないためである。
【0084】
ステップS109として、本体制御部15は、実装データ40Aのターン番号を参照して、今回のターンがステップS101で搬入された基板3に対する部品装着の最終ターンであるか否かを判定する(S109)。
【0085】
本体制御部15は、今回のターンが基板3に対する部品装着の最終ターンでないと判定した場合(S109:NO)、処理をステップS102に戻し、次のターンの部品装着を実施する。
【0086】
本体制御部15は、今回のターンが基板3に対する部品装着の最終ターンであると判定した場合(S109:YES)、処理をステップS110に進める。
【0087】
本体制御部15は、機構駆動部41に対して、部品装着を完了したレーンの基板3の搬出を指示する(S110)。本体制御部15は、このレーンの基板3の搬出の完了を待つことなく、処理を次のステップS111に進める。
【0088】
本体制御部15は、次に生産すべき基板3があるか否かを判定する(S111)。
【0089】
本体制御部15は、次に生産すべき基板3がある場合(S111:YES)、処理をステップS101に戻し、上記で部品装着した基板3が存在していたレーンとは異なるレーンに既に搬入されている基板3に対して、上記の部品装着の処理を行う。このように、デュアルレーンは、シングルレーンと比較して、基板3の搬入と搬出の時間を待つことなく、次の基板の部品実装を開始できるので、生産効率が向上する。
【0090】
本体制御部15は、次に生産すべき基板3がない場合(S111:NO)、本処理を終了する。つまり、本体制御部15は、すべての基板3の生産が完了した場合、本処理を終了する。
【0091】
以上の処理により、部品実装装置1は、複数の実装基板を生産する。
【0092】
<トレイフィーダの並列動作>
図6は、図5のトレイ交換チェックの詳細を示すフローチャートである。なお、上述した通り、当該図6に示す処理は、図5に示す処理と並列に行われる。
【0093】
本体制御部15は、補給済みのトレイ7を保持するパレット24がパレット載置部27に存在するか否かを判定する(S201)。
【0094】
本体制御部15は、補給済みのトレイ7を保持するパレット24がパレット載置部27に存在しない場合(S201:NO)、本処理を終了する。
【0095】
本体制御部15は、補給済みのトレイ7を保持するパレット24がパレット載置部27に存在する場合(S201:YES)、部品取り出し位置Pに位置するトレイ7が部品切れであるか否かを判定する(S202)。
【0096】
部品取り出し位置Pに位置するトレイ7が部品切れである場合(S202:YES)、本体制御部15は、フィーダ制御部30に対して、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を、パレット載置部27に存在する補給済みのトレイ7を保持するパレット24と交換するよう指示する(S203)。当該ステップS203の処理の詳細については後述する。これにより、補給済みのトレイ7が部品取り出し位置Pに配置される。そして、本処理は終了する。
【0097】
部品取り出し位置Pに位置するトレイ7部品切れでない場合(S202:NO)、本体制御部15は、フィーダ制御部30に対して、パレット載置部27に存在する補給済みのトレイ7を保持するパレット24を、パレット収納部23に移動するよう指示する(S204)。当該ステップS204の処理の詳細については後述する。そして、本処理は終了する。
【0098】
以上の処理によれば、トレイフィーダ5においてパレットの交換に関する処理が行われる。
【0099】
<従来の動作との比較>
図7は、従来のトレイ交換等を説明するための図である。図8は、本実施の形態のトレイ交換等を説明するための図である。なお、図7及び図8において、下方に向かう矢印は時間の流れを示す。
【0100】
図7に示すように、従来は、基板3に対する最終ターン(Nターン目とする)の部品実装が完了した後、トレイフィーダ5におけるトレイ交換等の処理(例えばステップS107、ステップS203又はステップS204等の処理)が行われる。
【0101】
そのため、図7に示すように、デュアルレーンにおいて、従来は、例えば第1レーンの基板3に対する部品装着が完了し、第2レーンにおいて基板3の搬入が完了しているにも関わらず、トレイ交換等の処理が完了するまで、第2レーンの基板3に対して部品装着を開始することができない。したがって、トレイ交換等が発生した際の生産効率が低下する。
【0102】
これに対して、図8に示すように、本実施の形態では、例えば第1レーンの基板3に対するトレイ7の部品を装着する最終ターン(Xターン目とする)が完了したタイミングで、トレイ交換等の処理(つまり図6に示すトレイ交換チェックの処理)が開始される。この場合、第1レーンの基板3に対する部品装着が完了するまでに(つまりNターン目までに)、トレイ交換等の処理が完了し得る。よって、第1レーンの基板3に対する部品装着が完了した後、直ちに、第2レーンの基板3に対する1ターン目の部品装着を開始することできる。したがって、本実施の形態は、従来と比較して、トレイ交換等が発生した際の生産効率が向上する。
【0103】
なお、第1レーンの基板3に対する部品装着の処理と並列して行われるトレイ交換等の処理(つまり図6に示すトレイ交換チェックの処理)の完了が、第2レーンの基板3に対する1ターン目の部品装着の開始までに間に合わない場合は、第2レーンの基板3に対する1ターン目の部品装着を待機してよい。この場合であっても、本実施の形態は、従来と比較して、待機期間が短くなくので、トレイ交換等が発生した際の生産効率が向上する。なお、第1レーンと第2レーンを入れ替えた場合も同様である。
【0104】
あるいは、第1レーンの基板3に対する部品装着の処理と並列して行われるトレイ交換等の処理(つまり図6に示すトレイ交換チェックの処理)の完了が、第2レーンの基板3に対するトレイ7の部品を装着する最初のターンの開始までに間に合わない場合は、当該トレイ7の部品を装着する最初のターンの部品装着を待機してよい。この場合であっても、本実施の形態は、従来と比較して、待機期間が短くなくので、トレイ交換等が発生した際の生産効率が向上する。なお、第1レーンと第2レーンを入れ替えた場合も同様である。
【0105】
<トレイ交換等の処理>
図5に示すステップS107におけるトレイ交換等の処理は、次の方法1又は方法2のいずれかによって実施されてよい。なお、以下の方法は、フィーダ制御部30が、昇降機構26によりパレット保持部25を昇降させることにより実現されてよい。
【0106】
<<方法1>>
(S301)フィーダ制御部30は、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を、パレット載置部27に移動させる。
(S302)フィーダ制御部30は、パレット収納部23から補給済みのトレイ7を取り出し、部品取り出し位置Pに移動させる。
【0107】
<<方法2>>
(S401)フィーダ制御部30は、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を、何れかの空いているパレット収納部23に移動させる。
(S402)フィーダ制御部30は、パレット載置部27に存在する補給済みのトレイ7を保持するパレット24を、何れかの空いているパレット収納部23に移動させる。
(S403)フィーダ制御部30は、ステップS401でパレット収納部23に移動させた部品切れのトレイ7を保持するパレット24を、パレット載置部27に移動させる。
(S404)フィーダ制御部30は、ステップS402でパレット収納部23に移動させた補給済みのトレイ7を保持するパレット24を、部品取り出し位置Pに移動させる。
【0108】
図6に示すステップS203におけるトレイ交換等の処理は、上記の方法2によって実施されてよい。
【0109】
図6に示すステップS204におけるトレイ交換等の処理は、次の方法によって実施されてよい。
(S501)フィーダ制御部30は、部品取り出し位置Pに位置する部品切れでないトレイ7を保持するパレット24を、何れかの空いているパレット収納部23に移動させる。
(S502)フィーダ制御部30は、パレット載置部27に存在する補給済みのトレイ7を保持するパレット24を、何れかの空いているパレット収納部23に移動させる。
(S503)フィーダ制御部30は、ステップS501でパレット収納部23に移動させた部品切れでないトレイ7を保持するパレット24を、部品取り出し位置Pに移動させる。
【0110】
(本実施の形態のまとめ)
以上の本実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0111】
<技術1>
本実施の形態に係る部品実装装置1は、部品が格納されたトレイ7を保持するパレット24が位置する部品取り出し位置Pを備えるトレイフィーダ5と、部品を供給する部品供給機構(例えばテープフィーダ6)と、トレイフィーダ5又は部品供給機構から部品を取得して、基板3に装着するための機構を備える部品実装機構12と、制御部(例えば本体制御部15又はフィーダ制御部30)と、を備える。部品実装機構12がトレイフィーダ5の部品取り出し位置Pのトレイ7又は部品供給機構から部品を取得して基板3に装着する1回の動作を1ターンとする。制御部は、今回のターンが基板3に対してトレイフィーダ5から供給される部品を装着する最終ターンである場合、トレイフィーダ5におけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する。
これにより、トレイ交換に関する処理の完了を待つことなく、以降のターンを継続できる。よって、実装基板の生産効率が向上する。
【0112】
<技術2>
技術1に記載の部品実装装置1において、トレイフィーダ5は、部品を補給済みのトレイ7を保持するパレット24である補給済みパレットが載置されるパレット載置部27をさらに備える。トレイフィーダにおけるトレイ交換に関する処理として、制御部は、補給済みパレットがパレット載置部27に載置されている場合、トレイフィーダ5におけるトレイの交換を実行する。
これにより、トレイフィーダ5において、パレット載置部27に補給済みパレットが用意されている場合に、トレイ交換を実行することができる。
【0113】
<技術3>
技術2に記載の部品実装装置1において、トレイフィーダにおけるトレイの交換の実行として、制御部は、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れである場合、部品取り出し位置Pに位置する部品切れのトレイ7を保持するパレット24を退避させ、パレット載置部27に載置されている補給済みパレットを部品取り出し位置Pに移動させる。
これにより、部品取り出し位置Pのトレイ7が部品切れである場合、以降のターンを継続中に、部品取り出し位置Pに補給済みパレットを移動させ得ることができる。よって、トレイ交換ための待機時間を低減することができ、実装基板の生産効率が向上する。
【0114】
<技術4>
技術2又は3に記載の部品実装装置1において、トレイフィーダ5は、パレット24を収納可能な複数のパレット収納部23と、部品取り出し位置Pと、パレット載置部27と、パレット収納部23との間でパレット24を移動させるためのパレット保持部25と、を備える。トレイフィーダ5におけるトレイ7の交換の実行として、制御部は、部品取り出し位置Pに位置するパレット24が保持するトレイ7が部品切れである場合、パレット保持部25を用いて、部品取り出し位置Pに位置する、部品切れのトレイ7を保持するパレット24である第1のパレットを、パレット収納部23に移動させ、パレット載置部27に載置されている補給済みパレットをパレット収納部23に移動させ、パレット収納部23に移動させた第1のパレットをパレット載置部27に移動させ、パレット収納部23に移動させた補給済みパレットを部品取り出し位置Pに移動させる。
これにより、以降のターンを継続中に、部品取り出し位置Pにあった部品切れのトレイ7を保持するパレット(第1のパレット)を、パレット収納部23に移動させ、パレット載置部27にあった補給済みパレットを、部品取り出し位置Pに移動させることができる。
【0115】
<技術5>
技術2から4のいずれか1つに記載の部品実装装置1において、トレイフィーダ5は、パレット24を収納可能な複数のパレット収納部23と、部品取り出し位置Pと、パレット載置部27と、パレット収納部23との間でパレット24を移動させるためのパレット保持部25と、を備える。トレイフィーダ5におけるトレイ7の交換の実行として、制御部は、部品取り出し位置Pに位置するパレット24が保持するトレイ7が部品切れでない場合、パレット保持部25を用いて、部品取り出し位置Pに位置する、部品切れでないトレイ7を保持するパレット24である第2のパレットをパレット収納部23に移動させ、パレット載置部27に載置されている補給済みパレットをパレット収納部23に移動させ、パレット収納部23に移動させた第2のパレットを部品取り出し位置Pに移動させる。
これにより、以降のターンを継続中に、パレット載置部27にあった補給済みパレットをパレット収納部23に移動させることができる。
【0116】
<技術6>
技術1から5のいずれか1つに記載の部品実装装置1において、部品供給機構は、テープフィーダ6である。
【0117】
<技術7>
技術1から5のいずれか1つに記載の部品実装装置1は、基板3を搬送する第1レーン及び第2レーンを備える。制御部は、部品実装機構12を制御して、第1レーンの基板に対する部品の装着が完了した後、第2レーンの基板に対する部品の装着を開始する、あるいは、第2レーンの基板に対する部品の装着が完了した後、第1レーンの基板に対する部品の装着を開始する。
これにより、例えば、第1レーンの基板に対する部品の装着が完了した後、トレイ交換に関する処理の完了を待つことなく、第2レーンの基板に対する部品の装着を開始できる。第1レーンと第2レーンとを入れ替えた場合も同様である。よって、実装基板の生産効率が向上する。
【0118】
<技術8>
本実施の形態に係る部品実装装置1は、部品が格納されたトレイ7を保持するパレット24が位置する部品取り出し位置Pを備えるトレイフィーダ5と、部品を供給する部品供給機構(例えばテープフィーダ6)と、トレイフィーダ5又は部品供給機構から前記部品を取得して、基板3に装着するための機構を備える部品実装機構12とを備える。部品実装機構がトレイフィーダ5の部品取り出し位置Pのトレイ7又は部品供給機構から部品を取得して基板3に装着する1回の動作を1ターンとする。部品実装装置1は、部品実装方法として、今回のターンが基板3に対してトレイフィーダ5から供給される部品を装着する最終ターンである場合、トレイフィーダ5におけるトレイ交換に関する処理を開始すると共に、以降のターンを継続する。
これにより、トレイ交換に関する処理の完了を待つことなく、以降のターンを継続できる。よって、実装基板の生産効率が向上する。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示の技術は、トレイフィーダを使用する部品実装装置に有用である。
【符号の説明】
【0121】
1 部品実装装置
1A 基台
2,2A,2B 基板搬送機構
3 基板
4A,4B 部品供給機構
5 トレイフィーダ
6 テープフィーダ
7 トレイ
8 Y軸ビーム
9A,9B X軸ビーム
9C プレート
10A,10B 実装ヘッド
11,11A 吸着ノズル
12 部品実装機構
13 基板認識カメラ
14 部品認識カメラ
15 本体制御部
20 ベース部
21 車輪
22 フィーダ本体部
24 パレット
23 パレット収納部
25 パレット保持部
26 昇降機構
27 パレット載置部
28 開閉カバー
30 フィーダ制御部
40 記憶部
40A 実装データ
40B 部品データ
41 機構駆動部
42 入力部
43 表示部
50 フィーダ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8