(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174737
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092728
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】本山 隆敏
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】舟塚 誠
(72)【発明者】
【氏名】石川 智士
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE41
5E353EE62
5E353HH51
5E353JJ02
5E353KK03
5E353KK11
5E353MM03
5E353MM08
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】電子部品を基板に高精度に装着する。
【解決手段】部品実装装置は、部品供給部から部品を取り出して、部品の下面に形成された複数の電極に転写材料を転写させて、基板に部品を装着する装着機構と、装着機構で取り出された部品を下方から撮像して第1の画像を取得すると共に電極に転写材料が転写された部品を下方から撮像して第2の画像を取得する部品撮像カメラと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、第1の画像から部品の外形と電極とを認識して第1の認識結果を取得すると共に第2の画像から部品の外形を認識して第2の認識結果を取得し、第1の認識結果から電極の部品の外形に対する角度を含む相対座標を算出し、相対座標と第2の認識結果に基づいて、部品を基板に装着するための角度を含む補正量を算出し、補正量を用いて部品を基板に装着する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給部から部品を取り出して、前記部品の下面に形成された複数の電極に転写材料を転写させて、基板に前記部品を装着する装着機構と、
前記装着機構で取り出された前記部品を下方から撮像して第1の画像を取得すると共に前記電極に前記転写材料が転写された前記部品を下方から撮像して第2の画像を取得する部品撮像カメラと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記第1の画像から前記部品の外形と前記電極とを認識して第1の認識結果を取得すると共に前記第2の画像から前記部品の外形を認識して第2の認識結果を取得し、
前記第1の認識結果から前記電極の前記部品の外形に対する角度を含む相対座標を算出し、
前記相対座標と前記第2の認識結果に基づいて、前記部品を前記基板に装着するための角度を含む補正量を算出し、
前記補正量を用いて前記部品を前記基板に装着する、
部品実装装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1の画像から前記部品の外形の第1の中心位置と前記複数の電極のそれぞれの位置座標の平均位置とを算出し、前記第1の中心位置と前記平均位置とから角度を含む前記相対座標を算出する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2の認識結果から前記部品の外形の第2の中心位置を算出し、前記相対座標と前記第2の中心位置と基づいて、前記部品を前記基板に装着するための角度を含む補正量を算出する、
請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1の画像の外周の所定の一辺に沿って設定される第1ベクトルと、前記部品の外形の所定の一辺に沿って設定される第2ベクトルとのなす角度を前記部品の外形の第1角度として算出し、
前記複数の電極を含む四角形を前記第1の画像に設定し、
前記第1ベクトルと前記四角形の外周の所定の一辺に沿って設定される第3ベクトルとの角度を前記電極の第2角度として算出し、
前記第1角度と前記第2角度とから前記部品と前記電極との相対角度を算出し、
前記相対角度を含む相対座標を算出する、
請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2の認識結果に基づいて、前記第1ベクトルと前記部品の外形の所定の一辺に沿って設定される第4ベクトルとの角度を第3角度として算出し、
前記相対角度と前記第3角度とから前記部品を前記基板に装着する際の補正角度を算出する、
請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
部品供給部から部品を取り出して、前記部品の下面に形成された複数の電極に転写材料を転写させて、基板に前記部品を装着し、
取り出された前記部品を下方から撮像して第1の画像を取得すると共に前記電極に前記転写材料が転写された前記部品を下方から撮像して第2の画像を取得し、
前記第1の画像から前記部品の外形と前記電極とを認識して第1の認識結果を取得すると共に前記第2の画像から前記部品の外形を認識して第2の認識結果を取得し、
前記第1の認識結果から前記電極の前記部品の外形に対する角度を含む相対座標を算出し、
前記相対座標と前記第2の認識結果に基づいて、前記部品を前記基板に装着するための角度を含む補正量を算出し、
前記補正量を用いて前記部品を前記基板に装着する、
部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品実装装置および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸着ノズルに吸着保持され下面に電極が形成された電子部品をプリント基板上に装着する電子部品装着方法が開示されている。電子部品装着方法は、吸着ノズルに吸着保持された電子部品を撮像する認識カメラにより撮像された電子部品の画像に基づいて電子部品の電極および外形を認識処理装置により認識処理する。また、電子部品装着方法は、認識処理結果に基づいて電子部品の外形認識結果と電極認識結果との差分を算出装置により算出する。その後、電子部品装着装置は、フラックス転写装置により電子部品の電極にフラックスが塗布された後に認識カメラにより撮像された電子部品の画像に基づいて認識処理装置により認識された電子部品の外形認識結果と差分とに基づいて電子部品の電極の位置を求める。電子部品装着方法は、求めた電極の位置に基づいてプリント基板上のランド上に電極が位置するように吸着ノズルを補正移動させプリント基板上に電子部品を装着するように制御装置が制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電子部品装着装置は、Ball Grid Array(以下、「BGA」と称する)の外形中心位置に対する突起電極群の中心位置の差分を算出し、この差分を用いてBGAの吸着ノズルに対する位置ずれを補正する。しかしながら、BGAが吸着ノズルに対して回転方向にずれた場合、BGAのプリント基板への装着の精度が低下してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、電子部品を基板に高精度に装着することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、部品供給部から部品を取り出して、前記部品の下面に形成された複数の電極に転写材料を転写させて、基板に前記部品を装着する装着機構と、前記装着機構で取り出された前記部品を下方から撮像して第1の画像を取得すると共に前記電極に前記転写材料が転写された前記部品を下方から撮像して第2の画像を取得する部品撮像カメラと、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記第1の画像から前記部品の外形と前記電極とを認識して第1の認識結果を取得すると共に前記第2の画像から前記部品の外形を認識して第2の認識結果を取得し、前記第1の認識結果から前記電極の前記部品の外形に対する角度を含む相対座標を算出し、前記相対座標と前記第2の認識結果に基づいて、前記部品を前記基板に装着するための角度を含む補正量を算出し、前記補正量を用いて前記部品を前記基板に装着する、部品実装装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、部品供給部から部品を取り出して、前記部品の下面に形成された複数の電極に転写材料を転写させて、基板に前記部品を装着し、取り出された前記部品を下方から撮像して第1の画像を取得すると共に前記電極に前記転写材料が転写された前記部品を下方から撮像して第2の画像を取得し、前記第1の画像から前記部品の外形と前記電極とを認識して第1の認識結果を取得すると共に前記第2の画像から前記部品の外形を認識して第2の認識結果を取得し、前記第1の認識結果から前記電極の前記部品の外形に対する角度を含む相対座標を算出し、前記相対座標と前記第2の認識結果に基づいて、前記部品を前記基板に装着するための角度を含む補正量を算出し、前記補正量を用いて前記部品を前記基板に装着する、部品実装方法を提供する。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電子部品を基板に高精度に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるフラックス供給ユニットの斜視図
【
図3A】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるフラックス供給ユニットの第1の機能説明図
【
図3B】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるフラックス供給ユニットの第2の機能説明図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置における認識ユニットの構成説明図
【
図5】部品実装装置の制御部の機能的構成を例示するブロック図
【
図6A】フラックス転写前のバンプ付電子部品の撮像画像を示す図
【
図6B】フラックス転写後のバンプ付電子部品の撮像画像を示す図
【
図7】フラックス転写後に認識する場合のバンプ付電子部品の実装処理のフローチャート
【
図8】フラックス転写前に認識する場合のバンプ付電子部品の実装処理のフローチャート
【
図9】フラックス転写前およびフラックス転写後に認識する場合のバンプ付電子部品の実装処理のフローチャート
【
図10】本実施の形態に係る部品実装装置の装着位置補正量の算出方法を示す図
【
図12】本実施の形態に係る部品の実装動作の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本開示に係る部品実装装置および部品実装方法を具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず
図1を参照して、本実施の形態の部品実装装置について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図である。部品実装装置1はBGA等の複数のバンプを有するバンプ付電子部品P(
図2、
図3A、
図3B参照。)を基板2に搭載する機能を有するものである。部品実装装置1の基台1aには、X方向(基板搬送方向)に基板搬送機構3が配設されている。基板搬送機構3は実装対象となる基板2をX方向に搬送し、所定の搭載作業位置に位置決めする。
【0013】
基板搬送機構3の両側には部品供給部4A,4Bが配設されている。一方側の部品供給部4Aには、トレイ5aに格納されたバンプ付電子部品Pを供給するトレイフィーダ5とフラックス供給ユニット6がX方向に並列して装着されている。したがって部品供給部4Aは、バンプ付電子部品Pを供給するバンプ付電子部品供給部となっている。他方側の部品供給部4Bには、キャリアテープに保持されたチップ部品等の小型の部品を供給する複数のテープフィーダ7がセットされている。
【0014】
図2において、フラックス供給ユニット6は後述する搭載ヘッド11Aに保持されたバンプ付電子部品Pの複数のバンプPa(
図3参照)に転写される転写材料であるフラックス8を塗膜の状態で供給する機能を有する。フラックス8は、バンプPa(
図3A)の表面や、部品実装時にバンプPaと接続される基板2の電極の表面に付着する酸化膜を除去する作用を有する粘性流体である。
【0015】
図1において、基台1aのX方向の一端部にはリニア駆動機構を備えたY軸移動機構9がX方向と水平面内において直交するY方向に配設されている。Y軸移動機構9には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸移動機構10A,10BがY方向に移動自在に結合されている。X軸移動機構10A,10Bには、搭載ヘッド11A,11BがX方向に移動自在に装着されている。Y軸移動機構9およびX軸移動機構10Aを駆動することにより、搭載ヘッド11AはXY方向に水平移動する。同様に、Y軸移動機構9およびX軸移動機構10Bを駆動することにより、搭載ヘッド11BはXY方向に水平移動する。
【0016】
図1、
図2において、搭載ヘッド11A,11Bは、複数の部品保持ヘッド11aを備えている。部品保持ヘッド11aは下端部にバンプ付電子部品Pを吸着可能な吸着ノズル12を備えており、吸着ノズル12はノズル昇降機構(図示省略)によって個別に上下方向(Z方向)に移動可能となっている。搭載ヘッド11Aは、バンプ付電子部品供給部である部品供給部4Aのトレイフィーダ5から供給されるバンプ付電子部品Pを吸着ノズル12により吸着して取り出し、実装作業位置に位置決めされた基板2に搭載する機能を有する。搭載ヘッド11Bは、テープフィーダ7から供給される部品を吸着ノズル12により吸着し、実装作業位置に位置決めされた基板2に搭載する機能を有する。上記構成において、Y軸移動機構9、X軸移動機構10A,10B、搭載ヘッド11A、11Bは、部品供給部4A,4Bからバンプ付電子部品Pやチップ部品を取り出して基板2へ移送搭載する部品実装機構を構成する。
【0017】
図1において、搭載ヘッド11A,11Bには基板認識カメラ14が撮像方向を下方に向けて配設されている。基板認識カメラ14は搭載ヘッド11A,11Bと一体的に移動し、基板2を上方から撮像する。また、基台1aにおいて部品供給部4A,4Bと基板搬送機構3との間には、認識ユニット15が配設されている。認識ユニット15は、その上方を移動する搭載ヘッド11A,11Bに保持されたバンプ付電子部品Pやチップ部品等の部品を下方から撮像する。
【0018】
次に
図2,
図3Aおよび
図3Bを参照して、フラックス供給ユニット6の構造および機能について説明する。
図2は、本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるフラックス供給ユニットの斜視図である。
図3Aは、本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるフラックス供給ユニットの第1の機能説明図である。
図3Bは、本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるフラックス供給ユニットの第2の機能説明図である。フラックス供給ユニット6は、搭載ヘッド11Aに保持されたバンプ付電子部品Pの複数のバンプPaに転写される転写材料としてのフラックス8を成膜した状態で供給する転写材料供給装置であり、長尺形状のベース部20に、以下に説明する各部を設けて構成される。なお転写材料としては、フラックス8以外にも、金属粒子入りのフラックスや接着材を用いてもよい。
【0019】
ベース部20は、部品供給部4Aに設けられたフィーダベース(図示省略)にY方向に長手方向を合わせて、矢印aで示す搭載ヘッド11Aのアクセス方向の反対側から着脱自在に装着される。本明細書においては、搭載ヘッド11Aがフラックス供給ユニット6にアクセスする側を前側とし、その反対方向を後側と定義する。フラックス供給ユニット6には、フィーダベースに係合してベース部20を固定する係合部20aが設けられており、さらに係合部20aから後方にはハンドル21が突出して設けられている。フラックス供給ユニット6をフィーダベースに装着する際には、ベース部20の下面側をフィーダベースの上面に沿わせてハンドル21を把持して前方に押し込む。これにより、係合部20aがフィーダベースの後端部に係合して、ベース部20は所定位置に装着される。
【0020】
ベース部20の上面にはガイドレール22によって長手方向の往復動がガイドされたステージ24が配設されている。ステージ24は、モータ25、送りねじ26およびステージ24の下面に結合されて送りねじ26が螺合するナット部材(図示省略)より成るステージ駆動機構を備えており、モータ25を正逆駆動することによりステージ24は長手方向(Y方向)に往復動する。ステージ24は矩形状部材の上面側に底面が平滑な凹部を形成した構造であり、この凹部の底面は、フラックス8の塗膜を形成するための塗膜形成面24aとなっている(
図3A参照)。
【0021】
ベース部20の上面には、ステージ24を跨ぐ形で門形のブラケット27が配置されており、ブラケット27にはスキージユニット28が保持されている。
図3Aに示すように、スキージユニット28は下方に延出して下端部が塗膜形成面24aとの間に塗膜形成隙間gを保って配設されたスキージ28aを備えている。塗膜形成面24aにフラックス8が供給された状態で、
図3Aに示すように、ステージ24を成膜動作方向(矢印b)に移動させることにより、塗膜形成面24aには塗膜形成隙間gに応じた塗膜厚のフラックス8の塗膜が成膜される。スキージユニット28のステージ24に対する高さ位置は可変となっており、形成されるフラックス8の塗膜厚を所望の厚みに調整することができるようになっている。
【0022】
スキージユニット28の後方には掻取り部29が配置されており、掻取り部29は下方に延出して下端部が塗膜形成面24aに当接したスクレーパ29aを備えている。スクレーパ29aは塗膜形成面24aに付勢されて、常に塗膜形成面24aに当接した状態にある。スクレーパ29aがステージ24に当接した状態でステージ24を移動させることにより、塗膜形成面24a上のフラックス8はスクレーパ29aによって一方側へかき寄せられる。スキージユニット28と掻取り部29との間には、シリンジ30から供給されるフラックス8を塗膜形成面24aに導く供給ニードル30aが挿入配置されている。
【0023】
部品供給部4Aのトレイフィーダ5のトレイ5aからバンプ付電子部品Pを取り出した搭載ヘッド11Aが認識ユニット15の上方へ移動する途中において、搭載ヘッド11Aはフラックス供給ユニット6に移動する。そして
図3Aに示すように、フラックス8が成膜されたステージ24に対して、部品保持ヘッド11aの吸着ノズル12に保持されたバンプ付電子部品Pを下降させる(矢印c)。次いでバンプ付電子部品PのバンプPaをフラックス8に接触させた後に部品保持ヘッド11aを上昇させると(矢印d)、
図3Bに示すように、バンプ付電子部品PのバンプPaにはフラックス8が転写された状態となる。
【0024】
このようにしてバンプPaにフラックス8が転写された後のバンプ付電子部品Pを保持した部品保持ヘッド11aは、認識ユニット15の上方へ移動する。そしてここでバンプ付電子部品Pは認識ユニット15によって撮像され、撮像によって取得された画像を制御部40(
図5参照)によって認識処理することにより、バンプ付電子部品Pにおけるフラックス8の転写状態の検査が行われる。この転写状態の検査では、予め設定された判定基準(例えばバンプ付電子部品Pに転写されたフラックス8の転写面積が基準値以上であるか、また転写位置の偏りが許容範囲以内であるか、など)に基づいて良否判定が行われる。
【0025】
図4は、この転写状態の検査に用いられる認識ユニット15の構成を示している。
図4は、本発明の一実施の形態の部品実装装置における認識ユニットの構成説明図である。認識ユニット15の撮像部15aは、照明部31、ハーフミラー32、部品認識カメラ33を備えており、この構成により上方に位置する部品保持ヘッド11aの吸着ノズル12に保持されたバンプ付電子部品PのバンプPaを撮像する。部品認識カメラ33は、上方から入射する撮像光を受光し、レンズ33aによって結像された光学画像を撮像素子33bによってデジタル画像データとして取得する。取得された画像は制御部40の撮像処理部49による認識処理の対象となる。部品認識カメラ33は、部品撮像カメラと読み替えられる。
【0026】
照明部31は撮像対象のバンプ付電子部品Pに対して照明用の光を照射する。ここで照明部31は、それぞれ異なる方向から光を照射するバックライト用照明31a、側方照明31b、同軸照明31cより構成される。バックライト用照明31aは、吸着ノズル12の鍔部12aの下面に設けられた背景面12bに対して光を照射し、その反射光が撮像対象であるバンプ付電子部品Pの背面から下方に透過した光を撮像光として部品認識カメラ33によって受光する。側方照明31bは、撮像対象であるバンプ付電子部品Pの下面に対して光を斜め下方から照射し、その反射光を撮像光として部品認識カメラ33が受光する。
【0027】
また同軸照明31cは、部品認識カメラ33の上方に斜め姿勢で配置されたハーフミラー32に対して横方向から照明光を照射する。この照明光はハーフミラー32によって上方に反射されて、部品認識カメラ33の光軸と同軸方向からバンプ付電子部品Pの下面に入射する。そしてこの照明光が下方に反射された反射光を、ハーフミラー32を透過させて部品認識カメラ33によって撮像光として受光する。なお本実施の形態に示す転写状態の検査のための撮像においては、側方照明31b、同軸照明31cのみを用いて検査用画像を取得する例を示している。
【0028】
次に、
図5を参照して、部品実装装置の制御部のソフトウェア構成(機能的構成)について説明する。
図5は、部品実装装置の制御部の機能的構成を例示するブロック図である。
【0029】
部品実装装置1の制御部40は、Read Only MemoryおよびRandom Access Memoryに代表される記憶装置と、Central Processing Unitに代表される演算装置とを備える汎用のコンピュータにより構成されてよい。演算装置は、記憶装置に保持されるコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、
図6に示すソフトウェア構成(機能的構成)を実現する。すなわち、
図6の制御部40内に図示する各ブロックは、ソフトウェアにより実現される機能を表す。ただし、ブロックとして表現される機能の少なくとも一部は、ソフトウェアに限られず、「装置」の物理的構成(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0030】
制御部40は、記憶部41と、機構駆動部46と、相対座標算出部47と、補正量算出部48と、撮像処理部49と、を含む。機構駆動部46は、Y軸移動機構9、X軸移動機構10A,10B、11A,11Bの駆動を制御する。例えば、機構駆動部46は、フラックス供給ユニット6、基板搬送機構3、部品実装機構16およびテープ送り機構13の駆動を制御し、フラックス供給ユニット6、基板搬送機構3、部品実装機構16およびテープ送り機構13を協調動作させる。なお、部品実装機構16は装着機構と読み替えられる。また、制御部40は、プロセッサと読み替えられる。
【0031】
記憶部41は、実装データ42と、部品データ43と、相対座標情報44と、補正量情報45と、を少なくとも保持する。実装データ42は、基板2のそれぞれに実装されるべきバンプ付電子部品Pの種類、その基板2上のバンプ付電子部品Pの取付位置および取付姿勢(例えば向き)、バンプ付電子部品Pの実装順序およびバンプ付電子部品Pの実装タイミング、などの情報を含む。部品データ43は、バンプ付電子部品Pの種類ごとの外形、サイズおよびバンプPaの有無またはその本数などの情報を含んでよい。
【0032】
相対座標情報44は、相対座標算出部47によって算出されたバンプ付電子部品Pの外形とバンプ付電子部品Pに含まれるバンプPaとの相対座標の情報を保存する。
【0033】
補正量情報45は、補正量算出部48によって算出された補正量の情報を保存する。補正量とは、フラックス転写した後のバンプ付電子部品Pを基板2に装着する際の位置の補正量である。以下、フラックス転写した後のバンプ付電子部品Pを基板2に装着する際の位置の補正量のことを装着位置補正量と称する。
【0034】
相対座標算出部47は、バンプ付電子部品Pの外形とバンプ付電子部品Pに含まれる電極位置との相対座標を算出する。相対座標の具体的な算出方法については
図10で説明する。
【0035】
補正量算出部48は、装着位置補正量を算出する。装着位置補正量の具体的な算出方法については
図10で説明する。
【0036】
撮像処理部49は、カメラ制御部50と部品外形・電極認識部51とを含む。部品認識カメラ33は、撮像処理部49によって制御される。
【0037】
カメラ制御部50は、部品認識カメラ33の撮像と、その撮像タイミングにおける照明部31の発光と、を制御する。
【0038】
部品外形・電極認識部51は、部品認識カメラ33で撮像されたバンプ付電子部品Pの外形と含まれるバンプPaの位置および数とを認識する。
【0039】
次に、
図6Aおよび
図6Bを参照してバンプ付電子部品の撮像画像について説明する。
図6Aは、フラックス転写前のバンプ付電子部品の撮像画像を示す図である。
図6Bは、フラックス転写後のバンプ付電子部品の撮像画像を示す図である。
【0040】
画像IM1は、吸着ノズル12に吸着されたフラックス転写前のバンプ付電子部品Pが部品認識カメラ33によって撮像された画像である。バンプ付電子部品Pには複数のバンプPaが配置されている。なお、バンプPaの位置および数は一例であり
図6Aおよび
図6Bに示す例に限られない。バンプPaは、必ずしも等間隔でバンプ付電子部品Pに配置される必要はなく、
図6Aに示すように、ランダムな位置に配置されてもよい。
【0041】
画像IM2は、吸着ノズル12吸着されたフラックス転写後のバンプ付電子部品Pが部品認識カメラ33によって撮像された画像である。フラックス転写前のバンプ付電子部品Pを示す画像IM1と比較して、フラックス転写後のバンプ付電子部品Pは、バンプPaが黒く(例えば、バンプ付電子部品Pと同系色)なる。このため、部品外形・電極認識部51は、フラックス転写後のバンプ付電子部品Pの撮像画像(つまり画像IM2)からバンプPaを精度良く認識するのが困難となる。
【0042】
次に、
図7,8,9を参照して、バンプ付電子部品を認識するタイミングについて説明する。
図7は、フラックス転写後に認識する場合のバンプ付電子部品の実装処理のフローチャートである。
図8は、フラックス転写前に認識する場合のバンプ付電子部品の実装処理のフローチャートである。
図9は、フラックス転写前およびフラックス転写後に認識する場合のバンプ付電子部品の実装処理のフローチャートである。
【0043】
まず、
図7のフローチャートを用いてフラックス後に認識する場合のバンプ付電子部品Pの実装処理について説明する。部品実装装置1は、まず吸着ノズル12でバンプ付電子部品Pを吸着する吸着動作を実行する(ステップSt100)。
【0044】
部品実装装置1は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bをフラックス供給ユニット6の情報へ移動させる。部品実装装置1は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bをフラックス8が成膜されたステージ24に対して下降させバンプ付電子部品Pに含まれるバンプPaにフラックスを転写する。これにより、部品実装装置1は、転写動作を完了する(ステップSt101)。
【0045】
部品実装装置1は、ステップSt101の処理の転写動作が完了した後、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bを認識ユニット15の上方に異動させバンプ付電子部品Pを部品認識カメラ33によって撮像する。部品実装装置1の部品外形・電極認識部51は、部品認識カメラ33によって撮像された撮像画像を用いてバンプ付電子部品Pを認識する認識動作を実行する(ステップSt102)。
【0046】
部品実装装置1は、ステップSt102の処理の後、基板2にバンプ付電子部品Pを実装する実装動作を実行する(ステップSt103)。
【0047】
このようなフラックス転写後の認識では、部品実装装置1は、フラックス転写後にバンプ付電子部品Pの基板2に実装する際の補正量を取得することができる利点があるが、フラックス(つまり転写材)によってバンプPaを認識することができずバンプ付電子部品Pの外形から補正量を求めるため、実装動作の精度が低下してしまうという課題がある。
【0048】
次に、
図8のフローチャートを用いてフラックス転写前に認識する場合のバンプ付電子部品Pの実装処理について説明する。なお、以下、吸着動作、認識動作、転写動作および実装動作の詳しい処理の内容は
図7のフローチャートで説明した処理と同様のため説明を省略する。
【0049】
部品実装装置1は、吸着動作(ステップSt200)の後に認識動作(ステップSt201)を実行する。部品実装装置1は、認識動作の後に転写動作(ステップSt202)を実行し、その後実装動作(ステップSt203)を実行する。
【0050】
このようなフラックス転写前の認識では、部品実装装置1は、フラックス(つまり転写材)がバンプPaに付いていない状態で認識動作を実行できるためバンプPaを認識することが可能となる。これにより、部品実装装置1は、バンプPaの欠け等の異常を認識することが可能である。しかしながら、部品実装装置1は、フラックス転写後に認識動作を行わないため、フラックス転写後にバンプ付電子部品Pの位置がずれた場合に位置の補正をすることができずバンプ付電子部品Pの基板2への実装の精度が低下するという課題がある。
【0051】
次に、
図9のフローチャートを用いてフラックス転写前およびフラックス転写後に認識する場合のバンプ付電子部品Pの実装処理について説明する。
【0052】
部品実装装置1は、吸着動作(ステップSt300)の後に認識動作(ステップSt301)を行い、その後転写動作(ステップSt302)を実行する。部品実装装置1は転写動作の後再び認識動作(ステップSt303)を実行し、その後実装動作(ステップSt304)を実行する。
【0053】
これにより、部品実装装置1は、フラックス転写前のバンプPaの状態を認識し異常を検出し、かつフラックス転写後のバンプ付電子部品Pの外形位置からバンプ付電子部品Pの基板2に実装する際の補正量を取得することができる。しかしながら、フラックスによってバンプPaを認識することはできないため、バンプPaの位置を用いた補正ができず実装動作の精度が低下してしまうという課題がある。
【0054】
このような状況から、フラックス転写後のバンプPaの位置からバンプ付電子部品Pを基板2に実装する際の補正量を算出し精度良く実装動作を行いたいというニーズがある。
【0055】
次に、
図10および
図11を参照して、本実施の形態に係る部品実装装置の装着位置補正量の算出方法について説明する。
図10は、本実施の形態に係る部品実装装置の装着位置補正量の算出方法を示す図である。なお、
図10に示す、吸着動作および転写動作の詳しい処理は、
図7で説明した内容と同様であるため説明を省略する。
図11は、角度の定義の一例を示す図である。
【0056】
部品実装装置1は、吸着動作の後、バンプ付電子部品PのバンプPaにフラックス転写する前の認識動作である転写前認識動作を実行する。転写前認識動作としてまず、部品実装装置1は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bを認識ユニット15の上方に移動させ吸着ノズル12に吸着しているバンプ付電子部品Pを部品認識カメラ33によって撮像する。部品認識カメラ33は、撮像画像を部品外形・電極認識部51に出力する。部品外形・電極認識部51は、バンプ付電子部品Pの外形を認識する。部品外形・電極認識部51は、認識した結果を相対座標算出部47に出力する。相対座標算出部47は、認識したバンプ付電子部品Pの外形からバンプ付電子部品Pの中心位置Pcの座標を算出する。中心位置Pcは例えばXY座標で表される。XY座標は、撮像画像に対して設定される座標であり、例えば、撮像画像の任意の頂点を(X,Y)=(0,0)とした場合の座標である。なお、XY座標の設定方法は任意であり上述した例に限られない。以下、中心位置Pcは(xm1,ym1)とする。中心位置Pcは、第1の中心位置と読み替えられる。
【0057】
次に、部品外形・電極認識部51は、バンプ付電子部品Pに含まれる全てのバンプPaの位置を認識する。部品外形・電極認識部51は、認識した全てのバンプPaの位置を相対座標算出部47に算出する。相対座標算出部47は、認識した全てのバンプPaの各位置の平均位置Pacを求める。平均位置Pacは、全てのバンプPaのX座標およびY座標をそれぞれ足し合わせ、バンプPaの数で足し合わせたX座標およびY座標をそれぞれ割ることによって求められる。平均位置Pacは、(xe,ye)とする。
【0058】
相対座標算出部47は、平均位置Pacを中心として、バンプPaの個数に応じたサイズの仮想的なバンプPaの外形であるバンプ外形PaFを算出する。相対座標算出部47は、バンプ外形PaFを、複数のバンプPaが含まれる四角形を算出し撮像画像内に設定する。
【0059】
相対座標算出部47は、バンプ付電子部品Pの所定の方向に対する角度θ
m1を算出する。所定の方向とは、例えば、撮像画像のある一辺に沿って設定され、辺の端点(第1端点と称する)からもう一方の端点へ向かうベクトル(第1ベクトルと称する)で表される。第1端点は、例えば、
図11に示される撮像画像IM3の頂点の1つである点P1である。第1ベクトルは、例えば、
図11に示されるベクトルV1である。角度θ
m1は、第1ベクトルとバンプ付電子部品Pの所定の一辺に沿って設定されるベクトル(第2ベクトルと称する)とのなす角で表される。第2ベクトルは、例えば、
図11に示されるベクトルV2である。なお、角度θ
m1の定義は任意に設定可能であり、上述した例に限られない。例えば、撮像画像内に設定された任意のベクトルに対する角度を角度θ
m1としてもよい。角度θ
m1は、第1角度と読み替えられる。
【0060】
相対座標算出部47は、θ
m1が0(ゼロ)度となるように変換する。相対座標算出部47は、角度θ
m1が0度となるように変換した後、平均位置Pacの角度θ
eを算出する。角度θ
eは、角度θ
m1を算出する際に設定されたベクトル(例えば、第1ベクトル)を用いて算出される。角度θ
eは、例えば、第1ベクトルとバンプ外形PaFの所定の一辺に沿って設定されるベクトル(第3ベクトルと称する)とのなす角で表される。第3ベクトルは、例えば、
図11に示されるベクトルV3である。なお、角度θ
eの定義は任意に設定可能であり、上述した例に限られない。角度θ
eは、第2角度と読み替えられる。
【0061】
相対座標算出部47は、バンプ付電子部品Pの角度θm1が0度の場合の中心位置Pc(xm1,ym1,θm1)とバンプPaの平均位置Pac(xe,ye,θe)との相対座標を、式(1)を用いて算出する。
【0062】
【0063】
相対座標算出部47は、相対座標(xe-m,ye-m,θe-m)を相対座標情報44に保存する。角度θe-mは、相対角度と読み替えられる。
【0064】
部品実装装置1は、転写前認識動作の後、転写動作を実行する。
【0065】
部品実装装置1は、転写動作の後、フラックス転写した後の転写後認識動作を実行する。転写後認識動作として、まず部品実装装置1は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bを認識ユニット15の上方に移動させ吸着ノズル12に吸着しているフラックス転写後のバンプ付電子部品Pを部品認識カメラ33によって撮像する。部品認識カメラ33は、撮像画像を部品外形・電極認識部51に出力する。
【0066】
部品外形・電極認識部51は、バンプ付電子部品Pの外形を認識する。部品外形・電極認識部51は、認識した結果を相対座標算出部47に出力する。
【0067】
相対座標算出部47は、バンプ付電子部品Pの外形の4辺(辺S)の情報から中心位置Pc2の座標を算出する。なお、中心位置Pc2の座標の算出方法は、バンプ付電子部品Pの外形の4辺の情報を用いる方法に限られず、バンプ付電子部品Pの4つの頂点の座標から算出する等でもよい。中心位置Pc2の座標を(xm2,ym2,θm2)とする。中心位置Pc2は、第2の中心位置と読み替えられる。
【0068】
相対座標算出部47は、転写前認識動作において算出した相対座標(xe-m,ye-m,θe-m)を相対座標情報44から取得する。相対座標算出部47は、相対座標(xe-m,ye-m,θe-m)を用いて式(2)に基づき装着位置補正量(x,y,θ)を算出する。
【0069】
【0070】
相対座標算出部47は、算出した装着位置補正量(x,y,θ)を補正量情報45に保存する。角度θは、補正角度と読み替えられる。
【0071】
転写後認識動作の後、実装動作として、機構駆動部46は、補正量情報45から装着位置補正量(x,y,θ)に基づきバンプ付電子部品Pの位置を補正して部品実装機構16を制御しバンプ付電子部品Pを基板2に実装する。
【0072】
以上により、部品実装装置1は、転写動作前にバンプ付電子部品Pの外形の情報(つまり、バンプ付電子部品Pの外形から算出されるバンプ付電子部品Pの中心位置)とバンプPaの平均位置の情報とが紐づいた相対座標を算出する。部品実装装置1は、当該相対座標を用いて転写動作後のバンプ付電子部品Pの装着位置補正量を算出することで、転写動作後においてもバンプPaの位置の情報を用いた装着位置補正量を算出することができる。つまり、部品実装装置1は、転写動作後にバンプPaの位置の情報を含んだ相対座標を用いて算出した装着位置補正量からバンプ付電子部品Pの位置を補正して実装動作を行うことで、基板2にバンプ付電子部品Pを高精度に装着することができる。
【0073】
また、部品実装装置1は、バンプ付電子部品Pの位置のずれを回転方向も含めて補正量を算出することができる。これにより、部品実装装置1は、バンプ付電子部品PのずれをXY座標上の平行移動量だけでなく回転量も含めて補正することができ、基板2にバンプ付電子部品Pを高精度に装着することができる。
【0074】
また、部品実装装置1は、転写動作の前にバンプPaを検出することで、バンプPaの欠け等の異常を検出することができる。また、部品実装装置1は、転写動作後のバンプ付電子部品Pを撮像することで転写材の転写量を検出することができる。
【0075】
次に、
図12を参照して、本実施の形態に係る部品の実装動作の処理について説明する。
図12は、本実施の形態に係る部品の実装動作の処理を示すフローチャートである。
【0076】
機構駆動部46は、部品実装機構16の搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bを制御し部品(例えば、バンプ付電子部品P)を吸着する(ステップSt400)。
【0077】
機構駆動部46は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bを認識ユニット15の上方に移動させる。カメラ制御部50は、部品認識カメラ33に部品を撮像させる(ステップSt401)。ステップSt401の処理で撮像した画像は第1の画像と読み替えられる。
【0078】
部品外形・電極認識部51は部品認識カメラ33から受信した撮像画像から部品の外形と電極(例えば、バンプPa)とを認識する(ステップSt402)。部品外形・電極認識部51は、ステップSt402の処理で認識した結果を相対座標算出部47に出力する。
【0079】
相対座標算出部47は、ステップSt402の処理の認識結果を用いて相対座標を算出する。相対座標算出部47は、算出した相対座標の結果を相対座標情報44に出力し保存する(ステップSt403)。
【0080】
機構駆動部46は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bをフラックス供給ユニット6の上方に移動させ部品をフラックスにつけフラックス転写を実行する(ステップSt404)。
【0081】
機構駆動部46は、搭載ヘッド11Aまたは搭載ヘッド11Bを認識ユニット15の上方に移動させる。カメラ制御部50は、部品認識カメラ33に部品を撮像させる(ステップSt405)。部品認識カメラ33は、撮像画像を部品外形・電極認識部51に出力する。ステップSt405の処理で撮像した画像は、第2の画像と読み替えられる。
【0082】
部品外形・電極認識部51は、部品の外形を認識する(ステップSt406)。部品外形・電極認識部51は、ステップSt406の処理で認識した結果を補正量算出部48に出力する。
【0083】
補正量算出部48は、相対座標情報44から相対座標の情報を取得する。補正量算出部48は、ステップSt406の処理の認識結果と相対座標との情報から補正量(つまり、装着位置補正量)を算出する。補正量算出部48は、補正量情報45に補正量の情報を出力し保存する(ステップSt407)。
【0084】
機構駆動部46は、補正量情報45から補正量を取得する。機構駆動部46は、部品実装機構16を駆動して補正量に基づき部品を基板に装着する(ステップSt408)。
【0085】
(本実施の形態のまとめ)
以上の本実施の形態の記載により、下記技術が開示される。
【0086】
<技術1>
本実施の形態に係る部品実装装置は、部品供給部から部品を取り出して、部品の下面に形成された複数の電極に転写材料を転写させて、基板に部品を装着する装着機構と、装着機構で取り出された部品を下方から撮像して第1の画像を取得すると共に電極に転写材料が転写された部品を下方から撮像して第2の画像を取得する部品撮像カメラと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、第1の画像から部品の外形と電極とを認識して第1の認識結果を取得すると共に第2の画像から部品の外形を認識して第2の認識結果を取得し、第1の認識結果から電極の部品の外形に対する角度を含む相対座標を算出し、相対座標と第2の認識結果に基づいて、部品を基板に装着するための角度を含む補正量を算出し、補正量を用いて部品を基板に装着する。
【0087】
これにより、本実施の形態に係る部品実装装置は、転写材料を電極に転写する前に部品の外形と電極との位置の情報が紐づいた角度を含む相対座標を算出し、相対座標を基に部品を基板に装着する際の角度を含む補正量を算出することができる。これにより、部品実装装置は、転写材料を転写した後に電極の位置の情報を含む補正量を用いて部品を基板に装着することができるため、部品を基板に高精度に装着することができる。また、部品実装装置は、角度の情報を含む補正量を算出するため、部品の回転方向のずれも補正し部品を基板に高精度に装着することができる。
【0088】
<技術2>
技術1に記載の部品実装装置において、プロセッサは、第1の画像から部品の外形の第1の中心位置と複数の電極のそれぞれの位置座標の平均位置とを算出し、第1の中心位置と平均位置とから角度を含む相対座標を算出する。
【0089】
これにより、本実施の形態に係る部品実装装置は、部品の外形と電極との位置情報が紐づいた相対座標を算出することができる。
【0090】
<技術3>
技術1または技術2に記載の部品実装装置において、プロセッサは、第2の認識結果から部品の外形の第2の中心位置を算出し、相対座標と第2の中心位置と基づいて、部品を基板に装着するための角度を含む補正量を算出する。
【0091】
これにより、本実施の形態に係る部品実装装置は、相対座標を用いて補正量を算出することで、電極の位置に基づく補正量を得ることができる。つまり、部品実装装置は、転写材料が転写された後の部品の撮像画像からは電極の位置を精度よく認識することは難しいが、相対座標を用いることで電極の位置に基づいた補正量を得ることができる。これにより、部品実装装置は、部品を基板に高精度に装着することができる。
【0092】
<技術4>
技術1から技術3のいずれか1つに記載の部品実装装置において、プロセッサは、第1の画像の外周の所定の一辺に沿って設定される第1ベクトルと、部品の外形の所定の一辺に沿って設定される第2ベクトルとのなす角度を部品の外形の第1角度として算出し、複数の電極を含む四角形を第1の画像に設定し、第1ベクトルと四角形の外周の所定の一辺に沿って設定される第3ベクトルとの角度を電極の第2角度として算出し、第1角度と第2角度とから部品と電極との相対角度を算出し、相対角度を含む相対座標を算出する。
【0093】
これにより、本実施の形態に係る部品実装装置は、部品の回転方向のずれも高精度に補正して基板に装着することができる。
【0094】
<技術5>
技術1から技術4のいずれか1つに記載の部品実装装置において、プロセッサは、第2の認識結果に基づいて、第1ベクトルと部品の外形の所定の一辺に沿って設定される第4ベクトルとの角度を第3角度として算出し、相対角度と第3角度とから部品を基板に装着する際の補正角度を算出する。
【0095】
これにより、本実施の形態に係る部品実装装置は、部品の2次元平面内の平行移動のずれだけでなく部品の回転方向のずれも補正して高精度に基板に装着することができる。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示の技術は、電子部品を基板に高精度に装着する部品実装装置および部品実装方法として有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 部品実装装置
2 基板
3 基板搬送機構
4A 部品供給部
6 フラックス供給ユニット
8 フラックス
13 テープ送り機構
14 基板認識カメラ14
15 認識ユニット
16 部品実装機構
11A 搭載ヘッド
31 照明部
33 部品認識カメラ
34a 転写前画像
34b 転写後画像
40 制御部
41 記憶部
42 実装データ
43 部品データ
44 相対座標情報
45 補正量情報
46 機構駆動部
47 相対座標算出部
48 補正量算出部
49 撮像処理部
50 カメラ制御部
51 部品外形・電極認識部
P バンプ付電子部品
Pa バンプ